原子力分野の研究開発に関する委員会(第11回) 議事要旨

1.日時

平成17年11月7日(月曜日) 10時~12時

2.場所

三菱ビル 地下1階 M1会議室

3.議題

  1. 原子力システム研究開発事業における平成17年度新規採択課題について
  2. 高速増殖炉サイクルに関する研究開発のあり方について
  3. RI・研究所等廃棄物の処分に向けた取組について

4.出席者

委員

 田中主査、石田委員、伊藤委員、井上委員、榎田委員、岡崎委員、加藤委員、 木下委員、小林委員、知野委員、中西委員、藤本委員、松田委員、本島委員

文部科学省

研究開発局
 森口局長、中原原子力計画課長、中村原子力研究開発課長、須藤放射性廃棄物企画室長
説明者
 向部門長(日本原子力研究開発機構 次世代原子力システム研究開発部門)、佐賀山副部門長(同上)

5.議事要旨

(1)原子力システム研究開発事業における平成17年度新規採択課題について

 原子力システム研究開発事業における平成17年度新規採択課題について、資料1に基づき事務局より説明。以下の質疑応答が行われた。

【主査】
 資料1の日付であるが、JSTが発表した日付は、今日の日付ではなくて別な日付ではなかったかと思うので、その日付にした方が良いのではないか。

【事務局】
 発表した日付は、今日ではなく10月26日である。但し、本日の資料は今までの資料と若干違うものがあり、採択研究開発課題一覧の詳細については、これまで発表していなかった。今回、特に参画機関の方々がどのようなところと一緒になってやっているのかということを知っていただくために、ここだけは前回よりも詳しいものを出させていただいている。

【主査】
 了解した。その辺の日付の扱いについては事務局に任せる。

【委員】
 過ぎていることであるので特別コメントを述べても何ということはないけれども、この資料の中で、全体研究費の額的な要素というのは全く出てきてないのだが、出すことがまずいのか。あるいは、我々にとってどういう規模の研究か、という時に、詳細・中身が分からなければというところがあるけれども、そうした要素について対外的に説明しているのか、あるいはこの席で説明する意向があるのか。

【事務局】
 額については、まだ定まってないので今回は出していない。具体的には、現在契約するに当たって具体的な額を相手方とヒアリングをしながら定めているところである。最終的に契約が出来れば、契約額も報告することは出来る。
 全体的な状況だが、今回の募集の際に、若手の方は1,000万円以上3,000万円以下、革新技術創出型の方が3億円以下という形で枠を定めている。全体的に見ると、枠一杯ということではなく、少し低いもので査定している。特に審査の中では、至急不要のものが幾つか見られるということもあり、「額を少なくした方が良いのでは。」という条件を付けて採択した課題もあることから、それぞれについて幾つというのは分からない。但し、今年度全体では20~30億円位ではないかと見込まれる。今回、予算的には多く準備していたわけであるが、実際にこれから契約して研究が始められるのが12月くらいである。そうすると今年については、1年の内で4カ月くらいしか研究していただく時間がないということになる。
 もう1点として、特定推進分野についても募集するように準備したわけだが、今回はまだ募集しないこととしたので、額的に20~30億円というのが事務方の全体的な見込みとしているところであり、本日時点においてはそれ以上の数字はないというところである。

【主査】
 (契約額は)確定した後に発表した方が良いということか。

【委員】
 発表した方が良いが様々な状況があるだろう。その辺について検討いただければ幸いである。

【委員】
 申請者が希望した額と採択された額について、科研費あたりでその辺の差があるようだがどの位かということが知りたい。具体的には、応募する人が削られると思って応募するような状況になっているのか、なっていないのかということについて、それは違うということであるのか。また、認めるものは全部認めるのか、それとも認めないものは課題を採択しないのか。もしくはばらまき的にいくのか、件数を増やすのかといったことがある。比がどの位かというデータも知りたい。
 もう1点として、今年は採択開始が遅かったわけだが、これから業務委託契約を行うとなると今後のスケジュールも非常に遅くなるだろう。なるべく早く来年度の予告をしたほうが良いのではないか。

【事務局】
 1点目の「申請の中でどれ位の額が出てきて、ヒアリングの結果、最終的に幾らになったのか。」については、委託契約が全て済んだ段階で本委員会に報告したいと考えている。但し、ヒアリングをした段階においては、予算枠を示すとそれを全部使わなければいけないかの如く内容として申請されているものがあったと聞いている。審査の先生方は、そういうものは望ましくないということで、ヒアリング段階で額を減らすような話を先方にもきちんと行って、それで額を下げたものがあるということなので、傾向としては、申請があったものより特に今年度の部分について低い額になっているものがあると考えている。
 2点目の「来年のタイミング」についてだが、平成18年度については1月から募集する予定にしている。ただ1月の募集時は、とりあえず革新技術創出型研究開発と若手対象型の研究開発、この2つから始めたいと考えている。また特別推進分野については、本委員会における議論の後、国として力を入れていく分野を決め、決まったものについて特別推進分野を設定しようと考えている。今の想定では、6月に本委員会においてどの分野を特別推進分野にすべきかという議論をいただき、その後で募集を開始することを考えているので、今年度に比べて2カ月は早くなるのでは、と想定している。このように来年度は、2段階で行いたいと考えている。

【委員】
 採択された課題を拝見すると、確かに大変興味深い重要なテーマが選ばれているということがよく理解できた。来年以降は、ある程度方針を重点化するとか、変えていく必要があるという点においても、方針を申請者に対しても明確にしていくことが望まれるのではないか。要するに、研究者側に提案テーマのストックがどれくらいあるかということにも関係するし、国の方針にも関係してくるだろう。また、中間評価と事後評価については必ず実施されていくことになるので、方策を実行される方々には、かなり前からしっかり示しておいていただく必要がある。

【委員】
 早急に募集をかけてこれだけまとめるのは大変だったと思うが、個人的な見方からすると放射線分野が少ない気がする。多分応募者も少なかったと思うが、これから何を育てるか、何を重点にするかという時の参考になるので、落ちた課題が何だったのかは非常に興味がある。1回目であるので様々な情報も必要かと思うけれども、それも是非まとめて検討していただきたい。公表する、しないは様々な問題があるかもしれないが宜しくお願いしたい。

【委員】
 総体で223件の応募があって37件が採択されたという事であるが、落とされた課題や研究テーマは来年以降どういう形になるのか。「あなたは今年落ちたから、来年からは全然権利がないよ。」という形で新たなものを募集されるのか。それとも「来年は少し甘くしてあげるから、これを拾ってあげるよ。」という形になるのか。
 それと、研究期間が3年や5年であるため、毎年同じ件数で採択したら基盤研究開発分野で相当の金額になってしまう。少し気になるのは、特別推進分野が来年から始まるが、是非FBRのサイクル実用化調査研究に力を入れて、また関連した形で公募事業をやっていただければと考えているが、その辺の関係はどのようになっていくのか。

【事務局】
 まず放射線利用という観点であるが、今回の公募は、革新的原子力システムの実現に資することが目的になっており、この課題・政策目標に適したものを選択していくということだったので、そういう意味で放射線利用が直接目的になっているものは少ないということである。
 2点目の「今後額的にどのようになっていくのか。」であるが、今年度はそれこそ沢山採ってしまうと、来年度採るだけの原資が無くなってしまうということがある。これから継続的にこの制度を進めていくためには、今年度採択したものが来年度続いて研究され、尚且つ来年度も新たに採択されるというように、計画的な予算執行が出来る形にしていかなければならないと考えている。このような観点で、事務局では採択件数を検討している。今年度は若干予想よりも少なかったが、来年度もこの程度の件数であれば、これから継続的に募集をしていけるという目安を立てて、その上でその件数だけ募集するということを考えている。まだ来年度について、何課題募集を予定するかは決めていないが、今回の基盤研究開発分野については、今の見込みで今年の採択よりは若干少ない数になるだろうが、来年もそれなりの数は募集できると考えており、それで予算的にはきちんと回っていくだろうということである。
 3点目の「今年落ちた課題についてはどうなるのだろうか。」という質問であるが、今回採択されなかった方については、それぞれどんな理由でどの点を直すとより良いものになるというものをきちんと書いて、先方にお渡しする制度になっている。それを見ていただいた上で、更にテーマをブラッシュアップしていただく、あるいは、より良いテーマを見つけていただく。それによって課題として素晴らしいものになれば、改めて採択することはあり得るだろうと考えている。

(2)高速増殖炉サイクルに関する研究開発のあり方について

 高速増殖炉サイクルに関する研究開発のあり方について、資料2-1~2に基づき、事務局より説明。以下の質疑応答が行われた。

【主査】
 原子力政策大綱には、高速増殖炉の研究開発と関係して、更に2050年頃からの導入が適切であるとか、2010年頃から第2再処理工場をどのように考えるのかといったことが、文部科学省の検討とはやや異なるかもしれないものの重要なところであるので、文部科学省と経済産業省のそれぞれの議論について、上手く整合性をとっていくことが大事である。

【委員】
 これから高速増殖炉サイクルを進めていく時に、政策大綱で2050年という今から数えても45年という形で、これが長いのか短いのか判断に迷うところであるが、これから進めていくには、ある程度高速増殖炉サイクルのシステムを絞って、そこに戦略的且つ重点的に人や予算を注ぎ込んでいかないと、2050年に間に合うのかという感じもする。そうした中で、資料2-1の10ページに、研究開発の推進方策として考慮すべき事項ということで、「潜在的な能力評価だけでなく、実用化の道筋も重要。」と記載されている。また、「技術的な実現性も考えてやっていく。」となっているが、これからの地球規模でのエネルギー需給の問題等を考えたら、まずは出来るだけ高い増殖比率を持ったものを選び、その中で実現可能性を考えてやっていくというのが重要ではないか。そのためには、ある程度進めていく概念をはっきりして、そこに戦略的且つ重点的に人や予算を投入していくことが必要である。

【委員】
 本資料の説明で非常によく整理されているが、高速増殖炉サイクルの意義となると、2050年というのが短いのか長いのか分からないところがある。全体として2050年というのを見るとものすごい先のことであって、実際我々は政府、原子力研究全体あるいは科学技術全体の中において、FBRはどのようなものかということになると、ターゲットが先のものであるという認識になる可能性無しとはしない感じもする。
 FBRの意義とは何かということになるとここに書いてあるとおりだが、加えてFBRという研究開発をやっていて、それが着々実現に向かって進みつつある状況を作り上げることが、原子力という電力供給手段をより厚みのあるものにしていき、他の電力発電あるいはエネルギー創生手段に対して、軽水炉一本でワンススルーという事に比べてより厚みのあるものにしていく。今のFBRの意義は、そういうことにあるのではないか。そのためには、確かに着々進んでいるという状況も大事であって、それがトータルで我が国の電力供給をより安定したものにすることに繋がるのではないか。全体としてFBRサイクルの意義を今の時点で多くの人にアピールできるものにしないと、限られた予算になっている今の状況の中でしかるべき財政的基盤を獲得することは難しいのではないか。

【委員】
 高速増殖炉サイクルをとにかく早くやってほしい。今の原子力は、たかだか数十年でここまで来ているのに、50年先という設定は、技術開発に時間をかけ過ぎる気がするので、少なくともプルトニウムのサイクルに関しては早くあげてほしい。それで先ほど主査が言われたように、経産省や民間で動き出す体制を早く作ってほしい。
 本日はメイン議題ではないということなので、2点ほど簡単にコメントするが、1点目として、プルトニウムを早く確立するということと同時に、燃料供給の安全保障という観点からすると、次の課題としてではあるがトリウムサイクルの研究もやっていただきたい。
 2点目として、ADSを競争的経費が得られたらやるということが書いてある。今はそれで良いが、これは単にマイナーアクチニドの消滅ということではなく増殖にも使えるものであるから、今のJ-PARCのやり方は、あまり適切ではないだろうと考えている。将来的には全部CWの超伝導で行うべきものであるから、今のパルスのリニアックの後ろにCWの超伝導をつけて、しかもそちらへビームを持っていくのは、中性子科学にとっても問題だろうと考える。J-PARCは、中性子科学にウエートを置くべきであるから、本来きちんとしたものを例えば「もんじゅ」のそばで行うのが良いのではないか。

【委員】
 原子力政策大綱の中で、資料2-1の4ページにも結論が書かれているが、今後の原子力研究開発の中で高速増殖炉システムは、まさに我が国の燃料サイクル確立の要であるという位置付けがなされている。また、出来るだけ早く確実に高速増殖炉サイクルシステム技術を確立していくというのが我々に与えられた最大の使命であると認識している。但し、2050年の商業的導入というのは、確かに長いようであるけれども、我々はそれまでに確実に進めていくべき様々なステップを考えながら進めていく必要がある。
 実用化戦略調査については、今年度中に第2フェーズを終了し、2015年度までの研究開発、あるいは2015年度以降の取り組むべき姿というものを明らかにしながら段階的に取り組んでいきたい。また、2050年頃の導入を考えた時に、2050年からいきなり導入というのはあり得ないわけであり、そのためには、2030年頃に導入を目指した実証のシステムをどのように描いていくかを明確にしながら、この研究開発を進めていかなくてはならないという課題をきちんと社会に提示し、評価を受けながらやっていかなくてはならないと考えている。但しそれに至る過程は、原子炉の開発だけでなく、燃料サイクル全体の開発という、幅広く大きな資金と人材を投入しながら進めていかなくてはならない課題である。
 その中でお願いとして、今の国の科学技術政策の一番大きな拠り所となっている科学技術基本計画は、5カ年という我々のタイムテーブルから見るとかなり短い期間であるけれども、これから我が国が取り組んでいくべき大変重要な研究課題であって、これからの実用化システムの確立という観点から大事な時期を迎えるわけなので、第3次基本計画を議論されている中で、出来れば国家基幹技術として明確に位置付け、国として高速増殖炉開発を重点的に取り組んでいくという方針を明らかにしていただくことが我々にとっても大変ありがたいし、また大事ではないかというのが1点目のお願いである。
 2点目として、平成18年度から実用化戦略調査の次のフェーズに入っていく段階において、原子力機構が中核的な責任を負うわけであるけれども、18年度からは公募型の競争的資金によって革新的な原子力システム、その中でも高速増殖炉技術開発システムというものを取り上げていただくというのは、幅が広がり大変ありがたいが、重点推進分野として評価をいただく実用化戦略調査の結果に沿って、確実に次の段階の研究開発が公募型資金によって行えるような道筋を是非付けていただきたい。更に、公募型資金による研究開発も最終的にその成果を取りまとめて、次のシステム技術開発に繋げていくことが大事な課題であり、従って公募型資金で行われる研究開発と原子力機構で行われる研究開発とをいかに有機的に結びつけ、それが総合して評価されて、次の実用化に向けたシステムがきちんと繋がっていくという研究開発、更に統合していくシステムをどのように作り上げていくかが今後の研究開発のシステム作りの中で大事な視点である。我々も工夫して提案していきたいが、是非公募型資金と原子力機構の本来業務との連携や統合をいかに進めていくべきかということについて、お知恵をいただきながら進めていきたい。

【委員】
 国の基礎的な目標を実現するためのマイルストーンをしっかり持ってほしい。マイルストーンというのは長いわけだが、それは必要に応じて修正があるとしても、しっかりと持ち、国のオーソライゼーションを得て、国民のコンセンサスを得ながらきっちりとやる。それをやるためには、どのような組織でやれば一番効率的なのかというところが重要である。要するに限られた予算でやるわけだから、集中して資金を投入して早く実現するというマイルストーンを是非描いていただきたい。メーカーとしては、それにきちんとついていきたいと考えている。

【委員】
 研究開発の推進方策として考慮すべき事項の中で、将来における不確実性を勘案した柔軟な取り組みと書いてあるが、これは具体的にはどういうことを考えておられるのか。というのは、不確実性を勘案した柔軟な、ということを素人的に受け止めると、「何でもいろいろやるんだ。」という、むしろ集中と選択の逆のような気がして、色々な研究をやってみるととれてしまうので、その辺の意味合いを確認させてほしい。
 もう1点として、第4世代原子力システム、GIFの国際共同研究開発がどの程度の位置付けのものなのかを教えていただきたい。各国の状況を見ると、これから主要な国が引いている状況の中で、国際共同研究開発というのは、互いにどの程度の約束を結んで出来るものなのか。悪く言うと、互いに支え合って進めようとしているように見えないこともないので、その辺の位置付けを教えてほしい。

【事務局】
 「不確実性を勘案した柔軟な取り組み」についてであるが、ここで書いたものは、これと決まったものがあるわけではない。今、色々な意見があることから、本委員会の中で議論いただき、範囲を決めていくべき事項であると考えている。
 具体的によく出てくる議論としては、例えば中間貯蔵をどれだけ入れるのかということであり、再処理や次のシステムを作る時の柔軟性の1つのあり方として議論されているものである。
 あるいは、例えばプルトニウムのバランスを考える時に国際的な状況を見ると、インドや中国あたりはプルトニウムを沢山欲しいという観点で、増殖比の高い金属燃料のFBRを中心に考えているようだが、我が国の場合、それほど多くのプルトニウムは必要ないわけで、バランスを考えた時に本当に金属がいいのか、MOXがいいのかといったバランスをどう考えるかという議論がある。
 また一方では、中国、インドのような大きな市場を考えると、もしかしたら金属燃料の方が世界の主流になるのではないか、といった意見を言う方もおられる。また、その中で我が国がMOXを進めていって、国際市場へ打って出られるのかどうか、という論点を言う方もおられる。あるいはもっと端的に、ナトリウムについては本当にきちんと取り扱えるのかどうか。取り扱えないことも考えて柔軟性を考えたらどうか、という意見を言う方もおられて、聞いている限りにおいて色々な意見がある。そのような中で、どの部分について選択して、どの範囲を我々の考える柔軟な取り組みの範囲とするのか。この辺りがこれからの考慮すべき事項であり、「現時点で確たるものがこれです。」というものではないと考えている。

【事務局】
 GIFでは、高速炉としては3つの概念を出してそれぞれのこれに対して興味があるというか、参画したい国が共同プロジェクトという形で立ち上げていこうということである。高速炉以外のものも含めると、全体のプログラムとしては6つある。それを徐々に狭めていって、本当に作る概念を決めていく構想が元々ある。
 これをどう活用しようと考えているかであるが、勿論国によってそれぞれ違いはある。GIFを進めている中核となっているのは、アメリカ、フランス、日本である。例えば原子力機構の場合、ナトリウム炉、VHTRという超高温ガス炉とガス高速炉を中心に見ている。我々が中心となっている高速炉としては、ナトリウム冷却炉を議長国として引っ張っていき、このプログラムを世界的な規模でやることにより、国際標準機というかグローバルスタンダードな概念に仕上げていくことができると考えている。また、革新技術を世界の知恵も使って、より確実に達成していくということも考えて、このゼネレーション4を、国際協力を行う1つの大きな場として考えていきたい。これについては、フランスと日本が同じような考え方であり、フランスが重点を置いているのは、ガス高速炉とナトリウム冷却高速炉の2つである。アメリカは、国の特徴で「ワンススルー」という路線をとっている関係で、ナトリウム冷却炉を強調して行いにくい状況はあるが、3カ国の思いは類似している。
 また韓国の例だと、ゼネレーション4のプログラムで高速増殖炉の開発を行うことについて、国としても重点化することを決めているので、そうした意味で国際共同という格好でこのプログラムを進めていくことが出来ると考えている。ゼネレーション4そのものは、2030年の実用化を目指して実証システムを作ろうというところまで元々の構想としてあるが、そこに関しては、2015年以降の課題として今後の調整をするところである。現在、フレームワークアグリーメントという政府間の協力協定を結び、その下の協定であるシステムやプロジェクトの協定を締結することを検討している最中である。

【主査】
 多分、今の説明では分かりにくい。もう少し分かりやすく言った方が良いので、何か補足があればお願いしたい。

【委員】
 研究開発当事者から柔軟な取り組みについて補足を申し上げたい。
 今後評価をいただく実用化に至る戦略の考え方の1つとして、幾つかの色々な概念の中から、今後実用化で我々が確実に早く繋げていく概念を選んで、その中から主たる目標となる技術、補完的な技術、それ以外に基盤的技術という3つの優先度に分け、重点的配分をも考慮しながら、明確に目標と年次計画を立てて、主たる概念、補完的概念、基盤的取り組みという3つのジャンルに分けて取り組んでいきたいというのが1点目である。
 もう1点として、長い期間にわたってのシステム開発なので、高速増殖炉システム開発に当たっては、今の主となっている軽水炉サイクルシステムからの円滑な移行に十分配慮するようにというご指摘も政策大綱の中でいただいているので、軽水炉サイクルシステム自身もこれから色々な展開があろうかと考えている。こうした意味で、将来の高速炉サイクルと軽水炉サイクルとの連携を十分考慮していくことが重要であり、その時に、軽水炉サイクルからいかに円滑に将来の高速炉サイクルシステムに移行していけるかという原子力全体の動きも十分注意しながら、この技術開発に取り組んでいただきたいということであり、当然のことながら5年10年という節目で明確に評価しながら、あるいはその姿を国民にきちんと提示し、社会的な評価も受けつつ技術開発に取り組んでいくことが、柔軟な取り組みを具現化していく1つの大事な要素ではないかと考えている。

【事務局】
 ITER(イーター)のような国際協力プロジェクトになっていくのかどうかということであるが、今の時点では全く不確定だと考えている。
 炉だけでなくサイクルの部分が関係してきて、また核不拡散にも直結していくということでもあり、またこれだけ数多くの国がサイクルに関して協力することが国際的な核不拡散体制から見ていいのかどうかという観点もある。ついては、大きな協力をやろうということについては、幅広い角度からの問題を孕んでいるのではないかと考えているので、現時点でITER(イーター)のようになっていくのかどうかについては不確定である。
 一方で、各国とも自国のプログラムを持っているので、各々のプログラムをうまく進めていくために、ここからどういったものが得られるのかということについて、国際の場でもあり、腹のさぐり合い等々もしながら、自国が一番マキシマムにここから利益が得られるように各国とも色々と考えている状況ではなかろうか。

【委員】
 マイルストーンを作るべきとの話が出たが、FBR導入は政策大綱では2050年頃となっている。一方、2030年頃から既設原子力発電所のリプレースが来るので、そこに何を入れていくのかということを経済産業省も検討を始めている。そういった全体でどのように入れていくのか、FBRに上手く繋げる形で考えていく必要がある。

【委員】
 2050年というのは準備期間として極めて短く、人の一生から見たら極めて長過ぎる。それが一番の問題である。
 人材の確保に関しては、かなり悲観的である。本当に人材の確保や技術伝承がきちんと出来るのか。今でも原子力に若い人がほとんど来なくなっている。それを打破するにはどうしたらいいかという時に、今みたいな議論は駄目であり、「原子力の人が必要ですよ、どうしますか。」と幾ら言っていても、何の解決にもならない。
 重要なのは、日本の科学技術や産業全体の中で、この問題の必要性や重要性をきちんと位置付けてもらうこと。材料や構造も重要だが、そういうところで実際に人を確保しなくてはいけないので、科学技術の中で位置付けをきちんとすることがより重要である。アメリカであれば、大統領が「宇宙をやります。」と一言言えばそれで走るわけだが、日本は科学技術の目玉とか夢といったものがない。
 もう1点重要なことは、それによって他の原子力以外の科学技術や産業にインパクトを与えられることが極めて重要である。そういう意味でも、科学技術全般の中にどのような位置付けをするかをもっと考えていただきたい。これを見ていると、何となく原子力分野の中だけの話に終わっている。

【主査】
 今の意見に全く同感であるので、大きな話の中で原子力、あるいは高速増殖炉の研究開発をしていただきたい。

【委員】
 進める方向そのものについて異存はないが、エネルギー政策全体の中での位置付けや、達成までのタイムスパン、さらにそれをサポートシステムが今一つ見えてこない。例えばエネルギー政策的に言うと、エネルギー源について、この方法も含めてどのようなポートフォリオを組むのかということである。ベストミックスという言い方もあるかもしれないが、それに向けてのロードマップをもう少し明確に示すことは出来ないか。
 もっともそれは非常に難しいことは知っている。というのは、その実現のためには、技術力、セキュリティー、予算の問題、あるいは国民の合意、外国との関係等、考慮すべき要因も沢山あるからである。そういうものを考慮しながら、もう少し具体的なロードマップを示さないと、国民のサポートが中々得られにくいと思う。国民は、原子力に多少心配しながらも、我が国が資源小国ということを良く知っていて、色々な調査でも、基本的にはこの政策をサポートする気はあることがわかっている。ただその人たちに、自分の考え方が間違っていないということを示す見通しや明るい方向性を与えてやらないとまずいのではないか。この狭い原子力業界の中だけの話では中々進まないと思う。

【委員】
 委員の方々の意見を聞きながら、非常に熱心に議論されていて頼もしいと感じた。今回ほっとしたのは、原子力政策大綱が非常に国民にとって分かりやすく書かれていること。これがすごくありがたかった。その中で廃棄物政策や新しい高速増殖炉のことも自信を持って書き込んでいるというのが国民にとって非常に励まされる話であり、吹っ切れた感じがする。今までの原子力についてのマイナスのイメージを、原子力政策大綱が明確に記述することによって新しい一歩を踏み出して、本委員会も非常に前向きな議論がされていて良い。それだけに、戦略的な作り方や推進的な施策が大事で、研究者だけでなく国民も参加していくプログラムを一緒に作っていくような議論を、難しいかもしれないがこつこつやっていくことが、全体的な研究成果をバックアップすることになる。

【委員】
 50年が決して短くないということは全く同感である。これだけのことをやろうとすると、50年では足りないこともある。人材を作っていかなければいけないし、いずれ重点化が必要になる。その場合には、ロードマップやグランドデザインが必要になってくる。その時には、国のエネルギー戦略に関わることであるから、日本の得意な所はどこかということが重要になってくる。独創性はどこにあるのか、優秀な研究者や技術者がどの分野やテーマにいるのか、ということを判断材料にしていただきたい。

(3)RI・研究所等廃棄物の処分に向けた取組について

 RI・研究所等廃棄物の処分に向けた取組について、資料3-1~4に基づき、事務局より説明。同時にRI・研究所等廃棄物作業部会の設置について事務局より提案、了承された。主な意見等は以下のとおり。

【主査】
 再処理工場や燃料加工工場、あるいは原子力発電所等から出る廃棄物については、資源エネルギー庁で進め方を検討しているところであるが、RIを使った時の廃棄物や研究所等の廃棄物については文部科学省の所管であり、今後それをどう進めていけばいいのかについて検討していく必要があり、更に作業部会を立ち上げる事に対する異議、あるいは検討を進めていく事について色々とご意見があればいただき、それを踏まえてより効果的な議論が今後進められるのではないかと考えている。

【委員】
 作業部会を立ち上げる件については、是非やっていただきたいが、その前に3点ほどお伺いしたい。
 1点目であるが、研究所等の研究所の中に、例えば大学の研究炉やメーカーで小さな研究炉を持っているところがあるが、そうしたものも含まれるという認識で良いのかどうか。
 2点目として、RANDECという機関があるわけだが、そことの関係においてダブっているのかダブっていないのかについて必ずしも良く理解出来なかったところがあるので、その辺がどうなったのか。
 最後に3点目であるが、資料3-3の(1)にある、浅地中処分に限定する理由がどういうことなのか教えていただきたい。

【事務局】
 研究所の廃棄物については、おっしゃられたように大学の研究所や民間の研究炉から出てくる廃棄物も入り、また文科省が規制で所管している核燃料物質の使用施設から出てくる廃棄物も、研究所廃棄物に入れたいと考えている。
 次にRANDECとの関係についてであるが、RANDECは財団法人であり、これまで日本原子力研究開発機構やRI等と連携して廃棄物の事業を行っており、引き続き本委員会の議論にも参加していただき、必要であればそれなりの役割を果たしていっていただければと考えている。
 3点目の浅地中処分についてであるが、浅地中処分相当というのは、トレンチ処分やピット処分の浅めの所に埋めるというものである。今回それに限定して議論させていただきたいと考えているのは、これまでのRI・研究所等廃棄物の処分事業の対象として、浅地中処分相当の廃棄物を対象にされていたということがある。もう1つの理由として、RI・研究所等廃棄物にも地層処分相当の物や余裕深度処分相当の物もあり、例えば原子力委員会では、TRU廃棄物の地層処分や平地処分の技術的な検討をされており、余裕深度処分については、原子力安全委員会で安全規制の検討をされている状況なので、この2点を踏まえると、まずは浅地中処分相当の廃棄物の議論に絞って議論させていただき、引き続き必要に応じてその他の廃棄物についても議論させていただきたい。

【委員】
 最後の回答だと、そういう趣旨も書いていただいた方が良い気がする。要するに「ここだけしかやりません。後は知りません。」という感じにとれるわけで、全体が見えて取り合えずここだけやって次にこちらもやるというニュアンスが見えると安心するのだが。これだけでは少し心配なので。

【事務局】
 ある意味で浅地中処分を強調し過ぎたところがあるが、浅地中処分の議論だけでもRI・研究所等廃棄物についてはかなり難しいものであり、あまり手広くやるような印象を持っていただくというのが若干あったので。今のご指摘を踏まえて、適宜修正させていただきたい。

【委員】
 この前の議題で、高速増殖炉の研究開発について戦略的且つ総合的に、国民の理解を得ながら積極的に進めるという話だったが、研究開発のために廃棄物が出るというのは、原子力に限らずどの分野でも同じことであり、原子力にとっては、放射性の物があるという非常に特殊な面もあるので、この点を保管しておけるからということで後回しにしておくと、ある時に大きな問題となって、研究開発自体に差し支えることになろうかと考えている。そういう意味で、先ほどの浅地中処分だけに限定してという箇所は、文章が誤解を招く部分があるが、正直に言えば、手をつけて明確に進めるということが中々難しいものであるから、今まで廃棄物と同じように保管というか、置いておきがちになるという面がある。浅地中処分相当についても、関係する省庁もまたがっているということだし、出すところも多数あって難しいわけだけれども、処分主体等も見据えながら始めるということでは、是非検討を開始することをお願いしたい。浅地中処分についても、ある程度解決の方向に向かえば他にも繋がるという意味で、文部科学省として今後議論を継続的に行っていただけるようお願いしたい。

【主査】
 資料3-3の「限定して議論」というのは、やや誤解を生むかも分からないので、余裕深度や高レベルとの併置も今後考えなければいけないということはどこかに書いておきながら、「当面はこれをやる。」というように書いていただくと誤解を生まないかもしれない。

【委員】
 資料3-3の2ページ目に研究開発の項目があるが、RI・研究所等廃棄物の処分で新たに重要な技術開発が出てくる可能性はあるのか。

【事務局】
 関係機関から伺っている限りでは、今後の研究の進展状況によっては出てくるかもしれないものの、当面はないということで伺っている。

【主査】
 RI線源で放射強度が強くて小さいものがあるが、あれは他の産業界にないものではないか。

【委員】
 RI・研究所等廃棄物の8割の発生者責任を有する原子力機構として一言申し上げると、これまで10年近く大変幅広い形で検討いただき、一方で残念ながらRI・研究所等廃棄物の処分事業がまだ実現していないことに対してお詫び申し上げたい。
 但し、先ほどの資料の中でも引用のあった準備会等を含めて様々な準備作業を進めてきた。この10月にサイクル機構と原研が統合して原子力機構となって、1つの機関が8割を発生するということを踏まえて、今後のRI・研究所等廃棄物の処理処分事業が確実に進むように、原子力機構はその中心的な役割を果たしていかなくてはならない立場に立っていることを十分認識しながら、RI協会、大学あるいは民間企業といった色々な問題を抱えている事業者等の方々とも連携、協力しながら、いかにこの事業を的確に進めていくかという準備を、我々が中心となって進めていきたい。また、その中にはRANDECも加わっていただきながら、是非全日本的な立場からこの事業をいかに適切に進めていくのが良いのかということについて検討を進めていきたい。
 更に、発電所廃棄物や高レベル廃棄物と違い、それほど大きな技術的課題を有しているわけではないが、社会の理解を得ながらこの事業を進めていくのは、決して容易なことではない。立地地域との共生の課題や必要な資金をどのように確保していくかという観点での検討にあたって、是非国の支援をいただきながら進めていかなければならないという視点は、大事であると認識している。従って、今後関係者の事業を全体に進めていく、あるいは国の支援をいただくという観点から、我々の作業結果も十分ご説明していきながら、国全体としてこの事業を原子力機構だけでなく、関係する方々とともに効率的・効果的に進めていく方策を立てていくということからも、この作業部会を立ち上げていただきたい。
 併せて、資料3-3の2の(1)でご指摘いただいている「1つの処分場で処分する場合の課題」は、これまでも原子力委員会あるいは政策大綱の中でも、こうした多様な廃棄物、しかも幾つかの法律で規制されている廃棄物について、発生者あるいは廃棄物の性状に関わりなく、出来るだけ一元的に行うのが効果的な方法であるという指摘をいただいている。法令の整備もさることながら、法令の運用にあたって一元的な処理処分が実施できるような枠組みを是非作っていただきたい。
 また、先ほど指摘のあった研究開発についても、大変ありがたいことにクリアランス制度を法令でも位置付けていただいた。今後大事なことは、発生した廃棄物、過去の廃棄物、あるいは色々なものが混ざっている廃棄物について的確に廃棄物の中身を同定し、それが確実に社会に影響を与えない処分方策をきちんと提示していくという観点から、廃棄物の中身や放射能量を的確に把握していく技術開発に我々も取り組んでいて、出来るだけ合理的な処分に繋がるような処理方策についても関係機関と連携をとりながら取り組んでいくのが大事ではないかと考えている。

【委員】
 作業部会や機構等で議論する時には、現実的に考えていただきたい。本件も今まで何もして来なかったわけでなく、我々の学生時代から議論していたことである。
 炭化物や金属燃料といったものは、我々が20歳の時にやったことが、60歳近くになってもまだ同じようなことを言っているという感じがしないでもない。それは、その時々でそれぞれの判断をきちんとしていくのが大事であり、原子力は一生懸命やってきたわけだが、中々難しい課題であったということである。まさにFBRもそうであるし、廃棄物でも確かに発電所の廃棄物は大きく一歩進んだわけだが、こういうものは本当に難しくて、色々な人が色々なところで苦労されながら今日まで解決を見なかったということになるので、是非ここでしっかり決めないといけない。そうなると、是非関係者には現実的な判断を念頭に置いて対応していただきたい。

【委員】
 現実的でない面が研究所やRI施設で多々あって、それが引いては研究を阻害している面もある。アイソトープというと非常にお金がかかるという概念も植えつけている。大学の場合、何十半減期も経って、測っても測っても放射線が出てこないものがほとんどである。放射性という名前の下に何百万円と毎年お金をかけているわけなので、その辺の核種を広げるとか、これくらい以下だったらいい、といった現実的な判断をすると、処分法ばかりに目が行きがちだが実際の廃棄物量はものすごく減る。あと、出来る実験や研究も非常に増えると思うので、是非検討していただきたい。

【主査】
 クリアランスの考えは、今後どのように整理していくのか。

【事務局】
 クリアランス自体について、炉規法は法律が出来ており、RI法については当方の安全規制部局で検討されているところであるが、当然連携をとって、こちらの議論のフィードバック、あるいは向こうの議論もこちらにという形で、担当同士で行っているところである。

【主査】
 3点ほどお願いしたい。まず1点目として、原子力安全委員会では、発生別ではなくて処分形態毎で廃棄物処分を検討したらどうかという議論が進んでいるので、先ほどの法規制等の問題もあるが、処分の形態毎に提示する方向で検討したいただきたい。
 2点目に、我が国で発電所から発生する廃棄物については、六ヶ所村で更に浅地中処分が実施されているが、日本のように小さな国で処分場所を沢山作ることが本当に出来るかどうかについては困難さもあるので、その辺も考えながら日本全体としてどのように処分地を有効利用していけばいいのか、ということも検討していただきたい。
 3点目として、発電事業者等と違ってRI・研究所等廃棄物は、小さなところからも出るし、これまでは大学、あるいは旧原研や旧サイクル機構といった国の特殊法人が、国からのお金でやってきたところもあるので、他の電力事業とはやや質を異にすることも注意した上で検討していただきたい。

(4)その他

 今後の委員会スケジュールについて、資料4に基づき事務局より説明。また、次回の委員会については、12月13日(火曜日)15時から17時で開催を予定している旨、事務局より連絡があった。

以上

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