原子力分野の研究開発に関する委員会(第19回) 議事要旨

1.日時

平成18年7月21日(金曜日) 15時~17時

2.場所

経済産業省別館 1111号会議室

3.議題

  1. 高速増殖炉サイクル実用化戦略調査研究フェーズⅡについて
  2. RI・研究所等廃棄物の処理処分について
  3. 原子力に関する研究開発の推進方策について
  4. 平成19年度概算要求における重点課題等の評価について
  5. 高速増殖炉サイクル実証プロセスへの円滑移行に関する五者協議会について
  6. その他

4.出席者

委員

 田中主査、石田委員、伊藤委員、井上委員、岡崎委員[議題(1)のみオブザーバー]、加藤委員、木下委員、小林委員、知野委員、中西委員、早野委員、和気委員

文部科学省

研究開発局
 森口局長、村田審議官、中原原子力計画課長、中村原子力研究開発課長、須藤放射性廃棄物企画室長

5.議事要旨

(1)高速増殖炉サイクル実用化戦略調査研究フェーズ2について

 高速増殖炉サイクル実用化戦略調査研究フェーズ2について、資料1-1~3に基づき事務局より説明。以下の質疑応答が行われた。

【委員】
 資料1-1で、第一部だけが「ですます調」で、残りは「である調」になっているが、何か意味があってそうしているのか。

【事務局】
 事務局の意図として、第一部は総論なので様々な人々が読みやすいよう、出来るだけ片仮名もなく分かりやすく、という考えで記載した。また、第二部及び第三部は、原子力に詳しい人が読むだろうということで、専門用語も入れながら記載した。但し、委員会の議論を踏まえて、そこはいかようにでも変えていこうと考えている。

【委員】
 第一部だけ読む人はそれで良いということならば、第一部~第三部のヘッディングがふさわしくなく、構成が気になる。特に第二部の4.で、様々なものを比較して選択したということが書いてあるけれども、ずっと読まないと出てこなくて、これで良いのかという気がする。また、結局この第二部は、どちらかというと作業部会のレポートみたいな感じがする。通して読めるように書いて、附属文書的に作業部会の文書がある方が読みやすい気がするので検討していただきたい。また、第一部は「ですます」でということだが、6ページに1カ所だけ「現日本原子力研究開発機構を設立した」という文章があるので確認していただきたい。
 ここは、技術的なことを議論する場ではないということなので、細かいことを言うつもりはないが、例えば燃料の初期には増殖比が必要で、後は必要ないということだけれども、世界全体でプルトニウムがどの程度あるかという状況によって変わってくる。従って、あるところでは、選んだものが変わってくる可能性がある。何か決めなければいけないわけだから、とりあえずこうしておこうというのは良い。しかし、理由については、例えば二重管を流れる高速流体と管壁の物性がよく理解出来できた上での選択かといったことなど疑問があり、様々な今後の研究で変わりうる場合があるだろう。
 技術検討書をCDにして見せて頂き、全般的な印象として素人には、いわば解説書的な書き方になっていたのでありがたかったけれども、逆に言うと迫力が感じられなくて、各選択肢についてこんなイノベーションをやり遂げたのでこれでやりたいという部分が見えにくく、これなら出来るという部分が足りない感じがする。

【委員】
 確かに第一部は、分かりやすく「ですます調」ということで非常に良いけれども、丁寧でソフトという感じがある反面、押しつけがましい一面もあるので気をつけてないといけない。それよりも大きなことは、本委員会でエンドースする範囲がどこかということがあって、作業部会で議論して全体で了解したのは良いけれども、この内容を詳しく一言一句、本委員会で了解すると言ったかとなると、なかなか難しい部分もある。但し、それは2段階で難しいだろうから、なるべくこれをきちんと深めてまとめるのが良いのではないか。そう考えると、第一部でサイクル候補の中のどの概念をどう選択したかという部分を、なるべくはっきり書いた方が良い。第二部で、どこにその選択の部分があったのかと一生懸命読んでなかなか分からなかったのだが、今の説明を聞くと、第二部4.の(4)の部分で主概念を選択したと書いてあるということで、その辺りの選択は分かりにくいところがある。そうした意味で、第一部でもこうした炉概念を選択したということをはっきり書いた方が良い。
 また、選択と集中、柔軟性、バランスということが書かれているが、どうバランスを取るかという点について、趣旨が書いてあって何度も議論をしていることは分かるけれども、要求しているものをどのように具体的にやっていくのかについては、答えが書いていない。なかなか書けないのだろうが、もう少し踏み込んだ記述があって良いのではないか。

【主査】
 第一部をどのように特徴付けるかについては、事務局とも検討しているけれども、また色々とご意見をいただければと考えている。

【委員】
 「はじめに」の部分で、原子力政策大綱を引用しているけれども、せっかくパブリックコメントを出すのであれば、7月のサミットでエネルギー問題をG8で話し合ったところなので、エネルギー事情について各国の多様性を認めていきたい。また原子力エネルギーの確保は重要であるが、安全性をコミットしたいなど、現状の世界状況も取り入れると非常にアップデートな宣言になるのではないか。

【委員】
 例えば、地球温暖化の技術をどう評価するかというアセスメントレポートについて世界標準的な書き方をすると、まず、エグゼクティブサマリーという形で、これからのロードマップも含めて全体象を書いた上で、テクニカルレポートのようなものを後ろへ付けることになる。そうした書き方が、一般的には分かりやすい。そういうスタイルで通すとすれば、ある意味では、第三部も政策のロードマップまで含めたエグゼクティブサマリーになるのではないかと考えるので、第一部と第三部は先に出してしまって、その後ろに第二部の技術評価の部分を付けることによって、通しで読んだ方が全体象も分かる。
 もう1点として、グラフや表が書かれているのはとても良いことであり、大変読みやすくなる。しかし、せっかく書くのであれば、文章の中で上手く図表をリファーしてもらえると、より一層図表の使い方が明確になる。

【主査】
 第三部の「研究開発を今後どう進めるか」については、表紙にもあるとおり重要な部分である。そこが入ってきた時に、どのようになれば分かりやすいのかが明確になってくるので検討させていただきたい。

【委員】
 第二部の技術的評価の中で、作業部会の中で特に議論があった点について紹介してもらいたい。

【事務局】
 資料1-1の36ページ以降をご覧いただきたい。まず1点目として、これからの研究開発は、2050年以降とそれ以前で出来る施設も異なり、開発目標も異なるのではないかという視点から、2050年以降の話だけでなく、2050年までのことについてもしっかりと開発目標を決めてほしいという意見があった。これを受け、今後5~10年間のレポートでは、2つに分けた議論がされていくと考えている。
 技術的な部分では、38ページ以降にあるように、2050年からの炉については増殖比を1.2くらいにするが、そのまま進めるとプルトニウムが余る時代になってしまうので、その後1.03くらいにするとしている。このようなプルトニウムバランスについては、39ページの左側の絵で示したものを想定している。但し、これで国内のプルトニウムバランスを図ることが出来ると技術的に言っているだけで、将来、我が国が世界との関係でどのようになるかは社会的状況の変化によるので、その際のことまでは書き切れていない。
 技術的な部分で特に話題になったことは、49ページ以降にまとめている。蒸気発生器の二重伝熱管技術については、特に水とナトリウムの接触について社会的抵抗感が強いという観点、あるいは、安全性を高める観点から、採用すべきではないかという議論と、世界の動向を見ると、世界は二重管を採用しておらず、日本だけが二重管を採用しても海外との関係で本当に主流の技術となり得るのかという議論があった。結論として、両方の意見はあるが、研究開発として革新的なことをやっておくことは重要であるということで二重管を研究開発課題として取り上げようという議論があった。また、燃料サイクル技術は、技術成果のレベルが炉ほどまでに至っていないという議論があって、特にその中でポイントになったのは、全体的にホットでの基礎物性データに不足があるのではないかという点で、今後特に力を入れて研究すべきと提言している。

【委員】
 参考資料1も含めて、これまで原子力委員会からコメントが出ていたが、本委員会としてそれぞれの対応状況を整理していただきたい。それから、本体と必要なサイクルのことだけ書いてあるけれども、最終的な使用済み燃料の処分も国民に安心してもらわないと、作る部分だけ突出している感じを受けるので、そうしたことも別途必要だという認識を持ちつつ行っているということは書いておくべきではないか。

【主査】
 了解した。原子力委員会からの過去2回のコメントは、技術的な部分が多くて、それについては、本中間整理案や今後の研究開発の留意事項などに反映させているところだが、今回の資料(参考資料1)は、別の視点での注意になっているので、最終報告書の中にどのように対応していくのかについて検討の上、報告させていただきたい。特に研究開発をどうするかについては、本報告書の第三部をこれから密に検討していくところであるが、そこにかなりの部分が反映出来るのではないかと考えている。
 次に、資料1-2~3については、ここで議論したことを最終報告に反映させていきたいということか。

【事務局】
 人材問題については、これまでに様々なところでご意見をいただいているので、これを踏まえまとめてみた。体制については、これまでにあまりコメントなどをいただいていないので、ご意見をいただいた上で、文章化し、ご審議いただきたいと考えている。

【委員】
 将来の人材は、大学が担わなければいけないということで、原子力分野に来た人の教育について書いてあるが、この分野に来てもらえるようにという部分が必要である。従って、大学の先生方が魅力的なことを行って、学生達に目を輝かせて語るようにするためには、現場で教えなければならない。それをきちんと行うためのインフラが衰えているので、それをどうやってサポートしたら良いかということについて、せっかく文部省と科学技術庁と一緒になったのだから、何か上手いことを考えていただきたい。

【主査】
 重要な点だと考えている。せっかく「もんじゅ」が修復中で、もうじき運転が始まっていくところで、実際に現場で勉強することも多い。我が国の貴重な施設を上手く活用することが大事だし、そういう意味では、日本原子力研究開発機構のプルトニウム燃料技術開発センターや再処理技術開発センターをどう活用していくかということも含めて考えたい。

【委員】
 人材や体制についていざ進めていくとなると、かなり思い切ったことをしなければいけない。例えば、高齢化した人材の活用などがあるだろうが、それでもまだ足りないし、恐らく原子力分野の若い人々は本当に少なくなっていて、しかも、原子力機構などは非常に大きな仕事を抱えているという状況にある。
 一方で、外国との共同研究はいつまでやって、外国人研究者はいつまでどのような形で来るのが良いのかということがある。確かにFBR技術は、国の戦略的な技術であるから、判断する司令塔がきちんとした判断をしなければいけないが、どこまで外国人能力を活用するのが良いのかということについて、我々も考えておかなければいけないのではないかという感じがする。具体的に何をすることが所以であるかということを今一歩踏み込む必要があるのではないか。

【事務局】
 先ほど、大学でどう教えていくか、あるいは大学の施設が老朽化している状況なども文部科学省になったので考えるべきとの意見があり、まさしくそのとおりである。日本原子力研究開発機構では、現在、連携大学院制度を活用して、各種大学と連携して様々な授業や実験を行い、その際には機構の施設を活用してもらうといったことも行っているところである。FBRだけでなく人材問題全般については、第3期科学技術基本計画や原子力政策大綱においても非常に大事なエレメントなので、現在、まさに来年度の予算要求をどのようにするか政府部内で考えているところだけれども、そうした大学の原子力教育の方にも手を伸ばすことを考えているし、機構の現場だけでなく、例えばメーカーや電力の現場などもある。その辺りのインターンシップ制度などの可能性についても、文部科学省だけでなく、経済産業省なども人材の問題は大事だと考えているので、連携してどれだけカバー出来るかということを一生懸命議論しているところである。8月になって予算要求の姿が固まれば、本委員会できちんと報告したい。

【主査】
 現在、国の方で検討させていただいていることはありがたい。初めは小さくても、もっと実態を伴って大きく届く形に持っていって、日本で大学を含めて原子力、あるいは高速炉の教育から研究開発、実用化ということが一体となって上手く動く仕組みの第一歩だと考えているので、また皆さんからのご意見もいただいて、国の方にも反映させたいと考えている。

【オブザーバー】
 大学教育やその前の中学校、高等学校でのエネルギー教育分野での充実は大事なことだと考えており、せっかくこうした国家基幹技術や原子力研究開発に関する政策的位置付けが高くなってきたわけだから、是非この機会にそうした教育が広がっていく取り組みをお願いしたい。
 それから、海外との交流について、日本原子力研究開発機構では、全体的に他分野に比べて外国人研究者の比率が決して高くないので、是非そこを高めていかないといけない。具体的にFBR研究開発における外国との協力、特に人の受け入れ等については、少し戦略的に考えていく必要がある分野だと考えている。現在は、主として日仏の原子力協力協定に基づいて、例えばフランスに対してはフェニックスに人を派遣し、そのかわりに「常陽」と「もんじゅ」にフランス人研究者を常時受け入れている。こうした制度は、大変良い仕組みで動いており、本当の意味での技術交流という点で役立っている。今後、具体的にそれをどう広げていくかということについては、本委員会など様々なところで、これからのGeneration4の仕組み、GNEPのアメリカとの協力、あるいは中国等の協力も含めて、FBR全体のこれからの国際戦略をこうした場で議論していただきたいと考えている。人をどのような形で交流させていくかというのがこれからの大きな要素になるので、そうした点も含めたGIFやGNEPなどの国際戦略の中における人の交流について、あるいは施設共用の部分について、そうした点を加味した戦略的且つ国際的な取り組みについて、しかるべき機会にもう一度議論していただきたいと考えている。

【委員】
 人材の確保に関して、これからどの程度人材が不足するかの切実度合いを教えていただきたい。というのは、科学技術分野の人々の話を聞いていると、どの分野も少子化だから当たり前かもしれないが、人がいないという話になってくる。そして、このままでは技術が育たないということで、少し聞き慣れてしまって驚かなくなっているということもあるので、是非その切実度を教えていただきたいし、可能であればそれを書いた方が良い。

【事務局】
 資料1-3の3ページ以降に幾つかデータを載せている。これは、大学生の数は入っていないが、実際に研究開発の現場でどうなっているのかを示している。「もんじゅ」については、3ページの右側にあるように、「もんじゅ」の設計を経験した方は50代から上という状況になっている。今後、実証炉や新たな施設を作っていくためには、設計に携わった人がいなくなってしまうことは非常に厳しい、ほとんどギリギリのところへ来ているのではないか、というのがFBRの状況だと考えている。
 4ページは、日本電機工業会で調べていただいたものから抜粋したものだが、特に左の方を見ていただくと、「もんじゅ」が建設を開始した頃、あるいは実証炉が計画され、その検討をメーカーや電力で行っていた頃の人数から比べると、今は随分アクティビティーが落ちている状況であることが分かる。さらに、「もんじゅ」の設計をした経験者、実際に物を作った経験者は50代以上の世代となっている。これから物を作っていかなければならないことを考えると、やはりある程度の時期には設計や建設の機会があることが重要ではないかと考えている。
 その次のページが再処理関係である。再処理関係については、六ヶ所にある大型再処理工場の設計や建設ということで、これまで総力を挙げ取り組んできたわけだが、いよいよ試運転という状況になり、そこで若干人数が落ちてきている状況である。こうして見ると再処理は、炉ほどは落ちていないが、これからどうなるかというところである。但し、研究開発の進捗を見ると、再処理研究は炉よりも遅れているという比較がなされているので、この点からは、再処理に力を入れなければいけないかもしれないと考えている。

【委員】
 今後何年間でどのくらい人が必要になるという数値目標的なものは出し得るのか。

【事務局】
 現在、研究開発課題として取り組もうとしているものは、ここに選定してきている。もしもこの内容で良いとなれば、その課題のためには具体的にどれくらい人が必要なのかを算定出来るかもしれない。今はまだ、どこに力を入れていくかという課題を決めたところなので、そこまでの数字は無い状況である。

【委員】
 皆さんの意見に反するかも知れないが、人材の育成と業界の発展の因果は、人材があるから業界が発展するのではなくて、基本的に業界が発展するから人材が集まるという関係だと考えている。これが経済原則であろう。従って、原子力に夢があって、そして実需があれば、優れた人材は放っていても来る。その意味でこういう報告書にも、出来るだけ夢を持たすようなことを書いていただき、これなら面白そうだと思わせることが必要である。同時に、それによってもちろん一番大切なのが業界の活性化で、原子力業界が発展すると、学生たちは鋭敏だから放っておいても来るだろう。

【委員】
 資料1-3の4~5ページの統計が何を意味しているかというと、企業で関連した技術者が減っているけれども、これは仕事がないから減っているだけの話で、今までFBRをやっていた人が軽水炉など他の場所に移っているという結果である。従って、FBRや再処理の専門家がどのくらい必要かということを言った方が的確である。大学での教育は、恐らくそれを意味している。それと、現在のメーカーで人が減るのは当たり前で、機械工学などの異なる立場から設計や材料を担当することで原子力を支えていて、そういう人の数が圧倒的に多い。従って、原子力の専門家に関する育成と、原子力の専門家ではないけれども、原子力を支える人達にいかに原子力に対して目を向けさせるかという2点については、分離して議論しないとおかしなことになる。

【主査】
 学生は敏感であり、原子力をやるならば、将来日本の原子力を引っ張っていく人になりたいと思いつつも、一方で世の中を見ていると本当に原子力に行って良いのかという観点も持ち合わせている。

【委員】
 結局、メーカーがどれくらいの技術者を保有するかは、経営の問題。仕事の量と保有する資源量を上手くバランス化して、事業として継続させることが大切になる。FBRの事業に対しては、結果的に仕事がないので、このように減員せざるを得なかった。そういう意味では、仕事があれば必ず技術者が要求され、当然その過程で育成されてくるので、技術者の数が上がってくることが考えられる。他の事業でも共通に言えることだが、早目に将来の事業の姿が分かると、メーカーとしては人材の投入量や質などが予測しやすくなる。そうした意味で、早目に様々な課題を抽出して、そのために必要な技術者をどれくらい投入すべきかということを業界で判断し、遅れをとらないように、早目にプロジェクトの目標とロードマップを関係者間で共有できるようにして頂きたい、と考えている。

【委員】
 原子力の事業を進めていく上で、やはり地域との関係は非常に大きなものがある。地元の要望というのは、地元で人を育てて、産業にして、それを核にして発展していきたいという部分もある。その辺りもこれから考えていく必要があるのではないか。

(2)RI・研究所等廃棄物の処理処分について

 RI・研究所等廃棄物の処理処分について、資料2に基づき事務局より説明。RI・研究所等廃棄物作業部会報告書に関して、骨子案(第2次案)に沿って報告書をまとめていくことについて了承された。主な質疑応答は以下のとおり。

【主査】
 原子力機構は、他の重要な研究開発に影響がないようにしつつ、発生した廃棄物処分も着実に推進していくということが資料2-1(概要)の3ページに書かれているが、資料2-2(本文)ではどのような記述になっているのか。

【事務局】
 資料2-2の10ページの上から2つ目のパラグラフで、ほぼ同じように記載している。

【委員】
 障害防止法や炉規法があって、炉規法の中でまた原子炉と核燃料のものがあるが、どこから出てこようと最後は放射性同位元素の問題であって、その由来はどこであれ、同じものなら危険度はほぼ同じである。それをどう処理・処分するかということについて、二重規制への対応などが書いてあるけれども、何か法整備を考えているという意味か、それとも何か運用を上手く考えるという意味なのか。

【事務局】
 まず、基本的に法の運用で対応していき、もし不都合などがあれば、それに応じて法的な部分の対応も考えていくことになる。

【主査】
 実は同じような問題が他の所でもあるので、法整備などについて検討していただきたい。

【委員】
 全体的に、本報告書は良くまとめていただいている。恐らく、新しい法的枠組みを作ろうとしていると認識している。そんな中で、日本原子力研究開発機構が関係者と協力して「推進」と書いてあるが、「実施」と「推進」はどう違うのかを区別する必要がある。「実施」と「推進」の違いについては、非常に長い議論があった。国の役割が2つあって、1つは、研究開発を促進する機能は確かに国としてあるけれども、同時に一旦社会活動の中に放り込まれた以上、発生者責任が大事であって、出した人がきちんと始末しなさいということでやってきたはずである。その辺のバランスをどう取るのかがあって、国がどこまでその資金を出すことをコミットし得るのかが重要である。その辺りについて、特に学識経験者の方々の共通意識がどんなことかという部分をはっきりさせることが、この報告書で非常に大事なところである。そこで、日本原子力研究開発機構が一歩踏み込んで処分事業を行うことは、確かに大きなポイントだと考えるが、そう理解して良いのか。

【事務局】
 そのように理解していただいて結構である。

【委員】
 意味するところは当然そのとおりである。しかし、そこまでの様々な整備、例えば独法の位置付けや資金確保の問題などが整備されて初めて実施に移ることなので、そこは、単に言葉だけで他の研究開発に支障を及ぼさないというだけでなく、本当に関係機関がきちんと資金を積み立てることが出来るかどうかという点も十分整備して初めてこの制度が実現する。但し、ここで言っている推進の意味は、当然実施についてきちんと見通しを付けて行っていくことだと理解している。

【委員】
 世間一般の廃棄物を見ると、徹底的に分別・リサイクルすることを会社に義務付けている。これを見ると、放射性廃棄物には多くの予算をかけて埋める方向だけをとっているのは、どう考えてももったいない。放射性物質を徹底的に分別すれば、低レベルのものの扱いも異なってくるだろうし、またどのくらいリサイクル出来るかということも判ってくると思う。その辺りをきちんと検討すれば、将来埋めるものも少なくなるだろう。そうした技術開発がどのような状況になっているのかはよく知らないが、資料2-1の5ページを見ると、7.のところに「確認技術の確立」とある。リサイクル技術や分別技術といった項目はないが、どう素人目で考えても、廃棄物をただ埋めてしまうのはもったいない気もする。

【事務局】
 基本的におっしゃるとおりであり、事業者の方々も、当然リサイクル出来るものはリサイクルするということでやってきており、その点は、作業部会でも再利用等について議論をいただいているところである。研究開発においては、まず廃棄物発生量の低減化の重要性について、概要及び本文で記載している。また、再利用については、本文23ページの7-2の初めのパラグラフの2行目で、「…発生量の抑制、処理費用の抑制を図るための研究開発を進めることとすべきである…」と記載している。それに加えて、再利用について積極的に考慮するということについても同じ箇所に記載させていただくとともに、再利用、再使用していく時に、規制でそれが出来ない場合も検討すべきではないかというコメントもあったので、本文20ページの6-2のすぐ上のところで、「…さらにRI・研究所等廃棄物の発生者における同廃棄物の再利用、再使用に関する検討を踏まえて必要に応じて安全規制上の課題を検討すべきである。…」ということも記載している。概要に書く時の引用の仕方に若干問題があったかもしれないけれども、作業部会においては、非常に重要な問題として議論していただいたと考えている。

【委員】
 徹底的に分別し、再利用出来るものは行っていくという基本はそのとおりだが、現実的にはやはり過去の50年間の歴史の中で古いものについては、海洋投棄等が検討されたこともあって、既に処理してしまっていたり、様々なものが混在している現状がある。従って、それらについても十分見直ししていくけれども、もう一度遡って分別し再利用していくことが必ずしも現実的に出来ないという問題がある。但し、安全第一であるから、その中身について出来る限り同定していかなくてはならないが、過去の中でもう一度それを処理し直していくことについて、経済的な問題も含めて難しい問題があることを一言申し添えておきたい。

【委員】
 確かにリサイクルも再利用も大事である。但しこれは、放射性物質であって、それをどう使うかという話である。現実には、廃棄物はいじればいじるほど増えていくという感じがある。本当はもっと本質に着目して、きちんとした分別が出来ればいいわけだが、なかなかそうではなく、いじればいじるほど廃棄物が増えていくという一面もあるから現実に難しい。そうしたバックグラウンドが、リサイクルについてそれほど大胆に記載していない所以となっているのではないかという感じもしている。

【委員】
 資料2-1の5ページ、5.(2)の2点目のところで、「処分事業者が関係者の協力を得て共生方策を実施。国も処分事業者が行う共生方策と連携して、共生方策を実施。」とある。実際にこれを進めていこうとすると、地元対策などが非常に大変と思われる。日本原子力研究開発機構がメインとなるが、他にも入ってくる。今後、どういう形でこの共生策を進め、その予算を確保していくのか、またどのような負担で行うのが良いのかを詰めていく必要があるので宜しくお願いしたい。

(3)原子力に関する研究開発の推進方策について

 原子力に関する研究開発の推進方策について、事務局より資料3に基づき説明し、了承された。主な質疑応答は以下のとおり。

【委員】
 20ページ17行目の人材のところで、「…原子力関係の学部、大学院等に対し…」とあるが、「大学院」と「等」の間に「、研究所」と入れていただけないか。学部、大学院と研究所は部局として別だし、一方で法人化によって予算的に一括で大学へ行くので、学内で埋没しかねない面もあり、非常に苦しいところがあるので、その一言を入れていただけないかという希望である。
 それから用語集について、53ページに二次粒子とニュートリノという用語がある。二次粒子は、J-PARCに関連して説明されていると思われるが、加速器で加速して出てくるのが一次粒子、それで、ターゲットに当たって出てくるのが二次粒子ということで別に間違っていないが、分かりやすくするには、最初の大強度陽子ビームの後に括弧して「一次粒子」と書いていただき、それを物質に衝突させるというのもおかしいので、ここは「標的物質」の方がより良いと思われる。それから、「素粒子反応」という言葉は、あまり使わない気もする。また、その後ろに例が4つ書いてあるけれども、J-PARC絡みで書いているのであれば、一番関心を持たれる3GeV(ジェブ)から出てきたところでいえば、ニュートロンとミューオンであり、最後の部分にニュートリノがある。従って、その中性子とミューオンとニュートリノが抜けているので入れていただきたい。順序としては、中性子、パイ、中間子、ミューオン、K中間子、反陽子、ニュートリノの順になると思われる。
 それから、ニュートリノの用語解説で、前の方で専門的に電子、ミュー、タウに対応して3種類があると書いているのに、最後のところで「標準理論では、質量ゼロとされているが、本当に質量ゼロなのかは理解されていない」というのは、日本人として少し寂しい。この最後の部分は、「質量ゼロとされているが、最近のスーパーカミオカンデやカムランドの研究により、非常に小さくはあるけれども、質量があることがわかってきた」というように修正していただきたい。

(4)平成19年度概算要求における重点課題等の評価について

 平成19年度概算要求における重点課題等の評価について、資料4-1~2に基づき説明。質疑応答は特になし。

(5)高速増殖炉サイクル実証プロセスへの円滑移行に関する五者協議会について

 高速増殖炉サイクル実証プロセスへの円滑移行に関する五者協議会について、参考資料2-1~2に基づき説明。以下の質疑応答が行われた。

【委員】
 五者協議会自体は結構だが、実際の研究開発の主体が見えるようにするためにどのような手順で進めて行くのか。つまり、実際にデザインや開発を行うためのチーム作りはどのような手順になるのか。

【事務局】
 現在の研究開発の主体たるものは、まさに日本原子力研究開発機構であり、電力関係者などもチームの中に入ってもらって、FBRサイクルの研究開発を進めている。それ以降、実証段階に入ってくる時に誰がどう担っていくのかという非常に難しい議論があって、国も将来のユーザーたる電力事業者もやはり一定の役割を果たしていく。そうした役割分担などについて、この五者協議会でよく相談していこうというものであって、現在のところ、実際の研究開発自体は、日本原子力研究開発機構が担っているということである。

【委員】
 国家戦略でやろうというのであれば、五者協議が認知している形でのチーム作りがあるのではないか。

【事務局】
 そうした意味では、現在、日本原子力研究開発機構のチームが主体である。ここでは、新たに研究開発チームを作っていくというより、ここで関係者が入って、現在行っている研究開発に様々な意見を出したりしていく。あるいは、さらに実証段階に発展させていく時には、誰がどのような役割分担を担っていくかといったことを考える場として作ったということである。

【委員】
 同じ質問だが、参考資料2-1の2ページ目、3.の2点目にある「FBRサイクルの研究開発について、…」のところで、文部科学省と経済産業省が両者とも必要な予算の獲得を目指すとある。従来、FBRサイクル技術開発の予算は、全部文部科学省だったわけであり、これが具体的にどのような意味を指すのかは理解出来ない。要するに片方の予算ではなく、両方から独立して予算獲得を目指すという意味か。

【事務局】
 はい。

【委員】
 それは倍増を意味するのか。

【事務局】
 とても倍増まではいかないと考えている。

【委員】
 そういうことであれば、この書き方は理解出来ない。要するにどちらかに権限を渡すとか、話し合いで決めるというなら分かるけれども、両方が競争するのか、強調するのかも含めて、予算がどうなるのかということが全然見えない。

【事務局】
 国は、行政機関の中で役割分担して仕事をしているわけであり、FBRサイクルについても文部科学省、経済産業省の役割があるわけだが、基礎・基盤的な研究開発については、全般的に文部科学省が責任を持って、それを日本原子力研究開発機構が行っている格好になっている。  一方、段々と研究開発のステージが進んで、その実証段階になってくると、専ら基礎的な部分を行っている文部科学省だけでなく、経済産業省も一定の役割を果たすようになってくるかもしれない。従って、経済産業省のテリトリーの中に入るような実用化をにらんだ研究開発については、経済産業省が予算要求していくということである。これまで、経済産業省はそうした予算を全く持っていなかったので、実用化をにらんだ予算分けをしていこうということである。

【委員】
 実用化に向けた研究開発を新しいテリトリーで作っていくという理解で良いか。

【事務局】
 そうしたことを経済産業省でも検討されていくということである。

【委員】
 しかし、これは現実的に難しい問題である。例えば再処理の確性試験は、従来文部科学省が予算をつけていたが、2年前に経済産業省の原子力安全保安院の管轄に移ってしまったことがあった。そうすると、実用化という名目で予算は大幅に削られてしまう。むしろ、現実的に文部科学省で必要だという将来的な展望や長期計画があるわけで、そこに実用化が近いということで経済産業省と協力して行うことにすると、長期的な展望が崩されていく可能性が強い。従って、協力関係というのは必ずしも良くないので、その辺りも含めて十分協議していただきたい。

【事務局】
 承知した。

【主査】
 さらに省庁間で連携しながら協議していくが、もしかしたらマイナスの方向へということも考えられるかも知れない。しかし、そうしたことを目的としたわけではないので、ご注意をいただきながらやっていきたい。

(6)その他

 次回の委員会について、8月25日に開催を予定している旨、事務局より連絡があった。

-了-

お問合せ先

研究開発局原子力計画課