平成18年6月20日(火曜日) 10時~12時
文部科学省 M1会議室(三菱ビル地下1階)
板生委員、井上委員、大野委員、岡田委員、岸委員、竹内委員、土井委員、札野委員、堀井委員、松尾委員
下村次長、吉川科学技術・学術総括官、内丸計画官、岡村安全・安心科学技術企画室長
(1)岡村室長より、資料1-2の1.から5.までの変更点について説明後、意見交換が行われた。
○委員、●事務局
委員
ユーザーニーズという場合のユーザーは、国民でよいか。
事務局
最終の受益者はもちろん国民になるが、その途中で安全を守る関係の省庁や、公共の交通機関、人が集まるホール、学校等の多種多様な現場がある。
委員
今のものでやれるもの、あるいは基礎研究までさかのぼらなければいけないもの。基礎研究も、基礎研究で終わるのではだめで、社会ニーズが非常に強いニーズオリエンテッドの研究の基礎研究だから、プロトタイプなり、実際の設備やシステムになるところまで面倒を見なければいけない。
委員
技術には、どこまで深く掘り下げないと実際に解決しないのか、ある程度人海戦術で対応できるとか、いろいろなものがある。
事務局
ユーザーのニーズと常に向き合った形で研究開発を進めていき、一つ一つをどこまでやるべきかを追求していくのが良いと考える。
委員
9ページ2の4行目の最後からの文言は、例えば「国民の知る権利と社会・経済の安全確保とのバランスを適切に考慮することも必要である」が良いのではないか。
(2)岡村室長より、資料1-2の6.(1)の変更点について説明後、意見交換が行われた。
委員
17ページの第2パラグラフで、通常の機器だったらすぐ壊れるが、機能を維持するように頑丈さを示す「抗鍛性」、という考え方があるが、適した表現か検討してもらいたい。
(3)岸委員より、別添1の資料について説明後、意見交換が行われた。
委員
23ページで、「我が国で研究開発されるものとしては、次のものがある」ということで列挙されている。ほとんどカバーされているようにも見えるが、実際は、実用的に簡易に精度よく検出することは、今の技術で行おうとすると非常に難しい。この辺の基礎研究の必要性があると考える。
委員
ここでは、今後5年ないし10年程度をめどに行うものとしてリストアップされたものを挙げている。
委員
今ある技術を少しモディファイして行うのは、ある程度できるが、やはり限界がある。
(4)岡村室長より資料1-2の6.(2)の変更点について説明、また、堀井委員より別添3の説明の後、意見交換が行われた。
委員
マップで取り上げられている項目は、本文とはあまり関係のないものが多い。例えば食品安全で見ると、食糧自給率の向上の取り組みは本文では挙がっていない項目であり、本文と調整したほうが良いのではないか。
委員
別添3は、全体を俯瞰的に分析するときに、本文に挙がっているものに加えて、それ以外にも、人文・社会科学面からの取り組みとして挙げられるべきものは挙げて、その中で重点的に取り扱うべきものの位置づけを把握するための参考資料である。
事務局
本文中には、事例として特記しているのは、法制度、プライバシー、相互依存性解析、その程度である。別添3は、事務局としては、網羅するという位置付けにすべきではないと考えている。すべての人文・社会科学を重要だということではなく、安全・安心の観点から重要なところに、プライオリティをつけたいと考えている。民間レベルのユーザーのヒアリングはまだ取りまとまっていない状況である。特に食品の安全や感染症は、ユーザーの声が入っていない。来週には、「研究計画・評価分科会」で、本委員会の報告書の審議があるため、継続して今週いっぱい内容を精査したい。
委員
既存の人文・社会科学系のディシプリン(専門領域)の名前を、例えば、心理学によるアプローチなど、少し入れておいたほうが、安全・安心という領域にこれから入ってこようとする人達にとっては、手がかりになりやすいのではないか。
委員
逆にディシプリンを指定してしまうことがいいことか、ということもあり得る。例えば心のケアといったときに、複数のディシプリンからのアプローチがあり得るのであれば、それは検討いただければ良いことだと考える。
委員
ディシプリンを、むしろここでは入れないほうが良い。どこの大学でもこの種の問題には、自然科学系の学部と人文・社会科学系の学部とが垣根を壊して協働作業を行う、新しいパラダイムシフトという形で進まなければできないという認識が定着しつつある。それをどうするかで、どこの大学もそれぞれ苦労している。
事務局
別添3は本報告書に付ける方向で作業してよいのか、時期尚早なのかについてまず委員の方々のアドバイスをいただきたい。作る場合には、本文の時と同様に、大規模自然災害から重大事故の7事象があるので、委員の方々の目で加筆・修正の作業をお願いしたい。
委員
時間的な制約で、完全なものはできないとすれば、これはあくまで参考の取りまとめという言い方で決めてもいいと考える。しかし、このような資料は出すと、書いてあることと裏腹にどんどん資料だけがコピーされて出ていく可能性がある。
委員
本文では参考資料とし、必要であれば別添3にどのような性格のものであるかという説明を付けるという配慮をして載せたい。
委員
人文・社会科学あるいは法学、特に国際法の方たちとは垣根を下げて融合的なアプローチをしていかないと、この手の問題はなかなかアプローチできない。参考資料というふうに決めて明快にしておけば、むしろひとり歩きして、人文・社会科学系がどういうふうにコミットできるかという、一つのサンプルになり得るのではないか。
委員
自分の研究領域と重なる項目に関しては、あの集団のあの議論のあのことだなというのがよく見える項目が幾つもある。他の項目についても、1行にそのような重みがある。このため、ある視点でまとめるとこうなるという例示として示したほうが、中途半端に修文するよりは良いのではないか。
委員
新興・再興感染症の認知・周知も、「安心を考慮したリスクコミュニケーション」と1行書かれているが、これに加えるとすると、人材育成、教育等、多く入ってくる。別添3が、例として出ることにより、人文・社会系を先導されている方がどのように、この領域でコミットしていくかということのリード(先導)になる。
委員
準備・予防と被害低減は、重なるところがある。例えば既存不適格建築物に関する規制が準備にあるが、その耐震化へ向けた規制は被害低減ではない。これは意味が違うのではないかと考える。被害低減は耐震化を促進するという話で、準備・予防は弱い建物はつくらせないということか。その辺の区別が、この短い言葉では判りにくい。
委員
委員会で合意を得たものとして別添3を出すか、私案として出すかだ。
事務局
過去の例を見ないと答えられないが、特定の委員の個人の見解と言いつつも、報告書の表紙は、「科学技術・学術審議会」のクレジットがつくので、世の中は審議会がオーソライズしているという見方になる。
委員
あくまで一例、一案であるという説明であればよいのではないか。実際に、別添3の一番上に「視点の例」と書かれている。
事務局
この委員会の委員の総意であれば、了解である。
事務局
堀井委員に、「ちょっとここはまだ声が集まっていないので、他の委員の意見が欲しい」という所の有無を教えていただきたい。
委員
各事象について担当の委員の方から、いろいろ意見をいただき、私と主査あるいは事務局と相談しながら、場合によっては、意見をいただいた委員の方と意見交換の作業を経て、例として載せていただきたい。
委員
人文・社会科学両面からの取り組みは、どこにも今までないので、そういう意味ではこれを大事にしたい気持ちはある。
事務局
スケジュールとしては、今週中に添付3も含め報告書を固めることが必須である。
委員
横軸は七つの危機事態で整理されているが、縦軸のつくり方は人によっていろいろな使われ方がある。例えば、準備・予防というところは、事態が起こりにくい環境を整えるという感じである。そのものを防ぐ、例えばテロでいえば空港で爆発物を検知するようなフェーズのものは、被害低減に入るのか、準備・予防に入るのか、どちらに入るのかはっきりしない。
委員
テロのところは、基本的に人の流れだけが書かれており、事象が起きることに関しては、ここに入っていない。
事務局
議論を伺っていると、本日の時点で分類論まで出ている。いま拙速にこれを決めるということは難しいと考える。
了解された。
人文・社会科学からの取り組みについて、報告書においては、全体像を俯瞰的に把握することを速やかに行う必要があるとの指摘にとどめることになった。
(5)岡村室長より、資料1-2の7.ついて説明後、意見交換が行われた。
委員
継続的な教育を重視する必要がある。特に、現場の人たちにも、安全・安心に関する最新の知見を定期的に習得していただく機会を持つ必要がある。安全・安心な社会が構築されていくと、その中で危険に対する感受性が下がってしまう可能性が高い。危機に対する感受性を国民に持っていただく方向性は必要である。
(6)岡村室長より、資料1-2の8.、9.ついて説明後、意見交換が行われた。
委員
文部科学省がコーディネート機能を持つということ(安全・安心に関して取り組んでいきたいと)だけでなく、それを何らかの段階で点検・評価をするという決意表明が必要ではないか。
委員
この報告書が、正式に文部科学省として受け取られた場合には、最終的にこれは文部科学省の言葉として出ていくのか。
事務局
この報告書のクレジットは、今日時点では安全・安心科学技術委員会になっているが、来週の委員会で審議され、科学技術・学術審議会の研究計画・評価分科会のクレジットになる。そうなると、他の分野とあわせて研究計画・評価分科会が、文部科学省に対して、こうあるべき、というアドバイスをする位置づけになる。
委員
先端的な機器を出すには、社会にそれをどのように受け入れていただくかが大変に難しい。今、街頭に監視カメラが増えたが、その法の規制はどうなっているのか等、見直さなければならない部分がある。海外からの方が増えて、日本人とは見たときに文化が違うということを明らかにしていくメカニズムがないと、どのように製品を作ってよいのか判らない。別添3を見直す中で明らかにしてほしい。
かつては安全だと言われていて使っていたものが今から見るとだめになったものが多くある。それは、対応が大変に難しい。安全だと思って使っていたから、どこにあるかわからない。正確に調べるためには、壊さないとわからない。かつては顔(写真)、指紋をとることは許されないと思っていたが、9.11のテロ以来は認められるようになってきたことにも関係する。基準の変化に、まだ企業側が振り回されている。
委員
現状は、育成した人材の活躍の場がない。行政システムや研究システム、そういうものに組み入れることも念頭に置いて欲しい。
委員
人材育成に関して、何か資格試験のようなものに結び付けられないか。
委員
犯罪テロの科学対策が一番難しい。犯罪テロは、ある意味でどんどん進んでいく。何かが起きないと、何をすべきかがわからないところがある。例えばウイルス(対策)ソフトだと、毎日更新されている。新しい犯罪、あるいはテロが起きたときに、即座に、何かを更新することで対処ができるようなシステムができるとよい。
委員
この報告書を具体的に予算につなげていくことが極めて重要。分野横断的に重要なことをどのように具体的なスキームにしていくかというところをお願いしたい。
委員
安全・安心は、社会面の話、人文系の話と必ず整合性が求められるため、技術だけで議論することはできない。しかし、何かをしなければならないとなると、技術はきちんとやっておく必要がある。それでは、技術としては何をやっておけばいいかということを、ここでまとめていただいた。
事務局
ごく短時間の間に報告書をまとめていただき深謝する。俯瞰的に見ることで、新しい学問の展開、教育等の施策の展開の必要性が見えてきている。
今回、提言いただいたコーディネート機能の実現については、拠点をしっかりつくっていく、あるいは教育についての実験的な試みをさらに定着させていく。また、ニーズ側に刺激を与え、科学技術に対して目を向けていただくことも必要だと考える。
人文・社会科学の参画なくして、安全・安心の目的達成はできない。人文・社会科学をどのように巻き込んでいくのかが、次の大きな戦略になる。
(7)岡村室長より、今後の予定を説明。
6月27日に、科学技術・学術審議会の研究・評価分科会にて、本日頂いた意見を反映した最終報告書で審議予定。
(了)
科学技術・学術政策局政策課安全・安心科学技術企画室