第11期ナノテクノロジー・材料科学技術委員会(第6回)議事録

1.日時

令和4年7月22日(金曜日)10時00分~12時00分

2.場所

Web開催

3.議題

  1. 研究開発課題の事後評価について
  2. ナノテクノロジー・材料科学技術の最新動向(2-1 第 8 回マテリアル革新力強化戦略有識者会議について/2-2 政策研究大学院大学 林教授より「研究開発プログラムの開発・評価に資するエビデンス構築の研究」の御紹介)
  3. 令和5年度概算要求の方向性【非公開】
  4. 分野別研究開発プランについて
  5. その他

4.議事録

【高梨主査】おはようございます。主査の高梨でございます。
 定刻過ぎましたので、ただいまより第11期ナノテクノロジー・材料科学技術委員会の第6回を開会いたします。委員の皆様方におかれましては、大変御多忙のところ、御出席いただきまして、どうもありがとうございます。本日は、新型コロナウイルス感染症対策の観点ということで、前回に引き続き、オンラインでの開催となっております。もともと対面とオンラインのハイブリッドで開催する予定でございましたが、昨今の感染の拡大を受けまして、完全オンラインということで、急遽変更させていただきまして、対面で参加される御予定だった委員の方々には大変御迷惑をおかけして、申し訳ございません。私自身も一部の参加者と久々に対面でお目にかかれることを楽しみにしておりましたけれども、今回はおあずけということで、次回以降の楽しみにしたいと思います。それでは、まず事務局から本日の会議の流れの説明をお願いいたします。よろしくお願いします。

【江頭参事官】文科省参事官の江頭でございます。本日はよろしくお願いいたします。先に、事務局よりメンバーの変更がございましたので、参事官の私から御紹介させていただきます。今、画面の左側に映っている彼は、新たに補佐に着任いたしました生方です。どうぞよろしくお願いいたします。それから、一番右端が、係長で着任した河原崎です。どうぞよろしくお願いいたします。紹介は以上でございます。

【生方補佐】それでは、本日の議事の確認にまいります。改めまして、7月8日付で参事官補佐に着任いたしました生方と申します。今後どうぞよろしくお願いいたします。それでは、まず、委員の出欠確認でございます。本日は、尾崎委員、菅野委員、納富委員が御欠席です。また、当省より江頭参事官、永野技術参与が出席しております。続きまして、資料の確認でございます。資料につきましては、本日、資料1-1から資料3-4まで、また、参考資料として、参考資料1と2を配付してございます。万が一、欠落等ございましたら、議事の途中でも結構でございますので、事務局までお知らせください。続きまして、会議の流れでございます。本日は、議題1といたしまして、研究開発課題の事後評価として、ナノテクノロジープラットフォームの概要について、事務局から御説明し、事後評価案について、当該事業の事後評価検討会の主査である中山委員より御説明いただき、皆様に御議論いただきます。次に、議題2といたしまして、ナノテクノロジー・材料科学技術分野の動向として、6月24日に開催されましたマテリアル革新力強化戦略有識者会議の御報告、また、政策研究大学院大学の林教授より、「研究開発プログラムの開発・評価に資するエビデンス構築の研究」について、御紹介いただきます。また、議題3といたしまして、令和5年度概算要求の方向性として、事務局から御説明の後、御議論いただき、続きまして、議題4といたしまして、研究計画・評価分科会より策定依頼がありました、分野別研究開発プランについての事務局案の御説明と、御議論をいただければと考えております。なお、議題3につきましては、概算要求に関わる内容となりますので、本委員会の運営規則第5条第3号の定めにより非公開とさせていただきたく、御提案申し上げます。

【高梨主査】ありがとうございます。事務局の提案どおり、議題3は非公開とさせていただきたいと思いますが、皆様、よろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
ありがとうございます。では、皆さん、異議がないということで、そのようにさせていただきたいと存じます。では、生方補佐、またよろしくお願いします。

【生方補佐】ありがとうございました。それでは、議事3につきましては、非公開議題とさせていただきたいと思います。なお、この議事3につきましては、非公開議題といたしまして、傍聴の皆様には一度御退席いただき、再度御入室いただく形を取らせていただきますことを御了承願います。次に、オンライン会議の進め方でございます。本日は、オンラインでの開催となっておりますため、回線負担の軽減や雑音防止の観点から、御自身の御発言時以外はマイクをミュートにしていただくとともに、ビデオもオフにしていただきますようお願いいたします。また、御発言を御希望いただく際は、挙手ボタンにて御発言の意思を表明ください。御発言の際は、議事録作成の関係上、お名前をおっしゃってから御発言いただきますようお願いいたします。それでは、高梨主査、議題の進行をお願いいたします。

【高梨主査】どうもありがとうございます。それでは、議題1の研究開発課題の事後評価についてに入りたいと思います。本件につきましては、平成24年度から令和3年度までの10年間実施されました、ナノテクノロジープラットフォームについて事後評価を行うものでございます。既に外部有識者からなる事後評価に係る検討会を開催し、事後評価票案を作成いただいておりますので、当該事後評価票案について御報告をいただきまして、本委員会において質疑応答、討議を行い、事業評価票案について検討、取りまとめを行いたいと思います。取りまとめた事後評価票案については、研究計画・評価分科会への報告を経て決定となります。
 なお、参考資料1の第11期研究計画・評価分科会における研究開発課題の評価についてというのがございまして、ここで、分野別委員会等で利害関係者の範囲について明確に定めることとされています。当委員会の利害関係者についても、研究計画・評価分科会と同様の範囲である、評価対象課題に参画している者、被評価者、実施課題の代表者と親族関係にある者、利害関係を有すると自ら判断する者、それから、分科会において評価に加わらないことが適当であると判断された者とさせていただきたいと思いますが、異議ございませんでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
どうもありがとうございます。では、御異議ないようですので、そのようにさせていただきます。本日御出席の委員のうち、高村委員、それから、馬場委員については、本事業に参画されておりまして、利害関係者に当たると考えられますので、評価に関わる御発言は控えていただければと存じます。では、事後評価票案の御報告の前に、まず事務局から当該事業の概要について御説明をお願いしたいと存じます。また、事後評価票案については、本事業の事後評価検討会の主査である中山委員より御説明を続けてお願いしたいと思います。それでは、まず、事務局より事業の概要について説明をお願いします。

【小椋調査員】本事業の事後評価の担当をさせていただきました文部科学省、ナノ材の小椋と申します。まず事務局から本事業の事業趣旨について説明させていただきますナノテクノロジー・材料科学技術関連に伴う施策の中で、大きなカテゴリーとしては、未来社会を見据えた先端基盤技術の強化という大目的になります。その中で本事業は、この一番右上に当たりますナノテクノロジー・材料科学技術を支える基盤の強化・活用という事業の中にカテゴライズされまして、ナノテクノロジーに関する最先端の研究設備と、その活用のノウハウを有する機関が協力して、技術領域に応じた全国的な設備の共用体制を構築するとともに、産学官連携や異分野融合を推進するというプロジェクトでございます。なお、本事業の後継としてマテリアル先端リサーチインフラが昨年度から発足しております。続いてナノテクノロジーのプラットフォームの発展の経緯と事業概要になります。今日御審査いただくナノテクノロジープラットフォームは第3期に当たりまして、まず第1期のナノテクノロジー総合支援プロジェクトが5年、第2期がナノテクノロジーネットワークが5年、その後継として、10年の期間で、予算総額、約317億円という事業で行いました。こちらの主な特徴といたしましては、3つのプラットフォームを形成しております。まず11機関からなる微細構造解析プラットフォーム、16機関からになります微細加工プラットフォーム、10機関からなります分子・物質合成プラットフォーム、3つのプラットフォームを形成して事業を進めてまいりました。参画機関は、中間評価等を受けて再編成等も行っておりますが、全国25法人、38機関ということで、このような大学、また、研究機関に実施していただいております。先ほど申しました微細構造解析プラットフォーム、微細加工プラットフォーム、分子・物質合成プラットフォームに関しましては色分けしているような機関が担当しておりました。事業の目的といたしましては、ナノテクノロジーに関わる最先端の研究設備とその活用のノウハウを有する機関が、緊密に連携して、全国的なナノテクノロジーの研究基盤を構築することにより、産学官の多様な利用者による共同利用を促進し、個々の利用者に対して問題解決の最短アプローチを提供するとともに、産学官連携や異分野融合を推進するものというものです。その中で目標といたしましては、主に利用機会が均等に開かれ、高い利用満足度を得るための研究支援を行うこと、産業界の技術課題の解決に貢献すること、また、利用者の研究能力や技術支援者の専門能力の向上を図るという目標で行ってまいりました。各技術領域について、微細構造解析プラットフォームでは、主に材料の透過型電子顕微鏡やX線などを使って、材料のナノメートルのレベルから材料の中身の構造を解析するということで、組成や電子状態、または電位分布等の構造を解析するというチームになります。また、微細加工プラットフォームでは、主に半導体等のエッチングやパターニング等などの、いわゆる微細なナノレベルオーダーからの微細な加工を行うようなチームとなっております。分子・物質合成プラットフォームでは、ポリマー等や有機物質などの、いわゆる物質の合成を利用者へ提供するというプラットフォーム。このような3つのプラットフォームを構成して、事業を行ってまいりました。また、各プラットフォームに代表機関を設けまして、まず代表機関が各プラットフォームをきちんとまとめ、各プラットフォームの実施機関、実施責任者とともに各大学・機関ごとに、適切に運営するという業務方針となっております。それに加えまして、3つのプラットフォームを取りまとめる機関として、センター機関を設け、3つのプラットフォームの連携を推進や、外部共用事業の計画などの調整を行い、事業全体を取りまとめる役割としてNIMSが採択されました。運営体制といたしましては、プログラム運営委員会を設けまして、これまで10年にわたって、田中PD、大泊PD、佐藤PDの3名のPDで運営していただき、また、POは、永野POと田中POが10年、御担当いただきました。専門委員は10年間の中で入れ替わりがございますけども、最後の最終年度には5名の専門委員の方々から御意見をいただきました。このようなプログラム運営委員会での内容は、その都度PDペーパーを発行するということで、適切に運営を行ってまいりました。また、各プラットフォームが開催する年2回のシンポジウム等も運営委員会等によって状況を把握したり、コロナ禍以外におきましては、年2回でPD、POが全機関を訪れるサイトビジットを実施したりして、各機関の取組を把握しております。このような事業はナノテクノロジープラットフォームから、現在進行しておりますマテリアル先端リサーチインフラ事業に引き継がれております。
以上が事務局からの趣旨説明になります。どうもありがとうございました。

【高梨主査】ありがとうございました。では、続けて、中山委員から、事後評価票案についての御説明をお願いいたします。

【中山委員】中山でございます。私は事後評価委員会に出席してまいりましたので、評価者の代表として御説明させていただきます。事務局からの説明の達成のみならず、いかに高みに登るかを考えて、事業が推進されてきたかという内容でございます。事業の概要については説明を省きます。研究開発の必要性等も今の御説明と重複するため、先へ行きます。事後評価票の御説明でございます。最初はこの事業の位置づけでございます。大目標というのは科学技術の重要性で、中目標にはナノテクノロジー・材料分野の必要性が書いてあります。その中で、研究開発の企画・推進・評価を行う上での留意すべき推進方策のところですが、当分野における最先端設備の有効活用、今後を見据えた更新・導入及び相互のネットワーク化を引き続き促進するということで、この施策をしっかり進めなさいということが書かれています。次の客観的な状況のところには、利用件数や特許の出願数等が書かれています。3ポツからが本論になります。まず、(1)は事業の説明です。研究インフラを基盤とする研究環境を定着させ、我が国における新たな研究文化の発展に資することをビジョンに掲げ本事業が推進されました。利用件数は年間約3,000件で、定着・拡大していることが認められます。また、新型コロナウイルスで多少落ち込みましたが、利用者のセーフティーネットとして、なかなか実験ができない中で、しっかりと研究者に寄り添う形で研究開発を支える活動をしています。また、利用料収入は全体で約7億円、あと自主運営部分も加えると約10億円になるところまで達成されています。利用者からの支持を得た結果だと思います。利用者は各年代でほぼ均等とのことでございます。また、論文数、特許数等も見ていただくと、かなり多くの数が出されています。産業界からの利用によるものについては、実用化や製品化につながった事例も多くございました。最先端研究への支援だけでなく、イノベーション創出にも貢献していることが見て取れます。これらの結果から、各プラットフォームの代表機関及び実施機関間の連携体制がよく機能しており、形成された技術的・人的ストックを核として、利用者の利便性の向上が図られてきた結果であると認められます。本事業の前の施策であるナノテクノロジー総合支援プロジェクト、ナノテクノロジーネットワークからの継続性もしっかり担保された上で、新たな取組の工夫がなされているということでございます。どんどん進化しているということが表されています。そのページの下のほうに、人材育成のことが書かれています。特に技術スタッフの育成は非常に大事にしています。さらに、使いに来る方々、学生や若手の研究者の皆様へもしっかりと手厚いサポートがなされています。研究開発に伴走する、一緒にやるということと同時に、その育成、高みに登っていただくということもしっかりと考えた運営がなされています。また、技術研修とか講演会、講習会ですが、これらはプラットフォーム間を横断して、相互提供するようなことが行われています。また、ここで働く技術スタッフのインセンティブにも非常に気を配っており、職能名称の付与や、スキルの標準をしっかりと定義した上で審査して各種の資格を付与したり、あるいは表彰したり、そのようなモチベーションアップの施策が多く取られています。研修も多くなされています。海外研修に行ったり、アメリカ等の類似の取組があるところに行ったり、そのような運営に役立つような取組がなされています。本事業は、大学での共用システム構築や、制度改革にも一定の貢献がなされております。この施策が始まるまでは、利用料金を取り、そこに人が集まり、そこで相乗効果を発揮して相互に発展していくというモデルはなかなか想像しにくかったのですが、そういうモデルが動き出しています。それは他の事業の参考となったり、文部科学省の先端研究基盤共用促進事業等でもこの仕組みが採り入れられたり、参考にされたりする形で展開されています。また、令和3年度には、研究設備・研究の共用推進に向けたガイドラインというのが文部科学省から出ております。これは本事業をつぶさに見ていただいた上で書かれています。このガイドラインを基にして、各大学や研究機関がまたこのような費用対効果が非常に高い、あるいは相乗効果が出やすいような取組を行っていくことができます次は個別のプラットフォームの話です。最初は微細構造解析プラットフォームです。これらは計測・分析設備群が中心です。この事業の中では一番分かりやすいプラットフォームかもしれません。11機関で構成されており、当初の目標では約600件の利用を想定していました。25年度には900件ぐらい、さらには1,000件近くで推移しておりまして、予定よりも多くの利用数を集めています。外部共用率は30%以上を想定していましたが、40%から50%台に達しております。また、その中での企業の利用率はおおむね30%ぐらいに達しています。難易度の高いサンプルの調整や測定画像の解析など、各種サービスを提供することによって全国のアカデミアと産業界からバランスよく利用者を獲得しております。各地の大学における他の共用システム、公設試験機関、さらには民間の分析会社とも幅広い連携を取り、Win-Winの体制を構築するということを、かなり重視して運営されてきたと思われます。また、オールジャパンで微細構造解析を支援していく仕組みを構築することで、技術スタッフの能力向上、我が国のナノテク・材料分野の研究開発力の向上にも取り組まれています。本プラットフォーム全体としては、マシンタイムや対応する技術スタッフのマンパワーの点などから、約1,000件の規模が上限であり、そのラインを越えては、なかなか受け入れられないところまで来ております。よって、量を稼ぐというよりは質を高めるという方に注力がなされています。そういう観点で、(1)、(2)、(3)のことが行われています。まずは、イノベーション創出・産学官連携・異分野融合へ向けた利用課題の促進です。異分野融合や横断的な取組にかなり重きを置いて推進されています。また、利用報告書を公開するものから非公開利用まで、各種の形態で取り組まれています。特に企業等に対しては、成果を非公開にし、場合によっては共同研究して、一緒にいいものをつくり、外に出していくというところまで一緒にやるようなところにも踏み出しています。また、世界トップレベルの研究成果の創出という観点で、サイエンスの良い成果が出そうなところに対しては、当然ながら注力しています。その下の結果としてというところですが、先ほども申しました通り、新型コロナウイルス対応で、遠隔やリモートによる測定支援、そのための測定環境構築のようなことにもいち早く取り組み、先駆的な取組であったと評価されるところでございます。次が微細加工プラットフォームです。ナノ・マイクロ加工の研究開発環境を16機関で提供しております。目標は1,000件から1,200件ぐらいだったところ、おおむね1,300件台ぐらいで推移しています。特にこのプラットフォームは、外部共用率が極めて高く、65%以上です。また、企業の使用も40%以上ということで、外の研究者や企業にもしっかり開き、それらが交わって相乗効果が出ているという理想的なモデルが構築されていると思います。産業界からも高い支持が得られています。また、装置を有していない研究者や企業に対して、高度なリソグラフィ技術とか、加工プロセス支援や、マイクロマシン・センシングとなど、各種の支援をいたしました。また、若手研究者、技術者の育成にも貢献いたしております。また、利用料収入も確実に増加傾向を示しております。あとは、オープンな研究開発プラットフォームとし、共用文化の醸成を促進いたしました。設備共有と技術支援を起点とするイノベーションエコシステムの形成を牽引したと言えると思います。また、こちらもコロナの話ですが、研究活動の停滞が余儀なくされた地域・地方の利用者に対しても、全国でそれらをカバーして融通するようなことをいち早く繰り広げ、タイムリーにサービスを提供するなど、丁寧な対応がなされています。次は、分子・物質合成プラットフォームでございます。これは世界でもあまり例を見ないもので、挑戦的な取組とされたところです。ここには書かれていませんが、この取組が逆にアメリカ等の類似の共用の施策でまねされているなど、挑戦的だったと思います。11機関で運営がなされており、600件ぐらいの目標に対して、おおむね同程度の利用数で推移しています。また、5年ぐらいの時点で、おおよそマシンタイムや技術スタッフの対応が飽和し、これ以上数は伸ばせないということで、やはり質のほうに重きが置かれています。そのような中で、幅広い研究課題の支援がなされています。物質合成、材料作製、バイオ材料への対応など、そのような多様性が売りというか、特徴になっています。物質合成の支援というのは、やや利用者にとってなじみにくいということが次に書かれています。この事業で設置した「秀でた利用成果」という表彰があるのですが、最初はなかなか人が集まらなかった中で積極的な広報を行い、全部で51件の表彰のうち、このプラットフォームの利用成果が19件あります。その中で半導体から化学、薬品、生命科学、生理学など、非常に多くの多岐にわたる案件の表彰がなされていて、このバリエーションの広がりもこのプラットフォームの特徴かと思います。次はセンター機関です。全体を束ね、3つのプラットフォームの代表機関と協力し、横串の活動を行うところでございます。プラットフォーム全体の利便性の向上、ポータルサイトの運営、共用設備データベースの公開、新規利用者の開拓、若手利用者に試行的に使ってもらう制度、アンケートの取りまとめ、技術スタッフの交流プログラム等々、多くのことが行われています。また、運営責任者会議もここで主催し、各プラットフォームや全体をどうするかということをここで議論し、一体感の醸成も図られています。また、産学官連携推進マネージャーと称する方々を全国に展開し、多くの研究者や企業にアクセスして利便性の説明や試行的な使用の促進などしていましたが、これらの評判も非常に高いものでございました。また、皆様御存じのナノテクノロジー総合支援シンポジウムでございますが、ビックサイトで毎年開催されております。これもこれまで十数年にわたって、このセンターで主体的にやっていただきました。そういう意味では国際的なフィージビリティに相当な貢献をしたものだと考えます。その下には学生の研修プログラムの記載がございます。これは海外への学生の派遣や、先端共用施設・技術プラットフォーム展望調査ワーキンググループを立ち上げ、報告書を取りまとめてナノテクノロジー・材料科学技術委員会に報告するなどもしています。続いて、必要性の中の、研究設備の共用体制維持への評価です。明確な運営理念に基づき運営され、事業目的にふさわしい規模の利用者数及び活動内容を実現したと思います。また、10年間を通じて大学や企業などバランスよく利用されていたことは高く評価できます。さらに、プラットフォームが提供する装置や技術を、組織的によくマネジメントし、利用率の向上が図られ、利用件数と利用料収入によく反映されています。後半期は支援の質の向上に力を入れたということに対しても高い評価がなされています。本プラットフォームが起点になった機関内外の横断的取組が促進された点は大いに評価されます。横断的取組あるいは横断融合に関することで、成果に新たな付加価値をつけていくことが、今の科学技術の推進に当たって強く求められることかと思います。次の大学のシステム改革に対する評価で、本事業が基となり設備共用に対する意識が高まり、多くの大学等による共用システムの改革を促進しました。これもこの施策が始まるまでは、共用と言うは易いがなかなかできないというところが、本当にエコシステムのように転がり始め、各大学も真似しながら、より良いシステムが各所で構築されていったということは評価なされるべきであろうと思います。次は人材の育成です。これもおおよそ説明しましたが、多様な人材育成システムが構築されていること、また、若手の育成もしっかりと意識していること、さらに人材育成の効果が表われてきたことは評価されるべきと思います。また、海外研修の話もここにもう一度再掲いたしております。次は有効性です。大学等の研究力の質・量の低下への対応ということで、昨今言われているように、我が国の研究力を向上させるための成果が出ましたかという内容でございます。装置を有さない研究者と技術スタッフが連携して最先端の研究機器を使用しながら、多くの研究課題を遂行したということは我が国の研究力の底上げに大きく貢献したのではないかと評価がなされます。一つの例でございますが、トップジャーナルへの投稿とか、引用度数などの観点でも高い水準で推移しているということは、一つの指標ではございますけど、評価できることであろうと思います。次の企業との連携・イノベーションの推進に対する評価ということで、産業界からの利用が全体の30%を占めるということは十分評価できることではないかと思います。また、アカデミアとしても、産業界の皆様との相乗効果が生まれているということも見て取れました。また、企業さんが使うと多様な要望が想定されますが、そういうことに対してもフレキシブルに対応できているということもこの技術スタッフの実力が非常に高くなってきているということで、十分な成果も出ていると思います。次の効率性です。3つのプラットフォームの取りまとめ機関としてセンター機関を設置することで、全体の一貫した知見の共有の体制ができています。また、窓口もしっかり機能し、連携を促進するための取組がここでなされていました。(2)で科学技術・イノベーション基本計画等の上位施策への貢献状況ということですが、これは簡単に説明いたします。本事業によって大学や国研等の研究インフラの効率的・効果的な利用の仕組みが整ったことで、基盤的な研究開発力の強化が図られ、ひいては、我が国の産業競争力の強化にも貢献したのではないかという内容でございます。次は、産業の話です。ベンチャー・中小企業・地方大学を含む多くの研究者・技術者が利用できる仕組みを設けたということは、上位施策への大きな貢献がなされたということではないかと思います。次が結構面白いのですが、OECDが策定した報告書というのがあり、各国が良い事例を持ち寄ったり、さらに如何に良くしていくか等が話し合われたりする中で、その報告書の中にこの施策が取り上げられています。我が国の代表的な好事例ということで挙げられています。また、文科省のSciREX事業という「政策のための科学」を推進する事業ですが、ここでも調査分析のケーススタディとしてこの施策が取り上げられ、そこでも分析がなされ、外部に公開もされています。このように、外部からも各種の評価が得られています。次が中間評価時の指摘事項とその対応です。主な指摘事項の丸1 ではプラットフォームとしてあるべき姿を再度戦略として立案し、より高みに上るために見直しを実施するという内容でございます。丸2 は機器の拡充や技術支援者数の増強、あるいは中小企業やベンチャー企業などとの共同研究を含めた技術支援の内容をより拡大し推進せよというものです。丸3 は技術支援者の今後の能力向上及びキャリアパスの拡大。育成からキャリアパスの拡大までしっかり考えなさいということ。丸4 は利用料金で、これを持続的な取組につながるように引き続き検討し努力しなさいというものです。それに対する対応状況でございます。丸1 につきまして、先端共用施設・技術プラットフォーム展望調査ワーキンググループという話を先ほどしましたが、そこで強化の方向性を議論いたしました。共用プラットフォームの在り方等をしっかりと取りまとめて公表し、毎年の予算配分や構成機関の見直しを実施いたしました。丸2 については、機器及び人材の強化拡充をしっかり行ったというのは、これまで御説明した通りです。丸3 は、技術支援者の能力向上やキャリアの形成ということで、これも先ほどまで御説明した通りでございます。そして丸4 は、経営志向の資金マネジメントがしっかり行われたということでございます。価値提供に見合う適切な利用料金体系の構築、さらに財源収支のバランスを経営思考で積極的にマネジメントしたということが挙げられると思います。最後は総合評価でございます。最初の部分は、特許数や利用数が書かれています。最後のところでは、本事業により先端研究施設及び設備の整備と共用促進が大きく進展し、また、25法人38機関を結ぶネットワークが形成され、新たな共用文化の浸透や定着による各機関における共用システムが構築・拡大されたことが挙げられています。これが多くの技術人材の育成につながり、先端的な研究設備の効率的利用が促進されました。研究基盤としての技術的・人的ストックを積み上げることで、この仕組みの好循環を実現することに成功しています。次が丸2 でございます。評価の概要ということで、これはおおよそ説明してきた内容です。本事業によって装置等の共有の文化が根づいたという内容でございます。丸3 が指摘事項です。1つめは、科研費やJST等の公的研究費、ほかのこの施策以外のものもこのような共用施設をしっかりと使うように促すといいのではないかということ。2つ目は、本事業のマネジメントの好事例をほかの事業にも応用すべしということ。3つ目が、設備インフラとともにデータインフラの利活用環境を実現することが大事で、設備インフラのみならずデータもインフラとして捉え、それらを積極的に展開することが次の時代にふさわしいのではないか、という内容でございます。(5)は今後の展望です。バイオとかIoT技術領域等への対応力の強化、新技術開発との連動、老朽設備の更新、新先端装置の導入、国際連携・交流強化を図ることが今後求められるであろうということでございます。そして最後のところ、本事業での効果的な取組を今後も有効に活かしながら適切に発展することが大事であろうということです。マテリアルDXプラットフォーム実現の一翼を担うマテリアル先端リサーチインフラという事業が令和3年度より発進しておりますが、本事業が蓄積した技術的・人的資産を生かしながら、我が国のマテリアル研究開発の中核を担う基盤として、データ駆動型研究開発の時代をリードする研究環境を構築することを期待しております。この事業にさらに新たな要素を入れながら発展させていくことが展望として望まれているとの内容でございます。
 説明は以上でございます。

【高梨主査】詳細な御説明、どうもありがとうございます。大部にわたる評価票の作成もお疲れさまでございます。それでは、ただいまの御説明内容に関しまして、御意見あるいは御質問等ございましたら、ぜひお願いしたいと思いますが、挙手ボタンをお願いしたいと思います。それでは、まず五十嵐委員、お願いします。

【五十嵐主査代理】ありがとうございました。評価全般に関しましては、全く異議はありません。大変お疲れさまでした。2点お伺いしたいんですが、1点目は、共用がどんどん進んでいく、いい仕組みができて、それが利用されて、それで研究成果も上がっている。これは疑う余地もないんですけども、これをどの程度全国展開できたかという視点で、例えば地方の大学、企業がこれまでよりも利用率が増えたとか、こういう統計資料というのはないんでしょうか。

【中山委員】全国津々浦々、全ての研究者がこれを使ったかというと、そういうことでもないですが、地方を含めた全国展開はどんどん進められており、広く使用者の開拓がなされています。

【五十嵐主査代理】それともう1点は、人材育成のところで、例えば職能のこういう制度をつくった。あるいはスキル標準をつくって、それを付与した。235名という、そういうお話もあったんですけども、これをもう少し定量的に成果をアピールできないかなと思うんですね。やっぱりいい設備、最先端の設備と、それと、しっかりした技術スタッフを入れて、初めていい研究ができると。そう考えたときに、この技術スタッフの職能制度、これがこのプログラムの中だけで閉じているともったいないと思うんですよね。国家資格とは言わないんですが、これをもう少し汎用的に、例えばほかのプログラムにも活用できるですとか、あるいは今回、走り出しているマテリアル先端リサーチインフラ、そういうところにもしっかりと技術レベルがアップしたことで、活用されているという示し方が何かできたらすばらしいのではないかと思うんですけども、これはもう少し、国家資格とは言わないんですが、資格化するような、そういうことは考えられないんでしょうか。

【中山委員】ありがとうございます。当然ながら新しい施策に対しては引き継がれる、さらに強化されて推進されるということは聞いております。例えばこういう表彰を外部に向けても行っていくようなことで、外の人がここの表彰が欲しいと思うようなところまで行くと、さらに良いと思います。要は、こういう技術支援者とか、場合によってはURAの皆様、各大学の技術支援スタッフ、技官の方、そういう方の励みになって、皆さんのインセンティブが増えるということは容易に想像がつくというところだと思います。そういうところまで行ければいいと思いますし、先にご説明した共用設備のガイドラインみたいなものにも精神がしっかりと反映されているのではないかと思います。

【五十嵐主査代理】承知しました。

【中山委員】本当に大事なことで、ここで終わらないというのが極めて重要です。まずは次の施策には確実に引き継がれるということ、そこでそういう運用がぜひともなされてほしいと私も強く思います。

【五十嵐主査代理】どうぞよろしくお願いします。

【中山委員】ありがとうございます。

【高梨主査】どうもありがとうございます。それでは、次は、宝野委員、お願いします。
【宝野委員】NIMSの宝野でございます。御説明ありがとうございました。先ほど五十嵐委員の質問にもあったんですけども、御説明を聞いていて、1点、非常に興味がある点は、技術支援者のキャリアパスですね。時限つきのプロジェクトですから、プロジェクトが始まったときに、技術職員を雇用されたと思うんですが、その中のどの程度の方々が各実施機関の正規職員で、どの程度の方が任期付職員なんでしょうか。それで、任期付職員の場合、今後、例えば、その方々が定年制研究職あるいは無期雇用につながるというようなパスを考えておられるのか。その辺の感触をお聞かせいただければと思います。

【永野技術参与】文科省の技術参与として本事業のプログラムオフィサーを務めさせていただきました永野でございます。今、宝野委員から御質問いただきました技術職員に関してですけども、本事業全体としては、こういった技術をサポートするスタッフが全体で約500名、年平均でおりました。この500名のうち、本事業から人件費を文科省として拠出している方々が265名ほど、年平均でおります。この265名は、すなわち本事業の人件費ですので、任期付雇用ということになります。その他残りの二百数十名の方は、各法人がもともと雇用されている技術職員の方で、この方々の中には、正規、定年制の方もいらっしゃれば、大学として任期つきで雇用されている方もいるというような状況です。また、この事業で人件費を拠出している265名に及ぶ技術スタッフの方々は、その後、大学における正規定年制の技術職員として異動される方や、昇進される方、あるいは他大学に移っていかれる方や、企業からヘッドハントを受けて、企業の技術者として転職される方という方も様々おられました。これはある程度、本事業における人材の異動状況をフォローしておりますが、全員ではありませんが、一定数はそういう形で、技術の専門職として御活躍いただいた経歴を生かして異動や昇進が実現しています。また、多くの方は、本事業を発展的に継承する新事業であるマテリアル先端リサーチインフラの方でも、引き続き御活躍いただく状況になっております。

【宝野委員】どうも御説明ありがとうございました。よく理解できました。そういった数値を出していただけると、今後も新規の時限プロジェクトでも挑戦してみようという優秀な方が出てくるような気がいたします。どうもありがとうございました。

【中山委員】ありがとうございます。

【高梨主査】どうもありがとうございます。それでは、次に湯浅委員、お願いします。

【湯浅委員】産総研の湯浅です。丁寧な説明ありがとうございました。本制度は非常に費用対効果が高い、すばらしい制度だと私も思っています。特に説明にありましたように、人材育成に力を入れて技術職員を非常に育成したというのも非常にいいことだと思っています。10年間やって、各プラットフォームで非常に技術やノウハウが蓄積されてきていると思いますが、それはやはり技術職員の育成と一体のものであると理解しています。質問なんですが、宝野さんの質問に関連するんですが、改正労働契約法の施行からもうすぐ10年になりますが、技術職員のうち、そこで雇用が止まってしまう方、あるいは無期に転換される方というのはどういう感じなんでしょう。

【永野技術参与】永野でございます。湯浅委員、どうもありがとうございます。改正労働契約法の特例の対象となるかについての読み方でして、この事業から無期転換、定年雇用に移られた方というのも一定数おられます。事業の最初から最後まできっちり10年間というよりは、途中で入ってこられたり、あるいは途中でさらなる別の仕事に移っていかれたりという方もかなりの数いらっしゃいますので、そういう意味では、全体として5年から10年の特例に係るかどうかということが全てに乗っかってくるわけではございません。そこは本事業としては、かなり強く意識して各参画法人にも御相談させていただき、先ほど中山主査より御説明いただきましたような職能名称の付与等を技術者の実績・スキルに応じて与えることによって、それを用いて、各人が次のステップに自らの経歴として使っていただけるように支援させていただきました。御活躍いただいた技術スタッフの皆さんが次の道を切り開いていただけるように、本事業では様々にサポートや後押しをさせていただいたということがございます。今回、新しい事業に移り変わっているタイミングですので、そこはまた新事業として、新たに雇用契約を結ばせていただく方も多くございます。

【湯浅委員】ありがとうございます。例えば産総研の法律施行以前から雇用されている人は、10年間たったら、本人が希望すれば全員、無期化するという方針なんですが、そうでもない研究機関や大学もありますよね。
【永野技術参与】おっしゃるとおりです。

【湯浅委員】蓄積した人材やノウハウが散逸してリセットされないかという心配があるんですが、その辺は大丈夫でしょうか。

【永野技術参与】まさしくその点は非常に重要なところでして、この事業は、25法人に御参画いただいておりますけども、各法人を採択するという形を取らせていただいておりまして、その法人において、この事業推進のために必要な人的体制を、雇用を含め整えていただくというような文科省との委託契約の構造になっております。その意味では各法人には、この事業以外にも様々な技術職員の契約形態や体制がございますので、そちらともなるべく連動いただくような形で、大学や国研の本体として、この事業に御参画いただける方を適切に処遇し御評価いただけるよう、各法人執行部に対してPD、POから常に御相談し、そこは各法人にも御配慮をいただいていると認識しております。

【湯浅委員】ありがとうございます。

【高梨主査】ありがとうございます。それでは、次、加藤委員、お願いします。

【加藤委員】東大の加藤です。非常に丁寧な御説明ありがとうございました。このプラットフォームが我が国のイノベーションの進展と、それから、研究力の底上げに貢献しているのは本当に間違いないと考えます。今回、施策マネジメントもすばらしいと思い、それがよくこの報告書に反映されていると思うのですが、私としては、例えばユーザー側からの視点というのをちょっとお聞きしたいと思います。この委員会でよく議論されてきましたこの事業の技術スタッフの話ですね。これは非常に本報告でカバーされていて、今回もいろいろな発言があって、皆さん非常に気にされていて、今後いい方向に進んでいくことを非常に望んでいるのですが、人材育成という点で、そこだけでもなくて、ユーザーの立場から言うと、ユーザーの人材育成というのがあるかなと思うのですね。それで、例えば、今日の御報告のところで、使用している世代という円グラフがあって、20代、30代の方が半分ぐらいいて、これをどう評価するかということです。私は、4分の1ぐらい20代、4分の1ぐらい30代の方がおられて、このように最先端の装置を使うことにより、このような若いユーザーが育っていくということももっと評価されるべきではないかと思います。なかなか解析が難しい面もあると思いますけど、そういうことを見ていくことにより、例えば我が国の博士論文のレベルを上げるのに向上したとか、それから、「さきがけ」とか、若手の科研費、そういったものから生み出される研究成果、論文のレベルを上げるのに役に立ったとか、そういった視点というのもあっていいのではないか。ユーザーのレベルを上げたという視点がもう少しあるといいと思います。今回の報告書では、論文数とか、インパクトファクター等が成果として述べられていて、内容として間違ってはないと思うのですが、最近は文科省やJSTの指導で、謝辞をきっちり書くようにということがありますので、例えばナノテク、このプラットフォームの謝辞と、いろいろな研究費の謝辞が一緒になっている論文とか、そういったのを検索かけていくと、組み合わせなどから、また何か新しい構造が見えていくのではないかなと思います。そういった意味で、ユーザーがどう育ったか。ユーザーが育ち、レベルが上がってくると、今度は技術スタッフのレベルも、これは総合的なもので上がっていくと思うのですね。そうすると、より高い質のサービスができるようになりますし、そのような視点というものをまた加えていただけると良いかと思います。実際にそのような研究レベルが上がったということは、ユーザーのレベルも上がっているということですから、今後そういった若い人がどのように育って、どのように活躍していくかというのを時間軸で見ていくのも面白いのではないかと思います。以上です。

【中山委員】どうもありがとうございます。ユーザーの人材育成、特に若手ですね。この点は評価委員会でも議論になりました。私がそこに議論を誘導した面もあるのですが、特に、例えばJSTのさきがけを取るような、さきがけだけではないですけど、若手の研究者の中ではこのナノテクプラットフォームがなくてはならないものとして位置づけられている例が多いです。これを使ってしっかりやるとの提案も増えてきています。目に見えて若手を中心とした研究者に対しての影響力が高くなっていると思います。使用者の年代も各年代が同じくらいでしたが、実際によい研究成果を出しているのは、年齢の高い先生方が目立つ中、そういう若い研究者も、それに匹敵するぐらいいるということは、これは結構高いレベルではないかなと思います。さらにそれを時系列で見ていくとかのアイデアは、確かに非常に面白いと思います。この政策と、また次に続く施策もあるので、そこでそういうことは積極的にやっていくべきかと思います。今は現時点のクロスセクションでしかデータをお出ししていないですが、極めて大事な視点かと思います。ありがとうございます。

【加藤委員】ありがとうございました。

【高梨主査】ありがとうございます。それでは、次は上杉委員、お願いします。

【上杉委員】京都大学の上杉です。コメント1点と、質問が1点あります。まずコメントです。ナノハブというのは極めて大きなインパクトがあったと思いますし、対費用効果から見て極めて優れた方法だと思います。各大学で共用の文化をつくったと思うんですね。今後、先端研究基盤共用促進事業というもののきっかけにもなったと思います。各大学で、今、コアファシリティーの議論というのをしていると思うんです。そういうところのきっかけもつくったような気もします。機器の共用をするという、日本で遅れてきたところのエンジンになっているという気がするんですね。すばらしいことだと思います。質問は、合成プラットフォームについてです。御説明にありましたように、これは挑戦的かつ新しい試みです。難しいところもあったとは思います。でも、やっているうちに育ってきたという言い方をされましたよね。今後さらに育てるために、この合成プラットフォームについて、ここを進めるべきだとか、マテリアル先端リサーチインフラでは、こういうふうに進めていけば効率がよくなるんじゃないかという御意見が委員会でありましたか。議論がありましたか。

【永野技術参与】上杉委員、どうもありがとうございます。永野でございます。御指摘の点は、大変重要かつ難しい論点として議論を重ねております。新事業においても議論を重ねておりまして、マテリアル先端リサーチインフラでは、そもそもの政策目標が新たに設定されておりまして、そこでは政府のマテリアル革新力強化戦略に基づいて、重要技術領域というものが設定されて、それに基づいて採択機関が構成されています。一方で、ナノプラットで積み上げてきた、この3つの技術領域、分子・物質合成と微細加工と微細構造解析というのはマテリアル先端リサーチインフラの新事業のほうでは、横断的な領域として、横串を刺すものとして位置付けられています。これはつまり、縦串としての政府戦略における重要技術領域、横串として、横断技術領域としての分子・物質合成、微細構造解析、微細加工というような、言わばマトリックス型の領域運営をしていこうというような政策になっております。その中で、合成を支援するとは果たしていかなるものかということについて、議論を重ねております。ある物質や材料を合成したいというニーズを持つ利用者に対し、それはどういう合成・反応の経路で、どのようなプロセスで、どんな設備を用いて、どんな構造や機能、物性を持つ物質をつくり上げていくのか。それは何のためにやるのかというところまで含めて常に利用者の研究課題に技術スタッフが伴走する形でサポートすることをこれまでやってきました。マテリアル先端リサーチインフラにおける次の10年としては、そういった支援の在り方や技術が今後進展する方向性を見据えながら、新事業の政策目標に必要な支援の在り方をインストールしていこうとしています。立ち上げ期にある新事業では、これまでの経験から見出してきた課題に取り組むとともに、支援や運営のノウハウを発展され、新たな政策目標の実現へ向けた支援のかたちを構築すべく活動が始まっています。

【上杉委員】せっかく育ってきたので、今後も継続していろいろアイデアを出していけばいいんじゃないかと思います。

【中山委員】どうもありがとうございます。先生が言われた共用の文化についてですが、単なる研究費のばらまき、競争によるばらまきなど、研究費をばらまくのは簡単です。そうではない研究基盤とか研究の土壌について、より重視すべきと強く思います。木が生えていく肥沃な土壌のような、そういうところにしっかりとフォーカスし、そのための施策を前身の施策から今日に至るまで、また、次に至るまで、20年続けてきて、また続けていくという、この姿勢というのは極めて高い評価が与えられるべきだと私も思っています。これがずっと続いてほしいですし、より育っていってほしいと強く思います。そういう共用の文化とか土壌に関して、例えば先にお話ししましたようにOECDも、日本も結構やっているじゃないかというような趣旨のレポートを出しているなど、結構これはすごいんじゃないかなと思っています。

【高梨主査】どうもありがとうございます。そろそろ時間が押してきていますが、せっかくですので御質問いただきたいと思いますが、手短にお願いできればありがたいと思います。高橋委員、よろしくお願いします。

【高橋委員】ジャーナリストの高橋です。大変有効だったということはよく分かったんですけれども、企業との連携、イノベーションの推進に対する評価のところで、企業による実用化、製品化の実績を多数上げたことは高く評価できるとだけ書いてあります。ここはやはり第三者としては、具体的にどんな成果を上げたのかというところを知りたいところで、今さら書き足すことまでは求めませんが、具体的にどんなものがあったのか。この場で教えていただければと思います。

【中山委員】ありがとうございます。列挙しないといけないですよね。評価のときにはたくさん出ていて、項目だけでも幾つか端的に御紹介いたします。

【永野技術参与】多数の実用化・製品化事例があります。例えばとして一例を挙げるとすれば、微細加工の支援から発展した新しいタイプのレーザーデバイスの開発や、あるいは材料合成の支援から発展した化粧品原料の開発であるとか、そういったものが企業で具体的に実用化に至ったものとしてございます。他にも様々な実用化や製品化のケースがあります。

【高橋委員】そういうのが、具体例がやっぱり、普通の方たちに成果として訴えるものとしては重要だと思うんで、公平性を重んじてそういうのはピックアップできないというお気持ちは分かりますけれども、多少具体例を入れておいていただくということを考えたほうが、コミュニケーションという面ではいいと思います。

【高梨主査】ありがとうございます。今、企業の成果の話が出たので、私も一つだけ確認です。非公開利用というのが一つ、特徴的で、そこを促進したというところはあるんですけど、恐らく産業界の利用というのは、一部は非公開の利用なのかなと思うんですけれど、非公開の利用というのはどのぐらいの割合とか分かりますか。

【永野技術参与】永野からお答えいたします。本事業で対象とする利用課題は、基本的には利用の内容を所定の利用報告書の形で公開していただくことを、利用課題の受付時点で利用者に承諾していただいています。非公開の利用を希望する場合は、本事業の直接の対象課題ではないものの、各機関における設備共用の自主的な運用の扱いとして支援することを推奨しています。これは例えば、本事業の利用の成果がさらに発展して、企業における実用化や製品化に向けたより踏み込んだ研究開発を行いたいなどの場合に、非公開の利用へと移行することが必要になる場合が当然あります。そのような利用の発展は望ましいものでもあるとして、各機関において個々に共同研究契約を整えたり、非公開利用の内部制度を設けるなどして扱っていただいています。このような非公開の利用課題は、本事業が取り扱う利用課題数の全体に対して、約4分の1ぐらいあります。つまり、本事業では年間約3,000の利用課題を受け付けておりますけども、この他に各機関における自主的な運用による非公開の利用が約1,000件ほどあるということです。この約1,000件は本事業の直接の委託対象ではない扱いにはなりますが、本事業の利用課題から発展した形態として認識すべき課題も含まれることから、関係の深い共用活動部分として把握をしているものです。

【高梨主査】分かりました。ありがとうございます。それでは、最後に瀬戸山委員、よろしくお願いします。

【瀬戸山委員】これだけうまくいった文科省のプログラムは初めて見ました。すばらしいと思います。その成果の中で、これは何でこんなふうなことになったかという、方法論としてうまくいった理由ということは解析されているんでしょうか。というのは、それは公開すべきではないと僕は思うんですけども、ほかのプログラムに対して、方法論としてこんなことをやったからこのプログラムはうまくいった。とにかく今回の報告書というのはこれがうまくいきましたと、こういうことをやってうまくいきましたという報告になっていて、その根本にある方法論というものについては議論されているんでしょうか。

【中山委員】どうもありがとうございます。最初から方法論があったわけではありません。施策のつながりとしては、ナノテクノロジー総合支援プロジェクトからナノテクノロジーネットワークを経て、本事業に至っている20年の歴史があります。この最初のナノ総合支援プロジェクトの初期は、共用という趣旨ですが、応募して当たったら自分の研究装置が買えるプロジェクトのようにも捉えられていました。でも、そのマインドを少しずつ変えていって、外に開く、そのためにはどうしたらいいかということについて、各種の試行錯誤、失敗もたくさんあった中で、こうやると貸すほうも貸されるほうもインセンティブが生まれるという事例を少しずつ繰り広げていって、試行錯誤の結果が本事業に繋がっています。この事業で10年間やって、研究者、研究機関、企業など、みんなのインセンティブ戦略をどうやってつくっていくかということも考えてきました。皆さんがWin-Winである状況、皆さんのインセンティブがなかったら建設的に続くはずはないです。使うほうも使われるほうも、いかにうれしくやるかということをずっと腐心してきたこの20年だったと思います。だから、最初から方法論があったというよりは、今の御説明したものは少しずつ形づくられてきたもので、最初には何も方法論がないけど、こういう共用することというのは費用対効果が絶対高いはずで、みんなが共用すれば相乗効果が生まれて、要望が生まれて、付加価値がついて、我が国のなけなしの研究費がしっかり使えるという、そういう大上段の論から入っていって、今ここに至っているということです。方法論があってやっているわけではないと私は認識しています。

【瀬戸山委員】結果的にこういう風なことをやったということが、僕は方法論だと思っているんですよ。そこのところをもう少し、外には出さない形で解析したほうがいいのかなと思っているんです。

【中山委員】それが昨年度発表された、文科省の共用のためのガイドラインというところにうまくまとめられているという私の解釈です。

【瀬戸山委員】ありがとうございました。

【高梨主査】どうもありがとうございます。たくさん重要な御指摘いただきまして、どうもありがとうございます。ただ、基本的には、評価票案そのものについては、特に御異存はなかったのかなと。もちろん今後に関わる非常に重要な御指摘とか、あるいは統計データの出し方とか、そういったところ御指摘がございました。ただ、ちょっと考えてもいいのかなと思うのは、これは加藤委員からの御指摘だったユーザーの人材育成に対する評価も、もちろんそこら辺を強調してもいいんじゃないかということと、それからあと、高橋委員からの企業の成果、もちろん具体的な例が出ていてもいいのではないかという、そこの部分は少し検討してもいいのかなと思います。

【中山委員】そうですね。ユーザーの人材育成の話はもっと厚く書いたほうがいい気がします。また、企業のところは、箇条書きででも、こういうことがありましたというのは入れてしかるべきだと思います。

【高梨主査】例でいいと思います。

【中山委員】はい。そこを検討いたします。

【高梨主査】よろしく御検討いただければと思います。そして、最終的には、修正については、この委員会としては私に御一任いただくということでよろしいでしょうか。皆様、よろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
どうもありがとうございます。そうしましたら、それで最終的な事後評価案に関しましては、8月下旬に開催予定の第82回研究計画・評価分科会において、ナノテクノロジー・材料科学技術委員会として、私から報告させていただきます。8月下旬、たしか8月18日、私のほうから報告させていただきます。どうもありがとうございます。長引いてしまいましたけど、非常にいい議論ができたと思います。ありがとうございました。それでは、次に、議題2、ナノテクノロジー・材料科学技術の最新動向に入ります。まず、この資料2-1、第8回マテリアル革新力強化戦略有識者会議について、事務局より御説明をお願いいたします。

【江頭参事官】事務局でございます。6月24日に開催されました第8回のマテリアル革新力強化戦略有識者会議、これは政府の官房長官ヘッドの会議で、昨年4月に決定されたマテリアル革新力強化戦略をフォローアップするため、花王の澤田会長を座長として産学官の有識者の方々で構成される会議で、少し手短に御報告させていただきたいと思います。昨年4月の第5回の有識者会議の議論を踏まえて、マテリアル革新力強化戦略が策定されて以降、重点テーマの検討・推進状況及び取組の加速についてということで、丸1 番から丸5 番までの項目について、特に有識者会議としてフォローアップしていこうということで、3回続けてフォローアップ項目の進捗状況の御報告をして、議論いただいているという形になっております。特に赤線で囲ってあるところが、特に文科省がかなり大きな部分を担っている研究開発関係のところの項目となっておりますので、御紹介させていただきたいと思います。今の文部科学省では、マテリアルが全国的に材料関係の研究のデータを集めて、それを蓄積して、様々な産学官の研究開発でそのデータを使っていただくシステムの構築が一番進んでいる分野でございます。文科省の中ではこういったマテリアルの仕組みを一つのモデルとしながらバイオや防災といったほかの分野の全体の研究DXを今、進めようということで、省内を挙げて議論しているというところでございます。この研究DXの中でのマテリアルというところ、すでに皆さんにも御案内のとおり、NIMSの成果例として、データを集めて、蓄積して、その蓄積したデータを活用することによって研究の大幅な効率化やその質の高い探索という様々なものに生かされているというところに来ております。こういったNIMSの一つの成果というものを参考にしながら、文部科学省ではマテリアル先端リサーチインフラ、いわゆるナノテクノロジープラットフォームの事業の後継という形で進めております。ナノプラ時代から引き継いでいる全国25の大学・法人の共用設備ネットワークの利用を通じて生まれる材料研究データを最終的には物質・材料研究機構のクラウドの中に蓄積し、それぞれのユーザーのニーズに合わせた形で構造化して、データを使っていただけるようにする仕組みの構築を進めているところでございます。こういった状況を6月の有識者会議でも御報告させていただきました。マテリアル戦略の計画の中では、2023年度にこの仕組みを活用してデータを集め、それから実際にユーザーに活用していただくという運用が、一部ですけども、開始できるというところまで現時点で至っており、最終的には2025年度に全面的なサービスの運用開始というところがかなり現実味を帯びて、今、見えてきているところでございます。主に文部科学省、それから、物質・材料研究機構を中心に全国25の研究機関と協力しながら進めているデータプラットフォームの構築状況について説明しましたが、次に、経済産業省、産総研が中心になっているもう一つのプラットフォームでございます。材料研究開発は、材料設計だけでなく、実際それを具体の部材に落とし込んでいくときやさらなるスケールアップのための様々な開発が必要です。プロセスの段階での研究開発をするための最先端の研究設備を、現時点において産総研では、つくば、中部、中国の3つの地域センターに設備群を置いております。それぞれの設備の目的については、例えばつくばであれば触媒関係、中国センターであれば有機・バイオ材料関係という形で、設備をそれぞれ置いておりまして、特に地域の中小企業の方々中心に、この設備を使っていただきながら、さらにデータを取得できるというのが産総研のプラットフォームの特徴でございます。このデータを取得して、実際にどのような経路で合成なり、加工なりすれば、効率的に材料を実装できるのかといったことを産総研が一部コンサルもしながら進めるというプラットフォームでございます。これはこの春、4月から既に運用が開始され、もう50件以上の利用の申込みが既に寄せられているという状況でございます。それから、実際にこういったデータや設備のプラットフォームも活用しながら、新しいデータ駆動型の材料研究開発をするということを、文部科学省、経済産業省、内閣府の3府省が本年度から足並みをそろえる形で、新しい材料研究開発プロジェクトという形で始まろうとしております。文部科学省の「データ創出・活用型マテリアル研究開発プロジェクト」という名前で、昨年度1年間はフィージビリティスタディ、本年度から9年間の事業ということで、まさに今、公募が終わって、審査の最終段階にかかっているところでございます。ここではカーボンニュートラルだとかSociety5.0など、いわゆる20年後、30年後に必要になるであろう最先端の材料データをうまく活用をしながら、これまでよりも革新的な材料を研究開発し、データを使った様々な材料研究開発手法というものを生み出して、これをこのプロジェクトの中だけではなくて、さらに様々な学協会との連携、あるいは産業界との連携など、セミナー、勉強会、検討会を通じて、その手法自体を様々なところに広く展開していこうということを目的としたプロジェクトとして、本年度から推進する予定でございます。これの全体像をスケジュール表の形式で示したものでございます。NIMSを中心としたマテリアルデータのプラットフォームの構築状況ということで、今、2022年の7月でございますけども、来年度には一部運用開始、25年度には全体的な運用開始ということで、着々と準備を進めているということでございます。産総研の設備のプロセス段階でのプラットフォームも春から動いており、また文部科学省の新しい研究開発プロジェクト、それから、経済産業省の主にはNEDOの2つの事業、それから、内閣府については、来年度から第3期SIPにおいてもデータ駆動型のマテリアル研究開発の課題というものが今、採用されておりまして、これのスタートに向けて、関係省庁を含めて議論しているところでございます。政府の主なプラットフォームづくりだとか材料研究開発のプロジェクトというものが今こういう段階にあるということを有識者会議で御報告しました。有識者の方々からのコメントは、この資料の最後のほうに議事要旨をつけております。一部紹介しますと、やはり様々なプラットフォームが計画どおりできているのはいいことで、これからは日本が他国と競争して勝っていくためのどういった材料というものを一体どういう体制で、主に産業界にしっかりこのプラットフォームを活用していただきながら、あるいは産業界のデータというものも少しお互い共有しながら、材料の研究開発をするというところが重要であり、そういうフェーズになったということ。そのため主に、産業界中心にどういう材料を文科省、経産省、内閣府のプロジェクトも活用しながら進めていくのかが重要であるという御指摘。それから、アカデミアの委員の方々からは、こういった、いわゆるイノベーション、社会実装に向けた、いろんな取組が進んでいるのはいいことだが、足元を見ると、特に大学では材料科学だとか化学、こういったところを選択する優秀な学生が減少傾向にあることがまだ止まっていないということで、基礎研究というところもより充実化して、材料方面に進む若い人材の育成というものをしっかり支援してほしい。こういった御意見がございました。6月24日の第8回の有識者会議の概要報告については以上でございます。

【高梨主査】ありがとうございます。ただいまの御説明に何か御意見、御質問等ございましたら、また挙手ボタンをお願いします。では、馬場委員、お願いします。

【馬場委員】詳細な御説明、どうもありがとうございます。最後の政府関係の取組の状況と、それから、構成員の方からの御意見で、内閣府等で進めている基礎研究と政府関係の全体の取組の連携といいますか、そういったものが今後非常に重要になってくると思います。先ほどのナノテクノロジープラットフォームにつけてはいけないのかもしれませんけど、ナノテクノロジープラットフォームでも様々な文科省の研究費の中で、こういう共用事業をより活用してもらうようなことが非常に重要ではないかと思いますので、そういったところについて何か御検討されていることあるんでしょうか。例えば、NIMSのデータ中核拠点とか、マテリアル先端リサーチインフラ、それから、その他の事業と、例えば文科省等が進めています科研費や、あるいはJSTの施策等との連携、あるいはこういう制度の活用といったところにつきまして何か情報ありましたら教えていただければと思います。よろしくお願いいたします。

【江頭参事官】ありがとうございます。ナノプラ、ARIMという名前の事業に変わっておりますけども、ここのいわゆる設備のネットワーク、先端設備の利用だとか、あるいはこれからここから生み出されるデータの活用といったものを基礎研究から社会実装に向けて幅広く、産業界と連携し、こういった大型プロジェクトなどのところに使っていただくということを、私もいろんなところで講演会で宣伝しております。例えば、JSTのさきがけだとかCREST、こういったところに新しい材料関係のテーマを設定するような省内のいろんな検討の中でも、やはりこのナノプラあるいはARIM、マテリアルデータプラットフォーム、さらには経済産業省中心でございますけども、産総研のほうのプロセスプラットフォーム、こういったことも漏れなく宣伝させていただいております。基礎研究だけではなくて、将来、産学連携に進むようなところには必ずこういったプラットフォームが有効になってくるので、こういったことも活用することを意図しながら研究してほしいという説明を申し上げているというところでございます。

【馬場委員】ありがとうございます。私はCRESTの研究総括を務めていますが、CRESTの中でもできるだけこういう共用事業を活用するような取組を進めており、それはぜひ全体の様々な研究費に広げていただけるような活動を進めていただければと思います。よろしくお願いいたします。

【江頭参事官】ありがとうございます。データ創出活用型プロジェクトのところでも、本年度から始まりますけども、特にデータを活用した手法の展開というところには、私ども特にこだわっております。そういった基礎研究の様々なプロジェクト、あるいは学協会とも連携しながら、こういった手法をうまく活用して、新しい材料研究開発をやって、そこに新しい若い人材を呼び寄せるという意図もございまして、そういった取組はしっかり役所としても推進していきたいと思います。ありがとうございます。

【馬場委員】非常に重要ですので、ぜひよろしくお願いいたします。

【高梨主査】どうもありがとうございます。重要な御指摘だと思います。大分時間が押していますので、それでは、もう次に移りたいと思います。続きまして、研究開発プログラムの開発・評価に資するエビデンス構築の研究の御紹介について、政策研究大学院大学の林先生から御説明をお願いいたします。よろしくお願いします。

【林教授】ありがとうございます。とにかく時間が押していますので手短に行きたいと思います。今日御紹介させていただくのが「科学技術・イノベーション政策における「政策のための科学」」というプロジェクトを文科省と私どもの間でやっています。このプロジェクトは何かといいますと、科学技術・イノベーション政策において、EBPM、Evidence-Based Policy Makingですね。EBPMを推進しようという共同のプロジェクトになっています。その中でプログラムの評価をしていくときに、実際にどういうエビデンスが望まれるのか、あるいはエビデンスをつくることが可能なのかを試してみようというプロジェクトになっています。その試行的な対象として、ナノテクノロジー・材料分野を取り上げて、文科省の担当課室からも御協力をいただいているという状況でございます。本日、この取組の中間段階ですけれども、御報告を手短にさせていただきたいと思っております。今日お話しするのは大きく2つございます。1つが元素戦略プロジェクトについて、どういうようなエビデンスが出し得るのかという話、それから、ナノ・材料という分野全体に関してどういうエビデンスが出し得るのかという話をさせていただいて、できれば時間の許す限りで委員の方々からのコメントをいただければと思っています。元素戦略プロジェクトに関してですが、各4つの拠点があり、そこに電子論、材料創製、解析評価の3グループをつくることによって、物理あるいは化学の学理と材料工学との連携を進めるという、それが大きな元素戦略のプログラムの目的でございました。それとともに、大型施設との連携もあり、また、当然、稀少元素を代替するような材料を作っていくことが目的となっています。これが本当にできているのかということをどうやってエビデンスで示し得るのかということを今、検討中でございます。その前に元素戦略の4拠点からの論文数の推移と、それから、引用数のTop10%論文の割合を示しています。この引用数のTop10%論文の割合が、右軸ですが、15から20%程度ということで、非常に高いというものでございまして、かなり引用数の高い論文が出ているというのがまずは確認できているところでございます。その上で、先ほどの物理・化学と材料との連携をどう分析し得るかということなんですが、左に元素戦略拠点、そして、右側に比較対象としての科研費、一般的な科研費を載せています。この図は何かと言うと、全ての日本中の研究者に対して、2000年以降の科研費の採択経歴から、採択の頻度が最も多い細目を一つ設定しています。つまり、この研究者はこの細目の研究者だというふうに割当てを行った上で、元素戦略と、それから、科研費において、研究課題の中で、細目、要は、専門分野の異なる人がどれほど共著をしているか、共著論文を書いているかというものを見ている図でございます。科研費のほうから先に言いますと、この右下のほうに、材料関係の材料工学の細目があって、上に物理学、基礎物理、物性、それから左のほうに基礎化学がある図になっていて、多少この材料と物性のところが少し線がつながっている程度なんですが、これが元素戦略で同じ図を同じ指標でつくると、このように、様々に材料と物理、化学の間の連携が見られるという形のものが見えてきています。これが拠点によって対象としている分野が違いますので、図は大分違うんですけれども、例えば磁性材料だったり、電子材料というのは典型的に物理であったり、あるいは無機材料のところと物理であったり、そういうところの連携というのが顕著に見られるという形で、こういうふうに研究の変化が生じているんじゃないかということを見ています。今、図で見ましたけれども、それを数字で見ると、やはり物性Ⅱに関しては様々な分野の異なる人との連携が科研費と比べて統計的にも優位に高く、物性Ⅱの研究者は、通常、科研費ではしないような連携をかなりこの資金の下でしているという状況が見えています。それから、大型研究施設の連携に関しても、例えばSPring-8を使っている論文が7%あって、その引用数、Top10%論文が19%あるとか、そういうデータが出てきています。19%、実はこれは高いんですけれども、先ほど申し上げたように、元素戦略全体では、Top10%論文が十数%あるということで、その中で比較すると、SPring-8を使っている論文ほど引用数が高い状態では、それほどないという形が見えてきています。また、産学連携・知識の活用ですが、やはりこれも拠点によって大分違って、例えば磁性材料拠点は民間企業と共著をしている論文が20%あるという、かなり産業界との連携が強いような研究活動を行っていらっしゃったというのがデータから見えます。一方で、特許から元素戦略論文への引用について、論文がどの程度特許に引用されているかというデータを見ています。そうすると、特許に引用されている論文の数というのはやはり上がっていて、その指標で見ると、今度は触媒電池の拠点のほうで、ナトリウムイオン電池に関してかなり特許からの引用が多いという、指標によってそれぞれの拠点がどういう特徴を持っているのかというのが大分異なるものが見えてきているという状況になっています。こういうデータを、例えば評価、あるいは次の拠点形成のところの材料として、エビデンスとして使っていただくことが可能ではないかということを今、模索しているところです。それから、続いて、2つ目、今のは元素戦略プロジェクトに特化した話ですけれども、2つ目は、ナノ・材料分野全体の話でございます。まず、ナノテクの関連論文がどの程度で推移しているのかを見ています。実はこのナノテク関連論文というのは、データベース上で、どれがナノテク関連論文なのかというのが明確にないために、実は各国、いろいろと苦労して定義をしているんですが、アメリカは、ナショナル・ナノテク・イニシアティブの評価を4年に1回評価していて、その中でナノテク・イニシアティブがどれほど米国のナノテク研究に効果を及ぼしているかを見るために、ある論文の中で様々なキーワードで、ナノテクを定義するということをしていて、それで論文数の推移を見ています。我々も全くそれと同じ方法を用いてデータを見ています。そうすると、中国はかなりナノテク論文が、これは2010年から2020年までをずっと見ていますが、かなり論文数が増えていて、アメリカも増えているのに対して、日本のみがフラット、あるいは少し下がっているという状態になっているというのが如実に表われています。ナノテクを構成するディシプリンということですけれども、日本はPhysics、Applied、Multidisciplinaryなりが多い。ほかの国と比べて、電気・電子も多いんですが、それが急速にしぼんでいるという状態が見えてきています。それから、ナノテクの研究に一体どのファンドが貢献しているのかというのは、まさに先ほども議論ありました論文の謝辞を整理すると見えてきます。そうすると、2010年辺りは、大学の先生方、御承知だと思いますが、「グローバルCOE」がかなり貢献していたんですが、その資金が終わると、当然その論文がぐっと下がって、その代わりとして元素戦略が少し上がってきていて、先ほどのナノテクプラットフォームもやはり堅調に論文に貢献している。CRESTがそれにかなり貢献しているという状態があります。ただ、これは科研費を除いたものでございまして、科研費はCRESTよりも大分上に、様々な細目が存在しています。さらに、China、USと書いてありますが、日本から発表された論文であっても、中国人、アメリカ人等が著者に入っていると、中国、アメリカから資金を受けているということで、実は、中国、アメリカからの資金源の下で行っている研究というのもかなり多いという状態が見えてきています。こういう図をつくることによって、この委員会も恐らく元素戦略やナノテクプラットフォームのところに特化して議論しているんですが、実は科研費等がナノ材料分野について多くの研究の支援をしているということで、このようなナノ・材料の全体をどう考えるかということを今後考えていくことが必要じゃないかという示唆が得られるというものです。Top10%論文にすると、もうちょっと元素戦略の効果というのがよく出てきているというところになります。それから、先ほどの議論にもありましたが、例えば、ナノテクプラットフォームが謝辞に書いてあって、さらにほかの資金が同時に謝辞に書いてあるのか、何かというのも出てきて、まさに先ほどあったように、さきがけであるとかCREST、それから、NEDOというものの資金を受けながら、ナノテクプラットフォームを使っているという論文が多いというのが、実際にデータから見えてきているところでございます。こういう分析をすることで、我々としては、こういうデータを基に、今日の委員会のように、専門の先生方にぜひ議論していただきたいと思っています。こういう資料を契機に、例えば今日もしお時間があれば、どういうことが、データがあれば知りたいかとか、どういうところが評価やプログラムの開発をするときにエビデンスがあるとよいかという、そういう御意見がいただければと思っております。かなり駆け足で御紹介させていただきましたが、以上になります。

【高梨主査】どうもありがとうございます。林先生、いろんな観点で膨大なデータを分析、整理されて、大変ありがたいと思います。ぜひ皆さんから御意見いただければと思います。宝野委員、よろしくお願いします。

【宝野委員】林先生、非常に興味深いデータありがとうございました。この中で、科研費が非常にサイエンス全般に大きな効果を出している、これは理解できるんですが、例えば費用対効果という観点からすると、例えば元素戦略は何億であった、科研費は何億である。その額に対してノーマライズしたようなデータが出てくると、真にどのプログラムが有効かというのが分かってくるんじゃないかと思ったんですけど、いかがでしょうか。

【林教授】ありがとうございます。まさにそういう観点も必要だと思っております。現時点ではまだ科研費の個別の課題の予算額等のデータを取ってこないといけないので、できていないんですが、物理的には、今、御指摘いただいたような分析できると思いますので、ぜひ試してみたいと思っております。ありがとうございます。

【宝野委員】どうもありがとうございます。非常に興味深いデータでした。

【高梨主査】重要な御指摘、どうもありがとうございます。それでは、加藤委員、お願いします。

【加藤委員】非常に興味深いデータや評価の御紹介ありがとうございました。私も宝野委員と同じ意見で、例えば先ほどのところの資金源の表がありましたけれど、新学術研究と基盤Cが同じように書いてあるのですよね。全然、質が違うので、今、例えば、資金の単位当たりというお話がありましたけれど、例えば人数とか、それから、研究している人の職位とか、そういった各資金に応じたきめの細かい解析が役立つと思います。単純にできるのは多分人数だと思うのですけど、新学術と例えば基盤Cが同じ位置にいても、この質的な貢献が違ったりすると思うのですね。そういった細かい解析をやっていかれると、もっと本質的なものが見えてくるのではないかと思いました。ありがとうございました。

【林教授】ありがとうございます。ぜひ細かいところまで踏み込んで、分析を進めていきたいと思います。

【高梨主査】ありがとうございます。時間もないんですけど、私から1つだけ。データを見ていて、ちょっと気になったのが、先ほどの科研費とかいろいろそういうのをまとめたデータですけど、2016、2017年辺りが何かピークになっているような感じに見えるんですけど、これって何か考えられますか。

【林教授】ここを調べてはいないので分からないです。

【高梨主査】これを見ていて、私は印象的だったんだけど、私自身もあまり思い当たるところがというか、何で、ここからまた下がってきているのかちょっと気になってはいるんですが。

【加藤委員】すみません。今の高梨先生のお話に関連して、今、民間財団等の、例えば応募者の数の公表されているところを見ていると、2015年にピークがあって、ずっと下がってきているのですね。今、先生が指摘されたのと同じなのですよ。それでもっとその辺のところを日本全体で解析していくのが非常に重要ではないかと思うのですね。2014年・2015年にピークがあって、応募数はずっと下がっているのですよ。それで、資金量も落ちているのですけど、何が原因かというのがよく分からないのですね。ですから、非常にこの辺は重要なところだと思います。

【高梨主査】どうもありがとうございます。では、先ほども御議論のあった、少しきめの細かい分析をさらにしていただいて、そこら辺の2010年代の半ばぐらいがピークになっている辺りの、なぜかという辺りも少し考察できればとありがたいと思います。

【林教授】はい。ありがとうございます。

【高梨主査】ほかに特によろしいでしょうか。では、林先生、どうもありがとうございました。

【林教授】ありがとうございます。

【高梨主査】それでは、次に、議題3ですが、令和5年度概算要求の方向性というところに移りたいと思います。これは傍聴の皆様は一度御退席いただきまして、15分程度お時間をいただいて、再度入室をお願いしたいと思います。時間は、多少前後するかもしれませんが、もし入室できないような場合には少しお時間を待っていただいてということで、また何度か入室を試みていただければありがたいと思います。ということで、一旦、傍聴者の方々には御退席をお願いしたいと思います。
 
(傍聴者退室)
 
(傍聴者入室)
 
 それでは、再度公開とさせていただきまして、次の議題に移りたいと思います。議題の4番目、分野別研究開発プランについてでございますが、事務局より説明お願いいたします。

【生方補佐】それでは、資料3-1から3-4に基づきまして、事務局から御説明させていただきます。分野別研究開発プランの策定についてでございます。これまで研究開発課題の評価につきましては、研究計画・評価分科会のほうで策定しております研究開発計画に基づいて実証してきてございましたけれども、このたび、第6期科学技術・イノベーション基本計画の策定を受けまして、この研究開発計画を廃止いたしまして、新たに分野ごとに分野別研究開発プランを作成するという方針が示されたところでございます。こちらにつきましては、今年に入りまして、1月と3月に開催されました研究計画・評価分科会のほうで、プランのフォーマットが決定されておりまして、各委員会において個別に策定するということが決定されてございます。今回御議論いただきたい内容のほう、分科会から示されたフォーマット、資料3-2にしたがいまして、資料3-3のとおり、事務局で案を策定してございますので、こちらの内容について御意見をいただきたいというものでございます。フォーマットの構成につきましては、丸1 番から丸3 番で構成されてございまして、丸1 番といたしまして、政府戦略等の大きな目標部分、それから、丸2 番といたしまして、分野のそれぞれの線表がございます。それから、丸3 番といたしまして、各研究開発課題の直近の評価票における概要を添付するという形で構成されてございます。分科会から示されておりますフォーマットに基づいて作成したプランについて簡単に御説明差し上げます。1ポツのほうがプランを推進するに当たっての大目標ということでございまして、こちらは文科省のほうで作成しております政策目標に基づいて、内容を設定してございます。また、2ポツのプログラム名が、今回、ナノテク分野で作成するプログラムということでございまして、ナノテクノロジー・材料科学技術分野研究開発プログラムということでございます。基本的にはこちらの概要につきましても、文科省の政策評価に基づきまして、内容を設定させていただいてございます。その下にあります上位施策のほうが、科技・イノベ基本計画ですとか、マテリアル革新力強化戦略など、関係する政府文書を記載してございます。その次のページに、実際の施策を線表で整理させていただいてございます。丸1 番と丸5 番が、昨年度終了してございます、ナノテクノロジープラットフォームと元素戦略プロジェクトという形でございます。2022年現在、走っているものといたしまして、マテリアル先端リサーチインフラ、材料の社会実装に向けたプロセスサイエンス構築事業、また、データ創出・活用型マテリアル研究開発プロジェクトという形で、実施計画を整理させていただいてございます。なお、このうち、丸1 番と丸5 番の2つの事業につきましては、今年度中に事後評価を行うということでございまして、本日もナノテクプラットフォームの事後評価、議論のほうをいただきました。今後、元素戦略プロジェクトにつきましても本委員会にて審議をいただいた上、今後、計評分科会に報告するということを考えてございます。なお、この次のページ以降では、各事業の概要を添付してございますので、説明は割愛させていただきます。以上が今回の研究開発プランの概略でございます。先生方の御意見があればいただければと思います。よろしくお願いいたします。

【高梨主査】どうもありがとうございます。ただいまの御説明に、御質問あるいは御意見等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。これは内容的にはそんなに変わっているところはなくて、フォーマットが新たになったというような印象です。何かございましたらお願いいたします。特に御意見ないようですので、これは御了解いただいたということで、どうもありがとうございます。それでは、最後、議題の5番で、その他に移りますが、事務局からよろしくお願いします。

【生方補佐】本日も長時間にわたりまして御議論いただきまして、ありがとうございました。事務局からの御連絡となります。次回のナノテクノロジー・材料科学技術委員会につきましては、調整の上、追って事務局より御連絡させていただきます。また、本日の議事録につきましては、事務局にて案を作成し、委員の皆様にお諮りし、主査に御確認いただいた後、ホームページにて公開いたします。以上でございます。

【高梨主査】どうもありがとうございました。何か委員の方々からございますでしょうか。よろしいでしょうか。また、次回は、コロナの状況次第ですが、それこそ対面も含めてできればいいかなと思っていますが、まさに状況次第です。皆さん、貴重な御意見いただきまして、どうもありがとうございます。それでは、本日のナノテクノロジー・材料科学技術委員会はこれで閉会とさせていただきます。
 
―― 了 ――