研究評価部会(第19回) 議事要旨

1.日時

平成17年4月26日(火曜日) 14時~16時

2.場所

パレスホテル会議室 3‐D号室

3.議題

  1. 部会長の選任等について
  2. 今後の研究評価部会の進め方について
  3. 「文部科学省における研究及び開発に関する評価指針」の見直しについて
  4. その他

4.出席者

委員

 石井部会長、青木委員、岩田委員、大泊委員、大森委員、北澤委員、諏訪委員、永田委員、西島委員、野田委員、花木委員、番場委員、平澤委員、元村委員、若見委員

文部科学省

科学技術・学術政策局
 植木基本計画準備室長、二村評価推進室長
研究振興局
 梶山学術企画室補佐 他

5.議事要旨

 議事に先立ち、事務局を代表して植木基本計画準備室長からご挨拶が行われた。また、各委員のご紹介が行われた。

(1)部会長の選任等について

 科学技術・学術審議会令第6条第3項の規定に基づき、委員の互選により、石井委員が部会長に選任され、同第6条第5項に基づき、岩崎委員が部会長代理に指名された。

(2)今後の研究評価部会の進め方について

 研究評価部会の進め方について、事務局が資料3に基づき説明し、了承。

(3)「文部科学省における研究及び開発に関する評価指針」の見直しについて

 評価指針の見直しのバッググラウンドについて、事務局が資料4、資料6、及び資料7に基づき説明。
 続いて、具体的な見直しの論点について、事務局が資料5に基づき説明し、意見交換が行われた。

 主な議論は下記のとおり

【委員】
 キーワードとして「研究者を励まし、優れた研究開発を積極的に見出し、伸ばし、育てる」というのはある一面はすごくわかりやすいが、逆に言うと非常にやわな研究者が伸びていく、つまり過保護ということになる。研究者にこれを強調しすぎるのはいかがなものか。
 これを入れた意図と、私のような危惧はこれまでどこかになかったのかお聞きしたい。

【事務局】
 評価の意義に関する五つの黒丸は、現行の文科省の評価指針そのままの言葉で、事務局としては既にこういう内容があったということもあるが、基本的には、評価とは良い悪いをはっきりさせるだけでなくここを変えれば良くなるという前向きな評価が重要と考えている。単に査定とか、悪いものを切るというのではなく、評価はあくまで研究内容をよりよくしていくことをサポートすることを全面に出したいということでこういう表現になっている。
 励まし、育ててあげますという話をあまり全面に出すことはよくないというご指摘もそのとおりであるが、そもそも評価がある意味「白黒をはっきりさせる」という部分があるだけでなく、その本質はよりよくやっていけるように支援するとことを明確にしたいということである。
 この方向性自身は特に問題ないと事務局は思っており、この後の具体的な内容ではやはり厳しくやるとか、外部評価をきちんとやるということで、評価自身は弾力的にはやるが、ある一定のレベルは維持しましょうということを謳っているので現実には問題がは生じにくいと思っている。

【委員】
 励まし、伸ばし、育てることと、厳しくやることは全然矛盾しないので、厳しくというのをどこかに入れておいてもらえば誤解がなくて済むだろう。
 つまり、評価の目的は何でもかんでも淘汰することではなく、個々の研究者のいろいろな多様性が活かされることも必要なわけで、切り捨てるつもりで厳しくやるという面と両方あるだろう。励まし育てるという姿勢だから甘やかすということでは絶対にないということだけは、ここで共通の認識として皆さんに持っていただいてよろしいのではないか。

【委員】
 これは非常に本質的な問題で、切り捨てないことを前提にやるのか、切り捨てる部分があることを前提にやるのか、その上に立って救い上げられるものは救い上げるというなら話はわかるが、国民の目からして研究者に一度なったら救い上げるのだという形で研究のコミュニティーがやっているのでは、研究費を得る論理が立たない。
 ここは今の話にあるような、評価というのはやはり厳しくあるのだということははっきりさせておく必要がある。その上で救い上げるべきは救いあげるということがある。
 ただし、「伸ばし、育てる」というものには二つ意味があり、一つは、評価が行われたことに対して、精神的な意味での育てる、指導するということがあるのではないか。それからもう一つは、評価のよかったものを、予算等で評価のいい人たちを育てるということになる、これもここに入っているはずである。その二つが同時にここに入っているために、非常にわかりにくくなっている。それがどちらなのかというのは、これからこの部会でもはっきりさせていかなければいけないのではないか。

【委員】
 私は今回が初めてで、これまでの議論が全くわかっておらず、ある意味で素人の質問をさせていただきたいが、最初に読んだときに「研究者を励まし」と書いてあるが、どのような研究者を励まそうということか。
 例えば独創的な研究というのは、ある意味で理解を受けない研究で、みんながよくやっているような研究と全然毛色が違っていて、普通だったら相手にもされないような研究までもしっかりと拾い上げ、その芽を伸ばすところまで含んで議論されるのかどうか、質問させていただきたい。

【事務局】
 後ほど個別の事項について議論していただくことになるが、その中でまさに独創的な研究を伸ばすことをやるべきというところが出てくる。
 ここで申し上げたいのは評価の意義である。よりいい人をさらに伸ばすこともあれば、あるレベルの人はもう少し頑張ってくださいというようこともある。いずれの場合にも基本的に評価というのは研究者を励まし、一生懸命研究してくださいと励ますことにまず意義があることを明確にしたいということ。
 この考えに基づいて、施策評価でどういうことをするのか、課題の評価でどうやったら研究者を励ますものが出てくるのかというのが個別に出てくることになる。
 繰り返しになるが、評価とは実態として「切る」ところもあると思われるが、基本的な認識はここにあるような、励ましたり伸ばすような評価を意識して、評価自身をそういう方向に持っていきましょうということを意義の中にうたっている。全体的な方向がそうであることと事務局は理解している。

【委員】
 私は研究者ではないので、違和感を覚えたところを言うと、4の「説明責任を果たし、広く国民の理解と支持を得ること」とある部分で、当然だが、この書き方で読むと、研究者と研究者を評価する人たちが一つの世界にあって、そこで決めたことを国民に理解させるために説明責任を果たしなさいという感じに読める。
 本当は多分、これは「広く国民の理解と支持を求めること」ではないか。この書きぶりでは、お金を払うタックスペイヤーは別にいて、その人たちに説明をしなければいけないというのは、つまり自分たちがお金を取るためにというような不純な感じがする。本当は得ることではなくて、求めることなのではないか。
 同様に3の「社会への影響にも配慮した」というところも、一部の人たちが国民はこれで喜ぶであろうとか、怒るであろうと勝手に想像している感じがして、素人から見ると何となく威張っている感じがするので、少し配慮をしていただきたい。

【事務局】
 ご指示の通り、「支持を得ること」というのは支持を得るべくやりますということで、やはりここは支持を求める、理解してくださいということにしたい。
 その上の「社会への影響にも配慮した」というのは、この研究開発をやることによって例えばどういうインパクトが社会にあるのか、世の中がよくなることもあるし、逆によくならないこともあるかもしれない。そういった単に科学技術的な観点だけでなく、社会との接点もよく認識した上で判断をしようということを書いている。
 今いただいた意見は、今後事務局で検討させていただきたい。

【委員】
 議論を聞きながらだんだん思い出してきたが、3年前の見直しのときに、今のような表現でいいだろうかということはやはり議論され、3年前の議論はもう少し切るための評価を何らかの形で、積極的な側面を評価に対して位置付けようではないかというのがあって、このような表現になった。
 内閣府の大綱的指針の議論の中で、やはり文科省からこういう趣旨が報告された後、研究者を甘やかすことにならないかという意見が委員から出てきた。
 内閣府の大綱的指針では「創造への挑戦を励まし、成果を問う」となる。何を励ますかというのは、単に研究者一般を励ますというよりも、もう少しきちんとした挑戦をするという人を特に励ましましょうというところに落ちついた。基本的に切るための評価システムをこれから推進するといったようなことでは、まずは話にならない。
 励ますという種類のサポーティブな評価という枠組みは重要なことだが、研究者一般を励ますよりも少し挑戦的な研究者を励ますとか、大綱的指針の今の文言を多少活かすような理念的位置付けに修正したほうがよい。

【委員】
 今の創造的挑戦と関連するが、この文言は一研究者を対象にしたり、研究機関を対象にしたり、プロジェクトを対象にしたり、広く使われている。
 プロジェクトの場合を例にとると、現在の評価の際、一番問題と思うのは、当初立てた予定あるいは研究計画に対して評価することが基本になり、研究者としては当然自分の保護のためにやや控え目な、これなら必ずできるだろうという研究計画を立ててしまう。けれども、あまり安易な研究計画だと採択にならないので、採択されるぎりぎりの確実なものにしてしまう。そういうことが創造的な挑戦の芽を自ら摘んでいることになる。
 恐らくそれを避けるためには、非常に意欲的な計画については、やった結果できなくても構わない、失敗しても構わないけれども、とにかく挑戦的な計画を立てそれをまずスタートして、あるいは研究の途中で柔軟に、フレキシブルに研究計画をいいほうに変えていく、あるいは新たな挑戦をしていくことを励ますように評価していくことがよい。
 そうでないと、当初の研究計画が内輪になり挑戦的なアイデアも出てこないので、やはり当初の計画は非常に挑戦的だが失敗をある程度認めるような評価を行う。ただし全部失敗では困るので、失敗して若干の軌道修正があっても、それがいいほうに行くのであればよしとするような評価の基準をぜひ入れていただきたい。

【委員】
 まことにそのとおりであるが、実は問題は第2、第3の論点と絡んでくる。要するに、無手勝流で何ができるのかというジレンマが常にある。
 恐らく、この論点1はこういう観点から評価をするのが理想であるから、あるいはそうするべきものであるから、それを裏付けるようなシステムなりリソースなりを求められるのだというセットとして、あるいは第2、第3の論点を充実させるための目標、モットーといった、そういうものとして考えていかないといけない。
 本当にチャレンジングな研究を見出して、少し変わった人も優れた人はきちんと評価するという目利きをまず育てるというか、見つけてきて、それをまた支援するシステムなり、それに必要なリソースを準備するようなことがないと結局、空念仏に終わってしまう。これもあわせて一緒に後で議論をお願いしたい。
 ついでだが、私は先ほど「切り捨てない」という少し語弊のある言葉を使ってしまった。研究者としてあまり優れていなくても、今、日本で科学技術を支えてくれるスタッフは非常に少ないので、その人がそちらのほうに転身しながら全体として科学技術がうまく発展できるように持っていけると非常にいいという気持ちであったが、表現を誤った。
 ほかに何かありませんか。これは研究のプロジェクトの評価が一つと、それから例えば私が先ほど最初にご挨拶で申し上げたように人を選ぶ、この人にポスドクのグラントをあげるかあげないかというときの評価とはまた違うという感じがする。そういう意味で、いろいろな局面で第1の論点は違った様相を持ってくるのではないか。
 一つだけ経験を申し上げると、学術振興会が持っているポスドクのフェローシップの中にSPDというものがある。ご存じの方もいるかと思うが、特に優れた人に非常に恵まれた待遇を与え、研究費もあげる。日本全国で1年に10人採用するわけだが、この人たちの中間評価をやることになり、せっかく優秀な研究者であるはずだからこれを伸ばすことを考え、いわゆる報告書だけではなく、討論形式のヒアリングをやりました。理工系と生命系と人文社会系の三つぐらいに分け、SPDの仲間も一緒に、こちら側からもその専門の先生方が一緒になり、ほとんど研究会のようになった。
 必要ならばその道の専門家が後で個人面談に応じますということにしたところ、半分以上の人がそれを希望してくれた。
 また、この間、ある賞の授賞式で、その受賞者の1人がこの中間評価の対象になった人であり、人文学の人だが、その人から「あのときはお世話になりました」と話しかけてきた。非常に懐かしそうに言ってくれ、あの中間評価は本人たちも嫌な思いはしなかったのだなと、実際にその人は学術振興会賞をもらい、しかも学士院の奨励賞もいただいた非常に優れた成果を上げた人。余計なことだが、そんなようなことをやってみてよかったという経験は持っている。
 ただ、すべての場合にこんなことができるわけではないが、これをどう具体的なケースに適用していくかというのはそれぞれの場面なのであろうが、文科省の評価指針を書く場合にも、これが金科玉条にならないような注意が必要という気もしている。

【委員】
 資料の3ページの右側にあるアンケート調査を見ていると、評価方法の設定及び周知で、「事前に知らせてほしいと思う項目は何ですか」ということで、一番高いのが評価基準。そして、その左にある「被評価者に周知してきた項目は何ですか」というところで、評価基準についてはそれなりに周知してきたという結果になっている。
 3ページの一番左下の評価制度の問題点を見ていると、一番上に「評価制度が曖昧で基準が確立されていない」というところについてもかなりポイントが高くなっていることを考えると、評価基準についてもう少し周知というか、知らせることが現実問題としてあるのではないか。ところが、研究評価の基準をあらかじめ知らせすぎると、今度はそれに合わせて書くのかということになると、創造的なという最初の議論に戻ってしまう。
 しかし少なくともこういう数の上で出ているのであれば、論点3になるのかもしれないが、6ページの評価結果の活用とはまたちょっと意味合いが違うのかもしれないが、なぜこれが採択されたのか、なぜこれが不採択なのかという研究者に対しての評価結果のフィードバックを積み重ねて、必ず研究者に評価結果をフィードバックして、その辺を伝えるという項目も加えたほうがいいのではないか。

【事務局】
 ご指摘の点は今後、事務局の中で議論させていただきたい。

【委員】
 評価で事前、中間、事後、追跡とあるが、研究開発のテーマのイメージは今度の第3期科学技術基本計画の「5つの戦略」の中で、基礎研究戦略とイノベーション戦略という2つのカテゴリーのことに力を入れるということである。
 先ほどから基礎研究のあたりでここら辺の評価というイメージがあったが、今度は基礎研究も2つに分けるという案を第3期科学技術基本計画では出ている。1つは自由発想研究で多様性の苗床とするというもので、いわゆるこれが一般的に言われていた基礎研究で、もう1つは特定の政策目的に基づく基礎研究、目的基礎研究ということで、この2つに分けられている。
 基礎研究の多様性の苗床というのは非常に挑戦的なことをやってもらわないと何も生まれないということで、先ほど来の議論の中に、失敗してもいいかもしれないけれども挑戦度合いを入れるのは大切である。
 あと1つ、イノベーション戦略をこのたび挙げているが、この中に論文至上主義から技術成果主義へとある。これは割と出口がはっきりしているものだから、プロジェクトを進めるときにある程度結果がわかるものを進めているはずで、それに関しては挑戦的であったかどうかというのではなくて、やはり評価においてはできたかできなかったかとか、そういうところを評価すべきである。
 先ほどから厳しくというのは厳罰主義で、何もできなかったけれども頑張ったからいいよとか、挑戦的だったからいいよというのは苗床の研究ではいいと思うが、もう一つイノベーションのあたりも意識して、そこは厳しくアウトプットを追及する、できたかできなかったかという項目もあっていいのではないか。
 特に、中間評価では基礎研究のあたりで計画どおりに進んでいるかという項目はいいのだが、イノベーション戦略にうたわれているように方向転換とか、世の中の動きに対しておくれたものや他でできたものはやめてしまうとか、そういうあたりのイメージではないか。
 文章が全部を含めて事前、中間、事後となっているのでごちゃごちゃする。少し整理したほうが議論しやすい。

【委員】
 貴重なご指摘ありがたい。私も全く同じことを考えていた。
 こうなるとだんだん細かくなる一方だが、やはりマトリックスで、研究の種類と事前、中間、事後を少なくとも念頭に置きながら文章をもう一度見直す方が良い。前回は一緒になっていたものを、あるいは一つのものしか指さなかった基礎研究という言葉を今度は二つの意味で用いるようになっているので、そこのところは細心の注意をして区分けすべきものは区分けすることが必要になってくる。

【委員】
 第2章の3ページの評価者の選任についてのところだが、具体的なアイデアがないので伺うが、3つ目に「多様な研究者が評価に参画することができるために評価者のインセンティブを与える、キャリアパスの形成支援」ということが書いてある。これは現実にはどんなことがあり得るのか。
 というのは、ある種これは論文の査読に似ているところがあって、学術論文の査読のときはどちらかというと同じぐらいの研究者がやるのでお互いさま、情けは人のためにならずと思ってやるわけだが、評価の場合は恐らく論文の査読とはレベルが違って、応募する人よりももう一段上の見地から判断できるような方になる。
 そういうときにややシニアな方だとすると、どうやってその方にインセンティブやキャリアパスを与えるのか、キャリアパスといっても既にシニアではないかとか、何かこういうアイデアがあるというのは議論されたことはあるか。

【事務局】
 文章化されているということであれば、今のところ具体的なインセンティブや、キャリアパスに関するものはない。
 我々が議論しているのは、例えば給与面での優遇の話もあるのではないか、あるいはあるポストにはこういう経験を踏んだ人が行けるようにするということなどが考えられますが、ただそれはあくまで研究機関などがどう考えるかということで、我々はそういう提案はできるかもしれないが、必ずこうすべしというのはなかなか言いにくいのが現状である。
 ただ、この部分については非常に重要なポイントと思っており、次回は今日いただいた議論をもとに評価指針の原文、案文をご提示したいと思っている。その中で、こういったものについても具体的にこういうことができると書ければ、ある程度のことは書きたいと思っている。

【委員】
 研究の経歴にきちんと書くような習慣ができ、また研究経歴としてそれを評価できるような仕組みがまずできればいい。給料をあげるかどうかはまた別の問題かもしれないが。

【委員】
 5ページ目での「優れた研究成果が期待されるものについて、事後評価を終了直前の適切な時期に行う」ということは、要するに終わる前に事後評価をやれということか。それならむしろ中間評価をきちんとやったほうがいいのではないか。
 事後評価というのは普通、プロジェクトが終わってから評価するものであり、直前ということは終わる前にやるというのがわからない。

【事務局】
 事務局で考えたのは、あるプロジェクトが一定の成果を得るのは、中間でもある程度見通しはあるかもしれないが、やはり事後、最終フェーズが一番わかりやすいだろうという考え方に立っている。例えば5年なり10年のプロジェクトがあり、5年目に評価するよりは最後の10年目がいいのではないか。
 つまり事後評価は当初の成果が得られたのか、足りないのか、あるいはもっといい成果が出たのかというのが見えるだろうから、そこら辺の時期に評価をし、ここで言いたいのは研究が切れ目なく続いていくことが重要ではないかということ。先生がいわれるとおり、もし研究プロジェクトが非常に短くて、中間評価をもってある程度見通しがあるということであれば、それも一つの方策かと思われる。
 ここで申し上げたいのは、あくまで研究が次のステップにスムーズにつなげていくということを評価の側からどういうサポートができるのかと考えたときに、1つは事後評価を活用するというのがあり得るという趣旨でここに書いている。したがって、言われるとおり中間評価でそういうことがあっても、特に問題ないと思われる。
 ただ、繰り返しになるが、中間評価はどちらかというと本来あるべき路線のまま行っていいのか、あるいはこちらに方向転換をしたほうがいいのかといったところがメインの議論になる。メインになるものということでここでは一応整理しているが、もちろん言われているようなものを排除するものではないと考えている。

【委員】
 それは制度の設計の仕方とも関係があるし、事後と言うか中間と言うか、という表現で解決してしまう問題もある。
 要するに、ここで言いたいことは、切れ目なく次のファンディングが受けられるようにうまくやりましょうというところに主眼がある。なるべく評価を早くやって、科研費の場合で言えば、基盤研究Aから次のSにステップアップできるようにというのは要望が非常に多いし、みんなはシステムとしてはいろいろ考えているわけで、表現としては概念矛盾になってしまっている。年度が終わりもしないのに事後評価というのは変ではないかということにもなりかねない。
 今まで科研費は、比較的少額のものについては事後評価をやらないということでずっと来ている。それはステップアップする、例えばCからBに行く、BからAに行くときに、前より下の少額の研究成果が評価されると、やはりBの申請をするときに非常に高く評価されるということで、Bの事前評価がCの事後評価になっているという理論構成で今まで進んできている。
 ここに事後評価をぽんと入れ込もうとすると、さっき言ったうまくスムーズに次につなげていくべきだという思想と概念、あるいは言葉の使い方との間にずれが出てくるので、そこをどう書くのかというのが悩ましいが、注意を要する問題になってくるだろう。今、その問題をご指摘いただいたと感じている。
 今ご指摘の問題をもうちょっと一般化すると、5ページの論点3で「評価の目的」という言葉が使われている。評価の目的はまさにあり、それは直接的な目的である。
 ところが、その評価が目的を超えて別の観点から使われるとか、あるいは別の効果をもたらすとか、別の機能を持つことももう一つ考えておかなければならない。つまり、この目的で評価をすると制度設計をするが、その評価は別のところから見て非常にいい評価であれば使われる。
 今の科研費の場合でいえば、事前審査であるが前の研究の事後評価になっているという、目的をもうちょっと広めに、少なくとも直接の目的と違う効果とか機能も念頭に置いて問題を整理していく必要がある。今、たまたま終了前の事後評価というところにそれがあらわれている。

【委員】
 論点2ないし3のところでは、今まで研究開発は一色で考えて、研究開発というカテゴリーに対してどのような評価手法等を考えたらいいかという段階だったが、認識が深まってきて、研究開発のカテゴリーに応じて評価方法等を変えていかなければいけないことが、この3年のうちに随分認識されてきたので、論点2ないし3のところでは「研究開発カテゴリーの多様性に応じて」というぐらいの感じで書いて、後ろのほうにもう少し具体的にどういうカテゴリーならばどういう種類とかいったような話をつけるといいのではないか。
 先ほどご説明いただいた資料7の中間とりまとめにも、最初に科学技術の投資戦略として、ここでは大きい項目で五つのカテゴリーがある。それぞれを想定してみても、評価のあり方は全然違う。しかもこういうカテゴリーを立てて、それぞれを推進しようということになってきていること自体、文科省の施策が随分進んだのではないか。それと平仄を合わせるのがいいのではないか。
 もう一つつけ加えると、これは後のほうの議論に出てくるのかもしれないが、通常我々は研究開発投資型の施策のみ頭に置いてしまうが、例えば投資型にしても、SPring-8みたいに基盤投資でそれができたかどうかが問題というよりも、その後それがどういうふうに使われているかという、運用の中で成果がどういうふうに上がったかということがより重要になる。こういうものはいわゆる研究開発課題に対する投資とは違うことになる。
 それから、研究開発制度を誘導していくようなインセンティブ型のものもある。これはまた評価の仕方が全然違う。
 今のようなカテゴリーは研究開発に関連しているが、施策のカテゴリーが違うと、それなりの評価方法をまた整理しなければいけない。こういうさらに発展した議論があるだろう。また後でその辺を考慮していただきたい。

【委員】
 この場で指摘することが妥当かどうかよくわからないが、第3期科学技術基本計画の「5つの戦略」を拝見して多少違和感を覚えたのは、ご存じのように国の財政は非常に逼迫していて、もうしばらくすると赤字国家、それも世界の最貧国に転落するのではないかという懸念を私は持っている。
 そういう視点で見たとき、例えば2番目の基礎研究戦略は、国立大学の運営費交付金とか私学助成の基盤的経費をしっかり確保した上で、かつ競争的資金が拡充するというお話が出てきた。ここには財政への貢献はあまり考えられていないような気がするのが一つ。
 それから、人材戦略に関しては、最近非常に悪しき成果主義がはびこっているために、以前に北澤先生もネーチャー・サイエンス病ということを書いておられたが、そういう種類の悪しき成果主義がいろいろな研究機関の懐を非常に浅くしている。そして若手研究者、特にポスドクの使い捨て現象が起こってきている。そういう問題に対する抜本的な取組が本当に考慮されているのかという疑問がある。
 4番目の基幹技術戦略について、ここに出てくる地球規模の総合観測・監視システムとか、宇宙輸送システムの前に今、日本の基幹産業群は全部凋落傾向にある。この10年間、輸出競争力を非常に失ってきている。それこそが基幹技術ではないかと私は思うが、宇宙環境をつくるとか、地球シミュレーターをつくるという話はこういう背景というか、これを推進したいという母体がありそこからの要求がここに乗っかってきている。本来、最も重要な、国はどうやって生きていくのかという戦略を欠いている。これをこの場で申し上げるのが妥当かどうかわかりませんが。

【事務局】
 やや言いわけがましいことを申し上げて恐縮だが、中間とりまとめはオールジャパンでどうかという審議会の報告書だが、第3期科学技術基本計画の「5つの戦略」は文科省が重要だということで言っている資料である。
 そういった意味で、おっしゃるような視点は全く考慮されていないわけではないが、あくまで文部科学省として重要と考えている事項を打ち出している、そういうペーパーだとご理解いただきたい。
 多分、実際にこれが採用されて、第3期でこういうことをやりましょうとなったときに、当然言われたような視点の議論は出てくると思われる。勿論その前に総合科学技術会議でこれがどのように取り扱われるかという議論もある。その中でしかるべく整理されると思っている。

【委員】
 文部科学省の評価というのはあるのか。

【事務局】
 役所自身の評価はないが、役所がおこなう政策の評価は政策評価法に基づいて行われている。

【委員】
 今の観点は、実は文科省の制度というのは既存の制度がずっと続いており、その見直しをどこかでやらないといけない。確かに委員が言われたように、例えばエレクトロニクスとか情報の新しい分野は、国が生きていくには非常に重要な工学の分野になっているが、例えば文科省にはそれを受ける課がないといったことが生じている。あるいはこれから環境が非常に重要で、科学とか技術の基本としてやっていかなければいけないと言われている面もあるが、それを受ける課が文科省にはない。
 そういったことになっていることも事実なので、今の発言は、我々としても既存の制度の中で評価しているときの評価の最適化を担わされてやっているは、そのときにどうしても制度で問題になってきてしまうところを拾い上げられないようなことがあるので、そういったことをどこかに書きとめておいていただきたい。

【委員】
 それは総務省が行う政策評価という全く別のカテゴリーとしてある。総合科学技術会議がその辺はグリップしているはず。これが要するに方々の省庁のプレゼンスを競う場になっており、あそこがうまくやってくれるかどうかということが非常に大きなポイントになる。
 またそれとは別に、もうちょっと中長期的にその問題を考えていくことが期待される機関としての学術会議がある。これは総合科学技術会議と車の両輪と言われているが、内閣に所属する機関として20期から姿を変えていくことになっている。それに期待したいというのが一つ。総合科学技術会議がもっと機能するようになるとよいと考える。
 もう一つは、大変難しいが、科学技術に関して、文部科学省は設置法で各省をとりまとめる機能を果たすはず。だからこそ、振興調整費などは文部科学省が配分することになっている。
 つまり大筋は総合科学技術会議が決めるが、その方針に従って文部科学省が配分を行うという仕組みになっている。これが制度的に文科省が唯一持っている、科学技術に関する他省庁よりちょっと上の位置にある証しだろうと思う。文部科学省としても、そういう機能をもうちょっと発揮してもよいのではないか。
 ただ、担当課がないとどういうことになるのかよくわからないが、その辺は文部科学省に対する施策の評価として厳しく問われるべきものなのかもしれない。もしかすると、持っている権能を十分発揮する仕組みになっていないのはおかしいのではないかという論理構成になるのかもしれない。
 いずれにしても、先ほど委員の言われた科学技術基本計画に関することはここの部会を少し超える問題ではないかという気がする。

【委員】
 この3年間の我が国の評価の進展の中で、今ご指摘のポイントは非常に重要ではないか。
 それは研究開発独法にしても、独法内部の評価はやるが、独法間でどういう連携をしてより大きな課題に取り組むかという種類の話を議論する場が設定されていないということ。もちろん総合政策は内閣府の総合科学技術会議で議論はされるが、その総体として考えてみると、評価のシステム自身がどんどん区分けされて、個別化されていっている。それをもう一度より大きな視点から評価する部分を仕組みとして復活させないとまずいだろうというのは、多くの方が指摘している点ではないかと思われる。
 少なくとも文科省全体で評価するときに、文科省全体の総合的な視点で、本来ならば政策評価法に見合った政策評価、総合評価が行われないといけないが、今はまだ十分とはいえない。是非この辺を頑張るようにすべき。

【委員】
 どこということではないが、基礎研究の部分を二つに分けて自由な発想の部分と政策的な部分としているが、私自身、2期目を迎え中間評価もやった経験からすると、最初にこれをどういう基準で採択したのかということで、採択した評価者と中間評価者が違ったりする。私は、やはり研究者の自由な発想に基づく研究であるという最初のスタートラインに両方が合意をとっているかどうかということが重要だと思うが、これが研究者の自由な発想に基づく研究であると言い切れるのかどうか。
 それから、自由な発想に基づく研究についても、新しい知を生み続けて、知的蓄積と言っているが、この知的蓄積は何を出しているかということがある。もしこれが知的財産ということであれば、産業界に役立つものが知的財産だという定義もまた一方ではある。
 そのため、一番最初の研究者の自由な発想に基づく研究というスタートラインがとても重要だという気がする。この2つについては、かなり明確な区分が可能と今の時点で思っているのかどうかをお聞きしたい。

【事務局】
 この整理は現在は文部科学省の考えであり、我々としては言われたように自由発想と政策目的に基づいた基礎研究は十分分離し得ると考えており、評価もその視点からの評価があると思っている。
 この知的蓄積というのは、言われるようにいわゆる知的財産につながるようなものと、人類の知的好奇心を満たすようなものという形になってくると思っている。

【委員】
 研究者の自由な発想に基づく研究であるものと政策目的に基づいた研究であるものと、それは自己申告的な意味合いが強いのか。それとも、そうではなくて初めからこれは基礎に申し込んで、これは何にすると、どういうところで最初の線引きをするのか。最初の段階でもう分かれているのか。

【事務局】
 そこは基本的には制度設計の中で規定されると考えている。基本的にはこのファンドは自由発想に基づく研究、こちらは政策目的に基づく研究であるということは決まっている。具体的に言うと、科研費とJSTの戦略ということになってくる。

【委員】
 評価で難しいのは、やはり基礎研究で将来何を生むかわからないというところの研究がまざってくるからだが、それはひょっとすると10パーセント、5パーセントもないのではないかと思われる。残りのロードマップをかけるような研究とか、出口を目指す研究は、専門家が見たらほぼ間違いなくいい研究かどうかは判断できる。
 なので、残りの5パーセントか1パーセントかわからないが、将来何を生むかわからないところをいかに評価するかが難しいだけで、ほかのところはPDかPOを訓練したらきちんと評価できる。

【委員】
 全般的な印象からいうと、非常に進歩して、事務局は随分いろいろな点で考えを深めたとの印象を持っている。
 ただし、課題は残っている。例えば15ページで、第2フェーズをどのように設計してそれを評価していくかというところの評価法のあり方はかなり難しい話になる。こういうところの議論をもうちょっと深めたらどうか。
 それから、この図の中で左から右へつないでいくときに、一気に第3フェーズの出口になるのではなくて、成果を育てていく環境とか制度を運用する中で出口につなげていくというインセンティブ型の政策を展開することになる。そういう発想ももう1つあり得るのではないか。
 なので、研究開発だけで最後まで云々というよりも、出口につなげるところ、後半部分といったほうがいいのか、それはかなり質の違うものを組み合わせないと結局はつながらない。
 某省は技術開発はできたが、それが使われないで終わってしまうということが従来は多かったわけだが、こういう弊害を除くために、つなげるための仕組みを考えていくことは文科省の中でもあり得るのではないか。

【委員】
 ちょっと伺いたいのだが、15ページに拡大してある図は資金の制度の設計図みたいである。つまり、今あるのがこうだという整理をしただけではなくて、これも欲しいとか、いろいろある。それは施策の評価ではあるのかもしれないが、評価のやり方の問題ではなくて、現状認識として前提になるものでしかない。これを見ながら、どのフェーズのもの、あるいはどういう種類のものはどういう評価の仕方が必要かということを考えるための素材だと理解してよいか。

【事務局】
 その通り。本来だと、14ページの小さな絵がまさにフェーズ論としての明確な絵だが、これでは実際にどういうものが該当するのか、どういうファンディングが想定されるのかというのがわかりにくいと思い、15ページにあるような資料にした。
 科研費みたいなものはここのフェーズであるとか、JSTの戦略はここに入るということをご説明させていただければ、ある程度イメージがわきやすいという趣旨で出している。特にこれに引きずられる話ではない。

【委員】
 そこで18ページに行くと、いろいろこうあるべきではないかと書いてあるが、今問題になっている15ページの図のようなさまざまなものを一つひとつ区別しながら書いているものなのかどうか。競争的資金を全部まとめて書いているような印象もあり、ここのところはどういう関係にあるのか。

【事務局】
 論点6-5はいわゆる競争的資金についての一般的・共通的な論点を整理したもの。つまり、プロジェクトで行われるもの、あるいはフェーズによって違うものは論点6-1から6-4までに書いている。そのうち特に競争的資金と言われるものについては、論点6-5にあるような視点をさらに加味するなり配慮していくことになるという考え方である。

【委員】
 競争的資金にも15ページの左側のものもあれば、右側のものもあると。

【事務局】
 そのとおりである。

【委員】
 その辺の区別は、今のところ18ページでは一応しないで、競争的資金というくくりで問題点を指摘しており、そこはこれからもっと詰めていかなければならないということか。

【事務局】
 そのとおりである。

【委員】
 「地位や肩書によらない」とか「経歴や業績重視」とか、似たような言葉だけれども実は違うものを考えているのか、あるいは方々からいろいろな球が飛んでくるから、すり抜けるために言葉を慎重に選んでいるのだろうとは思われるが、例えば科研費の関係者が見るとちょっと気に入らないという表現もないではない。
 いわゆる覆面審査、つまり覆面して審査を受けることである。だから、業績も論文も一切書かないで、研究計画だけにするという主張があるが、それでフィージビリティーなどがどうやってはかれるのかという反論があって、ここは議論が難しい。そういうところまで踏み込もうとしているのか。

【事務局】
 個別の競争的資金ではいろいろあると思うが、やはりここに書いてあるような内容を踏まえて、例えば審査とか選択の仕方をやっていただきたいという趣旨である。
 これはあくまで事務局が考えた案で、これから文書にしていく中で当然内部部局の競争的資金を所管している課に相談していくことになると思うが、今のところは競争的資金であればここに書いてあるような内容を評価及び評価に関連する事項として、今後重点的にやってほしいというのがこのペーパーにあらわれている。

【委員】
 業績重視とか肩書に左右されるということと計画の実施能力というのは、肩書は関係ないと思われるが、この人は今までどういう論文を書いていて、どのぐらいのレベルの仕事をしているのかということが、計画のフィージビリティーに決定的にかかわってくる。そうすると、ここで書かれていることは必ずしも対立関係にあるものではない、次元の違う話かもしれない。この辺は問題かなという気がする。
 それから、すべての競争的資金に外国人を入れるべきとか、できれば入れたほうがいいとかいうこともなかなか難しいと思われる。例えば人事などでは非常に有効だと思われるし、あるいは論文を採択するときにレフェリーに入れることは非常にいいと思われるが、そういう形で国際化した評価が論文や人事等においてなされた、それを前提にして競争的資金の審査が行われるということならば、間接的には国際化していることになる。
 いきなり競争的資金制度における評価にこういうものをぼんと放り込むことが今の段階で適切かどうかというのは、まだ議論の余地はある。

【委員】
 私もまさにそうだと思っている。例えば若い人でまだ実績のない人たちをどうやって拾い上げるかとか、そういうことを考えるとこういう表現が出てくる。そうすると、今度はそれだけを考えてやるような形で全部資金を配るべきだということにはならないので、本当は多様性があったほうがいい。
 例えば科研費の萌芽的研究の一部は名前を書かずに申請するとか、そういった点もないわけではない。その意味で、多様なことをやってみてそれで一番効果があった、今度は制度そのものを評価するということで、いろいろな多様性を試していけるような評価システムはいいのではないか。

【委員】
 実験あるいは試行を積み重ねてよりよいものへ持っていくという書き方だったら、大方のコンセンサスは多分得られるだろうし、逆に受け入れられやすいだろう。

【委員】
 説明を聞いているうちにこんがらかってきたので教えていただきたい。この指針の目的は、研究とか開発にある程度の国費を投じて、それに見合ったパフォーマンスが期待できるというようなことのために使われるものと考えていいのか。

【事務局】
 その通りである。

【委員】
 例えば13ページの研究者等の業績についての項目で、「アウトリーチ活動等の適切な評価などが行われることが期待される」とある意味は、その研究者が研究のパフォーマンスが悪くても社会活動をきちんとやっていれば、それなりに評価してあげなさいという意味か。

【事務局】
 研究者の評価の視点としてこういうアウトリーチ活動も含めてはどうかということであり、当然まず成果を上げてもらうのが前提である。
 ただ、それだけではなくて、自分の成果をきちんと社会にも還元しているという点を研究者個人の評価の一つの項目として使ってみてはどうかということである。

【委員】
 こういう考え方には大賛成だが、この指針の中に盛り込むべき話かどうなのかというのがよくわからない。別のカテゴリーというか、別の部分でこの人は評価されていればいいので、評価指針の中に入れる話なのかというのは迷うところ。

【委員】
 二つ質問したいが、一つはちょっと大きめの話で、一つは細かい話。
 まず、大きめの話は、15ページに関しては、やはり第1フェーズから第2フェーズ、第3フェーズにつながっていく研究をしなさいというふうな感じを何となく受けている。そうすると、先ほどもご質問があったかもしれないが、例えば第1フェーズで非常に基礎的な研究をやる場合にも、必ずその人が第2フェーズに移ることを意識しながら、実は本当に基礎の結果が出ないような研究をやっている方を評価しなければいけないということが暗に示されているということか。
 そして第2フェーズの研究の方は、最終的には第3フェーズに移るような志向の研究をしていることを評価していくことを暗にやらなければいけないのか。
 なぜかというと、実は1個1個のフェーズをばらばらにやって、それを横につなげる団子のくしみたいな研究が今はここにないので、そのつながりをどう考えていくのかということを質問したい。
 2点目の小さな質問は、13ページの研究者等の業績についての「人事システムの徹底、女性研究者、若手外国人の能力や」というところで、よく男女参画などでいうと、女性研究者等込みで若手研究者と書いてある。なぜここに若手研究者と書かずに、若手外国人と書いたのかということをご質問したい。

【事務局】
 まず簡単なほうからいくと、正直に言ってあまり深い意味はない。女性研究者と外国人云々というのは、大綱的指針に書いてあった記述と記憶している。一応、最後の「等」ということで読みたいと思うが、深い意味はない。
 最初の質問だが、例えば特定の政策目的に基づく基礎研究が必ず第1フェーズから第2フェーズに入らなければいけないかというと、成果としては次につながっていけばいいかと思うが、その研究が必ずその次に移行されなければならない、次につながらなければいけないかというと、それはファンディングの形態にもよるし、制度設計にもよるかと思う。
 例えばここに書いてあるような戦略みたいなものは、すべて右のほうに行かなければいけないかというと、志向としては右に行くものを将来的には考えているのだろうが、それは長短あって、もっと時間がかかるもの、あるいはさっと行くようなものもいろいろあっていいのではないかと思っている。
 ただ、大事なことは、ある政策目的に基づいた基礎研究をやって、その政策目的に対してこの研究が適切に行われているかどうかの評価をする必要があるということである。実際にはあるものは次に行くし、あるものは残る。
 実はこの資料で言いたかったことは、評価とは違うが、まさに真ん中辺をつなぐファンドや制度が不足しているのではないかということ。それを説明するための資料であり、もしそれがそのとおりだとすれば、評価のサイドから見れば第1、第2、第3フェーズごとに評価の視点は当然変わってくるべきであろうとの認識の下、今回の論点6-3を整理した。
 もともとこの整理がどうなるかによって、当然評価も変わってくるものであり、これはあくまで現段階の考え方とご理解いただきたい。

【委員】
 全体としては、各テーマのフェーズとかステージの評価に関する仕組みづくりを変えましょうということをやられるということはよい。
 ただ、ちょっと気になるのは、例えば5ページに出典が内閣府のアンケート結果がある。評価活用方法の明示について、中間評価結果の反映と、それぞれ項目ごとにあるが、基礎研究からかなりステージが進んだものまでグロスでやられている。
 でも、この会議ではそれぞれのテーマのフェーズとかステージによって評価の仕方を変えましょうというのであれば、最初はグロスでそこから細かいところで分類して、それぞれ仕組みをつくりましょうというのとギャップがある。その辺がちょっと気になる。
 それから、中間評価では、例えば6ページの上から二つ目の丸で、中間評価では進捗度の点検と目標管理、継続、中止、方向転換があるというのはいいと思うが、私は実際に若手研究者の事後評価をやったときに、事後評価だけだが、その人が中間評価の結果をもらったのがテーマ完了の半年ぐらい前で、そこから方向転換しようとしても、もう期間がない。
 なので、こういう目標でやりましょうというのはいいが、実際に具体的に仕組みをつくるときに、今の矛盾はこういうアンケートのとり方によっては出てこないものもあるし、出てくるものもあるし、その辺は考えたほうがいいのではないか。

【委員】
 研究評価のいろいろな問題が全部今日出ている資料に出てしまっているので、この部会でとりまとめる評価指針の中の範囲というか、どこまで盛り込むべきなのかを一度整理してみないといけないのではないか。その辺が各委員が指摘しているところという気もしている。

【事務局】
 この議論が終わった後に次回以降のお話をしたいと思っている。今、事務局としては、次回評価指針の素案を出させていただき、それに対して義論いただきたいと考えている。
 その際には、今日いただいた議論をなるべく反映したいと考えている。ただ、言われるとおり、フェーズとして指針になじむものとなじまないものがきっとあると思われ、そこは事務方で整理して提示させていただきたい。例えばこの部分はもっと書き込んだほうがいいとか、こういう視点ではなくこういうことをもっと入れるべしというご議論をいただいて、指針としてまとめるべきものを明確化させていただければと思っている。
 本日は、あくまで問題点、こういうことを入れればいいのではないかということを踏まえたいろいろなご意見をいただいたと認識している。

【委員】
 問題点を考えるその前提までいろいろ入っているので、実際に指針にまとめ上げるときには、少なくともまた別のフィルターがかからざるを得ないと思っている。
 大変恐縮だが、本日はここで打ち切らせていただきたい。

(4)その他

 前回の部会の議事録については、公開の手続を進める。また、次回の部会は、5月24日(火曜日)の14時から16時に予定している旨の案内があった。

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科学技術・学術政策局計画官付

(科学技術・学術政策局計画官付)