(平成19年8月現在)
高速増殖炉サイクル技術研究開発推進交付金
エネルギー資源の乏しい我が国においては、使用済み燃料を再処理し、回収されるウラン・プルトニウム等を高速増殖炉で有効利用する高速増殖炉サイクル技術を確立することにより、長期的なエネルギー安定供給を確保することは、国の存立基盤をなす重要な課題である。
また、高速増殖炉サイクル技術は、総合科学技術会議において、平成18年3月に国家基幹技術として選定されていることから、国が主導する一貫した推進体制により、着実に研究開発を実施する必要がある。
本交付金は、高速増殖炉の円滑な運転及びそれに伴う高速増殖炉サイクル技術に関する研究開発の推進のため、特に高速増殖炉が立地している市町村等に対して交付金を交付し、地元地域における理解増進及び当該研究開発と地域との共生を図ることにより、高速増殖炉サイクル技術の研究開発の着実な推進に寄与することを目指す。
高速増殖炉については、「原子力政策大綱(平成17年10月原子力委員会)」、「高速増殖炉サイクルの研究開発方針について(平成18年11月文部科学省)」等において、基本スケジュールとして、
としている。平成20年度(2008年度)は、2010年の実用炉で採用する革新技術の決定に向け、研究開発を大きく加速する必要があるなど、重要な局面を迎えている。
特に、平成20年度には「もんじゅ」の試験運転再開も予定されているところであり、平成20年度より新たな交付金を創設することにより、高速増殖炉サイクル技術に関する研究開発の理解促進及び地域との共生を進め、研究開発の円滑な実施を図ることが必要である。
高速増殖炉の立地地域において、
を図ることにより、当該地域に高速増殖炉の研究開発拠点を置くことの利点を還元し、地域と共生しながら高速増殖炉サイクル技術の研究開発を推進することができる。
また同時に、高速増殖炉が立地する地元地域の科学技術・学術の振興の促進を図ることができる。
交付金の交付により、高速増殖炉サイクル技術に関する研究開発及び高速増殖炉が立地する周辺地域の科学技術・学術の振興を併せて促進することができる。
高速増殖炉の円滑な運転及びそれに伴う高速増殖炉サイクル技術に関する研究開発の推進のためには、地元地域における理解及び当該研究開発と地域との共生は不可欠であり、また、高速増殖炉サイクル技術を円滑に進めるためには、本交付金を平成20年度から交付することは妥当である。
なお、交付に当たっては、立地地域のニーズを踏まえ、交付金の交付によって立地地域の活性化の資するものとし、また、今後の高速増殖炉サイクル技術研究開発や科学技術・学術の振興に資するものとなるよう、立地地域における本交付金の活用計画について、十分フォローしていくことが必要である。