原子力分野の研究開発に関する委員会 核融合研究作業部会(第3回) 議事要旨

1.日時

平成18年8月31日(木曜日) 14時~17時30分

2.場所

三田共用会議所 C-E会議室

3.議題

  1. ITER(イーター)計画、幅広いアプローチに関する国内推進体制について
  2. 核融合研究の重点化に関するチェック・アンド・レビューについて
  3. 大学等における共同利用・共同研究の進捗状況について
  4. その他

4.出席者

委員

 飯吉主査、坂内主査代理、石塚委員、菊池委員、小森委員、香山委員、笹尾委員、高村委員、田中委員、東嶋委員、平山委員、松田委員、三間委員

文部科学省

 板倉核融合開発室長、川畑核融合科学専門官、橋爪核融合開発室長補佐

オブザーバー

学術調査官
 山田学術調査官

5.議事要旨

(1)ITER(イーター)計画、幅広いアプローチに関する国内推進体制について

  1. 板倉核融合開発室長より、資料1‐1に基づき、前回の審議における論点について説明があった。
  2. 香山委員より、資料1‐2に基づき、核融合フォーラムを幹事役として行われた「六ヶ所村での連携協力体制の構築を目指した検討会」の報告について説明があった。説明に関する主な意見・質疑等は以下のとおり。

【委員】
 検討会には初日のみ出席し、2日目の議論に参加していなかったため、質問させていただく。当初、現在の核融合フォーラムが果たしている機能や役割については、討議テーマとしては挙げられておらず、最初の板倉室長からの報告の中で述べられていただけだったが、核融合フォーラムの意見集約の場としての機能、あるいは現在及び今後果たす役割については、2日目にどの程度の議論がなされた上で資料1‐2としてまとめられたのか。それとも、資料1‐2は検討会主催者側としての印象をまとめたものか。

【香山委員】
 資料1‐2について補足する。まず第1に、2日目は退席された方もいたが、2日目最後の総括討議を含め、資料や討議内容などを中心にまとめたものである。
 第2に、資料案は参加者に照会し、コメントをいただいた上で、最初の原案から訂正しているが、最終的な段階で、該当する討議の参加者から本資料に対する問題点は出てこなかったため、参加者の意見を最大限反映させたものと理解している。
 第3に、検討会の目的は、六ヶ所村での活動が計画されているBA関連の研究開発について議論し、何らかの考えを示すことであったため、必ずしも明確な結論には至っていないが、少なくとも参加者の間で形成された共通認識を明確に示すために、本資料をまとめた。資料の内容に関しては、主催者側の意見ではなく、検討会参加者の共通の認識のもとで作成されたものと理解している。従って、例えば、ITPAやITER(イーター)のTBWGに関しても、これまでに核融合フォーラムで議論をしてきた成果が、国際活動の中に反映されてきたという実績は、あらためて認識されたものと理解している。

【委員】
 最初の照会が来たのは夏季休暇中であり、その後何度か再照会はあったが、このような資料のまとめ方は時期尚早ではないかという意見もあったことについてはどうか。

【香山委員】
 少なくとも、該当する討議の参加者の意見に対応していないということはない。

【主査】
 核融合フォーラムの意見を集約したということだが、これは、幹事会の意見を集約したものであり、必ずしも核融合フォーラム全体の意見の集約ではないということか。

【香山委員】
 その通りである。

【主査】
 核融合コミュニティの意見を聞く場は必要であり、その意味から核融合フォーラムの存在意義は非常に重要である。今後、具体的なことについて決めていくわけだが、実施機関との接点など、アンノウンファクターがまだ相当あるため、物事を決定していくためには、臨機応変な対応が必要となってくる。核融合フォーラムでの検討会と本日の議論によって、問題点は大体出尽くし、あとは具体的にどのように進めていくのかという問題だが、相手があることであり、ITER(イーター)における実施機関や、BAにおける日本とヨーロッパの実施機関の動向を見ながら対応していく必要がある。
 核融合フォーラムには、ITER(イーター)、BAに関する問題について、必要に応じて、あるいはフィードバックして、検討を行っていただくことになると思われ、今回の検討会では、資料1‐3のような意見が出てきたということである。むしろ、もう一方の実施機関側が現在どのように進めているのかということをまずクリアにしてから、核融合フォーラムのアクティビティーについて議論をしてはどうか。

【香山委員】
 検討会の参加者の意見としても、今回はあくまでも中間的な報告という意味であるということと、核融合フォーラムの意見としては、当然これは準備作業であって、全体的なフォーラムの会合で意見集約をすべきであるということがあった。

【主査】
 今回の検討会では、作業部会から緊急的な課題についての整理をお願いし、まとめていただいたということである。
 次に、松田委員より、資料1‐3に基づき、ITER(イーター)およびBAに関わる連携協力の試案について説明があった。説明に関する主な意見・質疑等は以下のとおり。

【主査】
 核融合エネルギーフォーラムという組織が初めて出てきたが、核融合フォーラムとどう違うのか。

【松田委員】
 4ページの図で言うと、核融合フォーラムは研究者・技術者の自発的な集まりであり、これまでは文科省の核融合研究作業部会とのつながりはなかった。一方、今後ITER(イーター)及び幅広いアプローチが実施段階に入ると、機動的に、かつ、あらかじめ粗く議論すべき議題が出てくることが予想される。本来であれば、そのような国としての政策にかかわる議論は、国の審議会において行われるべきであるが、本作業部会において、技術的な課題について詳細な議論を行うのは難しく、また、コミュニティーに対し、広く情報が頒布される必要があることから、そのような機能をあわせ持つ新しいエネルギーフォーラムが必要である。これまでの核融合フォーラムとの違いは、国との関係が強くなり、国からの要請に応じて議論することが多くなってくるだろうという点である。

【主査】
 この、委員会的な組織が非常に重要であるが、フォーラムという言葉がつくため、あいまいになってしまっている。フォーラムとは、これまでの核融合フォーラムというと、任意参加によるボトムアップ的なコミュニティーであったが、物事を決定する機能を持つためには、委員会的な組織を作ることが必然だと思われる。「エネルギー」が入っただけだとネーミングが紛らわしいため、もう少し実効的な名前にしてはどうか。

【高村委員】
 資料1‐3の案は、事務局機能を原子力機構と核融合研とが連携して行うという点で大変よいと思っている。
 一方、資料3‐3の6ページで、私は「新連絡協議会」という言葉で提案している。このような、ネーミングや組織の機能については、慎重に議論すべきではないか。
 資料3‐3では、共同研究という点に重点を置きつつ、コミュニティーの意見を受け入れ易い形で提案をしているので、こちらについてもご議論いただきたい。

【主査】
 資料3‐3の6ページの図にある「計画・調整委員会」が、資料1‐3の「核融合エネルギーフォーラム」に当たるということか。

【高村委員】
 その通りである。

【主査】
 ネーミングとしては「計画・調整委員会」の方がわかりやすいが、後ほど検討していただきたい。このような委員会がないと、具体的な作業は進まないと思われる。
 ただ、当該組織が国の政策を決定するという性格を持つのであれば、きちんと本作業部会の下にきちんと位置づけるべきではないか。少なくとも、ITER(イーター)関係について取りまとめを行う本作業部会との関係ははっきりさせなければいけない。

【事務局】
 補足すると、ITER(イーター)や幅広いアプローチに関する最終的な政策の決定は文部科学省が行い、専門的な事項についての検討が必要な場合には、核融合研究作業部会でご審議いただくこととなる。ただ、核融合研究作業部会も人員に限りがあり、また、ITER(イーター)及び幅広いアプローチに関しては、技術的な問題が多岐にわたっているため、これらの問題について、すべて作業部会の下にサブコミッティーをつくって議論することは、実態として非常に難しい。かつ、トップダウン型の諮問・答申という形を取る事項だけではなく、ボトムアップ型で議論する事項も多いことが予想される。また、議論の場としてはある程度の広がりを持ったうえで、緩やかな議論をすることが非常に重要である。
 従って、すべての事項について一律に本作業部会で議論するよりも、まずは緩やかな意見集約の場において議論を行ったほうが、円滑に進むのではないか。その緩やかな意見集約の場において、何度か揺り戻しなどがあり、どうしてもまとまらないものについては、本作業部会で審議する方法もあり、また、作業部会の下に特定の技術的な個別課題について審議するための下部組織を設置する方法もある。いずれにしても、まずはボトムアップ型のコミュニティーにおいて広く議論していただくことを、事務局としてはお願いしたい。

【委員】
 核融合フォーラムの事務局機能を原子力機構が核融合研と連携して担うということについては、核融合フォーラム発足時に、原子力学会及びプラズマ・核融合学会の年会で議論したことがある。その際の話では、機能から考えて、将来的には第三者機関が事務局機能を持つのが望ましいが、現実的には、スタート時は暫定的に原研が担わざるを得ないということがあった。核融合エネルギーフォーラムにおいても、現段階では原子力機構と核融合研が連携して行うのが一番現実的であると思われるが、過去の議論では、第三者機関が事務局の機能を担うようにしてほしいという意見が出ていた。
 次に、資料3‐1、3‐2は、それぞれ核融合研、原子力機構からの正式な意見表明としての資料だと思うが、資料3‐3については、どのような経緯で「大学等における共同利用・共同研究」という資料名になっているのか。本資料にある項目については、核融合フォーラムや核融合ネットワークでも様々な議論をしており、機会があれば体外的に出したいという意見が出ているが、本資料は必ずしもそれらの議論で出た形ではない。これは大学の総意という位置づけの資料なのか、ご説明願いたい。

【高村委員】
 本資料については、重点化後の大学の共同研究について、事務局から説明を依頼されたものであるが、私自身としては、ITER(イーター)、BAに関する共同研究という形でまとめさせていただいた。核融合フォーラムの検討会での内容とほぼ重複しているが、私の個人的な意見、あるいは核融合フォーラムの物理クラスターでの意見をベースにしてまとめたものである。

【委員】
 核融合研究作業部会とフォーラムの関係について懸念していたが、意見の調整等についてはフォーラムで行われ、具体的な責任ある決定については文科省で行われるということであったので、納得している。
 今回、フォーラムが意見調整という重要な役割を担うにあたっては、体制としては、責任ある決定が行われるための調整の場をつくっていただきたい。
 原産協会が産業界の意見集約を行うという形で書いてあるが、今後、原産協会の中に産業界から成るワーキンググループ等を設けて、意見を集約・調整していくことを考えている。原産協会としては、今後のエネルギーフォーラムの「国内連携協力の調整」という役割について非常に大きなウェートがあるため、それをターゲットとして意見を述べていきたい。
 また、フォーラムが意見調整の役割を果たすにあたっては、本作業部会から明確なファーラムのタスクが提示されるべきではないか。
 民間として念頭に置いていることは、やはり産業界なので、原型炉を見据えて、どのような技術を開発していくのかということについての調整や、全体の開発のシナリオ、役割分担であり、また、ITER(イーター)と幅広いアプローチに対して、我が国が対応する技術の整理といったことである。
 これらの事項についても、11月の末ごろまでに決めていかないと、来年の活動ができなくなると予想され、かなり緊急を要する検討課題である。
 さらに、産業界の役割としては、人材、あるいは調達といったことがあるが、この件については別に検討の場があると考えている。

【委員】
 第1に、核融合エネルギーフォーラムの事務局のことが「資金負担の原則」のところに書かれているが、資金負担の事務を担当する事務局と誤解される恐れがあるため、事務局についてはフォーラムの役割のところに書いた方がよいのではないか。
 第2に、資金のところで、大学等と研究協力を行った場合に、間接経費を支出することは可能なのか。
 第3に、5ページの図で、実施機関からの矢印だけが一方向なのはなぜか。

【松田委員】
 まず、フォーラムの事務局機能については、ご意見のとおり、誤解が生じないよう「核融合エネルギーフォーラムの役割」につけ加えたほうが良いと思われる。
 次に、大学との研究協力契約については、従来の研究協力の場合においても、積算の中に経費的なブレークダウンを書くことはあるため、2者間の研究協力協定をつくる上で記載すればよいと思われる。
 最後に、5ページの図の矢印は双方向が正しい図となる。

【委員】
 ITER(イーター)もしくは幅広いアプローチにおいて、意見を集約する組織について、現状は原子力機構と核融合研が担うという構図になっているが、いずれも法人としての考え方があり、大学サイドにおけるITER(イーター)計画の進め方についての意見が、必ずしも原子力機構と一致しない場合もある。その場合、本作業部会で両者の調整が行われるのであればよいが、調整機能を持つ事務局を原子力機構が担うという構図において、本当に大学サイドの意見が最終的にITER(イーター)の運営部分まで届くのか、という懸念があるが、その点はどうか。

【事務局】
 中立性の確保のため、第三者機関を新しく設立するべきというご意見もあったが、行政改革の流れの中では非常に難しいのが現状である。フォーラムの事務局については、あくまでも会議の運営が機能の中心であり、実質的な議論はフォーラムの中で行っていただくことになる。フォーラムでオープンな議論を行っていただき、利害対立等があり集約できない場合は、作業部会の場で再度議論するという構造になると思われる。

【主査】
 フォーラムとは、エネルギーフォーラムのことか、現在のフォーラムか、その点を明確にしなければ、今後同じ問題が出てくることになる。本日新しく出てきたエネルギーフォーラムについては、現在のフォーラムとの位置づけや役割分担を明確にしないと、議論がいつも広がってしまう恐れがある。次回までにはっきりさせていただきたい。

【委員】
 第2回の本作業部会でネットワークとフォーラムの違いについて説明する際に、核融合ネットワークは、言い換えれば核融合科学ネットワークである一方、核融合フォーラムは、核融合エネルギーフォーラムと言うことができるとして、そのような言葉を使ったが、今回の資料1‐3におけるエネルギーフォーラムは、現行の核融合フォーラムに必要な改変をして、新しい形態のものをつくるということであったと理解している。

【主査】
 改変ではなく、両方必要なのではないか。物事を具体的に決定するための組織がエネルギーフォーラムであり、従来の核融合フォーラムは、物事が決定されていく流れを見ながら、研究者コミュニティー側から意見や提案を出していくということではないか。

【松田委員】
 フォーラムの中の組織の構成を議論する必要があるが、そのためには、エネルギーフォーラムに対して何が要求されているかということを踏まえた上で考えなければならない。

【主査】
 新しいエネルギーフォーラムと、従来の核融合フォーラムの双方がともにしっかりした主体性を持つ必要がある。エネルギーフォーラムの機能によって、核融合フォーラムの性格づけを変えるというようなことになると、そもそも核融合フォーラムは何だったのかという問題になる。事務局で整理し、次回提案していただきたい。

【委員】
 目標を実現するときには焦点を絞ったほうがよいが、幅広く実施するときには、最終決定までできるだけオープンに議論すべきである。ITER(イーター)との関係で、大学、学術分野がどのように貢献すべきかということに関わるが、1つは、ITER(イーター)よりさらに先を見て、様々な研究開発をITER(イーター)のプロジェクトによって成功させつつ、さらに成果を生み出していかなければいけない。また、ITER(イーター)のプロジェクトが限られたコミュニティーだけで進められると一人よがりになってしまうため、オープンな体制で幅広い知見を取り入れつつ、連携していかなければならない。
 そのような体制が担保されるためには、核融合エネルギーフォーラムを最終決定の場とするというぐらいの気持ちで取り組まなければ、様々な意見をきちんと反映することはできないのではないか。
 連携プロジェクトで一番大事であり、難しいところだと思うが、連携することで役割を分担するとともに、オープンな体制によって緊張関係を保つことで、よりよいものを実現していただきたい。

【主査】
 本作業部会とエネルギーフォーラムとの位置づけについても明確にしなければ、作業部会としては何をどこまで頼み、エネルギーフォーラムはどこまで注文を聞けばよいのかがはっきりしないため、よろしくお願いしたい。

(2)核融合研究の重点化に関するチェック・アンド・レビューについて

 坂内主査代理より、資料2に基づき、核融合研究の重点化に関するチェック・アンド・レビューの結果について説明があった。説明に関する主な意見・質疑等は以下のとおり。

【三間委員】
 阪大の留意点で、「報道において現実をはるかに上回る成果の報道がなされている」というのはどういった趣旨か。機関側の発表と違うことを報道機関が書いてしまうこともあるが、機関としては、そのようなことにならないよう配慮している。

【委員】
 この意見の趣旨は、高速点火で非常によい成果が出て、大変高く評価された際に、トカマクを越えて、明日にでも実用化できるような、誤解を招きかねない報道が一部の報道機関でなされたことがあったため、報道される側としても、場合によっては、適切な訂正をすることも必要だったのではないかということと思われる。核融合全般について、よい面だけを強調され、明日にでも実現できるような印象を与えることのないよう、慎重に対応すべき時期ではないか。

【主査】
 この記載部分については、私の方で検討させていただくこととする。

【小森委員】
 LHDについて、「パラメータ数値の向上に関心が過度に向けられることなく」「学術分野での重要ターゲットを一層明瞭にした」とあるが、参考資料3の4ページにある「LHDの目的・目標」の「ヘリカルプラズマの物理を学術的・体系的に理解」という目標を達成するために定められている「重要課題」を実現するには、まだプラズマのパラメータが所定の値に達していないため、学術研究の体系化、総合的理解に向けて、パラメータの向上を目指しているということである。
 また、CHSについては、パラメータの向上の必要のない領域において、LHDとは違った切り口で学術的に研究を進めていたということをご理解いただきたい。

【坂内主査代理】
 そこは理解しているものの、学術研究として、パラメータのみに関心が向かないように、というタスクフォースの思いである。

【委員】
 高いプラズマ・パラメーターを得ないと領域が変わらないということを核融合研のプレゼンテーションで説明されていれば、非常にわかりやすくなると思うので、そういった視点が重要である。

【主査】
 この報告書は、どのような取り扱いになるのか。

【事務局】
 作業部会の報告書を作成する際に、資料として添付する予定である。

【主査】
 このままの形で出るのであれば、誤解を招くような点がないよう、ご意見をいただければ適切な表現に改めたい。

【委員】
 平成15年の科学技術・学術審議会核融合研究WGで示された重点化の項目である、JT‐60改修計画、LHD、IFMIF等と、今回チェック・アンド・レビューが行われた項目とは完全には一致していないが、「核融合研究の重点化」というのは、平成15年に核融合研究WGで報告された重点化そのもののことか。それとも、現時点において何が大事だという観点から選ばれたのか。

【坂内主査代理】
 重点化以降の体制、アクティビティー、連携等を評価したものである。

【主査】
 今回は、3機関についてチェック・アンド・レビューを行ったということでよいか。

【事務局】
 当面、この3機関である。炉工学については、我が国としてIFMIF本体の建設を行わないこととなった経緯がある。なお、双方向型共同研究の枠組みの中で実施されている研究については、共同研究全般の議論において、必要に応じて取り上げていただきたい。

【委員】
 重点化以降の体制等についての評価ということだが、資料は、重点化の項目に関する重点化以降の報告となっている。また、炉工学は原子力機構と核融合研が重点化の対象として認められたかのように読めるが、必ずしもそうではない。

【委員】
 炉工学研究については、東北大学、東京大学等、特に大学サイドで活発に実施されているため、それらの機関も含む必要があったのではないか。

【主査】
 大規模な予算を使っている機関に対しては、社会への公表も含めて厳しいチェックを行う必要があるというのが評価の趣旨であり、個々の大学ではなく、多額の予算が措置されている3機関について評価を行ったということと考える。

【事務局】
 重点化そのものが適切であったかということについてチェックしていただくということが、今回のチェック・アンド・レビューの基本的な趣旨である。

【委員】
 タスクフォースにおいて、重点化してよかったのか、悪かったのかという面での評価については、どのような視点でなされたのか。

【坂内主査代理】
 重点化の拠点としての3機関を中心とした共同研究や連携協力の活性化を通してチェックさせていただいた。

【主査】
 チェック・アンド・レビューの結果については、委員からのご意見を踏まえた上で、今後、主査、座長が必要な修正を加えることを前提とし、了承してよろしいか。

(意義なし)

(3)大学等における共同利用・共同研究の進捗状況について

  1. 核融合科学研究所の共同利用・共同研究の進捗状況について、資料3‐1に基づき、小森委員より説明があった。説明に関する主な意見・質疑等は以下のとおり。

【委員】
 ヘリカルの研究が国際的にあまり多くの機関では行われていないことから、LHD関係の論文のサイテーションの多くは核融合研で行われることが多い。LHDの論文を核融合研以外の研究者が書くことは、サイテーションの面でも重要だと思われるが、どのような努力をしているかご紹介いただきたい。

【小森委員】
 まず、共同研究に参加していただくことになるが、実験についての情報は、インターネット等を利用して伝達している。また、実験計画等を決定するLHD実験会議に、外部の先生に参加していただくよう努力している。特に、ミッションと物理研究とに分かれているテーマリーダーのうち、物理研究のテーマリーダーは全員、外部の先生にお願いしている。原子力機構との間では、相互に研究者交流を行っている。
 2日本原子力研究開発機構の共同利用・共同研究の進捗状況について、資料3‐2に基づき、松田委員より説明があった。説明に関する主な意見・質疑等は以下のとおり。

【委員】
 原子力機構関西光科学研究所では、平成18年から阪大との連携融合事業がスタートしていることを付け加えさせていただく。「ペタワットレーザー駆動単色量子ビームの科学」という事業名で、レーザーで使ったプラズマの研究を一般的に広く含み、研究成果は核融合研究にも大いに資するものである。コストシェアとしては、関西研が約0.8億円、阪大が特別教育研究経費で共同利用施設の運営費も含めて約2.3億円となっている。関西研のレーザー装置や、SPring‐8を利用して、高密度プラズマの研究をするプログラムである。

【委員】
 原子力機構で実施されている共同研究は、資料にあるものがすべてか。外部の施設を利用した共同研究等、資料に無い形態の共同研究契約もあるのではないか。

【松田委員】
 資料には「主な研究協力」としてまとめており、全てを網羅しているものではない。

【委員】
 本資料について補足させていただくと、核融合研究協力委員会は平成17年度で廃止されており、今年度からは、例えばJT‐60関係については、炉心プラズマ共同企画委員会という新しい委員会において審査する形になっている。
 また、原子力機構の共同研究において、旅費を原子力機構から支払えるのは核融合分野のみであり、それ以外の分野では旅費を支給できないこととなっている。これは、核融合研究ワーキンググループの報告書に従って特例措置がとられたものであり、この点でもワーキンググループの報告は非常に有効であった。

【主査】
 今後、BAやITER(イーター)における連携協力は、どのような形で行われるのか。

【松田委員】
 BAへの参加の仕方としては、1つは直接参加があり、原子力機構とは関係なく、プロジェクトチームの一員になって参加するという方法である。次に、ミッションの一部を分担して行う場合は、資金移動も含めて共同研究契約を結ぶことになると思われる。これが協力の大部分になるのではないか。その他、完全に委託する場合は、委託研究契約を結ぶことになる。
 さらに、BAで施設ができた後、ミッションとは関係なく、大学の先生方の興味で利用する場合は、施設の供用の範疇になる。

【主査】
 供用の場合は、産業界、企業などは有料だが、大学については無料ということでよいか。

【松田委員】
 そのとおりである。企業についても、オペレーション・フィーの一部分を分担する形で有料となる場合と、有料だが、成果を公表することを条件にディスカウントされる場合がある。また、学術的な目的で利用する場合には、無料だったと記憶している。

【委員】
 ITER(イーター)、BAにおける研究成果の取り扱いについては、成果のプライオリティーは原子力機構が保有するが、共同研究の場合には、共同研究者も発表・論文作成の権利を有しているという理解でよいか。大学が、できるだけ広く論文発表の権利を有する制度になることを望む。

【松田委員】
 一般的に、共同研究の場合は研究成果を共有することになる。施設の供用の場合は、施設を提供する側が研究成果を保有することになっている。ITER(イーター)の場合は、協定の規定により、基本的に知財権は加盟国が共有、使用できることになっている。

【委員】
 ITER(イーター)あるいは原子力機構との関係について、ITER(イーター)で用いるテストブランケットについても重要な事項である。今後、ルールがどのように定められるかは不明だが、よいひな型ができるよう検討していただきたい。

【主査】
 その点についても、今後エネルギーフォーラムで議論していただくことになると思われる。
 3大学等における共同利用・共同研究の進捗状況について

【事務局】
 本資料については、大学の共同利用・共同研究全般について、高村委員から私案をご説明いただくものであるが、大学としてITER(イーター)、BAが最も大きな関心事項となっていることから、そこが中心の内容となっていると理解している。
   資料3‐3に基づき、高村委員から説明があった。説明に関する主な意見・質疑等は以下のとおり。

【委員】
 資料1‐3と3‐3は、1つの組織についての3層構造を表している。意見集約を機動的に行う組織のもとで、しっかりとしたオールジャパンの体制を持つために、非常によい提案である。

【委員】
 資料3‐3の中で、「IPO(ITER(イーター) Project Office)をDOEの中に設置」とあるが、IPOはオークリッジに置かれている。
 エネルギーフォーラムにしろ、新連絡協議会にしろ、調整のため重要な役割を果たすことについては同感だが、どの程度責任があるのか、国の意思決定とどのような関係となるのかがやはり不明確である。
 資料3‐3においては、学術共同研究と戦略共同研究が分かれているが、研究現場の立場としては非常に難しい面がある。ミッションの達成と物理の学術的な解明とは密接にリンクしているため、両者を分けて研究計画を立案するには、大変な調整が必要である。予算及び提案の軸の流れとしては考えられるが、全体を統一的に進めなければ、相当の無駄が発生する可能性がある。

【高村委員】
 学術共同研究と戦略共同研究を明確に分けるべきだということではなく、学術的な面とミッション面のどちらが強い意味合いをもつかで分けることも考えられるのではないかという提案である。

【委員】
 資料1‐3での提案については、国内の協力体制を構築するための検討体制と理解しており、産業界はその意味での参加を考えているが、資料3‐3における提案は将来の話であるため、両者は性格が違うのではないか。

【委員】
 これまで、核融合フォーラム工学クラスターにおいても、今この場で出てきたような議論はなされてきている。高村委員の説明も1つの意見ではあるが、他にもいくつかの意見があることも言及しておきたい。

【委員】
 資料1‐3については、ITER(イーター)及びBAプロジェクトを実行する上での協力体制についての提案である一方、資料3‐3については、共同研究に関する提案だと思われるので、分けて議論する必要がある。

【主査】
 今回の議論では、多くの面がクリアになったと考える。やはり大学側として協力する場合、資金がどうなっているかが最も関心のあるところなのであろう。その意味では、資金負担の原則についても、1つの流れを示していただいたことで、今後の議論がしやすくなると思う。
 また、「核融合エネルギーフォーラム」の提案については、内容が連携企画であることから、そのような言葉が入った名称のほうが議論が収斂しやすくなるのではないか。ただし、既存の核融合フォーラムとの関係や位置づけをはっきりさせる必要がある。
 要は、ITER(イーター)とBAの具体的な施策に対して、どうすればオールジャパンの連携をうまく進めていけるかということが最も大事な点ではないか。
 今後検討が必要な事項として、ITER(イーター)の直接的な協力だけでなく、BAのコンピューターシミュレーション、材料、ブランケット等について、それぞれ連携の仕方が違うことが予想されるため、それぞれ具体的なテーマについて、連携の進め方をこの「連携企画」の調整の場において議論する必要があるのではないか。

【委員】
 検討事項の例としては、我が国の炉工学がITER(イーター)のテストブランケットモジュールにどのように取り組んでいくのかということがあるので、早い時期に検討していただきたい。

【委員】
 ブランケット等については多様な形態があると思うので、それらを洗い出していくことは大変生産的ではないかと考える。

【主査】
 「連携企画委員会」といった組織ができた後は、関係者の意見を吸い上げつつ、ミッション・オリエンテッドな計画として、できることとできないことの仕分けを行った上で、早急に連携の形を構築していくことが重要ではないかと考える。

6.今後の日程等

 事務局より、資料2のチェック・アンド・レビューの実施結果に対する意見については9月8日までに提出いただくこと、及び次回については委員の日程を調整の上、改めて連絡することとされた。

‐了‐

お問合せ先

研究開発局原子力計画課核融合開発室

(研究開発局原子力計画課核融合開発室)