原子力分野の研究開発に関する委員会(第21回) 議事要旨

1.日時

平成18年9月12日(火曜日) 15時~17時

2.場所

三田共用会議所 3階 C‐E会議室

3.議題

  1. 高速増殖炉サイクル実用化戦略調査研究フェーズ2について
  2. RI・研究所等廃棄物の処理処分について
  3. 原子力システム研究開発事業「特別推進分野」における平成18年度新規研究開発課題の選定結果について
  4. 平成19年度概算要求(原子力関連)の概要について
  5. GNEPの現状について
  6. その他

4.出席者

委員

 田中主査、石田委員、井上委員、岡崎委員(一部オブザーバー)、加藤委員、中西委員、早野委員、松田委員、本島委員

文部科学省

研究開発局
 森口局長、村田審議官、中原原子力計画課長、中村原子力研究開発課長、須藤放射性廃棄物企画室長

オブザーバー

 田中電気事業連合会原子力部長

5.議事要旨

(1)高速増殖炉サイクル実用化戦略調査研究フェーズ2について

 高速増殖炉サイクル実用化戦略調査研究フェーズ2について、資料1に基づき事務局より説明。以下の質疑応答が行われた。

【主査】
 長半減期核分裂生成物の話があったが、長い期間の後にどれだけ特性があるのかという観点もあることから、発熱だけを観点にしない方が良い。

【委員】
 1ページの「はじめに」の最後の段落に「当委員会は……調査審議することとしております」とあるが、これから審議するかのように感じられる。また、3ページの目次の項目について、各論第一部の1.(4)は、次に主概念が突然出てくることからもむしろ主概念を選択している部分であり、その選択と評価とした方が良いのではないか。それから、2.(2)の「技術開発課題への全般的な留意事項」だが、中身を見ると他の並びと違って、次に出てくる(3)(4)(5)を進める際の留意事項を列挙している部分なので、「全般的な」という言葉が何を指すのか分かりにくい。さらに、(6)の「共通的な……」について、中身を見ると保障措置のことだけ書いているので、「共通的な」というと何が書いてあるのかという感じがする。
 次に総論について、21ページの第2段落で移行期間を60年間と想定していて、その次にこれは云々と書いてあることから、言っていることは理解出来るものの説明が分かりにくい。また、31ページの一番下の段落にある「2010年及び2015年に評価を行うこととしているが……」という部分で、他人か自分かという主語が分かりにくい。それから、30ページの1安全の確保で、各論には一言だけ「倫理」という言葉が入っているので、ここにもあった方が良いのではないか。安全神話を墨守するために捏造や隠蔽が行われた面もなきにしもあらずなので、安全と言ってさえすれば良いととられると困る。例えば、3行目に「本研究開発に関わる全ての組織と人が安全文化を……」と書いている間の部分に「職業倫理を確立し……」などの一言を入れたら良いのではないか。
 次に各論について、71ページに「参考トピックス」としてループ型とタンク型の比較と書かれているが、突然ここに入っているので落ちつきが悪い。こういう入れ方しかないかもしれないが、前の69ページのナトリウム冷却について書いているところに「それが妥当である。」と書いて、タンク型とループ型について委員会としてのコメントを最後に述べる予告を入れた方が良い。また、69ページの下から2行目の「炉心燃料にかかわる関連に……」という表現はリダンダントな感じがする。さらに、各論の中で課題に上げたものに対する留意事項として、課題と対応する関係で全部ではなく留意すべきことについて書かれているが、そのうちの再処理の部分の131ページの4は、前に掲げたどの課題に対応しているのかが分かりにくい。

【事務局】
 基本的にご指摘のとおり直させていただきたい。それから、「はじめに」の部分についてこのように書いたのは、昨年「本委員会における審議事項」という紙をまとめて、こんなことをこれから審議していこうという資料があったが、その中にFSが入っていてその時に決めたという意味で書いたのだが、確かにここだけ読むと分かりにくいので、ここも含めてコメントを反映させたいと考えている。

【委員】
 細部で見ると気になる点はあるものの、事務局と主査に一任して若干言葉の修正すべき点があれば調整していただくことにすれば良いのではないか。今の議論の中で「はじめに」の「調査審議することとしております」という表現は確かに難しい部分であって、本委員会がどこまでフルフレッジドな委員会であって、どこまで最終決定をするのか。また、科学技術・学術審議会に報告するのかしないのか、あるいは本委員会で決定したこと自身がすぐ行政行為に結びつくのかといった整理が必要である。本委員会の審議事項は決めているが、事務的な観点で整理して結び方を調整すれば良いのではないか。

【委員】
 FSの報告書に比べて、初期段階の増殖比を1.2にするという点が作業部会で議論されたこととして出てきている。例えば、副概念にしている金属燃料の方が目的のために良いと書かれているが、別にこれを変えろという意味ではない。実際に当事者が行う中で、常にそういうことを考えながら進める必要がある。金属燃料も入れられるような構造上の工夫をして設計するなど、実際の設計段階で考慮して良いのではないか。

【事務局】
 増殖比について、FSの報告書で1.1だったものが1.2となっている点については、これから研究開発していくナトリウム炉、主概念あるいは副概念の設計要求を幾つにするのが適切かということで、1.1ではなく1.2という目標を設定したところである。その上で、その結果は何に表れてくるかというと、設計要求1.2を達成可能とする概念設計が出来るかどうかに関わると考えている。性能から見ると、金属燃料の方が増殖比を1.2にしやすいことは現在の知見で出てきているが、実際の炉については、被覆管の中のペレットが金属か酸化物かということによっても変わらない書き方になっている。
 この資料の中で、83ページから金属燃料とMOX燃料の話が書かれているが、システムをトータルで見る時には、炉はあまり変わらないが再処理は大きく変わってくるので、主概念は全体としてMOXで行くことになる。特にどちらを選ぶかということになると、再処理の方法をどうするかで決まってくるのではないか、というのが現状である。但し、これから設計していく時に主概念も副概念も考えていかなければいけないので、そうしたことも踏まえて今後の研究開発への指摘事項にしていければと考えている。

【委員】
 最終の姿という意味ではなく、実証機などの進め方について述べただけである。

【委員】
 金属燃料であれば増殖比が上がることは、最近分かった知見ではなく、昔からそうだったと考えている。しかし、原子炉を変えないで金属燃料を変えられるかというと、伝熱の関係などがあって素早く変えられるものではなく、絶えずそうしたことをスコープに入れておくことも大事なのではないか。現在どうなっているかということについては、日本原子力研究開発機構(以下、原子力機構)の専門家の方々が一番承知しているだろうから、その辺りはきちんと押さえておく必要がある。但し、FBRにおける金属と酸化物は、いずれにしても非常に大事なオルタナティブなので、絶えず認識していくことが大事である。

【委員】
 非常に大事な根拠データは、88ページの図1-2-3だと考えている。関連の図も幾つか出てきて、そこでまだ明確にされていない部分もあると書かれているが、例えば89ページの一番上の根拠などについては、足りない部分があれば強調した方が良い。それで、図1-2-3の書き方だが、原子力分野ではこうした書き方が普通なのか。2つ先の領域に移るためには、必ず手前の領域を通らないといけないという図になっているが、プルサーマルは、確かにそれを通らなくても次に行けるという意思表示でこうした書き方になっていると考えている。そうすると、次世代型軽水炉の次に高増殖炉心があって、最初1.2で1.03というのは、燃料の増殖という観点では良く分かる。しかし本来は、例えば計画が順調に進展すると、軽水炉の炉心から最終的な低増殖炉心へ移るパスも当然想定されているが、ここでは、次の領域に移るパスが必ず軽水炉から次世代型軽水炉へ通って、高速1.2を経由して1.03という書き方に見えて分かりにくい。

【主査】
 原子力政策大綱の中に同様のイメージ図があって、プルサーマルは入ってなく高速炉も2つに分けていないものの、従来型や次世代の軽水炉があって2050年頃から高速炉に入っているものがあったので、それを踏まえて書いたものと思われる。

【委員】
 1つ越さないと次へ行けないのはリニア開発の考え方に近く、今はノンリニアな開発が主流になっていることからもパスがないのは非常に気になる。

【主査】
 もちろん高速炉が入ってくる時に、パラレルに入ってくるかどうかは分からないが、それを書くと余計見にくくなるかも知れない。何か良いアイデアはあるのか。

【委員】
 特にないけれども、下から書けばそれで済むわけである。本件は、事務局よりどのように考えているのか聞きたい。

【事務局】
 この図よりも92ページに2つ並んでいるもので説明したい。この図は、縦軸が設備容量になっているので、その時にどの原子力発電所がどれだけの電気を供給出来る設備容量になっているかということを書いている。例えば2050年を見ると、このアイデアでは、2045年から高速増殖炉が実用になるということで、まだFBRが入れる部分はそんなに多くないことから設備容量が少ない。その時代は、次世代の軽水炉が容量を沢山占めており、現在のタイプの軽水炉も共存している時代ということで書いている。
 共存しているものの、増殖比が1.1となっているバージョンと右側にある1.2のバージョンで違っているのは、高速増殖炉やプルトニウムが必要だから、軽水炉から出てきた使用済燃料からプルトニウムを取り出して、そのプルトニウムを準備出来れば次の高速増殖炉が入れるようになる、あるいはしばらくすると増殖比を上げない高速増殖炉が入れるようになるので、プルトニウムを確保する観点から順番に入っていくことが出来るという点であると考えている。その比率がどの程度かは、プルトニウムをどれだけ生み出せるか、あるいはその時に軽水炉がどれだけあるかということでフレキシブルに動くと考えている。今回は、一つの典型例として1.1と1.2で書いているが、実際は経済性や安全性等を見ながら、フレキシブルに動く範囲としてこうしたものが考えられるという理解が出来る。

【委員】
 この絵で読まなければいけないのは縦軸である。従って、特に領域が立っていると幅に目がいってしまい、縦が大きいと微分効果が分かりにくい絵になる。

【委員】
 全体として従来型軽水炉から次世代型軽水炉へ行かないと、高速増殖炉の炉心に行かない印象を与える。そうではなくて、当然その断面で見れば、ものによって従来型軽水炉から直接FBR炉心へ行くことがあり得るのはこの図でも明らかなものの、なかなかそう読みにくい部分が問題であるという指摘だと考えている。確かに下から書けば良いがこの図も非常に馴染んできたことがあるので、その辺りはしかるべく判断すべきだと考えている。

【主査】
 原子力政策大綱に載っている図が元になっており、見慣れている人は分かりやすいが、見慣れていない人には今のように分かりにくい部分かもしれない。従って工夫させていただいても良いが、良いものが出来るかどうか心配でもあるので考えさせていただきたい。

【委員】
 168ページの説明責任の部分で、2段落目に「……地球環境保全への貢献など研究開発の意義や内容を平易な言葉で分かり易く国民に示し……」とあるが、ニュアンスからいくと上下関係がある感じもするので、「皆さんと一緒に考えてきてこういうことがあった。」といった点についてのワーディングが気になった。

(2)RI・研究所等廃棄物の処理処分について

 資料2-1~3に基づき、RI研究所等廃棄物作業部会によりまとめられた「RI研究所等廃棄物作業部会報告書」について事務局より説明があり、委員会として了承された。質疑応答は以下のとおり。

【主査】
 資料2-1の1ページ目を見ると、主なコメントの概要があって国も責任を持つべきだという記述がある。作業部会とすれば、特にこれを踏まえて修正するようなことではないという感じだが、どのような対応になっているのか。

【事務局】
 報告書においても、基本的に発生者責任の原則ということで、発生者が処分事業について対応するわけだが、国としても発生者の処分事業が円滑に進む形にするために責任を持ってしっかりやるということを書いており、主体的・積極的に実施すべきということについて説明しているところである。

【主査】
 本日は、本委員会として報告書(案)を修正したものと、パブリックコメントに対してどのように対応するのかという両方の点について審議するのか。

【事務局】
 資料2-3の報告書(案)は、本委員会でご議論いただくことであり、本日この修正内容及びパブリックコメントに対する考え方について、こういう形で良いかどうかということについてご審議いただきたいと考えている。なお、作業部会の委員の方々には、資料2-2~3について事前にコメントをいただいている。

【委員】
 本件は、発生者である関係機関との協力なくしては出来ないし、国の様々な形での関与や支援がなくては実現出来ないという指摘がなされた。既に報告書の中でもその旨を取りまとめていただいたので、このような形でパブリックコメントへの対処方針として取り進めることが大事だと考えている。いずれにしても、多くの実現に向けて関係機関などが一体となって引き続き取り組んでいけるような環境整備にご尽力いただきたい。

(3)原子力システム研究開発事業「特別推進分野」における平成18年度新規研究開発課題の選定結果について

 原子力システム研究開発事業「特別推進分野」における平成18年度新規研究開発課題の選定結果について、資料3にて事務局より報告。以下の質疑応答が行われた。

【オブザーバー】
 先進湿式法再処理に関する技術開発課題として、「解体・せん断技術の開発」と「抽出クロマトグラフィ法によるMA回収技術の開発」の2課題が選ばれ、「晶析法の研究技術による効率的ウラン回収システムの開発」が不採択になっているが、この課題は、FBRサイクルシステムにとって経済性を決める上で最初の重要なプロセスだと考えている。新しい技術で一番心配なのが晶析技術であり、これを不採択にされてしまったことが今後のFBRサイクル研究にとって心配なのだが大丈夫か。

【事務局】
 晶析技術に関する今後の研究の進め方について、JSTの委員の方々の中で議論した時に、申請された内容について多くのコメントがあったと聞いている。その中で、研究開発計画そのものをしっかりしたものにして研究した方が良い実績が出るだろうということで、今回の提案そのものが見直しを要求されたとご理解いただきたい。
 但し、FBRサイクルの方から見るとこの12課題は、全て行わなければならない重要な課題だと認識している。従って、採択されなかったものについては、改めて原子力機構の中で研究開発計画を練り直して、より良い形にしたもので改めて研究を行うことが検討されている。従って、不採択となった研究を日本で誰も行わないということではなく、別途機構の中でより良い内容に変わった上で研究されると考えている。

【委員】
 FBRについてどうするかということについては、機構でどのように行うかということがあって、それから公募型でどのように行うかという全体があると考えている。従って、その上で望ましい部分が公募型になっていると理解しているが、応募者がほとんど原子力機構という部分もあり、何で公募になっているのか分かりにくい。各課題についてきれいに1つずつの応募になっているのも、本来競争なら2~3グループが出てきて良い気がする。やはり総合的なプランニングがあれば、ここはゼロでも構わないと初めから分かっている課題もあったかもしれないし、これはどうしても公募でやらなければいけない課題があったのではないか。

【事務局】
 全ての研究開発課題は、資料1の添付資料にも実施すべき項目が書かれているが、この中で特に公募にふさわしいものを12課題選んでいただいたところである。本来、様々なテーマについて多くの人が応募してくれると期待していたが、結果として大学から1件の応募もなかったこともあって、12課題に対して12課題しか応募されなかったことは残念だった。但し、公募のおかげで何が出来たかというと、上がってきた研究課題に対して多くの委員の方々に見ていただき、研究の進め方について多くのコメントをいただいた。あるいは、おかしなものについて見直すことが出来たのは、公募の過程を通じてより良い研究開発手法が出来たということではなかったかということで評価している。
 確かに中身を見ると、課題そのものは機構から出たもの、あるいは機構が採択先として一緒にやっていこうとしているところが参画機関に上げられているものが多くて、機構が全く入っていない課題が1つしかないという状況は残念だった。しかし、結果として落ちた課題があったように、機構そのものがこのように進めたいという部分があっても、それを他の人の目によって、より良い進め方に変えられた点は評価出来たと考えている。今回落ちた課題は、計画を見直した上で確実に研究開発をしていかなければ、FSの目標が達成出来ないので、今後の課題として何らかの研究開発を行っていきたいと考えている。

【委員】
 競争的資金として研究を活性化していく場合、可能な部分は敷居を下げる努力が必要とされるのではないか。大学のアクティビティーは決して低くないはずなので、ゼロという結果が気にかかっていたが、プログラムオフィサーや審査委員会の名簿を見ると大学の先生方が入っており、非常に活発な議論でこれから方向性を出す上で効果的であったという説明があった。今後新たに研究を活性化していく上で、文部科学省としてチャレンジを続けていくはずだが、特にこうした競争的研究の組み立て方について審査委員の方々から意見などはあったのか。

【事務局】
 大学の先生方の中では、今回の課題が特別推進であることから目的をはっきりさせようということで、募集する時に出来る限りスペックを詳しく書いている。それに対して、新たに自分のアイデアを広げる範囲が非常に狭く受け取られてしまって、大学の先生方としては、型にはまり過ぎて入りにくかったのだろうという意見があったと聞いている。そうした意味では、これから募集する時に方向を示すことと、幅広くアイデアが入るようにすることのバランスをどうとっていくのかということを課題として勉強したいと考えている。

【主査】
 特別推進分野は、大きなものをいかにしてやっていくかという点で大学が中心となってやりにくい部分もあることは事実だが、もう少し参画機関として大学が入っても良かった。また、革新技術創出型や若手対象の分野では、大学の人々が主体となって行うところも出て来るのだが、特別推進分野についても、大学の得意とする分野で貢献出来る部分もあるから、そうした部分に参画として入っても良かったのではないか。

【委員】
 民間も1件不採択になったのは残念だが、この制度を利用して研究開発を活性化させていくという目論見は、ある部分で達せられたという結論で良いのか。
 今後このシステムを同じように導入していく際に心配なのは、不採択になって応募課題数に満たない状況が出てきた時にどうするのか、という点である。今回は原子力機構で研究するということなので心配ないが、それならば何故、初めから原子力機構がその項目に対して応募しなかったのか。応募しておれば、不採択で該当者なしとなった課題をもう一度、原子力機構に戻すという考え方にはならなかったのではないか。色々な経緯があったのだろうが、その辺りについて分かりにくい部分がある。今後、改善していった方が良いのではないか。

【事務局】
 機構が応募したにも関わらず落ちた課題も2件あり、特に晶析は、多くの委員の方々から様々なコメントが出ている部分であって、そういう意味では、原子力機構がそのとおり行けば良かったのかという点に対して多くのコメントが入ったことで、より良い研究開発課題に入っていくのではないかと考えている。但し、我々はこの形自身が良かったとは考えていないので、これからこの制度自身をより良くするためにどうしたらいいのかということについて勉強したい。
 1点付け加えると、FSの課題については、2010年に評価出来るようにするために成果を出さなければいけないという点もあったことから、今回12課題の応募をさせていただいた。平成19年度分についても、18年度に前倒しで募集する形になっているので、来年度は、特別推進分野を募集しない想定をしている。平成19年度は、基盤分野の募集をする。基盤分野は、これまで平成17年度と18年度2回実施しても、応募そのものが30から40と多く、その中で良いものをセレクトするというやり方が出来たし、大学やメーカーなども含めて切磋琢磨の結果として良い課題が選ばれているので、今後も継続していきたいと考えている。特別推進分野は、来年ということではないが、もう一度考えながらより良い制度にしていきたいと考えている。

【主査】
 この制度が本当に良いのかどうか本委員会で何回か議論のあったところであり、委員の方々からの意見も十分に踏まえて、この制度の良い部分はさらに伸ばし、悪い部分があれば修正して別の方策を考えることによって進めていくことが良い。1点気になったのは、先ほど晶析について様々なコメントがあって、それを踏まえてより良い方策で行うことは良いが、ここに課題として上がっていないものでも研究開発される課題が沢山ある。それについても様々な先生方や専門家の方々からの意見を十分反映して、上手くいくような仕組みは出来つつあるのか。

【事務局】
 FSの報告書の中で評価を書かせていただいているが、元々多くの部分は、主たる研究開発機関である原子力機構が力を入れてやらなければいけないこととされている。このコメントを踏まえて、評価報告書でもプロジェクトや課題の評価等をしっかり行った上で研究開発を進めてほしいということを指摘しており、こうした評価を踏まえた上で、機構でしっかりと評価して研究テーマを決め、さらに進め方自身もしっかりとしたもので行っていくように、我々は進め方を見ていきたいと考えている。

【委員】
 原子力機構としてこの12課題全てが採用されなかったことは残念だが、やはり予算の制約という観点もあったことから3つの課題が落ちてしまったわけである。もちろん今後、採用された課題についても選考過程でいただいた様々な議論を十分踏まえてやっていきたいし、落ちた3つの課題について、来年度はもう公募しないという話もあって残念だが、そうした状況も踏まえて、果たしてこの課題に対してどう対応していくかということを真剣に検討していきたい。
 それから、採択された課題は、今後JSTの中できちんと評価されていくだろうし、原子力機構自身が取り組むべき課題は、外部の方も入っていただき、しかるべき評価体制をきちんと整えて、外部の方の意見も十分反映させたこれからの研究開発の進め方に留意していきたいと考えている。しかるべき段階で、本委員会に対してもその状況について、今回不採択になった3つの課題も含めて今後どのように対応していくかということについてきちんと報告しながら、FBR研究開発に遺漏のないよう取り組んでいきたい。

(4)平成19年度概算要求(原子力関連)の概要について

 平成19年度概算要求(原子力関連)の概要について、資料4に基づき報告。主な意見等については以下のとおり。

【委員】
 高速増殖炉実用化研究開発については、文部科学省の予算以外に経済産業省も新たに40億円の資金を来年度予算として要求していただくことになったので、この文科省の予算と併せてFBR研究開発に取り組んでいきたいと考えている。

【事務局】
 1点付け加えると、原子力分野の人材育成プログラムについては、経済産業省とも十分相談しており、先方では産業界での大学生の訓練などについて手当てするということで、両省で連携して進めていきたいと考えている。

(5)GNEPの現状について

 GNEPの現状について、参考資料1-2に基づき事務局より報告。以下の質疑応答が行われた。

【委員】
 アメリカは、廃棄物処理に関して予算をどれくらい出すのか、日本と比べてどうなのかといったことについて教えていただきたい。原子力の廃棄物処理に関する市民システム作りに関わっている者としては、高レベル廃棄物処分の予算が伸びていないこともあり、実際これで良いかどうかを誰が判断するのかと感じている。「もんじゅ」の研究は良いけれども、これだけ予算をつぎ込んで本当に実現するのかという点について国民へ説明しておかないと、予算は前年よりも多くなったから関係者は良いかもしれないが、予算を注ぎ込んだ割に実現不可能であれば困る。反対するわけではないが、そういう厳しい感覚を研究者は持ち続けなければいけないのではないか。

【事務局】
 あいにく情報を全て持っているわけではないので、後ほど調べて報告したいと考えているが、このGNEP構想に限れば、当初アメリカのDOEが言っていたのは、250ミリオンダラー、円に換算すると250~300億円くらいである。但し、これはGNEPだけであり、議会の下院と上院でも考え方が異なることから現在調整中だと聞いているおり、その予算額で決まるわけではないと考えている。

【委員】
 外部から見ると、高々300億円で大げさな言い方をして良いのかと感じた。日本の方がよほど廃棄物処理の研究に対して予算を使っているのではないかということもあるので、アメリカの情報もきちんと押さえながら、日本の廃棄物処理は緊急の課題なので、そこに研究者が育っていくよう文部科学省としてご尽力いただきたい。

【委員】
 アメリカのGNEP計画が長期的にどの程度信頼度を持って進められるかどうかは、関係者が大変気にしているところである。現在のアメリカの最大の課題である使用済燃料処分に関するヤッカマウンテン計画は引き続き実現したいということで、大きな予算を投じながら取り組んでいくということであり、その将来の計画を現実的にこなしていくためにGNEP計画という形で本年初めに提案されたわけだが、その後、半年近くかけてアメリカのエネルギー省の中でこのGNEP計画の体制をかなり強化した結果、今回改めて8月に新たな計画を提案してきた。それから、議会での予算審議も進んでいる状況の中から、特に2つのトラックに分けて長期的な視野の下にどう取り組んでいくかという計画を出していることからすれば、我々はアメリカがしっかり取り組んでいるという判断の下で、今回GNEP計画に対するEOIに対して日本も積極的に提案していこうという判断に至ったわけである。この判断に至るまでに、電気事業連合会や日本電機工業会など関係機関の方々と相談しながら、日本としていかに対応すべきかということを、1カ月という非常に短い期間ではあったものの大変悩みながら相談してきた。もちろん本委員会でも、FSの評価報告書の中で触れていただいているとおり、こうしたGNEP計画などの国際的な計画に対しては、積極的に取り組むべきという指摘もいただいている。高速増殖炉実用化戦略調査研究や現在の東海再処理工場、あるいは六ヶ所再処理工場やプルトニウム燃料加工の今までの経験を積極的に生かしていくべきだということで、原子力機構だけでなく関係企業の方々も一緒になって今回の提案に扱ぎ付けたわけである。
 但し、この提案を受けてアメリカのエネルギー省がどのような形で今後の計画を煮詰めていくかということに対しては、十分注意しないといけない。2年近くこの提案を受けて次のステップをどう進めていくか。その時には、かなり施設の具体化を進めていくことになると考えているので、その段階に対してどのような形の働きかけや協力を行っていくべきかということについて、我々研究機関や企業の方々に加えて、是非政府の方々も一体となってアメリカとの協議を進めながら、果たしてこれがアメリカにとって実現が進むものなのかどうか、あるいは日本にとってどのような協力が良いのかということについて、十分見極めながら進めていかなければならない課題だと考えている。

【委員】
 アメリカは、再処理を一生懸命やっていた時期もあって、政策が非常に変動する。エネルギー省としてしっかりやろうということになっているものの、原子力政策は、政権の意向に左右されてきた経緯もあるから、簡単にこれで出し切るというわけにはいかないかもしれない。そういう意味では、是非アメリカの様々な人々の考え方や状況を踏まえないと、この対応は難しいと考えている。我々は、それこそ30年前のカーター政権の時など、驚天動地ではないもののそれに近いこともあったわけである。そうした意味でも、きちんとアメリカの状況をウォッチすることが大事である。また、アメリカの予算は本当に難しく、日本の予算と同じような仕組みであるかというと難しいところがある。まして、廃棄物は様々なところと関連していて、我々が見ている予算の数字とアメリカのそれはクリアに対応しない面もある。
 それと、ここに出ている机上配付の資料は、全体が前年度よりも増える数字になっている。科学技術・学術審議会の総会でも議論があったことだが、これは恐らく要望枠も含めた数字であり、科学技術は比較的伸びた数字になっているが、世の中は全然違うことを言っている。全体的に何兆円かの削減目標があるので、こうした数字とかなり違った風が吹いていて、その行く手は大変である。

【事務局】
 エネルギー対策費関係は、5年間の伸びを良くてプラスマイナスゼロにするというシーリングがあって、それに対して「要求額」と、要求額に加えて20パーセント程度まで要望を出して良い「要望枠」という予算要求の構造になっている。確かに一般会計は要求が増えているわけだが、12月の政府予算案の策定に至るまでには、財政当局とハードな折衝があって、上積みの20パーセントとなる部分を削っていくので、相当大変なことになると考えている。また、特別会計についても、電源開発促進対策特別会計と石油関係の特別会計を合体して新しいエネルギー特別会計を作る制度改革が来年予定されているので、これも一連の行革の流れで厳しい方向に行くわけであって、決して我々事務当局は楽観しているわけではなく、これから財務当局と非常に厳しい折衝を行っていかなければならないと考えている。但し、原子力については、その役割について世界的にも大きな見直しが進んでいるので、今年の要求については、我々としても財務当局と堂々と闘っていきたいと考えている。

【主査】
 GNEPは、参考資料1にもあるとおり、文部科学省と経済産業省が両方で行っており、我が国として研究開発からいかに実用化に結びつけていくかという重要な点について5者協議会などで検討している。GNEPの対応は、多くの予算を使うこととなり、国際上も重要であることから、国を挙げて様々な意見を聞きながら失敗しないように進めていくことが重要である。

【委員】
 現在のアメリカとの協力に関しては、政府間協議のエネルギー分野の協定の影響は受けずに済むのか。

【事務局】
 GNEP計画を進めていくに当たっては、新しい枠組みも必要になってくると考えている。サイクル関係では、第4世代型原子力システムの研究開発に関する国際協力フォーラム(GIF)などの別の枠組みも活用出来るだろうが、出来ない部分については新たな枠組みを作っていくことになるのではないか。その辺りは、アメリカと相当議論していかないといけないと考えている。

(6)その他

 次回の委員会については、10月31日に開催を予定している旨、事務局より連絡があった。

-了-

お問合せ先

研究開発局原子力計画課