研究評価部会(第20回) 議事要旨

1.日時

平成17年5月24日(火曜日) 14時~17時

2.場所

丸ビルコンファレンススクエア Room2

3.議題

  1. 「文部科学省における研究及び開発に関する評価指針」の見直しについて
  2. 研究評価部会におけるワーキンググループの設置について
  3. その他

4.出席者

委員

 石井部会長、青木委員、岩田委員、大泊委員、大森委員、北澤委員、 国武委員、諏訪委員、永田委員、西島委員、花木委員、垣生委員、 番場委員、平澤委員、古市委員、元村委員、若見委員

文部科学省

 科学技術・学術政策局: 有本局長、二村評価推進室長 
 研究振興局: 里見学術企画室長、小島大型放射光施設利用推進室長

5.議事要旨

1)「文部科学省における研究及び開発に関する評価指針」の見直しについて

 評価指針の見直し案について、事務局が資料1に基づき説明し、審議が行われた。
 主な議論は下記のとおりである。

【委員】
 1.5関係者の役割が2.1.3へ移ったということだが、この関係者というところには被評価者の問題だけではないことが書いてある。2.1.3へ持っていくことで、その辺は問題ないか。

【事務局】
 確かに関係者の役割ということで、被評価者あるいはいわゆる評価をされる側の話だけではない。実は、至るところにその内容が書いてあることもあり、ここは重複を避けたいということもあって、本質的なところ、つまり被評価者に係る部分を2.1.3に持っていった。それ以外のところは、評価体制の中で読めるということで整理をしている。
 先ほどの説明がやや舌足らずだったが、これをそのまま持ってきたというよりも、その中のエッセンスの部分、メインのところが移ったとご理解いただきたい。

【委員】
 4ページに、評価の対象というか方針のような記述がある。例えば独立行政法人通則法に基づいて、国立大学法人法に基づいてとなっているが、公立大学や私立大学を対象とした場合、このあたりをどう読めばいいのか。

【事務局】
 ここでは、法律とかで評価を行いなさいという体系が既にあるものとの関係を整理している。

【委員】
 評価は非常にコンプリヘンシブなものがあるが、その中で法人、独法、あるいは国大法による評価というのがそれの一角にあるということ。公立や私立についてはそれがかぶっていないわけだから、原則だけでいいと思われる。
 国立大学や独法については、いわば特別法として評価についても触れたものがあるわけで、それについて説明したという趣旨か。

【事務局】
 そのとおりである。現行の体系で評価が義務づけられているもの、あるいは一定の評価を行うとなったものに対して、研究開発の視点から見た際にここと重なり合うことについては整合性を図ってくださいということ。
 もともとその設定がない場合は、その研究開発の評価はこれで広くやっていただきたいというのがこの趣旨、もしくは大綱的指針の考え方である。

【委員】
 国費で行われる研究開発はすべて対象ということか。

【事務局】
 そのとおりである。

【委員】
 一般論としてはそのとおりである。
 もし公立大学について、仮に通則法みたいなものができるとすればここに挙がってくるだろうが、おそらく、特定の県なり都なりが県立や都立のものについて、公立、私立もそうだが、もしかしたら何か条例ができるかもしれない。そうすると、それはどう扱うかという問題はある。
 例えば5年ごとの評価期間を設定するとか、中期目標とか、通則法に似たような仕組みがそれによってつくられる場合には、恐らくここには書かず、それは公立であるがゆえにその自治体のつくっている規則がかぶってくるという当然の一般原則であり、ここでは言及しないだろうということである。

【事務局】
 基本的な考え方は、あくまで評価というものがある法律なりで体系づけられている中に、我々は研究開発という違う次元、縦と横の関係かもしれないが、そういうものでこの指針を決めているため、重なる部分が発生するだろうと考えられる。それについては整合性を図ってくださいということを言っている。

【委員】
 ただ、気持ちとしては、例えば国立大学は6年の中期目標という、ほかに比べれば比較的長いスパンをとっているのに対して、自治体が3年だということを言ったときに、それを一体こちらはどう見るのかという話が出てくる。しかし、今のところ、それはここでは書きにくい。

【委員】
 4ページの真ん中ぐらいの青字の「さらに」以下の文章であるが、「本指針においては、人文・社会科学の研究を対象とするものである」という部分について、文章がちぐはぐな感じがする。「本指針は、自然科学の研究開発だけでなく、人文・社会科学の研究についても参照されるものである」という文章の方が収まりがいいと思われるが、如何なものか。もっとかたく書けば「適用される」という言い方もあるが、指針が「適用」とは言わないため、「参照」ぐらいがいいと思われる。

【委員】
 「てにをは」まで言い出すと切りがないが、例えば6ページの1.4「評価システム改革」の内容は必要だとは思うが、1.4という項目を設けなくても「はじめに」に入れればいいという印象を持った。
 普通、改定版を出すときは改定した結果を出すのであって、改定の経緯を逐一述べることはあまりしないのが世間一般の考え方である。ここに注目して改定したということを伝えることは必要だが、項目が増えていくと、かえって読む気がしなくなるものになりかねないということを危惧している。もっとまとめられるところがあるのではないか。
 また、箇条書きに直せるところも結構ある。ずっと読んでいるうちに何が書いてあるかわからなくなるというケースが役所の文書ではよくあるが、これももう少し整理できると思う。

【事務局】
 この1.4を記載した趣旨は、今回、評価指針を見直しているわけだが、当然大綱的指針がまず上にある。特に大綱的指針に書いてある精神を受け継いで、この三つの視点から文科省の指針も見直したということで、前書きで今回こういう経緯があって変わったというよりも、ここでこういう視点に注目して今回見直したということを精神的なよりどころとして書きたいということがあった。
 委員から指摘があったように、1項目を起こすかどうかという議論は確かにあるが、今回の見直しはこういう視点に立ってやったということを言いたいということで、これを書いている。
 さらに言うと、大綱的指針の見直しもこの考え方に基づいて行われているということで、その考え方は同じにしていることを暗に言っているという趣旨で書いている。

【委員】
 これ全部にかかわる話か。

【事務局】
 そのとおりである。これは共通事項のため、今回の見直し全体にかかわるものである。

【委員】
 評価システム改革だけ何故こういう見直しに立ち至ったかということを書き出すと、逆に全部の章で書くことにならないか。したがって、それは「はじめに」でまとめて書いておけばいいのではないかというのが、委員の発言の趣旨と思われる。

【事務局】
 第1章はもともと基本的考え方ということで、全体に等しく係る基本的な考え方を整理しているつもりである。まさにこの部分は全体に係る理念として書いている。

【委員】
 そうであれば、評価システム改革の頭につくのではなく、本指針の位置付けのところ1.1のあたりに入れた方が格好が整うのではないか。

【委員】
 4ページの中ほどの「人文・社会科学の研究を対象とするものである」というところの最後のところが、私には気になるのだが、「個人の価値観が評価に反映される部分が大きい」というのは自然科学より大きいという意味か、それとも評価の中で価値観が半分以上重要であるという意味か。

【委員】
 ここの「配慮する」というのは何に配慮したらいいのかよくわからない。

【委員】
 同じ部分だが、この部分を入れなければいけないのか。自然科学の研究開発については一度も前に出ていないのに、ここであえて自然科学と人文・社会科学を対象にして書かなければいけない理由は何か。

【委員】
 これは第4章から移してきたところである。
 そのために、少し唐突だという感じがする。これ以降のところにも幾つかそういうことが出てくるので、それを総合してやはり第4章という形でまとめておいた方がわかりやすいということになれば、そういう方向で議論したい。
 差し当たりここは少し唐突だという感想は承って、その取扱いについては後ほどまとめて議論したいと思う。とにかく議長としてはなるべく中立性を保ちながらやっていきたいと思っているので、よろしくお願いしたい。
 もともと「大きいという点に配慮する」という、つまり人文・社会科学の研究については価値観が反映されることに配慮するというのは、そうなっても仕方がないよという趣旨だったのか。

【事務局】
 ここは、27ページの現行の4.1.1.4.2の4行目からの文章をそのまま持ってきている。
 ここは学術研究一般についてまとめて書いてある部分だが、自然科学系の研究と人文・社会科学系の研究をまとめて、どちらも研究・教育といった面で非常に特性があるものだということを説明した上で、特に人文・社会科学についてはもともと、例えば政治学や歴史学などのように、さまざまな意味において個人の考え方があるので、評価に個人の価値観が反映されるという特性に配慮すべきであるということを書きたかった文章である。
 前回の指針の文言があまり練れていなかったということであれば、今回の指針の見直しに当たって相応しい文言を検討していただくことは可能ではないかと考えている。

【委員】
 現行の4.1.1.4.2は最初の3行と後の2行を切り離してしまうと、ここで言うべき趣旨がわからなくなるという嫌いがあるのかもしれない。
 つまり、前半は理科系についての客観的データということで、その後に文科系についてはという感じで書かれていたものを、見直し案ではそれぞれ独立性を持って配置されたということである。

【委員】
 4ページの「さらに」以降の3行は、その下に「研究及び開発は未知を知に転換していく」という6行ほどの文章があるが、この中間ぐらいにうまく入るのではないか。具体的には、下から3行目の「文部科学省としても」の前に、「例えば、人文・社会科学の研究は」として入れれば、流れとしてはいいと思う。

【委員】
 ここは、第4章のところをどうするかということにも関連するので、後に送りたい。

【委員】
 先ほど、現行の1.5をいわば被評価者の問題に圧縮して2に移し、ほかの関係者のことはほかで十分に書き込んであるという説明だったが、具体的にどこに移したのか。例えば「文部科学省内部部局は」というのはどこに移したのか。

【事務局】
 今、指摘のあった文科省内部の話については、第1章の1.1の4ページ目に「文科省は本指針に基づき、実施要領を作成するなど所要の評価の枠組みを整備し、自らの研究開発に関する評価を行うこととする」とある。これは従来あった内容だが、これと今の1.5の第2パラグラフの「自ら研究開発施策等の評価を行うとともに、研究者や研究開発を行う機関等の自律的な取組を補完するために、評価システムの構築・運営や評価環境の整備を適切に行う」というところが、枠組みを整理する、自ら行うという意味で、似たような内容を書いているのではないか。

【委員】
 少し違うのではないか。1.1に書いてあるのは自分でやりますという話で、1.5に書いてあるのは、研究機関がやることについてのサポートや関係の整理を文部科学省内局がするというものではないか。
 つまり、1.1のところは「本指針に基づき、実施要領を策定するなど所要の評価の枠組みを整備し、自らの研究開発に関する評価を行うこととする」ということで、自分の評価をしましょうと書いてある。
 現行の1.5は、「自ら研究開発施策等の評価を行うとともに、研究者や研究開発を行う機関等の自律的な取組を補完する」ということで、少し違う話である。
 例えば、日本学術振興会やJSTなどにプログラムディレクターとかオフィサーみたいなものを整備しょうとか、そういう話ではないか。

【事務局】
 まさにここは理念的な話を書いている部分であり、今、部会長が言ったような文科省がそういった活動を支援するというところは、個別の話として後ろに幾つか具体的な話が出てくるのだが、理念というところでは確かに明示的に書き切っていない。この部分の表現についてはもう一度事務局で検討させていただきたい。

【委員】
 関係者の記述を一つにまとめても、文科省の指針に影響はないかと思われる。1.5を存続させるという選択肢も含めて考えて欲しい。

【事務局】
 繰り返しになるが、ここの従来あった考え方を変えるものではないというのが我々の基本的スタンスである。言われるとおり読みにくいという懸念があるとすれば、そこは明示的に書き直すことも検討したい。

【委員】
 第2章は、全体として詳細に書けるところは、詳細に書いた方がいいということでいいと思う。
 1点気になるのは、9ページの幅広い評価者の選任、在任期間、利害関係者、守秘義務のところ。昨今の状況から見ると、真ん中に「公正で透明な評価を行う観点」ということで、前回に比べて具体的なことを書くのはすごくいいのだが、全体を見ると例えば「原則として加わらないようにする」という一文がある。ところが、その後に「明確なルールを定める」とかなり明確に書いているのだが、途中まで行くと「一つの目安として考えられる」「ルール化しておくことも考えられる。なお、やむを得ず」ということで、いかようにでもできるように受け取れる。
 ここの部分は、例えばもっと細かく言うと、親族関係と言っているが、これはどこまでなのか。「研究開発に行う機関において同一の研究室に所属する者」はわかるが、「所属していた者」というのはどの範囲なのか。最先端の研究を行っているというのは競争であるから、非常に限られた研究室でそのプロフェッサーとかポスドクに入った人間は関係してくるはず。つまりどういうことかというと、これをどこまで明確にルール化できるかということを覚悟しておかないと、書くのは容易いが、実行はなかなか難しい。
 そういうことがあって、前回は「原則として加わらないようにする。その際、あらかじめ範囲を明確にして」ということで、実際に選んだときの部分を別途表記していたと思われる。
 これをここまで書くことがニーズとして必要なのかということと、もしこれを書くのであれば、全体の文末をそろえて強い意思を出せるようにするとか、何かそういうことを考えておかないといけない。その辺の思惑を聞きたい。

【事務局】
 事務局としては、利害関係者については一定のルールを定めるべきであるということを基本的に考えている。
 ここでは、例えばこういうものがあるのではないかという例示である。というのは、研究開発課題とか制度の内容によってはある程度弾力性を持たせなければいけない部分があるからである。
 ただ、やや矛盾した言い方かもしれないが、原則はやはりまず厳しくやった上で、その制度ごとに応じたある意味で弾力的な部分はあってもいいのではないかということ。この表現ぶりが果たしてその意図をきちんと表しているかどうかというのは議論があるところだと思われるが、事務方としてはそのように考えて整理をしている。
 これはあくまで指針なので、こういうように書いてしまえば、実際に評価をやるセクション、組織の方にこれがある意味でかかってくるわけだから、そこは実際に評価をやっているところともう少しきちんと議論はしたい。
 ただ、基本的にこういった利害関係者についての記述をなるべく具体的に書く、明確にできるところ、厳しくするところは厳しくするという考え方について、基本的なコンセンサスはもらっていると思っている。問題は、どこまでをそのラインに持っていくのかを今後少し詰めていく必要があるというところが実態かと理解している。

【委員】
 これは書き方の問題である。利害関係者は加わらない、その利害関係者の範囲とか具体的なことはそれぞれにおいてルールを明確にするという書き方も可能である。

【委員】
 そのぐらいがいいかと思われる。

【委員】
 非常に難しくて、必ず狭い研究社会をオーバーラップしていることがある。ここには評価者の数は書いていない。えこひいき的なものが少なくとも薄まるような十分な数の評価者を用意するとか、そういう考え方はだめか。
 3人ぐらいで評価して、1人が関係していたらかなりの割合だが、文科省の評価は実際10数人でやっており、多少関係があっても、割と薄まっているのではないかと思うが。

【委員】
 プログラムによっていろいろなものがある。例えば科学研究費などは3人という場合もある。ある分科細目の一段審査、書類審査は3人が点をつけて集計する。それをできる限り公正化するためにTスコアにするとか、さまざまな工夫をしている。
 それに対して、例えば大学等の機関評価のときには10人ぐらいが出かけていくとか、評価の対象、評価の目的等によってさまざまであり、数を書くのはなかなか難しい。

【委員】
 十分な数が必要ではないのか。

【委員】
 もちろんで必要である。例えば3人で本当に十分かという議論は、常に学振の中でやっている。そうすると審査員が1000人増えて、その事務をどうするかみたいな話にすぐなってしまうが、いずれにしてもそういう議論はやっている。
 それをどうするのか、評価者の数はそれぞれの目的、それぞれのプログラムの性質に応じて公平性を図るために十分な数を確保することに留意するというような、精神規定みたいなものをどこかに入れるのも一つ考えられる。

【委員】
 そのとおりである。アディティブなもので、これが必要ないと言っているのではない。

【委員】
 実際にファンディングをしている立場からいうと、これをきちんと決めると、「こういう人はいいのか」という質問が必ずある。仮に「それは構わない」と答えたとすると、そういう人がぞろぞろ入ってくる。そういう意味で、こうやって決めれば決めるほど物事がおかしくなる面が出てくる。
 例えば、東京大学のような大きな機関の場合に、しかも同一の学科に一旦所属していたことのある者を全部排除すると、審査は実際上全く不可能になることが多い。そうすると「5年前以上ならいい」とか例外規定を設けたりする。これはいいと言ったということでそういう人が選ばれてしまうことが起こってくる。決めれば決めるほど必ずそういうことを事務局が聞かれて、これならいいですねという形で選ばれていってしまうという問題が生じている。
 私どもは去年からどうしているかというと、あなたが審査委員長になりました、あなた方が審査員になりました、そのことによって皆さん一族郎党がこれは有利と思うような審査は絶対にしないでくださいと言っている。むしろあなた方が選ばれたことで、参ったなという噂がその分野で飛び交うような審査をしていただきたいと最初に申し上げてから審査委員になっていただいている。それが守れない方は審査員になっていただかないということで審査員を決めないと、もはやどうしようもなくなる。
 決めれば決めるほど、「では、3年前はよくて4年前はどうか」とか、「この時間だけ私がいなければいいのか」ということになってしまう。ですから、これをあまりに決めすぎるのは困る。例えば「同一の学科に過去において所属していた者も一つの目安として考えられる」とここの文章では書かれている。書かれた方は恐らくこれで例外もあるから制約しないと思って書かれる面があるが、末端に行くと、ここにこのように書かれているではないかということで、物事が非常に硬直化した形で適用されるケースが常にある。
 こういう場合はかなり注意して、「一つの目安として考えられるが、個々の場合に応じて」とか、そういう文章を入れないと非常に危険であるということを経験している。

【委員】
 この利害関係者というのは悩ましい。結局、最後は評価者倫理みたいな問題になるのかもしれない。何も書かないわけにもいかないし、非常に悩ましいことである。

【事務局】
 事務局として考えたのは、今の表現は「原則として利害関係者は評価に加わらないようにする」という一文しかない。ですから、我々として一番言いたいことは、趣旨に応じた明確なルールはきちんとつくっていただきたい。つまり第三者から見ても、なるほどこういう利害関係者の基準があると思わせたい。
 それがどこまでブレークダウンされるかは別として、そういうものがまずあって、客観的な基準、あるいはみんなが見られる基準でやっているということを明らかにしたいというのがここの書きぶりである。
 いわれるように、「一つの目安として考えられる」という言い方は、その中に入れる内容としてはこんなこともあるのではないかということで、やや出過ぎた話かもしれないが、事務局としてはそんなことを思っているということを書いたという趣旨である。
 言われるとおり、これがだんだん皆さんに使われて行くと、金科玉条のごとく使われてしまうのではないかという恐れがあることは事務局も危惧している。したがって、あくまで意図は、まず明確なルールを定めてくださいということに主眼があることをきちんともう一回わかるような書きぶり、もしくは今言われたように、具体的な例示はあくまで例示であるというのがもう少し読めるような書きぶりになるよう事務局で検討したい。

【委員】
 今のことに関連して、NSFのある部門の場合では、申請時にお金の授受の関係があったかどうかというリストを出させている。つまり、例えばあるプロフェッサーだとすると、ポスドクとしてどういう人を世話したかというリスト、自分がスーパーバイザーからどのように資金を得たか、そのスーパーバイザーの名前とか、上下のお金のつながりがあったという履歴だけはリストとして出すことになっている。それを参考にして審査員を選ぶということ。それ以上の細かい規定は、少なくともNSFの中にはない。

【委員】
 そういうことをここにいちいち書くわけにもいかないので、そういう例を集めたハンドブックみたいなものを作り、だんだん充実したものにしていくといいと思う。

【委員】
 11ページの評価項目の抽出とあって、必要性、有効性、効率性の三つがあるが、これはもう決まっているのか。

【事務局】
 決まっているかという質問に対しては、決まってないという答えになる。というのは、先ほど説明したが、我々としては大綱的指針はある意味で憲法的にあるわけで、そこに書いてある内容の趣旨をなるべく生かしたいということで、ここに書いている。
 もちろんこれ以外の視点を排除するとか、あるいは必ずこれに限定しなければいけないということではないと思っている。今のところ事務局としては、大綱的指針に書いてあるこういった視点は、引き続き我々のやる評価でも有効ではないかということで、たたき台として提示した。

【委員】
 これは考慮していただきたいという提案みたいなものだが、最近、倫理とか法的・社会的影響を考えて研究テーマを選ぶとか、ELSI(エルシー)という考え方がよく出てきている。
 この項目のどこかに当てはまるものかわからないが、ざっと見たところ倫理的な視点からの評価があまり載っていないので、折角新しくされるのならば入れた方がいい。
 例えば競争的資金を受けたときには前向きな話だったが、それが社会的な問題とか非倫理的な問題をだんだん帯びてくることがあるので、どこかでチェックを入れる必要があるのではないか。

【委員】
 幾つかの研究評価では倫理が入っている。ここも入れるべきである。

【委員】
 第2章は、評価人材に係わるところを、これだけ詳しく方針を書かれたということは非常に素晴らしい。こういうことが実際に機能して、評価人材が充実することを期待する。
 それに比べると小さい話だが、7ページの2.1評価関係者という1行が入っている。評価関係者にはもう一つ、これら三つのカテゴリーと同列に置くかどうかは別としても、評価支援者というものが必要である。特に質の高い評価にしていくためには調査分析をして、そのデータを整理してといったような種類の評価支援者は非常に重要である。大綱的指針の中にもそういう文言が入っている。
 それから、これも単なる整理学の話だが、8ページの2.1.2.3外部評価、第三者評価の活用とある。ここに挙がっている第三者評価の定義は独立機関の評価のタイプであって、大綱的指針の場合は、第三者評価は上部が任命する外部の評価者による評価ということになっている。
 いずれにしても3番目のカテゴリーがあって、自ら外部評価者を選んで評価をするというのが外部評価という呼び方である。これは命名としてはあまりよくない。
 例えば独立行政法人の評価のように、大臣が第三者を評価者として任命して、独立行政法人それ自身を評価していくというタイプのものも一つある。それに対して、大学評価機構のような独立機関がある。これはここでいう注2がそれに相当するようにも読める。
 いずれにしろ、実態としては少なくともその3種類が実際に機能している部分である。これはちょっとしたことなので、またお考えいただきたい。

【委員】
 この第三者評価の機関の表現は、上とは限らない。大学評価機構は上なのか、下なのか、横なのかというのは極めて微妙であり、こういう整理になっている。8ページの注2に定義がある。

【事務局】
 この定義についてはもう一度、大綱的指針との整合性をチェックさせていただきたい。

【委員】
 13ページの2.3評価結果の取扱いだが、現行の方がすごくスムーズに読める。見直し案では、「研究開発を企画立案し、実施し、評価し、反映するといった循環過程を有効なものとする又は評価が戦略的な意思決定を助けるためには」とあるが、これはだれの戦略の意思決定なのかということと、その3行ほど下の「研究者等の業績の評価結果については、その処遇等を決定する際に活用する」というのがつながっていると思われる。
 文科省内部部局及び研究開発をやる人がこの成果を尊重して、研究者の処遇等をやるその戦略に使うということか。ちょっと生々しいというか、だれの戦略なのか、この赤字の意図を知りたい。現行の方がごく自然でいいように思われる。

【事務局】
 この第2章全体は共通事項ということで整理されているため、今指摘があった戦略的な意思決定をだれがやるのかということについては、研究機関であったり、文科省であったりする。つまり研究開発のプロジェクト、施策を推進する人たちがその成果を見て、自分達のやりたいことをどのように持っていくかというときの判断材料としてこの評価を使うということを明記している。したがって、そこはフェーズによってちがうが、主体は研究開発実施主体になってくる。
 それから、研究者の業績評価結果について、研究開発課題であれば評価した結果どうなるかというと、例えば予算につながるとか、その研究自身を続けるかどうかということが目に見えてくるが、研究者自身の評価というときにある意味でインセンティブというか、研究者に対してどういうフィードバックが与えられるかといったときに、処遇という言葉は言われたようにやや生々しいが、そういうところに結果をフィードバックしてもらうことが、ある意味で評価をやっていて、それがきちんと全体として評価の世界で回っていく。評価したものが次につながって、またそれが評価につながっていくというサイクル、施策、課題、機関、研究者それぞれにそういう流れができていくのではないかという趣旨でここに書いている。
 実際問題として、この後、第3章で個別の話が出てきて、その後に研究者の評価の話が出てくる。先走った説明だが、研究者の評価は基本的には機関長がやる。ただし、やった結果については、個別に書いてあるが、まさにこういった処遇みたいなものに反映していただきたいという表現が少し出てくるということで、その前段としてこの部分がある。

【委員】
 研究者の評価は、戦略とはちょっと切れているのではないか。

【事務局】
 そういった意味では別のものである。研究者の評価が戦略というわけではない。
 その組織が研究開発なり組織運営を戦略的に行っていくというときに、この課題なり施策なりの評価結果を使って戦略をつくることを意図している。

【委員】
 今のところと少し関係するが、評価の種類の中で事前評価、中間評価、事後評価があり、その後の追跡評価もある。この研究評価部会で議論してきたことは、事前評価に関しては選定評価とは別の評価で、選定評価で決まったテーマの本当の事前の評価をやると認識していた。
 今も戦略的なのは誰がということがあったが、恐らく事前評価の辺りのことと思われる。走り出したら中間とか事後とかいろいろあるが、事前評価には選定評価を含んでいると理解してよいのか。例えばファンディング機関だったら、何を選定するのかを事前評価といっているのか、それとも事前評価をファンディングを決めた後に対する直前の、具体的に決まったプロジェクトの事前、中間、事後の一環としてとらまえているのか。

【事務局】
 今の質問については、14ページ目の研究開発課題で、「事前評価では採択、不採択又は……」云々ということで、評価はあくまでその課題がいい悪いといった、どういういいところと悪いところがあって、ここを変えればよくなるというのをやるのが評価である。その結果を使って、まさに採択とか不採択という序列をつけるのに使っている。評価の次のフェーズと整理している。
 ただ、実際は採択、不採択を決めたいという大目的があって事前に調べることはある。そこまでは評価だが、その結果、採択、不採択とやるのは、ある意味では理論上は評価とは別の次のスキームである。ただ、そこは密接に連携していると理解いただきたい。

【委員】
 2.3評価結果の取扱いは、新しい文章は非常にわかりにくいものになっている。現行の文章をできるだけ生かして、わかりやすい形に変えた方がいいのではないか。
 「戦略的な」というのは、全体の文章の流れでは割合唐突である。もう少し丁寧に説明するとわかりやすくなる。丁寧に説明し過ぎてもまた長くなるので、その辺りを修正していただきたい。

【事務局】
 表現ぶりは事務局でもう一度検討させていただきたい。

【委員】
 15ページの2.3.2被評価者からの意見の提出のところで、最後に赤字で書いてある1行ちょっとの文章だが、「十分な根拠をもって異議を申し立てるための体制整備に努める」というのは具体的にどういうことを考えているのか。
 十分評価のコメントがついていれば、これはあまり必要ではなく、少し大げさな感じがするのだが。

【事務局】
 委員の指摘のとおり、本来だと結果を詳しく開示することによって、評価を受けた方にも納得していただくのが理想である。
 多分、ほとんどの場合はそれで終わるのだが、それでもなお自分の評価結果に満足しないという人が仮にいた場合、そういう人たちがここにある十分な根拠を持っておかしいと言うような場を別途、いわゆる評価結果を受けるだけではなくて、評価を受けた側から評価をされる側に戻すというか、ある意味で質問を返すというスキームがあった方がいいのではないかという趣旨でこれを書いている。
 もちろんこれがあるからといって乱用されるのは非常に困るが、あくまでどうしても納得できないそれなりの客観的な理由がある場合に、そういったものを救い上げるスキーム、具体的に言うとそういう意見を上げる窓口をつくるとか、それをもう一回再検討するような組織をつくることが具体例として考えられる。
 先ほど言ったように、大綱的指針の中でも新しい話としてこういうものを考えていくべきであるという指示があり、それを受けて事務局としてもこういうものを考えてみてはどうかという趣旨を持って書いた。

【委員】
 8ページを見てもらいたい。以前の文章では評価の活用のところに「国家安全保障上の理由等のため機密保持が必要な場合には、上記によらず、適切に評価を行う」とある。見直し案では、「国家安全」が抜けて、「国民の安全」になっているが、「国家安全保障」と「国民の安全確保」の両方があってもいいのではないか。
 また、「国民の安全確保等の観点から公開することが不適切な場合は、上記によらず、適切に評価を行う」というのは、理解できない。そうではなくて、公開することが不適切な場合は、評価は評価としてきちんとやるが、公開をどうこうするということではないのか。これは直していただきたい。

【事務局】
 そのとおりである。第三者評価とか外部評価というより、本人達ではない方も入れてやるのを原則としろということであるから、この後説明するが、国民の安全確保の観点から、いわゆる第三者にそういうことを知らせるのがよくない場合があるとすれば、それは内部評価をするなど、適切なやり方でやるということである。

【委員】
 それは評価ではなくて、公開の方法を工夫するということで、評価は変えられないということでよいか。

【事務局】
 評価をすることをやめろということではなくて、評価のやり方、評価のアプローチの仕方を考えるべきであるということである。
 ここで言っているのは、あくまで外部評価とか第三者評価を活用しょうということをまず大前提としており、つまり、国のお金で行っている研究開発が客観的な評価を受けるのは、ある意味で原則としてある。
 ただし、国民の安全確保の観点という視点で、これを一般に出すことが逆に例えば安全確保上懸念を生じるようなことがあるとか想定された場合は、外部評価や第三者評価を必ずしもやらなくてもよいという、ある意味で例外的なことをここで言っている。
 続きで言うと、従来あった「国家安全保障上の理由等」を「国民の安全確保等の観点から」と書き換えた理由は、国家安全保障上の理由だけにしてしまうと、もちろんこの後に「等」があるが、例示としてこの書きぶりだと、国家安全保障にかかわるような研究をこういったスキームの中で非公開でやることが本当にあり得るのかということになる。つまり国家安全保障の問題だけではなくて、広く国民の安全にかかわるような話でもっと大きな整理学にして、その中に国家安全保障という一つのカテゴリーがあると考えてみたらどうかということで整理した。
 今、委員の指摘のあった国家安全保障の問題も含めたもっと広い国民の安全確保という観点からの公開が不適切な場合があり得るのではないかということで、こういう整理をしている。
 具体的に何があるかと言われると、それは正直言ってケース・バイ・ケースではないかと思っている。まず基本的には全部公開するということで、相当の事由がない限りそういうものは存在しないと考えている。
 ただ、もしこれがないとすれば、万が一そういう研究開発を行ったときの評価として、これは外部評価、第三者評価をやるから全部公開することになる。まさに評価ではない、もっと大もとの国家安全の話とか国民の安全確保の観点から疑義を生じるようなことが想定され得るだろうという趣旨である。

【委員】
 すぐ気がつくのは、例えばテロなどの問題で新しい強毒性のウイルスをつくる方法などは、普通の基礎研究の中からぽっと出ることもある。技術としては素晴らしいかもしれないが、評価は技術に対して行われるので、評価者の委員の人たちは大抵は研究者、学者で、その技術成果に対して評価をする。
 出てきたものが非常に恐ろしい結果になるからといって、評価を曲げるというのはなかなか難しい。そういうものはむしろ公表しないとか、これは大事なことで、国家安全保障とか国民の安全等のことまで全部公表することは特に必要ない。そういうこともあるとしておけばいいのではないか。それは評価ではなくて、公表の問題だと思う。

【委員】
 国民の安全保障は例えば病気も含めてプライバシーの問題だし、国家安全保障は国という組織の話だから、本来は全く別の話である。それを片方に含めてしまうのは、かえって中身があいまいになってしまうのではないか。

【事務局】
 繰り返しになるが、事務局の意図はまさに委員方が指摘したとおりである。そういったものが研究開発とかそういうフェーズではないところから、国家の安全とか国民の安全に疑義を生じないようにすべきであるという趣旨であるから、言われるとおり公表も当然一つの視点としてある。この点については、事務局の方で少し検討させていただきたい。

【委員】
 24ページの3.3機関等の評価だが、機関の存続は前提であって、その活動状況をよくするための指針というか、評価なのか。独法その他の機関の存続自体、つまり国民の利益に直結するような判断はここではしないということか。

【事務局】
 機関評価というのは、ある意味でその機関が今どういう状況にあるかを客観的に見て判断すること。したがって、これをこうすればよくなるという判断もあれば、このままでは続かないのでやめるという判断もある。
 それは評価の結果を踏まえた次の政策判断ということで、この指針の対象には直接ならない。

【委員】
 25ページの研究者等の業績評価のアウトリーチ活動だが、ここではこういうことにも着目するとなっているが、申請段階でアウトリーチ活動に対する予算措置もしておく必要があることになるのか。

【事務局】
 研究者の評価をやるときの視点として、業績は非常に重要だが、それ以外の視点として例えば、知的基盤がそのストックに対してどれだけ貢献したかとか、アウトリーチ活動なども含め多角的に評価をするという意味で、その視点に加えた。
 最初に言ったように、これはあくまで機関長が責任を持ってルールを決めてやる話であるから、一言で言えば我々がどうこうという話ではない。ただ、実施するにあたって、この研究開発を円滑に進めるという観点で、研究者を評価するときにこういう視点を入れて評価してはどうかということが事務局の提案である。
 逆に言うと、この指針を受けてある機関がアウトリーチ活動も研究者の評価として考慮するということになれば、当然今言ったような話は機関の問題としては発生してくる。

【委員】
 もともとアウトリーチ活動は、理科離れを契機として出てくる要素がある。それをどうするか、科学者が社会に対してどう発言するかということがあるが、ここでの趣旨は人文科学も社会科学も含めて、科学全体がアウトリーチで国民や市民にどうつながるかという話と理解したが、それでいいのか。
 下の注の「国民の研究活動・科学技術」というのは、理系の工学的な話がベースになっているようだが、もうちょっと広くとらえてもいいのではないか。そういうことで、下のカテゴリーでいうと、アウトリーチは要するに社会貢献ということか。

【事務局】
 そのとおりである。直接研究ではなくて、それを社会に還元するという社会貢献というカテゴリーである。

【委員】
 25ページの研究者の業績評価あるいは評価のシステムということで伺いたいのだが、全体として研究者あるいは研究の開発をポジィティブにサポートするためのシステムと考えてよいのか。
 昨今問題になっている研究の捏造とか、ペーパーでこれはリプロデュースビリティーがないとか、外国ではしばしば言われている。特に外国からは、日本にそういうことをチェックするシステムがないのかという指摘があった。
 私は生物系の科研費の評価をしていて、そのときもそういう問題が2年ほど前に出た。どうしたらいいのかということで、一体これはどこに上げていけばきちんとディスカッションしてもらえるか、あるいはシステムをつくってもらえるかという議論をしたことがある。ここではそういうことは入らないか。

【事務局】
 まず原則論でいうと、研究者の評価は機関長があるルールを持ってやっている。そのときに事務局がここに書いたようなものも考慮したらどうかということであるので、具体的には、今言ったような研究者の評価の視点として重要であると機関長の判断があれば、そういう評価の視点に入ってくるかと思われる。
 この指針である程度の考慮ができるとすれば、そういった話を評価の視点として考慮してはどうかとまさにアウトリーチ活動のところに書いてあるが、その一つとして記載する可能性はあるかと思われる。
 今言われたのはある意味で研究者の倫理みたいな話だが、それは守って当然という世界で、悪いことをすればマイナスになる。ここで言っているのはまずゼロがあって、何かいいことをやったらそれはプラスに加点していくという視点での整理学になっているので、据わりとして同列に考えるのはやや難しいかと思っている。ただ、評価の視点としては考え得る事項であると思われる。

【委員】
 本人のネガティブな面だけではなく、若い人達が海外に出てインターナショナルに活躍している上にも、そういうものが出るとその人達をエンカリッジすることには決してならないため、そこを何とかしていく方法があればいいと考えている。
 言われるとおり、ここが適切な場所かどうかは私にもわからない。

【事務局】
 いわゆる評価という全体の立場から、今言われたような視点が何らかの視点として加え得るかどうか、研究者であるかどうかはおいて、評価という視点からのアプローチはどういうものがあるかは事務局で少し検討させていただきたい。

【委員】
 「はじめに」のところが妥当かもしれません。つまり、この指針をどういう観点からつくっているかということで、要するに、言ってみればそういう破廉恥なものは排除した後のものということ。そういう形ではっきり位置づけられるかもしれない。
 それについてどこまで言及するか、各評価者などがその辺のチェックは当然の前提として行うものだということが一つ入っていれば、趣旨はある程度は見えてくるのではないか。

【委員】
 非常に細かいことなので言うべきか迷ったが、21ページの評価方法等のところで、評価の中で今まで若手研究者とか、なかなかもらえなかった人のために何とか努力しているという文章はよくわかるが、「申請書の内容と実施能力の観点を重視した、研究者の地位や肩書きに拠らない審査を行うことが必要である」と書かれている。
 書き方を非常にうまくやらないと、実力を重視するという観点は重要だが、その後のつながり方で、肩書きや地位を持っている方がこういう内容のある文章を書けていないのかというような読み取り方をしてしまうのではないか。
 ここまであえて書いたということは、かなりこういう事例があって困っているということかと思われる。とにかく前提は実施能力の観点を見ることは明らかで、それによらないで起こってきた今までの事例は幾つかあるかと思われるが、このつながり方が気になっている。

【事務局】
 ここでこれを書いているのは、特に競争的資金においてはシニアな方というか、そういう方が競争的資金の大多数を受けているという分析結果がある。本来、若手もそういうところに持っていくべきではないかという議論が、特に総合科学技術会議であったかと思われる。そういったものを受けて、実際は当然そういう対応をしていると思われるが、評価という視点からもこういうことを意識してやってみたらどうかということを書いている。
 言われるとおり、肩書きとか地位のある方がそういう能力がないということを言っているわけでは決してない。そういったところではなくて、研究内容や実施能力を重視して評価をしてくださいということが本質である。
 今言われたような懸念についてはどういう記述ぶりがいいのか、実はこの青字の部分は内部でいろいろ議論して、言われたようなところを踏まえて一番そういう懸念が生じにくいと思って書いているところだが、さらに事務局で検討させていただきたい。

【委員】
 例えば「研究者の地位や肩書きのみしか見なくて」とか、私も書き方がよくわからないが、検討願いたい。

【委員】
 この文章全体について、例えば研究計画の充実は多分、研究計画について記述する場所、あるいは書かせる事項をきっちり充実するという趣旨と思うが、研究計画の充実と審査員の拡充が並んでいるのは少し理解できない。これは恐らく申請書の問題だろうと思って読んでいた。いずれにしても、全体の文章をもう少し練り直す必要がある。

【委員】
 24ページの青字で書かれているところを読んでもよくわからないのだが、これがお役所言葉になっているのだろうと思われるが、「独立行政法人」云々のところは、本指針を尊重してくださいということを言っているのではないか。
 「本指針も踏まえて、独立行政法人評価委員会等既存の枠組みにおいて実施された評価を本指針における評価とする」というのは、一体何のことなのか。機関評価はこれを尊重してやって欲しいと素直に書けばいいのではないか。

【事務局】
 これは大綱的指針とこの指針に基づいて、研究開発に関する機関評価はこの考え方でやってくださいという一つの考え方である。
 他方、独法の評価とか大学の評価という機関評価があり、先ほどもあったように、ある意味ではそれは重なっているところがある。大学での研究開発と独法での研究開発はこの指針も適用されるし、法律等に基づいてやられる評価も適用されている。そこで、理論上はこちらはこちらで評価をやるし、法律に基づく評価はそれはそれである。
 両方をやれというのも一つの考え方としてあるのだが、それでは重複の排除であるとか、むだな作業という別の評価の合理化という観点から、改善というか考慮すべき点があるのではないかという考え方に立って事務局が至った結論は、大学での機関の評価と独法の評価をもって大綱的指針とこの指針に基づいての評価に代えたいということ。なぜかというと、視点がほとんど一緒だからである。
 ただし、その際には多分、独法は独法で経営とか運営の視点も当然あるわけなので、そういう評価をやっていただくのだが、特にその中の研究開発の部分の評価については、我々がここに規定しているような内容、精神、考え方を反映してくださいということである。そうすれば、その評価結果をそのままこの指針に基づく評価結果とさせていただきたいという趣旨である。やや難しいというか、複雑な説明で恐縮である。

【委員】
 これに関連する人達は、これを見ればわかるのか。

【事務局】
 表現ぶりはまた検討させていただきたいが、事務局はその趣旨で書いている。委員の皆さんにそれが読めないということであれば、もう少し表現ぶりは検討させていただきたい。

【委員】
 「本指針にいう評価とする」という方が、まだ多少わかりやすいかもしれない。

【委員】
 「本指針にいう評価として認める」とか、そういうことか。

【委員】
 要するに、丸ごと向こうの仕組みにお任せしますということで、そこでやる評価の仕組みそのものは、我々としてはこの指針と基本的に変わらないものと認めているから、どうぞそれでやってくださいという趣旨だと私は読んでいるが、それでいいのか。

【事務局】
 結構である。

【委員】
 もっとわかりやすく書く方法はあると思うので、それは工夫してもらいたい。
 なお、ただし書きは余分ではないかと思う。

【事務局】
 発想として役人的と言われればそれまでだが、要は今書いているような独法評価委員会とかそういったところがやる評価結果をこの評価結果とするということについて、それは必ず1対1に対応して、それ以外の活動は認めないのだと読まれてしまうと困る。
 法人の皆さんの自主的な活動をやめなさいと言っているつもりでもない。まさに読み方として勘違いされないように書きたいということである。ここも含めて、もう一回検討させていただきたい。

【委員】
 赤字の部分がなくていきなり青字になったら、3.3.2としての記述は流れがわかりやすくなるのではないか。いきなり「大学等については」と来て、最後にまた独法があって、国立大学があって、共同利用機関がある。研究機関のいろいろな種類を、この指針が一体どのように位置づけているかということは、素人にはなかなかわかりにくいことは確かである。
 私はもとの第4章にもう一遍戻した方が全体がわかりやすいのではないかと思っている。

【委員】
 私も直感的にはそうだが、一応こういう形に整理されたので、整理したこの枠組みをもう少しわかりやすくブラッシュアップしてみるのも一つのやり方だろうと思う。
 この時点でこのようなことを言うのはまずいのかもしれないが、要するに第3章で評価対象として施策、課題、機関、研究者と分けてあるわけで、実は、施策が大綱的指針の第3期では大きく取り上げられるようになったということがある。その施策の中身が何通りかのものが混在して、評価をするときにそこのところをかなり区分しないとわかりにくいという問題が一つある。
 もう一つは、課題となっているが、具体的にはプロジェクトの話だが、大きなプロジェクトなのか、それとも枠組みのもとで展開するプロジェクトなのかということで、評価のあり方はかなり違ってくる。
 結局、日本の研究開発に対する取組は枠組みなしに、個別の担当からプロジェクトを展開するというフェーズからだんだん整理されてきて、ある制度のもとでまとめて研究開発を展開するという部分ができ上がってきた。これは通常はプログラムという形で言われている。
 しかし、プロジェクトも生煮えのようなものが多く、海外でいうプログラムのように、プログラム化されている政策展開という言い方で言うときのようにその内容が、方向性とか、目的とか、そういうものが明確に位置づけられていて、そのシステムを使って資金提供が定型的にやれるという形にはなかなかなっていない。
 結局、施策と、ポリシー、プログラムは通常分けて考えているわけだが、ポリシーと言っているのはやや一品料理に近いような独自の施策展開の方法論を多様に組み合わせて実現していくのに対して、研究開発の科研費のように制度化されて、定型的にお金を配っていく種類のものとはかなり評価のあり方が違っている。
 どちらかというと、個別にやっていたのをだんだん制度化して定型的な部分を増やしていって、確実な資金提供ができるようにしていくことを、3.2のところで単に課題の評価というよりも、そういう方向性を持って課題の評価の体制づくりをやるべきだということが多分あるべきだろう。それからはみ出すような部分は3.1の施策として、それはそれなりに一品料理の評価ができるような形をつくらなければいけないという感じになるのかと思っている。
 いずれにしろ、この枠組みの分け方は今までの大綱的指針の枠組みをそのまま受け継いでいるだけで、それを許可していこうという方向性を持ってさらに大綱的指針では議論したが、そういう精神というか、それがまだ少しこの中には移し植えられていないのではないかという気がした。それぞれのところに数行ずつぐらい入れるべきではないかと思っている。議論し始めると長くなるので、とりあえず問題提起だけをさせていただきたい。

【委員】
 提案であるが、この指針とは別にハンドブックを作ったらいいと思う。
 多分指針はこういう形になるのだろうが、これは報告書ではあるが、大学研究機関の事務の人が読むにはつらすぎる。全部読まなければわからないというのでは多分、指針が浸透しないと思われる。これでいうと、不必要に字が大きくて、不必要に厚い。
 憲法みたいなものはきちんとあった方がいいのだが、どうすればいいのかというぱっと読めるハンドブックをつくって、ここの項はここに詳しく書いてあるというリファレンスがきちんとあれば、もっと使ってもらえるのではないか。科研費のルールについては、そういうハンドブックを文科省がつくっていたと思う。

【委員】
 十分考慮に値するというか、ぜひお願いしたい。とりあえず指針をつくってからのことだが。

【委員】
 解説という形でもいい。

【委員】
 わかりやすくなるのかどうかはわからないが、それだけ一層原文がしっかりしていなければいけないということになる。
 委員からご意見が出ないのに委員長がごたごた言うのも何なので、私の意見はあとで事務局に伝えるとして、ここで開陳するのはやめておく。
 ただ、少し申し上げておくと、まとめて書いておいた方がわかりやすいということ。これは現行の第4章の書き方が、まず大学における学術研究の独自性というところで書き起こしてある。先ほど議論にもあったように、独立行政法人法による独法の評価の問題とこの指針との関係とか、国大法の評価との関係が非常にわかりにくい。その辺がどういう考えになっているかということをきっちり示すということとあわせて、大学等における学術研究の特性があるから、それについて十分配慮する必要がある。
 今、第4章の前書きが逆になっている。まず法的な枠組みの複雑性についての一種の説明をして、かつ学術のあれをして、独自性をあれするために以下書きますという書き方にして4.1からずっと書いていく方が、あるいはわかりやすいのではないか。
 先ほどのところの突然「自己点検、自己評価をしろ」と始まって、これは国立大学だけではなく、学校教育法に入っているわけだから、私立大学も公立大学も全部入っている。
 こういうことは知っている人はわかるが、知らない人は本当にごちゃごちゃになる。つまりほかの法律というか、ある独自の法律の枠組みでできているものをどのように扱うのか、それとの関係でこの指針はどういう位置にあるのかという位置づけをきちんとすることが最後に必要である。あるいは、逆に最初に持っていってもいい。
 せっかく現行の第4章がこうなっている以上はここに置いておいて、きちんと最後にああそうかと納得できるようにしたらどうかというのが私の今のところの意見である。これはまたいろいろ先生方にもご意見があろうかと思われる。

【事務局】
 事務局としては、今回とりあえず事務方の個別の具体的な案を説明させていただいた。今もたくさんの指摘をいただいた。できればこの後また精査していただき、部会長からあった構成の話も含めて、再度、意見を賜ればありがたい。
 一応、事務方としては、6月6日ぐらいまでに第一段の意見をいただき。またこれに反映し、次の部会にそれを反映した資料を出させていただくとともに、その前にもう一度皆さんの意見を賜って、文章を修練するというか確定させていきたいと思っている。全体的なところ、個別なところを含めて、この資料に基づいたご意見を賜りたいと思っている。

【委員】
 評価の仕方も含めて、例えばインパクトファクターの問題とか、論文の被引用件数の問題とか、そういったことに対して唯一のこの方式でやれというようなガイドラインを文科省が設定するよりは、むしろ独自性に任せることがあってもいいのではないかと思う。
 先ほどの利益相反の問題についても、例えばファンドの性格によってやり方が違うことも十分あり得るし、それをたった一つの方法で、文科省がこの方法でやりなさいと言う必要は必ずしもない。そういうものに迷う部分については、ある程度独自性を尊重するようなことにはできないか。

【委員】
 それを本文でできる限り工夫はしたいわけだが、できなければ先ほど提案があったようなハンドブックなり、解説ということで補っていきたい。二段構えで考えられるといいと思われる。
 先ほどの利害関係者の問題については、「原則として」などと半端なことを言わず、利害関係者の定義その他はそれぞれの機関なりプログラムにおいて考えなさいという、きっちりしたルールをつくるという言い方でここは済ませておいてもあるいはいいのかと思われる。
 いろいろこういう場合もあり得る、これも一つの目安だとやると、先ほどの話にもあったように現場は大混乱みたいなことになりかねない。そこは少し議論すべき問題である。
 いずれにしても画一的なやつをびしっと決めるといろいろ問題が起きる、あるいはかえってマイナスになりかねないこともある。そこは引き続き議論しながら、まだ審議の機会があるので、そのときにまたお願いしたい。

2)研究評価部会におけるワーキンググループの設置について

 「次世代放射光源計画評価作業部会」の設置について、事務局が資料4に基づいて説明し、審議を行い了承された。
 主な意見は下記のとおりである。

【委員】
 これは次世代の放射光源の大変重要な部分であり、作業部会を設置し、審議することはよいと思う。
 一つ伺いたいのだが、我が国には、第2世代のPFと第3世代のSPring-8と、二つの大型放射光がある。この二つは運営主体が異なるため、課金の有無や夏期の運用休止期間の重複等の問題が生じている。
 第4世代も重要だが、第2世代、第3世代のユーザーの問題を解決した上での第4世代、次世代と思うが、このような問題はどこで審議しているのか。

【事務局】
 放射光学会という、放射光の研究者のコミュニティーがあり、そこでも次世代放射光源を含めた放射光全体のあり方を討議している。最先端のX線自由電子レーザーのようなものだけではなく、次世代放射光源全体のあり方について、できる限り作業部会の中で検討していきたいと思っている。
 今はX線自由電子レーザーが非常に注目を浴びているが、我々もただ単に最先端のものだけをやるのではなく、今現在の施設をどう有効活用することと、用途に応じてたくさんの方が利用できるリング型のものも含めて、全体として時間をかけて検討していきたいと思っている。

【委員】
 この作業部会の中で、是非とも第2世代、第3世代の問題点もクリアにしながら先へ進むということをお願いする。

【委員】
 今度のものを具体的にオペレーションするときにどういうことに気をつけるべきだという評価の項目も、ぜひその中に入れていただきたい。
 計画そのものはこの物についての評価だけではなく、それ以外に有効活用されるかという評価項目も是非この中に入れておいていただきたい。

3)その他

 事務局より、次のとおり事務連絡が行われた。

  1. 指針改定案に関する追加意見は、6月6日(月曜日)までに、事務局に連絡する。
  2. 前回(第19回)部会の議事録(案)についての修正意見は、5月31日(火曜日)までに事務局に連絡する。その後に、議事録公開の手続を進める。
  3. 次回(第21回)の部会は、6月27日(月曜日)9時30分~12時30分に開催予定。

以上

お問合せ先

科学技術・学術政策局計画官付

(科学技術・学術政策局計画官付)