原子力分野の研究開発に関する委員会 核融合研究作業部会(第13回) 議事要旨

1.日時

平成20年6月4日(水曜日) 15時~17時10分

2.場所

文部科学省 5F6会議室

3.議題

  1. 核融合研究分野における人材育成・確保について
  2. その他

4.出席者

委員

 飯吉主査、石塚委員、大島委員、小森委員、香山委員、笹尾委員、高村委員、常松委員、東嶋委員、松田委員、三間委員

文部科学省

 松尾研究開発戦略官、山本核融合科学専門官、三木専門官、有林原子力計画課課長補佐

オブザーバー

科学官、学術調査官
 吉田科学官、山田学術調査官

5.議事要旨

(1)核融合研究分野における人材育成・確保について

 事務局より、資料1に基づき核融合研究作業部会報告書(素案)について説明があった。
 主な審議内容は以下のとおり。

【石塚委員】
 5ページの最後の2行目のところにありますように、人材のことをどう考えるかということでございますが、産業界と大型プロジェクト及び大学の学術界というように分けています。おそらく産業界とJAEA、大学というように分けて考えていると思うのですが、産業界が確保しなければならない人材というのは、ある意味では大学やJAEAなどの研究機関が備えるべき人材と少し違うところで、基本的には、ものづくりのほうの人材ということになると思います。
 したがいまして、例えばそれは最終的には核融合のシステム設計ができるようなことが1つ。それから次の段階は核融合に特有な機器、超伝導コイルなどそういうものをつくれるような技術。それから、汎用品とはいえ、核融合でなければならないようなものをつくる技術、そういったものをつくる人材を備えていなければならないというところだと思うのですね。その手段というのはどういうことかと考えると、これは何回もこの文章の中でも触れられているのですけれども、市場が確保されていること、それから、継続性がある程度確保されていること、将来の見通しが立っていること、この辺が確保されていることによって民間の産業界の人材は確保される。これは基本的なことだと思います。
 そのようなことを少しずつ報告書にも盛り込んでいただきたいと思っています。

【飯吉主査】
 今のものづくりのほうの継続性というのは、何か常に市場がというか、何かプロジェクトが走っているということが非常に大事ですね。

【石塚委員】
 そのとおりです。

【飯吉主査】
 例えば最近は原子力発電所の建設が復活してきて、今、人がいなくなっていて大変だという話がこの間も出ていました。核融合と原子力発電所は違うでしょうけれども、システムとしての考え方というか、安全性も含めて共通するものがあるので、そういうものが走っている。ただ、その時に超伝導とか、核融合プロパーの技術が抜けているとすれば、それをどういうふうに維持してまた組み立てていくかという、そういうことはピックアップしてウォッチしておく必要はあるでしょう。

【石塚委員】
 おっしゃるとおりです。

【飯吉主査】
 それを例えば超伝導が加速器あたりでつながっていくのであればいいのですけれども、核融合特有であれば、その辺のところはしっかり、小さなものでもいいのですけれども、しっかりとやっておくということが大事だと。ありがとうございました。
 それでは、「はじめに」はいかがでしょうか。この核融合エネルギーの実用化ということが、それだけにとどまらずに他の分野との連携を保ちつつという、この辺はこの報告書の1つのキーポイントになっているんだろうと思いますが、そのあたりはしっかり書いてあるのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。ここはよろしいでしょうか。

【三間委員】
 「はじめに」のところでございますが、最後のパラグラフで「人材の育成確保が特に重要な検討課題として指摘された」とありまして、確かにITER(イーター)を推進するためにも必要であるのですが、ここで相当議論されたのは実証炉、原型炉へ進む時の目途、そういうロードマップを担保するためにもしかるべき人材要請というのは長期的に進めないといけないのだろうという議論が相当あって、その人材の育成・確保の重要性についての議論があって、それの上に立っての話という印象を持っているので、何かその原型炉、実証炉のロードマップとの関係をここで書いておくことも必要なのではないかと思いましたが、いかがですか。

【吉田科学官】
 そうなっていると思います。

【三間委員】
 言葉が入っていないもので。わかる人にはわかるのでしょうけれども。

【吉田科学官】
 多分、三間先生のコメントは、その前の括弧の中に、「ITER(イーター)計画、幅広いアプローチをはじめとする」とあるので、それに限定されているのではないかということと思います。実はこれは報告書のタイトルなのです。

【三間委員】
 それはいいのですが。

【吉田科学官】
 だから、そこのところに引きずられて、この人材育成はITER(イーター)計画、BAにかかわる人材育成と読まれたのかもしれませんが、今ご指摘にあったように、ここの委員会では、実際、ITER(イーター)・BAを含んで実証炉の段階まで進むことを視野に置いた人材育成ということを議論してきましたので、そのことはこの報告書の中に十分書き込んでいるつもりです。

【石塚委員】
 今のことに関連してなのですが、4ページの第2パラグラフの「とりわけ」のところにあるのですけれども、このITER(イーター)・BA活動は、人材育成のための格好のプログラムである。つまり、この人材育成がITER(イーター)・BAのためではなくて、ITER(イーター)・BAのプログラムが人材育成のための格好のプロジェクトであると書かれている。これは非常に感心したところです。
 それで、では、人材育成は何のための人材育成なのか。そのことはこの一番下のところで、「以下では」のところに、優秀な若手人材を育成することと、それから、核融合の継続的な発展を可能とするための人材育成であると書かれているというところで、これは非常によく書かれている。もし優秀な若手人材を育成するということだけではわからなければ、前のページに「知の循環システムを担う」ということが書いてありまして、「知の循環システムを担う優秀な人材を育成する」、と書けばもっとわかりやすいかなという気がします。この「はじめに」から第1章までの構えは非常にいいと思います。第2章以降は少し問題があるとおもいましたが、「はじめに」から第1章までは非常にいい構えでできていると私は感じて読みました。

【飯吉主査】
 第1章は格調が高いと。今の三間先生との関連はどうですか。三間先生のおっしゃっているのは、この「ITER(イーター)計画、幅広いアプローチをはじめとする我が国の核融合研究の推進方策について」の中ではという表現がありますよね。だから、この中でこういうことが指摘されたと書いてあるから、少し狭いのではないかと。

【香山委員】
 吉田先生は、前にかかっているのは育成ではなくて、その長期的なエネルギー実現の意味で重要だということが中で示されていると説明されたのですね。十分に書かれていると。

【吉田科学官】
 「はじめに」の第1パラグラフにそういうことが書いてあって。

【香山委員】
 書かれていますよね。

【吉田科学官】
 長期的なビジョンでこれを検討しているということは、第1パラグラフに書いてありますが、多分、三間先生のご懸念が生じたのは、最後のパラグラフで ITER(イーター)・BAということが出ており、報告書のタイトルとも関連して、限定的だという印象があるということでしょう。

【山本核融合科学専門官】
 おそらくここはITER(イーター)と幅広いアプローチが今行われているので、それを契機として議論が行われただけであって、別にこのITER(イーター)と幅広いアプローチのためにどうしていくかということではなくて、それを中核としつつも、将来の核融合の実現に向けた研究のあり方であるとか、あるいは人材育成のあり方であるとかということなので、全体にかかわっていますので、あんまりITER(イーター)とBAだけを念頭に置いて書いてあるというご懸念は多分要らないのではないかなと思います。特出しすることもなく、当然、アプリオリに言わずもがなかなというふうに思ってはいるのですけれども。

【三間委員】
 私、全然けちつけるつもりはありませんが、僕は初めての試み、経験であったのではないかと思って。岡野先生をはじめ議論行われて、実証炉へのロードマップのケーススタディなどを通して分析が行われている。これは相当重い事柄で、じゃあ、今のままで今世紀中葉までにエネルギー開発、見通しできるのですかと、そういうことはここで相当議論されたと思っていて、その議論がここでなされた、この作業部会でなされたということがどこかで書かれていてもいいのではないかなということなのですけれども、それがこの中でも既に報告書の中にあると、ITER(イーター)計画、幅広いアプローチをはじめとする云々の報告書を受けているので、それで十分であると言われていたらそれまでなのですが。

【香山委員】
 もう少し後のほうで議論して、もう1回やったらいかがでしょうか。むしろ私が気になったのは石塚委員のご指摘のこの4ページの「人材育成と確保」というところなのですが、これは長期的に見た時に人材育成を通じて確保が大事だということはもちろん正しいのですけれども、これは印象としては、特に、とりわけ ITER(イーター)・BA計画を成功させるためにといった時には、何とはなしに人材育成を待って、それによって、この書き方ですね。それで確保するのだという印象になるのですけれども、多分、もう一つは人材を確保しつつ育成するという、本当を言うと人材確保というのも十分ではないのではないかという感じがあって、その人材育成と確保と書くのと、人材確保と育成というのはものすごい印象が違うと思うのですね。短期的に見た時には、私自身は、多分、確保の必要性というのを強く書くべきで、そういう意味ではここは逆にしていただいたほうがいいかなという印象を持ちましたが。

【石塚委員】
 「確保」と「人材」を逆にすると。

【香山委員】
 長期的にはもちろん育成を経た確保だというのははっきりしていますよね。

【石塚委員】
 はい。そのほうがいいかもしれませんね。

【香山委員】
 短期的にはどうかなという感じ。言葉のニュアンスなので、吉田科学官の意図がそれで十分、この表現でいいのだということであればもちろん特にいいのですけれども。

【飯吉主査】
 それは今の人材確保と育成というのを逆転するのは別に問題ないのではないですか。むしろ、そういう表現でよろしいと思います。

【東嶋委員】
 今の「確保」と「育成」を逆にするというところですけれども、第1章から全体的なトーンが「人材育成」ということが中心に置いてあって、「と確保」となっています。ここの部分だけを人材確保と育成というふうに逆にするということなのですか。

【香山委員】
 それまではエネルギー開発として長期的に見た議論なのですね、全体的に。この文だと「特に」と言っておられるので。

【東嶋委員】
 「とりわけ」のところだけ「確保」を前にするということですか。

【香山委員】
 いや、もちろん全体も変えていいということかもしれないですけれども、どうですか。

【常松委員】
 いや、単にそれは「人材育成」という1つの単語にせずに、「人材の確保と育成」とすれば。

【香山委員】
 そうですね。そうしていただければいい。

【常松委員】
 そうすると、後ろの育成と確保を自由自在に後で組み合わせればいいわけで。

【香山委員】
 はい。その辺は、受けた時の印象だけなんですね。

【飯吉主査】
 あとはいかがですか。

【常松委員】
 その後ろに括弧して「人材育成」というのが出てくるから、そこは1つの単語にしないほうがいいと思います、何か強調したければ。

【飯吉主査】
 ITER(イーター)・BA活動というのは、もう既に今確保されている人材を使ってやるわけですよね。それで、それを通してさらに人材を育成していくというふうに僕はとったのですけれども、だから、人材育成が先にあって、こういう具体的なプログラムが出てくると。ITER(イーター)・BA計画というのは、今、進んでいるわけでしょう、オン・ゴーイングで。だから、そこには、少なくともそこに今さら人材育成をやって、それにというのはもう間に合わないわけでしょう。だから、少なくともコアになっている人は、今かなりの人がそこへ入っていってやるわけだけれども、そこにそういう雰囲気があるわけだから、若い人たちがそこにジョインして同時に人材育成をしっかりやるという、そっちのほうに重点があると見たのですが。

【松田委員】
 その面もありますけれども、後のほうで出てくるのですけれども、現在、例えばITER(イーター)に送る人材が不足していますと具体的に出ています。

【飯吉主査】
 それはまた別の話で。

【松田委員】
 それはやはり確保しないといけないというようなことで。

【飯吉主査】
 それはまた別の話だと思いますよ。いや、逆に言うと、どうして今、人材が集まらないのですか。そこが問題だと思いますよ。人は今でもいると思いますよ。だから、集まらないというのは、その集め方に何か問題がある。

【松尾研究開発戦略官】
 そうすると、例えば提案として、ここの書き方も、核融合エネルギー実用化へ向かうため、人材を確保するとともにITER(イーター)・BA計画を通じた人材の育成が重要だとか、人材を確保するとともに人材育成するとか、香山先生の順番を変えつつ、何か言葉を。

【香山委員】
 そのITER(イーター)育成の重要性は、その次の文章できちっと書かれているんですね。

【松尾研究開発戦略官】
 そうですね。

【香山委員】
 気になったのは、これ「も」というのを「が」に変えているところが理解しにくかったのですが、これは文章の美学でしょうか。これは同時にとらえるができるとありますね。同時だとしたら、むしろ、とらえることもできるというほうがより同時という表現が強調される気がするんですけれども、そうではないでしょうか。いや、これ、訂正が「も」と書いてあるのを「が」に変えているので。

【吉田科学官】
 「も」はちょっと弱いかなという意味で。

【香山委員】
 そうなんですか。

【吉田科学官】
 語感的にそういう気がしたので少し強めたというぐらいのことですから、どちらでも結構です。

【香山委員】
 受け取り方ですね。僕は同時というのを強めるには「も」と入れたほうがいいなと思ったんです。ダブる感じになるかなと思ったのですけれども。

【吉田科学官】
 「も」でもいいと思います。

【香山委員】
 ささいなことで、どうでもいいことですけれども。

【飯吉主査】
 先ほどの松田委員のコメント、今、集まらないなんていうのはちょっと格調を落とす話だから、せっかくここで格調高く……。

【松田委員】
 すみません、後に出てきたから話をしたのでですね。

【飯吉主査】
 集まらないという意味ではないですよね。

【松田委員】
 いえ、集まらないのも事実なんですよ。

【香山委員】
 だけど、それは別の次元。それを入れてしまうと。

【常松委員】
 確保の必要性を、格調を落とさないような面からという意味では、ITER(イーター)については産業界もそうですけれども、これから物をつくっていく、具体的に申し上げますと、マグネットに関しては既にそれなりに集まっておりますが、ただし加熱とか何かの高電圧機器とか何かは、これから基本設計をするという部分がありますから、そういうところで必ずしも核融合のプロではないですけれども、高電圧あるいは真空のプロというのを集めないといけないというようなニーズもございますし、それから、BAに関しましてはIFERCのほうが、今、ヨーロッパとどういうシナリオでジョイントワークに入るかというのをやりまして、現にこれからプロジェクトチーム、荒木リーダーの下のプロジェクトチームを強化していくということがございます。
 そういう意味で、既存の計画の中で人材の確保、新しい人なのか、あるいはどこからか流動させるのかは別として、プロジェクトとして人材の確保が要るというプログラムにはなってございます。それが多分、どこか後ろのほうで数十人という言葉が、数字がどこかで出ていたかと思いますけれども、ここ3年の間に数十人とかというのがどこかに表現があったと思いますが、そういう意味では、その程度の規模の確保というのは要るでしょうし、ほかの分野から入ってきた専門家の方を核融合のトータルコーディネーターとしての育成というようなことはあるのではないかと思います。

【三間委員】
 産業界と研究・教育機関を結ぶパスというのは意図がよくわからないのですが、これは産業界から研究・教育機関へのパスと、そう読んでもよろしいですか。

【吉田科学官】
 いや、双方向だろうと思います。

【三間委員】
 上のほうに大学あるいは大学院から産業界へ進むパスがって、これとペアになっているのかなと思ったのですが。

【山本核融合科学専門官】
 上は一方、下は双方向です。

【吉田科学官】
 必ずしもペアになっているわけではなくて……。上は、大学あるいは大学院を卒業してから産業界へ進む人のことです。これをここで取り上げたのは、その前のセクションに述べた大学院修了後のキャリアパスというのは、第一義的にはPDとか、研究員というアカデミック・キャリアパスのイメージなので。それ以外にも、もちろん産業界にエンジニアとして入っていく人もいますよね。だから、そういう人ももちろん必要だし、それから、産業界と研究・教育機関を結ぶというのは、これは双方向的なイメージです。最近ですと産業界からたくさん大学のほうに人をお迎えして、ものづくり等について教えていただくということも多いので、それは双方向的だろうと。それから、他の学術分野と交流する、これも双方向的なパスです。いろいろなパスを確保して人材交流する必要があるという意味で書いたのですけれども。

【三間委員】
 それと、その上なのですが、これも確認なのですけれども、開発研究の前線と云々があって、「知の循環システム」というのがあるのですが、基盤学術の先端というのは一体何を意味するのかよくわからないのですが、例の核融合研究のグランド……。

【松尾研究開発戦略官】
 グランドデザイン。

【三間委員】
 グランドデザインの開発と学術と、学術の中にもしかるべき研究の前線というのがあるので、開発の研究だけではなくて、開発及び学術研究の前線と基盤的な、「基盤的なところ」って、これは大学院というか、そのベースのところを意味しているのかなと思うのですが、これはどうですか。

【吉田科学官】
 おっしゃる意味がよくわからない。

【三間委員】
 要するに開発研究・学術……。

【香山委員】
 これはものづくりの議論ですから、そこに入れてしまう……。

【吉田科学官】
 開発研究の前線というのはよろしいでしょうか。

【香山委員】
 いいんですよ。

【三間委員】
 開発・学術研究の前線というものと違うのですか。

【香山委員】
 それを入れてしまうと、言いたいことがあいまいになりますよ。

【吉田科学官】
 学術研究と開発研究を少し分けて書くならば、開発研究の前線というのは直接的に言いますとITER(イーター)・BAだろうと思うのですけれども、それとは別に基盤学術にも先端研究がある。だから、これは学術研究の先端と書いてもいいかもしれません。開発研究と対置されると、何か学術研究って既にあるものみたいな誤解があります。学術研究も常に先端を行っているわけで。

【三間委員】
 学術、もっと基盤もあるわけですね。大学院レベルの、要するに講座レベルの研究というところと結びついていないといかんわけですね。

【吉田科学官】
 講座レベルの研究も先端をやっているわけですよね、復習しているわけではなくて。

【三間委員】
 だから、要するに学術の大型研究と大型プロジェクトと。

【吉田科学官】
 わかりました。学術の大型プロジェクトというのが、もう一つあったほうがいいだろうということですね。

【三間委員】
 ええ。それと講座レベルの研究との循環、要するに三重構造、多層構造になっているということなんですけれども。

【吉田科学官】
 学術研究を2つに分けて、大型のものと小型というか、基礎のものと。

【香山委員】
 上の段でも繰り返し言い方を変えて述べているのだから、あんまりくどくどやる必要性はないと思いますよ。

【三間委員】
 グランドデザインはそうでした。

【香山委員】
 いや、ここでちゃんとこの文章で、前の文にもこの文章の段落は。

【松田委員】
 用語の使い方なのですが、4ページの最後のパラに「今世紀中葉までを目途とした核融合実証炉の稼働」という言葉を使っているのですが、これはどこから出てきたものですかね。

【松尾研究開発戦略官】
 同じところなのですけれども、4ページ目に上のパラグラフと一番下のパラグラフに、「実証炉」という言葉がありまして、原子力委員会のほうでは「実用化」という言葉ですので、なるべくそういうのに統一をするような形で整理をさせていただきたいと思います。すなわち、「実用化へのロードマップ」であるとか、あるいは4ページ目の最後のパラですけれども、「今世紀中葉までを目途とした実用化に至る長期的な課題」とか、原子力委員会の表現と平仄を合わせて、政府部内の報告書がコンフリクトを起こさないようにしたいと思いますので、そこだけ直させていただきます。

【松田委員】
 一方、以下の次の装置は「原型炉」という言葉を使っておりますので。

【飯吉主査】
 1つ質問してもいいですか。今の3ページの2段目のところですけれども、平成17年10月の原子力政策、そこの今の「トカマク核融合炉の基本概念実証に向けた研究・開発を全日本的な協力体制のもとで進めようとしている。同時に、未解決の学術的・技術的問題を解決してゆく努力と、未知の領域を切り開く果敢な挑戦、多様な可能性の中から最適な方法を模索する活発な知的競争が継続的に行われなくてはならない」。これも大変格調高い表現になっているのですけれども、ここの言おうとしているところはどういうことなんですか。
 例えばトカマク以外にもヘリカルとか、レーザーとかいろいろなことがありますよね。それがこれなのでしょうか、この「多様な可能性」という。そういう具体的な話ではなくて、もっと研究の持つ多様性の話をしているのか、どちちなのでしょうか。いや、当然、これは、三間先生はこの辺で一言あると思ったのですが、出なかったから私が申し上げているのですけれども、何もトカマクだけ――まあ、幅広くいろいろやろうという下の話も含めて、核融合というのはもっと幅広い研究を抱えているわけだから、そこのところをここで言わんとしているのか。

【吉田科学官】
 おっしゃるとおりで、ITER(イーター)・BAはトカマク型の研究であるわけですけれども、トカマク型を使った研究というものは、当然、ほかの形式のものにもほとんどのものがそのまま実効的に役に立つだろう。そういった意味で、この最後の「多様な可能性の中から最適な方法を模索する」というのは、今後行われていく、先生がおっしゃったような意味での研究です。ですから、昔のようにパラレルに何個かを進めていかないと、それぞれのことがわからないということではなくて、もちろんトカマク型で大きいものをつくって研究をするというのがITER(イーター)・BAでありますけれども、それと同時に、いろいろな研究も現に日本で行われているわけで、そういうものの中から最適な方法を模索する。そういうことが今後必要になってくるだろう。

【飯吉主査】
 こういう表現でよければいいのですけれども、例えばトカマク以外のことを研究している人たちは、関心を持たないということになると困るなと思ったのです。

【吉田科学官】
 そうならないように考えたつもりですけれども。

【飯吉主査】
 今のレーザーの人たちはこれで大丈夫ですね。

【山本核融合科学専門官】
 弱ければもっと強めたほうが。

【飯吉主査】
 それと全く新しい、まだ核融合の、夢の核融合というのは、例えば直接発電、直接エネルギーを取り出すとかって、そういう可能性だって将来あるわけですよね。そういう人が、むしろ若い人たちというのはそういうチャレンジングなことにかかわってもらうとおもしろい。だから、そういうものがここで入っているのならよろしい。

【吉田科学官】
 今おっしゃられたのは、「未知の領域を切り開く果敢な挑戦」。

【飯吉主査】
 そういうことですね。

【吉田科学官】
 おっしゃるとおり、それは非常に大事で、大きいプロジェクト、何十年プロジェクトが1個走ってしまうことで、ほかの研究がディスカレッジされるといけません。学術の多様性というのは非常に重要なキーワードなので、その辺は注意深く書いたつもりではいるんですが。

【笹尾委員】
 今の点で、人材育成においてこういう、このITER(イーター)・BA、それから、トカマク型核融合炉の路線以外の多様な可能性の中が、そういう可能性、知的競争が人材育成に対して非常に大きな役割を果たしているということを何かイクシプリシットにどこかに入れておいたほうが、この知的循環システムで、こういうものの意味合いが明確になっていいのではないかと思うのですが。

【飯吉主査】
 どこかに入れられますか。ちょっと考えてみてください。

【松尾研究開発戦略官】
 はい。

【東嶋委員】
 今の議論であったように、このコミュニティ以外の人が読んでも何を言っているのかわからない文章が、今、飯吉先生がご指摘された3行についても、このことは具体的に言うとこうですねと説明を受けるとわかるのですが、これはだれに読んでほしいのですか。これは予算のために、予算を割り振る人が読むためのものですか。

【松尾研究開発戦略官】
 基本的には役所の報告書ですので、一般の人にわかりやすく書いて、読んでいただいて、それを核融合のコミュニティの人、それから、予算にも使いたいということです。ターゲットは一般の人よりもちょっと核融合を知っている人くらいの中間くらい。

【東嶋委員】
 でも、本音を言うと予算のためですよね。これでは一般の人には絶対わからないと思います。1つご質問させていただきたいのは、4ページの一番上のパラグラフの下から2行目、「こうした取組をさらに円滑に進め、実体をもたらすためには」、この「実体」というのは、今、実用化とか、実証炉とか、原型炉とかさまざまな言葉が出ていましたが、この「実体をもたらす」というのはどういう意味ですか。具体的に言うと何でしょうか。

【山田学術調査官】
 その上で、「ロードマップによるケーススタディなどを通じて分析が行われている」という表現がございますね。それで、ケーススタディの中でいろいろ項目が上がっていて、やりたいということが上がるわけですね。それを実現させるという意味ですね。

【東嶋委員】
 さまざまな形の炉についてということですか。

【山田学術調査官】
 ロードマップのケーススタディを通じて分析が行われたものに対して、それを実現していくということなのですが。分析するだけだったら、要するに分析して終わりなのですけれども、分析した結果を反映して実現しないといけないですね。

【東嶋委員】
 実用化に至るためなのか、実証炉を完成させるためなのか、何でしょう。もう少し具体的になりませんかね。

【飯吉主査】
 ここはもう少し具体的にしたほうがいいですね。これだと、まず「実体」という表現も確かにあんまりいい表現じゃないから、「実現する」とか、具体的に具体化するとか、何かそういう。

【松尾研究開発戦略官】
 わかりました。では、おそらく趣旨としては、核融合の実現に向けた以上のような取り組みを円滑に具体化するためには、国としてのしっかりとした制度設計並びに適切な施策、そういった趣旨だと思いますので、少し文章を練るような形にしたいと思います。

【香山委員】
 この「分析が行われている」って、分析というのは実は何も提言することではないんですよね。だから、多分、そういう意味では違和感を覚える文章かなと。分析をして何かを提言する。その提言が実行に移されることが重要だということをもう少し明確に書かれたほうがいいのではないでしょうかという気がしますね。

【飯吉主査】
 そうですね。要するにこうした取り組み、分析を言っているのではなくて、その分析の結果出てきた幾つかの提言とかプログラム、そういったものを具体化するということですから、ここに1つ何かワンクッション入れたほうがいいですね。

【飯吉主査】
 よろしいでしょうか。それでは、第2章へ移りたいと思います。

【松田委員】
 5ページを読んでいて、迫力がないという認識を持つのは、現状分析と書いてあるのですけれども、されていないんですよね。だから、現状分析をすると問題もいろいろ出てくるから、それは書かないでおこうという選択もあるのですけれども、「分析」という言葉を使うのだったら書かないと、深刻さがわからないといいますか、そういう面があります。課題はずっと書いてあるからそれはわかるのですけれども。
 それから、7ページの一番上のパラなのですけれども、結局、プロジェクトが継続しないと空白が生じて技術継承が困難であるというのは、これは技術的な面においてはそうなんですけれども、ここのプロジェクトが継続していかないということが人材の確保・育成にも非常に影響を及ぼしている。そこがやはり一番の大きなポイントではないかと私は思います。人材の確保をしようとすると、プロジェクトがないと産業界だってあれですし、大学からも人が来ないしという一連の流れが全部そこにリンクしていますので、そこはもっと強調して書かないとまずいのではないかなと思います。

【香山委員】
 最初に書けという意味ですか。

【松田委員】
 そうですね。長期的な観点に立ったところで書かれるべき話ではないかと思います。

【香山委員】
 でも、世間ではプロジェクトがずっと継続していると思って見ていますよね。今さらそんなことを言われたら「え?」と言われる。

【飯吉主査】
 その前の5ページに書いてあるように大型プロジェクトは、何も核融合だけではなく、国のプロジェクトが、本当は理想的にはつながって、いつも進んでいるということは大事でして、核融合だけの話ではないと思いますけれども。

【香山委員】
 多分、一番問題になりそうなことを申し上げたいのですが、最初の段落の赤で入れられた「また、このことは産業界が参加・協力を行うにあたっても前提となるものである」。この文章は、もちろん気持ちはわかるのですけれども、こういうことを書いてしまうと、原子力も同じ批判があるのですが、いつも国の支援のもとでしかできないのね、産業界も臆病なのねというふうな印象を与えて、これは何もプラスになる文章とは思えないのですけれども、これはぜひ削除していただきたい。これを書くことによって何も実態は変わらないと思うので、これは非常に重要だと思うところである。
 あと、細かなところでいきますと、続けて言わせていただきますが、2段目のところでこの制度を成立させるために云々がありますが、プラズマ物理研究の役割、これだけ書くのはやはり一面的で、もしこのことを書くのなら、この学問分野でのいろいろな問題、ほかの工学もあるでしょうし、幅広い問題がありますね。ですから、これはちょっと違和感を覚えるということです。これは削除すべきだと思うという印象です。
 その次は、「ものづくりをする人材が分野に閉じ込められている現状があり」、これは適切な文章ではない。こういうふうに言うと、完全に分野に閉じ込められているという印象になるのですが、むしろこの文章からいくと、「ものづくりに関しては人材が分野に閉じ込められている傾向があり」とか、傾向があるというくらいがいいところで、この後に来る、特に「原子力分野では、中・長期課題に関しては次世代炉技術分野との連携・協力を指向すべきである」、これは間違いですね。協力は指向している。なので、むしろ「協力をより強化すべきである」と書かないといけないと思います。
 それから、その次の段で「大学院教育体制の高度化と連携」。これは今、高度化だけではなくて大学院教育は多様化がされているので、ここはぜひ「多様化」を入れていただきたいと思います。
 それから、その後の下で「大学院修了者のポストドクターとしてのトレーニングの仕組みを確立していく」ということではなくて、最近はむしろ、ポストドクターのトレーニングだけではなくて、大学の中でキャリアパスをいかに構築するかということをやっているので、もちろん上には書いてあるんですけれども、上は全体としてのキャリアパスの議論だから、ここでは大学だとか、核融合研というものがキャリアパスの構築の重要性を認識してやっているという意味で、ここは「キャリアパスの構築等」ということを入れていただくといいかなと。それでコメントすべてです。

【石塚委員】
 今の第1点について先生のご意見を支持します。というのは、我々、これを削除したほうがいいという意見を出したのですね。ここにおいて国策として具体的に位置づけるとか、参加・協力、前提となるとかというのが1行だけ不用意に入ってきても不十分。書くのだったら、もっとしっかり別のところに書かなければいけないと思うのです。
 「核融合を国策として具体的に位置づけることが求められる」、これもここに要らないのではないか。つまり、前章のところで「国が長期的ビジョンを示し」とか、「国が長期的な戦略を持ってこれをやる」とかということが既に書かれているわけであって、ここにわざわざ国策として具体的に位置づけることが必要であるということは言う必要はないのではないか。つまり、私が言いたいことは、この2つの2行は削除してもいいのではないかということです。
 それから、さらに申し上げますと、第3パラグラフの「ものづくりをする人材が分野に閉じ込められている」というのがどういうことかよくわからないというのと、それからもう一つは次世代炉技術分野の「次世代炉」というのは核融合炉ではなくて、次世代軽水炉ですか、あるいはFBRですか、よくわからないのですけれども、多分、これはFBRなのかなと思っているんですけれども、FBRと協力を指向すべきであるというのが多少あるのでしょうか。その時に原子力機構が FBRとこの核融合のことで連携・協力をよりやるべきなのか、やれるのか、そういうことができるのかどうかということをお伺いしたいと思います。

【香山委員】
 いろいろな議論で出ていましたけれども、ものづくりに関連する人材というのはどうしても現状というよりは、むしろ、そういう傾向が認められるという意味だと思いますけれども、例えば原子力分野は原子力分野に特化されてのものづくりの努力であるとか、加速器は加速器とか、もう少しその間の流動性があるともっといいという議論をこの文章で書いているんだということだと思うんですね。

【松田委員】
 産業界の人の話ですか。

【香山委員】
 産業界に関してもじゃないでしょうかね。十分だとは言えない。「閉じ込められている」と書いてしまうと間違いだと書いたんですけれども、傾向はやはりある程度あるのではないだろうか。例えば同じ重工の中だって、ちょっと分野が変わると原子力と重工と造船だとか、必ずしもその中での技術交流が十分でないとか、いろいろなのがある。
 それから、2番目の次世代炉の問題も、これはFBRだけではなくて、本来、いろいろな工学分野では従来からいろいろな意味で横断的な技術交流というか、クロスカッティング・テクノロジーであるだとかという、そういう話はよく出ていて、それは指向はしているけれども、やはり不十分だからより強化すべきだという論調には支援できるのですが。という意味で、特別違和感は、私自身はこの部分は感じなかった。

【吉田科学官】
 先生が出された。僕かもしれませんが。

【香山委員】
 いや、私は書いておりません。

【山本核融合科学専門官】
 これはもともと言葉として高速炉技術分野との連携・協力ということが書いてありまして、それで、それを香山先生が前回発言されまして、重要であるのは事実だけれども、むしろ、例えば次世代炉技術との連携とか確保が健全かなという気がしますという言い方をされておりまして、こういう修正をさせていただいています。

【石塚委員】
 次世代軽水炉ではないんですね。ものづくりっていろいろ書いてあるんですけれども、ものづくりは多分大きく分ければ設計、製造、建設だと思うんですね。確かに設計の部分というのは、多分、加速器と原子力の設計の部分というのは違うけれども、製造、建設になったらほとんど分野は一緒ではないかという気もするんですね。だから、ちょっと言葉が足りないのではないかなという気がします。

【東嶋委員】
 ものづくりと括弧して言った場合に、例えば経産省なり、文科省なりで使っているものづくり分野というものを想像すると、それと重なるのか違うのかという定義もよくわからないので、ここで言う場合は、特に核融合に関連する分野でやっぱり言いたいわけですよね。その中で人材が交流できないということが一番言いたいわけですから、ものづくりまで広げる必要はなくて、「核融合に関連する分野では」みたいな言い方のほうがいいのではないかと思います。

【大島委員】
 第2パラグラフの下から3行目の「ビジョンを明らかにすると同時に、学問の発展に対する予断を排し、多様な人材を育成できる重厚な学術基盤を形成する必要がある」という、この「学術の発展に対する予断を排し」の意味合いが明確でなく、またあえて入れる必要があるかということに疑問を感じますね。
 また、6ページの「産業界からは、ネットワーク活動に参加するなどし、学術界との連携を強める努力が必要である」ということが書かれていますが、この「ネットワーク」について明確でないです。一方、この文章では産業界が何も行っていないような印象を受けたので、「ネットワーク活動に参加するなどし」という文面を変更したほうが良いと感じました。

【吉田科学官】
 大分ご意見が出たので、私が答え得る範囲でまとめてお答えします。最初に松田委員から、この長期的な観点に立った現状分析と課題で、現状分析があまりないのではないのかというコメントがされました。この第2章、3章は、皆さん、各委員にお願いしたワークシートから拾って、まとめて少し文飾を改めて書いたものですが、お願いした時には「課題」とだけしてあって、「現状分析」としていなかったから、現状分析という側面が弱くなったと思います。タイトルから「現状分析」を除くのが1つの案かなと思います。もう1案は、ここに現状分析を書き込んでいくというのはあるのですけれども。
 それから、第3パラグラフのものづくりのところで幾つかコメントをいただきました。ここは、先ほどのいろいろなコメントをベースに書き直したいとは思いますけれども、述べたいことはやはり「縦割りになっている」ことを打破する必要性です。特にものづくりにおいて、いろいろなプロジェクトの共通性というものを考えつつ、技術者の方がさまざまなものづくりにタッチされる機会を生み出す、それを大きい枠でとらえる必要があるのではないかということが重要なポイントだろうと思います。これは最初のあたりで述べている国としての長期的ビジョンにも関連しますが、多領域的なビジョンというものをもってする必要があるということがこの第3パラグラフで述べたいことです。それをもう少しわかりやすく直したいと思います。
 それから、先ほどコメントがあった「学問の発展に対する予断を排し」というのは、これは私が書き込んだという記憶があるのですが、これを言いたかったのは、1つには選択と集中をすると、役割であるとか課題を明確化するということが当然求められてくるわけなので、それはしばしば学問の発展性というものを阻害する傾向があります。その点を述べたかったわけです。これももう少しわかりやすく書き直したいと思います。
 それから、大島委員から先ほど最後にあったネットワーク活動というのは、具体的に核融合研究ネットワークという組織がありまして、そこに参加していただきたいという意味です。

【大島委員】
 わかりました。核融合ネットワークということですね。

【松田委員】
 第3パラのものづくりをする人材、産業界のことなのか、工学関係者というか、そういう意味で使われているのか、そこがよくいまいちわからんですが、前半はどうも産業界で、後半の特に原子力分野でJAEAが出てきたりすると、JAEA、ものづくり、やっていないですよね。一体どちらなんでしょう。

【香山委員】
 ものづくり、やっていないと言われると困りますけれども。

【松田委員】
 ものづくりという、いや、だから、工学関係であれば物をつくるって、広い意味での設計とかそういうのも入るわけでしょう。

【香山委員】
 いえ、狭い意味だって、ものづくりを努力している人は機構にいるという認識だと思いますよ。

【松田委員】
 そういうものづくり。

【香山委員】
 しかも、これは何も産業界だけではなくて、やはり大学にしたって、あらゆるレベルのところでの問題として書いているんですよね。

【小森委員】
 発注側のことを言っているのではないのですか。このものづくり云々というのが縦割りだというのは、注文する側、研究側であって、受けるほうは別に加速器だろうと、みんな一緒だと思います。メーカーは大体それらの分野を一緒にして設計・製作していますよね。

【香山委員】
 いや、そうではないと思いますね。一緒と言いながらやっぱり、見ていただくと、先ほど大企業の例など言いましたけれども、重工なんかにしたって、ものすごく細かく分かれて。

【小森委員】
 分かれてはいるけれども、ある程度だと思います。

【香山委員】
 やはりそういう問題は出ていますよ。

【松田委員】
 同じ章の次のページの第1パラの最後のところに「ものづくり」戦略にそって、産業界と行政が共同して云々かんぬんのこの「ものづくり」というのは、明らかに産業界のことを意味していますよね。

【香山委員】
 こっちはね。

【松尾研究開発戦略官】
 そこのものづくりについては、先ほど東嶋先生からも、ものづくり白書とか、いろいろ「ものづくり」という言葉があるので、そことの混同があるということで、「ものづくり」という言葉をむしろ排して、例えば核融合開発に関する工学の設計であるとか、実際、何かつくるとか、そういった違う言葉にして、そしてより合うような形で文章を整理するような形にしたいと思います。したがって、6ページのほうの「ものづくり戦略」というのも、これは違う言葉に変えて、別にこういう戦略があるわけでもないので、もう少し解釈できる一般用語にして直したいと思います。

【飯吉主査】
 この長期的なところは、手直しできるんですけれども、その後、急に現実的な話になって、生々しい話が出てきているのであれですよね。この辺は。

【松尾研究開発戦略官】
 ワンクッション。

【飯吉主査】
 何かかなり具体的な、例えば大学との職員の身分保障どうのこうのとか、その辺は、要するに役所の間の調整をすれば解決する話だと思います。そういうものと、もう少し。

【松尾研究開発戦略官】
 もう少し施策として、国の施策とか、原研機構における方針とか、そういったものでやらなければいけないものをここに残して、そして、実際、運用でもう済んでしまうようなものというのは、運用でもうやってしまえばいいことなので、そこは除くか、あるいはもう少しマイルドな表現にするかというようなことで直して、そして報告書のような形にさせていただきたいと思います。そういったことで、施策と対策で具体的に済んでしまうようなものは、もうやってしまえばいいことなので、そこは少し整理をしたいと思います。

【飯吉主査】
 その1つ、長期の最後にアジア国際核融合大学院構想という具体的なのが、ここにポッと1つ出てきて、これは本当にできるのであれば、案外、この報告書の中で、将来実現する可能性がある数少ないあれの1つだと思っていますけれども、こういうような具体的なのをどうするかって、そっちのほうがこれからの課題だと思いますけれど。これは具体的な動きがあるんですか。

【三間委員】
 学会が推して、何かこういう構想が。

【松尾研究開発戦略官】
 学会のセミナーぐらいですよね。

【三間委員】
 実現性があるかどうかということは、全然、私はわかりませんけれども。
 将来的にこういう具体的な案を提示しないと迫力がないのではないかという。

【飯吉主査】
 今、留学生を30万人に増やすなんて言っている、これは中教審で、1つの目玉で出ていますよね。だから、それには載っかる話だし、具体的に、どこが中心になって構想するかという、その辺はまた別のところでお伺いする。

【石塚委員】
 これは、構想などの具体化が期待されると書いてあるんですけれども、全体のトーンは、ITER(イーター)・BA、原型炉あたりまでがこの範囲だと思うんですね。ここに将来のアジアの連携も考えながら、この構想が出てくるのは少し異色だという気がするんですね。国際協力を前提とした原型炉開発というのがあり得るのかなというところまで議論しているのかなという気がして、非常に異様な感じがするんですよね。

【飯吉主査】
 ただ、長期戦略で人材育成というとやっぱり、大学院教育というのは射程に入るのではないでしょうか。

【石塚委員】
 つまり、アジアの人材もこのITER(イーター)・BA及び原型炉を見据えたぐらいで日本がやっていくべくだと、こういう感じですか。

【飯吉主査】
 いや、これは必ずしもBAとITER(イーター)に限定しているわけではないのでしょう。

【吉田科学官】
 長期的なものは、もう少しその先ですね。

【石塚委員】
 それまでが例えば本当に先ほど先生がおっしゃるようにかなり具体的な学術、OJTが必要だとかって言ったところにこれが出てくるので、何か違和感があるんですよ。

【香山委員】
 逆にこれがないと大学の議論のまとめとしては違和感を感じることになるのではないでしょうかね。

【石塚委員】
 なるほど。

【香山委員】
 かなりの方がこういうことの必要性を感じておられるし、こういうことをベースにしてきちんとしないと動かないというふうに思っているから文章があるんですね。あとそれから、3点ほどいいでしょうか、上から4行目と5行目ですね。産業界の仕事として学生の勉学を動機づけるって、これは産業界のところに書いていただくことはなくて、できれば、大学がだらしないからという感じになるので、この文章は割いて、「要望を明らかにする必要がある」ぐらいでいいのではないかと思いますというのが1つですね。
 それから、下から2つ目の段落のところで、ITER(イーター)・BA計画の推進のために必要な人材は十分足り得ず、大学等との交流を高める必要がある、流動を高める必要がある。足りないから人事交流で解決しろというふうに読めるんですけれども、これはできれば十分足り得ないと現状を書いていただいて、むしろ、例えば「適切な増員計画の実現に加え、大学等との人事交流の必要性」とかという文章にするほうが適切ではないかなというのがコメントです。
 それからあともう一つは、下から4行目のところですが、「セクターや分野を越えた横断的な人材交流の研究体制の構築」っておかしくて、これ、「人材交流の体制の構築」でいいのではないでしょうか。「研究」は要らないのではないかと思うのですが。というコメントです。

【松田委員】
 人材交流の。

【香山委員】
 交流の研究体制だけじゃないでしょう、今言っているのは。だから、人材交流の体制の構築、人材交流体制の構築でもいいけれども、気持ちはそっちだと思うんです。研究に限定するものではない。

【松田委員】
 これ、具体的にはどんなイメージなんですか。この横断的な人材交流の体制というのは例えば。

【香山委員】
 必要だと言っている交流をこの言葉で表現したと。

【常松委員】
 いろいろな方がこの流動性とか交流っておっしゃったので、多分、視点がいっぱいあるんだと思うのですけれども、人事交流というのと人材交流というのと2 つあって、上はまさに私が申し上げたかったのは人事交流なんです。それで、その下の身分保障云々というのは、これはまさに人事の問題であって、人が来ればいいかどうかという意味ではなくて、制度として。
 それで、これはもう一方で、その下が関係するのかどうかわからないけれども、この核融合に関する研究開発に携わった場合は、いかなるどういうルートであろうと、関連した組織に対してキャリアパスになり得るかどうかというところが1つ懸念というか、それを投げたところです。このセクター云々の人材交流の体制というのは、それに当たるのかどうかはわかりません。少なくとも人が動くということと、その動き方を保証するという、その両面が要るというのが大体共通の話だったかなと思うのですが、前の大もとのデータベースではいろいろな書き方があったと思うので、1カ所にまとまるのかどうかよくわかりませんけれども。

【飯吉主査】
 ちょっと意味が不明確だからこの部分は要らないのではないでしょうか。

【松田委員】
 最後、6ページの一番下の大型の受注を行える大企業だけでなく、先進的なベンチャー、それから波及効果という記述があるのですが、これは何を強調したいのか。

【香山委員】
 私が言った話なのですけれども、核融合技術は大企業だけがやる話ではなくて、いろいろな個々の得意な分野でベンチャーが活躍する場もいっぱいあるということを述べたかったわけです。

【松田委員】
 核融合研究との間の波及効果。

【香山委員】
 こういう大型プロジェクトで大企業主導で行われていて、それだけで事が足りるというような印象をどうしても持ちやすいかなと。

【松田委員】
 そこはいいんですけれども……。

【香山委員】
 どこが問題なんですか。

【松田委員】
 ロードマップのことがその上に書いてあって、それで「なお」でつけ足して書いてあるから意味がわからなくなったんですよ。

【香山委員】
 なるべく強く言わないように書いたのですね。大企業が参画できるように、こうやってちゃんとロードマップで体制を整えてやるよと言うとこうなってしまうんですよね。だけど、そこは大企業だけで物事が進むわけではなくて、きちっとそういう新しい技術をベンチャーからも投入する必要があるということと、だから、ちょっと短くし過ぎたからかもしれないですね、伝わりにくいのは。ただ、重要性は、その2点は明確にあると思っているんですけどね。

【松尾研究開発戦略官】
 それでは、もう少し文章をこなれて、「なお」ではなくて、「明らかにしていく必要がある。このようなものを推進していくためには大企業からベンチャー企業まで、あらゆる企業の活力を取り入れてやらなければいけない」とか、そういった趣旨で書けばよろしいですかね。

【香山委員】
 そうですね。はい。

【松田委員】
 ただ、波及効果はどっちかというとつけ足しなんですね、そのロジックで言うと。要するにロードマップをやるためにベンチャーも含めてやらないといけないというのが主たるロジックで。

【香山委員】
 ロードマップは何が必要かとは書いているけれども、どうやって解決するかというところまでは書いていないんですよね。その解決を与えてくれるものはベンチャーであることがあったりするということだと思いますけどね。

【松田委員】
 いや、7ページの上に波及効果まで書いてあるから「おや?」と思ったんです。それは波及効果は直接今の話とは関係ないですよね。

【石塚委員】
 今のベンチャー企業も重要であると意味はわかったのですけれども、この全体の構成が、課題があって、後で施策があるんですよね。ベンチャー企業が重要であるといった時にどういう施策を打つのか、それがないと、ここに書いてみてもあまり意味がないという気がするんですよ。例えば「ものづくりに沿って産業界と行政が共同して企画・立案することが課題となる」と書いてあるけれども、それはどういう施策を打つのかということは、まだ施策には書いていないんです。ベンチャー企業でやるとすれば、どういうふうにやるんですか。私、まだいまいちわからないんですけどね。

【香山委員】
 これは多分、米国とかヨーロッパのプログラムを見た時に、日本に対する批判としてみれば、要するに大きな額を丸投げすると技術は解決するというような迷信というか、わからないですけれども、それに対して米国はわりときめ細かにいろいろな技術に対して予算を配付することで技術を伸ばしているところがありますね。そういうことをどうやって的確に書くかなんですけれども。

【東嶋委員】
 その内容と言わんとしていることは非常によくわかるのですが、それと人材確保・育成とはどのように――今、技術の交流とか、ベンチャー企業の技術の波及効果とか、そういう意味ではよくわかったのですが、人材という意味で貢献するんですか。ここに書く必要があるでしょうか。

【香山委員】
 これ、BA計画推進にかかわる課題の部分ですよね。

【東嶋委員】
 技術的な意味でですよね。人材交流という意味で、これ、ベンチャー企業も重要であるということは必要なんですか。

【香山委員】
 どれでしょうか。ここの文章には人材交流、入っていない。

【東嶋委員】
 ではなくて、この報告書が人材。

【飯吉主査】
 僕もそれはちょっと、どういう関係があるのかなと思っていたんです。

【香山委員】
 そういう意味ですか。

【飯吉主査】
 要するにこの報告書は人材養成に関してで、その1は長期的な視点に立った人材養成の課題、そういうことですね。それから、2番目がITER(イーター)・BA計画推進にかかわる、これを中期的と言っているんだけれども、中期的な人材養成に関する課題ということですから。

【香山委員】
 いや、でも、実態としてやはりそういうベンチャーの活動からの人材の供給というのはやっぱり重要ではあると思いますね。

【飯吉主査】
 ただ、ここで大企業とベンチャーというのが対比されるものかどうか。ベンチャーというのは大企業の中にもベンチャー企業に発展するものが生まれてくる可能性はあるわけだし、だから、大企業とベンチャー企業というのを対比させているような表現になっている。

【香山委員】
 私が申し上げた主張は、どうしてもこういう大型のプロジェクトは大企業主導でというのが強調されて特に印象づけられるかなと思ったので、少し触れていただいたらというぐらいの意味なんですね。必ずしも対比させろという主張ではなかったんですけれども、そういう重要性も何かの格好でぜひ示していただきたいとお願いしただけです。

【吉田科学官】
 確かに人材を大学に限る必要はない。産業界の人材ということでは、ベンチャーのわりと小さいところの人も取り込んでいくということが大事です。大学の中でも特に最近の工学系ですと、ベンチャーに関心を持っている学生がたくさんいて、核融合というのは、そういった側面もあるんだよということを学生に伝える意味では、特に工学系の教育では重要なファクターかもしれないですね。

【飯吉主査】
 だけど、日本にベンチャー企業は育っていないですよね。

【吉田科学官】
 それが問題なんです。

【飯吉主査】
 特に大学の中からベンチャー企業というのはほとんど育っていないですね。むしろ、そういうことを超えた日本のエンジニアリングの、科学技術の推進の問題だと思いますけどね。ベンチャーの話をし出すとちょっと難しい、いろいろ注釈しなければいけないようなところが。ここは今の香山先生の趣旨が大企業だけじゃないよ、もっと町工場的なところも含めて、中小企業的なところも含めてしっかり育成しながら、それをうまく活用しながら人材育成をしていくということは大事だということであれば、そういう表現も。

【香山委員】
 この間の学術会議の原子力分野の時に、東大のほうの取り組みの中で、そういう意味でのベンチャーを育成するような活動とか、そのいい結果も出ているような話が例として示されているんですね。そういう努力は大事だし、そういう意味での主張も要るかなというぐらいで。

【三間委員】
 それから、7ページの3.の緊急の課題のところもいろいろあるのですが、例えば核融合発電の実用化を視点に入れた計画推進が必要であるって、これ、計画推進の中身がはっきりしないとか、何の計画なんですかね。実用化推進に入れたこの計画の中身と、それから、その次も最後の行政との共同企画によって実現することという、これもよくわからない。この辺、どう直したらいいのかよくわからないですけれども……。

【香山委員】
 これは多分、上の赤のところは、やはり優秀な人材を確保するためのそれだけの魅力をアピールするためには発電の実用化というのが目の前にあるんだということをきちんと示す必要があるというつもりの文章ですよね。それは当然でいいと思うんですけれども、それから、その下の文章、実はこれは文章がおかしいと思っていたのですが、「技術継承ができないまま」というのは、これは非常にまずい文章で、「技術継承が不十分な状態で技術者のリタイアが加速している」と書いていただいて、これは「技術者数が不足しているという問題がある」と切っていただいて、この問題は産業界からの強い協力を得ることが、この問題、産業界の協力を得ることが重要であり、行政との共同企画によって、この問題を解決することが求められるんですよね。あくまでもこの主語は、問題が解決されるべきだと言っている文章なので、気持ちはよく理解できるんですけどね。多分、それで文章はつながると思うんですけどね。

【飯吉主査】
 行政との共同企画というのは、どういう意味ですか。

【香山委員】
 この人材、技術者数の不足というのを何とか解決しなければいけない問題ですよね。重要な問題であると。この問題の解決というのは業界だけでは無理だと。

【松尾研究開発戦略官】
 連携して、その解決に向かう必要があるというような言い方ですかね。

【飯吉主査】
 だけど、そうなったらほとんどのが行政と連携して解決してもらわなければいけない問題ばっかりですよ。

【松尾研究開発戦略官】
 おっしゃるとおりだと思います。

【飯吉主査】
 それと、この今の6ページのITER(イーター)・BA計画推進に係る(中期的)課題のところの2段落目のこれは、まさに喫緊な課題ではないんですか。この人材確保、雇用枠を拡大する努力と雇用形態を柔軟なものにする仕組みを確立するなんていうのは。それと、この原資となる予算の確保について、原子力予算における核融合予算の位置づけ、これは中期的な課題なんですか。

【松尾研究開発戦略官】
 確かに喫緊ですね。

【飯吉主査】
 喫緊じゃないでしょうかね。それから、その次の大学等の職員の身分保障と派遣元の負担軽減措置が前提となるなんていうのは、これはもうこういう共同でやろうとしたら喫緊の課題ではないんですか。中期でやられたら解決しないのではないですかね。だから、この辺は非常に――これが大体このITER(イーター)・BA計画推進に係る課題というのは中期的なんですか。

【松尾研究開発戦略官】
 タイトルも直したほうがいいかもしれないですね。

【吉田科学官】
 中期的としたのは、ITER(イーター)・BAの実験フェーズが始まるあたりというイメージです。つまり、建設に10年かかりますので。今、話が出ているITER(イーター)に人が行かないとかという問題は緊急なのですが、それは建設期のことですね。

【飯吉主査】
 でも、それは今解決しておかないと。むしろ、今の10年先の話になってくると、この長期的なところとオーバーラップしてきますよね。

【松尾研究開発戦略官】
 多分、アカデミアの観点から言うと、研究が始まるのが10年先なので、ちょっと先なのですけれども、もう建設ベースに入っているところから見ると、多分、喫緊になってきますので……。

【松尾研究開発戦略官】
 多分、ここのタイトルも、ITER(イーター)・BAに係る課題となってしまうと、喫緊なのか中期なのかわからなくなってしまうので、そこのタイトルを修正して。

【飯吉主査】
 そうですね。はい。

【松田委員】
 それと、7ページの第2パラの意味がちょっとよくわからないのですが、トリチウム、そこのパラですね。将来の原型炉に必要な技術はITER(イーター)機構、まあ、第1文章が言わんとしていることはわかるので、「その際には、ITER(イーター)機構で製作担当できない機器」というのは何のことなのかよくわからないんですけれども、これは日本が分担できないという、そういう意味なんですか。

【松尾研究開発戦略官】
 多分、ここは日本が関与できない部分でも原型炉に向けてやるためには、日本の企業に技術の継承がなければ次に進めないということだと思います。

【松田委員】
 そうですね。だから、ITER(イーター)機構で製作担当できないというのでは、そこが。

【松尾研究開発戦略官】
 ITER(イーター)機構の中で日本が担当できないということだと思います。すみません。

【飯吉主査】
 そこは直してください。それで、このトリチウム、非常に大事だと思うんですけれども、今、大学のほうも今年からかな、特定領域研究がスタートしてかなり組織的に基礎研究が進められるようになってきていますから、そこをうまくまた育てるというか、こちらとつなげていくようなことも大事だと思うんですよね。そうでなくても、こういうトリチウム関係というのは研究者が少ないので、それを大学で何とか組織化してやろうということになっていますから、それをかなり、こういうITER(イーター)絡みのところでそれこそレベルアップしていただいて、原型炉に向けての基盤づくりをしていただくというのは非常に大事だと思いますので、そこら辺。

【香山委員】
 この文章は技術だけ書かれると、何でもかんでも技術は日本に持っていくべきだという印象になって、本来ある分担してやるという思想が消えてしまうので、ここは例えば基幹技術とか、まあ、すべてなんですけれども、私のイメージで、「基幹」と入れていただくと、特に重要な部分はきちんとITER(イーター)機構で蓄積すればいいだけではなくて、国内に置くべきだというふうにしたほうがいいかなと思ったのですが、どういう修飾がいいかはわからないですが。これを受けたので、結局、ITER(イーター)機構の中に蓄積できないノウハウ以外にも重要なものは手に入れろと言っているんですよね。だけど、本来、 ITER(イーター)機構に蓄積できない技術がITER(イーター)活動でできてはいけないんですよね。

【常松委員】
 いやいや、ITER(イーター)機構には技術を蓄積しないんですよ。しないというのは変ですけれども、あそこは取りまとめですから、だから、製作のノウハウというのは……。

【飯吉主査】
 各国にね。

【常松委員】
 ええ。そのほかの国に転移できるのかなというのは。言っている要求はわかるんですけれども、具体的にどうするのかなというのは、ノウハウって転移できるものではないから。

【飯吉主査】
 ここもあくまでも人材養成……。

【常松委員】
 育成という意味ではやりようがあるんですかね。

【飯吉主査】
 育成という意味での表現にしていただいたほうがいいと思います。

【常松委員】
 それはやりようがあるかもしれないですね。

【大島委員】
 その意味で言うと、トリチウムの1つの上のパラグラフについても、技術の面だけに終始しているので、人材の面からも、技術継承が必要かつ重要であるという点を加えていただいたほうがいいのではないかと思います。

【飯吉主査】
 はい。おっしゃるとおりだと思います。

【香山委員】
 8ページの最後、いいでしょうか。

【香山委員】
 最後の現在、ITER(イーター)機構に出向している云々って、これは不足しているといっても、こういう否定的な表現ではなくて、むしろ議論で出てきたのは、例えばITER(イーター)機構に出向している日本人研究者のPRを通した認知度の改善が望まれるというような論調だったと思うんですよね。

【飯吉主査】
 研究者のPRってどういう意味ですか。

【香山委員】
 実際、こんな活動をして、おもしろい研究領域だともっとアピールしてですね。核融合研究自身の認知度を高めたほうがいいと。

【飯吉主査】
 研究者のPRじゃないですよね。研究活動の。

【香山委員】
 活動の何でしょう、まあ、広報活動なんですけどね。何か適当な言葉にしていただいて、PRというのはよくないかもしれないですけれども、少なくとも研究活動の紹介を通した認知制度の改善ですかね、そういうのかもしれない。

【飯吉主査】
 どうして人が集まらないんですか。こういう大きなプロジェクトに、しかも、核融合の次の世代の実験というのに。

【松尾研究開発戦略官】
 いろいろな分析があると思うんですけれども、幾つか考えられるのは、日本国内で拠点が幾つかに分散しているということ、例えば那珂研、青森、分散しているということ。それから、今のフェーズというのが建設のフェーズであって、そうすると、工学系で産業界の貢献といいますか、産業界に期待するところが多いんだけれども、さっき言われたように誘致の関係で技術が散逸してしまったりとか、あるいは次のプログラムが見えないというようなことでなかなか行きにくいというようなこと等々あるのだと思います。
 ただ、私どもとしては、それからあとは人材と向こうの求めるマッチング、ミスマッチの問題とかがあるのだと思うので、そこを丹念に分析して、そしてそれを解決するようなことで、多くの日本人研究者、あるいは技術者がITER(イーター)機構に参画をする。直接雇用でなくてもビジティング・リサーチャーでも参画をして、日本の中にその技術がちゃんと残るというようなことをしていきたいとは思っているのですが、多分、幾つか理由というのは分析されるのだと思います。

【飯吉主査】
 機構のほうからも希望はあんまりないんですか。

【松田委員】
 機構は窓口としてだけでなく、いろいろな手を使って広報はやっているのですが、戦略官がおっしゃったように、1つはやっぱり過去、ITER(イーター)に参加した方がほとんど散ってしまわれたと。それは誘致協議で5年以上かかっていますし、その間にリタイアしていなくなったり、それから、産業界というのは核融合に長い間、人を確保していただけるというのは難しいから、いろいろな分野に、特に最近だとフィッション分野に移られた方が相当多いんですね。
 それと、産業界の方と議論して日本の場合難しいのは、ITER(イーター)の雇用というのは5年間なんですけれども、帰ってきた時のポストに不安を感じられる方が、具体的に行かれる方はそういうこと、問題があると思います。だから、帰ってきた時の保証があればいいんですけれども、一方、産業界からしてみたら、5年間行った人をまた同じ組織が受け入れるのもなかなか難しい面が昨今ではありまして、そういう日本的な問題も絡んで応募者がなかなか集まらない。

【飯吉主査】
 一種のキャリアパスになっていないということですね。そういう希望が持てないということだと、そこがかなり核融合、ITER(イーター)の政策にあまり価値がないということになる。

【松尾研究開発戦略官】
 あとあるのは、多分、先ほどここにもあって、なかなか表現しづらかった部分で、例えば原子力機構の中でのキャリアパスの問題もあるんだと思うんですね。例えば先生が先ほど言われたように、あるプロジェクトが継続していく。そうすると、建設フェーズが終わった核融合以外のプロジェクトがあれば、そこの人たちが今度は核融合のほうの建設ベースに入ってくるとか、そういった横の流動性というのが産業界と原子力機構だけではなくて、原子力機構内の流動化であるとか、あるいはそういったものも多分絡んできて、なかなかいい人は外には出ないので、そういった問題もやはりキャリアパス、流動化という大きな流れの中で入ってくるので、そういったことを1つ1つ丹念に掘り起こして、そして人材の確保であるとか、育成であるとかというのをしていくということが多分今後重要になってくるのではないかとは思っているんですけれども。

【高村委員】
 若い人は、結構関心を持っているのではないかなと思うんですね。それで、私の周りにも何人かおりまして、ただ、あんまりよくわからないという。
 私が申し上げたかったことは、この20年間、30年間、人材を育成してきたつもりですけれども、大学院でですね。そういう人たちは実際には核融合が実用化していないわけですから、いろいろなところに浸透していっているわけですね。そういう人たちは結構関心を持っているんですね。その人たちが、ある意味、待ち構えているところがあるんですね。そこを何とか掘り起こしていくという、そういう作業というか、そういう活動が必要だと私は思っています。私の周りでも随分関心を持っている人、若い人ですよ。20代で、戻ってきた時云々なんてことは一言も言いませんね。そういう人たちがチャンスを見つけられるような仕組みというのを我々が提供していかないといけないと思います。

【飯吉主査】
 もしそういうことなら、そういうところを盛り込むべきではないでしょうか。要するにこういう改善をして、ITER(イーター)に大学からももっと積極的に若い人たちもいい、外国で、ものづくりに入る、経験するいいチャンスなんだろうから、そういう魅力あるものにするにはどうしたらいいかということを、そのためにはどういう条件を満たしてあげればいけるのかという、その辺のところも少し検討。推進委員会で議論していただく必要があるのではないでしょうかね。

【小森委員】
 もう少し現実的な話をすると、核融合研からも受けています。実際、五、六人受けてみんな落ちているんですけれども、実際、5~6人受けました。

【飯吉主査】
 落ちている?

【小森委員】
 はい。若い人も受けています。若い人なんかはフランスの面接にも呼ばれない。向こうのニーズと違うんだと思うんですが。だから、その辺……。

【飯吉主査】
 だれが選ぶんですか。

【小森委員】
 ITER(イーター)機構です。

【飯吉主査】
 日本人も入っているわけでしょう。

【松尾研究開発戦略官】
 それはITER(イーター)機構の書類で、要するにスペックが合わないとかで落ちることはありますけれども。

【笹尾委員】
 ジョブ・マッチングという点では、少なくとも希望を持っている、夢を持っている人たちは、どういう人材を向こうが欲しているのかということを知りたい。それから、逆に採るほうから見ると、日本から書類で見た、人材の顔も知らないし、今までどんな活動をしてきたか、どんな興味を持っているのかもほとんどわからないという状況ではやはり採りにくいということなので、ぜひインターンシップでもいいですし、ビジティングリサーチ、サイエンティストでもいいと思うのですが、そういうので1回双方が一緒に何かやるチャンスを与えるというのが必要ではないかなと思っているんですね。
 それを見て、ほんとうに応募する前に自分がそこでほんとうに役に立つ人材かどうか、それから、向こうも、こういう人だったら採りたいなというような気持ちにさせるという作業なしには、一生懸命情報を提供しただけでも、情報だけではやはりわからないと思うんですね。だから、そういう何か仕組みというか、プログラムづくりを用意しなければいけないのではないかなと思っています。

【高村委員】
 私も賛成で、今、学生が就職する場合には、ジョブ・マッチングを具体化させるためにいろいろなイベントをやりますよね。そういうようなもっとオープンな形で、こういう人材が必要だとか、そこに可能性のある人たちが集まってフランクにいろいろなことが聞けるとか、そういうような場というのが、多分、先生がおっしゃるようなのを促進するためには必要になってくるのではないかなと思います。

【飯吉主査】
 やっぱり国が推薦するぐらいにならないと、なかなか難しいと思いますよ。向こうはどういう人が来るのかわからないでは困るわけで、日本の国で人事選考委員会みたいなのを設けて、少なくともこの人は国としては推薦するよというぐらいの箔をつけて推薦させないと、だって、向こうはわからないでしょう。だれが選ぶんですか。日本人も入っているんですか。

【松尾研究開発戦略官】
 入っています。

【飯吉主査】
 機構長は日本人ですよ。優秀で大学では、こういう実験にも、核融合装置の建設にも携わったことがあるとか、そういう人がいるわけですよ。そういうキャリアをしっかり大事に宣伝しないと。

【松尾研究開発戦略官】
 そこはここで議論してもあれなんですけれども、ITER(イーター)のミッションというのは何かというと、実現に向けてまず建設をするということがミッションなので、ここではスクールとしての場というのは、これは人材育成の観点からはスクールなんですけれども、ITER(イーター)のミッションから言うと、それはITER(イーター)建設なんですね。
 したがって、例えばビジティング・リサーチャーとか、そういった形で受けてもらうというのは、これは100パーセントありだと思います。したがって、あとは本当に雇用するということになると、そのジョブスクリプト、合うかどうかということなので、例えばどこかで修行、あるいは1年なり、研究になったらまた別ですけれども、建設フェーズで役に立つ者としてきちんとした経験を積んでいくということになるので、そこはジョブとのマッチングが必要になってきますので……。

【飯吉主査】
 それはそうですね。

【松尾研究開発戦略官】
 そこは日本からも。

【飯吉主査】
 それでしたら、人材育成という意味で言えば、ビジティング・リサーチャーとして積極的にそこへ。

【松尾研究開発戦略官】
 出すとか、そういうのはありだと思います。

【飯吉主査】
 というようなことを盛り込んでいただいたほうが現実的で、キャリアのある人をここで人材養成といっても、もうそれは不可能なことですからね。

【松尾研究開発戦略官】
 そのための枠組みというのは、ITER(イーター)機構も持っていますし、あるいは予算が確保できれば、いろいろな手当で行くこともできるかもしれないんですけれども、多分、そういった形になると思います。

【高村委員】
 今言われたサイエンスの部分だけではなくて、建設期においても若い人たちが興味を持っていると思うんですよ。そういう人たち、それもやっぱり私は人材育成だと思うんですね。そのフェーズにおいてもいろいろな側面の、まあ、工学が中心かもしれませんけれども、マネジメント的なものもあるし、何かもう少しいろいろなものがあると思うんですよ。そこも含めて人材育成であって、プラズマがついてからがということではないと私は思うんです。

【松尾研究開発戦略官】
 それを否定しているわけではありません。

【高村委員】
 もちろん、否定されてはいないと思いますけれども、そこだけではないということを私は申し上げている。

【松尾研究開発戦略官】
 行くのはもちろん賛成なんです。そして、そこで人材育成されればいいと思うのですが、ただ、今のITER(イーター)の建設というフェーズから見ると、じゃあ、直接雇用しますかといった時に、ITER(イーター)機構のミッションというのは彼らからすれば人材育成ではないので……。

【高村委員】
 それはもちろんですよ。

【松尾研究開発戦略官】
 だから、直接の雇用はできないので、ビジティング・リサーチャーであるとか、そういった形で……。

【飯吉主査】
 要するに今の人材育成で、このITER(イーター)の活動をどう生かしていくかということを重点的に書けばいいので、若い人たちをどうやってそこに送り込んでいくかという、その方策をここに提言するぐらいのことがあればよろしいのではないですかね。

(2)その他

 事務局より、資料2-1、2-2に基づき第2回ITER(イーター)理事会開催及び第3回BA運営委員会結果概要について報告があった。

6.今後の予定

 事務局より、次回について6月の下旬に開催予定との連絡があった。

―了―

お問合せ先

研究開発局研究開発戦略官付

(研究開発局研究開発戦略官付)