令和6年3月8日(金曜日)15時00分~17時00分
文部科学省会議室(※Web開催)
【高梨主査】 主査の高梨です。では、定刻になりましたので、ただいまより第12期ナノテクノロジー・材料科学技術委員会の第4回を開会いたします。委員の皆様には、御多忙のところ御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
本日は、文部科学省会議室及びオンラインでのハイブリッドでの開催ということになります。私はオンラインでの参加になっております。
それでは、事務局より、委員の出欠及び本日の会議の流れの御説明をお願いいたします。
【柴田補佐】 ありがとうございます。文部科学省研究振興局ナノ・材担当参事官付の柴田でございます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
それでは、出欠確認を行わせていただきます。本日は、上杉委員、納富委員、平田委員、宝野委員、湯浅委員、吉江委員、萬委員が御欠席と伺っております。
また、資料の確認に移ります。本日の配付資料は、議事次第のとおり、資料1-1から資料1-4、また、参考資料1・2がございます。また、議論の参考に、過去の委員会の資料を委員の皆様には事前にお送りしております。また、現地出席の皆様におかれましては、お手元のタブレットに過去の参考資料を格納してございますので、適宜御参照ください。
もし不備や御不明点がございましたら、議事の途中でも結構ですので、事務局までお知らせいただきますようお願いいたします。
また、会議の進め方ですが、本日、オンラインの参加者の方々におかれましては、回線負担の軽減や雑音防止の観点から、御自身の御発言時以外はマイクをミュートにしていただき、ビデオはオンにしていただくようお願いいたします。
また、御発言を希望される際は挙手ボタンにて御発言の意思を御表明ください。御発言の際は、議事録作成の関係上、お名前をおっしゃってから御発言いただきますようお願いいたします。
最後に会議の流れになりますけれども、本日は、議題1「ナノテクノロジー・材料科学技術の推進方策について」において、関谷委員、堅達委員より、まず初めに、動向等、プレゼンをしていただきまして、その御説明を踏まえて、今後のナノテクノロジー・材料科学技術の推進方策について総合討議を行いたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
事務局からは以上でございます。
【高梨主査】 ありがとうございます。
それでは、議題1の「ナノテクノロジー・材料科学技術の推進方策について」に入ります。初めに、関谷委員、それから、堅達委員より、話題提供としてお話をいただきますけれども、質疑応答のお時間は、両委員の御説明後、お二人のお話が終わってから設けることにいたします。
それでは、まず関谷委員より、「マテリアル・ナノテクノロジーにおける国内外の潮流分析」という題でお話をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
【関谷委員】 高梨先生、このたびはこのような貴重な機会をいただきまして、また、ナノテクノロジー委員会の先生方、事務局の皆様、ありがとうございます。
【高梨主査】 どうもありがとうございます。
【関谷委員】 ありがとうございます。
では、画面を共有させていただきまして、20分間のお時間を頂戴しておりますので、20分厳守にて御紹介させていただきます。お手元の資料も含めて55枚ございまして、これは全て詳細にお話ししますと全く時間が足らないというものでございますが、一方で、後から少し見直していただくような部分も含めて簡単に触れる部分もありますので、20分とさせていただきます。
少し大きめのお題として御紹介させていただければと思います。まず初めに、第6期の科学技術・イノベーション基本計画が進む中で、まさに第6期が進んでいて、次の第7期に向けてという段階かと存じます。その中で、私はありがたいことに国立国会図書館、これ立法府の、いわゆるシンクタンクになるわけですが、この国立国会図書館のプロジェクトの中で、現在、「マテリアル科学」調査研究委員会というものが進んでございます。すなわち現在の国内外のマテリアル科学の潮流を少し分析して、それを立法府へとお届けする、そういう取組をさせていただいておりますので、少し御紹介させていただきます。
また、こういった1年間の取組がこの4月には国立国会図書館から発行されるわけですが、海外動向等も、この1年かけて様々に分析させていただきました。それがここに盛り込まれているわけですが、また、WILEY社の『Editor-in-Chief』や、私自身も『ACS Nano』のエディターをしておりまして、海外の情報に触れる機会、たくさんございますので、そこも踏まえて、海外動向を御紹介させていただきます。
また、前期には一度、私、ナノテクノロジーの研究者の1人として、ナノテクノロジープラットフォームやARIMといったプロジェクトの中でいろいろな研究開発をさせていただきました。そのマテリアルやナノテクノロジーの研究開発技術を生かした社会課題解決型のプロジェクト、これがCOI-NEXTでございますが、この研究開発のプロジェクトリーダーもさせていただいております。「総合知を活用した街づくり」に、マテリアル・ナノテクノロジー技術を活用した取組、少し後半に御紹介させていただきまして、20分とさせていただきます。
まず初めに国立国会図書館でございますが、これは専門的な知識に基づく調査や、それから、豊富な情報源の提供を行っていて、特に国会の活動をサポートすると。すなわち国会議員に様々な情報をお届けして、国民の代表である国会議員から政策に生かしていただくという取組となってございます。まさに、国政課題に関する調査研究、ここの調査の委員長を仰せつかりまして、日本工学アカデミーの中で取り組ませていただきました。これが「マテリアル科学」調査委員会でございまして、マテリアル科学は、このマテリアルという言葉を定義するのは非常に難しいのですが、材料、物質、ナノテク、デバイスの総称と位置づけまして、取組をさせていただきました。
なお、この取組に当たっては、やはり国内の、それから、海外の詳細な調査が必要となってまいります。ここではJSTのCRDSの研究開発の俯瞰報告書、2023年版のナノテクノロジー・材料分野の、この非常に優れた調査研究報告書をまず大きく参照、それから、引用させていただいております。また、時に、このCRDSの皆様、永野フェローといった皆様と意見交換などをさせていただきながら、この調査報告書をまとめさせていただくことができました。
また、私も内閣府のほうでは、この「マテリアル革新力強化戦略」にも加わらせていただきまして、そういった資料も参考にさせていただきました。また、経済産業省等の発表の報告書、これらをバックグラウンドに立法府にお届けする情報分析をさせていただきました。何といっても、日本の経済、産業を支えるのは、日本の産業貿易でございます。これは縦軸が日本の産業貿易輸出割合ですが、見ていただきますと、55.7%、これがミディアムハイテクノロジー産業でございます。ミディアムハイテクノロジー産業は、化学品、化学製品、電気機器、機械、自動車、その他輸送、その他というところで定義されています。これが日本の大きな収入減となっていることが明らかでございますが、横軸は、ミディアムハイテクノロジー産業の、縦軸、貿易の収支の比でございます。もちろん日本は1995年の段階ではぶっちぎりの1番だったわけですが、これは海外がしっかりこういった取組をしてきている、開発してきているということもあって、相対的にですが、日本の位置が下がっているということが見えておりますが、一方で、後半にまた上がり始めていますし、現在の日経の平均株価等の力強い動きも見ると、この先、上に上がっていくのではないかと勝手に考えながら見ています。
いずれにいたしましても、国内の状況を見ますと、これは2021年の輸出総額83.1兆円におきまして、ミディアムハイテクノロジーがこの輸出の半分以上を占めておりますし、これだけ大きな産業に相当する、外貨をもたらす産業はないということは明確に申し上げられるかと思います。これが国際的なプレゼンスが現在下がっているというところが一つの大きな課題と捉えておりますが、マテリアルがいかに重要であるかということがこのまとめとなっています。これはCRDSの取りまとめでございます。
また、片や、私がエディターを務めておりますアメリカ化学会のフラッグシップジャーナルの一つであります『ACS Nano』でございますが、本当に2桁台の成長率で、投稿数、それから、アクセプト数も伸びてございます。ほかにエディトリアルボードをしておりますWILEY社の『Advanced Materials』であっても、それから、『Nature Materials』誌においても、もう軒並み、マテリアルの論文の数が圧倒的に増えているということが御覧いただけます。世界的にマテリアルの研究は活発化しているということが明らかでございます。
次に、ナノテクノロジー・材料分野の論文数です。左は総論分数、右はトップ10%ですが、見ていただきますと、やはり中国は非常に力強く、研究開発が進んでいることが分かります。片や、日本はこの赤色でございますが、下がっているというわけではございません。本当に人口動態の中で若手研究者等、下がっている中でも、キープしていると言えるかと存じますが、一方で、海外の勢いが大きく伸びていることから、相対的に研究力の低下が見えているということは明らかな事実と考えます。
また、研究者の数、これは重複を避ける形でカウントしているのがCRDSの報告書に書かれていますが、やはり中国は圧倒的に研究者数も多いと。次、アメリカ、インド、ドイツ、そして、日本という形で、もちろん日本はしっかりとイーブンに保っている、若干上がっているというところも見えてございます。これは研究者コミュニティーで大切な学会の会員数をまとめたものでございますが、日本の大きな学会はたくさん並んでいますが、軒並み減っています。
これは私、作期まで応用物理学会の理事も務めさせていただきました。応用物理学会では企業の会員数が少し減っているというところも一つの課題となっていました。会員の中で、企業の発表や、その人数が減っているというところが一つの、応用物理学会としては課題と捉えておりますが、恐らくほかの学会でもそういった動きが見えているのではないかと思います。
海外の動態、それから、大きな国家プロジェクトもCRDSの報告書の中には非常に大きくまとめられています。欧州、アメリカ、そして、中国の全人代に至るところまで、非常に多くの国家プロジェクトで、マテリアル領域に大型の予算が投下されていることが見て取れます。国内の科学技術主要5分野の研究開発でございます。これは1年間の官民の合計になります。縦軸、研究開発費、横軸は年ですが、一番上のライフサイエンス、そして、情報通信、ここで3兆円近い予算が投下されています。そして、環境エネルギー、これを足すと2.4兆円でございます。
それに対してナノテクノロジー、それから、材料といったところは、産業を担っている中心ではございますが、一方で、他の研究投資と比べると、必ずしも大きくないということも見えていまして、今の産業を支えている割にはというところもあろうかと思います。
こういった非常に重要なCRDSの俯瞰研究報告書を背景に、我々、国立国会図書館でまとめさせていただいておりますのが、「マテリアル科学の現状」、そして、「さらなる振興のために」、これは私がまとめさせていただきました。次に、国内でマテリアルDXが力強く進んでございます。その中心にありますNIMSの門平先生が「マテリアル科学とDX」をまとめられました。また、サーキュラーエコノミーを国内、海外で推進する非常に重要な取組をしておられます東京大学の村上進亮先生は、「マテリアル科学と資源」、サーキュラーエコノミーをいかにリアルに回していくかという取りまとめを第4部でされております。そして、NIMSのフェローでいらっしゃいます長井寿先生は、「マテリアル科学」と、そして、マテリアルもどんどん劣化していきますので、「失われる資産」という名前とされておられます。いかに失わないで、そして、環境の中でサーキュラーエコノミーを回していくかという非常に大きな視点から第5部をまとめられています。そういった中身をしっかりと国立国会図書館、立法府へと届ける文章としてまとめさせていただいています。
皆様も御存じのとおり、マテリアル科学は、今や非常に社会の環境、そして、国民の興味の中心ともなってございます。欧州主導のナノマテリアルの規制や標準化が非常に目立ってございますし、非常に分かりやすいところでは、マイクロプラスチックもそうです。PFAS、PFOSといったフッ素環境問題、それから、電池材料、PV材料のリサイクル規制、そして、何といっても、非常に純度の高い鉱山はもうほぼ掘り尽くされていて、今は、不純物が多く混ざった鉱山を掘る時代になってございまして、そのときに、先行廃棄、すなわち掘れば掘るほど環境汚染につながるというところも大きな課題となってございます。マテリアルは、人類の豊かな社会、Well-beingに常に直結していますが、同時に環境というところにおいては負の側面を持っている。これをいかにどうするかというところも非常に重要な視点でございます。
私は、国立国会図書館の報告書において、第1章は、このようなCRDSのまとめをより立法府に分かりやすくまとめる作業をさせていただきました。また、マテリアルDXが国内で力強く進んでいて、日本の品質の高いマテリアルの情報を「ためて」、そこから「つくって」、そして「つかう」という、非常に重要なマテリアルDXの取組が進んでいるということを5拠点の重要な取組とともに、この文章にまとめさせていただきました。
第3部では、実際にNIMSの中心でこのマテリアルDXに取り組んでおられますマテリアル技術の「適用」、「利用」に向かうための価値提供として、NIMSの門平先生が具体的に、つくる、ためる/つくる、つかう、そして、社会にこういったマテリアルDXの価値を提供する取組を書いておられます。
そして、もう一つ、4部は、村上進亮先生でいらっしゃいます。いかに、Well-beingを実現しながら、環境汚染や、いわゆる環境へのネガティブインパクトを抑えていくかというところをまとめておられます。これは非常に示唆的な図ですので、少し御紹介させていただきますと、横軸は時間スケール、縦軸は、これは一番上に目標が書かれています。Human Well-beingが大きな目標となります。そのためには、Economic Activity、いわゆるGDPを上げていく必要があるわけですが、先ほど申し上げましたとおり、GDPを上げていこうとして、環境、すなわち地下資源を掘っていくと、エンバイロメンタル・インパクトが大きく、マイナスに振れてしまいます。結果的に新しい資源を投入していく活動もあります。これもやはり環境にダメージを与えかねないということです。すなわち村上先生の視点、取りまとめは、このGDPと、それから、エンバイロメンタル・ネガティブ・インパクト、いわゆる負のインパクトをいかにデカップリングするか。それから、資源の投入量とGDPをいかにデカップルするかといった政策をしっかりとこの文章の中でまとめておられます。実際には、あの文章の中で御覧いただきたいと思いますが、よりよいサーキュラーエコノミー、すなわち、どんどんリサイクルはしていくけど、最後は廃棄して、そしてまた、地下を掘るというのは、本当の意味でサーキュラーエコノミーになっていないと。これをいかに掘らずに、そして、捨てずに、サーキュラーエコノミーを回していくかという、具体的な科学技術の在り方、社会との在り方等を村上先生はまとめておられます。そして、長井寿先生は、喪失資産を最小限にする「つかう」場面での資源の効率性を上げる取組を具体的に書いておられます。いかにサーキュラーエコノミーを実現するかという、産学官、それから、マテリアル科学技術の取組をまとめてございます。
こういうふうに、産業・学術・社会生活×マテリアルをしっかりと4名で執筆させていただきましたが、ここには200名以上に及びます有識者の先生方の意見交換を通して、それから、マテリアルの委員会の場ももちろんその一角でございますが、我々、国民生活、国際情勢、それから、海外の研究動向、我が国の抱える課題、我が国の成長戦略という5つのお題をマテリアルと併せて取りまとめさせていただきました。
これが来月、恐らく今月の終わりにはもう発行されるかと思いますが、しっかりとまとめさせていただきました。
これも踏まえて、海外動向を少し御覧いただきますと、これはマテリアルの中ではトップジャーナル、インパクトファクター、29.4あります。『Advanced Materials』、WILEY社の編集長でありますEsther Levy編集長、私はよく知り合いでして、資料を頂戴いたしました。『Advanced Materials』の動向を調査すれば、世界動向も少し見えてまいります。見ていただくと、エネルギーの、エネルギージェネレーションとかエネルギーコンバージョン、そしてエネルギーストレージというところが25%以上を占めてございますし、ペロブスカイトソーラーセル、LEDとか、オーガニックソーラーセルとか、こういった言葉が非常に多く『Advanced Materials』では並んでおります。また、一番引用されている論文もまた太陽電池であったり、エネルギー関係のものがたくさん書かれていますし、たくさん引用されている。これが世界動向から明確に見えてまいります。
『Advanced Materials』に投稿、出版されている国の割合ですが、中国は非常に多く、それから、アメリカ、日本はここに位置してございまして、まだまだ成長の余地があると考えてございます。
これは海外の『Advanced Materials』になった、この『Advanced Materials』というトップジャーナルに掲載した研究機関を並べたものですが、もう上位に中国が並んでいるということが分かります。国内ではNIMSがトップになってございます。2位は東京大学、3位は理研、東北大、京大、大阪大学と並んでございまして、こういった情報を『Advanced Materials』誌からも頂戴することができました。私自身が『ACS Nano』のエディターをしてございます。この中でもまとめさせていただきました。最後にまた議論させていただきますが、実はこのエディターは、単に論文をまとめて出版しているだけではなくて、ある種、ロビー活動とか、トップジャーナルと判定する権限も持ってございますので、非常に重要な位置と考えてございます。国内、『ACS Nano』は、片岡一則先生と私が2名入ってございますが、多くはアメリカ、そして、中国がこのイニシアチブをとっております。
こういった国内で、「Global Trends in Materials and Nanotechnology」というお題で、私自身が主催者となって、本日もおられます馬場先生のナノテクノロジーの国際展示会で大きなイベントを開催させていただきました。2月2日でございます。本当に著名な、海外、国内のACSジャーナルのエディターで登壇していただきましたところ、通常は大体4万人ぐらい、オンライン、対面で入るのですが、今回、6万人近く入りまして、日本からの情報発信には非常に多くの注目があるということも、これで感じることができました。また、同時に、ACSというプラットフォームから情報発信することの世界へのインパクトというのも感じさせていただきました。
最後に総合知、マテリアルを使ったまちづくりを最後に触れて終わりたいと思います。COI-NEXTで取り組ませていただいています。これは住民と一緒に新しい科学技術を使ってまちをつくっていくという取組です。大学が町の中心にいて変わっていくことで、人も変わって、そして、社会も変わるという大きなお題の中で、私たち、まちのリアルな社会課題を眺めてみますと、例えば老朽化するインフラ、自然災害のリスク、そして、少子高齢化の中で安全安心なまちづくり、そういったものが大きな課題で、多くの方が、自治体、行政の皆様が御尽力されていますが、さすがに人手が足らない。そのときに必要なのがDX技術でございます。私たちは、まさにこれは前期のこのナノテクノロジーの委員会でも御紹介させていただきました。ナノテクノロジープラットフォームや、ARIM、そういった国の施設を使わせていただきまして、たくさん論文を書くとともに、シート型のエレクトロニクスを実現しました。
コンクリートさえ劣化する環境の中で、50年、100年、命を守ることができるセンサーとは何かという大きな命題の下、炭素等を活用しながら腐食しないセンサーを開発してまいりました。この背後にありますのは、まさに原子、分子を整列させて、軽い、薄いだけではなく、世界最小のノイズレベルのエレクトロニクスを実現してまいりましたが、ここにはナノテクノロジープラットフォームや輝度放射光、SPring-8、そして、これから始まりますNanoTerasuといった輝度放射光が非常に多くの取組を支えてくださると考えていまして、私たちもそれに、恩恵にあずかってきました。こういったものでつくった技術、それから、DX、信号処理、そして、その正しさの検証、これをこのプロジェクトではやらせていただきます。
1年前に100名で発足したのですが、既に225名と、年100%以上で増えております。まちの皆さんと一緒に科学技術をつくったり、それから、実際に社会に実装するときの課題等をつくったり、それから、いろいろなアイデア出し、ビジョン確認、あとはこういった科学技術を社会に実装するときには、科学技術はすぐに社会には実装できませんで、一体そのロジックを、エビデンスに基づいたポリシーメイキングするためのロジックモデルを組みながら、科学技術を社会に実装する取組を進めております。
また、こういう取組だけではなくて、産業界、自治体と連携し、そして、これを社会で回していくためのスタートアップ創出に取り組んでおりまして、既に1社、それからさらにもう1社、スタートアップをつくり出す取組をしております。
もう時間がございませんで、最後、2枚とさせていただきます。
まず、これまでの取組。マテリアルDXをこの先もやはりしっかりと取り組んでいくということが重要だと考えております。また、さらに生成AIが出てまいりまして、マテリアル研究に革新を与えようとしております。この研究開発の方法論が極めて重要でして、やはり次の5年間に取り組むべき内容と考えています。また、大学、国研の研究開発の、特に時間のかかるDeepTechをどう育て、そして、社会に実装していくか。スタートアップ創出と成長支援、これは非常に重要だと考えています。多段でスケールの変わるマテリアルスタートアップに特有の支援が必要と考えています。また、デジタル化にそぐわないノウハウもたくさんございますし、経済安全保障上の研究インテグリティ・セキュリティの確保、非常に重要な視点と考えてございます。
また、新しい機軸として最後に御紹介しましたのが、社会課題解決型のプロジェクトでして、マテリアル・ナノテクノロジーは、社会の課題を解決する、直結する課題でもありますし、重要な基軸と考えています。社会的な応援とか期待につながる可視化が重要と考えていまして、マテリアルやナノテクノロジーを開発するとこんなにも社会が変わるんだというのをたくさん見ていくプロジェクトが非常に重要と考えます。また、PFAS、PFOS、そして、規制をリードするような科学的なリスク評価、代替材料の開発は極めて重要と考えます。
また、サーキュラーエコノミーをリアルに実現するためのマテリアル、プロセス、そして希少資源対策です。減量・代替・分解・再利用という視点でございます。
また、クリティカルな産業、これは半導体、エネルギー、計測分野、製造業、そして、プロセス・エンジニアリングです。ここの人材育成は極めて時間がかかるという大きな特徴がございます。人材育成、産業を育てるのにも時間がかかりますので、早期に取り組んでいく課題でございます。
最後の一言となりますが、私、エディターを務めていて感じるのは、やはり世界で潮流をつくっていける人材がまだまだ不足していると考えます。私もエディターの会に参加しますと、本当に片岡先生と私しか、日本では出ていないということも結構ございまして、トップジャーナルが書ける一流研究者とともに、そのイニシアチブをとるトップジャーナルのエディターを多く創出する仕組みが必要ではないかと考えてございます。このエディターは、繰り返しになりますが、様々なイベントを開くことや、また、いろいろなところに出ていくことで、そのトップジャーナルと判定する権限も持ってごいます。そこに日本のプレゼンスをさらに強く示していく、そういった政策もまた必要と考えてございます。
少し時間が超過しましたが、以上でございます。ありがとうございます。
【高梨主査】 関谷先生、どうもありがとうございました。大変興味深いお話で、いろいろお聞きしたいこともありますが、お二人のお話の後に質問時間を設けるということでございますので。
では、次に、堅達委員より、「社会課題の解決に向けて マテリアル分野に期待すること」ということで、お話をいただきたいと思います。堅達委員、よろしくお願いいたします。
【堅達委員】 NHKエンタープライズのプロデューサーをしております堅達と申します。この会では唯一の文系委員でございまして、今、理系のまさに緻密で包括的なお話を伺った後には、大変ざくっとした話でお恥ずかしいのですが、逆に言うと、一般の国民がどういう目線でマテリアル分野に期待しているのかということを今日は少し、15分ほどお話をさせていただければと思います。
私自身は今まで、2007年ぐらいから気候変動とか脱炭素をテーマにした番組をずっとつくってまいりまして、あの手この手でどうやったら分かりやすく伝えられるかということを、手を変え、品を変えやっていて、今はちょうど3月16日にネイチャーポジティブをテーマにした特集番組をつくっているのですけれども、今、15年たって、本当に気候変動が相当にやばいと実感しております。マスコミでも1.5度の約束というメディアの垣根を越えたキャンペーンを行っているのですが、御承知のとおり、去年1年だけ、単年を見ると、何と1.45度も、もう産業革命前から上昇してしまっていて、今年はもしかしたら単年度では超えてしまうのではないかというような、そんな状況でございます。
にもかかわらず、現状、CO2、全く減っておりません。今年も最高を記録して、御承知のとおり、1.5度に抑えるためには、このブルーのラインに抑えなければいけないのですけれども、全くめどがついていないと。ですから、まさに去年のIPCCのリポートでは、本当にこの気候変動は人類の幸福と地球の健康に対する脅威であると。この10年間に行う選択や実施する対策は、現在から数千年先まで影響すると、極めて厳しい言葉が書かれたところでございます。
言わば、コロナと同じくらい、あるいは能登の地震と同じくらい有事対応が必要だということですが、なかなかこれを実現するためにはパラダイムシフトを引き起こす必要があると。これは文字どおり前例のない規模の変化が必要だということで、あらゆる産業に求められているわけですが、今日お話ししたいのは、私は、この鍵を握っているものこそ、まさにマテリアルではないかと。前回、NIMSのキャッチコピー、材料で世界を変えるというのが非常に気に入りまして、これこそ本当にやらなければいけないことではないかなと思っております。
今、関谷先生から大変一生懸命、マテリアル分野でも様々な研究を行われているんですが、私も今、中央環境審議会で第6次環境基本計画案をつくるのに、委員の一人として参画しているのですけれども、中にはこういう窒化ガリウム等の新材料を用いたエネルギー効率の徹底的な改善ということが盛り込まれてはおります。しかしながら、正直言って、今、日本は縦割りなものですから、環境省あるいは経済産業省、国土交通省の、本当に中長期の未来を決めていくような政策審議会に材料分野の専門家が入っているかと言われると多分、これは相当、それによって未来が変わるはずなのに、関わりが少ないというのが現状かと思います。もちろん目標は、先ほどからお話があったとおり、Well-beingというところがポイントですので、これはどうやってそこをしっかりと材料分野、ナノテクノロジーの力を使ってWell-beingに貢献できるかというところだと思います。
皆さんのほうがお詳しいので、詳しい説明はいたしませんが、今、私たちが本当に1.5度を達成するためにも、ペロブスカイトの太陽電池、まさに材料でございますし、つい最近はリサイクルできる新素材を使った風力発電のブレードといったような、もう本当にサーキュラーエコノミーに、いかに役立つかというところが素材開発でも肝になっているかと思います。
私はつい先日、ポツダム気候影響研究所の名誉所長で、今、この12月から国際応用システム分析研究所の所長にもなられたハンス・J・シェルンフーバー博士にもインタビューしてきたところなのですが、IPCCの次の新しいスペシャルリポートは都市です。これは2027年に出ますが、正直言って、都市や建築をいかに従来型ではない素材に置き換えられるかというのはもう我々の命運がかかっている。ある意味、先進国でニョキニョキ高層ビルが建つところは言わずもがな、これから途上国の都市開発が新素材をちゃんと使ってやれるのかそうではないかによっても人類の命運がかかるといった印象を受けています。
その中ではもちろん、木材や竹といった、ある種、バイオなものを使っていくということは大事ですけど、それだけでは高層ビルは建ったりしませんから、今度はそれを支えるような新素材も必要になってきますし、カーボンリサイクルの観点から、いかにCO2からコンクリート作ったり、今日もいろいろな新しいニュースで、アメリカの研究所、ブルックヘブン国立研究所などがそういう様々な新しい炭素繊維を作る技術を発表したみたいなことも載っていたのですけれども、いかにワクワクできる新素材が作れるかというところが、全体の1.5度を達成する意味でも重要になってまいります。
日本と世界の違いですね。すごく痛感するということで言うと、やはりプラスチック問題、つい2日ほど前に、EUそのものが、今度、使い捨てプラスチック禁止を今、議会に載せて、間もなく発表するであろうと。フランスとかイギリスではもう既にやっていたのですけど、もう国民が触れる素材で使い捨てプラなんか絶対あり得ないのだという、そういう感じが、実は残念ながら日本ではまだまだこう伝わっていないのです。
逆に言うと、それがルールで決まった欧米では、非常にパッケージをめぐる、これはビジネス面でも大競争が起きておりまして、これは私がCOPに行ったときのフィッシュ・アンド・チップスの器も当然これはプラスチックなんか出したら笑われるのですけど、残念ながら大阪万博もこのまま行くと使っちゃうのではないかという気もしますし、エールフランスの社内で出てくるような、朝食のこういうものも当然紙ストローで・紙のパックで、環境性能が表示されていますというのが、今や世界では当たり前になっているわけです。このルールも非常にこれからますます新しい素材を求めていく方向に動いています。
皆さんのほうがお詳しいと思いますが、例えばグラフェンという素材一つとっても、では、2次元ではなくて3次元のものを生み出そうという動きがあると聞いて、私も、へえー思ったのですけど、面白いなと思ったのは、自動車の大手と、非常に新しいスタートアップが本気で組んで、そこから何か新しいものが生まれるという体制でございます。今、車から飛行機まで、死ぬほど本気で新素材を求めていると。これは何か日本にいるとこういうモードがなかなか、マスコミのせいもあるのかもしれませんけれども、伝わっていないのは残念なところです。
この連携というのは、何もスタートアップと大手企業ということに限らず、例えば、今一番注目されているサーキュラーエコノミーではトップランナーであるエレンマッカーサー財団というところ、ここもスタートアップの育成をもちろんやっているのですけれども、こういうNGOとか財団とのコラボレーション、それから、例えばルンド大学と、スウェーデンの大学と大手のテトラパックが新たな研究拠点を創設するといった、アカデミアとの協働、これは本当に今、生き馬の目を抜く状況でございます。
ここに見せている大きな円の図は、WBCSDという、持続可能な開発のための世界経済人会議という、経団連の世界版みたいなところが、まさにSPHEREという名前のこういうガイダンスを発表して、これからはやはりサステナビリティとサーキュラーエコノミー性を合わせた、そういったものも全部評価するということを強く打ち出しているんですが、こういったアライアンスにも実は日本企業の参加がめちゃめちゃ少ないのです。このままだと本当に世界から取り残されてしまう、周回遅れになってしまうというそんな危機感を持っております。
実際はもうデジタルプロダクトパスポートという、これは半導体あるいは自動車も今そうですけれども、生産から廃棄までのCO2とか環境負荷がどれくらいかかっているのかということを見える化したものしか流通させないよというのが、EUはもうこれから、実際にこれを導入していこうという段階に入っております。国境炭素税とかもありますから、ここを本気でやれないと、日本はものづくり大国なのだけど、本当に脱落してしまいますし、今、森林保全の観点からも、紙に代わるような新素材も求められているというのが現状です。
ただ、私は一番大事だと思っているのは、いかにも、今、これは目に見える形で、ここの分野の素材開発は大事だよねというところ。ここだけではなくて、やはり「何ものになるかも分からないものを探す! 見つける! 生み出す!」といった基礎研究、ここにどれだけお金と人材を投入できるか、これが実は真のイノベーション、ブレークスルー、パラダイムシフトをもたらすのではないかと痛感しております。これは先ほど来のナノテクノロジーの可能性、ここがまだまだ新しい分野であるがゆえに、私は非常に期待をかけているところでございます。
ただ、これにはやはりお金がかかるのですね。本当に縦割りを排除して、こういういろいろなバイオテクノロジーの分野とか、あるいはさっきも話がありましたけど、AIとかデジタル分野と組んで、最先端技術を活用していくというところも大事になってくるんですけれども、とにかく巨額の研究費と人材が必要だと。世界の投資を呼び込まなきゃいけない。もう世界では、中国を筆頭に、桁違いの研究費が投じられていますから、投資も活発です。お金、実はあるのです。何百兆円も、何千兆円も。でも、なかなか日本に来ないし、日本は周回遅れになっている。
これはなぜそうなのかなというのを、私は長年取材をしてきて感じているのは、実は日本では、カーボンプライシングといって、炭素に価格をつけるということがまだまだ未整備だと。要は、炭素を減らす新素材を開発することは、金もうけにも含めてつながるんだという、当たり前のことがオーソライズされていないので、マーケットに本気スイッチが入っていないのではないかなと痛感しております。
ここをやはり、逆に言うと、化学の分野からもカーボンプライシングをちゃんとやるべきだと。税とかいって嫌がっている場合じゃないよということも、実は声を上げていくのは遠回りなように見えて、アカデミアにとっても大事なことではないかなと思います。
あとはやはり人材育成です。これは本当に、国や社会に対する意識を聞くと、これは右から3番目、「自分で国や社会を変えられると思う」かという、同じ質問を9か国の18歳に調査したところ、「変えられる」と思って答えた人は、日本は18%しかいないのです。インドとか見てください。伸び盛り、83%、インドネシア68%、こういう、さっき材料で世界を変えると申し上げましたけど、未来を変えられるんだという、そういう気概を持った若者、子供たちをいかに教育できるか。ここはまさに文部科学省のテリトリーではないかと思います。
とにかく世界を変えられるということを納得して、イノベーションマインドというか、ハートに火をつける、そういう教育をするためには、本当のことを言うと、子供のときから科学にも関心を持って、パーパスというか、地球を自分が救うのだと思えるような子供を育てていかなきゃいけないのですけど、御承知のとおり、ここは根が深くて、今、学校の先生がとても忙しくて、気候変動教育ですら十分に行うことができなかったり、あるいは、いわんやサイエンスの教育を、これはやはり体験型のサイエンスを魅力的に感じる教育をするためには、十分な人材、学校の先生の余裕がないとやはりできないのですけど、それができないのが今の現状だというのは、とてもとても私は危惧しております。小学生から、そして、中学校、高校生、そして、さっきの大学で、学際的な分野で、時には社会科学の文系の分野とも融合して、本気で、素材の力で、地球を救え、人事を救え、自分の研究が未来を変えるのに役立つのだと思えるような、そういう柔軟な発想力を持って、インセンティブの高い人材をぜひぜひマテリアル分野へどんどん送り込んでいただきたいと思いますし、そのためには、先ほども言ったとおり、世界に遅れている、カーボンプライシングも含めた、このことは優先順位の高い有事体制にある重要な案件なのだというふうに、我々マスコミももう少ししっかり発信していけたらなと思っております。
幾つかの番組で、ネットでも御覧いただけたりするものもございますので、御関心のある方はのぞいてみていただければと思います。御清聴ありがとうございました。
【高梨主査】 どうもありがとうございます。非常に重要なお話、興味深く聞かせていただきました。関谷委員とも共通する、日本と海外の違いといいますか、本当に日本の現在の問題が何かということを非常に深く考えさせられるわけですけれども。どうもありがとうございます。
では、お二人の御発表に対して、これから4時ぐらいまで、まとめて御意見あるいは御質問を各委員からいただければと思いますが、どんなことからでも結構ですので、御意見あるいは御質問のある方は挙手をお願いします。どなたからでも結構ですが。
では、加藤委員、お願いしますが、ウェブ上というか、Webex上で挙手ボタンを押していただけると私もすぐ分かりますので、すみません。私もオンラインなので、オンラインの参加者が多いので、現地参加の方もウェブ上で挙手していただけるとありがたいです。では、加藤委員どうぞ。
【加藤委員】 お二方、どうもありがとうございました。お二人がそれぞれ理系、文系とおっしゃいましたけど、よく理解されていて、おっしゃっていることはすごく近のではないかなと思いました。やはり私もこの分野に何年もいて、実は御紹介にあった『Advanced Materials』のアドバイザリーボード、20年やっていまして、Esther Levyさんもよく知っています。彼女が日本に来たときもよく会っていました。いろいろなところでお二人がお話に出されていましたけれど、日本は個別には優れているのですが、まとまって表に出ていないなというのがあります。例えば『Advanced Materials』も大体1990年代は、日本だと十何%ぐらいはシェアを取っていたんですけど、もう今は5%あるかないかで、それでどんどんシェアが落ちているのですね。5年ぐらい前、コロナになる前に『Advanced Materials』の若い編集者の人と話したら、日本から全然投稿がないと言うのですね。投稿すらない。減っていると。それで、いろいろな人に聞いたり話しをしたりすると、やはり組織的な取組がないなと思うのですね。どういうことかというと、今、関谷先生が大学のランキングで上位は中国ばかりとおっしゃいましたけど、例えば『Advanced Materials』とかには日本の大学の特集号はほとんど無いのですが、中国はもう多くの大学が特集号を出していて、他のトップジャーナルなどでも盛んにやっているのですね。また、エディターを送り込むのも、昔は、アメリカの有名な先生のところを出て、そういうところからエディターの仕事を得る人が多かったのですけども、今、中国もドクターを取って即、行くのですよ。なぜ日本人がこうならないのかなと。
いろいろな学会、例えばイギリスの王立化学会とかの人に来てもらって、日本人の人たちもドクターを取ってからそのようなエディターの仕事がありますということを言っていただくのですが、やはり意識的なものがどうしても壁があります。なかなかそういう、どんどんアピールするというのがいろいろな意味で弱いなと思っていて、何とかしたいなと一生懸命思っているのですけど、堅達先生のお話でも、世界中にいろいろなコンソーシアムができているのに、日本が入っていかない。ただ、個別で見ると、日本はレベルがすごく高いのですね。入り込む仕組みをつくる、入り込む努力をするというか、一緒につるんでというか、いい意味でつるんで、こういうところに入り込んでいって国際的にアピールする。それは日本人の中でも、そういうのに向いた人を選抜してやるとか、そういうことをやはりこれからやっていく必要があるのかなと、お二人のお話を聞いて思いました。
それから、もう一つ、言いたいことは山のようにあるのですけど、人材育成ですね。今、旧帝大系の理工系の若い人でも、材料・ナノテクノロジーとか産業界に行かなくなってきて、コンサルとか金融系に流れている傾向があるのです。これがすごく問題で、将来を支える人材をどうしようかという問題があります。逆に言うと、堅達さんがおっしゃった、いろいろな分野でナノテク・材料に対する理解をいただいていないとおっしゃったけど、例えば私のところでポリマーを研究した人が、某有名な金融会社に行っているんですね。逆に言うと、そういう人たち、修士課程でポリマーを研究した人たちが、次は金融のことをやっているのであれば将来にはナノテク・材料に理解を示してくれないかなと考えています。ナノテク・材料の分野にきてくれなくて問題なところはあるのですけど、逆に、今度、今、六本木のど真ん中で働いているナノテク・材料の分野で勉強した人たちが時々遊びに来たときに、別の分野に行ったと嘆かないで、積極的にこの分野の理解を求めていこうかなと、そう思っています。
あともう一つお話したいことがあります。新学術領域研究という文科省において進めているプロジェクトがあって、領域代表を2回務めたことがあるのですが、そのようなプロジェクトにはいろいろな大学の先生が参加されています。その中でも比較的小さな大学の学科にもすごく良い学生がいるのですよ。ただ、それでドクターへ行くとちょっと変わり者みたいになっていて、やる気のある人が孤立しているのですね。そのような学生をいろいろな先生に頼んで紹介していただき集まってもらい研究会のような行事を行うと、横でつながりができて仲間ができて励ましあって、そういうことになった学生の人たちはすごく高い確率で博士課程に進学するのですよ。良い例になる人たちを連れてきて紹介してもいいぐらいですけど。したがいまして、減っている、減っていると言わずに、もっと皆で取り組んで、人材を発掘して、一緒になって大学間連携で人材発掘していきたいと思います。
例えば、関谷先生もいろいろな大学から来た学生の人たちがすごく活躍されているという話を以前にされたのですが、お二方とも、人材育成とおっしゃいましたので、やはり工夫してやっていきたいなと思っています。
以上です。取りあえず。
【関谷委員】 ありがとうございます。
【堅達委員】 ありがとうございます。
【高梨主査】 どうもありがとうございました。
【加藤委員】 ありがとうございました。
【高梨主査】 取りあえず、今の加藤委員に対することで、関谷委員、堅達委員から、今、何か言っておきたいことはありますか。
【関谷委員】 いや、もう本当に加藤先生、ありがとうございました。おっしゃられるとおり、もっと身近に、学生とかがそういうトップジャーナルを身近に感じてくれたら、エントリーしてみようという機会も増えるのかなと思っておりまして、まさに先生がやっておられるナノテク展で、我々、ACSのプラットフォームを使ってやったら、本当にたくさんの方が参加してくださりました。あと、こういったところも今特集して、今度、『ACS Nano』のエディトリアルに、ナノテク展で日本のナノテク産業がすごく盛り上がっているという原稿を今、私は書いているんですけれど、そういうのをどんどん、エディターはそういうことがまさにできる、こういった人材をもっと増やしていくと、きっと、今、中国もそういった取組をされているというのはまさにそのとおりでして、増やしていけるといいなと。
一方で、我々エディターで、レビュアーを日本人に回すと、皆さん忙しいのか、レビューしてくれないというか、でも、一方で、言っていいのかどうか分かりませんが、ACSとかは100万人以上の研究者のデータベースがあって、そこに触れられるんですが、レビュアーがどんなコメントを書いて、全部点数がついているんです。だから、どの国の研究者がどういうレビューを書いてというのも全部データ化されているので。その中から、本当にいいレビュー、いい査読をしてくれる先生がエディターになったりしているので、もっとレビュアーというのは大切な、もちろん研究者として大切なのは皆さん分かっていると思うのですが、忙し過ぎて、その大切さに気づけていないとすればもったいないので、そういったところも伝えていく必要があるのかなと。
【加藤委員】 ソフトを頑張らないといけないのですね。
【関谷委員】 そうですね。
【高梨主査】 今、時間もあまりありませんが、ちょっと私からの意見ですが、ちょうど聞きたいと。関係するので伺いますけれど、要するに、エディターになろうという人がいないというので、これは非常に大きな問題だと思うんですけれど、だから、それを解決する方策という、やはり忙しいからだというのが一番の原因だと思いますか。関谷先生はどう思われますか。
【関谷委員】 ありがとうございます。先生がおっしゃられるとおり、やはりいいレビュアーは、いいエディターになって、推薦されるんですね。チームに入ってきます。すなわち、エディターになる、まあ、エディターはすごく大変で、私も年間500本以上扱っているんですが、もちろんソムリエと一緒で、全部読むわけではなくて、もちろん大切なところだけしっかり読んで判断するのがエディターの仕事ですが、やはりいいレビュアーを育てていく。そのために論文をしっかりと、短時間でも読める学生を育てていくという教育も必要ですし、一方で、もう一つは、レビュアーからエディターに上がるという考え方もありますし、Editor-in-Chiefとか、ああいうエディターのコミュニティーに積極的に加わっていきたい、そういう人材を育てると、「よく見るね」と、「やってみない?」という声がかかることもあるんですね。そういうEditor-in-Chiefが推薦すると、比較的エディターになるのは早いです。両方、ぜひ必要だと思っております。
【高梨主査】 だから、そういう人材を育成するのをどういうふうにするかということなんだけれども、そういうのも強化の一つになるのではないかと思いますね。
【関谷委員】 もうおっしゃるとおりでして。
【高梨主査】 日本の場合は、本当に研究オンリーになってしまっていて、例えばレビュアーとかエディターとかそういうことで活躍するのも、もっと評価できるような、そういう全体的な理解があると大分違うような気がするんだけれど。
【関谷委員】 そのとおりです。もう本当に、もっと、どう重要なのかというのを知っていただく機会も増やしていけるといいなと思っております。
【高梨主査】 ありがとうございます。どうぞ。
【堅達委員】 私も全く同感で、さっきの小学校、中学校の先生も疲弊しているというお話でしたけど、実は今、研究者の皆さんも、日本はなぜ下がっているかというと、雑用が多過ぎる。ロジスティック。ここが完全に海外の体制と比べて見劣りがするという現状は否めないと思うんですよね。あと、ポスドクの人たちの雇用形態の不安定さとか、実は、みんな一生懸命やっているんだけど、もうちょっと構造的に外堀がしっかりと研究に対応できる環境整備をしていかないとじり貧になっていくというのは、もう目に見えていると思います。だから、やる気のある人も、ブラック企業だと思って、この業界に来なくなっちゃうという、そういうことはやはり避けなければいけないと思いますし、先ほどの優秀な人が金融とか行っているというお話。でも、これは逆に、私も三井住友信託さんとか取材したときに、博士号を持っている人をどんどん採用して、専門チームをつくって、逆にコンビナートの脱炭素化の中心メンバーになってもらって、いろいろな科学とか様々な新しいテクノロジーを結びつける役割を担ってもらうみたいな動きが始まっているので、決して悪いことでは多分ないとは思うんですけど。とはいえ、今言ったみたいな、もうちょっとモチベーションが高まる。雑用が減って、代わりにエディターみたいな有意義な仕事もできる余裕ができる研究体制を整備するということは、実は遠回りのように見えて、日本のプレゼンスを上げていく重要な道ではないかとお話を伺っていて感じました。
【高梨主査】 どうもありがとうございます。おっしゃるとおりだと思います。
それでは、ほかの委員からも今、手が挙がっていますので。すみません。馬場委員、どうぞ。
【馬場委員】 関谷先生、それから、堅達先生、大変すばらしいお話ありがとうございます。今の議論にも私も言いたいことはいっぱいあるんですが、それはさておき、堅達委員が出された2030年までの6年間が正念場と、これはすごく重要だと私感じました。やはりマテリアルをやっている人たちも、脱炭素社会への貢献とか、サーキュラーエコノミーへの貢献というのは皆さん考えていると思うのですけど、どの時点までにどれぐらい貢献したらいいかと、皆さん、御存じない。私も知りませんでした。これは6年間に、材料で世界を変えるということで、委員会からそういうメッセージをきっちり出せて、そのために何をすべきかという議論ができると非常に、提言というか、方針になるのかなと感じました。
やるべきことはもちろんたくさんあるのですが、日本だけでやるわけではなくて、世界中で連携してやればいいわけなので、その中で日本が日本のプレゼンスをより高められるような方策というのが非常に重要だなと感じました。
それから、エディター問題に入りますが、私もアメリカ化学会のエディター、12年間で7,000報ぐらい見ましたけど、日本の人は本当にレビュアーが少ないです。忙しいから、私も忙しいので皆さんにお願いするのはなかなか大変だったんですが。もう一つ、私がそのとき一番感じていたのは、例えば加藤先生もやられている、関谷先生もやられている、いろいろな先生方がやられていますが、横のつながりが全くないですよね。それは仕方ない面がある。
【加藤委員】 そうですね。今、知りました。
【馬場委員】 ただ、それは、私も関谷先生もアメリカ化学会、加藤先生は出版社のジャーナルだし、なかなかそういう秘密主義的なところもあるので難しいのですが、そういうエディターの人たち、ACSはエディターミーティングとかやっていますよね。あるいはエディターに会おうみたいな会もやっているので、そういうのを学会の中でもう少しやって、将来のエディターになるような人をうまく引っ張り上げて、そういう人たちは当然いいサイエンティストでもあるので、その中で、世界中で何が起こっているかというのはすごく分かりやすいですよね。僕らが調べなくても、投稿者が勝手に最先端の情報をこっちに送ってくるわけなので、だから、そういう人たちを、人材育成の中でも今後少しそういう人たちの育成も視点の中に、これまであまり入っていなかったように思うので、そういうのも含めてやっていくと非常にすばらしいかなと思います。
あと、先ほど、加藤先生の学生さんが金融に行かれているとおっしゃっていましたけど、私の遺伝子の解析をやっていた学生、NHKに入りましたので。
【堅達委員】 いろいろと。
【馬場委員】 いろいろなところで活躍できる人をこういうマテリアル分野から出していくというのも、全体として、マテリアルだけで、2030年までの問題解決はできないので、そういう人たちをうまく育てる中で、我々、マテリアルの中で何ができるかというのをきちんとと議論できると非常にすばらしいなと思いました。
私からは以上です。
【高梨主査】 どうもありがとうございます。本当にエディターとかそういう仕事は決して雑用ではないのだと、重要な仕事なのだという意識を皆さん、持っていただければと思うのですが、確かにそういう視点はこれまであまり、今まで議論されていなかったかもしれません。
瀬戸山委員、お願いします。
【瀬戸山委員】 ちょっと視点が変わるのですけど、これだけ日本が成長しなかった理由というのが多分ベースにあるような気がするのですよ。今お二方の解析を見ていると、日本はこれだけ頑張っていて、少しは貢献していると言ったのだけども、世界はその間にずっと伸びているんですよね。だから、1992年の段階で、日本のGDPは世界で15%だったんですよ。今、4%ですよ。成長が全く止まってしまったからというのがあって、その間に日本のこういう科学政策が何をしたかと。だから、こうやって国のお金をいっぱいつけていますという話もありましたけど、ほかの国はどれだけお金をつけているのか。だから、ずっとこう、1900、2000年度以降でもいいのですが、この予算というのがどんなふうに入ってきて、それがほかに比べてどうなのかという視点でまず見ないと、内側で見て、そこそこ頑張っているよという視点で見ても、世界の中でだんだん地盤沈下していくのは当たり前ですよね。そういう見方が一つあるのじゃないのかなと思っているのが一つと、私自身は、日本がこうやって地盤沈下したのは、一つは、これは日本人の内側から見ると、これは結構いいことやっているなと思うんですけども、エナジーインテンシティーという言葉は御存じですか。エナジーインテンシティーというのは、一定の売上高当たりのCO2発生率なんですよ。
これはどういうことかというと、これが小さいということは、世界で一番、日本は小さいんですよ。これが小さいというのはどういうことかというと、これは高いものを売っているんですよ。要するに、機能化学品を売っているのですね。なので、一定の売上げがあって、その中、利益がそこそこ取れて、国民に分配できるのであれば、国民は満足するんですよ。そうすると成長が止まっちゃうんですよ。そういうことが日本で過去30年ぐらいずっと続けて起こってきているんじゃないのかなと私は個人的に解析していて、あちこちで話をするんですけどね。そういう状況がやはり日本にはあるのではないかなという視点でひとつ眺めてほしいというのがあります。
もし、さっきお金の話をししましたけど、ある大学の先生の定年退官でちょっとしゃべらせてもらったときに、東大の大久保さんがおられて、日本が元気な頃、どうだったかという話があってね。化学系にいっぱい教員を増やしたんですよね。東大の工学部、ドーンと増えたときがあって、それからあと、日本は結構大きく成長したんですよ。だから、仕事が忙しいということは、逆に反面、人が少ないからという面があって、組織改革の話もあるんですけど、やはり抜本的にそこの問題、人を増やさないとできない部分はどうしてもあると思って、そういうことも含めて、いろいろ考えればいいんじゃないのかなと個人的には思いました。
以上です。
【高梨主査】 どうもありがとうございます。重要な御指摘ありがとうございます。
今のご意見に対してでもいいですが、あるいは、お二人のお話に対して、ほかの方からありますか。そろそろお時間にはなっているので、これは議論し出すと切りがないところがあるのですけれど、次に移らせていただいていいですか。ほかに挙手ございますか。よろしいでしょうか。
【関谷委員】 高梨先生、1点だけ、よろしいでしょうか。
【高梨主査】 どうぞ。関谷先生。
【関谷委員】 先ほど馬場先生もおっしゃられたとおり、国内のマテリアルとかナノテクノロジーは、海外からの御興味が物すごくあって、国内発出のACSのサミットを開くと、6万人の参加があったとか、それから、ACSはやはり日本からの投稿を増やしたいということがあって、だったら、もっとACSの人材を国内に入れてよと言ったら、本当にストラテジックマネージャーという、いわゆるマーケティングのもう一つ上の、国内でACSのイベントを開く人をすぐに雇用してくれて、ぜひACS、アメリカ化学会、20万人、会員がいる巨大な世界最大のコミュニティーですが、日本と一緒にやりたいとすごく言っておられますので、何かそういう、まだまだ海外からの御期待が非常にあるということは間違いございませんので、今だからこそできる人材育成というのが非常に強く求められていると思いました。
すみません。以上です。
【高梨主査】 どうもありがとうございます。
それでは、よろしいでしょうか。取りあえずということですか。それでは、本日の話題提供に対する御質疑、御討論はここで終了ということにいたしたいと思います。
それでは、これまでのこういった御講演を踏まえまして、今後の「ナノテクノロジー・材料科学技術の推進方策について」、これは残った時間で総合的な討議を行いたいと思います。その総合討議に先立ちまして、事務局から、論点と検討の方向性及び第12期ナノ材委員会の議論の経緯と今後の予定について、御説明をお願いいたします。
【宅間参事官】 事務局、文科省参事官の宅間でございます。資料1-3、1-4に基づきまして、まず1-4のスケジュールから御説明させていただきたいと思います。資料1-4の投影をお願いできますでしょうか。
これまで、今後のナノテクノロジーの推進方策につきましては、12月の第2回の委員会のところから、まずは研究開発動向をJST CRDSから御説明をいただきましたり、また、文部科学省のナノテクノロジー・物質・材料担当で行っております事業、3つの事業がございますけれども、マテリアル先端リサーチインフラ、ARIM、データ創出・活用型マテリアル研究開発プロジェクト、DxMT(でぃーまて)と呼んでおりますが、それに加えまして、第1回のときに評価を行いました「材料の社会実装に向けたプロセスサイエンス構築事業(Materealize)」の御説明をそれぞれPDの皆様にも関わりいただいて、ヒアリングさせていただきました。
また、その次は、産業界における取組ということで、平田委員から、また、次に、国立研究開発法人における取組ということで、宝野委員から御説明をいただいたところです。そして、今回、「社会から見たナノテクノロジー・材料分野に期待すること」ということで、関谷委員、また、堅達委員から、ただいまヒアリングさせていただいたところでした。ここまで様々な視点からの委員の御意見、また、関係者の御意見といったことをお伺いしてきたかと思っております。
今後ですけれども、来年度に入りまして、ナノテクノロジー・材料科学技術の推進方策についての議論をあと2回ほど、可能であればさせていただきたいと思っておりまして、夏頃を目途に推進方策について取りまとめられたらと思っております。
本日は、ここまでのヒアリング、また、御議論を踏まえまして、資料1-3のほうに事務局案を御用意してますけれども、ナノテクノロジー・材料科学技術推進方策の論点と検討の方向性といったところで、ここまでの御議論につきまして、一旦、方向性という形で取りまとめをしていただけると考えております。この後、事務局より、事務局案を御説明申し上げますが、今日の議論の位置づけは、論点と方向性について、一旦、今年度の議論をお取りまとめいただいて、また引き続き、議論のまだ足りていない部分、たくさんあると思っております。来年度の初回に引き継いでいければと考えている次第です。
では、資料1-3の中身も御説明させていただきたいと思います。
まず1ページ目ですが、現状認識でございます。こちらはもう改めて御説明するまでもありませんが、最初のCRDSの御説明とか、また、関谷先生の今日の御説明にもございましたように、マテリアル産業、また、アカデミアに関しても、これまで高い競争力を有していると言われたところが相対的に低下を指摘されているということがあります。こうした状況を受けて、政府としては、2021年ですがも、マテリアル革新力強化戦略を定めまして、また、第6期科学技術・イノベーション基本計画にも沿って、政府としてマテリアル革新力を高めるということで取組を進めてまいりました。
文部科学省においては、この流れの中で、マテリアルDXプラットフォーム構想ということで、第1回、第2回の委員会のときにも御説明したような事業を展開してきたところでございます。今般、こうした取組が始まりまして、約3年が経過するというタイミングで、また、第7期、次の科学技術・イノベーション基本計画に向けての議論も政府内において始まろうとするタイミングにおきまして、ナノテクノロジー・材料科学技術委員会において、ナノテクノロジー・材料科学技術の推進方策、今後の推進方策についての御意見をお取りまとめいただきたく、この議論を開始していただいたところでございます。
2ページ目に参ります。論点と検討の方向性ですが、こちらは前回の会議でお示しした事務局案で、まず、短期・中期の論点を最初にまとめておりました。2ページ目に記載の論点は、前回提示した資料のとおり変わってございませんので、御説明をごく簡単にしたいと思いますが、まずは短期・中期の論点といたしましては、1つ目、文部科学省が実施してきましたマテリアルDXプラットフォーム、それぞれ各事業、ヒアリングしていただいたとおり、着実に進展しているところでございます。
一方で、新しい技術の進展などもございますので、今後、進捗を踏まえて、次に向けた展開についてといったところが一つ論点としてあるのではないかということで挙げさせていただいています。
また、下のほうに参りまして、ポツが2つありますけれども、データ駆動型研究の結果を裏づけるような学理的なアプローチや基礎・基盤研究といったものを論点として挙げられるのではないかと考えて御提示しておりました。
また、産業界から見た、国として必要な取組といったところで、スタートアップ等を含め、社会実装につながる取組であるとか、産学官連携の取組というところを挙げさせていただいておりました。
また、この論点も、前回あまりお時間も取れませんでしたので、今日、ここもまた、こういったことではなくて、こういった論点もあるという御意見がありましたらいただきたいと思っております。
3ページ目に参りまして、2ページ目に挙げました論点に対しまして、現状と課題ということで事務局案として書かせていただきました。まず、現状は、マテリアルDXプラットフォームを構成する各事業、きちんと進捗してきたということを書いております。最後のポツのところでは、委員の御発表にもありましたが、生成AI等、急速に進展した技術もございます。そういったものが、データ駆動型研究の手法そのものを刷新する可能性というところも生じているというのが現状かなと思っております。
それに対する課題といたしまして、マテリアルDXプラットフォーム、開始して3年間、どうしても基盤整備といったところに注力してきた、せざるを得ないところもございましたが、そういったところになっておりました。ただ、本来は、プラットフォームは本来成し遂げるべき目的のために構築するものでございますので、括弧の中にございますが、データ駆動型の研究を活用して、社会課題の解決に貢献するような新しい材料をつくるということがプラットフォームをつくった目的でしたので、そういったところに向けた、基盤の整備にとどまらない議論が必要なのではないかという御意見をこの数回の委員会の中でもいただいたと思っております。
そうした課題と、2つ目のところですが、データのみに着目しがちでございますが、それだけではなくて、マテリアル分野の研究開発と人材育成を支える基礎・基盤研究や、機器の共用の仕組みでありますとか、社会実装に向けた取組を忘れてはいけないという御意見もあったと思っております。
3つ目のところ、生成AIのところですが、技術進展などを踏まえて、データ駆動型研究の手法そのものも進化途上であるということで、今後、例えば情報分野等、異分野の研究者の取り込みであるとか、裏づけとなるような基礎基盤研究も併せて必要と書かせていただきました。
最後、社会実装がなかなかつながっていかないといったところは、マテリアル戦略をつくった3年前のときからも指摘されているところでございますが、こうした事柄は今でもあるものかなと考えておりますので、課題として挙げさせていただいております。
4ページ目に参りまして、取組の方向性といったところでございますが、先ほどの現状と課題に対応しまして、取組の方向性の案を書かせていただいております。
1つ目は、マテリアルDXプラットフォームの目的というものは、そもそも役に立つ新材料をつくるとか、イノベーションを創出するというところでありますので、今現在の既存の事業の部分最適といったような議論に陥らずに、大きな視点で議論することが必要だと。また、異分野の研究者等を巻き込む仕掛けも重要だとさせていただきました。
2つ目、マテリアルDXプラットフォームの加速に向けては、とはいえ、今やっている事業の推進と連携は引き続き重要であるということで、きっちり、令和7年度にデータ利活用に向けて、データ利活用の本格運用という予定をしておりますけれども、そういったところに向けての課題を抽出して、具体的に対処を進めていくということ、また、データを作る、ためる、活用する、それぞれについても、その手法の革新といったことがあり得ると思われますので、そういったことに取り組むことを期待するとさせていただきました。
3つ目、マテリアルDXプラットフォームの最も基盤でもございますが、高品質かつ大量のデータを創出可能な先端設備の整備・高度化というものを引き続き行うことが必要とさせていただきました。これは幅広い研究開発とか人材育成の基盤としても重要なものだと思っております。「その際」とありますが、最近、議論も、政策面での重要性等、指摘されております量子技術や次世代半導体などの先端技術の動向を踏まえることでありますとか、また、人材の不足、研究者の時間の不足というような御議論もこの中でございましたが、そういった観点からも研究活動を維持・発展させる観点からも、自律・自動実験や生成AIの活用など、最新の研究手法の取組を取り入れることが有効ではないかとさせていただいています。
それから、次のポツのところですが、データ駆動型研究の社会実装に向けてといったところで、今、DxMTと呼んでおりますが、文科省の事業で、それぞれ重要な分野のデータ駆動型研究の手法の開発がなされております。その事業も、次の展開といたしましては、そうした開発した手法を広く全国に展開していくということですとか、開発したものを社会実装につなげていくという観点で、産学連携等を想定したコンソーシアムの形成であるとか、そういった取組が必要ではないかとしています。また、社会実装という観点では、プロセスサイエンスがマテリアルサイエンスと併せて重要でございますので、製造プロセスの最適化やオートメーション化等に向けた取組も重要とさせていただきました。
次に、データの利活用という観点では、データの共用に当たって、データ利活用人材の育成、確保といったことが重要でございますし、また、データ基盤もきちんと持続すること、また、その使い勝手も向上させていくことでありますとか、どのようにデータをオープン&クローズで使えるようにしていくのかというポリシーの検討も必要であろうと書かせていただいております。
5ページ目に参りまして、長期の論点の1つ目ですけれども、マテリアル分野において今後振興すべき領域でございます。論点は、前回お示ししたとおりでございますけれども、今後、支援を強化するべき研究領域や分野としてどういったところがあるかという論点があるかと思っております。
現状のところでは、海外では、経済安全保障等の重要性が急速に拡大するというところで、例えば戦略物資を確保する動きが顕在化しているだとか、将来の技術優位性を確保するために、量子技術や次世代半導体などの先端技術に積極的な投資がなされているという状況がございます。
また、我が国でも、次世代半導体や電池等、経済安全保障等への貢献が期待される分野、そういったところへの必要性が急速に拡大しているということや、Society5.0やカーボンニュートラルの実現など、社会課題の解決に資する材料開発の加速が急務になっているという現状があると考えております。
課題と取組の方向性を一つにまとめて書いてありますけれども、Society5.0、カーボンニュートラル等を見据えた新材料や経済安全保障への貢献を期待される次世代半導体等の開発を加速する必要があるとさせていただいております。同時に、こうした、いわゆるトップダウンの研究を進めると同時に、長期を見据えた基礎・基盤研究の推進が重要であること。その際には、我が国における基礎・基盤研究の現状であるとか強み、また、社会実装等への寄与なども踏まえて考えていく必要があると思っております。こうした革新材料の開発には、情報分野等もはじめ、異分野を融合した取組が重要であろうと書かせていただきました。
ただ、ここにつきましては、具体的な分野を特定し切るにはまだ議論が足りていないと思っておりますので、ここについては今後さらなる議論が必要だとまとめさせていただいております。
6ページ目、7ページ目になりますが、長期の論点の2つ目といたしまして、研究開発力の強化と人材育成でございます。
論点としては、我が国が強みを有してきた技術の継承と人材育成についてとさせていただきまして、現状としては、御発表の中にもありましたが、研究力の低下が指摘されていることや、研究人口が減っているというようなこと、また、海外から見える研究者が減っているというような御指摘もございました。そういったことを書かせていただいています。
また、最後のポツ、文科省の事業においては、マテリアル先端リサーチインフラという、特にそうした事業においては、研究支援人材の育成にもつながるような取組をしてございますので、現状の一つとして書いております。
また、課題のところですが、こうした研究者の時間の確保であるとか、育成、処遇の改善等が急務であるとさせていただいております。
取組の方向性ですが、大学、国研における処遇改善を含めた取組を推進するというようなこと。また、技術の継承や研究者の時間確保という観点でも、自律・自動実験等の最新の研究手法を取り入れることが有効ではないかと考えております。
それから、3つ目、マテリアルDXプラットフォームにおける人材育成の機能。具体的には、マテリアル先端リサーチインフラの人材育成機能であるとかを想定しておりますが、こうしたところについて取組を強化するということを書かせていただいております。
7ページはまとめでございますが、ここまでの議論のまとめとして、マテリアル革新力といったものの重要性がますます、マテリアル戦略ができまして、3年たっておりますけれども、高まっているということと、戦略に基づいて、こういう取組をしてきたということ、それから、高品質かつ大量のデータを創出可能な先端設備等を戦略的に進めるということや、新しい最新の研究手法の導入による研究の高速・高効率化を図り、成果の創出を加速するべきこと。また、併せて、これらを下支えする基礎・基盤研究の振興や製造プロセスの開発、人材育成に取り組むというふうに、ここまでの取組の方向性をまとめさせていただきました。
今日の御発表、また、議論の中で述べてきた事柄については、まだ十分反映し切っておりませんので、不十分なもので、案であると思っておりますが、こちらを基にぜひ御意見を賜れればと思います。よろしくお願いいたします。
【高梨主査】 どうもありがとうございました。それでは、まず、論点と検討の方向性、今、事務局から提示されていますが、この位置づけとか、今後の進め方といった、そういった事務的な観点での確認事項がありましたら挙手をお願いいたします。
内容ということではなく、まずこういう進め方とか位置づけについて、これについて確認したいということがございましたら、まずは御質問をお受けしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
特になければ、では、内容に入りたいと思いますけど、実は私も、繰り返しになりますけれど、今日は、論点と検討の方向性、これを整理するというのが主眼だと理解しています。先ほど参事官からもお話があったように、これから2回ぐらいまた、年度が変わってからも、委員会は夏までにはありますので、そこで内容についてはさらに深く御議論いただきたいと思いますけれど、今日のところは、まずはこの論点と検討の方向性がまとめられておりますけれども、論点として例えば不足しているものがないか、あと、検討の方向性としてもう少しこういう方向性があるのではないかとか、そういったような議論を主に、もちろんいろいろ御意見いただければいいんですけども、一応そういうところが今日の議論の主題ということで御理解いただければと思います。
それでは、これから総合討議を始めたいと思いますけれども、論点と検討の方向性、事務局のまとめた資料に関して、何か御意見、特に今、何度も繰り返しますけど、問題点とか不足とかございましたら、特に御意見をいただきたいと思っております。
では、まず折茂委員、よろしくお願いします。今、折茂委員、手を挙げていませんでした?
【折茂委員】 御説明ありがとうございます。論点等、検討に先立つ、もしかしたら現状認識かもしれないのですが、一つ御発言させていただきたいと思います。ナノテク・材料が貢献している分野というのは非常に多岐にわたると思っております。例えば、環境しかり、あるいはエネルギーしかり、量子あるいは情報しかりですね。ナノテク・材料分野の定義にもよるかもしれないのですけど、少し広めにナノテク・材料分野というのを広げるためにも、材料分野が一般的に違う分野だと思われがちな、例えばエネルギーとか、改めて環境とか、そういったところにどう貢献しているかということを一度俯瞰的にまとめるという機会もあってもいいのかなと思っているのですね。
例えば関谷先生からお話いただきました、例えば13ページの、これはCRDSの先生方がおまとめになったと思うのですけど、予算の中で、ナノテク・材料の施策がありますね。その定義をもう少しいろいろと、例えば環境分野にも、そういったところは貢献している、あるいはエネルギー分野にも貢献しているということで、ナノテク・材料が貢献していることをもう少し広く俯瞰的に見ておくことが、今後のこの分野の方向性を考えるときにも重要ではないかなと思えるのですね。
そういった観点で、私から、大変申し訳ない。例えば関谷先生にお伺いしたいのですけど、その定義をもう少し見直す、あるいは広げて考えることで、実はナノテク・材料はもっとこんな分野に貢献しているんだよということが見える可能性というのはいかがでしょうか。
【関谷委員】 誠におっしゃるとおりだと思います。ナノテク・材料、厳密な定義は非常に難しいとは思いますが、かなり広範な、ライフや情報、エネルギー、環境、もう全て、ある意味、ナノテク・材料でもありますので、そう考えると、また一層重要性というのは見えてくるかと思います。おっしゃるとおり、どう定義するかというところが非常に難しいかと思います。この辺りは、加藤先生、馬場先生、この分野を長く引っ張ってこられている先生方からももし何かあればぜひお聞かせいただければと思います。
【折茂委員】 関谷先生、ありがとうございます。例えばジャーナルで分ける、あるいは論文のタイトルで分けるということも必要かと思うのですが、もう少し深掘りをして、こういったところに貢献しているということも広げて俯瞰しておければなとは思って、日頃からちょっと思っております。
すみません。私からは以上です。
【高梨主査】 ありがとうございます。これは確かに、今、非常に重要な御指摘だと思い思いますね。例えば今ここに出ている研究開発費を、では、ナノテク・材料から例えばライフサイエンスだって、情報通信だって、環境だって、エネルギーだって、全部に関わってくるので、これがどういうふうに関わっているのかというのを何かうまく見せられると良いと思うのですが。それは一つの重要な御指摘として、今日は御意見としてお聞きしておきたいと思います。
それを論点と検討の方向性という、この事務局から示されている文章の中にうまく取り入れさせていただければと思いますね。そういう観点といいますか、視点を。だから、確かに現状認識なのかな。あるいは、そうですね。これは事務局のほうで何かありますか。今の折茂先生のお話を。
【宅間参事官】 宅間でございます。ありがとうございます。まさに現状認識のところでそういったところを書けるといいのかなと思っておりました。そのエビデンスデータの一つとしては、第2回の委員会のときの資料に入っておりますけども、JST CRDSから御説明いただいた平成23年の俯瞰報告書に、例えばマテリアル研究開発の俯瞰的構造を整理していただいたような図でありますとか、また、今日は説明で触れませんでしたが、参考資料としてお配りしておりますのが2021年に政府が策定しましたマテリアル戦略の概要でございます。
この中で、政府としてどういう分野の技術を、この中でもマテリアルというのはそもそもいろいろな分野の下支えになる分野だといったところからまず始まっているんですけれども、その上でどういった領域を支援するべきかといったところが参考資料の4ページ目、5ページ目のところにあります、バックキャストから見せたときの必要な技術開発であるとか、5ページ目のほうがフォアキャストから上げられる技術というところでまとめられてもございますので、こうしたものとか、先ほど、さきに言及しましたCRDSの報告書などを基に現状認識のところに加えさせていただけたらどうかなと思いました。
【高梨主査】 ありがとうございます。そうですね。確かに、こういう既に出ているものをうまく利用して、現状認識のところに入れるというのはいい案だと思います。
折茂委員、取りあえずよろしいですか。まだ、もちろん内容についてはこれからさらに深く検討というか、そういう視点を持ちながらこれから検討していきたいと思いますけれど、この論議のポイント、検討の方向性については。
【折茂委員】 ありがとうございます。
【高梨主査】 現状認識のところで、今の折茂先生から御指摘を受けた視点については、しっかりとそこは入れさせていただきたいと思います。
それでは、次は中山委員、お願いします。
【中山委員】 どうもありがとうございます。私から大きくは2点ございます。
まず1点目は、今の折茂委員からの意見にも近いと思うのですが、今後支援すべき研究領域や分野はしっかり考えていかないといけないということです。というのは、DXとか、ARIMを代表とするような共用とか、それは広く研究を加速する方向です。それに対して何にフォーカスして加速していくかというのは本質的なところ。材料なので、横断的なバイオ材料とか、ICTとか、エネルギー、環境とか、あるいは共通の計測の話とかいろいろ出てくるとは思いますが、これからしっかりと考えていくべきと思います。
ただし、先ほど堅達委員から出ましたけど、何になるかも分からないものも大事と思います。それは材料の本質ですね。いろいろなところに使えるというのが材料の重要な視点です。細野先生の成果のように、例えば半導体関連に使っている材料をいきなり触媒に使って大ブレークするような。いろいろなところに使える材料をかなり幅広い意味で考えていくというのは大事だと思います。
また、推進する仕掛け、横断的に材料研究を行う仕掛けも大事です。元素戦略という施策がありましたけど、あれも目的志向が重要ということが強く言われている中で、いかに横断的に研究開発をやろうかと考えたときに、多くの研究者が乗れる話だということで始まりました。かなりの研究者が、実は元素戦略ということなら一緒にやっていけるんじゃないのということになりました。もちろん国益にも直結します。しかも良い研究があるよねというような三方良しでした、そういうことをかなり意識した施策構成にしていました。
それで、その元素戦略の大枠の中で、内局事業と並行して行われたCRESTとかさきがけも相当いい成果が出ていたかと思います。ここでそれをやれと言うことではないですが、このように広く横断的に進めるということも、材料分野では必要ではないかと思います。ピンポイントで半導体とか電池とか、何か言い切りでそこだけにシャープに特化ということだと先細り感もあるので、むしろ太く重厚な材料研究で、我が国のボディをしっかりと支えるというのが大事と思います。現実に支えていますし。それを細らせてはいけないのではないかなと思うのが1点目です。
二点目は、何をやるかというところです。5ページの下のほうでは、経済安全保障のことが書かれていますけど、ここでもまた半導体とか電池とかというのが出てきます。経済安全保障というのは、まさに材料が本丸なのです。材料と部材は表裏であり、それがなくなってしまったらば我が国は食べていけないですし、世界も我が国の部材に非常に期待しています。というか世界の戦略的不可欠性や戦略的自立性そのものになっているということです。例えば戦略的不可欠性という意味では、世界にとって不可欠な材料を我が国としてはしっかり保有し、それで食べていかなければいけないと考えます。部材材料、半導体や電池も含めて、極めて大事だなと強く思います。
不可欠性という意味で、先ほどの代替材料のお話。これは関谷先生から出ましたね。希少金属や希少材料の話、それらもそこに入るでしょう。サプライチェーンの話も戦略的自立性との両論で入るでしょう。そういう話はしっかり議論して、絵を描いて進めていかないといけないと考えます。もう一つ、経済安全保障という意味での大事な柱が戦略的自立性ですが、今度は基盤をしっかり強化するという意味で、DxMTとかARIM等のプラットフォーム、あるいは計測基盤等の話が出てきたりします。私が言いたいのは、経済安全保障の本丸は材料だということと、そこが我が国として、我が国が食べていっているそのものなのだということです。その自負と自覚と、あとは責任感からしっかりとそこには手当てをしないと、我が国は先細ってしまうと思うので、それらをしっかりと書き込むようなものにしていただきたいです。この委員会で大事な案件として取り上げるべきと私としては思っています。
ちょっと長くなりましたが、以上です。
【高梨主査】 どうもありがとうございます。これは私もちょっとここで、具体的なのが量子技術、次世代半導体、電池というのが出て、それで、ナノと書いてあるのだけれども、そこだけに限定してしまうような感じに見えてしまうのはちょっと気になっていて、今の中山委員のおっしゃっていたことは非常に重要だと思うのですが、だから、ここら辺の書き方をやっぱり材料全体、もっとほかのものも含めて、経済安全保障にも、またいろいろなことに対してやはり重要なのだということで、あまり次世代半導体とか電池だけが突出しないような書き方にできればいいかなと私は思っていますが、この辺、書き方を検討したいと思いますけど、事務局、いかがですか。
【宅間参事官】 宅間でございます。御指摘を踏まえて、修文を考えてみたいと思います。
【高梨主査】 どうもありがとうございます。
それでは、次は、順番どうだったかな。すみません。では、菅野委員、お願いします。
【菅野主査代理】 菅野です。今の議論ともつながりますが、材料というのは、今ここに上がっています次世代半導体とか電池とかありますが、環境なども含めて、全ての分野の基盤であるということを一番最初にもう少し強く主張する必要があると思いました。この基盤を確立して、その成功例が、こういう分野があるというような、この取りまとめの書き方の方向性が好ましいと思いました。
方向性として、先ほど参考資料としてのバックキャストとフォアキャストの説明をいただきましたが、このバックキャストとファクスキャストに関しても、かなり重要な、いわゆる世間で言われる重要な分野に特化しているように感じます。したがって、材料としては、このバックキャスト型とフォアキャスト型のミックスしたようなところが多分重要なのだろうと思います。ここも何かうまく将来の方向性を記載する上で、何かやりようがあると思いました。
方向性に関しては以上です。細かいことに関しては、内容に関してはまた後ほど。
【高梨主査】 どうもありがとうございます。今の御意見、修正に生かしていきたいと思います。
それでは、次に加藤委員、お願いいたします。
【加藤委員】 ナノテク・材料の分野は、我が国が強いということで、また、こういった分野というのは、ものづくりという意味で単純でなくて、界面もあり、複合化されており、階層的で、こういうものつくりの分野のところは本当に大事だと思うのです。ここの論点とかにいろいろあるところの、例えばデータ利活用人材の確保とか教育とあるのですけど、例えばどうやるかというのはなかなかないですよね。
それで、例えば、うちの学生などはARIMのいろいろな最先端の電子顕微鏡とか使わせてもらって、入り込んで、そこの技官の人に教えてもらって使いこなす。若い人は物すごく適応性が高いんです。もう使いこなしているんですね。そういったように、データ利活用を勉強しに行くところがないのですよ。だから、例えばそういう場所をつくってもらって、今、マテリアルDXのプラットフォームで、そこに参加している先生とかが所属している大学院生にはいろいろやっておられるみたいですけど、もっと全国的な規模で、例えば学生が勉強しに行くプラットフォームとかあったら良いと思います。
つまり、今、大学というのは、学生が会社にインターンシップに行って、いないのですよ。日本中が。馬場先生のところの学生、関谷先生のところの学生が、今の時期、ちょうどそうで、インターンシップで大学にいないのですよ。もうインターシップに行くのは、また研究室にいないのは先生は慣れていますから、どうせ行くのなら、データ利活用スクールみたいなのをもっとつくってもらって、それで勉強してもらうというのが一つあると僕は思うのです。
例えば、もうプロジェクトでデータ利活用人材をつくってくださいと限定されるじゃないですか。例えば共同研究で来る人とか、そこの研究室の学生だけになりますよね。もっとARIMのような全国的な規模のところで。もう今の先生は研究室にずっといるようにと言いませんから、もうどんどんインターンシップで出かけて行って経験を積むと良いと思います。やはりものづくりの基本をもって、データに飲まれるのではなくて、データサイエンスを使いこなす人をつくりたいですね。自分は教えられないのだけど、ではどうしたらいいのだろうと思うわけですね。そういうセンターがないのですよ。だから、ぜひ文科省でつくっていただきたい。ARIMみたいな、ARIMの中でもいいけど、データ利活用と言っているだけで、じゃあ、どうするの? みたいになっていますよね。
そうしたら、それはプロジェクトに参加している先生とかではなくて、全国規模で、どこの大学でも学生が行って勉強できるみたいなものですね。そうやって基本人材をつくる。1回使いこなせると、やっぱり違う。そういう基盤というか、優秀な先生のところにいる学生だけではなくて、共通化したプラットフォームの教育と思います。例えばそこに学生が自分の研究室のデータを持っていって、データサイエンスのデータとつなげて、いろいろ解析したりできてもいいし、そういうところがあると僕は良いと思いますね。今、ないですよね。何かありますか。
【宅間参事官】 まさにARIM、マテリアル先端リサーチインフラで今年度ですね。
【加藤委員】 やろうとしていますよね。
【宅間参事官】 はい。データ活用人材の予算増を来年度からいたします。データコーディネーターというのを各拠点に、ハブ拠点というところに置きまして。
【加藤委員】 そうですよね。ありますよね。
【宅間参事官】 はい。それがまた、一つおっしゃっていただいたような、データを使いたいけど、どうしたらいいかというような研究者の方が、若手も含めて相談に行けるような場の一つにはなるかなと思っています。
【加藤委員】 ぜひそういうふうなことに。結果的になるのではなくて、どんどんそういうふうに持っていくということで。
【柴田補佐】 ちょっと補足させていただくと、DxMTと、データ駆動型研究の拠点のほうでも、拠点内にとどまらず、最終的にはデータ駆動型手法を全国展開していくというところが狙いになってございますので、その取組の中でセミナーを開催したりですとか、そういった形での知見の共有というところも計画の中にあったりというところもありますので、そういったことを。
【加藤委員】 そこに行ってやると1単位あげるとかね。そういう教育とか、もう一つの学科でできないんですよね。ぜひ、ここに書いてある具体的なそういうのがすごく、研究、教育、学部レベル、大学院の研究レベルあると思いますけど、ぜひやっていただくといいと思います。ありがとうございます。
【高梨主査】 どうもありがとうございます。ある意味、学部教育等もつなげてというような感じかな。
【加藤委員】 そういうのもあったらいいと思いますね。
【高梨主査】 ええ。人材育成のところに何かそういう視点を書き入れられれば、書いてもいいのかなと思いつつ聞いていたんですけど。
事務局、何か。これは関連するところというと、人材育成のところかと思いますけど、何かそこに追記するようなことは考えられますでしょうかね。
【宅間参事官】 そうですね。人材育成のところに、御指摘のところを踏まえて追記ができればと思います。単位に関してはなかなかちょっと書けないかもと。
【加藤委員】 単位、それはちょっと口がすべりました。大学が決めることですけど。
【宅間参事官】 はい。学部生とか、また、若い研究者の方の人材育成という観点でもそういうことをやるべしというような御趣旨と受け止めて、追記するという案で検討してみるのはいかがかなと思いました。
【高梨主査】 大学の教育と連携するというようなことは書いてもいいような気がしますね。確かに。まあ、単位というのは細かい話ですけど。
【加藤委員】 そうです。単位は細かい。すみません。分かりやすく言っただけで。ただ、大学と将来連携していただくと面白いと思います。指導教員の先生が気楽に、「A君、行っといで」みたいな感じで行けて、2か月やって、「楽しかったです」みたいな感じのものをつくっていただいて。「ちょっと役に立ちました」とか。すごく敷居が高くてではないものがいいなと思います。そうすると、日本全国で盛り上がると思います。
【柴田補佐】 すみません。文科省事務局ですけれども、ARIM事業の中でも実際にNIIというアメリカのほうの装置共用のネットワークとかがあるんですけれども、そういったところに実際に学生さんを、2か月ぐらいだったかな、一緒に行って、研修してみたいな取組もございますので。
【加藤委員】 いい例があるのですね。
【柴田補佐】 はい。
【加藤委員】 それがこう、やる気のある、選ばれた人だけではない、普通の教育の感じになって、理工系のナノテク人材は皆一つのリテラシーとして持っているみたいにしたらいいなと思います。
【高梨主査】 ありがとうございます。では、関連するところの文章を少しモディファイすることも検討したいと思います。
ほかにいかがでしょうか。まだ多少時間はございますが、どなたからでも。高村委員、よろしくお願いします。
【高村委員】 北陸先端大の高村です。私が気になったのは、現状認識のところで、我が国のマテリアル産業の相対的な競争力低下が顕在化している、高いシェアを確保している製品についての優位性の維持が課題である、そして、我が国の論文数の国際シェア低下や学会員数減少など、研究力低下も指摘されているのですけれども、この後それら全てをデータ駆動型研究で何とか逆転したいと読めてしまいます。一方で、それが本当に可能なのかどうかがあまり議論されていないような気がします。この読み方は間違っているのでしょうか。
【宅間参事官】 文科省事務局でございます。そういったところを打破する有力な手法として、このDX、データ駆動型研究の推進ということがあるのではないかというのがマテリアル戦略2021年に定められた中で、一つ大きな方針として示されております。それに沿って文部科学省の事業も、データを中心に今、構成をされております。それだけでは不十分なのではないかというのは御指摘のとおりだと思うんですけれども、今現状の、我々の施策だけを見ると、確かにデータ駆動型を主の柱にした事業展開にはなってございます。
ただ、少し目を広げてみますと、様々、材料系の事業においては、データ駆動と離れたところでの素材研究、いろいろなフェーズで、科研費もそうですし、JSTの戦略目標、CRESTだとかさきがけという事業もございますので、また、例えば半導体であれば別の課に、半導体のための材料研究も含めた事業があったりもいたしますので、そういうところで、必ずしもデータ駆動だけにとどまっているわけではないんですが、今、主となる、我々が今、実施している事業については、ここに書かれたような大きな方針から、こういった研究力の低下等を打破するための有力な施策としてのデータ駆動、そこから発生しての事業という形の構成になっていますので、そういうような書き方になってしまっておりますが、そこは御指摘のとおりだと思います。
【高村委員】 そうですね。だから、研究力の低下というのが何に起因するものなのかということと、それがデータ駆動型の研究で本当に覆すことができるのかどうかが、あまりあらわには書かれていない気がします。例えば相対的な競争力の低下というのも、開発期間が今までの方法だと長くて、データ駆動型だと短くなるが、我が国は、そういったデータ駆動型研究にキャッチアップできていないからそうなっているのか。そういった点はどうなのでしょうか。マテリアル革新力強化戦略などの中では触れられているのかもしれないですけれども。
【関谷委員】 私、強化戦略の内閣府のほうで少し関わらせていただきましたので。その視点は非常に重要で、一方で、例えばこういう競争力の中で、論文をたくさん書いたり、それから、次の世代をという、比較的若い人材がいい論文を書くときに、やはり自分で研究費を取ってから、それから、いい研究、世界の研究というと時間がかかってしまうと。一方で、若い研究者がもう既に、例えばいろいろなARIMとかプラットフォーム、世界最先端の設備がそろっているところにすぐに行って、トップジャーナルを書いて、そういう人材を増やしていくことで、基本的には短期に世界に伍する研究ができるという考え方に基づいて、データ駆動型というよりは、NIMSであったり、ARIMがあったり、DICEがあったりと、その3つの機軸を併せてプラットフォーム事業と考えてございまして、一口にデータ駆動というよりは、プラットフォーム事業というような観点では、十分に若手研究者が世界的競争力を上げていく重要な位置づけとなっていると感じております。
【高村委員】 アクセスしやすい最先端装置があって、そこから創出されるデータを活用するなど、データ駆動型の研究をしようと思ったときにその手法をすぐに学ぶことができるということでしょうか。
【関谷委員】 おっしゃるとおりです。それから……。どうぞ。
【高村委員】 どうぞ。
【関谷委員】 それからもう一つは、やはり海外と違って、国内には既に品質の高いマテリアルがあると。これが世界的な競争力を担っており、優位性があるんですが、では、なぜ世界的な競争力優位性がある材料が日本にあるのかというのを、このプラットフォームを通して解析して、蓄積して、そして、新しい素材開発に生かしていくという観点では、国内でしか、我が国でしかできないプラットフォームが既にあると。ここに新しい人材がしっかりと入っていくことで、国際競争力を維持し続け、さらに伸ばしていくというような考え方となっていると。
【高村委員】 そうですね。ぜひ、どうしてこれまでそういう高い国際競争力を有しているマテリアルが日本から生まれたのか、というところも分析していただいて、その競争力を失わないための手だてが果たしてこのデータ駆動型研究だけなのか、そういったところもぜひ織り込んで、今後の方向性を考えていけたらいいと思いました。
【高梨主査】 ありがとうございます。これは結局、いきなりもう現状認識の後にデータ駆動型がボンと出てくるので、そういう印象を受けるんだけれども、データ駆動が重要なことは間違いないんですが、結局、短期、中期という方向性が、まずデータ駆動型になっていて、それから、その後に今後の振興すべき領域であるとか、あるいは研究開発力の強化、もうこれが全てなんだけれど、あと人材育成ですね。それが後のほうで長期として出ているんですよね。これは短期・中期と長期の分け方というのは、私はあまり今まで気にしていなかったんだけれど、ちょっと事務局にお伺いしたいのは、この分け方は何か。
【宅間参事官】 ここの短期・中期という分け方にこだわるものではございません。あくまでも、前回お示ししたときに、論点を整理するときに、短期・中期の論点と長期の論点とお分けして出したので、今回はその資料を肉づけする形で議論を進めさせていただいたほうがいいのかなと思って、こういう形の案にはしましたが、ただ、最後の仕上がりのことを考えれば、この短期・中期の柱にこだわるものではないので、柱立ても変えていただくのは全く構わないと思っております。
【高梨主査】 ありがとうございます。高村先生、だから、これはそういう分け方になって、こういう順番になって、こうなっているんだけど、あまりこう、どちらかというと、これは長期というと、何となく、まだ先でもいいと言ってはなんですけど、そんな気にもなってくるのだけれど、そういうことでは決してなくて、むしろ全体的な重要なことはそういう長期のところでも出ているということもあるので。そこら辺の見せ方の問題ということにもなりますけれども、中長期、短期・中期と長期という分け方をあまりここではしないで、そこは取っ払ってしまって、重要なこととして整理していくのが良いのかなと。その中の一つの重要なことがデータ駆動型だという、そういうような見せ方にできるかなと思ったんですけれど。いかがでしょうかね。
【高村委員】 分かりました。ありがとうございます。
【高梨主査】 そういう観点も検討してみたいと思います。ありがとうございます。
もういっぱい手が挙がっていて。では、武田委員、お願いします。
【武田委員】 武田です。これまでの議論での取組の方向性に関して、一つ重要なのは、社会実装の加速ということが挙げられると思います。これは長い間叫ばれてきましたが。結果として、十分な社会実装できないがゆえに、産業競争力がもう一つ理想像に届いていないというようなところがあると思っています。
それで、これまで研究をどう強化するか、研究にどう取り組むかということを中心に議論されていて、それも非常に重要なことですが、社会実装という視点から、逆の方向性として、社会実装側からのテーマ設定とか、プロジェクトの設定、そして、研究テーマの公募というものも非常に重要だと思います。
つまり、マーケットインの考え方と言えるかも知れませんが、そちら側からのテーマ提起を行った上で、研究者側がそこをめざし、目的として研究していくというところも非常に重要ではないかと思っています。日本は、研究の実力自体は非常に高いものであると思うのですが、それが産業のほうに十分に結びつかない面があるのではと思います。やはりテーマ設定の時点で、優れた能力を持った研究者が社会実装に向けては遠回りをしていることが起こっているのではないかと少し私は懸念しております。社会実装を加速する仕組みも取組の方向性の一つとしてあってもいいのではないかと思いました。
【高梨主査】 どうもありがとうございます。社会実装に向けてのところの取組の在り方ですね。論点としてはよろしいでしょうかね。そこを、何か付け加えたほうがいいとかございます? 今のは重要な御指摘だと思うんですけれど、この社会実装というものに対する論点、今後はそこら辺の内容について深めていくということで。
【武田委員】 そうですね。例えば研究テーマ設定では、通常はどうしても研究者主導で行いますよね。それを否定するわけではないですが、社会ニーズのほうからの研究設定、研究テーマ設定というのがあってもいいのではないか、そういうことをやったら社会実装が加速されるのではないかという考えです。
【高梨主査】 ありがとうございます。一応今までもそういうプロジェクトはないわけではないと思いますが。何か事務局からコメントありますか。
【宅間参事官】 ありがとうございます。社会のニーズという意味では、例えば先ほど研究しましたマテリアル戦略の中のバックキャスト型ということで、政策として、例えばこういう社会の実現が必要だという中から導き出された、支援するべき技術というのが定められています。この内容というのが、私どものやっているものであれば、データ創出活用型のマテリアル研究開発事業の拠点の採択の際に、こうして社会像に貢献するものということで公募をした上で、採択するというような形で反映されていたりするところでございますけれども、今、武田先生がおっしゃったところというのは、よりもっと社会のニーズと研究側との、研究側のシーズをもっとすり合わせるような仕組みが必要ではないかということかなと思いましたので、今やっていることでは十分、先生の問題意識に応え切れていないのかなとは思いながらですが、今こうした形で事業に社会のニーズを反映させるということをどういうふうにしているかといったところでは、今御説明したとおりでございます。
【関谷委員】 関谷ですけど、1点、私もよろしいですか。私も社会実装のところ、非常に重要な視点だと考えていますし、やはり文部科学省が進める視点からも重要と。そのときに、2ページ目に書かれている、「産業界が必要とする国としての取組」、「スタートアップや大学・研究機関開発ベンチャー」とありますが、まさにスタートアップは実装であり、それから、社会に求められないと結局、スタートアップはあっという間に潰れてしまいますので、このスタートアップやベンチャー創出というのがもうまさに社会実装を加速する一つの仕組みになっていて、では、ここをどう、何がボトルネックかというと、やはりアントレプレナー教育といいますか、本当に社会の本質的な課題を見抜いて、それに取り組める人材育成というところがまさにボトルネックであろうと思いますので、私の見方とすると、武田先生おっしゃられるとおり、社会実装の加速という文脈の中では、もうこのスタートアップをいかにつくっていくかという仕組みそのものを強化していくというところをより明確化できればと思います。
以上でございます。
【加藤委員】 加藤ですけど、関連でよろしいですか。
【高梨主査】 はい。大分時間も来ていますので、ちょっと手短にお話しいただければ。
【加藤委員】 いいですか。ありがとうございます。それで、今、話を聞いて思い出したというか、私の留学先の先生が、フレシィエ教授と言って、日本国際賞をもらわれたのですけれど、今、使われている半導体の化学増幅レジストの仕組みを見つけた人なのですね。その先生がいたから、今の半導体があるのですが、なぜそうなったかというと、サバティカルで大学からIBMに行ったからです。IBMの技術者のニーズを知って、彼らの技術と融合したからできたのですね。日本はそういう仕組みがなくて、例えば日本のトップ研究者が日本の、例えばユーザーの車とか電気メーカーに3か月行くとか、1年行くとかないですよね。だから、そういうのも一つ、自分の師匠がそうだったので思い出したのですけど。今、皆さんが使っている化学増幅レジストからできた半導体、今、何十兆の市場ですけど。企業に大学の先生が行って、1年ぐらいいて、ニーズを勉強して共同研究できたので、そのようなことが起こっています。そういう仕組みも何かあると私はいいと思います。
以上です。
【高梨主査】 どうもありがとうございます。非常に重要なお話だったと思いますが、これはちょうど今ここ出ていますけど、「産業界が必要とする国としての取組について」、ここら辺のところの文章を委員の方々の御意見を踏まえて、少しこれは追記できるかなと思いますので。あと、人材育成のところでちょっと追記できるかというところもあるかもしれませんが、これは事務局、そういう方向で検討するということでよろしいですね。
【宅間参事官】 承知しました。
【高梨主査】 よろしくお願いします。
それから、では、大分時間も来ていますので、馬場委員、菅野委員から今、手が挙がっています。この順番で、すみませんけど、手短にお願いできればと思います。
まず、馬場委員、よろしくお願いします。
【馬場委員】 名古屋大学の馬場です。手短に。先ほどの高村委員の御指摘は、非常に重要だと思うんですが、前回、マテリアル革新力戦略を立案するに当たって、その辺、随分議論した記憶はあるんですが、あまり覚えていないんですが。もう一度その観点は議論して、本当の我が国の競争力を向上させるために、マテリアルDXプラットフォームだけではもちろん足りないと思うんですが、今のマテリアルDXプラットフォームの施策に加えて何が必要なのかというのをまた御議論いただく。私自身ももちろん参加しますが、重要だなと感じました。
それから、ナノテクノロジーを始めたのが20年前ぐらいで、先ほど関谷先生からも御指摘ありましたけど、その頃はナノテクノロジーというと、マテリアルの人からは、私はマテリアルで、ナノテクはやっていませんよというが人たくさんいたんですね。ところが今は、もうマテリアルの中のナノ構造とかナノ表面で、皆さん、やらざるを得ない状況になってきていて、ナノテクノロジーとマテリアルは、ある意味、もうほぼ一体化していると。
マテリアルDXは、多分そのときのナノテクノロジーの状況と似ていて、材料はやるけど、DXはあまりやったことないよと。私の研究室もそうですが、それが先端の先生方の努力で普及することになったときに、では、その次、何をすべきかというのが、長期の課題のところにも書いてありますが、非常に重要だなと。
そのときに、さっき中山委員も言われた、元素戦略はそういうのに比べると非常にマテリアルの人に親和性が高いターゲット、みんな分かりやすいターゲットだったので、この間の議論で、そういうものがうまく次の施策として見えてくると、非常にマテリアル領域への求心力も高まるし、求心力が高まれば、人材はきっと。そんな簡単にはいかないですかね。集まるのではないかと期待できるので、そういうところを皆さんとまた議論できればと感じました。
以上でございます。
【高梨主査】 どうもありがとうございます。
それでは、菅野委員、お願いします。
【菅野主査代理】 菅野です。2点だけ少し述べさせていただきます。
1点は方向性というか、これは長期、次の課題というのを議論するに当たって、次の課題を議論するに当たっては、今現在のDXとかARIMというデータを活用するというのは、もう通常に拠点などはできています。そういう手法ができたという状況になっている。では、それを広げるにはどうするか。小さい組織に広げるにはどうするかというのは少し考える必要がある。そこに人材育成も、教員と技術者の振り分け、いろいろな課題を合わせて、より細かな組織に広げるやり方を何か施策として考えることができないかというのが1点。この手法は実験方法、自動化もありますし、前回少しお話ししました科研費などと組み合わせるというような方向もあるのかなと思いました。それが1点。
2点目は、今現在、強い分野をどのように伸ばしていくかという、強い分野を伸ばしていくという議論があまりないように思います。したがって、今、強い分野をどのように保って、産業もどのように強いのを維持していくか。それに対して、学がどのような役割を担うべきかという議論がない。そこには多分、経済安全保障の議論も入ってくると思います。このような観点からの議論があまりないので、ここは少し何か手を打つべきと思います。
以上、2点です。
【高梨主査】どうもありがとうございます。非常に重要なご意見で、私も強い分野をさらに強めるというか、そういう観点がちょっとあってもいいなと思っていました。衰えてきているような、そういうような話がやたら強調されているような感じもありますので。
ありがとうございます。活発な御議論、本当にありがとうございます。もう予定の時間、ちょっと過ぎてしまいましたので、本日はここまでといたしたいと思います。いただいた御意見を事務局にて取りまとめまして、この論点と方向性の修正案を委員の皆様にお諮りした上で、一応この年度の一つの結論、結論というとちょっと言葉に語弊があるかもしれませんけれど、論点と方向性というものの文章を今年度内にまとめておきたいということで、皆様に修正をお諮りした上で決定したいと思います。
もし、まださらに追加の御意見がございましたら、事務局宛てにメールをお送りいただきますようによろしくお願いいたします。
なお、最終的な調整は委員長に一任していただければありがたいと思いますが、よろしいでしょうか。
特に御異存がなければそのようにさせていただきます。ありがとうございます。
では、続いて、議題2、「その他」に移りますが、事務局より御説明お願いします。
【柴田補佐】 事務局の柴田でございます。長い時間、御議論ありがとうございました。先ほど主査からお伝えいただいたとおりですけれども、時間の都合上、お伺いできなかった御意見につきましては、後日、メールで紹介させさせていただきます。また、委員の皆様の御意見を踏まえて、論点と方向性の修正案を作成し、主査と御相談の上、皆様に共有させていただきます。
また、次回のナノテクノロジー・材料科学技術委員会につきましては、先日、メールにて日程照会させていただきましたので、未回答の先生がいらっしゃいましたら、また回答のほど、どうぞよろしくお願いいたします。詳細につきましては、追って事務局より御連絡させていただきます。
また、最後になりますが、本日の議事録につきましては、事務局にて案を作成し、皆様にお諮りした上で、主査に御確認いただいた後、最終的にホームページにて公開いたします。
以上です。
【高梨主査】 ありがとうございます。よろしいでしょうか。皆さん、大丈夫ですね。
それでは、大分時間も過ぎてしまいましたけれども、本日のナノテクノロジー・材料科学技術委員会、これにて閉会させていただきます。どうも長い間、御議論ありがとうございました。どうもお疲れさまでした。
―― 了 ――