第11期ナノテクノロジー・材料科学技術委員会(第2回)議事録

1.日時

令和3年8月5日(木曜日)16時00分~18時00分

2.場所

Web開催

3.議題

  1. 研究開発課題の中間評価について
  2. ナノテクノロジー・材料科学技術分野の動向について
  3. 令和3年度新規事業の取組状況について
  4. 令和4年度概算要求の方向性について【非公開】
  5. 戦略プロポーザル「材料創製技術を革新するプロセス科学基盤~プロセス・インフォマティクス~」紹介
  6. その他

4.議事録

【高梨主査】 主査の高梨でございます。定刻となりましたので、ただいまより第11期ナノテクノロジー・材料科学技術委員会の第2回を開会いたします。
皆様方におかれましては、御多忙のところ御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
本日も新型コロナウイルス感染症対策の観点から、前回に引き続き、オンラインでの開催といたします。よろしくお願いいたします。
早速ではございますが、まず、事務局より本日の会議の流れの説明をお願いいたします。
【小川補佐】 事務局でございます。本日は、加藤委員、長谷川委員、湯浅委員が御欠席となります。
また、当省より参事官の江頭と技術参与の永野が出席してございます。なお、会議の途中から審議官の坂本が出席予定でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
資料につきまして、議事概要に従いまして確認させていただきます。
本日、資料1としまして、プロセスサイエンス構築事業の概要、資料2としまして、同事業の中間評価結果案、資料3としまして、マテリアル革新力強化戦略のフォローアップについて、資料4としまして、令和3年度新規事業の取組状況について、資料5として、「CRDSの提言書~プロセス・インフォマティクス~」、資料6としまして、ナノテクノロジー・材料科学技術委員会における第11期の活動について(案)ということでお送りさせていただいているところでございます。
また、机上配付資料としましては、令和4年度概算要求の方向性について、参考資料としましては、参考資料1に、本委員会の運営規則、参考資料2に、本委員会の令和3年度の研究評価計画、参考資料3に、「データ創出・活用型マテリアル研究開発プロジェクトFS」採択機関の決定についてということで、お送りさせていただいているところでございます。
資料につきまして、欠落等ございましたら、議事の途中でも結構ですので、事務局までお知らせいただければと思います。
また、議題でございます。本日は議題1としまして、プロセスサイエンス構築事業の中間評価を行っていただきます。まずプロセスサイエンス構築事業の概要について、事務局から御説明した上で、当該事業の中間評価検討会の委員である中山委員より御説明いただき、皆様に御議論いただくという流れを考えているところでございます。
次に、議題2から4につきまして、まずナノテクノロジー技術分野の動向と、令和3年度から新しく始まった事業の取組状況をお伝えし、そうしたものも踏まえましての、令和4年度の概算要求の方向性について、事務局より御説明させていただきます。
また、本日、プロセスサイエンス構築事業につきまして中間評価をいただくところでございますけれども、関連の調査結果としまして、JST-CRDSの御所属でもあります永野技術参与から、議題5としまして、「戦略プロポーザル~プロセス・インフォマティクス~」について御紹介させていただくことを考えております。
最後に議題6、その他といたしまして、研究計画・評価分科会より検討依頼のありました第6期科学技術・イノベーション基本計画を踏まえた政策の在り方などについて、事務局より御説明の後、皆様に御議論いただければと考えております。
なお、議題4につきましては、令和4年度の概算要求に関わる事項となりますので、本委員会の運営規則第5条第3号の定めによりまして、非公開とさせていただきたく御提案申し上げます。
以上でございます。
【高梨主査】 ありがとうございます。事務局の提案どおり、議題4は非公開としたいと思いますけれども、皆さん、よろしいでしょうか。
御異議がないようですので、そのようにさせていただきます。
【小川補佐】 それでは、今、非公開とさせていただいた議題4につきましては、後ほど傍聴の皆様には一度御退席をいただき、再度御入室いただく形を取らせていただきます。
本日、オンラインでの開催としているため、回線負担の軽減や雑音防止の観点から、御自身の御発言時以外はマイクをミュートにしていただくとともに、ビデオもオフにしていただければと思います。また、御議論、御発言を希望される際には、挙手ボタンにて御発言の意思を御表明いただければ幸いでございます。御発言の際に、恐縮でございますけれども、議事録作成の関係上、お名前をおっしゃってから御発言いただければ幸いでございます。
事務局からは以上でございます。
【高梨主査】それでは、議題1の研究開発課題の中間評価に入りたいと思います。本件に関しましては、令和元年度から実施している「材料の社会実装に向けたプロセスサイエンス構築事業(Materealize)」について、1回目の中間評価を行うものでございます。
本年5月25日の第1回委員会で決定した「ナノテクノロジー・材料科学技術委員会 令和3年度研究評価計画」に基づき、既に外部有識者からなる中間評価に係る検討会を開催し、中間評価票案を作成していただいておりますので、当該中間評価票案について御報告いただきまして、本委員会において質疑応答、討議を行い、中間評価票案について、検討、取りまとめを行いたいと思います。
なお、取りまとめた中間評価票案に関しては、同計画に基づき、研究計画・評価分科会への報告を受けて決定ということになります。
中間評価票案の御報告の前に、まず事務局より当該事業の概要について御説明をお願いしたいと思います。
また、中間評価票案については、本事業の中間評価検討会に、本委員会から中山委員に御参画いただいておりますので、中山委員より御説明をお願いしたいと思います。
なお、「ナノテクノロジー・材料科学技術委員会 令和3年度研究評価計画」において、利害関係者の範囲が整理されておりますが、本日御出席の委員のうち、大久保委員、菅野委員については、本事業の運営委員会の専門委員を務められていらっしゃいますので、利害関係者に当たると考えられます。評価に係る御発言は控えていただければと思います。
それでは、まず事務局より事業の概要について御説明をお願いいたします。
【梶山調査員】 本事業に触れるのが初めての委員の先生方もおられるかと思いますので、事業の概要について説明させていただきます。資料1に沿って御説明いたします。
まず、現在、文部科学省で進めているナノテクノロジー・材料科学技術分野の関連施策をマッピングしています。超スマート社会を世界に先駆けて実現していくために新しい価値創出のコアとなる基盤技術について強化を図るという研究開発計画の大目標の下、未来社会の実現に向けた中長期視点での研究開発の推進や、最先端の研究基盤の整備等に取り組むこととしております。
本事業は新たな価値創出に向けた研究開発を推進する取組の一つとして、令和元年に、7年間の事業として開始いたしました。今年度が3年目になります。
次に本事業の目的、概要について御説明いたします。ナノテクノロジー・材料科学技術研究開発戦略において、革新的なマテリアルを社会実装につなげるため、プロセスをさらに深く追求し、学理・サイエンス基盤の構築とそれに立脚した新たな設計・開発指針を生み出していく必要性が掲げられているところです。マテリアルをつくり上げる工程で生じる諸現象の解明、制御技術の創出、プロセスの設計等に一気通貫で取り組む研究体制により、プロセス上の課題を解決するための学理・サイエンス基盤としてのプロセスサイエンス及び産学官からの相談先を構築し、マテリアルの社会実装の加速に貢献することを目指しております。
続いて既に御承知おきの方も多いかと思いますが、本事業で焦点を当てておりますプロセスサイエンスについて改めて御説明いたします。
材料開発においては、新しいものを創るためのマテリアルサイエンスのみならず、作り方の理解を深め、新しく生み出すためのプロセスサイエンスの両方が不可欠です。本事業では、こうした材料創製プロセスをはじめとした工学基盤の領域をターゲットとしており、具体例としては、塗布、乾燥、焼結に関するサイエンスといったものが挙げられます。これらのサイエンス構築と、それを産学官が活用できる場の構築へ向けて、本事業では次の2課題を進めています。
1つ目が東北大学の「ナノ材料の界面・構造制御プロセスサイエンス」、2つ目がNIMSの「全固体電池を実現する接合プロセス技術革新」です。東北大の課題では、ナノ材料の高機能化を進めていく上で肝となる分散・凝集・配列の制御を可能にするための原理を理解することで、ナノ材料の界面・構造プロセスサイエンスの構築に向けた取組を進めています。NIMSの課題では、民間主体で取り組むことの難しい酸化物型全固体電池に関して、その実現に必要不可欠な固体界面科学を確立することで、固体材料の接合プロセス全般のサイエンスの構築に向けた取組を進めています。
また、いずれの課題におきましても、産学官からの相談先構築の取組として、企業とのコンソーシアムの設立等を進めています。
事業の実施体制に関しましては、事業の運営総括責任者に当たるPDを中心として、PDを補佐するPO及び有識者の専門委員からなるプログラム運営委員会を構成し、運営方針や資金配分方針の策定、各プロジェクトの進捗確認、指導を行う体制を取っています。先ほど高梨先生からもありましたように、大久保先生と菅野先生には専門委員として参画いただいております。
最後に、本事業に係る評価等のスケジュールになります。年2回行うプログラム運営委員会で、各プロジェクトの進捗状況の確認を行うとともに、本事業においては、設定した達成目標、マイルストーン、これらに沿って各プロジェクトが推進されているかを確認し、課題の継続や中止についての評価を行うステージゲート評価を導入しています。
事業の3年目、5年目に実施することとしておりまして、今年の6月に1回目のステージゲート評価を実施したところです。「2021年度中間評価」とあるのが、まさに今回実施いただくものでございます。
以上になります。
【高梨主査】 ありがとうございました。
続いて、中山委員より、中間評価票案について御説明をお願いいたします。
【中山委員】 中山から御説明させていただきます。資料2でございます。
2ページ目はナノ材委員会の委員リストです。
3ページ目が中間評価の委員会の委員のリストでございます。早稲田大学の黒田一幸先生に主査をしていただきまして、私は委員として参加しておりましたが、黒田先生の命により私が代理としてナノ材委員会で御報告させていただくという位置づけでございます。
4ページ目は事業の概要でございます。令和元年度から令和7年度の3年間かと思いますが、実は令和元年度のかなり後ろのほうからのスタートでございますので、実質的には1年半程度の期間での評価になります。あとは御説明いただきましたので、省略いたします。
6ページ目は予算額です。そして、5ポツが課題、体制です。これも先の御説明通りです。
6ポツの御説明はされておりませんでしたが、プログラム・ディレクターを早稲田大学の松原先生にお務めいただいています。ただし、松原先生は途中からでございまして、昭和電工の塚本様に立ち上げのところで極めて多くの御尽力をいただきました。また本日は、プログラムオフィサーの永野様に御出席いただいております。施策や推進の内容の質問は答えてくれると思います。評価の視点での質問は私が答えるという位置づけと考えます。
9ページ目が中間評価票でございます。最初は施策の目標と位置づけです。大目標は広く科学技術をしっかりやりましょうという内容です。中目標は、その中でナノ材分野は大事だよという記載でございます。そして、その中で重点的に推進すべき施策の一つが材料開発に資するプロセス技術の開発であり、大きな施策上の位置づけの記載でございます。その下がアウトプットに関する指標で、これは評価に関わるものです。一つはプロセス構造物性の相関の件数。少々難しい表現ですが、このプロジェクトを論文の数だけで評価するのはいかがなものかとの議論がございまして、プロセスと構造や物性が相関づけられた数を丁寧に追求し、その増加を見るということです。もちろん論文の件数も見るのですが、それ以外の工夫ということです。それが徐々に増えていっているという、1年半にしてはかなり数が増えてきているという評価でございます。
また、外部からの相談件数も、両課題とも相談を受け対応する体制をしっかりと構築しており、伸びているということで、好ましい状況であるという認識がなされています。
10ページ目は課題の進捗状況です。採択された2課題は、実質2年弱でありながらも成果が順調に出つつあるということが書かれています。
その下、東北大学の課題のナノ材料の界面・構造制御プロセスサイエンスについて、ナノ粒子に関わる学理創成から生産プロセスにわたる幅広いスコープを保ちつつ、従来の化学工学の学理にはない新しい分野創成につながるような重要な進捗を示し始めているということです。ナノ粒子を疑似分子に見立て、それを化学工学的な視点から解析を進めるという斬新なことをしておりまして、ナノ粒子、未知のものの物性の推算がかなり可能になれば、これまでになかった新しい手法、学理の追求がなされます。これは多くの企業で、このような視点がなかったので、企業の研究にも非常に役立つと好評を博しております。このような状況で、企業が自分からやってくるようなよいスパイラルアップの状況が生じています。また、教科書に載るような仕事を多くの若い研究者が経験しつつあるということです。ということで、人材育成としても優秀な取組だと思われます。
次は、産学官からの相談の状況ですけど、相談件数や共同研究数も伸びています。コンソーシアム等への参加企業の数も十分にあります。今後も伸びる方向であるということで、よい評価であると思われます。
下から6行目ぐらいですけど、企業を引き込んで大学と共に高め合うようなプラスのスパイラルが回ろうとしています。企業からの本プロジェクトに対する期待の大きさがそこからも把握できるということで、1年半ですが、プロジェクトがよい方向に回り出しているという状況が見て取れます。
次のページの一番上ですが、今後はプロセス設計のためのデータベースの構築に進み、最先端の研究体制構築に全力を挙げていくことが期待されているということで、今後に期待が持てるということでございます。
続きまして、次の記載が全固体電池を扱うNIMSの課題の評価でございます。全固体電池における最重要課題の一つである接合界面の解明と、それに基づく酸化物全固体電池の実現に必要なプロセスサイエンスを構築するという大事なプロジェクトです。
ただし、酸化物全固体電池にはまだ多くの研究開発要素が残されており、それらのハードルも高い状況で、研究開発内容が確立されていない中でのプロセスサイエンスということで、多くの困難も伴っています。特に焼結セラミックスの界面現象を総合的に解析するためのツール開発は順調に行われていますが、材料が新しいゆえに、様々な新規性も生じるということで、企業へ多くのことを受け渡すにはまだ時間はかかるであろうと思われます。ただし、プロセスサイエンス構築の研究が今後多少遅れることがあったとしても、このプロジェクトの重要性は非常に大きく配慮して進めることが求められています。
また、産学官からの相談先の構築ということでは、窓口を設定するとともに、NIMS全体としても取り組んでいます。MOPとここには書いておりますが、マテリアルオープンプラットフォームというものをNIMS全体として進めておりまして、その中でも位置づけられており、企業との連携が組織としてもしっかり進められているということで、それもよいことではないかという議論がなされました。
これは繰り返しでございますが、ハードルの高い物質群を対象としているため、検討しなければならない要素が非常に多く、方向性もこれから考えるということであろうと思いますが、そうは言っても限りあるプロジェクトですので、理論の体系化ができるように焦点を絞ることも少し考えていってほしいと思います。
次は、各観点の評価でございます。
まず必要性、つまり、事業の妥当性です。本事業は、マテリアル・デバイスを社会実装につなげて、我が国のナノテク・材料分野の競争力や研究力を発展させていくために重要な取組であります。極めて妥当な事業目標であろうと評価委員会では一致しています。
採択された2課題は、短い時間でも成果が順調に出つつあるということで、適切なものであると評価されております。
次の段落です。両課題とも民間企業等と協力して、さらに発展させる計画を有しており、我が国全体のマテリアルの社会実装の加速に関して大きな貢献がなされると思われます。本事業の公募時には30件近い提案があり、その中で2件が選ばれたわけですが、企業と大学が連携して応募してくる案件が非常に多数有ったことで、ニーズも非常に大きかったと思います。
次は有効性、すなわち事業全体の進捗や成果でございます。
13ページの2段落目、物質材料研究から製造技術まで全体を見通すことは、個々の研究機関では不可能なことです。しかし、本事業では、産学官連携体制をしっかりと組んで、有効に進められていると考えます。
このプロセスサイエンス構築を推進することで、社会実装に向けた課題も可視化され、新しい学理につながる成果も生まれ、さらなる物質材料研究にもフィードバックできると考えられ、連携も有効に機能していると思います。
特に東北大のナノ粒子のプロジェクトですが、プロセスサイエンスについて体系的な知識に基づく知見の構築が進められており、素材・化学産業で経験則とされていたものが数値化されるなど面白いことが起きているということで、かなりよい進捗と思われます。
次に効率性すなわち実施体制や運営の妥当性です。代表機関、分担機関、連携機関及びコンソーシアムが一体となって研究が進められております。プログラム運営委員会の議論、あるいはPDの適切な指導により、効果的な運営がなされていると思います。
産業界からの資金導入も進み、また、若手研究者も多く参加しており、それらがよい循環となっているということが高く評価できます。
次は科学技術基本計画への貢献等です。これからの話ですが、貢献度は大きくなるであろうという結論でございます。
今後の研究開発の方向性に関しては、審査委員会としては本課題を継続すべきであるとの結論を持っております。今後も基礎学理の確立及びデータ科学の活用を推進し、材料の社会実装の実現が大いに期待されるということで、本事業の継続が望ましいと考えていることが理由です。
下から4行目です。特筆すべきは、東北大学において、企業からのプロセスデータをメタデータ化することで、本課題が構築するデータベースを通じて各者が共有可能であることです。普通は企業内で隠されているようなものが、メタデータにしてうまく共有できるような可能性もあります。これは他の事業等でも大いに活かせるのではないかということで、かなり大事な案件であるという結論でございます。
最後のページのその他のところです。現在進行中の2課題に加えて、マテリアルに関わる諸課題を通底する学理を育てる上で、本事業は他の課題へ対応すべく拡大することが望ましいと考えます。なぜ「拡大することが望ましい」のかというと、今回は極めて良い成果だと評価されるわけですが、採択されたのは30課題のうちの2課題です。非常に水準が高いのに不採択だった課題も多くあり、この2課題を行ったことでプロセスサイエンス全体を行ったとは言いがたいと思われます。良い課題がまだまだたくさん材料分野で眠っていると思われ、それを産業界につなげることができれば、そこまでの研究開発に使った税金がより生きるのではないかと思われます。よって、この施策をさらに拡大する、もしくはより大きな施策をさらに行うということが望ましいのではないかという議論がありました。そのようなことが、その他のところに記載されております。
最後ですが、先ほどはPDや文部科学省のしっかりしたコミットの話はしましたが、文科省担当者とPDとPOが一体となって、各課題と向き合って意思を疎通して、よい方向へ誘導されたと思っています。これらの下支え、研究開発そのものではない基盤であるサポートの部分がしっかりとなされていたことが、このプロジェクトがうまくいっている一つの要因ではないかなと思います。
以上でございます。
【高梨主査】 ありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明の内容に関しまして、御意見、御質問がございましたら、挙手ボタンでお願いいたしたいと思います。それでは、順番に、馬場委員からよろしくお願いします。
【馬場委員】 馬場でございます。中山様、非常に詳細な御説明ありがとうございます。また、僅か2年で非常にすばらしい成果が出ているということ、本事業をナノテクノロジー・材料科学技術委員会から出せたこと、非常に意義があったなと感心しております。
2つ教えてください。1つは、僅か2年間でこれだけのすばらしい成果が出ている理由を少し教えていただきたいんですが、最後にも中山さんから、PD、PO等の体制のことはおっしゃられましたけども、プロジェクトそのものの運営とかマネジメントで何か重要なポイントがあったかどうかというところを教えていただきたいというのが1つ。もう1つは、今日御説明いただいたように、従来の経験則、ノウハウで、我が国の物作りというのは非常に国際的な競争力を持ってきたと思います。それをデータベース化あるいは学理化するというのが本プロジェクトだと思うんですが、一方、データベース化して学理化すると、ある意味、日本の優位性が低下してしまうんじゃないかという懸念も一方ではあるのではないかと思い、そういった懸念に対して、このプロジェクトで何か特別な取組をされるとか、あるいはもう既に何か御検討されていることがありましたら教えていただければと思います。
以上2点、よろしくお願いいたします。
【中山委員】 ありがとうございます。まず1点目ですね。2年で何故こんなにいい成果が出たか。もちろん、最後にお伝えしましたように、文部科学省とPD、POの皆さんが心を込めて施策を育ててきた。施策をつくって育ててきたというのは紛れもない事実でございます。
あとはやはり良い採択ができたということかと思います。我が国には産業へは行っていないが研究室で眠っている成果が多くあると思われます。非常に良いもの論文なりものすごく成果は出ているけど、大学の先生だけでは産業で使うレベルには持っていけなくて、研究室で止まっているものが非常に多いのではないかと思います。そのような大きな問題意識でこの施策は始まっているのですが、まさにそれは的中したのではないかと思います。
そこに対して、少ない予算ではございましたが、手を打つことができ、成果が橋渡しされるボトルネックのところに手当ができたということだと思います。最後の結論でもありましたが、研究室等で死蔵されている成果をしっかり表に出していくことは重要だと思います。ただ新しいものを次々に研究開発していくだけで、論文を書いて終わってしまってはもったいないのではないかという状況があります。新しいことをやらなくていいということを言っているわけでは全く無いですが、ポートフォリオの中で一定割合を、このような形で手当することによって、極めて効果的なことが出来たという、一つの見本かもしれません。このような議論をしながら新しい施策を組んでいけると、よりよい材料分野あるいは科学技術全体への貢献がなされるものであると私は思います。
もう1つが国際競争力です。確かにデータ化していくと、どんどん我が国の優位性がなくなるというのは、もう怖いぐらい私も感じています。ただ、このプロジェクトに関しては、もちろんメタデータ化していくという部分はありますが、研究室で死蔵されている、もしくは、研究対象で終わってしまうところを産業界につなげるということのメリットのほうが、今の我が国には大きいのではないかなと考えます。その一つのやり方がデータ化ということなので、本件は種々を天秤にかけても必要な政策なのではないかなと思います。
ただし、我が国全体としてやろうとしている、いろいろなデータを用い活用するというのは、我が国としての優位性をどこで確保していくかという議論は必ず並行して行われるべきであると思いますので、何でもかんでもデータ万歳ということではないかなとも思います。そういう議論もこのナノ材委員会で密にされるべきであると私は思います。
以上です。
【馬場委員】 ありがとうございます。
【小川補佐】 事務局ですけれども、先ほどの2点目のデータを何でもかんでも出していく話ではないというところ、少し特徴的な取組を紹介させていただければと思います。
今、中山委員から御紹介あったように、データ活用のメリットはもちろんなんですけれども、それに対するデメリット、世の中に出してしまって競争力がなくなってしまうのではないかかというところはまさに企業さんからデータを東北大学のほうに出していただく際に、逆に、超えなければいけない壁でもあります。例えば東北大学では、大学のほうに企業からデータを出していただく形をとっています。ただ、ここでほかの企業さんにはそういったデータは出さずに、東北大学の研究者の方だけがそのデータに触れられる形を取っていきます。
それに対して、例えば企業の方が、こういうデータを出すから、ほかのデータと併せて、新たなプロセスや、どういったプロセス上の改善ができますかと、そういう問いかけをして、保有しているデータそのものは外に出さないんですけれども、ある意味、コンサル的な形で解決策を提示していくといったモデルを東北大学では今、構築しつつあります。こうした形で、ほかの企業さんにデータを開示しない形で、かつ有益な意見を大学からも得られるというような形で、うまく取り回しているという例もありますので、少し御参考まで、御紹介させていただきます。
以上でございます。
【馬場委員】 ありがとうございます。
【高梨主査】 ありがとうございました。
それでは、次に五十嵐委員からよろしくお願いします。
【五十嵐主査代理】 五十嵐でございます。中山委員、評価をどうもありがとうございました。中山委員の評価結果は非常によく理解できましたが、最後に特筆すべきこととして、企業のデータをメタデータ化することで共有可能であるとのことでした。これは素晴らしいと思うのですが、具体的なブレークスルーであるとか、最後におっしゃった、今後、もっと用途展開したいというようなお話の中で、それにつながるように、例えば、今回の検討で出ていた放熱部材材のプロセス設計・プロセスサイエンスでどういうことが分かったのか。例えばこれをほかにも普遍化することで、もっと用途展開できるというような具体例を提示することはできないでしょうか。
評価票ですから、これでも良いと思いますが、具体例があれば、もっと理解が深まって、この事業にさらに予算追加しようということにならないかなと感じましたが、如何でしょうか。
【中山委員】 そうですね。あまり具体的なことが書いていないということでございますが、具体例をできるだけ書くようにしたいと思います。どれが一番よかったというよりは、まだメタデータ化したものが横展開できそうだなというところまでで1年半だと思っていますが、大事なことは少し書き込んでもいいかなとは思います。ありがとうございます。
【五十嵐主査代理】 それから、相談件数が非常に増えたということですが、これについても、例えば国の施策として、今後、強化しようとしている、例えばカーボンニュートラル関連の部材ですとか、Beyond 5Gの材料、放熱部材もそうでしょうけれども、非常に伝送損失を抑えられる、そういう材料について、プロセスサイエンスのブレークスルーがありましたとか、この相談はどういう分野でどういう方々から何についてあったかというのをリストをつくるとかいうことはできないでしょうか。
点数づけでは軽重が分からないですから、インパクトを示すためにも示されたらどうかと感じましたが、いかがでしょうか。
【中山委員】 それはそう思います。ちょっと具体に欠けている部分も評価にございます。もちろん1個1個の細かい内容は全て聞いてはいますので、そういうものをまとめるなり、その中から具体的な事例を出していくなりということを考えたいと思います。事務局と考えて、入れるべきものは入れていくということにしたいと思います。ありがとうございます。
【五十嵐主査代理】 ぜひよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
【中山委員】 ありがたいご意見だと思います。そのとおりだと思います。
【高梨主査】 ありがとうございます。
それでは、次は高橋委員、お願いします。
【高橋委員】 高橋真理子です。前回から参加させていただいているので、よく深くは理解していないところはあるんですけれども、全固体電池は今、ものすごく世界中で研究開発が進んでいることだと思うんですね。今回の評価は、このプロジェクトを見て、どれだけ進んだかということはお話を聞いていてよく分かったんですけども、全固体電池の世界的な開発状況の中で、どの位置づけにあるのかということが全くないのでその辺りも、この中間評価には書く必要がないのかもしれませんけれども、やはり知りたいと思います。その辺りはどうなんでしょうか。
【中山委員】 おっしゃるとおりだと思います。個別の事情を言ってしまいますと、この課題は、文部科学省での数年前までのプロジェクトで最先端の研究開発がなされ、その終了後に本施策のコンペティションがあり、その終了したプロジェクトの機関が応募され、採択に足ると評価されて本プロジェクトを推進頂いているという状況です。最先端であることは間違いないということと、主流と言われる有機物主体の全固体電池より先のさらにハードルが高い酸化物の全固体電池に対して挑戦しているということで、かなり先進的な内容であろうと考えます。だからこその困難性もあると思います。ただし、どのぐらいの最先端かというのは当然ながら評価票を見て分からないとまずいので、プロジェクトの説明そのもののところでしっかりと分かるように書くことは必要と思います。頂いたご意見は確かに筋だと思いますので、考えさせていただければと思います。
【高橋委員】 よろしくお願いします。
【高梨主査】 それは御検討いただくということで、よろしくお願いします。
では、次は萬委員、お願いします。
【萬委員】 萬です。どうもありがとうございました。大変順調だということでわかりましたが、確認させていただきたいことがあります。アウトプット指標のところです。プロセスサイエンス構築により獲得されたプロセス構造物性の相関の件数ということと、査読つき論文数の比較をされておりますけれども、この物性の相関の件数という辺りの評価基準というのをどういうふうに考えて、実態としてはどうだったかというところをもう少し補足していただけないでしょうか。
【中山委員】 これは評価の過程で議論をしています。1個論文が出たとき、その全部を相関に数えてしまうと、それは真の相関ではないと思われます。よって、施策の推進上でどのような基準でやっていこうかということを議論したと聞いています。この辺の具体は、永野POが実際にやっているので、コメント頂ければありがたいです。
【永野技術参与】 永野でございます。私は、この事業のプログラムオフィサーを仰せつかっております。事業発足に当たりまして、主たる評価に関わる指標を何によって設定するかというときに、よく一般的なものとしては、論文の件数とか、特許の出願とか、産学連携や共同研究にどれぐらい進んだか、そういったものが設定されるわけですけども、このプロセスサイエンス構築事業の開始に当たっては、公募の段階から、これはプロセスというものを、サイエンスとして体系化していく際に、そういった件数だけでは評価しきれないといったことが明確に書かれております。そこで採用したのが、目的とする材料のプロセスと、その材料の持つ構造、そして、物性や機能といったものの相関をどれぐらい獲得することができていて、その獲得したものを使って、サイエンスの体系化や、あるいは具体的な応用課題にどう対応しようとしているのかを評価することにしました。
そういう意味では、この相関をどうにか数えられるようにしたいということを、本事業のPDと相談いたしました。その結果、二つのプロジェクトにおいて個々の材料というよりは、一つ一つの材料系ごとの単位で、あるプロセスデータを取ったときに、そういったパラメータ間の相関を獲得できたかどうかを、数え方に大差がないような検討を両プロジェクトのリーダーたちといたしました。これをしっかり蓄積していこうということで、この、プロセス-構造-物性-機能相関の件数というものを、一つの直接的なアウトプット指標として設定した次第です。
【萬委員】 ありがとうございます。方法論としては、ほかのプロジェクトにも使えそうな可能性があるという考え方になり得るんでしょうかね。
【永野技術参与】 物によってということではあると思いますが、この事業の主眼が、最初に中山委員からお話のありましたように、適切な材料創成プロセスが分からないことによって、スケールアップやステージアップに進んでいけない材料がたくさんあるはずだということに対して、プロセスのサイエンスというものを、特にアカデミアや国研が中心となって取り組むべきものとして、どうあるべきかといったところにあります。若い研究者が参加した場合に、やはり論文がしっかり出ることはまず必要と認識しますが、それだけだと、どうしてもこのプロセスサイエンスの体系化に関する事業展開や、評価がやりきれないということで、ここを何とか両立させるような工夫をした結果が今回のやり方です。今、萬委員がおっしゃいましたように、こういった論点や類似の問題を抱えるようなプロジェクトに関しては、展開することが可能ではないかと思います。
【萬委員】 ありがとうございます。活用されるべき新たな視点の探索という意味でも価値があると思います。ありがとうございました。
【永野技術参与】 ありがとうございます。
【高梨主査】 すみません。高梨ですけど、私も同じところが気になったんですが、これは相関の基準みたいなものというのは一応定められているんですね。何とでもなりそうな気もするので、その辺りを文章に盛り込まれたほうがいいような気がしたんですけど。中山さん。
【中山委員】 そう思います。ただこれだけ書いておくと分からないですよね。なので、言葉を補って書いておく方がいいかなと思います。
【高梨主査】 基準というのは割合きちっと定められてやっているということですよね。そういう意味では。
【永野技術参与】 はい。
【高梨主査】 ありがとうございました。
【萬委員】 ありがとうございました。
【高梨主査】 それでは、次は、関谷委員。
【関谷委員】 大阪大学の関谷です。御紹介ありがとうございます。この2年でものすごくプロジェクトが進んでいるというところを拝見させていただきまして、ありがとうございます。
私は2点、手短に教えていただきたいんですが、1つ目は、今、議論ありました、非常に新しい取組でもありますので、やはり評価基準というところ、とても大切だと拝見しました。ステージゲートを経て、次にプロジェクトが進んでいく中で、より企業様もたくさん入ってくると思うんですけど、そのときに改めて新しい評価基準を設けたりとか、評価基準を議論するような場というのもまたあったりするものなのでしょうか。
【中山委員】 これ以上どういう評価基準でやるかということへのご回答です。新しい評価は受け入れられるまでに非常に時間がかかり、ここでも相関の件数をやっただけでもかなり攻めたほうかなと思います。ですが、さらにこういう評価基準があるのではないかということを新しいプロジェクトなりに出していくというのは、今後の違うプロジェクトにも大いに役立つと思いますので、評価基準そのものを議論するという場はないですが、いろんな議論を受けて試行的にやってみるとか、各種の試行もしてみたいと思います。
【関谷委員】 ありがとうございます。先ほど高橋委員もおっしゃっておられたとおり、海外的な視点から見たときにどのぐらいの優位性があるかとか、ある意味、新しい強み、優位性を示すためにも何かほかの側面からこういった強みがあったねというのを見つけられる意味でも、評価基準の多様性もあったらいいのかなと考えた次第です。ありがとうございます。
【中山委員】 そうですね。どの国でもそうですが、強みをうまく表現できる評価基準というのは難しい。でも、やりたいですね。
【関谷委員】 はい。ありがとうございます。それからもう1点、これも手短に。このプロジェクト発足前はまだコロナがなかったと思うんですけれど、プロジェクト発足と共に多くの期間をコロナで過ごしてこられたと思うんですけど、コロナの影響というのは何か分析されているんですか。もしくはコロナがなければ、ここはもっと、こんなに行けていたんだとかそういう側面があったりするものなのでしょうか。
【中山委員】 これは永野さんのお答えが必要かもしれませんけど、コロナがなければもっと足しげく研究場所に通えたりしたのかなというのは、多分、PD、POの率直な意見なんじゃないかなと思います。これは永野さん、どうですか。
【永野技術参与】 ありがとうございます。まさに、ちょうどプロジェクト発足して半年も待たずして、コロナ禍に入ってしまいまして、このプロジェクトは、東北大学とNIMSをそれぞれ代表機関としてはいますものの、分担機関や連携機関という複数の機関が連携することでプロジェクトを推進、運営しておりますので、その機関間の連携に関しては、他の研究機関や大学と同じように、やっぱり最初、かなり混乱期がありました。ですけども、プロジェクトの研究推進自体は、コミュニケーションはリモートツールをふんだんに活用しつつ、そして、実験等に関しては、最初の入構制限の期間を過ぎた辺りから徐々に取り戻してきた格好ではあります。ただ、影響は確かにありまして、一つ大きく影響が出てしまったのが、どちらのプロジェクトも企業コンソーシアムをつくって、企業さんの御参画、御賛同いただくということをプロジェクトの2年度目から開始する計画で始めているんですけども、やはり企業さんたちに、こういったプロジェクトの存在、そして、意義や応援をいただくためには、なかなかこれはリアルのコミュニケーションを含めて、かなり密接なやり取りをしなくては、コンソーシアムの発展がスムーズに進まない面がありまして、そこは苦労した点です。ただ、今、約2年近くてたって、当初期待していたような企業様のコンソーシアム参画もいただけそうな状況にまでは何とかこぎ着けておりますので、そういった意味では、コロナで非常に大きな影響はあったものの、その中でも各プロジェクトとも積極的な展開や工夫を図って、現在に至ることができているのではないかと見ております。
【関谷委員】 ありがとうございます。コロナで少し混乱期があったけれども、落ち着いてきたら、この先はもっと伸び率が高いという印象も受けました。ありがとうございます。
【永野技術参与】 ありがとうございます。
【高梨主査】 ありがとうございます。ちょっと時間が押しているんですが、私ももう一言申し上げたいというか、お聞きしたいんですが、ナノ粒子のほうは素直に読めたんですけれど、全固体電池の評価の11ページのところで、細かい文章の問題だと思うんですが、ちょっと分かりにくいところがあり、真ん中の辺りですが、褒めているんだか、けなしているんだかわからないという、評価が割れたのかなというような感じもしますが、そういうように読めてしまうところもあって、「現在の状況でも十分であると判断するが、今後の研究展開がより加速されることが望まれる」とか。それからその後も、「この研究が多少遅れることがあったとしてもこのプロジェクトの重要性を配慮して取り組むことが求められる」とか、こんなことを書く必要があるのかという気もするんですが、ここら辺は、評価すべきことは評価して、課題として残されていることはまだ中間なので今後の課題とするというような形で、もうちょっと整理し、クリアに書かないと、何を言われているのかよく分からない感じがします。
【中山委員】 おっしゃるとおりです。各プロジェクトを想像しながら書いている感じですね。これは例えば、東北大学のプロジェクトは、かなり垂直スタートみたいな感じで、結構いいよねという感覚です。でも、もっともっと上を目指して行って欲しいというような気持ちかと思います。後半のNIMSの全固体電池の酸化物型は、極めて難しい課題であるので、多少進捗が遅いようなことがあるかもしれないという感覚です。でも、困難に立ち向かっていって欲しいとか、そういう気持ちを表しているのかなと思います。しかしおっしゃるように、整理して書かないと、けなしているのか、褒めているのか、分からないと確かに思いました。これは文章をきちっと工夫いたしまして、最後は、ナノ・材委員会の結論として、最後に委員長に見ていただくということかなと思います。
【高梨主査】 はい。よろしくお願いします。
【中山委員】 すみません。おっしゃるとおりだと思います。確かにそうですね。
【高梨主査】 ちょっと時間は押していますけど、あと、ぜひ何かおっしゃりたいことがあれば、ほかの委員の方々もいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
【瀬戸山委員】 瀬戸山です。聞いていいですか。
【高梨主査】 はい、どうぞ。
【瀬戸山委員】 一般的に材料を創る、創造するに比べると、こういうマテリアルというのは、インフラとか、それまでの情報量がいっぱい要ると思うんですよね。それで見たときに、東北大とNIMSというのはこれができるかなという気はするんです。じゃ、それをもうちょっとほかのところに含めて展開できるかというときに、バーチャルでいろんなところからの設備とかを集めてやるのか、それとも、国としてやっぱりこれはお金をもうちょっとかけてもいいから、この領域をやっていこうと考えるのか。そこってかなり微妙だし、難しいし、重要だと思うんですけども、今回のプログラムを通じて、中山さんがそこら辺で感じられたことはありますか。
【中山委員】 正直なところ、極めて多額なお金ではない中で、応募機関の設備ないしはファシリティーとか、そういうものに頼ってしまっている面があります。逆に言うと、そうじゃないと施策として通りにくかったのかもしれないとは思いますね。
【瀬戸山委員】 そうですよね。
【中山委員】 片や、ヨーロッパとかを見ると、こういうプロセスのところ、新しく、0から1になったものを100ぐらいに持っていくところに対して、ファシリティーづくりからしっかりとやるような施策があったりして、すごく巨額のお金が入っています。そこがボトルネックだと彼らは分かっているから。でも、そこまでするかどうかは、国としてどこにお金かけるかということかと思います。我が国として、まず芽が出たものに対して金を出すのか、芽を出すところに金を出すのかという、ポートフォリオの問題かとは思います。
ただ、繰り返しですけど、このプロジェクトは、この金額の中で最大限の効果を出すために割と自分のところで物を持っている人のほうが通りやすかったというような印象はございます。
【瀬戸山委員】 そうだと思いますね。だから、今回はJA基金とかやっているときに、あれは珍しく日本が、これはインフラづくりも含めて、新しくつくり直そうとしているような状況じゃないですか。そういうときにこういうものがスパッとはまっていくように、卒業してはまっていくようにというのは、そんなふうな立てつけがつくられるとすごくいいんじゃないのかなと個人的に思うんですけど。
【中山委員】 そのとおりだと思います。世には各種の拠点のプログラム等がありますが、研究開発全体に大きな金額をつけられない中で、拠点みたいなものをつくって、本件のようなものを進めていくとか、そこに人が集うようにして、いろんなものが並行して進んでいく等が大事と思います。だから、NIMSは他にも多くのものを持っているので、いろんなものが集まってくるとか、東北大も世界に冠たる材料研究開発の人とファシリティーがあるので、それを生かすようなものをやっていくとか、ある程度、そういう集まりごとにやっていくというのは、我が国の選択肢としてはあるのではないかなと思います。
【瀬戸山委員】 ありがとうございます。
【高梨主査】 ありがとうございました。
想定された時間を大分過ぎてしまいまして申し訳ないんですが、ここでこの議題は終わりにさせていただき、本日いただいた御意見を反映いたしまして、評価票案の修正を行うということにさせていただきたいと思います。ただし、修正については、主査である私に御一任いただくということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【高梨主査】 どうもありがとうございます。そういうこととさせていただきたいと思います。修正した中間評価票案につきましては、8月の下旬に開催予定の第77回研究計画評価分科会において、ナノテクノロジー・材料科学技術委員会として報告をさせていただきます。
それでは、次の議題に移りたいと思います。議題2の「ナノテクノロジー・材料科学技術分野の動向について」でございます。事務局から御説明よろしくお願いいたします。
【小川補佐】 事務局でございます。先生方、プロセスサイエンス構築事業につきまして、中間評価の御議論ありがとうございます。私からは、最近のナノテクノロジー・材料科学技術分野の動向ということで、前回5月のナノテクノロジー・材料科学技術委員会から進んだところについて、御報告させていただきたいと思います。
こちらの資料3は、本年6月に開催された第6回マテリアル戦略有識者会議の資料から取ってきているものでございます。
マテリアル革新力強化戦略につきましては、本年4月に決定されたところでございます。その報告書の中でも、決定後にしっかりとフォローアップするようにと決められていますので、重要なテーマについてのフォローアップをを紹介させていただきます。
資料を進みまして、2ページでございます。マテリアル戦略の策定の経緯につきましては、委員会にも御報告させていただいているところでございますけれども、AI、バイオ、量子技術、環境に続く、政府の重要戦略の一つとして策定したところでございまして、本年4月に統合イノベーション推進戦略会議におきまして、マテリアル革新力強化戦略が決定されたところでございます。
こちらに基づきまして、第6期の科学技術・イノベーション基本計画においても、本戦略に基づいた取組をしっかり進めるようにということで記載ございますので、少なくとも本期間中、5年間につきましては、アクションプランに書いてあるような事業や関係する取組を産学でしっかり進めていくということになります。
こちらは戦略の概要でございます。こちらも先日、一度、御説明差し上げているところでございますので、かいつまんでの御説明といたします。アクションプランとしましては、一番下の部分、1つ目の丸では、迅速な社会実装の関係、CLOMAをロールモデルとしたような社会課題解決型プラットフォームの推進について記載してございます。2つ目の丸では、マテリアルのデータ収集・蓄積、活用といったマテリアルDXプラットフォームの整備に代表されるようなマテリアルデータとデータ駆動型研究の推進。また、3つ目では、国際競争力の持続的強化です。こういった文脈がアクションプランとして挙げられておりまして、中段の黄色文字で書いてございますけれども、しっかりと着実にフォローアップを実施するということでございますので、今後、本戦略についてもコラボしていくという流れになります。
具体的な進め方としましては、花王の澤田会長に座長を務めていただいているマテリアル戦略有識者会議におきまして、これまでに加え、さらに議論を進めていただくということになります。また、下の部分に開催頻度とありますけれども、当面、年2回程度開催ということで、1月と6月を予定しています。6月であれば、今後の概算要求の方向性にも議論をつなげていけますし、1月であれば実際に予算が固まって閣議決定された後ですので、例えば各事業に対する期待といったところも御議論いただけるかということで、こういった進め方を考えているところでございます。
取り組むべきテーマとしましては、本戦略の中に大きく5つほど具体的なテーマ、重要だという話がございます。
5ページ目にて①から⑤まで書かせていただいているところがございます。①がマテリアルデータの収集・蓄積の環境整備。特にアカデミアを中心として、今、データの収集・活用の取組が進んでいますので、ここの部分を進めていくという話でございます。
②で、プロセス技術とデータ科学の融合ということで、先ほど御説明差し上げた、ほかのMaterealize事業も位置づけられてはおり、そのほかに経済産業省さんのほう、特に産総研さんで、現在立ち上げ中のプロセスイノベーション拠点の話が進んでございますので、この部分をしっかりフォローアップしていこうという話です。
また、③は、カーボンニュートラルの関係でございますが、こちらは、先ほど少し申し上げたCLOMA、クリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンスという、海洋プラスチックに垂直連携で企業が対応していくというプラットフォームの取組を推進していくという話でございます。
また、④としましては、LIBリサイクルの社会実装という、かなり大きなテーマでございますけれども、まず経産省のほうでも調査研究をしていくという話。
最後に、⑤については文科省のほうでも取組を進めている部分なので、後ほど御説明いたしますが、マテリアルの研究開発の推進です。文科省では特にデータ利用ということで、サイエンスの観点から、どのような研究が進められるかというところを中心に議論を進めており、また、経済産業省のほうでもマテリアル分野でどんなことができるのかというところを見定めていく先導研究ということで、いろんなプロジェクトがあるなかで新たにマテリアル分野を立ち上げました。こういった取組を今年度スタートさせていくというところでは、文科省と経産省の間でもしっかり連携を取って、情報交換して進めていくということで考えてございます。
今回4月に戦略が完成しまして、6月のフォローアップということで、各事業の立ち上げがどうなっているかというところに御議論いただいたところでございまして、一つ一つは、時間の制約もございますので、割愛させていただきますけれども、①マテリアルデータの収集・蓄積の環境整備はNIMSと各大学において、アカデミアのデータを集めていくという取組でございます。また、⑤のマテリアルの研究開発の推進では、特にデータ活用をどうしていくのかというところについて、文科省の令和3年度の事業の取組のところでも御説明いたしますので、少し割愛させていただきつつ、御説明いたします。
7ページ目以降は、マテリアル戦略に係る広報についてもしっかり進めていますということです。例えば、6月の日本化学会の論説では、澤田座長から寄稿していただいているところでございます。
また、産業界という意味では、新化学技術協会のほうで、マテリアル戦略に係る講演を澤田座長からしていただいています。さらには各種、化学日報等に新聞記事をまとめていただいていますので、御参考まででございます。
また、最後に、昨今の状況について簡単にデータ等を載せてございますので、こちらも御参考までということでつけています。直近での政府での検討状況というところについて、私のほうから以上でございます。
【高梨主査】 ありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明内容に関しまして、御質問、御意見等ございましたら、挙手ボタンをお願いいたします。いかがでしょうか。
では、特に御質問、御意見ないようですので、この議題はこれにて、次の議題に移りたいと思います。ありがとうございます。
それでは、議題の3番目、「令和3年度新規事業の取組状況について」でございます。これもまず事務局から御説明をお願いいたします。
【小川補佐】 事務局でございます。先ほど御説明差し上げましたマテリアル革新力強化戦略も踏まえまして、また、昨年度、前期のナノテクノロジー・材料科学技術委員会におきまして事前評価していただきましたとおり、今年度、2つの事業を新たに取り組んでございますので、そちらの立ち上げ状況について御報告させていただきます。
まず1つ目は、マテリアル先端リサーチインフラ事業でございます。上の部分は、背景等の御説明ですので、ここは時間も限られておりますので割愛させていただきます。簡単に御説明しますと、ナノテクノロジープラットフォームでしっかりと成果が出ており、人材も技術の支援員を中心に育成されているというところではございますので、今後はデータの構造化ですとかデータの共用、こういったところをしっかり取組を進めていくべきという報告書の中身でございます。ナノテクノロジープラットフォーム事業は本年度で終了いたしますけれども、今後それをさらに飛躍させるということで、新しい事業としてデータの収集も行っていくという方向性で進めていく事業がこちらでございます。
本年度につきましては、ナノテクノロジープラットフォーム事業が最終年度でございますので、新たにスタートするマテリアル先端リサーチインフラ事業、ここはナノテクノロジープラットフォーム事業とかぶらない形で切り分けて、かつ、連携して進めているところでございます。
具体的には、ナノテクノロジープラットフォーム事業は本年度では、例えば技術支援員の人件費といった設備の共用に係るところについて措置し、一方で、共用設備から出てくるデータの取扱いに係る人員につきましては、マテリアル先端リサーチインフラで本年度措置していくということでございます。
こちらは10年間の新規事業ということで立ち上げさせていただきまして、支援規模としましては、6ハブ19スポークということで、25法人の新たに公募を行ったということでございます。こちらはその体制でございます。NIMSを中核的な機関であるセンターハブとしまして、各技術領域に東北大学、東京大学、名古屋大学、九州大学、京都大学といった、それぞれデバイスやエネルギー変換などというところで、中核的な役割を担っていただくという体制を取ってございます。
こちらも昨年度の委員会に御出席いただいた先生には御説明した資料ですけれども、最終的には、今申し上げたようなマテリアル先端リサーチインフラで出てきた、共有設備から創出されるデータにつきましては、NIMSのデータ中核拠点を介しまして、データをため、使うというところまで3年後、5年後には回るように今準備を進めているところでございます。
準備の一つとして、今回、特に新たにデータという要素が加わっていますので、この部分、特に今、立ち上げのタイミングですので集中的に議論しているところでございます。プログラム運営委員会とその下に運営機構設置し、事業全体は運営機構側で、また、それの管理については、プログラム運営委員会で見ており、運営機構の下にさらにデータ連携の基盤委員会ということで、特にデータの構造化ですとか利活用についての課題整理を行うワーキンググループを設置してございます。
最終的にはハブ、スポークといった各大学で創出されるデータが、データ中核拠点NIMSのクラウドサーバ上にためていかれるということが、左側下の青いところで記載してございます。一方で、各装置から出てくるデータというのは、本当にデータの発出、バイナリーコードも含めてばらばらですので、右側でございますけれども、こうしたデータ構造化システムをつくっていかなければいけないという状況だということでございます。
その際に、①とした装置・計測メタデータとあるのが、こちらは自動的にデータファイルから抽出されるような世界でございます。資料のメタデータということで、こちらはユーザーがテンプレートに沿って手で入力していただくというところでございます。
いずれにしても、こうしたデータの構造化を行っていく際に、実際に装置ごとにばらばらな発出、データの形式が出てくるところでございますので、装置メーカーさんとの協力を取り付けながら、機種ごとに自動翻訳のシステムをつくっていくという作業を進めております。
具体的には本年度、12種目につきまして、試行的にそうした作業を大学で進めていきまして、来年度以降さらに、1,000機種ございますところ、全体を計画的に進めていくということを考えているところでございます。
もう一つの事業、新しく立ち上げた事業でございます。こちらはデータ創出・活用型マテリアル研究開発プロジェクトでございます。前身というわけではありませんけれども、元素戦略プロジェクト、こちらが本年で10年間ということで事業期間を終了するところでございます。こちらのプロジェクトにおきましては、例えば材料創製、電子論、解析評価と、拠点内にこういった3グループを構成しまして、シナジー効果を狙った研究開発プロジェクトでございました。次のデータ創出・活用型マテリアル研究開発プロジェクトにおきましては、10年後を見据えて、特にデータサイエンス的な手法に取り組むことで、研究開発の効率化、効果が期待されるテーマ設定を行って、材料、計測理論にデータサイエンスが有機的に連携することを見越した研究開発するプロジェクトを考えているところでございます。
本年度につきましては、その方向性を見いだすということで、プロジェクトのフィージビリティ・スタディを行うということを考えてございます。それで特にワークショップを通じて、取り組む研究課題、また、どういったデータを集めていくのか、データ構造の設計をどうするのかといったところを御議論いただくということを考えております。次年度以降はそうした議論も踏まえまして、本格的な研究開発に参画していただく機関をまた募っていくということを考えてございます。
フィージビリティ・スタディに採択された機関は、こちら5機関になります。こちらは代表機関が東大、NIMS、東工大、東北大、京都大学とございますけれども、全国の機関が各拠点の中に集結しているということになりますので、ここに出てこない機関もたくさん裏にはいるような状況になってございます。
こうした機関の方々と、今後、フィージビリティ・スタディの実施ということで、今まさに契約が終わってスタートするというところでございますけれども、10月、11月を中心として、先ほど申し上げたような中身について議論していただいて、次年度以降の取組につなげていくといったことを考えています。
私のほうから、本年度に新規公募、または新規にスタートした事業の御説明は以上でございます。
【高梨主査】 ありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明の内容に関しまして、御意見、御質問がありましたら、挙手ボタンをお願いいたします。馬場委員、よろしくお願いします。
【馬場委員】 馬場でございます。詳細な御説明どうもありがとうございます。以前も少し申し上げたところですが、マテリアルの研究開発は、もう既にこの委員会でも多数指摘されているところですが、産学連携、あるいはちょうどこのデータ創出・活用型マテリアル研究開発プロジェクトにも記載されておりますが、NEDOの事業等との連携というのが一つの大きな鍵になるかと考えております。
それから、マテリアル先端リサーチインフラでも、実際にその装置のデータをどのように構造化して、NIMSのデータ中核拠点にアップしていくかというところが、計測機器の企業様との連携・協力が極めて重要だと考えておりますが、その前の議題のマテリアル革新力強化戦略に、今、関係省庁からなるマテリアル戦略タスクフォースを設置されているということですが、そういうところでそういう府省間の連携あるいは産業界との連携といったところは、何かトップダウン的にいろいろ取組をやっていただくようなことになるんでしょうか。
【小川補佐】 事務局からお答えさせていただきたいと思います。産業界との連携について2つ御質問いただいたかと思います。1つ目は、データ創出・活用型、今見ていただいているプロジェクトの産業界やNEDO、また府省連携の話だと思います。ここの部分、その意味ではまさに、先ほど申し上げた⑤に当たるところでございます。ここはワーキンググループの中でも、特にNEDOを所管する経済産業省の産業技術局の研究開発課と文部科学省が主導的に取り組むということで、実際に彼らとかなり密に情報交換をさせていただいております。
NEDOさんのほうでも実際に先導事業でマテリアルの課題が出てきておりますので、私どものFSからの連携に加え、NEDOさんの新しい事業からのインプットというところも当然あると思います。例えば、研発課さんとは、雑談も含めていろいろ話している中では、FSでいい課題、いい方向性があれば、来年度のNEDO事業の方向性にしたり、また、NEDO事業のほうでもつなげていったりということを議論していきたいという話はしております。ですのでこれから、実際にワークショップなどを通じてその部分が回っていくと思いますので、しっかり密に連携していきたいと思います。
2点目ですけれども、リサーチインフラ事業における、各共用設備から発出されるデータの共有に関する御質問と思います。こちらの事業でも設備メーカーさんとの協力になります。柱としては別の①になりますけれども、これも経産省さんと連携していまして、特に経産省さんのほうでは、国際標準を扱う産業技術局のISO課さんというところで同じようにこの設備データを標準化していきましょうという日本企業の連携があります。また、設備メーカーは別の部局の産業装置課さんとも連携する必要があるので、こういったところを中心とした連携というのは、このマテリアル戦略の議論があったこともあって、かなり密にやらせていただいているということになります。
状況としては以上でございます。
【馬場委員】 ありがとうございます。もう言わずもがなですが、この施策の成否が、文科省と経産省、NEDOとの連携が非常に重要だと考えられますので、今後ともぜひよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
【高梨主査】 ありがとうございます。
それでは、次に五十嵐委員、お願いします。
【五十嵐主査代理】 五十嵐でございます。2点コメントさせていただきたいのですが、まずデータ創出基盤、中核拠点、この事業が非常にスムーズに進んでいるという印象を受けましたが、1点お願いがありまして、やはり良質なデータをいかに蓄積するか。ここに知恵を出していただきたいと思います。その良質の定義は、当然ながら、いろんな実験条件が確かだ、材料が確かだということ。これについては、皆さんも同意されると思いますが、一見、全く特性とは関係ないようなデータ、あるいは失敗したデータ、そういうデータも含めていかに蓄積できるか。これが今後の本当の意味でのデータサイエンスに、材料開発につなげるというところの肝になると思うのです。
企業からなかなか、あるいは論文を書いたときに失敗したデータは載せないですね。ただ、実際の実験の過程では、いろんな失敗データもあるわけですから、そういう中に、実際、機械学習等をしたら、説明変数、記述子が含まれている、そういう場合もありますから、ぜひともそういう埋もれている良質なデータをいかに蓄積するか。そういう視点でのデータ取りも検討いただけたらと思います。
それからもう1点は、データ創出、材料開発のFSの件ですが、これも当然ながら、間口を広げて、ぜひ採択をお願いしたいと言っていましたら、それをしっかりしていただいて、本当によかったと思っております。文科省の施策としては、元素戦略の後継の位置づけにも当たる。ただ、やはりそれにこだわらずに、今回の5分野で採択されたFSの中で、本当に日本の将来を支える、こういう用途、分野を特定いただいて、次年度以降の本格開発事業に関しては、ぜひ、さらに間口を広げて、可能性のあるものをどんどん採択いただきたいと。そういう施策に仕上げるためにも、本年度のFS研究、これは4,000万円と、予算額は小さいですが、ぜひいろんな方の意見を活発にお伺いして、その中から次年度につながる、そういうテーマの採択につなげていただきたいと思います。
これは2点コメントですけども、どうぞよろしくお願いいたします。以上です。
【高梨主査】 事務局、いかがですか。重要なコメントをいただきましたが。
【小川補佐】 ありがとうございます。2点いただきました。1点目は、データをためるところで、特に失敗データだったり、そういった、いわゆる論文に載らないようなデータについても、後々のAIでの活用などがしっかりとできるようにしていくべきだということだと思います。おっしゃるとおり、この事業の根幹、肝の部分がまさにそこでございまして、なかなか研究者の方々に、論文に載らないデータをみんなに共有してくださいと言っても、インセンティブは難しいというところもあるのではないかという議論もあったと伺ってございます。
その意味では、この事業ではどちらかというと、共用設備から出てくるデータを、設備側でしっかりためていくということになりますので、かなり網をかけたようなデータの取り方になるのかなと考えてございます。
また、データの質の担保のところにつきまして、逆に言いますと、多様なデータが出てきますので、並行して議論していかなければいけないのかなと思いますので、失敗データも含めてしっかりとためていけるような形を想定して議論しているところでございます。
【五十嵐主査代理】 承知しました。
【小川補佐】 もう1点目の間口を広くということにつきましても、おっしゃるとおりです。元素戦略がかなり成果を出していますので、そこはもちろん目が行くところではありますが、私ども、この事業自体は元素戦略よりももっと枠が広がって、例えば今回の対象である8分野というものもマテリアル戦略に書き込まれていて、デバイス、量子、バイオ、環境、構造といろいろございます。そこに書いてあることというのはもう元素戦略の4拠点よりもかなり広い分野をベースとしながら、その中でどこをやっていくんだという、かなりオープンな議論をしているのかなと思います。今回の公募も元素戦略に関わっていらっしゃらなかったような先生方、例えば京都大学の沼田先生はバイオ材料ということで、あまりこれまで元素戦略の中で触れてこられなかったような方も入っていただいておりますし、すごくいろんな方々と議論しながら、どういったものが今後必要なのかというところを、来年度の本格実施につなげていければと考えております。
コメントありがとうございます。以上でございます。
【五十嵐主査代理】 どうぞよろしくお願いします。ありがとうございます。
【高梨主査】 ありがとうございました。
では、そろそろお時間ですのでよろしいでしょうか。
では、次の議題に移らせていただきます。議題の4番目ですが、「令和4年度概算要求の方向性について」でございます。
ここで傍聴の皆様、一旦御退席いただきまして、約15分後、再度入室をお願いしたいと思います。ただし、この非公開の議題が予定より延びる場合もありますので、もし入室できない場合には少しお時間を空けて、また入室を試みていただければ幸いでございます。
ここで、待ちたいと思います。
【高橋委員】 高橋ですけど、待っている間におしゃべりしていいですか。
【高梨主査】 はい、どうぞ。
【高橋委員】 私はちょうど高温超電導がワーッと爆発的に研究されたときに、この組合せでやったら駄目だったという失敗のデータもちゃんと公開することが必要ですよねと、あのときの田中昭二先生などに申し上げたら、おっしゃるとおりですとおっしゃったんですけども、「おっしゃるとおりです」と言うだけで、結局は、それはきちんとできなかったというのが私の理解なんですね。
今回は、機械のところでデータを取るということなので、できるのかもしれないんですけれども、誰が考えても失敗したほうのデータも大事だよねと言って、そのとおりまでは行くんですけども、その先が結構難しいんじゃないかなと思ってしまいました。ちょっとおしゃべりでした。
【高梨主査】 ありがとうございます。確かに以前からそれはずっと言われてきていて、難しいとは思うんですが。何か。ちょっとこれは重要なことなので、もし御意見とか。
宝野委員、どうぞ。宝野委員、手が挙がっていますね。
【宝野委員】 おっしゃるとおりなんですが、企業が失敗したデータを出してくださると非常にいいんですけど、その辺は企業サイドからどうなんですかね。絶対無理でしょうか。
【五十嵐主査代理】 五十嵐が言い出しっぺなので申し上げますと、企業の場合は、成功例というのは必ず特許まで書きますが、失敗例というのはなかなか特許を書かないです。また後で吟味しようというような場合が多いと思います。ただ、やっぱりその中に本当に、もしかしたら別の用途で使えるものがあったり、あるいは何か未知の特性が潜んでいる。そういうことがあるわけですから、なかなか企業に全部それを出せといきなり言うのは難しいですが、そういう失敗データも何らかのデータバンクとして、それで後々それが日の目を見た場合には、それをインセンティブをつけてあげる。そんなことがあれば出しやすくなるかなとは感じます。
【宝野委員】 それでしたら、学からまず、むだなデータ、駄目だったデータをどこかにためるということをやらなきゃいけないわけですかね。
【五十嵐主査代理】 皆さんがそういう意識になってもらえればいいとは思うのですが、やっぱり論文を書くためには失敗したデータは使わないでしょうから、そこが問題だと思います。
【宝野委員】 じゃ、そこにインセンティブを持たせるという施策が必要になるわけですね。
【五十嵐主査代理】 そうですね。ですから、それにはやっぱり何か具体的な成功例がないと駄目でしょうね。何かの用途に開発したけども、それには駄目だった。ところが、5年後に別の用途でいい製品ができたというような。そういうのを出さない限り、なかなかそういうデータ蓄積は難しいと思います。ちょっと自分から言って、答えがなくて申し訳ないですが。
【高梨主査】 今、吉江委員と平田委員の手が挙がっていて、これは非常に重要な議論なのでお二人の意見、手短に披露していただいて、それで議題4に移りたいと思います。吉江委員、いかがですか。
【吉江委員】 ありがとうございます。吉江でございます。私がふと思ったのは、先ほど測定装置からデータを収集するので、比較的集めやすいんじゃないかというお話がありました。確かに本当にそのとおりだと思うんですけれど、それに付随するデータというのはやっぱり入力していただかなければいけないというところで、最初、予算がある場合、あるいは立ち上げのときには皆さん頑張って、そういうのを入れてくださるんじゃないかなと想像するんですけども、ゆくゆくはやっぱり入れやすいところ、入力しやすさというのが質のいいデータをためていくときには大事なんじゃないかなと思いますので、ぜひそういう視点をどこかで共有していただけるといいんじゃないかなと思いました。
以上、コメントです。ありがとうございます。
【高梨主査】 ありがとうございます。
それでは、平田委員。
【平田委員】 企業の立場から申し上げると、企業さん、企業さん、それぞれ御意見は違うかもしれませんが、先ほどもありましたように、失敗データもいつか使えるんじゃないかというのがあるので、なかなかお出しするというのは難しいと思うんですね。
また、我々企業の立場からすると、そのデータ開示自身が諸般の事情で難しいことがあるので、例えば学で集められたデータをうまく私たちに使わせていただくような、そういった仕組みであるとか、制度であるとか、何かそういったものをうまく、既にあるのかもしれませんけれども、立ち上げていただけると、一旦企業にデータを出していただいて、我々の中で少し使い方を考えて、それによって、新しい製品が出てくるというような道筋もあるように感じました。
以上です。
【高梨主査】 どうもありがとうございます。まだまだこれはいろいろ御意見があるかもしれませんが、またこれはいつか別な機会にでも続けられればと思います。すみません。時間が大分来ていますので、今日は、次の非公開の議題に移りたいと思います。
(傍聴者退室)

(傍聴者入室)
【小川補佐】 事務局でございます。時間が少し押しておりますので、もしよろしければ、審議官の坂本から御挨拶をこのタイミングでさせていただければと。
【高梨主査】 なるほど。分かりました。
【坂本審議官】 今、御紹介いただきました研究振興局審議官の坂本です。先生方には非常に貴重な、多様な視点からの議論をいただいたことは本当にありがたいと思っております。引き続きぜひ御指導、御協力をお願いしたいと思います。
私はナノテクを今から約10年前に担当して、当時はナノテク材料室でしたけれども、室長として担当してから約10年ぶりに、この分野をまた担当することになりました。今、先生方が御議論いただきましたように、研究開発成果の成果物としてのデータというものは知的財産としての性格を持ったデータの扱い、役割というのは非常に重要になっているということがございます。研究活動も、そして、その成果を蓄積していくリポジトリというのも非常に分散されて、多様なものであり、同様にユーザーも多様であると。そういった状態にある中で、このデータの流通、統合というものをどのように進めていくのか、その中で、システムの運用の持続可能性と費用回収も含めて、それぞれのデータプロバイダ、成果の生産者、そして、ユーザーの方々がそれぞれメリットを共有できる、そういったシステム設計というのは、これは利用の階層構造をつくることを含めて非常に重要で、かつ難しい問題になってきております。
したがって、それに今、マテリアルの分野ではNIMSが非常に大きな努力を傾けて、さらに全国の大学研究機関の方々の協力を得て進めておるわけですけれども、さらに、その情報学研究所、NIIといった最先端の情報、科学技術を駆使して、SPring-8、J-PARCなどの超大型、ビッグデータというものも含めて、流通、共有、統合していくというシステムづくり。これは全国の大学研究機関の方々との連携なくしてはできないことですので、こういった大きなシステムづくりというものを、まずマテリアルの分野を先行して進めていくということ。先生方の御指導をいただきながら、しっかりと進めさせていただきたいと思いますので、ぜひよろしくお願いします。
以上です。
【高梨主査】 坂本審議官、どうもありがとうございました。
それでは、議題に戻ってよろしいでしょうか。最初に時間を大分取り過ぎまして、ちょっと過ぎてしまいましたが、議題の5に移りたいと思います。
議題5の戦略プロポーザル「材料創製技術を革新するプロセス科学基盤~プロセス・インフォマティクス~」の紹介ですが、これは永野技術参与から御説明をお願いしたいんですが、ちょっと短めにお願いできますでしょうかね。
【永野技術参与】 承知いたしました。もう時間は過ぎていますので、この御紹介も数分で収めたいと思います。JSTのシンクタンクであるCRDSが取りまとめた提言書で出しているプロセスインフォマティクスに関する御紹介です。
2ページ目の右に冊子の表紙がありますけども、提言書の本体自体は、CRDSのウェブサイトで公開しておりますので、詳しくはこちらを御覧いただきたいと思います。細かい文字のところは全て飛ばさせていただき次の図で御紹介いたします。
データ駆動型材料研究開発におけるマテリアルインフォマティクス、MI、それから、プロセスインフォマティクス、PI、そして、計測インフォマティクスの関係概念図としての一つの考え方、整理の概念です。緑色のところ、左下に「狭義のMI」と書いています。何をつくるかという、材料の予測、設計に関わる部分をデータサイエンスを活用して行うことが、これまでマテリアルズインフォマティクスが中心的に取り組んできた部分であるわけですけども、さらにここから、一体それをどうつくるのかという上の青いところ、これがプロセスインフォマティクスであろうと考えています。そして、右下の計測インフォマティクス、系において何ができているのか、起きているのか。ここは計測しながらということになるわけですけども、これが総合して全体は、広義の意味合いとしてはマテリアルズインフォマティクスという取扱いがされることもあるわけですけども、やはり今まで取り組まれてきたマテリアルズインフォマティクスの中心は、材料の予測・設計に関わる部分が中心でした。そこから得られた成果を活用しようと思うと、一体その求めるべき予測された材料は、どう作るのかというプロセスの部分こそ、重要且つ現時点ではインフォマティクスが非常に難しいため今後重要な課題だと考えます。
プロセスインフォマティクスというのは、極めて多岐にわたるデータ探索空間になっていますので、大変難しいですが、ここに何とかチャレンジすべきではないかというような提言をCRDSから出させていただいております。
これも一つの見方ですけども、いわゆる材料の川上から川下へ向かう工程を考えたときに、狭義のMIというところは黄色い部分で、材料データから材料設計、予測を行うというところですが、それをプロセスデータ、プロセス設計、ブルーの部分に関しては、扱う探索パラメータも非常に多岐にわたることから、ここはなかなか手が出しにくい部分。そして、時間軸や流量など様々なパラメータ・条件が複雑に絡み合う世界なので、ここのインフォマティクスというのはそう簡単には取り組めないわけですけども、これが次の時代のチャレンジになってくるのではないかということです。
一方、右側の、より事業開発や合成プロセスの確立、量産、安定生産に行くところ、ここもある意味ではプロセスインフォマティクスの呼ぶ意味合いがある部分ですが、今回のCRDS提言ではその手前のところ、材料研究開発としてのインフォマティクスを中心に提案しているものです。
プロセスインフォマティクスに活用可能な様々な要素技術が近年いろいろ登場しているといったものの御紹介です。例えば左上のほう、反応経路自動探索技術でありますとか、右上のほう、ハイスループット実験やロボットを活用した材料合成、それから左下のようなモデルリングやシミュレーション等を併せていく。また、右下のようなソフトセンサーを系の中でいかに活用していくかや、機械学習アルゴリズムを材料プロセス開発に活用していったりというような要素技術がたくさん出てまいりまして、これらは今、それぞれ局所的で具体的な課題に対応して研究開発を行っていただいているわけです。プロセスインフォマティクスをやっていくために、何とかこういったものを基盤技術として統合的に運用していくような方向に持っていって、プロセスインフォマティクスを確立していくということができないかを提案しています。

プロセスインフォマティクスを扱うときに、具体的に何の課題でやるかというときに、いわゆる材料の領域によって大分違ってきます。有機材料系、無機材料系、それらの複合材料系など、主要な材料領域ごとの検討がプロセスインフォマティクスにも重要であろうと考えております。
次の一覧表ですが、現在、文科省と経産省を中心とする、材料プロセスとデータ科学に関連する進行中の施策のリストです。今日最初の議題で御評価いただきましたプロセスサイエンス構築事業、Materealizeのほかにも、幾つかの関連事業が推進されているところですが、やはりこれまでのマテリアルズインフォマティクスの取組をいかに花開かせていくかのターゲットに関しては、プロセスのインフォマティクスに踏み込んでいくことが一つの大きな課題です。
次で最後ですけども、近年の論文動向の解析です。データ駆動型材料のプロセスに関する論文数の推移です。これは過去10年分ですが、10年間の累計を見ると、米国が約1,400報の関連論文を発表しています。そして、中国が700報強であるのに対して、日本は6番手、195報というようなデータです。Web of Scienceからのキーワード検索ですから粗いデータではありますが、一つの統計的な見方になります。
私たちJST-CRDSの認識では、こういったものの論文はまだ立ち上がりの途上ではないかなと見ておりまして、この後、さらに計測ツールやシミュレーションツール、そして、データツールが揃ってきますと、もっと急速に伸びていくのではないかということを予測しております。プロセスインフォマティクスは非常に高いハードルの取り組みになりますが、日本として今後のマテリアル革新力強化戦略の推進上、一つの検討に値すべき課題であろうといったことを本提言に記載させていただいております。
以上です。
【高梨主査】 ありがとうございます。それでは、せっかくですので、御質問、御意見をいただければと思いますが、いかがでしょう。挙手をいただければと思いますが、いかがでしょうか。ちょっと時間は過ぎていますけども、非常に重要なお話だったと思いますので、よろしいでしょうか。
では、高村委員、よろしくお願いします。
【高村委員】 北陸先端大の高村です。このプロセスインフォマティクスの肝というのは、この「匠」、暗黙知を形式知にするというところがポイントなんですか。
【永野技術参与】 ありがとうございます。暗黙知と形式知の関係という意味では、一つこれはもじったような表現ですけれど、研究者の勘・コツ・経験といったものと、それから、現在、様々なマテリアルズインフォマティクスで取り組まれているようなデータサイエンスの活用、あるいは合成実験や物性評価に係る自動化・ロボティクスの技術、これらをいかにシームレスに接続して総合的に運用していくかというところが一つのチャレンジではないかなと考えています。「匠-in-the-loop」を一つの言い方として考えましたが、さらにその先には、この下側、「closed-loop」をどう回すかということもあるわけでして、そこでは、実験や評価の自動化、データ開発の手前の条件設定、研究開発における仮説設定の段階で、機械学習やAIを活用していった上での「closed-loop」を回し、科学研究のサイクルを人間の解釈によって統合していく。こういったものもさらなる将来的な課題として考えております。
【高村委員】 そうすると、コンビナトリアルにやるよりも効率的に研究開発が進むとお考えなんでしょうか。
【永野技術参与】 コンビナトリアルでやっていくときに、あらゆるパターンを全て実行するということは、穴をなくしていくということでは非常に重要なわけですが、現実的には、まだ未知のプロセスに関してそれを全てやっていこうというのは非常に難しいです。その効率性を上げる、いかに探索範囲の当たりをつけていくかや、一度回したプロセスの後に、さらにその次の条件設定において、例えばベイズ推定等を活用しながら、それの絞り込みをより効率的に低コストにやっていく、時間短縮を図っていく。こういったことが一つの主眼になると考えています。
【高村委員】 そうすると、これまで研究者の勘で合成パラメータを、例えば温度だったら何度刻みでやるというのもAIが判断するようになるということですか。
【永野技術参与】 どこまでAIに学習データを入れられるかということも関係してきますが、やはりプロセスデータというのは、使えるデータが圧倒的に不足しています。ですので、研究者がやはり条件設定の段階から、どういった刻みの温度設定で行うのかや、流速の設定や、反応経路の設計をどうやるかというのは、現時点ではやはり研究者の知恵が求められるところではあります。これが例えば日本の状況として、今、起きている研究人口の減少傾向などの状況を考えていくと、材料研究の生産性やボリューム、質といったものをいかに世界と闘える状況にキープしていくかを考えたときに、使えるツールを揃えて効率的に使っていくために、そのツール開発自体からやっていくことが課題ではないかなと考えております。
【高村委員】 AIと研究者による共創みたいな。
【永野技術参与】 これからの科学者の役割は何かといった倫理的・哲学的な論点もあって、そのとき研究者は何をやるべきなのかといった議論もありますが、現時点ではある意味プリミティブなものでしかないということが、私共も調査をしているなかで明らかになっています。研究者にとって、よりこういったものの活用や世界観が、活力ある魅力的な研究テーマとして設定されるようにしていくことを前提に、そのときにどういったツールセットを整えていくべきなのかということが焦点として大事になるのではないかと考えています。
【高村委員】 ありがとうございます。
【高梨主査】 ありがとうございました。よろしいでしょうか。
それでは、どうもありがとうございます。
では、次の議題についてと思います。最後の議題ですが、議題の6番目、「その他」でございます。では、初めに事務局からまた御説明をお願いします。
【小川補佐】 今、画面に共有させていただいているものが資料6になります。本議題につきまして、本年4月21日に開催された研究計画評価分科会での議論を踏まえまして、同分科会の事務局から各部会、私ども委員会に対して、第6期科学技術・イノベーション基本計画等を踏まえた政策の在り方について、各部会、各委員会において検討し、指定のフォーマットに沿って提出をお願いしたいという依頼がございました。
その指定のフォーマットに事務局と、あと、主査のほうにも御相談させていただいて、一つ案をつくらせていただいたというものがこちらでございます。
簡単に御説明しますと、(1)と書いてあるもの、こちらは、今期ではどんな議論を進める予定かということでございます。こちらにつきましては、前回の委員会でも御説明、また、皆さんによって御議論いただいたとおり、本日行っていただいたプロセス事業の中間評価ですとか元素戦略やナノプラの事後評価、また、新規拡充事業、次年度以降、またあれば、御議論いただくということと、あとはナノテクノロジー材料分野の研究開発に関する計画の検討についても行っていただくということで、前回の議論を踏まえた記載をしているところでございます。
あともう1点でございますけれども、こちらは新しい部分で、自然科学の知と人文・社会科学の知の融合である総合知をどのように活用したことができるのかという依頼でございました。ほかの審査とも御議論させていただきまして、ここは記載あるとおりなんですけれども、例えばカーボンニュートラルですとか、プラゴミ、こういったサーキュラーエコノミーの実現といった技術の社会実装を進めるといったことがマテリアル戦略で求められています。
そのため、こういった技術の社会実装を考えた際に、自然科学分野に限らず、経済学や社会学、工学など広い分野の知識が必要なのは当然ですよねということと、先ほど申し上げたマテリアルに関する研究開発を推進する事業におきましても、そうした社会課題への貢献を図るために、例えば二酸化炭素削減の企業、LCAみたいな話ですとか、リサイクルによる資源効率化の可能性ですとか経済インパクト、こういったところを研究開発プロジェクトとして、その成果を求めていくところです。また同時に、社会への貢献、すなわち社会課題の解決への貢献といったところについての調査も求めているところです。
こういったところにつきましては、例えば、今回のナノテクノロジー委員会でもそういった議論があるのかもしれないと、そういったことでまとめさせていただいたところでございます。
これは一つの案としまして、出させていただいておりますけれども、先生方のほうで御意見いただいて、もしよろしければ、ナノテクノロジー委員会の報告ということで、研究開発評価分科会に提出していただくということを考えているところでございます。
私のほうからは以上でございます。
【高梨主査】 ありがとうございます。これは計画評価分科会の中でも、(1)番は別に一般的なことで、(2)番というのが今回入って、分科会の中でも総合知を計画して評価するというのは難しいよねという、委員会の中でそんな意見が結構出ていたんですけど、結局それで、今度は部会、それぞれの部会から何かこう、実際の具体的な提案を求めるという形で、こういう依頼が来ているんですが、なかなか難しいところです。ここら辺は皆さんに自由に御意見いただいて、何かうまく盛り込めるものがあれば盛り込ませていただきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
大分時間が来てしまっていますけど、何か御意見いただければと思うんですが、いかがでしょうか。
高村委員、どうぞよろしくお願いします。
【高村委員】 ちょっと発言しますと、ここ、バイオマテリアルとかも入れてもいいのではないかと思うんですけど、いかがでしょうか。
【高梨主査】 そのバイオと、やっぱり人文・社会との関わり合いのある部分もあるしという、そういうような意味でしょうか。
【高村委員】 生物の経済という意味では、例えばグリーンバイオみたいな農業系の場合もありますし、あとレッドバイオ、医療用マテリアルだと、生命倫理なども関わってきます。ホワイトバイオだと技術経営も関わってくるので。そういうバイオマテリアルといった文言は入れなくていいのかなと思いました。
【高梨主査】 ありがとうございます。そういう視点も入れることができるかなと思いますけど、事務局、何かありますか。いろんなバラエティーがあって、いろいろなシステムを入れられればと私としては思っているので、今のような視点もと思いますが。
【小川補佐】 ありがとうございます。ここではアイデアがあまり、なかなかないというところが恐らく根っこにあって、部会にもこういう質問が幅広くということで来ていると思います。当事務局としても時間ない中で、この場で議論するのかは別として、例えばグリーンバイオやレッドバイオ、ホワイトバイオというところ、文言だけだとどう書いていいのか分からない部分もあったので、先生と直接、もしよろしければメールなりでやり取りさせていただいたりしてもよろしいでしょうか。どういった形で入れ込めばいいのかというところでございます。
【高村委員】 すみません。私より馬場先生のほうがお詳しいと思います。馬場先生。
【高梨主査】 馬場先生、いかがですか。
【馬場委員】 馬場でございます。高村先生の御指名なのでお受けいたしました。メールいただければ相談させていただきます。
【小川補佐】 ありがとうございます。大変助かります。
【馬場委員】 ありがとうございます。
せっかくなので私もちょっとだけ発言させていただこうと思ったんですが、NEDOのプロジェクトで、企業の方の御提案、マテリアル開発の御提案を聞いていますと、例えば、できた材料の質感とか、それが心理学とか認知に与える影響といったような提案をされる場合もあるので、カーボンニュートラルやサーキュラーエコノミーはもちろん非常に重要なんですが、マテリアルそのものの開発においても、そういう心理学とか認知科学が、人文・社会系なのかどうかというのは私もよく分かりませんが、関わっているのかなと思いますので、御参考になさってください。
以上です。
【高梨主査】 ありがとうございます。今のも参考にさせていただければと思います。馬場委員とメールのやり取り等で、また実際の具体的なところは御協力いただければと思いますが、事務局、そこら辺はよろしいですね。何か御意見あれば。
【小川補佐】 ありがとうございます。メールなりで御連絡させていただきたいと思います。ありがとうございます。
【馬場委員】 はい。よろしくお願いいたします。
【高梨主査】 よろしくお願いいたします。ほかに何かございますでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、特に御意見ないようなので、今の御意見を参考にして、馬場委員と御連絡を取らせていただきながら、こちらは修正、追記させていただくということにしたいと思います。どうもありがとうございました。
それでは、最後になりますが、事務局から事務連絡をよろしくお願いいたします。
【小川補佐】 事務局でございます。先生方、非常に長い時間、御議論を大変ありがとうございます。次回のナノテクノロジー・材料科学技術委員会につきましては、調整の上、追って事務局より御連絡させていただきます。
また、本日の議事録につきましては、事務局にて案を作成し、委員の皆様にまたお諮りした上で、主査に御確認していただいて、ホームページに公開と、そういった運びを考えてございます。本日はありがとうございました。
【高梨主査】 どうもありがとうございます。今日は大分時間が過ぎてしまって申し訳なかったんですが、皆さんからいろいろ貴重な意見をたくさんいただけたと思います。本当にどうもありがとうございました。
また、コロナでなければ、定期的に懇親会みたいなことも以前はやっていましたけれども、そういったところでもいろいろざっくばらんな意見交換がこれからコロナが収束してできることを祈っております。
それでは、本日は、ナノテクノロジー・材料科学技術委員会、これで閉会とさせていただきます。どうもありがとうございました。

―― 了 ――