第11期ナノテクノロジー・材料科学技術委員会(第4回)議事録

1.日時

令和4年2月18日(金曜日)13時00分~15時00分

2.場所

Web開催

3.議題

  1. ナノテクノロジー・材料科学技術分野の最新動向について
  2. ナノテクノロジー・材料科学技術分野に関する産学の最新の取組
  3. その他

4.議事録

【高梨主査】定刻となりましたので、ただいまより第11期ナノテクノロジー・材料科学技術委員会の第4回を開会いたします。皆様方におかれましては、年度末の御多忙のところ、御出席いただきまして、どうもありがとうございます。本日も、新型コロナウイルス感染症対策の観点から、前回に引き続きましてオンラインでの開催となります。よろしくお願いいたします。では、早速ですが、まず事務局より本日の会議の流れの説明をお願いいたします。

【小川補佐】ナノ材の小川でございます。本日もどうぞよろしくお願いいたします。
 本日は、尾崎委員、高橋委員、高村委員、常行委員、長谷川委員が御欠席となっております。資料につきましては、欠落等ございましたら、議事の途中でも結構ですので、事務局までお知らせいただければと思います。本日は、議題1としまして、ナノテクノロジー・材料科学技術分野の最新動向として、令和3年度の補正予算及び令和4年度の当初予算案について御説明差し上げます。また、2月3日に開催されましたマテリアル戦略有識者会議の内容などにつきましても御報告させていただき、質疑に進みたいと思います。次に、議題2としまして、ナノテクノロジー・材料科学技術分野に関する産学の最新の取組ということで、第11期から本委員会に所属されている委員のうち、平田委員、関谷議員からそれぞれ御発表いただき、皆様と意見交換をさせていただくということを考えてございます。本日はオンラインでの開催となりますので、回線負担の軽減や雑音防止の観点から、御自身の発言時以外はマイクをミュートにしていただくとともに、ビデオもオフにしていただければ幸いでございます。また、御発言を御希望される際には「挙手ボタン」にて御発言の意思を表明いただければ幸いです。御発言の際は、議事録作成の関係上、お名前をおっしゃってから御発言いただければ幸いでございます。それでは、初めに、当局局長、池田より御挨拶させていただければと思います。よろしくお願いいたします。

【池田局長】本日はお忙しい中、御出席をいただきまして、ありがとうございます。文部科学省の研究振興局長の池田でございます。私、前任の杉野の後任として昨年9月に着任いたしました。この会議は、8月以降、このような形で開かれるのは久しぶりと聞いておりますので、よろしくお願いいたします。委員会の開催に当たりまして、一言御挨拶をさせていただきます。今年度は、文部科学省が10年間にわたって実施してきましたナノテクノロジープラットフォームと元素戦略プロジェクトが事業年度の最終年度を迎えておりまして、ナノテクノロジー・材料科学技術分野の研究開発推進の取組の非常に大きな節目になると考えております。1月の下旬に関連のシンポジウムがございまして、私自身もそこで御挨拶をさせていただきましたが、先端設備の全国的な共用ネットワークでありますナノテクノロジープラットフォームは、年間約3,000件の利用をいただき、また数多くの優れた技術スタッフの育成に貢献されるなど、産学の研究を支える欠かせない研究基盤となっていると考えております。また、元素戦略プロジェクトでは多くの優れた革新的な材料が創出されており、先日のシンポジウムでも、材料開発のデジタルトランスフォーメーションなど、将来の研究開発の方向性に関する活発な議論が行われたと聞いております。本日は、令和4年度予算案につきましても御説明申し上げる予定ですけれども、文部科学省としては、これらの事業の10年間の成果、いろいろな蓄積を基盤として、さらに研究開発の加速を目指すため、データ駆動型研究開発を中心といたしますマテリアルDXプラットフォームの実現にしっかりとつなげていきたいと思っております。本日は平田委員と関谷委員からこの分野における産学のデジタルトランスフォーメーションに関する最新の取組について御発表いただけるとのことで、こうした取組も参考に文部科学省として引き続きこの分野の研究開発を強力に進めてまいりたいと考えております。委員の皆様方には引き続きこの分野の研究開発の進め方などについて様々な御意見、御助言をいただければ幸いです。本日もどうぞよろしくお願いいたします。

【高梨主査】池田局長、どうもありがとうございました。それでは、議題に入りたいと思います。今日は審議事項は特にありませんので、事務局からの御説明あるいは委員からの御発表に対して、皆さんから自由に意見交換あるいは質疑等いただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。1番目の議題ですけれども、ナノテクノロジー・材料科学技術の最新動向についてということでございますが、まず事務局より御説明をお願いいたします。

【小川補佐】事務局でございます。それでは、議題1としまして、ナノテクノロジー・材料科学技術分野の最新動向について御説明差し上げます。概算要求の前にも先生方に御説明させていただいたところでございますけれども、そちらの結果ということになります。文部科学省におきましては、本年度よりマテリアルDXプラットフォーム実現のための取組としまして、データの創出、統合、利活用まで一気通貫してマテリアルの創製を図るということで新しい取組を進めているところでございます。予算としましては、本年度に引き続き、次年度につきましても、右肩、令和4年度予算額が51億円強ということ、また補正予算としても70億強ということで、施策を進めるに十分な予算をお認めいただいたところでございます。個別の施策の進捗については後ほど後ろのページで御説明させていただきますけれども、全体像について簡単に御説明いたします。本年度でナノテクノロジープラットフォーム事業は終了いたします。来年度からマテリアル先端リサーチインフラでデータの創出や先端共用設備の共用サービスにつきましても引き続き実施していくということを考えてございます。今年度、特に補正予算で36億円ということで、大きく設備の措置をさせていただくことになりましたので、こうしたものを今の25機関の枠組みの中でしっかりと使っていくということで、今後整備を進め、またデータをしっかり活用できるような形で関連の取組を進めていくところでございます。また、そうしたところで出てきたデータでございますけれども、こちら、②のデータ統合・管理というところで、データ中核拠点、こちら、NIMSが担いますけれども、こちらでシステムを介しまして全国で共有していくということになります。本年度につきましては、補正予算26億円ということで、データを共有するためのクラウドに加えて、AI解析を行うための基盤システム開発の予算を認めていただいたということになります。こういったものを合わせまして、全国の設備から出てくるデータを共有していくという取組について、2023年度の試行運転を開始する、またAI基盤につきましても同様の時期に進めていくというめどが立ちましたので、こちら、しっかりと中身のあるものに今後していくということで、今、NIMS及び各大学、国研の方々と具体的な取組を進めているところでございます。また3番目でございますデータ利活用の部分でございますけれども、こちら、こうしたデータを活用した研究開発プロジェクト、特に元素戦略のアセットである計算理論、材料、こうした拠点体制をさらにデータ活用グループも含めた形で推進していくということで、今年度フィージビリティースタディーを行って検討を進めてまいりました。その本格実施、本格研究に進んでいくということで、関連の予算を措置していただくべく予算案には盛り込んでいるというところでございます。まず、マテリアル先端リサーチインフラでございます。こちら、ナノテクノロジープラットフォームのアセットをさらに発展させてデータを構造化し、データを全国で共有していく取組でございます。こちらの図に書いてあること、詳細には申し上げませんけれども、各設備、また各機関でデータばらばらですので、そういったものを関連づけて使えるようにするために、翻訳プログラム、またテンプレート、いわゆるメタデータを皆さんで整備していくという取組を今進めております。このために装置メーカーに御協力いただかないといけないので、経産省さんにも御協力いただきつつ、この部分を進めているところでございます。今の実績でございますけれども、本年度、設備自体は1,000弱ありますけれども、特に重要だと考えている158の部分、設備につきまして、データの構造化ができるのかどうかといったところ、設備メーカーさんとタッグを組みながら進めてまいりました。現在、約9割の部分がその確認が終わっておりまして、こうした作業を着々と進めております。こうしたデータにつきましては、データ中核拠点、NIMSの開発するシステムを介しまして全国で共有していくということを考えております。令和3年度の補正予算でAI解析基盤につきましても措置できましたので、データの共有、またAI解析機能につきまして、2023年度から順次試行運転に入っていくということで作業を進めているところでございます。続いて、データの利活用というところでございます。先ほど申し上げましたけれども、元素戦略プロジェクト、本年度で終了しますけれども、そのアセットであります大型先端設備の利用、また計測理論、材料創製といったグループにプラスしまして、データ活用という考え方を取り入れまして、次世代の研究の方法論を実践するということで、本年度はフィージビリティースタディーとしまして、課題5個に対して、どんな研究体制、またどんな研究課題がいいのかというところを議論させていただいておりました。次年度からは本格的にその検討に基づきまして研究開発を進めていくというフェーズになります。次に、フィージビリティースタディーを中心的に担っていたいただいた先生、また材料領域の拠点でございます。東京大学、NIMS、東京工業大学、東北大学、京都大学のそれぞれの拠点におきまして、各材料領域、蓄電池、磁石、半導体、構造材、バイオといったところにつきましてフィージビリティースタディー、DXのユースケースを実践していただくということで検討いただきました。フィージビリティースタディーの中でワークショップを開催させていただきました。ワークショップでは、合計5個、それぞれの機関で1回ずつワークショップを行いまして、2,000名に迫る参加者、また産業界からも非常に高い期待をいただいているのかなと思いますけれども、合計600名以上の参加者をいただきました。また、材料を創る側と大型設備、例えば「富岳」、放射光、またマテリアル先端リサーチインフラといったところの連携の議論というのも順次進めておりまして、例えば「富岳」のSociety5.0枠の活用を見据えた計算データ基盤の構築ですとか、SPring-8のほうでもうDX化が進んでいますけれども、こちらとの連携、こういったところについて議論を進めているところでございます。次のページをお願いいたします。こちら、先ほど申し上げたワークショップの実績でございます。今後、フィージビリティースタディーも参考にしながら、本格実施に向けて公募を行って審査していくというフェーズに入ります。また、夏にナノ材委員会、開催するかと思いますけれども、その際にもその進捗について御報告させていただけるかと思います。ここまでが予算の関係でございます。次から直近であった大きなイベントですとか周辺状況を御説明させていただきます。1つは元素戦略関係のシンポジウムでございます。元素戦略、皆様御案内のとおり、10年間のプロジェクト期間を今年度で終了するところでございまして、今月の3日、4日に第5回の10年間の総くくりのシンポジウムを行いました。例えば末松文部科学大臣にも冒頭御挨拶、ビデオメッセージ頂きまして、また、初日は特に成果の発信、2日目には今後のマテリアル研究開発の方向性、特にDXの関係、右下に書いてありますけれども、各界の有識者の先生方にパネルディスカッションに御参加いただいて盛況に終了したところでございます。またもう一つ、マテリアル戦略有識者会議、こちら内閣府で事務局を主に務めている会議でございますけれども、こちらも今月3日に実施されました。文部科学省のほうではマテリアルデータの収集・蓄積、重要技術領域における研究開発というところが特に関わるところですけれども、こうしたマテリアル戦略に基づく取組についてフォローアップを行っていただいたところでございます。次のページをお願いいたします。見ていただいているのが、特にデータ駆動研究開発関係でどんな取組があるか、政府全体を俯瞰したものでございます。ちょうど2021年度から2022年度にかけて、新しくマテリアル戦略に基づいてデータ駆動型研究開発の取組がいろいろ本格稼働していくということになります。これは文科省も経産省も同じでして、内閣府もそうですけれども、データ駆動型の研究開発プロジェクトであれば、経産省さんのほうではプロセスインフォマティクス技術の確立ということで、機能性化学品ですとかファインセラミックス対象の事業が走り始めます。また、文科省ではデータ創出活用型プロジェクトということで今後公募を進めていきます。さらにマテリアルデータプラットフォームという意味では、NIMSを中心として研究データをアカデミア中心にまとめていくという事業が2023年度から試行運転を始めますし、経産省さんのほうでは、産総研のほうでプロセス部分のデータを活用していく拠点として3拠点整備していきます。これが来年度から動いていくということになりますので、ちょうどデータ関係のいろんな取組がこれからどんどん動いていくというタイミングでございます。次のページをお願いいたします。そういう中で、府省連携で、データの活用の方法ですとか、あとデータマネジメントにつきまして、共有、展開を図ることを目的した連携の場を今後設置して、政府一体となってこうした分野を盛り立てていく、推進していくということを考えているところでございます。私のほうからは以上でございます。

【高梨主査】どうもありがとうございました。それでは、ただいまの御説明に関しまして、御意見あるいは御質問等がございましたら「挙手ボタン」をお願いいたします。いかがでしょうか。馬場委員、よろしくお願いします。

【馬場委員】名古屋大学の馬場でございます。今年度の補正予算並びに来年度の施策につきまして詳細な御説明ありがとうございます。また、今年度の補正予算並びに来年度の予算につきまして、文科省の皆様には大変御尽力いただきまして、誠にありがとうございます。施策の中で、経産省、あるいは内閣府の戦略の下に進められているんですけれども、それは非常にすばらしいことだと思いますし、ぜひ発展させていただきたいと思います。この取組の中で、マテリアルDXに関して、企業のコンソーシアムといいますか、うまく、こういう分野に興味を持っておられる企業の方を、コンソーシアムのようなものを形成できれば、マテリアルDXプラットフォーム等の実際の取組の情報等が企業のほうにも素早く行って、企業の方からもマテリアルDXプラットフォームの形成に種々御協力いただけるのではないかと考えております。そういったことも含めてもぜひ御検討いただければと思います。ナノテクノロジープラットフォームでは、個々の参加機関が個々の企業からの依頼を受けて設備共有を行ってきたわけですが、せっかくデータ中核拠点からデータ利活用のプロジェクトも含めた形のプラットフォームを形成していただいていますし、データ利活用のワークショップでもかなり多くの企業の方の御参画をいただいているようですので、将来的にそういうコンソーシアムのようなものを御検討いただいて、マテリアルDXプラットフォーム、産学官のより強固な連携体制を御検討いただければと思います。以上でございます。

【高梨主査】ありがとうございます。事務局、いかがでしょうか。

【小川補佐】おっしゃるとおりでございます。マテリアル戦略の有識者会議、先日2月3日にございました。その中でも各取組はよく進んでいますと。特に大きく出たのが、産学連携ですね。ここの部分しっかり進めていかないと、産業界だけでもできないし、アカデミアだけでもできない。こうしたコンソーシアム、各事業ごと第2期のSIPでもそうですし、私たちの持っているマテリアライズの事業でもそうですし、それぞれあるんですけれども、今回打ち出しとしては、やはり日本全国でマテリアルデータを集めていってどう使っていくかという、こういう取組をしていくので、また違う形の産学連携の形を考えなければいけないと。それは多分これまで培ってきたような様々なノウハウをうまく生かしながらやっていく必要があります。例えば次期SIPの議論も今後始まって、SIP自体もデータを中心としたテーマになると内閣府のほうから伺っていますので、こういったところ、特にSIP自体は産業界と組まなければいけないという事業でもございます。なので、ここは新しい枠組みが多分必要だろうということで、私どものほうでも内部でいろいろ検討しているところでございますし、マテリアル戦略の有識者会議でも、馬場先生と同じ、同様の問題意識を持った先生いっぱいいらっしゃいましたので、引き続きしっかりやっていきたいと思います。ありがとうございます。

【馬場委員】ありがとうございます。ぜひ御検討のほどよろしくお願いいたします。

【高梨主査】ありがとうございました。では次は中山委員、お願いいたします。

【中山委員】大変お世話になります。JSTの中山でございます。分かりやすい御説明をいただきまして、ありがとうございます。データをしっかりと集めるということは、リサーチインフラの施策も含めて、今後の材料分野では非常に大事なことかと思います。データの構造化ということを言われていましたが、これはデータを使いやすく、うまく取り込むことなどをイメージしましたけれど、具体的にはどういうことをやっているのか。その御説明と、御苦労されている部分をお伺いしたいです。あと、多分これはリサーチインフラだけでなく広げて考えて、この期間だけにとどまらず、かつ、特定の計測機器にとどまらず、どんどんやっていかないとデータが集められないと思うので、さらに広げていくことをお考えなのかお伺いできますでしょうか。

【小川補佐】ありがとうございます。1つ目ですけれども、構造化って何しているんですかというところでございます。大きく考え方としては2つありまして、装置から出てくるデータ、バイナリー的なものもあれば、より視覚、分かりやすいようなデータもございますけれども、いずれにしても装置から出てくるデータをまず翻訳しなければいけないと。人間が読めるような形にしていく必要がありますと。あと、テンプレートという意味では、例えば分かりやすいAI解析の例でいえば、組成とか構造と機能の相関を見ていくわけですけれども、そういった何を見ていくかというところは材料種ごとにある程度、研究ごとに違いますので、そこのテンプレートを、どんなデータをためていくのかというのを決めていかなければいけないということです。この図の真ん中でプログラムとテンプレートとありますけれども、こういったもの、プログラムというのは、機械から出てくるデータを翻訳していくもの、どちらかというと機械ごとにつくっていくものです。テンプレートというのは、材料をどういうふうに研究したいかというところにも関わってきますので、材料種や研究課題によるような形のものなので、ある程度の広さというんですかね、1つのものだけではなく、いろんなものが出てくる、多様なものが出てくるところになります。いずれにしても、こういったものをまず皆さんのほうで整備して、NIMSのほうで整備しているデータ構造化システムというところに登録すると。これによって、装置から出てくるデータが、メタデータがくっついて皆さんで使えるような形でたまっていきます。大変なのは、やはりこの一番下ですね、装置メーカーの同意の取付けというところは結構難しいところでございまして、装置メーカーごとにいろんなデータの形式でため込んで当然いくわけです。データの形式も装置ごとにばらばらです。そこは著作権にも関わってきますので、しっかりと同意を取り付けないとなかなか進まないところです。1社1社、事業の中でお話をして、ひざ詰めでどんなものなんですかと聞いていくことが結構大変な作業になるということで、本当に地道な作業を事業の中でやっていただいているということになります。苦労のところはそこで、あと、広くというところですけれども、恐らく2レイヤーあるのかなと考えていまして、1レイヤー目は、リサーチインフラと文科省の中でやっているほかの事業、例えばデータ創出事業との連携ですね。データ創出事業で出てきたデータというのがリサーチインフラ側のデータ構造とばらばらではいけませんので、こういったところを合わせていく。また、ナノ材だけでなく、放射光のほうでもDX進んでいますので、ああいったところから出てくるデータの構造とも合わせていく必要があると。ここは今議論を進めております。次のレイヤーは恐らく省を超えたところだと思います。経産省のほうでも事業進んでいまして、ちょっと少し先の話なのかなと思いますけれども、こういったところとも同じような連携が必要なのかなと。ある程度政府主導で進めるところが進んでくると、さらに事業に入っていないようなさらに裾野の広いところにもどうやって波及させていくかというのは考えていかないといけないのかなという形。まずここのリサーチインフラからスタートはしていますけれども、関連の取組と連携しながら、なるべく事業の効果を最大限発揮するような形に持っていけないかなと担当のほうでは考えているところでございます。

【中山委員】ありがとうございました。非常によく分かりました。確かに装置メーカーにとっては、それが社にとってプラスなのか、マイナスなのか、戦略上どうなのかというところは非常にクリティカルですよね。御苦労分かりました。ありがとうございました。

【高梨主査】どうもありがとうございます。いっぱい手が挙がっています。次、五十嵐委員、お願いします。

【五十嵐主査代理】五十嵐です。マテリアルDXプラットフォームの取組、私もぜひ深化させていただきたいと思うんですが、最近気になっていることとしまして、経済安全保障推進法、この中で先端技術に関して特許を非公開化するというような、そういう議論がありますよね。これもともとは軍事利用技術ですとか、兵器開発、そういうのに限定されているようなことは聞いているんですが、例えばマテリアルDXでこれからいろんな貴重なデータベース、クローズドもオープンもあるんですけども、そういうものができてくると。さらにはAIの解析技術を使って、新しい材料開発、デバイス開発、そういうモデルが出てくると。そういうものが、見ようによれば将来的に軍事利用しようと思えばできるような、そういう技術も含まれると思うんですよ。ああいう法案が通った場合に、そういう基礎研究の段階の成果、そういうものまで非公開化してしまう、そんな議論になってしまうことを恐れていまして、私、以前この委員会でも、日本の大学、研究機関で行われた重要な基礎研究に関して、その成果をデータバンク化するのがいいんじゃないか、一定期間非公開にして、それから具体的な用途が決まったときには特許化していくというような話をさせていただいたこともあります。この法案に関して、例えば文科省からもしっかりと議論に参画して意見を言われているのかどうかとか、今後、こういう先端技術、基礎研究に関してそういう縛りがかかってくるのかということに関して今どのようにお考えでしょうか。

【小川補佐】事務局のほうからよろしいでしょうか。先端技術の部分は、文科省の中にまた別の担当部局がございまして、そちらのほうで担当しております。そこでどういった議論がされているのかというところはなかなか私たちのほうでつぶさにこの場でお伝えすること難しいんですけれども、おっしゃった御懸念というのは、新しい法案ができる前の段階、今の段階でも同じようにリサーチインフラ事業の中で議論しておりまして、特に外為法との問題です。要するにマテリアルデータというのはかなり基礎的な材料ですから、材料って何にでもある意味使えるわけですので、そこで外為法に将来的に引っかかるようなデータというのをある程度クローズな形でシェアするという話になってくると、公知データは外為法に引っかからないと思いますけど、そこの部分というのは非常に扱いがセンシティブになるということで、ここはまだ議論は終わってないんですけれども、データをこれからためて皆さんで共有していくというときに、何でもかんでもオープンには当然できないので、そこをどういうふうな、どのぐらいの規模の人たちにどういうふうな縛りをかけて共有していくかというところは、まさに今、ガイドラインまではいかないかもしれないですが、中でしっかりと仕組みをつくろうという議論をしているところでございます。

【五十嵐主査代理】ありがとうございます。状況はよく分かりました。ぜひいい議論をしていただいて、ガイドラインを示していただけたらと思います。よろしくお願いします。

【小川補佐】ありがとうございます。

【高梨主査】どうもありがとうございます。重要な御指摘だと思います。それでは、次が、上杉委員、お願いします。

【上杉委員】京都の上杉です。1つだけ質問させてください。10ページを見ますと、際立ってバイオアダプティブ材料のところの参加者が少なくて、盛り上がってないように見えます。こういうバイオ関係の材料というのは将来のマテリアルの産業のことを考えると大切だと思います。でも、この数字が少ないのはどうしてでしょうか。まだまだこの技術は先ではないかと思っているのか、もしくは先行投資が足りてないのでしょうか。集計されていて、どのように感じられましたでしょうか。

【小川補佐】おっしゃるとおり、京都大学のシンポジウム自体は、私も当然見ていたんですけれども、初日が国際シンポジウムになっておりまして、2日目がいわゆるほかの機関と類似といいますか、FS機関の中での検討のワークショップになっていたのかなと認識しております。なので、ちょっと立てつけが違うところもありましたし、国際ワークショップの場合、恐らくもともと別の流れでバイオ系のこの分野の研究開発を行っていくような国際ワークショップがあって、そこに相乗りしたような形になっているので、必ずしもバイオ材料のところで何かほかの方々が興味が低いとか、そういう感じでもなかったのかなと。むしろちょっと立てつけが違うというのは当初感じていましたので、必ずしも一概には言えないかなと思います。バイオのところは沼田先生が引っ張っていただいていますけれども、非常に産業界と連携をする活動を積極的にやっていただいておりまして、ここは新しい風といいますか、期待させていただいているところでもあります。ちょっとお答えになったのか分からないですけれども、立てつけが少し違った部分もあるのかな、影響しているのかなというのは、集計していたときは思ってございます。

【上杉委員】直接比較できるようなものではないかもしれないということですね。分かりました。ありがとうございます。

【高梨主査】確認ですけど、2日に分かれていて、これは同じ人が2日間出ている場合も数えられているという。

【小川補佐】同じ人が出ていたとしても数えていますが、ただ、ちょっと趣旨がそういう意味では初日と2日目で違いまして、初日、海外の方が、この分野の一流の研究者の方がどちらかというと集まって意見交換するような場でしたので、同じ方々が入っているというよりも、入られている方は少しずれているのかなという印象は受けております。

【高梨主査】単純に足し算するとそんなに少ないわけではないんですが、いずれにしても企業の方はちょっと少ないのかなという感じがします。どうもありがとうございます。それでは、次、湯浅委員、お願いします。

【湯浅委員】産総研の湯浅です。こんにちは。データの構造化に関してですが、NIMSが中心になってプラットフォームつくると。一方、日本原子力研究開発機構や量子科学技術研究開発機構は別のシステムをつくって、経産省もまた別にやるということで、それらをばらばらにやって、後でデータの互換性とかいうのが困ったことにならないかなという心配と、重複がないかというのは、初めの段階からかなり密に共通化する必要というのはないんでしょうか。

【小川補佐】事務局のほうからよろしいでしょうか。そこは本当にクリティカルな話だと思っております。最初から全部を一緒くたに共通化するかというと、材料種ごとにも違いますし、産総研さんとかNIMSとかで少しずつやっていること違うので、同じフォーマットでというのを完璧にやるかというのはまた別ですけれども、後々ためていたデータの互換性がないというのは、それは全くもって困ると思いますので、1例、2例で申し上げれば、例えば放射光ですとか、ああいったところのDXの流れとは今そこを合わせるような方向にしなきゃいけないねという話はしております。もう一つは、最後にちょっと申し上げましたけれども、府省連携でデータの活用、マネジメント、データ関連の扱いの連携をしていく場というものを今検討しておりまして、そこのプレーヤーが、恐らくメインプレーヤーになるのがリサーチインフラ関係だったり、NIMSだったり、あとは産総研のプロセスデータプラットフォーム、ああいったところが入ってきて、データ関係の話をすると。今おっしゃったようなデータの構造化の部分、ここの議論の中の机の上に載るような話だと思いますので、意識してしっかりやっていかないといけないと考えてございます。

【湯浅委員】分かりました。よろしくお願いします

【高梨主査】ありがとうございます。非常に重要なことだと思いますので、よろしくお願いします。
これでこの議題は終わりにしたいと思います。重要な御意見どうもありがとうございました。それでは、次に議題の2番に移りたいと思います。ナノテクノロジー・材料科学技術分野に関する産学の最新の取組ということで、平田委員、関谷委員から10分程度で御発表をいただきたいと思います。まず初めに平田委員からよろしくお願いいたします。

【平田委員】トヨタ自動車、平田です。よろしくお願い申し上げます。
 では、私から、短い時間ですが、お話をさせていただきます。「はじめに」ですが、これは、私どもの仕事の内容を示しています。私たち、先端材料技術部という部署で主にやっていることは、この左下、材料研究、そしてその対象は、触媒からFCまでいろいろ書いてありますが、主に自動車の動力性能や環境性能に関わる部品用途の材料の研究をしております。当然今の主な用途は、緑枠のとこにある各種電動車向けの材料ですが、これらの材料は、ロボットであるとか、パーソナルモビリティーであるとか、場合によっては、今ウーブン・シティの計画が進んでおりますが、そういったところにも適用できますので、それらへの適用も含めて検討しております。私たちの主なミッションは、今まで人類が使っていなかった、人類の永続的な繁栄に資するような新しい材料を創製する、ことをミッションとして取り組んでおります。なぜ、自動車会社が材料研究しているのと思われるケースもあるかと思いますので、簡単に歴史を振り返らせていただきます。これはトヨタの75年史というのが随分前に出版されており、そこから持ってきておりますが、材料研究、私ども、1930年代にエンジンの金属材料、そこの研究から会社として始めております。1960年代には大気汚染に対応するための排ガス浄化触媒の研究、こういったことを行ってきており、伝統として社内で、自分たちで材料研究をやってきたからこそ、課題を解決して、世に製品を出せた。すなわち材料のブレークスルーが製品のブレークスルーにつながっていると考えています。これは、CES、北米での家電の見本市で、社長の豊田がプレゼンした内容から持ってきております、ちょうどこのときにウーブン・シティのプロジェクトが発表されています。ここで私たちが考えている技術革新のキーワードを5つ挙げております。人工知能、モビリティー、ロボット、材料科学、再生可能エネルギー、こういった5つの内容を柱として研究開発を進めております。私たちの最近の取組といたしましては、特に、AI、人工知能と材料科学と融合して、いわゆるMaterials Informaticsの手法を確立して、そこから生み出された材料を、モビリティーであるとか、ロボットであるとか、再生可能エネルギーに使用する、こういった取組を行っております。ここでは、私たち、材料研究者の課題という形で材料研究者の1日を示しています、私ども、左上にあるように、日々新しい材料を合成しています。材料を合成しますと、当然その分析や評価を行います。その結果、データがたまってきますが、多くの場合、データがどんとたまっていって、データの山に埋もれてしまったり、場合によっては大切なデータが見つからなかったり、そういったことも多々あります。あまりそういうことが続くと、研究者自身、疲れてしまいもう考えられませんので、無理してやって実験に失敗してしまうとか、こういった課題もございます。これを見て感じるポイントの1つとして、データ整理、結構大変です。この部分を何とかできないかということを考えてきました。結論を申し上げると、結構データ解析、データ集約は、面倒ですので、AIにやってもらえばいいじゃんということで、AIで、自動で例えばデータを整理整頓して、分かりやすくすることができれば、研究者は、考えることに集中できるようになるだろうということで、そのプラットフォームの開発も進めてまいりました。特に、「この人ができること」とありますが、私たち自身で、データ処理であるとか、データ解析を行うシステム、ソフト、プラットフォームをつくりましたので、簡単にその御紹介をさせていただきます。このようなことができます。例えば、SEM像であるとか、TEM像であるとか、そういった材料の画像データや、X線やIRなどのスペクトルデータを私どものシステムにドラッグ&ドロップすると、自動解析して、例えばこの場合ですと、画像の中に含まれている組織の粒度分布がどうなっているかという画像解析であったり、何枚かの写真があれば、その中のいろんな写真を統合して、それぞれの材料、どんな類似性があるかということを定量的に可視化したり、こんなことができるプラットフォームが立ち上がっております。その活用例を1つ御紹介させていただきます。ここではカーボンを例に取り上げます。カーボン材料、活性炭、御説明するまでもありませんが、脱臭剤であるとか、私どもがやっている電池ですと、電池の負極材に使われています。当然いろんなものありますし、天然物、人工物いろいろありますが、化学式で表すとCにすぎません。これに関して、いろいろなカーボン、電子顕微鏡で見てみると、何となく似たようなものもありますし、何か形が違うのもあると。ただ、随分違うけれども、特徴を区別するのはなかなか難しいなということがこれを見て分かっていただけるかと思います。だったらということで、実際に957種類の異なるカーボン材料に対して、XRDを測定し原子の並び方を観測しました。ただ、これもやはりスペクトルの形ってサンプルによって違うのですが、分かったような、分からないような状態ですので、先ほどつくったAI君を呼んで、実際にスペクトルの近似度、スペクトルの類似性を計算して、似ているものを近くに、似ていないもの遠くに配置する、いわゆる類似度マップというものを作りました。実際には、多次元のマップですが、ここでは見やすい方向から見た2次元のマップを示しています。主成分分析を行った結果ですが、何となくグルーピングできそうだなということがここから見てとれます。ここに、カーボン材料、我々は、いろいろな用途に使っているものですから、それぞれの用途ごとの性能データを重ねると、大体どういった部分にあるカーボンがどんな性能が高いかというのが見えてきます。これを見ていただければ、例えば右側、リチウムの液系電池だとこの辺りにある材料が、性能が高いですよ。リチウム全固体だと少しその左上、さらにその左側にリチウム空気電池、中ほど下にリチウムイオンキャパシタに性能が優れている材料が分布していましたので、用途によってどんなカーボン材料をつくればよいかということが見えてきましたし、例えば、新しいカーボン材料ができた場合、X線、スペクトル取ってこのマップに重ねてみると、わざわざセルを作って性能を取らなくても、恐らく何に使えるかというのが大体層別できそうだと。こんなことが分かってきました。「私たちの今までの材料研究」とありますが、我々、同じ部署の中に、半導体から、カーボンニュートラルと書いていますが、人工光合成です。こんなようなことをやっている部署、部隊がいますが、比較的自分たちのグループだけで閉じた研究をやりがちでした。そんな中で、幾つか材料の類似性があるというお話です、向かって左側、これはナトリウムイオン電池の材料を示しています。右側が、排ガス浄化触媒、NOX吸着剤の材料です。これらは、ぱっと見似ているかというのが分かると思います、いずれの材料も、TiO6の八面体を基本ユニットとする層状化合物にアルカリ金属が入った構造で、非常に結晶構造に類似性があるということが何となく分かると思います。ここで分かったことは、電池材料、触媒材料、非常によく似ていますし、ひょっとしたらお互いに融通することができるんじゃないか。どうせ同じ部署でやっていることですので。いっそのこと、半導体、電池、磁石、触媒、人工光合成、ほかもありますけれども、こんなふうに部全体で材料の情報を寄せ集めて、材料を共用として使えるんだったら、それでいいんじゃないかということを考え、なおかつ、幸いにも、私たちの研究対象の材料は金属とかセラミック、無機物が多いので、先ほどのカーボンの例のように材料の類似性を客観的に示すことができるんじゃないかと考えました。実際に材料のデータを全部集めてマップを作った結果がこの次になります。やったことは先ほどと同じで、大量のXRDのデータを一元化して集めて解析しました。実際にこれらは、私どもが自前で合成した材料ですが、ここのグラフに大体1万9,000種類ほど、触媒6,000、電池6,500、磁性材料4,700とありますが、プロットされています。それぞれ用途ごとのものを、色を変えてプロットしています、ぱっと見、いろんな色がぐちゃぐちゃっと入り乱れていることが分かるかと思います。ここから材料の共通性が結構あるんじゃないかと思っており、これを使って、ほかの用途の材料を、他の用途に使う、そんなようなことができるんじゃないかと考えています。これはメンバーに話していることですが、材料の類似性ってかなりありますし、その類似性を、AIを使って特徴量を抽出するということができるようになってきていますので、自分たちのやっている材料だけじゃなくて、隣のグループでやっているものを輸入して使えますから、そういった形でどんどん、新材料を探すということもありますし、転用するということもありますし、そういった形で材料研究を進めていこう、そんな取組を行っております。御清聴ありがとうございました。

【高梨主査】どうも大変興味深いお話ありがとうございました。それでは、今の御発表に対して御意見あるいは御質問等ございましたらお願いしたいと思います。加藤委員お願いいたします。

【加藤委員】非常に興味深い話ありがとうございました。私は高分子系を主に研究しておりますが、非常に参考になりました。それで一つ思ったのは、例えばこのような材料を創る研究をやっていると、ある目的に関しては失敗の場合がありますね。ただそのデータを捨てないで取っておくと、また別のところで使ってもらえるということもおきて、失敗したデータもきちっと生きるということができてくるはずです。この場合、研究者の姿勢も、その場限りにならないということがあって、良くなると思います。失敗したデータというのが実は大事だと思うのですけど、みんな消えてなくなりそうなものが、別のところでうまく拾えて役に立ってくるという、そういう事例がありますかということ。それから最後のスライドの中でお書きになっていたように、やはりクリエーティブなことに頭を使えるということが一番大事だと思っています。データというのはやっぱり手段であって、最後はクリエーティブなアプローチが重要であると考えられます。例えば力押しだけだったら、強大なところに負けますから、その辺り。この2点について何かございましたら教えていただけますか。

【平田委員】まず初めの御質問、まさしくおっしゃるとおりです。我々もそれぞれ目的ごとに材料の研究をしていると、当然実験に失敗するものが多いですので、研究者は闇から闇に葬ってしまいます。こういった形でデータを集めて、他を取り入れてやれるよということを示すと、皆さんちゃんと残そうという気持ちにもなりますし、比較的これは会社だからやれるというところあるんですけど、言い方は悪いですが、つべこべ言わずやれというのもできますので、そういった点でデータが集まってくるというのが大きな効果です。もうあと一つ、ほかのものを転用するという事例は、今回の中では示してないんですけれども、割と初期の段階というか、昔からよく知られているのは、水素吸蔵合金、我々ずっとFC車の燃料タンク用に研究をしていまして、水素吸蔵合金は、重いので今のFC車には使われていませんが、ハイブリッドやPHVのニッケル水素電池の電極って水素吸蔵合金を使っていますので、実際に使い回しというか、横展されているという事例はございます。

【加藤委員】ありがとうございました。お話聞いていて、こういうデータ活用って私もまだ十分にやれてないのですが、わくわくしまして、あとちょっと思ったのは、日本中の大学などに、研究費が使われて多くの学生が出してくれた、その時には目的にあわず失敗と思われて死蔵されているデータも多いので、そういうのもうまく、ぜひ再復活できるようなデータ化、細かい問題ではあると思うのですけど、できたら良いと思いました。本当にありがとうございました。

【平田委員】ありがとうございます。
【高梨主査】ありがとうございます。それでは、次は宝野委員、お願いします。
【宝野委員】どうも分かりやすい説明ありがとうございました。トヨタ自動車様がマテリアルDXのこういった活動を始められたというのは報道等を通じて知っていたんですけど、今日のお話を伺って目的とかが非常によく分かりました。それで、その中で、これを事業化される、あるいは他社にも使ってもらうというような取組もしていらっしゃるように聞いたんですけど、ここで開発されたものは、他の会社とか、これから文科省ですとか、あるいは国で進めていくデータ関連のプロジェクト等にも活用されていこうという意図をお持ちなんでしょうか。

【平田委員】今の御質問にあったとおり、事業化という形で、データの解析ツール、プラットフォームをお客様に使っていただくという形で開放を進めています。一部有償で使っていただいているお客様も既に存在をしております。もちろん私たち、こういったものは、幅広く使っていただくということを目的につくってきましたので、まずはそれぞれのお客様に対して、その中で閉じた系でデータを使ってやっていただく形にはなりますが、プラットフォームであるとか、ここで開発しているそれぞれの例えば解析等の自動化ツール、それは使っていただく形で考えております。

【宝野委員】それはトヨタ自動車様が直接やられるんですか、それとも分社化してやっていこうと考えていらっしゃるんですか。

【平田委員】今、やり方については検討中でして、今現在はトヨタ自動車の中の事業立ち上げ中という形になります。

【宝野委員】どうもありがとうございました。

【平田委員】ありがとうございます。

【高梨主査】ありがとうございます。それでは、次は馬場委員、お願いします。

【馬場委員】名古屋大学の馬場でございます。平田委員、どうも詳細な御説明ありがとうございます。大変興味深く聞かせていただきました。先ほどの加藤先生の御質問とちょっと関連しますが、今回見せていただいたデータは多分社内のデータだと思うんですけども、既に公開されているデータ等もたくさんあると思うんですけど、そういうのを活用もされているんでしょうかというのが質問の1つと、もう一つは、今回XRDのデータですが、それ以外にもたくさんデータをお持ちだと思うんですが、そういうものも含めてデータ活用されているんでしょうか。その2つ、教えていただければと思います。

【平田委員】データ活用に関しては、基本的に大多数は、私ども社内で集めているデータです。あわせて、国内外の大学の先生方と共同研究をさせていただいたケースもございます。その中で先方の先生に御賛同いただいたものに関しては、データ変換して、検討させていただくということも進めております。

【馬場委員】ありがとうございます。

【高梨主査】よろしいですか。どうもありがとうございます。私も加藤委員の質問とちょっと関係あるかもしれませんけど、質問させていただきたいです。電池とかカーボンとか、ちょっと私、専門外なんですけど、ただグルーピングが非常にきれいになっていたというデータを出されていたと思うんですけど、あれというのは結果としてああいうふうにグルーピングできるというのは理屈としては理解できることなんですか。それとも、AIで分析してグルーピングして初めて、あっ、こういうことがあるんだという意外性を持って出てきた結果になるのか、どうなんでしょうか。

【平田委員】触媒と電池は、これ全固体の電池ですけれども、何となく近いんじゃないかという感触はありましたし、また半導体材料と触媒材料も、セラミックが多いですので、近いんじゃないかという感触はありました。ただ、どれくらい類似性があるかというのはマップにしてから初めて分かりました。

【高梨主査】あと、電池で、この前にカーボンのもので、いろんな電池のもので分けたやつありましたよね。ああいうグルーピングなんかはどうなんでしょうか。

【平田委員】これも最初は、我々、例えば比表面積であるとか、カーボンのシート間の面間隔であるとか、そういったものでグルーピングできるんじゃないかと思ったんですが、それが実は整理できなくて、これ、主成分分析して、その主成分分析のベクトルをマップ化しているという形をとっているんですけれども、そういった方法で初めて分かりました。

【高梨主査】それで結果的には理屈がつけられるという感じなんですか。

【平田委員】今、主成分分析のz0、z1という軸がありますけども、例えばz0、z1をパラメータとしてマッピングできるかというと、例えば比表面積のようなものはそれぞれのパラメータから予測できるということは分かってきていますが、性能を予測できるかというと、実は性能はまだ予測できていないです。恐らくこれは、今回、XRDの結果だけですが、もう少し違う見方のデータを加えて、さらにパラメータを増やしてフィッティングしていく必要があると考えています。

【高梨主査】分かりました。意外性のあるサイエンスとしての発展にさらにつながっていくようなことが、単に利用するということだけじゃなくて、新しいプリンシプルというか、そういうサイエンスにつながるようなことがAIを使ったこういう解析から新たに出てくると、それはそれで非常に魅力的で面白いかなと思ったので、そういうことでお聞きしてみました。

【平田委員】ありがとうございます。

【高梨主査】どうもありがとうございます。今お手が挙がっているのは菅野委員でしょうか。

【菅野委員】菅野です。どうもありがとうございました。大変意欲的な取組を聞かせていただきました。最先端の取組ということで、現在、国のDX化に向けた動きの、その先の取り組みを紹介いただき有難うございました。現在FSで進んでいる様々なプロジェクトの試みも、データをためるのは何となくうまくいきそうかなというところですけれども、じゃあ、それをどうやって使うかという点でなかなか難しい状況にあります。1つの方針、方向性を示していただいているように感じています。ありがとうございます。データをどのように使うかですが、新しいものを生み出すには、限られた範囲のデータを全部読み込んで、それらを組み合わせて1人の研究者が生み出すのがこれまでの研究過程ですもっと大量のデータがこれから出てくると、それをどうやって使うかが課題で、学習によってAIに任せるという手もありますけれども、多分、ここから新しいものを生み出すためには、大量のデータ、ほかの分野のデータもあわせて、やっぱり人が読み込んで、そこでAIと一緒になって考えて新しいものを生み出すということが必要ではないかと感じてしまいました。これからもっと大変になるのかなとちょっと思いました。どうもありがとうございました。

【平田委員】ありがとうございます。先生おっしゃっていただいたとおり、あくまでも研究を加速するためのツールですので、やはりこれだけじゃなくて、人間のひらめきって非常に重要だと思っていますし、またこういったマップを見ていると思いつくことも各研究者あるようですので、そこは大切にしていきたいと考えています。

【高梨主査】ありがとうございます。それでは次は瀬戸山委員、お願いします。

【瀬戸山委員】平田さん、ありがとうございました。私のお聞きしたいのは、実測データと文献データ、特許データ、この辺の融合みたいなことまではまだ難しいでしょうかね。というのは、結構文献では特許データがいっぱいあって、QUADの関係で海外の研究者といろいろ意見交換したときに、質のいいやつと質の悪いデータがあるよねと。質のいいデータというのをどうやって見極めていくかというのはすごく重要だねというような話があったんですよ。なので、文献とか特許というのはそういうのがいっぱいごちゃごちゃなっていて、実データを実データで数字としてはしっかりしているんだけど、これってやっぱり要らないよねというようなことがあって、今の平田さんの話として、どういうものを組み合わせていけば、組み合わせた中で、組合せによっていいところが見つかる可能性があるという言い方にも聞こえています。一方で、今菅野先生が言われたように、そこから先、やっぱり人間の知恵が要るよねといったときに、こういうデータの質みたいなものと量の関係をどうやってこれから取っていくのかなという漠然とした質問ですけど、ちょっと考えがあったら教えてください。

【平田委員】行く行くは合わせてやっていくということが大切になると思いますし、それをやっていけばさらにデータが増えると思います。ただ、データをどうやってコンバートするかであるとか、先ほどおっしゃったデータの質、それをどう見極めるかというところはまだ私たちも十分にできていなくて、今回お示ししたXRDのスペクトルなどは、全て同じ2シータの範囲で、全て同じステップで規格化して取っているデータですので、ぱっと合わせられますが、そうじゃないものは歯抜けの部分があったらどうやって埋めていくかということも別途考えていく必要があると考えています。

【瀬戸山委員】ですよね。たまたま中国の特許の話が出たときに、むちゃむちゃ量多いんだけど、相当質の悪いのがいっぱい入っていて、どれがいいかよく分からんという話になって、おまけに言語の問題があったから、解析不能という話になっちゃったんですけど、なので、そういうことを含めてどのようなデータの取り方をするかというのは、選ぶかというのはすごく重要だなと思って聞いていました。

【平田委員】そうですね。増やしていってどうかですね。まずは試みの初めとしては、きちっと合わさったものでやらないと分からないので、まずはきちっと合わさったものからやっていますが、少しずつほかのデータを取り込んで見ていくということをやっていくしかないかと思います。

【瀬戸山委員】ありがとうございました。

【高梨主査】ありがとうございます。それでは、次は前田委員、お願いします。

【前田委員】御説明ありがとうございました。非常に分かりやすい資料でよかったです。ちょっとお伺いしたいのは、やっぱり産業界にとって特許はかなり命というような状況になっていると思うんですけれど、トヨタさんのように全て皆さんにお見せできるという会社だけではないと思いますし、マップ化とか、こういうグルーピングしたものというのは、その考え方に対すると特許というのは出していらっしゃるんですか、まず。

【平田委員】一部考えてはいますが、なかなか難しい面が現状ございます。

【前田委員】なるほど。やっぱり材料って結構肝というか、命だと思うんですね。製薬なんかは、バイオなんかは本当にそこで生きているというようなところもありますし、全てお見せして、しかも海外にも全部お見せしてとなると難しいのかなというのもありながら、産業界がどういうふうにきれいにマッピングした中に一緒に入ってくるかとか、難しい問題なのかなと思いながら、すばらしいなと思いつつ、産業界の目線で見ると、どういうふうにうまく協力し合えるのかなというのを考えながら見させていただいたんですけれど、平田さんとかは産業界側の目線でいうとどんな感じで考えていらっしゃいますか。

【平田委員】今、例えばここのマップに出してあるような材料の物性に関わる部分はオープンにして共用しても最終的にそれほど害はないんじゃないかと思っています。私たちにとって重要なのは、その材料がどういう性能だったかという、その部分で、今私たちの取組でも、ここで出ている材料のパラメータと性能を結びつけるいわゆる一種の検量線のようなものを引いています。その検量線は、材料のマップの中から、これがいいと思う材料をピックアップするための鍵のようなものなので、暗号を解読する鍵は外に出せませんが、その前の状態であれば共用できると思っています。ただ、そのデータを共用する際に、やはり先ほど瀬戸山さんの御質問にあったように、精度であるとか、いろんなものが混ざってしまうと、データそのものの信憑性の話にもなりますので、その見極めは大切だと思います。

【前田委員】どうもありがとうございました。私、旭化成の社外取とか、中外製薬とかの役員とかもやっているものですから、産業界の側の目線でついつい見てしまいますので、いかにたくさんのみんなの知恵を集めるかというところが、なかなか、1社で集めることはできるけれど、みんなが知恵を1つにするということの難しさというのはあるのかなと思って聞かせていただきました。ありがとうございます。

【平田委員】ありがとうございます。

【高梨主査】ありがとうございます。では、萬委員、お願いします。

【萬委員】ありがとうございました。大変興味深く聞かせていただきました。2点質問させてください。マッピングの軸の選び方に興味があります。ある軸をAIで選んで、それでマッピングしたとき、そこに何らかの相関がある・ないという判断は、人間がしているのか、AIがしているのかどちらなのでしょうか。もし今は人間だった場合、AIがどこまでいけるのかご意見をいただきたいということが1点です。もう1点は、軸を選ぶときに、いわゆる最終性能に近いところまでどこまで行けるのかということです。つまり、サイエンティフィックな意味でのパラメータで相関がありますということはわかってきたと思うのですが、最終的に欲しいのは良い性能なわけで、その性能を示すものに近いパラメータを軸とするというような解析がどれくらいできるのかということについてコメントをいただけないでしょうか。

【平田委員】この例の場合ですと、スペクトルを主成分分析して、相関係数が高いものを軸に取っています。いろんな軸の見方があって、これも実際は何次元かのマップです。今見やすいように、各エンジニアが見て、この角度で見ればそれぞれの相関性が分かりやすいよねというマップでわざと取ってきています。
 ですので、今AIがやっていることは、主成分分析をして、いろんなマップをとにかくいっぱい書きますと。そこから先は、今は人間が選んでいます。

【萬委員】なるほど。では、軸をできるだけ最終性能へ近づけられる可能性というのがあるのでしょうか。

【平田委員】これ、最終性能が何に効いているかということによると思います。比較的、先ほどもお話ししましたが、カーボン材料の比表面積はどうも主成分分析した主なパラメータを使えば計算できそうだということは分かっているのですが、それだけでは一致できないものもあって、やはりどういう軸を選ぶかというのも今のAIでは多分判断できなくて、人間がいろいろなことを考えながらやっていく必要があると思います。人間もあまり変数が多過ぎるともう頭入らないので、両者を使っていく必要があると思います。

【萬委員】非常に効果的な手法で見識もいただきましてありがとうございました。

【高梨主査】ありがとうございます。それでは、最後に納富委員、お願いします。

【納富委員】大変面白い話ありがとうございました。データが1万9,000個か何か取ったというのがあったんですけども、データをどれだけ集められるかがかなり鍵だと思っていて、さすがトヨタさん、会社が大きいですので、割と簡単に集められたのかなとは思うんですが、途中で、会社なので、やりやすいという話もあって、データを取る人にある程度モチベーションを持たせないとどんどん集まってこないのかなとも思っています。特にデータを実際取るときに、どれぐらい広い範囲を、ある程度少し広い範囲まで取ったほうがほかの人に役に立つという性質があると思うので、モチベーションを上げるために、例えばデータを集めたことによる評価とか、こういうのというのはするんですか。

【平田委員】人事評価はあくまでもそれだけじゃないんですけれども、やはり先ほどおっしゃっていただいたように、XRDのスペクトルを取る際に、ある用途には不必要なデータ範囲まで取っています。ただ、これは全員にこれでやるぞという説明をして、もうやるしかないですし、1回、特にこの図ですけれども、こうやって見せてみると、使えるんじゃないということが認識し合えますので、やり方はいろいろあるかと思いますけど、我々がまずは無理やりやってみて、これで実感して、じゃあ、自主的にやろうかという、そういったイメージです。

【納富委員】結果も出てきているので、モチベーションも上がってきて、さらにデータも集まっているということですね。

【平田委員】そうですね。

【納富委員】分かりました。ありがとうございました。

【高梨主査】どうもありがとうございました。大変興味深い御講演と、あと、たくさんの御質問、御意見いただきまして、本当にありがとうございます。平田委員、本当にありがとうございました。

【平田委員】ありがとうございました。

【高梨主査】では、次の御発表で、関谷委員のほうからよろしくお願いいたします。

【関谷委員】御紹介ありがとうございます。関谷でございます。私のほうから10分間頂戴いたしまして、私の取組、それから、ぜひ先生方に様々な視点からの御教示をいただきたく、資料を準備してまいりました。これ、御覧いただけますでしょうか。私の研究開発でありますナノテクノロジーと、それから、それを活用したシート型のセンサシステムによるデジタルトランスフォーメーションの加速と題しまして、御紹介させていただきます。この御紹介の中で私なりに3つの視点を御紹介できればと思います。1つ目が、マテリアル研究の特徴は何といっても時間がかかるということだと思います。とりわけ次世代を育成するときにも、マテリアル研究者を育てるのには非常に時間がかかります。それをいかに大学の中でしていくかということと、そのときに2つ目の視点は、やはり最先端のマテリアル研究やナノテクノロジー研究をするためには、国の共通基盤設備が非常に役に立つということが挙げられるかと思います。私自身、この10年間、マテリアル・ナノテクノロジーの研究開発をしてまいりましたが、やはりどこに行っても、ナノテクノロジープラットフォームがあったからこそ、若手でありながら、そういった最先端の設備を使って世界と勝負できる研究ができたと感じております。そして、研究をするだけじゃなくて、大学レベル、小さな研究室レベルでも、スモールスタートして、大きなイノベーションへつなげていく。まだまだ大きなイノベーションが起こせるレベルには達していませんが、その過程段階を少し御紹介できればと思います。今御紹介しましたとおり、まさにこの委員の先生方が導いてきてくださりました我が国が強いナノテクノロジー、マテリアル技術を基軸として、プラスティックフィルム上に世界最薄・最軽量の電子デバイスの研究開発を、ナノテクノロジープラットフォームや、それから軌道放射光等を存分に使わせていただきながら研究開発してまいりました。薄くて軟らかいフィルムの上に電子デバイスを作るときには温度やエネルギーを付けることができない。すなわち、中で結晶性が乱れたり、材料がぐちゃぐちゃになって対抗しなかったり。すなわちそこで生み出される電子デバイスというのは特性がばらついたり不安定性があったりということが多く言われてきたのですが、こういった優れた国の共通基盤技術を使って、材料から、オングストロームレベルから材料を鍛え上げて、これ、フィルム上につくった原子が見えているわけですが、材料がオングストロームレベルで精緻に並んでおります。この中に電子が走るわけですので、非常に小さなノイズレベルでこういったプラスティック電子デバイスが動く、そういった研究開発をしてまいりました。その一端は医療機器となっておりますが、生体の小さな信号を測るためには体に直接的に取り付けられる必要がございます。生体適合性を有しながら、体の非常に小さな信号を的確に取るためには、ゴムのように伸びて金属のように電気を流す新素材が必要でした。そういった研究開発を原子レベルで取り組んでまいりました。また、電気を流すだけではなくて、ノイズを除去したり、それから必要な信号を増幅したりするという観点も重要でして、フィルムの上に世界最薄・最軽量の差動増幅アンプを研究開発してまいりました。実際にこういったフィルムデバイスとか電極を体にぺたりとつけることによって非常に小さな信号を取り出すということが実現できるようになってまいりました。こういった研究開発はこのような「Nature Electronics」の表紙を飾らせていただくことができました。また同様に、生体が活動することによって起きる電気的な信号が磁気的な信号にもなります。生体磁気、それから脳磁といった小さな体の中の磁気情報を取り出すための世界最薄の薄膜磁気センサの研究開発をしてまいりました。また、振動センサとこの薄型のセンサを張りつけることによって、脈波伝搬速度や脳の血管の硬さとか脳の詰まり具合といった、体のいわゆる血流ネットワークを可視化するようなセンサの開発などもしてまいりました。薄くて軟らかいフィルムの上ですので、当然材料が特性がばらつくということはシリコンと比べて顕著に見られます。そういった特性ばらつきを後から材料技術で補償するために、特殊な光技術と光感光性材料を分子や電子の中に混ぜることによって、その光によりまして特性ばらつきを動的に補償する技術などの研究開発もしてまいりました。こういったフィルム型の電子デバイスの研究開発、今御覧いただきました論文は全て研究室の学生が執筆して世界で報告したものでございまして、しっかりとした国の共通基盤技術を使えば学生でも世界できちっと勝負できるということをお示しすることができてまいりました。このような有機エレクトロニクス、それから日本が強いプリンテッド技術といったものを融合して、今御紹介したフレキシブルエレクトロニクスを御紹介させていただきました。軟らかいとか、薄い、生体適合性、そして低コスト、大面積製造、そして昨今非常に重要視されております低環境負荷、こういったところに貢献できる電子デバイスと考えております。ここまでであれば、国内多くの研究室がたくさん取り組んでおりますが、もう一つ私の視点としては、こういった共通基盤技術とそれから若手の育成の視点から、しっかりと社会に根づくイノベーションを起こしていきたいと考えておりまして、研究室と取り組んでおります。私の研究室は、今御紹介しましたとおり、原子の位置制御、配向制御、拡散・反応・不純物・吸着制御といった、ナノテクノロジーから原子レベルの制御をしておりますが、ここに材料メーカー、プロセスメーカー、デバイスメーカーと連携しながら、ナノ材料や界面技術でアナログ、それからデジタル回路をつくり、プロトタイプまで試作いたします。一方、医療であったり、構造物のヘルスケアをしている事業者とどういった計測をすればいいか、すなわちサービスメーカーともしっかりと連携することによって、社会が必要とする電子デバイスを原子レベルから創り上げて、一研究室で横展開ができるというところに大きな特徴を持っております。実際何をするかというと、私たちが目指しているのは、非常に小さな信号を低コストで測るということです。例えばインフルエンザとか、心電図とか、それから筋電といったミリボルト、それからナノモル/リットルとか、ppm、これは現在手軽なIoTセンサでも実現できていますし、町のお医者さんに行けばインフルエンザの計測もできます。片や、そこから3桁小さな信号になりますと、マイクロボルトとかになります。マイクロボルトですと、脳波が測れたりとか、それからPCR検査が御家庭でできたりとか、非常に小さな信号を手軽に測れる、そういった世界観になってまいりますが、御存じのとおり、小さな信号を測ると、途端にコストや時間がかかるということが分かってまいります。すなわち、小さな信号には非常に大きな社会的なニーズがあるということが分かっておりますが、コストの問題でなかなか社会的に普及できない。これをいかに下げていくかという取組が非常に大きなボトルネックだと考えておりまして、私たちは、柔らかいエレクトロニクスとそれから微小信号を計測するという組合せによって、脳波計であったり、母体心電計とか、脳内に埋め込むBMI、それから、今から御紹介します構造物ヘルスケアセンサなどを開発しております。構造物ヘルスケアセンサは何かというと、ほとんどの部品を炭素で作ります。もちろんLSIも、シリコンのLSIはガラスで包埋して、小さな部分ですが、LSIも搭載しております。こういったコンクリートさえ劣化する環境の中で、10年、50年、場合によっては100年もたせるためには、多くの場合、金属だけでは実現できません。我々は炭素を活用して、印刷で大面積に電子デバイスを創り、これを電柱に貼りつけることで、町の状態を振動や、それから超音波を打って反射してくる情報から、すなわち差分で町の情報を読み出すセンサを研究開発しておりまして、実際にちょっと動画を見ていただきますが、これは防災科研で実際に我々のセンサを電柱につけて、それから100年や何十年に一度の災害といったものをデータを取って機械学習するのは大変難しいので、疑似的に災害を起こして、これはこういった形で、こういったものから出てくる信号を先ほどのセンサで読み出して、機械学習し、非常に微弱な信号から町の災害情報を読み出したり、町の安全・安心を見守る、そういったシート型のセンサの開発をしております。もう一つのターゲットは生体でして、認知症の計測です。早期発見すれば早期治療ができると言われている認知症ですが、なかなか早期の発見ができません。それは、やはり大型の装置でないと脳の活動は測れないということでしたが、我々はシート型の世界初となるパッチ式脳波計を医療機器といたしました。医療機器の製造・販売は大学では担えませんので、大学発ベンチャー、PGVを立ち上げまして、ここで医療機器の製造・販売、そしてたくさんの医療機関との連携をさせていただいています。厚さは5ミリ、重さ20グラムで、おでこに貼りつけるだけで従来の医療機器センサよりも精度の高い脳波が計測できます。現在は53の医療機関で導入していただきまして、また多くの製薬メーカーと取り組ませていただいています。軽度認知障害の認知症の初期状況を取ったり、更年期障害、発達障害、てんかんといった、従来病院に行かなければ測れないような脳のビッグデータから、その予兆、いわゆる未病バイオマーカーを取り出す取組をしております。こういった取組は、今年1月2日のNHK・BSスペシャルでも私たちの電子デバイスを取り上げていただきました。これまで発見できなかった体の異変や病気の兆候を検査する認知症として紹介いただきました。また、もしかして御覧いただけた方もおられるかもしれませんが、ちょうど先週、2月11日に「認知症に立ち向かう!」というテレビ東京系「ガイアの夜明け」でも、工学博士が挑む認知症を早期に発見する医療機器として私たちの電子デバイスを取り上げていただきました。これまで非常に小さくて測ることができなかった、また揺らぎの中で見ることが難しかった未病バイオマーカーを取り出す取組として、現在、脳のビッグデータから認知症の兆候を捉えて、早期発見、早期治療へという取組をさせていただいております。御紹介、以上でございます。御清聴ありがとうございます。

【高梨主査】どうもありがとうございました。すばらしいアチーブメントで大変興味深いですね。では、御質疑、まず馬場委員からお願いします。

【馬場委員】名古屋大学の馬場でございます。関谷先生、大変すばらしい御発表ありがとうございます。ますます研究が発展していらっしゃる様子、大変うれしく思います。

【関谷委員】ありがとうございます。

【馬場委員】先生、マテリアル戦略のほうの委員でもあられるので、よく御承知のことかと思いますが、先生にこれまで御活用いただいたナノテクノロジープラットフォーム等の事業が今後マテリアルDXプラットフォームという形に発展していく中で、先生御自身の御研究できっともう既にマテリアルインフォマティクスのようなところを活用されているかと思うんですが、こういうすばらしいセンサ技術にマテリアルDXは今後どういうふうに貢献できるかというところで先生の御意見を教えていただければと思います。よろしくお願いいたします。

【関谷委員】ありがとうございます。まさに私、助教の時代からずっとナノテクノロジープラットフォームを使わせていただきました。本当に科研費で材料を買うのが精いっぱいの研究の中でこういったナノテクノロジープラットフォームや、国が準備してくださった設備を使ってしっかりと研究をさせていただくことができまして、改めて共通基盤技術の重要性を、身をもって体験させていただきました。また、今まさに内閣府のマテリアル戦略の会議では、そういった時間のかかるマテリアル研究者を育成するために、そして早期に世界で戦える研究者になるためには、やはり国の基盤共通設備がいかに重要かというところをお伝えさせていただいているところでございます。その中で今馬場先生触れていただきましたマテリアルDX、本当に重要だと感じております。私自身も、私は材料の研究者ではありませんので、むしろどういった材料が世の中にあるかというところを常にウオッチするというところが私のようなデバイスの研究者にとっては非常に重要なんですが、そのときにやはり非常に優れたデータベースが既に幾つか、NIMSや、それからJSTやNEDOといったところにあるのを拝見して、そういった中からデバイスに使える材料を抽出して組み上げることができてまいりました。逆に言うと、そういった材料、それからデータベースが国レベルで整備されるというのは、我々のような、組み上げてデバイスを創る研究者にとってみれば本当に重要な取組でして、またナノテクノロジープラットフォームのみならず、私、軌道放射光も使って、出てくるデータからどんな材料を選ぶかという取組をさせていただいておりますが、このたびのマテリアルDXは、そういった軌道放射光であったり、ナノテクノロジープラットフォーム、こういったものが全て融合されてマテリアル先端リサーチのインフラになるということで、私のような研究は、やはりそういった優れた環境があって初めて取り組ませていただける部分たくさんありますので、これからの若手の研究者にとってみれば本当に重要なきっかけをいただいたと心から思っております。ありがとうございます。

【馬場委員】ありがとうございます。

【高梨主査】ありがとうございました。それでは、加藤委員、お願いします。

【加藤委員】大変すばらしいお話ありがとうございました。

【関谷委員】ありがとうございます。

【加藤委員】先生は大学の立場でこういった優れた研究をお話しされていて、前回も先生のところにやる気のある学生が大変たくさん集まっているというお話をされたのですけれど、今回も、主要な戦力というか、研究の推進力は学生というお話をなさいました。それで、先生はデバイスの研究者ということですが、今日のお話だと、原子から社会的な応用まで考えておられて、こういったマルチにブロードにやるときのこれからの学生の教育の一つのモデルになるのではないかと思うのですが、例えば先生のところにマスターで1人入ってきたときに、これ考えたときに、普通に考えると一人の学生が、原子から応用まで急に一度にできないですよね。ですから、1人の学生にやらせるのか、論文まで何年もかけてドクターまで長期的な計画を立ててT字型の研究者としてやらせるのか、それから何人かいる学生で、原子・分子に強い学生、デバイスに強い学生、応用に強い学生、データに強い学生をつくって、それを組合せてやっておられるのか。その辺の人材教育と研究のところの関係を教えていただけますか。

【関谷委員】ありがとうございます。まさに加藤先生も教育の現場を担っておられる御視点から非常に重要な点を御質問いただきました。おっしゃるとおり、やはり学生の場合は、モチベーションを上げるということが非常に重要になっております。そういう意味では、応用物理の研究者が私のラボには学生として来るんですけれど、まずはどういった社会的な意義があるか、それからどういうふうに社会に役に立つか。まず研究の出口をしっかりと見せるということを、私、学生のリクルーティングから心がけております。そのリクルーティングにおいて、例えばNHKのBSスペシャルとか「ガイアの夜明け」とかというのは大変学生にとっても分かりやすいので、私も積極的にそういったものには出させていただいて、そういった形でまず非常に社会を変えたいというアントレプレナーマインドの高い、イノベーションマインドの高い学生をなるべく分かりやすく御紹介します。その上で、ラボに来ていただくと。先生おっしゃるとおり、原子から情報処理までをやることはとてもできないわけなんですが、私のラボは、マテリアル研究、それから実装研究、プロセス、デバイス、物理、それからシステム、AI、大体8チームに分かれておりまして、そこが大体5名ずつぐらいでチームを編成しています。そこにそこの分野で強い准教授や助教を配置して、学生が入ってきたら、まず目的は非常に明確に入ってくるわけですが、全て1週間から2週間かけて経験してもらいまして、やはり学生の中には、やってみたら自分は非常に手先が不器用だから、でも情報処理は好きですとか、とにかく学生はまずどこに興味があって何が好きかというのを一通り経験してもらった上で、じゃあ、卒論はここ、修論はここにしようというふうに、好きな部分をまずはスタートしてもらって、ただしそこで終わってはやはり研究室の面白みに欠けますので、そこからなるべく横のチームと連携しながら、最終的には就職するまで一通りを経験すると。こういうふうな形でラボを運営させていただいています。

【加藤委員】非常に参考になります。非常にうまくやっておられると思います。今、いろいろな分野に出ていくときに、一つの専門だけでもうまくいかないので、参考になると思います。ありがとうございました。

【高梨主査】どうもありがとうございます。本当に研究室の中でそこまでシステマティックによくやっておられるなと私も感心して聞いていました。それでは、武田委員、お願いします。

【武田委員】武田でございます。関谷先生、マテリアルが本当に社会を変え、私たちの生活を変えるということを実感させていただけるようなすばらしい御研究の発表をありがとうございます。そこで、お伺いしたいのは、社会実装を既に推進されておられますけれども、社会実装に向けての一番の課題が何であるかということです。もちろんセンシングの感度向上など、技術的な課題は中心課題であるとお伺いしましたけれども、それ以外に、コスト、あるいは耐久性、シート状のデバイスが繰り返し使えるのかなど、コスト面も含めて、社会実装に当たっての課題でクリアしなければならないことなど、実際に幾つかある中で最も大きなハードルとなっているものは何か、それに対してどう私たちは開発をしていけばいいのかということを教えていただけたらと思います。

【関谷委員】ありがとうございます。誠に私でお答えできるような知識がないかもしれないんですけれど、私なりに気をつけているところは、やはり今触れていただきましたとおり、社会に普及するためにコストとか、いかに手軽に作れるかというところは大変重要だと思うんですけれど、それが完成してから初めて社会に送り出して、でも、全然駄目だったということでは時間がかかり過ぎるので、私ははっきり言って全然駄目な状態から社会にいろいろと送り出して、無理してでも、先生方やいろんな方に使っていただいて駄目出しをいただくことで、ユーザー目線からデバイスを開発して必要な材料を研究開発するというふうに、ユーザー目線でかなりの研究をアーリーステージから始めさせていただくという取組をしております。一方で、本当のボトルネックは何なのかというと、その情熱を持って取り組める人材育成だと思っておりまして、研究ってほとんどの場合失敗しますし、どんないいデバイスも、社会にいきなりぽんと出してもみんながいいねと思って使ってくれるようなものはほとんどなくて、やっぱり世の中にないにはないだけの理由がしっかりとあって、だからこそ世の中になかったものをゼロから1で生み出す。そのときに、このデバイスとか、このイノベーションは絶対に必要なんだという強い熱意と情熱のある人材をとにかく育成するということが結果的にこういったテクノロジーやイノベーションを社会に実装することにつながると思っております。そういう意味でのアントレプレナー教育といいますか、1つの技術開発だけではなかなか社会に送り出すとかイノベーションを起こすというマインドに立てないので、やはりリベラルアーツ、基礎教育、いかに広い知識を身につけた上で専門性を伸ばしていくかというところも、月並みではありますけれど、やはり人材育成がいかに重要かというところを感じています。そのときに、大学というのは、ある種まだまだ失敗が許される時間だと思っていますので、そういった若手が、学生が大学でいろいろとイノベーションマインドを身につけて失敗を繰り返せる、そんな環境を大学で整備して、そこから産業界へと人材を送り出していく。こういったよい循環をしっかりとつくっていくのが私なりのミッションだと心得ております。非常に重要な御指摘ありがとうございます。

【武田委員】どうもありがとうございます。

【高梨主査】ありがとうございます。それでは、吉江委員、お願いします。

【吉江委員】ありがとうございます。とても先生のお話からその後のディスカッションも含めてすごくいろいろなところヒントをいただいていて、今すごく大きな刺激をいただいているところです。ちょうど今出てきたところで、未熟なところから社会に出していくというようなことをおっしゃったような気がするんですけど、実はそこが私の感覚ではすごく難しいんじゃないかなと思うんですけど、もしよろしければそこをもう少しかみ砕いて教えていただけないでしょうか。

【関谷委員】まさに非常に重要なところで、何をもって未熟かというところもあるんですけれど、一通り電気的な信号が取れて、その信号が正しいということが分かれば、まずはいろいろな方に使っていただくために、プレスリリースを打って、いろいろと町の情報を集めます。とにかく私としては、使いたいという人に使ってもらう、そのためにデバイス送り出すんですね。もちろん人を測るとか、それから患者さんを測るというふうになった場合には大きな責任がかかりますので、それはある程度のレベルを超さないといけないわけですが、そういうふうに人を測る前にもいろいろなテストベッドというのがございますので、とにかく早くに自分の手を一旦離すということが私なりには非常に重要だと思っています。すなわち、自分のラボで創ったデバイスを自分がずっと擁護し続けるというよりかは、もう一旦、次の日には怒られるかもしれないと思っても、隣の研究室とか、それから場合によってはほかの大学の先生方にまずは使っていただいて、自分以外の御批判をたくさんいただくという意味で未熟な段階からというふうなことを申し上げておりまして、その段階の1つは論文でもあるかと思っております。なるべく多くの方に見ていただくには、どうしてもインパクトファクターの高い論文を出したほうが、多くの方が見て、また御批判もたくさんいただけますので、そういったアーリーステージでたくさんの客観的な情報をいただいて、自分のデバイスの欠点、それから御批判のポイントをやはり客観的に見ていくという取組をしっかりとするという意味で、未熟なステージで送り出すと申し上げました。

【吉江委員】簡単そうにおっしゃって、でも、とても大変なことじゃないかなと思っているんですけど、でも、どういうところに努力すべきかみたいなことをちょっとヒントいただいているような気がします。どうもありがとうございます。

【関谷委員】ありがとうございます。

【高梨主査】ありがとうございます。今の話を聞いていて、本多光太郎の言葉に産業は学問の道場なりというのがありますけど、まさに積極的に道場に出ていっておられるんだなと、そういうことを感じました。

【関谷委員】ありがとうございます。

【高梨主査】私から、お話聞いていて、本当にすばらしい成果出されていて、あと、若い頃からナノテクプラットフォームや放射光、思う存分使われて、本当にそれでよかったとおっしゃるので、その話は大変結構なんですけど、例えばここがもうちょっとこうだったらもっといいんじゃないかとか、今まさに文科省で走ろうとしているいろいろなプログラムがあるけれども、そこに何か参考になるような、御自身の経験でここがこうだったらもっとよかったんじゃないかみたいな、そういうところはないでしょうか。ちょっとそういうところがあれば、教えていただけると。

【関谷委員】まさにそういった、ここはこうしてほしかったんですとかというのを申し上げるために、私、マテリアル戦略の有識者会議に選んでいただいたと思っておりますので、ある種、随分申し上げさせていただいて、本当に貴重な機会をいただきました。やはり今進めていただいておりますマテリアルDXというのは本当に本丸だと思っておりまして、私、東大に在籍時は東大のナノテクノロジープラットフォームを使わせていただきましたし、阪大に来たら、またナノテクノロジープラットフォームがあって、軌道放射光があってと、本当にいい研究環境、ナノテクの技術を活用させていただきました。ただ、やっぱり東大には東大のナノテクのカルチャーがあって、阪大には阪大のナノテクのカルチャーがあって、きっと東北大にはまた全く違うすてきなカルチャーがあったと思うんですよね。やっぱり行ったから分かったというところがとてもあるんですけれど、それをもっとプラットフォーム化すれば、もっと縦横無尽にそういった国の共通基盤設備を、我々みたいな、それから私よりも10代、20代若い学生たちが使えるようになるなと思っていたところ、このマテリアルDXというは非常に優れたプラットフォームがスタートしましたので、まさに私がある種こういうものがあればいいなと思ったものが国の整備で今進んでいるというのは本当に心強いと思っております。また有識者会議は、このたびの先生方の議論にも出ましたとおり、日本の企業はマテリアルのすごく重要な技術、たくさん持っていますので、企業の皆さんがまたそういった情報を大学や若手研究者にも開示されたらもっとボトムアップするだろうなという意味で、企業の皆様の持っておられるマテリアルのデータベース化、いわゆるメタデータだけでも御提供いただくというのは、国にとって、とりわけ若手育成にとって本当に重要な取組だと思っております。
【高梨主査】どうもありがとうございます。ほかによろしいでしょうか。どうもありがとうございました。

【関谷委員】ありがとうございました。

【高梨主査】それでは、本日、平田委員、関谷委員のお二人から御説明いただきまして、また委員の皆様からも非常に貴重な御意見あるいは御質疑、非常に興味深いお話、楽しませていただきましたという言葉が適切かどうか分かりませんが、よかったと思います。
 事務局からも説明がありましたように、政府として策定したマテリアル革新力強化戦略に基づいて文部科学省における新しい取組が進捗しておりますけれども、本日の議論も踏まえまして、引き続き文部科学省におきましてはマテリアル分野の研究開発を強力に推進していただければありがたいと思います。それでは、議題の3番、その他に移りたいと思いますけれども、これは事務局のほうからよろしくお願いいたします。

【小川補佐】事務局より御連絡いたします。次回のナノテクノロジー・材料科学技術委員会につきましては、また日程等調整の上、追って事務局より御連絡させていただきます。特にナノテクノロジープラットフォーム事業と元素戦略事業は本年度で終わりますので、来年度はその事後評価も控えておりますところ、また追って御連絡させていただきます。本日の議事録につきましては、事務局にて案を作成いたしまして、委員の皆様にお諮りし、主査に御確認いただいた後、ホームページにて公開いたします。また、最後にはなりますけれども、本日御欠席ではございますが、常行委員が今年度3月末で専門委員の任期を終了されます。本委員会に長い間御参画いただきましたこと、この場を借りて御礼を申し上げます。事務局からは以上になります。どうぞよろしくお願いいたします。

【高梨主査】どうもありがとうございました。それでは、これで特に何もなければ委員会終了となりますけれども、何か言い残したことといいますか、御意見とか最後におっしゃりたいということがあれば、挙手していただければと思いますが、委員の方々からよろしいでしょうか。特にないようですので、これで本日のナノテクノロジー・材料科学技術委員会、閉会とさせていただきます。どうもお疲れさまでした。どうもありがとうございました。