安全・安心科学技術委員会(第14回) 議事録

1.日時

平成20年8月1日(金曜日) 14時~16時

2.場所

文部科学省 2F 2特別会議室

3.議題

  1. 安全・安心科学技術プロジェクト採択課題の実施状況について
  2. 安全・安心科学技術プロジェクト等の今後の取組について
    <有識者ヒアリング>内藤 香 財団法人核物質管理センター専務理事
  3. 評価の進め方について
  4. その他

4.出席者

委員

 板生 清委員主査、井上 孝太郎委員主査代理、大野 浩之委員、岸 徹委員、奈良 由美子委員、原 早苗委員、札野 順委員

文部科学省

 泉 紳一郎 科学技術・学術政策局長、戸渡 速志 科学技術・学術政策局政策課長、岡谷 重雄 科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官(推進調整担当)、西田 亮三 科学技術・学術政策局安全・安心科学技術企画室長

オブザーバー

 内藤 香 財団法人核物質管理センター専務理事

5.議事録

開会

  • 板生主査より開会挨拶。
  • 事務局人事異動について。着任の紹介と挨拶。
  • 配付資料確認。
  • 核物質管理センターの内藤専務理事の紹介と挨拶。

(1)安全・安心科学技術プロジェクト採択課題の実施状況について

  • 西田室長が、安全・安心科学技術プロジェクトの実施状況について、資料1を用いて採択課題や予算について全体の状況を、資料2を用いて具体的な研究プロジェクトの運営の仕組みを、資料3を用いて平成19年度の実施課題の進捗状況と成果を、資料4を用いて平成20年度の応募状況と採択課題について報告した。

【板生主査】
 19年度の採択課題では、ユーザーとコンタクトをとって、できるだけユーザーの意向を取り入れた形での開発をしていくということが重要なポイントだと思うが、例えばウォークスルー型爆発物探知システムでは、この辺は順調に進んでいると考えてよいか。

【岸委員】
 鉄道会社等とコンタクトはとっているようだが、最終的な導入を考えると、コスト等の問題で、なかなか難しいと思う。いずれにしろ、ユーザー側の目的に合わないものを作ってもどうしようもないので、そこのところは常にコンタクトを取るようにお願いしているが、なかなか最後のハードルが高いというのは、研究者も感じているようだ。

【板生主査】
 プロトタイプ機の製作は2008年夏に目標を設定して順調に動いているのか。

【岸委員】
 プロトタイプ機を作っており、実際に使う人に性能等を見てもらうために、なるべく早くとお願いしている。

【板生主査】
 20年度の課題も含めて、質問等はないか。

【札野委員】
 私は審査の過程に加わってはいないが、20年度の応募件数を見ると、地域の安全に関することに関して34件の応募があり、採択されたのは最終的に3件である。この34件が大体どういう傾向にあって、その中からなぜ特にこの3件が選ばれたのかというのをご説明いただけるとありがたい。

【西田室長】
 テロ対策に係る研究開発については、ユーザーも、研究開発を実施している研究機関もかなり限られるため、提案自体があまり多くはなかった。一方、地域の安全・安心の確保に係る研究開発については、地域ニーズということでいろいろなものがあり、地域と結びついたさまざまな提案をしていただいた。ただし課題の中身については、今回は災害時における地域の安全・安心のための情報システムであったので、やはり中身は基本的には地域の災害時の情報の断絶や、あるいは実際に避難をする際に地域間で情報共有できるようなシステムといった提案が多かった。今回採択させていただいた3件については、地域と密接に結びついているということと、課題の中身について実現性が高いという観点で評価をされ、採択された。

【札野委員】
 応募してきた案の中に、共通項のようなものはなかったか。採択課題から出てきた成果をほかのプロジェクトのほうで共有するような形で、成果を還元するということは可能だろうか。せっかく応募してくださったのだから、コミュニケーションを切ってしまわないで、これから先につなげていくということも必要なのではないか。

【西田室長】
 緻密に分析したわけではないが、全体的な共通項としては、実際に災害が起こった際の住民の避難対策、防災対策について、どう地域間で情報共有をするのかという点についての問題意識があるものが非常に多かった。原子力の立地地域のようにある程度防災対策が整っている部分であればわりと高度なものができているのだが、そうではない都会、地域の災害時の住民の情報共有、あるいは避難のための指示情報、その伝達ということについてはかなり問題意識があり、それを解決するためのいろいろなシステムの提案が今回なされてきていた。

【井上主査代理】
 審査に参画したのでコメントするが、今回の34件は優良案件がかなり多く、もっと採用したい案件がたくさんあった。採択された山梨大学のものと防災研のものはかなり汎用性があると思う。熊本大学のものは、特殊な地域の水害の問題を扱っているのでこのままでは展開は難しいかも知れないが、考え方は利用できる。

【奈良委員】
 私も審査に参加していたが、議論が大きく4つあった。出口をしっかりとしてもらいましょうというベースがあった上で、1つには3年程度でできるものであるということ。2つ目は住民のニーズをちゃんと把握できているかどうか。3つ目は単なる取り組みではなくて、新しい科学技術が入っているか。4点目は、防災限定の策というのは風化しやすいので、有効にお金を使って継続的にやれるかという観点で、平常時と資源兼用ができるプランになっているか。国民の最大公約数的なニーズをつかんで、継続的に使える汎用性が高いものが生まれるかというのを総合的に見た。共通項はこれと言うのは難しいが、採択された3つには共通項が多く含まれていると思う。

【大野委員】
 3つの分野での公募があったが、このうちこの地域の安全・安心分野は提案書が異常に書きにくい。この応募様式を見ると、異様な順番に項目が並んでいる。普通は、目的及び研究というのをまず書いて、それに基づいてシステムはこういうものをつくるというのを書いて、それで地域のニーズがあるから正当なんだということを主張するというストーリーだと思うが、この様式に書かれている順番は逆で、まず地域におけるニーズを書き、情報システムについて書き、最後にこの研究の目標を書くようになっている。このフォームに合わせると、目標とか研究内容を書く前に地域のニーズを主張しなければいけないので、後方参照が起きてしまう。どういうシステムをつくるか言わないうちに、このシステムは有効なんですと言わなければならず、どういうシステムをつくるかを言って、それはそもそも何かというのを最後に言うというフォーマットになっている。一方ほかの2件は目標を言い、研究内容を書き、システムについて書いて議論するというフォーマットになっている。
 将来、今年度以降も公募するときには、ある程度書きやすいスタイルがあったほうがいい。ただ、フォーマットが逆になった理由はわかっていて、地域におけるニーズがないものは受け入れませんという強いアピールが、倒置法的な構成にさせたとは思う。

【板生主査】
 我々が議論した中でも、地域のニーズをとにかく先に出そうということがあった。技術よりはニーズをきちんと形にしたものが採択されたと思う。これからまた来年度に向けて検討課題にさせていただきたい。
 私も、この全部のプロジェクトの審査委員会の委員長という立場で参画させていただいた。一、二件、まだもう少しお金があればさらに増やしたいという感じはあったが、数の多さということと質というのは必ずしもリンクしていないと感じる。初めて出したもので、まだきちんと浸透していなかったということと、あまり周到に準備をする時間がなかったということもあったかも知れない。いずれにしろ、定着するようになればいいものが出てくると思う。

(2)安全・安心科学技術プロジェクト等の今後の取組について

  • 西田室長が、資料5を用いて安全・安心科学技術プロジェクト等の今後の取組について説明した。

【西田室長】
 安全・安心科学技術委員会において平成19年7月にまとめた安全・安心科学技術の重要研究開発課題についての報告を踏まえ、21年度以降の安全・安心科学技術プロジェクトに反映させたい。テロ及び地域の安全・安心に係る研究開発ともに、21年度以降拡充したい。また、国家の安全・安心の基盤となる科学技術といったものを、新たな分野として追加することを検討させていただきたい。
 テロ対策については、基盤となる科学技術ということで、平成18年7月の報告の中で生物剤検知、化学剤検知、爆発物探知、放射性物質の検出等についてご提言をいただいている。現時点で生物剤、化学剤、そして爆発物探知のテーマについて取り組みつつあるので、21年度以降、核物質、放射性物質に係るテロ対策も含め研究開発、社会実装に向けた取り組みの拡充を検討させていただきたい。
 地域の安全・安心の確保に係る研究開発については、平成20年度に災害時の情報システムということで取り組ませていただいた。今後の拡充の方向としては、医療・救急・健康、あるいは地方自治体が管理するインフラの保護、それから地域の治安や犯罪対策といったようなことについて拡充を検討させていただきたい。
 新しく追加する分野は国家の安全・安心の基盤となる科学技術の推進ということについて検討させていただきたい。事例として例えば情報セキュリティについては、情報技術がライフラインとして活用されている現状にかんがみ、国家全体における情報技術の信頼性確保が重要と考える。内閣官房の情報セキュリティセンターのグランドチャレンジ型研究開発と安全・安心プロジェクトとが連携して取り組めればと考えている。
 次に国際的な核不拡散確保技術について。国際的な原子力利用の拡大というのが打ち出されてきている大前提として、3S、核不拡散、原子力安全、核セキュリティの確保の国際的な必要性が高まっている。こういった国際的なニーズの高まり、あるいは日本への期待が高いにもかかわらず、今、日本の現状は非常に厳しい。保障措置の技術開発の分野を国の政策としてきちんとやっていくということで、安全・安心科学技術プロジェクトとして検討させていただきたい。

【板生主査】
 安全・安心科学技術に関する研究開発の推進方策についての報告が18年7月にまとめられて、その中で犯罪並びにテロについて科学技術を使って解決策を考えようという趣旨で18年度にスタートし、1つは独立行政法人科学技術振興機構社会技術研究開発センターに子供の安全の課題が行き、安全・安心科学技術プロジェクトという形で文部科学省の中でテロに関連するものが公募されて始まった。
 さらに社会の安心というものまで含めて考えていこうということで、安全・安心科学技術の重要研究開発課題についての報告が19年7月に出ている。それからもう一つは、テロについては継続してやっていく、さらには地域の情報システムを使った安全・安心を考えようということで話が進んできた。
 さらにどういうふうにその方向づけをしていくかという議論になるわけだが、安全・安心科学技術プロジェクトのほうに関しては、地域の安全・安心にはたくさんの応募があったということもあって、これを進めていきたい。それから、テロに関してももちろん拡充していく。さらには国家の安全・安心という分野をもう少ししっかりと考えていこうというご提案になっている。その中での地域の安全・安心の中に、災害だけではなくて、医療、インフラ、治安、防犯、そういう分野も少し含めていきたいということで、大変盛りだくさんになっている。この辺のところで皆さんのご意見をいただき、これからの方針を決めていきたい。

【井上主査代理】
 2年前にここでつくった推進方策のときは、どういうものを防ぐのかというハザードの種類、すなわち犯罪、テロ、重大事故、あるいは感染症、情報セキュリティ、そういうものを挙げていって、犯罪、テロのところがかなり弱体だという話が最初にあった。そういうハザードの種類で考えるやり方と、何を守るのかという話が出て、子供、高齢者という見方が出てきていた。その後、19年度は地域という方まで少し広がった。つまり、何を守るのか、どこの安全・安心かという話になった。
 その話の延長として、国の安全という見方が出てきたということで整理をしておく必要はある。最初、ハザードの種類でやっていたものが、何を守るのかということからも考えた方が思考の幅が広がるのではないかと議論が広がってきた。そのマトリックスを一度整理しておく必要がある。
 それから、医療全般についてはあまり議論されていなかったと思う。また、核不拡散の問題も広い意味でのテロに関係しているが、系統的にはあまり出てきていなかった。ただ、国の安全ということになるとこれも入れなくてはいけないという話になるので、その辺の縦軸、横軸を一度整理しておいたほうがいい。

【原委員】
 安全・安心というのは消費者、生活者にとっては大変大きな課題なので、それに科学技術がどのように関与できるかというのは、アプローチとしては非常におもしろい。各省庁の縦割り的な中に、安全・安心という横ぐし的な、暮らしている側からの発想で取り組んでみようという点では、非常にユニークだったと思う。しかしそうするとほんとうに無限定に範囲が広がっていくというところもあって、やはり整理しながらステップアップをしていかないと、混乱してくる。
 それからもう1点、地域の生活に密着した安全・安心の確保というところで、インフラについて新しいタイプの災害にも範囲を広げて、緊急情報というあたりも視野に入れておいていただけたらと思う。

【札野委員】
 安全・安心にかかわる知・技術の共有化というところで、どんな技術が今、実際にあって、それがどういう状況の中で使えるのかということ、こういうことを国がやっている、あるいはこういうことを科学者、技術者がやっているということを専門家の間だけでの共有ではなくて、一般の人たちに伝えるための何らかの方策ということが、このプロジェクトの中から出てきてもいいのではないか。専門家に対する信頼、あるいは行政に対する信頼というものを構築していくことが安心につながっていくと思う。

【板生主査】
 たくさんのいろいろな対策が、この安全・安心というキーワードの中で必要になってくると思うが、対象別に考えて広げていくにこしたことはないが、どこまでそれを重点化していくかという議論が必要だと思う。

【岸委員】
 1年目、2年目、3年目とどんどんテーマが広がってきた。安全・安心というのはほとんど全部にかかってきてしまうので、ある程度制限せざるを得ないと感じる。特に、例えばテロ関係では底辺を確保するというのは非常に大事なことだと思う。まずは安全・安心のための科学技術で、安全・安心のための底辺を確保するということでどういうマトリックス的なものができていくかということ、そしてその次に広げていくということを考える方向がいいのではないかと思う。今まで2年間やってきたことというのが底辺を固めるというテーマだったと思う。

【大野委員】
 国がやっていることで安全と安心がかかわらない分野はないと、この委員会ではみなわかっているが、日本国民がわかっているかというと、そうでもないと思う。ほんとうにわかっている人との意識の乖離が起きている、その辺をケアできる方策が考えられないか。
 意識のある人の間での連携はすごくよくなっているし、意識も高まっているが、それをもう少し広めるのに、今がチャンスのような気がする。啓発する活動とか教育活動とか、いろいろあると思う。

【奈良委員】
 マトリックスを整理しようというのは大賛成。縦軸にハザードの種類、横軸に何を守るか、リスク、安全・安心にかかわる問題というのがこんなに広範なんだというのをまずきちんと押さえた上で、国民、市民にそれを理解してもらうために、そのマトリックスの中でも非常に底辺というか、今、あなたにも私にも起こるかもというのは地道に取り上げ続ける。それが地域の生活に密着した部分。加えてもう一つが、そんなことも安全・安心にかかわるのかというわりと特殊に思えるハザードで、今回の事務局案で言うと、核不拡散にかかわってくる。
 核不拡散の案というのは、国民の安全・安心を守るのに大事なことで、世界のこういったことに貢献することが、まわりまわって日本人の安全・安心につながっていく、なおかつこういうことについて日本が科学技術を持っているというのが、世界に対してアピールできる、これは第3次基本計画にも沿うものになると思う。そういう意味で地域の生活に密着したことと、この核不拡散というのはとてもいいと思う。
 いずれにしても、マトリックスの整理をすることをまずお願いしたい。

【板生主査】
 基本的にそういう分野のことを進めていくに当たっては、政府として――私たちは政府の人間ではないが政府の立場でこの委員会が運営されているので、安全・安心で政府が今取り組んでいるものの中で足りないものは何かという観点からいかないといけないと思う。そういう観点から考えると、生活者の安全と国家の安全、大きく分けても2つある。今何がより叫ばれているかということを考えていくと、もちろん地域の安全は非常に大事だが、国のレベルでどこまでやるのかという議論は常に出てくると思う。この辺のところはことし応募していただいた非常にたくさんの数を考えると、ある地域の安全・安心の分野の全国的に水平展開できるような技術開発は、やはり国のレベルでやるべきではないかと思われる。
 そういう意味で、今回、地域社会の安全・安心の提案課題の中に、わりあい一般的にどの地域においても成り立つようなものが並べられているということになるだろうと思うし、この辺のところをもう少し次回に議論していただくことにしたい。
 本日は新しく出てきている国家の安全・安心という、核物質の管理というような分野に関連してまでも広げていくかということをお諮りしたい。もちろん従来から我々が主張している社会の安全・安心という分野は引き続き文部科学省に頑張ってもらって、どこに予算がつくかわからないが、とにかくそれを推進していただくということは前提条件だが、新たに国家の安全・安心という分野を少し広げていくということに関して、きょうのご意見を一応集約してこれからの方向性というのを出していくということにしたい。また次回、さらにもう少し議論をして考えていきたい。

有識者ヒアリング

 財団法人核物質管理センターの内藤 香専務理事が、資料6を用いて日本が行っているJASPAS(Japan Support Programme for Agency Safeguards)と呼ばれるIAEAの保障措置技術の支援について報告した。

【井上主査代理】
 JASPASの組織というのはどこに属している機関、あるいはどこが管理しているのか。

【内藤専務理事】
 JASPASとして予算を取っているわけではなく、実施しているのは各機関である。事務局というのは単に情報を取りまとめている状況にすぎず、IAEAとの窓口は文科省の中の保障措置室というところが実際にやっている。
 IAEAのほうでニーズのリストがあるので、それに対して我が国としてどういう対応ができるかということを精査して、実際に各機関が予算をとってその段階でタスクとして成立する。

【井上主査代理】
 保障措置技術開発のお金がなぜIAEAの拠出金から出てこないのか。

【内藤専務理事】
 IAEAの予算の分配というのは、IAEAの理事会で決まっている。IAEAの保障措置の実施部門については、国際約束上の実施義務により必要性があるから予算としては優先度が高いが、ゼロ成長というIAEA全体の予算の制約から技術開発のところはなかなかお金がつかない。

【奈良委員】
 こういった取り組みに、大学等アカデミアがまだ入っていないのはなぜなのか。

【内藤専務理事】
 JASPASの連絡会というものをつくって、実際に参加している機関に呼びかけて情報交換しており、その中にようやく大学等にも――といっても実際に原子炉施設を持っている機関であるが、そういうところにも声をかけるようにはしている。ただし、独自の予算を持っていないので、大学などの持っているシーズを十分精査して、そして予算を用意してやっていただくという仕組みにはなっていない。
 JASPAS自体は、自分の施設の保障措置を効果的・効率的にしたいというところから出ており、今までは施設に特化した形だった。一方、大学がやっている技術シーズはいわゆる汎用的技術であり、これからの課題である。

【井上主査代理】
 もう一つ、情報管理の難しさというのがあるか。

【内藤専務理事】
 保障措置の実施の詳細情報については、セーフガーズコンフィデンシャルということがあるが、研究開発した成果について、それがマル秘ということはないように思う。

【板生主査】
 プロセスモニタリングとか遠隔監視とか、汎用技術は大学にもたくさんあると思うが、実際にそれではこの不拡散の、今の目的にさらにチューンした形での技術開発となると、なかなか知られていないようなことが多いのではないか。そういった意味では、汎用的な技術をいかに吸い上げていくかが大事だと思うが、どうしたらいいか。

【内藤専務理事】
 IAEAのほうでニーズをまとめているが、それを広く公開して、知っていただくという努力が要るのではないか。

【井上主査代理】
 私は逆に、ちゃんとしたニーズを、大学の人が理解できるかどうかという方を心配する。ほんとうに日本として何をやったらいいのかということは、文科省で言えば保障措置室がわかるはずではないか。そうするとここの委員会で取り上げるのがいいのか、安全保障措置室の方で予算を持っていろんな研究計画を立てるのがいいのか、どちらだろうか。

【西田室長】
 保障措置室は原子炉等規制法に基づいて、国内の保障措置を見る担当部局であり、国内の規制を実施するところで、規制のための調査研究は実施しているが、国際的にも通用する汎用的な研究開発は担当していない。一方、そういった研究開発が可能な研究開発局というところはエネルギー政策全般を見ており、ほかの研究開発全般の中で、保障措置の技術開発のプライオリティが上がってこないという実情はある。

(3)評価の進め方について

【西田室長】
 平成20年2月に、各研究開発に関する政策については、原則として研究計画・評価分科会の分野別委員会、つまり安全・安心科学技術委員会で研究評価計画を策定し、これに基づいて研究計画・評価分科会で決定するということが決められた。したがって平成21年度以降に向けた取り組みについて、研究計画をこの委員会で決定していただく必要がある。今回の安全・安心科学技術委員会の議論を踏まえ、評価票というのをつくらせていただき、次回以降の委員会で諮らせていただきたい。

閉会

 次回の委員会は8月21日木曜日の10時から12時に開催する。

―了―

お問合せ先

科学技術・学術政策局戦略官付(推進調整担当)安全・安心科学技術企画室

(科学技術・学術政策局戦略官付(推進調整担当)安全・安心科学技術企画室)