原子力分野の研究開発に関する委員会(第17回) 議事要旨

1.日時

平成18年6月5日(月曜日) 13時~15時

2.場所

三田共用会議所3階 C‐E会議室

3.議題

  1. 原子力システム研究開発事業について
  2. 量子ビームテクノロジーの研究開発・利用推進について
  3. 核融合研究開発について
  4. 原子力に関する研究開発の推進方策について
  5. その他

4.出席者

委員

 田中主査、石田委員、伊藤委員、井上委員、榎田委員、岡崎委員、加藤委員、木下委員、小林委員、知野委員、中西委員、本島委員、和気委員

文部科学省

研究開発局
 森口局長、藤木審議官、中原原子力計画課長、中村原子力研究開発課長、板倉核融合開発室長
研究振興局
 斎藤量子放射線研究推進室長

5.議事要旨

(1)原子力システム研究開発事業について

 原子力システム研究開発事業について、資料1に基づき事務局より説明。特別推進分野の研究開発課題の募集を開始し、審査等を進めていくことについて了承された。主な質疑応答は以下のとおり。

【委員】
 細かく課題が書いてあるが、新しい課題が出てきたとき採択する自由度はどのくらいあるのか。また、日本原子力研究開発機構(原子力機構)の予算で行う分があるとの説明だが、一方、機構の中期計画では競争的経費を得て行うという記述があり、どちらからも外れるということにならない説明がつくようになっているのか。

【事務局】
 特別推進分野については、技術的に検討した結果、これが望ましいものであるということで選定した。中期計画として、原子力機構が目標としているものにチェックはしていないので、一部符合していないものがあるかもしれない。但しこれは、評価の結果、国が定めたものであり、公募されないものについては、運営費交付金の中で進めていくことで、高速増殖炉の実用化に向けて研究開発全体を網羅していかなければならないものと考えている。

【委員】
 特別推進分野でFBRサイクル実用化戦略調査研究の主概念であるナトリウム炉、先進湿式再処理、簡素化ペレット燃料製造に関する課題を実施することは良いが、主概念の技術開発課題は、ナトリウム炉で13課題、サイクルで14課題、全部で27課題あり、公募で12課題を対象にすると、残りの課題が15になる。その上、4億円を超えるものや施設整備を想定しているものは除外するという条件から12課題が選ばれたことからすると、残りの15課題の方が費用も大きくなる筈である。しかし、これらの15の課題も解決しなければ、FBRが実現できなくなるので、しっかり予算確保して、残りの15の課題も進めていただきたい。それと、平成18年度の募集開始時期と近いことから、平成19年度は特別推進分野を募集せず、平成20年度以降に再び募集する予定とあるが、2010年に枢要な技術課題を解決して、2015年には革新的なシステムを提示しなければいけないのであり、そんなにのんびりやっていられるのか。今回の募集でしっかりとテーマを挙げて、その中で必要なものについては、18年度に全て選定するべきではないか。

【事務局】
 今回、12課題を選定したということで、前回より多目に取ったつもりである。但し、来年度は前倒しを考えているけれども、今の実用化戦略調査研究の中では、2010年をまたがって行う研究開発課題もあるので、これから手当てしていくことが必要な課題もあると考えている。一方、これから5~10年間の研究開発が大事であるという指摘を受けているので、それを踏まえて今回出来るだけ多くの課題を選定し、運営費交付金についても、しっかりした研究開発を進められるように予算措置をしていきたい。

【主査】
 今回選ばれなかった残りの15課題についても同じ考え方ということか。

【事務局】
 はい。

【委員】
 12課題が選定された過程で、原子力機構とも連携を取りながら、公募にふさわしいもの、あるいは原子力機構でないと出来ないものを十分意識しながら課題数も多く選んで、弾力的に進めていただけるという提示に感謝したい。是非、この12課題について漏れなく、出来るだけ良い提案をいただけるよう、引き続き文部科学省、科学技術振興機構(JST)でも知恵を絞っていただきたい。残された課題や仮に1つも採用されなかった課題が出来上がったことに対しては、原子力機構側が責任を持って将来の高速増殖炉システム開発に取り組んでいかなくてはならない。是非、全体の資金確保という点についてもお願いしたい。もちろん、公募や選定の過程において、我々が申請の立場に立つので、その過程に関与することが出来ないのは承知しているが、運用段階においては、この成果が早くFBRシステム開発に生かされるよう、競争的資金と原子力機構の事業とが上手く連携を取れるような仕組みについて、引き続き工夫していただきたい。
 加えて、この研究開発課題とGNEPやGenerationⅣなどの国際協力をどのような形で調和していくのが良いかということが課題になる。競争的資金の性格上、そうした国際協力が入ってきた時に行うのは、制度運用上難しい面があるかもしれないが、例えば中間評価の機会を捉えて、もし国際協力が適切に入ってきた場合には、競争的資金による研究開発の推進においても弾力的な運用について取り計らっていただき、国際協力が適切にFBR開発の中に組み込まれる工夫もしていただきたい。

【事務局】
 多くの課題を応募していただくという点については、募集期間を出来るだけ長く取りたいと考えている。正式な募集開始は、JSTから7月10日に発表されることを想定して、約1カ月の期間を取って募集締め切りとする予定である。但し、ここで議論していただいた資料についても、ホームページ等で広く知らせることによって、募集開始までに準備出来るような工夫をしたい。それから、GNEPとの関係については、研究開発の期間を10月から開始することで出来るだけ長くとりたいと考えているので、今後、GNEPとの協力などの話が具体化してきた場合にどのように対応するのかについては、今後の課題として整理させていただきたい。

【委員】
 補完概念の取り扱いは、どのようになっているのか。

【事務局】
 今回、補完概念は含めないことにした。但し、補完概念にどの程度力を入れて研究開発を行うかという点については、今後の高速増殖炉研究開発における資金配分のプライオリティーをどうするかという進め方に関わる部分なので、今後のFSの評価において議論していただいた上で定めていきたい。

【委員】
 この公募案は、基本的に良くまとまっている。但し、公募が扱いにくいというニュアンスやイメージが出ることは好ましくないので、バランスの取れた記述にした方が良いのではないか。また、全体の評価に関することは、我々も評価のメカニズムを持っているけれども、原子力の世界もあまり広くないことがあって、評価するもの、されるものの属する組織をどう分けるかということになると十分ではない。それで、評価のメカニズムについてもこれまで色々と考えていただいているが、客観的に見てきちんとした評価が行われている認識を多くの方に持ってもらえるようお願いしたい。

【主査】
 資料の前段部分について、公募のマイナスイメージしか書かれていない感じがするので、プラス面も書くようにした方が良い。

(2)量子ビームテクノロジーの研究開発・利用推進について

 量子ビームテクノロジーの研究開発・利用推進に関する現状について、資料2‐1~2に基づき事務局より報告。以下の質疑応答が行われた。

【委員】
 加速器そのものは、J‐PARCにしろRIビームファクトリーにしろ、世界にないユニークなものを狙っているので、その点では設計・建設そのものが研究であり、研究者として面白いということは、もちろんFBRやITER(イーター)と共通するが、他方、出来上がったものを使うのは、必ずしもそれと同じ研究者ではなく、様々な分野に使われているところがありこの点はFBRなどと異なる。むしろ利用面が大きく広がってきて、量子ビームという言葉が使われるようになった面がある。ビームラインも利用の研究動向に応じて変わっていくし、新しいものを追加するということがあるから、最初の建設投資だけでなくビームライン整備にも予算が必要であり、ユーザーが使うための運営費が必要になってくる。その辺りから、共用促進法適用の話も出ていることを理解していただきたい。

【委員】
 正しい評価を得ていくためには、データの適切な公開が必須であり、有料・無料双方のケースがあり得るけれども、こうした重要なプラットフォームが出来ていく上で、どのような方針をもって定めていこうという議論になっているのか。また、人材育成は、どの分野でも大変重要であるが、その分野だけで閉じてしまうと様々な難しい問題が出てくることから、他分野への発信・発展も大事であり、どういう見通しで行うつもりなのか教えていただきたい。

【事務局】
 データの公開は、重要な評価に当たっての前提となってくるというか、課題審査の段階で、どういった実験計画を持っているかということについて、データを元に審査していただく必要がある。但し、産業界の有償利用の場合、データがどこまで出せるかについては、難しい問題になってくるので、最低限の安全審査に必要なデータは押さえながら、企業のコンフィデンシャリティーに関わる部分は、審査員の方にも情報管理のスキームを理解していただいた上で審査をお願いすることになる。また、結果が出た後については、研究実施者の権利が担保される形になった段階で、適宜その成果を公開していただくのが基本となる。そのために、一定の猶予期間を取るなどの実務的な仕組みは、一般に産学官連携に共通する問題として、体制やルールの整備が必要だと考えており、現在、原子力機構や実施者側でその詰めを急いでいる状況だと理解している。
 人材の問題に関する他分野との連携は、非常に難しい要素がある。例えば、異分野の研究機関間の連携として、つくばスパイラルという構想が具体化してきており、つくば地区の研究機関の協議会的なものが、様々なビーム施設を使った連携の強化について、物質科学を中心に話し合いを進めている。そうした中で、大学、公的研究機関及び産業界が共通の人材のプールを作って、例えば連携大学院やインターンなどの仕組みを使って、研究機関などの現場を行ったり来たりする仕掛けが、協議会などを通じて具体化してくれば良いと考えている。あるいは、J‐PARCが動き出したら、そこに人材流動化のための仕組みを作っていくことが異分野交流の大きなポイントである。あるいは、産業利用研究会を複数立ち上げており、例えば、燃料電池の研究会に関する準備が進んでいるが、ここに産総研をはじめとした経済産業省系の研究機関や産業界の方々、さらに大学の関係者にも入っていただき、異分野の相乗りの形でプロジェクトフォーメーションを進めていく。こうした中で、異分野間の連携やそれに関わる人材育成の仕組みも見えてくるのではないかということで、具体的な事例の積み重ねがポイントになるが、連携大学院などの既存制度をいかに活用するかということや、新たな人材育成拠点を作るような競争資金への応募も視野に入ってくる。

【委員】
 J‐PARCやRIビームファクトリーは、国際公共財という捉え方になっている。そうしたものは、別に日本だけでなく、既に欧米等にもあって、その評価やユーザーの使い方の習慣や文化があるので、そうした人々が使う場合に異質な感じがしないシステム作りが必要ではないか。また、人材育成に関しては、やはり大学や大学共同利用機関との関係が重要である。但し、加速器に関しては、高エネルギー加速器研究機構(KEK)に集中しているので、例えばJ‐PARCやRIビームファクトリーがサポートして、各大学で人材を育てる気持ちがないと、ただ使いに来いというだけではまずいのではないか。その辺りについては、制度作りが難しいけれども、他の分野の動向も参考にしながらやるべきではないかと考える。

【事務局】
 加速器に関わる専門人材は、これまでKEKが中心になってきたが、特に工学系を含めた人材育成の新しい仕組みとして、例えば総合研究大学院大学で5年間一貫のプログラムが今年度からスタートした。さらに東京大学では、原子力専攻の専門職大学院のプログラムの中で、一部量子ビームに関わる専攻が設定されており、こうした新しい仕掛けを1つの梃子にしながら、実際のビーム施設と連携して実践性の高い人材を作っていくための材料は出てきた。そこに関連する学協会を咬ませる形で、横断的な人材育成について、特に出口側のイメージを示しながら実施していく点を心がけていきたい。

【主査】
 資料2‐1の2ページ目に、共用促進法によるJ‐PARCビームライン整備の可能性という項目があって、当該実験施設を共用促進法の対象とする意義は大きいと書いてあるが、これによって利用者、あるいは原子力機構からKEKにどのようなメリットがあるのか。

【事務局】
 共用促進法の適用に関しては、様々なポイントがある。法人の予算に制約が多く、一方で様々な新しい課題に対応していく中で、いかに必要かつ有効な施設を計画的に整備・運用していくかがポイントになるが、この点については、共用促進法で直接国が予算を確保して、法人予算の制約とは別にやっていくことが大きなメリットである。しかし、上手く仕組みを作らないと、ユーザー側にとっては、使いたい装置の種類によって、申し込む場所が異なるのは非効率であって、そのために料金、手続、書類が違ったりすると利用を阻害するので、実際の運用上は、全体整合的な仕組みを作って、そこから枝分かれしていくような仕組みが必要だという議論をしている。但し、共用促進法を適用することによって、装置の整備や運用のサポートがハードソフトの両面で進む点は、大きなメリットであり、是非検討を深めたい。

【委員】
 J‐PARCは、国際公共財として整備するという評価を得た段階から、データの公開や人材育成の問題などの仕組みは、大事な課題だという指摘をいただいている。この点については、原子力機構とKEKで共同して設置している国際アドバイザル委員会においても同様に指摘をいただいている。他方、中性子利用の観点からすれば、現在の状況の中で、産業界も含めて中性子を利用する環境が整っているか、あるいは人材が満たされているかどうかについては懸念するところなので、利用者の立場に立った制度を出来るだけ取り入れていく。そのためには、トライアルユースの導入や施設を利用していただくための支援体制など、出来る限り気軽に利用していただけるシステムを導入したい。そうした観点から、データの公開と人材育成は大事な課題であるし、共用促進法の対象にしていただくことが大きな力になることは間違いないので努力していきたい。

【委員】
 データの公開は、あらゆる観点で研究を活性化することに繋がるという信念を持っており、競争に勝つ観点からも非常に大事である。将来、J‐PARCへウェブ等を通じたサイエンティフィックなヒットが1日に1万、2万と来ることになるだろう。これはプロジェクトの価値を恐らく示していることになるのではないか。ついては、人材というと、若手という観点は大事だが、幅広い分野からの興味によって、新たにその分野に入ろうという興味を引き出すことも出来るのではないか。

(3)核融合研究開発について

 核融合研究開発に関する現状について、資料3に基づき事務局より報告。主な質疑応答は以下のとおり。

【委員】
 ITER(イーター)が新しい展開を始めたことで、作業部会が出来たことは当然だが、学術分科会にかつてあったものを整理したということなので、核融合研究開発全体をオールジャパンとしてどのような取り組みをするのかという議論を捉え直す必要がある。今まで大学や大学共同利用機関等で行われたものは、別なところで議論されていた。外国の人々から見て日本のこうした研究に対してどう評価するかというと、いかに日本がユニークなことをやって良い成果を上げているかということであって、予算を注ぎ込んで物を作っているだけでは評価されない。実際に作り出した時は、幾ら予算を出すかが問題だが、核融合は、実用炉を作る段階ではないので、いかに良いアイデアで学問的成果を上げているかということを問われる。ヘリカルやレーザーは、他があまりやっていなくて、日本に非常に期待されているものであるといったことも重視すべきである。そうした意味で、ITER(イーター)が進むようになった中で、日本全体としてどのように核融合研究を進めていくかの議論が先にあって、その上でITER(イーター)にどの程度人材なり、大学との連携といったことを考えていくかという順序になってくる。こういう意味で、資料については、個々の事項は良く整理されているが、項目(1、2、3、4)の並べ方については逆のような気がするので、そういう観点で改めて議論していただきたい。

【委員】
 今回の作業部会では、これからの日本の核融合分野の研究を進めるにあたって非常に重要な提言をすべきであり、コミュニティの人間としては、実際にしていただけるものと期待している。実験炉として重要で明確な目標になってきた核融合分野の研究において、学術から開発まで広くインテグレートして進めていく上でクリティカルパスをなしているので、成功させるために何をするかという議論は、国際協力という観点からも早く行わないといけない。それと、長期的といっても30年くらいを目指すわけであって、その組み立て方は、3年前の作業部会の方向性でコンセンサスも含めて定まっているので、その延長線上で議論していく。そうした意味では、2軸動作であり、リダンダンシーを持たせていると受け止めている。従って、重要な議論がなされて本委員会へも適宜経過が上げられていくだろうし、田中主査も作業部会のメンバーでおられるので、コミュニケーションを良く取らせていただきたいと考えている。

【委員】
 科学技術・学術審議会全体の構造の問題だが、核融合研究作業部会が本委員会の下に付くのならば、本委員会が作業部会に対していかなる責任を持つのか持たないのか、あるいはここだけでなく全ての構造軸なのかどうかという関連がある。例えば、科学技術振興調整審査部会の審査内容は、研究計画・評価分科会や科学技術・学術審議会とどのような関係があるのか。これは多重構造になっていて、どういうメカニズムになっているかはっきりしないところがある。その辺りについては、科学技術・学術審議会全体で、いかなる構造で議論しているかということを整理するのも大事ではないか。あるいは、そのメンバーについても、専門家の集団やジャーナリスティックな方に来てもらってそうした観点を注入するのか、あるいはそうではないのかなどの構成について考えて、全体の位置付けについても検討していただきたい。

【事務局】
 核融合研究作業部会を本委員会の下に設けるに当たっては、学術分科会の事務局とも意見交換をした。その上で出た結論がこうした形であるが、特に核融合については、学術とそれ以外に分けて議論するのが非常に難しくなってきており、特にITER(イーター)と幅広いアプローチについては、核融合研究における大きなリソースとして新しく登場したというのが実態である。これを単にトカマクの開発だけに使うのではなく、オールジャパンの共通財産として議論していこうということから、今回、特にオールジャパンの議論に力点を置いた結果、学術も含めて議論するということで研究計画・評価分科会の下に設けたというのが経緯である。但し、実際の議論では、学術との連携を十分に図る。特にメンバー構成では、飯吉先生が主査であるとともに研究環境基盤部会の部会長でもあり、更に坂内先生も同じく研究環境基盤部会の委員とともに副主査として入っていただくことで、実態的に連携をとって議論を進めることになっている。

【事務局】
 文部科学省の科学技術と学術は二層構造になっていて、それぞれ非常に複雑な構造の中で議論している。本委員会については、先ほど報告のあった量子ビーム関係についても、学術に近い部分もあるけれども作業部会を設置しており、核融合も本委員会の下に作業部会を設けたことから、原子力分野の研究開発という点においては、本委員会が全体を包括的に見通す格好になってきている。しかし一方で、研究計画・評価分科会は非常に大きな組織であり、全体を大きく束ねる分科会であるので、そことの関係などについては、考えなければならない点があるので検討させていただきたい。

(4)原子力に関する研究開発の推進方策について

 原子力に関する研究開発の推進方策について、資料4に基づき事務局より説明。2次骨子案を基本として、本文を取りまとめることについて了承された。主な質疑応答は以下のとおり。

【主査】
 RI・研究所等廃棄物は検討中だが、最終的にまとめたものを本委員会においても検討して推進方策に反映することになるのか。

【事務局】
 日程的に大変なところもあるが、RI・研究所等廃棄物については、一番重要な局面に来ているので、本推進方策の中に取り入れて、将来的な政策に繋げていくこととしたい。

【主査】
 他の項目は研究開発だけれども、RI・研究所等廃棄物については、研究開発というより事業なので、他の項目と馴染まない部分もあることから、推進方策にどのように入れていくのかについては検討しても良いのではないか。

【委員】
 第1章の(1)現状認識と、(2)今後の取り組みにおける共通理念との平仄を合わせる意味で、現状認識の部分に量子ビームとITER(イーター)について1行くらいずつあった方が良いのではないか。次に、第2章の(1)の1について、一部の言葉遣いが気になる。最初の箇条書きの「原子力エネルギー」について、そこだけなぜエネルギーとつけているのか。これは、「原子力の利用」ではないか。また、「核工学」という言葉は、「ニュークリア・エンジニアリング」であれば全部を含む感じがする。また、その後の部分で「光量子・放射光利用であれば、小型イオン加速器開発」と書いてあるが、小型イオン加速器では広いので、レーザープラズマ加速等に関することを意味しているならば、彼らが良く使う言葉は「先進小型加速器」である。
 FBRについては、5~6ページの真ん中辺りまで、現状に対応して書いているけれども、「国が主導する一貫した推進体制がひかれることが望ましく、」という部分については、「ひかれること」ではなく「整備されること」の方が良い。また、原子力委員会から2回のコメントがあって、詳しく逐条的に書かれているので、それはこうだという議論を作業部会で行うのかもしれないが、表のようなもので推進方策に反映してもらうと分かりやすい。例えば、GIFなどの国際的な事柄が書いてあるが、原子力委員会では、評価の話があって、国際レビュー委員会などの進め方もあった。あと個人的には、どこかでADSと記載してほしいが、せめて分離変換技術くらいは反映してほしい。また、JMTRについては、8ページと11ページの両方に記載があることについての整理が気になる。それから、9ページの廃棄物の部分で、クリアランスレベルという言葉が出ているが、技術的にクリアランスレベルを決めなければいけないという点は極めて重要だが、そもそもクリアランスレベルを国民に認識してもらうことが重要であり、それに対する理解を求める行動をとらなければいけないという部分が必要ではないか。

【事務局】
 特にJMTRについては考え方を整理した上で、次のバージョンを委員の方々に至急送ることが出来るように努力したい。

【主査】
 高速増殖炉について、原子力委員会からコメントがある部分については、作業部会で検討した上でのまとめと、それを推進方策でどのように反映するかという2つの視点について検討出来ればと考えている。

【事務局】
 原子力委員会のコメントでは、研究開発課題がいかにあるべきかという技術的な視点と、将来の体制をどうするべきかという視点の両方が含まれている。本委員会でFSの評価を議論していただくスケジュールから考えると、1カ月くらい遅れそうだが、本来であれば6~7月までには、研究開発課題まで整理出来ると考えている。そうした意味では、課題が整理出来た段階で、どういう体制で進めれば良いかという議論を深めていこうと考えていた。推進方策は、6月までに上げなければいけないということがあるので、全てのものを精緻な議論の結果としてまとめることは難しいと考えているので、細かいものについては、本推進方策に盛り込まず、FSの評価報告書に盛り込んでいく整理にさせていただければありがたい。原子力委員会からのコメントへの対応についても、FSの評価報告書への反映という形で精査させていただいた方が議論を尽くせるのではないかと考えているので、その辺の進め方についても、主査とご相談しながら考えていきたい。

【事務局】
 今後のスケジュールだが、研究計画・評価分科会が6月と7月に1回ずつ開催される。1回目である6月27日(火曜日)に各分野委員会から推進方策の審議が行われた上で、7月の研究計画・評価分科会において最終的に決定されることになっている。従って、6月27日(火曜日)頃には、本推進方策もほぼファイナルになっており、研究計画・評価分科会に報告した後のコメント等を入れて、最終的なブラッシュアップを経て決定していくことになる。

(5)その他

 今後のスケジュールについて、事務局より説明。次回の委員会は、6月23日(月曜日)の15時から17時で開催を予定している旨、事務局より連絡があった。

‐了‐

お問合せ先

研究開発局原子力計画課