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第9期ナノテクノロジー・材料科学技術委員会(第5回) 議事録

1.日時

平成30年6月25日(月曜日)16時~18時

2.場所

3F2特別会議室

3.議題

  1. 第9期ナノテクノロジー・材料科学技術委員会における平成30年度の審議事項について
  2. ナノテクノロジー・材料分野における取組について
  3. ナノテクノロジー・材料分野の研究開発戦略について
  4. その他

4.議事録

【三島主査】  皆様、こんにちは。定刻となりましたので、ただいまから第9期のナノテクノロジー・材料科学技術委員会の第5回目を開催いたします。本日は御多忙のところ、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。

 本日は、議題1として、本委員会における今年度の審議事項についての御説明を頂きます。その後、議題2として、ナノテクノロジー・材料分野の取組についてということで2つの御発表を頂きます。京都大学の田畑先生、それから、東京工業大学の細野先生にお願いしています。その後、議題3と致しまして、ナノテクノロジー・材料分野の研究開発戦略についてということで御議論いただければと思います。

まず事務局から委員の出欠の状況と配付資料の確認をお願いしたいと思います。丹羽さん、よろしくお願いいたします。

【丹羽補佐】  事務局の丹羽です。

 本日は、五十嵐委員、上杉委員、瀬戸山委員、納富委員、吉江委員が御欠席となっております。

 また、当省より磯谷振興局長、千原審議官が遅れて出席の予定です。

 配付資料の確認ですが、資料1-1から2-2までの5種類、それから、机上配付資料として、その下にも5種類ほど資料が添付してあります。欠落等ありましたら、事務局まで御指摘ください。

 以上です。

【三島主査】  よろしいでしょうか。

 それでは早速、議事に入りたいと思います。1番目ですが、第9期のナノテクノロジー・材料科学技術委員会における平成30年度の審議事項についてということで、御説明を事務局から頂きたいと思います。資料1-1です。よろしくお願いいたします。

【丹羽補佐】  御説明いたします。資料1-1をご覧ください。

 この委員会における当面の審議事項として、1ポツのナノテクノロジー・材料科学技術に関する研究開発の評価につきましては、30年度新規・拡充する事業がある場合は事前評価を行うこと、それから、元素戦略プロジェクト、こちらは10年のプロジェクトの7年目ということで、今年度は2度目の中間評価の年に当たっておりますことから、本委員会にて中間評価を行っていただきたいと考えております。

 2ポツとしまして、この分野の研究開発戦略の検討。これは昨年夏からずっと続けてきたものです。こちらは、Society5.0の実現や更なる未来社会の実現に向けた今後の戦略ということで引き続き御議論を頂きたいと考えております。

 3ポツのその他ですが、こちらはCSTIの会議あるいは科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会等の審議動向への留意等が書かれています。

 当面の審議スケジュールについて具体的なものを書いています。本日、第5回ですが、審議事項についての確認と、今後の材料分野における取組、そして、研究開発戦略について御議論をいただいた後、8月頃の第6回の会議で、この戦略の検討を引き続き行っていただき、新規・拡充事業がある場合には事前評価、そして、9月以降、第7回として、元素戦略プロジェクトの中間評価を実際に行っていただくという段取りを考えています。

 次の資料1-2です。横のポンチ絵はその具体的なスケジュールを書いております。元素戦略プロジェクト、一番上の段につきましては、2018年度、今年度が7年目の中間評価に当たっています。昨年度は、ナノテクノロジープラットフォームを評価いただいたところですが、今年度は元素戦略プロジェクトを進めたいと考えています。

 資料1-3の方に詳しい評価の計画についてお配りしておりますが、こちらは御参考とさせていただきます。こちらも併せてお目通しをいただければと思っています。以上です。

【三島主査】  第6回の8月頃というのは、8月1日で決定でしょうか。

【丹羽補佐】  正式なアナウンスはまだだと思いますが、今のところその方向で考えております。

【三島主査】  分かりました。

 それでは、平成30年度の本委員会の仕事ですけれども、何か御質問や御意見ありますでしょうか。よろしいですか。

 それでは、次に移らせていただきます。前回の委員会において、ナノテク・材料分野の他分野との融合のお話や医療との連携についての指摘がありました。そこで、医療と融合したバイオマテリアルの研究開発に関する話題として、京都大学の田畑先生にお越しいただいております。また、研究で生まれてきた材料のよいシーズをきちんと実装につなげるための取組が重要との御指摘もありましたが、近年のアンモニア合成触媒の成果をはじめとして多くの革新的な材料を実装につなげてこられている、東京工業大学の細野先生にもお越しいただいているということです。

 このような観点は、後ほど議題3で中山委員から御報告いただくナノテクノロジー・材料分野の研究開発戦略を検討する上でも重要になると思いますので、しっかりと御議論をさせていただければと思います。

 それでは、田畑先生、細野先生の順でそれぞれ15分程度御発表いただいた後、質疑の時間を設けさせていただければと思います。それではまず、田畑先生よろしくお願い申し上げます。

【丹羽補佐】  机上配付資料1です。

【田畑様】  よろしいでしょうか。

【三島主査】  はい、どうぞ。

【田畑様】  本日は、このような機会を与えていただきまして、本当にありがとうございました。お手元の資料かなり分厚いんですけれども、15分ということで要点だけお話ししたいと思います。2つ刷り物がありますので、もし御興味があれば、そちらを読んでいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

 私は過去40年間バイオマテリアルをずっとやってきました。バイオマテリアルというのは、先生方それぞれいろいろなイメージがあるんですけれども、私が今日お話しするのは、バイオマテリアルをもう少し広義に考えていくと、バイオテクノロジーがうまくいくんじゃないかということであります。特に再生医療という言葉は皆さん御存じだと思いますけれども、再生医療をやるためには材料、ナノテクが非常に大切なんだということをお話ししたいと思います。

 私、もともと工学部、医学部、薬学部と3つ出ておりまして、現在ベンチャーカンパニーを持っておりまして、60社のコンサルテーションをしています。そこで実際私たちがやったことを、もう10個商品開発しておりますので、その辺で何か先生方の参考になるようなことがあればと思って、少しその辺に触れたいと思います。もう一つは、再生医療というのはこれから伸びていくんだと思うんですけれども、再生医療は、細胞移植ではなくて、細胞の周りの環境を作っていく。その環境を作るというのがバイオマテリアルというふうなイメージであることを強調させてもらいます。

 まずバイオマテリアルについてなんですけれども、先生方御存じのように、こういうふうに病気になったときに、いろいろなプラスチック、金属、セラミックスを入れて、これが医療材料、人工臓器です。こういうものがバイオマテリアルです。あるいは、薬があるんですけれども、薬を目的のところに持って行くことができないので、ナノテクを利用して、それのテク材料と組み合わせて、ポリマーミセルみたいなもの、目的のところに持っていくというふうなドラッグデリバリーシステムがあります。それが大きくバイオマテリアルの世界です。

 そこで、バイオマテリアルの定義をエクスパンドするために1つだけ申し上げたいのは、例えばドラッグデリバリーシステムのドラッグなんですけれども、ドラッグというのは治療薬というふうに今まで考えられていました。ところが、ドラッグというのはある作用を持っている物質なんです。例えば診断薬、予防薬、化粧品、シャンプーあるいは塗料とか染料とか、こういうものは全てドラッグなんです。それと組み合わせることによって効率を上げていく、これ全てバイオマテリアルというふうに私たちは理解しています。だから、バイオマテリアルというのは、体の中で用いている材料だけではなくて、体を作っている細胞とか生体の成分、タンパクとか核酸、あるいは細菌とかウイルスに付けて、それと触れて使う材料のことなんです。だから、そういう意味でバイオマテリアルを広く解釈すると、いろいろな分野が広がっていくんじゃないかと思います。

 そこで、例えば先ほど申し上げたドラッグデリバリーシステムとか医療材料、あるいは化粧品、シャンプー、リンス、こういうものもバイオマテリアルです。化粧品というのも顔に塗りますよね。顔は細胞で出来ているわけです。絶対机には塗らないですね。机は細胞では出来ておりません。だから、化粧品、シャンプー、リンスも全てバイオマテリアルに含まれます。あるいは、それを支える研究用の試薬とか、今まで理化学機器と呼ばれたようなもの、こういうものも全てバイオマテリアルです。どういう定義かというと、細胞の局所環境を作り与えて、細胞というのは体の中にいるわけです。体の中でどういうふうな環境を作っているか、その環境を人為的に作っていく。そこにナノバイオテクノロジーが必要になってくるわけです。それが私が申し上げていることです。

 私は工学部、薬学部、医学部とこういうふうに歩いてきております。今までのバイオマテリアルというのは、医療材料、人工臓器、ドラッグデリバリーシステム、これだけなんです。ところが、もっとバイオマテリアルというのは広がっていくわけです。例えばこういうイメージです。再生医療、例えば3次元の加工の技術で、こちらは、細胞培養の器材です。これもバイオマテリアルです。ワクチンとかヘルスケアとか、こういうものもバイオマテリアルです。

 バイオマテリアルというのはライフサイエンスの一部なんですけれども、ライフサイエンスというのは生命科学なんですけれども、実際には例えば実用化を考えた場合には生活科学なんです。そこで、例えば違う分野が融合しないといけない。違う分野が融合するためにはどういうところが気になるか。私はいろいろな経験から物を申しますけれども、例えば違う分野なので、分かりやすく説明しないと全然分からないんです。だから、自分の専門では、違う専門の人にまず分かりやすく説明するということです。もう一つは、医学部は医学部、工学部は工学部の文化があるんです。だから、その文化を理解しながら話をしないと、全然とんちんかんなんです。同じ言葉でも全然違う意味で使っている場合があります。もう一つ、これを気付くためには何かというと、信頼関係です。何度も話して相手を信頼すると、分からないことも分かってくるんです。だから、そこがこういう分野は一番大切だと私は考えています。

 私たちのグループですけれども、物すごくたくさんいます。こういう形でいろいろな人と一緒にやっている。その中心的にいるのが私です。例えば会社とつなぐときはどうかというと、バイオ関連の会社というのはいろいろ考えています。同じような考えで考えているんです。ところが、自分の独自、バイオ関連以外の材料、技術、装置とか、バイオテクノロジーとの関連性を議論していく。例えば会社に行っても、バイオの話はしないでください。その会社の特別の技術を話してください。ということで、頭の中で、会社の中でいろいろつなげていく。だから、そういうふうにしないと、新しいイノベーティブなものが出来てこないんだと思います。

 これがまとめたものですけれども、後で読んでいただければと思います。

 そこで、再生医療についてちょっとお話しします。再生医療というのは、細胞移植だと皆さん思われているんですね。ところが、それは定義では違っていて、細胞を元気付けて、自然治癒力を高める医療のことなんです。その中には、治療、体を治す、それと、研究があるんです。研究は何のために要るかというと、細胞がどういうところで元気になって、どういう状態のところにすんでいるかということを調べないとだめです。細胞の餌である薬、創薬の開発、これも再生医療です。

 そうすると、バイオマテリアルは何をしているかというと、細胞というのは体で動いているわけです。だから、今までのバイオマテリアルというのは細胞を支えるような環境を作っているわけです。そうではなくて、これからのバイオマテリアルというのは、体の中で細胞が本当に働いているような、ゆりかごみたいなものを作っていって、細胞をその気にさせるような環境を作っていくというのがバイオマテリアルの技術だと思います。

 そこで、まず治療のお話をいたします。治療であればどういうふうにしていくかというと、体の中で細胞はどういうところと触れているかです。細胞はいろいろなタンパク質などを食べています。あるいは、こういう家なんです。水溶性の高分子で出来た家の中に、コンニャクみたいなところにすんでいるわけです。だから、そういうものをうまく使っていくことが必要になります。

 例えば食べ物です。食べ物、タンパク質を細胞にぽんと与えても、細胞は食べないんです。だから、ナノテクノロジーを使って、食べやすい大きさにしたり、オブラートにくるむ。このオブラートがバイオマテリアルです。そうすることによって、細胞が非常に元気になる。

 例えばこれは骨が欠損しているんです。普通の場合は、骨を作る場合には、骨を作る赤ん坊の細胞の幹細胞を移植するんです。ところが、実際には、ここのところには、将来骨になる赤ん坊の細胞があります。それに餌を与えるんです。餌はタンパク質です。タンパク質は工場で作られます。タンパク質を与えるような小さな粒、ナノテクノロジーです。工場で作るんです。工場で作るものを入れると、その材料、入れた餌によって例えば細胞が元気になって骨が出来ていくんです。だから、骨を作るというのは、細胞移植ではなくて、細胞を本当に働くような環境を作っている。これがバイオマテリアルです。私たちはもう実際には5,000人ぐらい、こちらは少し気持ち悪いですけれども、実際にナノテクノロジーの材料を入れることによって、体の中の細胞を元気付ける環境を作っているんです。それによって、実際治っていっているんです。こういうことがあります。

 もう一つ、バイオマテリアルというのは、例えば傷口が開いたときに縫いますよね。縫うんだけども、それが積極的に治らないとだめです。糖尿病の患者さんは治りませんよね。そしたら、ナイロンのこの絹糸、そこに少し腹薬を入れてやる。それがバイオマテリアルです。それを入れることによって、治りにくいところでも治ってくるようなものがあります。

 あるいは、脳梗塞でも、頭の中に細胞がいるんです。病気になったときにその細胞の目的のところに行ってくれないんです。行くためには、こちらからナノテクでそこに材料を置いておいて、餌で呼ぶんです。こっちへ来い、こっちへ来いと呼ぶんです。そういうことをすることによって病気が治ってくる。これが再生医療なんです。再生医療は、細胞を入れるだけじゃなくて、ナノテクでバイオマテリアルを入れることによって、細胞をその気にさせるんです。それがバイオマテリアルというふうに思っていただければ思います。

 細胞の周りの餌が家なんです。家はどういうことかというと、こういうふうなスポンジです。これはただ単にバイオマテリアルのスポンジです。ところが、これだけではだめなんです。スポンジだけでは、細胞が住んでも、なかなかそこでは殖えていかないんです。だから、スポンジにちょっとした仕組みを与えるんです。細胞がうまく自分が体の中で殖えていくような仕組みを与える。

 例えばどういうことをするかというと、先ほどの食べ物です。食べ物を染み込ませたスポンジを入れます。例えばこれ、脊椎が折れてしまう場合があるんです。そのとき、普通の場合は、臨床ではほかの骨を持ってきて植えるんです。そうすると、ここは骨がなくなりますよね。ところが、そうではなくて、人工的に作れるスポンジの中にナノテクを利用して細胞がすみやすいような工夫をする。そこに、体の中の餌を入れていく。そうすると、しっかり治ってくるんです。治ってきたその骨もちゃんとした強度が出ます。だから、今までのゴールドスタンダードで使われていた骨を移植するのではなくて、ナノテクのバイオマテリアルを入れることによって、細胞をその気にさせるんです。それをすることによっていろいろなものが治ってくるということであります。

 そこで、やはり細胞を元気にするにはいろいろな方法があるんです。細胞に対する餌と家を与える、あるいは細胞の連携を高める、あるいは体の中に入れたときに当然炎症が起こります。炎症が起こって病気が治っていくんですけれども、炎症のことも考えないとだめなんです。そこで、炎症をうまくコントロールしていくようなバイオマテリアルがこれから大切になってきます。そこもバイオマテリアルです。炎症というと、抗炎症剤を使って治療するというイメージですが、違います。ナノテクを使って炎症をコントロールしていくというのも1つなんです。

 例えばこれ、いろいろありますけれども、耳とかこれです。これはどういうふうにしているかというと、ナノテクの材料を利用しているんです。そこに餌を入れてやることによって、こういうものが治ってくるんです。再生医療というのは細胞移植ではないんです。周りの環境を作るバイオマテリアルがあって初めてできるんです。

 あるいは、細胞と細胞の連携を深める。例えば細胞1個では、細胞が死んでいくんです。ところが細胞が手をつないだら、細胞が仲よくなるんです。そこで皆さん御存じのように、シート工学というのがあります。細胞をシートにして、2次元にして入れてやる。そうすると非常にいいんです。何でいいかというと、細胞が手をつなぐので、細胞が元気になるんです。だから、そこからいろいろなファクターが出るんです。

 ところが、問題は、1枚ぺらの細胞のシートだけでは機能が出ないんです。それを何とか重ねていきたいんです。重ねていったときに、体の中は重なっていって、私たちは分厚いですよね。ところが、死んでいませんよね。それはなぜかといったら、血管があるからです。ところが、血管は外では作れません。そしたら、重ねたところに死なないような工夫なんです。

 そしたら、どうするかというと、そのシートとシートの間にすき間を作るんです。例えばハイドロゲルのような粒を入れてすき間を作ることによって、こういう分厚いものができるんです。実際にこれ、15層重ねても死にません。普通、細胞シートを重ねるだけでは死ぬんです。そこにバイオマテリアル、ナノテクノロジーで大きさをコントロールしてやることによってしっかり分厚いものが出来て、実際のヒューマンのiPSから人間の心臓の壁が出来るんです。それを使うことによって動物実験すると非常にいいということが分かります。

 そこでもう一つ、体の中に入れたときに、やっぱり炎症が起こります。炎症というのは非常に難しいんです。今、炎症の場合には、抗炎症剤で抑制するだけなんです。例えば炎症が起こって、ここからボーボー燃えているわけです。ところが、そこに細胞を入れてもだめですよね。だから、炎症をうまくコントロールしないとだめです。そこで、炎症にはいろいろな細胞があるんです。好中球、マクロファージ、いろいろなものがあります。マクロファージというのが一番大切なので、そこを考えます。

 マクロファージを呼んできておいて、マクロファージもいいもの、悪いものがあるんです。いいマクロファージ、悪いマクロファージというものはバイオロジーの最先端でもありますので、マクロファージを呼んできておいて、いいマクロファージ、悪いマクロファージも、それもナノテクノロジーと餌、DDSのシステム、高分子ミセル、ああいうものも使ってうまくやっていきます。

 そうすると、こういう形でマクロファージ、こちらは骨なんですけれども、ここの、黒いところは骨がないんです。そこで、マクロファージを呼んできます。呼んできても、ちょっとだけ治ります。呼んできておいて、餌を与えると、しっかり治るんです。だから、こういうことでマクロファージをしっかり呼んでくる、体の中でいろいろなものを呼んでくるようなこともこれからは大切になるんです。

 体の中で、先ほど申し上げたように、マクロファージというのは、出てくると、やばいという感じなんです。ところが、マクロファージもいいマクロファージ、悪いマクロファージがある。例えば善玉コレステロール、悪玉コレステロールというのがありますよね。だから、来ても善玉に変えることがあります。それを私たちは世界で初めてやります。ピオグリダゾンというお薬があるんですけれども、それをすることによって、来たマクロファージがいいように変わるんです。

 いいように変わるとどうなるかというと、ちょっと細かくて恐縮ですけれども、皮膚の欠損を作って、ここに病気を作っておきます。そこにマクロファージを呼んできて、マクロファージをその局所でいいものから悪いものに変えるんです。それを変えることだけで、積極的に再生誘導治療をしなくても治ります。これは臨床を見ていると、患者さんでも症状が悪いときに炎症をコントロールしてやると治るんです。

 そこで、例えばこれはこういうふうなやり方だけではなくて、例えばバイオマテリアルです。バイオマテリアルというのは体の中に入れたときになじまないですよね。そこで、表面のプラスマイナスとか、表面のでこぼことか、いろいろやっているわけです。ところが、これを使うと、もうちょっと新しいタイプの生体適合性材料ができるんです。なぜかというと、表面にマクロファージを呼んできて、マクロファージをいいものにするような工夫をすることができます。それはナノテクででこぼこにすることによって、新しいタイプの生体適合性ができるので、大きく医療材料を変える研究になります。

 そこで、あと5分ぐらいありますので、研究のお話をしたいと思います。治療だけではなくて、やはり研究も非常に大切なんです。研究は何しているかというと、細胞をうまくコントロールして殖やしてくる。体の中と同じような状態で細胞を殖やしてきて、そこで、試験管の中でいろいろなことを調べたいんです。例えば今、ポリスチレンのシャーレ、プラスチックで細胞を培養しています。私たちの体はプラスチックでは出来ていません。体に近いものですよね。だから、近いものをバイオマテリアル、ナノテクノロジーで作らないとだめなんです。作らないと、機能も伸びません。元気な細胞を使うことによって、薬の開発ができます。死に絶えたような、弱った細胞を使っていい薬の開発はできますか。薬というのは、細胞に働く物質です。ということは、周りの環境をこの研究でも作っていかないとだめだということなんです。

 今どういうふうにしているかというと、これ、プラスチックのシャーレでやっているんです。あるいは、こういう培養液です。無理やり培養液を使ってやっています。そしたら、材料を使ってどのぐらいいろいろな細胞の状態が変わるかということで、ナノテクなので、ナノのお話をします。例えばこういう有名な話です。こういうふうにすると、この面に応じて細胞がぐにゅっと伸びるんです。あるいは、ナノオーダーの細い繊維を作ります。そうすると、細胞というのは必ずくっついてくるので、くっつく面積がないので、細い繊維を入れると丸くなるんです。ところが、繊維を太くすると、こういうふうに細胞がぺちょっと進展します。あとは全く同じ条件です。だから、材料のナノのサイズをコントロールする、あるいは表面のでこぼこをコントロールすることによって、細胞の形が変わる。細胞の形が変わると、その次の細胞の機能も変わっていくんです。ということなんです。だから、材料を作ることによって、難しいタンパクとか遺伝子とかをいじることなく、ナノのオーダーで細胞の状態を変えることができる。

 もう一つは、細胞というのはお互いに相手を認識しています。その間にナノオーダーのタンパク質がいっぱいあるんです。そのタンパク質の方向性なんです。タンパク質の配向なんです。めちゃくちゃランダムに相互作用してもだめで、しっかりとした配向で相互作用しています。そこで、タンパク質みたいな小さいものをうまく配向させてナノオーダーで並べていく技術、それは何かというと半導体の技術なんです。半導体は何しているかというと、こういう繊維、素子を並べています。それをタンパク質にするんです。そこでちょっと頭を絞って、タンパク質を配向させます。そうすると、普通の細胞がなくても、赤ん坊の細胞が、お母さんと間違えてナノテク材料の台の上でどんどん殖えていくんです。だから、そういうふうなテクノロジーがあります。その辺はもっと広げていかないとだめなんです。

 そこで、これからどういうふうにしていかないとだめかというと、私たちの体というのは3次元の塊なんです。だから、塊の研究をしていかないとだめです。ところが、塊の研究というのはいろいろあるんです。例えばインクジェット法とか、いろいろあります。ところが、今、細胞はうまく準備できてきた。iPSからいろいろなものが出来てきます。

 もう一つは、こういうふうなナノ、こういうオーダーが出来てきているんです。ところが、そういうものが出来ていても、この中に細胞を入れても血管がないんです。だから、死んでいくんです。あるいは、プリンティングの毒性なども残存します。この材料も、細胞を作るのに細胞が死んでいたら困るわけです。そういう材料の特性、あるいは異なる2つ、3つの細胞をうまく相互作用させていくというふうな、そういう技術も必要なんです。ただ単に細胞ありきじゃなくて、細胞の周りの環境をバイオマテリアルを使って作っていかないと、こういうことができないんです。

 この出口はどうなるかというと、例えばオーガンチップみたいなことです。アメリカでずっとやっていたんですけれども、製薬メーカーは興味ない。なぜかというと、製薬メーカーでやっていたこととオーガンチップが全然パラレルじゃないんです。そこで、これ、アメリカも何百億と掛けてやっていたんですけれども、途中、変わります。今は3次元細胞組織化のオーガンチップなんです。こういうふうな時代になっているわけです。ただ単に細胞を並べるだけではだめなんです。オーガンチップのテクノロジー。細胞は手に入りますよね。これからは材料なんです。それに常にアメリカは物すごく大きなお金を出しています。そこで、今では細胞の研究者じゃなくて、バイオマテリアルの研究者が中心となってこういうものを引っ張っていっているんです。

 先々週、中国に行ってきました。中国は、バイオマテリアルの定義と今後の方向性について、例えばジェネラルバイオマテリアル、バイオコンパティビリティ、これ、生体適合性、それから、再生医療とか、先ほど言った3次元の構築です。こういうものの定義と、今後どういうふうな方向になっているかというのを言っているんですけれども、全部やっぱりこの辺の3次元的なことをやるために、それに行きましょうと。

 ところが、バイオマテリアルのレベルが低いんです。やっぱり日本はすごくバイオマテリアルのレベルが高いんです。それは特に加工の技術のレベルが高いんです。だから、そこのところをやっていかないと、やっぱり日本としては面白いことが僕はできないと思います。だから、材料はいろいろあるわけです。その材料を使って、細胞をどういうふうにさせるかというのがこれからのバイオマテリアルということであります。

 私たちがやっているのは、例えば細胞をこういう3次元にすると、栄養、酸素がディフュージョンで入ってくるんです。中が詰まってしまうと、中が腐りますよね。だから、中に血管のようなものを作りたい。そしたら、血管の細胞を入れたらいい。でも、血管の細胞を入れても、うまく血管が出来ないんです。それは材料がないからです。そうしたら、血管の代わりに小さな粒、ハイドロゲルの粒を入れます。粒と細胞を同時に、細胞のアグリゲートを作ります。そしたら、ハイドロゲルの粒が均一に細胞の周りの中に入っているわけです。ハイドロゲルというのは水を含んでいますよね。だから、細胞は、栄養、酸素というのは水の層が含んできますので、血管がなくても、ハイドロゲルのナノパーティクルを入れることだけによって、ちゃんとした大きな粒が出来るだけです。そうすると、物すごく大きなものでも中が死にませんということなんです。こういうことできることによって、先ほど言った研究とか創薬の研究、治療も進んでいくわけです。それが加工の技術になるわけです。

 そこで、最先端のあれですけれども、私たちはハイドロゲルの粒を入れることによって、ヒューマンiPSから45層細胞を積み上げて、人間のこういうふうな心臓の塊、壁を作ることに成功しています。これ、何で成功したかというと、細胞学ではないんです。バイオマテリアル、ナノテクノロジーがあったからなんです。だから、そこのところをもっと伸ばしていく必要が僕はあると思います。

 あるいは、骨から軟骨に行くときに、骨から軟骨に変わっていくんです。この辺のところというのはすごく難しいんです。それをうまく作ることができます。例えばこれは何で変わっていくかというと、タンパク質の3次元の濃度勾配が出来ているんです。それを実際に人為的に作ります。スポンジの中にナノテクを使って3次元の濃度勾配を作ります。そこに細胞を入れますと、体の中と同じような形で、ここの軟骨、骨の間の境界領域がしっかり試験管で出来るんです。それができることによって、もっといい薬の開発ができるんです。ここのところは物すごく面白い分野であります。

 そこで、最後ですけれども、すいません、あと1分だけ頂きたいと思いますけれども、いいですか。そこで、研究領域、これから注目するところはいろいろあるんですけれども、今日私が申し上げたいのは、細胞力をアップする技術なんです。だから、周りの環境をいかに作っていくかということです。そのときに3次元です。2次元でやっていたのを3次元にしないとやっぱりだめなんです。それともう一つは、炎症のコントロールです。慢性疾患、今日は言いませんでしたけれども、糖尿病で、挙げ句の果て、なれの果てで慢性疾患になって透析になりますよね。その前にそういう慢性疾患にならないようにコントロールしていくというのもナノテクで出来ていきます。

 もう一つは、抗炎症性の制御をマクロファージでやると、抗炎症性を制御すると、いい再生医療ができますよと言いましたけれども、それだけではなくて、先ほど言いましたように、材料の表面に抗炎症性、いいマクロファージを寄せるように、そこで活発にするようなナノテクの表面を作れば、新しいタイプの生体適合性が確立できるんです。これは私たちの30年間、40年間バイオマテリアルをやってきた夢なんです。そういうことがだんだんできるようになってきているということです。

 ボトルネックは何かというと、まず加工の技術なんです。加工の技術はいろいろあると思うんです。ところが、その加工技術がバイオとかこういうところに全然入っていないんです。例えば会社に行っても、「私たちは細胞はよく分かりません。ちょっと気持ち悪いですね」みたいな感じなんです。だから、そこをどうやってつないでいくかというのは非常に大切だと僕は思います。

 例えばバイオマテリアルの概念。今申し上げた概念。バイオマテリアル学会があっても、医療材料とDDSだけなんです。そうじゃないですね。バイオマテリアルというのは物すごい広い概念なんです。バイオマテリアルというのは結局、人工物と天然物の相互作用を見る学問なんです。だから、そういうふうな感じで考えていただくといいと思います。

 学問、産学のコミュニケーション能力不足です。これはどうすることもできません。経験しかないと思います。技術の類似性を再認識。新しい技術を作るんじゃないんです。先ほど申し上げた、こういうところにタンパクを平行して並べる。それは半導体の技術なんです。その技術を少しAとBというやつを、Bを変えるだけで新しい分野に入っていけるんです。だから、技術の類似性をいかに見ていくかということなんです。

 そこで、少しいろいろ考えたんですけれども、バイオ材料工学とかバイオ制御工学とか、いろいろ考えたんですけれども、なかなかいい言葉がないんですけれども、要は、細胞の状態、細胞が体の中であるようなそういう環境を作っていくために、バイオマテリアルを使っていくというのが今後の方向性だと思います。

 以上です。御清聴ありがとうございました。

【三島主査】  どうもありがとうございました。バイオマテリアルというものの概念をかなり広く捉えなくてはいけないというお話ですけれども、何か御質問、御意見ありましたらお願いいたします。

 常行委員、どうぞ。

【常行委員】  大変面白く拝聴しました。この分野はよく知らないので教えていただきたいんです。医療に関わることなので、法律的な問題で、こういう材料が使えるか使えないかという治験というのは物すごく時間が掛かるような気がするんですけれども、その辺での御苦労というのは?

【田畑様】  治療をやるときには、今現在、厚生労働省は3つあります。1つは薬です。もう一つはメディカルデバイス、医療材料です。もう一つは、再生医療等製品、細胞と遺伝子です。このバイオマテリアルに関しては、これは今までのメディカルデバイスです。だから、実際の医療材料で上げていくので、何ら法律の規制とかそういうのではなくて、だから、普通に上げていくことができます。それは会社もやり方は分かっていますし、どういう評価をすればいいかというのも分かっている。でも、出口、治療に対する与え方、インパクトが全然違う。だから、見方、その材料をいかに使っていくかということだけなんです。新しくハードルがものすごく高くなるというものではないです。

 後半にお話しした研究であれば、そういうのは全く関係ないです。私たちは会社と一緒に組んでいて、最初にバイオ研究のための商品開発のような研究をやりましょうと。研究をやって面白い材料が出れば、それを今度は普通の研究だけでなく創薬研究でやれば、製薬メーカーにつながっていきますよね。それはちょっと大きくなる。そこで細胞が死なないということを確かめて、でも、その材料を体の中に入れることができなければ、その会社がそれのアイデアだけを使って体の中に入れる材料に変えていく、あるいはほかの会社とやって治療に上げていくというふうな、プロセスプロセスでやっていかないと、なかなか最初からばんといくというの難しいので、そういうところもやっぱり大学人がある程度バイオを指向している会社にそういうふうにいろいろ話をしていかないと、なかなか難しいんじゃないかと考えています。

【常行委員】  ありがとうございます。

【三島主査】  どうぞ。

【加藤委員】  面白い話ありがとうございます。2つ質問があります。やっぱりポイントは加工だということで、いろいろな加工技術を持った企業があるけれども、バイオを持っていくと、「いや、私は」とおっしゃるとおっしゃいますが、スライドを拝見すると、もう400社とやっておられて、それでもまだ例えば足りないんでしょうかというのが1つ質問です。例えば繊維産業なんかは古臭いと思われていますけれども、加工自体はもうかなり外国に行っているんですけれども、物すごい技術を持っていますよね。そういうところと……。

【田畑様】  先生、先にそれにお答えしていいですか。

【加藤委員】  はい。

【田畑様】  400社というのは、治療を目指した共同研究の数です。違うところを先生は見られているようで、説明がわかりにくくてすみません。実際には僕は60社か80社ぐらいの会社とやっているんです。その中の加工を本当にやっている会社は二、三社なんです。例えば繊維を作っている会社はあります。材料を作っている会社はあるんです。ところが繊維を作っている、材料を作っていても、加工するというのはまた別の業界になってしまうので、そういうところでやっぱりまだまだ必要です。だから、まだまだそういうのが必要で、表面のでこぼことか、表面のプラスマイナスとか、そういうのをやっぱりきっちりやっていただくところは必要だと。

【加藤委員】  ありがとうございます。それからもう一つ、最後の方でおっしゃった加工技術のところで、半導体産業のいろいろな微細加工技術がこのバイオマテリアルに使えるということでおっしゃるとおりだと思うんですけれども、本質的に違う点というのが、要するに、半導体技術って水を嫌いますよね。それから、バイオは水の中でやりますよね。ここの壁が破れているのか、何が必要なところなのか。つまり、単純に移せるのか、そこをみんなでやらなければいけないのか、もう先生が解く鍵をお持ちなのか、その辺が知りたいんです。

【田畑様】  まず今、私は解く鍵を持っていません。ただ単に、配向して並べる、ショートしないで並べていくという技術を彼らは持っている。それをタンパク質でやって。それで、先生が言われたように、水の中と水の外、違うところというのはすごく大きなギャップがあるので、そこは今後工夫していかないとだめなところであります。半導体でお話をしていても、やはり水をすごく嫌うので、水を嫌っているともう全然だめなので、上にシールするとか、そういうふうな技術もやっぱり考えていかないとだめだと思います。だから、私たちがやっているから既に答えが出ているというものではありません。

 実際私たちは、半導体の会社で一緒に、1つ例を出しました。あれは半導体の会社と一緒にやって、ああいったことができたんです。ところが、もっと細かいことをやっている会社というのがいろいろなところがあるので、そういうところでまだまだいろいろなことを私たちは考えて組んでいきたいと思っています。まだまだやることはたくさんあります。

【加藤委員】  ありがとうございました。

【三島主査】  他にございますでしょうか。

 はい、武田委員、どうぞ。

【武田委員】  どうもありがとうございました。例えば再生医療でiPS細胞から心筋細胞を分化誘導するときに、必ず培養液中にやはり必須の誘導剤となる因子を加える、それがかなりメジャーであることは間違いないと思うのですが、それに加えて、やはり今日先生がお話しいただきましたように、基材の状態の硬さであるとか、表面構造、表面の親水性・疎水性、あるいは更にもっと高度な加工をすると効果は上がるというのも知見はもちろんたくさん出てきているのですが、実際にはいろいろなものがやはり相互作用していって、最終的に目的の、細胞が心地よい形で出来ると思うんですが、ドラッグというかバイオマテリアルがそこをどこまで貢献できるか。例えば培地中に添加する誘導剤がとても高額だというのもあるんですけれども、それよりはもっとコストが低くてこういうことがもしもっと誘導効率を上げたりすることができれば、本当に大きなアドバンテージがあると思うんですけれども、その辺りの可能性、どこまで行けるのかという。

【田畑様】  まず効果という話ですが、細胞に入れる材料というのはタンパクとかいろいろなものがあるんですけれども、それを細胞に入れると同時に、やっぱり下の足場を変えていくとすごく効率が上がるというのもあります。それは結構論文が出ているんですけれども、それは散発的な例なんですね。ぽっぽっぽっと、系統的な研究ではないんです。だから、系統的な研究しっかりやっていかなければだめです。

 もう一つは、細胞足場基材の場合で、2次元の基材に薬を入れるんです。ところが、実際には3次元の基材にして、3次元に加工して薬を入れるという研究は余りないんですね。それをすると、もっと効率が上がるということは私たちはもう見つけています。だから、その辺のところをやる。そのときに、やっぱり3次元の加工の技術は非常に必要であるということなんです。

 薬を細胞に与える元気にする。加えて、細胞がくっつく足場材料も細胞を元気にするには必要です、だから、家と餌ですね。実際体の中というのはそういうふうになってなくて、家と餌が一緒になっているんです。だから、家の壁の中に餌が塗られていて、それを食べながら生活しているんです。だから、今後はそれに近いような感じ、その辺のところに今、研究は行っています。例えば基材があって、培養液中に薬を与えるのではなくて、下から足場から染み出すような形にすると、やっぱり体に非常に近いような状態になります。そういうのもありますし、また、1つのファクターだけではなくて、いろいろなファクターを下から出すとか、方向性を考えるというときには、やっぱり材料というのは、3次元的な材料確保というのがすごく必要になってくると思います。

 それともう一つは、お薬をいろいろ見つけているけれども、こういう世界は、このお薬があるとこっちの方に分化しますよという報告があるんですね。ところが、それをよく見ていると、完全には分化しないんです。しかし、今それしかないから使っているというのが、生物の方の人の状況もあるということです。それをもう少しよい効果を出していくためには、薬の開発はずっとやっていくけれども、薬だけでそれはクリアできませんので、やっぱり材料も一緒に組み合わせてやっていかないとだめだと。

 例えば再生医療というのは16年前から始まって、細胞と薬関係、細胞の餌になるもの、それと、足場が同時にスタートしたんです。ところが、細胞というのはずっと出来て、細胞はいろいろな成果が出ました。細胞を売っている会社も出ました。ある程度ビジネスになっているんです。薬の方も特許を取って、薬を与えるのみで細胞を元気にする再生治療というのもあります。細胞移植の他にも再生治療の出口がありますよね。

 ところが、材料というのは、今まで周りの環境というのは余り皆さん考えてなくて、細胞学の先生に言うと、まず細胞の素性が分からないと、周りのことまで頭回らへんやないかという感じなんです。そこで、同時にスタートして、私、途中で言いましたけれども、細胞というのは、研究はもちろん必要なんですけれども、現在は、材料学者に細胞を買うことができるんです。タンパクとかそういうものも買うことができます。そういう時代になったときに初めて、やっぱり細胞の周りの環境が必要になってくるんです。ところが、今の段階でもう環境が必要になっているにもかかわらず、今から、最初から、16年前からやっていたナノテクの材料の会社とか研究者は、これだけやっても全然出口がないからやめておこうという、こういう感じになってしまっているんです。

 だから、ちょうど今、細胞も、材料、薬もちゃんと買えるようになってある程度レベルが上がってきているときに、本当に材料があって初めてフィニッシュすると私は考えています。だから、そういう意味で、まだまだやることはあるというか、組み合わせなんですね。だから、私は材料の方でこういうふうな分野に入っていっている方というのは、意外とほかの、細胞をやっている方と、それから、薬をやっている方に比べて、ものすごく少ないし、もう一つは、それの組み合わせというのがいまいちうまく機能的にはいってないと思います。だから、その辺のところをうまく組み合わせていくというのが僕は非常に大切だと思います。日本は加工の技術は物すごく進んでいるので、それは全世界歩いたら分かります。だから、そこのところはやっぱり組み合わせていく時期がちょうど来ているんじゃないかなと私は考えています。

【武田委員】  ありがとうございます。100%の機能までというところ、残りのところがまだ出来ていないという課題が1つと、それから、効率がまだいま一つ悪いというところの2つ大きく課題と認識、だから、そこが……。

【田畑様】  そうです。先生が言われるように、分化というのは、いろいろなものに分化させたいんです。だから、1つのものに分化するというのは出来ているんですけれども、なかなかいろいろなことには応用ができない。そこで、次の現実的な方向として、やっぱり組み合わせ技術がありまして、適正因子と周りの環境、両方を組み合わせていくことがこれからは必要になると思います。

【武田委員】  分かりました。そこに大きな期待が……。

【田畑様】  それは期待があるというか、私、少なくともそれができないと無理やと思っています。周りがどうであっても、私はやります。

【武田委員】  分かりました。ありがとうございます。どうも。

【三島主査】  それでは、中山委員、どうぞ。

【中山委員】  田畑先生とは、もう10年以上経ちますが、内閣府で第3期科学技術基本計画のこの分野の内容を検討する委員会でご一緒させて頂きました。細野先生が主査で、田畑先生がおられて、一緒に戦略を練った思い出がありますが、そのときと余り状況も変わっていないという感じも致しました。先生の分野というのは、文部科学省と厚生労働省と経済産業省の真ん中あたりにあって、しかも材料とライフサイエンスや医療の真ん中辺にあると思います。そこが相変わらず分断、あるいは間が空いていることがある。各セクターが一緒にやるところも最近かなり増えてはきていますけれども、実際のところはうまくいっているのか、あるいはどういうふうに改善していったらいいのか、ずっとこのような戦略を考えてこられた先生のお考えをお教えいただきたく存じます。

【田畑様】  これからやっぱり若い方、材料をやっている方はバイオに入りたいと思っています。それは前よりもだんだん増えていると思います。それはもう明らかです。ところが、バイオをやっている人と、生物と医学の先生の要求度がかなり高くなってきているんです。人工血管だったら、チューブを作って、強度とか、血液が固まる、固まらないは血液だけだったらよかったんですが、今は、人工血管の開発をやるときでも、もっと遺伝子とか細胞の中身のことをやっぱり要求するようになってきているんです。だから、それをやるためには僕は、授業とか、座学というのもあるんですけれども、やっぱりこれは実学と思いますので、研究室の中で工学の人に細胞培養、動物実験などをやらせて、生物、医学の方に工学研究をしてもらう。そこでお互いの気持ちと言葉、文化をわかってもらう。そういうことが可能となるような場所を作っていかないと、材料をやりとりするだけのそれだけではちょっと難しいと思います。だから、そういうふうな境界領域をやる道場みたいなそういうものがないと、なかなかこの境界分野の実現は難しいんじゃないかと思います。状況は全く変わってないんです。だから、生物、医学の方のより要求度が高くなってきているんです。

【三島主査】  よろしいですか。続いて栗原委員。

【栗原委員】  どうもありがとうございました。境界領域は非常に難しいということもよく分かりましたが、夢もあるということもよく分かりました。今、医学と工学の大きな距離とか、技術の類似性の再認識が必要ということを言われましたが、それをどうやってアプローチしていくのかということに関してはお考えはおありですか。

【田畑様】  さっきちょっと申し上げたように、やっぱり常に医学者と工学者一緒にいないとだめなんです。材料を医学者のところへ持っていってお願いするだけの共同研究すではやっぱりなかなかお互いが信じ合えないんですね。最初、言葉が通じません。ところが、話をしていると、お互い人間なので、決して医者は宇宙人ではありませんので、だから、同じ、そういうふうな信頼関係が出来てくると、お互いに助け合う。だから、そういう境界領域をする場を作ることが必要ですね。これは実学なんですね。だから、教育を付けて、授業とか私たちはよくやっているんですけれども、やっぱり授業をするだけではなくて、お医者さんにはものづくりをさせる。工学の人には手術をさせる。培養させる。だから、そういうふうなところがないとなかなか難しいんじゃないかと思います。私が経験した中で、それが本当にこういう分野を進める唯一の方法なんじゃないかなと考えています。

【栗原委員】  信頼関係が出来ないと、課題がオープンにならないとのことですが、課題をクリアに言ってもらえれば、解決策があるという場合も多いのではないかと思うんです。

【田畑様】  そうです。そのためには、まず申し上げるように、お互いに分かりやすくしゃべるということです。そういうふうなやっぱりコミュニケーション技能というか、そういうのが必要ですし、分かりやすくしゃべれなくても、何度も何度もしゃべっているとお互いに分かり合うので、だから、そういうところまで行くかどうかということなんですね。ちょっとやっても、分野が違うとやっぱり難しと思います。

 例えば工学の人では、細胞培養はやっぱり医療よりも入りやすいので、細胞培養のことをやりたいと。ところが、その方は細胞培養をやったことがないのに、物を作ってくるわけです。それではやっぱりだめなんですね。それをやるためには、まずその方に細胞培養をやってもらわないとあかんですね。細胞培養をもらってから、細胞培養のためのものを考えると、やっぱりうまくいくんですね。だから、そこにもやっぱりお互いの理解ですね。こういう分野というのは本当に実学なんですね。だから、実学を何とかできるようなやり方というのがないとなかなか難しいと思うんです。うちのラボはずっとそれをやってきましたので、そういう意味ではいろいろな、境界領域の考え方をするような人が出来てくる。でも、それがどういうふうな形でそういうのを作っていくかというのはなかなか難しいですけれども、そういうのが1つの方向性かなと思います。

【三島主査】  それでは馬場委員。

【馬場委員】  田畑先生、どうもありがとうございました。そこにも出していただいていますが、バイオマテリアルの概念の定着というのは、我が国独自の問題でしょうか。世界的な問題なんでしょうか。

【田畑様】  これは、先生、世界的な問題です。先々週に中国に行って成都でバイオマテリアルの定義の議論をやりました。バイオマテリアルの定義というと、やっぱり先ほどのように、メディカル医療材料とDDSなんです。体の中で使う材料なんですね。ところが、バイオマテリアルというのはそうではなくて、人工物と天然、神様が作ったものとの相互作用を見ていく学問だと私は思います。だから、その辺のところというのはやっぱり日本から発信していかないとだめだと思いまして、私、この前の定義のときに大分言いました。言ったんですけれども、「それもあるけど」みたいな感じで。だから、お答えは、世界的なものではないです。

【馬場委員】  先生が今日おっしゃったようなバイオマテリアルの新しい定義というのが、実際に材料の企業の方々とか、工学系のほかの材料のグループが参入する上で非常に重要だと思うんですが、そもそもバイオマテリアルの概念がそこに定着してしまった原因というのは何かあるんですか。

【田畑様】  原因は、バイオマテリアル学会を作ったときですね。作ったときに、やっぱり人工臓器というのが一番最初にバイオマテリアルとして定義されたというのがあります。そこでやっぱり人工臓器を、日本独自のものはではないんですけれども、それを臨床に使ってきたという具体例が出たので、これがバイオマテリアルの代表になってしまったと。もう一つ、一方、ドラッグデリバリーシステムという学会が出きたのですけれども、ドラッグデリバリーシステムの学会に入っている人とバイオマテリアル学会の人とはかなり同じなので、そういう意味では、DDS、バイオマテリアルをごっちゃになって考えているんです。

 そこに再生医療が入ってきていますが、再生医療というのは、完全にバイオロジー、発生学と臨床なんです。そこに材料が入ってくる必要があります。誰が入るかというのは、バイオマテリアルの人が一番内容が近いわけです。その理由は体の中で使っているから。ところがそれは違っています。彼らが求めているのはそうではなくて、周りの環境を作ってほしいということなのです。再生医療が始まって初めてバイオマテリアルの定義をもう少し考えなくてはいけないといけないです。それがないと、再生医療の片手落ちという話なんです。細胞だけではなくて、やっぱり材料側ですね。細胞が元気になれば、自分で組織を作っていくんです。けれども、細胞が元気じゃなければ組織はできないんです。最初は、工場で作った材料、すなわちバイオマテリアルを与えてあげなきゃだめです。じゃないと細胞が元気なり組織の構築ができないんです。そこで、バイオマテリアルの定義に新しくこういう考え方が入ってきたんじゃないかと考えます。

【馬場委員】  ありがとうございます。

【三島主査】  それでは、まだあろうかと思いますが、少し時間が押しましたので、次に行こうと思います。田畑先生、大変面白いお話をありがとうございました。

 それでは、続いて、細野先生どうぞよろしくお願いします。机上配付資料2です。

【細野様】  東工大の細野です。余り立派な話はできないんですけれども、僕も後期研究者になりましたので、少し自分の研究とその関連で、材料コミュニティというのは非常に大きな問題があるなということを感じておりますので、この機会にその話題を提供させていただこうと思います。

 まず材料って何かというと、これは非常に結構面倒くさくて、英語ではこれ、ないんです。材料と物質は同じなんですね。物質の中で直接人類社会に役に立つものです。ですから、よく物理の人と議論すると面白いのは、社会のための物理といったら、そんなものは意味がないと。社会がなくても物理は成立すると。これはよく言われる議論です。ところが、材料というのは、人間がいないと全く存在しない、定義からもともとない学問。

 そういう中で、どういうものが大学の材料研究だろうかという。これは私の論です。まず第1は、とにかくオリジナリティがなければ話にならん。世界が認めるオリジナリティ。日本的なオリジナリティなんてもうほとんど意味がない。それから、新領域の開拓に最大の価値がある。新しい価値を作る。ですから、この結果というのは、公開が大前提なんです。これが非常に、材料って役に立って、なおかつ世界的なプライオリティを取らなければいけない、公開が前提だと、ここに本質的なコンフリクトする部分があるわけです。

 例えば1番は、『Nature』、『Science』に代表される極めてレベルの高いジャーナルに載るような学術の成果が出ればいいという話なんですけれども、2番目は、そんなのでは、これは物質科学にしかならないと。材料の学術のブレークスルーが、産業化や社会的問題の解決につながらなければいけない。そのためには、どうしても企業の協力が必要です。

 3番目は、もちろん大学ですから、その過程で、志の高い、権威にこびない若手研究者が育つということが、僕はこれら3つがそろったのが、大学の材料研究の理想だと思っています。

 今度は、個人的には、僕は15年ぐらい前からずっとこれを言っているんです。多存元素から成る固体中の電子をうまく使って役に立つ機能を実現する。具体的にはどういうことかというと、アモルファスシリコンを超える半導体。2番目は、銅酸化物を超える高温超伝導体。3番目は、温和な条件で働くアンモニア合成触媒。このうちの2番目はしくじっていますけれども、1番と3番は僕は何とか実現できたかなと思います。

 今日はその中で、最初の話、半導体の話を始めさせて、そこから生じた問題を少し紹介しようかと思います。これ、後期研究者になる前に、ここ25年ぐらいずっと固体の中の電子を働かせて新しい材料を作ろうということをやっていたんですけれども、この建物もそうですけれども、近代建築というのは、実際3つの材料から出来ているんです。鉄とガラスとセメントです。これも全く偶然ですけれども、鉄とガラスとセメントで出来たものです。ガラスの半導体、これが、後で出てきますけれども、今、大型の有機ELテレビ、電機屋に行くと、置き場の一番前にドカンと置いてありますよね。あれは僕らが作ったIGZO半導体で動いているわけです。ですから、これが出来ることによって、僕は女房と子供に、「お父さんどうせろくなことやってないんだろう」とずっと言われていたんですけれども、少し役に立っていることをやっているんだというので、少し肩身が広くなったんですね。

 それから、2番目はセメントの、これ、こんなものが何の役に立つかということですけれども、これをうまく利用すると、実は透明半導体になって、金属になって、これが実はちょっと上に工夫すると、低温低圧で動くアンモニア合成触媒が出来たわけです。

 それからもう一つは、これはもともとこちらが研究の本筋だったんですけれども、透明半導体。P型の部分から実は鉄は超伝導にならないと言われていたんですけれども、ここから実は鉄系超伝導体。今年ちょうど高温の部分が出来て10年なんですけれども、10年間で論文がおよそ3万報出たという状態が実現しているわけです。

 それで、昔から僕は教科書に載るといいなと思っていたんですけれども、今年これが実現しました。C12A7というこんなありふれた元素から成る物質からいろいろな機能が出てくるんですよ、物質の可能性というのは大きいですよということを高校の化学の教科書に載せてくれまして、僕は、『Nature』に論文が出るより、はるかにこっちの方がうれしいですね。

 それで、IGZOの話ですけれども、IGZOというのは、薄膜トランジスタというのは何かというと、ディスプレイの一つ一つの画素に開閉している、そのスイッチの代わりに動かしている部分が実は薄膜トランジスタ。これはアモルファスシリコンという、僕が学生時代にちょうど作られた材料があって、これがずっと30年近く独占的に使われていたんです。実は今日のディスプレイの10兆円産業を作ったのはアモルファスシリコンなんです。

 それを置き換えたいというのがずっとこの研究の当初の狙いだったんですが、それがどうやらできてくるようになりました。これは実はアモルファスシリコンの移動、電子の動きやすさというのは0.5なんです。その30倍大きいわけです。それで、スパッタで簡単に出来るということです。これは最初、95年に始めて、こういうふうにすればいいんだよという話をしてですね。このときは全然反響がなかったんですけれども、この時の研究は科研費でやったものです。

 この後、1999年からERATOでこのテーマ、一部として入れておいたんですけれども、このときこれでIGZOの結晶とアモルファスの半導体を作って、TFTを作って、それが2012年からスマートフォン、iMac、それから、これ、僕が使っているのがそうですが、マイクロソフトのSurface Pro4、それから、55インチのOLED TV。今65インチが随分出来ていますが、これはもう30万円台になっていますよね。アメリカでこれは2,000ドル切ったという話になりまして、今、これがよく売れています。こういう状態になっています。

 それで、これ見てください。こんな大きいです。これ、G8です。大したことない。シャープは10だったんですけれども、今、中国は10.5です。もうこんな大きいです。こんな大きい基板で65インチのパネルが一遍に8枚取れる工場が今年2つオープンして、来年もう2つぐらいオープンして、このままいくと、物すごい勢いのディスプレイが中国から出てくるという状況です。

  今、イノベーション、イノベーションとイノベーションの大合唱のわけです。それでは、イノベーションの担保というのは何かと。もちろん知財ですよね。では、研究者のある意味でのパフォーマンスというのは、どういうふうにして多くの場合一般的に測られているかというと、結局、引用論文なんです。これは本当に正しいんだろうかと。各分野を全部統一して測るときは1つの物差しが必要ですから、論文が論文に引用されたのでいい。ところが、イノベーションはそれで測れるはずがないというのが僕の持論なんです。それを僕は、Clarivate、前のトムソン・ロイターです。トムソン・ロイターがノーベル賞の予測をして、新聞に従ってみんなそれで動くなんてばかげているとずっと言っていたら、彼らが「じゃ、これ、先生のを分析してきました」と言ってこれをこの間持ってきたんです。

 これ、私の場合の分析例です。引用文献のWeb of Scienceに1番から14番まであります。例えばこれはパテントに引用されたものです。例えば鉄系超伝導、5,400回引用されているんですけれども、これ、物すごく多いんですけれども、実はパテントに引用されたのはたかが5回しかないんです。たかが5回です。だから、これはこれまではイノベーションにほとんど全く寄与していないんです。2番目と、これは向こうが調べてきたこのブルーのやつ、これは先ほどのIGZO関係の論文です。例えばこの論文は、引用も多いですけれども、実は論文が論文に引用されるより、特許に引用された方がはるかに多いんです。このJJAPの論文は本当の典型ですよね。これはどこだろう。これはたしかJJPA(日本の応用物理学会の論文誌)ですね。400回しか引用されていないのに、特許ではこの10倍引用されているわけです。

イノベーションの担保は特許です。大学の場合は製造していないので、企業だったら防衛する特許というのは意味があるわけですが、大学の場合は防衛する特許は意味がないわけで、それをどうやって評価をするかといったら、やっぱり特許が特許に引用される、論文が特許に引用される、それがやはり大学のイノベーションに関係する分野の評価法のはずなんです。少なくともそこを除いた評価法はありえないと思います。それが今までずっと、論文が論文に引用された回数だけが独り歩きをしている。これは非常に評価の仕方が僕は単純だろうと思う。理学も工学も生命科学も一緒にして評価をしてしまう。これではちゃんとしたイノベーションが僕は育たない。特にエンジニアリングの分野というのは、やっぱり論文だけじゃ全くないです。例えばネオジウム磁石を発明した佐川さんの仕事って、論文の引用件数は際立って多いわけではありません。実は特許で見たら多分物すごいです。それがイノベーションの本質だと思います。是非この中におられる官僚の方も、こんな片手落ちのことはもう直してください。文科省はNISTEPを持っているわけだから、やる気になればできるわけですので、是非やってください。

 ここからちょっと話が。これ見てください。Forbesのあれです。最もペシミスティックな職業のベスト10です。これ、Forbes。この中に、3番、マテリアルサイエンティストです。これはどういうことかっていろいろな見方があると思いますけれども、これはForbesの見方です。これなんか見ると、結構面白いのは、この中で一番給料が高いのはこれなんです。将来消える、ペシミスティックの中で、マテリアルサイエンスの人というのは実は給料が一番高い。ですから、これはマテリアルサイエンスの人が見たんじゃないと思いますけれども、将来的に見て、マテリアルの外から見て、マテリアルサイエンティストというのは決して明るい職業じゃないという。これはそういうことが外の世界では言われていると。これは僕はある面の事実だと思います。例えば4番目を見ると、ニュークレアエンジニア。これは廃炉ですからね。これともう変わらないんです。これは僕は非常にショックを受けたんです。

 それで、学術会議の材料工学委員会で、実は材料系の学会の問題を一旦洗い出そうということをやりました。そのまとめを幾つか持ってきたんですけれども、日本の材料系学会は、実は小規模、細分化。これ、30あるんです、皆さん。学会が30あるんです。それで、そのほとんどが1,000人以下です。ですから、これはもちろん意味があって作られているでしょう。それから、経済的制約としては、学会活動、これしかいませんので、大きなことができるわけないわけです。事務局のサポートの限界があります。例えばアメリカのMRSというのは、会員数で1万5,000人だったかな。それで、半分以上がアメリカ以外、専従職員はおよそ50人です。それが会費なくても、年2回の大会の参加費と出版だけでやっていけるんです。日本はこんな状態です。もうひどい状態。それで、新興分野の対応もできない。こういうこともできないと。

 それから、日本は材料は強い、生命線だと言われているわけですけれども、それが、日本発の国際会議がいまだにないんです。これはさすがにまずいので、この辺のところを何とかしようということから今動きを始めているところです。もちろんこの低グローバル指向というのは、外国人会員がほとんどいない。それから、東アジアの規模での考えていることが余りまだ具体化していない。それから、これは後で出てきますが、年齢構成。それから、当然、学会のクオリティとしては修士論文の発表会のレベルになっています。これが悪いと思わないですけれども、プロの研究者の発表から構成される学会がありません。こんな低レベルのことで学術が伸びるわけがない。それから、当然、インパクトファクターはほとんど1以下ですから、出版で収入が得られるはずがない。これが日本の材料系学会の現状です。

 それで、これはなかなか面白いデータなんですけれども、これは1995年の会員数を、正会員を1にして、会員数の年度による変化を取っています。ですから、95年に会員数が少ないところ、例えば電気化学協会は、あのときは会員数がそうとうに減っていた時期です。だから、電気化学協会は実はずっと持ち直しているんです。もう一つあって、表面科学、それから、自動車の関係が上がっていて、あとはダーッと下がっています。一番下がっているのは何かというと、金属学会、次にセラミックスと、典型的な材料系の学会が下がっているわけです。それで、日本の有効労働人口というのはこの線で下がっていますから、これはある意味仕方ないですね。これ、ずっと下がってしまっているわけ。繊維もこれですから、日本の材料系の主な昔の学会というのは、非常にこのライン(有効労働人口)よりも下に来ていると。このまま行くと、相当これ、ひどい状態になることが容易にわかります。

 もっとそれに輪を掛けているのがこれです。正会員の年齢構成。これはとあると書いてありますけれども、どこもほとんど一緒です。この学会の正会員の分布というのは材料系は多分ほとんど変わらない。これを見ると、どこにピークがあるかというと、51から55にピークがあるんです。これ多分二、三年前の統計なので、それをこのままこっちにシフトしているだけで。このまま行くと、大体60から65で辞めてしまいますので、そうすると、学会がもう学会としての経営が成り立たない。これは不都合な真実だけども、どうしようもないですよね。これ、何とかしないとどうにもならない。

 ところが、それと全く違う対応の学会があって、これは基礎の学会です。例えば日本物理学会。日本物理学会は、このでこぼこがあるんですけれども、このでこぼこは何に効いているかというと、基本的にそのときの労働人口なんです。そのときの人口の比で大体が決まっていると。こんな極端な分布をしてないんです。物理学会ももちろん減っているんですけれども、材料系ほどこういう分布にはなっていないということです。これが日本の材料系学会の現状なんです。

 それで、僕はどうしたらいいかというのは、なかなかこれは分かりません。もう量で勝負をする時代じゃないのかもしれない。もう人口が減っていますから。やっぱり材料研究というのは、自分のポジショニングをはっきりしなければいけない。ナノに重点投資をしてきました。これが、世界的潮流の中で、材料研究のベースをあげるという点で寄与をしたことはあきらかですが、実際にどんな使える材料が出てきたのだろうか?この点は確り検証する必要があると思います。。ナノナノと格好いい論文を書いて、非常にきれいな絵を描いて、『Nature』、『Science』に載せることだけが若い人の目標になってしまったような印象もあります。いくら何でもそれはさすがにまずいでしょう。

 それはそれで意味のあることだけども、日本は外貨を稼がなければ食えない国なんです。それをどうやってするかというのは、やはり材料に仕立てなければいけない。どういうことかというと、やっぱり材料研究をやるには、昔流の材料工学というくくりでは僕は無理だろうと思う。マテリアルサイエンス、やっぱりサイエンスのベースにきちんとやらなければいけない。だから、企業がやるところと、あるいは物質科学でやるところ、この間を物質科学の側まで一旦下がってから企業のドメインのところまで持ってくる。そういうことが材料科学の研究のホームポジションだと自覚をしないとなかなか苦しい。

 それで、ケミストリーもフィジックスも、先ほど田畑先生からバイオの話があったんですけれども、実は一番伸びている分野というのは材料研究なんです。コンデンストマターなんです。この間、JSTのケミストリーのワークショップに行ったときに、僕は、ケミストリーの分子の化学なんてずっとやってもしょうがないんじゃないの? これからは、分子が欲しいんじゃなくて、機能が欲しいんだと。機能は何で決まるかといったら、コンデンストマターで集合で決まるんです。1個の分子では決まらないんです。それこそが新しいサイエンスだと。僕はそれでけんかを吹っ掛けるつもりで言ったんですけれども、若い人はみんな全然、「はい、そうです」という話になってしまってですね。

 それで見ると、実はアメリカのMRSも会員が少し減っているんです。それはなぜかというと、既存の学会が非常にマテリアルにシフトをし出した。例えばアメリカ化学会は、ケミストリー・オブ・マテリアル、あるいはアメリカ物理学会はフィジカルレビュー・アプライとフィジカルレビュー・マテリアルと、どんどんマテリアルの方にシフトしているわけ。ですから、マテリアルサイエンスというのは実は非常に成長している領域なんです。ところが、それとは裏腹に、材料系学会は全部侵食されて、どんどん沈没しているんです。これが現状です。

 ということで、以上です。

【三島主査】  どうもありがとうございました。まさにこの題目の「材料の研究とコミュニティ」ということで、矛盾もあり、様々な問題を抱えているというお話だったかと思います。それでは、細野先生に御質問がございましたらお願いいたします。

 橋本委員、どうぞ。

【橋本委員】  2つ質問があります。1つ目は、このForbesについてです。私はこれを知らなかったんですけれども、なぜこんなにマテリアルが上位に位置しているのか。これはどういう基準でやっているのか、もし分かれば。

【細野様】  それはAIが出てきたときに消える職業というところで多分。

【橋本委員】  そこで出てきたわけですね。それは誤解ですね。

【細野様】  誤解です。完全に誤解。

【橋本委員】  完全にね。

【細野様】  完全に誤解です。

【橋本委員】  それは宣伝の問題ということですね。

 2つ目は、材料学会のことで、おっしゃるように、ケミストリー・オブ・マテリアル、要するに、化学の世界でも、物理のソリッドステート・フィジックスでも、これらの分野がずっと材料をやってきているわけですね。

【細野様】  そうです。

【橋本委員】  そうすると、必ずしも材料の学会が残ってなくても、一体的に見て、例えば、物質・材料研究機構は、材料の研究者もいるし、化学の研究者もいて、物理の研究者もいて、中に入ってしまうと同じなんですよね。だから、必ずしも材料学会が減っているということに対して危機感を持つよりは、化学とか物性物理の人たちが、細野さんのいつも言われるように、使えなければ材料じゃないんだという観点を持っていくということの方が重要だと思うんですけれども、それは違いますか。

【細野様】  橋本さん言われることは大体僕も賛成なんですけれども、実は現実には、僕は、常行先生には悪いけれども、物理ぐらいファッションで動く学会はないですよ。もうほとんど流行で動いちゃって。

【橋本委員】  化学もそうですけどね。

【細野様】  化学もそう。ほとんどファッションで動いてしまって、役に立つ、役に立たないという価値基準で動いてないです。だから、例えば役に立たなくても、面白そうで、インパクトファクターが増えて、学会が人がたくさんいるようだったら、例えばグラフェンなんかたくさん山のようにいるわけです。カーボンナノチューブもそうです。

【橋本委員】  化学も徹底的にそうですよ。

【細野様】  それはそれで仕方ないのかもしれないけれども、そういうものからはあまり使える材料は出てこないと思います。それ自身は悪くないけど。

 もう一つは、だから、化学の研究者も物理の研究者も、使えるという概念、あるいは例えば金属でも、僕らはセラミックスだったですけれども、そういう材料から、それを本当にそこから新しい材料を作ろうとするかといったら、僕はしないと思います。結局彼らは、自分が育ったところのコミュニティの文化に染まっていますから、それはできない。

【橋本委員】  しつこいですけれども、私の研究所なんかは結構そうでもなくというか、今、運営上そう誘導しているんです。そうすると、意外とぐっと寄ってくるなという印象があって、できるかなと思っているんですね。だから、1つは、学会にというか、研究者側にそういうことを強く言うことは重要だと思うんだけど、ここなんかで議論すべきは、どういう政策的なことをやるとよいと思いますかということですね。

【細野様】  全くそのとおり。そういうことです。

【橋本委員】  どう思いますか。政策的にどんなことが必要と。

【細野様】  だから、橋本さん言われた、僕は政策的なことが極めて重要だろうと思う。ですから、材料の研究、役に立つかというときに、『Nature』、『Science』とか、インパクトファクターだけで測ったら、それは絶対だめですよ。

【橋本委員】  確かにね。おっしゃるように、はやっているところはとにかくサイテーションが多いので、立派な賞なんかをやるときに、化学とか物理が圧倒的に強くて、材料は圧倒的に弱い。それはもう完全に論文のサイテーションあるいはインパクトファクターが低い雑誌にしか出てないからなんですね。

【細野様】  そうです。

【橋本委員】  一方で、今日御紹介あったけれども、論文の特許に対する引用について、この前彼らが私のところに来て説明してくれて、イノベーションランキングというのをこのClarivateは出しているんですね。私たちの研究所が結構上位にいてくれるので、ありがたいと。どういう基準で見ているんだと聞いたところ、実はこの指標について話していました。

【細野様】  重要ですよね。

【橋本委員】  論文をどれだけ特許が引用しているかという、その情報を彼らは持っていて、それを今後ぐっと上げていくんだと言っていましたが、確かに非常によい指標だと思います。それだけではないですけどね。

【細野様】  それだけじゃないです。

【橋本委員】  だけど、これも確かに非常によい指標です。今回、細野さんの発表を聞いていやいや見事に表れているなと。見事に。

【細野様】  見事に、本当ですよ。

【橋本委員】  だから、これは確かに成果として見るときにはそうですね。確かにサイテーションの非常に高い、インパクトファクターの非常に高い雑誌にいくら出ていても、特許に全く引用されていないみたいなのは今、非常に多い。

【細野様】  ですから、それがどういう基準で。全部1つの基準で物を決めるというのは荒っぽ過ぎて、やはり学術だったらどうだ、あるいはイノベーションという観点からどうだと、その評価する観点ごとにデータベースを変えるというのは当たり前ですよね。そういうことがやられてないんです。

【橋本委員】  そうですね。だから、Clarivateはそれに気付いて、こういうことをやっており、どんどんこれから広げていこうとしている。

【細野様】  僕、これ言ったんですよ。

【橋本委員】  それで、ますますWeb of Scienceなんかでお金を取られる構造になっていくんですけどね。

【細野様】  そうです。もう一つは、僕は、大学の場合は、特許が非常に今お金が掛かって申請しにくいんですけれども、企業の場合だったら防衛というのが非常にあるんですけれども、大学の場合は作らないのでそれがない。そうすると、売れるかどうか分からないわけです。そうすると、特許の基準がないんです。だから、僕は特許が特許に引用されるということが、それを統計にきちんと入れれば、それはそれでちゃんと価値があると思います。

【橋本委員】  そうですね。私もそう。Clarivateの社長がわざわざ日本に来たわけですよね。

【細野様】  そうです。

【橋本委員】  私も、来て、宣伝して歩いて、まずいなと思いながら、確かにそれは1つの非常に重要な指標だなと思ったんですね。だから、そういうのを例えば政策的にいうと、イノベーション絡みの提案のときには、そういう欄を1つ作るというようなことですかね。

【細野様】  そうです。だから、例えば天文の人にイノベーションなんて言ってもしょうがないので、だから、それは分野によって基準が。そうですよね。これはこっちの方を向いて言った方がいいんですね。是非そこはやはりそうしないと、いわゆる実学をやっている人が死んでしまう。それは非常にまずい。ナノとか強相関とかはやりのところに人がみんな集中してしまう。

【橋本委員】  そうね。確かに少なくとも文部科学大臣賞の若手賞の基準にこれを入れるという手はあります。ただ、それを、今調べる手法がないですよね。Clarivate Analytics、ここに言ってやってもらう。ここもまだWeb of Scienceに載っけているわけじゃなくて、自分たちの中の分析手法の中に入れているだけですよね、たしかそうです。

【細野様】  実はかなりの部分がもうデータベースで出ています。

【橋本委員】  出ていますか。

【細野様】  出てます。

【橋本委員】  公開? Web of Scienceに?

【細野様】  Web of Scienceの……。

【橋本委員】  お金を払っていれば見られますか。

【細野様】  それにあるんです、シスター版が。

【橋本委員】  だけど、別のお金が必要でしょう、それ。

【細野様】  でも、東工大取ってます。前からありましたから。

【橋本委員】  そうですか。細野さん、自分でこれ取れますか?

【細野様】  これは自分で取ったけれども、僕は自分の特許を試しに見ると、わーっと出てきます。

【橋本委員】  いや、そうだけど、こういう数値で出さないといけない。自分で取れますか、これ。

【細野様】  橋本さん、例えばあれですよ、あれを見てください。グーグルスカラー。グーグルスカラーは、論文が特許(米国特許)にどのぐらい引用されたか全部出ます。

【橋本委員】  あれ、でも、トータルで出ませんか。

【細野様】  え? トータルです。全部出ます。

【橋本委員】  いや、トータルでというのは、だから、論文が特許に引用されたのはどれだけだというふうに出る、論文が論文に引用されたのがどれだけだって、そういうふうに出ます?

【細野様】  そうです。

【橋本委員】  そうやって出ますか。

【細野様】  出ます。

【橋本委員】  そうですか。では、それを書かせることは可能なのか。

【細野様】  大丈夫です。誰でも、今そこで内職してちょこちょことやれば、すぐ出てきます。だから、ほんとにそれを見ると、分野によっては全然違います。それは簡単にできることですから。ただ、その場合、今のグーグルスカラーの場合、USPしか対象にしてないんですね。だから、その問題はありますけれども。それから、スコーパスもこの間言われて、僕も調べたら、スコーパスはかなり特許が入っています。

【橋本委員】  でも、握られてしまうのがね。でも、確かにそれは1つの視点ですね。

【細野様】  ええ。

【三島主査】  ほかにいかがでしょうか。もう一つか二つ。

 林委員、どうぞ。

【林委員】  ありがとうございました。2つ教えていただきたいと思っています。1つ目が、材料系の学会がだんだんシュリンクしているという話だったと思うんですけれども、先ほどの田畑先生のお話のように、ほかの分野と融合していろいろ研究をされている先生方も出てきているということで、必ずしも材料の学会で発表しているのではなくて、例えば医療系が出口であれば、医療系のところで発表しているとかということもあるのではないかなと思いますが。

【細野様】  もちろんあると思います。

【林委員】  そういう意味でいくと、材料分野で活躍されている人がほかの分野で活躍されているということは現状としてそういう理解でいいのか。

【細野様】  僕はそれはあると思いますけれども、それがもっと頻繁に行われていたら、日本がこんなにていたらくになっていますか。僕はそれはまやかしだと思います。ほとんどそれは言い訳にしかなってない。

【林委員】  あともう一つが、若い方々を魅力的な研究で引っ張り上げていくべきだというお話があって、私もそのとおりだと思うんですけれども、まずそういうことをやるためには、今研究室を主宰されているような40代とか50代の方々のマインドも変えていく必要があると思います。

【細野様】  僕も全くそのとおりで、材料系と化学系の特徴は、年寄りが威張っているんです。例えばJSTの方がいるので、JSTのワークショップを化学でやるじゃないですか。びっくりしたのが、45以上と45以下で分けてやりましょうと。両方でやると、意見が言えないと言われた。あんなことやっているのはケミストリーだけですよ。実は材料系に来ると、金属系に来ると、もっと厳しいです。もっとヒエラルキーが強い。

 ところが、ヒエラルキーが強いから、勝ってきたという現実があるんです。有機合成もそうですが。ヒエラルキーが強くて、軍隊式だから国際的に勝ってきた。サムスンと一種同じですよね。だから、それで勝ってきたというのがあって、それが今まではそのパターンでよかったんですが、だんだん負けが込んでくると、やっぱりそれは変えなければいけないですよ。ということです。だから、問題は、勝っていれば、多分そこは直さなくてもできたかもしれない。もうむちゃくちゃ負けてみじめなぐらいになってくると、そこを変えないとどうしようもないです。

【林委員】  ありがとうございます。

【三島主査】  よろしいですか。

 それでは、栗原委員。

【栗原委員】  評価の話が出たので参考のためにお伺いできればと思うのですが、先生の研究の展開は、萌芽期から展開期へのJSTの戦略創造研究で、非常に大きく伸びた、すばらしい展開だったと思うのですけれども、ここのところでは、今先生の言われたサイテーション、特許でも論文でも、そこはどういうふうに見ていくのか。それぞれ研究に対する目利きというのが最終的には大事だと思うのですけれども、それに対して今数字の議論をされたので、何か御意見があれば思うのですが。

【細野様】  もう少し。今の質問、非常に分かりにくい。

【栗原委員】  先生は今、研究の論文のサイテーションと、それから、特許のサイテーション、それは非常に違うから、そういうものは区別することは非常に大事だと、複数の視点があるよとおっしゃったんですね。ただ、どちらもやはりサイテーションという数字によっているところは同じではないかと思うのですね。

【細野様】  そうです。

【栗原委員】  でも、御研究の道のりを拝見しますと、萌芽期から展開期のところが戦略創造で非常に展開されたところが大きいのではないかと拝見するので、その部分で同じような数字の議論ってできたのかどうかをお伺したいと。

【細野様】  IGZOに関しては非常にもう単純です。論文が出た途端、わーっと学会と産業界が動いてしまった、海外が。あの場合は何のそごもなかった。超伝導なんか典型的にそうですね。超伝導なんか1回いいのをやっても、産業界なんか全く動かないですよ。なぜかといったら、今のところ全く使えないもん。これは仕方ないですね。それは時間が物すごく掛かるものと、用途が既に明確にあるものというのは、僕はそれはどうしようもないと思います。

 数値がなくて測るというのは、確かに僕も数値が独り歩きするのはよくないと思うんですけれども、少なくとも、数値をどうやって判断するかは評価者の見識であって、何らかの数値を出さないというのはないと思う。

【栗原委員】  私もそう思います。

【細野様】  少なくとも、出すんだったらば、その目的に合ったきちんとした数値の出し方をしてくれということ。そうしないと、数値が1高いからといって意味があるわけじゃない。僕、インパクトファクター、いつも思うのは、例えば4.5と5.5で、これ、5.5の方がいいって、そんな、それ、誤差プラスマイナスの差があると言うんだけども、余り意味がない。余りに数値で動き過ぎますよ、あれ。ただ、議論のときに数値がないのはおかしい。それだけです。

【栗原委員】  数値をきちんと見た上で議論しろということが大事だとおっしゃっているということですね。

【細野様】  それをやらなければ、評価がちゃんとできない。

【栗原委員】  分かりました。そのとおりだと思います。

【三島主査】  まだあるかと思いますが、今のご発表はナノテク材料について来年へ向けて、どういう展開にしていくかというようなところに非常に重要な関わり合いがあるお話を頂いたかと思います。改めまして、田畑先生と細野先生、どうもありがとうございました。

 それでは、議題の3番目に参ります。ナノテクノロジー・材料分野の研究開発戦略についてということです。先日6月15日の第6回のナノテクノロジー・材料分野の研究開発戦略検討作業部会、こちらは昨年からずっと働いていただいておりますけれども、この作業部会で素案が取りまとめられましたということで、この作業部会の主査を務めていただいている中山委員から御報告を頂いて、議論をしていただければと思います。では、よろしくお願いいたします。

【中山委員】  どうもありがとうございます。多くの皆様のお力で素案までくることができました。検討会の先生方の献身的な御努力と、ナノ材委員会からの多岐に亘る建設的御意見を反映することによって、ここに至っております。本日も御意見等頂きまして、更によくしていく努力を重ねて参ります。

 本日は2つの資料を配付しております。1つは研究開発戦略(素案)と、それをA3のポンチ絵にしたものです。本日はA3の方で、修正点を中心に全体の流れを御説明いたします。

 1ポツのところは、ほとんど変わっておりませんが、現況での変化を俯瞰的に述べたものです。分野の置かれた位置付け、役割、そして、世界の動き等を記しています。材料の役割や周辺環境の変化、政策上の位置付け、分野の強み、我が国の強み、また弱みもあります。諸外国の動向、そして、新たな未来社会の実現に向けたことを記載しています。例えば(4)等に、細野先生から頂いたような御議論等を更に反映できればと考えております。

 2ポツです。分野の推進に当たっての目標ですが、これも変更ございません。特に2つ目の四角ですが、「魅力的な機能を持つマテリアルの創出を推進し、社会の変革を強力に牽引するマテリアルによる社会革命」、これを「マテリアル革命」と呼び、実現していきたいということで全体を構成しております。また、追記している2つ目の※印に、「本研究開発戦略は最新の科学動向を捉えるために、2年に1度を目安に更新していく」としています。発行後も最新情報を集め、常に戦略を考え続けるということが重要と思います。

 3ポツです。ここも微修正です。マテリアル革命の実現に向けた課題、ハードルを越えて、研究開発あるいはそれを支えるような動きをすべきということを列挙しております。

 そして、4ポツです。「マテリアル革命を実現するための取組」で、これは3ポツの課題、ハードルに対して何をすべきかを具体的に記載しています。(1)は研究開発そのもので、どのような領域があるかを記しています。1つは、「新たな切り口に基づくマテリアル機能の拡張」、2番目は、「戦略的・持続的に進めるべき研究領域」です。特に2番目ですが、何でもかんでも新しいものをすることが本当に大事なのかという問題意識を基にしています。今までやってきたことで重要なことを更に続けていくこと、評価をしっかりした上で、大事なことは更に次につなげていくことも大事ではないかと考えます。その候補となる案件も書き添えています。

 (2)ですが、これは今回新しく皆様の御議論の上で追加した部分です。「創出された革新的マテリアルを世に送り出すサイエンス基盤の構築」ということで、研究開発で出た新材料あるいは新機能を産業等につなげるためにはギャップを埋めなければいけないという話です。今までは橋渡し、あるいはベンチャーの育成などの施策が中心でした。しっかりとしたサイエンス基盤を構築して、その川を埋めていけないかと考えました。世界的な流れを見ても、EUとかNSF等でもこういうことが盛んに考えられていて、この分野の大事なことではないかと思います。細野先生も言われたエンジニアリングの部分も強く関連するかと考えます。まだここは内容を詰めて考えているところです。

 そして(3)、これは研究開発をいかにスピードアップして効率的にしていくかというところです。AIとかビッグデータとかICTが前面に出た社会において、研究開発も変わっていくと考えます。そのスピードアップに我が国も付いていかなければおのずと負けてしまうでしょう。ここで言うラボ改革のようなことで、研究開発をスピードアップして出た新材料あるいは新物質を更に次につなげていくために(2)が必要になると考えております。

 そして(4)では、「マテリアル革命のための推進方策」ということで、魅力的なマテリアルを社会に出していくためには、研究開発そのものとその周辺の両方が大事だということです。産学官が連携・協力する機会の創出、人材の育成、国際連携、ELSIつまりEthical, Legal and Social Issues、そういうこともしっかりと考え、材料の分野を積極的に進めていくべきです。ただし、材料だけがよければいいというわけではなく、科学技術全体の中でどういう位置付けにあるか、あるいは科学技術が社会の中でどういう位置付けにあるかということも最終的には前文等に書かせていただき、材料の分野の位置付けからやることに至るまで、もう少し煮詰めながら書いていこうかと考えております。素案としてはまずはこういう形で出させていただきました。以上です。

【三島主査】  御説明ありがとうございました。作業部会で随分と検討していただいて、この6月にここまで来たということですが、御質問、御意見、何なりと聞かせていただければと思いますが、いかがでしょうか。

 栗原委員、どうぞ。

【栗原委員】  今回、これまでの研究推進の状況とか、世界の研究状況等も含めてまとめていただいて、総合的な報告を出していただき、どうもありがとうございます。

 この中に今回書かれている、創出された革新的マテリアルを世に送り出すサイエンス基盤の構築というところは、先ほど田畑先生が言われた技術の類似性等のそういう認識が大事ではないかというところにも通じると思います。やはり今、ナノテクノロジーと技術をつなぐというところで、ここは医学もあるだろうし、他の分野もあると思うのですが、今回新しく加えていただいて、大変よかったと思います。

 それから、細野先生の、ナノテクどうなっているんだということにも答えられるような提案になっていると思いますので、何とか実質的な意味で進む形にこれが展開するといいなと思っております。以上です。

【三島主査】  ありがとうございます。

【中山委員】  ありがとうございました。この部分、論文だけでは測れないところです。だから、放置すると、研究者がなかなかそちらに行きません。一方でそういうところが実は大事で、そこを埋めるのが公共政策の役目と考えます。栗原先生が言われるとおりです。また、田畑先生の議論にも非常に感じるところがありました。ありがとうございました。

【三島主査】  ほかに御意見ありましたら、どうぞ。

 射場委員、どうぞ。

【射場委員】  やっぱり4ポツの(2)だと思うんですけれども、これ、多分前にも言ったと思うんですけれども、ナノテクで、ナノで面白い構造とか面白い反応があっても、やっぱり機能が出ませんというのがごまんとあって、それは先ほど細野先生もおっしゃっていたとおりなんですね。民間でも受け取ってみて、これ面白いからということで共同研究をしても、量が作れないですね。一見、量は出来ているんだけど、その面白いナノの構造を維持したままある程度の機能を評価するための量が作れないケースが多くてね。それは一般的に言うものづくりとはちょっと違うレベルのプロセス技術、ナノプロセスみたいな形で、ナノ構造を保ったままいかに作るかみたいなところを、多分今までこの中で死蔵されている面白い構造はいっぱいあると思うので、そういうものをもう一回振り返ってみて、この機能だったらもうちょっとプロセスが出来たら使えるよねみたいなことをもう一回棚卸しして見てみるというのは1つのやり方かなと。

【中山委員】  ありがとうございます。我が国は研究資源、つまり研究開発のためのお金が限られている中で、新しい材料や機能を死蔵させている場合ではないですよね。でも、多くの先生方の御経験の中で、死蔵されているものがかなりあるなという感じ。ごく一部の先生の極めて高いレベルでの御努力とか、あるいは企業とのたまたまのお付き合いで社会実装につながるものはあるけれども、実際は使えるものがまだまだあるのだと考えています。それを使えるようにするということがここの主眼です。つまり、投資した研究費を無駄にしない方向で、研究開発の費用対効果を上げるということです。そのためには何をすべきかを、考えないといけないです。

 多分ここがよく言う、ダーウィンの海みたいなところ。先ほども言いましたけれども、ここを橋渡しとか言って良くある施策を通常は作りますが、橋を架けるというのではなくて、そこをどうやって埋め立てていくかという話。EUのHorizon2020等の中でもいろいろな施策が打たれていますし、アメリカもそこどうやろうかなとNSF等がすごく考えているところです。我が国としてもそこをいかに埋めるかということがイノベーションの本質のところかなと思います。新機能、新材料を出すのがこの分野ですが、それをもう一歩先へ進めるためのところをどうしようかと、そういう議論を行いました。ありがとうございます。

【三島主査】  今のダーウィンでも何でも、キーワードはやはりプロセスでもってそこをどう持っていくかということをもう一度見直す必要があるというようなことかと思います。

 ほかにいかがでしょうか。

 加藤委員、どうぞ。

【加藤委員】  さっきのバイオマテリアルのお話にもありましたけれども、基礎をやっている人がプロセスをやるのか、橋渡しする人を作るのか、場所をどうするのかとか、そういったことを具体的な形で何か示せればいいなと。プロセスが大事というのはやっぱり大事で、ただ、論文でもない、特許でもない、ノウハウである場合もあるし、そういうことも含めて、橋渡しするためには何が必要か、人なのか、物なのか、体制なのかというのも重要なんじゃないかと思います。それが分かれば簡単なんですけれども。

 普通、化学プラントだと、フラスコでやったものを中規模にして大きくしていく形でやるんですけれども、こういった作り込まれた材料を使えるようにするためには、普通とはまた違うやり方が必要だと思いますし、それをやるためには日本は今いい立場にあるんじゃないかと。実は企業はいっぱい持っているんですよね。うまく引っ張り出して一緒にやれる。それで、やっぱりそういう専門家をもっときちんと処遇して育てる必要があるんじゃないかなと。つなぐ人を何とか作れないかなというふうなことを思います。場所とかですね。

【中山委員】  ありがとうございました。これ、議論のとき私が思い浮かべたのは、例えば加藤先生がやられているような非常に高機能なメンブレンなどです。それをどうやって巨大な企業のラインに乗るようにしていくか。いろいろな作り込まれた材料を産業化することは確かに難しいですが、でも、考えていかねばなりません。いい論文で終わってしまいますので。いかにそこに対して手当てするかというのが、基礎研究にお金を出した責任と思います。もちろん基礎研究は大事ですが、その次のところもちゃんと手当てしていくことが費用対効果を上げていくことと思います。投資対象が何なのかということはよく精査していかないといけないと思いますので、議論はこれからだと思います。

【加藤委員】  あと、企業を見ていくと、小さな萌芽が見られるんですね。だから、やっぱり生き残るために、会社の加工技術を、いろいろなナノテクを使おうとしたりしているところが、いろいろな会社と話しているとあるんですね。そういうものをうまく、そういう流れもあるので、うまく全体的に組み込めるといいなと思います。

【三島主査】  どうぞ。

【栗原委員】  今のことに少し付け加えさせていただきます。材料の場合は、どうしてもシーズが学という考え方もあるのですけれども、産業界の課題を基礎を使って解決するという場合もあると思います。それには、両方やれるような場があるといいのではないかと思います。産業界の課題の場合には、ある程度の技術的な課題が解決できると、あとの事業化のところはむしろ彼らはプロのわけで、最後の社会的な富という意味では比較的早く実現する可能性もあると思います。もちろん学にある良いシーズも育てていくことは非常に大事だと思いますので、両面あるんじゃないかと。これは研究者の立場がいろいろとあるということで申し上げたいと思います。

【中山委員】  産業側から来るところ、基礎研究側から来るところ、両方考えると、ちょうどそこがエンジニアリングの場所と思います。エンジニアリングって工学ですよね。工学の本当の役割は何かのような議論も、少しずつ始まってきています。工学部改革にも通ずる部分であり、重要なところです。

【三島主査】  いかがでしょうか。

 馬場委員、どうぞ。

【馬場委員】  まだ素案ということですが、非常によくまとめていただいて、御努力に感謝申し上げます。

 今議論にもありましたように、企業側というか、社会のニーズと基礎研究をどういうふうに融合させていくかというか、連携させていくかというのは重要だと思うんですが、先ほど田畑先生も言われましたし、私もよく経験するんですが、マテリアルをバイオとか医学に応用するときに、1年前は医学系の人から、こういう出口があるからやった方がいいよと始めたら、2年たったら、全然それはもうやらなくてよくて、別の目標ですというのは結構たくさんあるんですけれども、普通の材料開発でも結構そういうことがたくさんあると思うんです。何かそういうところをうまく情報のやりとりとかがうまくできるような仕組みがないと、ますますこれからニーズも大きく変化していくわけでしょうし、そこに基礎研究とか、実際のマテリアルに結び付けるための橋渡しをやっていく上で、そこのところが1つ重要なのかなといつも思っています。

 我々もやり始めたときは、例えばある目標に対して、出口からの目標に対してやっているときに、なかなか途中で不安なんです。2年たったら、もうこれ要らないと言われかねないんじゃないかと。そういうのが結局は基礎研究側からいくとある意味すごく不安で、そういう情報のやりとりというのは何かできる方法をもう少し、非常に難しいと思うんですけれども、またワーキングでも御議論いただければと思います。

【橋本委員】  ちょっと驚きなんですけれども、そんなに足の短い話なんですか。今の。

【馬場委員】  ターゲットによってはですね。

【橋本委員】  私なんかの印象と全然違いますね、そこはね。

【馬場委員】  医学部の人と我々議論すると、こういうものが出来そうですと言うと、あしたそういうものが出来るというふうに思われたり。

 田畑先生、どうですか。私、結構そういう経験を幾つかして。

【田畑様】  すいません、私、委員じゃないんですけれども、発言させてもらっていいですか。

【三島主査】  どうぞ。

【田畑様】  馬場先生が言うとおりで、それはケース・バイ・ケースだと思います。例えば向こう、会社の方が開発が決まっていて、こういうのをやりたいと。ところが、大学の先生のアイデアをちょっと入れたらうまくいくというのであれば、そういう結構うまくいく場合もありますね。大学の方でやっているものは、理詰めで行くんですね。会社の方は、再現性と、それから、いかに余分なものを削っていくかという方向で行きますので、だから、そこでやっぱり足並み、目指す方向が合わないということがすごくあって、先生が言われているとおりです。でも、それもやっぱりよく話をしていると、お互いの理解度が変わる瞬間がわかります。そこをフォローするようにしています。私が申し上げたように、やっぱり常に話をしているということが大切なんじゃないかなと思います。特に異分野や、産学連携の場合はそうですね。

 もう一つよろしいですか。

【三島主査】  どうぞ。

【田畑様】  先ほどから議論されている、やっぱり大学と会社の違いというのは、一番大きいのは再現性なんです。大学でいい研究して、例えば7割ぐらいでもいい論文になりますよね。ところが、7割であれば、会社は実用化はできないので、やっぱりある程度まで行ったら、それは再現性を上げていただくことを考えて会社と交渉していくことが必要です。大学では、例えば5つの条件がそろって初めて、他とは違うオリジナリティのある研究業績となるんです。しかし、企業では、5つの条件では再現性も低く、開発費はかかると考える。そこで、初めからそれを3つの条件に絞って、再現性を高めていく。会社ではこのような感覚なんです。

 だから、そこのところをやっぱり考えていくということが、こういうトランスレーションの場合は非常に大切なんじゃないかなと、私たちの分野ではそういうふうな経験しています。だから、再現性をいかに上げるかというのがやっぱり会社が考えていることであります。しかし、大学人は。5つの条件であれば自分の研究なんですけれども、3つになると自分自身の研究成果ではなくなってしまうと感じるんですね。ところが、条件を3つにしないと、再現性、開発費などの観点から事業化できない。その考えかたの違いが、大学と会社の間にはあるんじゃないかなと思います。

 それともう一つ、私たちの境界領域は結構流れが速いんですけれども、大学の方が考えているのと、会社の方が考えている注目点、重要性が大分ずれているときがありますので、その辺をいかに修正していくかというのがすごく大切なんじゃないかなと思います。

【三島主査】  ありがとうございます。

 前田さん、どうぞ。

【前田委員】  きれいにまとめていただいていたので、どういうふうにコメントしていいか分からなくてずっと手を挙げられなかったんですけれども、4番の実現するための取組というところに、もう少し産業界の側のぐっと入ってくるようなものがもうちょっとあった方がいいのかなと。産学連携で実現できるもの、やはり事業化へのギャップが問題になっているわけですから、もう少しそれが打破できるような何かあってもいいのかなと。どうしても4番のところの(1)、(2) 、(3) 、(4)と見ていると、もう少しぐっと産業界を近付けるような施策がもうちょっとあってもいいのかなと。どう書いていいかが分からないんですけれども、皆さん産学連携が大事とおっしゃっているんですけれども、何かもう少し入れてもいいのかなという感じがしました。すいません。

【三島主査】  作業部会ではその辺どうだったんでしょうか。

【中山委員】  産業界の方も議論に多く入っていただいていました。ここでは、(2)に産業界とのつなぐところ、ただつなぐだけではなく、その間をどうやって埋めていこうかという点を書きました。本文にはもちろん事業化のところ、産業界のことを多く書かせていただいていますが、産業界のことをより入れ込むように考えてみようかと思います。

【三島主査】  ほかにいかがでしょうか。

 はい、常行委員。

【常行委員】  4ポツの中で、具体的な手段というか書いてあるところが、(3)が目立つ感じがするんですけれども、(3)はAIとかIoTとかビッグデータとかはやり言葉が当然前に出てきて、それはよく分かるんですけれども、それをずっと見ていって、例えば共用設備の充実化等とか、この辺は私としては大事だと思っているんですけれども、設備の充実に限定してしまうと、それをどう使うかという、使い方のサポートとかいわゆるソフト、そこのところが何となく落ちた感じがしているので、もう少し言葉が足せないかなという印象を持ちました。

【三島主査】  サポートをもっと入れるべきだということですね。

【常行委員】  そうです。

【三島主査】  いかがでしょうか。

【中山委員】  確かに設備の充実だけだと、設備を作ればいいのかという話になってしまいます。心のこもったサポート、ハードとソフトの両立は不可欠と思います。そこは確かに工夫が足りませんでしたので、考えさせていただきます。そのとおりだと思います。

【三島主査】  ありがとうございます。

 ほかいかがでしょうか。

 萬委員、どうぞ。

【萬委員】  私も企業で研究開発をやっている者として皆さんの御意見に割と近いんですけれども、例えば産業界へのギャップ、事業化へのギャップというときも、材料起因とした最終製品で事業化するというときのギャップと、先ほど異分野融合という話もありましたが、そういったものを付加価値としてどこかの領域で使ってもらうときのギャップの2つありますので、それらをやっぱり区別して。それはニーズを持っている人たちの求めるものが異なってくるはずで、そうすると、そこはそこで考え方、それをどう実現するかという仕組みに必ず反映されると思うので、一応検討のときにそういうところも入れていただければと思っています。

【中山委員】  ありがとうございます。

【三島主査】  ほかいかがでしょうか。

 菅野委員、どうぞ。

【菅野委員】  同じことなんですけれども、先ほどの産業界と基礎研究とのギャップのところですけれども、どのように埋めるか。先ほどの細野先生の半導体というか、LEDの材料、あのように発表した後すぐ産業界が飛び付いてくるというのはほとんどないんです。まれな状況なんですよね。だから、そこの苦労というのをどのように埋めるかという、そこがどのようにしていいかというのは分からないですけれども、そこを何とかならないかなという……。

【三島主査】  難しいですね、それはね。

【細野様】  すいません、ちょっと今、補足させていただいていいですか。

【三島主査】  是非お願いいたします。

【細野様】  産業界が付いてくるってどこの産業界ですか。日本のでしょう。日本の産業界なんか当てにしたらもう絶対だめですよ。そんなの、どの分野でも世界のトップの企業がやると言えば、みんな日本企業も手を挙げますよ。日本の企業だけにやっていたら、製造業がみんな外へ出てしまっているんだから、何のために研究投資しているか分からないじゃないですか。僕はその辺の認識が非常に。日本企業って一体何だろうと、そこを真面目に考えないとですね。結局ほとんどが、工場がみんな向こうへ出てしまっているので、そうしたら、研究開発をした果実というのはどういうふうに社会に還元するんだと。そこを真面目に考えていただかないと、昔流の企業のやり方ではもう全然評価できないと思います。だって、本社が日本にない企業だってたくさんあるんだから。

【菅野委員】  すいません、あえてそこは触れなかったんですけれども、結局どこが興味を持つか、産業にする力のあるところにどうアピールするかという、そこのポイントですね。

【細野様】  世界ナンバーワンの企業にアクセスすれば僕はいいんだと思うけど。

【三島主査】  ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。

 それでは、御意見がないようですので、本日御議論いただいた内容は、適宜、研究開発戦略に反映させていきたいと思います。

 それでは、事務連絡を事務局よりお願いしたいと思います。

【丹羽補佐】  本日はどうもありがとうございました。

 次回のナノテクノロジー・材料科学技術委員会につきましては、8月1日水曜日の開催を予定させていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

 本日の議事録については、事務局で案を作りまして、委員の先生方にお諮りをして、主査にご確認いただいた後、ホームページで公開させていただきます。

 また、資料につきまして、今回配付させていただいたものをホームページに、机上配付資料以外は公開させていただきます。

 配付資料は机上に置いておいていただけましたら、後ほど郵送いたしますので、よろしくお願いいたします。

【三島主査】  それでは、本日はどうもありがとうございました。以上です。

 

―― 了 ――

お問合せ先

研究振興局参事官(ナノテクノロジー・物質・材料担当)付

(研究振興局参事官(ナノテクノロジー・物質・材料担当)付)