研究評価部会(第37回) 議事録

1.日時

平成22年7月15日(木曜日) 10時~12時

2.場所

文部科学省3F1特別会議室

3.議題

  1. 数学・数理科学と他分野との連携方策に係る平成23年度新規課題の事前評価について
  2. 科学技術振興調整費による実施課題の平成22年度における評価の進め方について
  3. その他

4.出席者

委員

笹月部会長、中西部会長代理、相原委員、有信委員、有本委員、伊地知委員、大泊委員、小舘委員、後藤委員、小林委員、諏訪委員、東嶋委員、西尾委員、西島委員、野田委員、花木委員、持田委員、平野委員、廣瀬委員

文部科学省

(科学技術・学術政策局)泉科学技術・学術政策局長、小松科学技術・学術総括官、中岡政策課長、柿田計画官、苫米地評価推進室長、永田科学技術・学術戦略官付専門職
(研究振興局)内丸基礎基盤研究課長、粟辻基礎基盤研究課融合領域研究推進官

5.議事録

 【笹月部会長】
 おはようございます。定刻となりましたので、科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会・研究評価部会、第37回を開催いたします。
 本日は、議事次第にありますように、数学・数理科学と他分野との連携方策に係る平成23年度新規課題の事前評価について、それから、科学技術振興調整費による実施課題の平成22年度における評価の進め方について、この2つのご審議をいただきたいと思っております。
 それでは、最初に、配布資料の確認をお願いいたします。

【苫米地評価推進室長】
 失礼いたします。本日の資料でございますけれども、議事次第の配布資料一覧にございますとおり、資料1―1から資料2―3まで、また、参考資料1から6まで、また、机上配布資料といたしまして、文科省の評価指針と科学技術振興調整費による実施課題の評価の進め方ということで配布をさせていただいてございます。大部になりますので、個別には申し上げませんけれども、資料の欠落等、不備がございましたら、議事の途中でも結構ですので、事務局までお申しつけいただければと思っております。よろしくお願いいたしいたします。

【笹月部会長】
 どうもありがとうございました。それでは、議題の1.数学・数理科学と他分野との連携方策に係る平成23年度新規課題の事前評価についてに入りたいと思います。
 この研究計画・評価分科会では、平成23年度の概算要求に当たりまして、分科会の所掌研究開発課題のうち、10億円以上の費用を要するもの、その新規施策については、研究計画評価分科会の評価の進め方、これは、参考資料3にございますが、これに基づき、分野別委員会等で事前評価を実施し、分科会の審議、了承を受けることとなっております。研究計画評価分科会の下に、数理科学に対応する分野別委員会というものが存在しておりませんので、本部会において審議を行うことになります。
 そこで、本日は、文部科学省が作成した数学・数理科学の新規課題についての事前評価票案についてご審議をいただきたいと思っております。本件につきましては、資料を事前に各委員に送付しており、既にごらんいただいていることと思いますけれども、資料の1―1から1―4までを一括して説明していただき、その後、ご審議いただきたいと思います。事務局から説明をお願いいたします。

【内丸基礎基盤研究課長】
 ありがとうございます。ただいまより、施策の概要についてご紹介をさせていただきます。
 私は、基礎基盤研究課長をやっております内丸と申します。本日はよろしくお願いいたします。
 ただいま、部会長よりご紹介をいただきましたように、現在、私どもの課のほうで、数学・数理科学というものをテーマとして、それの振興を図る施策というのを検討してございます。
 それで、本日、資料としまして、資料の1―1以下、幾つか資料を用意しておりますので、それに沿って順次ご説明をさせていただこうと思います。
 まず、この施策でございますけれども、予算については現在まだ調整中でございますので、詳細はまだ確定しておりませんけれども、私どものほうとしましては、特に、この施策につきましては、後で述べますけれども、非常に長期間、少なくとも10年ぐらいは、諸般の事情で進める必要があると判断しておりまして、そういう意味で、この事前評価の条件である10億円は超えるものというふうに現在考えてございます。
 それで、まず、資料1―1でございますけれども、ここのほうに、現在、いろいろなところで進められております施策と、現在、これから検討しています施策の非常に大まかな概念図でございますけれども、この図にございますように、現在、研究費補助金でございますとか、さまざまな大学の施策、また、JSTの施策などで、この数学・数理科学分野の取り組みがされておりまして非常に世界的にもユニークな成果が出つつございます。
 また、一方で、現在、諸科学の分野の課題解決に向けまして、この数学・数理科学的な手法を取り込んで、いろいろな方法で展開しようというような課題も、本日は例示として、ライフサイエンスでございますとか、ナノテクノロジーでございますとか、また、社会の課題解決というところで挙げておりますけれども、これ以外にも含めて、さまざまな施策が動いております。
 今回、私どものほうで企画させていただこうとしておりますのは、そのような、さまざまな数学の研究の現場から出てまいります、非常に効果のあるものを、そのような、最先端の研究のほかの分野の研究の現場、さらには、産業界における経済活動の現場につなげていくような、そういう拠点の構想をつくりたいというものでございます。
 それでは、資料1―2をごらんいただきたいと思います。1枚めくっていただきますと、詳細は省かせていただきますけれども、現在、お手元に青い少し厚めの資料を参考資料として置かせていただいておりますが、これは、昨年度、文部科学省からの委託事業としまして、数学・数理科学と他分野の連携、協力の推進に関する調査・検討というテーマで、特に、今回、来年から始まります第4期計画というものをにらみながら、何をやるべきかと、また、どういう現状にあるかということを、調査をお願いしたものでございます。この報告につきましては、後で少しまた簡単にさせていただきますけれども、ここでご注目いただきますのは、この表紙でございます。表紙の下に実施機関というところがございまして、非常にユニークなメンバーでこの調査をしていただいております。
 まずは、実際に、数学・数理科学に関して、これまでも、さまざまな形で、対外的な連携で実績のございます九州大学や東京大学、また、どちらかといいますと、この間、純粋な数学の研究のほうで非常に力を入れておられました日本数学会も、今回そういう数学の力を社会的に展開していくというような点に関して非常に高い協力を示していただきまして、ここに参加されております。
 また、企業としまして、鉄の会社でございますけれども、新日本製鉄、こちら、後でまたちょっと入れさせていただきますけれども、従来、あまり数学と縁のなかった製造の現場においても、数学というのは、非常に使われてきたというような現状がございます。このような報告書の中で、数学、もしくは数理科学の有効性、または現代社会におけるさまざまな課題解決の中から新しいものを生み出していくというような意味で、諸科学また産業の現場と数学との連携を強めていくということが必要ではないかというようなことが浮かび上がってきております。
 その中で、特に、現在、我が国が直面しておりますグリーン・イノベーションですとかライフ・イノベーション、もしくはさまざまな社会を豊かに、またさまざまな科学技術分野に貢献していくような、そういう課題解決への貢献ということで、この数学と諸分野との連携の場をつくっていくということを企画したものでございます。
 1枚めくっていただきますと、先ほどのマップにも書かせていただきましたが、今現在、既にいろいろな社会の課題解決、また科学技術の向上に向けましてさまざまな分野での個別個別で、数学・数理科学との連携というのが既に起こっております。このような動きを今後も永続的に、また、効果的に進めていくというためにどうするかというものでございまして、一方で、この図の下のほうにございますが、数学・数理科学の現場から生まれてまいります、様々な成果も同時に出ております。今回のこの構想では、幾つか文部科学省のほうで拠点を選ばせていただきまして、その拠点を中心に出てきました研究成果の活用ですとか、もしくは、連携の促進、特に、具体に課題解決を求める、さまざまなパートナーと実際にそれをトライできるような、知見もしくは技術を持ったさまざまな数学・数理科学系の企業とのマッチング、そういうようなことを行う。
 さらには、分野共通的な、数学の特徴としまして、1つの分野のみならず、高度に抽象化された形で成果が出てまいりますので、さまざまな分野に応用が効く、また、ほかの分野で上げられました成果をほかの分野に転用をしていくということも可能でございます。そのような分野共通的な研究成果の展開ですとか、また、他分野との連携とかいうものに対応できるような数学・数理系の人材の供給、さらには、数学というものをある種の触媒としまして、さまざまな異分野間の相互作用、相互連携の場を提供すると。主にこういうところを現在想定しておりますが、そのようなものを全国の大学研究機関などのアイデアを出していただく中から、文科省のほうで選ばせていただいて幾つか思案していただきながら、日本全体でそのような機運を高めていくということを現在は検討しております。
 また、そういう中で、下から上への一方通行だけではなくて、そういう課題解決型の研究を進める中で、新たに出てきたニーズ、また、それを解決するための新しい手法を、逆に、数学の基礎研究の現場のほうにも返していって、そこからまた新しい数学の学問的な発展への刺激となるような、そういうこともできないものかということも現在、企画中でございます。以上、ちょっと私が今、口頭で申しましたことを事前評価表の案としまして、次の白い紙のほうに書かせていただいております。
 ここにございますように、必要性でございますとか、あと、有効性、効率性の観点から当方の自己評価として幾つか書かせていただいておりまして、ぜひ、きょうは、この評価につきまして、ご議論いただければと思っております。簡単に幾つか補足させていただきますと、その次の紙に、幾つか、数学を既に活用して成果を出している事例というものを書かせていただいておりますが、そこのところに、この評価表のほうにも触れておりますので、若干補足をさせていただきます。
 まず、必要性のところにございますが、幾つか例示を挙げておりますけれども、例えば、数学の知見を使いまして、これまで、内容がよく、正直なところ、経験的なもの以上はなかなかわからなかった、鉄の製造過程におきます高炉内部の温度変化、これは、実際に、鉄の一番大事なスタートの部分でございますけれども、そこでトラブルが起こりますと、全体に非常に大きなロスが生じます。また、それと同時に、また、エネルギーのロスが生じますわけでございますけれども、そういうものを数学的手法を使って、その変化の予兆を確保しまして、最適な操業化をするということに成功した事例もございます。
 また、資料1―3のほうに、社会への貢献としまして、これは、現在、JSTの戦略創造研究のほうで取り組んでいる課題でございますけれども、いわゆる交通渋滞というものがなぜ起こるかということは、この間、いろいろな事例でわかってきている部分もあったのでございますが、じゃあ、それを起こさないための手法をどうやって展開するかというところで、非常にシンプルな数学モデルをもとにしましては、それを開発し、かつ、実証実験もやって、その成果を実現したというような例もございます。こういうふうな製造の現場、もしくは、社会のさまざまな活動の現場に数学の知見が生かしていけるというようなことが出つつございまして、こういう点からも、今回、私どものほうで企画しました施策を展開をして、まだまだ、そういうような芽があるところを、社会の、もしくは諸科学とのニーズとの間をつないでいくというようなことをやっていく必要があると、現在考えております。
 また、詳細な例は省かせていただきますけれども、この資料1―3の部分、あと2枚目以降に、ほかにも、この間、数学・数理科学というものを有効に使ってさまざまな分野の課題解決に生かした例というのが多々ございます。
 次に、資料1―4を参考につくらせていただいておりましたが、資料1―4は、今回、こちらのほうにお話をもってくる前に、私どものほうでも、局内で有識者を集めました委員会というものを組織しまして、そこで議論をさせていただいております。裏をめくっていただきますと、メンバーの方、掲げさせていただいておりますけれども、数学もしくは産業界もしくはそれ以外の方も含めましていろいろな方面の方にご参加をいただきまして議論をしていただきました。
 おおむね、今回、私どもが、現在、検討を進めております、施策についての方向性については、賛同をいただいておりますけれども、この検討会の場でも、特に、多くの方から指摘いただきましたのは、1つは、時間的な問題、特に、今回の施策はちょっと特異ではございますけれども、10年という長い期間を設定をしております。この10年という期間を設定しておりますのは、1つ、実際に、数学と他分野の多くの連携をした方の経験的な話でございますけれども、やはり、どういうところに問題があり、それをどう解決していくかという研究に入る前の、相互理解の範囲がわかる。そのときに、3つの壁と言っておりましたけれども、言語の壁、文化の壁、また、時間の壁というのがございまして、そういうところを解決するために、ある一定の時間を確保する必要があるということを多くの方が指摘いただいております。
 また、同時に、数字の分野で、数学・数理的な知見を持った方、学生を育てていく過程において、やはり実践的な場で研さんをしてもらうということも考えますと、やはり、2年、3年やるだけではなくて、大学院へ進んでから、一定期間は現場での実習も含めて多くのことを学んでもらうというためにも、人材育成のためにも2年、3年、5年ではなくて、10年程度の規模を持って進めていくということが重要ではないかという指摘を受けております。簡単でございますけれども、以上でございます。

【笹月部会長】
 どうもありがとうございました。これは大変重要なことだと思いますし、全く数学の素人として見ても、逆に、なぜ今ごろなのか、もっと早くやっている課題だったのではないかなという気も致します。
 ただいまのご説明に対しまして、どうぞ、ご意見、ご質問、コメントをいただければと思いますが。はい、どうぞ、平野委員。

【平野委員】
 私は、大変重要な、根幹の学問体系の中での動きだと思って、これについて大いに賛成をしたいと思います。私は、まだ、資料全体の報告書まで見ていませんので、そこに触れられておるのだろうと思いますが、これまで数学界のほうでのアンケートがありますけれども、21世紀COEや、それから、今動いているグローバルCOEにおいて数学分野が関係するようなところを一度きちんとサーベイされて、それの中で統合的な問題としてもやはり出されたほうがいいと前から思っておりました。予算がかなり限られた中で、8%カットかもしれないと言われる、その予算の中で、これを、今後持っていくために、今までを踏まえてどういうふうにするのかということについては、触れられているんでしょうか。この資料1―3あたりを見ていても、これまで文部科学省が対応してきた背景を踏まえての議論があまりないように思いますが。

【内丸基礎基盤研究課長】
 すいません。補足をさせていただきます。
 この調査表の中で、きょう、お時間の関係で十分にご説明ができなかったんですけれども、調査をされた方のほうで、各地の大学、また、実際にそれをやっている現場に行ってお話を聞いております。
 そういう中で、今、お話のございましたグローバルCOEもしくは大学独自の運営費交付金で、このような数学振興の構想を進めておられる大学もございました。そういうところのお話を伺っていく中で、やはり、現在、先ほど10年と申し上げたのも、多くの施策がやはり、どうしても5年刻みとかになっておりまして、そういう中では、本腰を入れて人材育成などもなかなか難しいというようなご指摘があったり、また、各大学、研究機関の現場でやっておられる中の成果をもっと水平展開していくような、そのような仕組みとか、そのようなご指摘もいただいております。
 また、今回、産業側との、いろいろなお話し合いができましたのも、グローバルCOEなどで、既にそれに取り組んでいる大学がございまして、そういうところの知見をもとに、いろいろなお話をまとめておいて、多くの方の情報をいただき、また、それを練っていったという経緯もございまして、まだまだ不十分ではございますけれども、先生ご指摘の方向へ今後も進めていきたいと思っております。

【笹月部会長】
 はい、どうぞ。

【西尾委員】
 私自身、数理工学の分野の出身でございますので、このプログラム自身、非常に意義深いものだと考えます。また、今、部会長がおっしゃられましたように、何故今ごろという感があり、もっと早く実行してほしかったと思います。2点お伺いします。
 このプログラムが実際に動きかけたときに、プログラム自身の評価をどういう形でなさろうとお考えでしょうか。また、幾つかの拠点ができたときに、その拠点間の特長というものを何に求めておられるのでしょうか。ご説明にありました他分野との連携というときに、数学・数理科学をどの応用分野に生かそうとしているのかということで特長を出すことをお考えでしょうか。つまり、該当する応用分野において、ベースとなるコアコンセプトとして数学あるいは数理科学をいかに有効に生かすことが可能かということで各拠点の特長を考え、また、その拠点の評価をすることを考えておられるのでしょうか。そのあたりのことをお聞きします。

【内丸基礎基盤研究課長】
 まず、評価のやり方につきましては、1―1に書かせていただいておりますが、何回か中間評価を入れると、この三角形部分が一応想定した期間でございますが、大体3年、4年刻みで、中間評価というのを入れようと考えと考えております。
 その際の評価の基準、これは今後、この施策を具体化する際の期間を、選定してきたような基準づくりとも連動してまいりますが、第4期基本計画に移行しつつある現在において、やはり出口からの視点、今回、各提案の中でやろうとするものが、ほんとうに今、日本の中で大きな課題になっておりますグリーン・イノベーションですとか、ライフ・イノベーションですとか、そういうものにどう貢献していくのかと、これは1つ大きな課題、基準となろうかと思います。
 ただ、一方、これも、先ほどご紹介した、有識者委員会の中でもご指摘があったんですが、数学の特徴としまして、ある特定の分野のみに使えるような成果というのも、それがまた非常にほかの分野に、汎用的に使えていくというのが非常に大きな特徴としてございますので、やはり評価する際には、そこで得られる、もちろん、当面、課題解決という意味で、こういうのを念頭に置きながらも、それの水平展開、もしくはほかとの連携というところをどれだけ果たしたか、もしくは、効果的にやり得るような内容を出したかというところが大きな、この数学というものの特徴を考えた場合には、依然として大きかろうというふうに考えます。

【西尾委員】
 今、おっしゃられた、ある分野に限ったものでなくてというところは、私は大事かと思います。数学・数理科学というのは、やはり、工学の分野では、目的指向ではなくて、手法として一般性を重要視する学問分野ですので、そのところをぜひ重視していただければと思います。

【笹月部会長】
 はい、どうぞ。諏訪委員。

【諏訪委員】
 質問なんですけれども、この文章を見させていただきますと、数学・数理科学ということで、方程式がかなり注目された書き方になっているんですけれども、ただ、実際の問題をモデル化するときというのは、実データが必要で、それがあってこそ初めてモデル化ができるわけですよね。ですから、そのデータベースというのはものすごく重要で、数理モデルだけだと片肺飛行になってしまうような気がするんです。
 例えば、ライフサイエンスの分野であれば、今、現在、統合データベースの流れがありますけれども、そういった基盤とどういうふうに連携していくのかというような議論というのは、この中ではなされたんでしょうか。
 要するに、多分、数学をやられている方というのは、自分でデータを出そうとはされないと思うんですね。方程式だけつくって満足してしまっているという状況がありますし、あと、各大学、じゃあ、データをつくれといっても、それは小さなデータベースに終わってしまって、皆さんが使えて、実モデルをつくっていくのが難しいと思うんです。ですので、そういう基盤との連携みたいな議論がなされたんでしょうか。

【笹月部会長】
 大変重要なことだと思いますが。

【内丸基礎基盤研究課長】
 まさに、この話の根幹にかかわる話でございまして、せっかくの数学的な知見というものも、それを適用する対象としてのさまざまなデータ群、それなしでは、効果は発揮し得ないですし、また、信憑性といいますか、そういうところも勝ち取り得ないことになります。
 そういう中で、私どものほうといいますか、これまでの議論も、あまり深い議論はなかったですけれども、指摘も幾つかございましたのは、やはり現場との連携、狭い意味でのデータといえば、例えば、さっきのご紹介した新日本製鉄の例で言えば、これはもうほんとうに、私も、もともと、材料系なものですから、大体状況はわかるんですが、現場にはもう山のように、職人のデータといいますか、いろいろな数値はあるんですけれども、そういうのをよくわからないまま、暗黙知でさばいていたというのが、多分、実際ございます。
 そういう中で、一方で、計測技術が今ものすごく進んでおりまして、かなり、時間的、もしくはスケール的にも、いろんなデータが蓄積しています。そういうものをやはり、現場でよくわからないまま蓄積しているものをまずもとにして、数学者の目でそれをひもといていくと、これがまず非常にローカルな意味でのデータとの接触だろうということで、今回の話においては、ちゃんと、そういうデータを蓄積しているパートナーとの連携というのが非常に重要かと思います。
 次に、もう少し広い意味なら、例えば、90年代から起こった話で言えば、ゲノムデータベースのような、そういう普遍性のある非常に大規模データ、そういうところの連携については、まさに、今ご指摘がありましたように、現在、統合ベータベースそのものを今検討中なので、私も、その報告を見ないと何とも言えないんですが、ぜひ、やはり、そういうところとの親和性を高めていかないと、さらに次の段階、せっかく現場から得られた知識をもとに、それを普遍化していく段階で、さらに次に行きませんものですから、そこらへのアクセスというものを今後ぜひ考えたいと思います。

【笹月部会長】
 はい、相原委員。

【相原委員】
 各先生方、おっしゃっていることに共通しているんですけれども、私、自身は、実は、WPIの数物連携という研究機構で、数物で連携をしているはずのところでございまして、物理と数学なんか同じではないかと言われるぐらいですけれども、やはり、数学とほかの物理ですらそこを連携させるため、やはりそれなりの工夫が必要でございます。数学には数学の時間の流れというのがあって、実は10年というのは、数学の先生にお聞きになられると、数学の世界ってゆっくり時間が流れるので、最低10年でないと新しいものが出ない。
 それから、社会のほうの、いろいろなモデル、データベースからの要請というのもはっきりしているんですけれども、一番委員長が言われている、なぜ今かと言われると、やはりそこをつなぐ人間ですよね。ちゃんと数学の世界のこともよくわかっていて、かつ、アプリケーションの世界の知識も十分あって、そして、数学の先生にモチベーションを与えて、うまく、数学の先生に、ただ、1つの問題を解けといったのでは、これはやっていただけないので、もうちょっと広いモデル化とか、モチベーションをうまくやって、それで、数学の世界にも成果を与えるというような人材が、やはり、物理の世界にも非常に少ないですし、各大学でも、今のところ、なかなか出ていないんだと思います。そういうところが、やはり非常に必要だということが、今になってというのは変な言い方でございますけれども、重要になってきているので、そこのところを、実は、このプログラムは、当然、今、日本の数学は強いわけですし、いろいろな、ほかの分野、強いわけですけれども、そのつなぎ役みたいなところがこのプログラムで出てくれば、どんどん成果が上がってくるというのをねらっておられるのではないかとは思うんですけれども、その辺をうまく、この中のプログラムに組み入れて、そういうプロデューサーといいますか、つなぎ役ですよね、をはっきりと、そういう役割の人をここに入れ込むというような提案を求めるような形になると、非常に実はいい成果が上がるのではないかと思うんですが。

【笹月部会長】
 はい、どうぞ。

【内丸基礎基盤研究課長】
 それについては、ポジな話とマイナスな話両方ございます。まず、ポジの話で言いますと、今先生、ご指摘のようなことが徐々に出始めている事例がございまして、特にグローバルCOEなどで、こういう展開をしています大学の中には、産業界へのインターシップなどを実行しているところもございます。それも、3カ月とか、長期にいたしておりまして、そういう中で、数学・数理科学の素養を持った学生が非常にほかの分野に刺激を受けて、それで、自分も、ほかの分野を学ぼうという意欲がわいて、いろんなところ、もちろん、それは、論文書く意味ではございませんけれども、広くそういうところを知った上で世に出ていくということで、出ていった方が、出ていった先で、いろんな連携ができるような素地を持った人がふえつつあるというのがございます。
 次は、ややネガティブな話なんですけれども、やはり、人材育成の場合、どうしてもついてまわりますのは、やはり、その育成された方のキャリアパス問題というのがございます。
 先ほど、新日鉄の例を申しましたけれども、新日本製鉄も元々は、全く数学系の人はいなかったという実態がありましたが、こういう良い成果をもとに、今では、数理解析部という、1つの組織ができるまでに発展しております。ただ、まだまだ、多くの産業の現場では、残念ながら、そういう数理系の方のキャリアパスという目で見ますと、まだまだ薄いところがございまして、そういう意味でも、やはり、ほかの分野の知見もある程度持った方が出ていって、かなり幅広に対応できる人材ということを1つの人材育成の際のポイントにしたいと考えております。
 もう一つは、コーディネーター人材というのがおりまして、いわゆるマッチング、いろんな分野のニーズと、いろいろな分野の数学のシーズをくっつけるコーディネーター人材、ただ、これは、この分野に限りませんけれども、産学連携、その他もいらっしゃいますけれども、やはり、なかなかこの方々のキャリアパス問題というのは解決しないところがございまして、そういう中で、人材育成のいろいろ、トライアルの中で、そういうところにも方向性を見出すような拠点をどんどん開拓していきたいというふうに考えております。

【笹月部会長】
 有本委員、どうぞ。

【有本委員】
 先ほど平松先生がおっしゃったことに関係するんですけれども、今、文部科学省に限っても、いろいろな関連の施策が走っているわけです。それらの俯瞰マッピング、個別施策のポジショニングができているかどうかです。科学技術政策局でもやっているし、研究振興局でも似たような事をやっていないか。縦割りになっているのではないか心配です。サービスサイエンスの研究も今年から本格的に走る。多分、若い人たちでも、申請をする人たちはどうなっているんだと混乱します。今の、基本設計の段階でも俯瞰的な全体像を見せる必要があると思います。
 それからもう一つは、これのやり方として、どういう仕組みでやるのかです。従来、センター・オブ・エクサレンスを作るのが中心できましたけれども、今世界中で、センター・オブ・エクセレンスだけではなくて、ネットワーク・オブ・エクセレンス重視となっています。南方のコンビネーションだと思いますけれども、そういうものが、言葉だけで、連携拠点とか書いてあるんだけれども、どうやって構成するのか。分野だけではなくて、組織を越える、国境を越える、時間を越えるというようなことを、コンセプトのところで、仕組みをきちんと統計しないと、心配です。思いつきで、ブームに乗ってるからやろうというぐらいで、小さなものが走るだけと、全体として、またこれで育っていった若い人たちがまた困るというようなことを生み出しかねない。否定するのではない、その辺をしっかりと検討していただきたい。

【内丸基礎基盤研究課長】
 もう全くご指摘のとおりでして、将来、いろいろな施策との情報収集をしながら考えているところであります。
 次に、拠点をする際に、幾つか、私どもも、今、ちょっと分野は違うんですけれども、光科学とか、そういう分野で幾つかトライしておりますのが、今、ちょっとお話がございましたけれども、単発の拠点ではなくて、ネットワーク型の拠点と。それも、一応、実態はある形で、単なるヴァーチャルではなくて、というものをしている中で、その中で、グループとして人材育成をしていくような、そういうような事例なんかも出てきておりまして、そういうところをうまく使いながら、こういう分散と集中のバランスをとりながらやりたいというふうに今現在、考えているところでございます。ぜひ、またいろいろ、ご指導、また、今度ともよろしくお願いします。

【笹月部会長】
 どうぞ、有信委員。

【有信委員】
 今のお話にも関連するのですけれども、ぜひ、連携をよくやってほしいということと、その中で、今、個別個別の体制に対する話があって、こういう問題が出てくると、基本的にはモデリングというんですかね、特定の問題に対する問題の実の部分が、非常に重要で、そういうところが個々のアプリケーションに結びついているという点で、そこを連携するという論が非常に重要なんだけれども、もう一つ重要なのは、私が会社にいて、ソフトウェアの研究所の所長をやっていたときに、やはり、数学だとか、数理系の人たちを随分採用して、その人たちが、実際にソフトウェアの研究所の中で随分活躍をしてくれました。
現在も、たしか神戸でペタコンの準備が進んでいて、それらの対応ということで、新しいソフトウェアの開発等々が進んでいますけれども、むしろ、そういう点で、いわば、計算科学的なところへの足がかりがきちんとつくるようにぜひ考えておいてほしいと思います。つまり、そういう部分についても、ネットワークから外れないように、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

【笹月部会長】
 どうもありがとうございます。はい、どうぞ。

【大泊委員】
 これから日本の科学技術は課題解決型に向かうと言われておりますよね。その場合、特に、逆問題の抽出といいましょうか、それが重要ですが、それにはおそらく、日本中から人材を発掘するというような努力が多分要ると思うんですね。そういう、オールジャパンをつくるための意思がおありなのかどうかということと、それから、そういう仕組みをどうするのか、その点に関してお考えを聞かせてください。

【内丸基礎基盤研究課長】
 この分野は、かなり、日本、数学・数理系でも高いポテンシャルがあるというふうに調査の中でも出ているのですが、今の話のように、かなり分散しているという話がございます。いろいろなところでいろいろな方がやっておられる。また、そういう中でやっておられる、さまざまな成果、事例が、十分にまだ世に知られていない段階、ある方に聞きましたら、プルーフポイントをまだ超えていないという段階でございまして、今の先生のお話は、おそらくそのことかと理解しました。
 一方、これは私ども自身の課題でもあるんですが、文科省としても、そういう活動をもっと継続的にやって、ちゃんといろいろな方を、ちょっと言葉を選ばずに言わせていただければ、発掘して、また、ちゃんと世に知らしめていく、そういう地道な取り組みのほうも、これはもう私どものルーチンワークとして、きちんとやらないといけないと考えておりまして、きょうの施策とは関係ありませんけれども、ちょっと私どもも、内部の組織を少し強化したいなということも今考えておりまして、そういう中で、ぜひやはり面的な展開をできるような体制づくりをした上でやりたいという思いではございます。

【笹月部会長】
 どうもありがとう。では、中西委員。

【中西部会長代理】
 どうもありがとうございます。数学・数理科学は、非常に大切で、ぜひ推進策を進めていってほしいと思っております。ただ、その上で、この科学の応用分野は非常に広いのですが、金融工学への応用と書かれたところで少し気になることがあります。金融工学が、昨今の、経済をがたがたにさせた元凶とも言われていることもあり、単に科学として数学を新分野に持ち込めばいいということではなく、倫理の問題も同時に入ってくる場合がありますので、それをぜひ念頭に置いていただければと思います。

【笹月部会長】
 とても大事な問題だと。はい、どうぞ。伊地知委員。

【伊地知委員】
 ありがとうございます。プログラムの対象とする数学・数理科学が重要だろうという感じを持っていますが、そこは置いておいて、プログラムの立て方に関することで、コメントを申し上げたいと思います。
 これもたぶん、西尾委員、それから有本委員の後段とも関連します。専門分野外なので詳しくはわかりませんが、同じような拠点形成を支援するというようなプログラムで、たまたまNSFのプログラムを見たときに、NSF 10-584という文書によると、Research Networks in the Mathematical Sciences (RNMS)というプログラムが、いま立っているようです。
 その中でどういったアウトカムを目指すのか、また、その中でどんな課題をとっていくのか、そういうことが、結構細かい字で11ページほどの文書として具体化されているかと思いますので、プログラムを立てていかれるときに、ぜひ、そういうふうにいろいろ具体化していただけるとよろしいのではないかなと思う次第です。

【笹月部会長】
 どうもありがとうございました。どうぞ。

【後藤委員】
 早稲田大学の後藤でございます。冒頭、部会長が言われたことに関連します。私の現在の専門はネットワークですが、私はもともと数学出身でございます。部会長が「なんで今ごろ」といわれたことに関して少し申し上げます。私が経験する限り、純粋数学の分野では数学会の発表でも、いきなり方程式が現れて、その解法が示されるというふうな研究成果があります。そういう論文が出たりするわけでありますけれども、私も学生の時代、あるいは研究者となってから実際に数学の研究をしている人に聞きますと、実は、かなり具体的な問題から目標が出て来る。つまり、いきなり頭の中で解くべき問題が出てくるというよりは、かなり具体的な問題から出ているという例が多いと思います。そういう話を聞くと納得するわけですけれども、論文には最初のところまでは書いていないので、いきなり問題が出てくるというふうに見える。つまり、今までは、他分野との連携が個人的なレベルで、あるいは、せいぜい少ないグループでやっていたのではないかと思います。
 特に、物理学に関しては、有名な小平邦彦先生が物理出身とか、数学教育でも有名な藤田宏先生も物理の出身であります。あるいは経済学では、宇沢弘文先生が数学の出身であります。また、応用に関しては先ほど指摘のありました金融工学に使われた確率微分方程式の伊藤清先生は、最初から金融工学を目指していたのではないと思いますけれども、何十年もたってから、ブラック・ショールズ方程式に使われて、その成果がノーベル経済学賞になっているという例が出ています。
 また、新日鉄という企業が数学界からはちょっと距離があるようにお感じになるかもしれませんが、応用数理学会という学会がございます。新日鉄のほうで事務局を引き受けていただいていたというぐらいの関係がございます。また先ほどの確率微分方式は熱力学にも関係がある、金融工学にも使える。そういうものであります。そもそも、連携は以前からある程度は行われていたのではないか。それを組織的に見えるような形でやる。特に若い研究者にとっては連携が見えるというのは、励ましになるというふうに思います。確かに、もう少し前にやれば良かったということもありますけれども、従来から共同研究では京都大学の数理研究所が役割を果たしています。全国規模での共同研究を行っていたと思いますので、今まで何もしていないわけではない、というところを数学の側から見たときのコメントとして申し上げたいと思います。

【笹月部会長】
 どうもありがとうございました。はい、どうぞ。

【諏訪委員】
 細かい質問なんですけれども、資料1―1でロードマップがあって、10年間分ずらーっとベタに張ってあるんですけれども、これは結局、10年後に何ができているとハッピーなんですかと、要するに、3年後に何をして6年後に何をしてというような、その段階のステップアップをどこに置くかという議論はどういうふうになされたか、ちょっとお伺いをしてみたいと。

【内丸基礎基盤研究課長】
 ここも、この分野固有の特性がありますので、今後工夫は、通常とは少し違う工夫をすることが必要というふうに認識しているところなんですけども、おそらく、これで多分出てくるであろう幾つかの機関というのは、それなりに、その前から、いろいろなところと連携したり、そういう経験のあるところだろうとは思うんですが、この分野の特性としまして、数学の方の、基本的なポジションとして、中途半端なものはあまりやらないというのは、どうも数学の世界の特徴でございまして、そういう意味で、事前にもかなり徹底した理解というものがあって初めて研究に行くということで、研究に入るまでの間が少し時間がかかって、ただ、入ると、かなり進むという話も聞いています。
 そういう意味で、今回、3年目と7年目というふうに、仮にポイントを置いていますけれども、ただ、ちょっとこのときの評価は、その辺を十分に加味したものとしないといけないというのを、ちょっと今1つ、留意点として考えております。
 また、このプランが出てくる、具体的なアウトプットとしましては、現在想定しておりますのは、当面のさまざまな課題解決、さらには、他への汎用的な応用も考えた、新たな数学的なツールみたいなもの、また、ここから排出される人材の内容と、また、様々な活動をコアにしました連携の度合い、そういうものを評価軸として今後考えたいというふうに現在は想定しております。

【笹月部会長】
 はい、どうもありがとうございました。先ほど来、一種の異分野連携ということが話題になりましたけれども、きょう、岡谷戦略官いらしてませんけれども、きのう、実は、WPIの議論を散々やりまして、そこでも異分野連携ということが非常に大きな目標の一つなわけです。それが、日本において非常に難しいのは、それぞれの分野の専門家が集まっただけでは決して融合はできないわけで、個人のレベルで、例えば、この場合ですと、数学、それから、現場での何らかの製産物、その両方に関して、やはり、見識、教育を受けた人が集まらないことには本当の意味の新しい分野の創出とか、あるいは有効な応用というのが難しいわけですよね。だから、その辺を考えますと、今のお話はすべて数学者が異分野に曝露されてということでしたけれども、最近、1カ月ぐらい前、私は、ロボティクスをやっている数学の方、若い准教授クラスの非常にすぐれた方とお話をしましたら、医療に応用するので、医学の人と話しますと、もうとにかく医学の人は数学が全然だめですねと、もう話になりませんというんです。どんな教育を受けたんですかと。
 確かに、言われますと、医学部に入って受けた教育というのは、高校で受けた数学を超えるものでは決してないんですね。また、一方で、数学者いわく、自分の受けた教育のワンランク下のことしか応用できないと。すなわち、ですから、我々でいえば、高校で受けた数学の1つ下だから、中学の数学しか実社会では応用できないんですというわけです。ですから、ほんとうにこれを成功させるためには、私は、数学者についてもいろいろ議論されていますけれども、非数学者の数学教育ですね、このレベルがやはり低いのではないかと思うんですね。数学の人に言わせると、もう全然だめですと。ですから、これは小学校からのテーマになろうかと思うんですけれども、例えば、インドですと、日本は、九九ですけれども、99かける99まで小学校時代にきっちり、小学生というのはものすごく暗記力があるので、あっという間に入るわけでしょう。だから、そういうことも含めて、私は、ぜひ、世界の先進国の数学の教育のレベルを1回調査していただければ、あるいはもう既にあるのでしたら、明らかに示していただければ、有難いな。いわゆる、非数学者の数学教育ということが大事だと思うんですね。
 それから、もう一つは、今度は逆に、これもやはり非常にすぐれた数学者、こっちは純粋数学者の若い人と、これも2時間ぐらい議論をしたことがあるんですが、私は、例えば国民に、医学とか生物学の研究をやっている私が、わかりやすくこういう目的で、こういうことが問題だから、こういう戦略でやっていますということはできるわけですよね。だから、あなたも、そういう形で、今、一生懸命やっている数学について、私に、一国民に説明してくれと言ったら、何を顔を赤くしたりして、一生懸命、何とかこの素人の私にわかってもらおうと思っていろいろ考えて、最後に彼が言ったのは、やはり、私の目標は美の追求ですと言うのです。ですから、純粋な数学者は、そんな応用とはもう全くかけ離れている、もう芸術みたいなものですよね。
 だから、こういうプロジェクトができるのは、それはもう大変結構なことで、先ほど申し上げましたように、遅きに失したのかもしれないけれども、一方では、そういう純粋数学をやる人までが、何かこっちへ誘導されて、何でもかんでも、応用応用という、役に立つ数学みたいにならないように、彼らと話しますと、彼らが生きていく道は、大学の教授というポジションしかないわけですね。ですから、そういうところがだんだんディケイしていくようなことのないようにということをぜひ、この純粋数学をよりサポートしますという、一言が必要なのではないかと思うんです。

【有本委員】
 2回目の発言で申しわけないんですけれども。こういうプログラムをつくるときのやり方について、科学技術・学術審議会の第4期の科学技術基本計画に関する基本計画特別部会ではっきり出ていると思うんです。総合科学技術会議でも、多分そういう議論になりつつあります。課題解決だ、システムだ、あるいは学際連携だというときに、施策やプログラムをつくる前の段階で、何回も関係のステークホルダーの間でワークショップを繰り返しながら、こういう施策が出ていくというふうにしないと、いきなり、アプリオリにこういうものが出ても共通の認識が出来てなく、みんなお金をもらうだけでバラバラで研究する。こういうことをやっていると、数学の中でも、純粋数学と、応用数学の間の分裂が起こるとか。今からそういうプログラムの形成手法がものすごい大事になるとで思っています。各国はもう皆それでやっているはず。何回もWSを繰り返し、ネットワークを形成し、みんなが安心してこういうものにアプライできる、あるいは若い人たちもこういうものにジャンプインできるという、プラットホームといいますか、ネットワークを十分作って欲しいという気がします。

【内丸基礎基盤研究課長】
 まさに、実はどう言うか、ちょっと難しいのですけれども、先ほどから、「遅きに失した」というご発言を何回かいただいておりますが、実は、もうこの数学の施策も、足かけ5年ぐらいでございますか、およそ四、五年前に、科学技術政策研究所のほうで、もしご記憶のある方もいらっしゃるかもしれませんけれども、「忘れられた科学―数学」という、非常にショッキングな題名のレポートが出まして、それ以来、今回、この青い本の調査ですけれども、その前は、また別の観点から、北海道大学のチームがやはり調査をして、その過程で、何回かいろいろなご提案もいただき、ワークショップシンポジウムも行われてきているわけなんですけれども、ちょっと私どものほうで、この間、それを十分に具現化ができなかったということで、今回の会議でも非常に責任を痛感しておりますので、ぜひ実現に向けて、今のお話も踏まえて頑張りたいと思います。

【笹月部会長】
 それでは、よろしゅうございますか、ほかに、ご意見、コメント、ございませんでしょうか。どうぞ。

【持田委員】
 私は、スーパーサイエンスハイスクールの役員をしていますけれども、高校の数学教育が、サイエンスというと、理科系ばかりで、数学を、的を絞って申請してくる学校というのはほんとうに少なくて、日本の数学は、子供たちが数学離れしているなというのを思っていたんですけれども。
 このプログラムを見てみますと、大学での人材教育は社会に生かそうとしていらっしゃるというのはわかるのですけれども、スーパーサイエンスのほうでは、高大連携ということも考えていますので、大学で拠点をつくったときに、高校生も受け入れられるような、そんなことも1つ考えていただけたらいいと思います。

【内丸基礎基盤研究課長】
 お時間よろしいでしょうか。私は、以前、理数学習もちょっと担当しておりまして、まさにその点は痛感してございます。スーパーサイエンスハイスクールもそうですし、あと、また別の施策なんですけれども、未来の科学者養成講座といって、そういう施策も、これはJSTでやっておりまして、そういう中で、例を挙げますと京都大学なんかでは、理学部を挙げて、高校生に、そういう学びの場を提供するということもやったりもしてございます。
 そういう中で、私、1度、数学の授業を、教授の方々が、そういう応募をしてきた高校生を相手に、私は、見てもよく理解できなかったのですけれども、非常にそういうのをほんとうに楽しそうにやっているようなものを見まして、そういうスーパーサイエンスハイスクールにおける、学校の現場、また大学における、高校生、場合によっては、中学生などへの教育提供の場、さらには、今回これでできればと思っていますけれども、その先につなげていくことをぜひ考えたいと思いますので、ありがとうございます。

【廣瀬委員】
 よろしいですか。

【笹月部会長】
 はい。

【廣瀬委員】
 これに関してですけれども、やはり、わかりやすくというのか、もっともっと、今のを見せていただきますと、非常に難しいというか、かなりのレベルの人でないとわからない。そうではなくて、さっき持田先生が言われましたけれども、高校といわないで、もっともっと下までもわかる。だから、もう1度、ここにあることをもっとわかりやすい言葉で、あるいはもっとわかりやすい書式で出せないでしょうか。

【内丸基礎基盤研究課長】
 はい、努力させていただきます。

【笹月部会長】
 ちょっともう時間が押してきましたので、簡便にお願いいたします。

【小舘委員】
 多分、先ほど、大泊先生のご発言と関係があるので、十分にお考えいただいているかと思うんですが、例えば、最近、そんなに大きくない大学で、数学の教員の公募をやりましたところ、1名の公募に対して100名を超える応募者があって、しかも、海外から、外国人も含めて応募があったというお話を伺っておりまして、そういう現状からいいますと、先ほど会長のほうからもお話がありましたけれども、特に、純粋数学に近い研究者ほど厳しい研究環境に置かれているのではないかと思うんですね。
 それで、この拠点をおつくりなるときに、従来の、GCOEとか、そういう形の拠点形成ですと、非常に分散している研究者がやはり、すぐれた能力があっても、活躍の場がなかなか得にくいという現状があるので、拠点はどこかの研究機関、大学を含めて置くとしても、一部分、何か公募みたいな形で、みずから、個人として参加できるようなことも、分野が分野でもありますので、お考えをいただけないかなということをちょっとつけ加えさせていただきたいと思います。

【笹月部会長】
 はい、ありがとうございました。それでは、時間も過ぎてまいりましたので、一応、この資料1―1から1―4ということで、大筋としてお認めいただいたということでよろしゅうございますでしょうか。あと、もし、何かありましたら、事務局と相談しながら入れていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、この議題の1をこれで終了いたします。
 続きまして、議題の2.科学技術振興調整費による実施課題の平成22年度における評価の進め方についてというところに入りたいと思います。これにつきましては、資料の2―1から2―3までを一括して説明していただきまして、それからご意見をいただきたいと思いますので、事務局からご説明、よろしくお願いいたします。

【永田科学技術・学術戦略官付専門職】
 科学技術・学術戦略官付の永田と申します。科学技術振興調整費の評価についてご説明をさせていただきます。よろしくお願いいたします。
 まず、資料についてなんですけれども、資料2―1、2―2、2―3の3部構成になってございまして、2―1で、日程のほうを説明してございます。資料2―2のほうで、今回の評価の実施のやり方についてご説明をしており、資料2―3のほうで、プログラムの追跡評価についてご説明をしております。まず、資料2―1の日程についてからお話をさせていただきたいと思います。資料2―1をごらんください。
 平成22年度科学技術振興調整費の評価の日程について記載しております。本日、7月15日、こちらの研究評価部会のほうで、評価の進め方や、評価の実施方法等を送っていただきまして、8月中旬に作業部会を設置、作業部会の委員の方々にご説明をしてまいります。それから、実際に作業のほうを5月中旬から11月ごろまでにかけまして、作業部会、第1回、第2回というのを開きまして、そこの中でヒアリングを実施したりして、評価結果を取りまとめていきます。
 それから、再度、11月の下旬、12月上旬をめどで、研究評価部会を開催させていただきまして、その結果をご報告させていただきます。12月中旬をめどに、総合科学技術会議の評価結果をご報告しまして確認いただいた後、評価結果の公表という流れになってございます。スケジュールについては以上です。
 2枚目の、資料2―2のほうをごらんください。昨年度、平成21年度、評価の対象課題というのは、78課題ございましたが、その中での、先生方、ご承知のことかと思いますが、評価がCとDというのがついた率が約9%、7課題ございました。
 それで、中間評価で、C以下であったものについては、予算の減額措置ということをした経緯がございますが、平成22年度、ことしは、86課題、評価を行いたいと考えております。どのようなものがあるかといいますと、この1ページ目の1の括弧でくくった部分がプログラムの内容になるんですけれども。若手研究者の自立的環境整備というのは、中間評価を行うことになっております。
 それから、イノベーション創出若手研究人材養成というのは、ことし初めて中間評価を行うものになっておりまして、その次の、女性研究者支援モデル育成というのが、事後評価を行います。そのような感じで、あと9つ、全部で11プログラム行うこととなっております。
 評価の実施体制については、2のほうに記載しておりますが、こちらは、今見ていただいている、評価の実施について、こちらのペーパーに基づきまして、科学技術振興機構に委託しまして、外部有識者の方々で構成されてます作業部会を設置・運営して評価を実施していきます。
 この作業部会は例年どおりつくっていくんですけれども、作業部会の委員の先生方を選定させていただくときに、その選定基準というものを設けてございます。23ページ、別添3になるんですけれども、こちらのほうに、基準を設けさせていただいております。昨年度、0共通基準(1)のところ、審査を行った委員を可能限り多数加えることというところで、昨年度、こちら、過半数を超えて審査を行った委員を加えることということ、口頭で申し上げた際に、過半数というのを決めてしまうと、縛りがきつくなってしまうのではないかと、そういうご意見もございまして、今回は、可能な限り多数という言葉をつけ加えさせていただきました。これは、審査と評価の一貫性を維持するという観点から、審査を行った委員を加えるということなんですけれども、あまり過半数というのに縛られてしまいますと、利害関係者を除くだとか、分野ごとのバランスとか、そのあたりが、ちょっと難しくなってきますので、できるだけ配慮して、できるだけ多くの方、審査、中間評価を行った多くの方に委員になっていただくという方向で決めていきたいと考えております。
 また、2ページに戻っていただきまして、評価の実施の方法なんですけれども、先ほどスケジュールのところで、ご説明をさせていただきましたが、作業部会を大体2回行いたいと考えております。1回目の作業部会で、委員の先生方に、ヒアリングのときに、どのようなことを聞くかといったことなどを整理していただいたり、評価の方法について、皆さんの考えを統一させていただくということで、1回目を開催しまして、第2回目のときに、実際にヒアリングを行います。必要に応じて、メールレビュー等も行いまして、評価の結果を取りまとめていただくということで進めていただければと思っております。
 また、4ページに、利害関係者の範囲についても記載してございますけれども、こちらは、去年と同じような考え方で記載しております。以上で、今回、平成22年度の評価の基本的な方針をご説明させていただきましたが、評価項目等についても、資料がついておりますけれども、基本的には去年と大差はございません。ただ、以前から、ABCDの評価というのを、SABCに変えてはどうかという意見もあったところでして、今回、資料2―2の追加資料のほう、ホッチキスとはまた別になっている資料1枚紙があるんですけれども、こちらのほうで、ABCDからSABCに変えてはどうかということをご提案させていただいております。前回、12月の評価部会の際にも、当初の目標を達成しているにもかかわらず、B評価をいただいた機関の方から、いろいろとご意見があったりとか、そういうこともございますので、単なる印象の問題というところもあるのかもしれませんけれども、SABCに変えてはどうかということで、今回、ご提案をさせていただいておりますので、ご検討をいただければと思います。
 それから、資料の2―3をごらんください。プログラムの追跡評価の実施についてご説明をさせていただきます。この追跡評価というのは、平成17年より実施しているものでして、終了したプログラムのアウトプット、あるいは波及効果ですね、それから、アウトカムなどを、一定期間置いた上で、つまり、事後評価が終わって、また、さらに、数年置いた上で測定するというものでして、この追跡評価の目的といいますのは、事後評価のときにはわからない、見えてこない波及効果や、調整費という、国の助成がなくなった後にもこのプログラムの目的が、システムとしてそこに根づいて、さらに広がって活用されているかどうかということを見させていただきたいなと思ってやっているものでして、これは次の施策を形成していくときに活用したいという目的で行っているものでございます。
 今年度に関しては、平成13年から17年までを行ってまいりました。振興分野人材養成プログラムというプログラムの追跡評価を行いと考えております。
 ただ、追跡評価を行うに当たっては、終了後、一定期間経過した課題が望ましいと考えられているため、今回は、平成13年度から15年度に採択されて、平成19年度まで終了した27課題分についてのみ対象とすることとします。このプログラムがどのようなプログラムなのということのご説明は、2ページ目にあります。2ページ目の2の真ん中あたりに、振興分野人材プログラムの概要とございますけれども、このプログラムは、科学技術の振興にとって重要な領域ではあるのですけれども、人材が不足していて、戦略的に人材養成をすることによって、世界において日本の地位を確保する必要がある新興の研究分野とか、産業競争力の強化の観点から、人材の養成、拡充が不可欠な分野において、プロフェッショナルを早期に育成するために人材ユニットを機能的に設置することを目的としております。
 また、一方で、民間企業の研究者、技術者が、最先端の科学技術を習得するための再教育システムの構築を支援するものとしております。
 公募の対象分野としては、6つありまして、そちらにあるように、バイオインフォマティッスや、基盤的ソフトウェアとか、さまざまございまして、養成の対象者も学部学生から、社会人までございます。
 プログラムの公募としては、13年から17年までやっていたんですけれども、今回、16年、17年度に開始した課題については、終了して間もないことから、今回の追跡評価の対象としては除くこととしております。
 それで、3ページ目、3.追跡評価特の方法のところに、この追跡評価、実際どうやって行っていくかということを記載しておりますが、追跡評価を行う際の指標といいますか、どの点に着目していくかについて書いてございます。丸1のところに、新興分野の人材養成ユニットの創成とその継続・発展性について書いてあります。これは各大学にシステムとして、人材養成の仕組みがちゃんと、調整費が終わった後も根づいているか、残っているか、さらに発展しているか、という観点について見ていきたいと考えております。
 それから、丸2の、養成終了者のその後の活躍とネットワークの構築といいますのは、このプログラムで養成された方々が、どのように活躍をされているか、ということウオッチしたり、それから、養成された方々が活躍されて、その方々をつなぐネットワークというのを機関、大学のほうでちゃんと用意しているかということも見ていきたいと考えております。
 丸3は、丸1、丸2を包括したような形にもなるのですけれども、1、2を包括して、大学教育全体や、社会に対して、このプログラムはどのような波及効果を与えていったのかということを見ていきたいと思っております。
 実際の手順としては、そのさらに下にあるんですけれども、主に、事前にヒアリングを行って、さらにアンケートを行って、必要があればインタビューも実施して見ていきたいと考えております。
 今回のこの追跡評価については、科学技術振興機構の山下POに主に担当していただきたいと思っているんですけれども、本部会の専門の先生方からも、いろいろとご意見をいただきながら進めていければと思っている次第でございます。
 スケジュールについては、最後、5番にあるとおり、8月下旬からアンケートを開始しまして、12月の2回目の研究評価部会のときにはご報告ができるような形で進めていきたいと考えてございます。以上でございます。

【笹月部会長】
 どうもありがとうございました。どなたかご質問がありましたら、まず、ご質問。はい、どうぞ。

【後藤委員】
 ちょっと単純な質問で申しわけございませんが、確認なのですけれども、資料の2―2の2ページにある、作業部会の名称の13番目にある「探知システム」というのは、資料の6ページにある評価作業部会名にある下のほうに出てくる「テロ・対策情報評価作業部会」と同一のものでしょうか。

【永田科学技術・学術戦略官付専門職】
 大変申しわけございません。そちらは、印刷の誤字でして、正しくは、2ページ目にございます、探知システム・情報利活用評価作業部会です。修正しておきますので、失礼しました。

【笹月部会長】
 ありがとうございました。
 はい、どうぞ。

【西島委員】
 2点あるんですけれども、1点は、まず簡単なほうで、別添3で、評価作業部会の委員の選定基準で、共通の認識として審査を行った採択委員を可能な限り多数加えることは、私も前から望んでいたことなんですが、「可能な限り多数加えること」という言い方で、実際、本当にどのぐらいをめどに考えるかということで、例えば、結果的には1人であったというときに、この可能な限り多数というのが努力目標ではなくて、実態として、例えば、少なくとも2割を含めるとか、そのぐらいにしておかないと、あまりにも漠然とした表現となってしまう。
 私は幾つかのプロジェクト評価を経験していますが、いきなり事後評価なんかをやってしまうときに、5年前の経過がわかっていないので戸惑う時があります。一番かわいそうなのは、評価される側で、これはもう評価疲れになるんですね。事後評価の先生は評価時点の現況下で見ますけれども、採択したときには、その時の情勢に応じていろんな課題との兼ね合いで採択していることを、なかなか文章から読み取れないんですよね。そういう意味では、可能な限り多数加えるというよりは、私たちは、少なくとも1名加えるだけでも十分なことなんで、実際にできるというところを示したほうがいいのではないかなということが1点です。
 もう1点は、採択審査、中間評価、事後評価を通じて、これはちょっと大きな話なんです。事後の調査追跡をやっているんで、多分、その辺は、解決されていると思うんですが、一般論から言うと、どうしても、事後評価で悪い評価を受けていても、その受けた先生が、次の機会に、またちょっと手のひらを変えたように、違うテーマで新規採択をされて、また同じようなお金を取っているというような印象がなきにしもあらずなんです。その辺を、事後評価というのがもう終わってしまったことではなくて、これをしっかり踏まえて次の機会には例えばペナルティというのも一案と思います。少なくとも、産業界の視点で事後評価を捉えると、もし、会社内のプロジェクトに対する事後評価の場合は、それ相当の責任を問われるということがあるんで、この辺のところは、しっかり何か策を今後練る必要があるのかなという印象を持ちました。

【永田科学技術・学術戦略官付専門職】
 わかりました。ありがとうございます。
 まず1点目の、委員の選定基準に関してなんですけれども、こちらのほうは、事務方側としては、昨年お話ししたように、過半数に達するように、これは、非常に、努力目標というよりも、過半数には必ずいくようにという思いでやってございます。ただ、昨年度も申し上げたと思うんですけれども、どうしても課題数が少ない小さい作業部会というのができてしまいまして、そちらになってきますと、委員の方の数もどうしても少なくなってしまいます。
 また、2つのプログラムを抱き合わせて1つの作業部会にしているようなものもございますので、そうすると、過半数もかなり厳しい状況、さらに、利益相反ですね、その観点とかで除いていきますと、やはり、あまり厳しく、言葉で縛ってしまいますと、立ち行かなくなってしまうところもございますので、そちらは、審査を行った方、評価を行った方が、さらに、また、評価を行うという、その重要性は十分認識してございますので、今回は、このような形で記載させて、

【西島委員】
 そのご意向であればいいと思います。

【永田科学技術・学術戦略官付専門職】
 すいません、ありがとうございます。
 それから、事後評価の点なんですけれども、事故評価がほかのまた別のプログラムを採択をするときに、あまり生かされてないのではないかという点なんですけれども、こちらは、ちょっと検討させていただきたいと思いますが、部署間の連携といいますか、そういうところも大事なのかとは思っております。どうもアドバイスありがとうございました。

【笹月部会長】
 はい、どうぞ。

【小林委員】
 3点ほどあるんですが、完結に申し上げます。1つは、今の評価作業部会の委員の選定基準ですが、細かい話なんですが、審査を行った委員を可能な限り多数加えることってありますけれども、趣旨としては、事前の審査だけではなくて、中間評価も含めてのはずなので、中間評価の経緯を事後評価にも反映させることが不明確なので、そこも読み取れるような表現をしたほうがいいのではないかというのが1つです。

【永田科学技術・学術戦略官付専門職】
 審査を行っただけでなくて、中間評価も。

【小林委員】
 中間評価の経緯も事後評価に反映させるという趣旨もあったと思います。

【永田科学技術・学術戦略官付専門職】
 はい。実際には、そのように作業をしております。

【小林委員】
 それと、もう1つは、これは、ご検討をいただければと思いますが、追加資料で出てきている、評価区分の変更についてですが、私は、これをやると結構混乱が起きるのではないかという気がします。例えば、中間評価と事後評価との間で、非常に齟齬が起こるとか、あるいは同じプログラムでも、昨年度までとことしで評価の仕方が変わってしまうとか。
 これは、やるのであれば、やるで、そこを非常に配慮する、さかのぼって、大学にいろんな表記の仕方を、表現を定めないといけないと思うんですけれども、こういう表現で、過去にさかのぼって、書き直していいとか、いうようなことも必要かもしれません。

【永田科学技術・学術戦略官付専門職】
 わかりました。

【小林委員】
 とにかく、あまりやらないほうがいいような気がしますが、やるのであればということです。

【永田科学技術・学術戦略官付専門職】
 わかりました。

【小林委員】
 3点目ですが、これも、ご検討をいただければと思うんですが。資料2―3、追跡評価です。3ページに、評価の方法が書いてありますが、今回から、対象になってくるものというのは、ちょうど、第2期の基本計画のほうでしたっけ。

【永田科学技術・学術戦略官付専門職】
 第3期。

【小林委員】
 第3期でしたっけ。

【永田科学技術・学術戦略官付専門職】
 はい。

【小林委員】
 多分、システム改革の趣旨がかなり入ってきていると思うんですね。
 そのときに、果たして、追跡評価の指標というか、丸1、丸2、丸3という観点。がありましたが、これが本当にそれでいいのだろうかという気がします。システム改革への貢献とかコントリビューションというものが、これで十分測れるかどうかというのがやや疑問なのです。アウトカム及びインパクトのほうで見るのかもしれませんけれども、そこについても、少し言及しておいたほうがいいのではないかという気がします。以上です。

【永田科学技術・学術戦略官付専門職】
 システム改革への貢献ということも、ちゃんと見えるような指標をもう少し明確に立てるべきということですか。

【小林委員】
 ええ。これだけだと、プログラムが、それぞれのプロジェクトをやって、どうだったかというだけの話になってしまってしまう。本来のシステムの改革につながっているかどうかというのも、見るべきプログラムが、たくさんあったと思うんですね。そういうところも見落とさないようにすべきではないかなと思います。以上。

【永田科学技術・学術戦略官付専門職】
 わかりました。ありがとうございます。

【笹月部会長】
 今のABCDを、SABCにするという。

【小舘委員】
 その件で?

【笹月部会長】
 はい。

【小舘委員】
 きょう、評価区分の変更についてというご提案をいただいて、実はこのご提案がなければ、私のほうから検討をお願いしたいと思っていた件でございまして。確かに、abcdという、変更前の評価は、それなりに、そこに添え書きがございますので、よくそれを見れば、bであっても、いわゆる初期の計画と同等の取り組みが行われているのだからということはいえるかと思うんですが、表に出ますときに、ポンとBという評価が出たときの印象は、やはり、従来、一般的に使われているBという評価から受けるイメージが、やはりあまりプラスの印象がないということで、先ほどは、このご説明のときにございましたけれども、終了した、振興調整費におきまして、10課題の中でAが1つで、あとは、かなりの部分がBであったということは、取り組みにかかわった方々、あるいは今後に向けて、それを前向きに推進しようとするのに対して、やはり、非常に意欲が少しなえる部分があるのではないかというようなご議論もございましたので、小林先生のご指摘などを踏まえた形で、ぜひ、前向きにこのご提案に関しては、ご検討をいただけないかというふうに感じております。
 それから、振興調整費、全体に対しての評価でございますけれども、これは、課題ごとにかなり、評価の基準といいますか、Aがどの程度であって、Bがという、それが、昨年の場合は、相当にばらついておりましたので、そのばらつきを、いわゆる子供たちの通知表みたいな、何パーセントまでというような形にまでする必要はないかと思いますけれども、どの程度課題に対しては、Aがついていたか、その課題ごとに、そういったものがわかるような形もご検討いただけばというふうに思います。その2点でございます。あの評価にかかわるあの点でございます。

【笹月部会長】
 はい、有本委員。

【有本委員】
 今、小舘先生がおっしゃいました、前者のところなんですけども。ちょっと私も、前々回ですか、ここで議論があって、気なって、何人の方々に聞いてみたら、今、ほかのいろいろな制度で、SABCというのは準位付けはかなり定着をしています。振興調整費だけが少し違う。特に、のところです。
 振興調整費というのは、全学的あるいは全組織を動かすという機能が強いものが多いものですから、そうしたときに、ほかの制度との比較といいましょうか、学内などでいろいろ議論をしているときに、どうも、同じBでも位置付けが違うというところで、当事者の先生方が説明に苦労されている、たくさん説明しないといけないという状況のようです。小林先生のおっしゃることはわかって、コンシステンスをどうとりながら、変えていくかというところが大事だと思うんですけれども、私は、この際、「科学・技術」にしたぐらいでありますから、変えてもいいのではないかというふうに思っています。

【笹月部会長】
 ありがとうございます。おっしゃるように、これはぜひこのような形がいいのではないかと。もし、混乱を避けようとすれば、前のABCDの中身を変えていますから、今度のSABCの中身との関係を明示してやれば混乱も避けられると思います。

【永田科学技術・学術戦略官付専門職】
 わかりました。

【笹月部会長】
 よろしくお願いします。

【永田科学技術・学術戦略官付専門職】
 ありがとうございます。

【笹月部会長】
 それから、どうぞ。

【伊地知委員】
 些細なことかもしれませんが。やはり、SABC、ABCDと、そこパッと見たときの印象とあると思います。もし変えるのだとすれば、従来のABCDについては、例えばすべてアスタリスクをつけるとか、パッと見たときにそれが違うものだというのがわかるような、何か工夫があるといいのではないかなと思う次第です。

【永田科学技術・学術戦略官付専門職】
 それは、昔つけてきたABCDと今回のSABCが違うものだということがはっきりわかるようにという工夫をしたほうがよろしいというご提案でしょうか。

【伊地知委員】
 はい、そうです。それで、新しいものがSABCということであれば、同じような書類で過去の情報が出るときには、そこにアスタリスクをつけて区別していただく、そういったイメージです。

【永田科学技術・学術戦略官付専門職】
 わかりました。ご検討させていただきます。

【笹月部会長】
 有本委員がおっしゃったように、今、もうほとんどSABCで定着していますので、昔のそういうデータということはめったにないと思います。もし本当に出てきたときには、今おっしゃったような注意書きでもしておけばという意味ですね。

【永田科学技術・学術戦略官付専門職】
 はい、わかりました。

【笹月部会長】
 もう1つは、ちょっと気になったといいますか、質問ですが、資料2―2の3ページ、作業部会は、基本的に2回ほど云々で、第1回目は、資料2―2の3ページの(5)の、作業部会の話で、丸1、第1回目の作業部会は、意識の統一を図る。これを本当にやる必要があるのかどうかという、皆さん、お忙しいのに、このために、わざわざ集まることが必要かどうかというのが、ちょっと気になったんです。
 というのは、私は、いつも申しますように、評価というのは、公募要綱の中に、この研究はどういうことを目指したものを採択する、その準備状況や戦略や最終的な成果など、いろんなことを、公募要綱の中にきちんと書き込んだことを基準に評価することになろうかと思いますので、その公募要綱をいかにきっちり厳密に書くかということが、私は大事だと思います。そこさえきっちり書いてあれば、それにどの程度、即して成果が上がったのか、即して研究が進められているかということで、あまり難しく、評価というものが、そう混乱することはないのではないかと思っているんですが。そのことをまた議論するために、あるいはもう同じ日に、その評価をする日に、前もってその分、時間を、何分か、30分か何か知りませんけれども、とっておけばそれで済む程度のことではないのかという気が、これを見てしたのですが、本当に1日集まってやる必要があるんでしょうか。

【永田科学技術・学術戦略官付専門職】
 1つ必要性として考えられますのが、事前に資料を機関に対して追加でお願いというようなことが出てきた場合には、ある程度、1回目と2回目を分けたほうがいいのではないかというところはあるかと思います。ただ、おっしゃるように、事前に、公募要領の中で、評価の視点というのをきっちり書き込んでおけば、それで済むという観点もあると思うので、ちょっとご検討させていただきたいと思います。

【笹月部会長】
 あと、それから、追跡評価の資料2―3ですね。プログラムの追跡評価、これで、拝見しますと、例えば、2ページの上の段落の最後のところに、平成19年度までに終了した課題ということですので、例えば、今、22年ですから、2、3年前に終了したものですよね。

【永田科学技術・学術戦略官付専門職】
 はい。

【笹月部会長】
 それが本当に追跡評価というカテゴリーに入るのかどうか、私のイメージでは、もうちょっと長いスパンで、その研究課題の成果がどのように同じ分野、あるいは、他の分野にインパクトを与えたのか。あるいはその研究に参加した若者がどのように成長していったのか、ポジションを得たのか。何かそんなことを見ると、それはもうちょっと時間がたってからのほうがいいのではないかという気がしたんですけれども、もちろん、あまり時間がたつと、追跡評価も難しかろうとは思いますが、こんなものでいいのかどうかというのが私の質問です。

【永田科学技術・学術戦略官付専門職】
 この点は確かに、議論にはなったんですけれども、例えば、5年以降たったものということを、この新興分野人材のプログラムでやってしまいますと、かなりウォッチできる課題の数が減ってしまうというのもあったりはして、19年度まで含めて27課題としているところです。確かに、19年度に終わったもの、20、21、22、3年間しかたっておりませんが、3年後にどのような人材が育っていくかというのと、あと、大学のほうでシステムが根づいているかどうかというのを見るには、3年置いてあれば見られるのではないかと判断したところですが、ちょっと再度検討させていただきます。

【西尾委員】
 よろしいですか。

【笹月部会長】
 はい、どうぞ。

【西尾委員】
 先ほど、西島委員の質問に対してお答えになったときに、もともと、別の課題として採択の可否の審査をした案件を、今回、幾つかの課題をまとめて審査する場合というのがあるわけですよね。

【永田科学技術・学術戦略官付専門職】
 はい。

【西尾委員】
 私は、審査される側の理想としては、可能な限り、ある課題を審査し、採択した人が、その課題の審査をしてほしいと思っておられると考えます。そういうときに、本来別の課題であった複数の課題に対して1つの審査会を構成するということでしたら、その審査会の構成とかを相当注意深く考えていただきたく思います。特に、審査される側は、その審査に向けて本当に一生懸命頑張るわけですから、相当にケアフルに考えていただきたくお願いします。やはり、理想としては、本来は別の課題として採択したのだったら、各課題に関して別の審査委員会を構成すべきと思いますけれども。

【永田科学技術・学術戦略官付専門職】
 はい。もちろん、2つくっつけてやるような場合は、それぞれの審査を行った方、中間評価を行った方というのは、2名ないしは3名以上入れるような形で配慮して、今ちょっと考えているところではあります。

【西尾委員】
 その課題の内容は、相当と近いものでしょうか。

【永田科学技術・学術戦略官付専門職】
 もちろん、同じような、

【西尾委員】
 そこは、注意深く考えていただいているわけですよね。

【永田科学技術・学術戦略官付専門職】
 はい、同じようなジャンル、分野は同じようなものというのをあわせて考えております。

【笹月部会長】
 よろしゅうございますか。資料のご説明をいただいた2―1から2―3について。いろいろ貴重なご意見をいただきましたので、もう議論が出尽くしたととすれば、議題の2はここまでにいたしたいと思います。いただきましたご指摘につきましては、事務局と相談しながら、私に一任していただくということでよろしゅうございますでしょうか。それでは、議題の2をこれで終了いたします。本日予定しておりました議題は以上ですけれども、事務局から連絡事項などありましたら、お願いいたします。

【苫米地評価推進室長】
 失礼いたします。事務局からご連絡させていただきます。今回の議事録についてでございますけれども、議事録案を作成後、各委員にごらんいただき、その後、ホームページにて公表をさせていただきたいと考えてございます。
 また、次回の部会につきましては、12月ごろに開催を予定してございます。後日改めて日程調整をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
 最後に、配布資料につきましては、机上に置いていただければ後日郵送をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。以上でございます。

【笹月部会長】
 それでは、本日の部会をこれで終了いたします。お忙しいところ大変ありがとうございます。

―― 了 ――

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