「ITER(イーター)計画(建設段階)の推進」の中間評価票(案)

(平成19年8月現在)

1.課題名

ITER(イーター)計画(建設段階)の推進

2.評価結果

(1)全体評価

 本課題は、核融合エネルギーの実現のための重要な研究開発のステップであり、科学的・技術的意義のみならず、社会的・経済的意義も極めて大きいとともに、我が国の核融合に関する技術基盤の向上やさまざまな分野への波及効果も期待される。また、本課題は国際協力の枠組により実施されることから、我が国が単独で実施するよりも、成功可能性やリスク分散、費用対効果の面でメリットが大きいと判断される。
 ITER(イーター)計画については、ITER(イーター)協定の署名、ITER(イーター)機構の暫定的な発足等を経て、現在はITER(イーター)協定の発効が年内にも予定される段階となり、大きな前進が見られた。また、我が国が分担する装置・機器に関しては、ITER(イーター)協定発効後の本格的な建設活動の開始に向けて、その製作に必要な技術開発等の準備活動が順調に進められており、特に我が国において他のITER(イーター)参加極を上回る成果を挙げている点は評価できる。さらに、幅広いアプローチについては、欧州との間の協定が本年6月に発効し、各プロジェクトの事業長が指名されるなど、本格的にプロジェクトが開始されたところである。
 今後は、大学、産業界を含めた全日本的な連携に努めながら、引き続き、両プロジェクトの成功に向けて取り組んでいくことが期待される。
 以上のことから、本課題については、今後も計画どおり継続すべきである。

(2)個別評価(出された主な個々の意見の集約)

1基盤技術の形成

 ITER(イーター)に用いる装置・機器の製作に関し、これまで我が国は、他の参加極を上回る成果(例:1伝導導体圧縮成型装置の試作においてこれまで参加極の中で唯一成功、2ITER(イーター)の加熱装置の一つである高周波加熱装置に用いる機器の開発において、ITER(イーター)の仕様を大きく上回る運転成果を実証、3中性粒子入射加熱装置に用いる加速器の開発において高エネルギービームの大電流加速の世界記録を達成)を挙げており、技術レベルでは高く評価できる。
 また、今般、幅広いアプローチの主要地域である青森県六ヶ所村に核融合科学研究所六ヶ所研究センターが開設されるとともに、核融合エネルギーフォーラムに「ITER(イーター)/BA技術推進委員会」が設置され、産学官の連携枠組が構築されたが、より一層オールジャパンでの連携を推進し、両プロジェクトの成功に向けて取り組むことが必要である。

2人材育成

 人材育成については、座学に加えて現場に根ざした実践が重要であり、ITER(イーター)及び幅広いアプローチを通じ、その実施機関である日本原子力研究開発機構と学術界との連携を強化しつつ取り組むことが重要である。その際、核融合だけではなく、原子力、エネルギーといった幅広い視点での人材育成を念頭に置くことが求められる。

3国際的視点

 大規模な国際プロジェクトを推進するに当たっては、常に我が国の国際的優位性と国際的協調に十分留意することが必要である。ITER(イーター)及び幅広いアプローチにおいて、我が国は、7極及び日欧の国際的協力枠組の下、ITER(イーター)計画における調達分担等において欧州に次ぐ役割を担うとともに、幅広いアプローチを国内で実施するなど、主導的な役割を果たすことになっているが、更に我が国の技術的優位性も念頭に置きつつ推進していくことが必要である。

(3)その他(今後研究開発を進めるにあたっての統一的な注意点)