航空科学技術委員会(第74回) 議事録

1.日時

令和4年7月6日(水曜日) 15時00分~17時00分

2.場所

オンラインにて開催

3.議題

  1. 航空科学技術分野研究開発プラン(案)について
  2. 研究開発課題の評価について
  3. その他

4.出席者

委員

科学技術・学術審議会臨時委員  李家 賢一【主査】
科学技術・学術審議会専門委員  浦松 香津子
科学技術・学術審議会専門委員  太田 惠子
科学技術・学術審議会専門委員  河合 宗司
科学技術・学術審議会専門委員  佐藤 哲也
科学技術・学術審議会専門委員  武市 昇
科学技術・学術審議会専門委員  土屋 武司
科学技術・学術審議会専門委員  戸井 康弘
科学技術・学術審議会専門委員  冨井 哲雄
科学技術・学術審議会専門委員  二村 真理子
科学技術・学術審議会専門委員  山岡 建夫
科学技術・学術審議会専門委員  和田 雅子

文部科学省

大臣官房審議官(研究開発局担当)  原 克彦
研究開発局 宇宙開発利用課長  福井 俊英
研究開発局宇宙開発利用課 宇宙連携協力推進室長  須藤 正幸
研究開発局宇宙開発利用課 専門職  岩田 邦宏

(説明者)
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構 (JAXA)
 航空技術部門長  佐野 久
 航空技術部門事業推進部長  渡辺 重哉
 

5.議事録

1. 開会

【岩田専門職】 定刻となりましたので、ただいまから科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会 航空科学技術委員会(第74回)を開会いたします。
 本日はオンラインにより御出席をいただきありがとうございます。事務局を務めさせていただく宇宙開発利用課の岩田です。どうぞよろしくお願いいたします。
 本日の委員会開始に当たり、航空科学技術委員会の委員12名、全委員の御出席をいただいております。定足数である過半数を満たしていることを御報告いたします。
 このほか、説明者としてJAXAに、オブザーバーとして関係省庁にも御出席いただいております。個別の御紹介はお手元の出席者一覧をもってかえさせていただきます。
 続いて、資料の確認でございますが、本日の配付資料については議事次第に記載されており、あらかじめ電子メールにてお送りしております。資料の過不足やその他お気づきの点がありましたら、チャット機能にて事務局までお知らせください。
 それでは、以後の議事につきまして、李家主査、お願いいたします。よろしくお願いいたします。
 
【李家主査】 李家です。今日も皆様、どうぞよろしくお願いいたします。

2. 議事

(1)航空科学技術分野研究開発プラン(案)について 

【李家主査】 それでは、早速ですが、議題の1番に入らせていただきます。航空科学技術分野研究開発プラン(案)についてということで、これは前回の委員会でもいろいろとコメントをいただいておりますが、それが反映されたものになっていると思っております。
 では、まず、事務局のほうから御説明をお願いいたします。
 
【岩田専門職】 お手元の資料74-1-1、航空科学技術分野研究開発プラン(案)を御覧ください。併せて机上配付資料も御覧ください。幾つか計評分科会事務局との調整がありまして、修正した点を先に説明させていただきます。
 1ページ目、1になります。プランを推進するに当たっての大目標ですが、今まで主語を「航空」だけとしておりましたけれども、大目標は他分野も共通の事項のため、そのまま施策目標を記載するようにしております。
 続いて、航空科学技術分野の研究開発ビジョンを上位施策にしていますが、この上位施策とする場合、計評分科会での審議が必要となります。7月8日に計評分科会が開催される予定ですので、李家主査に御報告いただき、計評分科会で審議されることになっております。審議され決定されますと、研究開発ビジョンの表紙のクレジットが変更されます。変更されますので、上位施策目標の日付を空欄にしており、クレジットの部分についても記載を変更しております。
 その他、項番号、文言の追記をしております。
 続いて、3ページ目になりますが、今、表紙の部分、クレジットが変更になると申し上げましたけれども、別紙に添付しております研究開発ビジョンの表紙についても、現段階で予定されているものに差し替えております。
 続いて、11ページになります。研究開発プランには直近の研究開発プログラムの概要を添付するようになっておりますので、環境適合性、経済性向上の研究開発であるコアエンジン技術の中間評価時の概要ペーパーを添付しております。また、この後御議論される3課題の概要ペーパーにつきましても、事前評価が終了しましたら添付する予定でありますことをお伝えいたします。
 戻りまして、2ページ目ですが、表の左側、重点課題ですが、3課題を大枠として取りまとめたもので、研究開発ビジョンから文言を引用して、3課題が大枠として記載できるような重点課題として記載をしております。
 以上が、計評事務局との調整によって修正されたものです。
 このまま2ページ目です。既存形態で航空輸送・航空機利用の発展に必要な研究開発の右側の成果のところですが、今一番求められているのは脱炭素や環境適合性との御意見をいただきました。事務局でも、研究開発ビジョン最終取りまとめを作成するために使用していた資料を確認しまして、成果の記載を脱炭素社会に向けた航空機のCO2排出低減などを含む、安全性、信頼性、環境適合性、経済性等を考慮した社会共通の要求への対応と変更しました。
 続いて、過去からの研究とのつながりについてですが、表の中央、左側になりますが、2019年まで行われていた静粛超音速機統合設計技術の研究開発を、実線の矢印枠を追記し、その下に点線の枠で三つ記載しております。
 一つ目は、既存形態での航空輸送・航空機利用の発展に必要な研究開発に係るこれまでの主な取組として記載しています。次世代航空技術の研究開発、航空安全技術研究開発を記載しました。
 二つ目として、次世代モビリティ・システムによる、さらなる空の利用に必要な研究開発に係るこれまでの主な取組として、過去に行われていた航空安全技術研究開発、次世代航空技術の研究開発を記載しました。
 三つ目として、デザイン・シナリオを実現するための基盤技術の研究開発に係るこれまでの主な取組として、数値シミュレーションを中心とする解析技術や大型試験設備を活用した試験、計測技術等の基盤技術の蓄積と記載しました。
 これによって、過去の研究開発とのつながりが見えるようになったと思います。
 次に、研究開発ビジョン最終取りまとめの文章にはコロナ禍という文言があったが、表の中には見えてこないとの御意見もありましたので、表の中央、上側に、2019年度末から新型コロナウイルス感染症が流行しましたので、そこから矢印を引き「新型コロナウイルス感染症で社会のあり方が大きく変化」と文言を追記しました。
 次に、表の右側になりますけれども、2022年から5年間の記載にめり張りをつけたほうがよい、終わらせる時期を明確に記載するなど、御意見をいただきましたので、まず、既存形態での航空輸送・航空機利用の発展に必要な研究開発については、脱炭素社会に向けた航空機のCO2排出低減技術の研究開発に含まれている、電動ハイブリッド推進システム技術、革新低抵抗軽量化機体技術、エンジンロバスト運用技術、水素電動エンジン技術について、開始時期、終了時期をそれぞれ分かるように線を引きました。
 終了時期については、2030年度をターゲットにしているものもありますので、表の中では27年度まで線を引かせていただき、プランの見直しの際に矢印の長さを変更できればと考えております。2027年までに終わらないものは期間を追記し、出口につきましても記載しました。
 また、エンジンロバスト運用技術については、2024年から開始しますので、括弧書きで開始時期を追記しました。超音速機の新市場を拓く静粛超音速技術の研究開発、運航性能向上技術の研究開発についても同様に記載しております。
 次世代モビリティ・システムによるさらなる空の利用に必要な研究開発、及びデザイン・シナリオを実現するための基盤技術の研究開発についても、記載の仕方は同様にしております。
 なお、次世代モビリティ・システムによる更なる空の利用の下側、宇宙輸送にも適用可能な水素燃料適用技術については、宇宙側で評価されていますので二重評価になってしまいます。航空科学技術委員会では、評価の対象とはしておりません。記載についても、枠を点線にしております。
 しかしながら、当委員会でも今後の動向は確認するようにしていきたいと考えておりますので、点線で記載をさせていただいております。
 以上、航空科学技術分野研究開発プランについて、説明は以上になります。
 
【李家主査】 どうもありがとうございました。
 ただいまの御説明ですけども、前回いろいろ御指摘があったコメント類が全て反映されているかと私は思いましたけれども、もう一度、今の御説明を踏まえて、最後に委員の皆様から御意見等ありましたらお願いいたします。挙手をしていただいても結構ですし、声を出されても結構です。
 
【戸井委員】 戸井ですが、よろしいでしょうか。
 
【李家主査】 お願いいたします。
 
【戸井委員】 新型コロナウイルス感染症でというところを的確に加えていただいたところは、ありがとうございます。
 ただし、こうしてはどうでしょうかと思いましたのは、要するに、こういう大きな不連続で、この計画内容がどう変わったかというところが、2020年、21年の矢印を加えただけでは、まだちょっと不十分な気がしました。例えばこの表の一番右側の脱炭素社会に向けたという四角のところがございますけれども、その前に、例えば「コロナ禍を経て期待されるニューノーマル社会への対応」という文章をつけた上で、一つは「脱炭素社会に向けた航空機のCO2排出低減」、として、この文章はちょっと長いのでそこで区切って、もう一つが「安全性、信頼性、経済性を考慮した多様なニーズ対応」とか、何かそのような感じでこの四角をまとめられてはどうかなというふうに思いました。
 以上です。
 
【岩田専門職】 戸井委員、ありがとうございます。
 右側の成果のところに表現を追記して記載をするということ、分かりました。事務局でも検討して、記載を考えたいと思います。
 
【戸井委員】 ありがとうございます。
 
【李家主査】 どうも御指摘ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。
 
【戸井委員】 すみません、戸井ですが、もう一つよろしいですか。
 
【李家主査】 はい、お願いします。
 
【戸井委員】 この前のページの、文章のところですか、1ページ目の、既に議論されたことを蒸し返して申し訳ないんですが、5.3のデジタルトランスフォーメーションあたりの書きぶりについてです。別紙の文章のほうでは、デジタルの動きはシミュレーションとコネクティングがあって、コネクティングの意味を含めたデジタルスレッドというところを追記していただいていたんですが、ここでもそう書かれたほうがよいのではないかなと思います。例えば、最後の2行を「航空機の設計・認証・製造・運用・廃棄というライフサイクル全体をデジタルトランスフォーメーションにより、短期・高品質開発と運用効率化を実現する航空機ライフサイクルDX技術の研究開発を重点に進める」という言い方にした上で、下から2行目の「解析手法の検証等」で終わっているところに、「検証及びデータの連結(スレッド)」とか、そういうような意味合いのデータのコネクションが、ここでもキーワードで加わるほうが、DXの捉え方として良いのではないかなと思いました。
 ちょっと説明がごちゃごちゃとなりましたけど、意図は分かっていただきましたでしょうか。
 
【岩田専門職】 ありがとうございます。別紙に付いている最終取りまとめの表現を、もう少し盛り込んだほうがいいという意図として理解しております。
 
【戸井委員】 はい。
 
【岩田専門職】 記載については、ちょっとスペースもありますので、うまく入るように検討させていただければと思っております。ありがとうございます。
 
【李家主査】 御指摘ありがとうございました。
 そうですね、デジタルスレッドは最近では、重要なキーワードになっていますので、その言葉が入っていると、ありがたいと思いました。どうもありがとうございます。
 ほかはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 
【戸井委員】 すみません、もう1個。戸井です。
 
【李家主査】 はい。
 
【戸井委員】 別紙の文書についても、ここでコメントしたらよろしいですかね。
 
【李家主査】 何かありましたら、お願いします。
 
【戸井委員】 前と同じようなことなんですが、別紙の3章、4ページです。既存形態での航空機輸送・航空機利用の発展というところのくだりで、私が3月までいましたJADC、日本航空機開発協会の内容を参照されているんですけれども、実は今年の3月に、この新しいバージョンが既に出ておりまして、最新版で数字が少し変わっております。もし、そこを反映したほうがよろしければ、そこを変えられたらいかがかなと思いました。
 と申しますのも、ちょっとコロナの、不連続なものの取上げ方で、結構数字が違っているんです。旅客需要が2.1倍というのが2.36倍となってますし、平均3.6%の伸びは4%になっていますし、それからページが変わりまして、機体数は20年間で1.6倍というのは1.7倍と、最新で少し動いております。ここまで反映するかどうかは、事務局にお任せしたいと思いますけど。
 
【李家主査】 ありがとうございました。今の変更、まだできますね。
 
【岩田専門職】 はい、7月8日、あさって、計評分科会にかけますので、今の部分を修正した上で計評分科会に提出することは可能だと考えております。
 
【李家主査】 最新のデータがあったほうがよいと思いますので、ぜひお願いいたします。
 
【岩田専門職】 ありがとうございます。
 
【李家主査】 では、よろしいでしょうか。ほかの委員の皆様も、特に御意見がないようでしたら、本日の議論はここまでとさせていただきます。
 今も、御指摘を幾つかいただいて修正点が出ましたけれども、この研究開発プランの案については、おおむね委員の皆様の御了解が得られたと考えております。
 今日いただいた御意見に関しては、私のほうで事務局と相談して、修正箇所については、主査一任ということで、本委員会の決定とさせていただきたいと思いますが、それでよろしいでしょうか。
 
(「異議なし」の声あり)
 
【李家主査】 ありがとうございます。それでは、そのように進めさせていただきます。どうもありがとうございました。

(2)研究開発課題の評価について

【李家主査】 では、続いて今日の議題2番目、研究開発課題の評価についてに移ります。
 この件は、少し資料がたくさんあります。3件に分かれていると思いますが、まず、既存形態での航空輸送・航空機利用の発展に必要な研究開発の事前評価について、まずは事務局から御説明をお願いいたします。
 
【岩田専門職】 ありがとうございます。
 まず、評価になりますので、利害関係者がいらっしゃいましたらお申出ください。
 それでは、既存形態での航空輸送・航空機利用の発展に必要な研究開発の概要について御説明します。資料74-2-1を御覧ください。
 1ポツ、課題実施期間及び評価時期。実施期間は令和4年度から令和8年度となっております。評価時期として、中間評価は令和7年度、事後評価は令和9年度を予定しております。
 研究開発の目的・概要として、ア、脱炭素社会に向けた航空機のCO2排出低減のため、革新低抵抗、軽量化機体技術、電動ハイブリッド推進システム技術、航空エンジンロバスト運用技術、水素電動エンジン技術の研究開発に取り組む。イ、超音速機の新市場を拓くために、全機ロバスト低ブーム設計技術、統合設計技術の研究開発に取り組む。ウ、航空機の運航に関するニーズに応えるために、気象影響防御技術、運航制約緩和技術、低騒音化技術の研究開発に取り組む。
 3ポツ、研究開発の必要性等についてです。
 まず、必要性。国際航空運送協会(IATA)における、2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロの目標達成に向けて、革新的なCO2排出削減技術が必要である。さらなる燃費削減効果を持つシステム開発に加え、より速くという高付加価値のニーズや変化する社会情勢に対応、気象等による運航への影響緩和、空港周辺の騒音低減等が期待されている。
 有効性。これまでJAXAで研究開発されてきた、優位性のあるコア技術をもとに、民間企業と連携して技術成熟度を向上し、国際競争力を獲得することで、実機への成果適用、また次世代の旅客機への適用を目指す。加えて、官民連携を通じて、基準策定や国際標準化にも貢献する。
 効率性。技術移転先の国内メーカーのみならず、ユーザーとなるエアラインや空港、海外OEMとも共同で研究開発を行う。また、ECLAIRやWeather-Eyeなどコンソーシアムを活用して、産学官や異業種との連携を促進する。
 主要課題と目標値を記載させていただいております。
 電動ハイブリッド推進システム技術の研究開発。JAXA独自の航空機電動化コンセプトの燃費削減効果を風洞試験等により検証するとともに、そのキー技術である電力源システムと電動ファン駆動システムを開発・実証する。
 全機ロバスト低ブーム設計技術、統合設計技術の研究開発。巡航性能を確保しつつソニックブームを低減する超音速旅客機の設計技術を実証等により獲得するとともに、海外OEMと連携してその成果をICAOに提示し、ソニックブームに関する基準策定に貢献する。
 低騒音化技術の研究開発。空港周辺の騒音対策として効果的な機体サイズである中型旅客機の高揚力装置及び降着装置に対する低騒音化設計技術を開発し、実機にて飛行実証を行う。
 4番目に、研究開発のロードマップを記載しております。この後のJAXAの補足資料から、具体的に記載しております。
 5ポツとして、予算の総額を記載させていただいています。令和4年度は36.8億円の内数としております。令和5年から8年度は、今調整中となっております。
 では、事務局からの概要説明は以上です。
 JAXAから詳細説明をお願いいたします。
 
【渡辺(JAXA)】 JAXA航空技術部門の渡辺と申します。
 それでは、私のほうから補足説明資料について御説明させていただきます。
 まず、表紙ですけれども、この資料につきましては、昨年の航空科学技術委員会で御報告させていただいた内容ですが、航空科学技術分野に関する研究開発ビジョン検討に関わる有識者委員会最終報告書を報告させていただきましたが、その中の補足資料に基づいて抜粋したものです。新たに作成したものではありません。そのときのものを詳細に御説明したいというような資料になっております。
 2ページ目をお願いします。2ページ目は先ほど研究開発プランの中でもお話がありました項目立てになっておりますけれども、大きく分けて三つあります。既存形態に関する研究開発、それから次世代モビリティ・システムに関する研究開発、それからデザイン・シナリオを実現するための基盤技術の研究開発となっております。
 まず、既存形態での航空輸送・航空機利用の発展に必要な研究開発について御説明いたしますが、この中ではア・イ・ウと三つありまして、脱炭素社会に向けた技術、それから超音速機の実現に向けた技術、それから運航性能向上技術の研究開発、この三つについて御説明させていただきます。
 なお、3ページのコアエンジン技術につきましては、既に評価をいただいておりますので、本日は評価の対象外ということで、説明を省かせていただきます。
 5ページをお願いいたします。ここからが御説明のパートになりますが、まず、1番目のアですけれども、電動ハイブリッド推進システム技術の研究開発になります。なお、本日は、必要性の部分につきましては既に御説明をしておりますので、主に有効性、効率性の部分を中心に御説明させていただきたいと思います。
 まず、この研究開発の概要ですけれども、2030年中頃に想定される旅客機、SA(単通路機)と呼んでおりますけれど、これに向け、我が国の産業界が推進システム電動化技術で参入することを目指し、JAXAの鍵技術と国内企業の優位技術を統合した電動ハイブリッド推進システム技術を地上実証するというような内容になっております。ここの中では、国内の企業群が個社の強みを生かした上で電動化製品事業を世界に先がけて開拓する、というものです。
 アウトプット目標ですけれども、二つありまして、一つ目は胴体尾部電動BLIシステム、Boundary Layer Ingestionという、境界層を吸い込むことによって抵抗を減らし推力を増やすというシステムですけれども、そのシステムによる燃費削減、これは最新の単通路機に比べて5%以上の削減というのがアウトプットの目標の一つ目です。
 二つ目が電動ハイブリッド推進システムの技術実証ということで、電力源システムのエンジン環境での実証を大規模に行うというようなものになっております。
 それから、ここで必要となる目標達成のためのコア技術ですけれども、ここでは四つ挙げております。一つ目が胴体BLI方式ということで、右の図に緑色の部分がありますけれども、胴体の尾部にBLIと言われる方式のモーターを積んでおります。これがJAXAの独自の特許を持っている技術ということになります。
 それからハイブリッドシステム特有の耐故障技術。これについてもJAXA独自の技術になります。
 それから、電動ハイブリッド推進システムの統合設計技術。これはJAXAと国内企業が共同で開発しているものであります。
 それから、高性能電動要素につきましては、国内の電機メーカーさんを中心に取得されている技術です。
 これらの四つの技術がコア技術となって、この機を達成させるということになります。
 次のページをお願いします。
 主な研究項目のところで、TRLが書いてあります。TRLは技術成熟度と言われるもので、産業界に提供するためにはTRL6と言われる飛行環境での実証というのが一つ求められているわけですけれども、必ずしも6でなければ産業界に引き渡せないというわけでもありません。なので、それらは産業界の皆さん方とも相談しながら目標を設定して、このように書かせていただいております。(1)のところに、このTRL 2から4と書いてありますけども、これはこの研究開発開始時は2だったものが終了時には4を目指す、というように書かせていただいております。この中では、一番TRLが高いのは(2)になっておりまして、電動ハイブリッド推進システム技術の開発実証はTRLが5まで目指しておりますので、あともう一歩のところでTRL6になって、実際の実機の開発に使える技術に成長する。そのレベルまでこれに取り組むということになります。
 下の線表のところを見ていただきますと、この薄い破線で書いた部分がJAXAプロジェクト候補ということで、この部分に力を入れて取り組んでまいりたいと思っております。実機相当の試験というのを実際に実施したりいたしまして、エンジン環境の実証試験、航空環境の実証試験を行いまして、2025年度頃には成果を出して、2026年度には国内メーカーへ技術移転をしていくということになります。
 すみません、修正点が1点ありますので、修正させていただきたいんですけれども、この線表で右端のところに、次世代電動旅客機2035からと書いてありますけれども、これは2030の間違いです。これは2030年度頃以降ということで、まだ確実に何年ということは分からないんですけれども、2030年には就航するということが最短では考えられますので、それから見て開発期間を少なくとも5年と考えると、2026年に技術移転というのはぎりぎりのタイミングというふうに考えております。
 エコシステムですけれども、5種類を考えております。すみません、先にそれを御説明させていただきたいので、補足資料の29ページをお願いします。
 ありがとうございます。
 JAXA航空技術部門では、5種類のエコシステムを通じて成果を社会実装していくということを目指しています。これは、エコシステムを考えずに研究開発を進めていきますと、最終的に成果が出た段階で社会実装が困難になるケースが非常に多いということで、研究開発を開始した時点から、どういう形でエコシステムを組んで研究開発を行うか、というのを考えていくという取組です。ここに書きましたように丸1から丸5まで5種類の形態での取組を考えております。これから各テーマについて、どのエコシステムで対応するのかということを御説明させていただきたいと思います。
 それでは、すみません、戻っていただきまして、6ページです。ありがとうございます。
 まず、電動ハイブリッド推進システムのエコシステムは、主要なものが丸3番の多分野連携型ということで、航空機電動化コンソーシアム、通称ECLAIRコンソーシアムというものをつくっておりますけれども、その中で国内産業界の技術と連携してエンジン電気メーカーとともに共同開発を行う、ということがこのエコシステムとなります。
 7ページ目をお願いします。
 続きまして、革新低抵抗・軽量化機体技術の研究開発になります。これも既存形態のアの中の一部です。
 概要ですけれども、優位な環境性能を実現するような抵抗低減・騒音低減技術と構造軽量化技術を開発して、それによって、その実用化に向けた技術検証を進めることで、国内航空産業の競争力強化に貢献する。それと同時に、持続可能な航空輸送の発展に貢献するというような内容になります。
 アウトプット目標ですけれども、優位な摩擦抵抗低減技術を実機環境下で実証する。また、ステアリング積層と言われます、複合材の繊維を応力方向に合わせて配置するような技術ですけれども、それを活用しまして最適構造設計技術を実証すると。この二つがアウトプット目標になります。
 その達成のためのコア技術ですけれども、摩擦抵抗低減につきましては二つありまして、一つは耐久性と適用性に優れたリブレット施工技術。これは右側にありますけれども、機体の表面にリブレットと言われる微細な立溝を施工することによって摩擦抵抗を低減できるという技術なんですけれども、それについて、耐久性とか適用性が増えたような技術をつくるというものです。これは既に、ある程度のレベルで開発ができている段階になります。
 もう一つは層流翼設計技術というもので、これはこれまでJAXAで長らく検討を進めてまいりました、自然層流翼設計技術を適用するというものです。
 それから、もう一つのコア技術は、最適構造設計技術というもので、世界的に優位性を有するようなステアリング積層最適構造設計技術を適用することによって目標を達成する、ということになります。
 次のページをお願いします。
 ここの主要な研究項目を見ていただきますと、TRLは3から5を目指しております。この中の内容ですけど、エアライン運用条件を満たしたリブレット耐久性及び施工技術を開発して飛行試験で実証するというような内容が1点。それから、層流化技術につきましては、実飛行条件を満足できるような海外の風洞を使って技術を実証する。それから、最適構造設計ツール開発に関しましては、サブコンポーネント試験により実証する、というような研究項目を考えております。
 研究スケジュールですけれども、リブレット、層流翼技術、最適構造設計技術につきまして、それぞれこのようなスケジュールで研究開発を進めまして、最終的には2026年度末頃には国際共同開発につなげられるような成果を国内メーカーに技術移転して、2030年以降に就航が計画されています次世代細胴機に間に合わせるというようなスケジュールになります。
 エコシステムについては、企業と最初から密接して、ゴールと時期をよく共有しながら進めるということで、企業戦略密着型として進めたいと考えています。
 次のページをお願いします。
 続きまして、航空エンジンロバスト運用技術の研究開発になります。この研究開発はエンジン低燃費化、軽量化及びSAF(Sustainable Aviation Fuel)の適用範囲拡大に資するような運転範囲の拡大、安全性向上技術を開発し、それを国内エンジンメーカーに技術移転することで、2030年代に開始すると予測される国際共同開発におけるシェア拡大を実現するというような内容になります。
 また、アウトプット目標としては二つありまして、一つはモニタリング、不安定性能予測、安定化技術の実証。それからもう一つはファン・圧縮機・タービンのロバスト性向上運用技術、マージン低減設計技術の実証ということになります。
 これに関してJAXAが持っておりますコア技術としては、燃焼器のモニタリングと不安定性予測、安定化技術ということになります。それからもう一つは、航空機代替燃料の燃焼予測技術、あと、ここに書きましたシミュレーション技術とフラッタ予測技術になります。
 次、お願いします。
 この研究項目につきましては、TRL4と比較的低いレベルのTRLを、まず目指しております。それは、一つは開発の時期がほかのものよりか少し遅いということもありますけれども、このTRL4を目指した研究開発、ここの研究項目に対して行うということになります。
 研究のスケジュールですけれども、この研究テーマにつきましては、En-Coreと言われるプロジェクトが2023年度までで終了しますので、その成果をベースにして始めるということで、2024年度からのスタートを計画しております。それで、最終的には2030年度までに、ここで目指すゴールを達成した上で、国外メーカーに技術移転をしていくということになります。
 この技術につきましては、2026年度末、次期の研究開発プランの期間の末における成果なんですけれども、これにつきましては、単段とかセクターレベルの技術要素の基礎試験実証までというのが目標になります。
 次、お願いします。ありがとうございます。
 次は、水素電動エンジン技術の研究開発になります。これは、水素燃料を利用した燃料電池とガスタービンを複合させた複合サイクルエンジン等の先進技術によって、従来のジェットエンジン技術の延長では到達することができないような革新的なCO2排出削減を実現する技術を獲得するというものです。
 意義・価値のところの一番下に書きましたけど、この技術については、航空機だけではなくて小型軽量燃料電池や複合サイクルエンジンというのは地上発電システムにも適用可能という、スピンオフ等の可能性も持った技術になります。
 アウトプット目標は三つありまして、一つ目が、SOFCとガスタービンの複合サイクルエンジンによる高い熱効率の実証。2番目が、航空機用小型軽量燃料電池の開発、3番目が航空機用超電導機器技術の研究開発ということになります。
 それぞれに対して持っているコア技術は、燃料電池が航空機の飛行環境の変動で温度・圧力等が変わりますけれども、その中でも保護された状態で機能するようにする技術。これはJAXAの特許になっております。それから、水素ジェットエンジンの飛行環境試験技術。それから、軽量高効率燃料電池技術。また、高効率BLIファン設計技術と、この四つになります。
 次のページをお願いします。
 この研究項目で目指すTRLは、非常にまだ技術が低いレベルのところからスタートすることもありまして、TRL4を目標に開発を進めてまいります。
 研究スケジュール、エコシステム、社会実装の時期ですけれども、まず、SOFC-GT複合サイクルエンジンにつきましては、100キロワット級のシステム技術実証を2026年度末までに終えるということ。それで、それをさらに高出力化、実用化促進をすることによって、最終的には2030年頃に国内メーカーに技術移転して、将来的に開発されると想像されます電動推進エンジンに適用していくというようなスケジュールになります。
 また、航空機用の小型軽量燃料電池技術の開発につきましては、2026年度末の段階では、技術移転をして、航空機用として次期の細胴機に適用する、ということが一つの技術移転の方向だと考えております。
 ここでのエコシステムは、多分野連携型と基盤技術提供型があります。
 次のページをお願いします。次は既存形態-イに移りますが、全機ロバスト低ブームの設計技術、統合設計技術の研究開発になります。これについては、これまでも多く説明させていただいておりますけども、概要を説明させていただきますと、環境適合性と経済性を両立させるような超音速旅客機の設計技術を海外OEMと連携して獲得し、社会にも市場にも許容される持続可能なソニックブームの国際基準の策定に貢献するということと、我が国の産業界の競争力の最大化を目指すということが、この研究開発の目標になります。その仕組みの中の一つとしては、JSR協議会と言われる協議会を国内でつくりまして、そこでの協議を通じて、産業界のバーゲニングパワーを獲得するための研究開発に取り組む、というような取組になります。
 アウトプット目標は大きく分けて二つありまして、一つ目はソニックブーム到達範囲全域における低減技術を実証するということです。これは飛行実証を考えております。それから、2番目の環境適合性と経営性を両立する低ブーム機の設計技術を獲得するということです。
 そのためのコア技術としては、全機ロバスト低ブーム設計技術や統合設計技術など、JAXAがこれまで築いてきた研究開発の成果、世界的に競争力のある技術が多くありますので、それが基礎となります。
 次のページをお願いします。
 これにつきましては、飛行実証するんですけれども、全ての形で全機を模擬できるわけではありませんので、TRLとしては4までということになります。
 スケジュールですけれども、現在の想定では、この灰色の枠のところがJAXAのプロジェクト候補ということで、プロジェクトとして実施することを目指している部分になりますけれども、実証機の設計から製造に入って、2025年度頃に飛行試験を行い、その成果を取りまとめて2026年頃にICAOに結果を報告し、2027年度に予定されています、ICAOでのソニックブームの基準策定に貢献する。と同時に、ここで確立してきた技術を国内メーカーに技術移転することによって、最終的には国際共同開発に国内メーカーが優位に参戦できるような技術を提供していくという形になります。
 ここでのエコシステムは、標準化型ということでICAOのソニックブームの国際基準の策定に貢献するという面と、企業戦略密着化ということで海外OEMと共同で事業成立性のある機体設計技術を確立する。この二つを使って進めていきたいと考えております。
 次のページをお願いします。
 気象影響防御技術の研究開発(WEATHER-Eye)です。概要ですが、特殊気象を検知・回避・防御する航空機搭載・地上設置型のシステムを開発ということで、民間航空機運航における航空事故を削減し、また運航効率を改善することを目指すというものです。
 アウトプット目標としては、雪氷・雷・火山灰を検知・回避・防御する航空機搭載・地上設置型のシステムの開発と、システムのプロトタイプの実環境での実証ということになります。
 コア技術としては、滑走路の雪氷状態を検知するセンサと、上空の雷気象状況を検知するデータ処理技術。あとは、乱気流事故防止機体技術ということになります。
 次のページをお願いします。
 この技術につきましては、滑走路の雪氷を検知する技術につきましては空港での実証を行うということで、TRL6を目指しております。それ以外のものについてはTRL5ということになります。
 研究スケジュールですけれども、まず、滑走路雪氷検知技術につきましては、現在も空港実証を行っている段階ですので、本年度には技術移転を行いまして、さらに実用化促進をした上で2024年には空港配備するというような計画になっております。被雷危険性予測技術については2023年の技術移転を目指しています。
 エコシステムとしては、ユーザー密着型ということでユーザーニーズをしっかり把握した上での開発を行うということと、他分野連携型ということで、WEATHER-Eyeコンソーシアムといわれます、産学官連携の多分野連携を行っているコンソーシアムがありますので、そこで研究開発の実用化に向けた協働を行うという形で、エコシステムを作っております。 次のページをお願いします。
 次は、既存形態のウの、運航制約緩和技術の研究開発です。概要ですけれども、気象に関する意思決定支援情報を出力するシステムと、意思決定支援情報と交通状況に基づいて有効な運航方法を導出するシステムを研究開発するものです。それによって定時運航率を高め、運航の経済性や利便性を向上することを目指しております。
 アウトプットの目標につきましては、意思決定支援プラットフォーム、それから航空気象リスク評価、それから航空センシング技術というふうになります。
 そのためのコア技術は、これまで開発してきましたWEATHER-Eyeで開発してきました気象影響防御技術と、スマートフライトという研究開発を進めてきました高度判断支援技術が、基礎となります。
 次のページをお願いします。
 この研究開発につきましては、TRLとしては4を目指した活動になってまいります。
 研究スケジュールですけれども、三つのテーマにつきまして、2023年度から技術開発を行っていくということになります。この、2023年度からスタートする理由ですけれども、この前に、先ほど御説明しました滑走路雪氷検知技術等のフィールド実証を行いますので、そこの成果を組み込んだ上で、それを反映していくということで、2023年度に開始するということになっております。技術開発を2025年度までにやって、2026年度に実証プロトタイプでの実証を行うという形になります。これについてはさらに実用化促進を行って、実用化は2030年度ということになるんですけども、まず、2026年度までの成果としましては、各技術開発成果を統合してシステム実証に着手する段階まで、ということになります。
 エコシステムとしては、ユーザー密着型、かつ多分野連携型というふうになります。
 次、お願いします。
 次は、低騒音化技術の研究開発(FQUROH-2)です。概要としては、機体騒音低騒音化技術を、将来の旅客機開発並びに降着装置開発に適用可能な段階まで成熟度を高めることによって、航空産業界の競争力強化に貢献するとともに、社会的要請の強い空港周辺の騒音被害軽減に貢献する、ということが内容になります。
 アウトプット目標としては、中型旅客機に対する機体騒音低騒音化設計技術を飛行実証するということです。
 これに関するコア技術は、JAXA独自の低騒音化コンセプトと実用化の設計基盤技術です。これまでも御説明してまいりましたけど、FQUROHと言われるプロジェクトの中で、JAXAの実験機を使った飛行実証によって、独自の低騒音化手法や実用性のある設計基盤技術を獲得しておりますので、それがコア技術となります。
 次のページをお願いします。
 これについては、実際の旅客機による飛行実証を目指しておりますので、目指すTRLは6ということになります。
 スケジュールですけれども、FQUROH-2という活動を実際に行っていきます。今、2022年からスタートして2023年、旅客機による飛行実証を2024年または25年度あたりに実施して、2026年度には技術移転をする。それによって、2030年頃から就航を予定しております次世代細胴機の国際共同開発に間に合わせる、というようなスケジュールでいます。
 エコシステムとしては、企業戦略密着型、ユーザー密着型ということになります。
 私からの説明は以上です。
 
【岩田専門職】 ありがとうございます。
 それでは次に、事務局から、資料74-2-2を御覧ください。事前評価票のフォーマットになります。こちらのフォーマットに関しましては、計評分科会から提示されたフォーマットに対して記載をしております。
 課題名、開発・事業期間をそのまま記載しております。
 3ポツ、課題概要、(1)関係する分野別研究開発プラン名と上位施策との関係。こちらにつきましては、議題1で御議論いただいたプランプログラムから記載しております。こちらの記載は、次世代モビリティ・システムによる更なる空の利用に必要な研究開発、及びデザイン・シナリオを実現するための基盤技術の研究開発も同様の記載となります。
 また、四角の中の上から2番目、プランを推進するにあたっての大目標については、先ほど修正の部分をお話しさせていただきましたので、次回の委員会で修正した文言で記載をさせていただきます。
 上位施策につきましても計表分科会の審議があり、クレジットの変更がありますので、次回の委員会では修正したものを提出させていただきます。
 続きまして、(2)目的になります。こちらの記載は、研究開発ビジョン最終取りまとめより引用して記載しております。
 (3)概要に移ります。概要につきましては、具体的に取り組む内容を、ア、脱炭素社会に向けた航空機のCO2排出低減技術の研究開発。イ、超音速機の新市場を拓く静粛超音速技術の研究開発。ウ、運航性能向上技術の研究開発、として分けて記載させていただいております。
 その下、プログラム全体に関するアウトプット・アウトカム指標について。こちらの記載は、先ほどJAXAのから説明ありませんでしたが、JAXAの補足資料にありますものから転記をしております。こちらの記載は航空科学技術分野全体として記載するように指示されておりますので、この後の「次世代モビリティ・システムによる更なる空の利用に必要な研究開発」及び「デザイン・シナリオを実現するための基盤技術の研究開発」も、同様の記載となっております。
 続きまして、4ポツ、各観点からの評価、(1)必要性です。必要性の評価項目として、社会的・経済的意義。評価基準としては、産業経済活動の活性化・高度化、国際競争力の向上、社会的価値の創出等に資するか。もう一つの評価項目として、科学的・技術的意義、評価基準としては、独創性、革新性、先導性、発展性等があるか、としております。
 まず、ア、脱炭素社会に向けた航空機のCO2排出低減技術の研究開発です。電動ハイブリッド推進システム技術は、技術の有効性と適合性を技術成熟度の高い統合システムとして早期に実証することにより、世界の航空産業の持続的発展を可能とする新事業領域として、国内企業が個社の強みを生かした電動化製品事業を世界に先駆けて開拓し得るため、社会的・経済的意義が高い。燃費削減効果を検証するとともに、システム故障時の飛行継続能力を検証しシステムの信頼性向上を図ることから、次世代の航空機として安全で優位な燃費削減効果を持つシステムとして、国際競争力の向上にも資する。航空エンジンロバスト運用技術は、機能高度化により持続可能な代替航空燃料の適用範囲拡大を資することから、社会的・経済的意義が高い。
 イ、超音速機の新市場を拓く静粛超音速機技術の研究開発。経済性と環境適合性を両立する超音速機の実現に向けて、ICAOのソニックブーム国際基準策定に貢献することは、社会のニーズへ適合する取組であり、社会的・経済的意義が高いものである。
 ウの運航性能向上技術の研究開発。気象の影響により、経済性・利便性が損なわれています。JAXAが開発してきた滑走路雪氷検知技術、被雷危険性予測技術を空港配備に向けた実環境での実証をシステムレベルで行い技術移転するとともに、気象に関する意思決定支援情報を出力する運航制約緩和技術の開発により、定時運航率を高め、経済性・利便性を高めることで、社会的・経済的価値の創出に貢献する。空港周辺で機体騒音を低減する技術を確立することは、社会的、経済的意義が高い。
 続きまして、(2)有効性です。
 評価項目として、実用化・事業化や社会実装に至る全段階に通じた取組。評価基準としては、我が国の優位技術を考慮した研究開発戦略に基づいているか、異分野連携も活用した革新技術の創出が図られているか。
 ア、脱炭素社会に向けた航空機のCO2排出低減技術の研究開発。リブレット施工技術は、エアラインが運航する実機での検証により技術成熟度を向上する(TRLは3から5)。国際競争力を獲得、次世代旅客機の国際共同開発における製造分担率拡大を目指す。
 電動ハイブリッド推進システムや水素電動エンジンの研究開発は、異分野異業種の企業との連携によって革新技術の創出を図り、2030年代中頃に想定される次世代電動旅客機への成果適用を目指している(TRLは2から5)。国際共同開発への参画に資するため、これらの技術開発成果は、国際基準策定の検討に役立つ。
 航空エンジンロバスト運用技術は、運転範囲の拡大を可能にする制御技術を開発し、国内エンジンメーカーに移転することで、2030年代の開始が予測される国際共同開発における製造分担率拡大を目指す。これらの研究開発は、我が国の優位技術を考慮した研究開発戦略に基づいており、有効性の高い取組である。
 イ、超音速機の新市場を拓く静粛超音速機技術の研究開発。世界的優位な低ブーム設計技術を拡張した全機ロバスト低ブーム設計コンセプトを実証して、環境適合性と経済性を両立する統合設計技術を確立し(TRLは2から5)、国際基準策定に貢献するとともに、超音速旅客機の国際共同開発に向けて、国際競争力を強化する取組であり、有効性が高い。
 ウ、運航性能向上技術の研究開発。気象影響防御技術の研究開発では、異分野の企業や大学と連携してセンサやアルゴリズムの開発を進めている。滑走路雪氷検知については空港での検証を実施しており、今後は異なる雪氷状態への対応やセンサの小型化など、高性能化、実用化に向けた改良を加えて社会実装する(TRLは4から6)。
 運航制約緩和技術は、JAXAの優位技術である気象影響防御技術や高度判断支援技術の研究開発成果を応用することから、有効性が高い。運航制約緩和技術のうち、意思決定支援プラットフォーム技術は航空機の装備品に向けた技術のため、実環境での実証を通して実用化につなげる。
 低騒音化技術については、FQUROHプロジェクトで獲得したJAXA独自の低騒音化コンセプトや実用的な設計技術をもとに、中型機のスラットや4輪主脚を対象にした実用的レベルの低騒音化技術を世界に先駆けて開発、飛行実証し(TRLは3から6)、次世代旅客機への適用とともに、現行機の改造による社会実装を目指しており、社会実装に向けて有効性の高い取組である。
 効率性。評価項目としては、計画、・実施体制の妥当性。評価基準、出口を見据えた産業界との連携が図られているか。
 ア、脱炭素社会に向けた航空機のCO2排出低減技術の研究開発。研究成果の受け手である航空機・エンジンメーカー、エアライン、電機メーカー等と共同で研究開発を進め、課題を早期に抽出し研究に取り組むなど、社会実装を見据えた実施体制として妥当である。
 イ、超音速機の新市場を拓く静粛超音速機技術の研究開発。JSR協議会を通じて、技術ロードマップの策定や国際共同開発に向けた協力構築を進めており、社会実装を見据えた実施体制として妥当である。
 ウ、運航性能向上技術の研究開発。Weather-Eyeコンソーシアムを介した目標共有、多分野が連携した研究開発、実用化に向けた協働を進めるとともに、研究成果の受け手である機体メーカー、国内メーカー、エアライン等と共同で研究開発を進め、出口側のニーズや意見を取り入れる体制を構築している。
 雪氷滑走路検知技術では、JAXAが実証等により技術移転、民間企業が実用化に向けたシステム設計・製品化、大学がデータの分析・要素技術の開発などを行う。
 低騒音化技術については、空港周辺騒音の軽減に向け、機体メーカーと連携し、低騒音化デバイスの設計や飛行実証を行う計画であり、出口を見据えた実施体制として妥当である。
 事務局として、必要性、有効性、効率性について記載させていただきました。
 また、次、5ポツの総合評価は、事務局として記載しておりますが、御議論の中で記載を決めていければと考えております。5ポツの総合評価、評価概要については、フォーマットの関係で5行程度と定められています。2)の科学技術・イノベーション基本計画への貢献見込みについては、5行以内と制限がされております。
 事務局から、事前評価票については以上になります。
 
【李家主査】 どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明に関して質問等に移りたいと思いますけれども、今日はいろいろと議題が押しております。それから、最後の評価票に関しては、これからコメントを書いていただいて、また次回も議論ができる予定になっておりますので、今日のところは、JAXAから御説明いただいた内容に関する御質問を主にいただいて、それで評価の参考にしていただくという格好とさせていただきます。時間はどうしても限られてしまいますけども、そのようにやりたいと思います。
 そういたしますと、何か御質問、お気づきの点等ありましたら、お願いいたします。
 
【佐藤委員】 早稲田大学の佐藤ですけど、よろしいでしょうか。
 
【李家主査】 お願いします。
 
【佐藤委員】 御説明ありがとうございました。重要な項目がたくさん入っていていいかと思ったんですが、幾つかちょっと個別に質問がありますので、一つずつ御回答いただけたらと思います。
 渡辺さんが御説明いただいた資料の、5ページ目の電動ハイブリッドのところなんですが、独自のBLI空力形状というのは、もう既に何か最適化みたいなのをされて、この形に決められているということで、もうここからスタートするということ。あと、NASAがやっているSTARC-ABLとちょっと似ているんですけど、どの辺が違っているのかというのを、教えていただきたいんですけど。
 
【渡辺(JAXA)】 ありがとうございます。
 この胴体BLIにつきましては、JAXAとして特許を取得している内容ですので、ある程度のコンセプトは決まっていて、詳細なCFD解析によってある程度の最適化が進んだ上で、この燃費削減目標が達成できる見通しというところまで行っております。
 個別の具体的な技術のところは、適切な図がないので説明がしにくいんですけれども、今あります特徴としては、電動モーターが二つあります。普通は1基のものが多いんですけれども、二つをうまく並べることによって胴体の下部の剥離している部分を吸い込み、胴体の剥離が原因の圧力の低下による抵抗増というの減らすというのが一つの考え方になります。
 それから、それをうまく使うと、普通は胴体の下部を反り上げると、そこの部分で剥離をして抵抗が増えるわけですけれども、その抵抗増を少なくしつつ、なおかつ尻擦り角を確保できると。その辺りがJAXAの技術の特徴になります。
 
【佐藤委員】 ありがとうございます。よく分かりました。
 2点目なんですが、9ページ目で言っているロバスト性の向上というのは、主にSAF燃料に対応しているというふうに、目的として考えればよろしいでしょうか。SAFですね。ファンとかタービンのあたりが、ロバスト性というのはどういうものなのかというのがちょっと分からなくて、質問しました。
 
【渡辺(JAXA)】 ありがとうございます。
 まず、必ずしもSAFだけではなくて、SAF以外の普通の航空燃料についても役に立つ技術ということで考えています。運転範囲の拡大に資することと、安全性向上に資する技術というふうに考えております。
 
【佐藤委員】 ヘルスモニタリング的なところが入っているのは分かったんですけど、運転領域の拡大の必要性というのが、どういうところにあるのかと思ったので、御質問したんですが。
 
【李家主査】 もしすぐにお答えできないのでしたら、次の質問に移りますので、その間に確認していただければと思います。
 
【渡辺(JAXA)】 すみません、ちょっとその間に考えさせていただきます。申し訳ありません。
 
【佐藤委員】 分かりました。
 あともう一つ、最後なんですけど、水素の電動エンジンと電動ハイブリッドの研究で、結構重複しているところがあるのかなと思ったんですが、その辺は何か一緒にやっていくという考えでよろしいでしょうか。
 
【渡辺(JAXA)】 御質問ありがとうございます。
 最終的には、ここの12ページの線表でいきますと、電動推進エンジンを使ったエミッションフリー航空機のようなものが2040年度以降に開発されることを想定しますと、そこのところでは両方の技術が合流するというふうに考えています。しかし、まず、この水素電動エンジンの技術はまだTRLも非常に低い段階ですので、次世代の電動旅客機……、すみません、この2035年も2030年の間違いなんですけれども、2030年以降に開発されると思われるものにつきましては、そこには間に合わないので、成果の創出時期が違うということで二つを分けておられますけども、両者が連携してやっていくということと、最終的には一緒に技術が実装されるという流れになります。
 
【佐藤委員】 よく分かりました。どうもありがとうございます。
 以上です。ありがとうございました。
 
【李家主査】 ほかの御質問がありましたらお願いいたします。
 では、武市先生、お願いいたします。
 
【武市委員】 武市です。御説明ありがとうございました。
 最初の研究開発プラン案とか概要の資料でロードマップが細かくは書かれていなかったので、ちょっと心配したんですけど、概要じゃなくて補足説明資料で年度ごとに事細かにこんな感じで書いていただけたので、今後、出口までつながるという点で、大変期待できると思います。
 ただ一部、そうでもないページもちょっと見られたので、そういったところに関しては、今後の個別の研究課題の評価の際に反映していただけるんでしょうか。事務局向けの質問かもしれないですけど。
 
【岩田専門職】 JAXA側の資料については、まだ明確に見えてないところについては追記をお願いしたいと思っております。
 
【武市委員】 例えば10ページだったかと思うんですけど、まだちょっと粗いページもあるんですよね。なので、こういうところは今後ぜひ御対応いただきたいと思います。
 ただ、やっぱりロードマップでちゃんと終わりを決めて書いていただけるようになったのは、非常に大きな前進だと思います。ありがとうございました。
 それから評価票のほうで、ちょっとこれも事務局あての質問になっちゃうかもしれないんですけど、最初に、アウトカム・アウトプットをまとめた表とか、R1・R2・R3という書き方のページがあって、これが全部の研究開発課題で共通ですというお話だったんですけど、これはこういうふうに書くルールになっているんですか。
 
【岩田専門職】 こちらの記載は、計評分科会事務局とも確認しまして、ここは航空科学技術分野での、全体としての取りまとめを記載するように言われております。
 
【武市委員】 計評分科会向けはそれでいいと思うんですけど、これはまとめて書いてしまうと、せっかくの指標が見えるものも見えなくなってしまうような気もしますので、例えばこっちの航空科学技術委員会向けには内訳を示していただくとか、そうするとどの分野が進んでいてどの分野がそうでもないとか、そういったところまで見えると思います。ちょっと勝手な提案ですけど、そういうことも御検討いただきたいなと思います。よろしくお願いします。
 質問は以上です。
 
【岩田専門職】 ありがとうございます。
 武市委員、こちらのフォーマットについては、全てのほかの分野に関しましても、フォーマットが決まっております。
 
【武市委員】 もちろん、それは分かりました。ですので、何か別の形でいいと思います。
 
【岩田専門職】 別の形で、JAXA側と調整させていただいて、委員の皆様に個別で見られるような形を提案したいなと思っております。ありがとうございます。
 
【武市委員】 よろしくお願いします。
 
【李家主査】 ありがとうございます。
 では、河合委員、お願いいたします。
 
【河合委員】 ありがとうございます。
 主に、渡辺さんのほうが説明してくださった資料のほうについて質問させていただきたいのですけれども、幾つかあります。
 まず、8ページ目のリブレットで抵抗低減の話があったと思うのですけれども、これは、ある程度実証されているというお話ではあったと思いますが、胴体ということになると、航空機ですと巡航時の胴体の境界層制御というと、レイノルズ数10の8乗は優に超えてくる領域で、そのような領域でリブレットがきちんと作用するというのは、国際的に見てもまだ実証されてないとは思うんですけれども、先ほどの「実証されている」というお話は、「JAXA内では実証されている」という理解でよろしいでしょうか。
 
【渡辺(JAXA)】 御質問ありがとうございます。
 過去に、JAXAではなくエアバスの機体を使って、フィルム状のリブレットをつくってそれを全機に張りつけて、抵抗低減について、長い期間飛んで燃費削減がどのくらいあるかというのを実証した例がありまして、それでは前年比が大体2%程度減るというようなことが実証されていますので、それが一つの実証例かなというふうに思っています。
 あと、我々の今後のほかの計画の中では、大面積に実際に我々のリブレットを張った上で、抵抗低減がどのぐらいあるかというところも実証したいというふうに考えています。
 
【河合委員】 なるほど。ありがとうございます。
 8ページのスライドのスケジュールを見ると、もう既にある程度確立していないと、このスケジュールはなかなか厳しいのかなと、見ていて思ったのですけれども、そこら辺が少し大丈夫かなと心配になりましたので、御質問させていただきました。
 
【渡辺(JAXA)】 もう少し補足させていただきますと、まず、JAXAで新しくリブレットの形状を考えているんですけども、リブレットは解析レベルと風洞試験レベルでは抵抗低減が確認ができているということ。あと、実際、耐久性のところの飛行試験については、JALさんと連携して、エアラインの機体に一部それを適用させてもらって、長期間での耐久性試験を、もう開始する段階になっていますので、そういう意味では、そこのところまではできていると。なので、このスケジュールで十分できるというふうに考えております。
 
【河合委員】 分かりました。ありがとうございます。
 あと、超音速機のところなのですけれども、スライドの13枚目、ソニックブームの国際基準を作るというところはオーケーかなと思って聞いたんですけれども、今回の説明だと経済性に関して特に触れられていませんでした。しかし、ところどころで書類の中で環境適応性と経済性ということが結構強調されていたので、経済性について、どのように低抵抗や軽量化を、ソニックブームとあわせて両立させていくかというところの御説明があると良いかなと個人的には思いました。これはコメントです。
 
【渡辺(JAXA)】 ありがとうございます。
 我々JAXAのこれまでの超音速機の研究開発は、まず低抵抗というところに先に取り組んで、今は、低抵抗のままソニックブームを減らすという技術をやっておりますので、おっしゃるとおり、ソニックブームが減っても抵抗が増えては採用できませんので、そういう技術に取り組んでおります。
 
【河合委員】 ありがとうございます。
 あと幾つかなので、すみません。
 資料の74-2-1を見ると、2027年に緑のラインが上に出ていて、陸上超音速機ビジネス機開発というのが入っているのですけれども、確かにJAXAさんの資料の説明を見るとそうではなくて、ソニックブームの国際基準をつくるというのを主眼に書かれていて、そっちは良いかなと思ったんですけれども、2027年に、超音速機はソニックブームだけではなくて、エンジンとかたくさんあると思いますので、そういう観点から、資料74-2-1の2027年に実機開発みたいなラインを引いているのは、少し見直したほうがよろしいのではないかと思いました。いかがでしょうか。

【岩田専門職】  事務局です。
 JAXAの説明資料に合わせて、記載を変えたいと思います。ありがとうございます。
 
【河合委員】 よろしくお願いします。
 ありがとうございます。以上です。
 
【李家主査】 どうもありがとうございました。
 では、土屋委員、お願いいたします。
 
【土屋委員】 土屋です。
 今、ちょうど出ている、この74-2-1の、今の説明の前提となるところをちょっと教えていただきたいと思います。例えばこのIATAの基準で温室効果ガス排出量ゼロとなっていますが、これは、例えばIATAではなくICAOとか、いろいろ動きがあると思います。しかし、ここであえてIATAのこういう比較的、もしかすると厳しめの基準を持ってきたというのは、何か真意があるのかというところです。
 
【岩田専門職】 ありがとうございます。
 こちらにつきましては、研究開発ビジョン最終取りまとめから記載させていただいておりますので、そこから持ってきたものとなっております。
 
【土屋委員】 分かりました。では、そういう引用のところから来ているということで、これには多分いろいろな基準があって、これを受けての研究は多分変わらないとは思うんですけども、ちょっと前提となるところはどこかというところで、質問しました。
 あと、さらにまたこの前提で申し訳ないんですけど、JAXAさんの資料にも時々というか、それが最後の目標のようなところにも出ていた、この国際共同開発の細胴機というのは、何か具体的なイメージがあって、それが最終的なゴールになるかのようにも見えるんですけど、ここはあくまで仮想的なものなのか、それとも具体的なものがあるのかどうか、教えていただけないでしょうか。
 
【渡辺(JAXA)】 御質問ありがとうございます。JAXAの渡辺です。
 今の御質問ですけれども、次世代細胴機と我々呼んでおりますのは、ボーイング737の後継、またはエアバスA320の後継を想定しています。開発がいつ始まるかというのは、明確ではありませんけれども、最短では2035年頃の就航を目指すという情報に基づいて書いております。ある程度遅れることも含めて、「から」というふうに書いています。
 
【土屋委員】 ありがとうございました。私からは以上です。
 
【李家主査】 ありがとうございました。
 では、山岡委員、お願いいたします。
 
【山岡委員】 ありがとうございます。山岡です。
 2点ほど御質問させてください。
 TRLを書いていただいて非常に分かりやすくなったと思っております。ありがとうございます。それで、先ほどJAXAのほうから御説明いただきました資料の中で、まず8ページですけれども、先ほども少しお話がありましたリブレットのところです。これは、もう既に飛行実証を計画されているということであれば、ここでTRLは3から5ではなくて3から6まで行くのかなというふうに思うのですが、いかがでしょうか。
 
【渡辺(JAXA)】 御質問ありがとうございます。
 今、3から5と書いておりますのは、6の部分で実際に全機に施工するというようなところまではなかなかいかなくて、右の図のところの緑の部分、このリブレットの胴体の施工のレベルですので、施工する範囲も限られているということでTRL5と呼んでいますが、かなり6に近いところまでいくというふうに御理解いただいて結構だと思います。
 
【山岡委員】 分かりました。6まで行くためには、やはり全機で実証しないといけない、というふうにお考えになっているということですね。
 
【渡辺(JAXA)】 はい、そうです。
 
【山岡委員】 承知しました。ありがとうございます。
 あと、同じ資料の18ページになります。運航制約緩和技術の研究開発ということで、これはTRLが2から4までというふうに、ここでは記載されていますが、下の線表の次期研究開発計画を見ますと、2026年からの実証というふうになっていまして、ただ、それがいつまで……。次に、実用化促進が28年度からということになっているんですが、一応実証とはありますけれども、ここでの実証はまだ実機運航等を含めたものではないのでTRLの4までというふうなイメージでしょうか。
 
【渡辺(JAXA)】 はい、おっしゃるとおりです。ここは、実際の実用機で適用するというレベルではなくて、ある実証レベルでやれるように相当する実証レベルでの実証ということになります。ちょっと実証という書き方が誤解を招くかもしれませんけれども、TRL4レベルでの実証ということになります。
 
【山岡委員】 分かりました。そうすると、実用化の促進というところには、もう一段、実機の実証みたいなものが入ってくるわけですね。
 
【渡辺(JAXA)】 はい。どこがどうやるかというのは、まだ今後の検討だと思いますけれども、必ずそういうステップが必要になると思います。
 
【山岡委員】 分かりました。ありがとうございます。もし、変更ができるんであれば、そこが混乱しないように、書き分けていただければありがたいなというふうに思います。
 
【渡辺(JAXA)】 了解しました。
 
【山岡委員】 以上です。ありがとうございます。
 
【李家主査】 ありがとうございました。
 ほかは、よろしいでしょうか。
 先ほどの、1点ありました、佐藤委員からの御質問ですが、いかがでしょうか。
 
【渡辺(JAXA)】 ありがとうございます。すみません、ちょっと調べてまいりましたので、伊藤のほうから回答させていただきます。
 
【伊藤(JAXA)】 遅くなって申し訳ありませんでした。
 9ページ目、ロバスト性向上・マージン低減という件ですが、これはエンジンの設計解析の技術をもとにしています。その目標達成のコア技術の中にもあるシミュレーション技術の精度を上げていくというのが一つ目のポイントになっていて、これまで、例えばサージに入るかどうかという限界が計算できなかったのができるようになってきたとか、多段の圧縮機の計算ができるようになってきた。こういう技術の革新を踏まえて、その運用範囲を上げていく設計ができるようになる、というものが一つ目のロバスト性の向上という言葉になってきます。
 それから、マージンとしては、材料系の解析技術が上がって、その精度を向上することによって、タービン、特に先進複合材CMC等の強度がマージン低減を可能とするような設計ができるようになること。それからもう一つ、最後の一番下に書いてあるように、フラッタの予測もできるようになる。これで限界の設計ができるということで、その予測の向上によってマージンが低減できるだろう、ということを書いているものです。
 以上で御回答になっていればと思いますが、いかがでしょうか。
 
【佐藤委員】 分かりました。マージン低減して、より性能をよくしていこうということもあるということでよろしいですか。
 
【伊藤(JAXA)】 そうですね。軽量化されるとか、強度が上がります、ということにつながると思います。
 
【佐藤委員】 複合材料にも対応しているということですね。よく分かりました。ありがとうございます。
 
【伊藤(JAXA)】 ありがとうございます。
 
【李家主査】 どうもありがとうございました。
 では、この件は、今日はここで切らせていただきます。さらに御質問がある場合は、委員会の後に事務局まで御連絡いただければ、事務局から回答していただきます。
 
【須藤室長(事務局)】 先生、事務局でございます。1点だけ、申し訳ございません。
 先ほど武市委員のほうから御指摘いただいた、プログラム全体のアウトプット・アウトカムの指標の部分に関しまして、今、画面に表示されている資料の最後の35ページ、こちらのほうでJAXAから全体についてお示しいただいています。これについて、その3分野を分けて表示ができるかどうか、JAXAから、見込みとか、できるかどうかのところの確認なんですが、いかがでしょうか。この、アウトプット・アウトカムの指標について、三つに分けて表示ができるかどうかというのを、少しお話しておいたほうがいいかなと思います。
 
【渡辺(JAXA)】 JAXAの渡辺です。
 これにつきましては、過去の数値ですので、必ずしも今の3分野と合致していません。なので、明確に三つに分けることはできないと思うんですけども、それぞれの分野のスコープといいますか目標に照らすと、それぞれがどれに当たるかというのは、ある程度整理はできるのではないかなというふうに考えています。
 
【須藤室長(事務局)】 分かりました。ありがとうございました。そのような形で、資料のほうを準備したいと思います。
 
【渡辺(JAXA)】 了解しました。
 
【李家主査】 では、お願いいたします。
 それから、事前評価に関する御質問がある場合は、事前評価票のコメント欄に記載していただいて事務局まで御提出いただいて、次回の委員会で再度御説明をいただきたいと思います。そのようにさせていただきますが、よろしいでしょうか。
 
(「異議なし」の声あり)
 
【李家主査】 どうもありがとうございます。
 では2番目は、次世代モビリティ・システムによる更なる空の利用に必要な研究開発の、事前評価について、また事務局からの御説明をお願いします。最初のものと重なる部分も、項目的に多いと思いますので、申し訳ありませんが説明は簡潔にしていただければと思います。
 お願いいたします。
 
【岩田専門職】 ありがとうございます。
 お手元の資料74-2-3を御覧ください。
 課題実施期間及び評価時期は、先ほどと同様になります。
 研究開発の目的・概要としましては、有人機・無人機混在運航管理技術、eVTOL高密度運航管理技術、自律化要素技術の研究開発に重点的に取り組むとしています。
 必要性については、大規模災害と経済安全保障上の対応などにおいて、貢献が求められております。適用範囲を無人機へ拡張することが求められている、となっております。
 有効性につきましても、多種の航空機が同一空域において効率的に多様な運航をするための情報共有や任務・飛行計画調整を実現するとしております。
 効率性につきましては、有人機・無人機混在運航、さらにはeVTOL高密度運航管理について技術実証することを目指しているとしております。
 主要課題と目標については、記載のとおりとなっております。
 次のロードマップ、こちらもJAXAからの説明を基に記載しております。
 すみません、概要については、簡略ですけれども、以上にします。
 続いてJAXA、詳細説明をよろしくお願いします。
 
【渡辺(JAXA)】 JAXAの渡辺です。
 それでは、21ページから御説明させていただきたいと思います。
 次世代モビリティのところは、アとイの二つあるんですけど、イの水素燃料適用技術につきましては、今回、対象外ということですので、アの部分、有人・無人混在運航管理技術、高密運航管理技術の研究開発について御説明したいと思います。
 概要ですけれども、多種の航空機が同一の空域において効率的に多様な運航をするための運航管理技術を開発することで、災害・危機管理対応における有人機・無人機混在や、空飛ぶクルマの効率的な運航環境の実現に貢献するというような内容になります。
 アウトプット目標は、世界で最も柔軟な運航が可能な多種多様運航技術と、eVTOLの高密度運航技術課題へのソリューションを実証する。この二つになります。
 その達成のためのコア技術は、これまで長らく我々の中で築いてきました有人航空機の運航管理技術であるD-NETと、無人航空機の運航管理技術UTMと、この二つとなります。
 次のページをお願いいたします。
 主な研究項目のところは、(1)(2)で先ほどお示ししたとおりですけれども、ここではTRLが非常に高い開発になっていまして、(1)については8まで、(2)については6までとなっています。これは、ほかの燃費低減技術等のように、航空機メーカーさん等に引渡してそれを実機の開発に役立てていただくという流れではなくて、実際にそれを受け取っていただく明確な方が比較的いない分野になりますので、TRLはある程度高いところまでやらないと社会実装できないということで、TRLが高いところまでを我々は目指すということになります。
 研究スケジュールですけれども、まず丸1の有人・無人混在運航管理技術につきましては、2024年度までに技術を開発して移転をする。それによって、災害時の有人・無人機連携が可能になるようにするということを目指しています。
 それから丸2のeVTOL高密度運航管理技術につきましては、2025年の大阪関西万博で運航実証するということをステップとしまして、最終的には2026年度に技術移転をして平時の運航への社会実装をするということを目指しています。
 エコシステムについては、ユーザー密着型、多分野連携型、標準化型の三つを組み合わせて取り組もうと考えています。
 次、お願いします。
 アの中のもう一つが、自律化要素技術の研究開発になります。空飛ぶクルマの最終到達点としては、出発から到着まで人間が介在しないような、完全な自律運航というのが目指されていますが、それを飛行実証するということになります。
 アウトプット目標は、完全自律運航システムの機能モデル構築と飛行実証になりまして、そのためのコア技術としては、飛行実証技術、誘導制御技術、航空ヒューマンファクター技術等、これまでJAXAで築いてきたすべての技術を結集して、この自律化要素技術を実現するというように考えています。
 次のページをお願いします。
 主な研究項目は、自律運航システムの試作と自律化要素技術の研究ということで、これは実際のJAXAの実験用航空機やヘリコプターを使った実証まで行うということで、(2)についてはTRL6までということになります。
 研究スケジュールですけれども、自律運航システムの開発実験をJAXA実験用航空機による技術実証という形で実施して、デモンストレーションを大阪関西万博で行うということ。それから、さらにeVTOLによる実証を行った上で最終的には2030年頃に技術移転をするということで、これは空の移動革命に向けたロードマップの自律飛行の目標時期と合致させております。
 以上です。
 
【岩田専門職】 続きまして、事務局から、資料74-2-4を御覧ください。
 記載につきましては、先ほどの既存形態のものと同様になります。
 3ポツ、(2)目的につきましては、研究開発ビジョンから引用しております。(3)概要につきましては、具体的な取組を記載しております。
 続きまして、4ポツ、各観点からの評価。
 必要性についてです。評価項目につきましては、社会的・経済的意義。評価基準につきましては、産業・経済活動の活性化・高度化、国際競争力の向上、社会的価値の創出等に資するか。続いて科学的・技術的意義。独創性、革新性、先導性、発展性等があるか。続きまして、国費を用いた研究開発としての意義。評価基準としまして、国や社会のニーズに適合するか。これらをもとに必要性を記載させていただいております。
 次、有効性です。有効性の評価項目といたしましては、実用化・事業化や社会実装に至る全段階を通じた取組。評価基準としましては、我が国の優位技術を考慮した研究開発戦略に基づいているか。異分野連携も活用した革新技術の創出が図られているか。これらを基準として記載をしております。
 最後、効率性につきましては、評価項目としては、計画・実施体制の妥当性。評価基準としては、出口を見据えた産業界との連携が図られているか。これらについて記載しております。
 総合評価の注意点としましては、先ほどと同様となります。
 事務局からの説明は以上になります。
 
【李家主査】 どうもありがとうございました。
 では、ただいまの御説明に関して、御質問等ありましたらお願いいたします。
 では、土屋先生、お願いします。
 
【土屋委員】 土屋です。
 先ほどの分野と比べると、目標とかが、例えば大阪万博とかかなり直近のところで具体的な目標が挙げられています。しかしその分、例えば大阪万博のような、もう既に何年もないような目標に対して、結構、具体的な動きがもうできていないといけないような時期に来ていると思います。大阪万博という言葉が何回も出てきているので、JAXAとして、大阪万博でそういうことを実証するということが現時点で本当にどこまで決まっているのか、そういうふうな動きが固まっているのかというのは、どうなのでしょうか。教えてください。
 
【渡辺(JAXA)】 御質問ありがとうございます。JAXAの渡辺です。
 おっしゃるとおり、大阪万博はもうすぐ目の前にあると言ってもいいような時期になるわけですけれども、これから3年程度しかありませんので、当然そこでは非常に高度な実証ができるとは考えておりません。非常に限定的な実証になると思っております。
 なおかつ、万博の関係者の皆さんであるとか一緒に飛行実証に取り組む方々との連携というのは、かなり固まってきております。そういう方々と、このタイミングでどういうところまでの実証をしようかというのを詰めている段階です。まだ予算的な問題等いろいろありますので、確実にこれをここまでにやるというところまではまだ固まってはいませんけれども、かなり中身は詰まっているということと、あとは申し上げたとおり、2025年にできることをやるということになります。
 
【土屋委員】 ありがとうございます。
 多分この大阪万博は、いろいろなプレーヤーがいろいろな動きを見せていますが、その中でJAXAさんの動きがあまり見えなかったところもあって、ちょっと質問いたしました。
 ありがとうございました。
 
【渡辺(JAXA)】 ありがとうございました。
 
【李家主査】 ほかにいかがでしょうか。
 山岡委員、お願いします。
 
【山岡委員】 ありがとうございます。
 この図で結構なんですけれども、今お話に出ていました大阪万博について、これは飛行実証の点線が下のほうから上がってきているところがございますけれども、これはECLAIRコンソーシアムのほうでやった技術を適用するということで、連携しているのでこういうふうに書かれている、という理解でよろしいんでしょうか。
 
【渡辺(JAXA)】 ありがとうございます。
 今おっしゃっているところは、2025年度の飛行実証ですね。
 
【山岡委員】 そうです。
 
【渡辺(JAXA)】 これにつきましては、我々のところで改修しようとしています実験用のヘリコプターがあるんですけれども、それのOPVとして改修した上でそれを適用するということを考えております。
 
【山岡委員】 その下のところがかなり薄い線になっているものですから、そうすると、連携はしているけどメインでやっているのは、こちらのメインの事業ではないというふうな理解なんでしょうか。
 
【渡辺(JAXA)】 すみません、説明が悪くて失礼しました。
 薄い線になっていますのは、自律化要素技術という、23ページ、24ページのところから上がっている飛行実証なので薄い線になったということです。ただ、この両者は関係していますので、同じ絵に両方の線が入れてあるということになります。
 
【山岡委員】 分かりました。そうすると、ここで上がっているeVTOLの高密度運航管理技術については、TRLが上がってくるのは、平時の社会実装ということだからやっぱり2026年のもう少し後になってくるわけですか。
 
【渡辺(JAXA)】 はい。eVTOLの高密度運航管理技術については、2027年度に次の有人・無人・eVTOL混在分運航管理技術というところにまた移行して、最終的に2030年度に技術移転というスケジュールになります。
 
【山岡委員】 分かりました。そういうステップで考えられているということですね。承知しました。ありがとうございます。
 
【李家主査】 ありがとうございます。
 ほかはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 そういたしますと、先ほどと同じく、追加の御質問がある場合は、事務局のほうまで御連絡くださるようお願いいたします。それから、事前評価に関する御意見に関しては、また評価票のコメント欄に記入してください。
 では、そのように進めさせていただきます。ありがとうございます。
 では、3番目、最後ですが、デザイン・シナリオを実現するための基盤技術の研究開発について、事前評価についての御説明を、事務局からお願いいたします。
 
【岩田専門職】 資料74-2-5を御覧ください。
 研究開発目的につきまして、航空機の設計・認証・製造・運用・廃棄というライフサイクル全体のデジタルトランスフォーメーションにより効率化、高速化し、新たな航空機の創出に資する技術開発を行うとしております。
 研究開発の必要性。航空機の開発スケジュールの長期化やコストの高騰を回避することが期待されているというところです。
 次の有効性につきましては、実機を用いずにデジタル上の分析により行う安全性認証を推進し、認証プロセスの効率化に資する。
 効率性は、認証プロセスの効率化に当たって国際ガイドラインを策定するとともに、国土交通省航空局や航空機メーカーと連携して国際的な枠組みにおいて標準化を進めると記載しております。
 また、主要課題と目標についても記載させていただいております。ロードマップも、先ほど同様、JAXAの資料のから詳細に書かせていただきました。
 JAXA側の説明、よろしくお願いします。
 
【渡辺(JAXA)】 ありがとうございます。
 それでは、引き続きまして、27ページのほうから説明させていただきます。
 基盤技術は、デジタル統合設計等の研究開発、一つになります。
 概要ですけれども、デジタル技術の研究開発及び実証を通して、多分野統合システム設計、これをデジタル統合設計と呼んでおりますけれども、あと、試作代替、試験代替(デジタルテスティング/プロトタイピング、デジタルフライト)を促進し、生産性を向上することで航空機ライフサイクルを最適化するとともに、革新的な航空機の創出に資する、というような内容になります。
 アウトプット目標ですけれども、四つありまして、多分野統合システム設計ツールの開発。それから2番目がFaSTARと言われる高効率の非定常解析ツール、これまでも開発してきましたけれども、それを離着陸・着氷・混相流・動安定・空力構造連成等へ適用を拡大するということ。それから複合材に関しまして工法及び構造強度の証明に対するVBBA(Virtual Building Block Approach)の構築と評価、それから飛行シミュレータとVBBAを活用した解析による認証(CbA:Certification by Analysis)に向けた実証及びガイドライン策定、いうのがアウトプット目標になります。
 そのためのコア技術ですけれども、これまで長きにわたって開発しました飛行シミュレーション技術、試験データに裏づけられた解析技術ですけども、それが一つの重要なコア技術です。また、大型試験設備等のインフラとそれを活用した高度な試験技術、これも一つ大きなコア技術になります。それから最近では、構造試験分野において、認証機関や機体OEMが参加するような国際的な枠組みの中で、デジタル化への移行準備に貢献しています。こういう基準策定の枠組みへの参画というのも、技術とはちょっと違いますけれども、重要なパートであると思っております。
 次のページをお願いいたします。
 主な研究項目ですけど、まず(1)のデジタル統合設計に関する研究開発については、単分野の解析から他分野のシステム解析へというようなところが大きな変化で、単分野というのは、空力・構造・飛行・騒音・熱・燃焼等ですけれども、それを設計プロセス効率化のための複雑システムの性能評価が可能な他分野のシステム解析へつなげるというのが(1)になります。
 (2)はデジタルテスティング、プロトタイピングに関する研究開発ということで、これまでの試験技術を認証に使える技術にアップデートしていくということになります。
 それから、(3)デジタルフライトに関する研究開発については、風洞試験の代替から飛行試験の代替へという方向性で考えております。FaSTARと言われる流体解析ソルバを、実機スケール・複雑形状に対応した高効率解析に拡張し、先進試験技術によって検証した上で、CbAに活用する、というような取組になります。
 研究スケジュールですけれども、最初にデジタル統合設計技術、デジタルフライト、デジタルテスティングと、この三つを3本柱で研究開発をスタートしまして、途中からデジタルテスティングをデジタルプロトタイピングのほうに発展させました。まず、最初のところ、2025年頃になりますけれども、国内メーカーに1回技術移転した上で、2026年度末にもう1回、最終的な成果を移転するということを考えております。
 エコシステムとしては、これはまさに基盤技術ですので基盤技術提供型ということと、先ほどもお話しましたようにCbAにおけるガイドラインの策定等に資する基盤技術の開発を行うという観点では標準化型でもあるというふうに考えております。
 説明は以上です。
 
【岩田専門職】 ありがとうございます。
 事務局側から、資料74-2-6について説明します。
 3ポツ、目的につきましては、先ほどと同様、ビジョンのから引用して記載しております。
 (3)概要につきましては、具体的な取組について記載しております。
 4ポツの各観点の評価、必要性、有効性、効率性につきましては、それぞれ評価項目、評価基準を設定して記載しております。
 注意事項につきましても、先ほどと同様です。
 以上になります。
 
【李家主査】 どうもありがとうございました。
 それでは、このデザイン・シナリオ関係で、ただいまの御説明に関して御質問等ありましたらお願いいたします。
 河合委員、お願いいたします。
 
【河合委員】 河合です。
 質問ではないのですけれども、事務局のほうの資料の74-2-5なのですけれども、これも右下の4番目のロードマップのところが緑線で、先ほどの説明とは大分違う緑線になってしまっているので、ここは直したほうがいいかなと思います。よろしくお願いいたします。
 
【岩田専門職】 ありがとうございます。JAXAの説明資料に合わせて修正させていただきます。
 
【李家主査】 ほかはいかがでしょうか。
 
【佐藤委員】 すみません、早稲田大学の佐藤です。
 
【李家主査】 どうぞ。
 
【佐藤委員】 この基盤研究の項目としては、デジタルのところに注力して書かれているんですけど、大型試験設備というのもやはり重要であるということは、少しずつ書いてあるんですけど、どこかに明記できたらいいかなとちょっと思いました。何か、全部デジタルに移行してしまうのかなという印象を受けたので。基盤技術のここのカードとしてはこれでいいと思うんですけど、どこかに何か、大型設備も大事ですよということを残しておけるといいかなと思いました。
 以上です。
 
【渡辺(JAXA)】 まずJAXAから回答させていただきますけれども、基本的にこれは研究開発ビジョンにのっとった形で書かせていただいているという関係で、こういうような記述になっています。しかし、この中でも大型試験設備等のインフラ及びそれを活用した試験技術であったりというところがコア技術になっていて、それは今の段階のままでいいわけではなくて、さらに発展させる必要があるという意味では、今、御指摘があった大型試験設備というのも、これからも大切であるということは意識して書いているつもりですが、ちょっと全体的に弱いトーンになっているかもしれません。
 
【佐藤委員】 よろしくお願いいたします。
 
【岩田専門職】 すみません、事務局から少し補足をさせていただきますと、事務局資料の74-2-6でございます。5ページ目のところでございますけども、下から5行目、6行目のところで、「加えて、数値解析技術とJAXAのスパコン、風洞、複合材施設など大型試験設備を用いた試験計測技術を組み合わせて」というふうに少し記載がありますが、もう少し見えるように、大型試験設備の利用に関して記載を追加したいと思います。
 ありがとうございます。
 
【佐藤委員】 どうもありがとうございます。
 
【李家主査】 ほかはいかがでしょうか。
 
【渡辺(JAXA)】 すみません、JAXAの渡辺ですが、1点だけ補足させていただいてもよろしいでしょうか。
 
【李家主査】 どうぞ。
 
【渡辺(JAXA)】 すみません、JAXAからの資料の34ページに、予算と人員について簡単にまとめたものがありますので、全体の補足として御説明させていただきたいと思います。
 職員数は190名、あと、予算は66.3億という形になっていますが、それぞれが今、今日御説明しました既存形態と次世代モビリティが、基盤技術をどのように配分されているかということをここで示させていただいておりますけれども、まず人員については、職員数の内訳というところを見ていただきますと、既存形態がメインですので、そこの部分がかなり大きいというところは見ていただけると思います。あとは基盤、先ほども御指摘がありましたけど、設備に含む設備技術研究ユニットというのがこのグレーの27%のところに含まれておりますし、そういうところにもかなりの人が充てられているということです。
 それから、組織につきましては、昨年の11月に組織の改正を行ったんですけれども、そのときには現在のこの区分を意識してつくりましたので、ある程度その組織ごとにそれぞれの既存形態ア・イ・ウと、次世代モビリティと、あとは基盤技術というところで担当が分かれるようになっております。
 渡辺からは以上です。
 
【李家主査】 ありがとうございました。
 そうしますと、今日、この議題の全体を通して、御質問できなかったような項目が一つぐらいありましたら、まだお受けできるかなと思いますが、いかがでしょうか。細かい事でしたら、事務局へ別途質問していただければと思いますが、よろしいでしょうか。特に、今日御発言いただけなかった委員の先生方で、何か特段のことがありましたら、お願いいたします。
 
(「なし」の声あり)
 
【李家主査】 よろしいですかね。
 では、私から、質問ではないのですが、感想として一言申し上げます。
 これまでの航空委で行ってきたいろいろな研究開発課題の審議と違って、JAXA航空技術部門でこれから行おうとしていることを、今、一気に全て評価しなければいけないというような状況になっております。そのため、大変な量を委員の先生方に見ていただくことになりました。ということで、今年度は作業が大変かもしれませんけども、評価のほう、よろしくお願いします。
 それから、今後、航空委ではこれらの全てを見なければいけないので、細かいところが見えなくなってくる恐れがあります。ですので、適宜、JAXAのほうからも進捗状況等を御報告いただけると、今後の評価作業にも役に立つのかなと、個人的に思いました。
 以上です。
 では、特にございませんようでしたら、本日のこの議題に関しては、ここで切らせていただきます。先ほど申し上げたように、さらに御質問がある場合には、委員会後に事務局まで御連絡いただければ、事務局から回答させていただきます。また、これも繰り返しになりますが、事前評価に対する御意見がある場合は、各事前評価票のコメント欄に記載してください。時間が短くて恐縮ですけれども、委員会の終了後、1週間程度を目安に事務局まで御提出ください。それで再度、次回の委員会で、その辺の議論、また御説明をいただきたいと思っております。そういった流れでよろしいでしょうか。
 
(「異議なし」の声あり)
 
【李家主査】 ありがとうございます。では、そのように進めさせていただきます。
 
(3)その他 

【李家主査】 そうしますと、最後の議題、3番目はその他ですが、事務局のほうで何かございますでしょうか。
 
【岩田専門職】 事務局からは特にございません。
 
【李家主査】 そういたしますと、本日は審議を急いでしまって大変申し訳なかったですが、今日の議事は全て終了いたしましたので、進行を事務局にお返しします。
 次回もよろしくお願いいたします。本日はどうもありがとうございました。
 
【岩田専門職】 主査、ありがとうございました。
 最後に、事務局から事務連絡させていただきます。
 本日の委員会の議事録につきましては、事務局にて案を作成し、委員の皆様に御確認をいただいた上で、文部科学省ホームページに掲載させていただきます。
 次回の航空科学技術委員会は、8月1日を予定しております。よろしくお願いいたします。
 それでは、これで、科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会 第74回 航空科学技術委員会を閉会いたします。ありがとうございました。

(了)

お問合せ先

研究開発局宇宙開発利用課