航空科学技術委員会(第59回) 議事録

1.日時

平成30年12月4日(火曜日) 15時30分~17時30分

2.場所

文部科学省 18階 研究開発局会議室1

3.議題

  1. 研究開発課題の評価について
  2. その他

4.出席者

委員

科学技術・学術審議会臨時委員  李家 賢一【主査】
科学技術・学術審議会専門委員  佐藤 哲也
科学技術・学術審議会専門委員  高辻 成次
科学技術・学術審議会専門委員  武市 昇
科学技術・学術審議会専門委員  竹内 健蔵
科学技術・学術審議会専門委員  冨井 哲雄
科学技術・学術審議会専門委員  難波 章子
科学技術・学術審議会専門委員  松島 紀佐
科学技術・学術審議会専門委員  山内 純子
科学技術・学術審議会専門委員  和田 雅子

文部科学省

大臣官房審議官(研究開発局担当)  岡村 直子
研究開発局宇宙開発利用課宇宙連携協力推進室長  丸山 智
研究開発局宇宙開発利用課課長補佐  宮川 毅也

(説明者)
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)
航空技術部門長  佐野 久
航空技術部門航空プログラムディレクタ  吉田 憲司

オブザーバー

経済産業省
国土交通省

5.議事録

1.開会

【宮川課長補佐】  定刻より二,三分ほど早いですが,ただいまから科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会航空科学技術委員会第59回を開会いたします。
 私,事務局を務めております宮川と申します。よろしくお願いいたします。
 本日はお忙しい中お集まりいただき,ありがとうございます。
 初めに,本日は航空科学技術委員会の委員10名のうち,現時点で9名に御出席していただいておりますので,定足数である過半数を満たしていることを御報告いたします。なお,冨井委員におかれましては所用により遅れての御出席と伺っております。
 続いて本日の出席者でございますが,事務局側に人事異動のため,本日初めての出席となります者を紹介させていただきます。
 大臣官房審議官の岡村でございます。

【岡村審議官】  岡村でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【宮川課長補佐】  このほか,説明者としてJAXAに,オブザーバーとして経済産業省,国土交通省に御出席いただいております。個別の御紹介はお手元の座席表をもって代えさせていただきます。
 続いて,配布資料の確認でございますが,議事次第が一番上となっているクリップどめのものに,座席表と議事次第が一番上となり,資料59-1-1から59-2-3,及び参考資料1から3を綴じさせていただいております。また,机上配布資料としまして,紙ファイルの参考資料,JAXAの第3回ウェザーアイオープンフォーラムと,第1回の航空機電動化コンソーシアムオープンフォーラムのチラシを配布させていただいております。不足等がございましたら事務局までお知らせください。
 それでは,以後の議事に関しましては李家主査にお願いいたします。

 2.議事

(1)研究開発課題の評価について
【李家主査】  今日は季節外れのお暑い中お集まりいただきまして,ありがとうございます。まだ冨井委員はいらっしゃっていませんが,いらっしゃれば全員出席ということで,久しぶりのことになるかと思いますが,今日も御議論よろしくお願いいたします。
 それでは,議題の1番目,研究開発課題の評価について御議論いただきます。今回の委員会では航空安全技術の研究開発の事後評価,それから航空環境技術の研究評価の事後評価を行いたいと思います。
 では,まずは航空安全技術の研究開発の事後評価から行っていきたいと思いますので,事務局の方から御説明お願いいたします。

【宮川課長補佐】  資料59-1-1を御覧ください。航空安全技術の研究開発の概要を示しております。本件は航空事故原因の半数以上を占める乱気流などの航空気象に対応する技術と,災害時に救難航空機を効率的かつ安全運航を支援する技術から構成されるものでございます。
 具体的に前者,気象に関するものにつきましては,さらに乱気流に対するものと雪氷等のそれ以外の航空機の運航に顕著な影響を与える気象条件に対するものに分けられます。乱気流に対しましては,ドップラーライダーにより晴天乱気流を事前に検知し,この情報を乗務員に対して適切に知らせるとともに,事前に検知できることを生かして効率的に動揺を低減する技術開発がなされました。その他につきましては,運航中の機体に雪氷をつきにくくする技術や,滑走路上の雪などの検知を行う技術等の研究開発がなされました。
 後者,災害時のものでございますけれども,主にヘリコプターの機体と地上の災害対策本部を通信網で結び,関係する機体の運航情報をリアルタイムで視覚的に共有することによって,災害時に救難機等の航空機の効率的かつ安全な運航をサポートする技術開発がなされました。
 資料の1.になりますが,課題の実施期間は平成25年~平成29年度の5年間で,昨年度末でその期間を終えたところでございます。そのため,航空科学技術委員会において事後評価をお願いしたいと考えております。
 また,本研究にかかる執行額,実施体制,成果の概要等はこの59-1-1の4~6に示している通りございます。
 6に概要等示しておりますけれども,まずはこれまでの研究開発の成果について,JAXAから報告をお願いしたいと考えております。

【JAXA吉田プログラムディレクタ】  JAXAの航空プログラムディレクタの吉田と申します。御説明させていただきます。お手元の資料の59-1-3を見ていただければと思います。
 まず,表紙をめくっていただきまして目次のところですが,本研究開発のテーマは1,2,3の大きく三つあります。それらについて各々御説明申し上げます。
 3ページ目をまず御覧ください。最初はSafeAvioプロジェクトというものですが,これは晴天乱気流の検知技術の研究開発プロジェクトでございます。そこにありますように,目的は国内の航空機事故の原因の50%超を占める乱気流への対応として,従来の気象レーダーで検知できない晴天乱気流への安全対策として,JAXAが保有してますレーザレーダ,これをライダーと呼びますが,その技術をベースに晴天乱気流の検知技術及び情報提供技術を開発するということが目的です。
 その右の下に円グラフがありますが,これが国内での航空機事故の原因の割合を書いたもので,この青いところが乱気流による事故ということで,50%を超えており,これを何とかしたいというのが最初のポイントになります。
 JAXAのライダーですが,この右の上に飛行機のノーズの下にポットを付けまして,そこに横から見た断面の絵がありますが,レーザ光が出るような装置,それから出てきた反射光を検知するような装置が付いたものでございます。このプロジェクトの目標は,そこにありますように,かいつまんで申し上げますと,ライダーの晴天乱気流情報をパイロットに事前提供するシステム技術を開発し,その有効性を飛行実験によって実証するということでございます。
 その進め方としましては,産官学連携体制で行いました。その左の下に実施体制を示しております。まず,JAXAの中,航空技術部門にSafeAvioプロジェクトチームというものをつくりまして,次にいろいろ図がありますが,その中の緑の破線で囲んだところがSafeAvio研究会というものでございますが,そこを母体として連携しながらこのプロジェクトを進めていくというやり方を取りました。
 次に,4ページ目を御覧ください。このプロジェクトの成果を大きく二つに分けてまとめてあります。一つは実証試験の結果でございますが,そこに矢印で示してあります大きく二つの技術を世界で初めて実証しました。一つ目は,乱気流検知装置です。これはもう一度御説明します。レーザ光のパルス信号を光アンテナ装置から送信し,前方の空気中にあります微小なエアロゾルに反射した散乱光を受信しまして,そのドップラー効果による波長変化を信号処理装置で解析することによって,前方の気流の速度情報等を観測するというものです。これにおきましては,JAXAの特許技術であります有色ノイズ低減技術などを使いまして,非常に微弱な散乱光を検知することができるようになっております。
 この成果でございますが,飛行実験の結果は下の図で右から二つ目に図になります。ここで横軸がその装置の重量,縦軸がどこまで見えるかという平均観測距離になります。我々の飛行実証によりまして,この赤い星印のところが得られた成果でございます。まず,観測距離は17.5kmという当初目標以上を実現し,装置の重量は83.7kg,これも当初の目標以下のもので実現できました。この成果は,時間換算でいいますと,70秒前に乱気流を検知できるということで,これはこれだけ時間があればパイロットがシートベルトサインを出して事故を防止できるというものでして,世界最高性能であると我々は考えております。
 次のものは,乱気流情報提供装置でございます。これは,そのライダーからの情報と航空機の飛行データを統合して,ウィンドシアーとか乱気流の検出及び計器表示を行うものです。対気速度予測表示というものを世界で初めて開発して,実証しました。図のところの左から二つ目に乱気流の情報提供装置の表示の一例を載せております。このオレンジ色の線が,ウィンドシアーの遭遇する方向が先にあるということを示したものでございます。
 それから,もう一つの成果として,事業化・標準化への貢献がありますが,これはまず国内装備品メーカーがSafeAvioプロジェクトの技術を使って実用化に向けた開発投資を決断しております。そのSafeAvioプロジェクトの技術を次にボーイング社の飛行試験プログラム, ecoDemonstratorというのがあり,今年ありましたので2018と命名されておりますが,そこに搭載技術として採用されまして,今年の3月から4月に飛行実験をさせていただくことができました。この右側の飛行機の写真がそれでございますが,それによりまして,ボーイング社から航空機アビオニクスとしての評価を得ることができました。
 次に,この装置を実際に搭載できるようにするためには技術標準化というプロセスが必要になります。それには米国の航空無線技術委員会,RTCAというところの調査・検討に参加する必要がありまして,そこに参加することになりました。
 以上がSafeAvioの成果でございます。
 次に,2番目のテーマであります災害対応航空技術,D-NETの成果です。5ページ目でございます。まず,この目的は,災害時の救援航空機をより効率的かつ安全に活用する統合運用システムの技術開発を行うことです。目標は,政府の総合防災訓練等の場において,このシステムを実際に評価していただき,その結果を反映してシステム仕様を確立して,最終的にはその成果を民間企業に移転して実用化につなげるということが目標でございます。
 成果は大きく三つに分けて御説明いたします。
 まず最初は,システム開発実証試験に関するものです。このページにあります写真類がそれでございまして,地上システム,機上システム,モバイルシステム等を開発しまして,防災訓練等の場でシステムの評価,改良を重ねて,その策定した仕様が妥当であることを確認しております。左側の写真が地上システムの例ですが,左の上の写真の奥の方にディスプレイがありますが,これはD-NETディスプレイと呼んでおりまして,いろいろな情報をそこの画面に表示できるようにしてあります。それから,ここに参加している皆さんが机の上で見ているもの,これが右側の写真にもありますが,D-NETのインタラクティブプロジェクターというものでして,そこにいろいろな災害情報等がデジタルで表示されていて,皆で同時に共有できるというものです。右側の写真の上は機上システムでございまして,左側の写真にディスプレイとか本体とかの幾つかのパーツがありますが,これは持込み型の装置でございます。これを持ち込んでヘリの中でD-NETシステムが使えるようにしました。それから,下はモバイルシステムでございます。これはD-NETウェブというものをつくりまして,これですと普通のスマホとかPC等で普通のブラウザにアクセス可能でございまして,情報がそこにつながるということです。このようなシステム群をつくりまして,実際に防災訓練でお使いいただいて評価をいただいたということです。
 評価結果はこの左下の円グラフにありますが,そこに回答者と書かれた多くの団体の方々からいただきまして,結論は青い82%というのは,非常に良いという評価をいただき,赤いところは良いということですから,良い以上の評価が100%,つまり悪いのが1つもないということで,非常に高い御評価をいただいたものと感謝しております。
 それから,次の6ページでございます。これは二つ目の成果ですが,システムの実用化,社会実装に関するものでして,まず民間企業への技術移転を行った結果,先ほど申しました機上システムは搭載型が2013年,持込型が2015年に実用化しまして,全国の消防防災ヘリ全てに普及が完了しております。それから,地上システムは今年の4月に実用化し,モバイルシステムは今年度中に実用化の予定でございます。
 また,実災害でも既に先行的に活用されております。平成29年の九州北部豪雨では非常に人命救助等に貢献させていただいたということで,消防庁長官殿から感謝状を頂くという栄誉も頂きました。
 それから,3番目の成果ですが,効果の予測に関するものでして,まず大規模災害時の救援航空機運航に関するシミュレーション環境を開発しました。これについては技術賞も頂くことができました。このシミュレーション環境ですが,この左下のところの右側に四角いのが幾つかあって,任務のパターンと記載されている部分がありますが,救援航空機をどういう順番でどのように飛ばしたら良いかというアルゴリズムを考えまして,その状況に応じて判断をするようにしたものです。実際に南海トラフのシミュレーションを行いました結果がこの図ですが,まず発災から72時間,つまり3日以内に救援しないと生存率が格段に下がってしまいますので,その間の救援者数をいかに増やすかということが重要でございます。結論として,このD-NETシステムを使って,適切かつ最適に救援航空機を飛ばすことによって人を救助することを行いますと,救援者数が37%増という結果が得られまして,D-NETの効果を確認できました。
 次の7ページは3番目のテーマで,先進技術に関するものです。ここの目的は,一つは,乱気流中の機体の揺れを抑制する機体動揺低減技術,もう一つは特殊気象等の外的要因によって機体状況をモニターして運航マネジメントを行う技術,そういった先進技術の研究開発を進めることです。目標は,機体動揺低減技術に関しましては,風洞試験でその効果を確認すること。それから運航マネジメントの中では気象影響ということで機体防着氷技術,それから雪氷滑走路技術等の開発を進めまして,野外の環境状況で実際の要素技術実証を行うということを目標としております。
 成果は大きく二つに分けて御説明いたします。まず,機体動揺低減技術に関しましてはこのページですが,右側にあります風洞試験状況のセットアップを構築しました。この風洞で緑色の羽みたいなものがいっぱいありますが,これが突風発生装置で,風洞で風を流して,この発生装置を稼働しますと突風が生じます。その突風を受けた場合のこの青いものが機体でございまして,これが揺れます。それを突風応答軽減制御ロジックというものを今回新たに開発しまして,それを適用すると,その揺れを抑えることができるということを実際に確認をしました。
 左側がその結果でございます。上から二つ目のグラフがわかりやすいと思います。上下方向の加速度に相当する荷重変化でございます。緑のものが従来の制御技術を入れた場合で,突風が来たときに,その中で揺れているというものですが,我々の今回の新しい制御技術,この赤いものですが,それを適用すると上下方向の荷重が大幅に低減するということが確認できました。
 次のページは,今度は機体安全性マネジメント,先ほどの特殊気象,つまり気象影響防御技術に相当する部分でございます。これを我々はウェザーアイ技術と呼んでおります。この中の主な成果をここにまとめています。一つ目が,機体防着氷技術でして,世界トップレベルの防氷コーティング及び防氷システムを飛行実証及び風洞実証しました。左の下に,飛翔という我々の持っている実験航空機に防氷コーティングをして飛行試験を行ったときの様子が載せてあります。右側はNASAの着氷風洞というものを使って,翼の一部を切り出して,上から三つ並んでおりますが,一番上にJAXAのコーティング,一番下はコーティングなしで,そのヒーターの温度を変えております。コーティングがないとヒーターを高い温度に設定しなければいけませんが,一番上のJAXAコーティングでヒーターの温度を下げても十分着氷しないということを実証して,コーティングの効果を確認しました。
 このように飛行実証試験等で防氷技術の性能を実証しております。特に防氷コーティングにおきましては,企業さんとも一緒にやっておりまして,企業さんは今は実用化に向けた開発フェーズに移行しております。
 それから,右側の雪氷滑走路技術ですが,これは結論として世界初の滑走路用の雪氷モニタリングセンサを開発しまして,これも世界初ですが,雪の種類を判別することができるということを実証しました。ここで緑の光っているものが下に埋めたレーザーからの光でございます。この下のグラフは縦軸が雪氷の状態を同定できるレベルを分けているものでして,一番下が検知するだけ,2番目は雪氷の厚さがわかる,そして3番目のレベル3は厚さのほかに,その種類までわかる,粉雪とかぼた雪とかいろいろな種類がわかるというものです。次に,横軸はその精度でございます。JAXAの考え方は,まず雪氷状態の検知能力を高いレベルまで上げることが重要と考えまして,ここの赤いJAXAと書いたところに現状は来ております。従って,世界で初めて雪氷の種類までわかるところまで来ましたので,今後はこれを右側に寄せて行くということを考えていきたいと思っています。
 最後に9ページの今後の展望でございますが,SafeAvioにおきましては,そのフォローアップとしまして,メーカーさんの実用化に向けた活動を支援するということで,関連するJAXA知財を技術移転することを行って参ります。
 次に,技術の標準化のためには,先ほどのRTCAの検討に積極的に取り組んで行くということです。
 それから,D-NETに関しましては,これまでの災害対応から広めて,未然防止も含めた幅広い危機管理への利用拡大,さらに,府省庁のより効率的な連携を可能にする機能の開発,さらに次世代衛星,ドローン等の航空宇宙機器の活用による災害対応機能の向上といった部分に発展させて行きたいと考えております。
 最後に,安全に関する先進技術のところですが,機体動揺低減技術は,次は飛行実証に向けた検討を進めて行きたいと考えております。それから,ウェザーアイに関する部分は,さらに技術レベルを上げるためには,現在我々はウェザーアイ・コンソーシアムというものを持っておりますが,その体制を拡充しまして,産官学の連携を一層強化して進めて行きたいと考えております。雪氷滑走路につきましては,先程のグラフの右側の目標に向けてさらに進め,先ほど申し上げた実証フェーズに行きたいと考えております。その他,知財権の獲得を進めたりして,事業化の検討や技術のスピンオフを進めたいと考えております。
 それから,お手元に,ウェザーアイフォーラムのパンフレットがありますが,第3回を12月11日に開催し,先ほどの連携を強化する体制拡充等の議論をして参りたいと思っております。
 以上です。

【宮川課長補佐】  ありがとうございます。今のJAXAさんの説明内容を踏まえ事務局で作成した評価表の案が59-1-2でございます。こちらにつきましてはこれまでのやり方と同じように評価表の形式に応じて作成したものでございまして,1枚めくっていただいた2ページ目以降は3段表の形となっております。中間評価と,事後評価の今回事務局で作成した案を並べており,コメント欄は今後委員の皆様からいただくものを記載するというところで,現時点では空欄となっております。
 形式等につきましても,前回次世代航空技術の事後評価をいただいた形式と同様でございまして,前半部分については課題の達成状況として,必要性,有効性,効率性の観点から順に記載させていただいております。後半部分につきましては総合評価と,あと最後に今後の展望を記載させていただいております。
 具体的な内容に移らさせていただきますけれども,まず,課題の達成状況ということで,2ページ目を御覧ください。まず最初に必要性について記載させていただいています。
 まず最初に,全体にかかる内容でございますけれども,航空輸送は国民生活にとって欠かせないものとなっているため,そのリスク低減が大きな課題であり,それが社会の大きな貢献になると考えられるというところを記載させていただいております。また,科学技術基本計画においても,現在5期でございますけれども,前期である4期から,安全・安心の確保と豊かで質の高い生活という記載をなされているところでございまして,国の目指す方向と一致しているというところでございます。
 個別の内容に移りますけれども, 2ページ目~3ページ目にかけてというところでございます。まず乱気流防止機体技術,SafeAvioでございますが,我が国の航空会社の事故の原因の50%以上を占める乱気流に対応したものでございまして,航空輸送量が年々増加する傾向にある中,本研究開発では世界最高性能の観測距離を有するドップラーライダー及びその情報をもとにパイロットへ提供するシステムが,世界で初めて,ボーイングの機体も使用して,実証されたところでございます。
 また,機体動揺低減技術では, SafeAvio(乱気流防止機体技術)で検知した情報をもとに,それが70秒前に行えるというところでございますので,その時間を生かして今までは事が起きてから対応していたものを,前もって対応するフィードフォワード制御を組み合わせることによって,従来制御と比較して揺れを半減するような制御ロジックが風洞試験により実証されたことが挙げられると思います。
 また,機体安全性マネジメント技術におきましては,JAXAの説明にもございました通り,世界トップレベルの撥水性を有するコーティング技術,あるいは世界初の滑走路用の雪氷モニタリングセンサなどが開発され,それぞれ実証されたということが挙げられます。
 また,最後になりますけれども,災害対応航空技術,D-NETでございますけれども,我が国は世界的にも災害の多いところであり,その災害対応を効率的に行うため,従来,紙やホワイトボードで行っていたような情報共有というものを,視覚的に電子的に行うことによって,災害対応の航空機を安全かつ効率的に運航することに貢献するシステムが実用化されたというところが挙げられるかと思います。
 また,上記四つの技術におきましては,こういった開発の難易度から,技術開発に大きなリスクがあるので,メーカーだけでは投資が困難と思われる中,所期の成果を上げたというところでございますので,本研究開発は必要性が高いと認められると考えております。
 続きまして,4ページからの有効性でございますけれども,まず最初に全体の事項でございます。本研究開発課題で取り組まれた各課題につきましては,いずれもこの研究開発のベースとなっている評価分科会で定められた研究開発計画の中目標達成のために重点的に取り組むべき課題として掲げられたものでございますので,行政施策に貢献するものと考えております。
 個別の内容でございますけれども,乱気流防止機体技術(SafeAvio)は従来の気象レーダーではできなかった晴天乱気流の検知を可能にする技術でございまして,その新技術の開発を通じた研究開発の質の向上,ボーイング社との連携,人材育成等を含め,科学技術的にも研究開発の質の向上に大きく貢献するような事業がなされたと考えております。
 また,機体動揺低減技術につきましては,これに対応した新たな突風応答軽減制御ロジックを構築して,風洞実験で実証するという優れた成果が得られたと考えております。
 また,機体安全性マネジメントでは,これも繰返しになってしまいますが,世界最高水準の防氷コーティングであったり,あるいは世界初の滑走路用の雪氷モニタリングセンサといった革新技術の開発実証を官民共同で実施したという,優れた成果が得られたことが挙げられるかと思います。
 また,災害対応航空技術におきましては,開発した技術が従来紙やホワイトボードで行っていた情報共有を視覚的に電子的に行うということができましたので,災害時の情報共有を大幅に改善するとともに,また本技術につきましては製品化されておりまして,実災害で活用されるといった優れた成果が得られたと考えております。
 以上から,本研究開発の成果というのが世界トップの技術の創出による科学技術の高度化あるいは製品としての実用化につながったと考えられますので,有効性は高いものと認められると考えております。
 続いて,効率性でございますけれども,7ページに移ります。これもまず全体でございますが,いずれの事業につきましても,研究開発の内容に応じて産学や関係府省庁との連携をなされて,かつここにも各事業ごとに記載されておりますけれども,計画的に進められたと認めております。
 また,戦略的に知的財産の保護や技術流出の防止に取り組むとともに,パートナー企業との秘密保持を契約する等,適切に知的財産の保護についても取り組まれたと考えております。
 個別でございますけれども,乱気流防止機体技術(SafeAvio)では産学の連携体制であるSafeAvio研究会のもと,海外メーカーも含めた連携体制により計画的に研究開発が進められたと考えております。
 機体動揺低減技術についても同様でございます。
 機体安全性マネジメント技術につきましては,本日チラシをお配りしているウェザーアイコンソーシアム,先ほどJAXAの吉田さんから御紹介ありました通り,そういった場も活用しながら,計画通りに開発が進められたと考えております。
 災害対応航空技術の研究開発,D-NETでございますけれども,こちらについても関係省庁や地方自治体と協力して実用化開発が進められたことなど,計画通り研究開発が進められたと考えております。
 以上から,各技術の状況に応じた連携体制のもと,計画通りに研究開発が進められておりまして,効率的であったと認められると考えております。
 続いて,総合評価に移らさせていただきます。ちょっとページ飛びますけれども,13ページになります。13ページ以降,丸1総合評価には成果についても記載させていただいているところでございます。そのため,先ほどのJAXAのプレゼンテーションと内容がかなり一致するところでございますので,かいつまんでお話しさせていただきます。まず,乱気流防止機体技術(SafeAvio)につきましては,世界トップレベルの性能を有する乱気流検知装置であったり,得られたその情報を適切にパイロットに伝える情報提供装置が開発されたというところが挙げられます。このうち,対気速度予測表示につきましては,国内や国際の特許出願中でございます。また,その得られた成果につきましては,ボーイング社の飛行試験プログラムであるecoDemonstrator2018に採用されるなど,実証が進められるとともに,国内メーカーにより実用化開発が開始され,現在も進められているところでございます。
 指標につきましては,こちらは14ページ以降になりますが,本研究開発の開始当初から共同開発がここにある件数進められております。標準化についても実用化に向けて不可欠な認証のための第一歩として,先ほどの説明にもありましたけれども,RTCA,米国航空無線技術委員会の審査・検討に参画するということで,こちらについては15ページの中ほどに記載させていただいているところでございます。
 続いて,機体動揺低減技術と機体安全性マネジメント技術については,もともとの括りの関係でこれらを航空安全に関する先進技術の研究開発とまとめさせていただいております。ページにして15ページの中ほど以降となっております。機体動揺低減技術につきましては,風洞のシステムを構築して,フィードフォワード制御を導入した突風応答軽減制御ロジックにより突風応答が半減されることが確認されたということ。また,機体安全性マネジメント技術につきましては,世界トップレベルの防氷コーティング等からなる機体防氷システムや,雪氷滑走路技術等,我が国の過酷な気象条件に対応するための技術についての開発がなされ,防氷コーティングでは企業で事業化に向けた開発フェーズに入るなど,実用化に向けた開発も進められていることが挙げられると思います。
 指標につきましては,平成28年度に共同開発が大幅に拡大するというところがあり,着実に産学連携の強化が進められているところが挙げられるかと思います。
 最後に災害対応航空技術,D-NETでございます。ページにして18ページでございます。本技術につきましては,関連する情報収集,共有化の機能を強化するとともに,システム開発や実用化としては地上システム,機上システム,モバイルシステムは今年度中というふうにございますけれども,それらの開発が進められたというところでございます。これによって,現在消防ヘリが全国75機ございますけれども,全てに導入されるなど普及が進んでおるところでございます。また,2017年に発生した九州北部豪雨等では,開発中ながら先行的に活用され,人命救助等に貢献し,先ほどの説明にもございました通り,消防庁長官から感謝状を渡されるなど,実災害においても大きく活躍したというところが挙げられると思います。
 また,実災害の活用と並行して,シミュレーション環境も開発されまして,本技術を導入した際の効果を推定することがなされたというところでございます。
 このように,本研究開発では優れた成果が得られておるところでございますので,適切に進められたというふうに評価できると考えております。
 最後,今後の展望,21ページ以降でございます。既に構築されている産学官の連携体制を維持,強化することで,実用化に向けた取組が推進されるということが期待されると考えております。事業によって進捗状況に差がありますけれども,各技術とも優れた成果を得られているところでございますので,引き続きそういった実用化の取組を推進すべきだと考えております。
 また,特に乱気流防止機体技術については,今RTCAでの活動などの技術標準化に向けて取組が進められておりますけれども,こういったメーカーと連携した活動であったり,あるいは災害対応航空技術,D-NETでございますけれども,先ほどの説明の最後にありました通り,有事の際だけでなく,平常時の危機管理機能であったり,そういったことを通じた関係府省庁の連携強化や,またより多くの情報ということで,次世代衛星との連携などの機能強化等についても期待されるというところで,以上を今後の展望とさせていただいているところでございます。
 駆け足になりましたけれども,事務局の事後評価表の概要は以上でございます。
 以上で事務局の説明を終わりにいたします。

【李家主査】  ありがとうございました。
 では,ただいまの説明に関して御質問,御意見等ありましたらお願いいたします。

【佐藤委員】  いろいろと大事な成果を出されまして,非常にすばらしいと思います。ちょっと質問なのですが, SafeAvioのところで,性能が観測距離だけで表されているのですけど,例えば乱気流の大きさとか強さなどを検知する精度みたいなもので評価することはできるのでしょうか。

【JAXA町田】  元プロジェクトマネージャーの町田でございます。
 一番大きな指標としてどれぐらい遠くが見えるかということで,今回その観測距離を出させていただきました。精度については同じように同じフライトで気流をそもそも測るセンサーを使っています。その精度はきちんと確立した手法でとっております。それから,乱気流の強さについても,実はこのプロジェクトの前に基本的な性能として既に社内で試験をして確立しております。
 以上です。

【佐藤委員】  もう一つ。D-NETのところなのですが,災害が起きたときにできるだけうまく飛行機とかヘリコプターを采配して飛んでいくという話だと思うのですが。JAXAの航空関係が強いというところがどういうところに生かされたのか。例えば災害に関してはそれほどJAXAが得意な分野ではないと思うのですけど,航空という点でどういうところで貢献できたのでしょうか。

【JAXA吉田プログラムディレクタ】  災害時に災害対応という点でいろんなものが使われますが,その中に航空機,ヘリコプターや飛行機等があります。それらの運航管理というところは,我々は経験が豊富でございます。今,災害現場では人命救助のためには必死になっていろいろなことを考えるときに,効率的にそういうものを運航管理するという観点があるかと思いまして,我々の観点から例えばこういう使い方が良いのではないかという御提案もできます。ただ,実現場はその通り行かないことがありますから,こういう場を通じて良いものにしていくためのディスカスをして,航空の我々の持ってる知識がお役に立てるようにやってきていると,そういう理解でおります。
 すみません,私は現場に行ってないので,奥野がよく行っておりますが,何かありますか。

【JAXA奥野】  JAXAの奥野です。
 もう少し詳しく御説明,補足させていただきますと。先ほどのJAXAの成果資料の6ページに,シミュレーションによる効果というのが出ておりまして,ここでD-NETのなしとありと比べて,航空機による救援者数が72時間以内に37%増えているという結果が出ていますが,どうしてD-NETを使うとこういう風に増えるかという御説明をさせていただきたいと思います。
 まず,災害が起きると,日本中からヘリコプターを被災地に派遣するのですけれども,そのときにヘリコプターはそれぞれ装備品が違ったり性能が違ったり,できる任務が違います。なので,現場の災害情報に応じて,まず全国のヘリコプターからどの機体をどこに派遣するかというのを判断しています。それで配備をして,現地まで応援に来たら,今度は現地でどんどん入ってくる災害情報に一番適した機体を選んで,それも機体ごとに効率的にできる任務が違いますので,そういう入ってくる災害情報と機体の性能とか装備品,そういったものをうまく最適化することによって運航を効率化して,これだけの人数を航空機によって多く救援できるというシミュレーション結果が出ています。我々のノウハウというのは,そういうヘリコプターの災害時の機体の性能だとか装備品によってどういった任務が向いているかといった知識,経験を活かした最適化アルゴリズム開発に一番ノウハウがあると思っています。

【佐藤委員】  そうしますと,航空関係以外ではなかなか応用しづらいと。

【JAXA奥野】  このシステムの一番の目的はヘリコプターの運航に活用することですが,そのために必要な災害情報をいろいろなシステムと連携して共有化しているので,近年はヘリコプターに限らず,災害情報システムとしても使い勝手が良いと評判をいただいていて,例えば,天気が悪くてヘリが飛べないときもD-NETは災害情報を蓄積するシステムとして使われ始めています。先ほどの資料の上の5ページにありますが,従来はテーブルに紙の地図を広げて,付箋紙で貼っていった情報を,今はもうD-NETで全部電子化できるようになっています。もともとの開発の動機は,ヘリの運航管理に必要な情報を電子化することでしたが,このシステムは災害情報そのものの管理ツールとして使い勝手が良いということで,必ずしもヘリに限らず,そういった分野にも使われ始めています。あと,モバイルシステムというのは地上の隊員ですとか,例えば救急車でヘリとランデブーして救急患者を運ぶ時のように,地上の車両とヘリコプターは連携して活動する機会が多いのですが,そういった連携もより効率的にできるようになります。ヘリだけに限らず,地上との連携とか災害情報の管理に非常に高い評価を得ている状況ですので,そういった分野でも今後利用が広まっていくことを期待しています。

【佐藤委員】  ありがとうございます。

【李家主査】  ほかはいかがでしょうか。どうぞ。

【武市委員】  研究開発成果指標の表が各項目にあるんですけど,これのカウントはどのタイミングで行うのでしょうか。具体例を挙げると,SafeAvioの14ページの2ポツの成果の実用化,a)というところで,二つ目のところに,国内装備品メーカーが本プロジェクトで開発した技術の実用化に向けた開発を開始したと,技術移転したことが書かれているんですけど,その下の15ページの研究開発成果利用数の表はゼロってカウントになってますよね。これは技術を提供したのにゼロというカウントになっていますよね。

【宮川課長補佐】  数字の出し方の説明をさせていただきます。それぞれ年ごとにJAXAと他の機関との間で契約をするわけでございまして,その事業数というのはJAXAの方で当然数字として持っておるところでございます。それを単純に足し上げたというのがアウトプットと,アウトカムのローマ数字1番でございます。
 ローマ数字2番の航空科学技術の研究開発成果利用数というのは, JAXA保有の知的財産,特許,技術情報,プログラム/著作権の供与数というところで,それもリストとしてあるものを各年度で使ったかというところです。今御指摘のSafeAvioに関する国内の装備品のメーカーが実用化に向けた開発を開始したというところについては,こういった特許の活用ではないというところで,今回カウントはされておりません。ただし,連携はもちろんされていということで,ちょっとそこは数字からは落ちています。

【武市委員】  せっかく技術移転ができてるのに数字に出てこないというのはちょっともったいない感じがします。確かにアウトカムのローマ数字1と2の間のギャップが大きいですよね。これ固有の話じゃないですけど。
 それと同じで, 20ページの今度は災害対応航空技術の方は,ローマ数字2の表のところの数字が3,3,4,4,7とすごくたくさん出ています。ここまで数字が出せている研究開発課題はほかにないじゃないですか。だから,ここをもうちょっと何か特筆的に書けたらよろしいんじゃないでしょうか。私もこの3とか4とか7の数字の中身が具体的にどういったものかというところも興味ありますので。

【宮川課長補佐】  書き方について検討させていただいて,情報は別途また共有させていただきたいと思っています。

【李家主査】  ほかはいかがでしょうか。

【竹内委員】  恐らくこれはフォーマットがこうなってるからこうしか書けないとか,あるいはもうこれ以外に書きようないということがあるのだろうと思います。それを承知で小さいところまでこれから申し上げますので,私の発言の中で適当に無視してもらっても構いませんし,対応できるようでしたらご対応をお願いします。
 例えば今の資料の59-1-2なんですけど,2のところで最後の3行,我が国の航空会社は事故の50%以上はと書かれると,ここはパーセントの話をするんだなと思って見てしまうわけです。ところが,乱気流によるものであるが,これらの事故は航空輸送需要増大に伴いさらに増加することが想定される,とあります。ここは事故数なんですよね。ですから,この流れで読んでいくと割合が今後も増えるような印象を受けます。その理由は,事故の絶対数と割合が一つの文章のなかに入っていることにあると思います。これはちょっと見にくいなという気がしました。
 あとは,こういうフォーマットになっているんでしょうから,言ってもしょうがないことなのでしょうが,事後評価で必要性って何だろうという点がわからないです。本来ならば,事前の評価において必要性があるから何かをやるということだと思うのですが,事後で必要かどうかを検討するというのはおかしいのではないかという気がします。事後に必要性を評価とする意味がわからないということです。
 それから,効率性のところです。7ページぐらいから話があって。これもこれしか書きようがないといったらそうなんでしょうが,実はこれって効率性を評価するところなのに,たびたび「効率的に進むように取り組まれた」と書いてあるんですね。効率性を評価をするに当たって「効率的に進むように取り組まれた」と書かれていても本当に評価していることになるのだろうかと思うわけです。ここでは本来,どのようなことをしたから,どのような理由で効率的だと判断した,というように書かなきゃいけないと思います。
 それから,13ページの総合評価のところで,丸1総合評価と書かれています。そこの下に下線部,乱気流事故防止以降書いてまして,「実証した」,「得られた」,「開始した」,とあります。しかし,これは評価じゃないですよね。つまり,開始したとか実証した,得られたという内容は,これはつまり評価をする対象であって,評価をしたものではないんですね。これらの事実に基づいて評価をするということなので,これが総合評価の中で入ってるのがよくわからないと思いました。
 それから,21ページから今後の展望というところがあって,ここで,これも全て語尾から判断すると,「期待される」,「期待される」とあって,これ別に構わないのですが,そうなるとちょっと疑問なのが,13ページの先ほどあった丸1総合評価の最初の段落の「期待される」なんですよね。13ページの総合評価の,「本研究開発は」で始められたこの段落です。これがここに入っていて,これはじゃあ展望じゃないのかなというのもちょっとわからなかったです。ここも混ざっちゃってるのかなというふうに思いました。
 あとは,展望というところですから何かもう少し「今後の課題的にこういうことをした方がよい」とか,「こういうことを実施されたい」とか,そういうことが入った方がいいのではないかという気がします。お答えできる範囲内で結構ですので,お答えいただければありがたいです。
 以上です。

【宮川課長補佐】  ありがとうございます。頂いた内容について検討させていただきます。1点,その総合評価の書き方でございますが,13ページの丸1のところで,3行目に,以下の通り優れた成果が得られていることからということで,これを受けて成果を書かせていただいております。竹内先生の御指摘の通り,これだけでは弱いというところはあろうかと思うので,書き方はまた改めて検討させていただきます。

【竹内委員】  欲を言うと,進められたと評価できたら,それがなぜ適切かということが少し書かれればいいなという気がしました。結構です。

【松島委員】  3点ほどあるんですけど。まず1点は,SafeAvioプロジェクトにもレーザー技術が使われていて,それとあと雪氷滑走路技術のところにもレーザー技術が使われているんですけれども,その二つのレーザー技術って独立的なものなんですか,それとも,同じ素地に立ったレーザー技術なんですか。

【JAXA町田】  まず,目的が違ってまいります。どれぐらい遠くまで観るか。乱気流の方は,何キロも先を観ます。雪氷の方は何十センチですね。

【松島委員】  強度とかそういうものも違うという。

【JAXA町田】  ええ。違いますし,あと,ビームの太さも違います。それから,データの処理の方法も違います。それから,レーザーをつくるためのアンプの様式も違ってまいります。ですので,レーザーはレーザーなんですけれども,ちょっと違った方法を据えて開発を行うと。

【松島委員】  何が言いたいかといいますと,レーザー技術とか信号処理技術って,いろんな技術に応用できるすごい基盤的なものだと思うんですね。だから,この二つは一緒にならないにしても,例えばライダーの方のレーザー技術とか信号処理技術が,ほかの分野の基盤技術として生かせるようなものとして,何か公表できないかというか,提供できないものかなとちょっと感じたわけです。

【JAXA町田】  はい。これからちょっと将来の話になろうかと思いますが,ボーイングとか,そのほかの機体メーカーと話をしながら,いろんなアプリケーションがあると思います。この中でのレーザーを照射する技術,それからデータを処理する技術,それはアプリケーションはあろうかと思います。

【松島委員】  私が言っているのは,航空だけではなくて,例えば,私はちょっと富山にいるので,近くで重力波の観測とかをやっているんですけれども,そこにもやっぱり信号の処理技術とか必要なんですよ,雑音と本当のシグナルを分けるために。そういうところに,ここで言うノイズ低減の着眼点というか,そういう発想というか,それとか,もしつくられている信号処理の何か解析法とかがあるのであれば,重力波だけじゃないと思うんです,いろんなところに波の分解というか,そういうものって必要だと思うんですよね。
 だから,そういうところにも適用できるような技術として出せるようなものがあれば,航空だけではなくて,広い分野の基盤技術として役に立つものがあるんじゃないかなと,素人考えかもしれないんですけれども,そういう気が少ししたものですから,将来に向けてどうなのかということでお伺いしています。

【JAXA町田】  ありがとうございます。我々は非常に特化した形で今回,実証させていただきましたので,もしそういう情報があれば,我々も参考にさせていただいて,検討できるかなというふうには思っております。

【JAXA吉田プログラムディレクタ】  例えば有色ノイズ低減技術は特許にしております。特許というものは公開ですので,そうすれば,そういうニーズをお持ちの方が御覧になると,応用もできますし,そういう意味ではアクセスいただければ,コラボとかいう形もあると思います。そういう意味では,なるべく,さっきの雪氷滑走路も特許がありますし,そういうので公開していく部分においては,今,松島先生の言われたような社会のつながりは,可能ではないかと思っております。

【松島委員】  ありがとうございました。
  二つ目なんですけれども,ちょっと細かい話なんですが,機体の動揺低減技術についてなんですが,ここではピッチングに対しての例が出ているんですけれども,多分ローリングとヨーイングというのは,機体に対してそう大きな影響はないという話なのかもしれないんですが,ローリングとかヨーイングに関してはどうなんでしょうか。

【JAXA吉田プログラムディレクタ】  まず,これは試験装置が半裁なので,ピッチングと上下運動にしていますが,多分,飛行機の中でシートベルト等をしていない方が怪我をするのは,上下に揺れたときが一番だと思います。もちろん,ロール角が例えば90度にでもなったら,それは危ないですけれども,そういうことは普通はないですから,それよりも乱流強度からいうと,上下方向の変動が一番危ないというので,今回はそういう意味では,これはピッチングだけじゃなくて,上下変動を抑えるということをやっています。

【松島委員】  乗客の安全を考えているということですか。

【JAXA吉田プログラムディレクタ】  ええ,その観点です。もちろん,ローリングやヨーイングによる事故もあり得るので,そういうところは,飛行実証をすれば,全部3軸でわかります。

【JAXA渡辺】 今,吉田PDからお答えいただいた通りなんですけれども,基本的には,我々の目的は事故を低減すると。それは上下の加速度によって,乗客が天井に頭をぶつけたりするということが目的ですので,それを減らすのが最大の目的で,横とかロールというのはありますけれども,一応乗り心地とかという形になってくれば,そういうこともあるでしょうけれども,基本的には上下を抑えればいいということで,それだけに特化しています。

【松島委員】  それと,最後なんですけれども,よろしいですか。
  資料59-1-2の評価票なんですが,ちょっとこれも少し細かいというか,意地の悪い質問かもしれないんですが,重点的に推進すべき研究開発の取り組みというところの最後の方に,例えばヘリコプターの高速化等により云々って書いてあって,そういう技術の研究開発を行うとか,あと,無人機の目視外運用技術等,その他無人機の利用拡大に関する技術の研究開発を行うとかっていうような文言があるのですが,もちろんGPSとかを利用したものを全てこれに含まれるのかなと思うんですけれども,これに関する直接的な回答というか,直接的な取り組みに関しての記述がちょっと読み取れなかったので,そこはどういうふうに考えたらよいのかという質問です。

【宮川課長補佐】  結論として,JAXAの中ではやってはおるところでございますが,本件は,平成25年から,こういった今の大きな四つの内容で御評価いただいております。研究開発計画に基づいた研究開発というのはオールパッケージではやっているところですが,評価対象としては重点課題として取り上げたものについてでございます。評価票の冒頭の記載は研究開発計画の抜粋でございますけれども,こちらに記載されてはいるものの,今回,評価として取り上げられなかったものというのが存在するというところでございます。

【松島委員】  わかりました。ありがとうございました。

【李家主査】  まだ御質問等あるかもしれませんけれども,もう1件事後評価がありますので,きょうはここで一旦区切らせていただきます。
 それで,追加で御質問や御意見等ある場合には,委員会の後に事務局まで御連絡いただければ,事務局の方から回答していただくことになっております。
 ただいまの件ですが,委員の皆様におかれましては,事務局が作成したこの資料,59-1-2のコメント欄に事後評価案に対する御意見を記載していただき,12月11日火曜日までに,1週間しかありませんけれども,ちょっと短くて恐縮ですので,もう少し長くできますか。

【宮川課長補佐】  もう1週間ぐらい。

【李家主査】  2週間で大丈夫ですかね。はい。そうしますと,12月18日の火曜日までに事務局まで御提出いただきたいと思いますが,それでよろしいでしょうか。

【宮川課長補佐】  以前に資料を事前送付させていただいた際は,PDFで送ってしまいましたので,改めてWordの形式でお送りさせていただきますので,よろしくお願いいたします。

【李家主査】  はい。ありがとうございます。では,そのように進めていただければと思います。
 それでは,次の事後評価ですが,航空環境技術の研究開発,こちらの方の事後評価に移りたいと思いますので,また事務局より御説明をお願いいたします。

【宮川課長補佐】  続いて,航空環境技術の研究開発ということでございまして,59-2のシリーズでございます。
 本件につきましては,技術向上の利便性の反対側面である環境面の課題について,二酸化炭素や窒素酸化物の排出削減や燃費低減に資するエンジンや機体に関する技術から構成されるものでございます。
 本研究開発の実施期間は,ちょっとこの表だと見づらいので,参考資料1の方に移っていただきまして,1枚めくっていただくと施策マップというふうに通称呼んでいる横のものがございます。こちらにあるように,課題によって, 29年度で終了したものと32年度まで継続するものに分かれておりまして,今回は,昨年度までに終了したものについて評価をお願いするとともに,32年度までの事業である機体の低騒音化技術,FQUROHと呼ばれていますけれども,それにつきましては,JAXAから進捗状況の報告をお願いしたいと考えておるところでございます。
 評価の対象としましては,エンジンのファン及び低圧タービンの燃費低減の差別化技術に関する高効率軽量ファン・タービン技術実証と呼ばれる,aFJRと呼ばれる事業,あとは,航空環境に関する先進技術というふうにまとまっておりますが,2個に分かれておりまして,一つ目が,エンジンの高圧部分に対する燃費低減と窒素酸化物低減の両立させた優位技術に関する,グリーンエンジンと呼ばれる技術と,あとは,複合材料を用いた機体の軽量化や空力設計の改善に関するエコウィングと呼ばれる技術から構成されます。
 先ほどと同様に,本研究開発に係る執行額や実施体制,成果の概要は,59-2-1の左下から右半分にかけてに記載させていただいておりますけれども,詳しい内容につきまして,JAXAから説明をお願いしたいと思います。

【JAXA吉田プログラムディレクタ】  それでは,資料の59-2-3のパワーポイントを御覧いただけないでしょうか。これをめくっていただきまして,目次に今,宮川補佐の方から御説明がありました事後評価の対象となるものを書いております。FQUROHについては最後に御説明いたします。
 それでは,3ページ目をまず御覧ください。aFJRプロジェクトの内容でございます。
 このプロジェクトの目的は,エンジンのファン及び低圧タービンの差別化技術の燃費低減性能を実証しまして,国内メーカーの国際共同開発において,設計分担を担えるレベルまで技術成熟度を高めるということを目的としております。このプロジェクトの目標は,最新の開発エンジン,世の中の動向で最新のもの,それに対する比として,トータルの燃費低減をそれに対して得るということで,最新のモデルに対して,1%さらに下げることです。後で御説明いたしますが,それの目標として,ファンとタービンについて,それぞれ目標値を設定しております。ファンの高効率化は1ポイント向上,ファン軽量化は0.9%軽量化,低圧タービンは0.91%軽量化というものでして,これらを組み合わせると目標が達成できるというもので,そういう差別化技術を獲得するというものでございます。
 成果は大きく二つに分けて御説明します。
 まずは実証試験のことについてでございます。このページがそれを示しておりますが,ここにあります大きく四つの技術コンセプトを搭載した具体的な供試体を製作しまして,それを用いた実証試験を行いまして,そのデータから得られた成果からプロジェクト目標の達成を確認しております。
 具体的に申し上げますと,まず左のグリーンの枠の中の高効率ファンという技術コンセプトですが,ファンの動翼の前縁の曲率を工夫することによりまして,これは右側にちょっとカラーの絵がありますが,層流域というものを拡大すること,そういった設計技術,それ以外の最適化も入っておりますが,そういうのを入れることによって高効率化が達成できました。実際,試験では,空力効率というものが,先ほどの目標値で設定した1ポイントというものを超えた1.7ポイントまで達成することができまして,これが大きな成果となっております。
 それから2番目が,この下にあります軽量ファンというものです。世界で初めて炭素繊維強化プラスチック,CFRPですね,それを使ったブレードの中空構造というものの製造に成功しまして,軽量化が実現できました。特許も出願済みです。実証試験では,このブレードが耐空性基準に必要な鳥等の吸い込み衝突に対してクリアしていなければいけないのですが,その試験を行って,クリアしていることを確認しました。左側の写真が,ゼラチンで鳥を模擬したものが,まさにそのブレードにぶつかるところの直前の写真です。そして,ぶつかった後にブレードが基準レベルを確かに満たしていることを確認しました。
 それから,今度は右の上に行きまして,軽量タービンです。これはタービン翼を世界的に実例がない耐熱合金よりも軽量な耐熱性の高いセラミックス基複合材,CMCと呼んでいますが,CMCブレードにすることで9.1%の目標値をクリアする軽量化を達成しました。
 このようなブレードでは,低圧駆動軸というのがもし破損した場合に,すごい回転が増幅して,今度はブレードがちぎれて飛んでいくという,非常に危ない事態になるんですが,そういう過回転を防止する手法が必要になりまして,それ用の新しい設計法を考案しまして,それを実証試験で確認しております。
 次に,右下の軽量吸音ライナです。これは通常はアルミなんですが,それに対して,世界で初めて樹脂製の吸音ライナの成形に成功しまして,それで軽量化が達成できたということです。軽量化だけではなくて,実証試験においては,ファンの騒音,その音圧まで下がることが今回得られまして,これは我々としてはさらに高い成果が得られたものと考えております。
 次に4ページをご覧ください。エンジンのシステム評価の部分でございます。
 まず,要素のいろいろなそういう目標が組み合わさった結果,エンジン全体としてどうなるかというものを評価するために,評価ツールというものを開発しました。バーチャルジェットエンジンシステムというものでございます。そのフローは左側に書いてあるようなものです。詳細は省略いたしますが,そこの一番上の赤い点線で囲んだところがインプットデータになります。そこに,先ほどの実証試験で得られた試験結果,要素試験の結果ですね,これを入れることによって,サイクル計算,エンジン全体のシステム計算ができまして,最終的に燃費がエンジンとしてどうなるかがわかります。
 その結果が右側でございます。右側の絵は,結果は赤なんですが,それ以外のものは,まずトレンド等を示しております。横軸がパイパス比,縦軸が燃料消費量です。バイパス比は,エンジンの年代が進む,世代が上がって行くたびにバイパス比は大きくなりますので,右に行くほど年代が進んでいると思っていただいて結構です。そうしますと,この黒い破線というのは,まさにエンジン技術のトレンドです。このバイパス比は12あたりでほぼサチっておりまして,燃費がバイパス比を上げるだけでは下がらないという感じになっておりますが,そこを我々のこのaFJRプロジェクトは,そのサチっているところよりさらに下に下げるというのを目標として,さっきの1%というのはそれでございます。V2500というレベルから見ますと,16%まで下げる,トレンド,ほぼサチったところは15%なんですが,そういうふうにさらに下げるというものです。
 実際,このaFJRの結果をまとめますと赤でございまして,V2500から見ると16.7%,目標値でいうと1%に対して1.7%下がるという結果を得られました。これが成果でございます。
 次に,5ページです。これは先進技術でございますが,宮川補佐の御説明がありましたように,大きく二つあります。
 一つはエンジン関係で,これはグリーンエンジン技術でございます。グリーンエンジン技術と呼んでいる成果は,この5ページと6ページにあります。
 まず,このグリーンエンジン技術の目的は,次世代の超高バイパス比エンジンにおける燃費低減とか排出物低減の環境性能に関する優位技術を獲得するということでございます。
 目標は,先ほどのトレンドに対して1%さらに下げるという,aFJRと同様の目標を実現するために,圧縮機の圧力比を20以上,燃焼機の窒素酸化物を低減,すなわち75%減,それから,タービンの入り口温度を1600℃にする,また騒音低減1デシベル以下というものを,差別化技術として獲得することが目標でございます。
 成果を大きく二つに分けて御説明します。
 一つは,スーパーコアエンジン技術と言われる高温高圧部の技術です。いっぱい書いてありますが,ざっくり申し上げますと,まず二つ目の丸を御覧いただいて,翼型,流路等の三次元設計技術というものをつくり上げました。これによって圧縮機の最適化が可能になり,CFDによる解析によると,圧力比20というのが確認できました。その左下のCFDの結果というのは,設計の結果でございます。
 それから,次にリーンバーン燃焼器,これは希薄にして燃焼するものでして,NOxを非常に下げられる技術でございますが,これを適用して燃焼器内の温度分布を均一にすることで,その排出も,NOxの排出基準に対して85%ほど下げられる結果が得られています。
 その結果は,右側の一番端っこにある図にありますが,この図を御覧いただきますと,横軸がCO2で,縦軸がNOxです。このグリーンでマーキングしたところが,スーパーコアエンジン技術として最終的に得られた成果でございまして,すごく左下の方に寄っているということで,環境性の高い技術がつくり上げられたということです。
 それから,最後に四つ目の丸でございますが,タービンでございます。伝熱試験を行いまして,入口温度1600℃を達成可能とする冷却構造の冷却効率向上効果というのを確認できました。それから,素材としてニッケル基単結晶材の熱サイクル試験を通した寿命評価を行って,長寿命を確認できました。
 これらを合わせることによって,結論として,タービン入口温度1600℃で適切に作動できるというタービンの設計技術に目途がついたということでございます。
 次の6ページは,もう一つの成果であるエンジンの騒音低減技術です。左下にある写真を御覧いただきますが,これはエンジン騒音評価の野外の試験の装置,セットアップでございまして,このような試験環境を構築しまして,我々はミキサーノズルというノズルのところの工夫によって騒音を下げるという研究をして参りまして,先ほど申し上げた1デシベルという低減を達成しております。
 右側のグラフは縦軸が騒音レベルで,横軸が方向で,黒いのがベースとして想定したV2500のノズルによる騒音です。それに対して,この赤い線は我々のノッチノズルで,左に写真がありますが,そういうものを付けて騒音が下がるということを,1目盛が1デシベルなんですが,確認したという成果でございます。
 次,7ページですが,今度は先進技術の中の機体側の技術です。これはエコウィング技術と呼んでいます。
 目的は,優位な環境性能を実現するための要素技術開発とシステム検証を進めて,国際競争力強化に貢献したいということでございます。
 目標は,主翼に着目しまして,そこの抵抗低減技術,それから軽量複合材技術というものを設定しました。それぞれ揚抗比7%以上,金属構造比20%軽量化というものを掲げています。これによって,これらを合わせることによって,従来機と比べて15%の燃費低減が達成できるという技術見通しを得ようというのが目標です。
 まず,構造関係がここのページに書いてあります。簡単に申し上げますと,ここにAとBと書いた成果をもとに,構造重量がどれだけ減るかというのを最終的に試算した結果,20.2%低減という結果が得られております。このAとBというのは,いわゆる薄層CFRP技術でございます。
 まず,Aですが,これは通常よりも3分の1程度の薄いプリプレグを開発して,実際,ストリンガーパネルに適用して,このパネルに衝撃を与えて,その後,残留強度がどれだけあるかというのを調べるということを行いました。それによって5%向上を確認できました。その結果というのがこの一番下に,図3と書いてあるところに示されているのですが,左からずっと右へ見て行っていただきたいのですが,一番右側を見ていただくと,通常の厚さのプリプレグに対して,この青い棒グラフですね,薄層は緑の方ですが,縦軸に残留強度を書いていますが,この赤い線のこの差分,5%向上を確認できているということです。また,板厚の変化部の破壊予測技術というものを新たに構築しまして,この二つを合わせることによって主翼設計をいたしますと,従来構造に比べて6%軽量化というのが達成できました。これがAです。
 Bは,スキンの座屈による補強材剥がれを抑制する,ストリンガーが剥がれるわけですが,それを抑制する座屈許容設計というものを開発しまして,その妥当性を補強パネル試験と解析で確認しました。それは右の上の写真をご覧いただきまして,ちょっと剥がれているところがありますが,この右の棒グラフの青い方が従来の設計です。縦軸が強度でございます。赤い棒グラフは,今回,その座屈を許容する設計,ストリンガーが剥がれないというものです。そういう設計をやりますとこの強度が上がります。そして,この許容力の向上分を構造重量分に換算しますと,5.3%軽量化できるということになりまして,このAとBを合わせると,22.2%低減ということが得られたということです。
 それから,もう一つ別な観点の研究成果として,Cなんですが,複合材の構造健全性モニタリングという技術で,光ファイバー分布ひずみ計測というシステムをつくりまして,実際に飛行実験でその性能を実証しました。右の図丸2というところの「飛翔」という機体を実際に使って光ファイバーを張りまして,飛行中の荷重状態をモニターして,それが実際の運動と連携して,どういうふうに荷重が変わるかというのがちゃんと計測できることを確認しました。
 次に,8ページ目ですが,今度は空力関連でございます。
 8ページ目では,空力構造連携を積極的に考えることで,抵抗を下げたということでございます。ここは,結論から言いますと,この(1)のところに書いた技術によって,最終的に巡行時の燃費6.3%低減が得られております。これは揚抗比で8.8%向上に相当しますが,これでこのエコウィングとしての目標は達成できています。
 この(1)の中身はどういうことかと申し上げますと,まず空力と構造を統合的に最適設計するという手法をつくりました。それによって,アスペクト比を大きくすると性能はよくなるのですが,構造的に厳しくなるので,最適なアスペクト比を設定することができたということです。右側の図でアスペクト比が9.5から11まで大きくできたということになります。さらに,翼の上の揚力分布を最適化できるということと,それから低抵抗の翼型や層流翼を適用すると,これらを全て合わせると,先ほどの揚抗比8.8%が出ますので,燃費低減につながるということになります,ということが書いてあります。
 またCなのですが,層流翼というのは普通,翼の前縁付近をうまく工夫するわけですが,そういう摩擦抵抗を下げるための設計コンセプトが,実はトータルで見たときに圧力抵抗の低減にもつながって,両方の抵抗が下がるという翼設計法を見出すことができました。そこで,これも特許出願をしております。
 この(2)のところは,さらに抵抗低減を狙える技術として,リブレットというものを取り上げております。リブレットは,流れ方向に非常にミクロンサイズの微小な縦溝をいっぱい付けて乱流抵抗を下げるものなのですが,それをこの「飛翔」を使って,我々の独自開発である航空機用の塗料でその溝の形をつくるという技術でリブレットの施工を実際に行いました。この真ん中の写真の赤いところに実際,見た目ではわからないですけれども,そういうものが施工されております。そして,これを飛行させて,そこの境界層というのを測って,摩擦抵抗がどうなるかを調べた結果,ちゃんと低減していることを確認できました。この航空機用塗料を使ったリブレット施工技術は特許として我々が申請しているものでございます。
 最後に,9ページ目の今後の展望ですが,エンジンのaFJRプロジェクトでは,この左下のロードマップを御覧いただくのがわかりやすいと思います。黄色いところのaFJRの成果が青い線で産業界へ向かって出ている,これが軽量ファンと軽量タービンの技術でございます。それから,右へ伸びて,上に上がってF7エンジン導入というところに行く線がありますが,これは来年度,F7を導入させていただいて,それにこの軽量吸音ライナというものを入れて,実際,技術成熟度を高めて,その性能を確認してから,今度はまた上へ上がる青い矢印で,産業界へ移転して行くというシナリオでございます。
 次に10ページ目の残りの先進技術ですが,まずグリーンエンジンですが,燃焼器とタービンに関しましては,国内メーカーと連携して実用化を目指すコアエンジン技術研究開発というものを立ち上げて,これは昨年5月のこの航空科学技術委員会の場で事前評価をいただいて,本年度から開始しております。
 それから,スーパーコアのコアエンジン以外の部分は,引き続き国内メーカーさんと連携して,設計解析技術の高度化を目指す予定です。
 それから,エコウィング,機体側の方ですが,先ほどの薄層CFRPを対象に,国内メーカーと連携して実用化を目指す研究開発を進めたいと考えております。
 最後に,空力/構造連携の抵抗低減技術のところですが,やはり層流翼,リブレット技術を実用化を目指す方向で研究開発を進めたいと考えております。
 以上が事後評価の対象ですが,最後にFQUROHについて進捗状況をご報告いたします。
 FQUROHのページをめくっていただいた2ページ目に,この目的,目標,これまでの成果が書かれておりますが,時間の関係上,省略をいたします。今年の2月23日に概要を御説明しておりますので,ちょっとそこは飛ばさせていただいて,次の3ページ目を御覧いただきますと,23日以降の進展がまとめられております。
 結論から申し上げますと,飛行試験データと低減効果を確認するために行ってきた設計データ,解析と風洞試験の両方がありますが,そのデータとの比較を行いまして,我々の設計データが非常に低減効果の予測を正しく行っていることを確認したというものです。ここにグラフがあります。縦軸は騒音レベル,横軸がオクターブバンドの周波数ですが,赤がベースライン,青が騒音低減効果の結果でして,赤と青の差が我々の設計技術の効果ということになります。また実線と点線の差は,実線が飛行試験,点線が風洞試験でございます。従って,点線,実線同士の赤と青との差が概ねほぼ似ている傾向であるということから,風洞試験と解析による設計で実機の効果が予測できているということでございます。この成果は,航空宇宙学会と米国での国際学会でも報告しまして,期待される成果として注目されております。
 最後の4ページ目ですが,まず今年度は我々としては技術検証作業を進めております。さらに,我々のFQUROHの最終的なゴールは,旅客機形態,MRJでの飛行実証というものがありまして,その低騒音化設計を進めております。他方,MRJの飛行実証に関しては,MRJさんの事業の進捗と強く連携,リンクしますので,そちらの進捗を踏まえながら対応する必要があります。
 現在,JAXAではFQUROHプロジェクトの全体計画の見直しを行っております。JAXAでの検討が終了しましたら,その見直した結果につきまして,この場で御報告させていただこうと考えております。
 以上です。

【宮川課長補佐】  それでは, 59-2-2の評価票(案)の説明をさせていただきたいと思います。形式につきましては,先ほどの航空安全技術のものと同様でございます。先ほど竹内委員から頂いた御指摘というのは,おおむねこちらにも当てはまってしまうかもしれないと考えておりますが,本日はお配りした59-2-2についてひとまず御説明させていただきたいと考えているところでございます。
 1枚めくっていただきまして,2ページ,必要性でございます。
 必要性につきましては,まず,航空輸送というのは,国民生活にとって欠かせないものとなっている一方で,二酸化炭素や窒素酸化物の排出というのは,大きな課題となっておるところでございます。科学技術基本計画においても,第4期・5期についても,省エネに関する記載というのがなされているところでございます。
 また,航空機に関する技術の実用化にも直結するものとしては,国際民間航空機関,ICAOにおける環境基準とは騒音基準あるいは近年導入されたCO2の基準などを指しますが,時代を追うごとに厳しくなっている状況というところも,背景として挙げられます。
 そういった中での本研究開発の成果でございますけれども,まず高効率軽量ファン・タービン技術実証,aFJRにつきましては,エンジンのファン径の増加では,先ほども説明の通り,限界にあるエンジンの効率改善を,CFRPやCMCといった新しい材料だったりとか,あとは空力設計といったものによる,従来技術にアドオン可能な新技術によって,海外の最新開発エンジンと比較して,1.7%の効率改善効果というのが確認されたということが挙げられると思います。
 また,先進技術の中のグリーンエンジン技術では,NOxを低減するような燃焼器技術あるいは高圧タービンの冷却構造の改善といったものを通じて,最新の国際基準に合致しつつ,海外の最新エンジンに比べて1%の効率改善に相当するような成果というのが得られたと考えています。
 また,エコウィング技術については,主翼について,CFRP翼の薄層化による許容応力向上であったりとか,空力統合設計の適用による構造上の制約を考慮した空力設計技術の向上によって,従来機と比較して,トータルですけれども,15%の燃料消費量低減に関する目標達成の見通しが得られたというところが挙げられております。
 以上から,本研究開発では,燃費あるいはCO2,NOxの低減に資する世界トップレベルの技術を獲得したというものでございまして,必要性の高い研究開発がなされたと考えております。
 続いて,有効性でございます。ページにして4ページの中ほどからでございます。
 こちらにつきましても安全のものと同じでございますけれども,先ほども挙げました研究計画評価分科会で定められた研究開発計画に,中目標達成のために重点的に取り組むべき課題として掲げられたものについて行うものでございますので,行政施策に貢献するものと考えております。
 個別につきましては,aFJR事業については,この成果である従来技術にアドオン可能な革新的な新技術,先ほどスライドの一番最初にありましたけれども,そういった技術が国内メーカーにより実用化検討に着手されている状況ということで,我が国の産業のシェア拡大に貢献し得る優れた成果を得られるとともに,研究開発におきましては,国内大学との共同研究あるいは国内メーカーとの連携といったものを通じて,関係組織も含め,技術者の育成に貢献したものと考えております。
 また,先進技術のグリーンエンジン技術でございますけれども,NOxを低減する燃焼器技術あるいは高圧タービンの冷却構造の改善といった優れた新技術について,今後の実用化検討に向けた優れた成果が得られたと考えております。
 また,エコウィング技術ですけれども,主翼についてCFRPの薄層化による許容応力向上や空力統合設計の適用による構造上の制約を考慮した空力設計技術の向上といったものがございましたので,今後の技術移転した際のメーカーの競争力強化というところも含め,貢献したと考えております。
 以上から,いずれの技術についても,科学技術の高度化に資する成果を上げたと考えられますので,本研究開発の必要性は高いと考えております。
 続きまして,効率性でございます。ちょっと飛びますが8ページになります。
 まず,各課題とも,必要に応じ産学や関係省庁との連携がなされまして,いずれも計画的・効率的に進められたと考えております。また,戦略的に知的財産の保護,技術流出の防止というのにも取り組まれたとともに,パートナー企業との秘密保持契約を締結する等により,適切に管理されたと考えております。
 9ページのやや下から個別の事業になりますけれども,aFJRにつきましては,当初から各大学等の連携体制というのは,事前と中間から評価いただいていたところでございますけれども,解析技術について,東京理科大を追加ということがありまして,そういった状況に応じた適切な連携先を追加するなど行いつつ,しっかりと計画通り研究開発が進められたということが挙げられるかと思います。
 グリーンエンジン技術につきましても,物質・材料研究機構(NIMS)であったり,あるいは,国内メーカーや国内大学との連携体制のもと,計画通り研究開発が進められました。
 また,エコウィング技術については,空力関係,構造関係それぞれ分野分かれますけれども,それぞれに専門的知識を有するメーカーや大学と連携し,計画通りの研究開発が進められておりました。
 ということから,各技術の状況に応じた連携体制のもと,計画通りに研究開発が進められたことから効率的に進められたのではないかと考えているところでございます。
 最後,総合評価でございますけれども,16ページのお尻から,17ページのところから開始されるところでございます。冒頭,以下の通り優れた成果を得た通りということで,また,17ページの中ほど,aFJRプロジェクトから順に載っております。
 こちらについてもJAXAのプレゼンテーションと重なる部分が多いのでかいつまんで申し上げますと,aFJRプロジェクト,17ページの中ほどからでございます。設計改善であったりとか構造の改善であったりすることによって,ファンの高効率化,軽量化やCMCによるタービンブレードの軽量化,そういったものがなされまして,海外の最新開発エンジンと比較して1.7%の効率改善が確認されたというところでございます。
 また,その成果のうちのファンブレード中空化であったりとか,樹脂製の吸音ライナというものが,そちらにはございますけれども,そちらについては国際特許の出願もなされている状況でございます。
 続いて,グリーンエンジンとエコウィング技術を一緒にした航空環境に関する先進技術というところでございます。ページにして19ページの一番下のところからでございます。
 こちらにつきましても,グリーンエンジンは現行エンジンV2500比で16%削減,それについては,低NOxを実現する燃焼技術であったりとか,あとは,タービンの入り口温度1,600℃を実現するような冷却技術といったところを意識しながら達成したと,加えて,エネルギー損失で1%に抑えながらもエンジン騒音を1デシベル低減させるような排気ノズルの研究開発がなされたというところが挙げられるかと思います。
 また,エコウィング技術では,金属構造,従来機と比べて15%の燃料消費量削減を達成するというところでの,それを達成するためのCFRP,炭素繊維の強化プラスチックでございますけれども,その薄層化であったり,あるいは翼の揚力分布最適化や層流翼技術といった低抵抗の技術が開発されたということでございます。
 指標に関しましては,エコウィングに関して大学やメーカーと密接な連携体制があったというところがありまして,特にそういった連携のところが大きな数字が出ているかと思います。
 というところで,以上の通り優れた成果が得られたので,所期の成果が得られたと評価できると考えておるところでございます。
 最後,今後の展望でございますが,26ページになります。
 こちらについては多少,少し長く書いておるところでございますが,こちらについても簡単に御説明を差し上げますと,エンジンや機体の技術につきましては,何事もそうかもしれませんけれども,新型機あるいは新型エンジンの開発といったところが毎年,随時あるというわけではなく,先ほどのJAXAの今後の展望のスライド,パワーポイント資料の9ページに研究開発ロードマップということで先ほど御参照いただいたかと思うんですけれども,こういった海外での大型機開発のタイミングというのは限られております。そういった開発の好機を逃さないようにするために,こういったJAXAでの技術成熟度の向上はもちろんのこと,産学官の連携体制というのを維持・強化することによって実用化に向けた取り組みというのをさらに推進することが期待されるというところ,あとは,産学官で取り組んでいくに当たっては,先ほどJAXAの吉田さんからの説明にもありましたけれども,成果については今導入中のF7エンジンを共用のテストベッドとして活用するなども含めて取り組んでいくべきであると考えております。
 また,機体関係のエコウィング技術についても同様に国内メーカーと連携の上,実用化に向けた実機実装を想定した技術実証というものを取り組んでいくべきだということが期待されると考えております。
 また,さらに,特にaFJRプロジェクトでは数値解析技術を活用して優れた成果が得られたというところもございまして,本技術についてはaFJRプロジェクトにとどまらず,JAXAの得意としている分野でもございますので,こういった数値解析技術をさらなる高度化に取り組むとともに研究開発に積極的に活用していくべきであるというふうに考えておるところでございます。
 事務局からの説明は以上でございます。

【李家主査】  どうもありがとうございました。
 では,ただいまの件に関してまた御意見,御質問等ありましたらお願いいたします。
 どうぞ。

【高辻委員】  すみません,言葉の確認だけをちょっとさせていただきたいんですけれども,59-2-2の3ページの中ごろに「海外の最新開発エンジン」という言葉を使ってありますが,これはPWの1100Gレベルでいいわけですね。

【宮川課長補佐】  はい,そうです。LEAPエンジンであったりとか,PW1100Gとか,そういったものを想定しております。

【高辻委員】  その下に,今度下から3行目で「海外の最新エンジン」という用語が使ってありますが,これは「開発」という言葉が抜けているだけですかね。

【宮川課長補佐】  そうですね,それはこちらの記載のミスで意図しているところは同じでございます。

【高辻委員】  それから,あと20ページ目のスーパーコアエンジン技術開発と書いてあるところから2行上のところにも,やはり「最新エンジン」と書かれていますが,これは「最新開発エンジン」でいいんですね。

【宮川課長補佐】  はい,そうです。念頭に置いているものはPW1100Gであったり,LEAPエンジンを想定して書いたものでございます。

【高辻委員】  ちょっと用語を統一していただいた方がいいと思います。

【宮川課長補佐】  はい,統一させていただきます。ありがとうございます。

【李家主査】  どうぞ。

【佐藤委員】  すみません,ありがとうございます。タービンについて質問なんですけれども,低圧系のタービンはCMCで,高圧系のタービンは1,600℃でニッケル基単結晶材なんですか。

【JAXA吉田プログラムディレクタ】  グリーンエンジンの中の研究ではそういうのをトライをしております。

【佐藤委員】  事後評価の方では,3ページ目のところで「高圧タービンにおけるCMCの適用及び」というのが下から5行目にあるのですけれども,高圧タービンの方のCMCというのは,グリーンエンジンの中では……

【宮川課長補佐】  すみません,記載に間違いがございました,失礼しました。

【佐藤委員】  わかりました。
 あと,1,600℃というのはどういうところで決められたのでしょうか。1,700℃とかではなくて。

【JAXA田口】  担当しておりました田口と申します。こちらは最新エンジンに対して燃料消費率を低減するためのエンジン性能解析を行いまして,そこから圧力と燃焼器の燃焼温度を割り振って目標を設定しております。それが1,600℃です。

【佐藤委員】  最適だということですか。

【JAXA田口】  はい。

【佐藤委員】  高性能ファンというところで,何か後ろの方で空力と構造の連成みたいな解析を,機体の翼の方ではやられているんですけれども,ファンの方は回っていたり,風が吹いているときにねじれたりするような効果を計算に入れているのでしょうか。

【JAXA西澤】  ファンですね。aFJRのファンブレードについては,複合材で軽量化するか,空力の高性能化というのをやっているんですけれども,フラッター特性というのも解析とか実験していまして,その場合に,フラッターの限界ですね,限界を評価するときにシミュレーションで構造と,それから空力と連成したような計算というのを一部取り入れております。

【佐藤委員】  あと言葉なんですけれども,aFJRの燃料消費率が1.7%低減したことを確認したと評価の方も書いてあるのですけれども,確認したことになるのでしょうか。幾つかの技術を合わせるとそういうふうに見積もれたんですけれども,確認されたという表現で書き切っていいかどうか。

【宮川課長補佐】  事務局の理解では目標の1%を達成するための各開発要素への分解が,JAXAのパワーポイントの目標でございます。それがファン効率1ポイント,ファン軽量化0.9%と低圧タービン軽量化9.1%に相当し,それを各要素で実験をして,それを逆にフィードバックすることによって1.7%の燃料消費量低減の見込みが得られたという理解でおります。

【佐藤委員】  解析でということですね。言葉の問題だけなので,大丈夫です。ありがとうございます。

【李家主査】  ほか,いかがでしょうか。
 では,私から1個,言葉を教えていただきたいんですが,今のところとも関係しますが,JAXAの資料でいうと3ページの5行目のファン高効率化の1ポイントとあります。これについて,具体的な数字は出せないでしょうけれども,効率がいくつだから,それに対してその数字が1個上がると,そういう意味でしょうか。

【JAXA吉田プログラムディレクタ】  効率100%に対して現状は90何%という今のファンの状態に対して,そのあるところからさらに上へ上げるというのが今回の改善でございまして,パーセントでいうと,分母が何かによってその改善量が変わってしまうので,我々としては,空力効率,理論的に100%はないわけですけれども,そこの限りなく高いところの目標に対してどれだけ上がったかを示すものとしてポイントと言っているということだと思いますが,西澤さん,そういう意味で良いでしょうか。

【JAXA西澤】  いわゆる効率が90何%の数字そのものがプラス1されたということで,もともとの90何%を分母にしたときに相対的に1%上がったという意味ではありません。

【李家主査】  そうすると,だからここだけパーセントじゃなくてポイントというのを使われているということですね。こちらの評価票の方の17ページで同じ書き方をしていますが,これで言いたいことは伝わるということでよろしいでしょうか。わかりました。どうもありがとうございます。

【山内委員】  ちょっと書きぶりの問題で確認したいんですけれども,今回,この事後評価票というのは,FQUROHに関しては報告をしないという,32年度だからということですよね。それはわかるんですけれども,この1ページ目のところの中間部分の「機体については」ということで,低音速,騒音云々かんぬんという記述があるんですけれども,これはもともとの課題であるということでここにわざわざ書くわけですか。それとも,私としては,ちょっと抵抗があったのは,FQUROHを除くと言いながらここには書いてあるので,あえてここは最初の,最初にあった資料がこういう内容も書いてあったので書いちゃうというか,ちょっとすみません,中身は,ここに関しては記述はないわけですよね,今回,事後報告としては。なのにあえてここに書くというの,もともとの文章があるからでしょうか。

【宮川課長補佐】  そうですね,ここに至った経緯を少しお話ししますと,先ほど来御覧いただいているこの参考資料1を1枚めくっていただき,施策マップを御覧いただくと,本事業は上から2つ目の少し変わった形をしているものであります。グリーンエンジン技術,エコウィング技術,低騒音化技術(航空機及びエンジン)で構成されていて,そのうちの低騒音化技術(航空機)というものが先に伸びているというふうになっております。
 航空委の後に分科会に上げる際,この低騒音化技術(航空機)も入ったものかどうか紛らわしくなってしまうというところであえて明示するため,こちらについては除きますという書き方をさせていただいたところでございます。

【李家主査】  ほかはいかがでしょうか。
 どうぞ。

【武市委員】  ちょっと細かいことなんですけれども,資料59-2-2と59-1-2,両方を比べて見てみると,今後の展望のところで,59-2-2の方はまず大きなことが書いてあって,その下に細かくこれからやることが書いてある。59-1-2の方は,今終わった課題の項目の次の課題がそれぞれ書いてある。要するに,書き方が対応していないんですけれども,これはそれぞれのこれに続く研究課題があるかないかとか,そういう事情によるものですか。

【宮川課長補佐】  そうですね,59-1-1は,最初のパラグラフで総じて開発の好機を逃すべきではないというところと,あと,特筆するものは後ろにしたということである一方で,59-1-2については,個別ごとに,ちょっと少し違ったものもあったので個別に書いたというところでございますので,こちらはそれ以上の意味はないというところでございます。

【武市委員】  やっぱり,今後の展望なので,次に何をするかということだけでなく,さらにその先にどういうゴールがあるのかというところまで見据えてあってもよいような気がします。

【宮川課長補佐】  わかりました。

【武市委員】  それから,ついでで申しわけないんですけれども,1-2の方は,D-NETですとか機体動揺低減技術の,今後の世界的な展開に関する記述があってもいいんじゃないかなとは思います。

【宮川課長補佐】  はい,検討させていただきます。

【李家主査】  ほかはいかがでしょう。
 よろしいでしょうか。
 では,この件に関してもきょうはここで一旦切らせていただきます。
 先ほどと同様にさらに御質問や御意見等ある場合には委員会後に事務局まで御連絡いただければ,事務局から回答いただけます。
 それから,先ほどと同様に,委員の皆様におかれましては,事務局が作成した資料59-2-2のコメント欄に事後評価案に対する御意見を記載していただき,航空安全技術の研究開発のものと同様に12月18日火曜日までに事務局まで御提出していただきたいと思いますが,いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 ありがとうございます。それでは,そのように進めていただければと思います。
 最後に議題の2番目,その他ですが,事務局の方から報告事項があるとのことですが,お願いいたします。

【宮川課長補佐】  研究開発プログラム評価について御報告させていただきたいと考えております。
 参考資料2と3を用いて説明させていただきたいと思います。
 研究開発プログラム評価につきましては前々回,7月の航空科学技術委員会において評価に活用する参考指標について御議論いただきました。その内容につきましては,8月に開かれました研究計画評価分科会におきまして,李家主査より御報告いただいたところでございます。
 その後,同分科会におきましても現在継続して検討を進めておるところでございますので,その内容について御報告差し上げたいというふうに考えております。
 まず,参考資料2を御覧ください。
 参考資料2,1枚めくっていただきまして2ページ目に検討経緯というのが整理されているところでございます。委員の先生は皆様御存じの方多いかと思いますけれども,平成28年3月から分科会では検討されておるところでございます。
 その内容につきましては,第5期科学技術基本計画の期間中に俯瞰的な評価を行うということを目的として中目標を単位とする研究開発プログラム評価を実施することとして様式等の検討がなされたというところでございます。
 検討を進めていく中で,3ページでございますけれども,1番,2番,3番といった形で,3番は航空委での検討も含むものですけれども,こういった他省庁の研究開発プログラムの実施状況,あるいは,EBPMの推進といった,そういったものをめぐる状況として改めて紹介させていただくところでございます。
 これらを踏まえて,4から5ページにかけてプログラム評価の方法の記述をさせていただいています。効率的に評価を実施するために,ここにある4ページの1ポツの通り,評価の単位の構成を研究開発課題,評価を実施している課題に限定するということとして,具体的に航空科学技術分野で言えば,評価の単位は分野全体ということになります。
 それで,その構成要素としましては,本日2件御審議いただきましたけれども,そういったように評価を実施している研究開発課題というのがその構成要素となるというところでございます。
 その上で,そういった各研究課題の成果というのが研究開発計画の大目標にどう貢献したかというのを取りまとめるような形で分野を俯瞰的に研究開発の評価とする方向で検討されているというところでございます。
 具体的なプロセスにつきまして,資料飛びまして,参考資料3に移らせていただきます。これが10月の末に行われた最新の分科会の資料でございます。こちらの右側の下のプログラム評価の流れ(案)というところがよく流れがわかるものではないかと思います。
 かいつまんで御説明さし上げますと,二つありますピンクの上の方ですね,毎年8月までに分科会で各課題の評価,今回2件行ったような案件の評価を実施するということでございまして,それに記載されている大目標への貢献状況を取りまとめることとなります。取りまとめの方法としては,この資料の後ろの方,後ろ2ページに別添2として付けさせていただいております。このように事業ごとに科学技術基本計画への貢献状況を短冊のような形でまとめて,それを一覧形式にするというようなことでございます。
 これを分科会で御審議いただくということで,その年度の下半期において,ここでは11月から3月とありますけれども,評価として取りまとめるということとなります。
 まとめられた評価が下の青い細い矢印,共有,共有,共有となっていますけれども,このA委員会,B委員会,C委員会もろもろ,そのうちの一つがここの航空科学技術委員会となりますけれども,こちらの委員会によって共有されると,各分野別委員会では確認を行い,必要があればそういった改定案みたいなものを提案することができると,分野別委員会では,必要に応じてその評価結果をもとにした研究開発の質の向上や運営改善を行うというものでございます。
 また,第5期科学技術基本計画の期間中で本年度までに評価を実施した事業については,来年度上半期にフォローアップという形で大目標への貢献状況を取りまとめることとなっておるということなので,様式が変わるのは来年度以降ですけれども,そういった形で第5期の期間中をカバーされるというふうに見込んでおります。
 実施要領は平成31年4月に開催される分科会において決定される方向で検討が進められているというふうに聞いておるところでございます。
 以上でございます。

【李家主査】  はい,ありがとうございました。
 ただいまの御説明について何か御意見,御質問等ありますでしょうか。
 要は,以前の委員会でいろいろと議論していただいた我が国全体の状況を把握するための指標ということで,例えば航空関係の論文数について,あれは特定のキーワードを含む論文を選んで,その中で世界全体で出ている数に対して日本の活動状況はどのくらいかという,そういった比率で評価しようということでこの委員会で議論していただいたいということでしたが,その後の状況の変化でそういったことは必要なくなって,今,宮川さんから御説明あったようなやり方で科学技術基本計画への貢献状況を書くようになったと,そういうことでよろしいですか。

【宮川課長補佐】  そうですね,前回も新たな様式をつくって,そのうちの一部として参考指標という形で先ほど論文数であったりとか,連携数,そういったものを参考指標とする方向にしましたけれども,現時点での検討状況といたしましては,それを使うか,使わないかというところは今後の検討にはなるかと思うんですけれども,一義的にはこういった形で分科会が一つの,参考資料3の後ろのような,別添2のような形でまとめていただいたところを基本として評価をするという方向で議論を進めているということになります。

【李家主査】  それで,だけれども我々の方で考えたああいった論文数を用いて世界の状況と比較した指標というのは,何かのときにこの委員会で評価等をするときに適切なデータとして使えるのではないかと思われますので,事務局で使い方等適宜考えていただけたらと思います。最終的に計評の方で出る資料にはそれが出ないかもしれませんけれども。

【丸山室長】  そこは検討してまた活用させていきたいと考えます。

【李家主査】  ありがとうございます。
 ほかはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 そういたしますと,ただいまの件に関しましては,次回の委員会においても事務局より状況を報告していただきます。
 これまでの議事に関して何か追加で御質問とかございますでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 そういたしますと,以上で本日の議事は全て終了いたしましたので進行を事務局にお返しいたします。

3.閉会

【宮川課長補佐】  最後に事務連絡をさせていただきます。本日御議論いただいた2件の研究開発の評価案に対する御意見は,後ほどお送りするメールの添付資料に御記入いただいて,議事の中でもございました通り12月18日までに事務局までメールでお送りいただきますようお願いいたします。また,何か御不明な点がございましたら事務局までお知らせください。
 次回の航空科学技術委員会は事前に御連絡を差し上げているかと思いますけれども,1月16日火曜日の3時から5時に開催させていただければと思っております。
 また,本日の委員会の議事録につきましては,事務局にて案を作成し,委員の皆様に御確認をいただいた上で文部科学省ホームページに掲載させていただきます。
 それでは,これで科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会第59回航空科学技術委員会を閉会いたします。本日はどうもありがとうございまし
た。

(了)

お問合せ先

研究開発局宇宙開発利用課