資料2-2 科学技術戦略推進費「安全・安心な社会のための犯罪・テロ対策技術等を実用化するプログラム」について

1. プログラムの概要

 安全・安心な社会の構築に資する科学技術において、犯罪・テロ対策や化学物質等による特殊な事故対応のための技術は重要な分野の一つである。当該分野の技術の主たるユーザーが関係府省庁とその関係機関であることを踏まえ、関係府省庁との連携体制の下、具体的な現場ニーズに基づいた研究開発テーマを設定し、技術開発及び実用化に向けた実証試験までを一体的に行う。

 公募期間:平成22年度~平成23年度(2年間)
 採択プロジェクト数:11件(平成22年度9件、平成23年度2件)
 実施期間:平成22年度~平成27年度
  (各プロジェクトは5年間(一部は3年間)、3年目(一部は2年目)に再審査)
 所用経費:1プロジェクト当たり数千万円~1億円程度/年間
  (平成23年度採択プロジェクトについては、初年度4,500万円)

 公募したテーマは平成22年度9テーマ、平成23年度2テーマの計11テーマであるが、現在進行中のテーマは9テーマである。

  • 平成22年度採択テーマ及びプロジェクト数
    (テーマ1)爆発物・危険物検知装置の開発(2)
    (テーマ3)核物質探知装置の開発(1)
    (テーマ4)ポータブル違法薬物検知装置の開発(1)
    (テーマ6)化学剤現場検知システムの開発(1)
    (テーマ7)化学剤遠隔検知システムの開発(1)
    (テーマ8)人物画像解析システムの開発(2)
     8-(1):任意の顔画像を、ほぼ一定条件で撮影された顔画像等を集積した画像データベースに対して、高速に検索するシステム(2)
     8-(2):任意の人物画像(顔画像等)を、防犯カメラ等様々な条件下で撮影された画像(静止画像又は動画、事前にデータベース化されたものを含む)に対して検索を行うためのシステム(2)
    (テーマ9)化学防護服の改良(1)
  • 平成23年度採択テーマ及びプロジェクト数
    (テーマ1)現場における鑑識資料のイメージング装置の開発(1)
    (テーマ2)初動対応のための生物剤・化学剤検知装置の開発(1)

 これらのテーマの下に、現在11プロジェクトが進行し、現場のニーズに基づいた装置やシステムの開発が行われている。
 平成22年度採択の実施期間3年の2プロジェクト(テーマ8-(1))の再審査が昨年度行われ、実証期間に移行し、実施期間5年の9プロジェクトが3年目となり、本年度、再審査を行う。

2. プログラムの評価できる点

(1)技術開発を進めるにあたり、外部の有識者、当該研究に関係する府省庁の担当官、現場の関係者等から構成される諮問委員会を年2回程度開催し、常に、ニーズ側(関係府省庁等)の意見を把握しながら技術開発を進めている。その結果、開発段階から、ニーズ側の意見をフィードバックすることとなり、現場ニーズに沿った装置が製作されるプログラムシステムとなっている。

(2)実施期間を「技術開発期間」と「実証期間」に分け、再審査制度を導入したことにより、状況により、研究開発費の効果的な執行ができる。
 *再審査の視点:ミッションステートメントの達成の見込み及び実証試験の見通し

(3)実証期間において、技術の進歩、関係省庁のニーズに、より適応するように改良を行うことができる。

3. プログラムとして期待される成果

(1)本プログラムでは、犯罪・テロ対策に役立つ技術開発、具体的には装置開発が主となっている。これらの装置は需要が限られているものの、補助金を使うことにより、この分野の技術開発の活性化を図るとともにその裾野が広がることが期待される。

(2)当初から、複数の関係省庁が要望する性能、仕様の装置が開発されることとなるため、装置の技術開発の加速が期待される。

(3)これらの装置の活用は、犯罪・テロ対策として、国民の安全につながると同時に、国民の目に見える形で、社会に貢献することが期待される。

4. CSTP実施WG等において明らかになった課題

(1)研究開発成果が十分に活用されるように、ニーズ側省庁と緊密に連携を図ること

(2)各テーマの目的を達成するための実証試験の実施計画を実施機関において策定すること

(3)周辺技術動向について確認しつつ研究開発を進めること

5. 今後の展開

(1)実証期間において、各省庁の意見を充分に取り入れ、ニーズにマッチするように改良し、現場で使える装置に仕上げていく。

(2)製品として完成させ、社会システムの改革につなげていく。

(3)社会情勢の変化に対応した仕様の変更などに迅速・適切に対応する。

(4)開発した装置の積極的な活用をはかる。

(5)開発した装置の市場などが限定されるため、今後、知的財産の確保に留意しつつ、国内のみならず、海外展開に向けた積極的対応も必要である。

(6)本研究開発で創出した基盤技術を積極的に他分野へも活用し、波及的効果をもたらすようにする。

 

(参考)
「安全・安心な社会のための犯罪・テロ対策技術等を実用化するプログラム」採択プロジェクト

 

プロジェクト名

責任機関

平成22年度採択

1

自動サンプリング式トレース検出システム

日立製作所

2

ミリ波パッシブイメージング装置の開発と実用化

 東北大学

3

ガンマ線による核物質非破壊検知システム

京都大学

4

薬物検知用オンサイト質量分析計の開発

科学警察研究所

5

化学剤の網羅的迅速検知システムの開発

科学警察研究所

6

中赤外電子波長可変レーザーによる遠隔検知

理化学研究所

7

人物映像解析による犯罪捜査支援システム

大阪大学

8

環境適応型で実用的な人物照合システム

オムロンソーシアルソリューションズ

9

陽圧式化学防護服の軽量化等

 重松製作所

平成23年度採択

10

捜査支援スペクトルイメージング装置の開発

早稲田大学

11

可搬型生物剤・化学剤検知用バイオセンサの開発

大阪大学

 

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