第9期ナノテクノロジー・材料科学技術委員会(第6回) 議事録

1.日時

平成30年8月1日(水曜日)15時~17時

2.場所

中央合同庁舎第4号館 共用1214特別会議室

3.議題

  1. プログラム評価における参考指標について
  2. ナノテクノロジー・材料科学技術 研究開発戦略について
  3. ナノテクノロジー・材料分野の研究開発評価について【非公開】
  4. その他

4.議事録

【三島主査】  それでは、定刻となりましたので、ただいまから第9期ナノテクノロジー・材料科学技術委員会の第6回を開催させていただきます。

 本日は御多忙のところ、また、半端ではない暑さの中にお集まりいただきまして、本当にありがとうございます。

 本日の議事ですが、議事次第をご覧ください。議事の1としてプログラム評価における参考指標について、議事2としてナノテクノロジー・材料科学技術研究開発戦略について御議論いただくことにしております。その後、議事3として、ナノテクノロジー・材料分野の研究開発評価について御議論を頂きますが、この件につきましては、事前に御案内があったとおり、非公開ということになりますので、委員及び事務局以外の方々には御退席を頂く予定です。

 それでは、まず事務局から委員の出欠及び配付資料の確認をお願いしたいと思います。丹羽補佐、どうぞよろしくお願いいたします。

【丹羽補佐】  事務局、ナノ材参事官付の丹羽です。本日は、瀬戸山委員、高梨委員、納富委員、馬場委員、湯浅委員が御欠席です。

 配付資料の確認をいたします。議事次第の下、資料1、プログラム評価における参考指標、資料2-1として、研究開発戦略案の概要、資料2-2がその本文です。それから、机上配付資料3-1、3-2が、事前評価に係る施策マップと評価結果(案)です。欠落がございましたら事務局まで御指摘ください。

 以上です。

【三島主査】  皆様、資料についてはよろしいでしょうか。

 それでは、議事の1、「プログラム評価における参考指標について」ということにさせていただきます。本件は、本委員会の上部組織である研究計画・評価分科会から、文部科学省施策のPDCAを効果的に回すために、プログラム評価における参考指標として、ナノテクノロジー・材料分野における我が国全体の状況を把握するための指標を検討するように依頼されていたものです。そして、今年1月31日の第3回の委員会でも一度御議論を頂きまして、当委員会としての指標案を提案したところです。

 しかし、その後、4月13日に開催された第64回の研究計画・評価分科会において、各委員からの報告がなされたことを踏まえ、いま一度各委員会においてよりよい指標の有無を含め、再検討を行うように依頼があったということになります。

 もう皆様には一度御議論いただいた案件でもありますので、まずはその研究計画・評価分科会における議論のポイントを事務局から御報告を頂き、それを踏まえて、指標の再検討を要するようであれば、改めて我が国全体の状況を把握するための指標について御議論を頂くという形で進めさせていただければと思います。

 それでは、資料1をごらんいただきまして、齊藤参事官から御説明を頂きたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

【齊藤参事官】  資料1です。日付が平成30年4月13日、先ほどの研究計画・評価分科会で報告された全体の資料です。ナノ材委員会のところは、2ページ目の真ん中より下あたりのところです。第3回のナノ材委員会にて御議論いただきましたことをもとに御意見を披露してございます。全体としては、材料科学技術分野に関する論文全てを選定することとしました。

 一方で御議論があったということで3点ほど報告させていただいておりました。1点目は、新しく生まれてくるような領域をどのように評価するのか。2点目、社会実装につながる成果をきちんと評価する視点についても考慮すべき。3点目、研究の生産性や効率を測定することも重要ではないかといったところをコメントとして報告したところです。

 全体の計画・評価分科会の中におきましては、サブジェクトカテゴリーではなく、Web of Scienceにおいて、論文をキーワード検索する方法はいかがなものかということで、航空科学技術委員会からそういう御提案がありました。例えば航空科学技術委員会では、Web of Scienceに登録されている全論文の中から航空関連の論文と推測されるもの、「Aircraft」であったり、「Aeronautics」であったり、「Helicopter」であったり、「Micro air vehicle」であったり、「Jet engine」であったりといったものの論文タイトルを抽出し、推移を確認することを検討しているという報告がありました。

 また、同じ航空科学技術委員会の例ですけれども、特許出願数等の知財のデータを利用する方法はいかがなものかというところで、航空科学技術委員会の方では、独立行政法人工業所有権情報・研修館が運営するウェブサイトの特許情報プラットフォームを用いて、特許庁に出願された特許のうち、国際特許分類で航空分野に関連付けられた特許の件数の推移を確認することを検討しているといったような報告がありました。

 また、計画・評価分科会では、分野委員会が10ほどありますけれども、そのうちの幾つかの委員会では引き続き検討したいという意見がありましたことから、計画・評価分科会におきましては、再度各分野委員会で検討を行い、次回の分科会で報告していただきたいということになりました。

 報告は以上です。

【三島主査】  という事情でありまして、いま一度この件につきまして御議論を頂ければと思うところです。今の航空科学技術委員会からの提案というのは、資料1の5ページ目のところに出ておりまして、そこを今御説明いただいたところですが、このような状況の中でナノテク材料の委員会として、どういう指標、何をもって指標とするかということについてもう一度御議論を頂ければということをお願いいたしたいと思います。よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。

【加藤委員】  これは私が見落としていたのかもしれないですが、例えば今の観点で、産業という観点がありました。ナノテク材料のところを見ると、3大材料というのが金属とセラミックと高分子なのですけれども、高分子が無いなというのに気がつきました。このように、産業界のカバーしている材料の分野というのと少しずれているのが少し気にはなります。

 ですから、いわゆる3大材料というのは、金属、セラミック、高分子なのですけれども、高分子がないのも気になります。たとえば、日本の化学産業が、今、かなりの量の高分子を作っていますので、それがないということになるわけですね。Web of Scienceでもポリマーサイエンスという分野があるので、入れるのが、非常に無理なことではないと思うのですが。 

【三島主査】  そうですね。Web of Scienceのサブジェクトカテゴリーの中に高分子とや有機というものは出てこないのでしょうか。そんなことないですよね。

【齊藤参事官】  そのように思います。

【三島主査】  多分その他というところに入っている。

【加藤委員】  いや、ジャーナルカテゴリーであると思います。どのカテゴリーを参考になさったか分からないのですけれども。ですから、Web of Scienceなどとか見られたのなら、例えば、凝縮物質と訳したのはコンデンスドマターを、そのまま訳してあるのだと思います。ですから、多分カテゴリーをきちっと和訳されてやられていると思うのですけれども、ジャーナルが90ぐらいあるポリマーサイエンスという分野がありますから、もう1回見直していただいた方がよろしいかと思います。必要ならお手伝いします。

【三島主査】  ありがとうございます。そうすると、Web of Scienceでナノテク材料に関連するカテゴリーをもう一度見直して、抜けてはいけないものを追加するというのが1つですね。これは先ほどありましたように、1月にここで議論したときに、これから発展していくような領域はこの方法だと見つからないのではないかということについて、先ほどもコメントしていただきましたけれども、その辺をもう一度見直す必要があればと思いますが、いかがでしょうか。栗原委員、どうぞ。

【栗原委員】  それに関しては、このWeb of scienceのカテゴリーではなかなか難しいと思います。キーワードが適切に数語だけ抽出できるかとなると、少し難しいので、スタートとしては、例えば今の高分子のような大きな領域が抜けていないかを確認して、これでもいいのではないかと思います。情報科学の技術分野でも、今週委員会がありまして、サブジェクトカテゴリーが話題になりました。例えば研究者でアサインするとか、というような提案も出ました。その時ナノテクノロジー分野のキーワードを見て、こんなに幅広いところがあるならばという反応でしたが、これは他分野から見ると、十分に幅広いという印象で受け取られていると理解します。

【三島主査】  ありがとうございます。

【中山委員】  今、これをどうしろということではないのですが、例えばナノ材料分野というのは、実は分野というよりは、分野にこもらない典型的な分野。分野ということがそもそもおかしいというところです。例えば、マテリアルインフォマティクスは材料と情報科学の典型的な融合のところです。また、量子と材料など、今後考えていかなければいけないところですし、ライフサイエンスと材料分野とか非常に広がりがあります。逆に、広がっていくことこそがこの材料の分野のマーケティングという気もします。これが今後指標としていろいろ出てくるかもしれないですけど、それも見ながらも、しっかりと新しいことを考えていくようなことが必要と思います。必ずそういう視点でこれを眺めるよう、少なくともこの委員会ではすべきだと思います。こういうデータなしでは外に説明も難しいので、こういうことがあること自体は大事なことだとは思いつつ、そういうことをしっかり意識するということを必ずやっていくべきです。あるいは必ず注釈を付けながら考えていくということが大事かなと思います。 

【三島主査】  ありがとうございます。吉江委員、どうぞ。

【吉江委員】  ちょっと今の御意見と反対の方向に議論を持っていきたいんですけれども、今ここで書いてあることというのは、材料というキーワードを中心に考えられていて、材料の基盤になっている化学とか物理とかというものがほぼカバーされていないような状況になっているということがちょっと心配されるというのが私の意見です。

 特に私の関連するような化学の分野でいきますと、先ほど高分子がないというようなこともおっしゃいましたけれども、あと有機化学なんかも非常に重要な分野だと思いますし、直接材料と意識されていないような分野も、材料の基盤になるところ、あるいは次の材料になるということで、非常に大事なんじゃないかなと思います。物理の方はちょっと、物理の方が考えていただいた方がいいかなと思うんですけど。

【三島主査】  ありがとうございます。

【栗原委員】  「化学、物理」という中に入っている。

【吉江委員】  化学と物理がそうですね。

【栗原委員】  多分。

【三島主査】  あと、物理学応用、それから、先ほどのコンデンスドマターの物理学。

【栗原委員】  はい。

【三島主査】  ただ、確かに広げていけば幾らでも入り得るというところもあるんですね。

【栗原委員】  今、中山さんの言われたようなことに対して、無限にナノテクノロジー材料で入れるのは、キーワードが多過ぎるでしょうから、その他のところに何か入れるとすれば、これがプログラム評価ということであれば、プログラムに入っているようなキーワード、マテリアルズインフォマティクスとか、それに関連するようなキーワードをある程度入れるという方法もあると思います。けれども、逆にあまり新しいところだと、そんなには数が出てこないかもしれないので、分野アピールという意味ではなかなか難しいかなとも思います。この指標はどういうのが出てくるのかと、なかなか難しいところかなと。

【三島主査】  この資料1の面白いところは、3ページの環境エネルギー科学技術分野はやたらと幅広いのに、それに比べても、ナノテクノロジーの方は、ある意味こじんまりしていますよね。

【栗原委員】  だから、もう少し広げておかないと。

【三島主査】  もう少し広げてもいいのかもしれないし、それから、先ほどの、物理化学みたいなものの基本のところで、ナノテクノロジーの範疇に入るものも拾うということもあるのではないかと思いますけれども。

【上杉委員】  それぞれの分野で恐らくキーワードを選んでいる定義が違うんじゃないかなと思いますね。ナノテクノロジーのところはキーワードを少なめに書いて、「その他」と付け足している。ほかの分野も、「その他」と付け足してあるところは少なめにキーワードをあげてるように思うんです。「その他」と書いていないところは、非常にたくさんのキーワードを並べておられる。例えば量子科学の分野ですが、薬理学、医薬品とかも入っているわけですね。かなり幅広く入っています。環境エネルギーの分野には、再生医学でさえもあげてあり、幅広くキーワードを選択しているのがよく分かります。

 だから、ナノテク材料の分野で「その他」をどういうふうに定義するのか、ほかの分野のようにたくさん並べて書くのがいいのかをまず決められた方がいいのではないかと思います。

【三島主査】  ありがとうございます。この委員会としてはどうするかというところ、方向をきちっと出すということになろうかと思いますけれども、ほかに御意見ありますか。

【武田委員】  今の御指摘に関係しますが、このカテゴリーを見ますと、アウトカムとして、産業応用分野のキーワードと、それから、サイエンス・学問・技術など基礎・基盤のキーワードが同列で並んでいるのですが、アウトカムと基礎・基盤2つの方向から分けて指標とするというのも1つのやり方ではないかと思うのですが。

【三島主査】  ありがとうございます。ほかに御意見。どうぞ。

【加藤委員】  やはり、こういうことは定点観測して、1つのキーワードでずっと変化を見ていくというのも重要と思うので、Web of Scienceのような形で見るということと、その時代に合わせてフレキシブルにキーワードを作っていくということと、この2つの観点から見るのが重要だと思います。

 それから、特にナノテクノロジー・材料科学の場合は、例えば1つの論文があっても、それがどことも関係したりします。ですから、ナノテクだけの論文というのはなくて、化学でもあり、それからナノテクでもあり、環境でもあり、化学でもあり、物理でもあり、それから材料科学でもありということが多いので、その辺どう扱っていかれるのか、もし他の分野の方が細かいキーワード、例えば論文Aというものがあったときに、大枠ではナノテクノロジーのここだけど、ほかの分野のこことつながるとかいうことで分類されれば、良いのかなと思いますし、ほかのものを見ると、少しバランスが悪いから、もうここでともかくカテゴリー作ってみるということもあると思います。なぜ塗料がこんなに大きく出ているのか、私は理解できないところもあります。コーティングというのは、学問・産業として大事だと思うのですけれども、ナノテクノロジーと同列に挙げていたり、ちょっと不思議だなと。前から出ていて気づかなかったとしたら申し訳ないのですけれども、違和感が若干あるので。この段階で、申し訳ないのですけど。

【三島主査】  いえいえ、ちょうど見直す機会を頂いたようなところですので、御意見は何でも言っていただければと思います。五十嵐委員、どうぞ。

【五十嵐主査代理】  ちょっと違った視点なんですが、文部科学省さんが、5年ごとですかね、サイエンスマップというのを作成されていますよね。全世界の論文からいろんな分野動向、その中からキーワードの抽出とかもされていると思うんですけれども、やはり定点観測的に、そういうところで、どういう分野のどういう技術が伸びているか、それが実際にここに書かれている例えばナノテクであったり、量子科学であったり、そういったところとどう相関しているかみたいな、そういう分析を加えていただくと、手前味噌だけでやるんじゃなくて、全体を俯瞰して、本当に重要なキーテクノロジー、それが今ナノテク分野で求められているのか、また別の視点で求められているのか、そういうのが客観的に見れるんじゃないかなと感じるんですけれども、サイエンスマップとリンクさせるのは難しいですかね。

【栗原委員】  意見の中の1ページの候補1の共通の指標案として、科学技術・学術政策研究所が公表しているベンチマーキングというか、いろんな領域間の相関をマップにしたようなものを使ったらどうかという議論も出ているところです。ですから、そういうのに対して、こういうより幅広いベンチマーキング的な資料があれば、そういうものも積極的に使ったらどうかというふうに提案していったらいいんだと思います。

【三島主査】  これは参事官、研究計画・評価委員の方が何を考えて、もう1回各委員会にて考えるように言っているのでしょうか。委員会全体で同じような手段をとるように言っているのか、分野によって特色を出すようなことを言っているのか、その辺はどうなのでしょうか。

【齊藤参事官】  後者の方だと思います。

【三島主査】  それでしたら、ナノテク材料にとってふさわしい動きを含めたものから拾っていくというような作業をこれから加えてもいいかもしれませんね。

 もしほかに御意見がありましたら伺います。というのは、この研究計画・評価委員会の事務局が私のところに話を聞きに来ると言っていましたので、そこでまたいろいろと話があると思います。それは2、3日後ですので、22日の次回の8月の研究計画・評価分科会の前に、各分野を回るつもりでおられるのではないかと思いますので、いろいろ意見を頂けたら、それを反映して向こうとディスカッションをさせていただきたいと思いますが、ほかに何かございますでしょうか。

【中山委員】  1点だけ。ちょっと短めですが、全体として出口感が非常にないというか、みんな、サイエンスのところ、あるいはディシプリンベースのところで切られていて、例えばエレクトロニクスデバイスなどはかなりナノテクノロジーでしょうし、ライフサイエンスとの融合の生体的な材料とか、当然あるでしょう。環境エネルギー向けの材料もまたある。ほかにもたくさんある。そういう視点も取り入れた方がよりよく見えるかなという気がします。ここの委員の皆様の専門性のところ以外のところもあると思いますので、そういう公平な目で見た方がいいかな、ちょっと落ち着いて見た方がいいという気がします。

【三島主査】  分かりました。

【菅野委員】  同感です。他の分野に比べると、カテゴリーの数が少ないということは、その領域の数が、論文が少なくなると、この分野が余り進展していないというような評価になる可能性もあるので、他の分野と合わせるということは必要ないかもしれないですけれども、ナノテクがもうちょっと広がっているというのが見えるような形の方がいいように感じました。

【三島主査】  前田委員、どうぞ。

【前田委員】  すいません。ちょっと的外れなのかもしれないですけど、たくさんいろいろキーワードを入れた方が、総論文数が多いとカウントされるのか、それとも、大くくりにして、その中にいろいろなものが入っているという感じで見た方がいいのか、どっちなのかなと思ったんですね。細かいものをいっぱい入れて、おのおの結構論文出ていますよと言って、それで全部足し算にするという方法もあるのかもしれないんですけれども、どういうふうにして判断するんだろうか。単なるキーワードで拾っていくのであれば、逆にキーワードがたくさんないと、粒度感が一緒にならないので、ほかの分野と、それは当然ながら環境エネルギーのところほどとは言わないにしても、増やすべきだと思いますし、むしろ粒度感で言えば、ナノテクのところは大きくくくっているような気がしたので、大きいのであれば大きいのであるように、1つのカテゴリーの中にいろいろなものを含ませれば、それはそれで1つのカテゴリーは論文がたくさんあるというふうに見えるのか。どういうふうに見せるのがいいのかがよく分からなくて、どうするべきなんだろうと思って、教えていただきたくて、意見を言いました。

【三島主査】  4月13日の計評は、私が出られなかったので、参事官に出席いただいていると思うんですが、そのような議論はありましでしょうか。

【齊藤参事官】  そこまでのどちらが良いか悪いかという議論はなく、先ほど主査からお話があったように、分野によってそれぞれの意見があるので、そこを尊重しますということでした。

【三島主査】  それでは、この委員会としてどのように考えるのかということですね。

【栗原委員】  これがプログラム評価だとすると、あるプログラムを実施したことで、その前とその後でどう変化があったかというようなところも重要になってきますが、非常に幅が広いものをとると、そんなに変わらないかもしれないです。だから、その変化するものを見るものと分野の大きさを見るものは指標が違う可能性があると思います。もう一つは、この参考指標は参考指標として、それ以外にも言葉で入れるような評価の欄もあったと思うので、デルタを測るのか、全体の大きさを測るのかというのは、なかなか難しいところではないかと思いますが、どうでしょうか。

【三島主査】  そうですね。

【栗原委員】  でも、難しい、難しいと言うと何もできなくなるのでというのは、たしか前回の話だったと思うので。

【三島主査】  それはそうです。次の研究計画・評価分科会まで余り時間もないことですし、もう一度事務局と参事官と私とで見直させていただき、どんなものがあり得るかということを、本当は1回メールででも見ていただいて、フィードバックする時間があればいいですが、少し難しいかもしれないので、今頂いた御意見をできるだけ反映する形で事務局と私に一旦お預けいただいて、研究計画・評価分科会でそれに対してどういう意見があったかをまたフィードバックすることにしたいと思います。ほかに御意見はございませんか。

【吉江委員】  1つだけ。非常に簡単に。例えば環境エネルギーのところに物質科学というものがいっぱい並んでいるんですけれども、ナノテクにはこのキーワードが一切入っていないというのがちょっと気になったんですけれども。

【三島主査】  物質科学、ああ、これですね。

【吉江委員】  先ほどから議論になっているように、私もちょっとよく分からなくて、恐らくこの物質科学に入っているような論文、数え上げられるような論文というのは、ナノテクに書かれているキーワードの分野のどこかに引っかかっているんじゃないかと思うんですね。アンドになったときに、どういうふうに扱われるのかというのがちょっとよく分かっていなくて、それが両方ダブルでカウントされるようなものであれば、両方引いとくべきであろうし、いや、1個ですというのであれば、十分に大事なところを押さえてあればいいのかなというふうには思うんですけど。

【三島主査】  ありがとうございます。それでは、他にはよろしいでしょうか。

 これは1月にさんざん議論して、ここで言ったのをまたひっくり返すみたいな状況で申し訳ないんですけれども、今の御意見を頂いた上で、もう一度だけ見直して、委員の皆様にお諮りする時間はないかもしれませんけれども、計評に提出するという形にさせていただければと思います。ありがとうございました。

【栗原委員】  キーワードに関して、サブジェクトについていろいろ御意見が今出たので、最終的には主査にお任せするにしても、どうしても気になるキーワードがある方は、きょう中にでも、あすぐらいまでにでも出していただいても。それを御判断いただいた方が選択肢が増えていいんじゃないかと思います。

【三島主査】  ありがとうございます。そういうふうにしていただけるとこちらも助かるので、もしこういうものは入れた方がいいというものがありましたら、事務局の方にメールで、今週中ぐらいでいいと思いますので、ご連絡のほどよろしくお願いしたいと思います。ありがとうございました。

 それでは、2つ目の議題に移りたいと思います。ナノテクノロジー・材料科学技術の研究開発戦略についてということですが、本件につきましては、前回御議論いただいた内容を踏まえて、一部修正を行ったということですので、その修正箇所を中心にまず御説明を頂いた後、議論したいと思います。まずは丹羽補佐から資料2-1と2-2を御説明いただきます。

【丹羽補佐】  それでは、資料2-1が概要で、2-2が本文となってございますけれども、6月の前回の委員会にて委員の皆様からもご意見を頂きまして、ある程度収束を見たところと考えております。一方で、幾つかあったご指摘につきまして、本文の方で反映をさせていただいておりますので、その御紹介をさせていただき、そののち、御議論を頂ければと思っております。

 初めに、前回の委員会でお招きした京都大学の田畑先生からのバイオと材料の融合に関するプレゼンを踏まえた修正です。説明の中で、細胞機能を高めるための環境を整えるための材料といった概念が示され、より生体機能を制御するような材料という側面が強調されたという経緯がございましたので、本文の21ページに、バイオ材料として書いていましたところに「バイオ制御材料」と、「制御」という言葉を入れさせていただきました。先生からもこの言葉はご提案があったところです。この中で、少々見にくいですが、下から10行目ぐらいのところで、これまでのような生体に悪い影響を与えないという消極的な生体適合性のみならず、積極的に炎症のような生物学的な現象に対してアプローチをし、生物が持つ自然治癒を促すために細胞の周辺を整備する、こういった能動的な制御という要素を加えさせていただいた次第です。

 1枚おめくりを頂きまして、3行目ですが、天然物と人工物との相互作用を調べ、両者をつなぐサイエンスを構築する。こういった要素についても追記させていただきました。

 それから、栗原委員より、創出されたマテリアルを世に送り出すサイエンス基盤の構築というところで御意見を頂いておりまして、これは本文でいいますと25ページになります。(2)から始まる項目ですが、物質を作り出すだけでなく、その作り方に対して手を打って、実際に社会実装を世に送り出すところのサイエンスが必要ということを書いていた部分ですが、栗原委員からは、このまさにプロセスの部分については、技術の類似性等の認識が重要で、医学をはじめ、ほかの分野との連携を意識することが重要だという御指摘ございましたので、1枚おめくりいただいて、26ページの真ん中あたりに、こうして生まれたサイエンス基盤は他分野への波及効果も期待されるため、分野連携の可能性も考慮すべきであると、こういった要素を書かせていただきました。分野の連携、分野をまたいだ連携の必要性について追記させていただきました。

 それから、その下のパラグラフ、「当該領域は」で始まる部分ですが、ここに加藤委員から委員会で御指摘を頂きました、プロセスの専門家の育成、あるいはそのような人と研究者をつなぐコーディネーターの育成、そのマッチングを実現する場が必要ではないかという御指摘がございましたので、人材育成の論点を改めて強調させて、コーディネーター等の人材育成も課題ということを書かせていただきました。

 続きまして、28ページになります。常行委員から前回の委員会の中で、AIやIoT、ビッグデータなど、共用設備の充実の部分で、ハードの面の充実に焦点が当てられて見えるが、使い方のサポートやそれを支える技術者といったソフト面での部分についても重要性が分かる書きぶりがよいという御指摘を頂きましたので、28ページの「共用設備の充実化・拠点ネットワーク化」の部分に、これはもともと書いてあった内容ではありますが、より分かりやすくなるように、施設共用の視点のみにとどまらず、研究施設及び設備を共用する際の多様な支援形態に対応可能な研究者、技術者の育成を推進する、といった要素を強調させていただきました。

 主な修正点は以上です。幾つか他にも御意見を頂いたところですが、要素として含まれているということで修正は以上とさせていただいたところです。

 なお、31ページからになりますが、これまで御検討いただいてまいりました検討の経緯を第1回の委員会からずっと付しております。そして、実際に公表する際には、冒頭に三島主査と中山委員の連名で「はじめに」の巻頭言を付けさせていただきたいと思っておりますが、本文ベースでの修正は以上となっています。

 以上を踏まえて、A3の概要も少々修正させていただいておりますが、軽微な部分ですので、割愛をさせていただきます。

 戦略については以上です。

【三島主査】  ありがとうございます。それでは、委員の皆様の御意見を伺う前に、この件の作業部会の主査を務めていただいた中山委員から一言頂ければと思います。

【中山委員】  このナノ材委員会から将来のことを議論せよという御下命を受けてから約1年かけて練ってまいりました。最初の三島主査からの御指示、一緒に仕切っていただいた上杉委員の多大なる御貢献、各委員の皆様、ナノ材参事官付の皆様、さらに、多くの方々のお力添えがあってやっとここまで来ました。大変感謝いたしております。

 この分野の重要なことをある程度盛り込んでこられたのではないかなと思います。いろいろ将来のことも書いていますので、今後の各種施策の根拠資料にも十分使って頂きたいと思うと同時に、来年度以降に議論が本格化する第6期科学技術基本計画にも内容面では貢献できるのではないかと思っております。

 そういう中で、状況や戦略というのは今後も相当変わっていくと思います。これまでも相当変わってまいりました。これから何をやるべきか等、未来を見る作業が今後も継続的になされるべきだと思います。

 また、各種の重要なことがこの委員会に上がってくることこそが、委員会の求心力と思うのですが、戦略策定の作業を通してこの委員会の求心力を増すようなことが多少はできたかなと思いますし、今後もそういうことに貢献できればと思っています。このナノ材委員会で各種評価が頻繁に行われてきましたが、その評価が次の施策に生きなかったのがこれまでの現状だったと思います。これまでの施策の状況を戦略にインプットすることで、そのような評価を次に生かすための道具としても使えたのではないかと考えます。今後もそうすべきと思います。そういうことを含めてスパイラルアップする方向に持っていければと思っております。今後も志高く考えていければと思っております。

 以上です。

【三島主査】  すばらしいコメントありがとうございます。それでは、委員の皆様から御意見を頂きたいと思います。いかがでしょうか。

【林委員】  この案にはまだもう少し加筆はできると考えてよろしいのでしょうか。

【三島主査】  はい。

【林委員】  今まで私もこの作業部会にも参加させていただいて、議論に参加したんですけれども、新しいものを生み出していくということに意識が向いていたんですけれども、これを改めて見たときに、ノウハウの蓄積とか、これまでの先人のたくみの技みたいなものをきちんと国内に残していくということも大事なのではないかと思うので、人材育成とか、そういう観点でもいいのかもしれないんですが、何かノウハウの蓄積みたいなものを盛り込まれてはいかがでしょうか。

【三島主査】  という御意見ですが、いかがでしょうか。

【中山委員】  非常に大事な視点かと思います。よくやったらやりっ放しになっちゃったりするようなこともいろいろあって、それがまた雲散霧消してしまって、それが何年かしたらまた新しいことのように出てくるみたいな、そんなこともありますので、何らかこのノウハウの蓄積のような頂いた視点を入れ込めるように考えてまいりたいと思います。主査とも御相談しながらいければと思います。

【三島主査】  ほかに御意見ありますか。本戦略の案がとれるのはいつになるんでしょうか。

【丹羽補佐】  今回の委員会でのご議論をもって決定させていただきたいと思っております。

【三島主査】  今回の委員会の御意見を踏まえた修正をしてということですね。いかがでしょうか。橋本委員、何か一言。

【橋本委員】  いえ、とんでもないです。

【三島主査】  よろしいですか。どうぞ。

【上杉委員】  前回私、休んだんですが、田畑先生の御意見を受けて、バイオ制御材料のところはよくなったと思います。私が思いますには、このバイオ材料というのは、もともとは生体適合性があって、生体に何もしないのがいいと言われていました。しかし、将来のバイオ材料では、積極的に何か生体に働きかけるものや治癒するものを考えていくのです。でも、実は、更にそれが進んで、疾病を治すんじゃなくて、人間の能力を拡張する、そういう生体材料というのも考えられるんですね。それは電子機器と一体化して、人間がセンスできないものをセンスし始める、こういうのもやられていると思います。ですから、ここのところ、治癒だけに終わるんじゃなくて、人間の能力の拡張も足された方が、我々が中山さんらと一緒に議論した結論を含むことになると思います。

【三島主査】  21ページですね。

【上杉委員】  21ページのところです。

【三島主査】  なるほど。

【上杉委員】  何もしないというところから、治療に役に立つ。治療に役立つのその後は、人間の能力の拡張になります。

【三島主査】  なるほど。ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。

【栗原委員】  ノウハウの蓄積も大事だというのは、そのとおりだと思いますが、経験的な言葉で残されてもなかなか分からないところがあるので、ナノテクノロジー・材料科学技術分野としては、計測やインフォマティクスを使うとか、あるいは、それを合理的な指針にするにはどうするかというような、組み合わせた上で、ブレークスルーを生み出すような形で進めることが、文科省で進めることでもあるし、そういう点も大事なのではないかと思います。エンジニアリングは学術なので、アプローチの仕方についても今後考えながら進める必要があるのではないかと思います。

【三島主査】  ありがとうございます。どうぞ。

【加藤委員】  内容そのものはものすごく良いと思うのですけれども、やはり言葉の問題と関連していて、例えば金属材料とか金属という言葉がこの報告書にあるのですけれども、さきほどのカテゴリーでは冶金なのですね。日本に冶金学科は既にないのに、さきほどのカテゴリーは、まだ冶金とか、冶金工学という言葉を残していて、しかし、この報告書にも冶金が一切ないのですね。金属工学というのが、今皆さん使っている言葉だと思うのですけれども、そういった全体的な整合性というか、報告書とカテゴリーといろんなこういう委員会から出ていく言葉の整合性というのが大事かなと思うんですね。だから、そういうのを統一できるようになればいいなと思います。

【三島主査】  ありがとうございます。最終チェックのところでそういうところは気をつけたいと思います。

 ほか、いかがでしょうか。

【丹羽補佐】  今御指摘の点は、構造材料という大きなくくりで書かせていただいておりますが、その中で、確かに言葉の振れ等、ほかの箇所も含めてあるかと思いますので、そのほかについても委員のみなさまからお気づきの点がございましたら、御指摘頂ければと思います。

【加藤委員】  そうですね。1回通読して言葉を拾っていく。誰か1人がやった方が、部分的に直していくと……。

【丹羽補佐】  はい。ありがとうございます。

【三島主査】  ほかいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

 ありがとうございました。それでは、本日頂いた御意見を基に修正を少し入れるということになろうかと思いますけれども、私と事務局に御一任いただくことにさせていただきます。それで、最終版という形で次に委員の皆様にもごらんいただくことになろうかと思います。いろいろ本当に御協力ありがとうございました。

 それでは、議事3のナノテクノロジー・材料分野の研究開発の評価のところに入りたいと思います。本件につきましては、事前にお話しさせていただきました通り、非公開となりますので、委員及び事務局以外の方は御退席を頂ければと思います。よろしくお願い申し上げます。

(傍聴者退室)

【三島主査】   それでは、きょう頂いた御意見で書きぶりをもう一度考えて、インパクトを感じられるプロジェクトにしていくと。非常に重要なことなんですけれども、それを分かってもらえるプロポーザルにするということをこれからやっていこうと思いますので、またいろいろ御意見ありましたら、お寄せいただければと思います。

 さて、それでは、きょうの議事、以上ですが、最後に事務局から事務連絡を含めて御発言を頂きたいと思いますが、参事官からですね。

【齊藤参事官】  今の新規施策につきましては、貴重な御意見を頂戴いたしまして、評価も頂いたということで、更にシェイプアップして進めていきたいと思いますが、本日は、研究開発戦略につきまして、1年半以上、作業部会で、中山主査、そして上杉主査代理に御協力いただきまして、最後の詰めがございますけれども、本日、ほぼほぼ戦略として最終段階まで行かさせていただきました。これにつきましては、第6期の科学技術基本計画に打ち出したり、それぞれの予算に反映したりということで活用させていただきますので、本当に1年半程度、御検討いただきましたこと、ここで改めてお礼申し上げます。どうもありがとうございました。

【三島主査】  ありがとうございました。それでは、丹羽補佐から事務的なことについてお願いします。

【丹羽補佐】  事務的な御連絡です。次回のナノテクノロジー・科学技術委員会につきましては、日程を追って御連絡をさせていただきます。

 きょうの議事録については、事務局で案を作りまして、委員の皆様にお諮りをいたしまして、主査の確認後、ホームページに掲載をいたします。議題の3、最後の議題は除きます。資料につきましても、きょう配ったもの、資料1から2に関してはホームページに公開をさせていただきます。

 配付資料、封筒に名前を書いて置いておいていただけましたら、また事務局から送付をいたしますので、よろしくお願いいたします。

 以上です。

【三島主査】  それでは、きょうは早めに終わりましたけれども、本当に貴重な御意見を多数頂きまして、ありがとうございました。

 以上です。ありがとうございました。

 

―― 了 ――


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研究振興局参事官(ナノテクノロジー・物質・材料担当)付

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