航空科学技術委員会(第63回) 議事録

1.日時

令和元年10月24日(木曜日) 15時00分~17時00分

2.場所

文部科学省 18階 研究開発局会議室1

3.議題

  1. 研究開発ビジョンについて
  2. 研究開発プログラム評価について
  3. その他

4.出席者

委員

科学技術・学術審議会臨時委員  李家 賢一【主査】
科学技術・学術審議会専門委員  佐藤 哲也
科学技術・学術審議会専門委員  武市 昇
科学技術・学術審議会専門委員  竹内 健蔵
科学技術・学術審議会専門委員  戸井 康弘
科学技術・学術審議会専門委員  冨井 哲雄
科学技術・学術審議会専門委員  難波 章子
科学技術・学術審議会専門委員  松島 紀佐
科学技術・学術審議会専門委員  山内 純子
科学技術・学術審議会専門委員  和田 雅子

文部科学省

大臣官房審議官(研究開発局担当)  岡村 直子
研究開発局宇宙開発利用課長  藤吉 尚之
研究開発局宇宙開発利用課宇宙連携協力推進室長  平田 容章
研究開発局宇宙開発利用課課長補佐  宮川 毅也

(説明者)
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)
航空技術部門長  佐野 久
航空技術部門航空プログラムディレクタ  村上 哲

オブザーバー

経済産業省

5.議事録

1.開会

【宮川課長補佐】 それでは、定刻になりましたので、ただいまから科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会航空科学技術委員会第63回を開会いたします。
本日は、お忙しい中お集まりいただきありがとうございます。私は、事務局を務めさせていただく宇宙開発利用課の宮川と申します。
委員会開始に当たり、本日は、航空科学技術委員会の委員11名中10名にご出席いただいておりますので、定足数である過半数を満たしていることをご報告します。
続いて、本日の出席者でございますが、個別のご紹介はお手元の座席表をもって代えさせていただきます。
続いて、資料の確認をさせていただきます。今回もペーパーレス会議で行わせていただきまして、配付資料については議事次第の配付資料一覧の通りですが、全ての資料はタブレットPCでご覧いただけます。タブレットPCに不具合が生じた場合や操作方法が不明な場合は、事務局に適宜お申し付けいただければと思います。ただし、議事次第、資料63-1-1、資料63-1-2、資料63-2-2については、紙でもお配りしております。また、机上配付資料として、座席表、紙ファイルの参考資料集、JAXA主催のオープンフォーラムのチラシ2枚を配付させていただいております。資料の不足等がございましたら事務局までお知らせください。
それでは、以後の議事に関しましては李家主査にお願いいたします。

2.議事

(1)研究開発ビジョンについて
【李家主査】 皆様、今日もお忙しい中、お集りいただきましてありがとうございます。よろしくお願いいたします。
早速ですが議題の1番、研究開発ビジョンについてから始めたいと思います。
これは前回の航空科学技術委員会でも議題となっておりましたが、その後、研究開発ビジョン検討作業部会を3回開かせていただいて検討を重ねてきたものです。
本日はこの第6期科学技術基本計画に向けた研究開発ビジョンの中間取りまとめを行いたいと思います。
作業部会のほうで中間取りまとめの案を作成しておりますので、まずは事務局からご説明をお願いします。

【宮川課長補佐】 この議題は先ほど李家主査からもございましたとおり、前回の航空科学技術委員会第62回で骨子に関するご議論を頂いたものでございまして、それをもとに研究開発ビジョン作業部会において作成した案についてご説明させていただきます。
まず、参考資料1でございますが、スケジュールを添付させていただいております。先ほど李家主査からもございましたとおり、9月から10月にかけて3回作業部会を開催させていただきまして、中間取りまとめの案の検討を進めてまいりました。
参考資料3に最初に本件をご議論いただいた6月の第61回委員会でのご意見からの一覧をまとめております。個別のご紹介は省略させていただきますが、このようにたくさんのご意見を委員から賜りまして案を作成してきたところでございます。
本日のご審議の結果を踏まえまして、参考資料1にあるとおり、科学技術・学術審議会総合政策特別委員会にこの取りまとめの結果をご報告差し上げて、省内における科学技術基本計画の検討につなげていきたいと考えております。
中間取りまとめの内容でございますが、資料63-1-1及び63-1-2を使って説明させていただきたいと思います。
まず、概要の資料63-1-1をご覧ください。この資料につきましては、紙でもお配りしています。この資料について全体を簡単にご紹介すると、航空科学技術分野の現状を踏まえて、二重四角になっている目指すべき社会の実現にあたり、航空科学技術分野がどのような形で貢献できるのか、それに対して研究開発やそれを支えるシステムの改革をどのように進めていくべきかの要点を記載しているものでございます。
まず、航空分野の現状といたしましては、航空機産業界における先進材料分野あるいはJAXAが有する最先端技術などの強みを有する一方で、一般的に航空機産業における研究開発が多額の費用と長い開発期間を要するために、行政に対して民間企業にはリスクの高い研究開発や大型試験設備のような整備が求められているということが挙げられています。そのような中、今後、社会全体で知識集約型社会への大転換、一般的に「モノからコトへ」と呼ばれていると思いますが、そういった大転換が加速して、サイバー空間とフィジカル空間が高度に融合した最先端システムにより経済発展と社会課題の解決を両立するといったような社会、あるいは人間中心の社会として呼ばれているようなものを進めることで、Society5.0が実現されていく社会に移っていくと考えられます。こうした社会の中ではIoTなどの最先端の技術が活用され、現在よりも多様なニーズにきめ細かい対応がなされて誰もが豊かに暮らせる人間中心型の社会になっていくと想定されます。
そうした中で、航空分野がどのような形で今後貢献できるかというところを考えますとピラミッドの頂点の赤い部分に書いているとおり「既存形態の航空機による航空輸送・航空機利用の発展」といった側面と今しがた申し上げたIoT等の先端技術を活用するような「次世代モビリティ・システムによる更なる空の利用」が相互に連携をし、それぞれが好影響を与えながら次世代の航空を形づくり、先ほど申し上げたような社会の実現を果たすと考えられます。
「既存形態の航空」につきましては、赤の層の左側の点線の囲みでございますが、持続可能性と利便性を両立した需要増、社会課題の深刻化が進む中、共通の社会課題やあるいはユーザーごとのニーズにきめ細かく対応していくことが必要になってくると想定されます。
また、「次世代モビリティ・システムによる更なる空の利用」については、例えばパーソナルモビリティ・システムの実現などにより人間中心の交通ネットワークが実現していくことなどが挙げられ、これらも含めたさまざまなニーズに対応するための技術が開発されていくと想定されます。
次は黄色の層でございますが、これらの二つのシナリオを実現するために我が国としては三つのことがそれを支えるキーになってくるだろうと考えます。
一つ目は我が国の優位技術を考慮して産業界や行政とも連携しながら研究開発の戦略を策定していくこと。二つ目として電機産業などとの協働やAI等の活用なども含めた異分野との連携も行いながら革新技術を創出していくこと。三つ目としては、システムインテグレーションの機会の増強といったことも含めて、出口を見据えた産業界との連携を深めていくことが特に重要な取組となってくるであろうと考えられます。
そして、さらにそれを下支えするための緑色の層でございます。これらの中には必ずしも航空科学技術分野に限らない一般論も含まれますが、記載のとおり研究人材、研究資金、研究環境、研究開発実施組織についてさまざまな発展の取り組みが進められていくべきであると考えられます。現状でも挙げた個別の機関では導入が難しい飛行実証用航空機等の大型試験設備を適切に整備することなどは特に航空科学技術行政に求められていくことであろうと考えられます。
続いて資料63-1-2の本文に移らせていただきます。
最初の1ページ目に見え消しさせていただいているのは、前回の航空委でご議論いただいた骨子から変更した部分でございます。4.4は骨子の時点では「大学改革」とさせていただきましたが、検討の作業部会の議論の過程においてより大きな概念として研究開発の実施組織全体にかかる内容として議論が進みましたので、変更させていただいております。
次の2ページ目に移っていただきまして、まず、「はじめに」でございます。ここでは研究開発ビジョンの策定の背景について記載させていただいております。
次の2ページ目の後半からが「2.我が国の航空分野の現状」でございます。最初に主に公表されている情報を活用しながら航空機産業全体の状況を記載した後、3ページの後半の1行あいているところから先ほどの1枚紙の概要にもお示ししたとおり我が国の強みを書かせていただき、その3ページの最後の部分の「これらは」からのパラグラフでは、それらを踏まえた航空科学技術行政に期待されている事項として4ページに丸1から丸4を記載しております。「丸1民間企業が取り組むにはリスクの高い研究開発への取組」、「丸2企業単独で保有の難しい大型試験設備の整備・拡充及び効率的な運用」、「丸3産学官連携や国際連携におけるリーダーシップ」、最後に、「丸4基礎力と応用力を身につけた人材の育成」といった点が航空科学技術行政に求められてくる取組であろうということです。
それを踏まえて、3ポツに航空科学技術分野における未来社会デザイン・シナリオを、社会にどのように貢献するかという観点で4ページの一番下から書いているところでございます。
最初に、「3.1未来社会デザインとシナリオ」、先ほどの概要で申し上げると赤い部分でございます。概要に左右に書かせていただいた既存形態と次世代モビリティの二つが5ページの中ほどからの丸1と6ページの中ほどからの丸2に書いております。その前段に、IoTの活用によるイノベーション創出のプロセス変革による流れなどの共通の内容も書いております。 最後に7ページの一番上に既存形態と次世代モビリティの融合について少し書いています。
7ページの真ん中よりやや上の部分からが「3.2デザイン・シナリオを実現する研究開発、基盤技術整備の方向性」でございます。これは先ほどの概要資料で言うと、黄色のレベルの内容でございます。
「丸1我が国の優位技術を考慮した研究開発戦略」では、現状でも挙げたような優位技術や航空事故等を踏まえた技術課題を適切に把握した上で、我が国として注力すべき技術分野を認識し、関係機関とも連携し、これに対応する精力的なリソースの投入を行うということを記載しております。
次の「丸2異分野連携も活用した革新技術の創出」では、特に次世代モビリティ・システムによるさらなる空の利用などを進めていくに当たって、電機産業などとの融合を図っていくとともに、IoT、ロボット、AI、ビッグデータ等のデジタル技術やデータの活用を進めていくことを記載しております。
そして最後、「丸3出口を見据えた産業界との連携」については、航空科学技術委員会における個別の研究課題評価でもたびたびご指摘いただいているところですが、メーカーの開発リスクを適切なレベルに抑えるために技術移転先となり得るような民間企業との密接なコミュニケーションを図って、リスクを低減させるといった出口を見据えた研究開発を行っていくということと、航空機システム全体の安全性、信頼性を確保するためのシステムインテグレーションに関する国内の知見の蓄積を進めていくことを記載しています。
次に9ページからの「4.実現方策を支えるシステム改革」ですが、第3章を実行するために必要なシステムについて、人材、資金、環境、組織の面から記載しております。
まず、「4.1研究人材の改革」でございます。まず求められる人材像として、時代の変化に対応し、常に重点分野のスペシャリストであること、もう一つは国際感覚や調整能力を有する視野の広い人材をということを挙げ、そのための取り組みとして文部科学省の内局事業として行っている「宇宙航空科学技術推進委託費」などの取組を例示しています。
10ページの「4.2研究資金の改革」におきましては、民間企業のみで取り組むことが困難なハイリスクなテーマに重点的に取り組むため、適切な研究開発戦略のもとで適切にリソース投入を重点化すること、あるいは民間企業との協働をすること、そして、研究開発成果の効果的・効率的な社会還元をすることを挙げております。
「4.3研究環境の改革」におきましては、先ほどから何度も申し上げているところにもなりますが、個別の民間企業や大学等では整備が難しい大規模な試験施設を効率的に整備すること、特にシステムレベルの実証を行うためのエンジン実証設備や実証用の航空機を産業界や学術界のニーズを十分に踏まえた上で行うことを書いています。
最後に「4.4研究開発実施組織の改革」では、航空科学技術分野の特性というのを踏まえた研究者が効率的かつ意欲的に取り組むような仕組みであったり、あとは航空科学技術分野にとらわれない一般論でございますけれども、教育環境やキャリア形成あるいは評価の仕組みづくりを適切に行うことを挙げています。
最後の11ページ下からの「おわりに」でございますが、これまでの内容のおさらい、振り返りを行うとともに、今後の最終的な取りまとめに関する記載を行っております。
以上が資料63-1-1、2でございます。参考資料の5と6にスケジュールのところでも少し申し上げた総合政策特別委員会における検討の現状を添付しております。第30回の会議が9月27日にございまして、次回が11月にあると聞いています。現状は中間取りまとめということで主にシステム改革、先ほど我々の中間取りまとめでいうと4ポツに相当するような内容のことを分野共通的に議論しているところでございます。
概要を事細かに説明するのは今回は省略させていただきますが、現状認識とSociety5.0の実現に向けて知識集約型の価値創造システムの構築、それを行うために我が国の社会課題の解決と社会の持続的発展への貢献、あるいは人間中心のインクルーシブ社会の実現というところを挙げ、一番下の四角にあるように2章、3章、4章、5章、6章と個別の項目を取り組むことになっています。
一番下にアスタリスクがありますが、「我が国の強みを生かした研究開発戦略の構築」や「科学技術と社会の関係性の在り方」等について引き続き議論とありまして、これは中間取りまとめ以降、今年度末に向けて個別の分野の検討結果も踏まえながら引き続き検討ということでございます。そのため、本日ご議論いただいた内容をもとに事務局としてもそれがうまく総合政策特別委員会の検討に反映できるように取り組んでまいりたいと思いますので、本日は引き続きご指導のほどよろしくお願いします。
事務局の説明は以上でございます。

【李家主査】 どうもありがとうございました。
ではただいまのご説明に関して、この中間取りまとめ等の資料に関してご意見等ありましたらお願いいたします。

【佐藤委員】 質問なんですけど、一枚紙の資料63-1-1で、前は「超音速旅客機」というワードが入ってたんですけど、今回抜けているのはどうしてですか。

【宮川課長補佐】 前回の作業部会の時点では「より速く」と「より快適」にのみを挙げていたところ、議論の中でユーザーのニーズとして何が挙げられるかをより強調して書いたほうがいいというご意見を頂きましたので、それを踏まえ本文と同様に「より速く」、「より正確に」、「より快適に」、「より無駄なく」という四つのキーワードを出すように変更したものです。

【佐藤委員】 ほかの電動化とか空飛ぶクルマとかドローンというのは結構具体的に書かれているのに対して、超音速機が消えてしまったので、どうなのかなと感じたんですけど。前は二つしか入ってなかったユーザーのニーズを増やしたので書けなくなってしまったということなんですかね。

【宮川課長補佐】 そうですね、四角の中に絵だけは入っているのですが。

【佐藤委員】 これからやっていく中の一つじゃないかなと私は思っていたので……。

【宮川課長補佐】 そうですね、何らかの形で入れられるかを検討させていただきます。

【佐藤委員】 すみません、お願いします。
もう一つは研究人材のところで「常に重点分野のスペシャリスト」であるというのがかなり難しいというか、本当に重点分野のスペシャリストばかりを育成するのがいいのかというのがちょっと疑問です。その後には「広い視野」というのも書いてあるんですけども、両方を兼ね備える人材育成ができるのかなということもちょっと思いました。1枚紙のほうで「常に重点分野のスペシャリスト」と書かれているとちょっとわかりにくいかなと思ったので、1枚紙のほうは「重点分野のスペシャリスト」だけにしてもいいのかなと思いました。

【宮川課長補佐】 作業部会での議論においては20年、30年前の技術と今の技術、あるいはまたその先と技術が変わっていく中で、時代にうまく対応しながらリーダーを担っていく人材ということで書かせていただいています。1枚紙においてこの表現に落としてしまったことに問題があったかも知れませんが、もともとの趣旨としてはそういうところです。よくT型人材と言われますけれども、そのTの1本立っているのが前者であって横棒のほうが国際的感覚も有するような視野の広い人間ということです。佐藤委員がおっしゃるようになかなかハードルの高いことにはなるかと思うのですが、目指すべきところという意味でそのように書いたものでございます。

【李家主査】 今のところで済みません、中間取りまとめのほうは「常にあり続けることが求められる」と、「あり続けられる」に「常に」がかかっているので、こちらのほうはおかしくないですが、先ほどご指摘あって思いましたが、取りまとめの概要のほうは「あり続けることが求められる」がカットされているので、「常に」もとって良いと思うのですが、いかがでしょうか。

【武市委員】 「常に」をとると、重点分野になっているところで人を採用して、その後は知りませんよということになっちゃいますよね。やっぱり重点分野が変化していくのにあわせてその人のスペシャリティを変えていける人、という趣旨の書き方じゃないとやっぱりここはだめですよ。

【李家主査】 「常に」のほうではなく、逆にスペシャリストで「あり続ける」といった文言が残っているほうがよいということですね。

【武市委員】 そうですね。

【李家主査】 括弧書きのところは重点分野のスペシャリストであり続け、国際的感覚を有する視野の広い人材を兼ね備えるというようなことですね。

【宮川課長補佐】 重点分野のスペシャリストであり続けられる人材であって、国際的感覚を有する視野の広い人材ということだと思いますが、主査がおっしゃったようにスペース問題も含めてちょっと工夫させていただきたいと思います。

【李家主査】 はい、お願いいたします。

【山内委員】 私がちょっと読みとれてないのかもわからないですけど、前回の委員会のときにさまざまな飛行機が飛び交うようになる、交通量が非常に増えてくると。管制官の管制システムというのもさらに進めていかないといけないわけですけれども、既に今でも問題になっていますが、これはその文言というのはここに反映させる必要はないですか。どこかに書かれている……。

【武市委員】 今の資料でも一部入っています。

【山内委員】 7ページの「交通量の増大等に」というところですか。

【武市委員】 1-2の資料のほうですか。

【山内委員】 そうです。

【武市委員】 1-2の方でしたら、その点に関しては私も補足が必要と思っていたので、追加していただこうと思っていたところです。

【山内委員】 そうすると1-1のところではそれにかわるものとしてはどこに。

【武市委員】 1-1は中段に入っていますよね。

【山内委員】 中段の……。

【宮川課長補佐】 中段の運航技術です。

【山内委員】 運航技術のところでもう総称しているということですか。

【宮川課長補佐】 そうです。

【山内委員】 何かちょっと非常に、管制システム……。私は一般的な感覚としてどうやってコントロールするんだろうというのが、常に今でも不安に思うところがあって、これがさらに進化していくとより重要な問題になってくると思うので、言葉として入れていただきたいなというのをちょっと思いました。

【武市委員】 それに乗っかる形なんですけど、1-2の資料の方ですよね。

【山内委員】 そうです。

【武市委員】 1-2の資料のほうの6ページの上半分のところの「そのためには」という文言で始まる段落のどこかでいいんですけど、ちょっと追加していただきたい文言があります。言いますよ。「進歩した航空機がその性能を存分に発揮できる運航環境の提供」という表現を。この6ページの丸1のところに運航に関する表現がちょっと足りてないなと今さらながら気がついたので、その表現をどこかに加えていただきたいと思います。要するにJAXAとか世界中の研究機関が燃費のいい飛行機と静かな飛行機を開発していても、今の運航環境だと燃費のいい飛行機も燃費よく飛べないし、静かな飛行機も静かに飛べていないので、まずそれができる環境をつくりましょうという趣旨です。その表現がこの項目だけあまり書かれていなかったので、そこだけお願いします。ほかももし不足点があれば適宜反映をお願いします。

【李家主査】 それでは山内さんのご指摘も含まれるということで、よろしいですかね。

【山内委員】 それで管制システムもインクルードするということですね。

【李家主査】 運航環境という言葉で管制システムが入るということです。

【山内委員】 運航環境の中に管制システムも入るという理解ですね、はい。

【武市委員】 その流れで同じページなのでもう1個いいですか。6ページの上半分の段落の一番最後に「AIやIoTを活用した自動化・省人化といった社会問題への対応も進んでいると考えられる」と書いてあるんですけど、これは他の誰かがやるような感覚で書いてあるんですが、それも航空の分野の役割でもある訳ですよね。なので、「進んでいると考えられる」というよりは「進める」、「進められるべきである」あるいは「進めるべきである」という書き方を。そうするとほかの項目でAIを活用した運航技術みたいな項目が出てくるのでそこに対応できるはずですね。

【李家主査】 ほかにはいかがでしょうか。

【竹内委員】 2点あります。まず1点目はわかりにくいと思った文章ですが、5ページの一番下になります。「安全性、信頼性、環境適合性云々」という3行のところに下線がありまして、ユーザーニーズというのは、おそらくユーザーというのはお金を払って乗ってくれるお客さん、航空機の利用客のことがユーザーだろうというのが私の理解なんですが、そうだとすれば最後の「より無駄なく」という表現がよくわからなくて、なぜはっきり「より安く」という表現にできないのだろうということなんですね。利用客は、安全に、速く、正確に、安く行きたいということなので、「より無駄なく」というのが何を意味するものなのだろうかと思うのです。それを踏まえて考えていったらちょっと私はよく理解できなくて、ここで書いているのは安全性云々という社会要求への対応が指摘された上で、それに加えてお客さんのニーズに対応するということになっています。ということは社会要求とお客さんとは違うニーズ、要求があるということになりますよね。しかし、例えば信頼性というのは「より正確に」というところにつながりますし、経済性、「より安く」というのもやはりこの社会欲求になります。社会と個人、ユーザーという言葉が明確に分かれずに一緒くたになっているように思えるので、この3行が何が言いたいのかが私はわけがわからなくなってしまったということがあります。
次に、これは書き足したほうがいいのかと思ったことです。おそらく書くとすれば4のところで考えることだと思いますが、確かに書かれていることはもっともなことだと思います。ただ、もう一つ何か抜けているのは、そうやって非常にいい人材が集まって、いい潤沢な資金があって、うまく効率的にその資金が使われて、いい発明、発見ができたとすると、それをいかにして情報発信するかというところが抜けているのではないかと思います。いかにいいことをやったって、誰もそれを知らないと意味がありませんよね。それでは下手くそな情報発信をしているということになります。例えば日本のこういうところでこんな組織があって、こんな技術開発をやっているんだというパフォーマンスをうまく示すことができると世界中から有益な人材が集まってくるわけですよね。でもその情報発信があまりうまくできていないと、せっかく資金を投下したことも人材の育成も意味がなくなってしまう。だから、うまく情報発信できる仕組みをつくることが重要でしょう。例えばワークショップをやったり、シンポジウムをやることもあるでしょうし、何かできたことを言葉は悪いですけど、宣伝するといいますか、世界中の人に訴えかけていくということにもかなり力を割いていかないと意味がなくなると思うので、その点は書き加えたほうがいいのではないかと思いました。

【李家主査】 最初の点はもともと「より安く」だったのが、どこで変わったのでしたかね。

【竹内委員】 「無駄なく」という表現になったのがよくわからなくて。

【李家主査】 文章の構成がご指摘のように確かに複雑になってしまっていますね。

【武市委員】 ユーザーはお客さんだけじゃなくて、航空機をユーズして運航する運航会社も含むという意味でしたよね。

【宮川課長補佐】 そうですね。研究開発の成果に向けてという意味ではそういったことです。先に5ページの一番下の部分についですが、安全性、信頼性というのは、落ちてしまっては元も子もなく、環境についてもICAO基準とか、IATAでの議論とかで全ての受益者が求めることである一方で、超音速旅客機みたいなより速いものは、お金にかえて「速く」をとる人がいるかもしれないという意味でユーザーによって分かれると考えられるものについては、「より速く」とか括弧書きのほうで書いたつもりでした。そこの整理が悪かったということですね。

【竹内委員】 確かに「速く」と書かれたらわけがわからなくなるところがあって、ユーザーというのには、他にもたとえば航空会社のニーズもあります。しかし、航空会社のニーズとは、お客さんのニーズに合わせて航空会社がニーズするわけですよね。だから、航空会社の立場は無駄なく企業経営しようとするかぎり、極力費用を最小化したいというのはあると思います。でも、お客さんは結局安けりゃいいんですよね。どういう技術開発をして金がかかろうが、どれだけこの航空会社が無駄なことをやっていようが、とにかく利用者は早く、安く、安全にしてくれればいいというのが利用者のニーズだと思います。そういうときにさっき申し上げた社会自体、社会そのものの要求というのか、それとも社会の中にユーザーというのがいるのか、とにかくそのあたりのくくり方がはっきりしていなくて頭がごちゃごちゃになるような気がしたというところなので、ちょっとお考えいただければと思うことです。私も何かこう書けばいいというのが今すぐには思いつかないので、しょうがないと言えば、しょうがないですけども……。ということです。

【李家主査】 分かりました。ユーザーというのがこれを読む方で……。

【竹内委員】 入れ違っているとそれぞれ誤解したのかもしれない。

【李家主査】 何かうまく区別できるとよいですが……。ただし、ここが変わると1枚紙のほうの黄色い部分の左側が大きく変りますが……。

【竹内委員】 そうなんですよ。ある意味すごく大事な文章になっているので、ちょっと慎重なほうがいいかもしれないですね。

【戸井委員】 今のご議論に関連しまして全体で「モノからコトへ」と言っているわりには、モノに終始した言い方になりがちとは感じております。コトでサービスの事業でもうかるほうに動いていこうというような流れの中で、何が今起きているかというと、生活で必須以上の豊かさを求めるための便利さ、そこが新事業になってきて伸びてきているという捉え方があると思っています。そういう意味で議論されている「より、より、より」という表現部分がつながり、これからもうかることをやるには、そういうよりよいサービスに繋げていくために、分けて書かれるのもありかなと私は思った次第です。

【李家主査】 分けて書くというのは、今後のサービスと……。

【戸井委員】 「コトに向かうポイントとしてと、」一言入れて、”より…”部分を書くということです。

【李家主査】 航空機というモノに関して、ここの文章にはいろいろ書いてあるけれども、それとこのサービス関係と二つに分けて明確にするということでよろしいですか。

【戸井委員】 そういう目で見るとこういう書き方でもいいのかなと思っていました。

【李家主査】 はい、ありがとうございます。そうするとこの文章の中にモノという言葉とコトという言葉も入れて説明するとわかりやすくなりますかね。

【武市委員】 前半がモノで、後半がコトですよね。これを明記してもいい気はしますけど。

【李家主査】 ではそのような感じで文章を考えてみるということで、ここのところはよろしいですね。

【宮川課長補佐】 モノからコトが見えるようなイメージでしょうか。

【李家主査】 それは大前提であることなので、そのことに対応していっておかしくないと思います。

【宮川課長補佐】 事務局として案を作成していく中で考えたことは、モノからコトというのを実現していくに当たって、まず一義的にはどういうものをつくればユーザーのコトを実現できるかということです。例えば次世代のモビリティであれば、自由に空を飛べるコトを提供するためにパーソナルモビリティというモノをつくるということです。事務局としては科学技術でモノづくりに対してどうアウトプットをしていくか、モノづくり側にインプットしていくかという視点で書かせていただいていました。そうすると我々のアウトプットをどうコトにつなげるかという点を追記するような方向で考えさせていただくということでしょうか。

【李家主査】 いえ、今おっしゃられたようなことは、この丸1に限ることではないので、3.1の5ページの上のほうのところで言っていただけるとはっきりします。

【宮川課長補佐】 はい、わかりました。

【李家主査】 その上でこの丸1の下線が引いてあるところは、丸1より上で大体のことは言ってあるとしたらそこの話をうまくつながるように書けばよいかと思います。

【宮川課長補佐】 わかりました。

【竹内委員】 こう書かれると「より速く」とか「より正確に」は、すごくソフトな感じでわかりやすくていい表現だという気はするんですけれども、これをやってしまうと信頼とか経済性とかという表現とダブっちゃう可能性もあります。早い話がこれって顧客重視なんですよね。だから、何か技術のほうばっかり目が向いて、技術のための技術になってしまってはいけなくて、常にお客さんのほうを見ていて、お客さんの満足を重視するような対応にしなきゃいけないということだと思います。そうだとすれば私は単純にそういう社会要求に加えて顧客重視の姿勢を持っていくことが大事だという言葉で済む話ではないかと気もしたんですけどね。

【李家主査】 ありがとうございます。さきほど宮川さんがおっしゃった豊かな生活が送れるようになるということ、それが要はユーザーというか顧客が求めることなので、そのような言い方で、今、竹内先生がおっしゃったようなことを入れられればよいかなと思いますが、よろしいでしょうか。
どうもありがとうございます。ほかはいかがでしょうか。

【松島委員】 1枚物の資料63-1-1の黄色い部分に三つほど戦略的というか、研究開発基盤技術の整備の方向性というところにある真ん中の革新技術創出のところと10ページの資料にも関係するんですけれども、産業との協働とか、産業との連携という非常に産業を重視したような表現が多いんです。何となく経済産業省の資料を読んでいるような気になりまして、もちろん産業に資するというか、産業のための科学技術という点はすごく重要なことだと思うんですけれども、例えば科学技術が次世代の産業を新しくつくることもあるし、いわゆるシーズ的な発想ですけれども、そういうことを考えると言葉としてこういうところに「産業」と書くと企業のことを思ってしまうので、例えば産総研とかの科学技術の研究と合同で一体化するとかいうことまで含めて考えるとちょっと言葉の使い方が――どういう言葉がいいのかというのは私も多少は考えたんですけど、今あまり思い浮かばないですが、何か違う言葉がないのかなと感じます。
それと、本文のほうで「2.我が国の航空分野の現状」というところの書き方に関してですけれども、これもいわゆる産業的にどうかということが主に書かれていて、その産業を活性化するためにはどういう技術が要るのかという形で論旨が進んでいるように思います。題名との整合性という意味で言えば、航空分野は学術もあるし研究開発というか、例えば国際会議等でどれぐらい認知度があるかということも航空分野の現状ではあると思うので、題名が「航空産業の現状」であればそれでもいいですけど、航空分野の現状と書くのであれば、もう少し研究成果としての日本の認知度が上がってきているということをですね。超音速分野とCFDの技術に関しては国際会議でも非常に認められてきていて、特別講演が行われたり、あるワークショップの課題の例題としてJAXAのものがひな形として示されるとかいうことが行われているので、そういうことも含めて書いてもらいたいと思いました。特に文部科学省という省庁を考えると科学技術の振興という役割もあるわけなので、一応10年後を見据えたプランということですけれども、10年というのはその先の50年とか30年とかを含めての10年だと思うので、その10年間で今の産業を推し進めるだけではなくて、新しい産業を興すとかいうシーズの開発というか、シーズの革新技術創出というところも少し加えていただくことはできないかなと思いました。
ちょっと今まで出てこなかった話かもしれないですけれども……。

【李家主査】 ありがとうございます。

【松島委員】 もちろん超音速機だのCFDだの現在のエンジンだの、それから空飛ぶクルマなどをやっていくところで、セレンディピティみたいな形で何か出てくることもあるかとは思いますけど、そういうことを育てていけるような環境というか、そういうふうな基盤技術整備の方向性というものを少し加えていただけたらいいと思いました。

【李家主査】 そうすると例えば、3ページの真ん中辺に空行があり、その直前に「航空科学技術行政によるより一層の取り組みが必要である」というところで「航空科学技術」という言葉が最初に出てきますが、その段階で現状を今、松島先生がおっしゃったような国際的な認知度があるということを言った上で一層の取り組みが必要であるというようにすれば少しは入りますかね。
あとは今の話から思ったのは、航空科学技術以外に航空輸送関係でも我が国の航空分野としてはいろいろな活動があるのですが、それはあまり考えてなかったかなと思われます。武市先生、何かありますか。

【武市委員】 私は別にこれで違和感無いです。

【李家主査】 タイトルが「航空分野の現状」になっているので、考え出すといろいろ入るなということに今さらながら気づいたのですが……。

【武市委員】 あくまでこの文章が航空科学技術行政としてのJAXAの取り組みについて書かれているので、そういうバックグランドで考えるとこれで悪くないなという感じはしています。大学とかが入るわけじゃないので。という意味ですよ、一応。

【李家主査】 とは言っても先ほど松島委員が挙げられた例の超音速機とかCFDというのはまさにJAXAがずっと取り組んでこられたことなので、そういう意味では非常に関連することなので、これまでやってきたことも入れていただいて、さらに一層の取組が必要だという説明の流れでよろしいでしょうか。

【武市委員】 優位性に関する記述というのはないんですか。少ないんですかね。

【宮川課長補佐】 優位性に関する記述は、超音速とCFDに関しても記載がありまして、その下の3ページの下ほどにも、1行あいたところからすると七、八行目ぐらいですね。

【武市委員】 7ページの丸1にもありますよね。

【宮川課長補佐】 そちらにも書かせていただいています。

【松島委員】 ただやっぱり書いてあるというだけでなくて「我が国の航空分野の現状」というところに書くことに意義があるような気がするんですけど。

【李家主査】 つまり、いろいろなところで例示されているけれども、今、松島先生がおっしゃったようなことに関してはっきりとJAXAが強みを持っているということを明確にどこかに入れるということでよろしいでしょうか。

【佐藤委員】 3ページ目ではなくて、ほかのところに?

【李家主査】 「2.我が国の航空分野の現状」というところにJAXAのこれまでの活動を。

【佐藤委員】 3ページ目のところも2ポツですよね。

【李家主査】 ええ。

【佐藤委員】 そこの下のところに何か技術が書いてある。「国際的な優位技術を有するCFRPをはじめとする」とかいうあたりには書いてあるんですけど、ここじゃなくて……。

【李家主査】 つまり、研究開発の機関としてそういった優位性を持っているのですが、このままの表現だと産業界が持っているように見えてしまっているということですよね。

【松島委員】 そうです。それもあります。

【佐藤委員】 何か後に「JAXAが有する世界最先端レベル技術」と書いていますよ。

【李家主査】 文章を書くときにあまりこの辺の区別を認識せずに我々は議論していたということでしょうかね。

【宮川課長補佐】 概要の1枚に記載した通り、先進材料分野の優れた技術は航空産業界が有しているもので、コアエンジンの低環境負荷技術、数値解析技術はJAXAが有するとしています。あとは情報産業を含めて他産業という三者が強みを有するということを書かせていただいます。大学の研究においてという趣旨では書いてはいませんが、JAXAで有しているという観点は書いています。それは本文でどこかというと先ほど佐藤先生がおっしゃっていただいた3ページの中ほどからのパラグラフの四、五行目ぐらいからの記述がそこに該当するということになります。

【松島委員】 ただ、これをほかの人が文章としてこのビジョンを読むときに「2.我が国の航空分野の現状」というところにそういうことが書いてないとどうしても航空分野の現状はこうなんだというところでその視点が落ちちゃうんじゃないかと思うんですね。「2.我が国の航空分野の現状」という……。

【宮川課長補佐】 現状は2ページの下から4ページの最後のところまでとなりますが……。

【松島委員】 そこに書いてあったんでしたっけ?

【宮川課長補佐】 3ページに書いています。

【松島委員】 3ページに書いてある、ごめんなさい。

【武市委員】 3ページの真ん中の「航空機や自動車に比べ」というところで始まる段落のそれぞれの優位技術の主体がもうちょっと明確にわかるような文章にすればいいだけですよね。

【李家主査】 今、宮川さんがおっしゃったように産業界の優位技術とJAXAの優位技術という点がこの3ページの下の段落で明確に区別できるように文言を加えていただくということでよろしいですね。

【松島委員】 済みません、ちょっと誤解していました。

【李家主査】 その辺を整理して本編に書いていただくということでお願いします。

【宮川課長補佐】 はい。

【李家主査】 ほかはいかがでしょうか。

【武市委員】 飛ぶんですけど、10ページ目の人材育成のところです。10ページ目の一番上の段落で、4.2の前のパラグラフの最後のほうで、下から3行目のところで「航空科学技術行政として大学に対する」というところで始まる文章があるんですけど、この後半で「実用に繋がる研究開発に携わる機会の提供等」という部分があるんですが、これは学生の育成ではなくて、若手研究者の育成ですよね。ということが分かるように書きかえてください。できれば今から文章を言いますけど、「実用に繋がる研究開発に携わる機会の提供等による広い視野を持つ実用志向の研究者の育成」といった具合にお願いします。
前の文章もそうなんですけど、複数のターゲットを無理矢理1文で収めようとしているので、分かりづらくなってますけど、とりあえず「実用に繋がる研究開発に携わる機会の提供等による広い視野を持つ実用志向の研究者の育成」というふうにお願いします。

【佐藤委員】 ターゲットは誰になるのですか。

【武市委員】 この場合だと若手研究者ですよね。

【佐藤委員】 企業の研究者も含むということ?

【武市委員】 これはJAXAを念頭にした文書なので、博士を取った後にJAXAに入った人をイメージはしていますけど。

【李家主査】 4章はJAXAを対象にしているだけでなくもうちょっと広い議論ですね。

【武市委員】 ただこの場所は「航空科学技術行政として」というので始まる文章です。

【李家主査】 ここは行政に関してですね。文章が長くなるので、二つぐらいに切らないと誰を対象にしているかわからなくなるかもしれないけれども、そういった広い視野を持った研究者の育成につながるような取り組みという趣旨ですね。それを入れるということで、よろしいでしょうか。

【宮川課長補佐】 文言は精査させていただきます。

【李家主査】 ほかはいかがでしょうか。

【佐藤委員】 細かい点の質問なんですけど、人間中心のというのが交通ネットワークで何回か出てきているんですけど、人間中心でないというとどういう……。今までと何が変わるのか。

【宮川課長補佐】 人間中心というのは、一般的に使われているものになると一人一人に寄り添ったとかいう意味合いに使われているので、今までは大型の旅客機でもどんと運ぶだけなので、個別のニーズに対応したとか、あとは交通弱者にも配慮したとかいう意味合いで使われていると理解しています。

【佐藤委員】 わかりました。何か環境とかは関係なく、人間だけを中心にしたという意味ではないんですよね。

【宮川課長補佐】 人類がひとりよがりでという意味ではないと思います。

【李家主査】 これは総政特の資料のほうの文言に合うように……。

【平田室長】 参考資料6の真ん中あたりの右側にある「人間中心の」という表現を航空のところに落としたので……。

【佐藤委員】 わかりました。

【李家主査】 ほかはいかがでしょうか。

【武市委員】 細かいところですけど、ちょっと重要かもしれないところですが、11ページの「おわりに」の前のパラグラフで、11ページの真ん中ら辺のちょっと下のところに「若手研究者が能力を十分に発揮できるよう自由度・自主性が担保されるような環境整備」とあるんですけど、「環境」という言葉だとすごくあいまいなので、これを「制度整備」という言い方にはできませんか。

【李家主査】 それは変えていただくのがよろしいですか。

【宮川課長補佐】 委員の皆様のご意見を踏まえてでしょうか。環境というと雰囲気も含むソフトとの面、制度となると例えば明文化したとかいう意味合いが含まれると思います。

【李家主査】 よろしいでしょうかね。確認ですが、今の段落とその下の段落のあたりというのは、もともと「航空科学技術分野に限らない一般論として」と書かれているので、研究機関やJAXA相手だけではなくて、大学、その他の研究をしている機関が全部入るという認識でよろしいですね。ですから、今のところも若手研究者と言ってるのは大学と研究所と企業の研究所も入ると。

【宮川課長補佐】 もっと言いますと航空分野でなくて、全分野含まれるようなこととなります。航空だからこうだというわけではなく、あくまでも一般論としてこうであるため航空も含めてそうなる方向が望ましいのではないかということを書かせていただいています。

【李家主査】 そうするとこのあたりのところで制度整備についてもあわせて検討が必要であるとなると、現在はそれが全くなくて新たに整備しなければいけないというニュアンスになりますね。少しは今でもあるといいますか、能力が十分に発揮できるような自主性の担保が全くされていないということではないと思うので、同じことがその下の段落でもあてはまります。「適切に評価できる基準・方法等の仕組みが必要である」とか、最後の「研究者個人の評価となることがないよう正当なものである必要」のあたりのところは、今はできるだけそういうことを考えているということで……。

【武市委員】 今は組織次第じゃないですかね。

【李家主査】 だから、ここの文章の要点として特定の組織が全然行っていないから変えないといけないということを言っているわけではないですね。

【武市委員】 そうですね。こうあるべきというか、方向性が示されればそれでいいと思います。

【李家主査】 ついでに申し上げると気になったのが、最後の「加えて」という段落のところで段落が変わっているので、わかりにくくなっているのですが、ここは航空科学技術分野に限らない一般論として指摘しているのですね。

【宮川課長補佐】 はい、その意味ではくっつけてもいいと思われます。

【李家主査】 今、武市先生がおっしゃったようにそういう方向になるようにというのが分かるように、将来もこういうことを維持してほしいというふうに文章の締めのところ、それぞれの文章の終わりの言葉が何か変えられると良いかなと思いますが、いかがですか。

【村上PD】 済みません、ちょっとよろしいですか。私が申し上げる立場じゃないんですけども、「特に」と特出しされているのは非常に重要な課題なんだという認識で多分「特に」と書かれているんだと思うんです。もしもこういうような事実があるということですので、特にどこの機関に対してということがより分かるようにしたほうがいいんじゃないかと思うんですね。「加えて」の前の一文については、一般論としてあるし、これはJAXAもそうだと含まれて一般論として入っていていいのかなと思うんですね。「特に」と書いていますので、この「特に」ということは何かこういったことが起きているところがあって、そこに対してこういう制度が必要であると言っていることだと思いますので、もともとここはたしか聞き及ぶところによれば大学の改革というところの議論をされたという話もありますし、ここの部分の「特に」というのは大学で起きていることなのかなと思いますので、「大学等においては」とか、そういう「特に」と書いている以上、特出しの部分を用意しておいたほうがよろしいんじゃないかと。もちろん、JAXAも対象になることは対象になると思うんですけど、多分こういった記述がある内容というのは多分大学で起きていること、あるいは専門家社会の中で起きていることだという認識でございますので、そういうのも「特に」の締めに加えるのがよろしいのではないかと。済みません出しゃばった発言で……。

【李家主査】 この文章は特に特定の機関で今起こっているということを言おうとして書いているわけではなくて、先ほどのお話のように方向性としてこういうふうになってほしいという言い方ですから、「特に」というのは特には必要ないのではないでしょうか。

【宮川課長補佐】 「特に」の意味は、編集した人間としては特にどの機関というわけではなくて、特にこういう仕組みという意味で書いたもの。そういう理解ですので、特定の組織を念頭に置いてというわけではなく、あくまでも一般論でこうあるべきという意味で書いています。その中でどこの組織が改革していくべきかをより狭く言うべきであるというのであれば、今出たような例をするのも一案かと思いますが、そうではなく一般論ですよ、というのであれば例示しない選択もあるのではないかと思います。

【李家主査】 そうすると後者のほうのはずなので、最初の「基準・方法等の仕組みが必要である」と。その仕組みの中にもう少し詳しく説明するとこういったこともありますよというイメージですか。同一といいますか、このままですと「特に」というのが強過ぎる言葉で誤解を招くかもしれないので。

【宮川課長補佐】 そういった意味では「特に」は削除してもいいかと思われます。

【李家主査】 それでよろしいでしょうか。

【竹内委員】 多分仕組みが必要であるということ、そうはいってもこういうところは注意しようねという話だと私は思うんですよね。そうなると若手研究者の評価の仕組み、多分これを「特に」と言っているんだと思うんです。でも、これは若手研究者に限らずどんな人でも、所属するグループや組織の評価がそのまま個人のものになっちゃいけないと思いますから、やっぱりここはそう書かなくてもいいような気がします。この点は若手であろうが、リタイヤ直前の人であろうが、同じことじゃないかと思えば、必要なんだけどこういう点を留意する必要があるということじゃないかと思うんですね。

【李家主査】 ありがとうございます。

【武市委員】 留意がいいですね。

【李家主査】 留意ですね。ここの部分の若手研究者の評価の仕組みというように、若手研究者とわざわざ言わなくてもいいということですか。

【竹内委員】 そうですね、ええ。

【武市委員】 若手研究者が一番影響を受けやすいですよね。

【竹内委員】 そうですよね。それはある。だとするならば、特に若手研究者のときにはこれに気をつけなきゃということだと思います。ただ、そんなことをいろいろ言い出すとまたごちゃごちゃなりますけど。

【李家主査】 その一般的な話でかつ留意すべきであるという感じでここの文章は直していただきたいと思います。
ほかはいかがでしょうか。いろいろご意見をいただいてきておりますが、ではよろしいでしょうか。
そういたしますと、本日の議論はここまでとさせていただいて、この研究開発ビジョンの中間取りまとめの概要と本文の案については今日頂いた多くの意見を踏まえて、事務局と相談して、私、主査一任ということにさせていただきまして、それで決定したいと思いますが、それでよろしいでしょうか。
はい、ありがとうございます。では、そのように進めさせていただきます。
事務局においてはこの中間取りまとめが決定した後に、総合政策特別委員会に結果をご報告いただくようにお願いいたします。ありがとうございました。
この航空科学技術分野に関する研究開発ビジョンの取りまとめということで作業部会の委員の先生方には特にお世話になりまして、ありがとうございました。

(2)研究開発プログラム評価について
では、次の議題2に移らせていただきます。議題2が研究開発プログラム評価についてということですが、まずは事務局からご説明お願いいたします。

【宮川課長補佐】 研究開発プログラム評価についてということで、本件は6月の前々回の航空科学技術委員会におきまして、4月の分科会で決定した事項を今年度行わせていただきますということをご紹介したと思います。その内容は参考資料の7と8でございます。7がパワーポイント形式のもので、8がワード形式の「第10期研究計画・評価分科会における研究開発プログラム評価の試行的実施と研究開発課題の評価の実施について」でございます。大分期間もあいてしまいましたので、本件について軽くおさらいをさせていただきたいと思います。
参考資料の7をご覧いただけますでしょうか。1ページ目は表紙ですので、2ページ目でございます。本件、研究開発プログラム評価は研究開発計画の中にも位置づけられているとおり研究開発計画の中目標を単位として課題の取り組みの状況を全体的に評価するものでございます。航空分野は航空分野全体で一つの中目標となっています。
第10期においてはこの取組を試行的に実施することとされまして、航空科学技術委員会では2ページの下の表形式のものにありますとおり、分野別の委員会として評価の実施主体、実質的に評価をしていただくという役割を担うこととなります。
その流れは、ページ3から4にある「研究開発プログラム評価の試行的実施の方法」というところになります。3ページ右側のフロー図のようなものが見やすいと思いますが、実際の流れとしましては、我々というか航空委の事務局のほうで評価票を作成した上で、赤丸がついていますけれども、分野別委員会の航空科学技術委員会で評価をしていただくということになります。外部評価というのは、文部科学省内部で実施するという意味と対比させたものとなっていますが、要はこちらの委員会で評価させていただくということです。
赤字のところは分科会において全体をレビューしてまたフィードバックされるという流れを言っています。全体の実施スケジュールとしましては、4ページに線表のように書いてあるんですが、ここにあるように上が分野別委員会の航空科学技術委員会です。大体年内にかけて委員会で評価をしていただき、年明けから年度末にかけて分科会でレビューするというのを2年間かけて2サイクルしましょうという流れとなっています。その2年間を通じて第10期の間で制度の確立を図ろうというものでございます。
その具体的な進め方としては、ワード資料の参考資料8でございます。これは、前回の委員会でも行わせていただいた中間評価とか個別課題の評価の様式も含むので、非常に長い文書でございます。そちらの4ページ目と5ページ目に相当するんですが、研究開発プログラム評価票というのが定められておりまして、こちらの評価票に基づいて中目標単位で各分野の評価を行うこととなっています。
というわけで、事務局におきましては、評価を行うに当たりまして、まず航空科学技術分野全体はどうなっているのかを改めて再認識するということをしたいと思います。資料63-2-1のとおり、これは課題評価の際にご覧いただいている施策マップとほぼ等しいものでございますが、施策マップにおいては、重点課題のところしか書いていませんので、見えていなかった図の下の「航空産業の持続的発展につなぐ基盤技術の研究開発」も実はこの上二つと合わせて3本柱の形で研究開発計画に定められており、追加しています。詳細は机上の紙資料になってしまいますが、研究開発計画というものに書かれておりますので、済みませんご参照いただければと思います。この俯瞰図のとおり、航空科学技術の取組においては「社会からの要請に応える研究開発」、「次世代を切り開く先進技術の研究開発」、「航空産業の持続的発展につながる基盤技術の研究開発」という3本柱となっています。そのうち「社会からの要請に応える研究開発」においては、ア、イの二つに分けられておりまして、一つが安全性向上技術、もう一つが環境適合性・経済性向上の技術となっています。次世代については、静粛超音速機の統合設計技術と電動航空機などを念頭に置いた革新的技術に分かれています。そのため、資料に色分けしたような単位で整理しながら全体をレビューしようと考えています。
63-2-2が評価票になりますが、こちらは文章だけになってしまうので、これは一旦飛ばしまして、こういった研究開発計画の取組全体がどうなっているのかというのをもう少し詳細にJAXAのほうからご紹介いただこうかと思いますので、村上PDよろしくお願いいたします。

【村上PD】 資料63-2-3に基づきましてJAXAにおける取り組みの状況につきまして、ご紹介したいと思います。先ほど宮川課長補佐からご案内ありました研究開発プログラム評価の試行的実施方法の案というところの参考資料7の2番目にありますとおり、私ども研究開発法人においては運営交付金等によって実施されている事業等の評価というのは毎年度業務実績評価ということで主務大臣、私どもは航空においては文部科学大臣になりますけど、主務大臣の評価を受けるということで有識者の委員会の結果を踏まえて、主務大臣が評価を下している部分がございますので、それを踏まえた形でご紹介したいと思います。
2ページ目は目次でございます。最初に「JAXA航空技術部門の研究開発活動(全体像)」としてどんな方針で取り組んでいるのかということと今回は2018年度、平成30年度についての内容ということを事務局からお聞きしておりますので、2018年度、平成30年度主務大臣業績評価に対する評価結果、評価されたそのものから抜粋したものです。それから先ほどご案内ありました研究開発計画にあります三つの研究開発課題、テーマですね、社会からの要請に応える研究課題、次世代を切り開く先進技術、それから基盤技術の研究です。それらに沿ってご説明したいと思います。
3ページ目は飛ばしていただいて、4ページ目を見ていただきますと、実はJAXAはJAXAの中に大きくは三つのプログラムとそれを支える基礎的・基盤的技術の研究という形で協力して行っております。一つは航空環境技術の研究開発プログラム、ECATと我々は呼んでおりますけど、緑で書かれているものです。それから航空安全技術、この中には災害対応の技術なども含まれていて、我々はSTARと呼んでいます。それともう一つは航空新分野創造プログラム、SkyFrontierということで、それらを支える基礎的・基盤的技術の研究ということで、この四つの柱の中で構成されておりますけれども、これを研究開発計画に当てはめますと緑のECATとオレンジ色のSTARが「社会からの要請に応える研究開発」ということです。ちょっと順番が右左ずれていますが、研究開発課題はアと言われたのが安全性向上技術の研究開発というのがSTAR、それから環境適合性・経済性向上技術の研究開発のECATと。それから「次世代を切り開く先進技術の研究開発」というのがSkyFrontierと。三つ目の「基盤技術の研究開発」というのが一番下の「基礎的・基盤的技術の研究」と見ていただければなと思っております。
次の5ページ目になります。これは私どもの研究開発の取り組みの方針を簡単に書いたものでございまして、皆さんご案内のとおり、ここ数年におきまして日本の航空機製造産業の生産高は飛躍的に伸びているという中で、私どもは今ある技術の競争力強化ということのみならず、新たな製品の創出ということの部分、それからそれらでやられた研究成果の社会実装という三つの取り組みの方針のもとで、ここに書かれている内容のもとで進めています。特に真ん中の次世代製品の競争力強化というのは、今延長線上にある製品の競争力強化ということでございますけれども、先般のコアエンジン技術の研究開発のご説明のところでも言いましたとおり企業のビジネス戦略とか、JAXAの研究戦略はトップレベルの会合を持って共有しながらプロジェクトとして立ち上げているということでございます。
本日はその中でも代表的な取り組みというところを幾つかピックアップしてご紹介させていただきたいと思っておりまして、特に私どもの今中期計画が昨年度からスタートしましたけれども、研究成果の社会実装は着実に今までどおり進めていくということとともに、新しい技術につながっていくような、そういった将来技術を強化していこうという方針で進めているところでございます。
次の6ページですけれども、主務大臣による業務実績に対する評価結果でございまして、昨年度の平成30年度におきまして、JAXA全体としての法人評価としてはAという評価でございました。その中で、特筆すべき事項として「航空科学技術では、機体騒音低減分野など世界最高性能の研究成果が創出されたことなどが特に顕著な成果として認められた」ということでございまして、それがさらに細分化された、JAXAでは全体で24項目の細目でございますけど、その24項目の細目の中の一つが航空科学技術分野ということでございまして、主務大臣評価はSということでございました。ちなみにJAXA全体としてはSが24項目中の4項目ということでございました。大体16%ぐらいがSということでございます。
評定に至った理由は、「評価すべき実績」というところに書いていますが、低騒音デバイス、これはFQUROHのプロジェクトの成果、あるいはバフェット抑制の設計技術といったものが高く評価いただきまして、Sということになっています。参考までに昨年度以前の、昨年度は第4期中長期計画ですけども、第3期中長期計画期間における年度評価及び期間全体としての評価につきましても参考として下につけております。それでは、それぞれの個別につきまして、ご紹介したいと思います。
「社会からの要請に応える研究開発」ということで7ページから次の8ページを見ていただければと思います。「気象影響防御技術」の研究開発ということでそれでご紹介したいと思います。これにつきましては、今日後ほどオープンフォーラムの紹介などもありますけれども、左下にございますとおり航空機の運航にかかわる特殊気象、氷であるとか雪、雷、火山灰といったものを予知・検知・防御の3点で技術を確立していこうという研究開発をこれまでの基礎研究をベースにして2018年度から新たにスタートしたものでございます。過去から基礎研究は進めてきておりまして、ここは実はイノベーションハブというところで異分野連携におけるオープンイノベーションということで、コンソーシアムを設立して外部機関と研究を連携するとともに、特に2018年度における成果といたしましては右下に滑走路の雪氷モニタリングセンサというものがございます。これは2022年度に空港で実証することを目指して今基礎的なところから実環境下での実証というところのフェーズに移っているところでございます。これは光の反射、分散、散乱光の強度分を利用することで雪の厚みと雪の質ですね、例えば雪の質というのはザラメであるとか、新雪であるとか、固まったものであるとかいった質を一つのセンサーの中で見つけ出すということで、現在は大体厚さだと、厚さの精度のほうは5ミリ以下で、雪質でいきますと大体8割くらいの精度で同定できるというシステムまで到達したのが昨年度の成果でございます。それを北見工業大学とかとの共同研究でやっております。それを屋外に設置して、実際に屋外の環境の中でもちゃんと機能するということを確認したということでございます。
ほかに雷の危険性予測技術ということで、冬になりますと日本海側は雷がよく落ちるということで飛行機が損傷を受けたりするわけでございますけれども、我々はパイロットのレポートなども含めて、エアラインとの協力を得ながらこの被雷の危険性を同定することに成功いたしました。現在もちろんこれが社会実装するレベルまではまだ行ってはおりませんけれども、今後そういうふうに進めていくというところで、現状、冬季雷については大体8割ぐらいで被雷を予測できそうだというところまできたということでございます。
それからもう一つ、エンジンの防除氷技術については、課題解決、要するにエンジンのファンに氷がついてしまうという問題がございます。それがつきにくいようなファンの形状といったものを提案いたしまして、それを解析レベルで確認をしているところでございます。
以上が気象影響防御技術についての紹介でございます。
次の9ページになりますけども、「災害・危機管理対応統合運用技術」はこれまでもここの場でさまざまな場面でD-NETというものをご紹介してきたと思います。その機能を拡張しようという研究開発です。すなわちD-NETでは大災害が起きたときにいろんな多機関の救難ヘリコプターが一同に集まります。東日本大震災は300機集まったと言われておりますけれども、それを効率的に運用するために多機関での連携が求められる中で、現時点で消防庁の全ての消防防災ヘリに対してはD-NET規格の情報システムが導入されたわけでございますけれども、それをもっとほかの機関にも拡張していこうということで、平時の利用なども含めまして危機管理とか警備警戒といったものにも使えるようなシステムを構築、機能向上していこうという研究開発を2018年度からスタートしているものでございます。
昨年度の実績といたしましては、これらの研究開発の上にさらに重ねて新たにスタートしたものでございますけれども、D-NET WEBという、本来はD-NETは専用端末が必要なんですが、それを介さずに普通のこういうタブレットのブラウザ機能でできるというものを製品化することができました。これは実際に防災機関、具体的には消防関係ですけれども、実利用されたということと、もう一つは有人機、無人機が災害時はこれから連携していろんなことをするようになるだろうということで、その研究開発を進めてきたわけでございますけれども、その運用評価を実は愛媛県の原子力防災訓練とかに適用して、高く評価をいただきまして、愛媛県並びに内閣府、JAXAとの間で原子力災害時におけるD-NET活用に関する協定の締結という形でつながってきているところでございます。
このほか、政府・自治体が実施する防災訓練におけるシステム評価・改良と続きまして、「地上車両等」と書いていますが、具体的には救急車とかパトカーになりますけれども、そういうところでD-NETを活用するシステムD-NETi――これは要するにスマホのアプリケーションみたいなものでございますけれども、移動しているものでございますから、移動情報が即座に共有できるような仕組みです。どこに今救急車がいるか、そういったところが特徴でございます。
そういったものであるとか、小型・軽量化の持ち込み型のヘリコプター用の機上システムの開発・改良を進めまして、今年度内に、ここで言うと2019年ということですけども、製品化の見通しを得ているというところで現在取り組み中でございます。
左下にありますのが、実際の防災訓練ですね、D-NET WEB、この端末、ここにあるタブレットといったものでウェブのブラウザを使いながら任務情報を送信したり、受信したり、共有したりということをしているところでございますし、右の図は具体的に愛媛県で行われた原子力防災訓練での無人機と有人機の連携にかかわる部分をD-NET上で共有して、安全・効率的に活動するという訓練状況を示したものでございます。
これで安全が終わりまして、次の10ページ「社会の要請に応える研究開発、環境適合性・経済性向上技術の研究開発」ということです。
11ページをごらんください。11ページは今日は説明が要らないのかなと思いますけれども、前々回にコアエンジン技術の研究開発についての現状ということで2018年度の成果についてご報告するとともに全体計画についてご報告したので、これについては割愛させていただきます。
次の12ページは「低騒音化技術」ということでございます。これは我々のFQUROHというもので、この場でも何度かご紹介しているはずでございますけれども、空港周辺の騒音低減のボトルネックとなる機体騒音の低減化技術といったものを将来の旅客機開発及び装備品開発に適用可能な段階にまで技術力を高めようということで進めているものでございまして、基本的には日本の航空製造産業の国際競争力強化ということと空港周辺地域における騒音被害の軽減、あるいはエアラインの運航コストの軽減といったものに貢献しようという目的で進めてきているものでございます。
2013年度、先の中期計画でスタートしてきているものでございます。皆さんご案内のとおり着陸進入時の騒音ですね、エンジンが非常に性能が上がって、低騒音化されたということに加えて、着陸時はスロットルを絞っているということもございますので、機体騒音が卓越し始めています。実際のところこの50年間で10デシベルほど着陸進入時の騒音は低減されてきたわけですけれども、この20年に限って言うと着陸時の進入時の騒音はほとんど下がってないんですね。というのは先ほど申し上げたようにエンジンはバイパス比が上がって非常に低騒音化が進んできたんですが、着陸時はエンジンの音よりもむしろ機体騒音が卓越しつつあるという環境の中で、もう下がらないという中で、これは一昨年度ですけれども、私どもで飛行実証いたしまして、それをさらに昨年度、細かく分析し、風洞試験、それから解析をもう一回洗い直して、飛行実証の試験データを詳しく分析した結果として、左下が代表的なものでございますけれども、フラップとか脚から相当音が出ているわけです。これは我が社が持っている「飛翔」という大型のビジネスジェットの機体で、左の絵を見ていただくとフラップの端っこからたくさん赤く出ていると思います。これを基準といたしまして、私どもが考えた――私どもの中には日本の企業も含まれますけれども、そういったアイデアを入れたフラップあるいは脚の低騒音化デバイス、右のほうのオレンジ色で書いているのがそのデバイスの写真です。この写真がなかなかわかりにくいと思いますけれども、こういうデバイスをつけた結果、低騒音形態で飛ばした結果、左の写真の中の右側でございまして、フラップの端から出ている騒音がこれで見ると大体10デシベルくらい、個別のこの1キロヘルツという周波数だけ見ていますが、減っているということがわかるかと思います。なお、前脚とかエンジンナセルの部分に発電機の排気口があって、そこは低騒音化してませんので、それはそのままですけれども、フラップ端あるいは主脚における騒音は低減しているのが見てわかるかと思います。
こういった技術により、大体3か4デシベル、これはいろんな周波数領域についてのものと処理をしてみたものですが大体3デシベルから4デシベル低減していると。これはこの分野では相当高い低騒音化率ということでございまして、もしもこの技術が全ての旅客機に仮に適応されて、同様の効果があったと仮定すると着陸時の騒音の暴露される面積、同じ強度で見たときの面積は約半分くらいになるということでございます。非常に効果が高いということで、過去にもアメリカとかで、こういう研究と同様のものが行われていたんですけれども、CFDの技術であるとか、風洞試験の計測技術ということもあって、風洞試験ではちょっと効果があったんだけど、実際に飛ばしてみるとさほど大きな効果はなくて、1デシベル、2デシベルという効果であったものに対して今回我々がやったものはビジネスジェットではございますけれども、3か4デシベルの効果と、非常に大きな効果を得たということで、これは先ほど主務大臣評価でご説明したとおり、S評価と高く評価をいただいたことの理由の一つでございます。
ほかにもここにちょっと文章では書いてないんですけれども、実はここで開発した左下の写真はよく見ると飛んでいる飛行機は合成しているだけなんですが、特定の周波数、特定の場所からこういう音がというのが見えているわけですが、これは音源探査の技術と言います。しかも実際に飛んでいる機体を音源探査するという技術でございます。これは実は国内空港と今連携して、空港周辺の騒音対策に応用できるんじゃないかということで、その関係機関と騒音の空港周辺騒音対策への応用を考えるというところで、取り組みを今発展しつつあるというところでございます。
これはまだ残されておりますけれども、我々といたしましては、あくまでもビジネスジェットの中での規模でやったものですから、旅客機レベルに展開していくために、この旅客機レベルでも同様の効果があるようなものを確認していこうということであわせて実用性といったものを踏まえながら技術研究開発を実験でさらに高度化を進めているというところでございます。
13ページ以降が「次世代を切り開く先進技術の研究開発」ということで、14ページは「静粛超音速機統合設計技術」でございますけれども、これにつきましては、前回の航空委員会のところで18年度の成果と今後の方向性をご議論いただき、ご報告いたしましたので割愛させていただきます。
15ページになります。「革新的技術の研究開発(エミッションフリー航空技術)」についてご紹介させていただきます。エミッションフリー航空技術は端的に言えば電動化の技術ということでございます。
目的でございますけれども、航空機の推進システム電動化の鍵技術の獲得により、航空機の大幅な燃費削減、これは言うなればCO2の排出量削減ということでございまして、ご案内のとおり、IATAでは国際航空に関して2050年には2005年の半分にしようという大きな目標を立てております。その実現に貢献しようということとこの中で得た技術、まさに電動化の技術というのは、システム技術そのものが変わっていくような技術でございますので、それが日本の航空製造産業のシェアの拡大に貢献していくのではないかということでございます。
具体的な目標といたしましては、燃料電池とガスタービンの高効率複合サイクルによるハイブリッド化、分散ファンや翼胴結合等の革新的形態、燃料電池・超電導・液体水素利用等の要素技術の研究開発をまず進めようというところで、それを通じて電動化の鍵技術を獲得しようということで、2018年度からスタートしている研究開発でございます。
これは、我々は電動化の電動モーターそのものをやった経験がございますが、外部と組むということがポイントでございまして、昨年度の成果といたしましては、産学連携のオープンイノベーションの場として左下にちょっと見づらいですけれども、航空産業ではなくて、電機産業も含めた多方面の機関から賛同を得て、ECLAIRと我々は呼んでおりますけれども、航空機電動化コンソーシアムというのを設立することを我々は努力いたしました。その中で特に主要なメンバーであるこの左下の絵のステアリング会議というところでございますが、その中で航空機電動化の将来ビジョンなどを策定し、航空機の電動化及び関連技術の社会実装の研究開発計画を産業界と共有いたしました。あわせて2018年12月に開いたオープンフォーラムではこういったものを社会にも発信してきたというところでございます。具体的な技術の研究開発のところについては、「また」以降に書いてますけれども、JAXAが特許として持っている独自の技術でございますが、その優位技術を含む複合サイクルシステムを軸とする電導システムコンセプトといったものを考案いたしました。これは右下にある絵でございまして、これを世界初の実証に向けて計画を具体化していこうという取り組みを昨年度いたしました。
実はJAXAの中では幾つかフェーズがございまして、この研究開発は2020年度内に飛行実証するということではなくて、この4カ年でこの飛行実証に向けて基礎技術をまずやり、そののち、2024年度を目指して飛行実証あるいは地上での具体的システム実証というところを目指していこうという計画を具体化したものでございます。
右下は我々のSOFCというのは燃料電池の種類の一つでございますけれども、これを高温作動で効率的に作動するというのが特徴でございますので、ガスタービンと組み合わせて、その中から出てきた起電力をいかしながら、実際のエンジンの後ろについているモーターを前に分担させたりとか、あるいは電池のほうに貯蔵したりとか、あるいは別途推進効率向上のために電動モーターだけで動くファン、それを動かすという仕組みを考えていこうということで、これについての要素技術を進めているところでございます。
次は16ページでございます。これは「基盤技術の研究開発」というところで、その中から一つご紹介したいと思います。統合シミュレーション技術というところで、基盤技術全体としましては、我が国航空機産業の持続的な発展に貢献しようということで、数値流体力学、数値シミュレーション技術を飛躍的に高めるということに加えて、試験技術、あるいは材料の評価技術等の基盤技術の維持・強化を通じて、航空機における設計開発の高速化、効率化、高精度化といったものに貢献しようということで、基盤技術の研究開発を着実に進めていくところで、昨年度からスタートしているところでございます。
昨年度の成果ですけれども、まずこの統合シミュレーションの中でどういう課題を扱うことにしたかということが左下の絵でございまして、端的に言いますとバフェットと呼ばれる流れが剥がれたり、高速に上げたら衝撃や振動も含まれますけれども、そういった流れが剝がれて、必要以上に揺れて横に振動させてしまう現象でございますけれども、こういったもの。それからもう一つはフラッタで、これは構造と流体力学的な連成によって生じる振動現象ということで、これも非常に致命的なことになるものでございます。それから、もう一つは騒音、最後は水のあるところに離着陸するときの状況をちゃんとシミュレーションできるようにしようという水跳ねと、この四つを設定いたしまして、まず数値シミュレーション技術そのものはもちろんのことでございますが。その検証をするためのデータの生産性を高める試験技術、計測技術といったもの。それから全て非定常的な流れあるいは現象を含んでおりますので、非常に膨大なデータになってしまうので、その膨大なデータの中から特徴量をちゃんと抽出できることが必要になりまして、そのためにはデータ科学というものを組み合わせて世界最高レベルの信頼性と予測性を有する解析ツール開発に取り組んでいるところです。
具体的には昨年度はこの2番目のフラッタというところにつきましてパイロットコードを開発して、行って終わっています。パイロットコードと言っても、現実には今年度中には実際のメーカーさんが利用できるようなレベルまで上がってくるんじゃないかなと思っています。
左下というか真ん中ら辺に書いてある数値シミュレーションはまだ基礎レベルでございますけれども、着陸あるいは離陸するときの水跳ねのシミュレーションについても取り組み始めたというところでございます。
もう一つ、昨年度の成果の「また」以降でございますが、実機空力基盤技術として、先ほど言った主翼の振動現象(バフェット現象)でございますけれども、バフェット現象を効果的に防ぐことができる設計技術というのを開発してきたわけです。それの成果をまとめたことで、それが今の三菱スペースジェットですね、昔のMRJということですが、そのVG搭載設計にいかされまして、今飛んでいる三菱スペースジェット主翼には我々の技術成果に基づいて設計されたものが適用されているということです。設計はもちろん事業者である三菱航空機さんがやられたものでございまして、我々の基礎研究がいかされたということでございます。
以上で説明は終わりますが、後ろに補足の補足で恐縮でございますが、我々の各大型設備にはこういうものがありますよというのをご参考までに添付させていただきました。
以上でございます。

【宮川課長補佐】 ありがとうございます。俯瞰図に沿った形でJAXAにご紹介いただきましたが、それをもとに評価票の形式に落としたのが63-2-2でございます。少しだけ簡単にお話しさせていただきますと、まず一番左側の列が中目標の達成状況の測定指標です。こちらは研究開発計画の指標もそうですけれども、行政機関は政策評価を行わなければならないですが、その政策目標における指標と同じものを記載するという整理が計評分科会でなされていることからその数を書かせていただいております。個別の課題に対する数は毎回の事前、中間、事後評価では書かせていただいているものと全く同じものでございます。
二つ目が事業名、事業期間ということで、今ご紹介させていただいた三つの事業名と、個別の課題の評価を行ったものにおいてはその年度について記載するということなので、6月から7月にかけて中間評価をいただいたコアエンジン技術については四項目に記載しております。評価年度については、中間評価を行ったコアエンジン技術だけ記載しています。評価の種類についても同様でございます。
右から二つ目の科学技術基本計画等への貢献状況は、読み上げると長くなってしまうので、割愛させていただきますが、先ほどのJAXAの説明にもあった事業ごとの科学技術基本計画等への貢献として各スライドに書かせていただいている内容を総合するような形で書いております。航空分野におきましては一義的には計評分科会で定めた研究開発計画への貢献がそのまま科学技術基本計画への貢献につながるということで、そちらを念頭に置きつつ、社会からの要請、安全環境においては、交通安全基本計画への貢献だったりとか、その他の閣議決定ものというか、政府全体での計画への貢献等についてもあわせて記載しているところでございます。
今回、こういった形で、何分初めてなものですので、評価票に則りながら我々も現時点の中で全体を見渡した形で書いておりますが、委員の皆様におかれましては、評価するに当たってこういう情報が足りないであったり、こういう視点で物事を見るべきだとかいったところも含めて、今回ご意見を頂きまして、また次回の委員会までに準備するように事務局としては進めてまいりたいと思いますので、その点をお含みいただきまして、今回はご意見を頂戴できればと思います。
事務局からの説明は以上でございます。

【李家主査】 はい、ありがとうございました。最後のところのご説明は初めて聞くとかなり難しかったと思うのですが、要は何を委員のほうで議論せねばいけないかということですが……。

【宮川課長補佐】 もう少し簡単に言いますと、科学技術基本計画をもとにして研究開発計画というものができております。その推進がうまく進んでいるか、計画が期待通り進んでいるかを評価いただくということです。今回については平成30年度の成果を念頭に置きながら、「科学技術基本計画等への貢献状況」を書いていますけれども、それが妥当なものであるのかを確認して頂く、あるいはそれを判断するためにさらに必要な情報があるかを含め、何かあればご指摘を頂ければということでございます。

【李家主査】 今おっしゃられたことは先ほどのご紹介があった参考資料8の4ページから5ページ目のところになりますか。

【宮川課長補佐】 そうですね。

【李家主査】 米印でコメントが入っているのですが、これが参考になるのですね。

【宮川課長補佐】 そうですね。分科会で様式を定める際に併せて記載されたもので、評価においてこちらを考慮して委員の皆様に気づきを入れていただいて、最終的には分科会でもさらに気づきを足していただいた形で決定されるものといたしております。5項目ほど挙げられていますが、それも念頭に置きつつご指導いただければと思います。

【李家主査】 はい、わかりました。ということで初めての形式ということで、我々委員会のほうからは、研究開発プログラムの評価に当たっての気づきというところについていろいろな意見を出させていただくことになると思います。それを踏まえた上でただいまのご説明に関してご質問等ありましたらお願いいたします。
私からよろしいですか。今、見ていただいた参考資料8の5ページのところに書いてあるコメントですけれども、2行目に「それらを相談した上での気づき(領域間の配分)」とあるのですが、領域間の配分というのはJAXAが行っていることの幾つかの項目に関して、その中で配分がどうかということを言っているのですか。それとももっと広い範囲の配分になるのでしょうか。

【宮川課長補佐】 おそらく行政として、プログラム全体でどうリソースと成果を評価するかということなので、それはつかさ、つかさといいますか、航空科学技術委員会においては航空分野の中をまず取り扱っていただくものと理解しています。

【李家主査】 そうすると今日ご説明があった幾つかの分野に関して、どのくらいリソースが投入されているかとかいうのを見た上で我々のほうは意見を出すことになるのでしょうか。

【村上PD】 じゃあざっくりと……。

【李家主査】 あまり細かいことはおっしゃられないと思うので……。

【村上PD】 (1)社会からの要請、2018年度の件でございますけれども、社会の要請に応える研究開発に対して、資金上は70%弱、65%から70%ぐらいの間が社会からの要請に応える研究開発に我々としては投資しております。
それから(2)次世代を切り開く先進技術の研究開発は15%から16%、18%ぐらいでございまして、基盤技術に関しては15%ということでございます。これは全体としての割り振りで、社会からの環境と安全、これに全体の7割弱は投資しているというのが2018年度の現状でございますし、過去の5年間では、一昨年以前の第3期におきましてもほぼ同じでございまして、社会の要請に応える研究開発に相当するECATとSTARに対して7割弱、それからSkyFrontierに対しては15%くらい、それから基盤技術に対しては17%ぐらいというレベルで資金的には配分をしております。
なお、人的資源の配分といたしましては、ほぼ逆転しておりまして、基本的基盤技術の研究のところに人的資源としては3分の2くらい配分しておりまして、上の(1)、(2)に対しては3分の1くらいと。特徴的なものは先ほど言ったように確かに基礎基盤的なところに人的リソースが特に投入されていることでございますけれども、これらが上のプログラムECATとかSTARでそれぞれ行う個別の研究開発を支えているというところでございますので、プログラム側の活動も当然一部やっているという認識の上で、ここでは単に人間の頭の数という意味で申し上げている次第でございます。

【李家主査】 はい、ありがとうございます。資金的なイメージでいうとこの資料2-2の文章の分量がちょうどこの資金的な割合に相当するようなイメージでしょうか。
ありがとうございました。そういったことも参考にさせて、委員の皆様には気づき事項を考えていただくことになると思います。

【村上PD】 あともう一つですね、法人評価にかかわる業務実績報告書というのがJAXAの公開のホームページ上で掲載をされております。評価自身の結果の部分とそのための我々が出した報告書の中にも2018年度の代表的な研究成果もございますので、そちらもホームページのほうからダウンロードして、航空科学技術の部分を探さなければいけませんけれども、申しわけございませんが、それも見ていただければと思います。

【李家主査】 ありがとうございます。ほかに何かございますか。

【冨井委員】 済みません基本的なお話なんですけども、今おっしゃられた気づきという部分が初めて今回から評価に入ったというところで、今までも評価はあったと思うんですけれども、なぜ変えたかというのと変わったところはこの気づきのところだけでいいのか。なぜ変わったのか、今までこうだったけど、変えた理由というのは何かあるのですか。そこら辺をちょっとお願いします。

【宮川課長補佐】 研究開発プログラム評価というのは、分科会全体でもまさに今評価を始めようとしているものです。前からあったものではなく、今回やっていくに当たってどうしていこうかというところです。今までは個別の課題について、比較的シャープに一つの課題にターゲットを当てていましたけれども、プログラム評価というのは大きく捉えて全体をどうしていくかというような観点から全体の評価を頂くということなので、文言としては気づきではありますけれども、個別の事業のここがだめで、こう改善すべきというよりは全体としてこうしていったらいいのではないかというような視点からご助言・ご示唆をいただくという意図でこういう記載になっていると私は理解しています。

【冨井委員】 わかりました。

【李家主査】 ほかにいかがでしょうか。

【松島委員】 言葉の意味ですけれども、留意すべき点の4番目の「目標に対する達成状況等を評価すること」という文の次の行の
「理解増進」の意味を教えていただけないでしょうか。

【宮川課長補佐】 分科会事務局に文言の意図を確認したわけではなく、改めて確認させていただきますけれども、政策評価的な観点、つまり税金を使ってそれなりの投資効果みたいなものを得なければならないということから考えると、しっかりと国民に対して成果を説明できるかという意味での理解、成果を広く国民に説明できるかという意味での理解増進であると考えられます。

【松島委員】 アカウンタビリティみたいな……。

【宮川課長補佐】 おっしゃる通りです。

【松島委員】 わかりました。ありがとうございます。

【李家主査】 ほかはいかがでしょうか。
私からもう1つだけ、まだこのプログラム評価票の最終的な形のイメージがつかめないのですが、評価に当たっての気づきの項目はどのくらいの分量に仕上がるのでしょうか。

【宮川課長補佐】 そうですね、ほかの委員会でどうなっているかもよく分からないところはありますが、おおよそ評価票の最初の四角が現時点で2ページぐらいなので、委員の皆様から一言、二言ずつぐらいは最低限いただいて、1ページぐらいに集約する分もあるかと思われます。全体としてこれからどうしていくかという方向性が見えるぐらいの内容にさせていただきたいと思っています。ただ、具体的にどの分量でなければならないというのはないとは思います。

【李家主査】 そうすると委員の先生から、今おっしゃったように一言、二言、それぐらいの分量の意見を出していただくということですか。

【宮川課長補佐】 そうですね。またいつもの課題評価のようにこの委員会後にそういったコメントを頂ければと思います。

【李家主査】 はい、わかりました。ほかはいかがでしょうか。

【武市委員】 先ほど李家先生からもあったような年度ごとのリソース配分ですね、そういったデータとか、各研究課題が何年度から何年度まで始まって、そのときに最初のTRLがこれぐらいだったものがこれぐらいまで上がったとか、TRLが非常に上がって実用化間近になったとかいった根拠というものも提供していただけるんですか。

【宮川課長補佐】 どのような方法が可能かも含めて検討します。

【村上PD】 済みません、今の先生のはなしは、1年でTRLが一つ上がるものもあるし、1年だと上がらないものもたくさんございますので、全体としての計画でという趣旨でございますね。

【武市委員】 TRLだと個別になってしまうと思うんですけど、先ほどの63-2-3の資料とか、ご説明いただいたパワーポイントの資料なんかを拝見するとアピールできるものはアピールしたほうがいいですよね。

【村上PD】 例えばうちのメーンとなるのは低騒音化技術というのは私どもは技術成熟度5というところまで到達したと言っているんですけども、1年間で5に上がったわけではなくて、最初のときには3とかのレベルであったものが、2013年度あたりは3ぐらいのレベルであったものが2018年度に5のところまで来ましたということです。

【武市委員】 もちろんプログラムとして評価をするので、当然最初から最後までの計画に対して評価をすることになるとは思うんですけど、やっぱり最後の成果がどのぐらい出口に近づいたかというところは評価としては大事だと思います。それの根拠となる資料をいただければと思っています。

【宮川課長補佐】 念のために追加ですけれども、このプログラム評価は今年から試行的に実施しますが、毎年度行っていくものとなります。スタート時点のステータスは決まっていますが、後ろのほうはその時点までと年度を更新していくような形になるのかもしれないということも踏まえて、出し方を検討させていただきます。

【李家主査】 では、よろしいでしょうか。
本日の議論はここまでとさせていただきまして、さらにご質問やご意見等ある場合は委員会後に事務局までご連絡いただければ回答いただけると思います。
それから、先ほど来から話が出ていましたけれども、委員の皆様におかれましては、資料63-2-2の3ページ目の気づき事項の欄に記入する内容、評価に対するご意見を考えていただいて、これを事務局に提出して頂きますが、締め切りは事務局からの追加の資料を提供いただく際に明記していただくということにさせていただきますが、よろしいでしょうか。
ありがとうございます。

(3)その他
では、ちょっと時間が押してしまいましたが、最後に議題3のその他ですが、事務局から報告事項があるということですので、ご説明お願いいたします。

【宮川課長補佐】 冒頭の資料の確認のときに申し上げましたとおり、2件チラシをお配りしております。それらにつきましてJAXAから紹介させていただきたいと思います。

【佐野部門長】 佐野のほうから簡単にPRさせてください。お手元に二つのパンフレットがあると思います。一つがECLAIRのコンソーシアム、もう一つがWEATHER-Eyeのオープンフォーラムというコンソーシアムでございます。
中身は先ほど村上のほうからもご説明ありましたので詳細は今ここで申し上げませんが、まず日付順に申し上げますとECLAIRコンソーシアムが11月28日に一橋講堂で開かれます。その裏をめくりますとプログラムの中身がございます。冒頭には平田室長からもご挨拶を頂戴いたしますので、よろしくお願いいたします。
今回はボーイングさん、そしてSAEさんから基調講演をいただいた後、午後には詳細な内容の技術のプレゼンを行いまして、その後、また懇親会もございますので、その場でいろいろな議論もしていただけます。
それからもう一つのパンフレットがWEATHER-Eyeのオープンフォーラムでございます。こちらは12月21日、同じく一橋講堂で開催されます。こちらは日本航空の方、そして日本航空機操縦士協会の方から基調講演をいただいて、午後から技術的な個別のテーマをご報告させていただきます。こちらも懇親会がございますので、その場でいろいろ率直なご議論をいただきたいと思います。
ぜひ委員の皆様におかれましてもお時間が許せばぜひこのコンソーシアムにご参加いただければと思いましてPRさせていただいました。以上でございます。

【李家主査】 どうもありがとうございました。
本件に対してご質問等はありますでしょうか。よろしいでしょうか。
今日のこれまでの議事に関連してで結構ですが、追加でご質問等ありますでしょうか。よろしいでしょうか。
ありがとうございます。
では今日の議事はこれで終了いたしましたので、本日はどうもありがとうございました。事務局のほうにお返しいたします。

3.閉会

【宮川課長補佐】 最後に事務連絡をさせていただきます。
次回の航空科学技術委員会の開催日につきましては、先日皆様にメールを差し上げたとおり最終の日程確認中でございまして、1月の中旬ごろを考えております。また確定次第、改めてご連絡差し上げます。
また、本日の委員会の議事録につきましては、事務局にて案を作成し、委員の皆様にご確認いただいた上で、文部科学省ホームページに掲載させていただきます。
それでは、これで科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会第63回航空科学技術委員会を閉会いたします。本日はどうもありがとうございました。

(了)

お問合せ先

研究開発局宇宙開発利用課