航空科学技術委員会(第60回) 議事録

1.日時

平成31年1月16日(水曜日) 15時00分~17時00分

2.場所

文部科学省 15階 特別会議室

3.議題

  1. 研究開発課題の評価について
  2. その他

4.出席者

委員

科学技術・学術審議会臨時委員  李家 賢一【主査】
科学技術・学術審議会専門委員  佐藤 哲也
科学技術・学術審議会専門委員  武市 昇
科学技術・学術審議会専門委員  冨井 哲雄
科学技術・学術審議会専門委員  難波 章子
科学技術・学術審議会専門委員  松島 紀佐
科学技術・学術審議会専門委員  山内 純子
科学技術・学術審議会専門委員  和田 雅子

文部科学省

大臣官房審議官(研究開発局担当)  岡村 直子
研究開発局宇宙開発利用課宇宙連携協力推進室長  丸山 智
研究開発局宇宙開発利用課課長補佐  宮川 毅也

(説明者)
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)
航空技術部門長  佐野 久
航空技術部門航空プログラムディレクタ  吉田 憲司
航空技術部門次世代イノベーションハブ長  渡辺 重哉

オブザーバー

経済産業省
国土交通省

5.議事録

1. 開会

【宮川課長補佐】  定刻になりましたので,ただいまから科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会航空科学技術委員会第60回を開会いたします。
 本日は,お忙しい中お集まりいただきありがとうございます。
 私は,事務局を務めさせていただく宇宙開発利用課の宮川と申します。よろしくお願いいたします。
 初めに,本日は航空科学技術委員会の委員10名のうち,8名に御出席いただいておりますので,定足数である過半数を満たしていることを御報告いたします。
 続いて本日の出席者でございますが,個別の御紹介はお手元の座席表をもって代えさせていただきます。
 続いて,配布資料の確認でございますが,議事次第が一番上となっているクリップ留めのものに,議事次第,資料60-1-1から資料60-2-3及び参考資料1,2を綴じさせていただいております。また,机上配布資料として,座席表,紙ファイルの参考資料集,JAXAの第3回WEATHER-Eyeオープンフォーラム及び航空機電動コンソーシアム第1回オープンフォーラムのチラシ,そして航空機電動化将来ビジョンを配布させていただいております。
 不足等がございましたら事務局までお知らせください。
 それでは,以後の議事に関しましては李家主査にお願いいたします。

2. 議事

(1)研究開発課題の評価について
【李家主査】  今日はお忙しいところお集まりいただきまして,どうもありがとうございます。
 それでは,議事次第に従って議事を進めさせていただきます。
 最初の議題の1番,研究開発課題の評価についてということで御議論いただきますけれども,今回の委員会では,前回の委員会での議論を踏まえた修正案を基に,航空安全技術の研究開発の事後評価,それから航空環境技術の研究開発の事後評価を行いたいと思います。
 まずは,航空安全技術の研究開発の事後評価から行いたいと思いますので,事務局より御説明をお願いいたします。

【宮川課長補佐】  資料60-1-1から60-1-3が航空安全技術の研究開発に関するものでございます。本件につきましては,前回の12月4日の第59回委員会以降,コメントを頂いたり,確認を頂いたりと,短期間ではございましたが,御協力を頂きましてありがとうございます。今回は,資料60-1-2を主に使いまして御説明差し上げたいと思います。
 資料につきましては、第59回にお配りしたものをベースに,委員各位のコメントを基に修正案を作成しております。委員から頂いたコメントにつきましては、3段表の右側の欄に書かせていただいております。それに対応する形で,その一つ左の欄,事後評価結果(案)については見え消しをさせていただいております。赤字は追加した文言で,グレーの取消し線が付いているものが削除した文言となっております。
 以降,評価票の修正について,順番に御説明差し上げたいと思います。
 資料60-1-2の2ページから説明させていただきたいと思います。
 まず,必要性に関してですが,竹内委員から,冒頭の「航空需要の増大に伴い」というところで,航空事故の増加と共に,乱気流に関する事故の多さというところを記載させていただいております。そこで割合に関する記載と絶対数に関する記載が混在しているという御指摘を頂いたところでございますので,それが混在しないような形に修正させていただいております。
 続いて,3ページ目の中ほどでございますが,佐藤委員より,機体安全性マネジメント技術に関するWEATHER-Eyeであったり,災害対応航空技術に関するD-NETといったキーワードを入れてはどうかという御指摘を頂きましたので,この部分だけなく必要な部分について,「WEATHER-Eye」や「D-NET」という略称を入れさせていただいております。
 続いて,松島委員から,世界との比較を表す際に,その比較対象となるように,客観的に判断できる事例を示すべきというところで頂いておりますので,3ページ目の中ほどの「国内や海外での」といった文言であったり,その下の「欧米での最高性能」といった文言を追加させていただいております。
 続いて4ページに移りますと,和田委員より,「膨大な研究開発費」というところの文言と「高い事業リスク」の関係性について御指摘を頂きました。事業リスクの一例として膨大な研究開発費がありますので,そのように修正させていただいております。
 続いて,有効性に関してですが,5ページ目について,李家主査よりSafeAvioの取組に関して,RTCAの調査,検討にJAXAからも参画していることについて,しっかりと記載するようにということで御指摘を頂いたところでございますので,本事業期間が平成29年度まででございますので,そこの範囲で書けるところで記載させていただいております。また,本年度以降については,「今後の展望」というところで記載させていただいております。
 加えて李家主査から,5ページ目の一番下の記載ですが,特許出願を特出しする理由はあるのかというところで御指摘を頂いたところでございまして,本件に限ったことではございませんので,その部分については削除させていただいております。
 続いて6ページに移りまして,D-NETに関する部分で,髙辻委員よりD-NETに関する定量的な評価を記載すべきという御指摘を頂きましたので,そのすぐ左側でございますが,定量的な評価を追記させていただいております。
 続きまして,6ページ目の下側に,松島委員より,本研究課題全般で,航空以外の分野への波及効果があれば記載すべきということで御指摘を頂きましたが,現時点ではそこまで到達する技術はないということで,「今後の展望」の部分にそういった文言を追加させていただいております。
 続いて7ページ目以降,効率性でございますが,松島委員よりベストプラクティスのようなものがあれば記載すべきというところで御指摘を頂いたところでございまして,実は,現在記載させていただいているところが正にベストプラクティスとなっているということもございますので,それを模範に今後の研究開発を進めるべきというような文言を,「今後の展望」の方に追加させていただくように修正をさせていただきました。
 続いて8ページでございますけれども,竹内委員より,効率性を記載する説明の中に「効率的に」と書かれているのは,若干表現として不適切なのではないかという御指摘を受けましたので,そうならないように文言を修正させていただいております。
 以上が,(1)の課題の達成状況についてでございます。
 続いて,13ページ目からの(2)総合評価ですが,まず全般の内容として,竹内委員から,記載が研究開発成果の羅列になっている傾向があるので,しっかり評価という形で書くべきではないかというところと,武市委員から,結果が出ているものについては,しっかりと書くべきであるという御指摘を頂いたところでございますので,その二つの御指摘を合わせる形で,総合評価の冒頭の部分,13ページの記載を大幅に見直させていただきました。
 続いて14ページですが,松島委員から,メディアに取り上げられたものを記載すべきというところの御指摘を頂いたところでございますけれども,かなり広範囲,いろいろな報道があるというところも踏まえまして,確かにこれをアピールする良い機会のところがあるものの,評価票の記載としては行わない方向で御了解いただければと思っております。
 続いて,15ページでございます。
 中ほどに,武市委員より,指標の是非に関して,実用化開発を前提にした協力関係が,既存の指標によらずとも何らかの形で評価されるべきということで,例えば,SafeAvioに関する国内装備品メーカーとの共同研究みたいなものは,実用化フェーズに半歩,一歩近いところではあるものの,そのすぐ左側のアウトカム指標に十分表れないという御指摘でございます。そのため,15ページの中ほどの米印という形で,指標ではうまく表現できないもののということで,注意書きのような形で追加させていただいております。
 また,数字による評価も今後考えるべきというところで,より良い指標というか,そういったものについては,引き続き検討させていただきたいと考えております。
 16ページ,その次の李家主査の御指摘でございますけれども,先ほどでもございました同じような内容でございます。RTCAとの取組については,現段階で書ける範囲で記載させていただいております。
 少し飛びますけれども,続いては18ページです。
 D-NETに関して,武市委員より,本件は実用化に至った技術であるため,そのお手本の認識をしっかりと持つべきというところで御指摘を頂いたところでございます。御指摘の性質上,先ほどの「総合評価」の冒頭部分の記載に加えて,「今後の展望」について追記させていただきました。
 続いて21ページですが,先ほどの竹内委員の評価についてしっかり記載すべきという御指摘については,評価概要の方にも反映させていただいております。
 最後に,22ページ以降の「今後の展望」でございますけれども,こちらにつきましては佐藤委員より,指標となっているアウトプットやアウトカムの内容や,あるいはTRLについて「今後の展望」において言及すべきではないかという御指摘,あるいは武市委員より,最終的な目標と,その中での本課題の位置付けを記載すべきではないかというような御指摘,あとは松島委員から,ビジョンを明確に示すべきというような御指摘を踏まえ,22ページの一番下側に,「今後の展望」の冒頭の段落を追加させていただく修正をいたしました。
 また,竹内委員から,「期待される」ばかりではなく,必要に応じて課題の提起や方向性の提言を行う文言にすべきというところで,記載を見直させていただいております。
 続いて,めくっていただきまして24ページとなります。
 ここの部分から,個別の研究課題についての研究となりますが,山内委員より,SafeAvio,乱気流事故防止機体技術についても,「従来にない晴天乱気流検知技術,乗務員への情報提供技術」をしっかりとここでも明記すべきではないかという御指摘を頂きましたので,それを追記する修正をさせていただいています。
 また,李家主査より,本件に関する実用化,製品化に向けた取組を具体的に記載すべきという御指摘を受けましたので,先ほどの評価概要の部分につきましては昨年度までの内容でございましたが,今後についてはここで記載させていただいております。
 続いて,D-NETに関してですけれども,今後の運用の際にJAXAとしてどのような対応を行うのかというところを李家主査から御指摘を頂いたところでございますので,25ページの一番上側になりますけれども,今後の取組について追記させていただいております。
 また,山内委員から,25ページの下にありますが,外的要因に加えてヒューマンエラーに関する研究開発についても問題提起をしてはどうかという御指摘を頂きましたので,それに関するパラグラフを追加させていただいております。
 また,途中でも御紹介いたしましたが,松島委員,武市委員からのベストプラクティス,あるいはお手本といったようなことについて,ほかの研究開発にも生かすべきという御指摘に対応しまして,最後にそのような形の旨の記載を,25ページから26ページにかけて追加させていただいておるところです。
 以上が,航空安全技術の研究開発に関する評価票の修正ですが,今御説明差し上げた評価票の修正に対応いたしまして,資料60-1-1についても,形式的な部分もございますが,所要の修正をさせていただいております。内容は重なりますので,個別の説明については省略させていただきたいと思います。
 また,資料60-1-3のパワーポイントの資料は,前回の委員会から変更ございません。
 以上で事務局の説明とさせていただきます。

【李家主査】  どうもありがとうございました。
 では,ただいまの御説明について,御質問や御意見等ございますでしょうか。出していただいた御意見を反映されたということを確認いただけましたでしょうか。
 私から一つ。修正とかそういうことではないのですが,最後の方の24ページの一番下のところで,D-NETの運用のことについて書かせていただきましたけれども,気持ちとして,これはD-NETは災害対応ですから,突然災害が起こるので, JAXAの方の担当されている方の御負担とか,そういったこともあるのかなということでコメントさせていただいたわけです。評価としては事務局の方で書いていただいたとおりで結構なのですが,そのようなことを感じたので書かせていただきました。

【吉田プログラムディレクタ】  ありがとうございます。御指摘を踏まえて,我々としてもきちんとマネージをしていくようにいたします。

【宮川課長補佐】  事務局から。現在,技術が成熟していく過程の中で,一部JAXAが直接サポートするようなところはありますけれども,今後,一義的にはメーカーがしっかりサポートしていくような形へシフトしていくと考えておりますので,JAXAについては,まずはそのD-NETの高度化というところで貢献していただくような形で進めさせていただきたいと思います。

【李家主査】  ほかはいかがでしょうか。
 また,私から。26ページの最後のところで,松島委員や武市委員から御指摘いただいたようなベストプラクティスとか,お手本とか,そのようなことをコメントいただきましたけれども,評価票の方の一番最後の締めのところで,「ほかの研究開発課題の実施においても,好事例として参照する」とあります。これは具体的に言うとどのようなことが将来的に考えられますでしょうか。差し支えのない範囲で結構ですが。

【吉田プログラムディレクタ】  まず,内部的にはJAXAの中で航空部門が機構に対して正に成果が出ていることを部門長を通じて報告しておりますが、それを理事長を含めご評価いただいておりまして,そういう意味では,内部的にはかなり航空部門の頑張りをご評価いただいております。併せて研究法人評価の方でも高い評価を頂いております。
 それから我々のこういう研究開発は,なるべくプレスリリースして発信して行くという努力も増やしておりますので,そういうところで取材や記事に載せていただいたりしている形で見えるようにして,職員の皆さんにも意識を高く持ってもらうようにしているところです。
 あとは今後の研究開発,今第4期が始まっておりまして,その中でいろいろな研究開発を行うというプランニングをしておりますが、そういうところにこれを反映して,これまでの経験を生かそうとしており、我々幹部の方もしっかりその考えの下にプランニングして行こうとしています。

【李家主査】  分かりました。ありがとうございます。

【佐野部門長】  今、吉田から説明がありましたけれども,我々は第4期の取組みを戦略の中に位置付けております。また新しい研究テーマを仕込む活動もしておりますので,これらを実行することで社会に貢献していきたいと思っております。

【李家主査】  ほかはいかがでしょうか。
 では,また私からなのですけれども,そうしますと,今回の航空安全技術の研究開発ということで,一旦これで事後評価で終了しますけれども,資料60-1-1や「今後の展望」でいろいろ書かれていますけれども,先ほどもお話がありましたように,ここで培われた技術は今後,民間転用とか,そういったところへの適用を主にしてもらって,それで実際の場で役立ててもらうという,このような認識でよろしいですか。
 あと,今後,JAXAの方でも,先ほどからもいろいろお話がありましたけれども,更に発展させた格好で次の研究開発のネタを仕込んでおられるということでよろしいですか。

【佐野部門長】  さようでございます。

【宮川課長補佐】  D-NETに関すればそういうことで,例えば,SafeAvio,ドップラーライダーの話であれば,技術開発という意味では一段落ついたところでございますけれども,航空局の認証とか,そういったところでのサポートというのはJAXAにもまだやること,支援できることというのがございますので,技術の性質によってJAXAが適時,適切にサポートするという形で進めさせていただきたいと思います。

【李家主査】  分かりました。
 それでは,この60-1番の議題の話はよろしいでしょうか。
 では,これで事後評価票に関して,基本的には修正のコメントを頂いていませんので,この出していただいた事後評価(案)ということで,(案)を取った格好で研究計画・評価分科会の方にお諮りさせていただくということでよろしいでしょうか。
 どうもありがとうございます。それではそのように進めさせていただきます。
 では,続いてもう一つの件,航空環境技術の研究開発の方の事後評価に移りたいと思いますので,また御説明をお願いします。

【宮川課長補佐】  資料60-2-1から60-2-3が航空環境技術の研究開発に関する資料でございます。先ほどと同様に事後評価票,すなわち資料60-2-2に沿いまして御説明を差し上げたいと思います。
 1枚おめくりいただきまして,3ページ目からコメントが入っております。
 まず,佐藤委員から,「効率改善」には,バイパス比の増加のみではなく,それに加えてタービン入口温度や圧縮機の圧力比についても関与しているのではないかとの御指摘を頂きましたので,その文言を追加しています。
 続いて髙辻委員,和田委員より,前回の委員会の中でもコメントいただいた内容でございますが,「海外の最新エンジン」の記載を統一すべきという御指摘を頂きました。そのためこの部分,あるいはその下にも何か所かございますが,記載を統一させる修正を行っております。
 続いて4ページでございますけれども,高圧タービンのところでCMCの記載がございましたが,本件,高圧タービンはメタルでの研究開発でございますので,記載が間違えていました。そのため削除する修正を行っております。
 また,その下ですが,NOxの排出に関してICAOの基準を書いておりますが,もともとICAOの基準自体はそれほど厳しくないとのご指摘を佐藤委員より頂きました。JAXAの技術も80%ICAOの基準からNOxを低減しておりますので,それだけだとインパクトに欠けるという御指摘だというふうに理解し,4ページの中ほどにありますように,海外の最新開発エンジンとも比較することによって,よりJAXAの今回の研究開発の成果が優秀だということを記載させていただいておるところでございます。
 また,佐藤委員,山内委員から,パワーポイントの説明資料にあった内容でございますが,ミキサノズルの適用によるエンジン騒音の1デシベル低減の目標の達成についても言及すべきという御指摘を頂きましたので,その部分については,4ページの下でございますが,追記させていただいております。
 続いて5ページでございますが,ここの最後の部分,「リスクが高い」というところが特に説明がなかったところでございますので,和田委員よりその理由を記載すべきという御指摘を頂いておりますので,理由を追記しております。
 次に,5ページ以降の有効性でございますが,佐藤委員より,その前の時点では新しい知の創出への貢献,あるいは研究開発の質の向上というところへの寄与というのが見えにくいという御指摘を頂きましたので,それが現れるようなキーワードを追加する修正をさせていただいております。
 また,李家主査より,この共同開発に参画した学生の,その後の就職について記載させていただいているところでございますが,本事業に特化したことではないということから,削除させていただいております。
 続いて6から7ページに,和田委員から文言上の修正を頂いておりますので,それに沿って修正させていただいております。
 続いて,9ページ以降の効率性については特に御指摘を頂いてはおりませんので,前回の第59回時の御提案のままでございます。
 続いて,大分飛びますが,18ページ以降が総合評価です。
 竹内委員より,先ほどの航空安全技術と同様に,評価についてしっかりと記述すべきという御指摘を頂きましたので,航空安全技術と同様な観点で修正を加えております。
 また,その次,19ページでございますけれども,19ページの上の効率改善の部分で,ここだけ「pt」を用いておりますが,それについて明確化すべきという指摘を李家主査から頂いておりますので,米印の注書きの形式で記載させていただく形としました。
 続いて21ページですが,佐藤委員から,先ほど必要性の部分で頂いた御指摘と同一観点のご指摘を受け,海外の最新開発エンジンとの比較についても追記させていただいております。
 続いて,大分飛びまして,26ページの下の評価概要につきましては,先ほどの竹内委員の御指摘も踏まえ,同様の修正を行っているところでございます。
 最後に,28ページ以降の今後の展望ですが,こちらについても佐藤委員からは,先ほどの航空安全技術と同様にアウトプットやアウトカムを増やすとか,TRLに関するものを書いてはどうかというところの御指摘を頂いたということと,あと武市委員から,航空安全技術と同様に,全体があって,それから個別という形で記載をする方がふさわしいのではないかという御指摘を頂いたというところも踏まえまして,冒頭の段落について修正をさせていただいております。
 また,竹内委員からも,先ほどの航空安全技術と同様の御指摘を頂いておりますので,同じように修正をさせていただいております。
 次に,この29ページ以降でございますけれども,エンジンに関して,李家主査より,「最新型開発の好機」という記載がある中,具体的にそのターゲットを示すべきという御指摘を頂いたので,29ページの一番上のとおり修正をさせていただいております。
 また,同じパラグラフの一番下でございますけれども,「成果を最大化する」という文言がございますが,その先について言及するべきであるという御指摘を頂きましたので,そこについても追記を行っているところでございます。
 また,1枚めくっていただきまして,最後でございますけれども,李家主査より,こちらの「高ひずみ軽量複合材料構造設計技術」と「空力/構造連携機体抵抗低減技術」について,共に次のステップを明確に書くべきであるという御指摘を頂きました。その内容について,30ページの中ほどのエコウィング技術の記載がございますが,そこに追記をさせていただいているところでございます。
 以上が事後評価票の修正でございます。
 資料60-2-1についても,先ほどの安全技術と同様に,評価票の修正に合わせて所要の修正を行わせていただいております。
 また,資料60-2-3の航空環境技術の研究開発のパワーポイント資料でございますけれども,5ページ目はグリーンエンジン技術の記載になっております。ここでの目標の記述が,現行エンジン比で燃料消費16%削減のみとされていました。海外の最新開発エンジンとの比較が書いてないという状況で,評価票との平仄を取るべきだという御指摘を佐藤委員から頂きましたので,ここの括弧書き,「海外の最新開発エンジン(PW1100Gレベル)比で1%削減に相当」という文言だけ追記させていただいておるところです。
 そのほか,このパワーポイント資料については,変更ございません。
 事務局からの説明は以上でございます。

【李家主査】  どうもありがとうございました。
 では,ただいまの御説明に関して,御質問や御意見等ありましたらお願いいたします。いかがでしょうか。
 佐藤委員からは,かなり技術的なコメントをたくさん頂きましたけれども。

【佐藤委員】  一番最初の3ページのところなのですけれども,修正した文章が何となく,どこがどこに係っているのかがよく分からないです。「タービン入口温度の増加等によるバイパス比増」というのが,「ファン径の拡大」から全部が係っているというような感じなのです。確かに関連はしているので,タービン入口温度等が増加したことによって,だんだんとバイパス比も大きくできるという,そういう意味での書き方ということですね。

【宮川課長補佐】  そうです。正におっしゃるとおりでございまして,タービン入口温度や圧縮機の圧力比とファン径の増加というのは独立したものではないというところで,最終的にはそのバイパス比で表させていただいたというところでございます。

【佐藤委員】  それであれば,逆になくてもよかったのかなと思って。どうしたら良いか,私もどちらが良いのか分からないのですけれども,関連しているということでこういう処置を。

【宮川課長補佐】  はい。

【佐藤委員】  分かりました。
 あと,ICAOの件に関しては,先ほど宮川さんがおっしゃったように,それよりもかなりよくなっているというふうに書かれているので,良いと思いました。

【宮川課長補佐】  欧米だと,そのICAO基準比七十何%というのを達成しているところでございますので,佐藤委員のおっしゃるとおり,「ICAOの基準よりは良いですよ」では,世界との比較に関しては余りインパクトを表せないというところでございますので,そのように修正させていただきました。

【李家主査】  ほかはいかがでしょうか。
 それでは,また私から。修正に関することではなくて全般的なことなのですが,先ほどの安全と同じように,こちらの環境の方も,今回これで事後評価ということで終わります。また,もう既に次のエンジン関係の研究開発が進んでいます。その辺との関係で,今後の展望のところに「F7エンジン」といった言葉も入っている事に関して,どのようにこの研究開発はつながっていくだろうかというところを教えていただけますか。

【吉田プログラムディレクタ】  はい,分かりました。この航空環境技術のところで培いました,例えばaFJRプロジェクトの成果は,今度はその実用化に向けて産業界への貢献の橋渡しをして行くというところがありまして,フォローアップ的な部分で,F7を導入させていただいたものを使ってメーカーさんへの橋渡しをして行くという部分があります。
 一方,この中でありましたグリーンエンジンについては,あるレベルまでの技術研究ができましたので,今度はそれを実用に向けて成熟させるためのプロジェクト的な活動,集中した活動を昨年5月の航空科学委員会で御説明したコアエンジン技術と言っているものを,今組織的にJAXAの中で立ち上げて進めております。
 ですから,ここで幾つかグリーンエンジンで挙がりました成果を,よりその実用化の方に向けた技術に更にグレードアップするという方向に我々は進んでおります。
 ということで,この第3期の5年間のものを,一つは産業界への発展の橋渡し,もう一つは技術を更に進めるということを,もちろん企業さんと連携してですが,進めて行くことをやっております。

【李家主査】  分かりました。ありがとうございます。
 そうすると,ほかはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 先ほどの佐藤委員の御質問は,特に修正しなくて良いということですか。日本語として読みにくいというのが最初にあったかと思うのですが。

【佐藤委員】  そうですね。

【李家主査】  ファン径の拡大と,圧縮機圧力比の増加と,タービン入口温度の増加という三つが同じ位置付けということでよろしいのですか,この書き方で。

【佐藤委員】  自分が最初に考えたときには別のものかと思ったのですけれども,つながってはいますので,それが全部合わさってバイパス比の増加になっているという意味では,間違ってはいないです。

【李家主査】  そうすると,少しでも読みやすくするために,例えばですが,「ファン径の拡大,圧縮機圧力比の増加」の後に「及び」とかを入れて,それで「タービン入口温度の増加」とやると,意味が変わってしまいますかね。この三つが並列だというのが分かるようにした方がよろしいかなと思われますが。そして,それが全てバイパス比の増大につながっているということで。そういうわけではないですか。

【佐藤委員】  そうです。そういう意味で書かれていると思うのですけれども。

【李家主査】  そうしますと,この「増加」と「タービン入口温度」の間のカンマの代わりに,「及び」という文言を追加するというのはいかがでしょうか。

【佐藤委員】  「及び」が入ると,逆に1個目が独立してしまいます。

【李家主査】  はい,分かりました。このままの方が,そのところは両方の意味に取れるようになるから,このままの方が良いということですかね。

【佐藤委員】  それか,最初のものに戻すのとどちらが良いか。その「バイパス比増」に全部入ってくるのであれば,この赤い部分というのは含まれてしまっているので,なくても。特に大事なわけではないところなので。

【李家主査】  はい。では,最初のとおりだとすると,「ファン径の拡大(バイパス比増)に頼っていた」。

【佐藤委員】  「主に」というのを入れれば。

【李家主査】  「主に」も入れて,はい。では,完全に最初のとおりに戻すと。

【宮川課長補佐】  「ファン径の拡大」イコール「バイパス比増」というふうに書いてしまったのは,ちょっと語弊があるかと思うので,「主にファン径の拡大によるバイパス比増」とかの方が。

【佐藤委員】  「ファン径の拡大」のイメージと,「バイパス比増」のイメージが私の中では一緒なので。

【宮川課長補佐】  そうすると,「主にファン径の拡大に頼っていた」とか,「主にバイパス比増に」。

【佐藤委員】  そちらの「バイパス比増に頼っていた」にすればシンプルで。

【宮川課長補佐】  分かりました。そうしましたら,そのパラグラフですけれども,「これらの課題に対応するため,高効率軽量ファン・タービン技術実証(aFJR)プロジェクトでは,これまで主にバイパス比増に頼っていたジェットエンジンの効率改善を」という形でいかがでしょうか。

【佐藤委員】  熱効率と推進効率とあって,どうやって変えたら良いか悩んでいて。できるだけ簡単に書くのであれば,「主にバイパス比増」でも良いのかなと思ったのですけれども,どうですかね。

【吉田プログラムディレクタ】  aFJRプロジェクトは,正にバイパス比増というトレンドに対して,それにアドオンして良くするために,セラミックの複合材とか,空力効率の改善とかをやりましたので,先ほど佐藤委員がおっしゃった,主にバイパス比増に頼っていた効率を,これらを使ってより良いものに改善したというのが良いのではないかと思いますが,いかがでしょうか。

【丸山室長】  「主にバイパス比増に頼っていたジェットエンジンの」ということでよいですか。

【佐野部門長】  「主に」という表現が加われば良いと思います。

【佐藤委員】  そうですね,何かエンジンのサイズによってファン径が違ったりするので。細かくて申し訳ないです。

【李家主査】  ありがとうございます。そうすると,「これまで主にバイパス比増に頼っていたジェットエンジンの効率改善を」ということでよろしいですか。

【佐藤委員】  はい。

【李家主査】  はい,ありがとうございます。では,そういうふうに修正をお願いいたします。
 先ほど佐藤委員がおっしゃいましたけれども,今ここに書いてある「ジェットエンジンの効率改善」というところに熱効率,推進効率とかいうことが,この文章には含めているということですね。
 はい,ありがとうございます。
 あとはいかがでしょうか。お気付きの点,ありますでしょうか。
 では,そういたしますと,ただいま御指摘いただいた点を修正していただくということで,最終的には私の方でもう一度確認させていただいて,その上で研究計画・評価分科会にお諮りしたいと思いますが,それでよろしいでしょうか。
 どうもありがとうございます。では,そのように進めさせていただきます。

(2)その他
【李家主査】  そうしますと,次の議事の(2)その他ですが,事務局から報告事項があるとのことですので,御説明お願いいたします。

【宮川課長補佐】  報告事項は2件ございます。
 1件目でございますけれども,事務局の方から参考資料2に沿って,来年度の政府予算案について御説明差し上げたいと思います。
 参考資料2,束の一番後ろに付いている資料で,一枚ものでございます。
 文部科学省としましては,次世代航空科学技術の研究開発ということで,2019年度の政府予算案として,前年度,平成30年度が33.4億円だったところ,37.1億ということで予算案を提出させていただいておるところでございます。
 この航空科学技術の研究開発は,我が国の航空機産業の国際競争力を向上させるため,先導的な,かつ基盤的な研究開発を推進し,その成果を我が国の産業全体に還元するという目的の下,行う事業でございます。
 具体的な目標としましては,その下の囲みの中にある目標でございますけれども,2025年までに航空事故の25%低減,騒音を10分の1に低減すること,あるいは燃費を半減するという目標に向かって,各技術の研究開発を行うというものでございます。
 主なプロジェクトといたしましては,大きく二つ,航空環境・安全技術と革新航空機技術に分かれておりますけれども,この航空環境・安全技術が,本日御審議いただきました環境技術と安全技術から成るものでございまして,こちらについてが31.7億円ほどの要求でございます。
 主な内容としましては,コアエンジン技術といたしまして,今し方の御審議いただいた航空環境技術の中のグリーンエンジンに相当するもの,あるいは今年度よりこの事業としてやらせていただいております,施策マップ上で言いますと「コアエンジン技術」として燃焼器,タービンの開発を中心にやらせていただいているということです。
 その中で,技術実証に向けてのF7エンジンの整備を進めるというものがございまして,本年度の33億から37億への増額の一番大きな理由というのが,このF7エンジンの整備でございます。
 また,この航空環境・安全技術につきましては,前回,進捗状況を御報告差し上げた低騒音化技術,FQUROHであったり,あるいは本日御審議いただいた安全技術の中の航空機事故防止技術についても,この中に含まれております。
 また,革新航空機技術の研究開発は,昨年度と若干減でございますが,5億ちょっとというところでございますが,これは上半期に御審議いただきました超音速,あるいは電動の研究等を行うための費用でございます。
 そういった中で,37.1億,総額で要求させていただいているところでございます。
 一つ目の説明は以上でございます。
 続きまして,報告事項の2件目を続けてさせていただきたいと思いますけれども,束とは別に第3回のWEATHER-Eyeオープンフォーラムと,あと第1回の航空機電動化コンソーシアムオープンフォーラムについての資料をお配りしておるところでございますが,その2件はいずれも12月に開催したものでございます。前回の委員会では,「これをやります」という形で御説明差し上げたところでございますが,結果の御報告ということでJAXAの方からお願いしたいと思います。

【渡辺ハブ長】  それでは,JAXAの航空技術部門次世代航空イノベーションハブの渡辺から,簡単に二つのオープンフォーラムの開催概要を御報告させていただきます。
 まず,このオープンフォーラムというものですが,次世代航空イノベーションハブでは異分野・異業種とのオープンイノベーションを進めておりまして,そのための枠組みとしてコンソーシアムという形態を取っております。コンソーシアムの中に,同じ目標を持って,それを解決できるような方,それを使う方が集まって,その技術開発を一緒に進めていくという,そういう枠組みなのですけれども,その成果を発信する場が,オープンフォーラムというものです。
 まず,第3回のWEATHER-Eyeオープンフォーラムですが,これは気象影響防御技術(WEATHER-Eye)コンソーシアムが主催して実施しているもので,今回が3回目になります。コンソーシアム自体はちょうど3年目に発足しているものです。
 今回は,昨年の12月11日に東京大学の武田ホールで実施いたしまして,参加者数は208名で,前回,第2回とほぼ同数の参加者が得られています。
 具体的にどういう人たちが参加しているかですが,航空関係が半分弱ぐらいで,それ以外は機械,建築,土木,医療,化学,通信,情報等です。航空以外の分野の方も非常に多く参加いただいています。
 プログラムですが,基調講演と一般講演の構成になっていまして,基調講演の方は,CARATSと呼ばれる日本の将来の航空交通システムに関する長期ビジョンに関連して,航空気象情報の高度化の取組について,国土交通省の航空局からお話をしていただいています。
 また,気象庁の予報部からは,「気象庁における航空交通管理への対応」というタイトルで,気象に絡む国としての取組について御紹介いただきました。一般講演については,資料に細かい詳細はないですけれども,個別の技術開発成果について御報告をしています。
 特に, 3回目となる今回の一番大きな成果としましては,着氷防止塗料ということで,飛行機の翼だったりエンジンのファンにある条件で飛んでいると着氷するという現象がありますけれども,それを防止するような塗料を, WEATHER-Eyeコンソーシアムの中で開発した成果に基づき参加メンバーの一つの企業から製品として発売されたということがあります。我々はこれまで研究開発をずっと進めておりましたが,ようやくアウトカムが出たというか,社会実装のフェーズに入ってきたということです。
 また,滑走路に積もった雪や氷の状態や厚さを調べるというセンサーも開発していますが,それについても研究の段階から,だんだん実際の屋外環境で実証していくレベルに移ってきているということで,研究開発の進展が見られたのではないかと考えております。
 もう一つの方ですが,これは航空機電動化コンソーシアムに関するオープンフォーラムです。本コンソーシアムは昨年の7月にできた新しいコンソーシアムになります。今,世の中でもよく報道もされていますけれども,これから飛行機が車に次いで電動化されていく,EVの次は飛行機の電動化である,そういう大きな流れに向かって我が国が研究開発を進めるオープンイノベーションの場として作ったのがこのコンソーシアムでありまして,その第1回のオープンフォーラムを昨年の12月21日に,一橋講堂で開催いたしました。
 これは初回ということで,このコンソーシアムがこれからどうやって航空機の電動化に向かって取り組んでいくかという将来ビジョンを報告することを最大の目的として開催したものです。
 こちらの方は参加者数が392名ということで,恐らくJAXAの航空技術部門がこれまでやってきたシンポジウム等では最大規模のものだったのではないかと考えています。特に,航空機電動化という比較的小さいトピックでこれだけたくさんの方に来ていただいたというのは,世の中の関心度が非常に高いということを表しているのだと思います。
 実際の参加者の内訳ですが,航空関連の方は5分の1だけで,それ以外は航空以外の輸送,例えば車とか鉄道等,又は流通関係,それから機械製造業,電気,ガス,通信,情報,医療,化学など,非常に幅広い分野から参加していただきまして,航空機の電動化というのが,航空だけではなくていろいろな分野の可能性を秘めているということを御理解いただいて,集まっていただいたのかなと考えております。
 オープンフォーラムの中身ですけれども,このチラシの裏を見ていただきますとおわかりのとおり,このコンソーシアムの中核でありますステアリング会議で検討してまいりました航空機の電動化将来ビジョンを,ここで初めて報告させていただきました。
 その後,基調講演としては,航空産業育成の観点で政策の企画立案を担当されております経済産業省さんから御講演を頂きました。さらに,航空機を電動化しますと安全認証が必要になってきますが,それへの取組の方向性について国土交通省の航空局からもお話しいただきました。基調講演を通じて官として航空機の電動化についてどのような考え方と期待を持っているのかということを御報告いただきました。
 その次の個別発表につきましては,航空機メーカー,エンジンメーカー,電機メーカーの方々から,どういう技術が必要であるかということと,それぞれの分野からどのような期待を抱いているかについて御報告いただきました。その後,ステアリング会議のメンバーを中心として,「航空機電動化への挑戦」というタイトルでパネルディスカッションを行いまして,最後には藤吉課長に閉会の挨拶を頂いております。
 ここで特徴的な点は,質問票を通じて非常に多くの質問が得られたという点で,参加者の関心の高さを表していると思います。また,オープンフォーラムの目的は,新たにこの航空機の電動化に貢献できる技術を持っている人たちに入ってきていただくことと,航空機の電動化を使っていただくユーザーの方をより広げていくことですが,そういう観点では,このオープンフォーラムの後,短期間でコンソーシアムの一般会員についての問合せが10件程度ありましたので,ただ聞きに来られただけではなくて,実際に取り組みたいという方も出てきているというふうに考えております。
 あと,今回の主要なポイントでありました航空機電動化の将来ビジョンですが,ちょっと厚い冊子がお手元にあると思いますが,1枚めくっていただいたところにあります,概要版だけを簡単に御紹介したいと思います。
 一番上の四角の枠のところに丸1から丸5がありますが,ここでは背景等が書いてあります。まず,この場でも何回も御報告していると思いますが,今後20年間で航空輸送需要は2倍以上に増えるという環境があること。
 その一方で航空機の排出するCO2には国際的な削減目標があって,2005年に比べて2050年では半減するということが合意されています。その目標に向けた取組としては,現状すでにある,効率を上げてCO2の排出を削減する技術を改良していくということが最初にあるわけですが,それ以外にもバイオ燃料の導入等もあります。ただし,これらだけだとこの目標は達成できませんので,推進系の電動化が非常に重要な新しい技術項目となってきます。
 現状の技術レベルはどうかといいますと,小型機であれば推進系の電動化は可能なレベルまで来ています。
 そういう背景の中でコンソーシアムを設置した目的ですが,航空機の電動化は航空工学の分野だけでは実現できませんので,多分野にわたる国内外の連携によってCO2排出等の環境負荷を抜本的に低減する革新的な航空機電動化技術を創出し,先ほどの国際的なCO2排出量削減目標を到達させていくということと,その活動を通じて航空産業の持続的発展に寄与するということです。
 その活動を行っていく中で,この将来ビジョンの意義は,コンソーシアムの参加者間で目指す方向性をしっかり共有することによって,円滑に航空機電動化に向けた研究開発を促進していくということです。さらには,これを示すことによって,航空分野以外の方にもしっかり入っていただいて航空産業の裾野を広げ,規模も拡大していくということが目指しているところです。
 「将来ビジョンの概要」というところでは,細かい字で申し訳ないですが,一番上に,それぞれの技術をいつどういう形で社会に実装していくかということを示した将来ビジョンそのものの部分,つまりゴールの部分が赤い枠で書かれています。
 さらに左下には,それを実現するために必要な重要技術課題は何かという整理があって,右下の「技術ロードマップ」と書いたところは,ここに書かれた重要技術課題をどのようなステップで解決していくことによってゴールに到達できるのかという道筋が書かれています。
 まず,ゴールである将来ビジョンですが,大型の旅客機がすぐに電動化できるというわけではありませんので,2020年代については小出力用途,小型機であったり,航空機の中の装備品の電化という部分,つまり「MEA」が最初にスタートして,2030年代になると,細胴機またはシングルアイルと呼ばれる,通路が1列の比較的小さい旅客機に電動化技術の適用が始まる。2040年代になると広胴機,ツインアイルと言われるような大型機にも電動化の技術が適用され始めて,2050年代になりますと,水素を使った燃料電池等も導入することによって,CO2削減への明確な寄与を行うような理想形に近づいていく。こういうような技術の社会実装について議論した結果が示されています。
 それを実現するために必要な重要技術課題ですが,旅客機のような大型機のものと,Urban Air Mobilityのような小型機のものが大分違うのですけれども,まず大型機については高高度で飛行しますので,放電の問題や放射線の問題に対して個別にしっかり対応していくことが必要です。高高度の環境適合技術というのは航空分野特有であり,ほかの分野では解決してくれませんので,優先度を持ってやっていかなければいけません。
 Urban Air Mobilityについては,「空飛ぶクルマ」と普通言われていますけれども,低高度で人口密集地の上で運用されるケースもありますので,絶対に落ちてはいけないという安全性の技術と,あとは低い高度を飛ぶので低騒音化技術が非常に重要になるというようなことを,整理をいたしました。その右の技術ロードマップでは,将来ビジョンに向けて技術開発をどういうふうに進めていくかを書いてあります。概念検討から研究開発,システム開発・統合,相当環境実証,航空機開発というステップを経て,最終的な将来ビジョンの実現につながるということになります。
 このオープンフォーラムは12月21日に行われましたが,その前日の12月20日には,空の移動革命に向けた官民協議会におきまして,「空の移動革命に向けたロードマップ」が公表されております。これは,本将来ビジョンの内で,空飛ぶクルマの部分に特化して,官民でロードマップを作ったという画期的な取組です。それは我々のロードマップの最初の方の小型機の段階とオーバーラップしてまいりますので,我々は官民協議会と連携を取って,ゴールとか時期とかに齟齬がないように調整をしています。
 ロードマップで一つ大事なのは,将来ビジョンに向けては,いろいろなステップがありますので,この青い枠で書いてあります「相当環境実証」と言われる地上実証や飛行実証により技術を実証するステップを明確に置いた点で,それを中間ゴールにして進めていくことが大事だろうと考えております。また,電動要素の高出力密度化等の共通技術は,旅客機用途に限らず早期の適用対象としてMore Electric Aircraft,MEAや小型電動航空機,空飛ぶクルマ用途にも展開できるので,それもしっかり考えて技術のステップを踏んでいくロードマップを提示したわけです。
 今後の活動ですけれども,コンソーシアムで,この技術ロードマップに沿って実際の研究開発を進めていくわけですが,コンソーシアムのそれぞれのメンバーがどういう技術を持っていて,どういうことをやりたいと思われているかということを伺って調整しながら,具体的な技術開発をなるべく早期に,タイムリーに進めていきたいと考えております。
 私からの報告は以上です。

【宮川課長補佐】  以上で2件の報告は終わりでございます。

【李家主査】  どうもありがとうございました。
 では,ただいまの御説明に関して,御質問や御意見等ありましたらお願いいたします。

【佐野部門長】  私から資料の補足説明をさせて下さい。今,渡辺が説明したページは1枚で全部盛り込んでおりますが,個々のグラフが後ろのページにございます。例えば渡辺が字が小さいと言ったグラフに関しては、39ページを開けていただくと,正にこの技術ロードマップのA4判がございます。一枚紙の中の三つのグラフに関しては、後ろのページに大きなグラフが入っております。それを補足で申し上げておきます。

【李家主査】  ありがとうございます。いかがでしょうか。
 はい,どうぞ。

【冨井委員】  日刊工業新聞の冨井と申しますけれども,JAXAの方にお聞きしたいのですが,これは確か,コンソーシアムとは7月でしたか,発足して,それから,例えば企業数がどれぐらい拡大して,検討がそのときから比べてどれくらい進んだかというのは何かありますか。

【渡辺ハブ長】  最初はステアリング会議というのを作りました。ステアリング会議のメンバー数は正確に覚えていないですけれども,8機関か9機関だったと思います。JAXAと経済産業省さんと,航空機メーカーさん,あとは電機メーカーさんのような形でスタートしまして,まず最初は,この将来ビジョンを作るために,いつまでにどういうゴールを目指して,何をやるかという議論を進めてまいりました。それと並行して,一般会員という実際に研究開発をやられる人たちも,募集という形は明確にはしていないのですが,我々が重要な技術を持たれているところに声掛けをしたり,向こうから探してこられたりということで,少しずつ増えてきていて,先ほどお話ししましたが,このオープンフォーラムの後に9機関から参加希望が来ています。それまでに30機関ぐらいの参加がありますので,今は,全部合わせると40機関ぐらいが一般会員ということになりますが,今後も増えていくとは思います。
検討の進捗については,将来ビジョンを正に作り上げたという段階です。組織の拡大の進捗としては,最初の8機関ぐらいから,ステアリング会議メンバーを含めると50機関ぐらいまで今,増えてきたという感じです。

【冨井委員】  分かりました。

【李家主査】  ほかはいかがでしょうか。
 どうぞ。

【武市委員】  今御説明いただいたページと違うページで恐縮なのですけれども,20ページ,21ページですね。一番下に,「小型機も低リスクの用途から実用化される」とか,あと21ページの「技術リスクが低い順から社会実装」とあるのですけれども,社会実装は儲かる順からではないのですか。世の中のニーズは,その儲かる方向性と低リスクの方向性が一致しているのが重要と思うのですけれども,この点がちょっと気になりました。

【渡辺ハブ長】  ここのリスクと言っているのは,技術的に今難しい,だから技術的にできないというところの技術リスクを主に書いているところです。ですので,おっしゃる通り本当はニーズが高いところから始めたいのですけれども,ニーズが高くても技術的なステップが高過ぎると,それはすぐには実現できないという意味で,「低リスクから」と書いています。
 例えば今,小型機だと,先ほど申し上げましたとおり,今のバッテリーやモーターの技術でもある程度成立するので,そういう意味では低リスク,つまり技術的なリスクは低いと書いていまして,一方,旅客機になってきますと,当面それだけの推力を出せる技術の実現可能性はないという意味でリスクが高いと書いているということです。

【武市委員】  そうすると,社会ニーズ,要するに儲かる儲からないという方向性とは必ずしも一致しませんね。

【渡辺ハブ長】  そういう意味では,儲かる,儲からないという議論は,まず技術があって,それがあるコスト内でできるかどうかが前提条件となると考えています。旅客機の電動化は将来的には間違いなく儲かると思いますけれども,まだそこはできるだけの技術レベルにはないので,技術的にリスクが高くてすぐには実現できないという考え方です。

【武市委員】  そうすると,これからのマーケットニーズで拡大するポテンシャルが大きいところと,そうでもないところという視点ともまた違いますか。

【渡辺ハブ長】  一つは,電動化は置き換え技術なので,今ある旅客機の数が増えるというのとは別に,今ある旅客機のジェットエンジンが電動に変わると現状の数だけのマーケットニーズがあると言えます。今は旅客機の話をしましたが,もちろん空飛ぶクルマみたいな今世の中にないものが出てきますので,これは新たにマーケットが増える話です。すみません,お答えになっていないかもしれないですけれども。

【武市委員】  置き換えのマーケットよりも,なかったものが出来上がるマーケットの方が大きいですよね。

【渡辺ハブ長】  はい。そういう意味ではおっしゃる通り,近い将来で言えば空飛ぶクルマみたいなものが実現すると,それは,今は世の中にはないマーケットです。どのくらい増えるかという予測は非常に難しいところですが,大きな期待がありますので,官民協議会の中でも,事業者も含めて非常に熱心に議論されてきています。

【武市委員】  それと,参加されているところの中には,より確実にやれるところより,リスクがあってもマーケットとしてはポテンシャルが高いところをやりたいと思っている人もいますよね。
 要するに,確実にできるという方向性だけじゃなく,マーケットとしてのポテンシャルが高い方向性といった観点も多少は入れていただきたいなと思います。

【渡辺ハブ長】  それはおっしゃる通りだと思いますので,今後考えていきたいと思います。

【佐野部門長】  参加されている方が企業の方なので,当然それは念頭の中にあって御参加されていると思います。その中にあって,技術がないと成立しないところがあるので,そういう意味で,このコンソーシアムを利用して,今後も民間の皆さんと議論して,「こういう技術が必要だ」と仰っていただければ、私たちJAXA側で技術の準備をする等,このような形で進めていきたいと思っております。

【武市委員】  国内だけだったらそれで良いと思うのですけれども,結局欧米を見ていると,例えばUAMのマーケットがこれから伸びるだろうという風に皆さんおっしゃると思うのですが,それは技術的に難しいからといって後回してしまうとチャンスを逃してしまいませんか。

【渡辺ハブ長】  そういう意味では,マーケットは国内はある意味限られている部分もありますので,当然,世界中のマーケットが対象と考えています。

【難波委員】  ということは,今このオープンフォーラムの中に,国交省さんの認可の問題とかも提起があると思うのですが,日本では今,MRJもなかなか取れないように,やはり非常に大きな厚い壁があると思うのですね。今のお話ですと,まず世界から先に攻めていって,逆に日本にフィードバックするという感じになるのでしょうか。

【渡辺ハブ長】  いろいろなやり方があると思います。そこはまだ明確には世界が先とかいうことは考えておりませんが,航空機の電動化については,世界中でどこにも明確な基準はないので,そういう意味で,「用意ドン」の状況ではあります。
 ですので,オープンフォーラムでも御講演を頂きましたけれども,国土交通省さんとしても,技術ができてからその認証について考えようということではなくて,技術の進歩と同時に,そのための基準作りとか認証の枠組み作りというのに取り組まれようとされているのだと思います。そうでないと海外に後れていってしまうと認識されていると理解していますし,我々もそう思っています。

【佐野部門長】  そういう意味では,今日ここに経産省の高橋さんがおられますが,官民協議会のロードマップというのがあります。空飛ぶクルマに焦点を当てた官民協議会ロードマップです。その中では、一番ボトムに技術があって,真ん中に安全基準があって,一番トップに事業者がいらっしゃる。3本並行で進もうという取組みは世界初だと思います。きっと世界でこのような同一取組は見たことがないので,今日本は後れていると言われていますけれども,こういう取組で日本の力を示すという良いチャンスではないかと認識しております。経産省のホームページでダウンロードがすぐできます。

【経済産業省製造産業局航空機武器宇宙産業課高橋係長】  国交省のホームページでもできるので。

【佐野部門長】  そうですね,両省ですね。

【李家主査】  いかがでしょうか。

【松島委員】  やはり電動化のコンソーシアムのことでお伺いしたいのですけれども,小型機というか,Urban Air Mobilityに関する技術と,それから大型機に関する電動化の技術というのは大きく違うものだというふうに今おっしゃったかと思うのですけれども,その二つのものを,まず小型のものから始めて大型化のものへつなげていくというところがどれぐらい現実的というか,効率的というか,その限られた人員と予算の中でという意味で考えると,少し難しいところもあると感じるのです。特にUrban Air Mobilityに関して言えば,もう既に昨年のエアショーとかでもそれなりの技術のものが海外のメーカーとか,そういうところから出ているというような話も聞きますし,そういう中でJAXAさんとしてやるべきことは何なのかなという,小型の電動エンジンとしてやるべきことは何なのかなということと,それがそのまま大型機にどういうふうにつながっていくのかなというところが知りたいと思っています。

【渡辺ハブ長】  コンソーシアムは, JAXA主体でJAXAの中に作っているのですが,コンソーシアムで開発した技術をメーカーさんが実用化して世の中に出していくことを目指しているコンソーシアムです。そういう意味ではJAXAとしてどっちをやりたいというよりも,やはりコンソーシアムで事業をやられようと考えている企業さんがどう考えているかというのを重視しています。
 中には小型機をやりたいという企業もあるし,大型機をやりたいという方もいるので,両方欲張りに書いてあるようには見えるかもしれませんが,全てのメンバーが両方やるという意味ではありません。
 コンソーシアムとしては,どちらかに絞るというのではなくて,やりたい方々の意欲や方向性を妨げないで伸ばしていくという発想で作りましたので,両方が入っている形になっています。

【松島委員】  ただコンソーシアムとして世話係をするというだけではなくて,JAXAというものは研究機関であり,開発の機関であるので,足りない技術とか,その中で実現が難しい技術とかというところに対してフォローというか,ある意味先導していくというところもあるかと思うのですけれども,そういう個々の技術に対して,現状,空飛ぶクルマというようなものがある程度実現可能性のある中で,ここがキーになるからそこを頑張ろうとか,そういうふうなところというのは見えているのですか。

【渡辺ハブ長】  ある程度もちろん見えています。我々JAXAはどちらかというと,小型機と大型機というとやはり大型機の方が技術的に難しいですし,CO2の排出削減に一番大きなインパクトがありますので,大型機に向けた非常に難しい技術を中心に研究開発を着実に積み上げていくということです。
 あとは,誤解があったかもしれませんけれども,小型機はすぐできる,大型機は遠いので大型機は後にやるという意味ではなくて,大型機の方は難しいので,今から小型機と並行して始めないとできませんので,大型機も今から着実に進めていきます。

【松島委員】  ありがとうございました。

【李家主査】  はい,どうぞ。

【佐藤委員】  今の質問と関連しているのですけれども,大型機をやるときにシステムをどうするかというのと,各要素をどうするかというのと両方あると思うのですけれども,両方ともやっていくのですか。システムの検討もまだどれが良いのか,多分要素の進み具合によってシステムもどれが良いかというのがどんどん変わっていくと思うのですけれども,そういうところはどういう形で進めていかれるのでしょうか。

【渡辺ハブ長】  コンソーシアムの基本的な考え方は,JAXAだけでは全てができないというところにあります。例えば電動化のキーとなるモーターだったりバッテリーだったりという単体がJAXAは得意なわけではありませんので,全部JAXAがやるという考え方はやめて,得意な方々と一緒に協業するという考え方です。ですので,今,佐藤先生がおっしゃったようなコンポーネントは,JAXAでやる部分もあるとは思うのですけれども,電機メーカーの方々が入ってきていますので,主にはそちらにお任せする。また,自動車メーカーでEVやハイブリッド車で得意とされている技術とかいうのも取りこんでいきたいと思います。そういう形ですので, JAXAは一部のコンポーネント技術とシステム技術を担当して全体を取りまとめていくということになると思います。

【佐藤委員】  システムがどんどん変わっていくような感じがして,最初の電池が高密度化していくにつれて,だんだん良いシステムに変わっていくというときに,ターゲットをどういうふうに絞っていくのかなというのが。

【渡辺ハブ長】  まずは将来ビジョンで書いたようなゴールを実現するために,それぞれのコンポーネントに性能の割り振りをして,それらほとんど全てについて現在の技術とのギャップがあるわけですけれども,それぞれの性能目標が到達できそうか,できないかというのが見えてきたところで,その目標の割り振りを変えていく,その結果としてより良いシステムに変わっていくというイタレーションになるのだと思っています。
 おっしゃるとおり,今すぐにこのシステムでこうやるのが良いというのは決められないので,それがイタレーティブに決められるような仕組みを作っていくということだと思います。

【佐藤委員】  ありがとうございます。

【李家主査】  ほかはいかがでしょうか。
 ちょっと私から,今までの御質問と重なるところは多いかもしれないのですが,航空委的な視点で言うと,最初の参考資料2で,政府予算案のところであったJAXAのプロジェクトとしての革新航空機技術の中に電動推進システムというものがありますけれども,それが多分,今後航空委の活動と関連してくると思います。その点と今御説明があったこのコンソーシアムとの関連なのですが,コンソーシアムで議論したものが徐々に航空委での議論に流れてくるような,そのようなイメージなのでしょうか。

【渡辺ハブ長】  基本的にコンソーシアムは,JAXA以外の方も一緒になって協力してやっていくものなので,その中でJAXAの実施する部分がこちらの予算の項目に対応していると考えていただいて結構だと思います。
 ただし,場合によっては,大きな技術実証をやるようなことになっていった場合には,JAXAが主に予算を取って,外部と連携していくというやり方もあるかもしれませんが,現段階では,飽くまでもコンソーシアムのJAXA担当部分がJAXAの予算で実施される,そういうふうに考えていただければと思います。

【李家主査】  では,ちょうどコンソーシアムをうまく利用して,いろいろな情報を得ながら,次のJAXAとしてやるテーマがこれであるとか,そのように決めていくということですね。

【渡辺ハブ長】  そうですね,それはそのとおりです。

【李家主査】  ありがとうございます。
 それから,あともう1個よろしいですか。せっかく高橋さんもいらっしゃるので伺いますが,昨日か一昨日のニュースでボーイング等の関係に関することが流れていましたけれども,その辺とこのJAXAとの関係に関連して,日本としてはどのようにやっていくような流れになるのか伺えますでしょうか。

【経済産業省製造産業局航空機武器宇宙産業課高橋係長】  ありがとうございます。
 最初に概要から,私からお伝えをすると,昨日,1月15日にボーイングのCTO,最高技術責任者であるグレッグ・ハイスロップ氏が経産省へやってきまして,うちの副大臣と共に,将来技術に関する協力,お互い協力し合いましょうということを合意しました。これは簡単に言うと技術協力の合意なのですけれども,技術は何かというと三つでございまして,一つは正にここでお話しいただいた電動化の話で,二つ目が複合材で,三つ目が製造工程,製造の自動化という。英語で言うと,電動化というのはElectrificationということで合意しましたし,複合材で言うとCompositeですし,自動で言うとAutomationという言い方をしています。その三つの技術について協力をするということで,協力というのは何かというのが,経産省はそういう三つの分野において,非常に日本で有望なプレーヤーをボーイングに紹介します。さらに、そのプレーヤーが仮にボーイングと共同研究開発だとかをする場合の支援を実施しますという形で協力しますという。
 ボーイングはそれに対して,経産省や日本に対して,彼らのいわゆるビジョン,戦略を日本とそのパートナーに対して共有し,もし仮にそういう共同研究が始まるときには,その技術の実用化に向けて非常に頑張りますという風な,その二つをもってして協力するという風に言っています。
 これは概要ですけれども,今おっしゃっていただいた,JAXAさんとの御関係だとか,経産省としてどうするかという意味では,正に今申し上げた三つというのは将来の航空機に必要となる技術トレンドだと思っていまして,この技術の成果が,将来の航空機産業の発展に直結するものだと思っています。
 まだ何もボーイングに,例えば電動化コンソーシアムでこうしようとか,我々も言えていないのですけれども,私の一案としては,例えば電動化コンソーシアムで生まれた研究開発成果だとか研究開発プロジェクトみたいなものを,我々がこういうボーイングとのチャンネルを作ったという形でもあるので,例えばこういうボーイングに対してそういう研究開発の成果をどんどん紹介をして,ボーイングとの共同研究につなげていくだとか,ボーイングにアピールをして,将来ボーイングが造る航空機にそういった技術が実装されるような貢献を,我々からするという形はできると思いますし,ボーイングについてもそういう,正に自分たちが追えていない新しいプレーヤーを探しているというところでもあるので,そういうおつなぎを我々はできると思いますし,仮にそういうもので何か成果として,非常にボーイングも目を付けて,一緒にやっていきたいということであれば,我々も支援をするという気概でおりますので,そこで更に社会実装へ向けて御一緒に連携できるという余地があるのではないかなと思います。

【李家主査】  ありがとうございます。日本の航空機産業の発展につなげていくということですね。

【経済産業省製造産業局航空機武器宇宙産業課高橋係長】  そうですね,はい。

【李家主査】  せっかくの機会ですから,JAXAの方で,どのようなことができるかとかコメントはありますか。あるいは今は,まだそういったことを言えるような段階ではないですか。

【渡辺ハブ長】  そうですね,まだ我々も伺ってから日が浅いのでなかなか明確な回答はできません。ボーイング以外にも世界にはプレーヤーはいらっしゃいますので,ボーイングとだけというのはありませんけれども,今,高橋さんがおっしゃったようなことは十分あり得るのだと思います。今,もしコンソーシアムがなければ,ある1社の技術を個別にボーイングに売り込むという形になると思うのですが,コンソーシアムの何社かが,JAXAも含めてかもしれませんけれども,一つのまとまった技術を作っていって,それをまとめた形でボーイングに紹介していただくというような形になれば,経産省とボーイングとの協力覚書が結ばれたというチャンスを活かすうまい組合せになり得るのかなとは思っています。

【李家主査】  分かりました。ありがとうございます。こういったいろいろな活動を通して,JAXAとしても,あるいは文科省から見ても,日本の科学技術の発展や社会実装にこれが本当につながっていくような,良い流れができるという,そのようなことを期待したいと思います。

【渡辺ハブ長】  ありがとうございます。

【李家主査】  では,よろしくお願いします。
 ほかはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 ほかに,今日のその他の議事も含めまして何かございますでしょうか。
 よろしいようでしたら,今日の議事はこれで終了いたしましたので,進行を事務局の方にお返しいたします。

3. 閉会

【宮川課長補佐】  最後に事務連絡をさせていただきます。
 本日の会議をもちまして,平成27年からの2年間の第9期航空科学技術委員会が終了いたします。今後につきましては,また改めて御連絡を差し上げたいと思います。
 また,本日の委員会の議事録につきましては,事務局にて案を作成し,委員の皆様に御確認いただいた上で文部科学省のホームページに掲載させていただきます。
 それでは,これで科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会第60回航空科学技術委員会を閉会いたします。本日はどうもありがとうございました。

(了)

お問合せ先

研究開発局宇宙開発利用課