資料5  ナノテクノロジー・材料科学技術委員会(第6回)議事録(案)

ナノテクノロジー・材料科学技術委員会(第6期第6回)議事録(案)

平成24年5月15日

【川合主査】  それでは、定刻になりましたので、ただいまより第6回ナノテクノロジー・材料科学技術委員会を開催いたします。本日は、ご多忙のところをお集まりいただき、まことにありがとうございます。
 議事に入る前に、4月1日付で文部科学省に人事異動がありました。坂本室長の後任として永井室長が着任されましたので、ごあいさつをいただきたいと思います。
【永井室長】  4月1日からナノテクノロジー・材料開発室長として着任いたしました永井と申します。どうぞよろしくお願いいたします。本日は、お忙しい中をお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。昨年度から今年度にかけまして文科省のナノテクノロジー・材料開発の施策につきましては、先生方のほうが私よりもお詳しいかと存じますけれども、非常に大きな動きがございました。1つは今年度から始まる拠点形成型の新元素戦略ということで、これは事業採択に向けてまさに大詰めの調整を行っているところで、近々事業が立ち上げられるのではないかと思っています。
 また、もう一つはナノテクノロジーネットワーク事業の後継であるナノテクノロジープラットフォームで、これもまさに今必死で早期事業採択に向けて審査を行っている真っ最中です。これらはまだ事業が始まっていないということですので、本日はご紹介できないわけですけれども、次回以降、ぜひご報告させていただければと存じます。
 また、もう一つは本日ご紹介する東北発素材先導プロジェクトとうことですが、このように今年度は、前任の坂本から受け継ぎましたさまざまな新しいプロジェクトが立ち上がるという非常に重要な時期と考えていまして、私自身も身の引き締まる思いといいますか、ずっと緊張をしている状態です。いずれにしましても、これらの事業の推進、また、新たな施策の展開につきましては、少しでもよりよいものにしたいと思っています。先生方にはいろいろご指導賜りながら進めてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
【川合主査】  なお、本日は内閣府から守屋政策企画調査官、復興庁から串田参事官の代理で齋藤補佐、JST/CRDSから河村フェローと永野フェローにご出席いただいているほか、東北発素材技術先導プロジェクトのPDの予定者であります大同大学の澤岡学長が後ほどご出席する予定です。
 それでは、事務局より委員の出欠確認及び配付資料の確認をお願いします。
【馬場室長補佐】  事務局より委員の出欠確認をさせていただきます。本日は長我部委員、栗原委員、小池委員、小長井委員、小林委員、榊委員、曽根委員、中村委員、北川委員がご欠席ですが、過半数の11名がご出席となっております。
 続いて配付資料の確認をさせていただきます。座席表の下に本日の議事次第がありますが、本日は6つの議題があります。配付資料につきましては、議事次第の裏面に記載しておりますが、すみません。議事次第の下のほう、配付資料という形で記載しておりますが、議事に対応する形で資料番号を記載しております。また、参考資料として研究計画・評価分科会における評価の実施を配布しております。そのほか机上配付資料として、2種類、1番目の戦略目標の議題に対応した資料と4番目の議題に対応した東北大学において検討中の体制図の2つがあります。配付資料に欠落等ありましたら、お気づきの際で構いませんので事務局まで適宜お知らせ下さい。
 以上です。
【川合主査】  それでは、早速、議事の1番に入ろうと思います。独立行政法人科学技術振興機構戦略的創造研究推進事業の戦略目標について、事務局より説明をお願いいたします。
【馬場室長補佐】  事務局より、こちらの資料1に基づきまして今年度の戦略目標について、まずご説明させていただきます。その後、JST/CRDSから今後の戦略目標等の検討のため、最近の戦略プロポーザルの内容についてご紹介させていただきます。
 それでは、資料1をごらんください。戦略的創造研究推進事業については、ご案内のとおり社会的・経済的ニーズを踏まえ、国が定めた戦略目標の下、独立行政法人科学技術振興機構(JST)において研究領域を設定し、組織の枠を超えた時限的な研究体制を構築してイノベーションにつながる新技術の創出を目指した課題達成型基礎研究を推進する制度です。
 平成24年度につきましては、5件の戦略目標が決定され、ナノテク材料科学技術分野では黄色い線でハイライトしております2件、「環境・エネルギー材料や電子材料、健康・医療用材料に革新をもたらす分子の自在設計「分子技術」の構築」と「環境・エネルギー、創薬等の課題対応に向けた触媒による先導的な物質変換技術の創出」、この2件が決定しております。前者の分子技術については、CRESTの研究総括は山本尚シカゴ大学教授が、また、分子技術のさきがけの研究総括は加藤隆史東京大学工学研究科教授が選定されております。
 一方、触媒による物質変換につきましては、國武豊喜公益財団法人北九州産業学術推進機構理事長が研究総括として、また、根岸英一パデュー大学特別教授、JST総括研究主管が研究総括補佐となっております。前者の分子技術につきましては、今年度の公募はさきがけは5月9日、CRESTは本日5月15日に締め切られておりますが、触媒のほうは来月7日が締め切りになっており、来週の月曜日には東京国際フォーラムにおいてシンポジウムが開催される予定となっております。
 それぞれの内容につきまして簡単にご紹介させていただきます。3ページ目をごらんください。本目標では分子技術を物理学、化学、生物学、数学等の科学的知見をもとに分子を設計、合成、操作、制御、集積することによって分子の特性を生かして目的とする機能を創出し、応用に供するための一連の技術と定義しております。この分子技術の構築を目指し、蓄電デバイス、有機薄膜太陽電池等の分子を用いた超低消費電力、超軽量デバイスの実現やドラッグデリバリーシステム、機能性医療材料などの革新的な治療方法の確立等の基盤技術となる技術体系を構築することを目指しております。我々といたしましては、日本が世界をリードする分子科学や合成技術等の蓄積を踏まえ、多様な分野の研究者に参画していただき、分子技術をまさに我が国の基盤技術として確立していただきたいと考えているところです。
 続いて触媒による先導的な物質変換技術についてご説明いたします。11ページ目をごらんください。こちらについても背景にありますとおり、野依先生、鈴木先生、根岸先生、ノーベル賞受賞を代表に触媒科学は我が国に強みのある研究分野です。同時に触媒は医薬品や機能性材料等の幅広い分野における低コスト、低エネルギー、低環境負荷で持続可能な物づくりを実現するために不可欠な基盤技術であります。そのため本戦略目標では有用物質の変換、活用のための二酸化炭素還元法の創出のほか、不斉炭素、炭素結合等を直截的に生成する触媒的物質変換技術の創出を目指しているところです。
 以上が今年度の戦略目標についてのご説明ですが、続きまして今後の戦略目標等の検討の参考までにJST/CRDSから最近の戦略プロポーザルの内容についてご紹介いただきたいと考えております。なお、来年度以降、科学技術関係予算の全体像や戦略的創造研究推進事業の位置付け等については、省内でも議論を行っているところですが、今回のご紹介はそれに限らず、今後の施策の立案に向けて有識者の先生方に幅広い観点からご議論いただきたいという趣旨ですので、ご承知おきいただければ幸いです。
 それでは、CRDSのほうからご説明をお願いいたします。
【永野フェロー】  JST/CRDSの永野です。私どもCRDSではご承知のとおりかと存じますが、科学技術の各分野ごとに活動を行ってまいりまして、ナノテクノロジー・材料に関しては、この委員会の委員でもある田中の責任のもとナノテクノロジー・材料ユニットという組織において分野全体の俯瞰というものを行って、最新の研究開発動向、国際動向等々から今後の重要研究開発領域、また、重要課題、ボトルネック等々を抽出して提案していく、そういった活動をしております。その中で最近まとめた提案から2件ほど本日、この場でご紹介させていただきます。
 お手元の机上配付資料、カラーの横書きのものをごらんください。まず、1件目としまして、物質中の微細な空間・空隙構造を制御した材料の設計・利用技術というものがあります。これは資料の一番下のところに記載させていただいておりますが、CRDSにおきまして開催しましたワークショップ、科学技術未来戦略ワークショップ「空間空隙制御・利用技術」、これは平成21年10月に開催したものですが、ここでさまざまな有識者の皆様にお集まりいただきまして、空間空隙構造の設計利用に関する科学技術について議論を重ねました。その後のCRDSにおける検討を踏まえて、その1つ上の行ですけれども、CRDS戦略プロポーザル、空間空隙制御材料の設計利用技術、異分野融合による持続可能社会への貢献という、提言書を平成22年3月に発行させていただいたものの要約です。
 空間空隙制御材料というのは、物質・材料を構成する元素間の結合の隙間、形状や寸法、次元、配列、そういったものをナノ~マイクロメートルで制御することによってバルク材料にはない新しい機能を発現する材料のことです。そういった構造、機能、それから、材料物質間の相互作用を検討して、そしてそれらを組織化することによって新機能を創出し、これまでにない革新的な機能を持つような材料を開発していこうというものです。特に分離や吸着、触媒、貯蔵、イオン伝導、エネルギー変換などのさまざまな機能を発揮させるために物質中の微小な空間やすき間、次元の制御などに着目して、そこを機能発現の場として活用した場合に、今後いかに重要な社会のニーズにこたえていけるような物質開発、材料開発を行っていけるか、そういった観点からの提言です。
 この委員会でもこれまで、非常に精力的にご議論いただいた施策として元素戦略というものがありますけれども、元素戦略は元素そのものが持っている機能や性質に着目した戦略であるものに対して、この空間空隙制御材料に関しては、その元素戦略を補完する戦略として、物質の構造をいかに人工的に自在に制御して、目的に応じた機能を発現する材料を創出していけるかといったところがポイントです。最近のCRDSからの提案の1つとしてこういったものがありますので、この場でもご検討いただければと思います。
 続きまして2件目を裏面でご紹介させていただきます。
【河村フェロー】  JST研究開発戦略センターの河村と申します。
 それでは、裏面に書いてあります二次元機能性原子薄膜を基軸とした新規機能性材料を用いた超低消費電力デバイスの開発について、簡単にご説明いたします。内容は、下のポンチ絵に描いてありますように、横軸を微細化・高速化にとって、縦軸を低消費電力・多機能化という2軸にとりますと、いわゆるMore Mooreと呼ばれているMooreの法則を徹底的に追求するのが下の黄色い大きな矢印で書いてある路線で、これは例えばJSTのプロジェクトの中ではCRESTの渡辺領域が対応いたします。もう一つの路線としましては、その左側に斜め上の方向を向いている矢印、多機能化・超高機能化の、いわゆるMore-than-Mooreを追求する路線で、これは例えばJSTのCRESTのプロジェクトでは曽根領域が対応いたします。
 今回の戦略目標のターゲットとしましては、そのどちらにも属さない緑色で囲ったような、いわゆるBeyond CMOS的なものをターゲットとしております。現在グラフェンが注目されておりますが、そのような二次元機能性原子薄膜とか、新しい原理に基づいたメモリデバイスなどを具体的なターゲットにしたいと思っております。材料、デバイスだけを開発しても全く意味がないので、その右の上に書いてありますような電子デバイスシステム、情報システムを含めたナノシステムまで含めた戦略目標にしたいと考えています。この戦略プロポーザルでは、つくばイノベーションアリーナ、TIAとの連携を提案しており、それによって日本のエレクトロニクス産業の新たなパラダイムシフトを実現することを目標としております。
 これらの戦略目標に関しましては、その下に書いてありますように今年の2月に開催いたしました「機能性原子薄膜/分子薄膜の創生と展開」というワークショップに基づきまして、現在、戦略プロポーザルを作成中です。それから、少し古くなりますが、3年ほど前、平成21年3月に開催したナノエレクトロニクスに関するワークショップに基づいて作成した戦略プロポーザルの内容も今回の戦略目標に含まれています。
 以上です。
【川合主査】  ただいまご説明がありましたように、戦略的創造研究推進事業、これは国が定めた戦略目標のもとでJSTが研究領域を設定して具体的にはCRESTとか、さきがけとか、そういう形で実現しているものです。ただいまご紹介がありましたように、24年度は分子技術、それから触媒ということで、ちょうど募集が始まっていますが、同時に次年度に向けて戦略プロポーザルというものが練られている状況です。こういう中でこの委員会の有識者の方々からいろいろなご意見や、また、ご質問などを受けて少し議論をさせていただければと思います。何かご質問、ご議論がありましたら。どうぞ。
【橋本委員】  この委員会で申し上げることがいいのかどうか、適当なのかはわかりませんけれども、関係したことなので申し上げたいと思います。このテーマ自身は、空間制御材料、今日はお休みですけれども、北川先生が世界をリードしている分野で、まさにこれから広がっていくというところで大変すばらしいところですし、それから、次の低消費電力のほうも日本の強い強相関物理が真ん中に座った大変すばらしい内容で、これはぜひ我が国が力を入れていくということに対しては全く賛成であります。
 ですが、一方で、こういう戦略的目標を毎年つくっていくわけですが、次から次とできてくるわけですね。それで、そのやり方として、当然、今あるものにないものを探していくという形になりますので、作業として結局どんどん増えていくという形になるわけですね。申し上げるまでもないですけれども、この経済というか、この予算状況の中でこれから先の新規予算がそれほど獲得できなくなるだろう。既になっているわけですけれども、そういう中で新しいものをどんどんつくっていくということは、既存のものがどんどん減っていく。予算配分が減っていくということに当然つながるわけですよね。
 ですので、といって新しいものを入れないというのはもちろんだめなわけで、私が申し上げたいのは、やっぱり既存の走っているものの中と非常に関連性があるんですね。ですので、こういう新しいものを立てるときに既存の走っているものがどういうところに位置づいているのだということを明確に示しながら、そうすると新しく立てるときに既存のものをある意味で集めてくるような、足りないのはこの辺だ、というようにしてスクラップ・アンド・ビルドをこういう戦略目標をつくる中に入れ込むという作業が多分非常に必要なのだと思うんですね。
 いろいろなプロジェクトが走っていて、それをCRESTだったり、さきがけだったり、いろいろありますけれども、これを寄せてきて本当に我が国が集中すべきだ、強いところに集中すべきだというところに寄せてきて、それで明確にするという作業が、これから大変重要だと思いますので、この戦略目標をつくるということも、というか、それが多分すごくそれの貢献、役割を持てるのではないかなと思いますので、そういうことを考えていただいて、これも整理していただくとよろしいかなと思いました。
 以上です。
【川合主査】  これは大所高所といいますと、局長から一言あって、その後、CRDSで戦略プロポーザルをつくられた田中委員からも少しコメントをいただければ。どうぞ。
【吉田局長】  大変ごもっともなご意見をいただきまして、ありがとうございます。私どもも大変予算が厳しい中で絶えずスクラップ・アンド・ビルドというプレッシャーは感じているわけでして、そういう意味では、そういうことをきちんと念頭に置いて新しい戦略も考えていく必要があろうかと思っております。大変貴重なご意見として受けとめさせていただきます。
【橋本委員】  すみません、追加で補足致しますが、重要なことは、今、既存で動いているもので自動的に切れてしまうのがまずいと思っているんですね。いいものはそのまま続けていかないといけないと思いますので、そういうメカニズムに使っていただきたいということでもあります。
【川合主査】  そういう意味で全体的に俯瞰をしていらっしゃる田中委員のほうから。
【田中委員】  我々のCRDSでは、今、橋本委員からご指摘のような、そういう目でもって実は選択をしたり、あるいは決定をしたりということはしております。まさに人材の枯渇という面もありますし、多くの新しいプロジェクトを出して、股割きにしてしまうのもよくありませんし、そういった大きな日本全体のいろいろな意味でのリソースの動きを見ながら、戦略としてどういうふうにしてやっていけばいいのか、あるいは行政の中の意思決定の方法の現実というのもありますから、そういうものも見ながら、今、橋本委員からご指摘のあったような方向に合うようにやってはいます。
 もう一つは、我々のナノテクのチームでそういうふうな見方でやっているということと同時に、CRDSにおける戦略スコープの決め方というのは、CRDS全体の中で、今、局長から話もありましたけれども、日本全体の状況を考えてどの分野に重点を置くかという選択を最終的に議論して決めるものです。我々、ナノテクだけで出しているわけではありませんで、日本全体の状況を考えた上でセンター全体として議論をしているということです。ありがとうございました。
【川合主査】  ほかにご質問はありますでしょうか。この戦略目標の決めるスケジュールというか、決め方というか、段取りについて、事務局から補足いただけないでしょうか。
【馬場室長補佐】  例年ですと、政府予算案が閣議決定する12月末、その後に戦略目標という形で国として決定してJSTに目標を提示するということになっております。そのため、通常であれば、年内をめどに、CRDSの検討結果であったり、いろいろなところからの提言をもとに、文部科学省として戦略目標というものを設定して、政府予算案決定後、公表するというようなプロセスになっているところです。その後、JSTにおいて、予算が成立する3月、4月をめどに公募を開始し、複数年、公募を続けるという流れになっています。
 ただ、今年度、今後どういう形で戦略目標を設定するか、また、戦略的創造研究推進事業の位置付けをどうするかというのは、科学技術予算全体の中で現在まさに法人統合の関係もありますが、議論をしているところなので、今後の進め方については若干流動的でいるところではあります。ただ、我々としては本会のCRDSからの戦略プロポーザルというのを必ずしも戦略目標にするという趣旨ではなく、いろいろな観点から検討させていただいて、場合によっては他の事業として立案してもよろしいかと思いますし、今、橋本委員からご指摘があったとおり、これまでの施策との関連、あとは他省庁との議論の中でどういう施策が今求められているということも踏まえ、幅広に議論していきたいと考えているところです。
【川合主査】  どうもありがとうございました。
 いかがでしょう。何かご意見。
【田中委員】  先週でしたか、ナノテクノロジーの日米の国際会議がありまして、その中でも総合科学技術会議の意思を反映して私もお話をしたのですが、今の議論の延長線上にある非常に重要な問題として、日本全体でどうすべきかということを考える。各省が類似プロジェクトを全くインディペンデントに出すよりは、それは資源の無駄遣いになりますので、その辺のガバナンスボードをつくりまして、日本全体でどう調整すべきかというような、そういうプロジェクトの決め方といいますか、あるいは科学技術のポリシーの決定の仕方といいますか、各省の間でそういう議論が進んでいると思います。また、総合科学技術会議もそういうふうな指導をしておられると思います。
【川合主査】  具体的に空間空隙制御材料や二次元機能原子薄膜、こういうのも検討されているという案が出ましたが、これに対して何かご意見は。よりよい案にする、もしくはこうではないかという、そういう意見がありましたらいかがでしょうか。
 射場委員、いかがですか。
【射場委員】  最初の全体俯瞰の議論に一言だけ言わせてもらうと、民間サイドから見ると俯瞰してどこか抜けているみたいなことはよくマップとかつくってやるんですけれども、抜けているところがあっても全然いいと思うんですね。ダブりがあってもよくて、多分、ダブっているところは重要なところだったり、あるいは日本の強いところであったりするので、そういう状態であることを知るというのが第一歩で、お互いやっているのをやっている人たちが知らないという状態をまず解消して、じゃあ、その上で戦略的にどこどこを攻めていくみたいな議論になるような題材が出てくるといいかなと思いますので、よろしくお願いします。
 この空間制御材料の話は、確かに今まで抜けていたなという気がします。私が今、実際、電池の開発で直面しているのは、まさに空間が制御できていなくてリチウム電池が膨張して中から割れてくる。同じようなことが触媒とか燃料電池とか、一々空間がコントロールできていない。まあ、成り行きなんですよね。それを一からナノオーダーで設計していきましょうというのは理想としてはありますが、こういうベーシックなところからやっていただくのはすごいありがたいことだと思います。
【川合主査】  ご意見、どうもありがとうございます。
 材料という意味だと潮田委員、いかがですか、何か。
【潮田委員】  私自身、普段の領域と違うのですが、ナノシステムをイメージして、そちらの方向の研究開発を進める。こういうお話だったかと思うのですが、その場合にはやはり、その後の研究開発が終わってからの出口を意識したようなものにもなるのではないかなと思うものですから、これはあくまで基盤研究であるということの理解でよろしいんですか。あるいは産業化といいますか、若干なりとも実証試験までやって実用化というのをねらうというのかどうか。後者の場合であれば、やはり企業のリーダーがこういう技術にちゃんと目をつけて覚悟を決めて連携してやるというようなことも必要なようなふうに思ったものですから、いかがでしょうか。
【馬場室長補佐】  事務局から私の理解ということで回答させていただきたいと思っています。今のご質問というのは二次元原子薄膜の方だと思いますが、我々も、もしこういったものをやるのであれば、出口なり産業化を意識してやるべきだと考えております。ご質問は、戦略的創造研究推進事業でターゲットとしているのはどの部分なのかというふうに私は理解させていただいたのですが、基本的には戦略目標なり戦略創造という事業自体は、社会ニーズなどに応じた基礎研究や基盤的な研究開発をやる事業ですので、基本的には基礎の部分、そういったところをやることになっています。ただ、今、先生ご指摘のとおり、こういった事業を例えば大学の研究者だけで閉じてやることに意味があるかと言われれば、全く意味がなく論文だけの成果しか出ないのであれば、何の成果もないというふうに我々は考えているところです。それに関しては、先ほど田中委員からもご指摘があったと思いますが、我々としてはもし戦略目標として立案するのであれば、例えば経済産業省と議論させていただいて、重複があってもいいという射場委員の意見もありましたが、役割分担も含め、検討する段階では経済産業省なり企業のほうともご相談した上で事業を設計していきたいと思います。具体的には、ここにも書いておりますが、つくばイノベーションアリーナというものが、今、つくば、産総研、物材機構、あとは筑波大学、最近は高エネルギー研究機構、KEKのほうも加わり、さらには経団連も加わっているような組織体があります。そちらのほうをうまく活用して文部科学省としては基礎研究をやるが、その成果についてはそういったTIAなり経産省のプロジェクトをうまく活用して事業化に結びつけていきたいということをやっていきたいなと考えているところです。
【潮田委員】  わかりました。ぜひともそういう形でシナリオを持ってお願いしたいと思います。
【馬場室長補佐】  はい。ありがとうございます。
【川合主査】  ほかにいかがでしょうか、よろしいでしょうか。どうぞ。
【片岡委員】  今、基礎研究とかという話が出ていますけれども、多分、ここで議論している基礎研究というのは科研費とは違うので、ここに書いてありますけれども、課題達成型基礎研究だと思うんですね。そうしたときに課題を達成するという、その課題は何なのかというのが結構重要で、例えば、構造を制御した材料、要するにこういう材料をつくるというのが課題ではないですよね。やっぱりどういう形で世の中に浸透していくのか。だから、そういう点では出口という言い方はあんまりよくなくて、出口というのは出て行ってしまうんですね。大体、イメージとして出るというのは、口から入れたものが出るというのと同じですから、入り口でなくてはいけないのだと思うんですよ、課題が。ですから、そういうものが入り口の1つですね。
 そうしたときに、それを要するに例えば達成するとしたときに、先ほど橋本先生が言われたように、当然、そういうものに関していろいろな形で既存のものを含めてやっているわけですから、それを入り口としてやったときにどこが問題で、何が抜けていて、要するにこれをやることによって何が解決されるのかという、そういう精査というか、そういうのをきちんとやられたほうが、多分、説明するときもわかりいいのではないかと思います。そうしないと、時々この課題達成の課題が、要するにつくることが課題になってしまったりすると、これは恐らく誤解を生じるので、そこがポイントかなという気がしました。
【馬場室長補佐】  今、片岡委員がご指摘いただいたとおり、戦略創造、事業の位置づけとしては基礎研究、課題対応型の基礎研究ということで科研費がボトムアップのものに対して戦略創造研究推進事業についてはトップダウンという形で事業を実施されているところです。恐らく今の委員のご質問なのですけれども、私の理解としては、今回、2つの提案というのがうまく説明できるのかなと思っています。わかりやすく申し上げますと、こちらの二次元機能性原子薄膜で言うと、これはまさに課題達成というか、産業界の課題を解決するためのものである。今、政府全体としては第4期科学技術基本計画のもと、課題達成型と言われている中で、例えばグリーンイノベーションであったり、産業競争力の強化であったり、そういったものに該当する課題達成型の目標だと考えています。
 それに対して、空間空隙のほうは、むしろ課題達成のためというよりは、共通基盤技術として日本としてどういうことをやっていかなければいけないかという中での提案なのかなと個人的には理解しておりまして、今年度の目標で言うと、例えば分子技術ですとこれも課題が具体的にあって、それを直すというよりは、むしろ基盤技術としてこの分子技術というものを日本として確立することによってさまざまな分野、エレクトロニクスであったり、先生ご専門のドラッグデリバリーであったりとか、そういった部分に活用できる基盤技術として分子技術は我々としては検討させていただきましたので、今回、2つの提案というのも、そういった若干の意味合い、位置付けというのが少し異なっているのかなと考えています。ちょっと説明には。
【片岡委員】  誤解があってはいけないんですけれども、私もそのとおりで、申し上げたかったのは、その場合も結局、例えば触媒であるとか、ドラッグデリバリーとかいろいろあるわけです。それが結局はある意味では課題ですよね。ですから、そういうものに対してこういう技術を持ってくることによって、今までと違う何ができるのかということですね。それをもう少し具体的にアピールされたほうがいいのではないか。そういう意味です。
【川合主査】  どうもありがとうございました。
 今、コメントがあったようなことを実際作業としてはしているのですが、今回はそういうところの説明までは詳しくはしませんでしたけれども、その中の2つとして、こういうのがありますというご報告とサジェスチョンをいただくということをしました。今までこの委員会でも、概算要求の時期になると課題が突然出てくることもありましたので、そういう意味では、こういうふうに事前に少しご説明しながら、皆さんのご理解を得ながら、また意見を取り入れながら進めていきたいということです。
 それでは、その次の議題に移ります。議事の2ですが、本委員会の役割の1つとして、文部科学省の施策についての評価の実施というものがあります。ナノテクノロジー・材料科学技術委員会、平成24年度研究評価計画について事務局よりご説明をお願いいたします。

(資料2に基づいて事務局より説明)

【川合主査】  どうもありがとうございます。
 ご理解いただけましたでしょうか。3つのプロジェクト、これの事後評価というものを行います。その行い方について、ただいまご説明がありましたが、特に別添にあるようなこういう形式、これは例年の形式なのですが、こういう形で事後評価を行っていきたいということで、この進め方に関して何かご意見はありますでしょうか。この3つともすべて23年度終了ですよね。スケジュールとしてはいつごろ。
【柴田係長】  事後評価については7月以降、平成25年度新規予算要求に係る課題については、状況に応じてですが、7月から8月ごろの審議を予定しています。
【川合主査】  そうすると、7月以降ぐらいにやるということで、そのときにこの委員会に事後評価結果の案が出てくる。その進め方として、こういうことでよろしいかどうかと、そういうことですね。
【伊丹委員】  極めて初歩的な質問で、事後評価というのは大切さもわかっておりますし、これをあるフォーマットに従ってやらなければいけないのは、それは全く異論がないのですが、7月、8月に出てくる新規要求課題の事前評価のほうが実は国の資源配分としては大切なはずで、これについて、もっと前倒しとかいうふうにはならないのでしょうか。あるいはもうほぼ決まった案についてお墨つきを与えるための事前評価をするというのがここでの評価の役割なのでしょうか。
【馬場室長補佐】  まず、そもそものこの研究評価計画の位置付けなのですが、あくまで今後の進め方について決定するものであって、事前評価、新規事業がどういうふうになるのかということは、まさに我々も省内、室内で検討しているところです。もし仮に新規予算として、例えば大きなプロジェクトを要求するという形になれば、場合によっては7月より前に6月であったり、逆に事前に情報提供させていただくような形で相談していきたいと思っています。現時点では事前評価に係る新規予算要求課題としては想定していなかったため、最終的に事前評価を取りまとめる時期として、7月、8月を仮に設定させていただいたということです。
【伊丹委員】  ああ、そういうことですか。
【馬場室長補佐】  また、この研究評価計画に限らず、恐らく次回、委員会を開くとしたら、7月、8月に開催することになりますが、その際には来年度予算の概算要求について先生方にご議論いただいて、それに基づいて概算要求をするというような手順になってくると思います。
【川合主査】  少し補足しますと、去年の場合も事前評価を受けるような大きな課題については、その前の委員会で何度かいろいろ案を出して議論をいただいて、そして最終的に要求を出す前に事前評価、こういうものを出すような、大体そんな手順になっています。
 ほかにいかがでしょうか。このような形で評価を進めていくということでよろしいでしょうか。それでは、この評価案につきましては特にご異議がないようですので、本日決めました計画に従って実施をしていきたいと思います。
 それでは、議題の3番目に入ります。レアアース安定供給確保のための日米欧三極によるワークショップ、これについては昨年10月に第1回のワークショップが米国で開催され、1月に開催した前委員会でも既に報告しております。3月28日に東京において第2回のワークショップが開催されましたので、ナノテク材料に非常に密接につながっているワークショップということで、その概要をご報告したいと思います。では、事務局よりお願いいたします。
【本間調査員】  それでは、資料3に基づきまして事務局よりご説明させていただきます。ただいま川合主査からご案内がありましたように、昨年度10月に米国ワシントンで行われた日米欧三極会議、第2回として日本で開催することが決定したものでして、3月28日に開催されております。日本側代表窓口は経済産業省ですが、文部科学省も深くコミットするという立場で参加させていただいております。3月28日に学士会館で開催されまして、特に米国からの積極的な参加が目立っておりました。DOEの、ノーベル賞受賞学者でもあるスティーブン・チュー長官が来日されまして、研究者としての立場でぜひ議論をしたいということでワークショップに参加されております。
 1枚めくっていただきますと、今回、ワークショップのアジェンダがあります。28日ですね。さらにもう1枚めくっていただきますと、具体的なプログラムになっておりますけれども、NEDOがアテンドいたしまして経済産業省、役人の方々とそれから主に産業界の方々が参加いたしまして議論をしております。
 6ページに移っていただきまして、6ページの14時20分から15時30分のセッションでは、NIMSの原田幸明さんがモデレータを行いまして、プレゼンテーションとパネルディスカッションが行われたわけですが、この中で、見えますでしょうか、Dr.Shuichi Sakamoto、坂本前室長がこちら元素戦略プロジェクト、研究拠点形成型の概要のプレゼンテーションを行っております。プレゼンテーションの内容につきましては、次のページ以降にパワーポイントを並べておりますのでご参照ください。
 この中で8ページにありますけれども、電子論と材料創生と機能評価の3つの歯車を回すということと、それから、磁石、触媒電池、電子材料、構造材料の4つの材料領域について取り組むということ、さらには9ページの上段にありますけれども、これを行うに当たって7つの学会が連携してシンポジウムを開き、これを支えるという構図。そして、9ページの下なのですけれども、文部科学省と経済産業省が密接に連携する、こういったアウトラインを説明しています。とりわけ7つの学会が連携するということが日本で行われたことに関しまして、非常に強い関心が持たれております。
 最後に補足いたしますけれども、紙面を用意していませんが、翌日29日に今度は研究者サイドのワークショップが開催されまして、今後、とりわけリサイクルに関しまして非常に双方の関心が強く、対話が継続されるものと思われます。
 以上です。
【川合主査】  どうもありがとうございました。
 ご説明というか、ご報告という形に近いものですが、何かご質問なりありますでしょうか。どうぞ。
【松下委員】  このワークショップを行っていただくのは非常によいことだと思うのですが、結果としてどうなったのかお教えいただけますか。
【本間調査員】  結果として、研究者同士の対話の中で双方の興味がある分野を抽出して、その中でリサイクル関係が双方の興味にちょうど合致している方向だということの認識がありました。具体的にこれからどうなるのかというのは協議があると思いますけれども、恐らくそちらの方向で何らかの連携が図られるようになると思います。
【松下委員】  これはレアアースの安定供給を確保するためのワークショップだと思うのですが、三極で共同研究が進展することによって安定確保に結びつくだろうということなのですか。
【本間調査員】  ワークショップそのものの趣旨は、こちらのアジェンダにもありますように今後政策としてどうあるべきか、これを官僚の方々と民間の企業の方々、議論して方向性を社会にアピールするというものでして、これによって恐らくはメッセージが発信されたものと理解しております。
【松下委員】  ありがとうございます。
【馬場室長補佐】  1点補足させていただきますと、今の松下委員のご質問に対してなのですけれども、これも文部科学省の立場としては、今申し上げたとおり共同研究の進展、そういったものが1つの成果になると思うのですが、我が国、政府全体で見れば、当然、これも経済産業省が主催していることなのですが、やはりレアアース、昨年以来さまざまな問題がある中で供給が閉ざされてしまうという中で、経済産業省とも我々としては協力して、今回のワークショップも日米欧ということでレアアースを供給するというよりは、むしろ使う側も協働してやっていくことが大事だというような共通理解のもとで開催されたのかなと思っています。こういったレアアースの対策に関しては、政府全体としての対策もありまして、その中には資源確保であったり、元素戦略でやっているような希少元素代替というものもある中で、文部科学省としても貢献していくというような位置付けになっているかというふうに我々としては理解しているところです。
【田中委員】  同じような質問なのですが、スティーブン・チューさんは研究者としてここに参加したとありましたよね。エネルギー庁長官ではない。枝野さんが研究者として出席したとはとても考えられない。これは研究者の学術的な日米欧のカンファレンスであると同時にポリシーメーカーがそこに参加して、もし政策的に何かもう少し踏み込んだ協力ができるのであるならば、そのチャンスも見る、そんなようなスタンスなんですか。特別な協定とか、これはそういうのは何もないんですよね。
【馬場室長補佐】  このワークショップ自体の目標としては、基本的には情報交換とかいうところの位置付けなのですが、ただ、米国としても欧州としてもこういったワークショップの機会を利用して共同研究のようなものに発展していきたいと考えています。具体的には、1日目は政府関係者、2つ目はクローズドで技術サイドという形でセッションが開催されています。具体的には、例えばヨーロッパとの関係では元素戦略、希少元素の代替の関係で共同研究をするという方向が既に打ち出されていたり、アメリカとの関係でも今後の検討次第だと思いますが、先ほど本間が申し上げたとおり、リサイクルの関係では共同研究に発展する可能性もあるというふうにこのワークショップをきっかけに進むのかなと考えているところです。
【田中委員】  一言だけ。橋本委員から質問があったのですけれども、これは全部英語でやったんですか、同時通訳付きなんですか。
【本間調査員】  同時通訳付きでしたけれども、ほとんどの議論が英語でした。
【川合主査】  ほかにご質問ありますか。よろしいでしょうか。それでは、今日の一番大きな議題である議題の4番目、議事4に入ります。東北発素材技術先導プロジェクトについては、前回の委員会におきまして事務局から事業概要を簡単に説明させていただきました。平成24年度の予算成立に伴い、改めて事業の概要、進め方についてご説明いただき、ご議論いただきたいと思います。先ほどもご紹介しましたように、きょうは内閣府から守屋政策企画調査官や復興庁からも出席されていますので、何かありましたら含めてご議論いただければと思います。
 では、事務局よりご説明をお願いします。
【馬場室長補佐】  こちらの資料4に基づきましてご説明いたします。前回の委員会でもご報告しているところではありますが、こちらの1ページ、2ページ目の実施方針の前に、まず改めて事業の概要について簡単にご説明したいと思います。
 1枚おめくりいただいて3ページ目、こちらの概要資料をごらんください。今回の事業の背景としましては、昨年の東日本大震災を受けて復興への提言等でもご指摘のあるとおり、東北地方は電子部品、デバイス・電子回路などの製造業に強みを有しており、一方、東北の大学は材料、光やナノテク分野で強みを有しているところです。文部科学省としては、復興の基本方針を受け、被災地域の大学、公的研究機関、産業の知見や強みを最大限活用して知と技術革新、イノベーションの拠点機能を形成することにより産業集積、新産業の創出、雇用創出等の取り組みを促進することとし、特に東北の大学や製造業が強みを有するこの分野において、東北の大学を中核とする産学官協働によるナノテク研究開発拠点を形成し、世界最先端の技術を活用した先端材料を開発することによって東北素材産業の発展を牽引することを目指して今回の事業を設計しているところです。
 なお、右上にも記載しているとおり、こちらの事業につきましては復興特別会計という会計の中で行われておりまして、こちらの会計については復興庁が基本的には所管ということにはなっているところで、今回、復興庁のほうにもご出席いただいているところです。
 以上が事業の概要ですが、続いて本事業についてどのような考え方で実施するかについてご説明したいと思っております。1ページ目にお戻りいただければと思います。こちらが本日ご議論、ご意見をいただきたいと考えている資料ですが、復興庁及び文部科学省ナノテク・材料室というようなクレジットで作成しているものです。基本的に今ご説明した内容と重複いたしますが、1番目としては東日本大震災からの復興の基本方針の考え方といたしまして、復興の基本方針、これに基づいて本事業を設計しております。事業の目的としましては、今申し上げたとおり世界最先端の技術を活用した先端材料を開発して、まさに産業競争力強化の観点から東北素材産業の発展を牽引することを目的としているところです。
 次のページをごらんください。実施体制といたしましては、東北大学については材料科学、物理学、化学の分野においても世界的にもトップレベルにあり、また、大学発ベンチャーの設立数も国内上位で、東日本大震災からの復興に貢献する能力を有していることから、本事業は東北大学が中核となって東北地方の他大学や企業等とも連携して実施することと考えております。ここにわざわざ実施体制を書いた背景といたしましては、こちらの事業を設計する段階では、東北の大学という形で必ずしも東北大学に限定しているというような事業設計ではなかったため、こういった東北大学に事業を実施するというような理由を書いているところです。
 なお、拠点形成に当たっては、本事業の復興施策としての位置付けに鑑み、産業界の技術課題に対し、その本質的解決策につながる科学的課題を抽出し、理論的解析や現象分析などさまざまなアプローチを駆使しつつ、産学官の研究者が常に開かれた形で協働して革新的技術シーズの創出と実用化への橋渡しを行うこととしたいと思っております。
 事業終了後の期待する成果としては、今申し上げたとおり技術課題の本質的解決のための指針の構築であったり、革新的な基盤技術の創出による当該分野の学問領域発展・新領域開拓、知的財産の獲得。さらに今回、復興事業ということもありますが、革新的な基盤技術を軸とした東北地域の産業活性化、それは産学官人材の結集であったり、関連企業の集約化、製品開発力の強化等を考えているところです。
 なお、委員の先生方に対しましては、こちらの机上配付資料といたしまして、現在、東北大学において検討中の体制図、また、研究代表者の候補及び略歴等について記載しております。我々といたしましては、この事業が東北大学に閉じた形にするのではなく、まさに震災からの復興を目指して東北の地にさまざまな研究者や学生、企業が集まるような拠点を形成していただきたい、さらには産業界の技術課題の解決に直結するような研究を行うことで、日本を代表するような知の拠点になっていただきたいと考えているところです。
 簡単ではありますが、事務局からの説明は以上です。
【川合主査】  ただいまご説明がありましたように、復興ということを目指して1つの案として東北大学を中心としてオール東北で新しい産業を立ち上げ、科学技術も進めていこうというこの案に対して、ぜひいろいろな委員の方からご意見をいただければと思います。いかがでしょうか。
【橋本委員】  東北地方の復興というのは大変重要な国家の事業ですので、これは大変よろしいのは間違いないことなのですけれども、伺いたいのは、これを見ると10年間のロードマップがついていますから、一応、10年間をイメージして設計されているものであると。ただし、予算的には財務省が単年度で出ていくものと、こういうふうに認識してよろしいですね。
【馬場室長補佐】  おっしゃるとおりなのですが、1点だけ修正させていただきますと、事業の全体のスパンとしては5年間を予定しております。
【橋本委員】  5年間で、最大10年になるかもわからないと。
【馬場室長補佐】  はい。そうですね。その理由としては、復興特別会計自体がもともと5年間の時限付きの特別会計なので、基本的には5年間を想定しておりますが、先ほど橋本委員からご指摘があったとおり、ほんとうにこの事業で5年間で成果が出るようであれば、引き続き何らかの形で支援するということもあるかとは考えています。ただ、前提としては、現時点では5年間を想定しています。
【橋本委員】  それで、質問は、予算枠はその特別会計の中から5年間は出て、それが終わった後はまた別のことを考えるというようなことだと思うんですね。それは大変よろしいと思うのですけれども、そうすると、これが先ほども少し申し上げたように、今後、我が国の財政が厳しくなっていくことは目に見えているわけですので、これと既存のといいますか、これ以外のといいますか、国全体のナノテクの予算との兼ね合いをどういうふうに考えるべきなのか。けちなことを言うつもりは全くないのですが、要するに全体設計を今からしっかりしておかないといけないと思いますので、5年間はこれは今、文科省で扱っていく、我々がここで議論するであろう枠とは別のものなのでしょうか。それとも、そこも入ってくる可能性があるんですかね。
 そうすると、せっかくここでやるのだから、東北地方でやるということを前提に考えるよりは、我が国としてどうあるべきかという中に今ここ東北地方を核にしてという、こういう位置付けをしないといけないと思うんですね。ですので、やはり予算のあまり甘い見通しを持ってしまうといけないと私は思っています。質問は、特別会計の5年の間はこれは関係ないということは、しっかりミシン目はできていると思っていいのでしょうか。
【馬場室長補佐】  回答に苦慮するというか、難しいご質問だと我々も思っております。我々としては、この事業が復興特別会計ということで、会計上は財政区分上分かれてはいるところなのですが、今、先生にご指摘いただいたとおり、財政当局がどう見るか。また、政府全体でどう考えるかというところに影響を受ける部分はあると思っています。ただ、橋本委員のご質問に対して回答するのであれば、我々としては震災からの復興も当然大事であると。ただ、それと同時に今後のナノテク研究において必要なものは、ほかにもたくさんあるという中で限られたパイを食い合うというような形にはならないように、それぞれの事業の重要性について財政当局を含めて説明していきたいと考えております。
【橋本委員】  わかりました。今後の財政のことはだれもわからないわけですので、ここでこういうお金がついて、復興のお金がついたからよかったということではなくて、これを核にして今後の将来の、ここから先5年間とか10年間のナノテクとしてどうあるべきかという議論の中からこれが出てくるのだという、そういうことをしっかりやらないと非常に危険だろうなと思いますので、そういう意味でこの選び方、その位置付けを明確にする、将来の投資に対する位置付けを明確にするプロセスが必要かなと思いました。
【川合主査】  どうもありがとうございます。
【袖岡委員】  東北の復興というのは大変重要な事だと思いますが、内容がわからないので教えてください。これは今まで議論しているほかの課題とは全く違って、東北の方々とか企業を助けるという精神が多分入っているのだと思うのですが、どういうところにそれが入っているのでしょうか。企業の名前とかたくさん出ているのですが、実際、東北で工場があって困っている企業が参加しているのか、それとも新しく企業を呼び込むために計画ができているのかとか、そのあたり、復興というところでどういう仕掛けがつくられているのかというところをお聞きしたいと思います。
【川合主査】  これはどうですか。今日、プログラムディレクターになられる予定の澤岡学長も参加されていますが、今のご質問に対してはどちらから。
【馬場室長補佐】  私のほうから回答させていただいて、澤岡先生から補足をしていただければと思います。 今のご質問なのですが、この事業が復興にどう貢献できるかというところかと思っております。我々としては、これもいろいろと議論させていただいて策定してきているところですが、やはり議論になったところとしては、なぜ文部科学省がやる必要があるのか。もし復興に直接貢献するのであれば、例えば先生が今おっしゃられたとおり、まさに困っている企業に直接お金を払ったりとか、あとは経済産業省が行っているような出口に近いような課題をするほうがいいのではないかというような指摘等もあったところです。
 ただ、我々としては、少なくとも文部科学省が所掌する範囲おいても復興に貢献できるようなところは必ずあるだろうという中で考えたところとして、こういった事業を設計しております。復興基本方針でもやはり東北地方の将来的な、必ずしも短期的なものだけではなく、中長期的な発展を考えたときにやはり人なり、知の拠点というか産業なりが集まっていく必要がある。その中で我々としては東北大学等の提案も踏まえ、世界に誇るような技術があるものについて支援していく必要があるのではないかということで、この事業を設計させていただきました。
 具体的にどういう形かと申し上げると、机上配付資料でまさにこれは検討中のものなのですが、それぞれの3つの技術について体制等記載させていただいているところですが、例えば1番目の超低摩擦技術の関係で言うと、右側の企業と、具体的には研究者や技術課題を提供していただいて、それをこの場、この東北大学の拠点を活用して解決していったりとか、あとは2、3、超低損失磁心材料技術、また、希少元素高効率抽出技術も同じようにまさに産業界が抱えているような課題をここで解決してもらいたいと。ただ、それも目に見えるような課題を短期的に解決するのではなくて、きちんと科学的に深堀をした上で解決することによって革新的なものが出てくるだろうと考えているところです。
 あともう1点だけ補足ですが、こちらの事業、先ほどの橋本委員のご指摘にも関係するところではあるかと思うのですけれども、東北、東北というわけではなくて、当然、日本全国で考えたときに、この事業が必要だというふうに我々としては考えているところです。具体的な例示で申しわけないのですが、例えばこの資料4の一番後ろのページに3番目の希少元素の高効率抽出技術について関係府省が連携していくというような姿、ページで言うと8ページ目になるかと思います。を描いているところです。
 こちらについては、第4期科学技術基本計画の新たな試みとして内閣府のほうで施策パッケージというものが新たに設定されているところです。内閣府、CSTPといたしましても、この事業というのが経産省なり環境省と連携することによって、先ほども少し話がありました希少元素の循環というものに貢献できるという中で、恐らく内閣府といたしましては政府全体を見た上で特定していただいて、重点的に支援していただいたというような背景があります。我々としては、文部科学省でできること、必ずしも直接的に企業に対してお金を払うという事業ではないのかもしれないのですが、中長期的な視点で日本にとって必要な技術開発をしていきたいということで考えているところです。
【川合主査】  袖岡委員の意見、非常に重要な意見で、これが本当の意味の復興に具体的にどうやって結びついていくのか、そこが知りたいということなのですが、澤岡先生、お願いします。
【澤岡学長】  澤岡です。私、まだこのプロジェクトのPDではありませんで、プログラムディレクターとしてどうかという打診が最近ありました。あまりこのプロジェクトの設計についてはかかわってきませんでしたが、復興庁予算で文部科学省が中心となって、このプロジェクトの設計が行われ、いろいろ調整が行われ、最終段階に近づいたというところでご相談がありまして、私の力でできるかどうかということを大変心配だったものですので、仙台に伺って研究代表者を中心とした関係者からいろいろ話を聞いてまいりました。
 その結果をまず申し上げますと、それぞれについて外から見てこの研究内容について、本当にこれで3年、5年後に外から見て目に見えるような成果が、さすが東北大学を中心とした研究であるという成果が期待できるかどうかということが大変心配でしたが、それぞれの研究代表者、関係者は復興予算であって、これが天から降ってきた棚ぼたではない。これに本当に命をかけてやるんだという気概を十分にそれぞれ感じまして安心して帰ってきました。
 その1つ1つを申し上げますと、潤滑の問題、トライボロジーの問題は従来、非常に複雑な問題としてなかなかサイエンスのプログラムの上に乗ってこなかったテーマでありましたが、東北大学では過去5年間にわたりまして工学研究科を中心として潤滑の研究センターをつくって工学の方々を中心に、地元の産業と中心になって大きな産学連携の共同研究が振興しているという背景にこれがドッキングしまして、それぞれこの2つの計画をお互いにすみ分けをしまして、その結果としてお互いに協力し合うとすばらしいものが出てくるのではないかという方向で急速に動き始めたもので、突然出てきたものではないということを知りました。
 その従来からやっておられるプロジェクトの責任者も、この机上配付の資料にお名前と写真が出ております栗原先生が中心になってやられるということで、両方とも栗原先生が中心で、栗原先生は、表面化学の専門家として非常に高名な方で、業績を上げられている方で、工学の専門ではないということを大変心配しまして、しかも、車の軸受けとなりますと強引に回転するわけで、ナノの表面などはたちまちにして表面がかき取られて、何の意味もない研究になるのではないかということを実は一番心配しておりました。その点についていろいろお考えを伺いまして、やはり今一番欠けているのは、ナノのところからミクロ、そしてサブミリぐらいの厚みに向かって全体を見通していく最初のナノのところの知識が余りにもなさ過ぎるということをあえて表面化学の専門家である栗原先生が中心になって、音頭をとって、私は工学の専門ではないけれども、応用ということを目指してしっかりやる気でいると。
 栗原先生、それから、次のプロジェクトの牧野先生、その次のプロジェクトの中村先生はどなたが何歳ずつか正確に記憶にありませんが、それぞれ60歳、61歳、62歳でありまして、このプロジェクトを5年やりますと、その5年間、特任という形で多分やられると思いますが、人生最後に花を咲かせたいと。こういう東北の大変なときに天命であるということを栗原先生自身の口からそういう言葉が出てきて、私は意外に思ったのですが、いろいろお考えを伺っているうちに、ああ、真剣なんだなと。工学の方と表面化学の方が一緒になって新しいことをやっていきたい。そして、地元の産業と連携してやっていきたいということを強く感じまして安心して帰ってまいりました。
 その次の2枚目、これは東北大学の金研の牧野先生でありますが、かつて東北大学は金属ガラス、メタルグラスで大変世界的な拠点として有名になったところでありますが、かつてジェネラルモーターとの特許争いの中で非晶質合金をめぐって国際特許を、1980年代に特許係争があったわけでありますが、そのとき以来の伝統の研究所でありますが、出てきたものがすばらしいものであったけれども、工業材料としては耐久性、それからもう一つは経時変化、少し温度が上がると非常に弱い材料であるということから、現在までトランスの鉄心材料として実用化に足踏みしている材料なわけですが、最近、牧野教授はこの点、400度ぐらい温度が上がっても平気な、そういう金属、微細組織を持った、何を金属ガラスと言うのか定義が非常に難しいわけでありますが、ここではナノ結晶、非常に小さな結晶の軟磁性材料の開発に成功しておりまして、糸口をつくったということで、今度は相当な産業への貢献があるという、期待できる材料を最近発見されて、それを進めたいというご計画であるということがわかり安心いたしました。
 そして、3枚目の多元研の中村先生は非常に早くからいろいろ希元素のレアメタルの回収をライフワークとしてやられている方でありまして、その前の教授、そしてその先々代の教授からずっと積み上げてきた、その先々代の教授の英語での論文の中にアーバン・マイニングという言葉が出ているわけですが、それは現在、都市鉱山という名前に、日本語で使われているもので、そういう伝統ある流れの中で研究されている方で、研究内容につきましてもいろいろ経産省をはじめとした連携の中で非常に着実に積み上げがやられている方だということで、ご本人の考えもよくわかりまして、お三方とも、私がもしPDとしてやれと言われたら、気持ちよくお三方と一緒に仕事ができるのではないかという期待を持って帰ってまいりました。
 以上です。
【川合主査】  どうもありがとうございました。
 復興庁から齋藤補佐がいらしているので、今の一番大事なこれが復興に本当の意味で役に立つということで何かコメントがいただければありがたいんですけれども、難しいですか。
【齋藤補佐】  復興庁の立場としては、直接、具体的な中身に絡んでいないところですが、基本的に復興につながるということであれば、復興庁としては特に異議はありませんので、あとは見守るという形になると思います。
【川合主査】  わかりました。
 それでは、質問に。まず、先に射場委員、それから、伊丹委員、お願いします。
【射場委員】  民間に役立つかという視点でいくと、従来の文科省のプロジェクトに比べてかなり民間サイドに近いテーマを選択されていると思います。まず、軟磁性はモータの性能を直接的に上げたいならば永久磁石よりは軟磁性。永久磁石のテーマは元素戦略等々でたくさんあるんですけれども、今まで軟磁性は全然やられてこなかった。それは研究シーズがなかったからで、この研究シーズでチャレンジされるというのはすごく楽しみではあると思います。
 あと、リサイクルは、これも元素戦略でリサイクルをテーマに何回か公募しているんだけれども、なかなかリサイクルのサイエンスということがなくて、多分、1件も今までテーマを実施していないと思うんです。先ほどDOEの話もありますけれども、サイエンスまで切り込んでリサイクルをどうするか。かつ、それで実用につなげていくみたいなところはすごく必要なところかなと思います。
 最後、栗原先生の摩擦について、自動車関係は、摩擦、磨耗の課題がすごく多くて、学問体系化、望むところであって、ずっと文科省さんにもお願いをしてきて、この場でも議論したグリーンネットワークのプロジェクトも栗原さんのところ、採択されていますよね。そこの部分と今回の部分を基礎と応用で切り分けて、グリーンネットワークでは基礎をしっかりやり、こっちのプロジェクトでは民間につなぐところをやるみたいなところ、マネジメントをぜひよろしくお願いしたいなと思います。
 以上です。
【川合主査】  では、伊丹委員、どうぞ。
【伊丹委員】  目的自体はどなたも賛成だと思うのですけれども、新産業の創出につながるかとか、産業集積が東北地方でできるようなことに貢献するかとか、あるいはここに、本事業の目的の最後に書いてあります東北素材産業の発展を牽引するという、日本の素材産業の発展を牽引するパワーはどうもありそうな気がするんですけれども、東北という地域限定がなるべく意味を持つようなプログラム形成をしないと、東北大学の復興には役に立つけれども、東北産業の復興にどのぐらい役に立つかという点が少し微妙になってしまうケースで、ぜひともそこはPDのほうで東北の地場の中小企業で匠の技を持っている人たちがこういうプロジェクトにどれぐらい参加できるかとか、そういったようなことまでおやりになると、案外、界面化学の先生から匠の技までつながったという、とてもおもしろい、それこそ東北の希望の光になれるようなプロジェクトにもなり得るポテンシャルを持っていると思いますが、ぜひとも東北大学復興プロジェクトだけにはしていただきたくないと思います。
【川合主査】  そこについては、いかがでしょうか。今すごく重要なところで、東北にいろいろな研究所なり研究機関なりがあるわけですから、最大限有効に使って地場産業も含めて本当の意味での復興につながるという、これは事務局か澤岡先生か、どちらに今のご質問のお答えをお願いすれば。では、事務局からよろしく。
【馬場室長補佐】  今、伊丹委員ご指摘のことは我々としても踏まえていきたいと思っています。今回の事業を設計するに当たっては、さっき澤岡先生も話がありましたとおり、天から降ってきたお金ではなくて、復興特別会計というのは復興税、復興債、そういったものを母体にしているものです。わかりやすく言えば、未来の世代からの借金でこの事業を実施するというような位置付けもありますので、それについて我々としても先生方には何度もお話しさせていただいて、先生方からは、先ほど澤岡先生からもあったとおり、もちろんですというような気概でいらっしゃるということです。今、伊丹委員のご指摘のあったとおり、我々としては東北大学の復興ではなくて、東北地方の復興、ひいては日本の発展につながるような施策になるように澤岡先生ともご相談させていただきながら事業を進めていきたいと考えております。
【川合主査】  ですから、具体的に伊丹委員の意見をある意味で取り入れて、改めてというか、こういう組織図がありますね。これもやはりある一部の地域、一部の機関に限られているようなところもあると思うのですが、そういうこともいろいろご検討されていくということでよろしいですね。
【馬場室長補佐】  こちらの机上配付資料はまだあくまでも検討中のものですので、きょう先生方からいただいた意見も踏まえて、今の点に関して言えば、さらに開かれた大学、地場中小企業も含めて開かれた拠点となるように設計していきたいと思っております。
【川合主査】  伊丹委員、よろしいでしょうか。
【伊丹委員】  はい。
【岡野委員】  今のことと関連して、この計画に参加するグループというのは、これで固定されているのでしょうか。それから、どういうプロセスで代表者の方と個人的な関係といいますか、どういうプロセスでこの企業が選定されているのか少しお聞かせください。
【馬場室長補佐】  まず、1点目のご質問ですが、こちらの企業については固定されているわけではなくて、今後さらに追加していくということを検討しているところです。プロセスとしましては、我々としても予算が成立したことに伴って具体的な研究計画をつくるに当たっては、先ほど申し上げたとおり、産業界の技術課題に直結するような研究課題を見つけてほしいという中で、当然、最初の段階では個人的な関係というか、研究代表者とつながりがある企業が多かったかとは思うのですが、我々としてはそれだけではなく、さまざまな企業と議論していただきたいというような中で、むしろ徐々に増えていって、今、こういう形になっている。この企業の数については、今後さらに拡大していくということを期待していきたいと思っているところです。
【岡野委員】  ぜひこれがある程度確定した時点で明確な目標とそのプロセスを示されて、興味を持つ企業、研究機関があったときは、何か公募的な形で採用できるような仕組みがあったらいいかなというように思うのですが、ご検討いただければと思います。
【馬場室長補佐】  その方向で大学とも相談していきたいと思っています。
【大林委員】  最後の希少元素の件なのですが、これは大変望ましいことで、ぜひともやらなくてはいけない我が国の大事なプロジェクトだと思うのですけれども、この絵を見ていると、組織のところ、左の点線のところと実線のところと書き分けてあるのですが、抽出技術をみると、これは住友ベークライトが抽出溶剤をつくって、実際に抽出技術を研究しているのは九州大学というような絵になっています。だから、東北大学が中心になって本当に技術体系をどう組み上げていくのかというのが1つの質問です。
 もう1点は、これは希少金属を供給する側、要するに電気機器を回収してその中から希少金属を出していくことですが、電池から持ってくるのか、ほかの磁石その他から持ってくるのか、その供給側、そして、それを使っていく側、それらを総体的なものとして構造化すべきではないでしょうか。ここに書いてあるのは、金属材料関係者ですね。そうではなくて、もっと大きな参画企業群が必要なのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。【馬場室長補佐】  では、私のほうからまず回答させていただいて、補足を澤岡先生ないしのほうからご説明したいと思っております。
 まず、1点目、この点線についてなのですけれども、これも深い意味があるわけではなくて、点線は大学なり研究機関に対しては点線を使わせていただいて、企業に対しては実線を使っているというような位置づけになっております。これもあくまでまだ検討中なのですが、左側はむしろ基礎研究側、右側は企業との連携というところでこういう絵をかかせていただいているところです。今、先生からいただいたとおり、東北大学に拠点をつくることになるのですが、関係する研究機関なり企業とも連携して事業を実施していきたいと思っています。
 もう1点は、後段のご質問があったとおり、企業との関係であったり、実際の実機との関係、我々としても重要だと考えております。その点はこの研究拠点の図に書いてあるとおり、先ほどご説明したとおり、左下のほうに内閣府、環境省、経産省との連携をこの事業では重視していきたいと思っています。電子機器のリサイクルの関係であれば、現在まさに環境省、経産省のほうで議論して制度設計をしているという段階に来ていると我々は承知しておりますので、そういったまさにシステムというか、社会システムの中にどう組み込んでいくかというものをきちんと踏まえて、この拠点研究課題というものをきちんと選定していきたいと考えております。
【澤岡学長】  一言よろしいでしょうか。私、中村先生に会って話を一度しか聞いていなく、その前、何度か書かれたものは読んでいたのですが、予備知識で持っていた内容とは全く違いまして、従来、ある程度粉砕してエンリッチしたものがあれば、それを溶融塩などを使って溶かして取り出す技術はかなり進歩していて、特に東北地方のDOWA関係の企業が日本で一番そういうことをやっているところなのですが、そことの非常に強い連携がある。ただ、問題なのは、今、説明がありましたように、いかに社会システムとして集めてくるか、電池はまず1番目のターゲットとしては取り上げておりませんで、いろいろな電子部品をまずお考えのようでした。それで、電子回路がいろいろなところについているわけですが、それからどうやって取り出すか。
 人手で、手で取り出すのはとてもできないので、かといってプレスしてガチャン、ガチャンとつぶすのも大変なことで、現実的なことではないということで、新しいばらばらにする方法が意外と今一番盲点なので、そこに工学的には一番力を入れたいということで、こういうアイディアがあるという話は伺ったのですが、それがコンフィデンシャルの図面をチラッと見せてもらっただけなものですから、多分、ここでお話をしないほうがいいと思うのですが、新しい方法でとにかくばらばらにして部品の一部を取り出す。そしてそれからまた化学プロセスに持っていくのだという、そこのところに当面は力は入れたいというふうな説明を伺って、なるほどなと思いました。
【袖岡委員】  澤岡先生のお話を伺って、研究代表者の方々の熱い思いもわかりましたし、この3つとも非常に大事なサブジェクトだということを理解できたのですが、私がお伺いしたかったのは、何かそういうものを、例えばこの研究から出てきた特許を実施するときに、東北地方の会社が実施するとか、東北地方に工場を建てて企業が実施するというときに優先的に特許の実施権を与えるとか、本当にこの中からそういうのが1個出ればすごいことだと思うのですが、何かそういう仕組みというのがインストールされているのかなと思ってお伺いしたのですが。
【馬場室長補佐】  まさに先生がおっしゃったようなことを東北大学の方でも検討していただいているところです。今の知財の関係では、東北大学としても例えばパテントプールみたいなものをつくって、その革新的な特許を軸にして企業を集めてくるというような計画は今考えているようです。そのほか、持っている設備を外部に共用を出すことによって企業が集まってくるような仕組み、仕掛けをつくっていきたいと思っています。
 その中でも、例えば東北の中小なり地場産業に対しては、例えば外部の設備の共用に関しても通常よりも安く、例えば無料であったりとか、そういったことを考えているようなことは聞いているのですが、知財について例えば東北地方の企業に優先的にするかどうかというのは、まだそこまで確認はできていなかったので、そういった形で復興につながるようなことを大学に対しても検討していただくように検討したいと思っています。少なくとも例えば2の超低損失磁心材料であったら、NECトーキンとJFEスチール、そういった企業が東北を基盤として、仙台地方を基盤として企業、会社を持っているところですので、そういったところともうまく連携しながら具体的な雇用につながるという成果をまずは1つでも出していきたいと考えております。
【川合主査】  いろいろと大変貴重なご意見、ありがとうございました。いただいたご意見をもとに今後必要な修正をしていきたいと思います。特に大事なのは、こういった体制をつくるときのプロセスを明確化して、本当の意味で東北の復興に寄与したいという人たちがさらに加われるような形とか、それが東北の地場産業も含めて真の意味での復興につながるような体制にできればよいということや、これが東北だけというよりは、日本全体としての非常に重要なプロジェクトとしての位置づけがわかるようにする。そういったいろいろなご意見をいただきましたので、こういう必要な修正を行った上で事業開始に向けて手続を事務局で進めさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
 それでは、最後の議題の5番目、議事5に入ります。昨年、第4期科学技術基本計画が策定されましたが、ナノテクノロジー・材料科学技術におきましては横断的に活用され得る共通基盤技術というふうにされています。別途ワーキンググループが設置されて、強化すべき技術等について検討されることになっています。ナノテクノロジー・材料共通基盤技術検討ワーキンググループの概要について事務局よりご説明をお願いいたします。
【永井室長】  それでは、資料5に基づきましてご説明させていただきます。これは内閣府からも守屋調査官、お見えになっていますけれども、総合科学技術会議における平成25年度の開発関係予算の重点化に向けた検討のスタートが始まっているということで、その状況についてご説明させていただきます。
 表題のとおり、ICT共通基盤技術ワーキンググループ及びナノテクノロジー・材料共通基盤技術検討ワーキンググループの設置についてということですけれども、これは右上のクレジットにありますが、総合科学技術会議の下に科学技術イノベーション政策推進専門調査会というのがあります。これは科学技術基本計画に掲げる重要事項に関する基本的政策について調査、検討する会議体ですけれども、その下に大体6つぐらいの会議体がいろいろありまして、例えば復興再生戦略協議会とか、グリーンイノベーション、ライフイノベーションの戦略協議会、重点化課題検討タスクフォース、あと、ここに表題にありますような2つのワーキンググループというものが設置されて、これから検討していくというものです。
 この趣旨ですけれども、この共通基盤技術検討ワーキンググループの趣旨は1.にありますとおり、第4期科学技術基本計画第II章及び第III章に掲げた課題の達成に横断的に活用される共通基盤技術についての推進体制としてICとともにナノテクノロジー・材料についても共通基盤技術検討ワーキンググループを設置するものです。この位置づけにつきましては、別の紙の第4期科学技術基本計画概要という、計画の構造が書いてあるこの1枚紙をごらんいただければと存じます。この資料、これが今の科学技術基本計画の全体の構成ですけれども、真ん中のところに緑色でIIの将来にわたる持続的な成長と社会の発展の実現、これが第II章、そしてその右側に第III章として、III、緑色のところですけれども、我が国が直面する重要課題への対応、これが第II章、第III章です。
 第II章の内容は、この中の赤い字の2.から4.をご覧いただきますように3つの課題が大きく掲げられている。柱が掲げられているということがあります。2.が震災からの復興、再生の実現、3.がグリーンイノベーション、4.がライフイノベーション。これらの3つの重要課題につきましては、それぞれ対応する3つの戦略協議会がつくられまして、府省の枠組みを超えて国として推進すべき戦略や取り組み内容を具体化して、最終的には重要施策、アクションプランなどの形で反映させていくというものですけれども、それ以外の重要課題というのがこの右側の3番目、我が国が直面する重要課題への対応の2.のところです。
 重要課題達成のための施策の推進ということで、(1)から(5)までありますけれども、安全性の確保でありますとか、産業競争力の強化、地球規模問題の解決、国家存立基盤の保持、科学技術の共通基盤の充実、強化、こういったグリーン、ライフとか、震災対応以外にも国として取り組むべき重要課題がありますので、これらについても総合科学技術会議としてしっかり取り組む必要があるということです。この第II章と第III章、この両方、ナノテクノロジーというのはこの両者、このすべてにまたがる共通基盤技術としての位置づけですので、この両方にまたがってナノテクノロジー・材料分野について必要な技術課題を特定して、これは全体を俯瞰しながら政策政府として取り組む課題を抽出するためにこのワーキンググループがこれから設置されるということです。
 このワーキンググループの検討結果につきましては、もちろん復興、再生、グリーン、ライフにかかわるものもありますので、こういったものについてはそれぞれの戦略協議会に提案したり、また、それ以外のものについては共通基盤技術として重点化方策の検討を行っていく。これは6月末に向けてこういった作業をこれから開始していくということです。これらにつきましては平成25年度予算に向けた総合科学技術会議のアクションプランでありますとか、重要施策パッケージの中にしかるべく反映させていくというものです。最終的にメンバーは、ほぼ決まっているのですけれども、実は第1回が今週の金曜日に開始する予定でして、それまではオープンになっていないという状況ですが、文科省からももちろん参加する予定でして、基本的には、恐らく私ということになると思うのですけれども、この中で議論していきたいと思っています。
 また、これからスタートするものですので、最終的な仕上がりというのはまだわかりませんけれども、この状況につきましては随時この会議でご報告させていただければと存じます。以上、ご報告でした。
【川合主査】  どうもありがとうございます。
 総合科学技術会議の中でナノテクノロジー・材料共通基盤技術検討ワーキンググループという形で発足するということですので、このナノテクノロジー・材料委員会ともいろいろな意味で連携もしくは意見交換をしながらやっていくという意味でご説明をさせていただきました。今日、せっかくいらっしゃっているので、守屋さんから何か一言。
【守屋政策企画調査官】  内閣府の守屋です。ナノテク・材料担当ということで、総合科学技術会議の中のナノテク材料分野の政策の企画、調査を担当しております。といいましても4月に着任したばかりで、今回のこの枠組みも立ち上げるところから参画したような状況です。ご存じの方も多いと思いますけれども、第3期の計画の中では、ナノテクノロジーですとか材料というのは個別の強化すべき研究分野としてきちんと表現されておりました。一方、第4期の計画においては、課題対応型、課題達成型というそのコンセプトで、先ほど室長のほうからご説明があったように課題からの切り口でいろいろな研究、科学技術をまとめるような計画になっております。
 したがいまして、5年先、10年先を見たときのナノテクノロジー、あるいは材料分野できちんと拾っておくべき、ケアをしておくべきものがあり、かつそれが課題対応型の発想で漏れてくるようなことがあってはまずいだろうという、そういうような配慮もこのワーキンググループを立ち上げる理由の1つになっているのではないかと私は理解しております。ですので、このワーキンググループという場が広く技術を俯瞰して、将来にきちんと育てていくべきものを関係する、産業界、アカデミア、他の皆様が共有して将来の発展に禍根を残さないような結果が出せればいいと考えております。
 補足的なコメントでしたが、以上です。
【川合主査】  どうもありがとうございます。
 何かご意見なり、いい機会ですのでご質問ありますでしょうか。守屋さん、先ほど漏れているかもしれないという部分を強調されましたが、我々の認識としてはナノテクノロジー・材料というのは共通基盤という意味では、グリーンにもライフにも直接通じる最もパワフルな科学技術ということで、漏れている部分ももちろんきちんと拾っていきますが、直接関係する一番大事な共通基盤ということでナノテク材料を位置づけているというところがあります。このワーキンググループもそのような観点がもちろん基本的にはあるということでよろしいのですよね。
【守屋政策企画調査官】  はい。もちろん、そう考えていただいて結構です。ナノテク材料、それからもう一つワーキンググループがありまして、そちらは情報関係、ICTのワーキンググループというのがあります。このナノテク材料とICTというのは、共通基盤技術としての大きな柱の2つであるということで、ワーキンググループを2本立ち上げたというような状況です。少し表現が悪かったですか、協議会ですとかタスクフォースでももちろん中長期的な視野でメンバーの皆さんに考えていただくのですけれども、やはり技術として将来伸びるであろうものがどういうものだということを専門の方がきちんと見ておくということが非常に重要だという発想でワーキンググループは活動していく、そういうふうにご理解いただければと思います。
【川合主査】  もう一つ加えると、ナノテク材料はグリーンやライフのイノベーションを実現する最もパワフルなものであるという位置づけと同時に、ナノテク材料自身の科学自身が世界の中で競い合っていて、結構、研ぎ澄まされた先鋭的なところで戦っている面もありますので、共通基盤というのはあくまで、先ほどのグリーンやライフを積極的に進めるという意味での共通ではありますが、それ自身のサイエンスとしてもぜひワーキンググループで、世界で強い日本のナノテクノロジー・材料ということでご検討いただければと思っています。
【守屋政策企画調査官】  ご意見として確かに承りました。また、引き続き永井室長にも会議のほうに出ていただきますし、連携を強めながら活動していきます。ありがとうございます。
【松下委員】  その具体的な連携の仕方なのですが、例えばこちらの文部科学省で話した技術に関して内閣府のナノテクのほうでも話すことは、それは全く重複しても問題ないということでよろしいでしょうか。
【守屋政策企画調査官】  では、私の方からお答えしておきますが、もちろんこちらで話していただいた内容をご意見としてワーキンググループの場でご披露いただいて全く構いません。そもそも今回、第1回の会合に向けて文科省さんのほうにも重要と考える技術の俯瞰マップを作成していただいておりまして、そういう中で、文科省さん経由でご意見は反映されてくるものと私どものほうでは考えております。
【松下委員】  ありがとうございます。
【永井室長】  私の方からも、これは去年の7月にこの委員会でお取りまとめいただいたナノテクノロジー・材料科学技術に関する推進方策でありますとか、この委員会でご議論いただいたアウトプットについてはきちんとその中で説明して、何らかの形で反映いただけるように進めてまいりたいと思っております。
【川合主査】  今まで総合科学技術会議、ナノテクのプロジェクトチームというんですか、田中委員、今まで総合科学技術会議のこれがこういう形になったということで、何かご意見なりコメントなり。
【田中委員】  OECDの中にCSTP、総合科学技術と同じ略称ですが、科学技術政策委員会というのがありまして、その中にはナノテクノロジー委員会とバイオテクノロジー委員会が非常に重要なものとして入っていますよね。ですから、ナノテクノロジーというのは、新興国や発展途上国で産業を興すためのツールとして国家が先端科学技術に投資することが非常に重要だというふうに今どんどん政策転換してきているわけですけれども、その際に先進国との科学技術インフラの差を埋めてを一気に追いつく1つの領域としてナノテクノロジーを先端科学技術のシンボルとして新興国その他、途上国がとらえているわけですね。それが何十カ国という国でナノテクノロジー国家計画が走っている一番大きな原因です。
 そういう中で、実は先進国にもなかなか難しいところがあって、既にできている科学技術インフラの各領域間の壁が厚くて、いろいろ領域とか、あるいは科学技術のディシプリンといいますか、そういうものの間の壁が強くて、融合がなかなか進まないというところがあるわけです。それが先進国側の一番大きな問題で、その壁をぶち壊すことをアメリカは相当に意識的にそれをやったわけですけれども、日本はそれがすごくおくれているわけですね。そういった意味で、このワーキンググループの役割というのはものすごく重要ではないかと思います。新興国は、そういう手かせ足かせになる既存のインフラがないものですから、むしろやりやすいんですね。融合、連携ということを最初から考えたインフラを更地につくっているわけですから、日本の場合はそれができていない。
 例えばナノテクというのは既存のディシプリン側から言いますと、かなり低く見られるということが幾つかありまして、既にそれぞれの学会も非常に強大になっているので、ナノテクの学会がなかなか育たない。一方、新興国は更地にナノテクを中心に大きくしていくというところがあるわけです。よほどよく考えていかないといけないんですけれども、このナノテクというのはそういう意味で、連携、融合というものを推し進めていく、新しい科学技術のシステムをつくるための1つのツールとして非常に重要なので、このワーキンググループに対する期待は私は非常に大きい。ぜひその辺のことをご認識の上やっていっていただきたいなと思います。
【川合主査】  どうもありがとうございました。
 ほかに何かご意見ありますか。よろしいでしょうか。今後とも連携して、ともにナノテクノロジー・材料科学技術を進めていきたいと思います。
 それでは、これできょうの議題1から5番までは全部終わりましたので、最後に事務局より連絡事項をお願いいたします。
【馬場室長補佐】  事務局より3点あります。1点目は連絡事項というか、ご紹介、ご報告になるかと思うのですが、こちらの資料6-1にあります。先週火曜日から金曜日まで開催された第8回国際ナノテクノロジー会議、先ほども少しお話があったかと思いますが、通称INC8というものです。こちらにつきましては、日本、アメリカ、ヨーロッパの政府関係者、研究者、技術者が集まり、ナノテクノロジーにおける将来に向けてのテーマや動向について議論をすることに目的に開催され、今回が8回目になりました。本来であれば、昨年、日本で開催する予定でしたが、震災の影響もあり、今回、筑波で開催することになっております。各国から200名以上の参加があり、日本からは田中委員から日本の政策についてご説明いただいたほか、内閣府からは守屋政策企画調査官、文部科学省からは永井室長、その他、馬場、私も出席させていただいているところです。
 以上、ご紹介です。
 2点目は議事録の確認についてです。資料6-2に第5回ナノテクノロジー・材料科学技術委員会の議事録について配付しております。こちらのほうにつきまして修正等ありましたら、来週22日、火曜までに事務局までお知らせいただければ幸いです。
 最後に3点目ですが、次回の会議です。こちらについては状況を見ながらにはなりますが、日程だけは早目に確定させていただいたほうがよろしいかと思いますので、きょう明日にでも日程照会させていただいて、次回は7月もしくは8月に開催したいと考えております。
 事務局からは以上です。
【川合主査】  どうもありがとうございました。
 それでは、これで委員会を終了いたします。

―― 了 ――

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