安全・安心科学技術委員会(第27回)の主な意見

 第27回安全・安心科学技術委員会において発表された安心に関する主な意見を、以下に示す。全般的に意見交換を行った後、当面の検討課題について議論が行われた。以下、1)科学技術の役割、2)今後の課題についての2つの視点に分けて要約する。なお、安心についての意見は別に整理している。

1)科学技術の役割

  • 今回の原発災害の例において、科学技術自体がリスクとなっている。これまでは、科学技術を使って安全を担保するという考えでやってきたが、いかに安全に科学技術を運用できるかが問い直されている。今回、医療情報がダウンしてしまい、診療にあたる医師が困る事例が多かった。阪神大震災と比べてけが人が少なく、緊急医療というよりは、慢性疾患や精神疾患への対応が多かったので、患者情報の喪失は致命的であった。医療情報のバックアップ体制が切実に重要である。
  • 一般に科学技術に対して、1か0かはっきり決められるという幻想がある。そうではないこともあるということを理解してもらう必要がある。
  • これまでは、中程度の被害で中程度の頻度で起こる災害を想定してきた。今回のような頻度は低いが大規模な災害に対しては、どう考えたらいいのかわからない点がある。
  • ある程度までは科学技術で防げるが、それ以上は来るものとして対処するという発想が必要。例えば、1回目の津波は堤防で防げても、2回目の津波は非難することを考える。完全に防ごうとすると、コストが際限なく増大する。

2)今後の課題について

  • 論点案は良くできている。追加するとすれば、復旧、復興のための科学技術があると思う。避難後のボランティアやNPOの関わり方がどうあるべきかや、Googleがやったような情報の受発信をどのようにすべきか等、できることがあると思う。
  • コストを含めた検討を行えばいい。さらに、1段上の話としてのシナリオがない点が問題。国家的にシナリオを作っていくべき。
  • 資料3-2でリスクがリストアップされているが、これを縦軸に頻度、横軸に被害の大きさをとったグラフ中にプロットしていき、その上で分類できれば、対策も整理できるのではないか。
  • 震災対応として、安否確認や生活再建に必要な技術はなにかという視点でみた場合、安安プロジェクトの地域社会3課題では優れた成果が出ていたので、同様なプロジェクトを続けていくことは重要。災害時医療のための効果的なロジスティック支援対策の構築が非常に重要。科学技術でやれることがある。
  • 当面の課題の丸3で、社会の実装化と分野の細分化との関係を述べている箇所には違和感がある。実用性の問題やコストの問題など他の書き方があるのではないか。
  • 米国では、医療情報を医者だけではなく患者自身が携帯電話に保持していて、災害時に病院のシステムがダウンしてしまっても、患者のカルテ情報が保持される仕組みがある。情報を分散させることによって、レジリエント(復旧能力)を保っている。
  • 安全・安心科学技術プロジェクトの東工大のプロジェクトで開発したステーブルカードは、カルテを含んだ個人情報を保持したカードであり非常に有用で、今回の震災の避難者にも導入が望まれる。

お問合せ先

科学技術・学術政策局 科学技術・学術戦略官付(調整・システム改革担当)

沼田、小林、西川、織茂
電話番号:03-6734-4049
ファクシミリ番号:03-6734-4176
メールアドレス:an-an-st@mext.go.jp

(科学技術・学術政策局 科学技術・学術戦略官付(調整・システム改革担当))