資料3-2:情報統合基盤技術による社会システム・サービスの最適化のための基盤技術開発の事前評価票(案)

平成23年9月現在

1.課題名

 情報統合基盤技術による社会システム・サービスの最適化のための基盤技術開発

2.開発・事業期間

 平成24年度~平成28年度

3.課題概要

 高効率化・省エネルギーや安全・安心の確保をはじめとした様々な課題達成に資するシステムとして、課題達成型IT統合システム(実社会情報を集約し、課題達成に最適な解や行動を導き出し、実社会にフィードバックする高度に連携・統合されたITシステム)を構築するため、情報統合基盤技術の高度化に向けた研究開発を行う。

 例えば、(1)高効率化・省エネ、(2)安全・安心の確保の課題に対応するため、以下のような情報集約・処理システムのシステム設計とシステムソフトウェアの開発及び実証研究を行う。

  1. 既に相当程度普及しているセンサー情報をネットワークを通じて集約・活用し、リアルタイムで、人やモノの動きなど実社会の情報を把握
  2. これらのデータをコンピューティング処理し、課題達成のための最適な解や行動を分析し、必要な情報を可視化
  3. 上記2.のアウトプットとして得られた情報を、政府や地方公共団体等の機関、民間事業者、個人等にフィードバック。

 なお、関係府省等による既存のシステムは最大限生かしつつこれらを前提として研究開発を実施することとする。

4.各観点からの評価

(1)必要性

 第4期科学技術基本計画では、科学技術政策により、人類社会が抱える様々な課題への対応を図るものとしているが、本施策は様々な課題に対応して課題達成型のIT統合システムを構築するものであり重要と認められる。例えば、高効率化・グリーン化や安全・安心の確保等の課題への対応に貢献するものであり、必要性・緊急性も高い。

 例えば、グリーンイノベーションの観点では、東日本大震災後に電力不足等の問題が顕在化した。省エネルギーという課題に対応して、情報科学的なアプローチにより社会システム・サービス全体の高効率化を促進することの出来るIT統合システムを構築することは極めて重要と認められ、その必要性は高い。

 また、災害対応の観点では、復興構想会議の提言で、災害時の被害を最小化する「減災」の考え方の重要性がうたわれており、今回の大震災のように未曾有の大災害が生じた場合でも、被害の低減や災害時のオペレーションの効率化、避難行動等の最適化につながる情報提供の強化が図られるような基盤技術の開発は重要と認められる。

(2)有効性

 本プロジェクトに関連しては、以下のことから十分な有効性が認められる。

  • 平成23年度にフィージビリティ・スタディを行っており、その内容をもとに最も有効性の高い課題対応に重点を置いて研究開発を進めることとしている。
  • プロジェクト実施段階において、実用に向けた関係者との連携を適切に行う計画を有していることを実施主体選定の条件とし、研究開発後の成果を民間企業や政府機関・地方公共団体等に受け渡し、実用化(導入・整備)することを予定している。
  • ここ数年で、センサー群が急速に普及しつつあり、本事業においては、基本的には、これらを活用することとしている。

(3)効率性

 本プロジェクトについては、以下のことから十分な効率性が認められる。

  • 実用化に向けて実施主体は関係者と適切に連携することとしている。
  • システム構成に必要な要素技術について、既存の最新の技術を最大限生かしながら研究開発を行うこととしている。
  • 実施主体の選定にあたっては、本システムの研究開発を行う能力のある研究機関等であって効率的な実施のできる計画を有する機関を選定することとしている。
  • 研究開発の進捗状況や課題の達成状況を把握し、必要に応じて研究開発計画を修正することとしている。

5.総合評価

 本事業の成果として、高効率化・省エネ、安全・安心の確保等の各課題に対応した情報統合基盤技術の確立と社会実装が期待でき(例えば、災害等に強い安心・安全な社会の実現及び都市レベルでの環境負荷等の全体最適化の実現)、有益な事業であると判断できる。

 なお、研究開発の実施にあたり、以下のような点に留意することが必要である。

  • 他府省等の関連施策と十分な連携を図り、適切な役割分担により効果的に研究開発を推進すること
  • 研究開発当初より、民間事業者や実用化後の運用主体及び想定される関係府省の協力を得て研究開発を進め、実用化に向けてのニーズを常に技術開発にフィードバックすること。また、ユーザ側、システム側、ソフト開発側の三者の視点を踏まえて具体的な要求定義がなされること
  • 民間の研究機関等における研究開発動向の把握に努め、それらの研究開発成果の積極的な活用を図ること
  • これらの動向に応じ、研究開発内容の変更等の柔軟な対応が可能となるような研究開発体制とすること

お問合せ先

研究振興局情報課

北畑、鈴木
メールアドレス:jyohoka@mext.go.jp

-- 登録:平成23年11月 --