原子力分野の研究開発に関する委員会(第22回) 議事要旨

1.日時

平成18年10月31日(火曜日) 10時~11時

2.場所

文部科学省 10階 10F3・F4会議室

3.議題

  1. 高速増殖炉サイクル実用化戦略調査研究フェーズ2について
  2. 大強度陽子加速器計画評価作業部会の設置について
  3. その他

4.出席者

委員

 田中主査、石田委員、伊藤委員、井上委員、岡崎委員(一部オブザーバー)、加藤委員、木下委員、小林委員、知野委員、中西委員、早野委員、松田委員、本島委員、和気委員(委員14名)

文部科学省

研究開発局
 森口局長、村田審議官、中原原子力計画課長、中村原子力研究開発課長
研究振興局
 木村量子放射線研究推進室長

5.議事要旨

(1)高速増殖炉サイクル実用化戦略調査研究フェーズ2について

 高速増殖炉サイクル実用化戦略調査研究フェーズ2について、資料1-1~3に基づき事務局より説明。高速増殖炉サイクルの研究開発方針について、本委員会として了承された。

【委員】
 資料1-2の「本委員会の考え方」について、専門的なことも含めて問われているのに対して、丁寧に答えているかどうか疑問に感じるところもある。例えば2ページの超臨界CO2タービンに関して本当に議論したのかどうか分かりにくい。将来的な可能性があると考えているだけというのはいかがか。また、3ページの4の2は、政治的問題と技術的問題の両方があるから、技術的問題だけで不拡散が出来るわけではないという指摘である。従って、「出来ると断定するな。」というのが趣旨であって、「更に向上することが出来る」と書いたのでは逆らっている感じがする。この政治的な問題をここで議論するのは難しいが、その前に例えば技術面での核拡散抵抗性に限定して検討したことにすれば、政治面は分かっているけれども書いていないということで対応したことになるのではないか。
 それから、同じ4番(受理番号)の意見には、「国」という言葉が出てきているが、どこのことを言っているのか分からない。勿論問う方が分からないのは当然だけれども、受ける方が文部科学省なのか財政当局なのかという点が分からず、どこで考えると言えるのかが気になる。考えるというのは、例えば概算要求を行う立場の「国」が資源を何とかしなければいけないという分には、行政的な概算要求ベースのことをやるということで分かるが、一般的な「国」の場合には、原子力委員会などが対応する内容について、我々が「対応します。」と言えるかというと分からない部分もある。
 それから、4ページの4の8の方の意見で述べられている誤解の部分は、LLFPの分離に関するところであり、「…むしろ発熱性核種…」という部分の「むしろ」については、発熱性核種の分離技術を実施するというように見えるけれども、「本当に実施するのか。」という趣旨ではないだろうか。また、8ページの加速器駆動システムについて重要だと考えているけれども、考え方の第1段落で、「含まれていないからやらなかった」といった説明はあまり適切ではないので、第1段落は無くて良いのではないか。最終報告書に含まれていないから考慮しなかったという言い方は不親切である。

【事務局】
 超臨界タービンの件は、確かに今回の報告書の中では炉とサイクルと燃料がメインになっており、蒸気発生系や電気発生系タービンの組み合わせについては考慮していなかったので、この部分について技術的な評価をしていなかったと考えている。但し、こうした技術も新たな技術として出てくる可能性があることはご指摘のとおりなので、こうしたものについては、これから技術として出てきた場合に取り込んでいく可能性があるというつもりで答えてはどうかということで書いている。なお、核不拡散性の部分は、ご指摘のとおり検討したいと考えている。
 それから、4ページの4の7に対して「国が」という部分だが、本委員会では、文部科学省に対して、「こうあるべきだ。」、「こういうふうにやりなさい。」という指摘があったところなので、これを受けて文部科学省としては、本報告書に従って施策が実現出来るよう取り計らうことになると考えている。その際には、我々だけで出来ないものについては他省庁に働きかける、あるいは原子力委員会にお願いするなど、国としてそちらの方へ向かって進んでいくことになると考えている。
 4の8にある「むしろ」という言葉が不適切ではないかという点だが、元々LLFPについては、長期的な課題として取り上げるべき旨の記載が最終報告書にあったわけである。発熱性のものについては記載がなかったわけだが、議論の結果、LLFPよりもむしろ発熱性について取り扱いをしっかりやるようにとの意見が出て、そうした提言をしているところなので、本報告書にあるようにLLFPと発熱性核種は、両方とも基礎的なものとして行うようにということではなく、発熱性のものについて、むしろ力を入れて基盤的なものとして捉えて研究開発を行うようにとの提言をいただいたので、そのまま生かしていきたいと考えている。あと、8ページの加速器駆動の部分で、第1パラグラフは無い方が良いのではないかという点についても了解した。

【委員】
 資料1-3の135ページで、2に「知識管理を意識した研究開発」を付け加えているが、コメントした人の使い方は「知識ベースの構築と活用」であり、知識管理という言葉で適切かという疑問がある。それから、「意識した」というのは、「活用する」ということと大分違うニュアンスである。本文中でその用語を使っているが、その次の136ページの2行目で「知識管理の仕組みについて検討」するという部分までいってしまう。従って、これは様々な機関の連携ということがあるから「仕組み」という言葉を使ったと思われる。要するに知識ベースをきちんと構築して活用するようにという意図だろうから違和感がある。「知識管理」と「意識した」という言葉がずっと出てきて、中身としても重要なのでコメントどおり入れていただきたいが、「知識管理」と「意識」は少し考えた方が良い。「知識ベースを活用する」という方が素直で良いと考えている。

【事務局】
 修文する方向で考えたい。

【主査】
 この部分については作業部会で議論があり、共通的なところとしてこの部分が抜けていたのではないかということもあり、やや意見の枠を越えたようなことまで検討させていただき、こうした表現になった。

【委員】
 中身は非常に結構である。但し、管理や仕組みといった表現と目的がかなり異なってしまう。マネジメントの強化とは違う問題だと考えている。

【主査】
 検討させていただきたい。

【委員】
 若干違った方向に書いているのに、すぐ事務的に下りてしまうのはいかがか。本当は違った意図が作業部会であったのかと気になったが、それほどのことではなくむしろ言葉の問題ということであれば、それで下りても良いかと考えている。
 本報告書を読むと非常に良く出来た積み木細工みたいになっている。様々な意見を入れ込んでいるので、全体として先ほどの国に関する考え方もあるし、やや木に竹を接いだような部分も残っていないわけではない。全体としてどうしてもパブリックコメントを入れていくとそうなることは避けられないから、もう一度事務局で見直していただきたい。個人的には、資料1-3の1ページにある「はじめに」の「ウラン資源の有効利用性に優れた」という部分で、概念的にダブっているのではないかという感じがする。

【事務局】
 最近、原子力の中で知識ベースに関して話題になっており、良い例として評価されているのが、高レベル廃棄物の地層処分について知識管理のデータベースを整備することである。データベースを整理する仕組みを作るところから取り組むことが評価を受けていて、この高レベルのことをイメージして、その言葉を多く当てはめて書いたところである。但し、もしかしたらそうではなく、コメントされた方が言っている言葉の方が正確ではないかということであれば、高レベルの例にとらわれることなく考えたい。

【委員】
 内容については大体理解出来たが、本資料の取り扱いについて確認させていただいた方が良いと考えている。パブリックコメントの実施については、前回の本委員会で了解して、パブリックコメントを行い、9名で76件というかなりの量になったと考えている。資料1-2は、本委員会の考え方ということで資料が出ているが、正確には作業部会の案ということになるのではないか。作業部会での検討結果を受けて、修正箇所はそれほど大きくないものの、ポイントになるところは結構あるので、そこについて最終的に本委員会で報告書案を了承するかしないかという議論になっていくのではないかと考えるが、そうした考え方で良いのか。本委員会の考え方としてパブリックコメントの答えを最終的に出すのは結構だが、本日の時点で本委員会の考え方という資料が出ているので、その点を確認させていただいた方が良いと考えている。

【事務局】
 パブリックコメントは、本委員会がまとめようとしている報告書に対する意見だったので、それに対してどう考え、どう反映したのかということは、本委員会で最終的に判断していただけるものと考えている。事務局としては、それをサポートするために作業部会で技術的な部分を中心に審議していただき、その上で案として本日審議していただいていると理解している。今回のコメントは技術的な事項が多かったので、作業部会での議論が中心になるが、それだけではなく社会的な観点などもあるので、本委員会では出来れば全体を見ていただき、最終的に報告書に反映して取りまとめるという審議をしていただければと考えている。

【委員】
 我々としては、作業部会の案を認めさせていただいた上で本文をどう修文するかということになると考えている。ここでいきなり技術論をやるわけにはいかないだろうから、そのためにも作業部会がしっかりやっていただいたという前提で考えさせていただきたい。

【事務局】
 作業部会が議論した上で、技術的な部分についてはこれで良いのではないかということでまとめていただいたものを、本委員会に出させていただいている。

【主査】
 技術的な部分については、先週の作業部会で時間をかけて議論して、さらにそれ以外の部分について貴重な意見をいただいたので、それらを踏まえて本文やコメントに対する考え方についても反映させていただきたいと考えている。

【委員】
 資料1-2の5ページの4の10における考え方の表現については、主開発項目についての期待と積極性のある文章の方が良く、「適合性の低下の程度」という表現は後ろ向きなので直していただきたい。

【主査】
 了解した。その点についても検討させていただきたい。修正については主査一任ということで、本報告書案を了承させていただく。報告書が本委員会においてとりまとめられたので、事務局から一言いただきたい。

【事務局】
 本日、「高速増殖炉サイクルの研究開発方針について」をとりまとめていただき、感謝する。若干の修正を踏まえて、研究計画・評価分科会へ報告することとさせていただきたい。本報告書を踏まえて、研究開発を着実に進めていきたい。

(2)大強度陽子加速器計画評価作業部会の設置について

 「大強度陽子加速器計画評価作業部会」の設置について、資料2及び参考資料1-2に基づき、事務局より提案、了承された。主な意見は、以下のとおり。

【委員】
 核融合の分野でも似た状況があって、2つ軸足が出来ているが、この評価作業部会の軸足があるとしたらどちらになるのか。それから、原子力機構と高エネルギー加速器研究機構は、どちらもビッグサイエンスをやっているが、研究手法と共同研究、供用の仕方については歴史も違うし、そうした意味では、文化が違うということは非常に良い意味での言い方だが、そうした点で本作業部会の役割は、コミュニティーに対して非常に大きいものになるだろう。共同研究は、国内を対象にして自然な形で国際協力にも門戸が開かれるわけだから、今後のJ-PARCの研究成果への期待を具体的に実現していく上で重要な役割を持つと考えている。従って、そうした点でも大きな合同作業部会になるだろう。この時期に設置するのは、実際の運用が開始されることから必要な時期であると考えているが、大学等のコミュニティーについて非常に高い基盤を持っているわけだから、その研究のアクティビティーをいかに結集していくかという点において、研究計画の決定の仕方は非常に大事になると考えている。公募したりすることになるはずだが、恐らくそれは資料2の2.(2)に入っていると考えても良いのか。
 それから、運用開始直前で先のことを議論するのが大変なことは理解出来るが、第2期計画を持っているわけで、それはここで検討されない様子だが、そうした枠組みで検討していくことになるのか。

【事務局】
 研究のアクティビティーをいかに維持して高めていくかということだが、J-PARCの実際の利用・運用が始まれば、実験計画などは、コミュニティーの要望をもとにして公募という形で進められていくのが基本になる。但し、物質生命実験施設のように産業利用が大きく期待される分野については、産業界の利用にも一定の配慮をすることも1つのオプションではないかと考えていて、そうしたところのバランスをとりながら議論していただきたいと考えている。
 第2期計画をどうするかという点については、前回の中間評価でも第2期計画も含めた計画全体のレビューということであったので、厳しい財政事情の中、まず第1期計画の施設の運用を着実に行っていくことが最初のミッションだと考えている。その中で、次にいつ頃第2期計画を開始すれば良いのか。それに至るまでのステップは、本作業部会の中でも議論していただかないといけないと考えている。

【委員】 J-PARC計画は、建設あるいは今の試験運転に備えた準備が順調に進んでいる。いよいよ平成20年度からの運用・供用開始という段階を迎えつつある中で、こういう形で審議していただくことは大変ありがたいと考えている。それに備えて原子力機構と高エネルギー加速器研究機構と、既に今年の初めにJ-PARCセンターという、2機関分割された運営ではなく、出来るだけ統一して運営に当たる体制も整えた。今後の運用についても、研究計画の策定等も含めて利用する方々が混乱のないように、それぞれの機能を十分生かしながらも統一した運営はどうあるべきかということについて協議を進めているので、そうした成果をこの作業部会に是非提案させていただきたい。また、最初の議題で審議していただいた将来の高速炉開発と並んで、我々が計画している2期計画をどう位置付けていくべきか、あるいは国際的な動きも勘案しながら今後具体的に2期計画にどのように対応していくべきかということについて真剣に検討しているので、その状況は作業部会にもご報告しながら、本格的に2期計画についての事前評価に相当する部分を、どのタイミングでどういう形で審議していただくのが良いのかということも、我々事業者としての考え方を示しながら、作業部会での審議に十分対応出来るように備えていきたい。

(3)その他

 その他として、平成19年度概算要求における科学技術関係施策の優先順位付けについて、参考資料3-1~2に基づき事務局より説明。また、次回の委員会については、翌年1~2月を目途に開催を予定している旨、事務局より連絡があった。

─了─

お問合せ先

研究開発局原子力計画課