原子力分野の研究開発に関する委員会(第24回) 議事録

1.日時

平成19年8月22日(水曜日) 10時~12時

2.場所

三田共用会議所 C‐E会議室

3.出席者

委員

 田中主査、本島主査代理、石田委員、伊藤委員、井上委員、岡崎委員、加藤委員、小林委員、中西委員、早野委員、和気委員

文部科学省

 古谷大臣官房審議官(研究開発局担当)、山野原子力計画課長、板倉原子力研究開発課長、松尾研究開発戦略官、木村量子放射線研究推進室長、門田放射性廃棄物企画室長

4.議事録

【田中主査】
 それでは、定刻になりましたので、科学技術・学術審議会 研究計画・評価分科会 第24回原子力分野の研究開発に関する委員会を開催いたします。本日はお暑い中、朝からありがとうございます。
 議事に入る前に、本日は平成19年7月10日付で、研究開発局で新しく原子力を担当する大臣官房審議官に就任されました古谷毅審議官にご出席いただいておりますので、古谷審議官にご挨拶いただきたいと思います。よろしくお願いします。

【古谷審議官】
 おはようございます。ただいまご紹介にあずかりました古谷でございます。去る7月10日付で、研究開発局の原子力を担当する審議官に着任をいたしました。よろしくお願いいたします。
 本日はこの後、20年度予算の概算要求に関しまして、重点課題の評価をいただくわけでございます。ご案内のように、原子力につきましては、地震の問題等、いろいろな問題が起きておりますが、地球環境問題、エネルギー制約に対する対応ということをはじめ、原子力に関する重要性は極めて高いものがあると考えております。政府の予算は、ご案内のように厳しい財政状況が続いているわけですが、その中で我々は国としてやるべきことをきちんとやっていくということで、20年度の予算要求に対しても対応して参りたいと考えております。
 本日はご審議のほどよろしくお願いいたします。

【田中主査】
 ありがとうございました。
 また、前回の委員会以降の人事異動で、原子力研究開発課長に板倉康洋課長が、また放射性廃棄物企画室長に門田公秀室長が着任されていますので、紹介させていただきます。
 それでは、これより議事に入ります。本日の配付資料は、議事次第に記載のあるとおりでございます。資料の欠落等がございましたら、会議途中でも結構ですので、事務局にお知らせいただけたらと思います。
 それでは、最初の議題に入りたいと思います。平成20年度概算要求に当たっての調整状況についてです。
 それでは、事務局からご説明をお願いいたします。

【山野原子力計画課長】
 それでは、資料1に基づきまして、今はタイミング的にまだ最終調整段階であるため、本日はこの1枚紙のマクロな資料だけでございますが、今月末から来月にかけていろいろな資料が整理されますので、委員の方々にはそれを後日送付させていただければと思います。
 ということで、資料1の「要求に当たっての基本的考え方」、このような考え方に沿って最終調整をするということでございます。
 5つのカテゴリーがございますが、1番目は若干キャッチーな感じで書いていますが、ぶれることなく、重要プログラムをきちんとやるということで、まさにFBRと高レベル放射性廃棄物の地層処分技術ということでございます。特にFBRにつきましては、来年度「もんじゅ」の運転の再開という非常に大きな課題を抱えてございます。また、実証炉開発に向けてということにつきましても、この冬から春先にかけまして、例えばメーカーとして三菱重工を選定するなど、いろいろな動きの中で着実に進めてきているところでございますが、そのような要素技術開発を加速していくということでございます。
 また、高レベル放射性廃棄物の地層処分技術につきましても、ご案内のとおり研究開発をきちんとやるということとあわせまして、今回の東洋町の問題などを見てわかりますように、今後、国民の理解を得ていく、単なるR&Dをやっていくだけではなく、そういう理解を得ていくためにも重点化していくということを重要課題として考えてございます。
 2つ目の柱は先進的な原子力科学技術への挑戦ということで、ITER(イーター)とJ‐PARCということでございます。ITER(イーター)につきましては、ご案内のとおりのITER(イーター)協定であるとか、あるいは幅広いアプローチ協定であるとか、大体そういう枠組みができてございますので、それに則り、日本はホスト国ではありませんが、準ホスト国としての立場ということになったわけでございますから、主導的にきちんとやっていくということで、ITER(イーター)本体、また青森県と茨城県でやってございます幅広いアプローチなどをきちんとやっていくということでございます。
 J‐PARCにつきましても、これも今、来年から供用開始という節目を迎えます。ということで、単に加速器をつくるだけではなく、使い勝手が良いような運営体制や利用体制、そういうことをきちんとやっていきたいと考えてございます。
 3番目の柱は原子力の裾野の維持・拡大ということでございまして、後ほどきちんと説明しますが、そういう基礎的・基盤的研究についての新しいファンディングをつくりたいということを考えてございます。また、立地地域だけでなく、全国での原子力やエネルギーに関する教育への支援、また、今年から始めてございますが、各大学で原子力工学科が最近、昔に比べてひどい状況になっているということに対しての支援策を充実させていくということでございます。
 4番目のポイントが、原子力の信頼回復と地域との共生ということで、1つはまさに耐震安全に対してきちんと研究を行うとか、必要な対策をきちんととっていくということ、そして地域の理解を得ながらということで、地域の持続的発展に向けた取り組みを支援していくということが4番目のポイントでございます。
 5番目のポイントは、この委員会でも昨年度議論していただきましたが、積み残された問題を着実に前進ということで、RI・研究所等廃棄物につきましてはきちんとやれるような仕組みを作っていきたいと思っています。具体的には原子力機構を処分実施主体として明確にし、かつそういう事業が円滑にできるような法律改正も含めた環境整備を図っていきたいと思ってございます。
 大体この5つのポイントを重点にしながら、今、最終調整を進めているところでございます。
 以上でございます。

【田中主査】
 ありがとうございました。ただいまの説明に関しまして、ご意見、ご質問等ありましたらお願いしたいと思います。
 それでは、次にいきますが、議題の2です。「平成20年度概算要求における重点課題等の評価」についてです。本委員会におきまして、研究開発課題等の評価に当たりましては、各分野ごとに作業部会を設置し、そこで専門的・技術的視点から新規に要求する重点課題等を評価した上で、本委員会において各作業部会の評価結果を総合的に評価することになっております。つきましては、先般、分野ごとに作業部会が開催され、概算要求の重点課題等に対する評価が行われたところであります。本日はその結果についてご審議いただき、本委員会としての評価結果を決定したいと考えております。
 なお、岡崎委員におかれましては、日本原子力研究開発機構が実施者となる事業に関する議論につきましては、オブザーバーとしてご参加いただきたいと思いますので、よろしくご了解のほどお願いいたします。
 では、重点課題の評価等の説明について、まず事務局からご説明をお願いいたします。

【山野原子力計画課長】
 まず、資料2‐1‐1に基づきましてご説明申し上げます。今日お諮りする評価の課題は、この資料にありますように9課題でございます。ITER(イーター)については中間評価ということですが、あとの8課題につきましては事前評価ということでございます。今、田中主査から説明がありましたように、3つの作業部会が動いてございまして、3つの作業部会で評価をしたものがここにありますような6課題ということでございます。あわせてそういう作業部会に入らないものとして、その他課題というものが3課題ございます。それにつきましては田中主査にお願いしまして評価書をつくっていただきました。この9課題について、今からお諮りするということでございます。
 また、ここに※(米印)1や※(米印)2などの番号がついてございますが、最近、評価の仕組みというものはいろいろ進化をしてございまして、※(米印)1と書いてございますものは研究開発課題であって、かつ運営費交付金でないということで、これにつきましては今日のご議論を踏まえまして、来週開催されます研究計画・評価分科会に上げて、そちらで審議・了承を得るものということでございます。※(米印)2につきましては、そういうカテゴリーからいいますと、交付金のように研究開発課題でないものとか、あと運営費交付金によるものがございます。そういうものにつきましては、今日の委員会でご審議いただいて、それを適宜、今後財務省などで有効に活用、プラクティカルに活用させていただきたいということで、2つのカテゴリーがあるということでございます。
 それでは、それぞれ作業部会ごとにご説明申し上げたいと思います。
 冒頭の説明は以上です。

【田中主査】
 ありがとうございました。資料2‐1‐2はいいですか。

【山野原子力計画課長】
 これは、これまでの経過報告で、それぞれの作業部会が8月に入り開催されてきまして、本日22日の当委員会でございます。そして、来週の28日に研究計画・評価分科会がありまして、本日ご審議いただいた、特に※(米印)1がついている課題につきましては、28日の会議にかけるということでございます。

【田中主査】
 ありがとうございました。よろしいでしょうか。よろしければ、各々の作業部会で検討したことについて報告し、踏まえてここでご審議いただけたらと思います。
 まず、原子力研究開発作業部会関係の評価結果でございますが、時間も限られておりますので、説明を手短にお願いし、必要かつ十分な検討・審議ができたらと思います。
 まず、事務局から、原子力研究開発作業部会関係についてご説明をお願いいたします。

【板倉原子力研究開発課長】
 それでは、説明させていただきます。原子力研究開発作業部会では3件の課題につきましてご評価いただきました。資料2‐2‐1から2‐2‐3でございます。順番にご説明をしたいと思います。
 まず最初の2‐2‐1の「固体廃棄物減容処理施設の整備」の評価でございます。
 まず、この政策につきましては、2枚めくっていただきまして、2ページと書いておりますA4横の紙をご覧いただければと思います。
 まず、この施設でございますが、昨年、こちらの委員会でもご評価いただきましたFBRの実用化研究など、原子力機構の大洗研究開発センターでは、「常陽」等々を利用しましてさまざまな燃料体の開発などを行っているわけですが、その過程で発生するTRU廃棄物を現在既に貯蔵庫の中にも蓄えてきておりますし、今後もこの実用化研究に向けて廃棄物が発生することが予測されているところでございますが、これが現在の見通しによりますと、平成24年度には現在の貯蔵庫が満杯となることが予測されております。そのため、この減容処理施設をつくりまして、廃棄物を溶融あるいは圧縮減容処理をいたしまして、保管庫の容量を増やすことなく廃棄物の処理を行うためにこの施設を着工しようという計画でございます。予定では、現在までもいろいろ設計を進めてきたところでございますが、20年度に着工いたしまして、この廃棄物の保管庫が満杯になる24年の段階において完成し、稼働させるという予定にしております。
 この施設の意義でございますが、これは言うまでもなく、廃棄物の発生者責任を果たすという原子力政策大綱に示された義務を果たしますとともに、高速増殖炉の実用化研究などにも支障を来たさないという意義がございます。また、付帯的ではございますが、この施設の運転を行うことによりまして、いろいろな減容処理の技術の実証でございますとか、データの蓄積ということも期待されている施設でございます。
 これについてご評価いただきまして、結論でございますが、4ページの5.の評価結果をご覧いただければと思います。こちらの作業部会のご議論では、この施設につきましては高速増殖炉サイクルの実用化に向けた研究を円滑に進めるために必要なものでありますので、その保管量が限界に達する平成24年度までにこの施設を整備することは不可欠であって、早急に整備すべきであるというご評価をいただいているところでございます。また、付帯なご指摘といたしましては、このTRU廃棄物の処分方法が確定していない段階での処理に当たっては、将来の処分の動向をよく見きわめた柔軟な対応を期待するというご指摘をいただいておりまして、この施設におきましては溶融減容処理まで行う部分は今回着工いたしますが、廃棄体作成につきましては、また後日増設できる柔軟な対応がとれるような施設としているところでございます。
 以上が「固体廃棄物減容処理施設整備」の評価の概要でございます。
 続きまして2件目でございます。資料2‐2‐2でございます。「原子力技術の応用による低CO2(二酸化炭素)排出社会実現のための革新的技術の開発」でございます。これも概要につきましては、2ページのA4横の資料でご説明したいと思っております。
 こちらのプロジェクトでございますが、これはご承知のように、今、地球温暖化の問題というものが非常に注目されているところでございまして、現在でもCO2(二酸化炭素)を発電過程で出さない原子力の重要性というものが言われてきているところでございますが、この技術開発で狙っておりますのは、原子力エネルギーを発電以外の多様な分野への適用拡大を図っていくということを目指しているところでございます。
 このため、具体的に何をするかというのは、右側のイメージ図でございますが、今まで原子力機構で、原子炉で出てくる高温の熱を利用して水を熱分解、ヨウ素と硫黄を用いた熱分解をして水素を発生させるというプロセスについて、実験室レベルで研究を行っているところでございますが、こちらをさらに技術開発を進めていくとともに、でき上がりました水素についても自動車、内燃機関でも利用できるように、燃料電池の性能向上を図っていきたい。このためにこの燃料電池の水素の振る舞いを、量子ビームを利用して解析をし、その結果をもとに電解膜を高度化しようということを狙っているところでございます。これによりまして、今まで原子力機構が培ってきました技術を活用して、原子力発電以外、この運輸分野でのCO2(二酸化炭素)削減にも貢献する道を開きたいということが狙いでございます。
 こちらにつきましてご評価いただいた結果でございますが4ページをご覧いただければと思います。4ページの5.の評価結果でございますが、評価結果といたしましてはCO2(二酸化炭素)削減のために原子力発電以外の多様な分野に適用する技術を開発していく、また、原子力機構の技術開発のスピンオフというものを活用するのが極めて重要であるというご評価をいただいておりまして、本課題を実施することは妥当であるという評価をいただいたところでございます。ただ、この付帯的なご指摘といたしまして、この構想は水素をいわば集中して大量に1カ所といいますか、集中して生産する方式でございますので、この技術の実用化に向けては水素の貯蔵、輸送という問題を解決するということを考慮しつつ実施すべきというご指摘、それから費用対効果を十分評価しながら実施するべきというご指摘をいただいているところでございます。
 以上が2件目の課題でございます。
 3件目でございますが、資料2‐2‐3でございます。「アジアにおける原子力基盤に係る研究・協力の中核機能強化」でございます。
 概要でございますが、これも2ページをご覧いただければと思います。こちらの政策の狙いでございますが、1つには今、アジア地域で原子力の導入に関する関心が高まっておりまして、原子力の基盤に関する研究のネットワーク構築をしていくべきだろうということ。その際に、今、日本原子力研究開発機構におきまして、材料試験炉JMTRの改修を行っているところでございまして、その改修にアジアの研究者の方、技術者の方を招聘いたしまして、一緒にこの改修、あるいは要素技術開発をしていくことにより、アジア地域の原子力に関します技術力の向上を図る、あるいは人材育成を図るということを目的としているところでございます。
 こちらにつきましてのご評価でございますが、4ページの5.でございます。評価結果でございますが、アジア地域においてこのような技術開発をしていくということの重要性はお認めいただいてございまして、このJMTRをアジアの中核的な原子力基盤研究の拠点と位置づけ人材育成を行い、原子力導入のための基盤形成・技術力の向上に貢献することは重要であって、本課題を実施することは妥当という評価をいただいているところでございます。
 しかしながら、幾つかご指摘がございまして、このJMTRの改修、機能の高度化の技術開発という行為と、アジアの方々をその中に入れて人材育成をするということ、この2つの目的を本当にうまく連携できるのかということは十分考慮すべきということと、もう1つは、今、原子力機構におきましてはアジア地域をはじめ研修事業を幅広くやっており、その中でJMTRを活用した人材育成というものを、既存の事業との連携もしっかり考えて実施しなさいというご指摘をいただいているところでございます。
 この3件が原子力研究開発作業部会でご評価いただいたところでございます。
 以上でございます。

【田中主査】
 ありがとうございました。この原子力研究開発作業部会につきまして、私が主査を務めておりますので、私のほうから簡単に所感を述べさせていただきたいと思います。
 3つあったわけですが、1つ目の「固体廃棄物減容処理施設の整備」についてですが、これは高速増殖炉サイクルに向けた研究開発に支障を生じさせないため、TRU核種を含む放射性固体廃棄物の保管量が限界に達する平成24年までに合理的な固体廃棄物の減容処理制度を整備することが不可欠であって、早急に整備すべきかと考えております。
 次の「原子力技術の応用による低CO2(二酸化炭素)排出社会実現のための革新的技術の開発」でございますが、地球温暖化防止の観点からも、原子力エネルギーを発電以外の多様な分野に適用することが重要かと考えます。したがって、水の熱分解によって製造した水素を利用した燃料電池の効率向上を目指す本課題を着実に実施すべきであると考えております。
 3つ目でございますが、「アジアにおける原子力基盤に係る研究・協力の中核機能強化」でございますが、アジアにおけるエネルギー需要の増加に伴う地球温暖化等の環境問題の対策の1つとして、アジア諸国への原子力導入のための基盤の形成、技術力の向上に貢献することが重要であると考えます。したがって、アジア諸国の原子力エネルギーの平和利用を支える中核的な原子力基盤施設としてJMTRを活用し、技術開発を通じた原子力人材育成を行う本課題については妥当ではないかと考えるところでございます。
 それでは、先ほどのご説明に関しましてご意見、ご質問等ありましたら、お願いいたします。また、特に各々の評価結果について、最後の項目として評価結果というところがございます。これは作業部会の方で検討したものでございますが、これについていろいろと見ていただき、こうしたほうがいいとかいうようなご意見もありましたら、ぜひお願いしたいところでございます。よろしくお願いします。

【石田委員】
 私に口火を切らせていただいてよろしいでしょうか。研究計画・評価分科会のメンバーである私がこんなことをお伺いするのはやや見識に欠けると思いますが、必ず研究計画・評価分科会の審議・了承を経なければならないものと、それから2ですね、そうしなくてもいいものとの違いというのは何であるか、もう1回復習したいと思いますので教えてください。

【山野原子力計画課長】
 参考資料1というのが正式な資料としてありますが、非常に分かりやすく言いますと、まず研究計画・評価分科会にかけるものというのは研究開発課題であるということなので、例えば今のケースで言うと、廃棄物の減容化処理施設を造るとか、そういうものは入らないということと、あと運営費交付金によるものは除くということになっていますので、まさに機構の運営費交付金で行うものは正式には研究計画・評価分科会にかからないということになります。
 だから、非常に分かりやすく言うと、内局の予算で研究開発を行うものが正式に研究計画・評価分科会にかかるということになります。分かり難いかもしれませんが、先ほどの一覧表の中で※(米印)1がついていたものが、極端なことを言うと、ミニマムなリクワイアメントとして、それは確実にやらなければいけないということでございます。そして、※(米印)2のほうにつきましては、冒頭説明しましたが、今、大きな事業については事前評価ということをいろいろな場で言われますので、ミニマムリクワイアメントには当たりませんけれども、今日の委員会でご審議していただいて、それを適宜財務省への説明等で使っていきたい、そういう趣旨でございます。

【石田委員】
 どうもありがとうございました。私はたまたま別の委員会に出ていて、どうもその委員会の説明では運営費交付金は必ずしもメルクマールになっていないような感じがありますが、この評価分科会がどう決めたかということについて、私がこれ以上あまり申し上げるのはいかがかと思いますので、いずれにしましても受けている感じは、ここで評価いただいている内容につきましてはこんなところだと思いますけれども、実際、ご承知のように向こうの分科会はものすごく評価課題があるわけです。そして、主査の先生が次々にご説明なさって、我々は承って、あれよあれよという間に大体過ぎていくというのが実態であります。
 その意味では基本的に予算を査定するような形で見るということとは違う観点から当然見るべきだと思うので、それでいいと思いますが、基本的に委員会における審議というのは事実上非常に重くて、やはり最終的なもの、先生方がきちんと議論なさっておられるということが、分科会における審議の質を保証するということがあるので、ぜひその辺、本委員会できちんと見なければいけないのではないかという感じもしているわけであります。今、ご説明のありました3件につきまして、私自身個人的にはいずれも妥当な評価だと思っております。最後のJMTRは、なぜ今JMTRというのがありますが、できましたのは昭和40年代の初めから半ばごろでありますが、確かに非常に大事な施設でありますし、その意味では研究炉をうまく使っていく、アジアとの協力の核に使うというのも非常に大事なことだと考えます。
 以上です。

【加藤委員】
 一番最初のものは、内容がこのタイトルからよく分かりますが、あとの2つはタイトルから見て何をやるのかということが極めて分かりづらいわけです。ですから、2番目ですと、水素製造みたいなことをタイトルに書いた方が良いのではないかという気もいたしますし、今、お話のあったJMTRの活用というようなことを3番目に書いても良いと思いますが、このあたりはどのようにお考えでしょうか。少し分かりづらいような気がいたします。

【板倉原子力研究開発課長】
 こちらにつきましては、確かに率直な表現をしますと、今、先生にご指摘いただいたタイトルのほうが適正かと思いますが、こちらは今後、予算を獲得していくに当たって、政府部内でいろいろキーワードが入っていることによって予算がとりやすいという非常に現実的な問題がございまして、確かに少し大きくタイトルとしては出ていて、若干実際の政策よりも幅広いことを表現しているかもしれませんが、これはテクニカルな予算獲得のための1つの手段ということでご了承いただければと思います。

【加藤委員】
 それから、2番目の燃料電池につきましては、他でも今いろいろやられていますよね。そこらあたりの違いのようなものは、きちんと出されているのでしょうか。

【板倉原子力研究開発課長】
 他にもいろいろな単純に電気分解をする方法からありまして、作業部会におきましても費用対効果はあるのかというところもご指摘いただいているところでございます。
 この燃料電池の高度化につきましては、まだまだ費用対効果を語るまでの段階に至ってないということではありますが、将来的に本当に実用化のフェーズに向けては、当然他の技術と常に経済性、コストということを勘案して進めていくべきというご評価もいただいておりますので、その方向で進んでいきたいというように考えてございます。

【田中主査】
 燃料電池につきましては2ページ目の右下のほうに超高性能燃料電池の開発、高精度水素可視化技術の開発と書いてあり、中性子回折などを使って、水素がどこにあって、どうなっているのか、ほんとうに細かくわかるのだと。それによって水素の輸送という観点から燃料電池の性能が向上できると、そういうような説明がありました。そういう意味では、原子力機構が中性子回折等で水素を高分解能で感度よく測定できるということをまず使いたいということかと思います。

【加藤委員】
 原子力技術の応用ということにつながるということなのでしょうか。

【田中主査】
 はい。
 よろしいでしょうか。あといかがでしょう。

【本島主査代理】
 最初の固体廃棄物減容処理についてですが、これは24年度までに満杯になるという非常に重要な時間的制約がありますから、この減容技術は非常に重要となります。実際の応用という観点、今までの技術開発の蓄積が実績として後ろにあると考えますが、この設備をつくることによって国として何年先ぐらいまでを見通すことができるようになるかということは、他の計画との関連で非常に重要な観点となります。かなり長期にわたって見通しがつけられるという点が大事だと思いますので、そこをきちんと確認したいのですが。

【板倉原子力研究開発課長】
 今、この減容処理施設ができますと、今の見込みでは平成42年ごろまでは今の保管庫で大丈夫と思っております。
 1つ、これは私どもの課題でもありますが、この廃棄物を最終処分するということにいつ頃道が開けてくるのかというところがクリティカルではございますが、42年までには最終処分の道も開けるだろうということで、この施設をつくればTRU廃棄物については問題がないのではというように考えているところでございます。

【田中主査】
 聞くところによると、原子力機構さんでは研究所がさまざまなところにあって、そこでいろいろな廃棄物が出てくることかと思います。それについて将来、国のいろいろな処分が、どのような段階へ進んでいくのかを見ながら、研究機関、原子力機構から出てくるものについて、大体どのぐらいの量で、それについてどのようにやっていけばいいのかということを総合的に検討されて、その中の1つとしてこれはこのようにやるのが一番最適ではないかという話かと思いましたが、もし岡崎理事長のから何かございましたら。

【岡崎委員】
 今、田中主査からご紹介いただいたとおりでありまして、この大洗だけでなく、私どもの東海村の原子力科学研究所、あるいは核燃料サイクル工学研究所は、それぞれが多数の廃棄物を抱えており、当面、それを減容して、貯蔵対策をきちんと行うということが喫緊の課題でありますので、まずそれを解決しなければなりません。ただし、それは決して個別の、大洗は大洗ということだけではなくて、東海と大洗全体を見渡した中で、果たしてどういう対策が一番効果的・合理的なのかということをきちんと外部の委員の方々にもご判断をいただきながら、今回の大洗のこの固体廃棄物について、この処理施設を置くべきである、その技術も十分将来に活かしていけるという観点から決断をさせていただいたわけであります。
 ただし、こういった減容の処理だけではなくて、最後の課題としては、これを最終処分にきちんと持っていくという対策がつながっていかなくてはならないということはご指摘のとおりであります。ただし、これはTRUを含みます廃棄物については、おそらく高レベル廃棄物と併置の処分ということになろうかと思いますので、決して我々だけで完結できるわけではなくて、関係の皆さん方ときちんと協議をしながら、最終処分の道を開いていくということが大事な課題であろうかと思っていますが、こういった問題に着実に対応していくということが、廃棄物の問題に対する我々の責任ではないか。このような観点から取り組んでいるところであります。

【和気委員】
 こういう課題への資金投入について、やや印象的に、あるいは国民の目線から一言申し上げたいと思います。3番目のアジアの研究課題の中で、安全基盤というか、安全に関する部分が、1つの重要なキーワードとしてアジアとのネットワークに相当程度、関わってくると思います。たしかに言葉としては1~2カ所書かれているのですけれども、安定性とか、エネルギーの供給というよりは、むしろ原子力の安全基盤技術がアジアの中で今後使われていくために絶対必要な基盤技術であるというメッセージがもう少し強調されてもいいのではないかと感じます。ですので、評価するうえで、決して古い課題でもないし、むしろこれからの大きな課題だということをどこか印象づけるような文言があってもいいのではないかというように思います。

【田中主査】
 大変重要なご指摘かと思います。概要のところには、各国が安全に関する技術基盤云々と書いているのですけれども、重要なコメントかと思いますので、評価結果の中にもそういう言葉が入るように工夫したいと思います。
 あと、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。では、今、ご指摘があった点を考えさせていただいて、それも含めたいと思います。
 よろしければ、次の核融合関係ですが、核融合研究作業部会事務局のほうからご説明をお願いいたします。

【松尾研究開発戦略官】
 それでは、核融合研究作業部会の検討の結果についてご報告したいと思います。資料でございますが、資料2‐3をご覧いただければと思います。
 その前に、先生方には核融合、ITER(イーター)につきまして日ごろお世話になっておりまして、本当にありがとうございます。
 今回のこのITER(イーター)のご評価でございますが、先ほど石田委員のほうからございましたが、今回、ITER(イーター)につきましては前回の国会でITER(イーター)協定、それを補完・支援するブローダーアプローチの協定を審議・ご了承いただきました。原研機構を実施主体にするということでございます。これにつきましては協定、法律に基づいて国から指示をするということになっており、ITER(イーター)補助金で行うということが原則になってございますので、ここでご評価をいただき、研究計画・評価分科会の方で評価するという形で、カテゴリー1ということでご評価をいただきたいと思っております。
 19年度の予算につきましては、協定発効初年度ということでございましたので、事前評価をいただいたわけでございます。本来であれば、通常3年目に中間評価をいただくわけでございますが、この国会の審議の過程で評価をしっかりすべきということ、規模が大きいということ、それから実は協定が発効するのは今年でございますので、その協定発効を受けて、実際事業をするのが明年度ということでございますので、形上は中間評価でございますが、そういった制度の枠組みをつくった来年が初年度ということで、今回形式上中間評価、実際には事前評価のような形で評価をいただくということで、作業部会のほうにも依頼を申し上げたわけでございます。
 資料でございますが、めくっていただきまして1ページ目は構成員名簿でございまして、2ページ目からポイントだけご報告をしたいと思います。他の事前評価と異なりまして、中間評価でございますので、フォーマットが異なっております。
 まず、研究開発の概要でございますが、ITER(イーター)計画、これはカラダッシュで行う核融合の実験炉、ITER(イーター)を建設するものでございます。
 ポイントといたしましては、各種の装置・機器の製作を行うこと。そして、実は秋ごろ協定が発効するということでございますITER(イーター)につきましては、7極で行うということになってございまして、今中国を除くすべてが批准をいたしました。中国だけがこの秋ということで、その批准を待って協定が発効いたします。したがって、ITER(イーター)機構はまだ暫定でございますが、そこに対する支援を行うこと、これがITER(イーター)計画でございます。
 また、それと並んで幅広いアプローチでございますが、これは日本と欧州が行うということで、今回、協定を通らせていただきました。
 その中身でございますが、2ページ目の中段くらいでございます。国際核融合エネルギー研究センター、それから国際核融合材料照射施設の工学実証・工学設計活動を行うということ、この1と2が青森県六ヶ所村で行うプロジェクト、それに加え、サテライト・トカマク、これが那珂研・茨城県で行うプロジェクト、この3つを幅広いアプローチで行うということでございます。
 19年度は、この幅広いアプローチの協定が6月に発効、ITER(イーター)協定も年内発効ということで、順調に枠組みができてございます。
 新たに20年度といたしまして、この6つの計画を継続、ないしは新規で行いたいということでございます。まず、ITER(イーター)機構への派遣、それから我が国が分担する機器の設計・製作、そして幅広いアプローチの機器の製作・設計、プロジェクトの施設の整備、それからITER(イーター)、ブローダーアプローチはなかなか1つではできませんので、オールジャパンの体制ということで、大学、研究機関、産業界との連携協力を進めるための諸経費、そしてITER(イーター)機構への運営費ということで分担金の拠出、この6つが大きなポイントでございます。
 研究の必要性でございますが、これは言わずもがなでございますが、豊富な資源、安全性、環境の保全ということでございまして、ITER(イーター)計画、今、7極でございますので、世界の人口の半分を占めるところで、プロジェクトを進めているということでございます。
 1枚めくっていただきまして、幅広いアプローチでございますが、これは通常、実験炉がITER(イーター)でございますで、その次に向けた原型炉に向けて補完的な研究をするということが幅広いアプローチの活動でございます。これらにつきましては、それぞれ原子力委員会のITER(イーター)計画懇談会をはじめ、原子力政策大綱など、いろいろなところでご指摘をいただきまして、昨年3月にできました第三期科学技術基本計画におきましても、戦略重点課題として、重点的に推進すべき課題として位置づけられてございます。
 (2)の有効性でございますが、10年以上20年近くITER(イーター)の工学設計活動を行って、その妥当性を確認してきたところでございます。
 1枚めくっていただきまして、その他ITER(イーター)と一緒に、あるいは協力してやるものとして物理活動、テスト・ブランケットといったITER(イーター)を使って補完的に行う実験活動も順次進められているところでございまして、我が国としてもその人材育成を期待するということでございます。
 そして、効率性について記載をしてございます。
 予算につきまして、今、最終的な調整をしてございますので、翌年度以降は、現在調整中でございますが、19年度につきましては54億円を認めていただきまして、ITER(イーター)28億円、ブローダーアプローチ26億円ということで、現在準備活動をさせていただいているところでございます。実施機関といたしまして、日本原子力研究開発機構でございます。
 もう1枚めくっていただきまして、5ページ目でございますが、これまでの成果ということでございます。これはまだ準備段階でございますので、具体的にこんな成果というのはまだでございますので、その枠組みだけ少しご紹介をしたいと思います。
 18年、昨年でございますが、11月にITER(イーター)協定が署名をされ、また今年の2月にはブローダーアプローチが署名をされました。そして、ITER(イーター)協定につきましては、今年の秋ごろには発効の見込みでございます。そして、先月7月に暫定のITER(イーター)理事会を日本で開催し、その枠組みの方向性を決めたところでございます。そして、それと同時に行う、例えば物理活動でありますとか、いろいろなITER(イーター)を活用したテストブランケットモジュールの試験についても現在検討しているところでございます。
 ITER(イーター)機構について、今、専門職員が123名いるわけでございますが、そのうち日本から14名の職員が行ってございます。
 中段には各種成果を並べてございます。
 また、幅広いアプローチにつきましては、今年の6月に協定が発効いたしました。そして、原研機構を実施機関に指名させていただきまして、サイトの整備に現在着手をしているところでございます。先々月6月に第1回目の幅広いアプローチ運営委員会を開きまして、先ほど申し上げました3つの事業の事業長をそれぞれ決定したところでございます。
 1枚めくっていただきまして6ページ目でございますが、これらを実施する枠組みといたしまして、大学、研究機関、産業界との連携協力をすべしということで、後ほどご報告させていただきますが、作業部会で報告書を作らせていただきまして、オールジャパンの体制を今構築しているところでございます。また、幅広いアプローチのサイトの1つであります青森県六ヶ所村には、原研機構の青森研究開発センター、大学を取りまとめていただく核融合研にも六ヶ所研究センターが設置されるなど、いろいろな諸活動を今順次進めているということで、これが現状でございます。
 評価でございますが、7ページ、8ページでございます。これは中間評価票として、全体評価、個別の評価ということでいただいてございます。申しわけございません。(案)と書いてございますが、これは我々のワープロミスでございまして、作業部会としては(案)がとれてございますので、(案)を消していただければと思います。全体評価としましては、科学的・技術的意味だけではなくて、社会的・経済的意味も高いということ、単独で行うよりも各国協力して行うということ、それからいろいろなことを期待し、今後とも計画どおり継続すべきというご評価をいただいています。
 ただ、1枚めくっていただきまして8ページでございますが、個別の評価といたしまして、いろんな留意点をいただいてございます。基盤技術の形成ということで技術レベルは今は高い。ただし、オールジャパンの体制をきちんと組むべしということ、人材育成というものもよく見てやっていくべきということ、それから国際的な視点を常に留意しながら、我が国にメリットを設け、そして我が国の優位性も念頭に置きながら進むべきというようなご評価をいただいているところでございます。
 簡単ではございますが、以上でございます。

【田中主査】
 ありがとうございました。本件については、私も検討した委員の1人でございますので、まず所感を述べさせていただきたいと思いますが、ITER(イーター)計画や幅広いアプローチは核融合エネルギーの実現のみならず、学術研究発展の観点からも極めて意味のあるものであると思います。また、平成19年6月には幅広いアプローチ協定が発効し、ITER(イーター)協定も年内の発効が見込まれているなど計画の順調な進展が見られることから、平成20年度においても拡充して実施すべきであると考えております。
 それでは、この説明に対しましてご意見、ご質問等ございましたら、お願いいたします。

【岡崎委員】
 恐縮ではございますが、その後のITER(イーター)関係の進捗状況について少しご紹介だけさせていただきたいと思います。今、松尾さんからご紹介いただいたとおり、大変順調に先般の国会で2つの協定が承認をいただいて、具体的な活動がいよいよ本格化しているわけです。
 まず、ITER(イーター)本体について、中国が残された批准の手続きを進めておられるということで、この秋にはまさに正式に発足をすることになるであろうと思います。ただし、正式発足に先立って池田機構長以下、今、ITER(イーター)機構の中でも積極的に準備活動をお進めいただいているということで、我々もその活動に貢献をしていきたいと思っていますが、この資料の中でも職員について、5ページに123名中14名ということで書いていただいているわけでありますが、ご承知のとおり、我々の日本のITER(イーター)本体の貢献は約10パーセントであり、人員についてはEUからの割譲部分を含めれば20パーセント程度の貢献が本来できるはずだということからすると、この数字は決して満足すべき状況ではありません。その後の応募活動が今行われているのですが、その活動の中での日本人の採用は残念ながら順調には進んでいないということを申し上げざるを得ません。これは実は私どもも若干そこのサポート体制が弱かったということで反省しているのですが、ぜひこの機会に産業界、学界の皆さん方にITER(イーター)機構に対する人の派遣について積極的にぜひ取り組んでいただき、我々もできる限りのお手伝いをして、最終的に日本の研究者がこのITER(イーター)機構の中で十分な力を発揮できるような体制をぜひ組んでいくのが大事なことではないかということで、一言お願い申し上げたいと思います。
 それから、ブローダーアプローチについては、既に原子力機構が国内機関に指定をしていただき、この7月に我々の青森の研究開発センターの中に国際核融合エネルギー研究センターを設けて、その開所式には本島先生にもご出席をいただき、地元の皆さんをはじめ、大変大きな期待のもとにその活動が開始され、既にEUからも人が派遣されて、活動を開始しているという状況であります。その際、核融合科学研究所の六ヶ所村研究センターを設置していただき、この核融合だけではなくて、青森県六ヶ所村におけるいろいろな原子力活動を活かした大学の皆さん方の連合体制を築いていっていただけるという構想も進んでいると伺っておりますので、ぜひ大学の皆さん方と六ヶ所村でのいろいろな活動がより活発に行われて、科学的な活動だけではなくて、幅広い人材育成にも大変大きな役割を果たしていただけそうだということでありますので、この面についてもぜひご支援をいただきますようにお願いを申し上げておきたいと思います。ありがとうございます。

【小林委員】
 8ページの個別評価の3に国際的視点というのがございます。この1行目で「常に我が国の国際的優位性と国際的協調」という言葉が出てきますが、国際的優位性というのは何でしょうか。一番最後から2行目に「更に我が国の技術的優位性」という言葉が出てきます。これと同じことを言っているのか、それとも国際的視点というのは国際的優位性と協調という2つの柱があるのか、ということが分からないのです。

【松尾研究開発戦略官】
 ここでは、国際的優位性と国際的協調で、国際的な視点ということでまとめさせていただいているということでございます。技術的な優位性は国際的優位性の中に多分含まれる概念でございますので、ちょっと言葉の整理はしたいと思いますが、国際的優位性とほぼ同義と思っていただければと思います。
 国際的優位性という言葉の使い方でございますが、これは作業部会の報告書の中にこの表現が入ってございまして、そのときの先生方のご議論でいいますと、政治的な問題も含めて、技術だけではない、いろいろなやり取り、立地の問題、組織の問題も含めて国際的な優位性を見ていくべしというようなご議論が出てございましたので、技術的な優位性に加えて、そういったマネジメントであるとか、立地の問題であるとか、政治的な問題であるとか、それを含めて国際的な優位性ということを、当時の作業部会ではご議論されていたようでございます。

【小林委員】
 だから、そういう視点が本当にあるのであれば、国際的優位性という中身をもう少し分かりやすく表現していただいたほうがいいと思います。私個人としては国際的優位性というものは、本当にそうなのか、そのようなことを言っていいのか、ということがかなりあります。技術的優位性はいいと思うのですが、本当に国際的優位性ということをこのプロジェクトの中で日本が主張することについて、かなり疑問がある話だと思うのですが。

【松尾研究開発戦略官】
 工夫させていただきます。

【本島主査代理】
 研究者の立場で少し補足させていただいてもよろしいでしょうか。ITER(イーター)計画はサイエンスとテクノロジーのインテグレーションを伴う大きなプロジェクトなわけですから、先生のご指摘のとおりで、イニシアティブをいかに取っていくかということが重要になります。ITER(イーター)には、土俵が設定されており、そこに7極が来ている。当然、ITER(イーター)のホストとなったEUは非常に巨大な影響力とインセンティブを持ってくるわけですので、それに対して日本がサイエンスとテクノロジーの立場、政府の立場で、どこまで意見を通すかということは計画を成功させる上での必要十分条件となります。日本の考え方を建設期においても主張できるか、実験が始まった以降は、実験計画に具体的に反映できるかというところがポイントですが、原子力機構さんを中心として非常によく頑張って来られていると思います。今後は中身をさらに公開していくことによって、社会からもご理解及び競い合えるようになっていくのではないかと考えております。

【小林委員】
 おっしゃることはそのとおりで、理解しているつもりですが、今、このような質問をしたそもそもの理由は、7ページの全体評価の下から6行目の「特に我が国において他のITER(イーター)参加極を上回る成果を挙げている点は評価できる」という言葉が引っかかったのです。そして、このプロジェクトは競争ではないのです。その上に書かれているのは、要するに我が国が単独で実施するよりも、国際的にやったほうが成功の可能性とか、リスク分散とか、費用対効果でメリットが大きいということを強調しているわけです。それで、全体評価のところで、特に我が国において上回る評価を上げている点は評価できるというのは、一体何を言っているのかということです。だから、ここで成果を上げており、全体のプロジェクトを我が国がリードしていることは評価できるという、そういう話なのですよね。それが今、本島さんのおっしゃったことだと思うのです。何となくそうでない書き方になってしまっているというのが先ほどの国際的優位性です。だから、国際的指導性とか、そういう言葉であれば本島さんの言っているとおりです。非常によく分かりますし、その通りだと思うのです。そうではなく、日本のひとりよがりという感じが言葉の上でものすごく出ているのではないかと。すみません。単なる感想です。

【松尾研究開発戦略官】
 今まさに小林先生が言われたとおりでございますので、その趣旨がわかるように工夫をさせていただきます。

【石田委員】
 まさにこの辺はおっしゃるとおりだと思うのですが、評価票のフォーマット自身がこういうものの評価を書くのに妥当であるかどうかとなりますと、ちょっと難しいのですね。みんな大体どんなものか、靴に押し込めて足を決めるという感じが若干あって、確かにフォーマット自身の問題もあろうかと思うわけです。
 さらに申しますと、予算時期における評価となるものですから、まさに小林先生がおっしゃるように、本当はこのプロジェクトは全然違うものであるはずだけれども、我が国としてはこういうメリットがありますよという、やや自分の方から見るという視点がどうしても顕著にならざるを得ないということも確かにあると思うのです。
 ただ、これから分科会で揃ったところで、このフォーマットについては確かにもっと工夫する必要があって、効率性というところも、こういうものについてどれほど書くのが妥当なのかということもあると思いますので、その辺を含めて全体を見ていただくということであるのではないかと思う次第であります。

【和気委員】
 これも印象的な話で恐縮ですが、原子力関係の研究で、国家プロジェクトとして、これから長期にわたる継続的研究の結果、初めてある成果が生まれるという研究開発を進める上で、おそらく今までもそうなのですが、これからも大きい問題は地域社会とどのように連携していくかという、ロケーションの周辺を含めた、この部分との関係における評価だと思います。したがってそういうものをきちんと見ていく、気配りする、目配りするというところに評価の視点があるということは、社会的にきわめて重要であると思うのです。ですから、青森県に限らず、今後の展開のなかでそういう評価の視点を含めて、これからもやっていくというメッセージがもっと必要ではないかと感じます。

【田中主査】
 ありがとうございました。そういうことも書けるようでしたら。

【松尾研究開発戦略官】
 工夫してみます。ただ、今、ITER(イーター)についてはカラダッシュで、ブローダーアプローチはこの二ヶ所で行っていますが、おそらく例えば原子力のように軽水炉を多数作るとかいうことであれば、これはその次の段階ですので。何となくそういうニュアンスが入るような地域との共生といいますか、地域の理解を得るとか、そういったようなところも少し言葉として工夫をしていきたいと思います。

【田中主査】
 よろしいでしょうか。重要なご指摘の点がございましたので、それらを反映できるように事務局と相談したいと思います。
 よろしければ、次の量子ビーム研究開発関係ですが、この作業部会の事務局のほうからご説明をお願いいたします。

【木村量子放射線研究推進室長】
 それでは、ご説明いたします。
 量子ビーム施設、特に先端的な施設につきましては、今、日本原子力研究開発機構で建設を進めているJ‐PARC、理化学研究所のほうで整備を進めているX線自由電子レーザー装置等々、間もなく運転を開始するもの、既に運転を開始したものを含めまして、基本的なラインアップは揃ってきたのではないかと思っております。今後、我々はそれをさらに利用者の幅、利用分野の幅を広げるとともに、高度な利用を進めていくための技術開発、利用と技術開発、これを車の両輪として一体的に進めていくことが必要なのではないかというように考えまして、今回、量子ビーム研究開発作業部会で2つの課題についてご評価をいただきました。それが資料2‐4‐1、2‐4‐2にあります課題であります。
 まず、資料2‐4‐1でありますが、こちらは利用の幅を広げるための事業の評価結果であります。ここに先端研究施設共用イノベーション創出事業とありますが、これはもともと平成18年度から新規に開始された事業でありまして、そもそもの趣旨が大学や独法が所有している先端的な研究施設や機器、これの共用を進めることによって、イノベーションにつながるような成果を創出していこうという制度でございます。
 この制度の中で、この施設共用の運転実施に係る経費の支援でありますとか、特に産業界に対する共同研究や利用課題の提案、相談を担当するようなリエゾンを配置するなどして、先端施設の利用をしやすい環境を整えていこうということで始まった制度でありまして、現在、産業戦略利用という枠、それとナノテクノロジーの分野に特化したナノテクノロジーネットワークという枠の2つの利用枠が設定されています。今回、平成20年度にはこの制度の中に量子ビーム施設の横断利用という枠を新たに設けまして、特に量子ビーム施設に特化したその利用の普及促進を図っていこうということであります。
 この量子ビームテクノロジーですが、基礎研究にとどまらず、産業利用の可能性が非常に高いわけでありますが、いまだ産業界における利用は浸透していないというのが現状であります。これは幾つかの障壁があるかと思うのですが、まずそもそも特に放射光などは利用が進んでおりますが、中性子、あるいはそのほかの量子ビーム種、これがどのように実際使えるのか、どのように使ったらいいのか、それぞれどこに行けばそのような情報が得られるのか、こういったところでなかなか情報が不足している状況にあります。
 さらに、そういう先端研究施設を使うような技術的なバックグラウンドのない、特に産業界のユーザーの方々は潜在的なニーズは高いのですが、具体的にどうしたらいいのだろうかという状況にあるということを踏まえまして、特に産業界を中心とするユーザーに対するユーザー支援機関として、量子ビーム利用のプラットフォームを設置して、複数のビーム利用をワンストップサービスで利用できるようにしようということで、この2ページに挙げておりますようなポンチ絵、ここに利用促進支援機関というものが複数の量子ビーム施設、これを横断的に利用できるような環境を整えていこうということで、将来的にはこういったワンストップ窓口の機能のもとに研究計画立案・実験の支援、あるいは研究課題の公募を実施するということ、さらに人材育成とか、分析代行サービスなども含めて、一体的なサービスを提供していこうということを考えてございます。
 特にこの量子ビーム利用プラットフォームの中では、ユーザーを支援する人材としてのコーディネーターの採用・育成というものが非常に重要な課題になってきておりますけれども、そういった人材育成も含めて利用を進めていくということで、5.の評価結果をご覧いただければ、5ページ目に書いてございますが、量子ビーム施設の横断的な利用を促進することを通じて、我が国のイノベーション創出に積極的に資するものであることから、実施することが適当であるというご評価をいただいております。
 次に、技術開発の部分でありますが、2‐4‐2にあります「光・量子科学技術分野における基盤技術開発のためのネットワーク型研究拠点の構築」ということでありまして、これも今まで量子ビーム関係の研究開発にそれぞれの研究機関で積極的・精力的に取り組まれていたところでありますが、ネットワークを組んで、それぞれが得意な分野を持ち寄って、1つのターゲットに向かって研究開発をしていくということはなかなか取り組まれてこなかった。今回、先ほど申し上げましたように、量子ビームテクノロジーで非常に先端的なところを追求することによって、汎用性・応用性といったものも広い、特に産業界での利用が期待できるということで、イノベーションの起爆剤ともなろうという存在であります。
 こういった先進的な加速器技術とか、計測技術ということについて、特に出口を意識して、私どもは「みる」「つくる」「なおす」というキーワードを用意したわけでございますが、こういった視点からできるだけ応用の可能性、利用の可能性、大体10年ぐらい先を見通した利用の可能性の広い共通的な基盤技術、これを各研究機関がネットワークを構築しながら目標を効果的に達成していこうというために、これを競争的資金ということで実施していこうということを考えております。
 この中では、特に産業界からのニーズをうまく取り込みながら、技術開発に反映していくことが必要だと思われますので、先ほどご紹介した量子ビーム利用プラットフォーム、これを1つのポータルサイトみたいな形で産業界のニーズを取り込んで、さらに基盤技術プラットフォームのほうにそのニーズを流していく。その基盤技術研究開発のほうではそのニーズを受けながら、最適な体制で研究開発を実施していこうということであります。
 ここで開発された技術については、いわゆるプラットフォームという形でメニュー化をして、産業界、研究機関の誰もが利用可能なものにしていこう、さらに今後、大型の量子ビーム施設を建設するようなプロジェクトが当面想定されない中で、加速器あるいは量子ビームテクノロジー関係の研究のポテンシャルをどう維持していくかという意味で、優秀な若手研究者をこういったネットワークの中に取り込んでいくことによって人材育成を図ると同時に、そういった高度な人材のスキルを維持していくことができるのだろうというように考えています。
 最後、5ページ目に評価結果が出ておりますが、こういった量子ビーム分野における先進的な要素技術開発、あるいは人材育成を通じて我が国のイノベーションの創出に積極的に資するものであることから、実施することが適当であるというご評価をいただいているところでございます。
 事務局からの説明は簡単ですが、以上です。

【田中主査】
 ありがとうございました。それでは、量子ビーム研究開発作業部会の主査を務めておられる井上委員のほうから所感を述べていただけたらと思います。

【井上委員】
 この作業部会の主査をしております私のほうから少し述べさせていただきます。
 この2つの事業とも新しい事業でありまして、これが出てくる背景となった議論が、その前に行われておりまして、そのことについてはまた後ほど報告のほうで出てまいりますので、ここでは省略いたします。
 先ほどの説明にありましたように、大型、特に加速器等というのは基礎的な研究が最初の動機としてつくられることが多いという観点から、産業利用等について若干遅れている面があるというので、ここでは利用といっても産業界の利用ということを比較的意識しながらの議論を行ったということでございます。そういう意味で大学や原子力機構のような比較的基礎あるいは研究開発の拠点と、産業界の方をつなぐフィールドをつくるという運動場みたいなもので、そこに人が出てくることによって、大学関係者あるいは機構の関係者と産業界の人たちとのふれあいの場ができるということが、比較的意義があるのではないかというように思います。
 利用の面もそうですし、要素技術等の技術開発についてもそういう場が有意義なのではないかということで、特にこれは技術の面の交流だけではなくて、人の面の交流について重要ではないかということで熱心な議論がありまして、特に若い人ですね、これは新しい試みですから、どのようになるか分かりませんが、成立させるには、つなぐ役をするコーディネーターが非常に重要であろうという指摘、それから、単にこういうところへ行けばこういうことができるという案内役というだけではなくて、最初のうちは企業の方は、例えば先ほども少しありましたが、中性子なんていうのは使ったこともないようなものであれば、これは役に立つよということだけではなくて、一緒にある程度そばで支援するという若い人たちも必要で、それがなければなかなか導入ができないということもあるわけですが、そういうことをやる若い人たちのその後というのは、文科省で最近、ポスドクが少し問題になっていますが、あのようなインターンというのもいいかもしれませんが、こういう場がありますと、あなたはあそこへ行けということではなくて、産業界ではこんな使い方をするのだというのが見えることによって、若い人たちが自主的にその面白さを選び取る、新しいことをやる企画力も身につけていく。そういうことがそのような人たちの今後のキャリアパスといいますか、そういう方向に役立てばいいのではないかという議論がかなりありました。
 以上です。

【田中主査】
 ありがとうございました。それでは、先ほどのご説明に関しましてご意見、ご質問等ありましたら、お願いいたします。

【中西委員】
 量子ビームの応用面にはかなりライフサイエンス系のことが書かれているのですが、ほかの省庁、特に農水省との関連ですが、今これを基に検討しようという動きもあるようなのですが、どのように考えておられるのか教えていただければと思います。

【木村量子放射線研究推進室長】
 今、農林水産省関係の財団法人がありますが、そういったところでも、私どもはこういった量子ビーム利用プラットフォームのお話をさせていただいて、現在、先方のほうで中性子の利用について非常に関心があるということで、研究会を開こうという動きがあるようです。当然、我々もそれに協力をしながら、動きを盛り上げていきたいと思いますし、そういった分野での利用が進むということは非常に大事だと思います。

【田中主査】
 あと、いかがでしょうか。
 プラットフォームというと、これは2つのプラットフォームがあるのですね。2つのプラットフォームがあるということを意識して、プラットフォームという言葉を使ったほうがいいのでしょうか。
 あと、いかがでしょう。評価結果のところはいかがでしょうか。ではご意見がないようです。どうもありがとうございました。
 それでは、次ですが、その他の課題、その他という言葉がいいかどうかは別にして、次の課題についてですが、事務局のほうからご説明をお願いします。

【山野原子力計画課長】
 それでは、田中主査と相談しながらまとめました3つ、全く違う課題でございますが、それぞれご説明を申し上げます。
 まず最初に、資料2‐5‐1でございます。「原子力基礎基盤戦略研究イニシアティブ」でございまして、1ページをめくっていただきますと、概要が書いてございますが、ここにありますように従来からまさに原子力の研究開発が始まった昭和32年から、要は旧科技庁でございますが、国立試験研究機関が行う原子力の試験研究費について一括計上するという制度がずっと続いてきたわけでございます。
 しかし、いろいろ取り巻く状況が変化してきており、当初に比べて今では、非常に単純に言いますと放射線利用のようなものは特別なものでなく一般化してきたとか、そういう問題もありますし、また国研のほとんどが独法化したということで、国研であれば国の経費というのは移しかえ移しかえということで、あまり契約行為を伴わずにできるのですが、今は独法化したものですから、委託契約とかいろいろ出てきて、一括計上のメリットもなくなってきているとか、そういう研究資金については、わかりやすく言いますとそういうばらまき的にやるのではなく、もう少し競争的環境で行うという方法にあるということ等の中で、大きく見直したということでございます。
 見直しに当たっての提言などで、総合科学技術会議では、従来からもう少し競争的環境で行った方がいいとか、もう少し政策ニーズなどをきちんと考えるべきということ、原子力委員会でも1つは、今年の8月には原子力の発展をさせる基盤が最近少し弱ってきているという懸念も踏まえて、基礎的・基盤的な研究開発をきちんと充実させろという提言もいただきましたし、また内容的には、制度的になぜ国研だけなのか、大学などにも広げたらどうなのかということ、そのようなことも言われてきていたということでございます。
 そういうことを踏まえまして、従来の制度というものは廃止するということで、今しかかっているものにつきましては終わるまできちんとやるということなのですが、来年度は新規の課題を設定しないということで、従来の制度はやめるということで、新たな競争的資金をつくるということを考えてございます。
 それで、競争的資金の内容としまして、プログラムとしてはここにありますように、3つのプログラムを考えてございまして、1つは戦略的原子力共同研究プログラムといいまして、ある程度何でもいいですよというものではなく、あらかじめこういう分野というテーマをタイムリーに設定し、その上で公募をかけるということでございます。タイムリーに設定するというということは分かりやすく言うと、例えば今であれば耐震・安全などについてしっかりとやってくださいとか、ある程度そのようなテーマを設定して公募をかけるというのが1つ目のプログラムです。
 2つ目は、研究炉・ホットラボ等活用研究プログラムといって、名のとおりでございまして、今、それぞれの現場ではそういうホットな研究をやるということはかなり運営費を確保していくことが大変であるとか、何かあったらごつごついじめられるとか、そういうこともあって、かなりホットな研究からシミュレーションによる研究など、そういう感じの動向になってきているということがございますので、原子力の根っこであるホットな研究を支援するようなプログラムを考えたいというのが2つ目でございます。
 3つ目は若手ということで、これは科研費などでもありますように、最近の流れの中で原子力の分野でも40歳以下ぐらいの若手の研究者に斬新なアイデアでかなり自由なことをやってもらう、予算的にはそんな大きい規模ではありませんが。このような3つのプログラムを抱えた新たな競争的資金に衣替えしたいということでございます。
 この評価結果につきましては4ページでございますが、評価結果としてここにありますように、従来の制度よりも門戸を開いて、戦略的にテーマ設定するということが非常に重要であるということで、従来のものを制度改革して、新たなプログラムをつくることは妥当であるということでございます。
 「なお」ということで留意点として何点かございまして、1つは戦略的共同研究プログラムのテーマ設定に当たっては、きちんと原子力委員会と連携を図りながらやっていくことが必要であるということ。また、研究炉・ホットラボ等の活用につきましては、そういう施設運用の支援と研究の推進の両立を図っていくことが必要である。若手プログラムにつきましては、創造的・チャレンジ的なアイデアを尊重するということ、かなり自由な発想でやってもらうことが重要であるということ。そのような留意事項が書いてございます。
 引き続きまして次の課題でございますが、「高速増殖炉サイクル技術研究開発推進交付金」でございます。これはどういうものかといいますと、1ページめくっていただきますと分かりますように、高速増殖炉サイクルの重要性というのはここにあるとおりでございます。それで特に来年度、20年度はそういう研究開発を進める上で重要な局面を迎えているということで、具体的には「もんじゅ」の運転再開とか、あと次の実用炉の技術決定に向けて、研究開発を大きく加速しなければならないという時期になるということでございます。そういうような研究開発を進めるに当たりましては、それぞれ「もんじゅ」や「常陽」が立地されている立地地域との共生を図りながら、かつ理解を得ながら行っていくということが重要であるということはご存じのとおりでございます。
 そのようなことで、そういう研究開発拠点があることの利点を立地地域にも還元させながら、地域と共生しながら研究活動を推進していく。あわせて立地地域の科学技術や学術の振興を図っていくという制度として、こういう交付金を設けたいということでございます。
 具体的にはどういう事業を行うかといいますと、下のほうに3つ書いてございますが、それぞれ地域の研究開発機能の強化につながるような事業とか、あと科学技術を支える人材の育成や交流などにつながるとか、産業の創成や育成につながるような事業ということを、そういう地元のニーズを踏まえながら行っていくような交付金を来年の重要な節目に向けてつくりたいという提案でございます。
 それに対する評価結果でございますが、最後の3ページでございます。評価結果はそういう立地地域等の理解とか、地域との共生を図っていくことは不可欠であって、本交付金を平成20年度から交付することは妥当であるということでございます。
 「なお」ということで若干留意事項が書いてございますが、立地地域のニーズを踏まえて、交付金の交付によって立地地域の活性化に資するものであるということ、また今後の高速増殖炉のサイクル技術開発や科学技術・学術の振興につながるようなものであるということで、単純に交付金を配るというだけではなくて、きちんと活用計画について今後とも十分フォローしていくということが重要であるという留意事項がついてございます。
 次にもう1つの課題でございます。また、全く違う内容でございますが、「RI・研究所等廃棄物処分事業積立金」でございます。これも1ページ目をめくっていただきますと、これらの廃棄物をどのようにしていくべきかという重要性はご存じのとおりでございますが、今、処分主体とか処分場が存在しないということで、ここにありますようにドラム缶換算で51万本ものこういう廃棄物がいろいろなところにたまっているということでございます。そういうことで出口がないものですから、老朽化してもなかなか解体ということには進んでいかないという実情があって、なんとか早く道筋をつけたいということが大きな課題なわけでございます。
 そういうことで処分事業の概要のところに書いてございますが、当該廃棄物の大部分は原子力機構が持っているということですから、原子力機構が、自らのもの、また料金を徴収した上で他者のものもあわせて廃棄物を処分していく実施主体として、処分を行うということを決めた上で、円滑に事業を実施するために資金積立を行うという趣旨でございます。
 具体的には実際に事業を行うに当たっては、そういう事業資金として約9割ぐらいになるわけですから、あらかじめ積み立てを行うことによって、例えば初期投資などで多額の資金が要るときなどに、他の研究にあまり支障が出ないようにするということ、将来における費用の負担を平準化するという意味で、そういう積立制度を来年から設けたいということを考えてございます。これは予算なのですが、あわせて原子力機構を実施主体とするということで、お金を積むだけではなく、円滑に進むような方策について、例えば中期計画よりも長いレンジの処分計画をきちんとつくるとか、また中期計画を超えて予算を繰り越せるようにするなどの内容の法律を次の通常国会にも提出したいというように考えてございます。
 これについての評価結果でございますが、これも最後の3ページにございますが、そういう処分事業をきちんと行わなければならないということは皆さんご存じのとおりでございまして、関係事業者からもそういう制度に対する期待も大きいということで、こういう課題を将来世代に先送りしないためにも本積み立てを行うことは妥当であるということでございます。
 その上でここでも3点の留意事項が書いてございますが、そういう処分事項に係る資金については、研究開発費用と区別するとともに、機構また他事業者からの処分費用も一体的に運用できるような制度が必要であるということ。また、中期計画の期間を超えて当該事業の財源に充てられるよう、制度的に措置することが必要。また、長期間に及ぶ事業であり、かつ他事業者からの受託収入も財源とすることから、透明性を確保しつつ、計画的に実施することが必要、というような3点の留意事項が書かれてございます。
 以上、この3件につきましては、特別な作業部会はなかったものですから、田中主査を中心にまとめていただいたということでございます。
 説明は以上でございます。

【田中主査】
 ありがとうございました。今、山野課長からありましたとおり、これに対応する作業部会がなかったものですから、私のほうで検討して、この案をつくらせていただきました。
 簡単に所感を述べさせていただきますが、1つ目は「原子力基礎基盤戦略研究イニシアティブ」でございまして、我が国で将来にわたって持続的・安定的な原子力の技術基盤を有するためには、基礎的・基盤的研究開発の充実を図ることは不可欠だろうと思います。競争的環境下で基盤の強化につながる研究開発を戦略的に推進していくことが重要だと思います。これは見ていただきますと、戦略的原子力共同研究プログラム、研究炉・ホットラボ等活用研究プログラム、若手原子力研究プログラムというのがありまして、人材育成という形から始まって、大学関係者から評価が高いし、総合科学技術会議等からの評価が高いということがございますが、金額的にはそう多くないとい伺っていますが、そういうことは大変重要かと思います。
 次は「高速増殖炉サイクル技術研究開発推進交付金」でございまして、国家基盤技術である高速増殖炉サイクル技術に関する研究開発を着実に実施するためには、地元地域との共生が不可欠でございまして、本交付金の交付によって研究開発に対する理解増進や地元地域との共生を図って、円滑な研究開発の推進を図っていただきたいと思います。特に来年度「もんじゅ」の再開が計画されていますところ、こういうものを適切にやっていくことが大事であろうかと思います。
 次は「RI・研究所等廃棄物処分事業積立金」でございまして、既に電力関係では高レベル廃棄物の積立制度等々があるのですが、文科省関係ではこのような制度は今までなかったのでございますが、原子力分野の研究開発を安定的、かつ確実に推進していくためには、RI・研究所等廃棄物の処分を早期に実現することが必要でございます。一方、処分施設の建設等々には巨額の経費を要することから、将来における処分費用を平準化し、ほかの研究開発業務への影響を最小限にとどめることが重要かと思います。そのようなことでRI・研廃の大半を生み出す日本原子力研究開発機構が主体となって合理的、かつ適切な方法で処分に向けた準備を進めていただきたいと思いますし、またこういうような制度の意味を理解していただいて、本来といいましょうか、他の研究開発に支障が起こらないようにしていただきたいと思うところでございます。
 それでは、ただいま説明していただいたところにつきましてご意見、ご質問等ございましたら、お願いしたいと思います。

【伊藤委員】
 意見と言いますか、ちょっと質問的になってしまうのかもしれませんが、2つ目のFBR技術研究開発推進交付金、こういう形で地元との良好な関係をつくってやっていくというこの趣旨はよく理解するところです。今まで既存にこういう交付金というものはなかったのですか。私もちょっと勉強不足で申しわけないのですが。今回初めてのこういう交付金という形になるのでしょうか。

【山野原子力計画課長】
 交付金というものはご存じのように、一番ベースとなるような、まさに発電を始めたときの立地交付金みたいなものもあるのですが、それに加えてその都度その都度苦労しながらやってきたわけですから、これに類するものとしてはリサイクル交付金をつくったりしていました。それが大体終わるタイミングになってくるということも1つの事情としてございますし、FBRを進めていく上で少なくとも来年度は大きな節目になるものですから、それを進めていく上で上手にやっていきたいということで、このような新たな制度というものを考えているところであります。

【伊藤委員】
 単純に増額という形ではなくて、その辺のところをうまくつないで、地元ニーズに応えていこうという感じということですか。
 それともう1つ、RI・研廃の積み方の関係、これも非常に重要なことで、どうするのか。お金がないのに事業はできないのですから、積み立てをする必要はあるなと思うのですが、一時期に予算措置した場合、非常に大変なことになるから積み立てて行きましょうということなのですが、要するにどのぐらいの期間で積み立てられるのかとか、どのぐらいの規模になるのかというところが、説明の中でちょっとお話がなかったような気がするのです。これをやるとするならば相当といいますか、これは継続してなるべく早く積み立てを行っていかなければいけないということになるのですが、その辺のところをどのようにお考えになっているのかということと、これは費用的にはRI・研廃の中で原子力機構が9割ぐらいなので、その分を積み立てるということなのですが、事業をやるとするとそのお金だけ、ですからほとんどこれということになると思うのですが、それだけではなくて、これは他の分も受けるわけですね。そうなると、もし積み立てて処分事業ができるのかどうなのかというところとの関係、その辺のところもちょっとお教えいただければと思います。

【山野原子力計画課長】
 今評価していますのは、事業としては50年間ということで評価していまして、50年間で機構が今持っているものも含めて、将来発生する廃棄物はどれぐらいあって、そうなるとトータルとしてどれぐらいの事業費が機構として要るかということを評価した上で、それを単純に必要な年数で割っているということでございます。規模としましては、単年度でいいますと40億円とかそれぐらい。それで、機構全体として千数百億円ぐらいの事業費を用意できます。それで、事業としては国として積み立てるのはそういう機構の部分だけでございますが、実際上経費の9割ぐらいが機構なものですから、あとはそれぞれの事業者が実際処分するときに一定の料金を持って当然払って、それで事業が回っていくというようなシミュレーションを今してございます。
 ただ、当然、初期投資がこの積み立てたものだけで全部できるかどうかとかいろいろあるものですから、そこはこういう積み立てだけではなく、制度設計として、やるかどうかはあるのですが、例えば機構が長期借り入れをできるような仕組みを法律改正をして入れるとか、そういうところも含めながら、事業としては機構がこうやって積み立てることによって、どこかでものすごい赤字にならずに大体回っていくのではないかというようなシミュレーションの下に、今、こういう制度設計をしているところでございます。

【中西委員】
 質問ですが、最初の基礎基盤戦略研究イニシアティブ、これは非常に大切だと思うのですが、この中にアイソトープということが入っているのかということを伺いたいと思います。といいますのは、大きな施設が必要なものがアイソトープ製造なのですが、例えば医療用のモリブデン99、ガリウム67、また医療用のみならず研究用のアイソトープのほとんどが輸入品となっています。これがストップすると日本の医療、それからこれらを支える研究も全部ストップしかねないところがありますので、ここで裾野を広げると書かれていますが、支えていくという視点が大切ではないかと思うのですが、どうでしょうか。

【山野原子力計画課長】
 それは入っています。この制度はきちんと一般会計でつくりたいと思っていて、従来の制度もかなりそういう農水省の国研であるとか、厚生労働省の病院とか、そこらにもかなり使われてございますので、狭い意味の原子力ではなくて、放射線利用も含めた広い全体の原子力、そういう意味の裾野ということですから、入ってございます。

【井上委員】
 立地の県への交付金なのですが、内容が分かりにくいのですけれども、その地域としては、研究開発機関があることで地域が活性化するというか、そういうことを求めているのではないかという気がするのです。発電所などでしたら、例えば電気代をただにすれば、コストが安く工場がつくれるので、工場が来るなどというようなことが起こり得るのではないかという気がするのですが、研究開発機関というのはそういうことがないから、どうするかで知恵を絞られているのだろうと思うのですが、例えばCERNなんかで、最先端の研究をやっているから、最先端の研究に使う検出回路に使う小さな部品であるとか、コネクターの部品だとか、非常に進んだものを研究者は開発してつくろうとして、そういうものを生産する小さな工場みたいなのがスイスにできて、それが非常に世界的標準になって売れていくようなものに発達していくとか、そういう例がありますよね。
 だから、研究開発機関の場合にはその地域の人が誇りに思うような感じのものがあって、そこから例えば機構の方が、定年退職者でなくてもいいかもしれませんけれども、ベンチャーでやられて、そういう最先端のものと結びついたような産業が発達するとか、そういう意義付けがないと。ただ、お金をやるみたいな感じに見えてしまうと、ちょっと建設的でないようなところがある。そういうことを含めておられるのだと思いますが。

【田中主査】
 この1ページ目の交付対象事業とか、評価結果とかございますが、先生がおっしゃったようなことに使えるようなところに援助したい、ということだと思います。

【山野原子力計画課長】
 地元のニーズというのがあるものですが、先生がおっしゃったように、例えば「もんじゅ」と地元の大学が共同研究するとか、単に公民館をつくりますとか、そのようなものでなくて、あることよって科学技術が振興していく、それに付随して、そういう産業も振興していくという、なるべくそちらの方に使っていただきたいと思ってございます。

【石田委員】
 この3件は難しい。いずれも制度ものであるわけですが、基本的に本来、本当はなかなか難しい。まして予算のこの時期、しかも相手のあるものについて妥当に表現するのは難しいのですが、本来、若干量的な概念の説明が本当はないと、これは1,000万円の事業なのか、100億円の事業なのか全然わからないということで、本当はよく見たことに実際あまりならないのです。量的概念が極めてないです。
 ただ、確かにこの時期幾らどうするということをここに書くということも難しいことはよく理解できるところでありますが、本当はその辺、量的な概念と、それから先ほど井上先生が言われました交付金につきましても、これは従来、電源3法も研究開発施設も当然適用していたわけであって、本来似たようなこともやっているわけです。やっているけれども、確かに今の段階において別のことをやってほしいという希望も非常に強いことも我々は非常によく認識しているし、特にこの3法交付金以外の措置というのはどうしても地元としては強く望んでいるということがあると思うのですが、そんなことであればあるほど、ますます額についての議論というのは行政的には難しいということもよく理解できるということもあると思うのです。
 ましてや最後の積立金につきましても、確か今50年という話がありましたが、全体どれくらいのものをどう考えるかというのは非常に大事であって、そもそも積み立ての原資というのは何かというと、前にいただいた資料なんかを読んでみても、要するに原子力機構に対して拠出される交付金の中で積み立てるということになるのだと思うのですが、これも非常に新しい概念で、古くは多分、昔の古典的財政論理で言えば、そういう国の関係機関の中で積み立てることはあまり考えられてなくて、予算が必要であればその都度都度手当てをするから、これは積み立てなくたっていいと。これはご承知のように、国はもともと古典的には保険をかけるという自家保険の原則があったりしまして、その都度財政上の必要が起こるたびごとに処理するというのを非常に貫いてきたわけですね、かつては。
 そうではなく、JAEAという組織の中で積み立てることができるというのは確かに非常に大事なことであって、組織としての一体性、運用の一体性を確保するのは非常に大事なことだと思うのですが、その辺のことを一応我々は何とか理解はするのですが、確か評価票だけ見て、そんなのは大体こんなことだと、まあよろしいねというのは、本当は厳しいのですね。その意味ではなかなか書き方が難しいことはよく分かるのですが、なるべく必要にして多くの人に理解してもらえるような書き方について、これから私もいろいろ考えてみたいと思いますが、ぜひ事務局にもご検討願えればありかだいというように思います。
 以上です。

【岡崎委員】
 原子力機構の立場から一言申し上げさせていきます。この3件とも原子力開発にとって大変大事なご提案だと思いますが、特に後者の2つについては、我々原子力機構のこれからの事業推進にとっても大変大きな意義のあるご提案だと思って感謝をしたいと思います。
 2つ目の高速増殖炉サイクルの交付金については、まさに地元の皆さん方からの期待ということで、先ほど井上先生からもご指摘があった、地元もまさにこういう技術開発を地域振興にどう活かしていくか、特に地域産業の発展にどう活かしていくかという取り組みを既に始めておられる。そういうことに対してこういう交付金が大変大きなインセンティブを与えていただけるという制度だろうと私も思いますので、ぜひお願いをしたいと思います。
 それから、最後の研究所廃棄物の制度について、これまでも随分長くご議論をいただき、いろいろな議論を経てきたわけでありますが、もうその議論の段階から果たしていかにこの処分事業を実現していくかという大変大事な時期で、もし仮にこういう形で原子力機構が実施主体としてやれということでご決断をいただくならば、我々はそれに沿ってしっかりとした役割を果たしていきたいと思いますが、敢えてこれまでも何回か繰り返しお願いをしてきたことの繰り返しになるかもしれませんが、ぜひこのために必要な資金、我々機構の資金についてもさることながら、関係機関との協力というのは大変大事な視点でありますので、我が機構の資金の確保だけではなくて、関係機関との連携ということが十分取れるような仕組みにぜひしていただきたいということが1点です。
 もう1点は、この事業を進めるに当たって最大のポイントは何と言っても立地問題をどう解決していくか、乗り切っていくかということであります。お引き受けいただく地域の地域振興に果たしてどのように応えていくかという観点から、その仕組み、あるいは国の支援、こういったものについても十分ご配慮いただくように、繰り返しでありますが、お願いを申し上げておきたいと思います。よろしくお願いします。

【本島主査代理】
 今、岡崎理事長からしっかりやりますというお答えをいただきましたことは、大変重要なことと受けとめています。積立金に関しましてもこれは日本の国というか、社会の安全ということを長期的に考える場合、直接関係することです。
 それで、最初の研究制度についてですが、大学等にも開かれた競争的な制度への改革というのは非常に重要なことでありまして、私も期待を大きく持っているところです。大学については、研究レベルという観点から申しましても高いポテンシャルを持っておられるわけですから、いろいろな新しいアイデアを含めて重要な企画を出していただけるであろうということと、大学というのは日本の社会を代表している、反映している面が非常に重要ですから、そこをさらに取り込んでいかれるということは非常に大事であろうと思います。その際に、こういった制度改革をされて競争資金化していく場合に、私からのお願いと申しますか、できるだけ敷居を低くしていただくということが非常に重要なことになるかと思いますので、そこをよろしくお願いしたいと思っております。

【田中主査】
 ありがとうございました。あと、よろしいでしょうか。では、この件も一応こういう形でご了解いただいたこととさせていただきたいと思います。
 その他も含めまして、何件かについて、いろいろとご審議いただきまして、貴重なご意見どうもありがとうございました。本日いただきましたご意見は今後の施策の推進に活かしていただきたいと思いますし、またいただきましたご意見を踏まえて評価の修正もさせていただきたいと思いますが、修正につきましては私のほうにご一任いただけたらと思いますが、よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 また、本評価結果のうち、研究計画・評価分科会において評価の対象となる課題につきましては、8月28日に開催される第24回研究計画・評価分科会で、私のほうから報告をさせていただきますが、石田さんの話によると、これがたくさん出てくるから、1件1件について何分の話をするかわかりませんが。

【石田委員】
 1委員会当たり5分と書いてあります。

【田中主査】
 協力をさせていただきたいと思います。
 では、次の議題でございますが、何件か分科会のほうで検討していただいたものにつきましての報告書といいますか、まとめ等が出ていますので、それらについての報告ということで、まず初めに「ITER(イーター)計画、幅広いアプローチをはじめとする我が国の核融合研究の推進方策」についてでございます。これについて事務局から説明をお願いします。時間がやや押しぎみでございますので、要領よくやっていただきたいと思います。

【松尾研究開発戦略官】
 それでは、資料3に基づきまして、簡単に説明させていただきます。
 まず、核融合の中核でありますITER(イーター)/BAが動き出すということをきっかけにいたしまして、昨年5月から7回にわたりまして、その推進に当たっての体制、枠組み、各種連携の方策についてご議論いただいたものでございます。これをまとめるに当たりまして、前回の本委員会にもご報告を中間的にさせていただきました。その際には核融合を必須としてとらえるのではなくて、もっと人類の課題としてのエネルギー、環境という視点からそれを解決する核融合という視点を入れるべきであるということとか、人材あるいは情報発信、広報についてもきちんと意を尽くすべきというご意見を賜ったところでございます。
 簡単に資料3の43ページに1枚概要をまとめてございますので、もう時間も押していますので、ポイントだけご報告させていただきたいと思います。
 この報告書の構成でございますが、第1章に核融合研究の現状と課題、それから今後の新方策として第2章にまとめてございます。あくまでもITER(イーター)計画、幅広いアプローチを我が国としてどういう枠組みで、オールジャパン体制でやるかということを中心にご議論いただいた報告書でございますので、第2章の1.にはそれを中心とした研究開発の推進、それから2.に学術研究の推進、そしてそれを支える産業連携を3.に、人材育成、国民への説明、理解というのを4.としてまとめさせていただきました。ITER(イーター)計画、幅広いアプローチを中心とした研究開発の推進では、国際協力の意義、具体的な方策、推進に当たっての環境ということで、ここでは(3)の1にエネルギーフォーラムを設置し、オールジャパンの意見を集約するということで、ITER(イーター)・BA技術推進委員会をつくるというご提言をいただいたところでございまして、これにつきましては先月7月に第1回目を開き、そしてITER(イーター)理事会に臨むということをさせていただいているところでございます。
 学術研究の推進ということでは、その推進の意義、具体的な方策としてこれまでやってきた重点化、共同研究の推進、幅広いアプローチ、ITER(イーター)計画に向かう共同研究のあり方、それからさまざまな分野の学術研究の連携ということで、その方向性について記載をさせていただいているところでございます。
 3.の産業連携でございますが、ITER(イーター)は物をつくるということでございますので、産業との連携ということでございます。これも原産協会をはじめ委員に入っていただいておりまして、そことの連携の枠組みを7月に構築をさせていただいてございます。
 4.のほうでは人材育成の観点、国民への説明の観点を入れさせていただいているところでございまして、人材育成に関係しましては19年度新たにつくった予算、また幅広いアプローチの1つの拠点でございます青森県のほうでは、核融合に限らない大きな原子力関係の人材育成について検討を、今、しているということで、これは田中先生が主査でございますので、またコメントをいただければと思いますが、そういった一つ一つ着実にこの報告書を受けて具体的な施策に移らせていただいているということでございます。
 ということで、これは作業部会のほうで6月にまとめさせていただきましたので、簡単ではございますが、報告をさせていただきたいと思います。
 以上でございます。

【田中主査】
 ありがとうございました。青森県のほうで人材育成と絡めて、先ほど和気先生の話にございましたが、核融合だけではなくて、原子力全体について何かいい仕組みはできないかということで、このITER(イーター)/BAを起爆としていろいろなことについて検討しているところでございます。また、まとまってくれば、ここでもご報告させていただきたいと思います。
 ただいまのご説明に対しまして何かご質問等ありましたら、お受けしたいと思いますが、いかがでございましょうか。

【井上委員】
 いっぱいあるのですけれども、時間がないようなのでやめます。
 1点だけ。チェック・アンド・レビューをいろいろやられて、大変よかったのではないかと思うのですが、そこでいろいろ問題点が出されているのに、最後は連携とかいう言葉だけで全部まとまっているような感じに見えます。もう少しLHDとかレーザーとかが核融合開発の中で、学術的な意味で言っているのですが、どういう位置づけなのかということを押さえていただいて、それぞれはどういう役割があるのだと。これだけだとどれもやりましょう、仲よくやりましょうみたいに見えるのですが、そういうのではない学術的な位置づけがあるのだろうと思うので、そこが見えるようになったらと思います。

【松尾研究開発戦略官】
 また引き続きこれを受けて、作業部会のほうで9月以降いろいろな取り組みをさせていただきますので、その中でまたつないでいきたいと思っています。

【田中主査】
 よろしいでしょうか。他はいかがでしょうか。
 井上先生がたくさん質問があるというところを、ちょっと時間がなくてすみません、質問を切るわけではないのですが、よろしければ次の「量子ビーム研究開発作業部会の報告書(中間取りまとめ)」について、事務局のほうからご説明をお願いいたします。

【木村量子放射線研究推進室長】
 資料4‐1に基づいてご説明申し上げます。先ほどの量子ビーム関係の新規事業2件のもとになった議論をまとめたものでありまして、先ほどのご説明のほとんど繰り返しになるので、ごくごく簡単にご説明しますが、量子ビーム施設については先ほど申し上げたように、基本的なラインアップが揃って、これから本格的に利用期に入っていく。このため、こういった利用の促進策と高度化を目指した先端的な基盤技術開発が必要である。特に中性子利用分野においてはまだまだ産業界における利用が浸透しているわけではない。産業界の応用可能性が非常に高い技術であるにもかかわらずそういう状況にあることから、これからポテンシャルユーザーを開拓していくことが重要である。
 それと同時に量子ビーム、そのビーム種ごとの特徴を活かした使い分け、あるいはその相補的な利用、これが非常に効果的だということがある程度分かってきているにもかかわらず、施設ごとの利用、あるいは法人ごとの利用体系の中ではこういった取り組みが十分にされないということで、こういった複数のビーム利用を簡便な手続きで可能とするワンストップサービスの提供が求められているということが指摘されております。
 こういったことから、産業利用を中心とした一元的な窓口としての量子ビーム利用プラットフォームの構築を目指すことが重要であろうと。そのためには既存の利用支援機関の連携をはじめとして、段階的に体制を構築していくことが適当だということが指摘されています。
 次に基盤技術研究開発のほうですが、こういった先進的・革新的加速器技術、計測技術は非常に応用可能性・利用可能性が広い基盤技術でございます。こういった我が国の社会システムを変革するような成果を上げるような基盤的な技術について、今後10年程度でこういったシステムを実現するということを考えたときに、必要な要素技術を今後5年程度でやっていこうと。それにはそれぞれの研究機関のポテンシャルを融合しながらネットワークを構築して、必要な技術開発を行っていくべきだと。この中に優秀な若手研究者も取り込んだ上で人材育成という側面も充実していく、さらにその後の活躍の場を増やしていくということで、利用のためのプラットフォーム、基盤技術開発のためのプラットフォームということで、必要な人材が集まれる場を構築していこうということでこの報告書を取りまとめていただいたところであります。
 説明は以上です。

【田中主査】
 ありがとうございました。ただいまのご説明に関して何かご質問、コメント等ございましたらお受けしたいと思いますが、いかがでしょうか。これはさまざまな参考資料がたくさんついていて、なおかつ本文のほうがコンパクトで大変いいですね。

【木村量子放射線研究推進室長】
 ありがとうございます。

【田中主査】
 よろしいでしょうか。よろしければ、次の「大強度陽子加速器計画中間評価報告書」についてお願いいたします。

【木村量子放射線研究推進室長】
 引き続きご説明申し上げます。資料5‐1でございます。これはJ‐PARCについて来年度後半からビーム供用開始という現状を踏まえまして、今後、具体的に運用体制・利用体制をどうしていくかということで検討を行っていただいたものであります。
 これには幾つかの項目がございます。まず、計画の意義、進捗状況についての再確認ということで、このJ‐PARC計画は引き続き意義が高いものでしっかりと建設して、運用していくべきだということであります。
 もう1つは、3年前に中間評価をやっていただいたときに2点指摘を受けておりまして、それへの対応でございます。1つが直線加速器の性能回復に取り組むということが大事だろうということで、リニアックの性能回復、これは中性子の強度を増加して、測定時間の短縮、あるいは実験精度の向上が実現できるということで、施設の供用開始後直ちに取り組むべきだと。特に平成20年度から着手することが適切だろうということが言われております。
 さらに、J‐PARCにつきましては、現在建設中のものは第1期計画として建設されているものでございますが、これに続く第2期計画として原子核・素粒子実験施設の充実と核変換実験施設の整備という2つの大きなプロジェクトがあります。それぞれに評価をいただきまして、まず原子核・素粒子実験施設の充実については、これは専ら基礎研究の分野でございますし、関連する研究者コミュニティで、この実験施設も含めたすべての研究計画について、プライオリティづけをまず行っていただきたいということであります。
 核変換技術については、これは当然、重要な基盤技術でありますから、引き続き研究開発を進めていくべきである。ただ、実験施設の整備については、今後、原子力委員会などの評価も踏まえて進めていくことが適当であろうという評価をいただいております。
 次に運用体制の構築でありますが、J‐PARCについては、JAEAと高エネルギー加速器研究機構(KEK)という2つの法人のプロジェクトであります。そのまま各法人がばらばらに事業を実施していたのでは効率的・効果的な運営ができないということで、両法人の協議のもとにJ‐PARCセンターという1つの組織を設置して、現在、J‐PARCの建設が進められているところであります。このJ‐PARCセンターの設置については、非常に有効な取り組みであるということで評価を受けておりまして、当面、こういった両機関が緊密に連携をしながら、一体となってセンターを運営していくということが大事だろうと言われております。
 次に5番目です。利用体制の構築ですが、利用ポリシー・課題選定に当たっては、成果を公開する課題については、利用は原則無償とする。成果非公開の場合は、利用料金を取っていこうということでありますが、この利用料金のレベルについても妥当であろうということが言われております。
 さらに、先端研究施設としての幅広い利用へ対応するという意味で、現在、大学共同利用、あるいは原子力機構の施設共用制度、さらには文科省でやっているトライアルユース制度、さまざまな制度があります。こういった制度を有効に使いながら、ユーザー層を広げていくことが大事であろうということと、3ページにまいりまして、産業利用を促進するためにはコーディネーター、支援者の育成、さらには知的財産権の保護や機密保持の徹底といったような産業界で使われている仕組みを早急に整備していくことが必要であろうということです。
 さらに運転経費でございますが、現在の知見で算出した試算、年間約187億円でございますが、妥当であるという評価をいただく一方で、今後、実際の運用の経験を踏まえて、経費削減に向けた努力を行うことが必要だろうという指摘を受けております。
 それから、国際公共財としての取り組み。J‐PARCを国内外に開かれた研究施設として運営していくことが大事だということは、建設当初の段階から言われたことでありますけれども、今後、そういった海外の研究者の受け入れに当たっての生活環境の整備、研究環境の整備、こういったものをしっかりとやっていかなきゃいけないということが指摘されているところであります。
 今後の課題でありますが、J‐PARCセンター、これから両機関との関係についても今後の施設の運用状況を踏まえて検討していくことが必要だろうということで、今後、運用が始まって数年した段階で再度レビューを行うことが必要だろうという指摘をいただいて、報告書を取りまとめていただいたところであります。
 以上です。

【田中主査】
 ありがとうございました。何かご質問、コメント等ございましたらお受けしたいと思いますが、いかがでしょう。

【岡崎委員】
 その前の議題の量子ビームの研究開発作業部会、それから今回のJ‐PARCの中間評価の作業部会という大変精力的なご審議をいただいたことに感謝したいと思います。特にJ‐PARCについては、現在、私どもとKEKの皆さん方との大変いい関係で順調に建設が進められて、間違いなく来年度に運用段階に入るということと理解をしていますが、折角これだけの投資をしていただいたいい施設でありますので、引き続きの運用段階について、もちろん運転維持費の確保もさることながら、この中間報告書の中にも書いていただいた研究環境、あるいは生活環境等、これを利用する環境をぜひ立派なものにしていただくということが、これをいい成果を出すための大事なことではないかと思っています。
 そういう観点から、今回は残念ながら見送りになったと理解していますが、特にご指摘をいただいている産業利用をさらに発展していくためにも、共用促進法の適用というのは、私は大変大事な視点ではないかという気が引き続きしておりますので、ぜひその点についてご検討いただいて、将来のこのJ‐PARCの運用がいいものになるようにぜひ工夫をしていただきたいということだけお願いを申し上げたいと思います。ありがとうございます。

【田中主査】
 ありがとうございました。他にいかがでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございました。
 以上で本日予定していた議題はすべて終了でございますが、その他に何かご意見等ございますでしょうか。

【石田委員】
 もう一言よろしいでしょうか。すみません、もう一言だけであります。今日も報告をいろいろいただいたわけでありますけれども、なかなかよくできていると思います。全体、最近の報告はえてして、これがどうというわけではありませんけれども、パワーポイント方式の説明が非常にたくさんあって、これは非常にわかりやすいのですが、分かったような気になるのですが、ほんとうにロゴスがどうなっているのかということをもっときちんと整理するということは大変大事だということで、執筆される方はぜひ心得ておいていただきたいというように思います。
 以上、希望です。

【伊藤委員】
 簡単に申し上げます。きょうの審議の中には高速増殖炉の関係、サイクル実用化研究のことについては入っていないわけですが、ちょっと新聞で読みますと、20年度増額をされるということを見ているのですけれども、これから革新技術だとか、そういう重要な課題がありますので、20年度に引き続き、その後もぜひとも確実に予算を確保していただくようにひとつお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

【田中主査】
 その他ございませんか。資料6に前回議事録がございますが、前回はその他のところで当面の検討課題ということでかなり時間をとって、いろいろと先生方のほうからご意見をいただいてということがありました。今日は予算ということもあって、評価が主体になってございましたが、次回には今後どういうようなことを重点的に検討していけばいいのかについて事務局と相談させていただいて、前回の議論を踏まえて提案させていただきながら有効な議論をしていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは、事務局から連絡事項等ありましたらお願いします。

【山野原子力計画課長】
 今日の議事録につきましては、また出来次第メールか何かでご相談させていただきます。また、今日はいろいろなところで議論が出ましたけれども、予算の定量的な話が少し不十分だったところがあります。今月末には当然概算要求がまとまりますので、いろいろな資料が出来次第また送らせていただきたいと思います。
 以上でございます。

【田中主査】
 分かりました。第25回は大体いつ頃になりそうですか。重要な課題も何点かあるかと思いますので、また相談させていただければと思います。
 それでは、第24回の委員会はこれにて終了させていただきます。どうもありがとうございました。

─了─

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研究開発局原子力計画課