平成19年10月29日(月曜日) 15時~16時40分
三番町共用会議所 第3会議室
飯吉主査、石塚委員、菊池委員、小森委員、香山委員、平山委員、松田委員、三間委員、本島委員、吉田委員
松尾研究開発戦略官、山本核融合科学専門官
科学官、学術調査官 吉田科学官、山田学術調査官
(1)核融合研究作業部会における今後の審議事項について(ITER(イーター)設計レビュー、産業界との連携、人材育成等)
主な審議内容は以下のとおり。
【飯吉主査】
タスクフォースの役割について、もう少し説明していただけますか。今のITER(イーター)・BA技術推進委員会があってのタスクフォースということで、その辺の位置づけについてお願いします。
【松尾研究開発戦略官】
必ずしもタスクフォースにこだわるものではありません。ITER(イーター)・BA技術推進委員会のほうでの作業を、逐一この作業部会に報告いただいて、それをご承認いただくというのが本旨でございます。
ただ一方で、ITER(イーター)・BA技術推進委員会でやられた作業を、いきなりここで報告していただいて先生方にご議論いただくということが困難であるのであれば、常にITER(イーター)・BA技術推進委員会の動きをウオッチしているということで、この作業部会の方々一、二名ご指名をいただいてウオッチしていただくようなタスクフォースを考えています。
そして、行う事務といたしましては、ITER(イーター)とBAが適切に進捗しているのか。また、ITER(イーター)の設計レビューが、ITER(イーター)・BA技術推進委員会で行われていますが、それをうまくキャッチできるような窓口、それをタスクフォースで担っていただければということでございます。
ご議論いただいて、本作業部会のメンバーと、ITER(イーター)・BA技術推進委員会のメンバーに重複している方々がおられますので、不用との考えもありますが、ITER(イーター)・BA技術推進委員会の動きも、この作業部会でウオッチすることをイメージしているものでございます。
【飯吉主査】
今、作業部会のメンバーの何人が、ITER(イーター)・BA技術推進委員会に入っているんですか。
【松尾研究開発戦略官】
今、ここにおられる先生方で本島先生、吉田先生、三間先生、松田先生、それから香山先生が、ITER(イーター)・BA技術推進委員会のメンバーです。
【飯吉主査】
キーパーソンがみんな入っている。
【松尾研究開発戦略官】
そうですね。
【飯吉主査】
今のITER(イーター)・BA技術推進委員会としてはどうですか。
【吉田委員】
この作業部会の立場でご発言をしていただくということもまた大事。ITER(イーター)・BA技術推進委員会の委員の立場と多少場合によっては違うかもしれません。
【飯吉主査】
今度、吉田先生もお入りいただいたし、何人かいらっしゃる。
【吉田委員】
その意味では、さっきおっしゃった形といいますか、外から見ても形がわかるようにしていただくと議論しやすいかもしれません。
【松尾研究開発戦略官】
指名だけさせていただくという方法もございますので、またそこは相談させていただいて、とにかく、趣旨は、作業部会とITER(イーター)・BA技術推進委員会とのつながりを、ただ人が重複しているということではなくて、形としてのつながりを持つということでございます。
【飯吉主査】
よろしいでしょうか。
主な審議内容は以下のとおり。
【飯吉主査】
この点については、本日ITER(イーター)・BA技術推進委員会で議論があったということで、概要を報告していただけますか。
【吉田委員】
これについては、10月18日に文部科学省から、文書を核融合エネルギーフォーラムの運営会議にいただきまして、そこを通してITER(イーター)・BA技術推進委員会におりてまいりました。
きょうはそれを受けての会合だったのですが、改めて松尾戦略官からご説明いただきまして議論を開始したところでございます。
今の人材育成、それからロードマップに関しましては、フォーラムのクラスターの中で、これは調整委員会のほうでのことなのですが、長く議論されていまして、それの中間報告がちょうど出たところであります。そういうところで中心的に役割を果たしておられた岡野さんに主査になっていただいて、ワーキンググループを構成して、非常にコンセントラルティスという形で議論を詰めていくと。そことITER(イーター)・BA技術推進委員会とでキャッチボールをしながら、限られた時間なのですが、年内、年度内というところをめどにつくり上げていこうということで、まさにスタートしたというところでございます。
【飯吉主査】
ロードマップというのは、もうできていますか。
【吉田委員】
クラスターのほうで議論されていまして、クラスターはボランティアベースの集まりだったのですが、そこでまとめられたものがございます。ですから、そういうものを、おそらくたたき台という形で議論が始まっていくことと思います。
【飯吉主査】
それを少しモディファイしたようなロードマップを、ITER(イーター)・BA技術推進委員会でつくられて、それをもとに今の技術開発のステップとか項目とか、人材育成はどうすべきとか、そういうことを議論していくということですね。
【吉田委員】
そうです。それを文部科学省にお送りすると。そこを通して、またこちらに来るということですかね。
【飯吉主査】
今のロードマップですけれども、そこには、21世紀の中葉までにという話でして、そうだすると、やはりいろいろな可能性、ほかの炉形も含めたものも入ってくる可能性もあるけれども、今回はトカマクに限って。
【吉田委員】
ケーススタディーというような考え方で、トカマクを1つのケースとして議論しましょうということで、これはきょうの委員会でも、そういう方向でやるということが確認されました。
【松尾研究開発戦略官】
ケーススタディーです。今日の議論でもあったのですが、ほかの炉形を否定しているわけではありません。また、イギリスで言っているようなファーストトラックよりももっと早いトラックがあるかもしれません。それも否定しているわけではありません。1つの指標といいますか、そのようなケーススタディーをお願いしているというような趣旨でございます。特にここでチャージをした趣旨というのは、やはり産業界ではビジョンが見えないと、ITER(イーター)・BAに参画をするということに躊躇する。特に核分裂が盛り上がっている中で、核融合においてある程度のビジョンを提示しながら、産業界で何をどう技術蓄積をしていくのかということを示し、外に見えるような形にしたいというのが大きな趣旨でございまして、そういう意味で、産業界とうまく連携をとりながら、そういうロードマップをつくっていければというのが1つの眼目になってございます。
【松田委員】
核融合エネルギーフォーラムのクラスターで議論していただいていたのは、ロードマップをつくるための資料というような位置づけになるかと思います。ロードマップそのものというよりも、これから検討していくための技術ベースというか、それが中間報告としてまとまっていて、それをロードマップに展開していくのが今後の作業だというふうに理解しております。
【三間委員】
先ほど戦略官が、人材養成のところで競争的資金ということを言われたと思うのですが、その辺は、考え方というか。重要なことではないかと思います。
【松尾研究開発戦略官】
極めて重要です。
実際、今、平成20年度要求をやって、今度平成21年度要求を考えています。私もライフサイエンス課にいたときもそうだったのですが、全く新しい制度をつくるというのは結構しんどい。施策的に意味づけができるかどうかというよりは、もう既に実は世の中にいっぱい競争的資金というか、我々が新しい制度をつくろうと思うと、もう既に制度としてあるのです。したがって、今度、人材養成について議論をした場合に、それをどうやって次の21年度以降の施策に生かしていくかと考えた場合に、1つは今言いましたように新しい施策を提唱して予算を要求していく。これは1つの方法です。ただ、そうではなくてもう既に要求しようと思うものというのは、結構世の中に競争的資金としてありまして、それをあとは核融合コミュニティーと、次はナノテクコミュニティーと、ライフサイエンスのコミュニティーなど他分野間で競い合うというような、要するに分野を特定しない施策というか制度はいっぱいあります。そのときに、核融合コミュニティーが、他分野に勝って予算を取ってこられるような材料にも報告書が使えないだろうかという趣旨でございます。
したがって、これをもとにして新しい施策をつくる。これは1つの方法ですけれども、そうではなくて、例えば、既にある競争的資金について、核融合のほうがいいなといって、核融合のほうに来るような施策展開ができるような報告書にも使えないだろうかということでございます。
したがって、大学学内でのプライオリティーを上げるための材料というか、バックアップの資料とか、そういったものにも使えないだろうというのが、活用としての2点目でございます。
財政状況が厳しいので、なかなか新しい施策をすぐに構築できないので、そこは古い施策を活用するという観点も1つ入っているのかなということでございます。
【飯吉主査】
核融合でいえば、ITER(イーター)協定が発効して、まさにスタートするというのは、そのために人材養成がこういうふうに必要だというのは、かなり説得力が出てくる話ですよね。ですから、ある意味では、ほかの分野に比べても今がチャンスだろうと。だから、その辺を強調して人材育成というか、本当に必要なのだと思いますが、必要だということがわかるように書けばよろしいのではないでしょうか。
人材育成の場合、今の産業界のロードマップの問題は、例えば、ITER(イーター)が10年ぐらい、ある意味ではなかなか決まらなくて、産業界にせっかく蓄積されたはずの、装置技術とか超伝導技術とか、そういったものがどこかに分散してなくなってしまう。ディスアピアしてしまうというのは、戦略的に非常にまずいことでして、今後はそういうことのないように、次々と技術開発がつながっていくような、持続可能な核融合開発の計画を考えていく必要があるのではないでしょうか。その辺が、少なくとも報告書の中にはしっかりと盛られていないと、企業もなかなか力が入らない。
【松尾研究開発戦略官】
多分、人材育成については、ほんとに今先生が言われたように、いろいろな視点がございます。おそらくサステーナブルなプロジェクトフォーメーションというのと、それから、サステーナブルなプロジェクトがなくても、サステーナブルな技術の蓄積、例えば、今回は核融合だけれども、次はスパコンとか、技術者が相乗りできるような形とか、いろいろな方策とかもあるので、そういったものも考えながら検討すべき。特に、建設10年、これは10年間だけですけれども、人材育成というのは、10年では一部はできるにしても、やっぱり20年、30年ということですので、ロードマップに必要的なものだけではなくて、もうちょっと広がりを持ったものであるとか。
あるいは、育成に加えて、当面は確保が重要だとか。今日の午前中の議論でもあったわけですけれども、育成と確保とか、いろいろな視点がありますので、そこはいろいろなプログラムを駆使しながら人材育成を進めていく必要があると思いますので、そのメニューをちょっと我々としても斟酌して、次に生かしていきたいということでございます。
【本島委員】
人材育成ですね。やはり学生の教育ということに始まりますが、若手の研究者の養成も含めて、大学に期待すべきもの、大学の役割は非常に大きいわけですから、これを抜きにしてはうまくいかないと思います。我々のところもコミットはしていますけれども、大学ほどではないわけで、やはり大学の正当な位置づけというのを再度ここでもする必要があるのではないかと思うのですが。
平山先生がいらっしゃるから、高エネルギーの世界の人材育成はどうか。また、私が聞いているところでは、バイオの世界というか遺伝子の世界等では、研究者をいわゆる遺伝子をぶつ切りにしてはかるプロジェクトに投入したため、研究者が労働者になっているという指摘がされています。研究者の数は増えたけれども、研究者として育っていないという面が、どうも構造的な問題で出ているようですから、単純には分野間の比較というのはできないと思いますので、やはり私どもの分野、核融合はエネルギー科学という観点とか、いろいろな切り口でサイエンティフィックな面も前面に押し出しながらやらないといけないのではないかなと思います。
平山先生、高エネルギーの世界の現状はどうでしょうか。
【平山委員】
おそらく高エネルギーも同じような問題を抱えていて、大きな計画はもちろん持っていますけれども、それに至る間に人をどう育てるかということが課題になっています。大きな計画が実現して動き出せば、当然、そこで研究者が育っていくのですけれども、核融合も似たような要素があると思うのですけれども、計画が始まるまでの期間があるし、始まってから、実際に使えるまでの間というのは、そう簡単に研究成果が出る状況ではないのですが、その間にもどんどん人を育てていかないといけない。それをどうするかというのは、多分、ビッグプロジェクト共通の課題ではないかなと思います。
特に若い人に、どのようにして興味を持ってもらうかということは重要なことです。今年、高エネルギー関係の方が、夏休みに学部の1、2年生を対象に募集をし、大学の先生と一緒にかなり詰め込んだ教育を行うことを試みています。応募も募集よりも大分多くありました。
いろいろな意味で、専門に入ってきた人だけ対象にするのではなくて、もっと前から分野に関心を持ってもらうようにしようと思うと、かなり努力が必要です。なおかつ一番大変なのは、実験が始まるなり、装置が動きだせば関心を持つ人はいろいろいるのでしょうけれども、建設のためのいろいろなことを考えている間や建設段階に、どうやって興味を持たせて学位をとらせるのかというのは、そう簡単なことではないと思います。このITER(イーター)の状況を聞いていて、若い人が参加するとしても、建設の過程にかかわっている人が一体どういう形で、例えば学位をとることができるのか、スタッフの方がかかわる場合も、そのこと自身がほんとうに大学の中で非常に大きな貢献でやっていると見られるような形にできるのだろうかとかという課題があるように思います。ITER(イーター)に参加するのは、いわば国際貢献であって、別な形ででも評価できるようなことを入れていかないと、そう簡単に今の大学とか大学共同利用機関、あるいは、研究独法の研究者の置かれている状況のシビアさからいうと、どんどん出ていっていいですよというようには多分ならないと思います。本当にどういう仕組みでやるかということを考えないと、実際上はこれだけの人を動かすというのは、そう簡単ではないのではないでしょうか。
こういう大きなプロジェクト、それぞれ分野によって特徴、違いはありますけれども、共通してすべてが国際的です。ITER(イーター)もそうですし、高エネルギーも次に大きなことをやろうとなると、どうしても国際的になりますし、宇宙もそうです。そういう国際的な活動の中で、日本が本当に役割を果たしていこうと思うと、お金だけ出しているというわけにはいかないので、人的に貢献できるものが必要だし、それをどうやるかというのは、本当に共通の課題になっているのではないかなと思います。お互いそれぞれいろいろな意味で知恵を出し合うことはもちろんですが、文部科学省のほうも、そういう分野の貢献そのものも、国際的な貢献という観点からもいろいろ取り組めるものを出していただけると非常に力強いのではないかなと思います。
【香山委員】
人材育成について、ITER(イーター)・BAに関連して言うと、ITER(イーター)・BAの活動を通して行うべき人材育成という問題と、ITER(イーター)・BAに向けた人材の育成があります。主としては後者のほうが近いところで重要な目標になっている。特に大学においては、大型のそういうプロジェクトに向けて、大学からどれだけ優秀な人材を供給できるかという議論をしていて、その中の1つとしては、最近のグローバルCOEというのは、特にそういう人材を、教育を通していい人材をつくるという視点で提案するということで、今間もなく出ていくわけですが、京都大学は本来研究大学を標榜している大学でございまして、そこでは、今回、原子力とか核融合というのは、通常の教育というところでの人材育成は難しいところなので、むしろ、例えば京大ですと、ヘリオトロンを持っているとか、そういう大型の装置や何かを使いながら、先端的な研究の中で人材を育成するという、例えば、核融合研と普通の大学教育のちょうど中間みたいな位置づけになると思うんですが、少なくともこういう幅広いスペクトルをつなげるというような人材育成の構造が重要だという認識があって、原子炉と核融合の分野で先端的な研究から人材育成の仕組みをつくろうという提案を一生懸命考えているところですが、多分、そういう議論をぜひここの中でやれればと思っております。
【小森委員】
大学の核融合関係のセンターというのは中規模の装置を持っていて、過去においても、これからの研究も含めて、核融合研究開発を担うという意味では、人材をどんどん輩出できるし、してきたと思います。
ところが、一方、ワーキンググループの報告書によると、今の大半の装置は終了しなければならないことになっていて、次のステップというのは非常に厳しい縛りがかかっています。研究もそうですけれども、教育を考えると、今ほど大きくなくともある程度大きく、核融合という研究ができるようなものがないと、核融合を担うような人材の輩出はできないと思います。ですから、その辺を考慮して、ワーキンググループの報告を見直す必要があると個人的には思っています。
【飯吉主査】
この前、MITへ行く機会があったのですが、MITは、数年前までは、これからはニューロサイエンスの時代だと、そこを強化しなければいけない。MITとしてもそこに重点を置くんだということで、例えば利根川さんをヘッドにして、いろいろな大きな研究をしていたんです。
今回行って変わっているんです。学長がかわったという、女性の学長になったんですけれども、その人はニューロサイエンスのはずなのですが、これからは、エナジー・アンド・エンバイロメントだという大きな方向の転換が感じられました。いろいろなところでそんな話が出てくる。そういう今の核融合だ、核分裂だっていうことももちろん大事なのだが、これからの21世紀の大きな流れのようなものを考えると、もっと大くくりにして、エナジーとエンバイロメントというような、何か新しい仕組みで、各大学が大学院なり学部、ほんとうは核融合学科とか、そろそろ50年先に実用だったら当然あってしかるべきだ。今社会がちゃんと理解できるような形の学科的な大学院というものをつくって……。
最近の文科省の1つの方針は、連携でやりなさいとのことですが、大学を超えて連携大学、連携学部、そういういろいろなものを連携でネットワークでやるということがありますから、今のエネルギーという問題を連携で大学院コースをつくるとか、学部を考えるとか、そんなことも少し考えたらどうでしょうか。
【松尾研究開発戦略官】
ぜひそういうご提案をいただければと思います。ちょうど、香山先生も、松田執行役も入っておられる青森県原子力人材育成検討会はじめ、いろいろな地域でもそういうことを考えているところもございます。ただ、地域によってどれぐらいのレベルの研究者・技術者かというのは、いろいろ色分けがあるわけですけれども、大学連携が現実的かもしれません。新しい大学をつくるというのはなかなかしんどいところがあるので、やっぱり既存の大学が連携して、うまくモノや人材を流動化して育成していくというのは、まさにおっしゃるとおりだと思います。
確かに、アメリカ、MITもニューロサイエンスから、エネルギー環境というのに大きくシフトしている傾向があります。最近だとGNEPというグローバル・エナジー・パートナーシップは、アメリカがまさにブッシュ政権としてやっているようなものも、これは完全に環境というお題目で、次のエネルギー戦略を練るということで打ち出したものなので、随分そういったほうにきているということがあります。
あと、先ほど本島先生が言われたことですが、決して遺伝子を切ったり貼ったりすることで研究者が技術者になっている、どっちが上下関係かは別としてなっているということではなくて、いろいろな論文も出てきていますし、一番世の中で批判されているのは、「タンパク3000」のプロジェクトでいろいろ批判されている。ああいうライフサイエンスの場合、特に大きなプロジェクトがないので、プロジェクトに入った人と、入っていない人との間でいろいろな意見の相違もある。但し、そのプロジェクトからいろいろ論文が出ています。また、いろいろな大学に教授として行っていますので、そこだけは一応念のため申し上げます。
ただ一方で、プロジェクトをやると、研究だけではなくて、義務として何かやらなきゃいけない。特に遺伝子とかというと、とにかく解析しないといけない。これはビッグプロジェクトに必然としてあるもので、例えば、核融合もそうなんですけれども、とにかく研究でおもしろくなくても、プロジェクトで必要だからやらなきゃいけないという作業も発生してくるわけで、国税を使っている以上、興味だけではなかなかできないということもございます。それがプロジェクトだと思います。そういうことも加味しながら人材育成のプログラム、いろいろなメニューを使って養成をしていくというのが多分重要になってくるかと思います。
【吉田委員】
材料と炉工学の日中のシンポジウムというのがございまして行ってまいりました。今回3年ぶりに行ったのですが、非常に大きく中国は変貌を遂げているというのを感じました。実は、前回行ったころは、私がよく知っている西安物理研究所の炉工学関係の10名ぐらいでやっていました。今回行ったら40名になっていました。やっぱりITER(イーター)が始まったのを契機に、人材もちゃんと投入する。ただ、皆さんお若い。ドクターをとった直後とか、そういう人ばっかりだったのですが、とにかく活気にあふれているのが印象でした。やっぱり、これから国際協力の本当に人類初めてのビッグプロジェクトが始まったんだと。そういう中で、自分たちが頑張ってやるのだというような、若い人の情熱、研究そのものは、まだまだ始まったばかりですが情熱はすごい。日本もそういう情熱を持てるような状況にしていくというのが、ほんとは人材確保、育成にしてもパスが見えてくる。この前もそういう議論がありましたけれども、パスが見えてくるというのが非常に大事な要素ではないかなと思います。これが、例えば、4年生から大学院へ進学するときの進路決定、あるいは、低学年の教育から専門に入るときの進路決定というところにも、そういうものが非常に大きく左右するのではないかなと思います。大変難しい問題であるということは非常に認識した上での発言なのですが、ぜひそういうようなこともしっかりやるということが、一番本質的なところにある問題ではないかという気がしました。
【松田委員】
核融合の研究開発は、非常に総合的な技術開発だという意味で、飯吉先生がおっしゃられたように、核融合という狭い枠にとらわれずに、できるだけ幅広い中でとらえて人材育成というのも考えたほうがいいのだと思うのです。いろいろな核融合の研究開発を支援するのにも、コンピュータから材料までいろいろ非常に幅広くありますし、全体をまとめる工学というのは、別に核融合でなくても必要な共通の技術という面もありますので、そういう意味で広くとらえるというのは賛成です。
それで、戦略官にお伺いしたいですけれども、いろいろな既存の制度をできるだけ使ってというのは非常に大事なことだと思うのですけれども、枯れ井戸を求めていってもなかなかだめなので、こっちの井戸はたくさん水がありそうだとか、その辺の感覚というのは、ある程度インプットしていただきながら、そうすると、報告書の書きぶりも、それをターゲットにしながらという書きぶりができると思うので、そういう感触がありましたら随時ご教示いただけるとありがたいと思います。
【香山委員】
ロードマップの議論について、核融合フォーラムの初期に、クラスター活動でボランティアでやるときに、こういう活動というのは、基本的にボランティアベースでやるべきではないと。やはり、今回のような形で、きちっと要請を受けて対応して選ばれたメンバーでやるべきだという、ロードマップ活動に対する少なくとも明確な違いというのを、今回のワーキンググループの委員長になった岡野さんが、いろいろな機会に述べていますので、もしお許しいただければ、簡単に彼にそういうロードマップの考え方というのを話していただくといいかなと思いますが、いかがでしょうか。
【飯吉主査】
どうぞ、よろしくお願いします。
【岡野電力中央研究所上席研究員(傍聴席で傍聴中)】
ロードマップ等ワーキンググループの座長を仰せつかりました岡野でございます。ITER(イーター)・BA技術推進委員会ロードマップ等検討ワーキンググループでは、ロードマップの作成の方針と、それをベースにした技術戦略と、それから全国規模での取り組みの枠組み、また、ロードマップをベースにした人材育成の方針というのをご説明させていただきました。
また以前から、ロードマップ検討委員会というのが、早期実用化クラスターという下にございまして、そこでは、いつの日かはロードマップを完成させようという意味で、3年前から各分野の原型炉に向けた計画、それから現状といったものをヒアリングを続けてまいりました。そのヒアリングがちょうど一回り、主要な技術に関しては終了したという段階でございました。ただ、ロードマップをつくるに当たっては、あくまでもクラスター活動というのは自主活動で、しかも、クラスターでつくったロードマップ検討会というのは、ロードマップをつくってみようと思いますが、やってくださる方いませんかという公募をかけて、手を挙げた方だけが委員になっているという。そういう意味では、やる気のある方も集まっているけれども、分野とか地域とかかなり偏ったところもあります。日本のロードマップですということはできませんというのは、前からロードマップ委員会の中で言ってきました。ただし、日本の中で、ロードマップというのが、きちんと数字が入ったものができたことがないので、クラスター活動の自由な活動の中だったら、それぞれ組織を背負っているのではなくて、個人の立場なら言ってくださることはいっぱいあるだろうから、とりあえずつくってみましょうよということでやってきた活動でございました。
今回、中間報告をまとめた段階で、私はロードマップと言えるほどにはなっていないと思っているんですが、一応A4、1枚のタイムテーブルは何とかまとめることができました。タイムテーブルは、皆さんがいろいろなところで原子力機構のブランケットの計画とか、いろいろなものをごらんになっていると思うんですが、そういったものを一堂に全部並べてみますと、やはり相互にちょっとおかしいところとか、時系列的に前後しているところとか、これができてからでないと次のができないのに間に合っていないところとかいろいろあったので、そこをみんなで相談して調整して、少なくとも委員会の中ではこれならみんなが納得できるタイムテーブルですねというものができました。それが中間報告書の一番最後のまとめについております。
今回のロードマップ検討ワーキンググループは、そういう意味では、ITER(イーター)・BA技術推進委員会の中に、正式につくっていただいたものでございますので、ここで、それこそクラスターの緩やかな意見の集約というものが出された段階で、次のステップとしてロードマップをまとめるという方向にいくという意味でワーキンググループをつくっていただいたという流れでございます。
【飯吉主査】
どうもありがとうございました。
【香山委員】
国際協力の中で人材育成をしていくということについて、日本主導での重要性というのは認識されているのですけれども、多分、この中で大きいのは、例えば、核融合研が今やっている拠点大学での日中協力。それから、核融合の分野での日韓ですとか、いろいろな協力が重要な要素になっています。
ただ、そういう日中とか日韓というアジアの国との協力のもとでの人材育成の活動は、むしろ、日本がある意味で引っ張っていくという形のもので、これからもっと重要になってくるのは、もう1つの別のタイプで、日米、日欧というところでの、もちろん特別な分野で今までもやってきているわけですけれども、あまり教育的な側面が強調されたわけではないので、むしろ、これからそういうところでもどんどん国際協力の中で人材育成というのをやるべきだろうと。2種類の議論をぜひと思っています。
【飯吉主査】
留学生の外国人の育成というか、それも大事ですよね。もっと日本が留学生が増えないと。エナジーの分野で。それがひいては国際貢献にもつながるんです。大変大事なことだと思います。いかがでしょうか。
【香山委員】
最近、むしろ、産業界のこういう議論をするといつも目立つのは、飯吉先生が、昔から育成以前にまず技術の維持とか、人材の維持というのがいかに大変かというのをいつも言っておられて、むしろ今の問題としては、非常に大きな問題になっていると思うんですけれども。
それに関連して、実は最近のITER(イーター)の議論で出てきていたのは、ITER(イーター)のブランケットをつくる。それから、実は鉄鋼材料の供給のところで、技術力のある日本の鉄鋼メーカーが、製造要求にこたえられないというような局面が出てきて、結局そこでは、やはりこういう企業の貢献というのが、きちんとした形で動けるような枠組みが必ずしもできていないということがある意味で浮上してきたと思うのです。
1つは、まずどういう進み方をするのか必要だと思いますけれども、こういう部会で方向性は打ち出されているのですけれども、なかなか具体化ができていない。できれば原産が貢献して、鉄鋼メーカーとか素材メーカーも引っ張って、参画できるような枠組みをつくっていくというのが欠けていると思うのです。
なので、その辺の議論も。ぜひご検討いただければと思います。
【松田委員】
今、香山先生がおっしゃったのは、ITER(イーター)のコイルの材料調達の問題だと思うのですが、非常に景気がよくなったために材料の供給がなかなか間に合わないというような可能性がございます。ただ、日本のいろいろな産業界への協力、それから、どうしても足りなかったら海外からの調達も含めて素材はとにかく調達し、その後は何とかできるだけ日本の企業が協力をして構造材とか、つくり上げていくという考えをしつつあります。
ただ、いずれにしても、そういうことをやろうとすると、産業界の全面的な協力が必要でして、そこに関しては、現在、文部科学省それから原産協会がかなり力を入れていただきまして、ITER(イーター)のニーズと産業界からの対応の仕方、どういう形でできるか、どういう協力の仕方があり得るかという議論が始まっておりまして、できるだけ現実的にスムーズにITER(イーター)のものをつくれるようにしつつある状況です。
【松尾研究開発戦略官】
まさに、松田先生の言われるとおりですが、そのようなことは、役所がやるというよりは、実施機関である原研機構がやるべきことなんだと思うので、ぜひ主体性を持って自分のこととしてお願いをしたいと思います。
まさに、人材というのは、先ほど飯吉先生が言われたように、別にそのプロジェクトがあるから人材が育つわけではなくて、必要な技術があれば、別に核融合じゃなくても違うところにいた人材が来るわけなのだと思います。したがって、その技術が残るようなプログラミングをしていくということが重要なんだと思います。
それで、産業界のほうを代弁するわけではございませんけれども、やはり、誘致の間に、そして核分裂が、景気がよくなったということで人材がすっと散逸しているというのは確かに現状だと思います。したがって、我々も次のプログラムをある程度示しながら人材の誘因といいますか、引っ張っていくということで産業界のほうとうまく連携協力をしていくということだと。これは長期的な戦略として、考えたいと思います。
では、短期的なこととしては、いろいろなITER(イーター)の発注でありますとか、いろいろな調達行為がございますので、それをうまく産業界のほうと連携をとって随時情報を流しながら、公開入札につなげていくというようなことで、今、原産協会を中心に場をつくっていただいているということでございます。
ただ、すぐに人材というのは、今日やったから明日育つということにはならないので、そこは時間をかけてタイムラグがあると思うんですけれども、今やらないと後ほどまたまたボディーブローのようにきいてきますので、そこは長期的にやるということです。
あとは、大学のほうではぜひ短期的なものもそうですけれども、長期的な視点に立って人材全体のあり方、そこに出していく人材の養成のプログラムというのを考えていただきたいということでございます。
そういったすぐやること、それから建設でやること、それから長期的な人材ということの中で、先ほど言われました中国との関係であるとか、国際協力であるとか、そういったことも念頭に置きながら人材というのを考えていきたいというふうに考えてございます。
【飯吉主査】
企業は、とにかく仕事があれば、また再構築できるだろうと思うのですが、時間がかかっても。ITER(イーター)にどのぐらいの日本の取り分があるんですか。
【松尾研究開発戦略官】
ITER(イーター)の建設は、KIUA(キロアイユーエー)という仕事量で協定が決まっていますので、なかなかユーロ高でもありますし、鋼材が高くなっているとか、いろいろありますけれども、日本円にすると大体6,000億円がITER(イーター)の建設コストです。そのうち日本の負担する分というのは9パーセントですので、約540億円。EUから同じ分のお金をもらって日本が調達をするということですので、単純に計算しますれば、1,100億円近い額を日本が調達をするということになります。
ただ一方で、日本が調達する分だけではなくて、エンジニアリングの部分は、まさにITER(イーター)機構が独自に発注をする部分ですので、それも日本国内の企業がとりにいける部分でございます。
あと、究極を言えば、他国が発注する分、それも場合によっては日本企業がとりにいく可能性もございます。
したがいまして、転じますれば、理論的には日本が発注する1千数百億円も、日本企業よりも海外のほうが、コストが安いとかよければ海外に行ってしまう可能性もあるというようなことでございます。
今言った金額は、大づかみの腰だめの数字でございまして、ユーロ高でありますとか、鋼材の値段でありますとかによって変わりますので、正確ではございませんけれども、大きくカウンティングするとそれぐらいの数字でございます。
一方で、その次、建設が終わった20年間は運転でございますので、そのときもやっぱり部品の保守で交換とかいろいろありますので、そこでもお金は発生してくると思います。ここの金額は、多分年間全体で600億円くらいでしょうかね。600億円ぐらいで20年間で、1兆2,000億円。
【松尾研究開発戦略官】
オペレーションコストは、日本だけだと約60億円、年間です。
【小森委員】
日本だけでですか。
【松尾研究開発戦略官】
60億掛ける20年間。日本だけで60億くらいですね。それぐらいが大体の腰だめの数字でございます。
【飯吉主査】
そんなに多くないですね。
【松尾研究開発戦略官】
えつ?
【飯吉主査】
1,100億と言ったら、LHDと同じです。
【松尾研究開発戦略官】
いや、多いですけど。
【飯吉主査】
どれだけメーカーが乗ってくるか。
【本島委員】
確かに200人ちょっと雇おうとしても、すぐ20億ぐらい要りますから。60億が全部人件費で使えるはずがありませんから。飯吉先生がおっしゃるように十分な額ではないという面はあると思います。
【飯吉主査】
私の見ているところ、日立は核融合の技術がディスアピアしてしまったように見えます。工場に行っても閑古鳥が鳴いています。再立ち上げできるのか。東芝はまだ原子力をかなり一生懸命やっていますよね。随分体質が変わったんじゃないかなと思います。どうですか。
【松田委員】
ものづくりのほうは、確かに日立さんはそういう感じになってきています。一部の技術、加熱装置とか、そういうところではやっておられます。
【飯吉主査】
加熱はやっている。
【香山委員】
むしろ、先ほどあったように、原子力シフトが激しいですからね。
【飯吉主査】
そうしたら、むしろJFEとかね。鉄鋼メーカーとかね。ああいうのは、余裕を持って入ってきてもらったほうがいいと思いますよ。
【香山委員】
鉄鋼メーカーは余裕持って入りたくないって言っているんです。
核融合は、もう全然問題外という言い方をやっぱりするんですよ。なので環境を変えないといけないですね。とてもこんなのではできない。原子力ですら限定的な参加しかできない。明確なものしかやらないですね。これは重要なところだと思います。
【飯吉主査】
とにかく1,100億、大事に使わないと。
【松尾研究開発戦略官】
そうですね。
【本島委員】
人材養成を考えていくと、このプロジェクトで何人要るのという話がわりあい検討段階で出やすいのですけれども、これは非常に難しさを強調して出してしまうという面があります。裏返して見ると、じゃあ人材でコンティニエンシーを持てるのかというやわらかい面の検討がどうしても必要になってきます。でも、人材養成というのは、何人このプロジェクトで必要といって必ずしもそのとおり集まるケースは、今まで成功したプロジェクトでも必ずしもそういうふうに進んできたわけじゃなくて、じゃあ、人が少ないときは優先順位を何からしていくかというふうないろいろな工夫をしてプロジェクトを成功させてきたのだと思います。
そういう点では、例えば、ビッグプロジェクトを進め成功させるためには、少なくとも2つ条件があって、いわゆるリダンダンシーとロバストネスの両方が必要なので、リダンダンシーというのは、ある意味、2軸・2極性を持たすということだと僕は考えていますけれども、そういう点で、人材養成で何人要るというのを先にやってしまうと、それに縛られてがんじがらめになってしまうので、そこは十分注意して進めていく必要があるのではないか。したがって、できるできないの話になってしまうと非常に結果を出しにくいと思うのです。
【飯吉主査】
核融合というのは総合工学だという視点で、核融合だけではなくて、核融合のことを学べば、こういう分野にも応用が可能になるという広がりみたいなものを、むしろ核融合工学の特徴だと僕は思います。だから、そういうことを強調されて、とにかく日本のエネルギー関連の人材をこれから養成しておかないと大変なことになりますよという視点で少し人材の数も含めて。今おっしゃったところのリダンダンシーの部分だと思うのですけれども。
ほんとうに応用がきくのではないですか。つぶしがきくというか。いろいろなものが入っていて、現に核融合の研究をやっていた人たちはどういうところで今社会で活躍しているかというのを調べてみればあらゆるところに行っているのだろうと思います。
【三間委員】
核融合しかやらないというような形で人材養成をすると、学生が集まらないのです。やっぱりいくら教育していいシステムをつくったって、学生が集まらないとしようがないので、とにかく大学院の定員割れぎりぎりのところまで来ているというか。だから、せっかくこういう連合大学院とか何かをつくっても、そこのところをどんなふうにして学生に魅力を持たせるかという、こちらからしっかりしたものを示してやる必要があると思います。
【香山委員】
修士に入れるときは、今おっしゃったように幅広く入れて、その修士の間に核融合の魅力にとりつかせて、ドクターには核融合で行くという路線が非常にいいんだと思います。というのは、最近、ドクターの進学率、京大のエネルギー科でいくと核融合関連のドクターは比率として多いんです。だから、核融合に魅力を持たせるとドクターに行く人間は非常に多い。多分よそも、先生のところも核融合を目指すドクターは多いですよね?
【三間委員】
はい。
【香山委員】
ですから、そういうことで多分入るときから核融合はだめなんです。
【三間委員】
歩どまりはいいんですけれども、ただ、マスターに入ってくるのは必ずしも楽観できるような状態じゃなくて。今度、むつで中心になって、大学連合でもって、連携大学院ですか、連合大学院か何かやっていますよね。それはどんな戦略でもって。本当に集められるのか。
【松尾研究開発戦略官】
今検討しているのは、数回くらい議論をして、青森県のほうが主催してやっているんですけれども、最初は緩やかなネットワーク。サマースクールであるとか、いろいろなところから始めて、数年後ぐらいには連携の大学院の構想でいければいいんじゃないかなと。
ただ、そのためには、やっぱり中核となる組織がないと一生懸命汗をかかないといけないし、我々が考えているのは、地元の大学がちゃんと中核になって連携しないと、ただまたバーチャルになってしまうので、それはやっぱりよくないかなと。ちゃんとコアになる部分があって、そして連携して、そしてほんとに学生が来るかどうかは、これはやっぱりどの程度ちゃんと魅力を打ち出せるかどうかにかかってきます。そのときの魅力というのは、すばらしいなというのとともに、卒業してからの多分キャリアパスなんだと思うのです。やっぱり就職があるかどうか、アカデミアに残る人と、アカデミアではなくて産業界に行く人で、多分六ヶ所には原燃だとかありますので、むしろそういったところに行く人がマジョリティーかもしれないので、そこの卒業後のキャリアパスもセットで考えていかないと、今の学生はやっぱり敏感ですから、就職があるなしで学部・学科・大学院を選びます。特定の人はもちろん教授なりといってアカデミアで残っていく。そことセットで考えるというのが今後の魅力の1つなんだと思います。多分、年内か年明けくらいに1つの構想がまとまりますので、それを見て進めていくということになります。
【飯吉主査】
石塚さん、今期のテーマの1つが産業界との連携ということで、何かご意見ありませんでしょうか。
【石塚委員】
核融合エネルギーフォーラムのほうに向けて、あそこでこの作業部会で私も発言させていただいて、将来に向けての、将来の見通しの立つような形で産業界も入って議論する場をつくっていただきたいという話ができましたので、それがあると思います。それを中心で、そのために、原産協会の中でも、それに対応するための民間のグループをつくってやっていますので、それを窓口にしてやっていきたいというふうに思っておりますので、とりあえず、そのぐらいしか申し上げられないんですけれども、よろしくお願いいたします。
【本島委員】
原産協会には、ぜひこれからもよろしくお願いしたいと思うんですが、優秀な人材を欲しいということですよね。それでしたら高い給料を払ってもいいと。安い給料で、雇える人材も必要なんでしょうけれども。
それで、学生のこと、三間先生がさっきおっしゃったことですが、学生が来なかったら仕方ないじゃないですか。なぜこういうことを言うかといいますと、ちょっと山田さんに紹介してもらおうと思うのですが、私は非常に興味があると思うんです。香山先生も多分そういう趣旨でおっしゃたんだと思うし、三間先生もそうなんだと思うんですが、夏の体験入学というものをしましたら、学部の学生が日本全国から部屋いっぱい集まりました。
【山田学術調査官】
今年は40数名でした。
【本島委員】
それぐらい来ますので、おそらく我々のところへ来る学生は1人か2人で、あとは全部それぞれの大学へ行っているはずですから、そういう点ではかなり手ごたえはあると思うんですが、どうですか、山田先生。
【山田学術調査官】
平山先生の高エネ研の企画とほぼ似ているかと思うんですけれども、総合研究大学院大学のアクティビティーの一環として、学部の1年生からを対象とした大学院生活の体験入学です。1週間、夏休みに缶詰になっていただいて、我々の場合ですと、核融合科学の大学院生活を1週間体験入学していただくということ。今年で4年目です。4年やったんですけれども、年々増えてきていまして、今年は40数名参加されて、ですから、1週間なかなか時間をとって缶詰になって朝から晩まで研究をやるというのは、かなりモチベーションの高い学生がそれだけいるということなんです。もちろん核融合がやりたいという学生もいるんですけれども、やっぱり、理科系の大学院生活、科学研究の大学院生活って一体どうなのかというようなことから入ってくるような学生もいて、1週間体験すると、やっぱりそれなりに核融合のことを理解してシンパシーを持って、少なくとも応援していただける形にはなっていると思います。
【飯吉主査】
現実として理工系がどんどん減っているんです。どこの大学でもそうだと思いますけれども、理工系全体。だから、日本はそれでいいのかという。日本がものづくりを本当に国の根幹に据えるのであれば、理工系の給料を増やさないとだめです。そして、そのかわり、それにこたえるように大学でみっちり鍛えなきゃだめです。本当に日本が21世紀をものづくりで、ほかに日本の存在価値がないんだということであれば、やっぱり理工系を大事にしないといけない。そう言ってはなんですが、ITの専門家よりも、給料は倍とは言わず。そういうぐらいの、そのかわりしっかりとした技術を身につけて大学から出していくという、そういう何か1つの仕組みができないと、今の歯止めはきかないのではないかと。私は非常に危機的に見ているんですけれども。
【石塚委員】
こういう議論の流れがあることを知らずに、ちょっと違ったことを言いましたけれども、やっぱり企業にとって人を採るというのは、これから40年、50年、終身雇用制じゃなくなったといえども、やっぱりこれからその人間を40年、50年面倒を見る、そこで働くんだということだと思うんです。したがいまして、相当慎重にその資質ということと同時に企業でやれるための人間的なものも含めて相当なものをやらないといけないと思うんです。
それと同時に、この核融合という仕事が今後、日本でどうなっていくかということがものすごく大きい。
同時に、私が思っていましたのは、国際的な場がいっぱいあると思いますので、国際的なものを視野に入れて、それで大学と企業で人を育てていくということがあるのかなというふうに思いました。
【飯吉主査】
それにあれですよね、企業にしても、政治にしても、理工系のドクターを持ったぐらいの人がかなり入っていないと、本当にものづくりの大国と言えないんじゃないですか。中国は今は知りませんけれども、江沢民のときは、8人のうち6人が技術系ですよね。
【松尾研究開発戦略官】
今は9分の7です。
【飯吉主査】
そんなに。
だから、さっきの話じゃないけれども、国の理解がわりあいと得やすいところがあるんだろうと思います。いずれにしても、国民の意識を変えていかないといけないですけれども、1つこういう核融合とか先端の技術をやっているところは、啓蒙的なことも含めて対応していく必要があるのではないでしょうか。
事務局より、資料1に基づき、原子力委員会における政策評価及び核融合研究分野における最近の動きについて説明があった。
主な審議内容は以下のとおり。
【飯吉主査】
もう今ITER(イーター)は着々と人は集まってきているんでしょうか。今何人ぐらい。日本はどのぐらいまで。
【松尾研究開発戦略官】
少し前の数字でございますけれども、今、直接雇用者が120数名、これがITER(イーター)機構全体でございます。そのうちの池田機構長を含めまして14名が日本人の直接雇用でございます。そのほかに技術アドバイザーであるとか、ビジッティングリサーチャーであるとかということで何名か行っていますけれども、そこの数字はちょっと今把握してございません。したがって、直接雇用関係では11パーセントが日本人のスタッフということになります。この数字が多いのか少ないのかなんですけれども……。
【飯吉主査】
最初はどのぐらいを考えて。
【松尾研究開発戦略官】
予算の観点でいきますと9.1パーセントが日本の負担でございますので、それにEUの割譲分を合わせて、18パーセントぐらいを目標にしたいと思ってございます。それが今11パーセントでございますので、あと数名は日本人スタッフを送りたいというふうに思ってございますので、またご協力をいただければありがたい。
ITER(イーター)機構は、今120数名でございますけれども、最終的には池田機構長によりますれば、250名ぐらいのスタッフには数年後に持っていって建設、それから運転ということに行きたいようでございます。
【飯吉主査】
きょうはそのぐらいでしょうか。
それでは、これで第9回の作業部会を終わりといたします。どうもきょうは活発なご意見ありがとうございました。
事務局より、次回の開催日を来年1月頃に予定しているとの連絡があった。
─了─
研究開発局研究開発戦略官付