航空科学技術委員会(第61回) 議事録

1.日時

令和元年6月24日(月曜日) 15時00分~17時00分

2.場所

文部科学省 18階 研究開発局会議室1

3.議題

  1. 航空科学技術委員会の議事運営について 【非公開】
  2. 令和元年度航空科学技術委員会における研究評価計画について
  3. 第6期科学技術基本計画について
  4. 研究開発プログラム評価の試行的実施について
  5. 研究開発課題の評価について
  6. その他

4.出席者

委員

科学技術・学術審議会臨時委員  李家 賢一【主査】
科学技術・学術審議会専門委員  佐藤 哲也
科学技術・学術審議会専門委員  髙辻 成次
科学技術・学術審議会専門委員  戸井 康弘
科学技術・学術審議会専門委員  冨井 哲雄
科学技術・学術審議会専門委員  松島 紀佐
科学技術・学術審議会専門委員  和田 雅子

文部科学省

大臣官房審議官(研究開発局担当)  岡村 直子
科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官  山下 恭範
研究開発局開発企画課長  林 孝浩
研究開発局宇宙開発利用課長  藤吉 尚之
研究開発局宇宙開発利用課宇宙連携協力推進室長  平田 容章
研究開発局宇宙開発利用課課長補佐  宮川 毅也

(説明者)
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)
航空技術部門長  佐野 久
航空技術部門航空プログラムディレクタ  村上 哲

オブザーバー

経済産業省
国土交通省

5.議事録

1. 開会

【宮川課長補佐】  それでは、定刻となりましたので、ただいまから科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会航空科学技術委員会第61回を開会いたします。
 本日は、お忙しい中お集まりいただきありがとうございます。私は、事務局を務めさせていただく宇宙開発利用課の宮川と申します。
 今回は第10期最初の委員会でございます。事務手続の関係上、まずは非公開で開始とさせていただきます。航空科学技術委員会は、参考資料1の「科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会における部会・委員会の設置について」に基づき設置されております。また、参考資料2の計評分科会運営規則により、計評分科会長より、資料61-1-1の記載のとおり、航空科学技術委員会に所属すべき委員とともに、主査として李家委員が指名されております。また、髙辻委員が主査代理として李家主査より任命されております。
 委員会開始に当たり、本日は航空科学技術委員会の委員11名のうち、7名に御出席いただいておりますので、定足数である過半数を満たしていることを御報告いたします。
 それでは、御就任いただきました方々のうち、本日御出席の委員の方々を事務局から紹介させていただきます。
 李家主査でいらっしゃいます。

【李家主査】  李家です。よろしくお願いいたします。

【宮川課長補佐】  佐藤委員でいらっしゃいます。

【佐藤委員】  佐藤です。よろしくお願いいたします。

【宮川課長補佐】  髙辻主査代理でいらっしゃいます。

【髙辻主査代理】  髙辻です。よろしくお願いします。

【宮川課長補佐】  戸井委員でいらっしゃいます。

【戸井委員】  戸井です。よろしくお願いいたします。

【宮川課長補佐】  冨井委員でいらっしゃいます。

【冨井委員】  冨井です。よろしくお願いします。

【宮川課長補佐】  松島委員でいらっしゃいます。

【松島委員】  松島でございます。よろしくお願いいたします。

【宮川課長補佐】  和田委員でいらっしゃいます。

【和田委員】  和田です。よろしくお願いいたします。

【宮川課長補佐】  そのほか、武市委員、竹内委員、難波委員、山内委員にも前期に引き続き御就任いただいておりますが、本日は欠席となっております。
 それでは、今期より戸井委員に新たに委員をお引き受けいただいておりますので、一言御挨拶をよろしくお願いいたします。

【戸井委員】  今回からお世話になります。JADC日本航空機開発協会の常務理事をしております戸井と申します。今後に向けて我々国内の連携を模索しているところでございますので、いろいろ意見交換をさせていただいて、こういうネットワークを大事にさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

【宮川課長補佐】  次に、文部科学省の出席者を紹介させていただきます。
 大臣官房審議官の岡村でございます。

【岡村審議官】  よろしくお願いいたします。

【宮川課長補佐】  開発企画課長の林でございます。

【林課長】  林です。よろしくお願いします。

【宮川課長補佐】  宇宙開発利用課長の藤吉でございます。

【藤吉課長】  藤吉です。よろしくお願いいたします。

【宮川課長補佐】  宇宙連携協力推進室長の平田でございます。

【平田室長】  平田です。よろしくお願いいたします。

【宮川課長補佐】  課長補佐の宮川でございます。よろしくお願いします。
 また、説明者として、JAXAより佐野航空技術部門長。

【佐野部門長】  佐野でございます。よろしくお願いいたします。

【宮川課長補佐】  村上プログラムディレクタ。

【村上プログラムディレクタ】  村上でございます。よろしくお願いいたします。

【宮川課長補佐】  以上、お二方に御出席いただいております。
 最後に、オブザーバーとして、関係省庁である国土交通省、経済産業省から出席されておりますので紹介いたします。
 国土交通省の坂本課長補佐でございます。

【国土交通省航空局坂本課長補佐】  坂本でございます。どうぞよろしくお願いします。

【宮川課長補佐】  経済産業省の沼本係長でございます。

【経済産業省製造産業局航空機武器課沼本係長】  航空機武器課の沼本と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

【宮川課長補佐】  また、本日、計評分科会の事務局から山下科学技術・学術戦略官にも御出席いただく予定でございますが、少々遅れております。
 続いて、資料の確認をさせていただきます。資料は、今回よりペーパーレス化をさせていただいております。そのため、本日の配付資料につきましては、お手元にも一覧を紙で配らせていただいておりますが、全ての資料がタブレットPCで御覧いただくようになっております。タブレットPCに不具合が生じた場合や操作方法が不明な場合については、先ほどもございましたが、事務局に適宜お申し付けいただければと思います。何分初めてでございますのでこちらも手探りでございまして、何とぞよろしくお願いします。
 ただし、議事次第と議題の3の関係の資料61-3-1及び議題5の関係の資料61-4-1から4-3につきましては、議事進行のために紙でもお配りしているところでございます。また、机上配付資料としましては、座席表と紙ファイルの参考資料集、あと、タブレットの使用に当たってということで、1枚紙のものを2枚付けさせていただいております。
 以上、資料の不足等がございましたら事務局までお知らせください。
 それでは、以後の議事に関しましては李家主査にお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

【李家主査】  今日は天候も不順な中、お集りいただきましてありがとうございました。
 では、議事のほうを始めさせていただきますが、その前に、今日いらしていただいております岡村審議官に御挨拶いただければと思います。

【岡村審議官】  大臣官房審議官研究開発局担当の岡村でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 本日第10期の最初でございますので、文部科学省を代表いたしまして一言御挨拶をさせていただきます。研究開発局長が御挨拶させていただくところでございましたが、私から御挨拶をさせていただきたいと思います。
 まず、委員の皆様には前期から、そして、戸井先生には今期から、航空科学技術分野に関しまして、文部科学省の取組についてこれから非常に有益な御示唆をいただくこととなります。まずはお引き受けいただきましてまことにありがとうございます。そして、本日も雨の中、お集りいただきましてどうもありがとうございました。
 釈迦に説法で申し訳ございません。この分野は右肩上がりの成長という分野でございます。世界のジェット旅客機の需要が20年後には現在の2倍近くになるという予測もございます。その一方で、航空分野は高い安全性と環境適合性が要求されますので、極めて高い技術レベルが必要なことから、長い期間と多額の研究開発費用を要する事業リスクの高い分野となってございます。このことから、欧米においても次世代の先進技術開発は、NASAやドイツのDLR等の公的機関が主体となって進めておりまして、わが国におきましてはJAXAがその役割を担ってございます。
 政府としても、平成27年に策定いたしました航空産業ビジョンのもとで、航空産業が自動車産業に続く我が国の基幹製造産業として発展するように一丸となって取組を進めているところでございます。文部科学省では、JAXAにおける次世代航空科学技術の研究開発や個別の民間事業者等では整備が困難な基盤的設備、大型試験等の設備でありますF7エンジンの導入などの取組により貢献しております。
 また、最近の動きを御紹介させていただきたいと思いますが、政府では毎年6月に骨太の方針、そして、成長戦略に基づき、これから当面1年間、内閣として力を入れていく分野を決めて進めているわけでございます。
 先週の金曜日にこれらが閣議決定されましたが、成長戦略2019におきましては、航空機産業の拡大のための複合材や電動化等の最先端技術とともに、次世代モビリティー・システムの構築としまして小型無人機や空飛ぶクルマが掲げられてございます。昨年も同様の記述となっておりまして、今年もその重要性が位置付けられておるところでございます。
 加えまして、昨今AIやビッグデータ、Society5.0と申しておりますが、これらを実現する技術の進展があります。今後は航空機以外のこうした分野とも連携した社会問題の解決が求められる変革期に差しかかっていると考えられます。これら各分野の科学技術を担当する文部科学省の航空分野における役割は、より一層重要なものになってくると自負しておるところでございます。
 こういう中で、科学技術政策全般をカバーする科学技術基本計画は、次の第6期科学技術基本計画の策定の重要な時期を迎えております。現在、私ども2020年度までの第5期の科学技術基本計画のもとで進めておりますけれども、その次の基本計画の議論がさまざまな場でスタートしております。
 総合科学技術イノベーション会議でもその議論が進んでおりますし、文部科学省でも科学技術・学術審議会の総合政策特別委員会を中心にしまして検討が進められております。個別の分野に関する議論は各分野の委員会に委ねられておりまして、それぞれの委員会から御示唆をいただきまして、それを総合政策特別委員会でまとめて議論をしていくことになってまいります。という状況でございますので、先生方にこの10期の間は、特にこの後、2年後からの5年間の道筋を付けていただく大きな議論をしていただきたいというふうに思っております。
 まずは10月末までの半年間で、航空科学技術分野がどのように科学技術政策の中で位置付けられて、そして、他の分野と比較してどのような特徴を持っていて、また、科学技術水準の向上にどのように貢献できるか、こういうような御議論を大所高所に立っていただけたらなと思っております。時には厳しい御意見も私ども大変歓迎いたしますので、ぜひ活発な御議論をお願いしたいと思います。
 本日も御忌憚の無い御意見、よろしくお願いいたします。ありがとうございます。

【李家主査】  どうもありがとうございました。
 詳細にわたり、今後の委員会の活動についての目安や方針について、伺うことができたと思います。

2. 議事

(1)航空科学技術委員会の議事運営について
・科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会運営規則第5条第3項の規定に基づき、李家委員が主査に指名されており、同条7項の規定に基づき髙辻委員が主査代理に指名されたことが報告された。
・科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会航空科学技術委員会運営規則(案)(資料61-1-2)及び研究開発ビジョン検討作業部会の設置について(案)(資料61-1-4)については、承認された。
・科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会航空科学技術委員会運営規則第2条の規定に基づき、研究開発ビジョン検討作業部会に所属すべき委員として、李家委員(主査)、佐藤委員、武市委員、戸井委員、和田委員が指名された。

(2)令和元年度航空科学技術委員会における研究評価計画について
【李家主査】  それでは、議題の2番、令和元年度航空科学技術委員会における研究評価計画についてということで、まずは事務局のほうから御説明をお願いいたします。

【宮川課長補佐】  本議題は、毎年のことでございますけれども、「文部科学省における研究及び開発に関する評価指針」や「第10期研究計画・評価分科会における研究開発プログラム評価の試行的実施と研究開発課題の評価の実施について」に基づいて、航空科学技術委員会における令和元年度の研究開発課題の評価についての実施計画を決定するものでございます。
 今年度の評価対象は中間評価を1件、資料は61-2-1でございまして、タブレットのみでの配付となっております。申し訳ありません。
 コアエンジン技術の研究開発についての中間評価でございますが、本件はもともと昨年度までの施策マップにおきましては来年度に実施予定でございましたけれども、事前評価において御説明した計画を一部変更する必要がある状況になったことから、当初予定を1年前倒しさせていただいて中間評価をお願いしたいと考えております。
 詳細につきましては議題(5)で御説明申し上げることになりますけれども、民間企業との連携のもと、昨年度から研究開発を進めていたところでございますが、その中で、進捗としては順調でございますが、事業開始以後の民間企業との研究開発を協力してやっていく中で、その後の民間企業の研究開発におけるリスクが過大になることを避けるために、当初の計画より若干技術実証度の高いところまでをJAXAの事業とさせていただきたいというところでございまして、そこを御審議いただくというものでございます。
 資料の3ポツや4ポツの留意事項でございますが、その記載方法につきましては例年どおりとなっております。5ポツにつきましても同じようになっております。
 3ページ目になりますけれども、横紙のパワーポイントの資料でございます。こちらにつきましては、今しがた申し上げましたとおり、2019年度のところに中間評価を置かせていただいておるところでございます。
 また、その次のページからの別紙2は計評分科会で定められる様式で、こちらもほぼ例年どおりでございますけれども、昨年度に研究開発プログラム評価の御報告をさせていただいた際に、研究開発課題の評価の中でも科学技術基本計画への貢献状況について評価させていただくということを予告申し上げたかと思うんですけれども、そちらについての記載の項目、事前評価でいえば5ポツの(2)が追加されています。同じように中間評価、事後評価におきましても同じ項目が入っているところでございます。そこだけが変更点で、ほかは例年どおりです。
  事務局からの説明は以上でございます。

【李家主査】  ありがとうございました。
 ただいまの御説明に関して、中間評価が追加されることや様式の変更について御説明がありましたけれども、御質問や御意見等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 よろしいようでしたら、資料61-2-1、令和元年度航空科学技術委員会における研究評価計画の案については了承ということとさせていただきたいと思います。ありがとうございました。

(3)第6期科学技術基本計画について
【李家主査】 では、続きまして、議題の3番目、第6期科学技術基本計画についてです。これについては先ほどお話がありましたけれども、まずは事務局から御説明をお願いします。

【宮川課長補佐】  事務局でございます。
 本議題の第6期科学技術基本計画についてにおきましては、お手元の紙でも印刷してございます資料61-3-1を用いて御議論させていただきたいと思っております。
 まず、事務局といたしましては、最初に61-3-1の資料を用いまして、これまでの経緯と現時点での科学技術・学術審議会としての整理状況を、具体的には別紙を用いて御説明したいと思います。
 続きまして、その整理に基づいて、本日の議論の取っかかりというか、ざっくばらんに議論していただくために事務局として考えついたところというところで、論点になろうと考えられる事項を書き出した結果について簡単に御紹介をさせていただいた後に、委員の皆様からの高所からの御意見等や、事務局の説明にとらわれない多様な視点から御議論いただこうと考えておるところでございます。
 それでは、まず最初に、これまでの経緯と現時点での整理状況について簡単に御紹介させていただきたいと思います。
 めくっていただきまして、7ページ目、6ページもののワードの資料の後の別添1とあるパワーポイント資料をごらんください。
 科学技術・学術審議会では、内閣府を中心に政府全体で検討を進めている第6期科学技術基本計画に対して、昨年度に総合政策特別委員会におきまして文部科学省としての検討を進めて、1月31日にここにあるとおり論点の取りまとめを行ったところでございます。
 この取りまとめにつきましては、1ページ目の現状認識のようなものと、2ページ目の大きな方向性みたいなものを踏まえまして、3ページ目を御覧ください。ちょっとオレンジというか茶色というか、そちらに今後の検討項目とその方向性というものを掲げるものとなっております。
 その左側半分にあるように、「研究力向上に向けたシステム改革」として、研究の人材、研究の資金、研究の環境といった三つの三大要素と大学改革を一体で検討するようなものと、あと、右側半分になりますけれども、個別分野とのかかわりが深いというふうに考えられますが、「未来社会デザインとシナリオへの取組」と、「デザインを実現する先端・基盤研究及び技術開発」という構図が示されております。それを両輪のように検討することによって、年度いっぱいをかけて検討していこうというところでございます。
 今しがた申し上げたシステム改革のほうの図式的なものは補足資料の5ページ目であったり、あとは、右半分のシナリオにつきましては補足ページの6ページ、7ページ目あたりがイメージみたいなものになっております。詳細は割愛させていただきますが、そのようになっております。
 また、別添の2につきましては、それを受けて、この総合政策特別委員会が本年度の検討で使用したシステム関連を深掘りするための資料でございますので、ここでは説明は割愛させていただきます。
 そして、最後に、一番後ろの今後のスケジュールというところでございますが、先ほどの審議官の御挨拶でも述べさせていただきましたとおり、我々航空科学技術委員会としては、一番下のほうの四角囲みです、「~10月、個別分野について、関係部会等における検討結果」と、そこにおいて大きな総合政策特別委員会の検討の流れに合流させるようにイメージして、6月の末なので3カ月あるいは4カ月でというところでございますが、そこについてはその期間によって検討させていただきたいというところでございます。
 それで、その後、総合政策特別委員会としましては、今の各委員会の検討も踏まえまして、2020年3月に最終取りまとめをなされる予定でございます。といったところが経緯でございます。
 続きまして、論点事項について、事務局の考えつく限りというか、現時点で挙げさせていただいたところを説明させていただきたいと思います。
 この資料は、先ほどの今後の検討項目及び方向性に対応した形で、あくまでも今日の議論の材料として事務局としての考えの及ぶ限りを挙げさせていただいたところでございます。
 資料の作りですが、四角囲みの記述、「1.研究力向上に向けた」というところから七、八行あると思うんですけれども、そこの記述は先ほどのパワーポイント、オレンジか茶色かみたいな資料のところの転記でございます。その下に事務局として考えたところというのが矢印の右側の若干総論的なもの、その下の黒丸の箇条書きが四角囲みの中の箇条書きにほぼ対応するかしないというような形で書かせていただいたところでございます。
 資料に沿って簡単にお話しさせていただきますと、1.(1)は先ほども申し上げた研究人材の話でございます。総合政策特別委員会におきましては、世界で活躍し、挑戦(失敗)できるような支援体制を構築、次代を担う研究者を確保・支援というところで、例えば、若手のポスト、キャリアの流動性、海外への挑戦、大学院教育の体質改善というところが論点として挙がっているところでございますが、航空分野におきましてはその改革に向けて高い安全環境性能の要求から最先端の技術レベルが求められるとともに、例えば、新素材や電動化といった新技術が積極的に取り入れられなければならないというところです。
 そのような観点からするとどのような人材であるかというところでございますが、この取りまとめの資料と重なる部分がありますけれども、ポストの提供という面、それが1ポツ目と2ポツ目に書かれておりますが、2ポツ目は人材流動に関するところも書かせていただいております。また、3ポツ目は若手研究者が海外で研さんを積める環境について書かせていただいております。また、4ポツ目はJAXAと大学の共同研究、連携大学院協定や宇宙航空科学技術推進委託費のプログラムとかいろいろな施策ツールを使いまして、異分野への裾野拡大も含むような人材の育成にどのように貢献していくべきかというところが論点の例として挙げられるのではないかというふうに考えたところでございます。
 続いて研究資金でございますけれども、総合政策特別委員会の取りまとめにおきましては、研究フェーズに応じた資金の強化・連携というところや研究者の継続的な挑戦を支援するというところが挙げられておるところでございまして、その具体的事項としても3点ほど挙げられているところでございます。
 これにつきまして、資料3ページ目に移りますけれども、研究資金の改革に向けて航空分野というのは新技術の研究開発期間が長期になるということ、あとは加えて高い技術レベルが求められるというところがありますので、航空の分野におきましても研究資金の確保というのは課題になってくると考えられております。
 そういった中で、例えば、JAXAプロジェクトやイノベーションチャレンジという民間を応援するような制度があるんですけれども、そういった継続的な挑戦を可能とするような取組に限らないと思いますけれど、そういった取組をどのような視点で展開していくべきか、あるいは、次世代航空イノベーションハブというところがJAXAの組織でございますが、そういったものをはじめとして文部科学省での研究開発におきまして民間資金というのをどのように活用していくべきかというところが論点の一つとして挙げられるのではないかと考えております。
 また、民間だけではなくSIPという内閣府を中心とした大きなプロジェクトがありますが、そういった取組をはじめとした他分野との連携や異分野への裾野拡大というのをどうやって進めていくのかというのが論点の一つとして挙げられるのではないかというふうに考えております。
 また、(3)の研究環境の改革でございますけれども、研究者が100%研究活動に従事できるような体制というか仕組み、環境づくりをどのように実現していくかというところでございます。
 航空分野におきましては、航空産業ビジョンでも掲げられていますとおり、研究開発に当たり個別の民間企業や大学等では整備が難しいという、研究開発の施設についてはそのようなことが挙げられますので、そういった特徴なども含めてどのような議論の視点があるかというところを事務局として考えてみたところでございます。
 研究者が研究に専念できる環境、これは総合政策特別委員会が挙げていたところと重なるところはありますが、研究者にとって魅力的かつ研究を効率化・高速化・高度化するような環境としてどのような方向性で取り組んでいくべきであろうか、あるいは、解析プログラム、風洞施設といったソフト面、ハード面の施設や設備みたいなものをどういうふうに整備していくべきか、あと、JAXAにおけるワクワク活動といって、今、研究者は全部が全部組織で決められたものに没頭するのではなく、イマジネーションを高めるためにも各研究者が2割ぐらいは遊び心のあるような研究をやってみようよというような取組をなされているところなんですけれども、そういった研究者のモチベーションを高めるような体制、環境というのも、これにとらわれずどういった形で進めたらいいかというところを論点とさせていただいております。
 (4)の大学改革につきましては、今の三つの説明の中で大学院とか特に人材などについて触れさせていただいたところがございますけれども、直接大学改革というところについて航空分野につきましては説明を割愛させていただきたいと思います。
 次に、2ポツの未来社会デザインとシナリオへの取組というところで、まさに2ポツ目、3ポツ目が各分野別の委員会での検討を特に求められている分野だというふうに認識しております。
 将来の不確実性や多様性が高まる中、地球規模課題や社会課題の解決といったところを視点に前向き、主体的に解決方法をデザインして可能性や選択肢を拡げるとともに、領域やセクターを越えた関係というのを構築しながら、社会問題解決に向かってどのようなシナリオを描き、そして、その実現に向かって取り組んでいくかということを検討するものでございまして、その項目としては、ここにも掲げているとおり、健康・医療から我々が関係するような交通あるいは科学基盤といった多岐にわたって検討するような形で整理されているところでございます。
 そういった中で、航空科学技術の分野というのは航空機輸送に関する特徴である高速性から経済社会の発展及び国民生活の向上のために必要不可欠な社会インフラとなっている現状があります。そのため、今後もグローバル化のさらなる進展あるいは社会状況の変化によって活躍の場がどんどん広がっていく面があるかと思います。このような中で、航空を取り巻く未来社会としてどのようなものが想定されるかというところを事務局としては考えていたところでございます。
 そして、議論の視点の例としまして三つほど挙げさせていただいております。
 一つは、移動時間の革命的な短縮であったりとか輸送の担い手不足、災害医療対応の高度化といった新たな社会問題に対応して革新的な輸送手段を実現するということが望まれているのではないでしょうかということで、2点目につきましては、航空需要の輸送の増加だったり市場の拡大が望まれている中、当然ながら輸送を拡大していく中には安全というのが大前提になり、輸送量が増えれば事故も増えるというところにどうしてもなってきてしまうところでございますので、より一層の安全性が要求されるのではないかというところが一つ議論になろうかと思います。また、輸送量が増えれば環境問題というのがまたより深刻になってまいりますし、例えば最近だとレジ袋の問題とか含めて社会全体として環境問題への意識が高まってくるところでございますので、航空技術分野におきましても騒音や燃費といった環境負荷低減技術というのがより一層期待されてくるのではないかというところ、以上3点を未来社会としてどのようなものが考えられるかというところの事務局案みたいなものを挙げさせていただいております。
 そして、3点目、それを実現するための先端・基盤技術あるいは技術開発でございますけれども、四角囲みの中だとその動きの実現に向けてキーとなるような先端・基盤研究あるいは技術開発についてどのような検討ができるかというところでございます。
 航空機輸送は、今しがた申し上げましたとおり、さらなる活躍の場が見込まれるところでございますけれども、そのキーとなる基盤研究あるいは技術開発についてどのような議論の視点があるかというところでございます。
 航空分野は実は新技術の研究開発のリスクが高い技術レベルと資金が求められるのでリスクが高いというふうに考えられますけれども、そういった我が国の技術力を的確に向上させていくためには基礎基盤的な研究開発と社会実装までを見据えた応用的な研究開発を両輪として進めていくべきではないかというところが考えられます。
 具体的に議論の視点例といたしましては、例えば一例を挙げますと、JAXAの超音速飛行におけるソニックブームの低減技術、これは昨年第9期の際に中間評価で御議論いただきましたけれども、そういった技術であったり、あと、昨年度も環境技術の事後評価あるいは本日もこれから御議論いただくエンジンの環境負荷低減技術でございますが、そういったものを日本としてJAXAが技術的な優位性を有する技術を持ってきていますが、それをどう伸ばしていくか、あるいは、遅れている技術をどうカバーしていくかとかいう、いろいろ方向性が考えられてくるかと思います。そういった技術戦略といいますか、そういったところを今後どうしていくべきなのかというところが論点として挙げられようかと思います。
 また、2点目になりますが、これを支える基盤的技術としまして、例えば数値解析技術、JAXAでも優れた流体解析の技術がございますが、そういったものであったりとか、基盤技術においてもそういった優位性を維持していくことが必要なのではないかということが論点に挙げられようかと思います。
 また、少し話は変わりますが、航空機の電動化における電機産業との連携といった異分野との連携、糾合をどのようにさらに発展させていったらいいかというところも論点に挙げられるのではないかというふうに考えております。
 また、先ほどからありますように、AIであったりIoTであったりとかそういったところというのも今後ますます取り入れていかなければならないかとも思われますが、そういったところをどのように図っていくべきかというところも論点として挙げられるのではないかと思っております。
 また、最後になりますけれども、昨年度の超音速の統合設計のときにも委員の皆様に厳しく御意見をいただいたところでございますけれども、出口戦略ですね、JAXAの研究の後、民間企業に技術移転してその後どうしていくかというところについては、やはり技術移転先となるような産業界との連携体制というのが必要になってまいります。そういった連携体制をさらに強化していくということも必要なのではないかということも論点に挙げられるのではないかというふうに考えておるところでございます。
 以上のとおり、これまで総合政策特別委員会の論点の取りまとめに沿った形で事務局として論点の例みたいなような形で挙げさせていただいておりましたが、これらが全ての論点を網羅出来ているわけではないということと、あと、我々がそこに記載させていただいたところもちょっと足りないところがあると思います。
 そのために、委員の皆様におかれましては、今しがたの説明を参考にしていただいた上で、特に未来に向けたシナリオやこれを実現するための研究開発といった航空科学技術分野の今後の方向性について忌憚のない御意見をいただきたいと思っております。
 また、今後は、本日いただいた御意見を踏まえて、昨日設置を御承認いただいた研究開発ビジョン検討作業部会においてさらに検討して、次回の航空科学技術委員会において御報告させていただきたいということを予定させていただいております。
 長くなりましたが、事務局の説明は以上でございます。

【李家主査】  どうもありがとうございました。
 この資料3-1ですけれども、今日の最初の御挨拶から今の御説明に至るまで何度も新たに作業が必要な仕事として出てきておりました。ここで、私の理解している範囲でまとめさせていただくと、我々のような各分野別の委員会の中でその分野に関することの議論を行い、今年の10月までに総合政策特別委員会のほうへ得られた考え方や結果をインプットすることが必要であり、そのためにこの作業を我々のほうで行うということになります。
 あともう1点、私が前回の計評で伺った話ですと、取りまとめ自体は総合政策特別委員会のほうでなされるということでして、我々はそれに関してフォローしていくという、そういった立場だという指示を受けております。
 そういうことで、この資料3-1ですけれども、これから作業部会のほうで細かい議論はさせていただきますが、今日は最初にまず全体的なことについて、委員の皆様からこの資料に余りとらわれずに自由に御意見をいただきたいと思いますが、そのようなことでよろしいでしょうか。しばらく時間をとらせていただきたいと思いますので、御意見いただければと思います。
 あと、もう1点だけ補足しますと、今の宮川さんの御説明もありましたし、この資料3-1の横長のほうの肌色のページにもありましたけれども、我々の委員会では未来社会がどうなるかということを議論していき、それによって必然的にその下に位置するような必要な基盤研究、技術開発が出てくるであろうと考えています。そのようなことですので、中心になるのが、おそらく、未来社会のデザインといったところではないかと思っております。その辺のところも含めていろいろな御意見をいただければと思います。
 急な話でなかなか御意見出にくいかもしれませんので、私のほうから取っ掛かりを少しだけ申し上げます。航空は、先ほども御説明がありましたけれども、旅客と貨物を輸送するという、そういったところが中心ですから、やはり航空輸送というところが一つのキーになると思います。ですから、先ほども御説明があったように、今後航空の需要が非常に増大していくことが予想されているということをいろいろなところで話しに聞いております。そういうことですと、どのように航空が発展していくか議論するよりも、逆の見方をして、社会がこのように変わっていくから航空のこういったところが必要になっていくのではないかと、そのような見方をしながら議論していくのではないかと思っております。

【冨井委員】  事務方かもしれないんですけれども、これは第6期科学技術基本計画に向けたための議論、そのための前段階のものを決めるということですよね。それで、第6期の科学技術基本計画の何か共通のテーマみたいなものはあるんですかね。

【宮川課長補佐】  事務局でございますが、これは各省でやっているかと思うんですけれども、文部科学省としてどういう論点があるのか取りまとめたのが別添1でございまして……。

【冨井委員】  ごめんなさい。ありました。こちらの横長の……。これですね。

【宮川課長補佐】  今の資料です。それで、さらにブレークダウンしたような形で、今後各分野別にどういう検討項目を検討していけばいいのかというのが3ページ目のオレンジというか茶色というか、別添1の3ページですね。それに対応した形で各分野別の部会あるいは委員会で検討を進めているという段階でございます。

【冨井委員】  理解としては、この別添1の青色の「「新時代・新世代の科学技術システム」ビジョン論点とりまとめ」が、日本全体とか政府全体の……。

【宮川課長補佐】  文部科学省として。

【冨井委員】  これが文部科学省ね。次のページの「今後の検討項目及びその方向性」の中で「未来社会デザインとシナリオへの取組」というのが主にここで議論される内容ということですね。

【宮川課長補佐】  左側のシステムと右側の個別の分野というのと、こういうシナリオがあるからこういう資金や人材が必要というところというのはどちらが親子というわけではなく、ニーズからリソースが来るのかというところとその逆もあると思うので、李家主査からおっしゃっていただいたとおり、我々航空科学技術委員会としては、シナリオがあって、そのためにどういう先端・基盤研究、技術開発が必要かというところと、あとは、人材・資金・研究環境というところがどういったものが必要かと、そういうロジックというか、考え方の道筋になるのではないでしょうかというところを事務局は考えておるところでございます。

【冨井委員】  わかりました。ありがとうございます。

【李家主査】  ほかに。

【和田委員】  今、未来社会デザインということで、将来のあるべき姿というか、それに対しての予想ということでどうしていくべきかということを話すものと、あとそれから、それに対してさっきおっしゃっていたリソースの部分で、人がそこで研究開発をする人材をどうしていくのかということとあわせて考えていくということになるんでしょうか。

【李家主査】  ええ、そう理解しております。

【和田委員】  そうしますと、これの中で、今、航空業界で、民間とかでもそうなんですけれども、パイロット不足とかそういうことでいろいろ言われていますが、例えば、大学院ですとか大学とかからそこの道に、例えば、研究の道に行こうというと、本当は目指していたとしても気がつくのが遅くてそちらの道に進まないという人はすごく多いと思うんですね。ですから、若年層のうちからそういう可能性というのをもうちょっと知らせていくということがとても必要なのではないかなと思っております。

【李家主査】  ありがとうございます。

【和田委員】  そういうことも含めて全体的な話ということですか。

【李家主査】  そうですね。最初にパイロット不足ということをおっしゃられましたけれども、我々の場合は、いつもそのような議論をしているので、それだけですぐ理解できるのですが、今回は多分どんな理由でパイロット不足なのかですかとか、それを引き起こした、より上位の理由を検討してみたらどうなっているのかといった、そのようなことではないかと思っています。

【和田委員】  わかりました。

【佐藤委員】  論点がずれていたら申し訳ないのですけれども、航空分野は結構変わった分野で、諸外国と比べてちょっと遅れてしまったところからスタートしていまして、日本の技術が高くなったとしてもそのまま使われるかどうかというのがなかなか難しいというのと。航空分野で育っていく博士学生が就職できるのかというところも難しい分野だと思うのですよね。
 将来的に、日本はどこか基盤的な得意分野を目指して進めていくのか、それとも、もっとシステム的なところまで踏み込んで進めていくのかによって、今だとだんだんそれぞれの分野が非常に高い知識を必要としてきて、スペシャリストじゃないとなかなか博士に進んでいくというのが難しくなってきまして。ただ、スペシャリストばかりが育っていってもなかなかまとまったシステムというのができないような感じがしておりまして、ジェネラリストというのを何か国で支援するようなものがあったらいいのかなというふうにちょっと感じています。
 あと、当然、航空の中だけでもいろいろな材料だったり制御だったり空力だったり、それぞれが分かれてどんどん進化しているような感じで、なかなかそれを統合して何かしましょうというところがないと思うんですよね。そういうのを何か国として支援できるようなものが、なかなか難しいと思うのですけれども、あったらいいのかなと思っております。
 あと、もっと難しいと思うのですけれども、JAXA自身、人が足りていないと思いまして、20%ぐらいはフリーなことをやろうというふうになったとしても、そこまでリソースを割けるのかなというのがちょっと疑問に感じたところです。
 すみません。ちょっと論点がずれているかもしれないのですけれども。

【李家主査】  ありがとうございます。
 多分、人材とか研究資金ですとか研究環境といった全てに絡む話になります。ですが、今、お話しがあったように、ジェネラリストというよりも、我々のような科学技術の分野で考えていると、ついスペシャリストの育成ばかりを考えてしまう。そういうことでは無いのではないかという、御意見だったのかと思いました。また作業部会等でもこの辺りについて議論できればよいと思います。
 何か今の点で補足がありますか。よろしいですか。
 ほかにいかがでしょうか。
 それでは、またすみませんが私から。
 このお話を伺って思ったのは、ちょうど今回から戸井さんに委員として御参加いただくことになりましたけれども、我々の航空の分野ですと、先ほどの事務局からの説明にもありましたように、今後の航空需要は大きく増大する予想であると。であるから、航空機の開発は必要であるという、そういう流れになると思います。一方で、今回、我々に与えられたタスクとしては、何故航空需要が増えるのかといったそのようなところから、つまり根本的なところから議論をしていく必要があるのかとは思っております。日本航空機開発協会さんでは、毎年航空需要の予測をされていますけれども、その予測をされるに当たって、余り表には出されないかもしれませんけれども、いろいろな世界の状況に関する未来の予測をされた上で、これぐらいの機体数が必要になるであろう、といったようなことで数字を上げていらっしゃるのではないかと思いますが、その辺いかがでしょうか。

【戸井委員】  新参者で発言要領がよくわからないですけれども、今の御質問に限りましては、まさに移動する旅客需要は確実に伸びるであろうと分析しています。
 過去の需要の分析を20年、30年とやっている中で、いろいろなエリアのGNPとか社会状況、そういうものと突き合わせながら、ある種の相関関係を持った式ができ、それに基づくと、この先20年考えても大体5%弱ぐらいで安定して伸び続けると読めます。需要としては。過去もほとんどいろいろなテロとかで出っ込み引っ込みあるんですけれども、押しなべて言えばきちんとその傾向に乗っていて、今後についてもそれを疑う人は全くいない状況です。誰に聞いても。
 世界のOEM、例えば、ボーイングであるとかエアバスとかはそれぞれ独自の需要予測を出していて、ワイドボディがどれだけ伸びるだろうとかシングルアイルがどれだけ伸びるだろうと。それらと我々の持っているデータと突き合わせて我々なりのものを出している。慎重に考えていますのは、それこそ先ほど御意見のあった未来社会、今の空飛ぶ移動革命とかSociety5.0とかそういうところに至る結び付きとして、今までのデータに基づいたものの予測だけで果たしてよいのかと。この先何の傾向変化が起きるかわからないというような目で若干考えられるとしたら、今、いろいろな通信革命やシェアリングとかでこれまでにない動きが出てきており、どこかでダウンサイジングする傾向があるのかもしれないかなと感じています。
 ただ、それはそれを実現する、例えば、技術革新と合わせて考えなければいけないので、電動航空機の話にしても、今、いろいろと議論されていますけれども、とても、今これが確実にできるという議論ではなく、ここまでパワー密度が上がればできるだろうという議論であって、技術の進歩に伴ってそういう社会が本当にできるかどうかあわせて考えなければいけない。そういう状況なので、今まで誰もが同じように持っていた旅客機の傾向もその先の変化の兆候を見逃さないようにする必要があるでしょう。
 我々も、今、ちょっと注意しなきゃいけないのは、路線分析というのはなかなかやりづらいんですね。各エリアでどれだけ伸びるであろう、中国も伸びる、アジアも伸びるというのは疑いないんですけれども、もっと細かく、どの都市に移動が増えるであろうとか、今はそれこそエアバスがイメージする機体、ボーイングが持っている機体、提案してくる機体があるとするとどういう路線を組めるかというような議論なんですけれども、逆に、李家先生がさっきおっしゃったような、そういうシーズをちょっと外して本当に社会動向だけから見たときにどういう路線を組むと伸びるかとか、もう少しエアラインとの議論をした上でやると面白いことになるんじゃないかなと思い、検討を始めようとしています。
 そうすると、それに見合った機体構想というのは一体どんなもんなのかなと。そういう分析が、我々、必ずしもOEM旅客機メーカーではないけれども、先んじてそういうことをやっていて、先んじて技術の強みというか、そういうところも議論できるのではないかなと。
 もう一つ、その中で、その前の議論にもあったんですけれども、やっぱりジェネラリストというか、デザインをする技術者、それから、もちろん経験がないとなかなかできないので、どんな細かいことでもいいですからOJTを絡めたエンジニアが必要ですね。デザイン仕様を書けるような人を、そういう機会を増やして伸ばしていきながら、先ほどと同じですけれども、技術の進捗のバーをどこまで本当に上げるのがいいのかという議論を進められると、まだまだ日本から発信する力というのは出るんじゃないかなと思います。
 JADCでいろいろ勉強会もやっていますけれども、大体そんなような議論をしています。

【李家主査】  どうもありがとうございました。またその点、いろいろと考えさせていただければと思います。
 ほかはいかがでしょうか。

【松島委員】  現実を見ないで夢みたいな話になるかもしれないんですけれども、先週終わったパリのエアショーとかNASAの夢みたいな話のWebページとかを見てみると、かなり個人としてというかパーソナルな形でのエアモビリティーというか、そういう形のものとか、更に、タクシーみたいなサービスの配車的なパーソナルエアモビリティーサービスとかライドシェアなどの構想への取組が増えていると感じます。あとは、アーバンエアモビリティーという話もあって、今、地上だけを走っているところを渋滞が起こったようなところは少し地上より高いところを走らせるようなシステムも考えようというような話もあります。ちょっと現実性を無視した話かもしれないですけれども、そういう未来社会というのを子供が夢に描くような形で考えると、自動車のように航空機を簡単に運転できるようになり、しかも5Gの出現などである程度通信も発達するのであればトータルな制御をして、安全性が高くなるような形で交通整理ができるような通信システムも考えられます。加えて、日本の交通網の現状を考えた場合、東京を中心として、東京に向かうのはすごく便利なんですけれども、地方から地方に行くとなると、私は富山に住んでいるので、学会とかで地方から地方に行くとなるとやっぱり東京を経由しないといけないとか、そういう東京中心の形なんですね。だから、もちろん需要があるかどうかという話にもなるのかもしれないですけれども、地方と地方を便利につなぐことができるような軽便な航空機配車システムと配車対象となる安全でしかも安い小型の航空機とかができると望ましいと思います。そういうものを目指して何か日本が得意な分野で貢献できる技術研究を生かしてプロトタイプをつくることができないかと考えます。まずは、提案だけでもいいんですけれども、根拠を示してそういうことができると良いと思います。

【李家主査】  空の移動革命といったいろいろなキーワードが、今、盛んにでていますし、いろいろなところで、おっしゃるとおり、未来的な話が出ています。一方で、この委員会では夢物語ばかりを語ることはできませんので、現実的にどこまでできそうかとかいう点も入れて考えていければ良いかなと思います。ありがとうございます。
 あと、髙辻さん、何かないでしょうか。

【髙辻主査代理】  非常に大きな話で発言が難しいんですけれども、産業という面という目でいきますと、今、戸井さんのほうからお話のあったような将来予測からどういう方向に進んでいるかということになると、基本的に現実問題として見れば燃費と安全性と環境性ですよね。これを満たすものが商売として成り立つ輸送手段かと思います。時間というものがどれだけの、要はスピードというか時間の短縮ですね、これがどれだけの需要があるか、メリットがあるかというのは一つ議論の要るところだろうと思います。確実に言えるのは燃費と環境と安全性ですけれども、これが産業界がどう達成していくのかという観点かと思います。
 それから、先々のことを考えると、今、この場でこういうことを言っていいのかどうかわかりませんが、文科省の話ですので民需というところにポイントを置かれていると思いますけれども、出口戦略ということを考えたときに、まとまったものをやろうとするとどうしても諸外国のように軍事技術との橋渡しということが現実問題として出てこないことには民需を先導するとがった技術というものもなかなか出づらい感があるのかなと。そういった部分の整理を姿勢としてどうするのかというところをはっきりしないと、未来のベクトルをどこへ向けるかというのがちょっとはっきりしないかなという気がいたします。

【李家主査】  どうもありがとうございます。
 ほかはいかがでしょうか。そろそろよろしいですか。
 それでは、ほかにないようでしたら、時間も少々追ってきていますので、今日いただいた御意見も参考にさせていただきながら、新たに設ける作業部会のほうで議論を進めていき、次回の委員会でその内容について報告させていただきたいと思いますがそれでよろしいでしょうか。
 どうもありがとうございます。では、そのように進めさせていただきます。

(4)研究開発プログラム評価の試行的実施について
【李家主査】 そうしますと、次の議題に移らせていただきます。
 4番目、研究開発プログラム評価の試行的実施についてということで、事務局のほうから御説明をお願いします。

【宮川課長補佐】  本議題は、以前から検討を進めておりました研究開発プログラム評価に関する現在の状況を報告させていただくものでございます。これにつきましては、参考資料の4、5、6、タブレットのみの配付となっております。これを用いて御報告させていただきたいと思います。
 復習になりますけれども、本件につきましては昨年の12月の第59回、前々回の委員会において、参考資料6を用いてその時点の状況について御報告差し上げました。最新の状況、4月17日の分科会の状況が参考資料の4及び5でございますけれども、その後の10月以降の分科会の検討におきまして、航空分野を含むいろいろな分野の研究開発計画における中目標単位での評価であるとか、中目標のくくりの中で要素ごとに科学技術基本計画の貢献状況を評価していただくというところの大きなくくりというのは維持された上で、その中で詳細に検討を進めていく中で変わった点というか、以前は詳細になっていなかった部分としましては、中目標のくくりの中の今回のコアエンジンみたいな課題評価のみならずプログラム全体を評価する方針というふうにされたというところがございます。
 また、そういった仕組みを確立するために、第10期期間を試行的運用という形で、実効性のある評価の仕組みの確立を目指すというところで位置付けされたところが前回御説明できていなかった部分でございます。
 といったところが大きな概要でございますが、参考資料の4を御覧いただきまして、少し詳しくお話しさせていただきたいと思います。
 1枚めくっていただきまして、ページの2番でございます。
 まず、上の半分の位置付けですが、今しがた申し上げたとおり、今期間、第10期につきましては試行的実施という形になります。
 これに伴って、この下の半分の分科会と分野別委員会等の役割ということで、そのうちの下二つが分野別委員会であったり内部部局、我々事務局のことですけれども、といったところの役割が書かれておりますが、事務局が整理をして、またそれで委員会にお諮りするという意味では、実質的なところというのは大きく変わっていないかと思っております。
 続きまして、1枚後の3ページ目から4ページ目にかけての研究開発プログラム評価の試行的実施の方法というところですが、以前からの違いというと、大きくは事務局が評価案をつくって、これはちょっと緑色っぽく自己評価という形になっていますが、そして丸囲みになっている外部評価、これはまさにこの場で今後評価をしていただくというところですが、そこのところの流れに行くというのは変わっておらず、その後、分科会で取りまとめといった形で全体の総覧と助言、仕組みのレビューということになっております。
 それで、試行的評価という位置付けになった関係で、ここの太字になっておりますとおり、全体の総覧の助言、仕組みのレビューというピンク囲みの書き方になっておりますが、最終的には分科会のほうで取りまとめるというところについては同じような形だということでございます。
 そういった中で進めていくのですが、4ページ目の下のところが試行的実施のスケジュールでございまして、第10期期間の2年間を使ってどういう形で検討していくかというところが記載されておるところでございます。
 1年目、2年目と2ループ回すというのが大きなところでございますが、我々航空科学技術委員会につきましては上半分が主に係ってくるところだと思いますが、事務局で評価案をつくって委員会で評価しましょうねというところを今年中、12月ぐらいまでにやりましょうというところで、本件の具体的な実施につきましては、また下半期にさせていただきたいなというふうに事務局としては考えておるところでございますが、またその12月までに評価を行って、その結果をまた年明けに分科会で取りまとめやフィードバックを得た後、また来年度さらに一歩進んだ形でやらせていただく、そういった形で進めさせていただきたいというふうに考えておるところでございます。
 こういった流れについて、今回、4月17日に分科会として方針決定したものが参考資料の5でございます。
 内容としましては、先ほどの参考資料の4の3ページ目から4ページ目にかけての箇条書きとほぼほぼ同じ書き方をしておるところですので文章のほうは説明を割愛させていただきたいと思いますが、この参考資料5の3ページ目が分科会の取りまとめの際に使う様式で、もう1枚めくっていただいた4ページ目、5ページ目が研究開発プログラム評価票ということで、これが我々の航空科学技術委員会で評価票として作成をするものでございますので、これに沿った形で我々事務局としても評価票を準備させていただいた形で下半期を目標に御審議をお願いしたいなというふうに考えておるところでございます。
 というわけで、今後も例年ですと8月やそれ以降に分科会が開催されることとなることが想定されますけれども、事務局といたしましてもこうした分科会の動きを注視して、今しがた申し上げたとおり、下半期に委員の皆様に御審議いただけるように準備してまいりたいと考えておるところでございます。
 以上でございます。

【李家主査】  ありがとうございました。
 ただいまの御説明に関して御質問や御意見等ございますでしょうか。
 要するに、私が理解した範囲では、今までこの委員会ではJAXAの行っているプロジェクト的なものを一つ一つ評価を行ってきたのですが、今回のこの研究開発プログラム評価に関しては、それ以外にJAXAが行っている運営費交付金による活動も含めて、つまり、研究開発計画の中に関連するいろいろな目標がありましたけれども、それに関連するような運営費交付金の活動も一緒にしてJAXAの活動の全体を見る、俯瞰した上でこういった評価を行うと、そのように理解しておりますが、それでよろしいですね。

【宮川課長補佐】  はい。研究開発計画の中では総額10億円以上あるいは重点課題の評価をするとともに、そういった計画全体をプログラム評価するというところが研究開発計画の第6章に定められているところでございます。それに基づいて、後者のほうのプログラム評価を行うものでございますので、主査が、今、御指摘いただいたとおり、重点課題のみならず、例えば、基盤技術であったりとか、そういった重点課題とならなかったところも含めて全体として御評価いただくと、そういったことを考えております。

【李家主査】  ありがとうございます。
 ほかに何かありますでしょうか。よろしいでしょうか。
 そういたしますと、ほかにないようでしたら、今年度の下半期の委員会での評価の試行的実施に向けて、事務局には準備を進めていただくようにお願いいたしますが、それでよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。では、そのように進めていただければと思います。

(5)研究開発課題の評価について
【李家主査】 では、次の議題、5番に移ります。研究開発課題の評価についてということで、今回の委員会ではコアエンジン技術の研究開発の中間評価を行いたいと思いますので、まずは事務局から御説明をお願いいたします。

【宮川課長補佐】  冒頭からも申し上げていたとおり、本件は資料61-4-1を御覧ください。紙でもタブレットでも御覧いただけるようになっております。
 本件は、2030年代に就航が予想される次世代航空機用のエンジンの鍵技術として、環境適合性と経済性を大幅に改善するコアエンジン技術、具体的には燃焼器、高圧タービンの研究開発を実施するものでございます。
 具体的には、燃焼器については世界最高レベルの低NOxを希薄予混合燃焼、リーンバーン燃焼と呼んでいますが、それの技術により実現し、環状燃焼器での実証を行うものでございまして、TRLは5を目指しております。
 また、高圧タービンにつきましては、静翼へのCMC、セラミックの複合材料でございますが、それの適用や、冷却空気を削減することによって、小型エンジンとしては最高レベルの性能、具体的にはタービン出口温度であったりとかですけれども、を実現して、回転タービン試験装置で実証するもの。これはTRL4を目指しております。
 課題の実施期間は平成30年度から令和4年度の5年間として予定されて開始されております。中間評価につきましては、もともとは来年度、令和2年度に実施予定としておりました。詳しくはまた説明をJAXAのほうにお願いしたいと思いますが、民間企業との連携のもとで研究開発を進めていく中で、進捗は現時点では順調でございますが、一方で、民間企業との連携の観点で、技術移転後の研究開発のリスクが過大にならないようにするために、当初の計画よりも若干技術実証度の高いところまで本件研究開発の範囲とさせていただく必要のある状況になるということが判明しましたので、今回、本日、中間評価を行わせていただきたいと考えております。
 それでは、まずは現時点での研究開発の成果や現在の状況等について、JAXAから説明をお願いしたいと思います。

【村上プログラムディレクタ】  JAXAの村上でございます。
 資料61-4-3に基づきまして、私のほうからコアエンジン技術の研究開発の中間評価のための補足説明をさせていただきます。
 先ほど宮川補佐からございましたとおり、これは2017年6月にこの航空科学技術委員会におきまして事前評価をいただきまして、その時点におきましては2018年から2022年までの5カ年の計画として提案させていただきまして、事前評価におきまして妥当ということでございました。それに従って、2017年の6月以降に我々の共同研究を行っていく出口となる企業様といろいろな調整をさせていただくとともに、計画を緻密化し詳細化してまいりました。その結果といたしまして、より高いレベルでの技術実証度までこの研究開発の中で行うことが我が国の国際競争力強化のために必要であるということと、そのために1年、期間としては延びますけれども、企業がそれを使って海外のOEMメーカーへの提案をすることであるとか、自社が次のステップに進んでいくということにとっては大きな支障、問題はないということも確認されましたので、本日、5カ年の計画を6カ年の計画に更新したいということで、ここに参りました。
 1枚めくっていただきまして、本日の御説明でございますけれども、目次にございますとおり、事前評価資料の具体化、更新ということで、どういうふうに計画が変わったのかというところを中心に、具体化した部分について御説明したいと思います。
 あわせまして、研究開発の状況として、その後、述べさせていただきますけれども、研究開発の状況は、昨年度2018年にスタートした研究開発でございますので、1カ年分の成果というふうに御理解いただければと思います。
 まず、その次のページ、3ページになりますけれども、航空エンジン産業の動向でございます。
 一言で言えば、この2年間、2017年に御評価いただいた時点から大きな変化はないということでございますけれども、産業界といたしましては、今、合計シェア6.7%というのが実際に着実にシェアとして増えつつあるという状況でございまして、ここ数年、エンジンの製造産業の売り上げというのは徐々に徐々に伸びているという状況でございますが、大きなプログラムの中で、例えば、高圧系、圧縮機であるとか、ここで取り扱っている燃焼器あるいは高圧タービンという部分につきまして、プログラム最初の段階である開発段階のところから日本企業は参加しているという段階にはなくて、そういう意味では大きな動向として変化はないということでございます。
 下にいろいろと、各国際共同開発のプログラムの行われたエンジンの例があって、そのシェアとかそこに書いてございますけれども、もちろん燃焼器をモジュール単位で分担しているというところと圧縮機をとっているというところとありますけれども、これはあくまで設計段階ではなく製造段階になったときにこういう形で仕様に基づいてつくってくださいという形で分担されたものであって、開発段階から参加したものではありません。
 従いまして、我が国がまだ開発段階で参画していないコアの部分、特に、燃焼器とか高圧タービンについては我々にも力の強いところがございますので、ここに対して注力をしていって、今まで取ってこなかった高圧系の部分のシェアを獲得していこうというのがこのプロジェクトの狙いでございます。
 1枚めくっていただきまして、前回に比べますと、その目標としたものにつきましてパートナー企業、具体的に言うと日本のエンジン産業、エンジン企業でございますけれども、そこといろいろこの1年ちょっとにわたりまして議論をしてまいりました。
 具体的にはミッション目標というのは、これは基本的に前回の御説明のとおりでございますけれども、2030年代以降に就航が予想されている150席クラスの小型旅客機用のエンジン、推力でいきますと地上静止推力で15トン級のエンジンに向けた国際共同開発のエンジン条件に沿った形で、燃焼器とタービンについての目標を達成して、国際競争力のある技術を獲得しようと。これを、このプロジェクトの中ではいずれも達成時期として2024年3月と。具体的には2023年度ということでございます。
 技術目標につきましては、細かい数字につきましてはちょっと今は置きまして、燃焼器のほうにつきましては、前回申し上げたとおり、世界で最も少ない窒素酸化物の排出量を実証しようということで、そのために環状燃焼器試験というものでそれを実証しようとしております。実は、この実証するレベルを変えるということで1年延長させていただきたいというのが本日の趣旨でございます。
 一方、高圧タービンについては、先ほど宮川補佐のほうから御説明あったとおり、将来に期待されている高温材料であるセラミックス基の複合体、CMCと呼ばれておりますけれども、これを静翼に適用して、実使用温度で健全であることと、それから、このCMCの静翼とメタルの動翼、普通の単一合金の動翼とを組み合わせて空力性能を現行の最高性能に匹敵するところをタービン回転試験並びに高温高圧の流れの中で実証していこうというものがこの技術目標となってございます。実はこの前者の部分、CMC静翼の実使用温度での健全性というのが新たに加えたといいましょうか、実証を高めるという意味で加えた部分でございます。
 燃焼器の位置とか高温高効率タービンといっているのはジェットエンジンのファンが前についているその中心部分のこの図で示された部分でございます。
 課題の概要でございます。
 これも詳細化した課題の概要でございますが、超低NOxリーンバーン燃焼器でございます。この主要課題を具体化いたしまして、細かく言うと6課題、大きく言うと四つの課題ということでございます。
 まず、1番上の高温高圧低NOx燃焼器、低窒素酸化物の技術と燃焼振動抑制レゾネータ技術というものでございます。要は燃料を空気に混ぜて燃やすということでございますけれども、一番過不足なく燃やすところというのは当然のことながら温度が高いと。温度が高いと窒素酸化物が出るということで、これまでのエンジンは窒素酸化物を抑えるために安定して燃えやすい燃料が多いところの燃焼を使っています。これが右の図で赤印で書いているところでまず燃焼させる。これは安定します。その後、急速に冷却空気を混ぜ込んで希釈するということですね。希釈して低温側のリーンと言われている、薄い希薄された状態で燃やして、高い温度の部分をできるだけ少なくすることによって低NOxを実現する。ところが、これはもう技術的にも限界が来ているということで、我々のアイデアは、そもそも希薄なところを空気とあらかじめ混ぜ込んで均一に燃やすことによって、低い温度で所望の温度を実現しようということにしました。
 ところがこれは何が問題かというと、希薄で燃やしますから燃焼の振動、不安定なことになります。それを抑えるために共鳴器をうまく利用した燃焼振動の抑制のレゾネータというものを我々実現しようということで、この二つを環状燃焼器に全部加えた上で実証しようというのがこのプロジェクトでございます。
 あわせて、燃料ノズルの燃料流量断熱冷却技術と書いてありますけれども、これは実は薄い燃焼をさせるために、あるとき燃料のノズルから止めちゃうんですね。そうすると高温になってしまって、コーキングという燃料が炭化して目詰まりを起こしてしまうということが起きます。そういうもののないような技術を開発します。
 それから、丸4燃焼器過渡応答技術。これは、先ほど言ったように、希薄燃焼というのは不安定でございますので、エンジンのスロットルをかえるといったところで不安定になるということなので、その燃料制御の技術も合わせて開発しようと。
 最後が、CMC燃焼器の冷却構造、CMCパネル耐環境コーティング技術というものでございます。これは、CMCという耐熱性の高い材料を燃焼器に使うことによって、その燃焼器の表面を冷やすために使っている空気を少なくすることによって、もともとの希釈する空気を増やすことができると。その結果として、先ほど言いました、今使われているリーンバーンの燃焼器よりもさらに希釈したところで実現することができるところでございます。そのためにCMCパネルを燃焼器に適用するという技術を開発しようというものでございます。
 これは当初計画とどこが違いますかといいますと、やる内容は変わっているわけではないんですけれども、当初は1番と2番だけの技術を環状燃焼器に適用して実証しようとしておりました。3番、4番、5番、6番の技術も含めて、設計形状としてそれを適用して、実際これ自身を個別に実証するのはまだ要素技術ですけれども、その研究成果を踏まえた上で、上の高温高圧の低NOx技術、それから、燃焼振動レゾネータ技術というものを実証しようということになりました。その結果として、そのほかの技術の成果も踏まえた形での燃焼器の実証のために1年要するということでございます。
 次のページ、6ページ、高温高効率タービンでございます。
 これはまず大きく二つの課題でございまして、先ほど言ったCMCの静翼の設計技術ということで、これはタービンノズルという部分なんですけれども、止まっている翼でございます。単純な形態ではなくて、空力損失を極力下げるような折れ曲がったような形になってございます。これをCMCで実現できるようにするということでございます。
 当初は、このCMCのこの形につくれること、それから、それに加工できることというところをつくるところまでを要素として確認することとしておりましたが、やはりこれは耐久性、実際の温度が高い中でちゃんと実現できている、機械的な強度があるというところまで確認しようということで、赤字で書いておりますけれども、CMC健全性の実証ということを新たに加えました。CMC試作翼の健全性を実機相当の高温高圧ガス流試験で実証と。CMCは高圧タービンブレードへの使用実績がないということでございますので、強度、加工性に加えて、今申し上げたように健全性を考慮した実証を行うということで、これを加えさせていただきました。実際の燃焼装置の後ろに試験体を置いて実証するという形でございます。
 二つ目の高効率メタル動翼技術につきましては、特にこれは回る翼の部分でございます。ここにCMCを使うのはまだ現時点では難しいので従来の耐熱合金翼でございますけれども、冷却空気の冷却効率を上げたような冷却空気口の形状であるとか、そもそも三次元翼の形状といったものをJAXAのCFD技術等をフルに活用いたしまして最適設計することによって、この部分と上のCMC静翼の形をしている二つのもので最終的にはタービン回転試験によって空力性能の向上というものを確認しようというものでございます。
 7ページ目、研究開発計画でございますけれども、変わっている部分というのは、2022年で終わっていたものを環状燃焼器試験にほかの成果も踏まえた環状器試験にするということと、CMCの健全性実証というのを回転タービンリグ実証と並行して進めるということで、2023年度末までという形になっている部分が基本でございます。
 基本的には、この1年にわたりましてパートナー企業と密接に議論してきた結果としてこのような計画にすることが妥当であると我々が判断し、ここに提案するものでございます。
 二つ目のポツに書いてございますけれども、パートナー企業とも合意で実施するものでございますので、最終的に技術移転先による実用化時期は変更せず対応できるということにつきまして企業と合意しているところでございます。
 次のページに実施体制、非常にラフな実施体制でございますけれども、JAXAといたしましてはこの6月にこのコアエンジン技術実証プロジェクトチームというのが発足いたしました。これをEn-Coreと我々は呼んでいますけれども、En-Coreプロジェクトチームで、プロジェクトマネジャーのもとに18名を配置して進めているところでございます。
 当然パートナー企業とは燃焼器のパートナー企業、タービンのパートナー企業、それぞれ共同研究契約を結んで実施するわけでございますけれども、これに先立ちまして基本合意書というものを締結して、例えば、知財の取り扱いであるとか、あるいは、役割分担であるとか、それから、この研究開発プロジェクトが終わった後にどのように進めていくのかということに対しての企業側の意思であるとか、そういったものなどを含めまして基本合意書と。内部につきましてはここで公開の場では申し上げることはできませんけれども、そういう同意書を締結した上で、今後、共同研究契約を個別に結んで進めていくという形になっております。
 最後に、大学との連携でございますけれども、上の右の図に書いてあるとおり、実はこのプロジェクトチームの活動そのものでは大学との共同研究というのはございませんが、プロジェクトチームの方を支援している立場である基盤技術領域と我々呼んでおりますけれども、推進技術の研究ユニットというところはこういった研究にかかわります。評価技術あるいはシミュレーション技術で大学との共同研究というのはこの中で進められるものと思っております。ただ、プロジェクトのスコープの中には入っていないということでございます。
 最後に進捗状況を二つ。これは1年間の進捗状況でございますので簡単に御説明したいと思います。
 9ページ右上にありますけれども、最終的には環状燃焼器という燃焼器のシステムそのものを実証いたしますけれども、現段階では要素試験として一つの部分、ドーナツになっているものを環状燃焼器だと思っていただきますと、その中の一部を切りましたという形のものの燃焼器で実験をいたしまして、見ていただくとわかりますけれども、左側の既存エンジンはこの「既存エンジン」と書いてあるところに大体分布していると思っていただければと。我々のプロジェクトの目標は一番右の青でございます。今、要素試験の燃焼器といたしましてはこの緑のところになっておりまして、1個の要素でしかありませんけれども最終的な目標に比べて15%のマージンを持った低NOx性というのを確保しています。
 もちろん、今後もさまざま他の技術を含めた形を取り入れていったり、それから、環状燃焼器の形態にしていきますと段々厳しい状態になりますので、まだ安心しているわけではございませんけれども、技術的な見通しを得ることができているというのが現状でございます。
 ほか、2番、3番、4番、5番、6番というそれぞれの要素技術、燃焼器のレゾネータの技術であるとか燃料ノズルのコーキングを防止する技術、過渡応答の技術などにつきましては、設計開発、基礎試験などを通じて要素の評価の準備というものが整ったというのが現状でございます。
 右下に一つの例でございますけれども、これら自身はNEDOのプロジェクトのほうで実施されたものでございますけれども、CMCパネルを着実に燃焼器の内面に取り付ける締結方法といったものを、NEDOのほうで開発された技術を我々が考えている燃焼器にちゃんと適用できるかということを確認したものでございまして、この特徴ある燃焼器のガスが直接ボルトにかからないようなうまい具合のCMC締結方法の適用というのが我々の考えている燃焼器へも可能だということがわかったという一つの例でございます。
 次のページにタービンのほうの状況でございます。
 CMCの静翼の設計技術に関しましては、翼構造の応力解析というものを実施しまして、織物構造を試作したというところでございまして、右図の写真のとおりでございます。
 それから、高効率メタル動翼技術というものにつきましてはCFD、数値解析で、我々が期待しているような低損失なものが得られているのかということを確認したところでございます。右図に、損失が大きいほうが右側になりますけれども、ある一定の領域のところで2次流れと言われている、翼の先端から漏れて出てくる渦の損失でございますが、それが小さくなっているということがわかります。
 もう一つは、最終的には回転タービンリグというもので実証するんですけれども、回転タービンリグの必要な所要の性能が得られるということを確認したというところでございます。
 次のページ、11ページ。その他の状況でございます。
 先ほど申し上げましたとおり、プロジェクトマネジメント活動の推進ということで、今年の6月、まさに今月ですけれども、JAXAとしてはプロジェクトという形で進めることになりました。あわせて、先ほども申し上げましたとおり、パートナー企業との協議の中で基本合意書というのを締結も完了しています。
 あと、前回の事前評価のときに幾つかこの委員会の中で留意点を御指摘いただきましたので、それにつきましての回答と申しましょうか、我々の考え方というものを以下のところに整理させていただきました。
 一つは、次世代のエンジンの技術構想に資する情報とか知識の獲得を積み上げを行っていってくださいよということでございます。
 2030年代に就航予定の機体に搭載されるということで、2025年とかそのあたりから本格的なプロジェクトが産業界で始まるかと思いますけれども、JAEC、日本航空機エンジン協会という産業界を束ねられているところと航空技術部門の間で連絡会の設置ということで合意いたしまして、情報交換をボトムのレベル、それからトップのレベル、二つの階層で進めているところでございます。これにつきましては留意点を反映させて、我々としっかり取り組んでいきたいと。
 それから、二つ目でございます。次世代航空機用エンジンというのはF7エンジンと推力規模が異なるので、次世代エンジンに対して有効に本技術が活用されるようにというお話でございました。もちろん我々一番大切なのは、日本の航空機製造産業が次世代の航空エンジン技術で競争力を持つということでございますので、冒頭に申し上げましたとおり、我々の技術目標は次世代のエンジンの仕様といいましょうか、目標としているところ、それに合わせた形で実証していくということを基本としております。
 一方、三つ目のところでございます。F7のエンジンの利用につきましては、従来からの計画、申し上げているとおりでございますけれども、先のプロジェクトでありますaFJR、これは低圧系のプロジェクトですけれども、その成果である軽量吸音パネルなどの固定の部品など、まず最初は適用して進めていきたい。その後、コアエンジンにつきましては、このプロジェクトが終了した後に、F7の使用状況を踏まえながら、その中で引き続き計画を進めていきたいと考えているところでございます。
 ちょっと長くなりましたが、最後にまとめでございますが、必要性それから有効性、効率性というところでございますが、赤字の部分をちょっと読んでいただければと思いますけれども、上の冒頭の二つだけ申し上げたいと思います。
 2018年の4月から計画の具体化、更新、それから2017年にここで事前評価をいただいた後からですけれども、具体化などを行いまして、本日御報告いたし、当初は5年計画というものでございましたけれども、それを6年計画としながら技術実証の高いところまでもっていきたいということで、本日御報告させていただいたものでございます。
 以降は前回資料でございますので、説明は割愛いたします。

【宮川課長補佐】  ありがとうございます。
 続きまして、資料61-4-2の、字ばかりで恐縮ですけれども、中間評価票(案)ということで事務局案をまとめさせていただいております。
 これも形式は前期のときと同じでございますが、事前評価と中間評価を左と真ん中に並べさせていただいておりまして、既に定まっている、例えば、研究開発の記載あるいは事前評価の記載については黒字、今回事務局にて作成させていただいた中間評価の事務局案につきましてのみ青字とさせていただいておるところでございます。
 具体的に資料の説明をさせていただきますが、青字を中心にやらせていただきたいと思います。
 まず、3ページ目でございます。評価結果の(1)課題の進捗状況でございますけれども、基本的に、今、パワーポイントを使って村上PDから御説明いただいた内容と重なるところでございますので基本的には省略をしますが、P5の下のほうにかけまして超低NOxのリーンバーン燃焼器と高温高効率タービンそれぞれについて、順調に研究開発が進んでいるということを記載させていただいておるところでございます。
 続いて、5ページの下以降の各観点からの再評価ということで、事前評価でいただいたところからの状況変化について書かせていただく部分でございます。
 項目は三つ、先ほどのJAXAの説明にもあったとおり、必要性、有効性、効率性でございます。
 1点目の必要性につきましては、事前評価におきましては世界の産業規模が25兆円程度から今後20年で2倍になるというところから超成長産業であるということと、こうした状況下で2030年代に次世代航空機用のエンジンというのが必要になってきますというところで、我が国産業の参入のチャンスであるということ、そして、一方で、本研究開発に関する重要性はあるものの、多額の開発費用というのが本研究に関して必要であることから、JAXAが国の研究開発を牽引する機関という立場からして、本研究開発を実施する意義が高いとされたところでございます。
 それに対しまして、8ページの一番下、1行だけ引っかかっていますけれども、そこからの再評価でございます。
 今のJAXAからの説明にもあったとおり、2030年代に就航が予定されているという次世代航空機に関する情勢については変更がございません。また、説明にはなかったですけれども、2017年7月に二酸化炭素の排出量に関する国際基準、ICAOでの基準が定められたということで、今後国交省でもそれに関する基準が定められていくことになると思われますけれども、そういった環境適合性に対する社会要求というのが上がってきている状況にあるのではないかということが言えるかと思っております。
 以上から、必要性というのは維持されている、あるいは、高まっているというふうに考えております。
 一方で、研究開発を民間企業との連携のもとで進めていく中で、先ほどのJAXAからもありましたとおり、事前評価での御指摘も踏まえると、JAXAの説明のとおり、燃焼器に関する各要素技術が要求されるレベルで両立するか、すなわち、先ほどのパワーポイントで丸1、丸2のみで環境試験をやるのではなくて、その下の丸3から丸6についても最終的な燃費といったところにも影響してまいりますので、そういったところまでちゃんと両立するのかというところと、あとは、CMCのタービン静翼が、先ほどつくるだけではなくちゃんと耐久性も含めて健全性を十分実証できるかというところにつきましても研究開発リスクが高いというところでございまして、そのため、民間企業におけるその後の研究開発のリスクというものを適正にするという観点から、当初の計画にこれらを追加するような本研究開発の実施内容及び期間の見直しを図るべきなのではないかというふうに考えられているのではないかというところを記載させていただいております。
 続きまして、9ページ以降の有効性でございますけれども、これにつきましても事前評価においてはTRL、技術実証度の観点から、本研究開発の出口やその後の見通しも含めて、本研究開発における成果の有効性が高いというふうに評価をいただいたところでございます。
 現時点におきましては、11ページの下以降の再評価になりますけれども、海外での研究開発の動向と比べても依然優位性があるということなども鑑みると、今研究開発で見込まれる成果についての優位性については変化がなく、当初のとおり有効性は高いというふうに考えておるところでございます。
 一方で、また計画変更に関するところでございますけれども、民間企業との連携を進めていく中で、燃焼器あるいはタービンにおいての研究開発リスクというのが高いことが判明しましたので、技術移転後の民間での研究開発というところを適正にしていくという観点から、有効性を高く研究開発を終えるという観点から、当初の計画に燃焼器、CMCタービン静翼に関するそれぞれの追加要素を加えるべきではないかというふうに考えておるところでございます。
 続きまして、12ページの中ほど以降の効率性でございます。
 事前評価におきましては、TRLの観点から目標達成の妥当性であったり、あとは、産業界、大学等との連携体制といった観点から、本研究開発の効率性が高いというふうに御評価いただいたところでございます。これらにつきましても、現段階におきましては、研究開発の進捗自体は順調に行われているというところでございますので、効率性の観点では引き続き高いというふうに考えておるところでございます。
 一方で、各技術要素についての研究開発のリスクというものを考えた場合というところと、これらの研究開発のコストについても精査を進めていて、研究資金は当初の企画の範囲におさまるぐらいというところで、見直しも進めているというところも考えますと、費用対効果という面も含めまして、当初計画にこれらを追加するように期間と実施内容の変更を図るべきだというふうに考えておるところでございます。
 というところが三つの観点からの再評価でございまして、(3)科学技術基本計画等への貢献状況ですけれども、今しがた申し上げたところの復習的なところがございますけれども、研究開発計画の記載と、あと、2030年代の新たなエンジンの開発における産業界に与える影響というところから、科学技術基本計画に大きく貢献するものであるというふうに考えておるところでございます。
 最後、(4)今後の研究開発の方向性というところで、今しがたのこれまでの説明をまとめまして、今回継続というふうにさせていただきたいというふうに考えておりますけれども、一方で、各技術要素の統合ですね、燃焼器におけるものであったりCMCタービン静翼における健全性の実証というところが不可欠であるようなことが判明いたしましたので、一方でまた、今しがたのJAXAの説明のとおり、これらの実証におきましては1年間の期間を要するというところでございますので、本研究開発は1年の期間を延長して継続することが適当であるというふうに事務局案として作成させていただいておるところでございます。
 17ページ、その他事項につきましては、先ほどJAXAからの説明もありまして、取り組んでいるところでございますが、引き続き重要な観点であるというふうに認識しておりますので、引き続きこれについては記載させていただくというところで、最後、書かせていただいているところでございます。
 長くなりましたが、事務局からの説明は以上でございます。

【李家主査】  どうもありがとうございました。
 では、ただいまの御説明に関して、御質問、御意見等ありましたらお願いいたします。

【佐藤委員】  どうも御説明ありがとうございます。
 やっている内容に関しては全然問題ないと思うのですけれども、ちょっと聞き取れなかったのが、1年間の延長によって何か今までの計画よりも新しく得られるものがあるのか、当初の計画がちょっと厳しいので1年間延長して6年でやろうとしているのかというところが1点と。あと、全然関係ない話なんですけれども、CMCで静翼をつくった場合に、動翼は次のステップだと思うのですけれども、静翼だけできていたとしても何か性能上の向上があるのか、それとも冷却空気が減るとかによって向上があるのか、それとも動翼も合わせてやるためのステップなのかというのと。あと、サイズがCMCの場合、結構、製造とか変わってくるのかなと思ったんですけれども、その辺はどういうふうにお考えなのかという質問です。

【宮川課長補佐】
 まず、1点目の事業の内容でございますけれども、61-4-3をご覧頂きたいのですけれども、5ページあるいは6ページのところに赤字で書かせていただいている内容について、7ページで2023年で赤矢印を引っ張らせていただいているんですけれども、そこについて追加するものでございます。それによって民間でのその後の実用開発をスムーズにさせるというところが目的となっております。
 2点目については、CMCについては、現時点では静翼への適用でございますけれども、釈迦に説法でございますけれども、CMCであれば耐熱温度も上がるというところと、あとは、御指摘のとおり、冷却方法についても新たな手法を用いてやっているところでございますので、これ単体でも効果はあるというところでございます。動翼というのは今後の課題になっていこうかというところだというふうに認識しておるところでございます。

【村上プログラムディレクタ】  補足します。技術的に多分佐藤先生がおっしゃられていたのは、1年延長して加わった分は技術のレベルが上がる分とかそういうことだったと思いますけれども、明らかにCMC静翼につきましては耐久性という新たな付加価値が実証レベルとして加わります。
 それから、燃焼器につきましては、それまではレゾネータの部分と低NOx性のその部分だけを組み合わせた形で環状燃焼器であったものが、過渡応答の技術であるとかCMCのパネルの冷却構造を持つとか、そこで得られた要素の成果の結果を踏まえて設計した最終的な形態の燃焼器で低NOx性を実証すること、これは新しい価値であると思っています。
 それから、CMCの静翼に関してでございますけれども、これは担当が今日来ておりますので、担当のほうからそのサイズの影響であるとかの部分について。

【JAXA山根】  En-Coreプロジェクトのプロジェクトマネジャーの山根と申します。
 今、CMCの静翼の話があったので少し補足させていただきますが、メタルに比べて圧倒的に断熱温度が上がることで冷却空気を減らすことにより、高温ガスとの混合損失が減るという意味で空力性能が上がるということを一番期待しています。それとともに、エンジンシステムのほうでも冷却空気をつくるのを減らせるので、プラスアルファで性能は上がるということも期待しているというところです。
 それを実際に設計してその効果を活用するというのがもともとの計画だったんですけれども、それを実際に盛り込んだ翼の形にした上で、実際のガス流で耐えうる健全性があるというところまでやるというところが1年間かかります。
 サイズの話なんですけれども、ターゲットとしている既に御説明したエンジンは非常にボリューム的にたくさん出るだろうというところに合わせたサイズ感を想定しておりまして、そのサイズでつくり得るというところがこの1年間の間の試作の上でもその辺を意識しながらこうなってきたといったところでございます。

【佐藤委員】  じゃあ、静翼のところでも温度が下がるので、動翼のほうはメタルでも結構性能が上がるというふうに考えているのですか。

【JAXA山根】  メタル動翼に関しては、形をダイナミックに三次元に変えることが非常に空力性能の向上にインパクトがあるので、今のところそちらはメタルでやったほうが有利であるということで、動翼はまずは性能を改善したメタル翼と組み合わせるという考え方です。

【佐藤委員】  ありがとうございました。

【李家主査】  ほかにいかがでしょうか。
 では、私から。多少素人質問かもしれませんが、さきほどのCMCの静翼に関する10ページの御説明のところですが、この左側に「CMC繊維の配置を検討するとともに、織物構造を試作し」とあります。これは全てをJAXAでつくられた。それとも材料メーカーからある程度のところまではできているものを手に入れた上で、JAXAのほうで工夫してつくられたとか、その辺の点はどのような感じしょうか。

【村上プログラムディレクタ】  パートナー企業と、今、やっている活動でございますので企業側だと思いますけれども、プロマネのほうから説明いたします。

【JAXA山根】  今、佐藤先生からのお話のサイズの話ともあるんですけれども、ターゲットとする翼の概略の大きさというところはプロジェクト側で決めていきまして、実際にこの織物等がつくれるかという部分、このCMCをつくるところに関してはパートナー企業のこれまでの技術的蓄積が非常に重要なところでありまして、そこは一緒に取り組んで行った作業でして、検討と試作をお願いしたということでございます。

【李家主査】  わかりました。
 ほかはいかがでしょうか。よろしいですか。
 いつものように、引き続いて中間評価のコメントをいただかなければいけないので、まだ御質問があったらこの場でお願いしたいのですけれども。

【村上プログラムディレクタ】  ひとつ補足してよろしいでしょうか。
 資金について何も申し上げなかったんですけれども、資金につきましては、前回、事前評価していただいたときと総額ベースではむしろ下がっていると。緻密化して効率的な手法もいろいろ導入いたしまして、5年から6年間になりましたけれども総額レベルではほぼ同じというところでございます。

【松島委員】  動翼に関して形状を工夫されたという話が出ていたんですけれども、その最適化というか設計は数値計算技術を使われたということでしょうか。
 それで副産物として良い設計法とか空力現象のモデル化とかそういうことは何かあったんでしょうか。

【村上プログラムディレクタ】  基本的なことだけ私のほうから申し上げますけれども、基本的には翼端からの2次流れの渦を小さくするという技術のコンセプトがございまして、そのコンセプトを実際に適用した形状をCFDで解析をして、損失が少ないものを得たということでございます。
 そのプロセスで何が生まれたかということにつきましては担当から説明いただいたほうがいいかなと思います。

【JAXA山根】  現段階では翼の形に適用したときにどれぐらいの効果を期待できるかという、わりとそんなに負荷のかからない計算結果に基づいての確認、その先に回転タービンリグで試験をする前の段階で動翼と静翼の非定常解析などの形でその効果が実際にどうなったという事前検討をして、さらに設計にも反映した上で実際のリグ試験にもっていくと。その過程においては、今までやっていない規模の解析であるとか、そこまで細かい形状を反映した解析は行っていないケースが多いと思いますので、何らかの形で知見が得られるというふうに期待しております。

【松島委員】  ありがとうございました。

【李家主査】  ほかはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 どうもありがとうございます。
 それでは、本日のこの件はここで切らせていただきます。さらに御質問や御意見がある場合には、委員会後に事務局まで御連絡いただければ、事務局から回答いただけると思います。
 委員の皆様におかれましては、事務局が作成した資料61-4-2の右端のコメント欄に中間評価案に対する御意見を記載していただいて、2週間後の7月8日月曜日までに事務局まで御提出をお願いいたします。それでよろしいでしょうか。
 では、そのように進めていただければと思います。

(6)その他
【李家主査】 最後に議事の6番、その他ですが、これに関しては委員の皆様で何か、議事の内容も含めて何かございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 そうしますと、以上で本日の議事は全て終了いたしましたので、進行を事務局にお返しいたします。

3. 閉会

【宮川課長補佐】  最後に事務連絡をさせていただきます。
 本日御議論いただいたコアエンジン技術の研究開発の中間評価案に対する御意見は、委員会資料を事前送付させていただいたメールの添付ファイルのワードファイルがございますのでそれに御記入いただき、議事の中でもございましたとおり、2週間後、7月8日月曜日までに事務局までメールにてお送りいただけますようお願いいたします。
 また、そのほか御不明な点などございましたら事務局までお知らせください。
 次回の航空科学技術委員会は、7月31日水曜日の1時半から3時半で開催させていただきます。
 また、本日の委員会の議事録につきましては、事務局にて案を作成し、委員の皆様に御確認をいただいた上で文部科学省のホームページに掲載させていただきます。
 それでは、これで科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会第61回航空科学技術委員会を閉会いたします。本日はどうもありがとうございました。

(了)

お問合せ先

研究開発局宇宙開発利用課