第3部 総合科学技術・イノベーション会議の司令塔機能の発揮

 大変革時代の中で、我が国の未来を切り拓き、持続的な発展を可能とするためには、科学技術の振興とイノベーション政策を一体的かつ戦略的に推進していく必要がある。
 その具体的政策を第1部及び第2部に掲げたが、これらを効果的・効率的に実施する上で、企業や大学、公的研究機関など多様な主体や関係府省の取組を全体的に俯瞰し、横串を刺すことが欠かせない。このため、総合科学技術・イノベーション会議は司令塔として、権限及び予算両面においてその機能を十分に発揮していく。
 具体的なアクションとして、これまでに「科学技術イノベーション予算戦略会議」や「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」、「革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)」等の取組を始めたところである。総合科学技術・イノベーション会議としては、これらの新しい取組や大規模な研究開発その他の国家的に重要な研究開発の評価などを含め、あらゆる政策ツールを活用し、引き続き、予算調整を図るとともに、時間軸を意識しつつ、先見性や機動性を持って府省の枠を超えた政策誘導を行う。
 これと並行して、第5期基本計画の下で施策の推進を効果的に行っていくため、関係府省の科学技術関係予算の全体像を俯瞰し、より効果的に関係府省の取組を重点化する予算の調整プロセスについて検討を進め、総合科学技術・イノベーション会議における政策のPDCAサイクルに反映する。
 さらに、様々な課題解決の取組を横断的に支える基盤的な技術について先導的な研究開発を進めることは重要であり、「超スマート社会」の形成に向けた技術開発や国家戦略上重要な技術開発を含め、こうした基盤技術の研究開発の推進方策について更に検討し、第5期基本計画に反映していく。
 また、総合科学技術・イノベーション会議は、科学技術政策とイノベーション政策の一体化に向け、他の司令塔機能(日本経済再生本部、規制改革会議、国家安全保障会議、まち・ひと・しごと創生本部、IT総合戦略本部、知的財産戦略本部、総合海洋政策本部、宇宙開発戦略本部、健康・医療戦略推進本部、サイバーセキュリティ戦略本部等)との連携や我が国の科学者の代表機関である日本学術会議との連携を強化するとともに、府省間の縦割り排除、産学官の連携強化、基礎研究から出口までの迅速化のためのつなぎ、などに総合科学技術・イノベーション会議自らが、より主体的に行動していく。
 特に、未来に向けた産業創造や社会変革に取り組んでいく上では、速いスピードで進化する科学技術に制度面が必ずしも追いついておらず、これが科学技術イノベーションの成果の社会実装に障害となる可能性もある。こうした制度改革を推進する上で、総合科学技術・イノベーション会議は、イノベーションの創出の促進を図るための環境の総合的な整備について司令塔機能を発揮していく。
 さらに、総合科学技術・イノベーション会議が司令塔機能を発揮するためには、分析・企画力等を高めることが必要である。このため、公的シンクタンクとも連携しつつ、その基盤となる事務局における適切な体制の強化や、国内外の関連データやエビデンスを収集し分析する調査分析機能の向上等により、事務局機能強化を図ることが重要である。

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研究振興局参事官(ナノテクノロジー・物質・材料担当)付

(研究振興局参事官(ナノテクノロジー・物質・材料担当)付)