令和6年5月17日(金曜日)15時00分~17時00分
文部科学省会議室(※Web開催)
【高梨主査】 では、定刻を過ぎましたので、ただいまより第12期ナノテクノロジー・材料科学技術委員会の第5回を開会いたします。
委員の皆様におかれましては、御多忙のところ御出席いただきまして、誠にありがとうございます。本日は、文科省会議室及びオンラインでのハイブリッドでの開催となります。
それでは、事務局から委員の出欠及び本日の会議の流れの御説明をお願いいたします。
【柴田補佐】 ありがとうございます。文部科学省研究振興局ナノテクノロジー・物質材料担当参事官付の柴田でございます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
それでは、まず出欠確認を行わせていただきます。本日は、加藤委員、長谷川委員、湯浅委員が御欠席と伺ってございます。また、事務局のほうの出席者の御紹介ではございます。4月に審議官が新しく松浦が着任しておりますが、ただいま、ほかの業務の都合により途中出席する予定ですため、最後に御挨拶の時間を頂戴できればと思います。
また、次は資料の確認に移らせていただきます。
本日の配付資料は議事次第のとおり、資料1-1から1-3、また、参考資料がございます。議論の参考に過去の委員会の資料を委員の皆様に事前にお送りしておりますとともに、現地出席の先生方のお手元にはタブレットに格納して御準備しておりますので、適宜、議論の参考としてください。
もし不備や不明な点がございましたら、議事の途中でも結構でございますので、事務局までお知らせいただきますようお願いいたします。
それでは、会議の進め方ですが、本日、オンラインの参加者の皆様におかれましては、雑音防止の観点から、御自身の御発言時以外はマイクをミュートにしていただき、ビデオはオンにしていただくようお願いいたします。また、御発言を希望される際は、挙手ボタンにて御発言の意思を御表明ください。御発言の際は、議事録作成の関係上、お名前をおっしゃっていただいてから御発言いただきますようお願いいたします。
最後に、本日の会議の流れについてですが、議題1「ナノテクノロジー・材料科学技術の推進方策について」において、全体で推進方策3つ柱がございます。そのうちの2つの柱について議論を行いたいと思います。
事務局からの説明は以上です。
【高梨主査】 どうもありがとうございます。
それでは、議題1の「ナノテクノロジー・材料科学技術の推進方策について」に入りたいと思います。
それでは、まず事務局から御説明をお願いいたします。
【柴田補佐】 ありがとうございます。それでは、お手元の資料1-1から1-3、また参考資料を適宜御参照してください。
まず、資料の全体の構成について、改めて御説明させていただきます。まず、資料1-1、こちらは前回の会議において、先生方と共にまとめさせていただきました「論点と検討の方向性について」という、こちらの横紙の資料になっています。次に、資料1-2がございまして、こちらの詳細は後ほど御説明させていただきます。また、資料1-3といたしまして、議論の経緯と今後の予定ということで、これまでの経緯と今後、1ページめくっていただきまして、2枚目、令和6年度(予定)としております。この後、ナノ材委員会、直近で3回予定しております。この中で、推進方策について、本日の会含め3回、御議論いただく時間を設けておりまして、最後、7月31日の会議で取りまとめをできればと考えてございます。こちら、主な予定でございます。
また、参考資料として、「マテリアルDXプラットフォームの目指すべき姿」と題したブルーの横紙の資料を準備しています。こちらマテリアルDXプラットフォームの概要を御説明する資料ですので、推進方策等にも出てまいりますが、事業の内容を参照されるときの助けとして御参考ください。
それでは、資料1-2について、御説明をいたします。
まず、資料1-2の位置づけです。こちらは「論点と検討の方向性」を踏まえた推進方策(案)としてございます。まだ、現在調整中のものでございますが、こちらの資料は本日の議論が円滑に進むように、「論点と検討の方向性」から一部、この四角書で該当箇所を抜き出して持ってきております。なので、推進方策、最終的に本文としてまとめる際には、この四角囲みのところを消して、現状認識ですとか、課題ですとか、具体的な取組という項目のみになるというイメージしていただければ結構です。
それでは、目次を御紹介させていただきます。
1ポツ、2ポツ、3ポツとしておりますが、1ポツ、「はじめに」、また、その2ポツのところで、「論点と検討の方向性」で挙げさせていただきました大きな3つの柱を立ててございます。(1)がデータ駆動型研究開発の促進、(2)がマテリアル分野において今後振興すべき領域、(3)が研究開発力の強化と人材育成となってございます。
本日は、この3つの柱のうち(1)と(2)について御議論のお時間を取らせていただいておりまして、(3)については、次の6月の会議で御議論させていただければと思います。
それでは、中身の御説明をいたします。
3月の会議で取りまとめさせていただきました「論点と検討の方向性」における記載内容と、その後ろから推進方策の本文となってございます。
まず、(1)のデータ駆動型研究開発の促進(マテリアルDXプラットフォームの推進)について、御説明させていただきます。
1ページ目です。もともと「論点と検討の方向性」においては、課題として、例えば、MDXプラットフォームの実現のために、構成する事業の連携にとどまらず、本来の目的の実現に向けた議論の重要性ですとか、次のポツ、2つ目のポツですが、データのみに着目するのではなく、もともとの研究基盤ですとか、そもそもの基礎・基盤研究、また、マテリアル創出に向けた社会実装への取組等を忘れてはいけないというところですとか、3ポツ目、実際に創出されたデータ駆動型研究の全国への普及の必要性、また4ポツ目として、データ駆動型研究の手法が進化の途上でございますので、そういった点に留意することなどが課題として挙げられてございました。
それに対する取組の方向性としては、部分最適化に陥らず、全体を俯瞰する視点で推進することの必要性ですとか、2ページ目に移ります。構成する主な事業の推進・連携が引き続き重要である点ですとか、その中で課題を抽出して対応していくべき点について、また、次のポツになります。先端設備の整備・高度化ですとか、その社会要請を踏まえることですとか、自律・自動実験や生成AI技術の活用等、その最新の研究開発手法の取組を取り入れていくことの有効性ですとか、次のポツに移ります。全国の研究者への展開、あるいは協働可能な領域でのコンソーシアムの形成、あるいは産学連携を進めることについて。最後のポツになります。材料分野以外の研究者の参画等の取組などについて挙げていただいております。こちら、いただいた検討の方向性等を基に、事務局にて、以下、現状認識以下の案を作成してございます。
それでは、現状認識以下の内容、構成について、概要を御説明いたします。
まず、2ページ目の現状認識の冒頭ですが、MDXの説明をしてございます。MDXの取組の中身につきましては、こちらの参考資料のほうも御参照ください。
枠外でございます。主にはマテリアル先端リサーチインフラ(ARIM)事業、またデータ創出・活用型マテリアル研究開発プログラム、通称DxMT事業、また、物資・材料研究機構、通称NIMSのほうでやっておりますデータ中核拠点の3事業を中心に構成されているのがMDXの取組でございます。
こちらのMDXの取組について、ARIM、次、1ページめくっていただきまして、DxMT、最後にデータ中核での現在の取組状況を記載させていただきまして、最後の段落でございますが、人材不足について言及させていただいております。その中で技術継承問題ですとか、データ科学の進展によるデジタル人材の不足ですとか、また、生成AIや量子技術等の技術の進展について論じてございます。
次に、課題のほうの項目に移ります。課題といたしましては、引き続き俯瞰する視点でマテリアルDXプラットフォーム全体を推進することが重要であるのですが、ただ、その体制が十分構築されていない点、また、データ駆動型研究手法の成果を全国の研究者に普及させる点、また、社会実装を加速させることについて。具体的な取組、対応方針として、産学で協働可能な領域でのコンソーシアムを形成すること、また、社会実装を加速するための取組を推進すること。こちらはもともとの「論点と検討の方向性」の中身と大きくは変更してございませんが、追加の内容といたしましては、セミナーやシンポジウム等の開催ですとか、その下にございます、その続きでございます。データ駆動型研究手法を導入する上での心理的・技術的な障壁をなくす仕組みも重要ではないかということを言及してございます。
また、次の段落です。マテリアルDXプラットフォームの推進に当たり、データのみに着目した取組ではなく、引き続き基礎・基盤研究ですとか、研究インフラの整備ですとか、進化するニーズに応えられるような研究インフラの整備ですとか、また、研究者等の不足を補うという観点、自律・自動実験の整備、加えて新しい研究開発手法を取り入れること、また、進化途上であることに鑑み、情報分野等、材料分野以外の研究者の参画等の取組も推進する必要があるという内容を、少し状況を補足しながら書き上げてございます。
最後に、具体的な取組の内容です。まず、マテリアルDXプラットフォームの推進体制の構築、こちらにつきましては、2行目に記載してございます。マテリアル分野全体を俯瞰して推進するために、例えば、本委員会と申し上げておりますが、ナノテクノロジー・材料科学技術委員会がマテリアルDXプラットフォームを更新する主な事業のPD・POと連携した体制を構築することで、適切なマネジメントを進めていけないかということを提案しています。
ただ、ここで申し上げている本委員会がというのは、毎回、このナノ材委員会でMDXの状況をフォローしていくというのは、かなり大変になってしまいますので、例えばなのですが、委員のどなたかに相談役といいますか、サブPDといいますか、そういった形で関わっていただいて、内容をフォローしていただくようなことをイメージして記載してございます。
また、このMDXを構成する主な事業において、今度、令和7年度にデータ利活用に向けた本格運用を開始する予定としてございますので、そちら関連する事業間の連携に向けた課題を実際に抽出いたしまして、また、具体的な対処方針をまとめ、実践することということを記載してございます。
「例えば」以下は、具体的な抽出課題の例になってございます。
1枚おめくりいただきまして、5ページでございます。具体的な取組として残り2つ、データ駆動型研究開発の全国展開に向けた取組、また、先端共用設備の整備・高度化及び新しい研究開発手法への対応ということで記載してございます。追記の観点といたしましては、データ駆動型研究開発手法の全国展開に向けた取組のほうを、セミナーやシンポジウムなどの開催を通して、先端的な研究開発手法を広く発信していく。また、社会実装を加速するために、中ほどでございますが、協働可能な領域での産学コンソーシアムの形成を提案してございます。
最後に、先端共用設備の整備・高度化及び新しい研究開発手法への対応のところですが、こちらARIMの先端共用設備の整備・高度化について記載してございますが、4行目に当たりますが、「また」以下に最先端機器の研究開発を行う場としても機能するなど、先端共用設備の最適な運用を実現する環境整備を進めることが望まれるということを記載しております。こちらのほうは、もともと先端材料の研究については、加工や分析に係る機器の進化が、これまでも表裏一体で進められてきた、行われてきたというマテリアル分野の研究開発の特性に鑑みて、研究と機器の開発というのが一緒に行われることによって、より高度な材料の開発であったり、それを支える研究機器の開発が行われているという状況を踏まえまして、こちらの内容を記載させていただいております。
また、「これに加え」以下のところは、これまでも御議論を少しいただきました自動・自律実験の内容ですとか、新しい開発手法の導入を引き続き進めていくということを付け加えさせていただいております。
長くなりましたが、内容の御説明は以上でございます。
【高梨主査】 どうもありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明のあった内容に関しまして、御質問、あるいは御意見等ございましたら挙手をお願いいたします。オンラインの方々については挙手ボタンをお願いいたします。どこからでもよろしいかと思いますが、いかがでしょうか。
一つ議論するべきことは、このそれぞれいろいろな事業がある、最初のほうの前半部分ですけれど、それは個別最適化ではなくて、全体としてうまく調整するような役割をどこが果たすかということが一つの議論になるかと思うんですけれど、これを本委員会がというところ、これは今、柴田さんからも説明がありましたけど、本委員会から人をアサインして、そういう役割を果たしていただくか、そこら辺のやり方をどう考えるかという問題もあります。
何か、いかがでしょうか。
【伊藤委員】 伊藤からよろしいでしょうか。
【高梨主査】 どうぞ、伊藤委員。
【伊藤委員】 伊藤でございます。御説明ありがとうございます。
かなり方向性としてまとまってきたなという印象があるんですが、その中で、データを共有していくというか、今後、普及していくに当たっては、ITベンダーなどのデータをどういうふうにクラウド側で担保していくのか、セキュアな状態を保っていくのかというあたりも、非常に日本の国力として重要になってくるところではなかろうかと思うので、この辺りをどうしていくのかといったところも記載があってもいいのかなと感じました。
以上でございます。
【高梨主査】 ありがとうございます。
【柴田補佐】 ありがとうございます。
【高梨主査】 どうぞ。じゃあ、柴田さん。
【柴田補佐】 伊藤先生、もしよろしければ、実際取り組まれている内容ですとか、支障のない範囲で少し御紹介いただけますでしょうか。
【高梨主査】 そうですね。もう少し具体的に、私も御説明いただければと思ったのですけど。
【伊藤委員】 例えば、マイクロソフトでもアマゾンでもグーグルでもいいのですけど、クラウドにサーバがあると思うんですね。それのほうに多分データを入れるわけなんですけど、そのデータを、例えばほかの企業様だったり、大学様と連携して、一緒に共用していくといったときに、そのセキュリティをどういうふうに担保するのかといったところも多分重要になってくると思いますし、それは、例えば、一つの協働プロジェクトという形でデータを一緒にやり取りしたデータかも分からないんですけど、そのデータは、例えば、材料物性であれば、ほかのところのデータでも使えるかもしれないということになると、じゃあ、そこをどういう形で共用化していくかということも、多分、全体としてつながってくる可能性があると思うのです。例えば、金属であっても、様々な金属の物性値というものが、例えば、X線のデータでも当然挙がるわけで、それをほかの研究者の方々も、多分、この間、平田さんが御紹介された内容に近いと思うんですが、つながってくるので、そのデータを、じゃあ、どういう形で担保していくのかというのと、データを提供した方に、どうやったら御利益があるのかといったところも含めて考えていかないと、多分、データ入れた人と使う人というのがウィンウィンの関係にならないと普及ってしていかないと思うんですよね。それは多分、研究者にとってはデータというものは自分の研究財産でもあるし、企業であれば、それは企業の一応データって重要な部分になってくるので、それをどういう形で、自分のところの秘匿技術は秘匿しつつも、共用できる部分は共用していくということを全体として考えていく必要があるだろうと。そうなったときに、多分、材料の専門家というものが、そういったところにたけているわけではないので、情報科学であったりITベンダーみたいなところも含めて、多分、全体として考えていく必要があるのではなかろうかなというようなことでございますが、御説明になっていますでしょうか。
【柴田補佐】 はい。ありがとうございます。
【伊藤委員】 平田さん、もし追加があれば。
【平田委員】 分かりました。平田です。
すごく大切だと思っているのは、データを提供した人、かつなるべくより正確で、より高品位というか、そういった、正しいという言い方が正しいかもしれません。そのデータを提供した人ほど御利益がある、どうやって得をできるかという、そこの制度設計をしっかりしてあげないと、いっぱい貢献したんだけど何の御利益もないというよりは、もちろん当たるか当たらないかという確率はあると思いますけど、貢献すればするほどいいことがある確率が上がるよ、多分、そういった制度設計をしてあげないと、入れる側がモチベーションが上がらないかなと思います。
【柴田補佐】 よろしいでしょうか。
【高梨主査】 では、柴田さんからコメントから先に。
【柴田補佐】 すいません。文科省事務局でございます。今、伊藤先生と平田先生から御指摘いただいた点、まさに4ページ目と5ページ目に少し記載させていただいておりました。課題、今後、3事業、MDXの事業の中で課題を抽出して対応を検討していく中に、例えば、4ページ目、データ登録へのインセンティブ、これはまさに御利益をどう見える化していくのかというところだと思いますし、また、5ページ目の一番上なのですが、オープン・アンド・クローズド戦略を含めたデータの有効的な利活用を促すためのデータ利活用ポリシー、加えてデータ駆動型研究の国際的な動向も考慮しつつというところで、まず、ちょっとここがさらっとしか記載してございませんでしたので、今、伊藤先生からも御指摘いただいた内容も少し解釈させていただいて、付け加えるところがないかというのを少し考えてみたいと思いますが、いただいた御指摘は。
【高梨主査】 現状、NIMSでは、だから何かインセンティブ与えるようなことをやっているという話ではなかったでしたか。
【宝野委員】 現在検討しているところですね。というのは、今、ARIMと、あとデータ駆動型プロジェクトへ入っている方々はプロジェクトとして支援されていますから、インセンティブというか、デューティーもあるわけですけど、それ以外でもたくさん貴重なデータを持っておられる先生方がおられる。そういった方々にも、ぜひデータを出していただきたいということで、我々のところで現在、そういった先生方に、ある程度インセンティブ、言い換えれば若干の研究費を出して参画していただこうということを検討しているところです。
【高梨主査】 どうもありがとうございます。
【柴田補佐】 補足させていただきますと、ARIM事業ですと、データ登録がある場合とデータ登録がない場合の設備の利用の場合に、データ登録がないと、データ登録していた方よりも少し高めの利用料設定になっていたりだとかいうところでインセンティブやっているんですが、ただ、そこの入り口のインセンティブだけではなくて、結局データ登録されて集まってきたデータをどう使っていかれるのかという基幹的な利用の形というのをしっかり見せていかなくてはいけないと思っております。
【平田委員】 使われたときに、何か御利益があるという形のほうが、いろいろうれしいことがあるかなとも思ったりします。
【柴田補佐】 ありがとうございます。
【高梨主査】 ありがとうございます。
じゃあ、ちょっとオンラインのほうで上杉委員、手が挙がっていますので、どうぞ。
【上杉委員】 上杉です。
2つあります。1つは今の議論と全く同じで、インセンティブのところなんです。我々の分野だと、大体アイデアがない場合に、セミナーやシンポジウムでもしておこうということになりがちです。先ほどセミナーやシンポジウム言われていたので、ぜひ具体的なインセンティブ付与の方法を続けていただきたいと思います。それが1つ目です。
2つ目は、ほかからデータを集めてくるというのとともに、内部でデータをつくっていくという手もあると思います。
質問したいのは、実際にそういうことされているのかなということです。もう既に知られている、ある程度成功したと思われる材料について、既存の機械でもう一遍取り直して、それをデータに蓄積してますでしょうか?文章の中にハイスループット・コンビナトリアル材料というのがありましたけど、ある程度ボリュームを増やすために、内部でデータを取っていくということはされているんでしょうか。
以上です。
【高梨主査】 どうぞ。
【宅間参事官】 文科省から、内部でデータをつくるというところの意味を正しく理解できているかわかりませんが、プロジェクト内でデータをつくるというのは、まさに3事業、マテリアルDXプラットフォームで参考資料としてお配りした中で取り上げているDxMTという事業では、データを活用して研究をしていただいていますが、そこで生まれたデータを、またNIMSのデータ中核拠点に将来的には格納していくというようなことをやっておりますので、それが先生のおっしゃっている、中でデータをつくることもやっているのかという回答に当たるのであれば、そういったことをしております。というので御質問への回答になりますでしょうか。
【上杉委員】 それは分かっています。内部というのは、例えば、NIMSの中で、その拠点となっているところで、ある程度データをつくっているかどうかです。既存の材料のリファレンスの取り直しとか、もしくはハイスループットにして、何万個、何千個という材料のデータをもう一遍取り直しているかどうかです。
【宝野委員】 よろしいですか。
【高梨主査】 どうぞ。
【宝野委員】 以前、NIMSで化学MOPというのがありまして、産業界と樹脂材料に関するデータ駆動型研究を行っており、NIMSで実験データを集めてました。そのとき標準的な材料を持ってきて、極めて標準的なデータを取るという事業をやっておりました。
現在、化学MOPは終了していますが、横から見ていて本当に大変な作業だなと感じていました。この辺のデータ収集は産業界とも協力しながらやっていただくというのがいいのではないかなと思います。各研究現場においては、やはり研究として発展性のあるデータを集めて研究をやっているのがメインではないかと思っております。
【高梨主査】 ありがとうございます。上杉委員、どうぞ。
【上杉委員】 今のでよく分かりました。
【高梨主査】 どうもありがとうございます。
どうぞ。
【上杉委員】 それで、その文章にハイスループット・コンビナトリアルというのがありましたけど、そういうのもやられているのでしょうか。
【宝野委員】 それは研究対象としてやっている研究者がおりますね。
【上杉委員】 なるほど。
【高梨主査】 よろしいですか。
上杉委員が、最初でおっしゃっていたインセンティブのところとセミナー、シンポジウムというのが、どう結びついているんですか。ちょっと私には……。
【上杉委員】 すいません。セミナーとかシンポジウムをやったら何かいいことがあるのではないかという安易な考え方が我々にあって、大体アイデアがないときに我々そういうこと言うのです。セミナー、シンポジウムというのを盛んに言っておられたからアイデアがないのかなと思っただけです。半分冗談です。すいません。
【高梨主査】 どうもありがとうございます。どうぞ。
【柴田補佐】 こちらのセミナーとシンポジウムですね。実際にデータ駆動型研究の講義といいますか、こんな使い方があるよとかいうところを、セミナーといいますか、研修形式のような形でDxMT事業のほうで開催をしておりましたりですとか、あとシンポジウムと申し上げているところでも、実際にデータ駆動型研究の手法、どんなものがありますよとか、それで出てきた成果とか、どんなものがありますよとかいうところを紹介させていただいたりですとか、まず、やはりこのデータ駆動型研究というのに、少し別のところに技術的な障壁なども記載させていただいておったんですが、どんなものが材料、まだデータ駆動型研究に携わっておられないような人の研究者の方にもぜひ知っていただいて、どんな、それこそ御利益といいますか、インセンティブが働くようなところがあるのかというのをしっかり広めていくというところが重要ですし、実際にそのセミナーという形で体験していただいてやっていくというところが非常に効果的じゃないかということで記載させていただいておる次第でございます。
【高梨主査】 ありがとうございます。よろしいでしょうか。よろしいですか、上杉委員も。
【上杉委員】 よろしいです。セミナーとかシンポジウム来る人は、もともと興味のある人です。興味のない人に、何かセミナーとかシンポジウムをやって、大体失敗した思いが皆さんあると思うのです。インセンティブでやるほうがいいと思います。両方やるのはいいんですが、僕が強調したのは、古典的なやり方よりも強いインセンティブで行うのが成功するんじゃないかなという趣旨でございます。
【高梨主査】 そういう意味ですか。どうもありがとうございます。
【上杉委員】 すいません。分かりにくくて、すいません。
【高梨主査】 いえいえ、ありがとうございます。なるほど。
【馬場委員】 よろしいですか。
【高梨主査】 どうぞ、馬場委員。
【馬場委員】 馬場でございます。御説明ありがとうございます。
4ページ目の具体的な取組の最初のマテリアルDXプラットフォーム全体を俯瞰した体制の構築というのが、今後、非常に重要になると思うんですが、先ほど柴田さんの御説明ですと、2行目に書いてあるマテリアルDXプラットフォームのPD・POと、あと本委員会の委員がサブPDのような形で入って体制を構築するということ。それはいいのかなと思うんですが、その体制がどういうミッションを持つかということと、あと本委員会との関係が、ある程度明確化しておいたほうがいいんじゃないかということと、あと、できれば、そこで、その後の取組にもあります全国展開とか他分野との連携といったところも、マテリアルDXプラットフォーム全体の俯瞰の中で検討していただいたほうが、より効果的になるんではないかと思うので、この体制をどういうふうにするかというのは、もう少し、今後、具体化することが重要かなと思います。
それから、もう一つは、その体制を組んだときに、願わくば現場にできるだけ負担がかからないような形で取組をしていただけると大変ありがたいなと思います。往々にして、こういう体制組むと、いろいろまた調査とかいって、現場が研究時間を削がれたり、支援時間削がれたりすることがあるので、必要最小限のことは仕方ないのかもしれませんが、そういう体制、それからミッションを含めた具体的な内容の検討というのが今後非常に重要になるのかなと考えております。
以上でございます。
【高梨主査】 ありがとうございます。じゃあ、柴田さんから。
【柴田補佐】 ありがとうございます。文科省事務局です。
今、馬場先生がおっしゃられた内容は、まさに中で検討しておるところでも重要な観点だと思っておりまして、詳細はしっかり検討してから御相談できればと思っておるんですが、例えば、現場負担については、それこそ事業のPD・POと連携することで、まさに各事業がどういう困難度を抱えているかとかいうところの、ほんの少しの時間関わっているだけでは到底知り得ないような内容ですとか、様々ございます。
なので、そこはPD・POとも連携を取って、から情報収集しながらやったりということが当然考えられると思っておりますし、ミッションといたしましては、個別最適化にならないように、マテリアルDXプラットフォーム全体としては、このプラットフォームを築き上げることですとか、個別の事業を推進すること、立ち上げることという以上に、ここから何か新しい革新的な材料を創出して、また、その社会的な課題の解決を加速していくというところにどう貢献していくかというグランドデザインを描くようなことだと思っておりますので、そういった視点を加えて、このプラットフォームを運営していけるような、そういった実効性のあるものにしていきたいと考えております。
【馬場委員】 ありがとうございます。フラッグシップ的な材料は、当面DxMTが中心になってやるんだと思いますが、それ以外にも重要なところがあると思いますので、今おっしゃって、御説明いただいたような内容で御検討を進めていただければと思います。
【柴田補佐】 ありがとうございます。
【高梨主査】 ありがとうございます。
ちょっと補足すると、全体を俯瞰するのは、ある意味、この委員会は当然そういう役割があって、やらなきゃいけないことなんですけれど、ただ、この委員会全体でそういうことをやるといっても、恐らく単に意見を言うだけになってしまって、なかなか実効的なものにしていくのは、もう一工夫必要かなと。そこで、ただこの委員会が俯瞰するということだけじゃなくて、ここで具体的に委員の中で、例えば、何人かアサインして、直接的にPO・PDとディスカッションしていただいてやるような組織にするとか、何かそういうような具体的なことを考えなきゃいけないということで、この文章はできています。ありがとうございます。
どうぞ、中山委員。
【中山委員】 中山でございます。ありがとうございます。
今までのこの議論で、部分最適化ではなくて全体をプラットフォームのようにしていく、名実共にプラットフォームとしてしっかりと考えていくという方向は極めていいと思います。
ただし、皆さん言われているように施策の連携は重視すべきです。しかし、施策というのは各々別々に予算要求がなされたもので、ばらばらに評価されています。それをどうやって連携させていくかということが大事です。施策それぞれの評価は、当然ながらその施策のみを見て、それがうまくいったかどうかで評価されます。ここで、もし可能であれば、そのそれぞれの評価の中に、プラットフォームの他の施策と連携して、相乗効果を出したかどうかという評価項目があれば、それに対して、施策を推進する人たちも、評価をよくしようと思い、しっかりとやるという方向性も生まれると思います。そういうことも評価のところに入れていけば、今までと違った相乗効果の評価みたいなこともできて、より良くなるかと思います。
要するに、施策間の連携はうまくいった事例も少ないので、ここでうまくいった事例をつくれば、他にも波及します。副次的な効果ですけど、施策推進の重要な大きな流れにもなり得るので、今後さらにやり方を考えていくべきと思います。
先ほど主査も言われましたように、ナノ材委員会は全体を見ないといけないという、ちょうどいい場所にございます。ここでは工夫して横断的に見ていくべきと思います。施策を個別に見て、それらのPDなどの合議制だと、お互いが牽制して上手くいかない場合も考えられます。少し大所高所から見たような推進を考え、我が国としてどうあるべきかという視点から論じて進めるという機能が必要です。個別最適化に陥ってはいけません。全体を考えるというのが大事な局面もあるかと思うので、高梨先生言われるように、しっかりと連携する体制、連携する意識、考える体制を構築するというのは賛成です。そこで、具体的に誰アサインしようかとか、どのように進めるかというのは、しっかり考えていかなければいけないと思います。
以上でございます。
【高梨主査】 ありがとうございます。
その最初の評価のところで、連携について評価しようというのは、それが結局、個別のプロジェクトでやっていくということですか。
【中山委員】 本当はMDXとして評価しないといけないと思うんです。それは実は、このナノ材委員会でやればいいと思うんですけど、そういう評価をするよと言って、いきなりやるというのもあると思うんですけど、ただ、個別の人たちは、どうしても評価軸に沿って物を構築していくので、その評価軸にほかとの連携が入っていれば、まあやるよねという。
【高梨主査】 なるほど。
【中山委員】 評価項目に入っていないのに連携しろと言われると、意識の高い方による孤軍奮闘のようになることが必定でしょう。この施策の本来業務としても、評価軸がそれなんだからと言えると1本筋が通る気もします。その施策のことだけではなくて、他との連携でよりよいものを出したかどうかという評価軸があったらいいなと思います。検討したら面白いかなと思います。
【高梨主査】 どうぞ、柴田さん。
【柴田補佐】 今の点、補足させていただきますと、昨年の事業の中間評価の中で、ARIMの中間評価事業ございました。そのときにも中山委員、当時、主査していただいたので、少し議論させていただいたことがあるんですが、やはりARIMの事業で、事業評価であることに加えて、MDXプラットフォームの中で、どうARIMが機能していくのか、役割を果していっているのかというところの観点をもっと評価できたらよかったんじゃないかという反省といいますか、そういった課題もございましたので、なので、MDXプラットフォーム全体を、今、構成している事業、主には3事業ございますが、その役割をどう評価していくのかという御指摘かなと伺っておりました。
【高梨主査】 具体的なところは、もう少し検討していければと思います。ありがとうございます。
じゃあ、宝野さんから。
【宝野委員】 先ほどの上杉委員の御発言、すごく気になっていまして、インセンティブを持たせろということですね。データ駆動型研究開発の裾野を広げるためにインセンティブを持たせろという御意見、もっともだと思うんですね。それで、セミナーやシンポジウムを開催するというのは、ここではあまりにも粒度が小さいかなと。例えば、学会とかイベント屋さんだったら、そういうことを出してもいいが、もう少し施策として議論している中で、それはないだろうと。
それで、やはりこのデータ駆動型研究、DxMT、これって9年プロジェクトで、5課題が採択されているんですが、研究者に流動性がある程度あるべきだと思います。5課題は9年間やるにしても、その中の人たちが、ある程度評価を通して入れ代わっていく。今入っていない人でもこれから貢献したいという人、あるいはデータ駆動型研究に入りたいという人が新たに入っていけるような仕組みをつくる、それがインセンティブかなと思いますし、そこが緊張感を持って取り組んでいく上には非常に大切かなと思いました。
【高梨主査】 どうもありがとうございます。今のは御意見として。
あと、吉江委員。
【吉江委員】 違う話題でございます。
【高梨主査】 どうぞ。
【吉江委員】 すいません。ちょっとこの議論、私、欠席しがちだったので、もし既に済んでいたら申し訳ないんですが、今、データの裾野を広げるという話もちょうどありました。裾野を広げる方法に、研究者の数を増やす、もちろん大事なんですが、研究者が持っているデータが本当に全部インプットされているのかというところの観点で、実験者としてはやっていく段階で、あまりうまくいっていないものがあって、途中で諦める。そうするとデータとしてはちゃんと取れてない。そういうものが、でも、実験としては失敗だったかもしれないですが、データとしては非常に貴重なデータだと思うんですね。そういう途中のデータというものを組み上げるような工夫というのは、こういうところでどのぐらいされているのでしょうか。
【高梨主査】 どうぞ、柴田さん。
【柴田補佐】 事務局の柴田です。
例えば、ARIM事業ですと、測定データというのが、いわゆるワーキングデータという形で、全て今、登録されているような状態になっています。なので、そこが、ちょっとデータ登録をする利用者との関係で、もし、その方が途中で利用をやめてしまった場合にどうなっているのかというのが、もし、すいません、馬場先生も御存じだったら補足していただければと思うんですが。基本的には、なので、途中ではないかもしれないんですが、割とワーキングデータに近いようなものは今集まっている、ARIM事業では集まってきているような状況でございます。
【吉江委員】 ありがとうございます。
【高梨主査】 何か今のことに関して、コメント等ございますか。
【馬場委員】 馬場ですが。
【高梨主査】 どうぞ。
【馬場委員】 今、吉江委員の御指摘は非常に重要なポイントだと、ARIM事業の中でも議論されていまして、できるだけ幅広いデータを集めようとしているんですが、今、柴田さんが回答になったところが現状でございます。
ただ、それ以外にも非常に多くのデータが蓄積、各研究者、あるいは個人レベルでは蓄積されているんですが、それを共通化してデータベース化して使えるという状況には、まだなっていないと思います。多分、そこも含めて、先ほどの全体の俯瞰したところで検討していただくというのは一つの重要なポイントかなと思います。
データ駆動型、あるいは前のマテリアルインフォマティクスのときから、ずっとその議論を我々やってきて、まだいまだにちゃんとうまくはいっていないんじゃないのかと私自身の認識で思っていますので、そういうデータをどう活用していくかというのは、今後、非常に重要なポイントになってくると思います。
現状はどうしてもフラッグシップ的なDxMTがやっているところのデータを中心に、我々、どうしても収集して、蓄積して、それをいかに活用するかというところに少しポイントが行っていますので、さらにこの裾野を広げるためにも議論非常に重要だと思いますので、少し今後どういう形でそういうデータをちゃんと蓄積していくかというのは議論しながら進めていくことは重要かなと思います。
というのも、私、前から何回も言っているような気がして、あまり進歩してないような気もしますが、引き続きそういうことが非常に重要になってくるのかなと思います。
【吉江委員】 ちょっといいですか。すいません。吉江です。
ちょっと思ったのは、直感的に思っていたのは、その研究者がやめる理由って何かあるんですよね。それって多分データにはあまり表れてなくて、ある意味、研究者の直感というか、研究者の理屈なんですね。それがどこかに残ると、さらにいいなとは思うんですけど、あくまで誰かの理屈だということを付記した上でデータとして残すというのはないのかなというのは、ちょっと思ったところです。
【高梨主査】 なるほど。いや、それは今、ちょっとなるほどなと思った。やめる理由というのは、確かにそうですね。ここで、これよりも別な方向に行こうとか、そういう判断というのは、そのときそのときで、あまり表に出てこないかもしれないけど、非常に重要な判断ですよね。そういうのが何か、確かにデータとして、そういうのが残れば非常に興味深いなと思いましたけど。
どうぞ、伊藤委員。
【伊藤委員】 よろしいですか。
今、非常に重要なお話をされていると思っていて、結局、人間の認知バイアスで、これは間違ったデータだとして捨ててしまっているわけなんですけど、実はそのデータって、ほかの視点から見ると重要だったりするかも分からない。失敗は成功の元と言うとおりであって、生成AIがこれだけ進歩してくる中でいくと、そのデータも入れたときに、なぜ人間は駄目と言ったかというのも、多分、ある程度予測ができるようになってくる世界だと思うんですよ。なので、発展的な材料ということ、革新材料というかをやっていこうとしたときに、そういったデータをこれから入れていくということは非常に重要になってくる。そのときにデータを入れた人なのか、さっきの御利益の話に戻っちゃうんですけど、それを発見した人がやればいいのかという問題が、これまた多分出てくる問題だと思うんですけど、そういったことも恐らくこういう場で議論ができてくるといいのかなと感じました。追加でございました。
【高梨主査】 なるほど。
どうぞ、堅達委員。
【堅達委員】 まさに今、生成AIの話が出て、この文章の中にも生成AIや量子技術の急速な進展等、開発手法そのものを刷新する可能性が生じているとか、それを生成AIを活用するとかは出てはいるんですけど、私、文系の素人の質問の感覚でいいますと、あまりにも今の生成AIのスピードがすごく速くて、本当にがらっと変わってしまったりする可能性が、ほかの分野でも、このナノテク材料に限らず起きているときに、残念ながら日本がそこがすごく弱くて、もう申し訳ない、本当に今もアメリカとか中国ぐらいの大きなところしか、本気の生成AIってやってないんですけど、どうやって、この分野でそことしっかり向き合っていくのかとか、じゃあ、こういう委員会の場にも、いっそ生成AIの専門家とかも来てもらって、どういうところが今、すごいここの分野と、何か役に立ったり、あるいはリスクですよね。ルールメイキングも含めてあるのかというところを、もう少し本気で考えていかないと、そういえば生成AIもあるよねぐらいの文章の書きぶりにちょっと感じてしまって、これは結構、物すごく重要な案件なのではないかなと感じたというのが素人考えの意見でございます。
【高梨主査】 どうもありがとうございます。非常に重要な議論で、重要な御意見だったと思います。
これ、もう少し、だからうまく、今のような御意見を反映して、ちょっと文章変えられるかなという気がしますので。
関連して、何か。どうぞ、菅野委員。
【菅野主査代理】 菅野です。生成AIとか、今現在、新しいプロジェクトや新しい手法も展開中ですし、研究も実際に展開中ですし、世間の状況も大変急速に動いています。そういう状況の中で、物質を実際に扱っている研究とのギャップがあります。すなわち、物質の生成の速度と情報の速度は全く違う。でも、これまでの物質の展開とはまた違った夢がある。その手法そのものは細かく吟味して改定していかないと駄目なので、以前マテリアルDXを立ち上げたときとは全く違う状況にあって、それを細かくフォローしていく必要があります。でも夢があって、これまで我々知らない世界に突入しているというのが一番最初に何か欲しいなという気はしました。
【高梨主査】 ありがとうございます。それも参考に。
【柴田補佐】 はい。
【高梨主査】 今の御意見を。
あと、高村委員から手が挙がっていますね。高村委員、どうぞ。
【高村委員】 すいません。高村です。
多少、話がまたデータ登録へのインセンティブに戻ってしまうのですが、やはりデータも投稿論文と同じように業績として評価するように、これからなっていくのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
【高梨主査】 前にも同じ御意見、やっぱり高村先生からいただいたような気が。
【高村委員】 そうです。例えば国から予算が交付されている研究からデータが出たら、そのデータの公開を義務とする、そういうことをしている国というのは、もう既にあるわけです。例えば、科研費データベースに研究課題のデータがひもづけられていれば、投稿論文にはなっていないかもしれないけど、この研究からこういうデータが、出た、ということがわかりますし、データが使いやすい形になっていれば、それを利用して何かしようとする人が現れるかもしれない。だから、今ある、いろいろなデータベースがちゃんと有機的に連動しているのかどうかというところが重要になっていくのではないかと思います。そういうデータにDOIが付いていて引用されるようになってくると、データを提供した研究者にとっても重要な業績になります。そういう評価とも関連づけていかないと、お金だけではなかなか。データを提供すると利用料金が変わるというのももちろんいいのですが、研究者にとってはどうなのかなという気がします。
以上です。
【高梨主査】 ありがとうございます。
宝野委員、どうぞ。
【宝野委員】 高村先生のおっしゃることはごもっともで、私どもNIMSでは、データ蓄積に携わっている研究者がかなり多くいまして、その方々の評価をどうするかという議論があったときに、やはりデータをサイタブルにする、それが重要であるということで、このDPFの中でMDRというのをつくりまして、ここにデータを入れていただくことができるんです。そうしますと、そのデータ集にDOIを発行しています。それを同時に、ジャーナルにちゃんと載せるために、STAM-Methodsという雑誌を新刊しました。これまだインパクトファクターはついてないんですが、今候補に挙がってまして、そのうちつくと思います。このような雑誌でデータを公開していたく際に、そのデータ集をMDRに入れていただく。いずれもDOIがつきますので、サイタブルな形になって、それを評価対象にしようという制度を整えております。ぜひ御活用いただければと思っています。
【高梨主査】 どうもありがとうございます。
今の御議論も、うまく、もう少しこの文書の中にも入れられるかと思います。
【柴田補佐】 分かりました。
【高梨主査】 高村委員、よろしいですか。何か。
【高村委員】 はい。
【高梨主査】 どうもありがとうございます。
【高村委員】 ありがとうございます。
【高梨主査】 ほかにいかがでしょうか。そろそろ時間が大分来ていますが、この今のところで、MDXのところで何かございましたら。よろしいでしょうか。
それでは次の議題に移りたいと思います。また事務局より御説明をお願いします。
【柴田補佐】 ありがとうございます。それでは、6ページからの(2)マテリアル分野において今後振興すべき領域について資料の御紹介をいたします。
まず、もともとの「論点と検討の方向性」における記載内容ですが、大きく分けて3つポイントございました。1つ目が持続可能な社会の実現や経済安全保障の観点から次世代材料の開発を加速する必要、これがどのように加速していくのかという点でございます。2つ目といたしまして、ただし、多様な目的に利用できることがマテリアルの本質であると。その点に鑑みますと、基礎・基盤研究の現状や強み、また産業への寄与等を踏まえながら、長期を見据えて、かつ幅広く横断的な基礎・基盤研究の推進が必要ではないかということを御議論いただいておりました。また、その際、異分野融合をした取組ですとか、社会実装の観点から、社会ニーズも踏まえながら、これはちょっと基礎研究と対になるような話でございますが、社会ニーズをうまくとらまえてということだと認識しております。これらを踏まえた振興すべき領域や手法について、引き続き議論が必要。また、最後のポイントといたしまして、こうした材料の社会実装の加速。要すれば社会実装に至る事例の確率を増加させていくことの重要性ですとか、プロセスサイエンスの構築によるプロセスの最適化ですとか確立、またスタートアップや大学発ベンチャーの増加等について言及がございましたのと、最後にアカデミアと産業界の協働を促す人材交流の取組も有効ではないかという観点が挙げられてございました。これらを踏まえまして、また、こちらのほうも現状認識と課題と具体の取組という構成で作成してございます。
現状認識について簡単に御紹介をしますと、6ページ目の下のほうは持続可能な社会ということで、環境規制の状況ですとか、また経済安全保障の重要性の高まり、サプライチェーンの変革などについて御紹介してございます。
7ページ目に参ります。また、そういった社会情勢を踏まえまして、我が国でもエネルギーですとか情報、通信、半導体、電池等々について強化する必要性が拡大しておりまして、多面的な投資がされているという内容を少し記載させていただいております。
一方で、マテリアル産業は日本の経済を支える主要産業の一つであるということ、上から六、七行目ぐらいに書いてございますけれど、移りますが、そこで戦略的な不可欠性ですとか自律性を確保していくというところが期待が非常に大きいと。しかしながら、「一方で」というところですが、産業の縮小はしないもののシェアが低下しているという話ですとか、研究能力においても他国と比較してなかなか厳しい状況にあるということを記載しております。
ただ、このような状況にあるんですが、やはりマテリアルというのは我が国の強みであるところは変わらないところでして、これまでも計測、分析、加工・合成技術について高い技術力を有しておりまして、こういった強みを生かして、次に取り組んでいく方向性につながっていくような記載を、ここ7ページ目に書かせていただいております。
8ページ目に参ります。課題といたしましては、先ほどの社会情勢を引いております。こういったマテリアルサプライチェーンの変革ですとか成長と持続可能な社会の実現等というところを両立させて、我が国の強みを生かして、他国が模倣困難な我が国発のマテリアルを創出することというのは非常に意義が大きいと考えてございます。
こうした中で、実際にどのような基礎・基盤研究の領域に取り組んでいくかというところなんですが、中ほど、下の3分の1ほどのところに、「そのため」と記載しております。持続可能な社会の実現や経済安全保障等の社会要請をはじめ、多様な目的に対応した次世代材料の開発には、10年から20年後の成果につながるような、長期を見据えた幅広く横断的な基礎・基盤研究の推進が必要であるとなっています。
ここの「これまで」以下は、今までできなかったところ、例えば、原子・分子からマクロの構造まで俯瞰したマルチスケールにわたる構造の設計をしたりですとか、ダイナミクスを理解するというところが、これまでは困難であったが、近年の技術の進展によって、取り扱うことが難しかった空間・時間スケールで材料を捉えて、材料を設計していったりということが可能になってきたというところ、こういったところを少し書かせていただいておりまして、こういった新たな知見を活用して、新しい材料の開発に取り組むということが求められているんじゃないかということを記載させていただいております。
加えまして、次世代材料の開発に必須な計測、分析、合成・加工等の先端設備は重要なインフラである一方で、個々の研究室等で個別に維持・運用管理することは非常に困難な面もございます。そのため、引き続きARIM等において、この先端設備の整備や高度化ということを取り組んでいくことも重要ですし、これまで取り組んできた技術支援人材による利用支援を継続する。設備の整備だけではなくて、利用サービスを提供する人材の支援というのも引き続き重要だというところを、ここで述べさせていただいております。
加えて、材料研究開発と表裏一体で発展してきた計測技術等についても、産学の研究者が協働で最先端機器の研究開発を進める必要があるのではないかというところを言及してございます。
それでは、それ以降、社会実装ですとか、社会実装を加速するためのスタートアップの話等に書かせていただいておりまして、それから、例えばNIMSや大学において、アカデミアから産業界への基礎・基盤研究の橋渡し機能、こういうのを強化してはどうかというところなんですが、こちらのほうは、やはり材料ができても、なかなか世に出るまで時間がかかるというマテリアルの特有の事情というのがございますが、そういったところを実際に、本当に我が国の、仮に模倣できないような、困難な、模倣が困難なようなすばらしい成果が出たときに、ぜひ、それがその社会に実装されていくというところを実現するためには、橋渡し機能を強化することによって、よりそういう成果が世に出ていくような状況を、環境を醸成していくことも重要ではないかと考えております。
また、「加えて」のところ、下から4行目ですが、プロセスサイエンスの構築による製造プロセスの最適化ですとか新材料の製造プロセスの確立が社会実装の加速に有効であるということで、プロセスサイエンスについても言及してございます。
10ページ目に移ります。
「また、社会実装の加速の観点から」ということで、上から3行目ですが、アカデミアと産業界の協働を促す人材交流の取組も有効だということを言及してございます。
具体的な取組については3点ございます。1つ目が、他国が模倣困難な材料創製につながる基盤技術(仮称)としてございますが、実際に基礎・基盤研究の中で、どういった領域を推進していくのかというところで、こちら、中でいろいろ議論させて、検討させていただいたんですが、やはり材料、マテリアル分野の特性といたしまして、どこにどうつながっていくか分からないが、いろいろな可能性を秘めたようなマテリアルを創出できるような環境を醸成することで、そういった様々なマテリアルに共通する課題といいますか、技術といいますか、そういったものを取り扱っていくことが重要じゃないかと考えておりますが、なかなかそれをうまく横串を刺したような、横断的な表現がまだ見つかっていないので、ぜひ、ここも先生方の御意見、引き続きいただければと思うんですが、そういった内容を表現する条件といたしまして、6行ほどで書かせていただいておりますが、社会的な要請に資するとともに、繰り返しになりますが、他国の模倣困難な我が国発のマテリアルの創出に将来的につながるもの、長期を見据えた横断的な基礎・基盤研究で、これまで扱うことが難しかった空間・時間スケールでの材料構造、機能、また経験や暗黙知に大きく依存していた物質の合成・加工プロセス、また、これまでに得られた様々な知見を横断的に活用した材料研究に横断的に共通して重要となる課題といったものをまとめて表現するような、いいワーディングがないかなとも考えてございます。
また、先端設備の整備・高度化、またプロセスサイエンスの構築については、引き続き記載しておりますので、そちら御覧ください。
以上でございます。
【高梨主査】 どうもありがとうございます。
他国が模倣困難な材料創製というのは私も初めて見るような気が。
【柴田補佐】 実はちょっと入っておりました。
【高梨主査】 材料というのは全ての基盤なので、いろいろなところで使えるんだという、そういう意味で共通項というのが非常に強調されているわけですけど、ただ、あまり基礎・基盤のほうに行っちゃうと、科研費と区別がなくなるというか、研究者の発想で何でもありということになって、そういうのではなくて、やはりこことしては、もう少し方向性といいますか、経済安全保障とか、あるいは持続可能社会というようなことを意識した上での、そういう課題というあたりを少し抽出していきたいということで、何かいいワーディングといいますか、いいコンセプトがないかということで。元素戦略というのは、とてもいいコンセプトだったと思いますけど、それに匹敵するような何か欲しいなということで、皆さんに御議論いただくということになります。
【柴田補佐】 すいません。よろしいですか。事務局から少し補足させていただきますと、やはり元素戦略というような場合に有効だったと考えておりますのは、幅広い研究者の方々が自分事として捉えて、この目標、同じ目標に向かって取りかかれるようなテーマ設定だったというところも一つ大きいところ。もちろん、その共通的でしたり、横串通したような、様々なマテリアルにつながっていくような技術であったりサイエンスであったりというところももちろんなんですが、それを多くの、裾野拡大みたいな話も少しありましたが、多くの研究者の人が自分事として捉えて取り組めるようなテーマ設定というところが肝であるのと、あとは主査からも補足ありましたが、科研費的なところではなくて、やはり戦略性を持って取り組んでいくべき方向性というのを示せるようなものにしていきたいと考えております。
御議論のほど、よろしくお願いいたします。
【高梨主査】 ありがとうございます。
中山委員、何か。
【中山委員】 今、主査も言われた他国が模倣困難なところですが、これは無理なような気がします。そんな簡単ではありません。今までそんなものがあったかを考えると、他国が追いついてくるまで時間を稼ぐということではあると思います。模倣困難なものも、機能を代替するか、違うルートでそれをするか、何かあって、それはまた次の材料に置き換わったり、そこが競争領域になったりしていくものです。本当に困難であれば、そこは、他国が標準化戦略でつぶしたりして、我が国はそこだけ沈んでいくかもしれません。だから、これは模倣困難というのは一朝一夕な話では無いので、それを入れるのは相当な議論がないといけないと思います。
あともう一点は、7ページの「マテリアル産業は」と来るんですけど、この委員会なり、この材料のお話って、マテリアル産業のためにやっているわけではなくて、これは機械産業だって、自動車産業だって、電気産業だって、建設産業だって、何だってマテリアルをしっかり使って、その分野で競争力のあるものを使って作って、我が国として稼いでいる話が根底にあります。その会社として稼いでいるというところがあるので、マテリアル産業に限定するというのは、と違う気がしました。以上2点です。
【高梨主査】 どうもありがとうございます。
柴田さんから何か補足ありますか。いいですか。
【柴田補佐】 よろしいですか。
模倣困難なというところの意図なんですが、ここはまさに不可欠性。我が国のこういった材料分野における不可欠性というところを示していく一つの基準になるかな。基準といいますか、狙いどころになるかなという意味で、今、書かせていただいておりました。ただ、ワーディングとして妥当かどうかというところは、ぜひ御意見いただければと思います。
【高梨主査】 じゃあ、堅達委員。
【堅達委員】 いい素材ができて、もちろん特許は取って稼がなきゃいけないけど、どんどん模倣していただかないと、正直、この地球環境の今の持続可能な社会に向けて、圧倒的にそれを日本発のすばらしい技術で、当然それはリーダーシップを取ってやっていくのは大事だけど、嫌だといって囲い込んで模倣できないというのが価値だってなっちゃうのは、何かワーディング的に私もすごく引っかかるものがある。実際にできないというのは、またそれは別のあれかもしれない。
【中山委員】 我が国が、ずっとそれで未来永劫食っていける、誰もまねできない材料というのは、それはあったら理想だと思うんですけど、簡単ではありません。
ただし、当分の間は食べていける、他国に先行して競争力とするということはあるかと思います。
【堅達委員】 なので、ワーディングの問題だと。おっしゃりたいことの意図は分かるんですけど、それがちょっと言葉が独り歩きすると、すごくこの御時世、今、世界の共通課題に対して、どうやって知恵を集めてやっていくのかというときに、何言ってるのという感じがちょっとするのと、むしろ、それはそういう先端的なものを開発して、それに対する、さっきも言いましたけど特許だったり、うまく、ちゃんとそれをコントロールしていくことは必要と思いますけど、模倣できないものを開発するというのは言葉がちょっと強過ぎるかなと思いました。
【柴田補佐】 ありがとうございます。
【高梨主査】 どうぞ、平田委員。
【平田委員】 平田です。すごく、僕は心意気としては、これはありかなと思ったんですけど、多分おっしゃりたいことは、模倣困難というよりは、その材料を世界中で使わざるを得ないものなんですね、きっと。
【堅達委員】 そうですね。逆に。
【平田委員】 それを使わなければ、誰もが日本から買わなきゃ駄目だというものが一番理想的ですよね。多分、そんなような意味だなと思いましたというのと、何か心意気が必要なので、日本中が元気になるような、何か心意気を表す言葉が書けるといいかなと思いました。
【柴田補佐】 ありがとうございます。まさに思いを代弁していただいたような。
【高梨主査】 思いは分かるけれど、言葉は必ずしも適切じゃないということで、ちょっとこれは検討かなと思いますが。
オンラインのほうでも結構手が挙がっていて、手の挙がった順番が私には分からなくて申し訳ないけれど。
まず、じゃあ、今日初めて御意見をいただくので、瀬戸山委員、どうぞ。
【瀬戸山委員】 10年後、20年後、30年後、世界がどうなっているかというのは、今の状況を見ていると、大体分かるケースが結構いっぱいあって、僕はそれをマクロトレンドと言っていますが、今、だから各国の人口動態がどうとか、経済状況がどうとか、環境問題がどうとかいうと、10年後、20年後必要な技術というのは、こういう方向に行くだろうなって、結構見えたりするじゃないですか。それは僕らマクロトレンドと言っていて、その中で、じゃあ、この中でどんなふうな技術が必要かとか、どんなサイエンスを深めていけばいいかというのと大体何割かの答え見えてくると思うんですよ。だから、そういうことをベースにして、やっぱり未来を描くというようなことをやっていくということが私は重要だと思っていて、これは今、SIPのほうでもマテリアルユニコーンというのをやっていて、その中で、だから10年後、20年後に数千億円規模の産業を日本からつくっていきましょう、そのときにどんなことをやっていけばいいかというようなことを、今、真面目に考えてやろうとしているんですが、多分、未来を予測するというよりも、未来はそこそこ分かるという視点があって、じゃあ、どんなサイエンス、テクノロジーが必要かというような言い回しをして物を考えていくというようなことがあっていいんじゃないのかなというふうに、表現があっていいんじゃないのかなと個人的には思います。
以上です。
【高梨主査】 ありがとうございます。
次、いろいろ、ちょっと手が挙がっているので。順不同になりますが、高村委員、どうぞ。
【高村委員】 高村です。私もちょっと、この「他国が模倣困難な」という言葉に引っかかったのですけど、これ、「材料」にかかっているのですか、それとも「基盤技術」にかかっているのですか。
【柴田補佐】 ここは材料のイメージで書いておりました。
【高村委員】 材料のほうですよね。
【柴田補佐】 はい。
【高村委員】 そうすると、暗黙知に大きく依存していた方が、他国が模倣困難なんじゃないかなという気がして、その後の、全てを明らかにしていきましょう、というのと何となく合わないと感じたのですが、そうではないですか。
【柴田補佐】 もちろん経験や暗黙知に大きく依存していたところを、日本だけが暗黙知を明らかにしておくということなのかもしれないですし、でも、いずれにしても暗黙知のままよりも、日本としては暗黙知をうまく利用していくというところが必要なのかなと思いますけど。
【高村委員】 そして、それを、要するに、世界に対しては明らかにしないのですか。
【柴田補佐】 例えば、模倣困難というところを、どういったやり方で担保していくのかというところによるかと思いますが、我が国ではミスリードするという意味です。
【高村委員】 あと、他国が模倣困難な材料の具体例として、この文章を書く際にイメージしている今までの材料があるのであれば教えていただきたいのですが。
【柴田補佐】 今までの材料。
【高村委員】 例えば、出光ブルーとかですか。
【宅間参事官】 文科省でございます。すみません。
この模倣困難な材料創製というのは、もともと本文のほうには、いろいろ戦略的な不可欠性・自律性といったところで、こういった用語を使っておりました。ただ、ここのタイトルに仮称として挙げたのは、割と直前まで、いろいろと我々の中で議論していて、いいワーディングがないかということで入れてみたんですが、ここのさせたかった意味の一つとして、今まで説明したところに加えて、3つ目のことにプロセスサイエンスというのもあって、プロセスサイエンスについては、文科省としても、そこのサイエンスを明らかにすることで、その製造プロセス、暗黙知であった製造プロセスをきちんとサイエンスとして深めていって、つくるのが非常に難しい材料をつくれるようにしていく、社会実装につなげていくという事業を一生懸命やってきたといったところもありましたので、例えば、そういうプロセスサイエンスみたいなところにしっかり取り組むといったところが、簡単に他国がまねできないような製造技術といったところの実現にもつながっているといったところで、この他国が模倣困難な材料創製という言葉を使うと、これまで積み上げてきたようなプロセスサイエンスの知見とかも生かしたような、簡単には模倣できないような製造プロセスをきちんと知財等を押さえて、我が国としてつくっていける、簡単に模倣できないというような材料のところにつながるかなといったところで入れていたというところがございます。
すみません。ちょっとワーディングが適切でなかったかもしれませんが、入れた趣旨としては、こういうような考えもございました。
【高村委員】 ありがとうございます。何か具体的な、今までこの材料で日本は成功してきたという例が、イメージはありますか。
【高梨主査】 やっぱり模倣はされるんですよね、当然。だから、とにかく、これはもうちょっと適切な言葉に。
ただ、気持ちとしては、日本が圧倒的に強い。世界で使われる材料だけど、日本が圧倒的に強い、そういう分野をつくりたいということですよね、気持ちとしては。
【高村委員】 他国に先駆けて開発するだけでは不十分のですね。
【高梨主査】 先駆けるだけじゃなくて、その後もやっぱり。
【高村委員】 リードを保ちたい。
【高梨主査】 ちゃんと産業化まで含めて、日本が圧倒的に強くなりたいという、そういう意図ですよね、これ。
【柴田補佐】 はい。
【高村委員】 ありがとうございます。
【瀬戸山委員】 すいません。そういう例でいうと、瀬戸山ですけど、だからHEVがそうなんですよ。磁石とパワー半導体と、それと2次電池という、この3つの三重奏で技術武装したんですね。だからHEVの市場というのは、EVが出てくる前というのは、世界の9割以上のシェアを10年近く持っていたはずですよ。そういう意味で考えると、具体例になるんじゃないのかなと思います。
【高梨主査】 ありがとうございます。そういうことを背景に、また、ちょっと言葉を検討しましょう。いろいろいいお話を聞けたので。
今、上杉委員からも手挙がっています。上杉委員、どうぞ。
【上杉委員】 すいません。なかなか話の流れと、ここに当てられるときのタイミングが違うので。
【高梨主査】 どうもすいません。手を挙げた順番が分かるといいね、これ。はい、どうぞ。
【上杉委員】 すいません。それは僕がそこにいないからよくないのです。
前に事務局と個別に話をさせていただいたときにスタートアップの話をしたので、恐らく気を遣ってスタートアップを入れていただいたと思います。
でも、一つ大きな点が抜けていると、感じるんです。それはここでも書かれているように、基礎研究とそれを社会実装するためのスタートアップと分けて考えていますが、私の考えでは、早い時期にスタートアップをつくるということが基礎研究をプロモートすることになると考えています。それは実際にアメリカでも起こったことだと思います。なので、そういう視点を加味していただければいいんじゃないかなと思います。
日本では、マテリアルでディープテックのスタートアップができるのは非常に大切なことだと考えています。できれば大学から早期にスタートアップができて、民間のお金で社会実装されるものになって、それを日本の大手の会社が買い取るというのが一番いいシナリオだと思います。早期にスタートアップをつくることによって、大学の研究室は、より基礎的な研究に焦点をあてることができ、コンセプトをつくるようになるのです。それで大学の研究室のレベルも上がっていくんではないかなと感じます。その視点がちょっと抜けていると思うので、うまく書ければ、ぜひ書いてください。
以上です。
【柴田補佐】 ありがとうございます。
【高梨主査】 ありがとうございます。
よろしいですか。事務局、何か、今。何か検討して。
【柴田補佐】 ちょっと検討させていただきます。
【高梨主査】 分かりました。
【柴田補佐】 すいません、よろしいでしょうか。
【高梨主査】 どうぞ、柴田さん。
【柴田補佐】 今の項目立てにするのか、どこに入れるのかというのも含めて、ちょっと検討いたします。
【高梨主査】 よろしくお願いします。
ほかにいかがでしょうか。どうぞ、伊藤委員。
【伊藤委員】 伊藤でございます。答えが見えていて申し上げるわけではないんですが、この委員会そのものがナノテク材料科学なので、この具体的な取組の中にナノテクノロジーといったところを、もう少しフォーカスして書くということをしたほうがいいのかなと、今ちょっと読んでいて感じているところでございまして、例えば、先端研究設備で分析装置とかがかなり高度化してきたので、原子・分子のレベルのものが解明されて、それによって、多分、今まで分かっていなかった暗黙知だったところが、より具体的になって、どういう構造設計すればいいかということが分かってきたところが多分一つ上のところにつながる。模倣困難なんていったところはちょっと難しい言葉ですが、そちらの材料創製の基盤技術にナノテクとして何かつながるんじゃなかろうかみたいなところも何かうまく表現できると、この委員会としての提言になるのかなと感じております。
以上でございます。
【柴田補佐】 ありがとうございます。
【高梨主査】 ありがとうございます。
どうぞ。
【柴田補佐】 今の御指摘は、8ページで少し、今まで見えなかったことが見えるようになった。
【伊藤委員】 書いていますね。
【柴田補佐】 ここをナノテクという言葉をちょっと入れたりとかしていく感じですかね。
【伊藤委員】 そうだとすると、この委員会としての意義が出るのかなと感じました。
【柴田補佐】 ありがとうございます。
【伊藤委員】 もう一点いいですか。
【高梨主査】 はい、どうぞ。
【伊藤委員】 あと、先ほど、生成AI、トランスフォーマーをはじめとした、そっちのお話も出てきていて、材料開発そのものが変わってくるかもしれないという時代において、それを無視するということはちょっともう不可避だと思うので、生成AIをどううまく取り入れてやっていくのかということも、この具体的な取組の中に恐らく入ってこざるを得ないんじゃなかろうか。そうしないと、やはりもう中国とかにもっと模倣されてしまうというか。アイデアとしては、日本がやはり先んじたもの多かったと思うんですが、普及といった観点では、やはり中国に一気にやられてしまったものというのも、実際、シリコンのケースとかでも多分あると思うんですよね。なので、そういった観点で、今、もう一度チャンスかもしれないと思っていますので、その辺を入れていただければと思います。すいません。追加でございます。
【高梨主査】 どうもありがとうございます。
じゃあ、菅野委員、どうぞ。
【菅野主査代理】 菅野です。先ほどのコメントと少し共通するんですが、非常に着実な文章に仕上がっていて、どこまでふけばいいのかなというように感じます。今後、多分、何年か先の5年、10年の計画に対してアピールをするとなると、何かもうちょっと訴えるものが欲しいなという気がします。
これ、先ほどと同じなんですけど、今、材料開発に対して大変革期にあって、手法が変わり、それを取り入れる。かつ日本には暗黙知がそろっている。それをどのようにつなげて次の材料に展開していくかというのを考える大切な時期であるとか、何かその前段があって、着実な文章が次にあると、上のレベルに上がったときに戦いやすいような気がします。
【高梨主査】 ありがとうございます。
いかがですか。事務局。
【柴田補佐】 ここの前段のところをちょっと工夫させていただきます。
【高梨主査】 検討して、ブラッシュアップしてということで。
どうぞ、中山委員。
【中山委員】 2回目で、ちょっと短くします。
2つあります。1つは経済安全保障の視点について。柴田補佐も先ほど言われましたけど、経済安全保障を考える上で戦略的不可欠性と戦略的自律性はその中核であり、それに対して、材料は本丸のところです。これをしっかりと重視すべきというのは、現下の政治状況や予算状況を見ても、明らかと思います。もう一点は、書かれている文章が、我が国視点というか、「我が国から見て」とか、「我が国としては」なんですが、各国も材料を戦略的に推進しています。例えば、EUのホライズン・ヨーロッパの中ではマテリアルのところは当然ながら重視していて、そこは経済的にも安全保障的にも大事だからと言いながら進めています。我が国に取りに来ているとか、我が国で戦略的に自分の利益のために行動している面もあります。アメリカだって、ナノテクノロジー・イニシアチブをさらに強化しようと言い、マテリアル・ゲノムも強化しながらセカンドフェーズ行ったりしています。さらに安全保障やディフェンスセクターのお金も多額を使いながら推進しています。このような中、我が国としてどうするかということは、少し引いた視点で、高いところから見たところも少し書いていくと、より説得力のあるものになるかなと思います。そういう中でも、そういう戦略的不可欠性とか戦略的自律性のあたりは、極めて大事な切り口であり、諸外国の状況も入れながら書いてあると、より説得力が増すとも思いましたので、ご検討をお願いたします。
【高梨主査】 ありがとうございます。
これまた文章、ブラッシュアップするときの参考意見ということで、ありがとうございます。
【柴田補佐】 ありがとうございます。
【高梨主査】 オンラインのほうで、武田委員から手が挙がっていますが、武田委員、どうぞ。
【武田委員】 社会の変化は、今、非常にスピードアップされていて、それから技術もどんどん新しくなっていくという、この状況下において、もう一つ、議論として重要なポイントというのが、連続的なイノベーションをどうやっていくかが重要な検討ポイントだと思いました。
先ほどから議論にあるように、非常にインパクトの高い新材料を創り、世界を引き離せるようになるということも大事なのですが、それに加えて、それを連続的にどうやるか、そういう研究環境をどう整えるか、仕組みをどう整えるか、そこに関しての議論、検討というのも非常に重要でないかと思います。
【高梨主査】 ありがとうございます。だから破壊的なイノベーションではなくて、むしろ連続性の部分もちゃんと大事に考えて、少し文章に入れたほうがいいという、そういう御意見ですね。
【武田委員】 はい、そうです。それが日本の研究の発展にもつながると思います。他国より一つ出ていくようなものを連続的につくっていかないと、いずれ追随されるということがあるので、次から次へ、連続的なイノベーションができるというのがポイントの一つではないかと思います。
【高梨主査】 なるほど。持続可能な研究体制。
どうぞ、堅達委員。
【堅達委員】 これ、何のためにこれを開発しなきゃいけないのかということでいったときに、課題のところに、8ページですか、次世代材料の創出はカーボンニュートラルやサーキュラーエコノミー等と書いてありますが、今、気候変動も含めた環境、持続可能性の世界で合い言葉で言われているのは、実はネイチャーポジティブという言葉が物すごく注目されていて、要は自然が回復軌道に乗せるための生物多様性を回復したりする。だから、マテリアルとしても、生分解性とかも含めた自然環境を増やすことに役立つ素材を世界中が求めているし、それのための競争というのが物すごく行われているんですが、ちょっと何か、これ全体見たときに、どこにもその視点が入ってないなというのが感じましたので、うまく、まさに今、ネイチャーポジティブに資する素材開発というのは、中長期的に見ても、このトレンド絶対変わらないので、そういうことは入れてもいいのかなと思った。バイオ系って、おおむねそういうところに係ってくるんですけど。
あと、先ほどおっしゃられた、もちろんスタートアップというのは単なる実装部分だけではなくて、実は基礎研究の部分からも非常に関わっているというのでいうと、よくスパイバーさんという有名な会社が。
【伊藤委員】 クモの糸ですね。
【堅達委員】 クモの糸ですよね。ああいったことも含めて、本当、やっぱり素材からというところは、すごく実はスタートアップにとっても重要なところなので、その辺、うまく伝わるといいなと思ったのと、カーボンニュートラルでいいますと、いや、もう世界のスピード感は、もうヨーロッパとかが先ほどのホライズン・ヨーロッパもそうですけど、目の色変えているのは、2040年までに90%削減するって、日本人からするとあり得ない、そういう高みの野心的な目標が、もう議会に提出されている。そんな中で研究者も企業も目の色変えて、それに向けて素材の開発をしているというのが現状なんですね。だから、そういう切迫感が、何となく、これ2050年カーボンニュートラルの気持ちでいるかもしれないけど、本当はもっと、みんなもっとターゲットが早くて競い合いをしているということが、もう少し伝わったほうがいいかなというので、例えば、ケミカルリサイクルとか、今のペロブスカイトもそうですし、様々な運輸の燃料の問題とかも、常に新素材の開発というのが、あるいはカーボンリサイクルとかも含めて、これはもう巨額なお金が世界で動いている分野なので、そこで我々日本が勝ち抜く、何か新しい、それこそ世界がそれを使わざるを得ないような新素材を開発するというのは、とても重要だし、世界にも貢献する分野だと思うので、もし、その辺を少し強化して書いていただければと感じました。
以上です。
【高梨主査】 ありがとうございます。
何か、ある意味、もう少し、だから危機感の迫ったような文章ということなのかなという気もしますが。
ほかにいかがでしょうか。まだ多少時間はございますが。
じゃあ、関谷委員、どうぞ。
【関谷委員】 関谷です。ありがとうございます。
今、堅達先生おっしゃられたとおり、世界がカーボンニュートラルとかサーキュラーエコノミーに基軸を取って、しっかりと取り組んでおられて、そこの文面も、そこにしっかりと書かれていると思います。
そのときに、私もこういうサーキュラーエコノミーとカーボンニュートラルに関して、経済学者の人たちですね。エコノミストの人たちとディスカッションすると、そういう研究すればするほど、物すごくエネルギーがかかるし、生成AIを使えば使うほど、どんどんエネルギーが必要になってきて、結局、そういう基軸をすると、とにかくエネルギー問題にぶち当たるということをよくおっしゃられるので、一方で、こういう、いわゆるマテリアル化、DX化されて、暗黙知が形式化されて、ちゃんと設計したとおりつくれるようになれば、実は100回実験しないとつくれなかったものが10回でつくれるようになると。すなわち実験回数を減らしたりとかいうことにも貢献して、トータルで見ると、実はこういうDXというようなものづくりというのは、物すごく省エネルギー、低環境負荷なんだというメッセージを、もっとどんと出したら、何かそういう経済学者の人たちにコンビンスしてもらえるかなと思いながら最近いました。すなわち、こういう取組が非常にエネルギーを削減するのに貢献するというメッセージが強く出せるといいなと思いました次第です。
以上です。
【高梨主査】 どうもありがとうございます。重要な御意見で、これもうまく文章に盛り込めればいいと思いますが。
あと、いかがでしょう。どうぞ、馬場委員。
【馬場委員】 馬場でございます。非常に他国が模倣困難なというところは、先ほどからの議論だと、世界から使ってもらえるとか、何かそんな感じなのかなという気がしますが、この2ポツの(1)と(2)が逆なような気がするんですね。2で、マテリアル分野で、全体、こういう施策を今後打っていく中のマテリアルDXは一つだと思うので、マテリアルDXが最初にあって、次にマテリアル分野について、そもそもマテリアルDXは振興すべきだと思うので、「はじめに」の書き方次第なのかもしれませんが、そこが少し気になりました。
もし、マテリアル分野で今後振興すべきところというのは、やっぱりマテリアルDXからマテライズまで含めたところは当然必要になってくると思うので、そこは中に少し記載してもらったほうがいいのかなと思います。
先端設備の整備・高度化と、あとマテライズが今後記載されると思うんですが、ここにマテリアルDXが全然入ってないというのじゃ、かなり違和感を感じるので、全体として、今後、マテリアルでどういう領域を、この委員会としてやるべきかというアピールがあって、その中で現在進めているマテリアルDXの方針がこうあって、そうすると、何かもう一個ぐらい欲しくなりますが、そういう感じを少し受けました。
今、記載されている基盤技術、他国が模倣困難なというところは、ぜひ、今、いろんな委員の御意見を基に、より強力に記載していただければいいと思いますし、先端設備の整備・高度化はマテリアルDXのところにも少し記載されていますので、若干重複していると思うんですが、それとマテライズというと、もうちょっと何か必要な項目があるんじゃないのかなと思いながら見ていて、どうも2番と1番、逆にしたほうが、もしかしたら施策としては分かりやすくなるのかなと、ちょっと思いました。
以上です。意見、以上です。
【高梨主査】 ありがとうございました。
どうぞ、柴田さん。
【柴田補佐】 ありがとうございます。「はじめに」がないので、そこのガイドがなかったかなと思っており、不案内だったかなと思っているんですけど、もともとの(1)から始まってという流れというのが、やはりマテリアル革新の強化戦略ができて、そこでやはりDXの重要性というのがうたわれて、そこから3年たちました。その3年間の差分の中で、やはりずっと御議論ありますが、生成AIですとか、新しい技術というのが非常に進展があった。それに対して、3年前に1回打ち出したところのMDXとかの取組というのを、どう見直していったらいいのかというところがまずあって、その後、それに加えて、今やっているところは引き続き取り組んでいかなくちゃいけないという、見直しも含めて取り組んでいかなくちゃいけないという位置づけがありまして、それに加えて、じゃあ、今後、それに追加して、どういったところを取り組んでいくべきかという流れだったんですが、馬場先生の今いただいた御指摘のところも、もう少し分かりやすくといいますか、それでちょっとそこが表現できない場合は、場合によってはちょっと構成を工夫してみたりとかいうことも考えてみたいと思います。ありがとうございます。
【馬場委員】 よろしくお願いいたします。
【高梨主査】 ありがとうございます。
そうですね。時間的経緯からいうと、この(1)は、まず3年やってきていることもあるから、ここで書きたいということ、最初にどうしても出てくるというところですよね。
【柴田補佐】 そうですね。
【高梨主査】 今後の振興すべき分野は、その後にこう来るという、その流れがもう少しすっとくるような格好にするのかなという。「はじめに」のところで、そういうことを触れることもあるかもしれないし、ちょっと考えましょう。
ほかにいかがでしょうか。あとオンラインのほうは何かございますか。ちょっと私、手が挙がっているのを見るのが追いつかないこともあるので、もし何だったら、オンラインの方は、もう声出していただいて構いませんので。よろしいですか。あと、ここの現地の参加の皆さんもよろしいでしょうか。大体御意見は出そろいましたでしょうか。
【瀬戸山委員】 一言言っていいですか。
【高梨主査】 どうぞ。瀬戸山委員ですか。
【瀬戸山委員】 先ほどディープテックの話、出たんですが、ディープテックがスタートアップの起源になるって、僕、すごく賛成なんですよ。だけど、ディープテックになるまでって結構時間かかっているんですよね。だから、早い段階のディープテックという表現はちょっとおかしいと思っていて、ディープテックになるだけの研究がしっかりできるような環境をつくるということのほうが正解じゃないのかなと思うんですけど、先生、どう思われます。
だから、ディープテックを日本でやって掘り起こしていくということはすごく必要で、ディープテックであるのはいいんだけど、それを使わなかったという現状もいっぱいあって、なので、そこを掘り起こしていくということも、同時にやっぱりやっていかないと、いいものって見つかっていかないと思うんですよね。同時に、これから、そういうものをつくっていく環境を整えるということが多分ないと、世界で勝てるような技術とかサイエンスにはなっていかないということだと思います。
【高梨主査】 ありがとうございます。
ごめんなさい。具体的に何ページのところで、今、おっしゃっているのか。
【瀬戸山委員】 いえいえ、先ほどの、失礼、名前忘れた。上杉先生の発言で、そういうことを言われたので、スタートアップがすごく重要だというのは、僕もそう思っているんだが、考え方として、そういうことを入れてあって、表現としてあったほうがいいんじゃないのかなと思います。
【柴田補佐】 文科省から補足させていただきますと、上杉先生のコメント、10ページのところで基礎・基盤研究とスタートアップというのを並列して書いてあって、上杉先生としては、この基礎研究のところと一緒にやっていくのが大事なんだよという御意見だったと思います。それに対して、今、瀬戸山委員のほうから、とはいえディープテックに成長するまでの間ですらも、かなり時間がかけられた研究があったほうがいいという御指摘だったと思います。
【高梨主査】 分かりました。ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。オンラインの委員の方々もよろしいでしょうか。特に声がなければよろしいということでしょうかね。
じゃあ、どうもありがとうございます。活発な御議論をいただきまして、それを基にして、また文章をさらにいいものにしていきたいと思います。どうもありがとうございます。
じゃあ、ほぼ予定の時間になりましたので、この議論、本日ここまでといたします。本件に関しまして、また後で何か思いつくような、何か御意見がございましたら、いつでも事務局にメールを送っていただければありがたいと思います。
では、最後に、その他の御連絡、事務連絡を事務局からお願いいたします。
【柴田補佐】 ありがとうございます。ただいま審議官の松浦、出席しておりますので、ここで一言御挨拶いただければと思います。
【松浦審議官】 すいません。遅れての出席となり大変失礼いたしました。4月1日付で研究振興局の審議官に着任いたしました松浦です。
先生方におかれましては、本日、お忙しい中、御出席いただきまして、また、ナノテクノロジー・材料科学技術分野の今後の推進方策について、非常に闊達な御議論いただき、大変感謝しております。
ちょうど入ってきたとき、他国が模倣困難云々のところで、実は昨日、事務局から、今日の資料と相談受けたときに、基礎・基盤研究推進みたいで、何をやりたいのかとか、その仕組みが分からないから、何か変えたほうがいいねというコメントはしたんですけど、その意気込みが非常に勝った表現で、それがまさに非常に闊達な議論になったのかなと。
ただ、この議論、本当にどういうところ、方向性を目指すのかとか、その熱量とか、これは令和8年度から始まる科学技術・イノベーション計画の次期の改定とか、マテリアル革新力強化戦略とか、そういった改定のほうにつながっていくので、ぜひ、この委員会での闊達な御議論をいただいて、夏には取りまとめを予定しておりますので、そこに向けて、皆さんのそういうアイデアとか御意見いただけたら大変感謝しております。引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。
【高梨主査】 お願いします。
【柴田補佐】 ありがとうございました。
それでは、事務局より簡単な事務連絡、続けさせていただきます。
本日、時間の都合でお伺いできなかった御意見につきましては、メール等で照会させていただきます。その後、委員の皆様の御意見を踏まえて、推進方策の該当箇所を修正して、高梨主査と御相談の上、皆様に共有させていただければと思います。
また、議事録につきましては事務局にて案を作成し、委員の皆様にお諮りをし、主査に御確認いただいた後に、ホームページにて公開いたします。
次回のナノテクノロジー・材料科学技術委員会は、6月17日の15時です。引き続き、こちらの、今日、(1)と(2)について御議論いただいた内容の修正をしたものと、(3)、今日御議論いただけていない部分を議題として予定してございますので、引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。
事務局からは以上でございます。
【高梨主査】 どうもありがとうございます。
ということで、次回は6月17日に、また、(1)、(2)の確認と、あと(3)ですね、議論は主に。(3)について御議論いただければと思います。
6月17日と、次は一応、7月31日でしたね。またお忙しいと思いますが、皆さん、ぜひ御参加いただければと思いますが。
それでは本日のナノテクノロジー・材料科学技術委員会、これにて閉会とさせていただきます。どうもありがとうございました。
―― 了 ――