RI・研究所等廃棄物処分事業積立金の事前評価票(案)

(平成19年8月現在)

1.課題名

RI・研究所等廃棄物処分事業積立金

2.開発・事業期間

平成20年度〜

3.課題概要

 研究施設等から発生する放射性廃棄物(RI・研究所等廃棄物)は、現在処分されずに事業者において貯蔵されているが、貯蔵施設の保管余裕が逼迫してきていることから埋設の方法による最終的な処分(以下「埋設処分」という。)を早期に行うことが必要である。そのため、独立行政法人日本原子力研究開発機構(以下「機構」という。)が実施主体となって処分事業を円滑に推進するための法案を次期通常国会に提出予定である。RI・研究所等廃棄物の約8割の発生者であり、埋設処分に要する費用が多額となる機構について、将来におけるRI・研究所等廃棄物の埋設処分に要する費用に充てるための積立てを行うものである。

4.評価結果

(1)必要性

 RI・研究所等廃棄物については、現在、埋設処分の事業者及びその処分場が存在せず、埋設処分が行われていないことから、当該廃棄物は各研究施設等において貯蔵されているが、各施設の貯蔵能力も既に限界に近づいており、新たな原子力の研究開発等にも支障をきたすおそれが生じている。このため、原子力の研究開発等を確実に推進するには、我が国のRI・研究所等廃棄物の早期の埋設処分の実現を図ることが必要である。
 そのためには、RI・研究所等廃棄物の大半を発生させており、かつ、埋設処分を行う技術的能力を有する機構が実施主体となることが合理的かつ適切である。その際、一時期に予算措置した場合には研究開発に支障が生じる恐れがあるため、予算を平準化するために積立てを行うことが必要である。

(2)有効性

 RI・研究所等廃棄物の埋設処分を早期に実現することにより、当該廃棄物の貯蔵施設に保管余裕が生じ、原子力の研究開発を滞りなく実施することが可能となる。また、当該処分に要する費用を現時点から積み立てることにより将来における負担を平準化させることができ、機構の将来にわたる研究開発業務への影響を最小限にして処分が実施できる。

(3)効率性

 RI・研究所等廃棄物の埋設処分が推進されなければ同廃棄物は貯蔵され続け、その廃棄物対策に要する費用も増加していくこととなるが、RI・研究所等廃棄物の埋設処分を早期に実現することにより当該廃棄物の貯蔵に要する費用を軽減させることができる。

5.評価結果

 RI・研究所等廃棄物の処分は、原子力の研究、開発及び利用を継続し、さらに発展させるためには不可欠である。同廃棄物の埋設処分が進まない場合には、原子力の研究、開発及び利用の推進に大きな影響を及ぼすこととなるため、関係事業者からの処分の制度化に対する期待も大きい。
 よって、将来における処分費用を平準化し、機構の研究開発業務への影響を最小限に留めるとともに、廃棄物処分という課題を将来世代に先送りしないためにも、本積立てを行うことは妥当と考える。
 なお、機構が、我が国のRI・研究所等廃棄物の処分を円滑に行うためには、以下の点に留意する必要がある。