原子力分野の研究開発に関する委員会(第25回) 議事録

1.日時

平成20年3月10日(月曜日) 10時~12時

2.場所

文部科学省 3F 1特別会議室

3.出席者

委員

田中主査、本島主査代理、石田委員、伊藤委員、井上委員、岡委員、加藤委員、小林委員、知野委員、中西委員、長崎委員、和気委員

文部科学省

藤田研究開発局長、古谷大臣官房審議官(研究開発局担当)、山野原子力計画課長、松尾研究開発戦略官、門田放射性廃棄物企画室長、林量子放射線研究推進室長、稲田原子力研究開発課長補佐

オブザーバー

山名京都大学原子炉実験所教授

4.議事録

【田中主査】

 それでは、定刻になりましたので、第25回原子力分野の研究開発に関する委員会を開催いたします。本日はお忙しいところ、御出席いただきましてありがとうございます。2時間の時間を有効に、またいろいろな議論が深まりますようお願いいたします。
 本日の議題や配付資料について、まず事務局から説明をお願いいたします。

【山野原子力計画課長】

 議事次第という資料がありますが、本日はここにありますように、メインの議題は「研究施設等廃棄物の処分体制整備の進捗状況」でありまして、後ほど詳しく説明いたしますが、先月の2月22日に法案を閣議決定しまして、今国会に提出したところです。
 あわせて予算関連の報告ですとか、また「もんじゅ」、「ITER(イーター)」、「J-PARC」といったプロジェクトが、来年度には非常に重要な時期を迎えるということがあり、それぞれにつきましてご説明したいと思います。
 また、1番目の議題について、廃棄物のための作業部会を再開する予定でして、その主査を山名先生にお願いしたいと思っております。その関係で、山名先生にはこの委員会のメンバーにもなっていただきたいということで、今手続中なのですが、本日は山名先生にも出席いただいております。以上でございます。

【田中主査】

 ありがとうございました。今後、この委員会の委員になっていただきます山名先生から一言、ごあいさついただけたらと思います。

【山名教授】

 京都大学原子炉実験所の山名でございます。特に研究施設等廃棄物の問題についてご協力させていただこうと思います。よろしくお願いいたします。

【田中主査】

 どうもありがとうございました。
 それでは、最初の議題であります「研究施設等廃棄物の処分体制整備の進捗状況について」の審議に入りたいと思います。事務局から説明をお願いいたします。

【山野原子力計画課長】

 資料としましては、5点ほどの資料がダブルクリップで入っています。まず、資料1−1が概要を説明する資料です。資料1−2が、実際に閣議決定しました法律なども含めまして、5点セットと呼ばれる、要綱案ですとか新旧対照表の資料です。資料1−4ですが、平成18年9月に当委員会において、「RI・研究所等廃棄物(浅地中処分相当)処分の実現に向けた取り組みについて」ということで決定していただきました報告書です。それと比較しまして、現在の対応状況がどのようになっているかという資料が1−3です。そして資料1−5が作業部会の設置についての資料です。
 まず最初に、資料1−1のA3の資料に基づきまして、閣議決定しました法案の状況について説明したいと思います。先生方におかれましては、既に背景等については重々ご存じかと思いますので、簡単に説明しますが、資料左側に背景説明があります。
 原子力というのは、ここにありますように発電以外にもいろいろな現場で使われており、その過程において、放射能レベルはとても低い、いわゆる低レベル放射性廃棄物が発生してきます。事業所単位でいいますと、ここにありますように2,500ぐらいの事業所から出てくるということで、これらについては、最後の処分場という出口がないため、いろいろなところで保管されているというような状況です。
 昭和20年代から発生・累積しており、現在、ドラム缶換算で日本全国で51万本あるという状況です。そのうち、一番持っているのが原子力機構です。各事業所の状況を簡単に説明しますと、ここにありますように、例えば原子力機構の昔の日本原子力研究所東海研究所では、既に保管容量の大体96パーセントぐらいになっているという状況です。また地元との関係で、なかなか廃棄物の保管庫の増設などは、そう簡単にはできないという状況があるわけです。
 また、三菱マテリアルは大宮、旭化成は延岡でありますが、ここらは過去の原子力活動によって廃棄物が発生しており、今はそういったアクティブな事業は行っていないのですが、過去の廃棄物のみを管理しているという状況があるとか、また例えば日立の原子炉、これは川崎にありますが、もう30年間動かしていないのですが、実際上解体すると廃棄物も出てくるということで、解体できないというような状況であり、誰かがこれらの処分体制を考えるべきではないかという議論が、従来からあったわけです。
 そういうことも受けまして、資料右側のほうを説明しますが、原子力機構法の一部を改正する法律案ということで、繰り返しになりますが、先月22日にこういう法律案を閣議決定し、今国会に提出しているということです。
 内容としては、まず実施主体の明確化ということで、まず一番の発生者であるということと、また技術能力も高いということから、原子力機構が、当然発生者責任として自らのものがあるわけですが、それに加えて、当然一定の費用も徴収しますが、他者の廃棄物もあわせて処分するということも原子力機構の本来業務に位置づけるということが一番の柱であり、原子力機構を処分の実施主体にするということが第一のポイントです。
 そのようなことで、実施主体となり、あとは、どのようにしてそういう事業が効率的にできるようにするかということですが、次のポイントは、そういう処分事業の確実性を確保していくということで、まず国が基本方針を定めるということにしました。その方針に基づき、原子力機構が実際上の実施計画を作成し、それを国が認可するということです。
 また、そういう処分事業の独立性、透明性を確保するということで、従来の原子力機構の研究開発を行うような勘定とは全く別に、この処分事業だけの独立した勘定を設けて、他の研究開発費と分けて管理するなど、そのような内容の法律案になっております。
 そういう内容の法案を閣議決定しまして、今国会は、皆さん御存じのとおり、3月中は予算案の審議ですとか、道路特会などいろいろあり、いつどうなるというのはまだ分からないのですが、何とかこの国会でご承認をいただきたいと思っているところです。
 資料1−2は、要綱や法律案でして、簡単に説明しますと、まず原子力機構法の新旧対照表ですが、現行と改正案というものが資料の真ん中あたりにあると思います。新旧対照表の2ページにあります17条のところで業務ということを書いておりますが、そこに、線を引いているところを新しく加えました。「放射性廃棄物の処分に関する業務で次に掲げるもの」ということですが、括弧書きで「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律」云々とありますが、まさにNUMOが行う高レベルやTRUといった地層処分のものはNUMOの業務として、原子力機構の業務ではないということです。
 具体的には、原子力機構の業務に伴い発生する放射性廃棄物及び原子力機構以外の者から委託を受けた放射性廃棄物ということで、次のイの括弧書きで「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」とありますが、実用発電用原子炉及びその附属施設云々ということで、これは日本原燃が実施するものを除いているということです。従って、それ以外のものについて、埋設の方法による最終処分を行うということが原子力機構の業務であるということを明確にしたというのが17条です。
 ページを開いていただき、18条で主務大臣は基本的な方針を定めるということを書いており、ここの主務大臣とは文部科学大臣及び一部のところは経済産業大臣ということで、両省の共管となります。両省でまず基本方針といった基本的なところを決めるというのが18条です。そして19条で、それに則り、原子力機構は実施に関する計画を作成するということで、主務大臣の認可を受けなければならないというのが19条です。
 次に20条の区分経理です。先ほど特別の勘定を設けると説明しましたが、20条の第1項第2号で、埋設処分業務及びこれに附帯する業務ということで、それ専用の勘定を設けるということです。予算措置としては、従来の研究開発の勘定から、埋設処分業務等に要する経費の財源に充てるべき額をそちらに繰り入れるということです。
 また、21条ですが、少し分かりにくいかもしれませんが、特に4項の新しい規定を見ていただきたいと思いますが、その処分に関する勘定、処分勘定の部分については、いわゆる独法通則法の、ここに書いているような規定は適用しないということで、従来独法では、中期計画が終わった段階で資金が余っているというようなことがあれば、いろいろな手続をした上で、最後は国に返納するという規定がありますが、この処分業務についてはそういうことではなく、きちんと処分を実施する財源に充てることにより、繰り越していけるというような規定を設けたということです。簡単ではありますが、このような法律案を閣議決定し、今国会に提出しているということです。
 次に資料1−3、資料1−4を説明します。資料1−4は、まさに1年半ほど前の平成18年に、この委員会で、「RI・研究所等廃棄物(浅地中処分相当)処分の実現に向けた取り組みについて」ということをご審議いただきまして、決定されたものです。それとの関連をまとめたものが資料1−3です。
 最初に少し申しますと、その報告書で御纏めいただいた基本的な考え方に沿うところは沿っているのですが、一部少し違うような状況になっておりますので、そういうことも含めて説明した上で、後ほどご議論いただければというように考えております。
 資料1−3ですが、まず最初の「処分事業の実施体制」ということにつきましては、その報告書の中でも、基本的に廃棄物の大半を有し、技術的能力、運営管理能力の高い原子力機構が関係者と協力をして、実施主体として行う、そして国もいろいろな協力をするという考え方が示されたわけですが、それにつきまして、資料右側のほうで、今現在の対応状況としては、原子力機構法を改正して、「原子力機構が、自ら及び他者の廃棄物を合わせて処分する」ということを原子力機構の本来業務に位置づけるということです。また、国は、先ほど言いましたような基本方針というものを定めるであるとか、また原子力機構がつくる実施計画を認可するということで、報告書の考え方に沿ったスキームになっております。
 そして2番目、ここが少し違うところであるわけなのですが、「処分費用の確保方策」ということで、当時の報告書では、まず1番目のポイントは、発生者責任の原則に基づいて、発生者の費用負担が確実に行われることが重要であるという考え方でした。また長期に亘る資金の積み立てであるとか、支出が適切かつ確実に行われるということと、そういう資金管理というものは中立性・透明性を確保できる制度が望ましいということ。また具体的な方策としては、当時はやはり高レベルの体制を若干参考にしたという部分があったのだと思うのですが、それらを参考にして、資金積立制度としては拠出金方式または外部積立方式を中心に検討することが適当であろうというような内容になっていたわけです。
 それに対して、今我々が考えている内容と言うのは、まず基本的な考え方としては、まさに発生者は、当然発生者責任としてきちんと費用を負担するということで、費用を負担して、原子力機構に委託して行ってもらうということです。また原子力機構の中では、どのように行うかについて、繰り返しになりますが、研究開発のための勘定とは別に独立した勘定を設けて、透明性を持って行っていくということ。またその勘定の中で、そういう処分費用につきましては歳入・歳出をきちんと管理するであるとか、先ほど言いましたように資金が繰り越しできるような措置をしたということです。
 イメージとしましては、資料1−3の3枚目にスキームが書いてありますが、左側のほうが処分費用の確保ということで、原子力機構も当然、実施主体というというだけではなくて発生者という立場があるわけで、そこは法律上明確にしました。発生者として原子力機構は、今後こういう処分を実施していく上でかなり費用もかかってくるので、原子力機構につきましては予算措置ということで、積立制度を設けたわけです。そういう予算措置が、原子力機構の場合も、発生者という立場では従来の一般勘定、電源利用勘定に予算措置されるということになりますが、資料右側にありますような処分実施のための独立した勘定を設けておりますので、この処分実施勘定の方に繰り入れることになります。
 また、それ以外のものとしては、日本アイソトープ協会は、ご存じのように既に資金を引き当てており、実質上積立制度を持っているという事情があります。またその他の事業者は、事業の進捗に応じて適宜委託して費用を払い込むということになります。そうすると、独立した処分実施勘定があるわけですが、まず国のほうで基本方針をつくり、原子力機構が実施計画をつくって、国が認可するということになりますが、その勘定の中は、ここにありますように明確に他のものとは独立して管理されるということで、例えば決算などもこれ独立で行うということです。そのように処分事業の透明性・公正性が担保されるというようなスキームを考えたわけです。
 それで、ここに入ってくる資金を基に、実際、今後処分場を建設するであるとか、処分を行っていくということで、これだけは、原子力機構の中の事業ですが、一種原子力機構の中で独立したような事業として、透明性を持って外からもきちんと見られるようなスキームにしているということです。
 1ページ目に戻っていただきまして、報告書では、資金を拠出金方式など、そういうことも検討すべきと言っていたわけですが、そこについて、我々の考え方としましては、1ページ目右側の括弧書きで書いているところですが、大半の発生者である原子力機構については、先ほど言いましたように、実際上今後かなりの費用がかかってくるということですから、予算措置として積み立て措置をして、20年度の予算案の中では43億円の予算措置をしているということです。
 また第2に費用がかかるアイソトープ協会につきましては、既に18年末現在で約200億円の積み立てを持っているということです。それ以外の事業者については、必ずしもそんなに大きな発生量でもないということで、それについては中でもいろいろ議論しましたが、一律に強制的な積立制度を課すよりもその事業の実情に応じて、例えば全体を合わせて原子力機構に費用を支払うであるとか、またその都度のドラム缶の量に合わせて支払うであるとか、実情に応じて支払ったほうが合理的ではないかというようなことから、制度としては、一律な義務を課すような制度にはしなかったということです。ただし、報告書でも指摘されていますように、中立性であるとか透明性を確保するということは重要であるので、先ほど言いましたようなスキームで中立性・透明性が確保されるというような仕組みを取り入れたわけです。
 ということから、我々としましては報告書の趣旨を可能な限り実現し、最も実効性が高いというようになっていると考えている次第です。
 そこで2ページ目に、ほかにもいろいろな指摘事項があったわけですが、例えば国民の理解の促進であるであるとか、立地地域との共生方策を確立していくであるとか、きちんと安全規制の基準などを整備していくということ、この辺につきましては、今後きちんとやっていくということです。また、テクニカルな話ですが、余裕深度処分相当の廃棄物について引き続き検討していくということもありますが、今、第1期の計画として考えているのは、いわゆる浅い地中への処分ということで、トレンチとかコンクリートピットを考えておりますが、今後実際上の大型施設の解体計画などの具体化にあわせて検討していくということになります。
 また当時は、物量的には、廃棄物の発生見込み量としては平成60年まで、今後40年先まで見越していたのですが、ドラム缶換算で59万本と言われており、それに対する総事業費として2,300億円という試算であったわけですが、現在の試算では53万本で約2,000億円ということで考えております。また、ご覧の数字につきましては、今現在、精査をしているという状況です。
 ということで、当時考えたのは、高レベルを念頭にいろいろ考えたのですが、片や電力の世界では、日本原燃が行っている低レベルのほうについては、特にいろいろな立法措置も取らずに、またそういう予算の制度もつくらずに実際動いているということもあって、高レベルのアナロジーで見るか、日本原燃が行っている低レベルのアナロジーで見るかということはあったのですが、そういう現実を見ながら、実態上、資金を確保するという意味で、一番資金の要る原子力機構はきちんと予算措置をする。そして第2のグループの日本アイソトープ協会は、実態的に今引き当て制度を持っているという、そういう現実も踏まえて、プラクティカルなものとして今の案を考えたということです。
 用意した資料を引き続き説明しますが、次は資料1−5です。このように物事が動いてくるということになりますと、やはり今後作業部会を設置して、議論を再開していきたいと考えております。今後、例えば法律が通った暁には、まず国が基本方針を決めるという段階があるわけですが、そういう段階で、やはりいろいろな専門家の意見も聞きながら行うために、作業部会を設置するという案です。
 メンバーにつきましては、田中主査などとも相談しながら、今人選を進めているところですが、次のページにありますように、作業部会の主査としましては山名先生にお願いするということで、従来ご参画いただいた先生方、特に従来は榎田先生に主査をしていただいていましたが、若干体調の問題もあり、引き続きメンバーにはなっていただけるということですが、主査は遠慮したいという話がございましたので、主査は山名先生にお願いしたいと考えております。また新たに何名か、この親委員会のメンバーからも長崎先生、中西先生、織先生には加わっていただくということを考えております。また、今後資金の話もあるので、まだ人選中ですが、公認会計士の方にも加わっていただくということで、今最終調整をしております。説明は以上です。

【田中主査】

 ただいま事務局のほうから丁寧に説明していただきましたが、18年にまとめた委員会報告を、その後のいろいろな状況を踏まえると、提案があったような形での法律のほうが適切ではないかということであり、それに関連しての説明であったかと思います。
 ただいまのご説明に関しまして、ご質問やご意見等がありましたらお願いします。
 私から、この事業のスケジュールとしては、大体どのようなことを考えているのでしょうか。

【山野原子力計画課長】

 今は国会に提出したところでして、できましたら今国会で通していただきたいと考えております。そうしますと、一番最初に基本方針をつくるという作業が始まるわけですが、そういったことをなるべく勢いがついている段階で、まずここ1年のうちに基本方針であるとか実施計画などをどんどんつくって行きたいと考えております。
 また、当然立地などについては、まだどこということではないのですが、その後は大きなハードルとして立地問題があるわけです。今の予定では、そう言ったことも踏まえて、具体的な物量なども確定しながら、当然許認可といったことも入ってくるわけで、実際上、ドラム缶の処分が始まるというのは、大よそで言うと10年先ぐらいかというように考えており、その位の単位で、少なくとも今こういうような議論していただいいて法律案までつくりました。こういうモチベーションが高い段階で、立地まで含めてどんどん行っていきたいと事務局としては考えております。

【田中主査】

 ありがとうございました。地元説明などの段階においても、法律がしっかりしていないと、なかなか地に足が着いた議論ができないというようなことかと思います。

【中西委員】

 質問ですが、原子力機構が行う廃棄物処理業務ですが、この前までは、どのように取り組むかということについて、合理的な処理と廃棄について議論されたと思うのですが、ここには、処分するという中に、埋設ということしか書かれていません。例えば、RI廃棄物の30日未満は減衰により除外すると廃棄物の量は3分の1ぐらい減少するかと思います。そして、60日未満を加えると4割くらいの減少になると思います。また、埋設以外の方法もあるかもしれないと思うのですが、そのことはここから読み取れるのでしょうか。

【山野原子力計画課長】

 ご質問について、法律で措置したのは、最後のまさに廃棄体になって埋める状態に処理したものを処分するということが原子力機構の業務であるということです。当然、先生がおっしゃるように、その前段階でいかに物量を減らしていくかという処理工程があるわけで、例えば燃えるものはきちんと燃やした上であるとか、潰すものは潰すであるとか、当然なるべく物量を減らしていくというのはそのとおりです。物量を減らすことと、その減らし方もやはりある程度経済性を意識しながら、上手な体制をつくらないと、廃棄物を出す業者としては2,000くらいありますので。この法律自体は最後の出口のところだけなのですが、その過程で、例えば集荷であるとか、先生がおっしゃるような処理、それらはきちんと行っていきたいと思っております。

【中西委員】

 ありがとうございます。お伺いしたかったことは、先ほど御説明があった廃棄物の処理のところですが、原子力機構の業務のところ、資料1−2新旧対象表の3ページ上の3行目ですが、「放射性廃棄物を貯蔵し、又は処理する業務を行うことができる」と書いてありますが、次のところの18条、19条には、すべて埋設のことしか書かれていないので、ほかの方法で処理するということをこれから読み取れるのかということをお聞きしたいのですが。

【田中主査】

 先生おっしゃっている処理というのは、例えば焼却したり、コンクリートで固めてドラム缶に入れたりとか、あるいは減容したりとか、そういうことですか。

【中西委員】

 はい、そういうことです。それが読み取れるのでしょうか。資料には全体ではなく抜粋が載っていると思われるのですが、埋設処分のことしか書いていないように受け取られましたのでお聞きしました。

【山野原子力計画課長】

 今回は、原子力機構自らのものと他者のものも含めて埋設による処分を行うということで、前者については、当然原子力機構が自らのものを行いますし、ここにありますように委託を受ければ他者のものも行うということなのです。処理については、今日本アイソトープ協会がまさに医療廃棄物などについては、焼却のようなことまで既に行っているなど、いろいろなスキームがあると思うのですが、そこについては当然原子力機構も行うし、もしも他の日本アイソトープ協会のようなところが行うのであれば、そこが行うということで、その辺は多少実態に合わせたような形で行われるのではないかと思っています。

【石田委員】

 ここで本委員会が議論しようとするのは、要するに平成18年9月12日の報告書で書いてあった拠出金方式であるとか、外部積立方式ということに対して、実際今、法律改正をしようとしていることは、原子力機構の中の区分経理による費用の確保ということになるということが、この前の報告書の精神に沿っているものであるかどうかということをここで確認するということが1つあろうと思うわけです。
 実際、資金管理の中立性・透明性を確保するということが、この間の報告書の大きな趣旨であったわけですから、それが今の新しい仕組みにおいても、具体的なやり方は若干変わっているかもしれないし、原子力機構の中というのは、報告書で言う外部積み立てではないのかもしれませんが、ただ全体精神において、あるいは埋設処分へのつながりにおいて、基本的に大体同じものと認識できるかどうかということではなかろうかと思うのですが、そういう認識でよろしいでしょうか。

【田中主査】

 事務局、お願いします。

【山野原子力計画課長】

 今石田委員がご指摘されたところが、本日まさに議論をしていただきたいところであり、我々としては、当時の基本的な考え方である透明性であるとか中立性のようなことは十分確保したというものの、実際上、ではすべての事業者にそういう予算を強制的に積み立てるような仕組みが良いか悪いかについて、今の我々の案では、一番費用が要る原子力機構については予算措置でそれを行い、2番目の日本アイソトープ協会については既に実態上引き当て制度があるので、そこで何とかなるであろうと考えています。そして、3番目以降は、それほど大きな費用が毎年要るわけではないので実態に合わせてもいいのではないかと考えています。これらを踏まえて、外部積み立てということではないものの、原子力機構の中に独立した、透明性のあるような仕組みをつくり、そこでいろいろな資金が回るような仕組みにしたということです。
 報告書の基本的なところは受けているのですが、部分部分でやはり報告書どおりということでないということが、端的に言ってあるわけでして、そこらを含めて、1年半前に報告書をつくっていただいた先生方のご意見を聞きたいということが、事務局としての考えです。

【田中主査】

 石田委員、よろしいでしょうか。

【石田委員】

 まさにそうだと思いますので、これはまさにここでの先生方のご議論ということであろうかと思いますが、私基本的には、文言としては全く同じではないということも確かだと思いますが、現実的な解決の方法としてこういう手段によって所要資金を確保し、透明性・中立性を確保していくということは、トータル、容認し得るものであると考えます。もちろん前回の作業部会のご議論、あるいは実際この委員会でも議論したわけでありますが、そのときの基本的な精神というのは、こういうことでも達成できるのかなというように感じております。
 ただ、原子力機構は年々の予算措置によって所要経費を確保していけるということであると思いますが、注意すべきは先ほどご説明の中でもありましたように、第2の所有者である日本アイソトープ協会であろうかと思います。これにつきましては、日本アイソトープ協会は、いろいろな方とご相談しながらやっておられ、私も和気先生たちと、一緒になって日本アイソトープ協会のご相談にも預かっておりますが、日本アイソトープ協会ではかなり積み立てているからということではあるものの、これが本当に十分なものかどうかについては、原子力の世界において苦労を重ねてきたところであるわけです。それが今後どうしていくのかということについての議論は、さらにしていく必要があるのではなかろうかと感じております。以上です。

【田中主査】

 ありがとうございました。他はいかがでしょうか。

【長崎委員】

 資料1−3で、今ちょうど石田委員もご指摘された、処分費用の確保策を実態的な形として原子力機構において積み立てを行う、それから日本アイソトープ協会と、それ以外ということですが、特にこの研究所等廃棄物の処分については、ドラム缶を抱えている事業者の事業の規模というのが非常に多彩であるというところを考えたときに合理的ではないかというように考えるところですので、若干、平成18年9月12日の報告書とは少し変わってきていても、実際に処分をしていこうという中で、事業を円滑に進めるためには適切な方針ではないかというように考えるところです。
 その他で、直接この法令の中身というよりは、それに絡んだところで少しお願いしたいところがあるのですが、例えば、原子力機構は高レベル放射性廃棄物処分の研究について非常に大きな責任を持っている機関でして、現実的には既に原子力機構が研究開発の技術的なところで非常に前面に出ており、もちろんNUMOが一番最後技術的に信頼を得なければならないのですが、その背景となるところをしっかりとやっていただくことがNUMOの事業の円滑な推進につながると考えます。これは何も高レベルだけではなくてTRU、それから余裕深度、いろいろなものにもつながってくることですし、それからこういう研究所等廃棄物の安全な処分の実現という意味でも、原子力機構の技術開発というのは非常に重要なところですので、この原子力機構でのいわゆる研究開発そのものに、この処分事業を実施するということによる負担が行かないというようにすることが非常に重要ではないかと考えるところです。まず1つ目はそれではないかと思います。
 それから、処分事業というのは非常に長期間の、時間がかかる事業です。もちろん高レベルとは若干違うとは思いますが、ただ高レベルのNUMOのそういう処分地選定のところを見ておりましても、やはり国が前面に出るべきだというように、例えば経済産業省などの委員会でもそういう報告書が出ているところです。やはりNUMOが責任を持って行うのですが、国も前面に出るというように変わってきたところです。同じように、おそらく原子力機構が責任を持って行うという法律になって、それを原子力機構が行うのですが、やはり国もそこで前面に出ていっていただいて、うまく、国それから原子力機構が連携を取りながら、地元の信頼を得てサイト選定につなげていくというようなものをぜひご検討いただければと思います。
 それからもう1つは、高レベルだけでなく、その他のいろいろな処分が並行して今走り出したところですので、お互いの処分事業というものをうまく横目で見ながら、取り入れられるところは取り入れる、お互いがうまくいくように柔軟性を持って行っていただくということが重要ではないかと思うところです。いろいろ心配する人たちが見たときに、例えば研究所等廃棄物のほうがうまくいかないとなったら、何となくTRUも、「ちょっとうちはな」とかいうようにいろいろなことになってくると思うのです。ですから、そういう意味では非常に、文部科学省、あるいは原子力機構の所掌ではないのですが、いろいろな処分事業が並行して走っているということもぜひご留意いただきながら柔軟にやっていただきたいと思います。しかも、それは非常に長い時間がかかるので、そこを長期的な視点に立って行っていただければと思います。以上です。

【田中主査】

 ありがとうございました。長崎先生は、今経済産業省の、高レベルであるとか余裕深度であるとか、いろいろな廃棄物の小委員会の委員でもあって、その辺のご苦労もあってのご意見かと思います。どうもありがとうございました。
 他はいかがでしょうか。

【岡ざき委員】

 本件の廃棄物の8割以上の責任を有する原子力機構として、具体的な問題で2つのお願いと、それから1点は全体的なことに対して意見を申し上げさせていただきますが、まず基本的には、今回の研究所等の廃棄物について、平成18年のこの委員会での方針に沿って、大変難しい状況の中、今回法案を閣議決定していただき、国会に提出をしていただいたということをまずもって感謝を申し上げたいと思います。
 今後具体的に、この法案成立後にこの事業を円滑に促進していくという観点から2点お願いを申し上げたいと思うのですが、第1は、何といってもこの事業を国民的な理解のもとに進めていくためには、やはりこの基本的な方針や方策について、ぜひ国が引き続き前面に立って取り組んでいただく、特に立地問題、あるいは立地に関連して地元の理解や、あるいは特に問題となってきます地元の地域振興という観点からすれば、もちろん国は当然でありますが、関係機関の幅広いご支援なくしてはこの立地問題は解決しないということであろうかと思います。もちろん原子力機構は全力を尽くしますが、関係機関の皆さんの協力をお願いしたいというのが第1点です。
 それから第2点は、いわゆる低レベルとはいえ、放射性廃棄物を扱っておられる全国の2,500に上るような事業者の皆さんそれぞれが、やはり大変悩ましい、いろいろな課題を抱えつつこの問題に対応していかなくてはなりません。冒頭中西委員からもご指摘あった、例えば具体的に持っている廃棄物の処理の問題をどのようにしていくかということも含めて、この問題の解決には、関係する機関ができるだけ率直に協議をするような機能を重視していかなくてはなりません。最終的に我が原子力機構が適切にこの処分につなげていくという観点からも、関係機関の協議の機能をぜひ充実をさせていっていただきたいというのが2つ目のお願いであります。
 それから、全体的な放射性廃棄物の問題も含めたバックエンド対策について、これは、原子力機構設立に当たって、原子力二法人統合準備会議会等でもご議論をいただいたところでありますが、どうしても最終的な処分に関心が集中しがちなのですが、これに関連する問題は、例えば老朽化した、あるいは使用目的を達成した施設の廃止措置、そしてそこから発生した放射性廃棄物の処理の問題、そして最終的な処分と、こういう関連するいろいろな事業を適切に進めていかなくてはなりません。二法人統合準備会議のときも、この事業を進めるに当たって、確か80年間で約2兆円の資金が必要になるという試算をお示しいただいたわけで、実は今回の処分事業は2,000億円強という、言わばほんの一部をなしているに過ぎないものであるわけでして、今後これらバックエンド対策を円滑に進めていくためには、やはり相当な資金を確保しなければならない、あるいは資源を投入していかなくてはならないということであります。
 もちろん平成20年度に、43億円の積立金の予算措置を原子力機構については講じていただいたということでありますが、20年度の一般会計の原子力機構の予算は前年度比5.5パーセントほどの減という、あるいは数年間大変厳しい予算の状況の中で、この資金を捻出しなければなりません。あるいは、ほかの関連する廃止措置や処理の費用も適切に行っていくことがトータルとして合理的な措置につながっていくということを考えれば、ぜひ国のほうにお願いしたいのは、この二法人統合準備会議でも、最終的な結論として、本来の目指すべき研究開発に大きな支障なく、こういったバックエンド対策を適切に進めていく、あるいはその当時はそれが可能だということで資金計画も見積もられたわけですが、現実は、正直申し上げてかなり支障を生じかねないような、大変厳しい状況であるということを残念ながら申し上げざるを得ないということであります。ぜひ必要な研究開発と同時に、このバックエンド対策の費用について、積立金制度をつくったからこれで解決ということでは決してならないわけでありますので、ぜひ特段の配慮を、恐縮ですがお願い申し上げたいと思います。ありがとうございます。

【田中主査】

 ありがとうございました。あといかがでしょうか。

【知野委員】

 質問なのですが、各事業者の実情に応じた支払い方法というところなのですが、これはどういう形で客観性・透明性を保つつもりであるかというところと、例えばこの辺、各事業者の実情というようなものを勘案すると、この約2,000億円という額も将来的にまた違ってくるのでしょうか。

【山野原子力計画課長】

 ピットとトレンチとで少し違いますが、ドラム缶1本の処分を、幾らかかるというようになります。それを各事業者が支払うときは、例えばドラム缶を渡すときに、トレンチであれば1本十数万円なのですが、それをその都度支払うような仕組みの者もいれば、ある程度大きな企業であれば、全体の資金繰りの中で、前払いのような感じで一括して支払うような者もいるかもしれないですが、そこは強制的に、また一律に決めるのではなく、相手に任せたらどうかということで、当然前払いで支払いを受けた方が、その後の金利などを勘案すると割安になるとかいうこともありますが、基本的にはだれであろうと、そこは公明正大に1本幾らですというような仕組みをつくって、それで資金を回していく。それで資金は、入り口は、先ほど言いましたように処分勘定というところに入れて、全く独立した勘定の中で回していくというような仕組みということです。

【田中主査】

 よろしいでしょうか。

【知野委員】

 ではそうすると、あくまでも判断するのは原子力機構側がその辺の実情を判断するということなのですか。

【山野原子力計画課長】

 原子力機構側が判断するというよりも、廃棄物の発生者側のほうが判断するということです。当然どのような払い方をするかについては、例えば過去からあるような廃棄物を一度に頼もうとするのか、資金繰りを考えながらある程度小分けにして頼もうとするのか、そこは原子力機構側の判断よりもむしろ廃棄物の発生者側の判断ということです。

【田中主査】

 おそらく両者で、国も入れたような形になって関係者と協議することになっていくのかと思いますし、大学などでも、昔は日本アイソトープ協会に費用を払って引き取ってもらっていたのですが、実際にそのときにどのような処分になるのかまでを計算して、それを評価しているわけではないと思います。それについてどのようにするかを個々具体的な検討を行っていくのだと思いますが、一律に言えないにしても、何か問題となってくれば、協議をしつつ透明性・公平性を持って行っていくことにならざるを得ないのかと思います。
 他は、いかがでしょうか。

【加藤委員】

 20年度予算で43億円の積み立てというようになっておりますが、この中身はどのような内容になっているのでしょうか。

【山野原子力計画課長】

 43億円というのは、単純に言いますと、全体計画約2,000億なのですが、そのうち原子力機構分が1,700億くらい必要になります。それについて、原子力機構の場合は、今まで発生したものと、これから発生するものとがあるわけですが、今まで発生した分を処分するための資金を、今後20年間で用意するとした場合に毎年幾ら積み立てたらよいかという考え方であり、今後発生するものについては、毎年発生する分をその都度積み立てていくという考え方で、両者を合わせて43億円が必要であろうということで予算措置したということです。

【田中主査】

 よろしいでしょうか。

【井上委員】

 長年懸案になっていたこの研究施設等の廃棄物に関して、関係者の皆さん、特に事業者になる原子力機構をはじめ皆さん方のご尽力で、十分とは言えないのかもしれませんが、ここまでやっていただいたということをまず感謝いたしたいと思います。
 先ほど来、いくつかの議論もございますが、これはここまで停滞していたものをとりあえず、何とか今の時点で考えられる一番良い方法で対処されているのだと私は思いまして、今後、20年というのは1つの区切りでしょうが、おそらく放射線の利用は20年で終わるわけではなく、ずっと長いことになるだろうと思います。そういう中で、先ほどもご意見がありましたが、研究的要素ということもぜひ、資料1−3の2ページ目にもありますが、「引き続き推進」と簡単に書いてありますが、このことは重要なことではないかと思います。先ほど来の分別の仕方であるとか、発電所のものに比べると非常に多様であろうと思うので、アイソトープの種類もいろいろありますし、それから物理的形状、化学的な物質の内容等々で、場合によっては、我々が今、日本アイソトープ協会などに出すときの分別の仕方でいいのかといったこともあるかと思います。研究開発の進展によっては、発生者側にも協力してもらうような仕組みというものが開始されていく必要があるかもしれないと言ったことも含めて、研究開発を進めていただいて、安全で、最終的処分をしなければならないボリュームを最小限にできるようなことを、今後とも行っていただきたいと思います。

【田中主査】

 ありがとうございました。他はいかがでしょうか。

【伊藤委員】

 このような形で、発生者の責任でしっかり行っていくということは非常に良いことであると思うのですが、これからが大変になることと思います。実際に立地していくという過程において、立地地域といかに共生していくのかという問題など、いろいろあると思います。その辺のところを、山名先生がされる作業部会でいろいろご検討されることになると思いますが、地域と共生していくためにどういうことが必要なのか、どういう経費が必要なのか、多分相当いろいろ難しい問題も出てこようかと思いますので、その辺のところを十分検討をお願いしたいと思います。
 そのようなことで、ここに作業部会の構成員名簿も入っていますが、私が思うに、本当にこういうメンバーだけで良いのかと少し感じており、実際に立地をしていくに当たっての視点も入れてメンバーも考えたら良いのではないかと思いました。以上でございます。

【田中主査】

 ありがとうございました。他、よろしいでしょうか。
 大体の意見をいただいたところですが、本件は重要な問題でありますので、今後のためにも、今日議論があったことをスタンスとして文書にまとめておいたほうが良いのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
 では、そうさせていただきたいと思いますが、特に本日どのような議論があったのかということを自分なりにまとめてみますと、本日検討させていただいたことは、18年9月の報告書の趣旨に則っているものであるというように思います。また、事業者の実情等を踏まえて、このような対応が適切なものであると思いますし、またしっかりと法律がないと、その後の説明であるとか、地元への説明であるとか、具体的なところができないということもあり、この法案は早期に実現するようなことが必要であろうと思います。
 また文部科学省は、原子力機構と一体となって事業を推進することが重要であり、放射性廃棄物の立地の話を待つまでもなく、原子力機構とともに国が前面に立って地元の了解等を進めていくようなことが必要であろうかと思います。そのようなことで、国民と地元の理解を得ていくということが重要であろうかと思います。
 また、文部科学省と原子力機構は、主要関係者とさまざまな形で協議しながら進めていくということが必要であろうかと思いますので、できましたら協議会のようなものを設置して、意思の疎通を図りながら、公平性を持って進めていくことが必要であると思いました。
 また何人かの方からございましたが、JAEAでの技術開発が大事であろうとか、従来から持っている研究開発に悪い影響を与えないようにしなくてはいけないというようなことも意見としてあったかと思いますし、また廃棄物の処分といえども、廃棄物の処理であるとか、これから出てくるいろいろな廃止措置のことを考えると、研究的な要素もあるということ、それらを踏まえた形で考えるべきではないかという話がありました。
 また長崎先生からは、廃棄物の事業は長い時間を要するということであるとか、放射性廃棄物というと高レベルであるとか余裕深度であるとかさまざまなものがあり、それらとの関連において柔軟性を持って検討していくことが重要であると、そういうご指摘もあったかと思います。
 今言いましたような形で、文書としてまとめておきたいと思いますので、よろしければ事務局に文書の作成をお願いしまして、本日の委員会の後半ぐらいに、もう一度その文書を皆さんに示していただいて、再度議論を進めたいと思います。ありがとうございました。
 また、先ほど山野課長から話がありましたが、これまでのRI・研究所等廃棄物作業部会を廃止して、新たに研究施設等廃棄物作業部会を設置するというご提案がありましたが、これについては特に議論がありませんでしたが、特に反対の意見もないかと思いますので、そのように進めたいと思いますが、よろしいでしょうか。ありがとうございました。メンバーにつきましては、先ほど伊藤委員からも、地元との関係などの専門家も入れたらどうかというようなご意見もございましたので、その辺のことも含めましていろいろと検討させていただきたいと思いますが、最終的には委員会運営規則第2条の定めるところにより、委員会の主査が指名することになっておりますので、事務局案をベースに先ほどのご意見も踏まえながら、私に委員の選任についてはご一任いただけたらと思います。よろしいでしょうか。
 ありがとうございました。

【石田委員】

 本日の議論を文書にまとめていくことは極めて大事であると思います。ただ、あまり長い文章を書くのではなく、ポイントだけを書くのが良いと思います。少なくとも、出ている法律案は、私どもの考え方としては、報告書に沿ったものであるということがきちんと書かれていれば、それで良いのではないかと思います。
 それから研究開発については、先生方からご議論があったように、非常に大事なことであると思います。ただメカニズムで言いますと、原子力機構は、そもそも研究開発をする機関でありますから、この処分事業と研究開発をどのような枠組みの中で行うかということを考えますと、区分経理との関係でいろいろややこしいことがあり、最近特に他の機関を見ましても、どれをどのように区分するかということが大事になっておりますが、あいまいになってしまうという可能性が絶えずありますので、研究開発関係の経費をどう確保していくかについては格段の工夫をお願いしたいというように思います。以上です。

【田中主査】

 ありがとうございました。それでは事務局で見解案をつくっていただき、またこの委員会の後半で、それを皆さん方にお見せして議論したいと思います。この後、本日は報告事項が何件かございますので、要領よく進めたいと思います。
 次は、平成20年度文部科学省原子力関係予算案についてです。よろしくお願いします。

【山野原子力計画課長】

 それでは、資料2に基づきまして説明します。後でそれぞれ大型プロジェクトにつきましては、個別の資料が用意されており、詳しい説明がありますので、資料2の説明は簡単に進めたいと思います。
 予算の主要事項という1枚紙が表についておりますが、5点につきましてまとめてございます。
 1番目のポイントが、重要なプロジェクトはぶれることなくきちんと行うということで、まさに高速増殖炉サイクル技術、また高レベル廃棄物、これにつきましては、全体量としては少し予算が減っているわけですが、この2つについて、きちんとぶれることなく行っていく、そして必要額も確保していくということで、このような予算になっています。
 また2番目の「先進的な原子力科学技術への挑戦」ということで、ITER(イーター)、J-PARC、これらも後ほど詳しい説明がございます。なお、J-PARCについて、予算が減っているのは、本体が大体完成してきまして、そう言ったハード面が終わってきたということです。ただ来年度後半から、実際上ビーム供用開始ということなので、いわゆる運転経費などはきちんと増やしているわけです。
 3番目が、ビッグプロジェクトだけでなく、やはり原子力の裾野の維持・拡大ということで、小さいですが5億ぐらいの新しいファンディングをつくったであるとか、大学などの原子力工学科が最近壊れてきていると言ったことに対応した原子力の専門人材の育成ということで、これらも後ほど説明します。
 4番目のポイントが、原子力の立地地域との共生ということで、ここにつきましては133億ということで、地域の持続的発展を目指すビジョンに対する支援ということで、増やしているわけです。
 また5番目は、今説明したような積み残された問題を着実に行っていくということです。
 これらが大きなポイントでして、1ページ開いてもらいますと、いわゆる予算表がついていますが、総枠については、ここにありますように、文部科学省の原子力関係予算として2,614億円ということで、対前年度マイナス2パーセントというようなことで、全体の数字としては少し減っているということです。
 また一番多いところの原子力機構、今岡ざき理事長からも少し説明がございましたように、マイナス36億円ということで、少しマイナスになっているというようなことです。
 次以降、少し簡単にポイントだけを説明しますと、まず予算のポイントということで、繰り返しになりますが、高速増殖炉サイクルの実現に向けた取り組みということで、これにつきましては400億円弱ということです。そのうち、ポイントの1つが高速増殖炉サイクル実用化研究開発、国家基幹技術と書いていますが、この部分はいわゆる「もんじゅ」の次の実証炉ということを念頭に置いたプログラムでして、ここにつきましてはもう皆さんご案内のように、昨年においては、例えばメーカーを1社選ぶということで三菱重工業を選定し、それに基づいて三菱重工業が、三菱FBRシステムズという会社をつくるでありますとか、また日米仏でいろいろな研究協力などをどんどん進めているということで、これにつきましては文部科学省だけではなく、経済産業省とも連携しながら、それぞれ役割を明確にして、ここについては重点投資をしていくということで、予算を増やしているところです。
 また、「もんじゅ」につきましては後ほど詳しい説明がありますが、今年の秋には運転再開ということで、非常に正念場を迎えてきているということがポイントです。
 次の「先進的な原子力科学技術」ということで、核融合につきましては、当然ITER(イーター)につきましては昨年度、協定であるとかいろいろな枠組みが全部でき、本格化していくということでかなり大きく増えているわけです。それに加えまして、JT-60ですとか、大型ヘリカル装置などもきちんと行っていくということです。
 J-PARCについては、先ほど言いましたように、これも今年度からビーム供用開始ということで、エポック的な状況になるということです。
 次の放射線利用につきましては、これも放射線医学総合研究所をはじめとして、いろいろな分野で行っているのですが、特に重粒子線のがん治療研究などにつきましては58億円ということで、増やしております。
 次の3ページ目にいきますと、「原子力の裾野の維持・拡大」ということで、後ほど説明しますが「原子力基礎基盤戦略研究イニシアティブ」ということで、新しいファンディングをつくりました。また、大学以前の高校レベルなどの、それぞれの地域の原子力やエネルギー教育への支援というようなこともやっております。そして、次の「原子力人材育成プログラム」について、これも後ほど説明しますが、これも経済産業省とのジョイントで進めているわけですが、原子力の人材対応ということで、日本原子力産業協会の中で関係者の協議会などもつくり、いろいろな意見を集約しながら進めております。
 次に放射性廃棄物の処分に向けた取組ということで、まず高レベル放射性廃棄物です。高レベルにつきましては、文部科学省では技術開発をきちんと行っていくという役割でして、いわゆる岐阜県の瑞浪であるとか北海道の幌延などについても、掘削工事を行っており、必要なデータを取るということを粛々と行っていくということです。
 次の4ページでございますが、「安全確保と地域との共生」ということで、いわゆる原子力機構の安全研究でありますとか、最近の耐震や高経年化対策というようなこともきちんと行っていくということです。また「地域との共生」ということにつきましては、この委員会でも昨年8月に事前評価していただきましたが、「もんじゅ」が重要な時期を迎えていくということもあって、高速増殖炉サイクル技術研究開発推進交付金ということで、「もんじゅ」や「常陽」が地元にあるということの利点をいかに地元と共有していくかということで、新しい交付金なども予算措置されたということであります。
 大体ポイントが以上でございまして、次ページ以降は予算表ですので、説明は省略させていただきます。予算の説明は以上です。

【田中主査】

 ありがとうございました。何か本件についてご質問はございますか。後でまた個別について詳しく話がありますので、よろしければ次に行きたいと思います。
 次は「もんじゅの現状と今後の見通しについて」です。事務局からご説明お願いいたします。

【稲田原子力研究開発課長補佐】

 原子力研究開発課の稲田からご説明させていただきます。
 先ほど山野からご説明しましたように、FBRの研究開発に関しましては、一昨年、本委員会でご議論いただきました高速増殖炉サイクルの研究開発方針について、これにおいての詳細な研究の方策と、スケジュールについてご議論いただき、決定していただいたところです。
 これを踏まえまして、先ほど山野よりご説明のありましたように、本研究開発については実証炉の建設ということが民間で行われるということもあり、原子力機構で行う研究開発を、いかに民間の行う実証フェーズに移行するかということが重要な課題になりますので、経済産業省、文部科学省、日本電機工業会、電気事業連合会、そして原子力機構の5者でつくります産学官を連携する5者協議会で、具体的な進め方等々を議論しながら体制等を整備しております。具体的には中核企業を4月に選定し、7月には中核企業によって三菱FBRシステムズ株式会社が設立されております。このように体制ができまして、研究開発も現在順調に進んでおり、20年度予算についても厳しい予算状況の折でございますが、必要な予算措置を行っているところです。
 資料3になりますが、来年、FBRの研究開発において非常に重要なキーポイントを迎えます。具体的に申し上げますと、研究開発の中核の場である「もんじゅ」が運転再開を行いますので、これに関して現在の状況、それから来年度以降についてご説明させていただきます。
 1枚おめくりください。全体のスケジュールですが、「もんじゅ」に関しては、ご承知のとおり平成7年にナトリウム漏えい事故を起こし、それ以降運転を停止しております。平成17年におきましては、このナトリウム事故等々を踏まえまして、安全性をより向上するための改造工事に着手し、それは昨年の5月に完了しました。それから、その改良工事の内容について、きちんと働いているかどうかということを確認する工事確認試験も去年の8月に完了しており、現在「もんじゅ」というプラントが、各部分ではなくて全体できちんと動くかどうかということを確認する確認試験を行っているところです。
 また併せて、「もんじゅ」の中に入れている燃料のプルトニウムが半減期によって少なくなってきているということを踏まえ、炉心の内容を新しい燃料に装荷して、新しい燃料を入れて、炉心をかえて、アメリシウムの少し入った燃料で動かすという、初装荷燃料の変更の安全審査を、規制当局である経済産業省の原子力安全・保安院において議論いただいておりましたが、今般2月19日に許可をいただいております。併せて現在、原子力機構により、この前の新潟の地震等々を踏まえまして、もんじゅの耐震の安全状況等々についてチェックしているところですが、これの準備等をしているところです。今後についてですが、秋ごろの運転再開を目指しまして、地元への安全理解等々を十分得ながら運転再開にこぎつけていきたいというように思っております。
 ページ1枚めくっていただきまして、先ほど来説明いたしました工事確認試験でございますが、端的に言うと、真ん中に青い箱が3つありますが、ナトリウム炉心として、例の問題となった温度計を改良しました。それから、ナトリウムが仮に漏れた場合、それを素早く抜き取る等々の改造をしました。それから水・ナトリウムの反応が非常に重要になりますので、蒸気発生器についてその安全性の向上という、この3つの安全向上のためのさまざまな工事をしておりまして、その結果、これら安全工事が順調に進んだということを既に確認しています。
 現在実施中のプラント確認試験の概要ですが、それが次の3ページです。「もんじゅ」のプラントとしてのシステムがきちんと働くかどうかということを現在詳しくチェックしており、現在のところ順調にチェックが進んでいるという報告を受けております。それが次の4ページでして、順調に進んでいるという内容です。
 先ほどご説明しました初装荷燃料の変更にかかる設置許可についての詳しい資料が5ページですが、ここについては、先ほどご説明しましたとおり燃料の内容、燃料を変えて安全審査をした結果、大丈夫であるということですので、説明については割愛させていただきます。
 以上、「もんじゅ」の現状と、今後の見通しについてのご説明です。

【田中主査】

 ありがとうございました。何かご質問等ありますでしょうか。
 耐震関係は、今後チェックしていくのですか。

【稲田原子力研究開発課長補佐】

 耐震関係につきましては、3月末までに原子力機構としての調査をまとめまして、それから審査に入ります。これは審査ですので、推進側として、いつまでにということをなかなか申し上げることが難しいところではありますが、いずれにせよ秋ごろの運転再開までに向けて、早急な審査をしていただけるとありがたいというように考えております。

【田中主査】

 分かりました。
 他にご質問はありますでしょうか。

【井上委員】

 質問ではないのですが、今のところは再開を目指すということで皆さん一生懸命になって努力しておられるので、それはそれで結構だと思っているのですが、実際には、これは再開するのが目的でなくて研究するのが目的なわけですから、その後の研究の内容についての計画をきちんと立てていただきたいというように思います。所期の目的として、信頼性であるとかナトリウム技術であるとかありますが、私は、現在少しずつ進み出した実証炉に向けての必要なデータを確実にとっていくということが重要なのではないかと思うので、それを、そちらの設計に間に合うようにきちんと研究計画を立てていただけたらありがたいと思います。

【岡ざき委員】

 今の井上委員のご指摘、全くそのとおりであって、「もんじゅ」の運転再開をして、やはりいかに研究開発成果を上げていくかというのが最も大事な点であろうかと思います。したがって、まずは運転再開をした後に、性能試験の段階で、前回は40パーセントまでの出力まで達成したわけでありますが、ぜひ40パーセント近辺、あるいは100パーセントまでの炉心性能をきちんと確認していくという性能試験を、少し時間をかけ、段階的にしっかりと取り組んでいきたいと思いますし、今稲田補佐からもご紹介があったとおり、幸いにもアメリシウム入りの炉心構成になっているという観点からも、期せずして将来のアメリシウムの炉心への影響ということの性能試験もできるという利点も活かしながら、まずは性能試験をしっかりと達成していくというのが第1番目です。
 第2番目が、やはり本来の「もんじゅ」の目的であった、この1ページに書いていただいていますとおり、ナトリウム冷却型の高速炉として、発電プラントとしての信頼性が本当に得られるかどうかという点です。そしてナトリウムの取り扱い技術が確立されたかどうかという、この所期の目的を、まずは数年間できちんと見きわめていきたいと思っております。
 その後は将来の実証炉、実用炉に向けての研究開発に、しっかりとこの「もんじゅ」を活かしていくということで、もう既に具体的には、将来のマイナーアクチノイド入りの燃料の実証試験を、アメリカとフランスと日本の3カ国協力して取り組んでいくという計画は既に固まって、お互い既にその取り決めもしたわけであります。こういった将来の実証炉実用化に向けた研究開発、あるいはできるだけプラントの信頼性を引き続き上げていくためのいろいろな試験をぜひこの「もんじゅ」によって達成していきたいと思っています。

【田中主査】

 ありがとうございました。あとよろしいでしょうか。
 では、次でございますが、「ITER(イーター)計画・幅広いアプローチの現状と今後の見通しについて」です。事務局からご説明お願いいたします。

【松尾研究開発戦略官】

 核融合を担当しております戦略官の松尾でございます。ITER(イーター)計画及び幅広いアプローチにつきましては、本委員会で前回ご説明させていただきまして、その後、半年ないしは1年近くご報告をしておりませんでしたので、最近の状況について簡単にご報告したいと思います。
 資料ナンバーの4をお手元に出していただければと思います。資料自体は25ページぐらい、全体像がわかるようにしておりますが、その中で特に数ページを使わせていただいて、最近1年間の動きについてご報告したいと思います。
 資料のページ番号で、6ページ、7ページをお開きいただければと思います。ITER(イーター)計画、それから幅広いアプローチの概要ですが、これは先生方ご案内のとおり、ITER(イーター)につきましては、フランス・カダラッシュにおきまして核融合の実験炉をつくるということで、トカマクタイプの炉をつくるということで7極が協力をしてつくるものです。幅広いアプローチにつきましては、それを今度原型炉に持っていくというところで、例えば材料の研究でありますとか、原型炉の設計でありますとか、そういったものを行うということで、日欧協力をして、青森県六ヶ所村と茨城県那珂市で行うプロジェクトです。
 最近の動きですが、7ページをご覧いただければと思いますが、経緯と今後の予定を書いております。
 先生方のご協力もいただきまして、無事、昨年ITER(イーター)協定、それから幅広いアプローチの協定が国会でご承認いただき、幅広いアプローチの協定が2極ですので、先立つこと昨年の6月1日に協定が発効しております。ITER(イーター)協定につきましては、中段に書いておりますが、10月に無事7極が合意をして協定が発効ということになっております。それぞれ実施機関、それから国内機関として原子力機構をその日に指定をさせていただいているところです。
 幅広いアプローチにつきましては、6月21日に第1回の運営委員会、そして11月に第2回、そして今後の予定としまして、今年の5月に第3回目の運営委員会を、青森県六ヶ所村で開く予定にしております。幅広いアプローチでは3つの事業があるわけですが、その事業地を決め、そして事業計画を決定するというような活動をしております。
 ITER(イーター)につきましては、協定が10月に発効いたしましたので、11月27日にカダラッシュで第1回目の理事会を開催し、そこでITER(イーター)機構が正式に発足、そして日本から池田要が機構長に就任いたしました。そして今後の予定としまして、本年6月に、青森県で第2回目の理事会が開かれるという予定になっております。ページをめくっていただきますと写真がございまして、無事に指定をしたときの写真等々でございます。
 ページを繰っていただきまして、12ページですが、最近の主な進捗です。
 現在、過去に作成しましたITER(イーター)のいろいろな設計の文書がありますが、それを今に合わせるということで、ITER(イーター)のベースラインドキュメント、これについてのコスト、スケジュールを加味した文書の作成が現在ITER(イーター)機構の中で行われており、次の理事会でこれが出される予定になっております。これにつきましては、我々としてもできるだけ早く文書を入手して、国内評価をかけるというようなことを行っております。
 ITER(イーター)機構につきましては、現体制約200名くらいの体制であり、順次人の採用が行われているところです。それから、ITER(イーター)機構との間で各極が機器の調達の取り決めをして、これは日本が一番早く調達取り決めしたわけですが、現在TFコイル等々の調達の作業をしているところです。そして、先々月ですが、フランスの規制当局に、建設にかかる許認可の申請をしました。これらが最近の状況です。
 またページをめくっていただきまして、幅広いアプローチの状況ですが、20ページ、21ページをお開きいただければと思います。
 幅広いアプローチにつきましては、20ページに書いているとおり、運営委員会、その下に3つの事業、それぞれ事業長を決めさせていただいており、2つの事業については日本から、1つの事業についてはEUのから事業長を出して、現在活動しているところです。その下21ページが、今六カ所のサイト整備をしているところでして、例えば管理研究棟、中央変電所については20年度の末完成、その他については21年度完成ということで、順次国内整備、サイト整備をしているところです。
 22ページを見ていただきますと、これは幅広いアプローチの1つの拠点であります青森県六ヶ所村でのいろいろな滞在支援でありますが、生活支援、それから学校の支援等々を、県、村に協力をいただいているということで、この場をかりて、改めて自治体にも御礼を申し上げたいと思います。
 また、この原子力分野の研究開発に関する委員会の下に、核融合研究作業部会を設けておりまして、昨年6月に報告書を出しております。これは夏に既にご報告させていただいておりますので、細かいことは申し上げませんが、ITER(イーター)、幅広いアプローチについて本格化するため、国内の体制を整備すべしということで、国内体制のあり方について検討したのが24ページの1枚紙です。この中で、核融合エネルギーフォーラムというものを新たに開設して、その中でITER(イーター)・BA技術推進委員会をつくり、産学官の意見を集約するということが行われており、ここで現在、ベースラインドキュメントの国内評価、それを作業部会に上げてもらうというような活動、あるいは今後のロードマップの検討等も行っているところです。
 今後の本委員会での活動につきましては、人材育成をしっかり行うということで、原子力機構、大学、アカデミア、それと産業界との間での人材の交流等々について検討したいと思っております。
 最後に、資料はありませんが、昨年末からいろいろな報道でも、例えばITER(イーター)のアメリカの予算について報道がなされておりますので、その点だけ簡単にご紹介をして説明を終わりたいと思います。2008年のアメリカのITER(イーター)予算ですが、ITER(イーター)機構への分担金を含めまして、ITER(イーター)関連の予算がゼロになったという報道があります。この背景には、アフガン戦費とDOEの基礎研究費が一括法案になっているということで、それに引きずられて、DOEの基礎研究費全体がそちらに引きずられたというようなことが背景にあるようで、そういった事実がございます。アメリカとしては2007年の予算、あるいはDOEの他の予算を流用してITER(イーター)への貢献をするということ、それからまた、現在補正予算も検討中ということです。2009年の予算につきましては、2月に大統領教書も出まして、予算教書が出て、その中に盛り込まれておりますので、我が国としてはしっかりそれを確保してもらうように、今アメリカ政府に対して慫慂しているところです。
 本件についてのITER(イーター)全体への影響ですが、ITER(イーター)機構の評価によれば、建設10年間の中でのいろいろな調達の微調整、それからITER(イーター)機構でのやりくり等によって全体への影響は少ないということで、今各極にレターが回されており、我々としては、さはさりとてやはりITER(イーター)全体が順調にいくように、アメリカ政府、ITER(イーター)機構、それからホストでありますEUと協力して全体がうまく進むように行っていくということが基本方針でございます。
 以上、簡単ではありますが、ここ1年間の状況についてご報告をさせていただきました。

【田中主査】

 ありがとうございました。何かご質問等ありましたらお願いします。

【岡ざき委員】

 幅広いアプローチ関係で2点だけお願いを申し上げたいと思いますが、1点目は幅広いアプローチの六カ所サイトについて、大変地元の皆さんのご支援もいただきながら順調に今進んでおります。特にその中で、本島委員の大変なご努力で、核融合科学研究所だけではなくて、日本の大学の関係者が六カ所においての研究拠点をおつくりいただけるという動きが、今大変地元でも高い評価をいただいております。我々の今後の幅広いアプローチ活動にも、大変なご支援がいただけるということでありますので、こういった大学の皆さんの活動をぜひ支援いただければと思っています。
 もう1点は、ようやく幅広いアプローチ活動について日本とEUとの、大きな基本的な方向について固まってきましたので、EU以外のほかの極も、この幅広いアプローチ活動に大変な関心を持っていただいているわけでありますから、できるだけ早いうちに、EU以外の極に開かれた幅広いアプローチ活動ができるような努力を、ぜひ行っていただきたいという希望を持っておりますのでお願いいたします。

【田中主査】

 ありがとうございました。あといかがでしょうか。

【長崎委員】

 この20年度の予算案を見ますと、2050年に実用化を目指すFBRは397億円という予算がついています。一方、高レベルについてのいろいろな事業開発で86億、経済産業省関連が49億。そういうものと比べたときに、このITER(イーター)という核融合炉がほんとうに将来的に実用化しようとしていること、本当に人類に役に立つ、社会の役に立つという意味で、これだけの投資をすることが本当に適切なのであるということを、常にチェックをかけていくようにしていただければというように思います。否定をしているのではなくて、そうでなければ、ここの一番最後のページの報告書の概要のところに、「国民の理解」ということが少しだけ書いてあったのですが、どちらかと言うと何となく自信がないような書き方になっているように感じます。「議論され、特に優れているとの認識が得られ、国民から大きな理解と支持が得られることを期待している」というようなことを、やはりもっと開かれた議論の中で進められていくようになる必要があるのではないかと考えます。以上です。

【田中主査】

 ありがとうございます。私も時々、核融合エネルギーの開発というのは、原子力エネルギーのいろいろな将来の1つの姿だろうから、その大きな中でこの位置づけをしっかりすべきであり、人材などもその中で育てていくべきだということを申し上げているところですが、1つ教えてください。200人ぐらいの職員数だという話があって、日本から何人ぐらいの目標で、現在何人ぐらいなのでしょうか。

【松尾研究開発戦略官】

 日本からの割合というと、18パーセントを目標にしております。今現在、残念ながら2007年、昨年の夏時点では11、12パーセントくらいですが、今新しい雇用がありますので、それを見るともう少し減っているかもしれません。したがって、それを増やすべく努力をするということで、原子力機構、大学、それから産業界のほうにも声をかけて増やすということについても、ただ単に声をかけたからといっても、なかなかできませんので、それについてのいろいろな仕組みなどを今後作業部会で議論をして、その目標を達成するように努力をしていきたいと思っております。

【田中主査】

 分かりました。現場で、優秀な人が要ると大きな声で議論することが一番重要かと思いますので、ぜひよろしくお願いします。

【本島主査代理】

 今長崎先生がおっしゃった点、大変重要な点であると申せます。私どもも研究を進めていく上で常にそれを意識して進めておりますが、実験炉の建設が始まった今、研究は大変急速に進んでいるわけです。ですから私どもの努力不足というのはあるのですが、むしろ逆に社会のご理解が、それに追いついていないという点があるのではないかと感じております。
 例を申しますと、コンピューターの世界のムーアの法則という有名な法則があります。トランジスターの集積率、つまり計算スピードが2年で2倍上がるという法則です。そして、その先に京速コンピュータープロジェクトがあるわけです。私どもの分野での典型的な研究の指標は密度と温度との閉じ込め時間です。これがやはり2年で2倍伸びてきて、そのすぐ先にITER(イーター)があるというところまできており、今研究は非常に進んでおります。こういった点はもっと積極的に発信する必要があると思っております。
 それから、この前のIEAで開催された核融合調整委員会(FPCC)で田中事務局長にお会いしましたが、やはり今の日本そして世界のエネルギーは、2050年先に空白期間があると明確におっしゃっていました。皆さんご承知のとおりですが、エネルギー、環境といったことの認識も、ぜひ私どもも努力しながら、いろいろな分野のご指導も得ながら高めていくということは非常に重要なのではないかと思います。再度申しますと、研究というのはものすごく進んできているのだという点を一言コメントさせていただきます。

【田中主査】

 ありがとうございました。

【井上委員】

 今発展段階のような議論が少しあったように思いますが、4ページの全体像というのが割と良くできているように思いますが、横軸の時間が入っていないのですが、ITER(イーター)の建設に10年で運転に20年というと、30年ぐらいと思いますが、それも私は、まだベーシックな研究の段階ではないかと思うので、それから先にまだ続くということになります。
 そうしますと、国際的な共同研究で行っているわけですが、先ほどのご報告にありましたように、アメリカについて、まだ出てくるとは思いますが、差し当たり予算カットされるような中で、我が国が着実にステップを進めているということ、これは大変結構なことだと思うのですが、今後数十年先の国際的な経済力等々というのは、今と同じとは言えないというように思うわけです。とりわけアジアにおいては、相対的な意味ですが、中国やインドあたりの国力のほうが上回るということは十分考えられるわけです。ですから資金でというような話では、日本は相対的に弱くなるかもしれません。
 先ほどご報告にありましたように、人が重要なのだろうと私は思うのです。そのときに、この前のレポートにあったように何百人必要だというような数が出てくるのは、私はあまり感心しないので、数ではなく質だろうと思うのです。こういうチームで本当に尊敬されるような研究能力のある、独創的な研究能力を持った人を育てなければならない。この辺は、報告書では単に学術研究という欄で納まっているのかもしれませんが、大学との密接な関係という意味では核融合科学研究所あたりが重要なのかもしれませんが、その辺も含めた今後数十年に亘って、もう今の人たちはいなくなるわけですから、いかに本当に優れた人を育てるかという、その仕組みも含めてプログラムをつくっていただけたらと思います。

【田中主査】

 ありがとうございました。今の井上委員のご指摘は、核融合だけではなくて、原子力全体にも係わることかと思いますし、将来我が国が学術的な、技術的なところでどのようにして世界に貢献するのかという、大きな国の考えにも関係するところだと思いますので、引き続きそう言ったことが非常に大事であるということを認識しつつ、よろしければ、次の議論に行きたいと思います。次が「J-PARC計画の現状と今後の見通しについて」です。事務局からご説明お願いします。

【林量子放射線研究推進室長】

 研究振興局量子放射線研究推進室の林でございます。J-PARCの現状と今後の見通しについて、ご説明いたします。
 資料5ですが、まず1枚開いていただき、2ページ目にJ-PARCの概要というものが書いてあります。ご存じのとおり、J-PARCにつきましては、3つの陽子加速器と、その加速器から得られる多彩な二次粒子を使って、基礎研究から応用研究まで幅広い研究開発を実施するという複合施設です。
 どのような二次粒子を使うかというと、その下の3ページ目に図が書かれていますが、陽子ビームを標的原子核にぶつけることにより、中性子であればこの物質・生命科学実験施設、パイ中間子から出てくるニュートリノについてはニュートリノ実験施設、それからK中間子についてはハドロン実験施設と、それぞれの多彩な二次粒子をいろいろな形で使っていくという施設です。
 4ページ目に、中性子を使った物質・生命科学実験施設について概要が書いてありますが、左下の絵のところにありますように、真ん中にある中性子のターゲット、これは水銀を使っていますが、ここに陽子ビームを当てることにより中性子を発生させ、それを23本のビームラインを使って測定装置に導き、ここでいろいろな測定をするというようなことになっています。ちなみに同様の施設は、アメリカでもSNSという計画がありまして、これはもう既に運転開始をして徐々に出力を上げているという段階です。
 5ページ目に、中性子実験施設のビームラインの状況が説明してありますが、現在のところ、23本取れるビームラインのうち、大体13本分は決まっており、原子力機構が2本、そしてもうプラス2本を来年度から設計に入ります。また高エネルギー加速器研究機構が、外部資金も含めて4本。あとはいろいろな大学、もしくは県がそれぞれの目的、競争的資金を取りながらビームラインを整備しているところです。こうしたいろいろなビームライン、測定装置を用いて、6ページに書いてありますように、SPring-8等の放射光に比べ、中性子ビームというのは水素が見やすいであるとか、磁性がはかれるであるとか、いろいろな特徴がありますので、その特徴をフルに活用した実験というものを考えているところです。
 そして、7ページにニュートリノ実験施設と書いてありますが、このJ-PARC、50GeV(ギガ電子ボルト)のシンクロトロンで発生させたニュートリノを、295キロ西にありますスーパーカミオカンデに打ち込み、そこでいろいろな測定をすることになります。8ページ目に、その簡単な概要を書いてありますが、右の下のほうにニュートリノ3種類、ミューニュートリノとタウニュートリノと電子ニュートリノとあります。加速器から出てくるのはミューニュートリノということになるのですが、これがタウニュートリノに変化したり、さらには電子ニュートリノに変化する、その変化の状況を調べることによって、素粒子の標準理論の構築に貢献していくという実験です。
 次の9ページは、ハドロン実験施設と呼んでおりますが、これは50GeV(ギガ電子ボルト)のシンクロトロンから出てきた陽子を標的にぶつけることにより、K中間子を発生させ、そのK中間子を用いることによって、10ページに書いてありますが、さまざまな物質の起源の解明等々、原子核・素粒子の分野の基礎実験を行うという実験装置です。
 11ページにJ-PARC計画のスケジュールが載っておりますが、これは20年2月現在のものです。12ページに、現在のJ-PARCということで図が載っておりますが、今までのところ、オレンジ色の矢印で書いてあるリニアックについては、平成18年11月に完成しており、現在、ビーム試験を開始したところです。そして、その次にある小さな輪のところ、ここは3GeV(ギガ電子ボルト)のシンクロトロンという加速器になりますが、これが昨年の10月に完成しており、現在、ビーム試験を行っているところです。「ここまでビームの加速中」と書いてありますが、この3GeV(ギガ電子ボルト)のシンクロトロンのところまで、今現在陽子が来ているという状況になっています。
 今後の予定ですが、来年度の5月には、大きな50GeV(ギガ電子ボルト)のシンクロトロンが完成するとともに、この3GeV(ギガ電子ボルト)のシンクロトロンから、黄色の点線で中性子の実験施設に行っているラインが5月に完成しまして、そのラインと50GeV(ギガ電子ボルト)の大きなシンクロトロンの試験が今年の5月から開始される予定です。その試験を行った上で、来年度の12月を今は予定していますが、来年度の12月には中性子の実験が、さらには来年度の2月には50GeV(ギガ電子ボルト)のシンクロトロンから出てきたビームを利用したハドロン実験が行われ、最後にニュートリノの実験が21年度の4月という予定になっております。
 そして、13ページに予算が書いてありますが、先ほど山野からも説明がありましたが、前年度311億円のところが、今年189億ということで、建設の最終段階に入りまして、ほとんど建設費が削減されてきたということです。ただ、多少建設費も残っており、この中で中性子のビームラインをつくっていたり、もしくは昨年の評価でも指摘のあったリニアックの回復のための設計費等が含まれております。
 また、予算に関連して少し説明しますと、このJ-PARCの運転経費、我々189億円と今見積もっているわけですが、その額について削減の努力をすべきと、昨年の大強度陽子加速器計画中間評価報告書で言われており、また昨年の独立行政法人の見直しのときにも同様な指摘を受けているところです。我々としましては、今加速器の試験をしておりますので、その試験を踏まえた電気料金の精査、さらには夏期の運転時間の見直し、また業務委託については高エネルギー加速器研究機構と原子力機構とで分かれて委託するようなところを一括して委託する等々の努力により、削減するということを今検討しているところです。
 14ページに運営体制が書いてありますが、この事業は、高エネルギー加速器研究機構と日本原子力研究開発機構との両者の協力によって進めておりますが、運営に当たってはそれがばらばらにならないように、お互いに、J-PARCセンターという一括した運営体制というものを敷きまして、そこが全体的に運営します。こういう体制で、これから実験を進めて行こうということになっております。
 簡単でございますが、以上でございます。

【田中主査】

 ありがとうございました。何かご質問等がございましたらお伺いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

【井上委員】

 このJ-PARCの中間評価報告書に関しては、量子ビーム研究開発作業部会での報告書の前に出たわけですが、そこで懸案になって残っているのが14ページの運営体制といいますか、J-PARCセンターの位置づけの問題であったろうと思うので、今はもちろんこれで結構なのですが、今後それについての検討をしていただくべきであとうと思います。
 個人的には、そこでの意見でも、やはり独立すべきではないかという意見がかなりあったと思うのですが、当事者としては今建設体制であるということがまずあると思うので、そこの議論は早いということであったろうと思うのですが、そろそろ利用という状況になってくるということで、それについてのご検討をお願いしたいと思います。

【田中主査】

 分かりました。あと、いかがでしょう。

【長崎委員】

 質問ですが、5ページに、装置の整備でどこが担当ということが書かれていますが、これは実際に運用が始まったときに、整備したところがほとんどを占有するのか、あるいはかなり新規参入で、外国、アジアも入れてと思いますが、そういう新規参入について、非常にオープンに開放しているのか、いわゆるマシンタイムがぎちぎちになっていないのかなど、その辺はどのようになっているのでしょうか。

【林量子放射線研究推進室長】

 2点ありまして、この実験装置については、先ほどご説明しましたが、23本分取れるところ、今13本分の装置が決まっています。今後どういう装置を造っていくかというのは、今中性子科学会や、当事者である原子力機構、高エネルギー加速器研究機構などが議論をしながら、大体の目算を立てていまして、それについては予算が取れたらどんどんつくっていくことになります。ただ、それ以外につくりたいであるとか、もしくは外国がつくりたいという話が出たら、またそのときに検討するということになります。空きはあるので、そのときにどういう検討をするかということになるかと思います。
 あとは、造った人が使うのかという話については、今後の運営体制を詰めていかなければならないのですが、考え方としては、今23本のうち13本しかまだできていないので、なるべくみんなで使えるようにするような運営体制を敷きたいと思っています。例えば、つくった人が50、60パーセントを使うとしても、他の部分については開放して、それを一括して外の人も使えるような運用体制を敷くのが良いのではないかということも検討しております。

【岡ざき委員】

 今の点は、私ども原子力機構と、それから一緒にやっております高エネルギー加速器研究機構とはやはり少し運営の仕方が違うところが、もちろんないわけではないのですが、先ほどご紹介いただいたJ-PARCセンターで一括して、その運用に責任を持って当たる、それから基本的には、今長崎委員からもご指摘があった、例えば課題審査委員会であるとか、利用者協議会であるとか、他の施設と同様に徹底的に開かれた、もちろん外国のユーザーの皆さんにも開かれた、客観的な運営をしていくという基本姿勢はぜひ貫きたいと思っていますので、ぜひまたご意見をいただければと思います。

【田中主査】

 ありがとうございました。
 1つ教えてください。第1期計画が大体完成して、実験が始まるというのは大変よろしいと思うのですが、2ページ目でいつも気になっているのは、第2期計画について、いつごろ、どのようにしていくのかを、どこかで議論しておかないといけないと思います。

【林量子放射線研究推進室長】

 去年の中間評価報告書でも、第2期計画については、原子力政策の中での位置づけをどのようにするかという議論もあり、まずは原子力委員会等でその議論をしてからということになっております。
 実際問題、我々今、この第1期の部分をどのように上手く立ち上げるかということが主な課題であり、それが立ち上がって順調に動き出した後の話になるのかと思っております。

【田中主査】

 では、よろしければ、次の議題6から8ですが、公募事業に関するものですので、3件併せてご説明いただきまして、その後まとめてご質問いただけたらと思います。よろしくお願いします。

【山野原子力計画課長】

 まず、資料6について説明します。「原子力人材育成プログラム」、これは昨年立ち上げまして、今年が2年目になります。一番最後のページの、背景について説明した資料をご覧いただきますと、昔はいろいろな大学に原子力工学科という、「原子力」という名前を冠する学部・学科があったのに対し、今残っているのは東京工業大学と京都大学の大学院だけということで、他はとりあえず、大学院の大括り化や、いろいろ背景はもちろんあるのですが、一遍全部無くなりました。そして最近になり、東京大学の大学院であるとか、学部でいうと福井工業大学、また、今年から、例えば武蔵工業大学なども原子力安全工学科などを復活させたというような事情はあるわけですが、こういう状況もあるので、何とかその辺を支援したいということで、経済産業省とのジョイントで考えてきたプログラムです。これは、別にアカデミックに競うというのではなくて、それぞれの大学の中の教育とか研究活動を支援しようということです。
 1ページ目に戻っていただき、今年は、経済産業省と打ち合わせてこの5つのプログラム、規模も150万ぐらいのものから、2,000万ぐらいのものと、かなりバラエティーがあり、支援する内容も、まさに学生の実習みたいなものを支援するであるとか、一番下の経済産業省のプログラムのように、原子力工学科の真ん中でなくてその周辺の、例えば最近で言えば溶接とか、昔冶金というものがあったのですが、そこらも含めて全体弱くなっているということで、そこらをきちんと支援するというようなプログラムです。これは既に、2月13日に公募を開始して、3月14日、今週末ぐらいに公募締め切りなっています。
 参考までに、2ページ以降、これは去年選ばれた課題です。例えば2ページを見ると、いろいろな特色を持った大学であるとか、また高等専門学校なども出てきており、分かりやすく言うと東京大学、京都大学のようなところから、福井大学、茨城大学、八戸工業大学のように、ある程度原子力施設の地元的な大学までが採択されています。高等専門学校でも、まさに原子力施設の地元の高等専門学校もあれば、原子力施設がないような地域の高等専門学校なども採択されており、このようにいろいろなレベルのいろいろな取り組みを支援するというような制度になっております。
 引き続きまして、資料7ですが、これは「原子力基礎基盤戦略研究イニシアティブ」ということで、全体規模もそんなに大きくなく、5億円ぐらいなのですが、原子力専用の、いわゆる最近の言葉でいう競争的資金です。
 これにつきましては、3つのプログラムがありまして、1つが「戦略的原子力共同研究プログラム」といいまして、規模的には大体3,000万円ぐらい掛ける3年ぐらいのテーマについて、これも今ちょうど原子力委員会と相談しているところなのですが、あらかじめ、ある程度政策ニーズに基づいてテーマを設定した上で公募をかけたいと思っています。そして、複数機関による共同研究を支援するというのが1つ目のプログラムです。
 2つ目が、研究炉やホットラボ、それはコバルト60の照射施設も含めてなのですが、大型施設を使ったホットの研究について、今それぞれの大学の現場などでは、どうしてもシミュレーションなどの研究に偏っているところがあるものですから、そもそもの原子力の根っこである泥くさい研究を支援するということです。そう言った原子炉などを持っている機関に対して、他の機関との共同研究プログラムのようなものをつくってもらい、それを支援するというプログラムです。規模的には4,000万円ぐらい掛ける3年ぐらいの規模を考えております。
 3つ目が、これは他の分野でもいろいろありますが、若手に対する支援でして、40歳以下の若手研究者の自由発想に基づくアカデミックな研究を支援するというものです。
 これらについては、次ページ以降いろいろなプログラムの概要を書いておりますが、今最終調整段階でして、最終的には原子力委員会にも説明して、ご了解いただくような形にした上で、早ければ今週末ぐらいから公募を開始して、4月いっぱい、ゴールデンウイーク前まで公募をしたいと思っております。資料6、7については、以上です。

【稲田原子力研究開発課長補佐】

 資料8については、原子力研究開発課からご説明させていただきます。
 こちらの「原子力システム研究開発事業」に関しましては、革新的原子力システムや革新的な技術、及びそれらの開発を支える共通的基盤技術を創出するための研究開発として、競争的資金で実施しています。具体的には、JSTに委託をして、JSTでピアレビューの結果、必要な研究課題を選定するというスキームになっています。
 20年度の予算としては約60億、そして18年度予算と書いてありますが、19年度予算の間違いでして、その予算に比べると少し増えておりますが、特会制度の改革で不用額が使えなくなっておりますので、実質的には前年とほぼ同額になっております。これまでに、革新的な技術開発であるとか、あるいは若手等々の募集を実施しまして、約90件の研究開発を採択しており、これの現在残存している課題について予算措置を行うとともに、20年度については、革新的技術創出型研究開発に対して約3件の募集を行う予定です。なお、一番下の若手対象型に関しましては、先ほど山野のからご説明しました資料7の中の「3.若手原子力研究プログラム」、こちらに統合することとしましたので、20年度は募集を停止しております。
 表中にあります特別推進分野ですが、これは今まで行った研究開発の中間評価等々を現在実施しており、その評価を踏まえまして、良いものがありましたら21年度の予算要求で予算をつけて、ここから行っていくという計画で考えております。
 現在、募集が終了しまして、3件の募集に対して30件の応募がございました。これから審査を開始しまして、4月中旬ごろまでにはその課題を決める予定で、現在作業を進めているところです。以上です。

【田中主査】

 ありがとうございました。それでは、ただいまの3件の公募事業の説明に関しまして、ご質問等ございましたらお受けしたいと思いますが、いかがでしょうか。
 それでは、先ほどの議事の1に戻りたいと思いますが、文書でもって見解を残したほうが良いのではないかということでしたので、事務局につくっていただきましたが、できていますか。

【山野原子力計画課長】

 あともう少しでできますので、その前に参考資料1の説明をさせていただきたく思います。

【田中主査】

 それでは順番を逆にして、参考資料1「評価の進め方」について先に説明していただきます。

【山野原子力計画課長】

 参考資料1「評価の進め方」を説明します。
 毎年、「評価の仕組み」というものが、少しずつ変わっていくのですが、今年もこの資料にありますように2月5日に、この委員会の親委員会であります研究計画・評価分科会で、「評価の進め方」というものが決定されています。
 何が変わったのかを分かり易く言いますと、最後からその前のページで、去年までとの違いを記した資料ですが、そこに線を引いておりますように、「研究評価計画の作成」というものを行うことになったことです。これは分かり易く言いますと、年度当初に、当該年度に行います事前評価、中間評価、事後評価について、どういうものを対象にして、いつごろの時期に、どのように行うかということをあらかじめ決めておくということです。それが一番のポイントです。
 もう1つは「留意点」のところに書いてありますが、評価するに当たっては、やはり全体の総額や、方向がわからないと適切な評価ができないのではないかということもあり、5年計画であれば5年分の額であるとか、どういう資金、たとえば運営交付金であるのか、競争的資金であるのかなどについて、きちんと書くようにするということ、その2点です。
 このようなことで、当委員会におきましても、次年度の研究評価計画というものを作成する必要が春先の4月から5月にかけてあるわけですが、そこらについては、先生方にメールなどのルートでご相談して作成していきたいというように考えております。以上でございます。

【田中主査】

 ありがとうございました。何かこの件について、ご質問はありますか。
 ないようですので、それでは事務局に作成いただいた資料を席上に配付願います。

(資料配付中)

 それでは、まず事務局のからご説明お願いいたします。

【山野原子力計画課長】

 では、若干省略しますが、読み上げるような形でご説明したいと思います。
 「研究施設等廃棄物の埋設処分の推進について」ということであります。委員会におきましては、研究施設等廃棄物の埋設処分の実現に向けた取り組みについて、平成18年9月に考え方を取りまとめた。本日、文部科学省から説明を受けた法律案は、基本的にこの考え方に沿っており、廃棄物発生事業者の実情等を踏まえると適切なものである。今後、本法律案が認められた後には、実施主体となる原子力機構が中心となり、関係者と協力して、早急に具体化されることを期待する。当委員会においても、作業部会を設置し、必要な説明を受け、必要な検討を行っていくものとする。
 「なお、以下の点に十分留意して推進することが必要である」としまして、3点でございます。
 1つ目は、文部科学省は、処分事業をこれ以上遅らせないとの強い認識のもと、実施主体となる原子力機構と一体となり、事業を推進することが重要であり、特に処分場の立地に当たっては、文部科学省は原子力機構とともに前面に立って地元の理解を得るよう努めること。その際、情報公開による透明性の確保を図ること。
 2点目は、文部科学省及び原子力機構は、主要関係者と協議会を設置するなどして、処分のみならず処理も含めて、関係者と十分な意思の疎通を図りながら、公正性をもって事業を実施すること。
 また、文部科学省、原子力機構は、廃棄物の減容化・安定化など効率的な処分につながる研究開発を実施すること。また廃止措置や高レベル処分に関する研究開発を含めたバックエンド対策全体について、柔軟性を持ちつつ着実に進めること。
 説明は以上でございます。

【田中主査】

 ありがとうございました。文書案をつくっていただきましたが、先ほどあったようなことを盛り込めたかと思いますが、もし何かご質問やご意見、要望等ありましたらお受けしたいかと思いますが、いかがでしょう。

【本島主査代理】

 推進についてのまとめとしましては、今日の議論をよく反映していただいていると思います。
 先ほど岡ざき理事長がおっしゃったように、この推進についての観点というのは、当委員会、文部科学省側の観点と、それから原子力機構としての位置づけの両方があると思うのです。これは確認ということでよろしいかと思いますが、やはり私どもからも期待する点として、原子力機構がこれを重要な業務として位置づけるということが非常に、まず入り口のところで大切なことであろうと思います。これは申すまでもないわけですが、先ほどの議論もそうですが、技術開発研究の重要性、それから安全研究との連携、リンクというのは欠かせないわけですから、やはりもう1つの期待としては、原子力機構として、もちろん共同研究等のフレームワークも活用しながら優秀な人材を充てるということが非常に重要になるのではないかと思います。
 それを、私ども含めて、官民挙げて支援、協力するということであろうかと思うのですが、そういう内容と読んでよろしいのでしょうか。

【田中主査】

 事務局、いかがですか。

【山野原子力計画課長】

 本島先生のおっしゃるとおりのことでございます。

【田中主査】

 本来業務としての位置づけ、また安全研究や人材育成、従来の原子力機構が持っていた業務との関連という話も今日ありましたが、そのような大きな観点でもって、こういう処分事業や関連するような基礎研究、技術開発をしっかりやっていくことが原子力機構の重要なミッションのひとつであるというような、ちょっと高い理念的なことがあった方が良いのではないかということかと思います。

【本島主査代理】

 この事業が成功しないと社会の理解がより深まらないというのは、もう間違いないところだと思います。

【田中主査】

 そのときには、従来からあった事業が阻害されてはならないというようなことももちろんですが、そのようなことを踏まえて、アウフヘーベンした形で何かいい表現を、ちょっとうまく言えないのですが、その辺のところは理念か何かがうまく書き込めればと思いますので、少し検討させていただきたいと思います。

【石田委員】

 今ざっと読ませていただいて、基本的にこれで私は大体結構だと思いますが、本島先生がおっしゃった人材養成みたいなことについてのコメントもあっても良いのではないかと思います。なお、「本法律案が認められた後」、これは非常に良いのですが、認められたというのはいかにも、国会成立とは必ずしも認識できないところもあるものですから、いま少しきちんと「本法律が成立した後」とか、もっときちんとした表現をすべきではないかと思います。
 それから、一番最後のマルですが、文部科学省と原子力機構は云々とありますが、「研究開発を実施すること」というのは、文部科学省が実施することは多分、私はないと思います。多分、これは「安定化など効率的な処分につながる研究開発の格段の強化に努めること」であるとか、そういうより間接的な表現のほうが「文部科学省及び原子力機構」ということにつながるかと思います。あるいは、研究開発及び人材の育成であるとか、さらに広い言葉を入れた方が良いのではないかと思いますが、そういうことぐらいでまとめれば、あとはそれほど気になることはないと思いますが、いかがでしょうか。

【田中主査】

 ありがとうございました。妥当なコメントだと思いますので、ぜひ反映していただきたいと思います。

【伊藤委員】

 今日の議論の中では出なかったのかもしれませんが、1つ目の丸のところに「処分場の立地に当たって、文部科学省と原子力機構がともに前面に立って地元の理解を得るよう努めること」、これはこれで必要だと思うのですが、やはり立地地域だけではなくて、その重要性なり意義をやはり国民の皆さんに知っていただくということの、要するに情報公開といいますか、PAというのも必要だと思うので、その部分を入れられたらいかがかと思います。

【田中主査】

 ありがとうございました。そうさせていただきたいと思います。他はいかがでしょうか。
 多分、持って帰られるとまた何かあるかと思いますので、もし後ででもありましたら、ご意見をいただけたらと思いますが、いつごろまでにいただければよろしいですか。

【山野原子力計画課長】

 今週の水曜日くらいまでにいただければと思います。また、あわせて事務局のほうで、本日ご欠席の委員もいますので、ご欠席の委員の皆さんにも、こういう議論になったということも含めて話をして、意見を集約したいと思います。

【田中主査】

 本日配られた案について、いくつか重要なご意見をいただきましたので、それを踏まえたものを皆さんに送ったほうが、より前に進んだご意見がいただけると思いますので、そのようにさせていただきます。また、今山野課長から話がありましたが、欠席のかたにもそれをお送りしてコメントをいただけたらと思います。
 最終的なところにつきましては、私のほうにご一任いただくということでよろしいでしょうか。
 はい、ありがとうございました。それでは、委員会見解が決定され次第、また委員の方には最終的なものをお送りしたいと思います。

【石田委員】

 決定日付は3月10日でよろしいのですか。

【田中主査】

 事務局、いかがですか。

【山野原子力計画課長】

 3月10日付で決定ということで、主査一任にさせていただけるとよろしいのではないかと思います。

【石田委員】

 はい、それで異存はありません。

【田中主査】

 委員会の開催日に決定したとしたいと思いますので、よろしくお願いします。
 先ほど、参考資料の説明は終わりましたので、その他、ご意見等ございましたらお伺いしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 無いようでしたら、事務局から、事務連絡等をお願いいたします。

【山野原子力計画課長】

 議事録につきましては、出来次第、またメールでご相談させていただければと思います。
 次回の開催についても、また適宜相談させていただきたいと思います。

【田中主査】

 ありがとうございました。
 それでは、これをもちまして、本日の委員会を終了いたします。どうもありがとうございました。

─了─

お問合せ先

研究開発局原子力計画課