第8期ナノテクノロジー・材料科学技術委員会(第1回) 議事録

1.日時

平成27年5月19日(火曜日) 10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省 東館15F特別会議室

3.議題

  1. (1)ナノテクノロジー・材料科学技術委員会の議事運営等について【一部非公開】
  2. (2)第8期ナノテクノロジー・材料科学技術委員会における主な検討事項等について
  3. (3)平成27年度研究評価計画について
  4. (4)その他

4.議事録

【三島主査】
  それでは、ただいまから、第8期のナノテクノロジー・材料科学技術委員会(第1回)を公開で開催させていただきます。
  主査の三島でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
  それでは、吉元係長から委員の御紹介を。

【吉元係長】
  事務局より失礼いたします。御出席いただいている各委員の皆さんから、五十嵐委員から順番に簡単に御挨拶の方お願いします。

【五十嵐委員】
  新日鐵住金、五十嵐でございます。よろしくお願いいたします。

【吉元係長】
  射場英紀委員。

【射場委員】
  トヨタ自動車の射場でございます。よろしくお願いします。

【吉元係長】
  岡野光夫委員。

【岡野委員】
  東京女子医大、岡野と申します。よろしくお願いいたします。

【吉元係長】
  栗原和枝委員。

【栗原委員】
  東北大学の栗原と申します。よろしくお願いいたします。

【吉元係長】
  加藤昌子委員。

【加藤委員】
  北海道大学の加藤でございます。よろしくお願いいたします。

【吉元係長】
  北川宏委員。

【北川委員】
  京都大学の北川です。よろしくお願いします。

【吉元係長】
  小長井誠委員。

【小長井委員】
  東京都市大学の小長井でございます。

【吉元係長】
  瀬戸山亨委員。

【瀬戸山委員】
  三菱化学の瀬戸山です。よろしくお願いします。

【吉元係長】
  高梨弘毅委員。

【高梨委員】
  東北大学の高梨です。よろしくお願いいたします。

【吉元係長】
  橋本和仁委員。

【橋本委員】
  東京大学の橋本です。どうぞよろしくお願いいたします。

【吉元係長】
  馬場章夫委員。

【馬場委員】
  大阪大学の馬場でございます。よろしくお願いします。

【吉元係長】
  山本佳世子委員。

【山本委員】
  日刊工業新聞の山本と申します。よろしくお願いいたします。

【吉元係長】
  湯浅新治委員。

【湯浅委員】
  産総研の湯浅と申します。よろしくお願いします。

【吉元係長】
  吉江尚子委員。

【吉江委員】
  東京大学の吉江でございます。よろしくお願いいたします。

【吉元係長】
  ありがとうございました。本日は、長我部委員、片岡委員、小池委員、常行委員、福島委員、御手洗委員は御欠席です。
  お願いします。

【三島主査】
  ありがとうございました。
  まず、本日は常盤研究振興局長が御出席いただいております。御挨拶をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

【常盤局長】
  おはようございます。研究振興局長の常盤でございます。委員の皆様方におかれましては、大変御多忙の折、この委員会の委員をお引き受けいただきまして、また本日御出席を賜りまして、誠にありがとうございます。
  この委員会が担当いたしますナノテクノロジー・材料科学技術分野でございますが、環境・エネルギーとか、あるいはライフサイエンスなど幅広い分野における科学技術の新しい可能性を開いていくという分野だと考えております。また、自動車あるいはエレクトロニクスなど基幹産業を牽引するという重要な役割も担っている基礎基盤技術であると認識をしております。
  文部科学省と致しましても、これまで元素戦略プロジェクトということで、希少元素の革新的な代替材料の開発を目指すというようなことにも取り組んでまいりましたし、また、プラットフォームの構築というようなことで、各機関が持っているいろいろなポテンシャルを最大限にうまく生かしていくというネットワーク型の施策も進めてきたわけでございます。
  もちろんこの分野につきましては、昨年のノーベル賞の例を引くまでもございませんけれども、日本としてとても強い分野であると認識をしておりますし、その国際的な強みをどうやって更に伸ばしていくのかということについて考えていかなければいけないと思っております。一方で、中国、韓国の研究への注力ということもございますし、欧州にしても米国にしてもこの分野について力を入れているわけですので、その中で日本の強みをどうやって更に継続、発展させていくのかということが重要な課題だと思っております。
  この分野の議論をしていただく前提としてといいましょうか、ちょうど先ほどもお話がございましたけれども、来年度から第5期の科学技術基本計画に移行するということで、今、政府のいろいろな場所においてこのことが、もちろんCSTIが中心ですけれども、議論が進んでいるところでございます。特にイノベーションをどうやって起こしていくのかということが非常に大きなテーマになっているわけですけれども、その中で一つはもちろん基礎的な研究の部分をどうやって実用化、出口の部分につなげていくのか、橋渡しということも含めてどうやってより合理的、効果的にそういうプロセスを作っていくのかという問題が一つあると思います。
  またもう一つは、やはり大学とか研究開発法人、文部科学省の所管する研究開発法人を特に中心に考えてみますと、やはりそこで新しい原理を作っていくというようなことも重要なことだと思います。ある種のブレークスルーを作っていくということだと思いますが、そのときに研究の卓越性とか、あるいは研究をどうやって協働したり融合させたりしながら、特に今、情報科学との融合ということが非常に喫緊のテーマだと思いますけれども、その辺りをどう進めていくのかというような問題もあるわけでございます。
  また、そういう産学の協働を更に進める、あるいはブレークスルーを生むための卓越性とか融合性をどうやって伸ばしていくのかということを考えるときに、一方で研究基盤を持続的にどうやって維持し、充実をしていくのかという問題がもう一つあろうかと思っております。言ってみますと、大学あるいは研究開発法人が持っている基本的なミッションと、それから、今のような産学の連携とか、あるいは融合分野への新たな展開とか協働とか、そういう新たな展開の分野があるわけでございますので、そういうところについてどうやって持続可能な研究基盤を構築していくのかということがまた大きなテーマとなっているわけでございます。
  こういう中で実は我々の局も、基盤経費の問題と競争的資金の問題どうするかというようなこともいろいろ議論をさせていただいています。今、そういう大きな転換期にあると考えておりますので、我々もまた御説明をさせていただきたいと思いますけれども、そういう大きな動きということも十分視野に入れながら、ナノテクノロジー・材料科学技術の分野についての更なる振興策について、先生方の御知見を頂ければと思ってございます。
  本日は、ナノテク・材料科学技術分野の俯瞰的な俯瞰報告とか、あるいは最近の関連施策の動向等を中心に御紹介させていただきます。また、今期の委員会でどういう事項を検討していくのかということについても御議論いただく時間を設けておりますので、是非忌憚のない、また活発な御議論をお願いできればと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

【三島主査】
  常盤局長、どうもありがとうございました。
  それでは、議題表の(2)のナノテクノロジー・材料科学技術委員会における主な検討事項等についてということで三つ項目が挙げてございますけれども、初めにこの分野全体に関する最近の動きについて、JSTの研究開発戦略センターの永野フェローから御説明を頂きたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

【永野フェロー】
  JST研究開発戦略センター、CRDSでナノテクノロジー・材料ユニットの永野です。お手元の資料2-1及びクリップでとめております報告書形式のものを参考資料として使いながら御説明をさせていただきます。
  まずこの報告書の表紙をごらんいただければと思います。この報告書は、研究開発戦略センターで分野ごとに発行しております研究開発の俯瞰報告書です。今回はナノテクノロジー・材料分野の2015年版ということで、この報告書の冊子体のものは、公式にはCRDSから今月末に発行、公開させていただく予定です。
  きょうはその発行がまだ印刷物として間に合いませんでしたので、表紙の上の方に注釈で書かせていただいておりますが、この報告書のうち、第1章及び第2章に該当する部分のみを抜粋したものをお持ちしています。それだけで既に140ページほどありますが、このほかに第3章という部分が実は400ページほどあります。その部分では、私どもCRDSが今後重要であろうと抽出いたしました主要な研究開発領域、約41の領域について動向をまとめた資料が、本来はこの後ろに付くような報告書形態になっています。
  説明はパワーポイント形式の資料2-1を使ってさせていただきます。まず資料の2ページ、今回この報告書としてまとめておりますのは、ナノテクノロジー・材料分野の全体の動向、そもそもこのナノテクノロジー・材料科学技術がどういった歴史的変遷をたどって今に至っているのか、国際的な動向はどうなっているのか、主要国の戦略はどうなっているのか、そして、我が国の研究開発動向、技術水準、それから、研究開発に関わる関連施策はどのようになっているのか、そして、今後我が国としてどうあるべきなのかといったことを2章の部分にまとめています。そして、第3章では、先ほど御紹介させていただきましたように、主要研究領域についての研究動向を文章の形式でまとめております。
  3ページ、この報告書は約2年ほどかけて作成してまいりましたが、その過程で様々なワークショップを開いて研究者の方々又は産業界、学協会、それから、府省関係者の方々との議論を重ねてまいりました。この2年間では6度のワークショップを開催して、個別の技術的な課題又は政策的な課題について議論した報告書を別途それぞれ公開しています。また、「直近5年」というところに書かせていただいておりますのは、国際的な議論も行おうことを目的に、日、米、欧州又はアジア、韓国、台湾等と合同のワークショップ等を開催しながら、研究開発領域に関して今後国際的に注力すべき問題は何であるか、そういったことも議論してまいりました。
  4ページです、この報告書のメーンとなるメッセージを1枚にまとめたものです。ナノテクノロジー・材料科学技術の位置付けとして、やはり分野横断の共通基盤技術であると同時に、他分野の各最先端の領域において競争力の源泉となる革新技術や新知見を提供する、これがナノテクノロジー・材料科学技術であるとしています。この20年間ほどでその役割と概念はグローバルな議論で構築され、現在も継続されておりますが、その役割は段階的且つ着実に進化しているという認識です。
  諸外国を見ますと、欧・米・亜諸国は、科学技術又は産業競争力の強化のために、国策上の明確な位置付けをおこない、この分野の投資の維持・強化をしています。特に中韓をはじめとするアジア諸国が世界全体のこの分野の研究開発投資を牽引しており、科学技術力の急激な上昇が観測されています。
  その中で、日本は世界でも有数のナノテクノロジー・材料研究開発の先進国とは言えますが、今後も現在の位置を維持できるかは予断を許さない状況にあるという懸念を持っています。その際、今後は科学技術と工学、そして、ビジネス・社会とのエコシステム形成が鍵となるであろうとの認識です。ナノテクノロジー・材料は、例えばICT分野のようなこれからの未来の社会変革の表舞台に立つようなものとは異なる分野であって、すなわち材料そのもの、ナノテクノロジーそのものはなかなか一般の方の目には見えない部分があるわけですが、逆に我が国はこの分野に強みがあり、ここでの革新がなければ、世界に勝るコア技術をもって国際競争をリードしていくことは困難であろうと考えます。したがって、この分野に注力することの重要性を改めて認識しているところです。
  最近では、マテリアルズ・インフォマティクスのような分野に代表されるデータ科学との連携・融合による新材料設計創出や、先端計測・微細加工・物質合成等の先端設備共用、さらにはスパコン等に代表されるシミュレーション・計算インフラを連動させて活用する、こういったことが、国際的な潮流です。
  研究開発の投資効率を最大化させるためには、多様な専門家集団が集結可能な、このような最先端の設備あるいは知識のインフラを日本全体をカバーするプラットフォームとして整備し、持続的に発展させる仕組みを持つことが重要であるということがこの500ページ強の報告書を一言にした内容です。
  5ページ、6ページをごらんください。この分野の全体の定義と、俯瞰する上での構造をCRDSでは俯瞰図と称して、このような構造で認識しています。詳細は御説明いたしませんが、下側の基礎科学から共通基盤技術、物質・材料、そして、デバイス、部素材、それが社会、産業に直接的につながっていく。それから、右側の縦軸に書いている共通支援策、いわゆる研究開発政策そのものではない、研究開発をより強化する又は効率的に行うためのシステム化促進策といったこういうようなものを各研究開発施策ではセットにして国の戦略として講ずることが必要であろうという認識です。
  ナノテクノロジー・材料は、5ページの上から3ポツ目、私どもの認識では、先鋭化、融合化、システム化という三つの技術世代が複合的に共鳴して進化してきているという認識を持っています。ここで言う先鋭化とは、個別の技術領域を徹底的に極めていくというような分野、それから、融合化というのは、各要素でもって生まれたナノテクノロジーあるいは材料技術を融合させて、あるデバイス等、製品等につなげていく。そして、システム化というのは、それら要素の集積を通じてより高度なシステムとして実現していく、他技術と統合されて産業化に向かう過程や結果のことを指すといった定義付けでこの報告書では分類していますが、こうした議論は国際的にもほぼほぼ共通化されつつあるというような理解です。
  7ページをごらんください。このような全体構造の俯瞰、動向分析から、私どもCRDSでは、今後の10年間程度を考えた上で、主要な研究開発領域として、7ページに記載の41の主要技術、主要研究開発領域を抽出しております。これらには含まれていない、あるいはこういった分類ではなかなか表現し切れないものもあろうかとは思いますが、私どもではこういった主要領域を毎年あるいは2年ごとに見直すこととしており、現時点では主要領域としてこの41を取り上げさせていただいているということです。
  8ページをごらんください。ナノテクノロジー・材料科学技術が世界全体の中でどのような歴史的変遷をたどってきているのかというようなことを書かせていただいております。詳細の説明は全て報告書の方に文章で説明させていただいておりますので、ここでは割愛させていただきます。
  9ページをごらんください。9ページは、ナノテクノロジーのシステム化を考える上での例としてエレクトロニクス分野ではどのようなシステム化の階層構造を考えるかということで、東京大学の桜井先生から御提供いただきました資料をベースに掲載させていただいております。材料、デバイス、回路/実装、そして、システム/アーキテクチャーというようにつながっていくわけですが、これからの課題では、これらを統合的に搭載したデバイス、製品が、今後の社会で求められます、例えばIoT、トリリオンセンサ、あるいはロボティクス、AI、自動運転、そういった分野では特にこういったものを実装していく統合的な技術が強く求められているというようなものを表現しています。
  10ページには、そのような世界の研究トレンドとしてナノテクノロジー・材料が特に関わるようなもので非常にフォーカスされている又は目立っているようなものを例として挙げさせていただいております。例えば太陽電池領域では、有機無機ペロブスカイト型の太陽電池材料の発見による急激な進歩、デバイス上に生体の組織あるいは臓器機能を模して実現する臓器チップのようなものや、トリリオンセンサ、量子コンピューター、あるいは材料として多孔性の材料や、二次元の原子薄膜材料、あるいはトポロジカル絶縁体といったような新しい材料が出てきているという中で、ナノテクノロジー・材料がどういった役割を果たしていくのかというような絵です。
  11ページをごらんください。個別には御紹介いたしませんが、過去十数年程度を見たときに、日本からもこの分野で世界的に注目されるような研究成果が数多く創出されているということを御紹介する絵です。個別には報告書の方をごらんいただければと思います。
  そのような中で、12ページ、内外を見ますと、日本は、第3期科学技術基本計画以降、ナノテクノロジー・材料分野は四つの重点分野の一つとして推進されてきました。第4期基本計画ではこれが横断的な基盤技術の一つとして位置付けられるようになりまして、昨年度に出されました科学技術イノベーション総合戦略2014ではICT分野とともに分野横断の技術として位置付けられており、そのような観点から、府省連携を推進するようなアクションプラン施策が特定されているというような状況です。
  13ページ、各国の戦略動向をざっと見ますと、米国をはじめとして、ナノテクノロジーのイニシアチブを掲げている国が多数あります。今、世界では数十か国がナノテクノロジーあるいは材料の国家計画、国家イニシアチブを掲げ、政策の強化を維持又は増強しているというような状況です。
  例えば14ページ、つい先日米国から国家ナノテクノロジーイニシアチブの2016年度予算が出されたところです。全体で1,500ミリオンドルの予算が組まれようとしており、NNIでは、この右の円グラフにあるような分野分けでもって予算が計画的に配算されています。
  中でも注目すべきは、青の部分ですが、Signature Initiativeを掲げています。これはアメリカの中で省庁連携によって特に強化すべき領域、これを五つ取り上げております。この五つは、左下の四角で囲っておりますProgram Component Areaの1番目、ここにナノテクノロジーの、Solar Energy、Nanomanufacturing、Nanoelectronics for 2020 and Beyond、Nanotechnology Knowledge Infrastructure、そして、ナノテクノロジーのセンサあるいはセンサのためのナノテクノロジー、こういった五つの領域を主要な柱として立てるとともに、Program Component Area別に予算を枠で確保するというスタイルをとって、基礎研究に34%、これはNSFを中心として全体の予算を34%配分するという運営をしています。
  また注目すべきは、右の円グラフでいうと、紫色と、一番上の、青緑のところですが、いわゆる研究インフラ、日本でいうところの研究拠点型の政策であったり、ナノテクノロジープラットフォームのような共用設備インフラ、こういったものに米国では全体予算のうち16%相当を割いている。そして、隣の7%というのは、ナノテクノロジーに関わるELSI――社会受容や、教育、安全、リスク評価、コミュニケーション、そういったものに対して全体の7%を配算している、こういった傾向が2001年のイニシアティブの開発以来キープされているといます。
  15ページをごらんください。15ページは、アメリカに拠点を置くLuX Researchというシンクタンクが公表している、ナノテクノロジーの政府投資の比較グラフです。これは各国によってナノテクノロジー・材料の研究開発予算をどのようにカウントするのか統計的な差があるため、一概に比較することはなかなか難しいものですが、一つの切り口で見るとこのように見ることができるというようなものです。日本のところをごらんいただくと、2010年、2011年、2012年と予算の推移がございますが、約1,000億円強の見方がされている。これは日本政府が公式に出している数字とは必ずしも一致しない部分がありますが、おおよそ年間1,000億円前後が公的予算として投じられているというものでございます。
  16ページ、17ページは、これは個別にはご紹介しませんが、今回のナノテクノロジー・材料分野の俯瞰報告書の中で、きょうはお持ちしていない第3章41研究開発領域を2ページで表現するとこのようになるというものです。これはとても一つの技術をどうこうと取り上げているものではございませんので、特徴的な部分だけをこのような形で御紹介させていただいているものです。
  このようなエビデンスを踏まえ、18ページ、全体として日本の状況と課題を考えてみますと、ナノテクノロジー・材料科学技術をベースに、日本は素材・電子部品産業に強みを持っている。例えば最近の化学産業あるいは電子部品産業も、ICT分野の世界的な産業に牽引される形で日本企業が非常に強みを発揮しているという状況がありますし、学術界でも世界に注目される成果はコンスタントに一定割合創出されているということです。
  課題とは、やはり今、中韓台などの台頭によるエレクトロニクスやエネルギー材料・デバイスにおける日本製品のシェア低下というものが見てとれる。
  また、諸外国と比較した際には、相対的には、研究人材数や論文・特許数の伸びが停滞している。このデータは、後ろの方に付けていますが、日本の研究人材や論文創出数は実際は伸びてはいるものの、他国の伸び率がさらに高いために相対的には停滞しているように見えるという状況です。
  そこで、イノベーションを強く意識した研究開発政策・戦略が当然のことながら重要になってくる。
  また、欧米では最近、雇用創出を強化するという観点から、製造業の自国回帰という動きを特に見せている。これは米国における製造業のイニシアチブや、欧州におけるHorizon2020で強化されている製造業強化の施策に強く表れております。
  日本ではこういった動きを捉まえて、どのような戦略を講ずるべきかということを考えるべきであろうということであり、現在の位置を維持あるいは更に伸ばしていくということには非常に厳しい懸念を持つ状況です。
  そのような中で、当然国策だけではなく、産業界、学会それぞれが連携をしながら、より一層のコミュニケーションと、より自律的な行動が求められるであろうということは言うまでもありません。
  19ページ、20ページをごらんください。これは例ですが、例えば今後の方向性として、研究開発のグランドチャレンジはどういったものがあるかということをこのような全体の動向俯瞰分析から抽出し、六つほど示しております。
  例えば混合物の分離の科学。
  Interactive-Bio界面。これは生体と人工物の界面を形成するようなデバイス開発。
  Internet of Thingsに代表されるようなセンサ、ネットワーク、それから、そこで必要なエナジーハーベストの技術であったり、ウェアラブル、あるいはより将来的にはインプランタブルのデバイス。
  ナノ材料の製造技術。製造技術の将来としては、生体が実現しているような機構をいかに学んで取り入れていくのであろうか、またはロボティクスで求められているような駆動系のテクノロジーをどうするのか、電力供給技術をどうするのか。
  それから、これまで20世紀は電子、光子、スピンという技術分野が牽引してきたわけですけれども、今後はさらにフォノンという量子概念を加えて、これらを統合したナノスケールの熱制御技術というようなものが考えられるのではないか。
  あるいは、最初に申し上げましたデータ駆動型の材料設計。アメリカではマテリアルズゲノムイニシアチブで年間100ミリオンドルを超える資金が投じられておりますけれども、日本でもこれからマテリアルズ・インフォマティクスを強化していくということが重要ではないかというようなことを例として御紹介させていただいております。
  また20ページは、参考として、CRDSから発行している関連の研究開発戦略の提言書でごす。
  最後に、21ページ、例えば今後の方向性として、今後の個別の技術分野、研究分野をより推進していく上で必要となるのは、やはり全体の研究開発インフラ、研究開発投資の効率と成果創出のスピードを高めるためのインフラを持続的に成長可能なモデルとして整備していくことが重要ではないかと考えております。現在文科省で進めておりますナノテクノロジープラットフォームでは、計測・加工・合成の三つのプラットフォームが全国37拠点でもって整備、推進されているところです。
  今後はさらにスパコンに代表されるシミュレーションインフラ、計算科学インフラ、そして、データ科学、データインフラを整備し、それを材料合成、デバイス製造、製品開発につなげていく、これらの三つの研究開発インフラをつなげて、日本全体で様々なセクターの研究開発者、技術者又は産業界が活用し、それぞれの製品戦略や産業戦略、研究戦略に徹底活用するというようなことが国際的にも重要な流れであると同時に、我が国がこの分野の地位をこれからも確固たるものとする上では欠かせないと認識しております。以上です。

【三島主査】
  このナノテクノロジー・材料分野における世界の動向を含めまして、その中で日本がどこを伸ばしていくべきかといったこと、それから、これからどういうシステムを作り上げていくかというようなことの重要性を非常にコンパクトに分かりやすく御説明いただいたかと思います。ありがとうございました。
  それでは、委員の皆様方から、ただいまの御説明に御質問ございましたら。御意見でも結構でございます。いかがでございましょうか。
  はい、どうぞ、岡野委員。

【岡野委員】
  どうもありがとうございました。今、世界の中で日本が進んでいるのに対して、世界はもっと大きく進んでいると。スピードの感覚が、日本もある程度やっているんですが、世界はもっと速いスピードで動いていると。ナノテクの論文数や何かを見ても、やっぱり中国なんかはすごい勢いで伸びていますし、欧米もまた力を入れているということで、インフラ作りが欧米、アジアでかなり大きく変わっているのに対し、日本は20世紀の仕組みをそのままキャリーしまして対応しているということで、非常に頑張っているのであるのですが、必ずしも成果を上げていない。
  薬なんかの例でいいますと、今、新薬は日本はほとんど作れなくなりまして、一桁だと思います。アメリカで年間100ぐらい新薬が出てくる中で、そのほとんどが、7割ぐらいが大学発のコンセプトに基づいたものが産業化されていく。産学連携を進めるインフラを非常に徹底的に整備して、これは単なるベンチャーという思い付きの仕組みじゃなく、もっと体制的に人間が交わったり、テクノロジーが交わるような意味を持つようなそういう意味での産学連携が極めて定着して、80年代からボストン辺りから出てきたああいうコンセプトが今かなり完成期に入ってきながら着実に新しいイノベーションを引き起こしているということに対して、日本はいまだベンチャーなんかもそれほど伸びていける体制といいますか、基盤が必ずしも充実していないというようなポイント。
  それから、テクノロジーと、それから、バイオロジーあるいはメディカルの融合というようなところが徹底的に前へ出ているのに対して、日本は20世紀型のテクノロジーとバイオロジーは別枠にどうしてもなっていて、アメリカで出来上がったお手本に対しては何とか融合して対応できる。ですから、後追いの、お手本があるところではやれるんですが、先手でなかなか新しいフィールドを切り出していけないというような問題。
  お聞きしていて、やっぱり日本はナノテクなんかもすごく頑張っていますし、いい成果を上げてきているんですが、これを更に大きく発展させて世界でリーダーシップをとっていくためには、もう一つ体制的な基盤整備、特にテクノロジーとバイオロジーの融合とか教育とか研究の在り方、それから、産学の連携の在り方、教員と企業の研究者の間のもうちょっとフレキシブルな交換研究制度とか、そういうことも含めて考えていくべきかなというふうにお伺いしたんですが、その点についてどんな議論がされてきているのか少しお聞かせいただければと思います。

【永野フェロー】
  岡野先生、どうもありがとうございます。御指摘の点は非常に大事な問題であり、まさに御認識のとおりと言っていいかと思います。日本では、先生もおっしゃいましたように、例えば研究開発の拠点施策やプラットフォーム等の整備によって産学官の連携を行っていこうということは最近特に強化しながら取り組んでいるところではありますが、やはり海外でこのような方策が先に動き出していたというような中で、日本はその取組又は集中化にやや遅れたということは否めません。
  例えば欧州にはMINATECという拠点がございます。あそこは研究拠点あるいはイノベーションのエコシステムをうたっているわけですが、そこの自己評価指標として三つ取り上げています。その1番目は、自分たちのインターナショナルビジビリティーはどうであるか、2番目がエコノミックインパクトをどれだけ出しているか、そして、3番目がエコシステムをどれだけ形成しているか、ということを自己評価指標として掲げております。
  非常に分かりやすい表現だなと私たちそれを聞いたとき感銘を受けましたが、やはりヒト・モノ・カネをある特定の目的にあえて重ねていくことが重要です。それは違ったセクター又は違った政策であってもあえて重ねていくことがより評価につながります。そのために世界から人材と必要なテクノロジーと、そして、資本を重ねるということです。世界のリソースは、ある種の国際的な奪い合いになっているわけです。つまり、そこに集めるという競争力を持てるかどうかが今後の勝負の分かれ目になってくるという認識で彼らはやってい面があります。
  こういうことは日本でも幾つかの政策ではそうしたチャレンジをしているところかと思いますが、先生おっしゃいますように例えばバイオ、ライフサイエンスの分野で今後どのような世界的な展開があるのかというのを見ながら、日本で戦略的な重ね方をできるのかどうかというのが非常に大事な部分になってくると認識しています。

【橋本委員】
  ちょっといいですか。

【三島主査】
  どうぞ。

【橋本委員】
  今の件に関して、さきほど、岡野先生が言われたこと、それから、永野さんが言われたことを含めて、私、別の委員会等でそういうことに関わっているので申し上げます。今のお話にありましたようなことは、我が国の科学技術政策において最優先の重要な課題だというふうに認識しております。特にここ2年間いろいろやってきたわけですけれども、2年間やってきて完成しているわけではなくて、現状もものすごい勢いでそれを動かそうとしております。
  詳しいことは申し上げませんけれども、今おっしゃった中において、例えば産学官の拠点については、今年から始まった、国立研究所を中核とした産学官の連携拠点にする施策があります。そのために、人事面でも、人の行き来を容易にするためのクロスアポイントメント制度など、民間と大学が両方と契約できるような制度が4月から始まっております。
  それから、大学発ベンチャーを誘導するようなそういう制度を作っていくということは、実はこれ、今議論されているところですけれども、現状における最重要課題として位置付けられています。多分今度、来月6月に出てくる国の成長戦略の中に大きく取り上げられると思います。
  それから、融合分野をどういうふうに誘導していくかということも、これも文科省において、常盤局長の下などいろいろなところで、非常に大きな課題として現在議論しているところです。これ、スピード感持ってやっていこうと思っています。すなわち、今年の6月の成長戦略に書いて、もちろん第5期の科学技術基本計画の中にも重要な位置付けをするのですが、第5期が動き出すまでをずっと待つのではなくて、それまでにそういう制度等の流れも作ろうと思っています。
  お願いしたいのは、そういう今のようなことを国の重要な施策として位置付けてこれから動かしていきますので、では、このナノテク分野はどのようにそういうものを使っていくのがよいのかということを議論して、前向きのそういう、案を出していただきたいというのが一つです。
  もう一つは、予算のことです。おっしゃるように、各国、科学技術関係については予算を非常に増やしていますので、予算当たりの論文数の伸びとかそういう視点で見ると実は決して日本の現状は悪くないとも言えます。今、先生もおっしゃったように、日本も増えているけれども、海外はもっと増えている。それは研究開発予算を日本に比べて海外はもっと増やしているからであり、それで、投資額当たりで割ると日本は負けてないんだということをよく言われるわけです。そのとおりなのですが、だから予算を増やせという議論があり、もちろん言い続けるわけですし、そういう努力もするわけですけれども、そうは言っても、今の国の財政の中で、そんなに中国のように予算が増えていくということはあり得ないわけです。
  でも、研究にはどうしても予算が必要なわけです。ではどうするかというと、一つの大きなキーワードは、産業界との連携です。国の科学技術関係の予算を増やすという努力をこれからもすると同時に、産業界との連携を強くする。産業界が使っている研究費というのは、計算の仕方によりますけれども、国が使っている研究費の5倍から7倍にもなります。それは必要だから使っているわけですが、産業界の研究開発における連携先あるいは、パートナーとして、大学等が現状においては実は認識されていません。それが認識されるようになれば、認識されるということはつまりちゃんとそれだけのリターンをできる体制になれば、産業界からの研究開発費が自然と入ってくるようになると考えられます。日本の産業界の投資金額というのは世界的に見ても極めて多いので、そういうところをうまく用いて、ドネーションをもらうのではなくて、共同研究のパートナーとして認められるような、そのような大学とか国の研究所になっていくべきという、そういう方向も一つの大きな流れとして考えております。
ですので、大変重要な基盤的な分野としてナノテク分野が先頭を切ってそういう国の大きな制度転換等の流れを使いながら引っ張っていくという、そういう議論をここでしていただけると大変ありがたいなと思います。以上です。

【岡野委員】
  ちょっとよろしいでしょうか。

【三島主査】
  どうぞ。

【岡野委員】
  どうもありがとうございました。中国は多分、研究費の増大と論文のあれがコンパラになっているのではないかと思うんですが、アメリカとかヨーロッパの幾つかの国は、やっぱりシナジーを出すことにものすごく体制の改革みたいなものを起こしていて、1足す1をどう3にするかという。必ずしも私は、お金を増やしているから増やしていくというのは、正確な情報を今持っていないので何とも言えないんですが、私が知っている中で、中国はそうであると思いますが、欧米では仕組みの改革によって伸ばしていっているんじゃないかなと感じております。
  どうシナジーを出すかという問題は、20世紀型の縦割りの仕組みからどう横断型の仕組みを作っていくかということで、研究所あるいは産学連携の仕組みなんかで、どちらかというと一緒にすんで混合型の仕組みにとどまっている現状に対して、アメリカはやっぱり本当に融合型のダブルメジャーを目指させるぐらいの教育あるいはトレーニング方法を用いて改革を行っていますので、その辺は上手にどう戦っていくかですね。
  それで、橋本先生御指摘のように、前向きに、日本は今、ベーシックには非常に強い科学技術力、概念、技術を持っているわけですから、それをどういうふうに異分野と融合させたり、産学連携を作ることによって、プロダクティブな生産を上げていくような、そういうことが結局新しいサイエンスを作り出すことになるのではないかと。
  多分考えていることは同じだと思うのですが、是非この委員会では、もう一度教育の在り方とか、研究の在り方とか、その中に、異分野融合の問題、それから、産学連携の問題、特に医工連携というのがどうしても混合型の別々の二つの専門家が二人集まれば何かできるかような勘違いじゃなくて、新しい仕組みを目指すようなところに入れていくと、ナノテクの成果は大きく上がっていくんじゃないかと思いますので、その点少し議論していただければと思います。ありがとうございます。

【三島主査】
  橋本委員がおっしゃられた、いわゆるイノベーションを生むための仕組み作り、システム作りにとって、やはり人材育成というのはものすごく重要になってくるということで、第5期の科学技術基本計画でもその辺のところが多分核になってくるだろうと思われるところです。ただいまの意見交換のところはまさに本質的なところかと思いますので、この委員会でもいろいろ幅広く、しかも具体的な提言をしていければと思うところでございます。
  まだ御質問あるかと思いますが、少し時間が押しておりますので、少し先に進めさせていただきます。議題の(2)のこの委員会における主な検討事項等についての二つ目でございますが、ナノテク・材料分野の主な検討状況・施策等についてということで、長野参事官から資料2-2を使って御説明を頂きたいと思います。よろしくお願いいたします。

【長野参事官】
  それでは、資料2-2を使いまして、最近の状況ということで御紹介したいと思います。大きく分けますと、第5期の科学技術基本計画に係るような議論の最近の動向について、それから、私どもが担当してございます施策の状況について、それから、少し違いますけれども、物質材料の専門の国立研究開発法人であるNIMSの最近の動向についてという三つの柱で御紹介したいと思います。
  まず最初に基本計画との関係というか、いろいろな政策の関係ですけれども、ちょっと資料の順番等変えさせていただきまして、少しめくっていただきまして8ページをごらんください。まずは第7期の本委員会、ナノテクノロジー・材料科学技術委員会で御審議いただいた内容について簡単に触れさせていただきたいと思います。本文につきましては、参考資料2としまして、中間取りまとめの文書そのものが付けられてございますが、それをかいつまんだ形でこちらの2-2の資料にしてございます。
  現状認識として、ナノテクノロジー・材料科学技術は、我が国の基幹産業を支える要であるということで、社会的課題の多様化の中で、課題の解決に資する分野横断的な基盤技術であるということとともに、横串的な役割を果たすことで不連続なイノベーションをもたらす可能性があるということ。またその一方、国際的な動向としましては、これまでもCRDSの方からの御紹介にもありましたように、欧米を中心に官民の重点的投資があったり、それから、中韓等アジア各国においても様々な形での台頭があるといった中で、さらに研究開発そのものだけではなくて、先端的な共用施設のネットワーク化も推進されていると、そういったような状況だという認識を示してございます。
  それから、次の10ページ目、こちらの方に基本的な考え方を御紹介いたしております。全体として五つの柱になっております。まず最初に、圧倒的な広がりのある基礎的、基盤的研究としての振興ということで、基礎的、基盤的な研究を推進する。そして、それによって世界をリードし続けるということ。また、その中で、ハイリスクの研究に対する支援、また、セレンディピティを生み出しやすい環境整備をするということが示されております。
  それから、二つ目の柱として、社会的課題の解決に資する研究開発の推進ということで、未解決な社会的課題に革新的なアプローチを提供し続けると、そういった形で解決に導くということが示されております。
  3本目の柱として、我が国がこれまで培ってきた強みを伸ばす研究開発の推進戦略ということで、例えば機能性材料研究では、機能に着目しながら、また材料横断的に研究を推進する。構造材料研究では、いろいろな形での総合的なアプローチが必要であろう。それから、新しい流れとして、材料データ群の徹底的な計算機解析による、情報科学と材料科学の融合した新たな材料設計手法の確立を目指して材料研究を加速するということ。それから、これはまた別の社会的課題になりますけれども、資源リスクに係る国際的動向を見極めながら、あらゆる元素の無限の組み合わせの中から革新的機能を探索する新たなアプローチをしていくということ、こういったことが示されております。
  四つ目の柱として、研究開発の進め方に関わることです。基礎から応用へ、あるいは応用から基礎へといった循環研究、そういった、基礎から応用、実用化への1方向だけではなくて、いろいろな段階で起訴研究に立ち戻るような循環研究が重要であることが示されております。
  五つ目の柱としまして、全体に関わる話ですけれども、人材の育成、確保ということです。広範な分野の基礎的な素養を身に付けて、俯瞰的視野で研究を推進できる人材も必要ではないかということ、それから、産学官にわたりグローバルに活躍するリーダーの育成が必要であるということなどが示されてございます。
  それから、次の12ページになりますけれども、推進体制と方策としまして三つございます。一つ目が、まずは大学のポテンシャルを最大限発揮する体制の構築ということで、様々な壁を打破した教育研究環境の構築、それから、学術界と産業界の双方向の人材交流の活性化といったこと。
  それから、研究開発法人を核としたイノベーションハブの構築。特に物質・材料研究の中核的機関としての物材機構でオールジャパン体制で科学的に深掘りしながら、様々な課題の解決に向けた技術シーズを生み出していくということ。それから、国内外の優秀な人材を結集したハブとするということ。また、研究開発そのものに加えて、人材育成、先端設備の共用、データの情報集約といった形で、我が国の研究基盤としての機能を整備すること。
  それから、3番目に、そういった様々な関係機関の総力を挙げた推進体制の構築ということで、大学共同利用機関あるいは共同利用・共同研究拠点、大型共用施設といった様々な共用のフレームを積極的に活用すること。また、学術界の先端的な研究成果の社会実装に向けた取組におけるベンチャーの枠組みの積極的な活用と、こういったことが示されてございます。ここは主なもののみを示したものでございまして、詳細につきましては、また後ほど本文の方をごらんになっていただければと思います。
  それから、ナノテクノロジー・材料に限ったものではありませんが、科学技術政策全般としての政策の議論の動きでございます。2ページ目の方からに戻っていただきまして、これは本年の1月に科学技術・学術審議会にあります、基本計画の今後に係るような全体の議論をされる総合政策特別委員会の方で中間取りまとめがされたものを御紹介してございます。
  4ページ目にありますように、その中でのポイントは三つあります。イノベーション創出基盤の強化ということで、特に人材とか学術基礎研究の改革強化、また、共創を生む新たなイノベーションシステムを構築すること。それから、ポイントの二つ目として、新たな課題の提起ということで、サイバー社会の劇的な進展に伴うような、社会を先導していく取組ということなどがございます。それから、ポイント3として、組織や政策の枠組みを越えた総合的な計画の提案ということで、大学等の役割を明確にする。その中で改革と強化を図る。特に研発法人をイノベーションシステムの駆動力となるハブとして強化すること。また、研究開発投資についてはその拡充と効果的活用に向けた資金改革をすることということが示されております。
  具体的な取組として、ナノテクノロジーに関係した部分としては、イノベーション創出基盤の強化の中に、共通基盤技術・研究基盤の強化というのがございます。この共通基盤技術の中にナノテクノロジーが位置付けられてございます。
  それから、次の6ページ目以降でございますけれども、主な提案の中で特に関係が深いものとしては、提案6にあります、国の主導で取り組むべき基幹技術ということです。その中に、国あるいは国民の安全・安心を守るため、国の成長の原動力となるための国家存立の基盤となる技術の獲得等を、長期的視野を持って実施するということで、7ページの真ん中ほどに技術の例として挙げられておりますが、その中にデータ駆動型材料設計といった技術が取り上げられております。
  それから、これは文部科学省の科学技術・学術審議会での議論でございましたが、実際の基本計画そのものの策定に関わる議論と致しましては、13ページ目以降でございます。これは総合科学技術・イノベーション会議の専門調査会の方で御議論されているところでございます。まだ現在も御議論中というふうに聞いておりまして、中間取りまとめがこの5月の末、28日の回で基本計画専門調査会の方で取りまとめられると聞いてございます。
  現段階での骨子としましては、15ページにございますように、大きく分けると三つの柱になるかと思います。一つ目が、未来の産業創造・社会変革に向けた取組ということです。未来への投資、それから、未来の産業創出・社会変革の種となるチャレンジングな研究開発を推進するということと、加えて、我が国が強みを有する研究開発・技術を取り込みシステム化し、サービスや事業の連鎖を提供するバリューネットワークを構築するといったようなことが一つ目の柱。もう一つが、経済・社会的な課題への対応。それらを支える形で、人材・知の基盤を強化していくということ。3番目の柱として、基盤的な力の育成・強化ということで、人材、知、資金の好循環を誘導するということが、今の段階での考え方の概要になってございます。
  それから、議論のまとめとして16ページにありますが、これもまだ途中段階ではございます。その中でやはり大きく取り上げられておりますのが、ここにありますように、様々な社会的課題に取り組むために、日本の強みを生かして産業競争力を高めていくために、強いコンポーネント産業をより強くするのはもちろんのことですけれども、システム化して取り組んでいくということが必要不可欠だという考え方が掲げられております。そのシステムを進めていくためには、IoTや、AI、ロボット、ビッグデータといったコア技術が各政策課題を解決する上で重要だという認識に基づいてシステム化を進めていく。その際には、人文社会科学的な取組も組み込む。また、そういったこれらの技術というのは、この政策課題を解決する要素としてそれぞれの政策課題に含めて考えていく必要があると、そういった形で、様々な個別のスマートサービスなど全体を横串で刺すようなシステム化と、そういったような議論がされていると伺ってございます。
  現段階の専門調査会に出されている資料は、御参考までにということで、参考資料1の方に付けさせていただいております。まだこれは御議論中でございますので、これから修正されるというふうに伺っております。
  それから次に、私どもの担当しておりますナノテクノロジー・材料科学技術に係る施策の御紹介でございます。18ページになります。もちろんナノテクノロジー・材料科学に係る施策、全体を俯瞰しますと、もっと幅広く、いろいろな競争的資金を活用しながら取り組まれているところでございますけれども、私どもが所管して、まさにナノテクノロジー・材料用に施策として立ち上げているものについてまずは御紹介したいと思います。
  一つ目が、希少元素を用いない革新的な代替材料の創製ということで、元素戦略プログラムがございます。それから、もう一つ目の柱として、右側にありますように、先端設備の共有化、共用化を図る、そういった取組のナノテクノロジープラットフォームがございます。それから、それ以外に、これは左の下にございますが、これは復興予算でございますけれども、東北初の素材技術先導プロジェクトということで、東北地方の材料の強みを生かした、東北大学を拠点とした材料創製のプロジェクトがございます。また、地球環境問題の解決に向けた産学官の連携モデルということで、ナノテクノロジーを活用した環境技術開発。これはTIA-nanoの中の取組として、NIMSの中のこういった場を用いて拠点的にやっているものがございます。
  この中で主なものとして、19ページ以降に個別の施策を挙げております。元素戦略プロジェクト、これはまさに資源リスクを克服、超越する元素戦略が必要不可欠ということで、希少元素を用いない全く新しい代替材料を創製するという取組です。それを拠点的に実施するというもので、これは分野としては、右の真ん中ほどにありますけれども、材料領域としては、磁石材料、触媒・電池材料、電子材料、構造材料という、この4拠点を設けておりまして、平成24年度から10年計画の期間で進めております。ここでのポイントは、推進体制として、電子論、材料創製、解析評価、この三つの領域を三位一体で徹底的に融合しながら拠点的にやっていくと、こういった取組方が元素戦略プロジェクトでの一つの特徴になるかと思います。
  次のページ、20ページでございます。これはもう一つの大きな施策として、ナノテクノロジープラットフォームでございます。先ほどのCRDSの御説明にもございましたけれども、これは研究開発そのものではありませんで、各大学等研究機関が所有する最先端の研究設備、それから、その活用のノウハウを有するような大学・研究機関が、全国の大学・研究機関が連携して共用体制を構築するというものです。領域としては、微細構造解析、それから、微細加工、分子・物質合成という、三つのサブプラットフォームを形成して、全体としてのプラットフォームとして共用体制を作っているというものでございます。平成24年度から開始されて、10年計画で実施しております。
  それから最後に、物質・材料研究機構の御紹介でございます。最近の動向でございます。次の22ページ以降にございますように、特に新しい動きとしましては、これは物質・材料研究機構に限らないんですけれども、独法の中で本年27年度4月から改正独立行政法人通則法が施行されました。これによって、22ページ目の下にありますけれども、独立行政法人を3類型に分類して、それぞれ特性に合った制度で規定する。その1形態として、国立研究開発法人を創設するというふうになってございます。
  国立研究開発法人とはどういう制度かということが23ページにございます。上の箱のところにありますように、研究開発はやはり特殊性がある。長期性、不確実性、予見不可能性、専門性と、こういった特性がございます。こういった特性に対してやはり異なる取り扱いをする必要があるだろうということで、研究開発を主たる事業とするような独立行政法人が新たに国立研究開発法人として位置付けられてございます。一番下の方にございますように、3分類の中の一つとして位置付けられているというふうになってございます。
  ここで右側の方に研究開発法人の詳細の説明がございますが、この詳細は御説明いたしませんけれども、国立研究開発法人として求められるのは研究開発成果を最大化させることだということで、そのためにどういった目標を掲げ、その目標に対して実施していくかと、そういったことが求められていくようになるということが一つの特徴かと思います。
  次の26ページ目以降でございますけれども、その結果どういったことになっているかといいますと、国立研究開発法人では、左は旧制度で、右側は研発法人ですけれども、研究開発の最大限の成果を確保することということで、目標期間も少し長くなって5年から7年と、そういった形になってございます。
  それで、28ページ目以降、物材機構そのものがございますけれども、これはもう御案内かと思いますので細かには申し上げませんが、基礎研究、基盤研究、それから、成果の普及・活用、設備・施設の共用、研究者・技術者の養成・資質の向上をミッションにしている法人でございます。
  最近の動きとしましては、30ページ目以降にありますが、一つは、データ駆動型の材料研究開発の推進ということで、マテリアルズ・インフォマティクスと呼ばれる情報科学、材料科学との融合という形での新たな研究手法の確立に向けた取組を開始したところでございます。
  31ページにありますように、中身としては、そういった物質・材料研究のパラダイムシフトを図るということで、データ中心科学、第4の科学ということを活用しながら革新していくといったものでございます。
  32ページにありますように、NIMSは情報科学が専門ではありませんので、NIMSに蓄積している材料データベースや技術と、それから、大学が主導するような最新の情報科学、計算機科学、統計科学を融合させながら、新たな形でのマテリアルズ・インフォマティクスの拠点として取組を始めようとしている。そういった取組によって、材料開発期間の半減を実現し、国際的な特許獲得競争に勝つといったような目標を掲げております。
  もう一つの新しい動きとしては、次世代インフラ構造材料の研究開発ということです。社会インフラの長寿命化、耐震化のために、NIMSでのオールジャパンの研究体制を構築するというものです。
  中身としては、34ページにありますように、構造材料といってもいろいろございますので、社会インフラ、産業インフラ、輸送機器と、そういったものを、特に最初の取組としては、SIPにおける革新的構造材料とか、インフラに関するプロジェクトがございますので、そういったものと連携しながらアンダーワンルーフでやっていくといったようなことで進めております。
  それから、最後の35ページになりますけれども、体制としては、構造材料研究拠点を構築し、また、SIPの受け皿として、また分野横断あるいは産学連携の実質化を担うようなネットワークプラットフォームを構築しているということで、産業界と、あるいは大学との連携を進めておるというところでございます。以上でございます。

【三島主査】
  御説明ありがとうございました。第7期のこの委員会で作った中間まとめの内容、それから、この分野における内閣府あるいは文科省の施策について御説明いただきました。併せて、材料の国立研究開発法人になるNIMSの最近の動向ということがあったかと思います。
  御質問、御意見ございましたら、どうぞ。

【小長井委員】
  よろしいですか。

【三島主査】
  どうぞ。

【小長井委員】
  二つあるんですが、一つは、これで行くと15ページですかね、パワーポイントの図面の15、16の辺りです。今回第5期では、ナノテクノロジーとITは共通基盤ということで、15ページの真ん中の中に入っている。それはよく承知しているところなんですけれども、それに合わせてシステム化というところがこれから大変重要になるということから16の図が出来ているんですけれども、前にも内閣府の会議で申し上げたのですけれども、これはあくまでもITを主体にして基礎から実装までの絵を描いているものなので、ナノテクノロジー・材料委員会としてはこれは大変ふさわしくないと思います。これだけ出てくるのはね。
  だから、これに対応するものをやっぱり早く描いた方がいいと思うのですが、先ほどの永野さんの話の中では、実はそういうものはある程度別の形で出ているんですね。一つには、永野さんの図面でいったら、資料2-1の6ページとか何かがそれに対応するわけですけれども、先に16ページのものが先行して出てしまっているので、これに該当するようなものを私は1枚是非作っていただきたいなと思います。それが一つ。
  それからもう一つは、私もこういうナノの分野にもう何十年もおりまして、この委員会と最初に関わったのは、私、10年以上前に実はそこの傍聴席にいたのが最初だったんですけれども、それが今、ここに来ておるわけです。その中でナノテクノロジーが、先ほど永野さんの図面でいくと、5ページの先鋭化、融合化、システム化と、これは全くそのとおりだと思っておりまして、それだけ着実に進歩してきているということはよく分かるんですけれども、ただ、我々研究する立場と、世の中の人が見るのとは多少違ったものがあって、ナノテクノロジーという言葉がもうずっと使われているから、やはりまたかという印象を持つ人がかなり大勢いるのではないかと。私は全然そう思っていないんですよ。これは研究者の立場との違いなので。
  ですから、ナノテクノロジーという言葉自体が本当に消えてしまうと困るので、早くそれに代わるようなものが。それは一部だけでもいいんですけれども。それで、私もいろいろ調べたのですけれども、確かにヨーロッパの方とかは、ナノテク2.0とか言っているのもあるみたいなんですけれども、今までとどこが一つ違うのかというのを一言で表せるようなものがあると大変いいなと思っているんです。やはり今の場合には多分システム化。でも、融合化は今までもやっているので、何かそれこそうまく、全体ではなくていいと思うんですけれども、ある程度キャッチコピーとしてですね。私もナノXとか、ナノプラスとか、ナノ2.0とかいろいろ考えたんですけれども、なかなか決め手がないので、是非これはこの委員会でCRDSがお考えいただけるのが一番いいかもしれませんが。

【橋本委員】
  よろしいですか。

【三島主査】
  済みません、どうぞ。

【橋本委員】
  今、小長井先生が言われたことはかなり重要でして、第5期の中に、15ページのここの共通基盤技術にITとナノが入って当然のように言われましたけれども、ナノは実際には消えかけていたんです。ここはもうITがメーンで、ナノは入らないようなそんなような状況からナノを盛り返したという、こういう実態があります。
  だから、16ページに相当するようなものとして、先ほどのCRDSの6ページのようなものを入れようといっても、昔からあるようなものでは全然無理です。だから、今、先生が言われたように、キャッチコピーというか新しい視点を出さないといけない。そして、キャッチコピーは大変重要ですけれども、キャッチコピーだけで通用するような世界ではありません。みんなそれぞれの技術や分野が重要だと言ってくる中で、ナノが本当に重要であり、どういうふうにコントリビューションできるのかというのを20年間にわたって今までずっと言い続けてきたわけです。その20年間にわたってそれなりにコントリビューションしてきたけれども、やっぱり今の大きなITの流れの中にそれが見えないですよね。それで、我々ここの中ではみんな、ナノの強さや重要性について、そうだそうだと言うんですけれども、そのまま全体の議論の中に持っていってもそれはとても入らなくて、実際には本当にこの共通基盤技術の中にナノテクと入っただけでかなり大変だったんです。
  ただし、重要なことは、ナノが我が国にとって基幹技術であるという認識はみんな間違いなく持っているということです。そして、そういう日本の技術を持ってでないと、IT分野は決して日本は強くないということも認識としてあるんです。ICTだけで日本が戦っていけるとは思っていなくて、そうすると、日本の強い分野であるナノテクのようなものがあって、それで、ICTに対して世界で戦えると、こういうような論理に今なっているんです。ですので、そんなに甘い状況ではなくて、やはりここでかなりしっかりとした、そういう過去20年間の投資をいかにうまく使い、それで次のステージに行くのかということを、中身も伴った形で新しいキャッチコピーを一緒に出していただかないととても戦えないというのが印象です。
  実際には第5期に関しては年末までまだ時間があります。今申し上げたようにナノテクに対する期待感は非常にありますので、いいコンセプトと絵が上がってくればこれは取り入れられると思いますので、そこを事務局に投げないで、やっぱりこちらで考えないといけないなというのが私の率直な印象です。

【三島主査】
  この第8期の委員会で非常に重要なポイントになるかと思います。
  山本委員、どうぞ。

【山本委員】
  私も出身が化学ですので、この分野は気持ちがとてもあるんですけれども、今、先生がおっしゃられたように、ナノテクが日本は伝統的に強くて、ここ重ねて力を付けてきたという自負がありますので、それが今お話しいただいたように、新しく変わらなければいけない、ITなどと組み合わせてIoTにつなげるとかという変化に身軽に変わっていっているかというとちょっと疑問があるのかなというのが、一般的なメディアみたいな立場から見ての感想です。例えば大学の研究室の教育法などでも、どちらかというと、化学とか材料とかというのは伝統的な徒弟制に近いものが強いですし、もっと新しい形をどんどん吸収して、ナノテクって言葉自体は長いけど、随分変わっているんだねというのを一般の方にも感じさせるような取組が必要かなと思いました。

【三島主査】
  ありがとうございます。
  永野フェローあるいは長野参事官から、何か今コメントございますか。

【永野フェロー】
  いずれも御指摘のとおりだと認識しております。新しいキャッチコピーあるいはコンセプト、何か旗を立てるようなことは非常に大事だと考えておりますが、世界全体を見ると、例えばちょうど先週も国際ナノテクノロジー会議が福岡で開催されました。そこでも一番掲げられたのは、ナノデバイスからナノシステムへとか、あるいは橋本先生がおっしゃいましたように、IoTや、その中でより重要になってくる例えばロボティクスや自動運転等のビジョンに対して、それを実現するデバイスや材料が決定的に不足しているということ。これに応えていくべきだということが強く強調され、共通認識化されていたというのが今年の国際ナノテクノロジー会議でありましたので、方向性自体はそういうものであろうと思います。では、そこで日本がどのような表現でもって皆様と問題意識を共通して取り組んでいくのかということが最も大事であって、是非それはこの委員会を通じた議論から生み出していくことが大事ではないかと考えております。

【三島主査】
  ありがとうございます。
  ございますか。

【長野参事官】
  まさに今ほどいろいろ御指摘いただいた点、この後実際にこの委員会でどんなことを御議論いただくべきかということをお出ししようと思っていましたので、そちらでと思います。

【三島主査】
  分かりました。
  ほかに委員の方から今のところで。
  栗原委員、どうぞ。

【栗原委員】
  余り先端的な意見にならないのですが、今の資料の中間取りまとめの10ページ、11ページの中で、特にナノテクが広範な社会的課題の解決に資するということは非常に重要な点だと思っています。特に工学分野全般に関して、特にITというようなことだけではなくて、ある意味飽和感のある工学分野はたくさんあると思うんですけれども、そういうものを刷新していく力はナノテクにあるんじゃないかと思います。
  ただ、そういう場合に、広範というと非常にぼやっとしているねということをよく言われて、なかなかそういうものをプロジェクトにしていくのは難しいというのが現実にあると思うんです。それに対しての一つの解がナノテクプラットフォームだったと思うんですけれども、それ以外にも、私どもがある程度とんがったようなプロジェクトをやっている中でこういう広範な課題に応えるというのは、やっぱり装置の共用とか、研究の広範な発信だと考えるんです。
  その場合に、実はなかなか制度的に難しいというようなことがあるということを私は少し経験しております。共用というのは最初から言っておかないと、例えば予算的に共用はできないというようなことがあります。それなので、意外と身近なところの課題をきめ細かく挙げて、制度や何かのマッチングがきちっとする、整合性がいいようにということを考えるというのは、大きな旗印ではないんですけれども、現実には割と大事なことじゃないかと思いまして、そういう点を触れさせていただきたいと思いました。
  それから、基礎から応用、応用から基礎への循環というのはこのとおりで、社会的課題をやるのが、基盤を一般的にやっているだけではなかなか気が付かないような極限条件とか、そういうものが出てくるので、循環研究の重要性というのは是非強調させていただきたいと思います。以上です。

【三島主査】
  ありがとうございました。
  ほかいかがですか。
  五十嵐さん、どうぞ。

【五十嵐委員】
  ナノテク・材料の融合化、システム化、これが重要だという話と、それから、ナノテク・材料が実は日本の産業力強化に非常に貢献しているというところを是非お話ししたいんです。例えば次世代パワーエレクトロニクスでSiCの基盤開発をいろいろやられていますけれども、実は世界でやっぱり低欠陥密度の高品質の基盤が待望されているんです。ここに本当にナノテク、さらには材料の技術が生かされていますし、これが克服できないと、日本がパワエネの分野でも世界をリードできなくなってしまう。ただ、それをNEDOさんあるいはいろいろな国プロでやってきて成果を上げているんですけれども、なかなかそれが浸透していないんじゃないかなと、そういう思いがあります。
  それとあと、産学連携でシステム化を促進するためにも企業側のもっと努力が必要だと。これが日本は一番遅れているんじゃないかなと私どもも感じています。特に素材メーカーは、システム化あるいは技術を組み合わせて商品を作るというところが非常に下手なんです。そういうところでアウトソーシングが産業界は非常に下手なんですけれども、それを今後いかにうまく産業界にそういう認識を持たせて、こういう分野でも大学連携。
  例えばイノベーションの苗床に予算を付けるというのは、そういうセンスでの共同研究というのは私どももやらせていただいているんですけれども、おそらく予算規模でいったらまだ一桁二桁足りないんだと思うんです。そこを例えば自分たちの技術のこの部分はもう大学にお願いする、あるいは研発法人にお願いするみたいな、そういうところまでアウトソーシングによって競争力向上につながるというのを企業が実感できれば、そういうふうになっていくと思うんです。そこが一番の問題かなと今は認識しています。ですから、こういう委員会でそういうところも議論いただければ、産業界としても変わっていけるんじゃないかなと考えています。

【三島主査】
  ありがとうございます。
  それでは、まだあろうかと思いますが、先に進ませていただいて、予定のものが終わった後にもし時間がございましたら、また戻って御意見を頂ければと思います。
  それでは、先ほど長野参事官からもちょっと御紹介ございましたが、今後のこの委員会の予定等について事務局から資料2-3、2-4でお願いいたします。

【長野参事官】
  はい。御説明いたします。まずこの第8期の委員会で今後当面どういった予定で御審議いただくかということについてお示ししているものです。左側の欄が当ナノ材委員会です。右側にその他の日程がございます。
  まず本日、第1回目ございます。
  次の回が6月に予定されておりますが、このときには、さらに今後の推進方策、方向性といったことについて御議論いただけるようにできればと思っています。
  それから、第3回目につきましては、ちょっと申し忘れましたけれども、こちらの委員会では、こういったナノテクノロジー・材料分野全般の様々な推進方策や方向性について御議論いただくということと、もう一つは、個別の施策なり事業に関する研究開発課題の評価を頂くということ、この二つが大きな柱になっておりまして、二つ目の柱としての評価についてです。8月につきましては事前評価ということで、これは来年度に向けて私どもで概算要求等につなげるような施策を検討された場合には、そういった施策についての事前評価をしていただくということがございます。
  それから、9月以降ですけれども、これは今現在走っています元素戦略プロジェクトの中間評価の年になりますので、こちらをお願いしたいと思っています。こちらの評価についての進め方については、後ほどまた詳細御説明したいと思います。こういった形で本年度以降順次開催しながら、懸案事項について御検討いただくというふうに予定してございます。
  まず最初の柱と申し上げました、推進方策あるいは方向性について御議論いただきたいことでございますけれども、資料2-4に案としてお示ししました。これは一つの例でございます。何か取っ掛かりということでお示ししたものでございます。
  先ほど来いろいろな先生方からの問題提起ございました。そちらとほとんど同じかと思いますけれども、具体的な推進方策ということで、まずはナノテクノロジー・材料分野全体を見渡して、その中で重点的に推進すべき分野、領域の方向性について。それから、最近様々なところでうたわれておりますシステム化あるいは統合化といったことを意識した研究を進めるに当たってどういうふうに進めればいいのか具体策について。また、未来の社会変革に向けたとありますけれども、様々な、IoTでしたりビッグデータ活用といった、そういった動きがございます。そういったところとの対応の中で、ナノテクノロジー・材料分野の研究開発をどういうふうにするのかといったこと。それから、他の分野との融合分野の研究推進方策、例えば社会インフラとかナノバイオ又はマテリアルズ・インフォマティクスといった、そういった推進方策についてというものです。
  それからもう一つは、体制面あるいは具体的な推進体制ということかと思いますけれども、産業界・アカデミア・国立研究開発法人といった関係機関の連携の在り方、あるいは、先ほどもお話ありましたけれども、施設・設備等の共用の体制整備・推進方策について、それから、研発法人物材機構に求められるものといったもので案を作らせていただいております。以上でございます。

【三島主査】
  ありがとうございます。
  それでは、この2-3、2-4につきまして、御質問がございましたらと思いますが、いかがでしょうか。
  それではどうぞ。

【橋本委員】
  私ばかり申し訳ないんですけれども、先ほど申し上げた第5期の科学技術基本計画との関係なのですけれども、12月末までは議論があって、まだ終わってないんですね、三島先生も専門調査会の委員でいらっしゃいますし、私ももちろん関わっていますし、そういうところで上げていくことができるのではないかと思います。
  先ほど申し上げたように、ナノに関してはいいアイデアを待っているという、そんなイメージなのです。今までと同じようなものしか出てこないから、基盤の一つの中に埋め込まれて、同じような言葉でしか出てこないんですね。ですから、先ほどCRDSの永野さんが言われたことがすごく重要で、今、世界の動きも明らかに、今までのようにただナノ・材料とか言っているのとはフェーズが変わっているんです。
  例えばロボティクスというのはここに全然出てきていないですけれども、実は我が国の大変重要な分野のひとつで、そのための先端的な材料はどうあるものかとかあると思います。そういうものに対して、ナノテクの研究者が待ちじゃなくて積極的に出ていくというような、そんなようなメッセージというか、少し具体的なことを入れられると良いのではないでしょうか。第5期でメーンになるものを材料が、マテリアルとナノがしっかりと本当に支えるんだぞということを具体的に出すと、非常に浮かび上がってくる可能性は十分あると思うんです。ですので、それ、結構重要です。
  そんなに余裕はないですけれども、まだ時間はありますので、ここのイシューについてやっぱり専門家の方に議論していただくのが一番だと思うんです。ああいうものは、私もそれに関わって思いましたけれども、専門家じゃない人たちが議論して、どこかでやったのをいろいろ持ってきて集めてその中で議論していることが多いので、やっぱり専門家の方が真剣に考えていいアイデアを出すのはすごく強い力になるんです。ですので、ここでやはり第5期に向け、今からやることはほかの委員会から見たら何考えているんだと思われるかも分かりませんけれども、十分可能性はあると思いますので、議論の一つに入れていただけたらよろしいんじゃないかなという気がいたします。

【三島主査】
  橋本委員、ありがとうございました。そうすると、例えば6月24日の第2回のときなんかまでに私どもの方で少し準備をして、それで議論ができるようなスタイルをとってみようかと思います。5月28日に専門調査会の中間まとめが出て、しばらく専門調査会の方は停滞しますので、その間に何かインプットできるものがあればというようなことの考え方は非常によいかと思います。

【橋本委員】
  中間まとめは中間まとめですから。

【三島主査】
  そうですよね。

【長野参事官】
  ちょうど実は、先ほど申し上げなかったのですけれども、第2回の6月には、内閣府の御担当の方にもいらしていただいて中間まとめについて御紹介いただくようにお話ししておるところですので、そういったものをインプットいただきながら、我が方としてというか、こちらの委員会としてどういうふうに考えるかというのを御議論いただけるようにできればと思っております。

【三島主査】
  時間があるといっても急がなければいけない中でいろいろな知恵を絞りたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
  それでは、議題(2)は終わりでございますが、(3)、もう一つこの委員会の重要な研究評価計画についてということでございます。これは立松補佐から資料3-1と3-2で御説明いただければと思います。

【立松補佐】
  失礼いたします。お手元の資料3-1と3-2を使いまして、この委員会でもって本年度にお願いする評価の在り方について御決定いただきたい内容がございますので、お諮りさせていただきます。
  資料3-1でございます。こちらに、ナノテクノロジー・材料科学技術委員会でもって本年度の研究評価計画について御審議いただきたいと思っております。こちら、評価の目的につきましては、1ポツに書かせていただいておりますが、ナノテク・材料科学技術に関する研究開発課題について、上位の定めがもろもろあるのですが、こういった定めに基づき評価を実施するということで、その具体的な内容についてこの委員会として御決定いただきたいという内容でございます。今省略させていただきましたけれども、上位の委員会の定めにつきましては、参考資料3に研究計画・評価分科会における評価の実施についてというペーパーがございますので、適宜御参照いただければと思います。
  具体的なこの委員会で決定いただきたい定めにいてでございますが、2ポツで評価対象課題としまして、本年度の評価対象課題は大きく二つ。一つは事前評価と致しまして、本委員会の所掌に属する課題のうち、以下の課題ということで、総額が10億以上の新規拡充課題、あるいは総合科学技術・イノベーション会議が定める科学技術に関する予算等の資源配分方針の対象となる課題のうちの新規・拡充課題、また、分科会において評価することが適当と判断されたものにつきましては事前評価をすることとなってございます。こちらにつきましても、ここに該当するような施策を新たに概算要求するということになった場合にはということでございますので、これはもう少し8月末の要求に向けて姿が見えてくればお諮りさせていただくこともあろうかと思いますが、現時点まだ決まったものではございませんが、一応規定としては規定させていただいておるところです。
  (2)の中間評価、こちらは確実に今年度やらなければならないものでございまして、元素戦略プロジェクト(拠点形成型)が4年目になってございます。こちらは3-2の資料をごらんいただければと思います。先ほど参事官の長野の方から当方で所管している事業につきまして御紹介申し上げたところでございますけれども、その各事業につきまして、中間評価のタイミングを赤の三角で、また事後評価のタイミングを青の三角で示させていただいております。今年度平成27年におきましては、まさに赤色のコラムになってございますけれども、この中で元素戦略プロジェクトにつきましては赤三角、つまり、中間評価のタイミングになってございます。この事業は平成24年度から始まった10年間の事業でございますが、3年間を経過した第1回の中間評価として中間評価を本年度行っていただく予定でございます。また、10年間の事業でございますので、当該施策につきましてはまた平成30年のところに赤の丸がございますけれども、もう一度中間評価を挟むという格好を予定しておるところでございます。
  資料3-1に戻りまして、こちらが評価の対象課題です。3ポツで具体的な評価方法について定めております。評価の進め方につきましては、(1)のローマ数字の1、まず事前評価についてです。評価の観点と致しましては、必要性、有効性、効率性の観点から評価を実施することと、こちら、上位の分科会の定めに基づくものとして定められております。また、その評価方法・日程でございますが、事前評価でございますので、具体的な概算要求の実施時期、8月末を見込みながら、7月から8月頃の本委員会でもって課題の概要について事務局から説明を申し上げた上、質疑応答、討議を行って事前評価票を取りまとめるという作業をいたします。その後、上位の分科会に評価結果の報告を経て決定することとなっております。
  ローマ数字の2でございます。中間評価についてでございます。評価の観点と致しましては、課題の進捗状況(所期の目標の達成に向けた進捗の状況)、あるいは必要性、有効性、効率性の各観点の再評価と今後の方向性についてが評価の観点となってきます。具体的な進め方につきましては、6月から7月頃、外部有識者から成る中間評価に係る検討会を別途開催いたしまして、そちらでもって具体的な実施者からのヒアリング等あるいは評価報告書の精査等をしていただきまして、中間評価案を作成していただきます。その検討会からの中間評価案をこの委員会、ナノテクノロジー・材料科学技術委員会に報告いただきまして、この委員会において質疑応答、討議を行いまして、当該中間評価票の案について適宜修正の上取りまとめ、そして、分科会へ報告、決定という流れになってまいります。具体的な評価の日程でございますが、以下の日程でということで、事前評価については、繰り返しになりますが、6から8月頃、中間評価の審議については8月以降ということを予定しております。
  留意事項と致しましては、利害関係者の範囲と致しまして、利害関係者につきましては、その利害関係の内容を明確にした上で、審議に当たっては利害関係者は評価に加わらないことを基本とするということを定めております。また、(2)で評価に係る負担については、可能な限り合理的な方法で負担軽減に努める旨、また、(3)におきまして、評価に際しては予算規模をしっかりと明示した上で評価に当たる旨を定めてございます。その他具体的に必要なサーベイにつきましては、別途必要に応じて定めるものとすることと予定しております。以上でございます。

【三島主査】
  御説明ありがとうございました。継続して委員をなさっている皆様方はよく御存じかと思いますが、新しく委員になられた方は、こういう作業があるということを覚えていただければと思います。
  本件はよろしいでしょうか。もし御質問があればと思いますが。
  それでは、予定した時間に10分ぐらい余裕がございますので、もし今まで御発言がなかった委員の皆様、あるいは更にこれだけはということがございましたら伺おうと思いますが、いかがでございましょうか。
  どうぞ。

【瀬戸山委員】
  ずっとさっきから産学連携のことを考えていたんですけれども、日本の企業が今どこを向いているかといったときに、僕は限りなくニッチを目指していると思っているんです。ニッチとはどういうことかというと、自分のところの利益がとれればいいと、それが第1優先だという形になるんです。そうすると、どれだけ中に持っている情報を外に発信するかということに関していうと、なかなか発信しないというのが今の状況だと思います。
  そうすると、どういうことが起こるかというと、富士キメラの有名な絵がありますよね。横軸に市場占有率をとって、縦軸にマーケットの大きさをとったやつそういう絵があるんですけれども、どこに日本の企業の多くがいるかというと、右側の市場占有率が高くて、小さい丸がポチポチ開いているんです。これ、全部個別なんです。インディペンデントなんです。全然そこ、シナジーないんです。
  片っ方でどんな大きな産業があるかというと、右上にドーンとあって、これは例えば情伝デバイスとか自動車が典型なんです。そういうところがあって、じゃあ、ナノテクでどこを目指すかといったときに、こっちをやっぱり目指しても仕方がないと思っているんです。こっちの左側上のでかい産業を日本が作るという視点になったときに何をやればと言われたときに、この小さいものを集めるという見方なのか。多分集めれば幾つか答えは出ます。
  だけど、いっぱい参考例はあって、例えば自動車産業は何をやっているかというと、自動車というのはナノテクの塊ですよね。例えば車を軽量化するために何をやっているかというと、やっぱりそういうものを入れてプラスチックを軽くする、鋼材を軽くする。あるいは、エネルギー変換効率を上げていくために何をやるか、あるいは電子デバイスを使ってどうやるかって、あれはナノテクの塊なんです。だから、それは全部システム化されているわけです。
  だから、左上にあるような新しい産業、例えば車も一つの例だし、例えば環境浄化の一つの新しいエネルギーが、量子があるとか、あるいはそういうエネルギーを作るための、あるいは蓄電するための仕組みがといったときに、じゃ、どういうふうな組み合わせを作れば、左上に上がるような大きな産業を作っていくかという視点みたいなものを持って、そういう中でどんなふうなナノテクのいろいろな領域をはめ込むかというような、そういう視点で議論すると何か絵が描けるのではないのかなと思います。そんなことを聞いていて思いました。

【三島主査】
  分かりました。ありがとうございます。
  どうぞ。

【栗原委員】
  今の御意見に賛成なんですけれども、右側の点の方、先ほど私が申し上げたのは、その大きな方を目指しつつ、点の方にもケアするために何かしらやりようがもう少しあって、その両方をケアすれば、もっと全体として元気が出てくるんではないかと思っている。そのときが、私はきょう、そういうプロジェクトの中で例えば共用とか、あるいは技術をどう開いていくのかと、そういう方策をもう少し考えてもいいのではないかというような気持ちがあったので、ああいうはっきりしない言い方だったのですけれども、今御意見を伺って、何を言いたかったのかがより分かりました。ありがとうございます。

【三島主査】
  はい、射場委員、どうぞ。

【射場委員】
  今、瀬戸山さんおっしゃったとおり、自動車産業はナノテクの垂直連携の結果として自動車が出来ているんです。だから、システム化、統合化と言われても、自動車はそうやって実際やっているんですよということですけれども、要は、材料レベルの水平分業が余りなされていない。そこをやればもっと効率的に研究開発ができるし、自動車以外のほかの分野へもアプライしていけると思うので、そういうことをするためには、仕組みとしてどういう仕組みがいいかとか、共通基盤技術をどういうふうに設定したらいいかという議論がここでできればいいのかなと。
  その中でやっぱりツールとしては、ポツポツ出てきましたけれども、マテリアルズ・インフォマティクス、これが米国に比べて随分遅れているところもあって、そこに共通基盤となるようなデータをどうやって取り込んでいくか。大学との連携の中で、NIMSがハブになってやるんでしょうけれども、手法開発はいいんです。手法開発はNIMSと大学が連携してするのはいいのだけれど、そこに個々の民間企業とか大学が囲っているデータをいかに統合して入れていくかみたいなところの議論は、こういうところでしないと実際のアクションにならないと思うので、よろしくお願いします。

【三島主査】
  ありがとうございます。
  ほかいかがでございましょうか。

【馬場委員】
  よろしいでしょうか。

【三島主査】
  はい、どうぞ。

【馬場委員】
  大学の方からちょっとだけですけれども、企業が大学をどういうふうに使いたいかという視点でお話をいただいた方が大学としては非常にありがたい。大学と企業がどこかに集まってというのは、ある意味絵そらごとに近い。今の段階ではそんな気がしています。具体的に大学をこういうふうに使いたいという本音で使えば、本音で金出してきますので、そういうものをとにかく成功事例を作ることが一つだと思います。
  それと、ナノテクですけれども、大学にナノテク専攻とかナノテク学科というのが日本にはないと思います。国民にと言っていますが、学生にナノテクって何というのは誰も教育をしていないし、彼らは知らないまま大学を出ているような気もしますので、ひょっとしたら、大学としてナノテクというのをもうちょっと教育の場に落とし込むのもあっていいかと思います。これはどうしていいかの具体例はありませんけれども。
  そういう意味も含めて、もっと大学をどういうふうに使うか、済みません、大学の立場から言いにくいのですが、大学からアイデアを出せと言われていると多分ないと思います。言い方は悪いですが、やっぱり非常にそういう意味の圧力というのは、企業からの圧力というのは、お金が一緒に付いていますので非常に強力です。感想だけですけれども、以上です。

【三島主査】
  ありがとうございます。
  ほかに何か御意見ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
  それでは、今後のスケジュール等、事務局の方から御説明を頂いてと思いますが、お願いします、吉元さん。

【吉元係長】
  事務的な連絡でございますが、次回の委員会については、6月24日水曜日の午前を予定しております。詳細等については、事務局から追って御連絡をさせていただきます。
  それから、本日の議事録についてでございますが、委員の皆様にお諮りして、文部科学省のホームページに公開させていただきます。
  また、本日の配付資料につきましては、封筒の上にお名前を書いていただければ、事務局より郵送いたします。以上です。

【三島主査】
  それでは、きょういろいろな御指摘ございまして、非常に重要なポイントが待っているというか、議論すべきことがあります。できるだけスピーディーにいろいろなことをこちらから御提示して御意見を賜りたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
  それでは、本日の委員会は以上にさせていただきます。どうもありがとうございました。

―― 了 ――

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研究振興局参事官(ナノテクノロジー・物質・材料担当)付

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