今後の「ナノテクノロジー・材料研究」のあり方に関する私見(大泊委員説明資料)

 2009年1月6日

今後の「ナノテクノロジー・材料研究」のあり方に関する私見

要旨

 今回の募集に応募した課題の中から1課題のみを採択することはせずに、応募課題を吟味、整理、再編成して、「環境・エネルギー」という括りに包含される複数のテーマとそれを担当する複数の研究分担者を選定する。プログラム全体の運営は、NT・材料委員会の所管の下で、研究コーディネータに委任する。

提案の背景

  1. 「環境・エネルギー」は喫緊、かつ最重要な国家的課題であるだけに、限られた予算で、1機関が研究を担当することは本質的に無理。
  2. 日本の今後の国家的課題への取り組みは、オリンピックのようなナショナルチーム(ドリームチーム)を組織して推進しなければ、グローバルな競争に勝ち残れない。
  3. 重要課題推進のシステムとして、研究課題の採択に始まり、進捗状況管理、事後処理までの全てに主体的に関わる研究コーディネータが不可欠であり、その育成を急がなければならない。

具体的な提案

  1. 募集要項の中に、申請書類の受理、審査後に、国の指導の下で、研究体制(ドリームチーム)を新たに構築する旨を記載する。
  2. 今回確保された予算は、NT・材料委員会の所管の下で選定された研究コーディネータによって、 ドリームチームの研究分担者に配分され、その後の各分担課題推進のブースター資金とする。
  3. ドリームチームの研究分担者は、担当課題の推進に際して、競争的資金の獲得に努力する。
  4. 研究コーディネータの指導の下で、各分担課題の進捗状況を精査し、以後の取り組みに関する戦略を決定する。
  5. 研究コーディネータの評価をNT・材料委員会が行う。

期待される成果

  1. 研究全体の進捗状況に応じて、次に手当てするべき研究領域の発掘ができ、政策立案のアイデアが生まれる。
  2. 総額2億円(各分担チームには数千万円)程度でも、研究の継続性確保には十分であり、過度の競争的環境が引き起こす研究者の疲弊を防ぐことができる。また、研究費の効率的運用が可能になる。
  3. ドリームチームの一員として国主導のプロジェクトに関わっている、という責任感が研究体制全体に生まれ、社会への説明責任を十分に果たす風土が生まれる。
  4. ドリームチームに何人のメンバーを送り込んでいるかが、各研究機関のポテンシャルを測る指標となり、実質的な研究評価につながる。

文責 大泊 巌

 

お問合せ先

文部科学省 研究振興局 基礎基盤研究課 ナノテクノロジー・材料開発推進室

(ナノテクノロジー・材料開発推進室)