資料2-1 日本再生戦略(抜粋)

日本再生戦略
~フロンティアを拓き、「共創の国」へ~
(抜粋)


平成24年7月31日

[グリーン成長戦略] 

 【2020 年までの目標】
50兆円以上の環境関連新規市場、140万人以上の環境分野の新規雇用
新車販売に占める次世代自動車の割合を最大で50%
普通充電器200万基、急速充電器5,000基設置
世界全体の蓄電池市場規模(20兆円)の5割の10兆円を我が国関連企業が獲得
インフラ大国としての地位確立・市場規模19.7兆円への貢献
ESCO、リースなどを活用した促進策による公的設備・施設のLED等高効率照明の導入率100%
ネットゼロエネルギーハウスの標準化・ネットゼロエネルギービルの実現
中古住宅の省エネリフォーム(現在の2倍程度)
新築住宅における省エネ基準達成率100%
環境に配慮した不動産の延床面積1,000万㎡

 【2015 年度の中間目標】
燃料電池自動車の市場投入
家庭用燃料電池の自立的普及開始(2016年~)
2012年に作成するAPECの環境物品リストに記載した環境物品の関税の実行税率を5%以下に削減

 持続可能な新産業の創出や、新しいグリーン・イノベーションに併せた産業構造の進化により、途上国のニーズを捉え、内外一体で利益を生み出し、低炭素・循環型社会の実現を図る。また、創エネ・蓄エネ・省エネ技術を推進するとともに、これまで別の産業として分類されてきたエネルギー、自動車、交通、住宅、都市開発、医療などを横断的に展開し、イノベーションの連鎖により、産学官が一体で、グリーン成長を社会の大変革につなげていく。そのため、政府は、1.目標の見える化と共有、2.競争的な市場の創造、3.規制・制度の見直し、4.新しい公共財/プラットフォームの整備、5.リスクの管理・補完、6.グローバルな視点での官民による市場戦略を実施していく。なお、グリーン成長戦略の各施策が目指す具体的な目標や全体像については、「革新的エネルギー・環境戦略」を踏まえ、年内までに「グリーン政策大綱」において示す。

(重点施策:グリーン部素材が支えるグリーン成長の実現)

 再生可能エネルギー発電設備、蓄電池の高性能化、自動車や航空機の軽量化・省エネ、高断熱住宅等に関する部素材などは、現時点では日本が高い競争力を有しているものの、部素材メーカー単独では製品開発までは行えず、必ずしも部素材の強みを最終製品に反映できていない。
 優位性のあるグリーン部素材をいかし製品自体の競争力を高めるため、部素材メーカーと設備・装置メーカー、セットメーカーとが協力し、革新的素材を風力発電の羽根に利用し、風力発電機器自体の競争力強化を図るなど、製品化を見据えた川上川下の共同技術開発の支援を行う。
 また、各部素材の安全性や性能評価等のための拠点を整備し、我が国のグリーン部素材開発の基礎力を引き上げる。
 さらに、2020年までに現行の2倍の磁力を持つレアアースフリー高性能磁石の開発など、グリーン部素材自体の革新的イノベーションを生み出すための基礎から実用化まで一気通貫の未来開拓型の研究開発を推進し、「グリーン部素材」をテコにした成長を実現する。

(重点施策:次世代自動車での世界市場獲得)

 我が国自動車産業は、次世代自動車(ハイブリッド自動車、電気自動車、プラグインハイブリッド自動車、燃料電池自動車、クリーンディーゼル自動車、CNG自動車等)は世界に先行している一方、海外勢との競争は激化している。我が国のグリーン成長の鍵を握る次世代自動車分野において、世界市場を獲得するため、他国を圧倒する性能・品質を実現し、次世代自動車の潜在的価値を発信することで世界的な潜在市場の掘り起こしを図る。
 具体的には、2020年までにリチウムイオン電池の研究開発による航続距離を約2倍に向上、対人・対物検知や自動制御の高度化を可能にする次世代半導体等の最先端の素材・デバイス開発を通じた性能の向上、特性の異なる車種の段階的・並行的な初期需要創出・普及拡大によるコスト低減を実現する。また、「走る電源」としての利用にピークカット・非常用電源機能や、情報技術との融合による安全性・利便性等、新たな高付加価値を創造する。加えて、電気自動車の排ガスゼロ、静粛さといった固有の価値も併せて顕在化させるため、国内外でプロジェクトを推進し、成功事例を創出する。また、充電器の加速的・計画的な配備や燃料電池自動車に燃料を供給するための水素供給設備の先行整備等の社会基盤整備を行うほか、水素供給設備に対応した高圧ガス保安法の技術基準の整備、水素供給設備に使用可能な鋼材の拡大や欧米と同程度の設計係数への見直し等に安全確保を前提に取り組む。
 高齢化社会に適した超小型モビリティの認定制度創設等を通じてイノベーションを創出し、課題解決先進国として次世代標準を先んじて獲得する。
 上記施策と並行して、グローバル市場を見据え電池や充電器等の適切な国際標準化や互換性の確保を官民連携して推進する。また、我が国先端技術の優位性がいきるよう、官民が一体となって、新興国市場に対し、次世代自動車に関係するインフラや制度・政策も併せて輸出していく。

(重点施策:蓄電池の導入促進による市場創造と非常時でも安心な社会の構築)

 蓄電池は、現下の厳しい電力需給状況下において、需給両面での負荷平準化やスマート・グリッド社会などの分散電源の促進にとって核となる技術である。また、個々の用途を見ても、電力系統用、自動車用、防災用、家庭用を始めとして大きな市場拡大が想定される成長産業分野である。
 このような潜在的な成長分野を戦略的な産業に育て上げるため、蓄電池の高度化、低コスト化・普及を加速させ、新たなマーケットの創造や競争力強化の基盤整備を図る。また、安心な社会をつくるため、住宅やビルは建設段階から蓄電池を備えることを促進するとともに、例えば、病院等の施設を建設する際に蓄電池をできる限り設置することを、目指すべき社会像の原則とすることにより、集権型から分散型のエネルギーシステムへの移行を図っていく。
 制度面では、蓄電池の系統連系を円滑化するために系統連系に係る認証制度を構築するとともに、大型リチウムイオン電池などの安全性を確立すべく規格を策定し国際標準化を推進する。

(重点施策:グリーン・イノベーションによる海洋の戦略的開発・利用)

 資源の宝庫である「海洋」は、政府を挙げて取り組んでいくべき人類全体のフロンティアであり、グリーン・イノベーションによる新たな成長産業のゆりかごともいえる。特に、我が国は、洋上風力等、海域において利用可能な再生可能エネルギーの賦存量が大きい。また、海洋鉱物資源の分布・賦存量を把握し、海洋生物資源を持続的に利用するとともに、産業創出につなげていくことも課題となっている。
 海洋エネルギーを利用した発電技術の活用を促進するため、洋上風力を中心とした技術開発を加速し、実用化・事業化のための制度・環境整備(安全ガイドラインの策定等)、実証事業を行う。また、天然ガス等の海洋資源の開発及び利用を推進する。そして、藻類を活用したバイオエタノール生産技術の開発等の新たな生産手法の開発等を行う。これらの取組を必要な環境の整備と併せて着実に推進することにより、国内のエネルギー供給に寄与するとともに、産業として海外展開する。
 また、天然ガス燃料船や船舶の革新的省エネ技術などの研究開発・普及促進を進め、CO2排出削減・高効率を実現する新たな市場を開拓する。

(重点施策:エネルギーの地産地消を実現するスマートコミュニティの構築及び海外展開)

 新興国の経済発展や人口増加に伴うエネルギー不足や東日本大震災による被災地域のインフラ復興等に対応し、他の重点施策の技術も最大限活用した、地域の事情に合わせた再生可能エネルギーの導入や徹底的な省エネを実現するエネルギーシステムであるスマートコミュニティの構築が国内外で必要である。
 国内においては、スマートコミュニティの実証事業の加速化、スマートメーターの今後5年での総需要の8割導入、これと併せたビル等のエネルギー管理を束ねるアグリゲータビジネスの普及を進める。加えて、需給に即応する電気料金価格制度(ダイナミックプライシング)等による成果を規制改革につなげ、需要に対応したエネルギー制御の仕組(デマンドレスポンス)を確立することにより、電力システム改革を推進する。
 海外においては、我が国の蓄電技術をいかしたエネルギーの需給制御技術をグローバルに展開するため、我が国の技術・システムの特長をいかし相手国企業と連携して実証事業等を行う。また、政府間の交渉による相手国政府の協力を獲得する。政府レベルで交渉しながら、官民ミッションにより、マスタープランから参画し、エネルギーシステムの受注を目指す。
 さらに、エネルギー制御技術(HEMS、BEMS、CEMS)や蓄電技術など強みを持つ関連技術を確立するとともに、国際標準化を進める。

[ライフ成長戦略]

 【2020年までの目標】
医療・介護・健康関連サービスの需要に見合った産業育成と雇用の創出:新市場約50兆円、新規雇用284万人
(うち革新的医薬品・医療機器の創出並びに再生医療、個別化医療及び生活支援ロボットの開発・実用化、先端医療の推進による経済波及効果:1.7兆円、新規雇用3万人、健康関連サービス産業:市場規模25兆円、新規雇用80万人)
海外市場での医療機器・サービス等ヘルスケア関連産業での日本企業の獲得市場規模約20兆円

 【2015年度の中間目標】
創薬支援ネットワークによる支援対象の検討シーズ数累積100件
治験届出数800件(うち国際共同治験数150件、医師主導治験数20件)
新医療機器承認数30
ヒト幹細胞を用いた研究の臨床研究又は治験への移行約10件
医療・介護機関と連携した医療・介護周辺サービス市場1兆円

 医療・介護・健康関連産業を真に日本の成長産業とし、医療・介護サービスの基盤強化を図り、世界最高水準の医薬品・医療機器を国民に迅速に提供するため、「医療イノベーション5か年戦略」(平成24年6月6日医療イノベーション会議決定)の着実な実施等により、関連する規制・制度改革を進め、引き続きドラッグラグ、デバイスラグの短縮に取り組むとともに、日本のものづくり力をいかした革新的医薬品・医療機器・再生医療製品やリハビリ・介護関連機器等を世界に先駆けて開発し、積極的に海外市場へ展開する。

(重点施策:革新的医薬品・医療機器創出のためのオールジャパンの支援体制、臨床研究・治験環境等の整備)

 がん、難病、肝炎、感染症等の研究開発の重点領域を中心に大学等の基礎研究における優れた成果等を確実に実用化につなげる一貫した支援を行う。具体的には、医薬基盤研究所が中心となる創薬関連研究機関等による創薬支援ネットワークを構築し、同研究所がその本部機能を担うのに必要な体制強化や業務運営ルールの策定等を行う。同ネットワークについては、今年度から取組を開始し、2014年度には構築を完了する。医療機器については、医工連携等による拠点整備・開発並びに医療サービスと一体となった海外展開等を推進する。
 また、国際水準の臨床研究や難病等の医師主導治験の実施体制を整備するため、複数病院からなる大規模ネットワークの中核として多施設共同研究の支援を含めたいわゆるARO(Academic Research Organization)機能を併せ持つ臨床研究中核病院等を2013年度までに15か所程度整備する。
 そして、長期間にわたる革新的医薬品の研究開発を促進するため、米国NIH(National Institutes of Health USA)の取組を参考にして、文部科学省、厚生労働省、経済産業省の創薬関連の研究開発予算の効率的、一体的な確保及び執行について、関係府省において2012年度から検討を開始し、必要な措置を遅くとも2014年度までに講じる。
 加えて、審査迅速化や実用化の加速を目指し、医薬品医療機器総合機構の審査・安全対策要員の増員や質の向上、相談機能の拡充を図り、その役割にふさわしい財政基盤や審査手数料の在り方の検討を行う。

(重点施策:医療機器・再生医療の特性を踏まえた規制・制度等の確立、先端医療の推進)

 医療機器の審査の迅速化・合理化を図るため、薬事法について、次期通常国会(2013年度)までの改正法案提出を目指して医療機器の特性を踏まえた制度改正を行い、医薬品から別章立てするとともに、後発医療機器等を対象に登録認証機関を活用した承認・認証制度の拡充を行う。また、制度改正に先立ち、関係者の意見も十分に聴取しつつ、審査迅速化・質の向上に向け、承認基準、審査ガイドラインの策定等の運用改善を実行に移すための取組を行う。
 再生医療については、世界に先駆けて本格的に実用化することにより、世界的に優位な産業として成長させるため、10年程度で世界最先端のiPS細胞等の安全性や標準化の確立を目指す研究に対して、成果や進捗状況等を踏まえた集中的な支援を行うなど、早期にできる限り多くの実用化の成功事例創出に取り組む。また、再生医療の開発・実用化に必要な装置等の周辺産業を含めた関連産業の国際競争力強化等の産業振興に資する取組を行う。あわせて、実用化を加速するため、再生医療研究等の実情の把握に基づいた再生医療推進に係る課題や仕組みの検討を踏まえ、薬事法改正法案の次期通常国会(2013年度)までの提出を目指す等、再生医療製品の特性を踏まえた規制を構築するとともに、医療として提供される再生医療についても、薬事規制と同等の安全性を十分確保しつつ、実用化が進むような仕組みの構築について2012年度から検討を開始し速やかに実施する。
 また、先端医療等を推進する突破口として、現在実施されている先端医療開発特区(スーパー特区)における成果も踏まえ、大学病院、企業、研究開発機関等の先進的な取組を行う機関が全国的な規模で活動ができるよう、行政区域単位の特区とは異なる機関特区の創設、規制の特例措置や税制・財政・金融上の支援措置の活用について、新たな法的措置も視野に入れた検討を進めることとし、当面は総合特区制度の活用により対応を図る。

(重点施策:15 万人規模のバイオバンク構築による東北発の次世代医療等の実現)

 東日本大震災の被災地住民を主な対象とした健康調査を実施し、地域医療機関間を結ぶ医療情報ネットワークと連携しつつ、15万人規模の大規模バイオバンクを構築する。健康調査を通じて住民の健康管理に貢献するとともに、オールジャパンの協力体制の下、バイオバンクを用いた解析研究により個別化医療等を実現するための基盤を整備し、東北発の次世代医療の実現の起点とする

(東北メディカル・メガバンク計画)。

 個別化医療等の実用化に向けて、東北メディカル・メガバンク計画を中心として、それぞれの健常者・疾患コホート研究(集団の追跡研究)やバイオバンクの取組及びその相互連携を推進するとともに、患者・住民の医療健康情報を安全かつ円滑に収集・蓄積・共有するための医療情報連携基盤を整備する。

(重点施策:ロボット技術による介護現場への貢献や新産業創出/医療・介護等周辺サービスの拡大)

 高度なものづくり技術を有する大学、民間研究機関、企業等と介護・福祉現場の連携を促進し、高齢者や介護従事者等の現場の具体的なニーズに応えるロボット技術の研究開発や実用化のための環境整備を図る。また、重点分野を特定した上で、安全性や性能の評価手法を確立し、適切な実証の場を整備する。さらに、国内における早期普及を目指し、生活支援ロボットの安全性等の認証体制構築等の公的支援・制度的措置を講じるとともに、介護ロボット等の海外実証実施など海外展開に向けた国際標準化の支援や、必要に応じて公的給付への適用の検討等を行う。あわせて、公的保険外の医療・介護周辺サービスを拡大する。
 これにより、高齢者の自立支援と生活の質の向上、介護・福祉現場等における負担軽減、我が国の新しいヘルスケア産業やものづくり産業の創出に貢献するとともに、高齢化社会に向かっているアジアを中心とした海外の需要も獲得する。あわせて、課題対応事業促進法等を活用したヘルスケア分野等における製品製造やサービス提供事業の支援を通じて国内の潜在需要を掘り起こす。
 また、疾病予防、介護予防やリハビリテーションに更に取り組むとともに、より効率的で質の高い医療提供体制の構築を目指して、地域の医師偏在を解消し、医師不足地域の医師確保等を行う地域医療支援センターの活用等により、地域における医師確保の推進、地域医療の再生を果たす。

[科学技術イノベーション・情報通信戦略]

 【2020年までの目標】
特定分野で世界トップ50に入る研究・教育拠点を100以上構築
理系博士課程修了者の完全雇用
世界をリードするグリーン・イノベーションとライフ・イノベーションの成果創出
官民合わせた研究開発投資をGDP比4%以上
情報通信技術の活用による国民生活の利便性の向上、生産コストの低減

 【2015年度の中間目標】
国際研究拠点に世界トップレベル研究者を180人受入れ
理系博士課程修了者における就職者8割以上
被引用数トップ10%の論文数の国別世界ランキング向上
官民合わせた研究開発投資をGDP比4%以上
電子政府発展指数(国連)のオンラインサービスの範囲・品質に係る部分のランキングについてTOP5以内 

 産学官の知識を結集して世界トップレベルの研究開発及び成果の還元を推進するため、科学技術イノベーション政策推進体制を強化し、国際的な取組、人材育成、基礎研究強化や産学官連携等を推進する。また、情報通信技術の利活用の促進など成長のプラットフォーム整備を進める。さらに、人類全体のフロンティアである宇宙・海洋の戦略的な利活用を推進する。

(重点施策:科学技術に係る人材育成の強化等による国際競争力強化)

 我が国の研究開発における国際競争力を強化するため、我が国が強みを持つ学問分野を結集したリーディング大学院を構築し、成長分野などで世界を牽(けん)引するリーダーとなる博士人材を国際ネットワークの中で養成する。最先端共同研究施設・設備や支援体制等の環境整備による国内外から優秀な研究者を引き付け国際頭脳循環の核となる研究拠点や、つくばイノベーションアリーナ等世界的な産学官集中連携拠点を形成する。また、「独立行政法人の制度及び組織の見直しの基本方針」(平成24年1月20日閣議決定)に基づき、国立研究開発行政法人の制度・運用及び組織統合について検討・措置する。
 大学・大学院の理系カリキュラム改善やインターンシップを産学官連携で推進し、大学等におけるテニュアトラック制の普及等により優秀な若手研究者の自立的研究を支援する。科学技術基本計画に定められた人材育成に関する取組について進捗状況を管理しながら適切に推進する。

(重点施策:基礎研究から実用化までのイノベーションの強化)

 我が国の競争力の源泉であるイノベーション創出を推進するため、科学技術イノベーション政策の司令塔機能を科学技術イノベーション戦略本部(仮称)を中心としてIT戦略本部、知的財産戦略本部等の関係行政機関との連携の下、強化するとともに、産学官の知識を結集して重要な政策課題対応への重点化を図る。また、政府の関与する研究開発投資を、科学技術政策を国家戦略の根幹と位置付けた「第4期科学技術基本計画」(平成23年8月19日閣議決定)に沿って拡充することとし、効果的、効率的な技術開発を促進するための規制・制度の見直し、民間研究開発投資への税制優遇措置など研究開発投資の促進に向けた各種施策を検討・実施する。
 これらの施策を進めるに当たり、未来開拓型の研究開発やイノベーション創出に向けた研究基盤の形成等、府省連携の下で産学官が一体となって基礎研究から実用化まで一気通貫でイノベーションを創出する体制による取組を重点的に進めるとともに、科学技術重要施策アクションプラン等による予算の選択と集中の強化、重複排除や透明性向上を徹底する。

(重点施策:情報通信技術の徹底的活用と強固な情報通信基盤の確立)

 我が国のあらゆる分野の成長を支える基盤としての情報通信技術の戦略的重要性などに鑑み、国民ID制度やオープンガバメントの推進を始め、行政、医療、教育等の幅広い分野で情報通信技術の利活用に取り組み、「スマート化」された社会の実現を目指す。「電子行政オープンデータ戦略」(平成24年7月4日高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部決定)の実行、情報通信技術の進展に伴い収集等が可能となった多種多量データ(ビッグデータ)の利活用や情報通信技術を活用した異分野融合等、官民が保有するデータの利活用促進を図るとともに、「周波数オークション制度」の実施など新規参入促進策の検討・実施等を通じ、電波ビジネスの活性化に向けて更なる電波の有効利用促進を図る。
 あわせて、東日本大震災の教訓を踏まえ、災害に強い情報通信ネットワークを構築するほか、情報通信技術利活用のための規制・制度改革の着実な実施等を通じ、「光の道」構想(2015年頃を目途にすべての世帯でブロードバンドサービスを利用)の実現を図る。
 これらを進めるに当たり、特に情報通信技術に係る施策については、それぞれの施策が密接に連携して進めていくことが重要であることに鑑み、政府の情報通信政策を総合的に示す「新たな情報通信技術戦略」の施策も含む、特に成長に資する施策を盛り込んだ本戦略工程表の着実な実行について、国家戦略会議が、IT戦略本部と連携しつつ、司令塔機能を担い取り組んでいくものとする。

お問合せ先

研究振興局基盤研究課ナノテクノロジー・材料開発推進室

(研究振興局基盤研究課ナノテクノロジー・材料開発推進室)