資料2-1 「研究開発計画」の骨子案の作成について

平成28年5月23日
研究振興局参事官付
(ナノテクノロジー・物質・材料担当)

1.本委員会における「研究開発計画」の骨子案について

今後の「研究開発計画」について、第5期科学技術基本計画(以下、基本計画)を踏まえ、文部科学省として「重点的に実施すべき研究開発の取組」及び「推進方策」を来年度中に取りまとめる予定(研究計画・評価分科会(平成28年3月1日))。

「研究開発計画」の執筆については、分科会下の分野別委員会で分担して行うこととなっており、本委員会においては、『第1章2.ナノテクノロジー・材料技術』の取りまとめを行う。

(構成)

  • 第1章 未来の産業創造と社会変革に向けた基盤技術の重点的振興
    •  (基本計画(第2章)への対応と、文部科学省として重視する基盤技術を抽出。)
  1. 人工知能及び情報通信等
  2. ナノテクノロジ―・材料技術
  3. 光・量子技術
  • 第2章 環境・エネルギー分野
  • 第3章 健康・医療分野
  • 第4章 防災・減災分野
  • 第5章 国家戦略上重要な技術分野
  • 第6章 分科会における研究開発評価の在り方※

※記載された研究開発評価の在り方は29年度以降の研究開発評価に適用される。

「研究開発計画」を構成する「重点的に実施すべき研究開発の取組」には、文部科学省が実施する事業等を含む研究開発の取組について記載する。また、「推進方策」には、基本計画第4章、第5章、第6章の内容を踏まえ、具体的に留意すべき事項(評価の考え方、指標・定量的目標の設定、人材育成、知財戦略、産学連携、社会との関係深化に関する事項等)等について記載する。

従って、本委員会では、基本計画第2章『未来の産業創造と社会変革に向けた基盤技術の重点的振興』に対応する以下の大目標の下、大目標達成に必要な中目標及び中目標達成に必要な重点的取組や推進方策について作成する。

【参考(第五期科学技術基本計画第2章より抜粋)】

 ICTを最大限に活用し、サイバー空間とフィジカル空間(現実世界)とを融合させた取組により、人々に豊かさをもたらす「超スマート社会」を未来社会の姿として共有し、その実現に向けた一連の取組を更に深化させつつ「Society 5.0」として強力に推進し、世界に先駆けて超スマート社会を実現していく。このため、国は、超スマート社会サービスプラットフォームの構築に必要となる基盤技術及び個別システムにおいて新たな価値創出のコアとなり現実世界で機能する基盤技術について強化を図る。

2.「研究開発計画」策定に係る委員会のスケジュールについて

各委員会において骨子案を検討の上、次回(7月7日)の研究計画・評価分科会においては中目標達成に必要な「重点的に実施すべき研究開発の取組」について報告

研究計画・評価分科会 ナノテクノロジー・材料科学技術委員会

 

7月7日 研究計画・評価分科会

  • 各委員会における研究開発計画の骨子案の検討状況を説明

 

8月24日 研究計画・評価分科会

  • 研究開発計画(案)を審議

研究計画・評価分科会

  • 研究開発計画(案)を審議

研究計画・評価分科会

  • 研究開発計画の決定

5月23日 ナノテクノロジー・材料科学技術委員会

  • 研究開発計画の骨子案を検討

 

8月23日 ナノテクノロジー・材料科学技術委員会

  • 研究開発計画の素案を検討

~2月 ナノテクノロジー・材料科学技術委員会

  • 研究開発計画の素案を引き続き検討

研究開発計画 骨子(案)

 ※( )内のものは、議論の参考として記載

平成28年5月23日
研究振興局参事官付
(ナノテクノロジー・物質・材料担当)

第1章 未来の産業創造と社会変革に向けた基盤技術の重点的振興

<大目標>(基本計画において掲げられた目標)

 ICTを最大限に活用し、サイバー空間とフィジカル空間(現実世界)とを融合させた取組により、人々に豊かさをもたらす「超スマート社会」を未来社会の姿として共有し、その実現に向けた一連の取組を更に深化させつつ「Society 5.0」として強力に推進し、世界に先駆けて超スマート社会を実現していく。このため、国は、超スマート社会サービスプラットフォームの構築に必要となる基盤技術及び個別システムにおいて新たな価値創出のコアとなり現実世界で機能する以下の基盤技術について強化を図る。

 (第五期科学技術基本計画(平成28年1月22日閣議決定)より抜粋)

【参考】科学技術基本計画第二章より

2)新たな価値創出のコアとなる強みを有する基盤技術

我が国が強みを有する技術を生かしたコンポーネントを各システムの要素に組み込むことで、我が国の優位性を確保し、国内外の経済・社会の多様なニーズに対応する新たな価値を生み出すシステムをすることが可能となる。このように、個別システムにおいて新たな価値創出のコアとなり現実世界で機能する技術として、国は、以下の基盤技術について強化を図る。

(中略)

  • 革新的な構造材料や機能性材料など、様々なコンポーネントの高度化によりシステムの差別化につながる「素材・ナノテクノロジー」

【大目標達成のために必要な中目標】(文部科学省の役割)

 ナノテクノロジー・材料科学技術分野は我が国が高い競争力を有する分野であるとともに、広範で多様な研究領域・応用分野を支える基盤であり、その横串的な性格から、異分野融合・技術融合により不連続なイノベーションをもたらす鍵として広範な社会的課題の解決に資すると共に、未来の社会における新たな価値創出のコアとなる基盤技術である。また、革新的な技術の実現や新たな科学の創出に向けては社会実装に向けた開発と基礎研究が相互に刺激し合いスパイラル的に研究開発を進めることが重要である。
 これらを踏まえ、中長期的視点での基礎的な研究の推進や社会ニーズを踏まえた技術シーズの展開等に取り組むことにより、本分野の強化を図る。

<中目標・達成のために重点的に推進すべき研究開発の取組>

未来社会における新たな価値創出に向けた研究開発の推進

 我が国の強みであるナノテクノロジー・材料科学技術を生かしながら未来社会を実現していくことが求められており、その為に必要となる機能性材料、構造材料分野の研究やデータ駆動型の材料設計等の新たな研究手法の開発等を推進する。

【論点】

  • 未来社会の実現に向け強く求められる機能性材料、構造材料分野において重点的に推進すべき研究開発領域について
  • 例えば、着目すべき異分野融合研究(ナノ×ICT、ナノ×バイオ 等)
  • 目指すべき社会の姿を踏まえた技術シナリオ設計が重要
  • データ駆動型の材料設計の進め方(情報科学者との連携や産学官のデータ連携 等)
  • 求められる研究開発の進め方について(社会実装と基礎研究とが相互に刺激し合うスパイラル的な研究開発の推進等)  等
広範な社会的課題の解決に資する研究開発の推進

 エネルギーの一層の効率的利用や医療分野への応用、社会インフラの老朽化対策等、近年顕在化している社会的課題解決の鍵となるナノテクノロジー・材料科学技術分野の研究開発を推進する。

【論点】

  • 重点的に推進すべき研究開発領域について(効果的な選択と集中のあり方)
  • 重点推進分野の選定に向けた科学技術インテリジェンスの活用について
  • 優れた技術シーズを展開していく仕組みづくり
  • サイエンスベースでの到達点を意識しながらシナリオ設計し評価する仕組みが必要。
  • 「システム」的な視点と特定の材料機能の特性発現を追求する「材料」的な視点を分けるのではなく融合しながら進める仕組み。その際の人材の新陳代謝の促進

【参考(「ナノテクノロジー・材料科学技術の研究開発方策について<追補>より」)】

近年顕在化した社会的課題や、昔から認識されていつつも未解決な課題・命題に革新的なアプローチを提供し、解決に導く取組を推進する。一例として以下のものが挙げられる。

  • 将来の一層の省エネルギー化やエネルギー源の多様化を推進するため、革新的な熱電変換材料や圧電変換材料、触媒、パワー半導体等、今後の一層の高効率なエネルギー変換を可能とする材料の研究を推進する。
  • 先進諸国に先駆けて高齢化を迎える我が国においては、非侵襲治療や高精度診断等の高付加価値な医療が広く普及した社会の実現に向け、微細加工技術や分子合成技術等を駆使し、医療分野のニーズを踏まえたナノテクノロジー・材料の研究開発を推進する。

<推進方策>

ナノテクノロジー・材料科学技術を支える基盤の強化

 先端計測等のナノテクノロジー・材料科学技術の研究開発に当たって基盤となる技術に関する研究開発を推進すると共に、最先端の計測・加工設備の共用及びデータプラットフォームの戦略的利活用を両者の融合を図りながら推進する。

【論点】

  • 共通基盤技術と研究機器の戦略的開発・利用
  • 産学官が利用する研究施設・設備及び知的基盤の整備・共用、ネットワーク化
  • サイバーとフィジカルのインターフェース
  • データベースの構築、データの戦略的な共有・利活用に向けた取組(様々な研究機関からデータを引き出してもらうことも含め事業戦略、技術戦略が重要)
人材、知、資金が結集する「場」の形成

 国立研究開発法人である物質・材料研究機構を中核とした、企業や大学等の人材、知、資金が結集する産学官、グローバル拠点の形成や、全国の研究機関のネットワーク化等を通じ、人材育成や分野融合を促進すると共に、我が国全体の材料開発力の強化を図る。

【論点】

  • 出口も意識した上でのオープンイノベーションの進め方
  • 大学を含めた仕組みを検討し、場を活用した人材育成の観点が重要
  • 各研究機関における知財を含めた技術戦略や事業戦略策定が必要
人材育成

 クロスアポイントメントやインターンシップ、出向などの制度の積極的活用を図り各研究機関の交流を促進すると共に、産学官連携等を通じた研究者の多様なキャリアパスの確保や優秀な若手研究者が活躍できる環境の整備を図る。

国際標準化等の制度面の検討

 ナノテクノロジーの倫理的法的社会的影響(ELSI)、環境・健康・安全(EHS)に係る検討や国際的な知的財産・標準化の戦略的活用等を図ることが重要。

【参考1.】第五期科学技術基本計画関連箇所を抜粋

第2章 未来の産業創造と社会変革に向けた新たな価値創出の取組

(3)「超スマート社会」における競争力向上と基盤技術の強化
2)新たな価値創出のコアとなる強みを有する基盤技術

我が国が強みを有する技術を生かしたコンポーネントを各システムの要素に組み込むことで、我が国の優位性を確保し、国内外の経済・社会の多様なニーズに対応する新たな価値を生み出すシステムをすることが可能となる。このように、個別システムにおいて新たな価値創出のコアとなり現実世界で機能する技術として、国は、以下の基盤技術について強化を図る。

(中略)

  • 革新的な構造材料や機能性材料など、様々なコンポーネントの高度化によりシステムの差別化につながる「素材・ナノテクノロジー」
  • 革新的な計測技術、情報・エネルギー伝達技術、加工技術など、様々なコンポーネントの高度化によりシステムの差別化につながる「光・量子技術」

(中略)

3)基盤技術の強化の在り方

 1)及び2)に掲げた基盤技術の強化に当たっては、超スマート社会への展開を考慮しつつ10年程度先を見据えて中長期的視野から、各技術において高い達成目標を設定し、その目標の実現に向けて取り組むべきである。
 その中で、技術の社会実装が円滑に進むよう、産学官が協働して研究開発を進めていく仕組みを構築することが重要である。特に、基礎研究から社会実装に向けた開発まで、研究開発をリニアに進めるのではなく、社会実装に向けた開発と基礎研究とが相互に刺激し合いスパイラル的に研究開発することにより、新たな科学の創出、革新的技術の実現、実用化及び事業化を同時並行的に進めることのできる環境を整備することが重要である。

第3章 経済・社会的課題への対応

(1)持続的な成長と地域社会の自律的な発展
1.エネルギー、資源、食料の安定的な確保
2)資源の安定的な確保と循環的な利用

 我が国は、化石燃料やレアメタルの大半を輸入に頼っており、輸出入の制限や遅延、資源の需要増大による価格高騰等は、経済や産業の活動に直接的な影響がある。また、資源の採掘・精錬等に伴う汚染、排出される廃棄物の増加等も喫緊の課題である。

(中略)

また、省資源化技術や代替素材技術、環境負荷の低い原料精製技術、資源の回収・分離・再生技術の研究開発を推進する。

2.超高齢化・人口減少社会等に対応する持続可能な社会の実現
3)効率的・効果的なインフラの長寿命化への対策

(中略)

 インフラの点検技術や点検結果の評価技術、必要に応じた補修は更新の技術などの要素技術は進展しているが、今後は限られた財源と人材により最適なインフラ維持管理・更新を確実に実施する。

3.ものづくり・コトづくりの競争力向上

(中略)

計算科学・データ科学を駆使した革新的な機能性材料、構造材料等の創製を進めるとともに、その開発期間の大幅な短縮を実現する。

第4章 科学技術イノベーションの基盤的な力の強化

(2)知の基盤の強化
2.研究開発活動を支える共通基盤技術、施設・設備、情報基盤の戦略的強化
2)産学官が利用する研究施設・設備及び知的基盤の整備・共用、ネットワーク化

 世界最先端の大型研究施設や、産学官が共用可能な研究施設・設備等は、研究開発の進展に貢献するのみならず、その施設・設備等を通じて多種多様な人材が交流することにより、科学技術イノベーションの持続的な創出や加速が期待される。

(中略)

幅広い研究分野・領域や、産業界を含めた幅広い研究者等の利用が見込まれる研究施設・設備等の産学官への共用を積極的に促進し、共用可能な施設・設備等を我が国全体として拡大する。さらに、こうした施設・設備間のネットワーク構築や、各施設・設備等における利用者視点や組織戦略に基づく整備運用・共用体制の持続的改善を促す。加えて、幅広い研究開発活動や経済・社会活動を安定的かつ効果的に促進するために不可欠なデータベースや計量標準、生物遺伝資源等の知的基盤について、公的研究機関を実施機関として戦略的・体系的に整備する。

3.オープンサイエンスの推進

(中略)

国は、科学研究活動の効率化と生産性の向上を目指し、オープンサイエンスの推進のルールに基づき、適切な国際連携により、研究成果・データを共有するデータプラットフォームを構築する。

(3)資金改革の強化
1.基盤的経費の改革

大学及び研究開発法人がミッションを遂行するためには、研究や教育を支える基盤的経費が不可欠である。

(中略)

研究開発法人については、その活動を支える基盤的経費である運営費交付金及び施設整備費補助金が減少傾向にあり、計画的な研究活動、施設及び設備の更新等に課題が生じつつある。こうした状況も踏まえ、大学及び研究開発法人がその役割を適切に果たせるよう、組織基盤の改革や財源の多様化といった取組を促すとともに、国は、基盤的経費について各機関の一層効率的・効果的な運営を可能とするための改革を進め、確実な措置を行う。

第5章 イノベーション創出に向けた人材、知、資金の好循環システムの構築

(1)オープンイノベーションの推進する仕組みの強化
1.企業、大学、公的研究機関における推進体制の強化

 我が国がイノベーション力を高めるには、組織内外の新たな発想や知識・技術を活用できるよう、産産連携、産学官連携といったオープンイノベーションを推進ンしていくことが必要であり、各主体にはそれを可能とするマネジメント改革の実施が求められる。

(中略)

 大学及び公的研究機関は、企業等との連携活動を組織の重要な役割として位置付け、企業等のニーズを適切に把握し提案する力を高めていくとともに、人材、知、資金といった知的資源及び研究活動に付随するリスク等を適切にマネジメントしていくことなど、産学官連携のための経営システムの改革と組織的な体制整備等を進めることが求められる。これを通じて、世界から必要とされる研究パートナーとして、各機関が認識されるようになることが重量である。

(中略)

 国立研究開発法人は、各法人の特性に応じて、企業等との共同研究・受託研究等が促進される仕組みを整備・強化するとともに、橋渡し機能を担うべき法人においては、技術シーズを企業のイノベーション活動につなげる橋渡し機能を効果的に発揮できるマネジメント体制を構築することが求められる。国は、これらの産学官連携活動に積極的に取り組む大学及び公的研究機関へのインセンティブ付与に加え、国立大学法人運営費交付金における重点配分や、国立研究開発法人の業務実績評価等の仕組みも活用し、我が国におけるオープンイノベーション活動を促進する。また、国立及び国立研究開発法人がその機能を強化していくに当たり、政府からの資金のみならず、民間資金など多様な資金を確保していく必要があり、国は、外部資金獲得のインセンティブを高める等の仕組みを検討し、必要な措置を講ずる。

第7章 科学技術イノベーションの推進機能の強化

(2)国立研究開発法人改革と機能強化

 国立研究開発法人は、国家的又は国際的な要請に基づき、長期的なビジョンの下、民間では困難な基礎・基盤的研究のほか、実証試験、技術基準の策定に資する要素技術の開発、他機関への研究開発費の資金配分等に取り組む組織であり、イノベーションシステムの駆動力として、組織改革とその機能強化を図ることが求められている。

【参考2.】ナノテクノロジー・材料科学技術の研究開発方策について<追補>より抜粋

ナノテクノロジー・材料科学技術が果たす役割

  • ナノテクノロジー・材料科学技術は、我が国の基幹産業を支える要であり、高い国際競争力を有している。
  • 広範で多様な研究領域・応用分野を支える基盤であり、その横串的な性格から、異分野融合・技術融合により不連続なイノベーションをもたらす鍵。
  • ビッグデータやIoT(Internet of Things)、Converging Technologyの台頭といった経済社会の新たな潮流を踏まえた革新が期待される。
  • 第5期科学技術基本計画においても、科学技術政策体系における位置付けを明確にした上で一層の強化を図ることが求められる。

ナノテクノロジー・材料科学技術の推進に向けた基本的な考え方

(1)圧倒的な広がりのある基礎的、基盤的研究としての振興
  • ナノテクノロジー・材料科学技術は、広範な分野の先端を切り拓くために必須であり、その広がりを意識した研究振興方策を取るべき
  • 新たな指導原理に基づく材料開発により世界をリードし続けることが重要
  • セレンディピティを生み出しやすい環境を整えることが極めて重要
  • ハイリスクの研究を根気強く支援することも効果的
  • 異分野融合研究の触発、若手研究者のフレキシブルな発想、能力を十分に活用
(2)広範な社会的課題の解決に資する研究開発の推進
  • これまでにない応用先を開拓
  • エネルギーの一層の効率的利用や医療分野への応用、社会インフラの老朽化対策等、近年顕在化した社会的課題や、昔から認識されていつつも未解決な課題・命題に革新的なアプローチを提供し、解決に導く(例として、熱電変換材料、圧電変換材料、触媒、パワー半導体、非侵襲医療、高精度診断 等)
(3)我が国の強みを伸ばす戦略的な研究開発の推進
  • 機能性材料研究:機能に着目しつつ材料横断的に研究を推進
  • 構造材料研究:総合的なアプローチが必要
  • 情報科学と材料科学を融合した新たなデータ駆動型の材料設計技術(マテリアルズ・インフォマティクス)を確立
  • 希少元素を全く用いないことのみを至上主義とせず、あらゆる元素の無限の組合せの中から未知なる革新的機能を探索
  • 研究の対象材料が有する特徴や関連産業の国内外動向等に応じた適切な国際標準化戦略や知的財産戦略を持つことが重要
(4)「基礎から応用へ」、「応用から基礎へ」の循環
  • 「循環研究」が行われることが、課題の解決とサイエンスの発展の双方にとって重要
  • プロジェクトの初期段階・企画段階から産学官が膝詰めで議論・協働を行うことが重要
  • デバイスやシステムを理解する研究者層が必須であり、産業界のみならず学術界においてもこのような人材を育成することが必要
(5)人材の育成・確保
  • 広範な分野の基礎的素養を身に付け、俯瞰的視野を持った上で研究を推進できる人材を育成することが重要
  • 産学官にわたりグローバルに活躍するリーダーを育成すること、新たな知見の創出にとどまらず社会的価値への展開を戦略的に推進するリーダーを、世界最先端の研究拠点の中でOn the Job Training(OJT)で育成することが重要
  • 優れた技術支援者を育成・確保する

各研究機関における推進体制と方策

(1)大学のポテンシャルを最大限発揮する体制の構築
  • 部局の壁を打破した教育研究環境を構築することが重要
  • 広範な分野の基礎的素養を身に付け、俯瞰的視野を持った上で研究を推進できる人材を育成することが重要であり、分野や組織を超えた体系的な教育プログラムを構築する
  • 多様なバックグラウンドの研究者が集い、互いの専門分野を超えた高度な知識や課題解決能力を修得するための博士課程教育プログラムの充実
  • 双方向の人材交流の活性化等、新たな価値を創造する研究推進体制の構築が必要
  • 研究推進方策の方向性を学術界から発信し、産学官における議論へと繋ぐことが重要
  • ポテンシャルが高い機関同士の連携や互いの機関の強みを補完しあう連携が期待される
(2)研究開発法人を核としたイノベーションハブの構築
  • 物質・材料研究機構:産学官一丸となったオールジャパン体制の構築により社会的課題や産業界の課題を科学的に深堀りし、その解決に向けた技術シーズを絶えず生み出し、課題の解決に貢献する「イノベーションハブ」へと進化することが重要
  • イノベーションハブ:個々人の専門分野を超えた異分野融合・技術融合が推進される、産学官いずれにも魅力あるものとすることが重要
  • 我が国の各地の中核的大学や共同研究拠点から創出される新たな研究・技術シーズや卓越した若手研究者等のポテンシャルをネットワーク化
  • クロスアポイントメント制度や年俸制の導入等、制度的な整備を早急に進める
  • 人材育成や先端研究設備の共用、材料データ等の情報集約・発信等、我が国の研究基盤としての機能も整備することが重要
(3)関係機関の総力を挙げた推進体制の構築
  • 大学共同利用機関法人や共同利用・共同研究拠点、SPring-8やスパコン「京」等の大型共用研究施設・設備や地方が有する比較的小型のシンクロトロン等、他の共用のフレームワークも一層積極的に活用
  • 組織的・戦略的に研究プロジェクトを統括できるプログラムマネージャーの育成に向けた人材育成方策
  • 学術界に留まることなく、共同研究や、事業化に向けた成果展開の起業による取組等が円滑に行われるよう環境整備を行うことが必要

まとめ

 第7期ナノテクノロジー・材料科学技術委員会においては、基本的考え方について以下のように整理。

  • 分野横断的な広がりを意識した基礎的、基盤的研究としての振興
  • これまでに解決できていない課題や新たな課題等、広範な社会的課題の解決に資する研究開発の推進
  • 我が国の強みを伸ばす戦略的な研究開発の推進
  • 「基礎から応用へ」、「応用から基礎へ」の循環
  • 人材の育成・確保

今後は、必要に応じ、これらの基本的考え方のもと、特に重点的に取り組むべき研究課題や社会的課題とそのアプローチ方策について更に精査する。

お問合せ先

研究振興局参事官(ナノテクノロジー・物質・材料担当)付

(研究振興局参事官(ナノテクノロジー・物質・材料担当)付)