航空科学技術委員会(第58回) 議事録

1.日時

平成30年8月3日(金曜日) 14時00分~15時30分

2.場所

文部科学省 18階 研究開発局会議室1

3.議題

  1. 研究開発課題の評価について
  2. その他

4.出席者

委員

科学技術・学術審議会臨時委員  李家 賢一【主査】
科学技術・学術審議会専門委員  佐藤 哲也
科学技術・学術審議会専門委員  武市 昇
科学技術・学術審議会専門委員  竹内 健蔵
科学技術・学術審議会専門委員  難波 章子
科学技術・学術審議会専門委員  松島 紀佐
科学技術・学術審議会専門委員  山内 純子
科学技術・学術審議会専門委員  和田 雅子

文部科学省

研究開発局審議官  大山 真未
研究開発局宇宙開発利用課長  藤吉 尚之
研究開発局宇宙開発利用課宇宙連携協力推進室長  丸山 智
研究開発局宇宙開発利用課課長補佐  宮川 毅也

(説明者)
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)
航空技術部門長  佐野 久
航空技術部門航空プログラムディレクタ  吉田 憲司

オブザーバー

経済産業省
国土交通省

5.議事録

1.開会

【宮川課長補佐】  定刻より1分ほど早いですけれども,皆様おそろいでございますので,ただいまから科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会航空科学技術委員会第58回を開会いたします。
 本日は,お忙しい中をお集まりいただき,ありがとうございます。
 私は事務局を務めさせていただく宇宙開発利用課の宮川と申します。
 初めに,本日は航空科学技術委員会の委員10名のうち,8名に御出席いただいておりますので,定足数である過半数を満たしていることを御報告いたします。
 続いて本日の出席者でございますが,人事異動のため,事務局側で本日初めての出席となります者を紹介させていただきます。
 宇宙開発利用課長の藤吉でございます。

【藤吉課長】  先日着任いたしました藤吉と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

【宮川課長補佐】  その他の出席者の御紹介は,お手元の座席表をもってかえさせていただきたいと思います。
 続いて,資料の確認でございますが,議事次第が一番上になっているクリップ留めで,資料58-1-1から58-2-3及び参考資料1から3を置かせていただいております。参考資料2は2-1,2-2の枝番となっております。また,座席表と紙ファイルの参考資料集を配付させていただいております。不足等がございましたら,事務局までお知らせください。
 それでは,以後の議事につきましては,李家主査にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

2.議事

(1)研究開発課題の評価について
【李家主査】  では,第58回航空科学技術委員会を始めさせていただきます。本日は本当にお暑い中,お集まりいただきまして,ありがとうございます。
 それでは早速議事に入らせていただきます。まずは前回の委員会からの引き続きになりますが,研究開発課題の評価について,御議論いただきます。
 今回の委員会では,前回の委員会の議論を踏まえた修正案をもとに,静粛超音速機統合設計技術の研究開発の中間評価と,次世代航空技術の研究開発の事後評価を改めて行わせていただきたいと思います。
 それでは,まずは静粛超音速機統合設計技術の研究開発の中間評価から行いたいたと思います。事務局から御説明をお願いいたします。

【宮川課長補佐】  ただいま李家主査からもございましたとおり,本議題では,静粛超音速機統合設計技術の研究開発の中間評価及び次世代航空技術の研究開発の事後評価に関して,前回委員会である第57回の航空科学技術委員会での御議論,及びその後,改めて委員の皆様から頂きましたコメントを踏まえた評価の修正案を,改めて御審議いただきたいと思っております。
 前回の委員会において,資料に委員の皆様から頂いたコメントが記載されていないと御指摘を頂いたところでございますので,今回の資料につきましては,改めて三段表の形にまとめさせていただいております。具体的に申し上げますと,例えば超音速に関しましては,資料58-1-2と参考資料2-1というものがございます。前回委員会までのコメントにつきましては,参考資料2-1にまとめさせていただいております。それ以降,前回の委員会の中,あるいはその後に頂いたコメントにつきましては,資料58-1-2として御用意させていただいておるところでございます。次世代航空技術に関する資料58-2-2及び参考資料3についても同様となっております。
 まず,静粛超音速機統合設計技術の研究開発の中間評価から説明させていただきたいと思います。復習になりますけれども,本件は平成18年度から平成27年度にかけて実施された静粛超音速機の研究開発を引き継ぐものです。当該研究開発におきましては,ソニックブーム低減技術等の要素技術を開発いたしましたが,平成28年度から平成31年度の期間で実施している本研究開発におきましては,それを機体設計のレベルにおいて統合する研究開発を行っております。
 具体的には,低ソニックブーム,低離着陸騒音,低抵抗,軽量化を同時に満たすシステム設計技術に世界に先駆けて取り組み,国際環境基準に適合しつつ,アジア圏をノンストップで飛行する航続距離を達成する技術の獲得を目指すものでございます。
 本件につきましては,前回の委員会における委員の皆様からの御指摘を踏まえ,本研究開発に関する周辺情報としまして,JAXAに超音速機の開発動向を整理いただきましたので,まずはJAXAよりその説明をさせていただきたいと思います。

【JAXA吉田プログラムディレクタ】  JAXAの航空プログラムディレクタをさせていただいている吉田と申します。御説明させていただきます。紙ファイルを御覧ください。その1ページ目に資料を持ってきております。
 本日は,これまで頂いた御意見を踏まえまして,民間超音速機の今後想定されるスケジュールについて,補足説明させていただきたいと思います。
 紙ファイルに今回入れました理由は,これは各社の動向からJAXAで推定したものであるためです。基準策定にかかわる動きというものは,公開,あるいは対外的に伝わってしまうと影響が大きいものでして,本日は非公開とさせていただきたいと思います。この資料も会議後に回収させていただくということで,この紙ファイルに入れさせていただきました。したがいまして,私のこれからの説明でも余り具体的な発言はできないと思いますが,その点は御了承いただきたいと思います。
 まずこの表を御覧ください。民間超音速機の国際環境基準策定までに想定されるスケジュールを,上から2行目の規制と書いてあるところに示しております。ここを見ていただきますとわかりますように,大きく二つの基準が対象になっております。一つは青字で書かれています基準Aというもので,もう一つが赤字で書かれています基準Bでございます。まずこういう流れがあります。
 それに対して,一番下の方の赤い色が付いているところを御覧ください。ここは現在公表されている米国民間企業のエアリオン,あるいはブーム社といったところが狙っているものですが,これはソニックブームを下げる機体ではなくて,いわゆる低ブーム型ではない海上のみ超音速飛行をするというものです。したがいまして,環境基準という点でいいますと,上の基準Bは関係なく,基準Aが主となります。この2社は,海上だけの超音速であっても通常の飛行機よりも時間短縮効果があり,利便性が高まりますので,早期の実現を達成することで新しい輸送の革新につながるということを戦略として,こういう開発をうたっているものと我々は認識しております。
 それに対しまして,上の青いところでございます。ここは超音速機が本来有しています時間短縮効果を最大限生かすために,陸上も超音速で飛行するものです。この場合はソニックブームが一番の問題ですので,それを低減する機体,低ソニックブーム機の実現を対象としておりまして,NASAやJAXAという公的機関が低ソニックブーム化の研究開発をしています。
 特にNASAは,有人の実証機を開発して,それを使ってその後にありますコミュニティ試験というものを行い,実際の住民の反応を調査して,ブーム基準の策定に貢献しようとしています。
 それに対してJAXAは,第3中期の中で,D-SENDプロジェクトというものをやらせていただきまして,このブーム基準につながる貢献をさせていただいております。それは現在も継続しております。
 今進めております静粛超音速機統合設計技術の研究開発は,D-SENDプロジェクトの低ソニックブーム設計技術を更に進めて,今度はエンジン等の推進系を考慮して,更に最適化を目指すものです。それに加えて経済性の指標である抵抗を下げる低抵抗性,更にそこでいうところの基準Aも満足するような,トータルの機体設計技術の獲得を目指した研究開発でありまして,その事業の後には鍵技術となる部分を飛行実証するプロジェクトを構想して狙っていきたいという目標を持っているものでございます。
 基準Bがそのスケジュールに沿って策定されたとすれば,それを満足し,かつ基準Aも亜音速機と同等の基準を満たせるような鍵技術を我々は実証することにつながります。そうすると,海上のみの赤いところの計画のものとは違いまして,それより更に時間短縮効果を高めることのできる陸上超音速飛行を可能とする,かつ環境適合性ではそれら赤いところのものに比べて差別化もできる,そういう低ブーム機のビジネスジェット機とか小型SSTというものの開発につなげられるように民間企業が動いていくと我々は想定しております。
 JAXAが実施している静粛超音速機統合設計技術の研究開発事業の位置づけと狙いは,そういうものでございます。
 以上です。

【宮川課長補佐】  今のJAXAからの説明も踏まえまして,資料の説明に入らせていただきたいと思います。
 改めまして,評価票に関してですが,委員から頂いたコメントのうち,前回委員会よりも前のものにつきましては参考資料2-1にまとめさせていただいております。それ以降のものについては資料58-1-2にまとめさせていただいております。本日は資料58-1-2を中心に御議論いただきたいと考えておるところでございます。
 資料のつくりでございますけれども,両資料は三段表の形でまとめさせていただいておりまして,参考資料2-1は事務局の当初案から前回委員会時点案について,資料58-1-2については前回委員会時点案と本日の委員会時点案を,左と真ん中の2列で比較する形となっております。
 その左と真ん中の列の記載におきまして,赤字の部分が比較する二つの案の間に変更があった箇所を指しております。つまり,左側の欄の赤字部分が削除されて,真ん中の欄の赤字部分が追加されたという形になっております。
 その修正に対応する形で,委員から頂いたコメントを右側の欄に書く形で資料を整理させていただいております。
 また,資料58-1-2につきましては,当該コメントが前回委員会までに出されたものなのか,それが改めて事務局から照会させていただいた際に出されたものなのかがわかるように,コメントの最後のところに山括弧をつけて前か後かということを書かせていただいているところでございます。
 評価の事務局案に関する全体的な説明は前回委員会で行わせていただきましたので,今回の委員会では,委員の皆様から頂いたコメントへの対応について御説明させていただきたいと考えております。
 資料58-1-2に移る前に,まず参考資料2-1を使いまして,改めて前回委員会の前までに頂いたコメントについて復習させていただきたいと思います。
 参考資料2-1を御覧ください。先ほど申し上げましたとおり,当初案と第57回委員会時点案を対照とするものでございます。最初は研究開発計画の記載でございますので,めくっていただきまして,3番の評価結果を御覧ください。
 (1)が課題の進捗状況でございますけれども,こちらにつきましては,表記上の修正をさせていただいておるところで,具体的な説明は省略させていただきます。
 続きまして,7ページ以降の各観点の再評価ということで,必要性,有効性,効率性を再評価するものでございます。7ページからが必要性の評価になりますが,最初は事前評価のものを記載しているところで,11ページからが再評価になるところでございます。この必要性につきましては,主なものとして,李家主査から国費を用いることについての意義を改めて評価するようにという御指摘を受けまして,11ページ下ほどの赤字,「多額の研究開発資金が必要になる」というところを追記させていただいておるところでございます。
 有効性につきましては,13ページ以降に記述がございますけれども,こちらにつきましても,15ページからが再評価の記載になっております。松島委員から御指摘を受けました,新型超音速機の商用輸送機としての優位点が,陸地上空も巡航速度で飛行可能であるというところを追加すべきという御意見を頂きましたので,そちらについてこの赤字の部分を追加するなどの修正を行ったところでございます。
 続きまして,効率性については,記載としては16ページ以降になりまして,再評価につきましては,18ページから19ページにかけてとなっております。こちらにつきましては,まず武市委員の御指摘を受けた研究職員の集約の記述を削除しました。それから松島委員と武市委員の御指摘を受けた航空関連企業へのかかわりに関する記述を追加しました。この部分につきましては,その後の御指摘を踏まえて,資料58-1-2で改めて修正しているところでございますが,前回委員会においてはこのような記述とさせていただいておりました。
 20ページからは今後の研究の方向性でございます。武市委員の御指摘を受けた,現在,民間のベンチャー企業が開発中の機体に関する記述がやや一足飛び過ぎるということで,当初修正案としては結論だけを書こうということで一旦記述を削除したところでございますが,こちらにつきましても,改めてその後の修正によって,また書きぶりを変更させていただいておりますので,資料58-1-2で改めて説明させていただきたいと思います。
 その他につきまして,ページでいうと21ページでございますけれども,こちらについても「本邦の運航者による出資を得るために」ということで,本邦の航空関連企業にかかわる記述を追加したところでございます。こちらにつきましてもその後の御指摘も踏まえて,改めて修正しているところでございますので,資料58-1-2におきまして,説明させていただきたいと思います。
 以上が前回資料を用いて説明できなかった前回委員会までの修正点でございます。
 続きまして,資料58-1-2に移らせていただきたいと思います。
 この資料につきましては,前回の委員会の場,あるいはその後に頂いたコメントを踏まえた修正でございます。ページをめくっていただきまして3ページ目を御覧ください。課題の進捗状況でございますけれども,この部分につきましては,冨井委員や佐藤委員にロードマップのようなものの位置づけや,目標全体に対して現時点の研究開発の進捗状況がどのような地点にあるかというところをわかりやすく書くべきではないか,という御指摘を頂いたところでございます。
 それに基づきまして,箇条書にしておりましたところについて,それぞれ現在の取組や,何を本事業でやっているかというところと,現在どれぐらいの取組かというところを記載させていただいたところでございます。
 続きまして,5ページに移らせていただきます。産学官を一体化した研究開発の構築に関する記述のところで,武市委員から,5ページの右側にありますとおり,「民間からの研究費負担を得たこと」というのが一つの成果とありますけれども,それを事後評価までに増加,すなわち民間事業者のかかわりを増やしていくべきで,それに関する評価も必要なのではないかという御指摘を頂いたところでございます。
 こちらにつきましては,本文というよりは,研究開発事業の終了後にどうしていくかというところでございますが,矢印以降が事務局の回答になります。現時点でJAXAと企業の共同研究開発を行っているということは,前回委員会でもJAXAからの資料を使って御説明差し上げたところでございますけれども,単にやったというだけではなく,共同研究の進展というか,内容面の進捗というところも重要になってくると考えますので,そちらについて事後評価で報告の仕方を工夫させていただきたいと考えておるところでございます。
 続きまして7ページです。本項目の最初に頂いた,進捗状況に関する佐藤委員の御指摘に関連するものでございますが,予定どおりであれば,予定どおり進んでいるということを,そうでなければ,課題があるということを記載するべきだという御指摘でございます。現在,予定どおりに進んでいるところでございますので,そのすぐ左のところに,ワンフレーズ追加させていただいているところでございます。以上が進捗状況の修正でございます。
 続いて8ページ以降が各観点の再評価でございますけれども,こちらについても前半部分は修正はございませんでして,12ページ以降の再評価に移らさせていただきます。見た目は大幅な修正がございますけれども,一番上の李家主査からの御指摘と,武市委員からの御指摘の二つに対応したものです。1段目のところで,両者に共通するところでございますけれども,米国で低ソニックブーム設計がなされていない機体が設計されているというところと,今回,この事業で行っている研究開発の関係性をわかりやすくすべきだという御趣旨の御指摘を頂いているところでございます。12ページの再評価の部分で,低ブーム設計技術を要しない,海域上空のみで超音速飛行を行う機体の設計というところと,本研究開発のように低ブーム機設計を要する陸域上空での超音速飛行を行う機体の研究開発を分けて書かせていただいているところでございます。
 その背景につきましては,先ほどJAXAの説明にもあったとおりでございまして,必要性が維持されているということで書かせていただいているところでございます。
 13ページの左側については,12ページの追記の関係で重なる部分も多いところでございましたので,削除させていただいたところでございます。
 武市委員から頂いた御指摘の後段の部分,「これらの開発に関して,JAXAが低ブーム技術の知財の所有者として協力することも選択肢としてあり得るのではないか」というところは,技術開発した成果を生かすための様々な可能性を考えるべきではないかという御趣旨でございます。こちらは今後の方向性にかかってまいりますので,対応する(4)その他の部分に反映させていただくことといたしまして,後ほど説明させていただきたいと思います。
 以上が必要性でございまして,続きまして,14ページ以降の有効性となります。
 有効性につきましても,最初は事前評価の際の記載になりまして,再評価につきましては,16ページ以降になります。まず,冒頭の部分ですけれども,武市委員から先ほどの必要性と同様の趣旨で修正をするようにという御指摘を頂きましたので,16ページの真ん中の下にありますとおり修正をさせていただいております。あわせて,企業との連携強化につきましては,記載としては18ページになりますけれども,関連企業との連携強化という記載をさせていただいております。
 16ページの中ほどから17ページの一番上のところにつきましては,必要性と類似の修正となります。
 17ページの中ほどでございますけれども,李家主査より,亜音速旅客機に比べて超音速機では離着陸騒音が高くなりやすいという背景を簡単に追記すべきという御指摘を頂きましたので,17ページの中ほどに,超音速機エンジンはパイパス比が小さいために,同じ出力を得るには亜音速エンジンと比較して排気速度を大きくせざるを得ないといった旨の記載を追加させていただいておるところでございます。
 以上が有効性に関する変更点でございます。
 続いて18ページ以降の効率性でございますが,再評価の部分は20ページの一番下の部分以降でございます。委員からの御指摘につきましては,21ページになります。前回,私から資料がないため口頭で御説明させていただいた内容のものでございます。具体的に申し上げますと,本邦の運航者からの出資や支援が,日本の研究開発あるいは開発メーカーを含めて国内に向くようにするために,情報発信や意見聴取も含めたかかわりを増やしていくべきだという御指摘を頂いたところでございます。前回,コミュニケーションも重要という記載とさせていただきましたけれども,その記載をページ21のように改めさせていただいたところでございます。
 続きまして,(3)今後の研究開発の方向性でございますけれども,武市委員より,本研究開発の目指す超音速旅客機の実現というところと,現在米国の民間企業が行っている超音速機開発との違いを記載すべきという御指摘を改めて受けまして,必要性の記述と類似の記述ではございますけれども,22ページに記載を追加させていただいております。
 続いて23ページでございます。その他ということで,今後の留意事項等を記載させていただくところでございます。この三つ目の項目ですが,前回委員会時点では,「海外の研究開発や事業化等の動向を注視し,効果的な連携等を進めるべき」という記述をさせていただいたところでございますけれども,武市委員の御指摘にもございますように,この海外を含めた動きというのが,先ほどのJAXAからの御説明にもありましたとおり,二つに大きく分かれるだろうということです。一つはJAXAやNASAといった公的研究機関による研究開発の動向,もう一つは資料の下の方にあります民間事業者における実機の開発の動向でございます。これらの二つに対して,考えられる関わり方も異なってくるというところで,記載を分けさせていただいております。
 具体的には,海外の公的研究機関等における点は従来の記載とほぼ同じでよいと思われます。一方で,民間の動きは,既に実際の開発も始まっているところでございますので,国内企業を通じたJAXAの知財の活用を一例として,いろいろなことを考えながら民間の事業の成立性や発展性,技術戦略等を注視して,必要な対応を行っていくということで,この23ページの記載とさせていただいているところでございます。
 24ページにつきましては,先ほどお話しした効率性の内容と重なるところがございますけれども,コミュニケーションを図るべきというところを,情報発信及び意見聴取というような形で修正させていただいているところでございます。
 スペースが少しあいてしまいますけれども,25ページの下のところは変更がありません。最後の26ページでございますけれども,武市委員より,今,要素技術のブラッシュアップをJAXAに行っていただいているところでございますけれども,その成果をより迅速に実機開発につなげるために,先ほどと少し重なる部分はありますが,JAXAが優位性を持つ技術の国内メーカーへの移転や外部資金の導入を容易にするような組織づくりも検討できるのではないかというコメントを頂きました。これを受けまして,「本研究成果が,国内企業を通じて高い自由度とスピード感を持って具現化できるような,JAXA組織外部における活動の可能性も検討すべきである」ということで,様々な技術の活用の可能性も検討すべきという記述を追加させていただいたところでございます。
 本研究開発に関する中間評価の修正点につきましては以上でございます。

【李家主査】  どうもありがとうございました。
 では,ただいまの御説明に関しての御質問や御意見等がありましたら,お願いいたします。
 いかがでしょうか。

【竹内委員】  余り本質にかかわる内容でなくて,単に書きぶりだけの話ですが,少し気になったところが1か所ありました。
 どこかと言いますと,例えば18ページですが,ここは有効性がどうですかと問われていたので,18ページの青いところで「有効性は維持されている」という認識で評価を行っているということになっていますし,同じく21ページで,効率性についてはどう評価しますかという問いに対して,21ページの最後の青いところで,「効率的に進められている」と評価されています。
 しかし,13ページの必要性においては,最後の書きぶりが,必要であるかどうかという問いかけに対して,意義が書かれていて,必要性に対する言及がありません。ですから,ほかにあわせるならば,必要性も必要性があるとかないとか,最後をそういう記述にすると良いのではないかという気がします。

【宮川課長補佐】  もともとの記載が,社会経済的な意義,科学的技術的意義と,国費を用いた研究開発としての意義というところで必要性を分割しているところでございますが,その三つを合わせて「必要性は」というような書き方に修正したいと思います。

【竹内委員】  意義が高いから必要があるということですので,最後は必要性でとめた方がいいと思います。

【宮川課長補佐】  わかりました。

【李家主査】  ほかはいかがでしょうか。

【JAXA吉田プログラムディレクタ】  JAXAから少しだけコメントをよろしいでしょうか。
 評価票の26ページの最後に赤字で書かれている3行と2文字のところですが,後段に「JAXA組織外部における活動の可能性の検討」と書かれております。これはいかようにもとれて,幅広に読めてしまいますので,今,JAXAとしてこの文言に対応してどのような検討ができるかと考えていました。まず,今までの御説明の中にもありましたように,JAXAとしては,我々が持っている知財は,国内のそういう活動をやられる企業さんに有効に使っていただこうということは,当然考えて活動しております。
 それから,国内の企業さんで,超音速に関してスピーディーに物事を考えて活動をいろいろされるところの方々が,例えば国の施策や外部資金に応募して,そういう支援を頂いてやるというような場合に,当然,そういう企業さんに対して,JAXAは技術的な紹介や貢献をしていくということはできると思っています。
 ここの文言で「JAXA組織外部」というのを幅広にとると,とてつもなく広がりますが,JAXAの立ち位置としては,そういう我々の持っているものを関係あるところにしっかりと御紹介し,使っていただくという観点で,できることをしっかりやるという認識でおります。

【李家主査】  文言はこのままでも誤解を生まないですか。

【JAXA吉田プログラムディレクタ】  そう理解するということで,もしよろしければ。

【宮川課長補佐】  前回委員会でも,単に研究というよりは,その先も見据えた形でやっていこう,そのための可能性として,いろいろな選択肢も考えていこうということでございました。

【JAXA吉田プログラムディレクタ】  それは理解をしております。

【武市委員】  私がこの記述の元となるコメントを21ページに書いたのですが,企業からの出資をJAXAが直接受けられないという記載が事務局側から追加されたのが理由です。JAXAという組織だからこそそういう予算上の制約があったり,意思決定のスピードの制約もあったりするので,本当にただのアイデアレベルですけれども,例えばJAXAの外側にメーカーとJAXAからの出向者の組織をつくったら,予算的な活動がしやすくなるし,意思決定も早くなるし,技術移転もすぐにできるのではないでしょうかというのがコメントの本質です。それを事務局に評価票に追記していただいたのが今の表現です。意図した内容は,JAXA組織外部における活動とは少し違うとは思いますけれども,「可能性」という言葉があるので,様々な可能性を探ってくださいねという意図の書き方でもいいです。ただ,今の「JAXA組織外部における活動の可能性」というのが,吉田さんがおっしゃったような取組に解釈されてしまうのだとすると,文言は変えたいですね。

【JAXA吉田プログラムディレクタ】  JAXAでは,4年間の事業の中でやろうとしている外部との連携の活動を定義して,事前評価のときに御説明した内容に沿って進めております。その中で,当然,ただの研究ではありませんので,我々の開発したものを使っていただけるような動きのあるいろいろな企業さんと連携しながら,JAXAのつくった知財なり技術なりを使っていただくという活動は積極的にしております。

【武市委員】  そういった活動は,23ページの(2)その他のところでも反映されているのではないですか。

【JAXA航空技術部門事業推進部立花計画マネージャ】  よろしいでしょうか。基本的にここで評価していただいているのは,運営費交付金として我々が受け持っている業務の中でどういうことをするのかということであると認識しています。そうすると,JAXA外にそういう組織や制度があるかというところもきちんと意識して,知財を活用してもらうような形があるのかということを見ていくというところは当然やるべきだと思っているのですが,議論していただくところのスコープがどこかというのは,少し明確にしていただいた評価の書きぶりにしていただけると有り難いと思っています。

【武市委員】  この評価が32年度以降の次の研究開発課題につながっていきますよね。そこにつなげてくださいという意図です。「JAXA組織外部」という日本語の問題だけですので,日本語を変えることで適切な文言にしていきたいと思います。

【李家主査】  そうすると,26ページの下から3行目の「JAXA組織外部における」という文言を少し変えるということでいいですか。

【武市委員】  事務局による評価票の記載が右側の欄にあるもともとのコメントに対応していないので,そこは変えたいです。もっとあやふやな言葉でもいいと思います。可能性という言葉がついているくらいですので。

【竹内委員】  JAXAと他組織との協働ですね。

【武市委員】  趣旨はそうですね。

【松島委員】  趣旨としてはJAXA内部にもそういう組織があっていいということですか。

【武市委員】  JAXAではない組織をつくった方がいいのではないかということです。

【松島委員】  内部の組織をそういうふうにするという話ではないということですか。

【武市委員】  そうではないです。
 例えばですけれども,JAXAの研究者とメーカーの技術者の組織をつくったらいいのではないかと思います。可能性ということですけれども。

【JAXA吉田プログラムディレクタ】  今,ビジネスジェットに関しては,誰がファンドしているわけではないですけれども,ビジネスジェットを目指そうという組織というかグループがあります。そこにはJAXAも参加しております。
 今,武市先生がおっしゃっているのは,例えばJAXAがそういう組織をつくるということをおっしゃっているのでしょうか。それは我々がつくることはできないかなと思うのですが。

【武市委員】  それはもちろんです。JAXAがつくるということではなく,別にどこがつくったっていいと思います。ただし,海外では既にベンチャーが中心になって動いているので,あっと言う間にでき上がってしまう可能性もあるわけですよね。それに対応できるくらいのスピーディーな組織が絶対に必要で,それをどこかしらがつくれればよいと思います。

【JAXA航空技術部門事業推進部立花計画マネージャ】  少しよろしいですか。JAXAとして,そういうアクションとして受けるものなのでしょうか。JAXA外に組織をつくるということを誰が受けるのかということについて,JAXAで受けると考えるとなかなか難しいところがあります。

【武市委員】  検討だけでもよろしいのではないでしょうか。何もしないよりはいいですよね。

【李家主査】  それでは,最後の話ですけれども,誰が検討すべきかについて,26ページをこのままで読むと,JAXAに検討しなさいと我々が言っているように間違って読まれるのではないかというのが立花さんの懸念ですので,関係者内で検討するなどではどうでしょうか。

【JAXA吉田プログラムディレクタ】  それなら問題ないです。

【李家主査】  そうしますと,先ほど竹内委員から御提案がありましたように,「JAXAと他組織との協働の可能性も関係者間で検討すべきである」と,それでよろしいでしょうか。

【JAXA吉田プログラムディレクタ】  はい。ありがとうございます。

【李家主査】  どうもありがとうございます。
 復習のようで申し訳ありませんが,前回の松島先生からのコメントは,前回で片づいていたのでしたでしょうか。今日のこの資料を見ても載っていなかったのですが。

【松島委員】  前回の御説明に加えて,先ほど宮川さんから,経済産業省との連携を強めて,JAXAの研究開発をより生かせるようなことも考えているということを教えていただきました。JAXAの超音速機に関する研究の成果をより生かして産業につなげるような,そういうリエゾンのようなものが出てくればいいなということで意見を申し上げたのですが,そういうこともやっていると捉えて,今回はコメントいたしませんでした。

【宮川課長補佐】  参考資料2-2に,戦略的次世代航空機研究開発ビジョンという,数年前に文部科学省でまとめたものをつけさせていただいております。こちらの2ページ目で,国産の民間航空機と超音速機の研究開発プログラムを大きな二つの柱として進めていこうというビジョンを立てております。それによりますと,スライドの8ページに移りますけれども,2040年に向けて一定のフェーズまでは文部科学省,JAXAで要素技術の研究をしておりますけれども,その後は関係省庁とも連携しながら,その実現に向けて取り組んでいくというシナリオになっております。本研究開発,あるいはその次は実機を使っての研究というところに移っていこうかと思いますが,そういったところも見据えた形で,今後,経済産業省さんを含め,他省庁とも協働して進めさせていただきたいと考えていますという旨は,松島委員にも口頭でお話しさせていただいたところでございます。

【経済産業省製造産業局航空機武器宇宙産業課高橋係長】  せっかくコメントいただいたので,よろしいですか。
 このJAXAの成果を社会にどう実装していくかというところをお手伝いするのは,まさに経済産業省の仕事だと思っていますし,そこは文部科学省さんとよく連携していかないといけないと思います。
 この超音速の世界も,どの民間企業が主体となって,どういう開発をするかというところが,まさにこの技術開発の成果だと思いますし,その企業の方々が開発をするに当たって,どういうお手伝いをできるのかというのが,我々が見る部分だと思います。
 先ほど武市委員もおっしゃっていただいたような,それでもスピード感がまだまだ足りないという部分においても,今こうした超音速機の開発のみならず,空飛ぶ車のような話もありますけれども,新しい分野における開発がベンチャー企業を含め,どんどんすごいスピードで進んでいく中で,日本がどう社会実装していくかというのは,我々も同じ問題意識を持っている部分であります。文部科学省さんとは,研究開発成果の進捗や今後の方向性については,これからしっかり連携していかないといけないと思っている次第です。
 併せて申し上げるのであれば,今の進捗を見てどう連携するかということも大事ですけれども,そもそもこれを始める前からどういう社会実装の絵を描きながら技術開発をしていくかということも大事だと思っています。超音速のみならず,ほかのテーマにおいても,最初から新しく研究開発を進める分野においては,どういう企業さんとどういう形で開発をしていくかとか,若しくはどういうターゲットを狙っていくかというような話は,是非JAXAさんや文部科学省さんと経済産業省と一緒に進めていくべきだと思っています。JAXAさんで立ち上げられた電動化コンソーシアムでは,ステアリングボードの中に経済産業省も入っております。まさにこれから立ち上げられる研究開発テーマにおいて,その先にどう事業化していくかという話を経済産業省も一緒に進めていけるようなコンソーシアムができ上がったと,私はすごく前向きに捉えておりまして,今後も超音速のみならずほかのエリアにおいても,経済産業省と文部科学省さんの連携というのは深めていきたいと思っているところです。

【李家主査】  ありがとうございます。2点目については非常に大きな,広い話ですけれども,いろいろなところで検討していただければ有り難いと思いますので,よろしくお願いします。
 ほかはいかがでしょうか。この資料58-1-2に関しては,これくらいでよろしいでしょうか。

【松島委員】  今,アメリカの民間企業が地上は音速以下で飛行して,洋上では超音速で飛行するものでビジネスが成り立つということで開発を進めているわけですけれども,日本という立場を考えると,参考資料2-2の戦略的次世代航空機研究開発ビジョンで,8ページの一番右端のところに「アジア地域を日帰り圏とする高速移動の実現」とあります。日本の地政学的な場所を考えると,アジアというこれから発展する地域で超音速機を飛行させようと思うと,多分洋上はほとんどなくて,陸地の上空を飛行する場合が多くなると思います。そういうことを考えると,日本として本当に超音速機の実現を目指すのであれば,やはり低ソニックブームが必要であるということも,どこかに記録しておくことができないかと思いました。
 今回の評価の中で,地政学的に考えると,米国と日本は立場が少し違って,日本やアジア圏を考えて超音速機を開発するのであれば,低ソニックブームは必要であるということがつけ加えられないかなと思いました。

【佐藤委員】  私も同じように感じました。中間評価文に低ブームを要しないものが入ってきたことによってわかりやすくはなりましたが,日本がどちらを目指しているのかということが逆にわかりづらくなったように思います。低ソニックブームが非常に大事だということをやはり入れるべきかなと私も感じました。
 JAXAは低ブームでないものも低ブームもやるということですよね。

【JAXA吉田プログラムディレクタ】  はい,JAXAは低ブーム技術以外ももちろんやっております。

【佐藤委員】  低ブーム以外のものを,JAXAはやらないように見えてしまうのですが。

【JAXA吉田プログラムディレクタ】  我々の四つの技術目標がある中の一つに低ブームがありまして,もちろん低ブームが高速化の一番の柱です。時間短縮を最大限に得られる柱ですから,これを核にして低抵抗とか離着陸騒音とか軽量化とかをやっているわけでございます。低ブームを柱にしたものが我々のゴールですが,例えば低抵抗というのは,洋上のみ超音速の機体でも低抵抗という技術はあり得ます。今,日本のビジネスジェットを考えている方々とお話をすると,松島先生がおっしゃったように,アジア圏というのは確かに検討の対象にしていらっしゃいます。そのときは,おっしゃるとおり洋上ではなくて陸上なので,低ブームがまさにメリットがあるという議論はされております。
 一方において,北アメリカの横断というのがビジネスジェットの主流のところでございまして,そこも陸の上ですので,低ブームというのは多分必要になってきます。ということで,将来,先ほどの基準Bというものがつくられれば,それに満たない機体は超音速で飛べませんので,それを見据えて低ブーム技術がある機体が世の中に出てくる比率が上がっていきまして,それで超音速の本当の利便性を皆さんが享受できるようになるというのが大きな流れだろうと思っております。

【佐藤委員】  私もそう思っているので,ここに書かれているのは少しぼやけた記述かなと思います。当初は,低ブーム設計技術が必要であるということが書かれていたのですが,それがなくても海外ではやっていますということをたくさん書いてしまったことによって,少しぼやっとなったように感じました。松島委員が言うような形で,低ブームも重要なんだということを,はっきり書いた方がよいのではないかと思いました。

【宮川課長補佐】  記載ですけれども,例えば5ページに,アジア圏をノンストップで到達できる航続距離の達成を目指した技術目標など,本研究開発の技術目標に言及している部分がございます。
 そちらに,今,松島委員,佐藤委員がおっしゃったような,なぜその技術目標が設定されたのかという背景のような記載を追加させていただく形が一案としてあろうかと思います。文言については後ほど検討させていただければと思います。

【李家主査】  今の御提案は再評価の前の文章に追加するということですね。
 それに加えて,例えば終わりの方にある「今後の研究開発の方向性」ですけれども,22ページの下から7行目くらいから,低ソニックブームの話がまた書かれています。そこに例えばこの戦略的次世代航空機研究開発ビジョンでは,アジア地域を日帰り圏とする高速移動の実現が示されており,それを我が国が実現するためには低ソニックブーム技術が必要であるということをつけ加えると,松島先生のお考えに合うのではないでしょうか。そのように,御提案があった5ページと22ページに説明をつけ加えるということでいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 ほかに何かありますでしょうか。

【武市委員】  参考資料2-2の戦略的次世代航空機研究開発ビジョンについて,これは文部科学省が中心になってつくったものですが,8ページで
飛行実証の下の年度が2030年になってますが,経済産業省としてはこれでいいのでしょうか。若しくは,これは流動的な数字なのでしょうか。

【経済産業省製造産業局航空機武器宇宙産業課高橋係長】  超音速機の開発が,今とても加速していて,いろいろなベンチャー企業が出資しているところに日本として何もしなくていいのかという問題意識は,おっしゃるとおりだと思います。
 恐らく,この資料がつくられたときには,超音速の状況は違っていたと思います。例えば,これから超音速の戦略をつくらなければいけないとなったときには,少なくともこの数字とは違う数字になると思っています。これから超音速はどういう方向性で日本はやっていくべきかということは,技術戦略や最後のターゲットについて,JAXAさんとともに話をしていかなければいけないのかなと思います。

【武市委員】  コメントの中に知財の話も加えたのですが,知財には有効期限がありますよね。2030年には有効期限が切れているのではないかというのが少し気になっています。

【JAXA吉田プログラムディレクタ】  例えばJAXAが持っている低ブームの特許は,古いものもあれば最近のものもあります。我々としては特許を更に進化させて,類似の特許だと改善ができますし,少し外れていれば新規で出願ができますので,そういう活動をしています。したがいまして,先生がおっしゃるように期限のことは十分承知しながら,戦略的に研究開発と特許の取得ということを考えて進めています。

【武市委員】  常に新しいものを出しているということですか。

【JAXA吉田プログラムディレクタ】  はい。低ブームの特許もまた新たに申請しております。そういう活動はしております。

【李家主査】  では,この件に関しては議論が尽くされたと思いますので,本日頂いた追加の指摘事項,13ページと26ページ,それから最後に出てきた5ページや22ページの文言の修正等,中間評価票の修正案につきましては,頂いた御指摘を踏まえて事務局に考えていただいて,あとは主査一任ということでよろしいでしょうか。私が確認させていただいて,その上で研究計画・評価分科会にお諮りしたいと思います。よろしいでしょうか。
 ありがとうございます。
 それでは,そのように進めさせていただきます。
 次の議題に移りまして,次世代航空技術の研究開発の事後評価です。事務局から御説明をお願いします。

【宮川課長補佐】  次は資料58-2-1から58-2-3でございます。復習でございますけれども,本件は平成25年度から平成29年度の5年間で実施され,大きく二つの研究開発で構成されているものでございます。一つは,天候等の影響を受けない高高度で従来の有人航空機をはるかにしのぐ長時間の運用を可能とする滞空型無人航空機に関するものでありまして,もう一つが航空機の燃費や整備を大幅に削減することが可能な電動化航空機に関するものでございます。いずれの技術につきましても,関係する機関との連携を図りつつ,キーとなる要素技術を確立するということを目標としたものでございます。
 資料につきましては,先ほどまでの超音速に関するものと同じでございまして,資料58-2-1が1枚の概要,資料58-2-2と参考資料3で,今まで各委員から頂いたコメントとそれらへの対応を書かせていただいているところでございます。参考資料3の方が前回委員会までのコメントに関するものでございまして,資料58-2-2は前回の委員会以降に関するものでございます。
 簡単ではございますけれども,参考資料3から復習させていただきたいと思います。冒頭は研究開発計画の記載でございます。2ページ以降が事後評価結果でございます。必要性に関しましては,李家主査からの電動化航空機技術の開発に関するリスクが大きいというところの理由を補強するようにという御指摘を踏まえて,一部追記を行っています。また,李家主査,竹内委員から頂いた御指摘の,記載上の修正を行ったところでございます。
 有効性につきましては3ページの中ほど以降でございますけれども,これについては意味が通るように,文言上の修正をさせていただいているところでございます。効率性につきましては,4ページの一番下以降でございますけれども,これにつきましても李家主査,竹内委員からの御指摘を踏まえまして,記載の明確化を行ったところでございます。
 6ページの下ほど以降の総合評価につきましては,7ページの中ほどにあります李家主査からのユーザーに対して機体の優位性を理解してもらうなどの活動も必要ではないかという御指摘を踏まえまして,7ページの中ほどにある追記をいたしました。また,佐藤委員から頂いたコメントでございますけれども,12ページの上になりますが,電動航空機につきましては,高効率モーターなどを積んだ機体の飛行実証を行ったころでございますけれども,その過程に関しまして,もともとパワーポイントの資料で書かせていただいておりました航空局からの飛行許可に関しても,試験の成果として書くべきだという御指摘を頂いたところでございまして,それについて記載する修正を行ったところでございます。
 13ページ中ほど以降の評価概要につきましては,李家主査から頂いた御指摘を踏まえ,記載の明確化をしたところでございます。
 最後に,14ページ以降の今後の展望につきましては,李家主査,武市委員からの,滞空型無人航空機システムの利活用に関して,ユーザーに対して機体の優位性を理解してもらう活動の必要性や,活用用途を次のステップに向けてしっかり見いだすべきであるというところの御指摘を踏まえまして,14ページの赤字にありますように,関係機関等との連携強化により新規用途及びユーザーの開拓に取り組むといった記述を追加させていただいているところでございます。その他,和田委員から頂いた表現上の修正をさせていただいているというところが,前回の委員会までの修正でございました。
 それ以降に頂いたコメントは余り多くないところでございますけれども,資料58-2-2にまとめさせていただいております。まず6ページでございますけれども,李家主査から,直近で豪雨に伴う土砂災害なども発生したところでございますので,単に「期待」という文言では弱いのではないかといった御指摘を頂いたところでございます。
 今後の展望にも,武市委員からも類似の御指摘を頂いているところでございます。そこと併せてではございますけれども,関係機関等との連携強化を行うことによって,新規用途及びユーザーの開拓に取り組むなど,実用化に向けた取組を進めるべきというところを記載するとともに,もともと「期待される」としていたところを,「求められる」という形で修正をさせていただいておるところでございます。
 もう1点が,13ページになります。武市委員から「研究開発の成果の用途が見いだせないため,次の段階への研究開発が進展していない」というところを挙げていただいておりまして,利用方法の開拓と社会実装までというところを念頭に,出口志向の研究を進めていくというところのコメントを頂いたところと,先ほどの李家主査のコメントも受けまして,14ページにございますように,修正を行っているところでございます。
 事務局から修正点の説明は以上でございます。

【李家主査】  どうもありがとうございました。
 ただいまの御説明について,御質問や御意見等ありましたら,お願いいたします。
 委員からのコメントについては全て反映していただいたと思いますけれども,何かほかにお気づきの点がありましたらお願いします。
 私から,災害監視のところに注目して,滞空型無人航空機システムについてコメントをさせていただきましたけれども,1枚紙の資料58-2-1を見ると,滞空型無人航空機システムというものはもっと広い用途を持っていて,防災だけでなくて,左側の真ん中あたり,環境保全,安全保障などの様々な課題の解決に資するという,かなり広い目的を持ったものだということです。
 ほかに何かお気づきの点はございますでしょうか。

【竹内委員】  細かなことですけれども,3ページの必要性の最後に,「本研究開発必要性」とありますが,これは「の」が入った方がいいのではないでしょうか。「研究開発の必要性」です。

【宮川課長補佐】  失礼しました。

【竹内委員】  それだけです。

【李家主査】  どうもありがとうございます。
 今の点は修正いただくとしまして,その上でこの資料58-2-2については,この事後評価票の修正案で,この委員会として確定させていただくということでよろしいでしょうか。
 よろしければ,それで研究計画・評価分科会に諮らせていただきたいと思います。
 どうもありがとうございます。では,そのように説明させていただきます。

(2)その他
【李家主査】  最後に議題2のその他です。これに関しては,事務局からは何かありますか。

【宮川課長補佐】  特にございません。

【李家主査】  それでは委員の皆様の中で,これまでの議事の中,内容も含めてお気づきの点がありましたらお願いいたします。
 よろしいでしょうか。

【松島委員】  少し離れた質問かもしれないですけれども,先ほど経済産業省の方から,空飛ぶ自動車を推進しようという動きがあるというような話をお伺いしましたが,空飛ぶ自動車は,空を飛んでいるときは多分航空機だと思います。電動型が主流なのかなと思っているのですが,空飛ぶ車のプロジェクトと航空機開発としての,例えばJAXAの電動化航空機の話が出ましたけれども,それとのかかわり合いがあるのかということをお伺いしたいです。

【JAXA航空技術部門渡辺次世代航空イノベーションハブ長】 JAXA次世代航空イノベーションハブの渡辺です。
 今お話のあった件は,まず国として空飛ぶ車というものに取り組むという方向で経済産業省さんらが推進されています。空飛ぶ車は,今おっしゃったとおり,電動と垂直離着陸ということが大きな特徴になっています。おっしゃるとおり,飛び上がれば飛行機そのものです。また,電動ですので,航空機の電動化と全く同じ技術,重なっている技術になります。
 一方でJAXAでは,電動化航空機のコンソーシアムというものをつくって,将来的には旅客機の電動化,大型機の電動化をしてCO2を削減するということを進めております。ただ,すぐに大型機の電動化は難しいので小型機の電動化から取り組んでいきますけれども,そのバリエーションの一つとして,空飛ぶ車のようなものが,アプリケーションになって出口になっていくという考え方でいます。モーターやパワーエレクトロニクスの部分というのは共通の技術ですので,そこは同じ方向性の中で,一緒に検討,研究開発をやるということで,経済産業省さんとも協力しながら進めていこうと考えているところです。

【松島委員】  ありがとうございます。

【李家主査】  ほかにはいかがでしょうか。

【武市委員】  資料58-2-2の12ページですが,アウトカム指標の2番目で,研究開発成果利用数としてJAXA保有の知財が評価基準になっています。これは個別の研究課題を見ると,当然ハードルが高いことなので,年度推移を見てもゼロが並んでいるのが普通だろうと思いますが,JAXA全体として年度ごとに評価するというような機会が別のどこかにきちんとあるんですね。

【宮川課長補佐】  前回の委員会で参考指標を御相談させていただいたプログラム評価は,まさに研究開発計画全体を見るところでございます。今年度から研究計画・評価分科会として評価が始まるところで,まだやり方を相談している面もありますけれども,そういった中で総合的に評価する際に使っていく指標になります。

【武市委員】  個別のところでゼロが並ぶのは仕方がないというコンセンサスはあるということですね。

【宮川課長補佐】  はい。個別の課題だと若干ナンセンスであるというのは,致し方ないところかと思います。

【武市委員】  そういうところが心配になっただけです。

【李家主査】  よろしいでしょうか。
 それでは,以上で本日の議事は全て終了しましたので,進行を事務局にお返しいたします。

3.閉会

【宮川課長補佐】  ありがとうございます。
 次回の航空科学技術委員会の開催日につきましては,改めて委員の皆様にスケジュール調整の上,確定したいと考えております。
 また本日の委員会の議事録につきましては,事務局にて案を作成し,委員の皆様に御確認いただいた上で,文部科学省のホームページに掲載させていただきます。
 それではこれで,科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会第58回航空科学技術委員会を閉会いたします。本日はどうもありがとうございました。

(了)

お問合せ先

研究開発局宇宙開発利用課