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資料3 |
プロジェクトシステム抽出の方法論:スーパーコンピューターを例に
堀井秀之
東京大学教授
JST社会技術研究システム安全・安心研究センター長
1. | プロジェクトシステム抽出の方法論 プロジェクトシステムを抽出する方法を、設計のプロセスとのアナロジーから考える。
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2. | プロジェクトシステム抽出の具体例:スーパーコンピューター 安全・安心研究センターにおいて実施中の「国家的意志を持って振興するべき科学技術に関する調査」(言論NPOに委託)の成果に基づき、5つのステップから成る戦略形成の方法論によるスーパーコンピューターに関するプロジェクトシステムの抽出事例を紹介する。詳細は別紙の要約を参考。 ■(ステップ1)日本を取り巻く世界の中長期的な潮流の把握 安全保障の概念変化、世界の多元化などの潮流の中で、特にアジア諸国との信頼関係を強化しつつ、世界にとって魅力ある日本を創出し、世界の日本に対するベスティド・インタレストを拡大していくことによって初めて日本は存続可能に。 ■(ステップ2)日本の強さ弱さの客観的、分析的把握 世界初の課題解決実績を示していくことで、日本はその分野で永続的な優位を確立できる。災害で巨額の損失を被る日本には、スパコンにより多くの資金を投入する大義名分が存在。日本には、「段取りがえ」の時間を短くするという思想があること、スパコンは共通のインフラとして活用できること、「計算機科学」に向いた国民性といった強みが存在。 ■(ステップ3)日本の「限りなく理想に近く、かつ現実的な」アイデンティティー 「課題解決先進国」となって、世界から「なるほど、あれを参考にしよう」と言われるような国になるべき。日本の強さを活用して地球規模の問題解決に資するソートリーダーとなる上で、スパコンによって課題を解決していくという戦略上の選択肢が導出。 ■(ステップ4)日本の強さの徹底活用によってアイデンティティーと現実とのギャップを埋める選択肢の抽出 国家プロジェクトとしての正当性を得るためのクライテリアは、 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ■(ステップ5)日本の永続的優位確立の視点からの選択肢の評価と最適案の決定 スパコンへの投資という選択肢の評価に、「戦略的思考」のクライテリアを適用。 ●戦略的思考1 一人称(vs. 平均・共通像):課題面からも技術面からもすぐれて日本に即した領域。日本のアスピレーションに合致した、「一人称」の基準に即した戦略性。 ●戦略的思考2 非線形(vs. トレンド延長):実学・技術指向が強い日本では、欧米に比べ、シミュレーションの地位向上に対する障壁は比較的低い。学術研究の非連続的な展開期における素早い国家的な切り替えをも可能に。世界中がスカラー型へとシフトした今、それを補完するベクトル型を持つ日本はユニークな非連続的な戦略展開が可能。 ●戦略的思考3 自己実現(vs. 予測):アメリカ追従という小国の戦略を採用しがちな日本は、「大国」としての自己認識を高め、自らの自己実現能力を直視することが重要。課題先進国として他国が注力してこなかった領域(地震、気象など)において、新たな分野を切り開くスパコンの領域への投資の発想は、追従型ではない、自己実現型の投資領域。 ●戦略的思考4 徹底(vs. バランス):地球シミュレーターがその好例であるように、課題先進領域に絞り込み、その用途への対応に「徹して超える」ことが本領域においては可能。絞り込みによって深みが生まれ、その深みを軸に広い用途へと展開が可能に。 ●戦略的思考5 時限的(vs. 普遍的):地震、気象という領域で、どのレベルのメッシュで、どの程度の精度で、いつまでに何がシミュレートできるようにするのかといった課題解決型の投資設計を行えば、必然的に時限性が生まれる。大きな地震と台風が多発した2004年度に続く2005年度には、こうした課題解決の必要性に対する国民的な意識が高まっており、課題解決への着手に対する圧力も存在するという意味でも、現在は好機。 ■ 結論:ソートリーダーというアイデンティティー実現のための戦略的選択肢として、スパコンは日本が高いプライオリティーを置いて資源を集中すべき基幹的技術分野と評価。 |
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