研究評価部会(第16回) 議事要旨

1.日時

平成16年9月14日(火曜日) 10時~12時25分

2.場所

如水会館 2階 「オリオンルーム」

3.議題

  1. 平成16年度科学技術振興調整費の中間・事後評価の進め方について
  2. 「文部科学省における研究及び開発に関する評価指針」のフォローアップ活動について
  3. その他

4.出席者

委員

 石井部会長、石井委員、加藤委員、北澤委員、国武委員、島崎委員、丹治委員、永田委員、中村委員、西島委員、古市委員、宮崎委員、元村委員、柳川委員、若見委員

文部科学省

科学技術・学術政策局
 川端計画官、内丸評価推進室長、増子科学技術振興調整費室長、高岸科学技術振興調整費室長補佐、國井専門職

オブザーバー

調査協力者
 馬場助教授(法政大学)

5.議事要旨

「平成16年度科学技術振興調整費の中間・事後評価の進め方について」に関して、資料1-1から資料1-4に基づき事務局より説明を行った後、質疑応答に入った。

委員
 評価委員の経験から申し上げると、資料1-2の1ページの下部に非常に重要なことが書いてある。ここは評価の目的に関して重要な部分であり、お伺いしたい。例えば科学技術に関する我が国の施策等に幅広く反映させると書いてある。また、3ページ下部7.評価結果の取扱いについて、この評価結果の反映と部会への報告について記載している。
 中間評価に関しては、課題そのものの進め方に関して、直接的に評価を反映させる方法が非常に見えやすい。ところが、事後評価は研究が終わってから事業評価を行うので、評価結果の生かされ方が明らかかでない。評価に関しいつも疑問に感じることだが、時間とエネルギーを費やして評価を行った結果が、有効に使われているのであろうか。それがここに書いてあるように、我が国の科学技術に関する施策に本当に幅広く反映されているのだろうかが疑問である。
 これに関して、どういう仕組み或いは組織で、或いはどのような道筋で評価が生かされ、評価結果が今後の施策に効果的に反映されるのかお聞きしたい。

事務局
 科学技術振興調整費については、総合科学技術会議の基本的な方針を踏まえて文部科学省が運用することになっている。毎年、概算要求前に概算要求の方針、それから募集する前に基本的考え方が示される。また、総合科学技術会議がプログラム自体の中間・事後評価をやることになっている。そういう意味で、それぞれの課題の評価は文部科学省がやっているが、総合科学技術会議はその評価結果をプログラム自体の評価につなげていくことが一つある。
 また、科学技術振興調整費の意義として、第2期科学技術基本計画の重要な課題をプログラムとして受けている。例えば、科学技術システム改革の重要性にかんがみて戦略的研究拠点の育成、いわゆるスーパーCOEの実施、産学官連携を促進するためのマッチングファンド制度の導入である。
 今回の概算要求は第2期基本計画の最終年度のものであり、そういう面から1回集約し、第3期の基本計画の政策に対して科学技術振興調整費のアウトプット、アウトカムがどうなっているのかを踏まえて、これから総合科学技術会議と議論するというスキームがまず一つある。
 もう一つは、委員ご発言のようにせっかく評価したのに次の年の募集にちゃんとつながっているのかどうかということである。例を挙げれば、昨年人材養成において、それぞれ課題をしっかりやっているが、カリキュラムがしっかりできていないということがあった。カリキュラムが募集のときにちゃんと明確になっているのかというと、実は募集の段階でカリキュラムまでしっかり求めていなかった。このため、16年度の公募・審査の段階から、人材養成の提案課題についてカリキュラムをしっかり見ることも、評価の段階で問題になったワーキンググループで集約された意見として反映させている。
 個別の評価に関しては、研究内容については審査の段階で明確化されているが、研究の目標等が募集要領にしっかり出されていないということから、ターゲットがわかりづらい課題ばかりで評価しづらかったという意見もあった。16年度の募集からは、研究内容だけではなく研究目標、ターゲットも必ず記入する等、評価の時に出た意見を審査にかなり反映させた形にしている。

委員
 ただいまの質問と回答は、大変重要なポイントを突いていると思われる。質問が出たから回答するということではなく、我々が評価し、それをいろいろ報告した結果どうなったのかというエコーを、よりシステマティックにこの委員会で改めて報告するというタイムスケジュールを入れていただきたい。どこに入れるのが一番良いかは不明であるが、またいろいろ議論いただきたい。
 本委員会の年々歳々のサイクルの中に構造的に踏み込められる工夫を、事務局にまず提案していただきたい。

委員
 審査部会があるということであるが、こちらの評価部会と審査部会とは人的には交流があるのか。相互に移動した例があれば教えていただきたい。

事務局
 実際にメンバー的には完全に分かれている。ただ、研究計画・評価分科会の下に評価部会と審査部会を設置しているので、分科会レベルでは合流するような形になっているが、より意見交換ができやすいような環境も考えていかなければいけない。
 接点になるのは、ある意味では事務局しかいないので、先生方がお互いに意見を交換していただく機会もシステマティックに導入する必要性も今後あろうかと思われる。また、ご相談させていただきたい。

委員
 委員は、プログラムディレクター(PD)としてこれにはタッチしておられないのか。

委員
 JSTとして委託を受けており、JSTの業務には参加している。

委員
 科学技術振興調整費のPDは井村先生だと聞いている。

委員
 科学技術振興調整費のPDは、前総合科学技術会議議員の井村先生である。そのもとにプログラムオフィサー(PO)約30名がおり、科学技術振興調整費をどういうふうにするかということに関しては、PD・PO会議で主体的に決めていただいている。

委員
 この委員会のメンバーは非常にはっきり分かれている。それぞれがそれぞれの立場できちんと仕事をするということになっているが、独立してやったというだけでは問題ないかという疑問もあろう。先ほどの事務局の発言も含めて、よろしくお願いしたい。

委員
 先ほどの委員の質問で、科学技術振興調整費室長の答えは、主には文部科学省のこういう研究費を設定する側へのフィードバックであり、今後それを取り入れて改良していこうということであるが、これを実施した研究者なり研究グループへのフィードバックは欠けていると思われる。それをどうするのか。

事務局
 まず一つは、当然、評価結果は研究代表者に伝える。昨年PO制度を導入したことで、きめ細かい評価結果が反映できた。
 評価結果を予算、資源配分にどう反映させるかという点については、相当悪い評価を得た人については減少させた場合と、下げたために余計に成果が出なくなってしまったこともあり、逆に増加した場合もある。
 打率が悪いという話が出たが、成果が出なかった人の取扱いは評価結果を踏まえて資源配分に適切に反映させていただいている。

委員
 中間評価の場合はそれができる。事後評価の場合はどうか。

事務局
 事後評価の場合も最近は研究成果のデータベース、つまり採用された先生方の結果も総合科学技術会議が中心となってデータベース化されている。
 一つの目的は重複排除であったが、現在、最終的に成果が非常に出た先生或いは出なかった先生も明確にわかる仕組みになるようなシステムが導入されつつある。例えば、打率が悪かった先生が他の競争的資金に手を挙げた場合、調整費で打率が非常に低かったことをどうとらえるかはそれぞれの競争的資金の審査・評価のやり方により決まるが、そういうものに反映できるような仕組みが導入されつつある。

委員
 評価をする、受けるという点では、これをどのようにするかが一番難しいところになると思われる。その評価を前に、将来に向けて刺激になるような形にしなければいけないだろう。難しいことである。

委員
 今の委員ご発言の関係で、委員と経済産業研究所の研究評価をどうするのかということを一緒にやっている。
 事後評価の段階ではまだ結果が出ていないが、5年、10年経過後に実はその結果が意外な結びつきによってインパクトを与えたものになる可能性を持つ研究がある、評価なので打率の高くなかった研究者にはそれを示す必要はあるが、あまり厳しくやってしまうと長期で成果が出てくる研究について切ることになる。評価を見える形にしないと次の予算がつかない。本当はもう少し長くこういうことをやりたいというところに与える影響も少し加味して、評価することが必要かなということを感じた。
 この事後評価の評価項目についてはこれで良いと思われる。
 これら評価に関して、ベストプラクティスの共有をどのような形で実現するのか、他の研究機関であるとか、現在中間評価を行っている機関について、文部科学省の中だけではなくどう共有していくのかが重要と考える。
 うまくいった点、うまくいかなかった点について、こういう連絡体制をやったから実は成果が出たとか、こういう研究体制で進めていったからよかったとか、こういうリーダーシップを発揮したから結果的によかったとか、これが足りなかったからうまくいかなかったとか等、研究を立ち上げたばかりのところや中間的な折り返し地点に来ているところに対して共有できるような形になれば、中間評価が次の事後評価のときまで生きてくる。また、事後評価をやる意味がそこでさらに出てくるのではないかと考えられる、ベストプラクティスの共有に関してもシステム的に考える必要があるのではないか。

委員
 中間評価と事後評価は大変重要なポイントだと思われる。さらに、事後評価をその後にどういうふうに結びつけていくのか、その辺の構造化もまた重要である。
 事後評価の時点でプロジェクトが必ずしもうまくいっていない場合、いかに長期的観点から評価して、次のファンディングに反映させるか、これは一番難しい話だと思われる。
 今の経済産業研究所は、基本的には部内のお金をどう配分するかという組織の問題になっている。競争的資金で公募する場合と、同一には論じられない部分もあるであろう。
 それぞれのプログラムにおけるファンディングの見識とポリシーの問題かと思われるが、それだけに一層相互の情報交換なり、評価によって得られた知見の効果、情報の流通が大事であろう。
 さっき話題となった、総合科学技術会議がつくっているデータベースは、各省庁もアクセス可能になっているのか。

事務局
 各省庁に統一的な基準を示しており、各省庁が同一フォーマットでデータベースにインプットし、総合科学技術会議が束ねるという仕組みが動きつつある。最終的には、各省庁が引き出せるような形になる。

委員
 では、相互に引き出せるのか。

事務局
 一応相互に使えるような形になっている。

委員
 例えば科学技術振興調整費の評価のデータベースがあり、それを科学研究費補助金の評価を行っている方も見られる。それをどう使うかは、科学研究費補助金の方のポリシーということか。

事務局
 そういうことである。

委員
 そういうことがおいおい整っていけば、少なくとも条件は整っていくであろう。それぞれのポリシーあるいはそれぞれのプログラムの中での判断が非常に難しいというか、議論の中心的問題になるかもしれない。

委員
 今の議論で、2年程度前話題になったことがある。出席している委員の方で、自分で研究をしておられる方は、行政側との間に基本的に若干の意識のずれがあることを、私も含めて感じているであろう。
 どういうずれかというと、今の競争的研究資金は当たるも八卦当たらぬも八卦的な部分があり、全員に当たるわけではない。したがって、競争的研究資金に関していえば当たらない年が出てくる。
 平均的に見た場合、科学研究費補助金で3分の1から4分の1の人しか当たらない。JSTの競争的研究資金では大体10~30倍であるため、実力だけではなくラッキーでなければ当たらないという状況になっている。そのため、事後評価においてたとえ評価がよくてもその翌年は当たらないかもしれない、或いはむしろ当たらない確率のほうが多いのが大半であるという状況になっている。
 したがって、今の質問に関する一番本質的な部分は、研究資金は評価によって決まっていくのか、それとも宝くじによって決まっていくのかという差にあるということである。
 日本の場合、研究のプロジェクトはたとえ評価がよくても、行政的にいった場合、もう3年間ないしは5年間続いたのだから、今度は他の人にかわってもらったらというセンスである。翌年研究費が来なかったら、研究は進められなくなってしまう。その意味で、これは非常に本質的な問題である。
 研究費はそのグループのことを考え、評価がよければ研究費を増額し、評価が悪ければ研究費を減額するということで考えていくのか、それとも評価のいいところはその後当たる確率が大きくなるという確率論的にいくのか、結局その差であろう。委員は一番そこを問題にしたのではないか。
 評価制度を研究グループがどういう具合に消長をたどるのかを評価するのか、それとも当たるも八卦当たらぬも八卦の確率を変えるという形で評価を生かしていくのかという本質的な差だと思われる。

委員
 研究評価の基本的態度について、研究評価の結果を制度に盛り込んでフィードバックするのは確かに良いと思われる。個人に対して、我々はどのような基本的考えが必要かとずっと考えていた。優しい親であった方が良いのではないかと。息子のできがよければよかったねと言い、悪くても頑張ったねと言う。
 少なくとも競争を通過してきていること、それにはアイデアがあったわけであり、いくら厳しい親になってもそれを後へつなげ、それをしかって次の競争的資金の配分に当たるか当たらないかに影響を与えるということではないのではないか
 評価は、ここにいる評価委員や審査の方だけではなくて、学内なり研究所なり、或いはいろいろなところに論文を発表したり特許を出したりという中でやってきているわけである、仮に悪くてもよく頑張ったねという優しい基本的な心情でいるべきではないのか、それしかないのではないかと思われる。

委員
 ますます問題は難しくなった。恐らく、問題は競争的資金内部だけでは十分解決できないのではないかと思われる。つまり、競争的資金がもう少し潤沢にあり、例えば科学研究費補助金も採択率が3分の1、30%を超えるぐらいだと良いのだが、現在のところ20%少ししかない。つまり、5人に1人しか回ってこない、当たらないというまさに宝くじ的な状況にある。
 これは、いわば猛烈に混んでいる終戦後の電車であり、とにかくみんなが殺到している。そこで優しさをどう発揮するのかという非常に難しい問題があり、乗れなくてあぶれた人を救うために少し遠慮してもらおう、という考え方が出てくるのもある程度やむを得ない。
 むしろそのときに重要なのは、先ほど委員のご意見に対して私が感想を申し上げたが、内部のお金、基盤的なお金で最低限これだけはあげますよという状況で少しリハビリをし、次に頑張りましょうと。これを文部科学省は「デュアルサポート」という言葉を使っているが、要するに競争して取ってくるお金だけではなくて、非常に乏しいながらも、それなりに組織の中で措置されるお金があるというデュアルサポートで優しさが出せるのかもしれない。
 競争的資金そのものは全体として非常に厳しい状況にあり、それをどう具体的にしていくか。発言の趣旨には全く賛成であるが、現在の状況の中で、競争的資金の中だけで運営としてどのように優しさを出すか考えるかというだけではなかなか解決しにくいところがあるのではないか。
 ただ、反面、先ほどの確率を上げる話は、科学研究費補助金を見ていると、良い仕事をした人については、事実上は上がっているのだろうと思われる。いい仕事をした人はやはり審査でいい評価を受け、次の資金がもらえる。同じところだけではなく、だんだん大型資金のほうに必要に応じて上がっていける。最後に特別推進研究という非常に大きいものがある。
 今、言われているのは、科学研究費補助金から先をどうするのかということである。運のいい人は戦略的創造研究推進事業など超大型の資金に移れるが、ここには非常に大きなジャンプがある。それをどうするのか、それぞれのプログラムとプログラム相互間の関係をどう設計していくのか。今はたまたま文部科学省の中だけの問題になっているが、ほかの省庁の競争的資金との関係でも大きな課題になるのではないか。

委員
 具体的に提案させていただけるとしたら、科学技術振興調整費でも終了評価のときに、研究が非常に良い、或いは努力しているプロジェクトであり、ここで突然終わってしまうと、国として非常に損失が多いと認められるものについて何らかの継続措置をする。フルの予算ではなくても良い、評価委員会がこの程度は続けられるようにしてほしいという提言を文部科学省にできるようにする。それに対して、ある程度のフレキシブル予算を科学技術振興調整費でも確保していただけると良い。
 JSTでは、ファンディングエージェンシーとしての部分において、今現在約17%~20%ぐらいの予算であるが、事後評価を終了1年前に開けるようにし、プロジェクト終了時にほかのものにつながらなかった場合には、何らかの予算を措置できるようにしている。その予算を大体20%ぐらい確保した。そうすると、優秀なものについては何とか続けられる。

委員
 それは科学技術振興調整費の話か。

委員
 違う。

委員
 ほかのプログラムか。

委員
 したがって、科学技術振興調整費においても、そういうたぐいのフレキシビリティーを一部に残せば、事後評価をやったときのむなしさみたいなものを救うことができる。
 また、終わったときに損失があるようなプロジェクトについては、その次の何らかの手立てができるまでは続けることができるというようなことを許す形にさえすれば、予算の一部を確保すればいいことになる。そのような形のものを考える可能性を探っていただければ良いのではないか。

委員
 先生のおっしゃるのは、非常に良い場合である。
 差し当たり結果は出ていないが、芽が出るかもしれないようなものをどうするか、その優しさをどうするかということでもある。

委員
 評価の悪かったプログラムについては、ある代表者の評価がどうであったかというのは、今後は総合科学技術会議のデータベースで検索できるようになってくるので、それは載っかるようなことになると思われる。これは今現在進んでおり、電子データベースに変える作業をやっているので、おそらく来年中にかなりのところがスタートする。

委員
 今の関連であるが、私は「さきがけプログラム」の領域統括をやっている、一つのプログラムが3年なり5年で終わった後にまた数年、半分ぐらいの期間であるが、10~20%ぐらいは続けることができる。そうすると、非常にいい人が引き続き安定した形で続けられることもある。
 さらに良いのは、皆さんが最後まで走り続けるのである。次に続かないとなると、最後の年ぐらいは他の方を見て、それはほどほどにおさめようという方にエネルギーを使うわけである。
 続く可能性があるというのは、例えば5年なり3年間の期限を最後まで走り続けるドライビングフォースになるということであり、そのあたりは事後評価をどう上手に使うかという使い方を多少柔軟にした形にすれば、いろいろな改良点は出てくるのではないかと感じている。

委員
 最後の点は、今のままだと最後の1年ぐらいになると幕引きで、次のことを考えるという趣旨か。

委員
 1年以上である。私の経験から発言すると、終わるときに次が続かなければやはりよそを見ざるを得ないため、どうしても費やすエネルギーは減ってしまう。最後まで走れない。

委員
 全体の制度設計は非常に大きな課題だと思われる。先ほどの報告の結果、よそでそれがどう反映されたかをお聞きする段階で、またここでも引き続き議論ができるかと考えている。
 それでは、説明をしてもらった資料どおりのやり方で中間及び事後評価を進めるということ、そして、別添でついているワーキンググループ委員名簿に載っている方々にワーキンググループのメンバーをお願いするということで、この議題を閉めさせていただきたい。

引き続き、「文部科学省における研究及び開発に関する評価指針」のフォローアップ活動に関して、資料2-1~資料2-5に基づき事務局から説明、調査協力者から補足説明を行った後、質疑応答に入った。

委員
 質問というより提案であるが、アンケートの集計結果から見られることなどというのを個別にはまとめられているが、別にこれが最終形というわけではなく、これに全体の分析の特徴等もつくのか。

事務局
 今後のこのフォローアップの進め方で幾つか段階があり、まずはデータを集めてそれを整理する段階である。あとはこの部会での意見等を踏まえ分析し、何らかの改善の方向性を見出していくという過程がある。
 現時点において、事実関係の集約が終わったので、とりあえずこれを出す。今回のご意見、また今後いただくご意見をもとに改善の方向性を見出し、それをまた出していくという段取りである。

委員
 出していくときは、各大学や研究機関にこういうものがまとまりましたということで出すわけですね。そこは考えていないのか。

事務局
 これ自体はできたものから順次情報として、文部科学省のウェブページを想定しているが、公表し誰でも見られるようにしていこうと考えている。

委員
 今それをお聞きしての提案であるが、もし私が大学の評価担当者で、この情報をこういう形でいただいた場合にどうであろうと見ていた。例えば、アンケート集計結果は速報でデータをまとめている段階とお聞きしたが、総括的なものがあるとよりこれを見ようと思うし、これを読んだ場合、この事例集の中にこれとリンクするものがあるのだということがわかれば、より読むようになる。
 評価事例集であるが、補足で調査協力者に説明いただいたように、例えば、目次のところに見出しがあるだけで随分異なる。北見工業大学だと「評価を活用した予算配分による研究の活性化」であるとか、広島大学では「組織と個人の関係に着目した評価システムの設計」等、そういう見出しをつけてくださると読みやすくなる。このアンケートでみなさんが苦労していることを事例集の大学の特徴において非常によくまとめて説明してくださったが、そういうことが1行書いてあるだけで、なるほど予算配分を活用して研究の活性化をやっているのだ、北見工業大学を読んでみよう、その観点から見たときに全体のグランドデザインはどうなっているのだろうというふうに、読み手がそういう意識を持ってどんどん読むようになると思われる。読み手がこれを読むという立場で少しまとめ直していただきたい。

事務局
 そういう方向で検討する。

委員
 アンケートについてであるが、回収率を見るとやはり低いのではないかと思われる。特に公立大学、私立大学は40%である。残りの6割は一体どうなっているのだろうか、大学の設置形態によって違いがあるのかどうかということで、40%のままにとどめず60とか70%まで持っていくような努力が必要ではないか。

委員
 国立は70%であったか。

事務局
 回収率については、一般の統計と異なりいわゆる文部科学省の中だけなので、ご発言のとおりもう少し高い率にしていきたいと考えている。
 また、このアンケート調査については、全体の方針に書かせていただいたように、節目節目、その時々で重要ではないかという点をこの場で議論いただいたものであり、今後も続けてアンケートをとる予定である。その際工夫をし、高める努力をしていきたい。

委員
 なぜ答えなかったという理由は聞けないのか。

委員
 聞くか聞かないかの問題ではなく、回答率が低いことが問題であろう。

委員
 アンケートの中の評価体制で事務局サイドの回答率がとても低い、無回答が多いということはどういうことか。

事務局
 そこはいわゆる無回答なので行間を読むしかないが、これは全部を通して言えると思われるが、評価に対して明確な組織内における分担であるとか、誰が何をやるのかというところがまだあいまいになっているのではないかと考えている。あの人は2分の1、この人は3分の1等、なかなか専任という形でいないという現状があるのではないか。
 今のご指摘もあるため、この部分の追加の調査も考えていきたい。

委員
 これを見て、研究者にとって大変失礼な結果が出ているなと思った。研究者の人たちは自己点検とか自己評価を一生懸命やり、法人化するしないにかかわらず研究は続けている。学内での機関内評価の結果を外部資金の申請書類につけたりして、自己研鑽とまでは言えないかもしれないが、自分のプロモーションに使おうと頑張っているわけである。
 その一方で、事務局はあまりにも当事者意識が薄いのではないかと思われる。つまり、評価が大切だということはここ2~3年ずっと言われているわけであり、体制が整っていないから答えない、間に合わない、わからないというのは言いわけにはならない。そういう人たちに評価をされたものが結局自分のプロモーションにかかわるのはあまりにも嘆かわしいというか、失礼な結果だと思われる。
 評価の基準がない、評価の方法が確立していない等は、確かに現実としてあると思われるが、世界としてはその評価をもって研究者にお金がついたりつかなかったりしているわけであり、そこはむしろさっきの広島大学のように個人の評価には踏み込まないとか、そこら辺の限界を知った上で賢く使う等、そういった知恵を大学なり研究機関に持ってもらわないと、研究者は永遠に浮かばれないことになってしまうと思われる。これは意見である。

委員
 事務局というのは、昔でいえば事務官系のことを念頭に置いて聴いているのか。聴かれたほうもそうだと思って答えているのか。

事務局
 冒頭、事務局から説明したように、このアンケートの発送先窓口として各大学の評価担当部局に送っている。そこから先に関しては、そこが日常的に学内のいろいろなところと接触がありそれを踏まえて記入したか、もしくは個別に新たに聞いて記入したか、もしくは思うところで書いたか、把握できていない現状である。

委員
 仮に事務官であった場合、もともと当事者意識がほとんどゼロだったということだろうと思われる。自分たちが先生の評価にかかわるなんて、そもそも考えていなかったわけである。
 大学でどのように評価システムを考えているかというところから聞かないと、この答えは何とも読みようがないという感じである。

委員
 質問と今の続きの話題であるが、結局、北見工大の場合は副学長が積極的に参加し、その結果、具体的な評価の結果の活用も踏んでいるということである。要するにこれは事務官というより、大学のマネジメントを学長を始めどれだけやる気があるかによる、それによって事務局の方がどれだけ元気を出すかということであり、結局は学長の問題、理事の問題に帰するのだろうと思われる。
 質問は、北見工大の場合であるが、任期制の導入に関して、今の日本の大学では、非常にレベルの高いところはいい人が引き抜かれるので極めて流動性が高い。ところが、そうでない部分は流動性が非常に低い。いいほうは黙っていても流動性があり、悪いほうが流動性が低く、こちらの方が問題である。
 任期制と評価をどう絡めるかという問題であるが、任期制は法規の問題もあり踏み込んだような踏み込まないような、全体的には非常にあいまいな構造になっている。
 具体的な例でわかれば知りたいのであるが、任期制で資源配分に差をつけるということであったが、どの程度の効果が出たのか。20%の資源配分が増加するということで、先生たちはあえて任期制を選ぶのか。

調査協力者
 インタビュー結果から言えることだけでお答えさせていただくが、北見工業大学の場合は100%任期制を目指している。すべての教員に任期制を選んでもらえるよう全学的に任期制に対して、例えば教員に対して説明会を開くとかということで意識を高めている。
 北見工業大学での任期制は緊張感を持っていただくためであり、落とすための任期制ではないということを明言し、実際に資料等もつくっているので、その意味では教員としてはより任期制に踏み入りやすいのではないかと思われる。
 個人的には、別の機関で任期制を体験し、その経験上任期制は、非常に不安定で家族もちの身としてはあまり好きではないのであるが、緊張感があることは確かである。

委員
 緊張感を持たせる任期制と落とすための任期制とは、具体的にどこが違うのか。

調査協力者
 評価基準だと思われる。それから、実際にどういう方向を目指すかということで、より高いレベルで切磋琢磨する場合には入れかわりをすることによって、より評価基準を高めることによって、パフォーマンスが上がらなければ落ちるということになる。
 例えばテニュアが取れる、取れないとかという形もあれば、教員に活性化を持たすという意味もある。北見工業大学の例ではなく別の国立大学であるが、任期という緊張感を導入することで、教員に「研究」を行う習慣づけをしていると思える例がある。任期制による評価がなければ教員として雇われた後は特にパフォーマンスを上げないままである例が多いとのことである。そういうパフォーマンスの悪い教員をできるだけ減らしたい、しかしよほどでない限り解雇までは結び付けない、という形での緊張があるという意味との違いである。

委員
 具体的なプロセスとして、二つの全く相反した方向をシステムとしてどう区別するのか、制度としてどう分けられるのかということに関心があるので、そこをお聞きしたい。

調査協力者
 それは個人の私見としてか、それとも北見工業大学の例としてか。

委員
 どちらでも良い、ここに具体的な例があったので、お尋ねしている。

調査協力者
 実際、任期制に関してはいろいろな問題がある、例えばインタビューに行った中での回答ということで申すと、そもそも受け皿となるような流動する研究者市場があるかないかというだけで随分違っている。もしそれがあればどんどん移り変わっていく、なければそこで任期制が終わってほうり出された場合に次はどうするのか、全然雇用される保障もないということで、実際に任期制に踏み込めない総合大学も、今回インタビューに行った中には存在した。

委員
 インタビューは学長、要するに管理者側だけ行ったのか。それとも、サンプリングか何かで評価される側についても行ったのか。

調査研究者
 評価される側も聞きたいのはやまやまであるが、今回の件では評価者側だけの意見になる。
 評価される側の意見は、例えば案内されたときの立ち話でちょっと聞いた程度のレベルである。その場面では副学長などが後ろにいるので、おそらく、正直な意見は言えないのではないかとも思われる。実際に聞いてみたいと、熱望している。

委員
 事例集なりこれにどこまでそこを書き込むのか。
 大学で評価される側と、大学の評価システムをつくるワーキンググループにも入っている立場で事務局といろいろやっていますと、委員の発言のように事務局は余計な仕事が増加し、また評価の必要性もよくわからない、だから回答率がまさに低くなってしまった。その問題に対し、委員がマネジメントの問題だと発言したが、同感である。
 従って、その問題を今回はどの程度きちんと書かれるのか、またそれを書くことにより、問題点として評価を進めていくには評価体制の充実が必要であるということになってくると思われるが、今回のこの議論を踏まえてどの程度そういう面に関しても実際に書き込むのか。

事務局
 評価そのものは評価単独で、評価を目的として評価をやっているわけではなく、あくまでも大学なり研究機関のマネジメント、こういう方向に行くのだという方向性があって、多分、そのためのツールとして評価は使われるものと理解している。
 そういう意味で、今回、評価の事例集にしても、評価だけを取り出して個別に云々ではなくて、大学のこれまでの経緯、大学が何を目指しているのかを冒頭に記載した上でこういう評価をやっているということを書いている。
 今回はまだこれだけの数であるが、評価については汎用的な方法があり何でも万能的に使えるというものではない。今、話題になったように各大学における、まさにマネジメントの方針が多様にあり、その中でベストな評価方法が選択されていくようになると思っている。
 今回は、評価の中身からマネジメントを論ずるというよりも、全体の流れの中で評価がどう使われているのかという方向で整理をしている。

委員
 そういうことを書き込めない、文部科学省でそういう目的ではないとなるなら、例えば調査結果から見えてきたものということで、調査協力者に指摘してもらう等の手があるかと思われる。
 データはデータとして共有されるが、大学が直面しているのはそういう問題であったりする。その場合だれかがそれを文字で指摘しているのは、また評価を日本の中で進めていくためには非常に重要かと思われる。せっかくこれだけのデータが上がってきているときに、どこまで踏み込んだ総括を行うかが疑問であった。
 ただ、目的がそうであるならば、それでも構わないと思われる。

委員
 評価そのもの以前に、評価システム、どのようなスタッフによりどのような全学的なコンセンサスのもとでやるのかということが、明確になっていないと、そこから出てきた結果は片一方から見たものになっている危険がある。
 例えば単科大学である北見工大がそうである、今日は報告が無かったが高知工科大学は、まさに学長、副学長が先頭に立ちやっているわけである。しかも、工科大学と言うことで評価基準がかなり共通に適用できる。総合大学と比較しはるかにやりやすいという条件がありできているということは間違いないと思われる。
 一方、こういうものが必ずうまくいくかというとそうではない。某国立工業大学について、ぎくしゃくしたものがあったように聞くところもある。そういうところをどのように理解していくのか、総合的な視点のようなものを押さえていかないと、大学あるいは研究者の評価は最後まで問題を残すし、下手をするとしこりも残ることにもなりかねない。
 要するに、頑張っている少数のマネジメント担当者と当事者意識のない事務職員、そして何だかよくわからないが、送ってきたものに対して嫌とは言えないから、何とか対応はしているけれども現状はどうなのかということである。
 例えば先ほど35万円という研究費が最低基準だという大学の話があったが、その人たちはどのようにして研究しているのかということである。文科系であれば35万でできるかもしれないが、理科系では一体どうなるのであろうか。その人たちは結局アクティビティーが落ちているのか、それとも競争的資金をとるように一生懸命努力はしているのだろうが、とれなかった場合一体どうなるのだろうかという話である。
 そういう総合的な視点があり、その中でこの評価の作業はこういう意味を持つのだという、複眼的というか、総合的な見方が今すぐは無理としても、欲しいなという感じである。
 そのためにも、この事例集なりアンケート結果はそれなりに逆に問題点をはっきり映し出しているということも言えるので、充実させながら公表させていただきたい。
 これがすぐ完成版に、何かをひっつければでき上がるというものでは必ずしもないのではないか、私は個人としてそう感じていた。こういう言い方は大学に味方をし過ぎていることになるのであろうか。

委員
 この事例集は非常に良い例がある。メールで送っていただき1度読んで、今、もう1度説明を聞いたが、幾つかの例がある。
 これを見ると、大学によって抱えているいろいろな悩みが評価のシステムに反映されているのがよくわかった。従って、丁寧に読み比べると、非常にプラスになると思われる。そのあたりはぜひPRを上手にして、できるだけ日本全国の大学によく読んでいただくような努力をしていただければ非常に良いのではないか。

委員
 非常に基本的な質問というか、問題提起で申しわけないが、法人化された大学は大学全体として評価され、その上に今後は学生が大学を選択する、基本的にその二つで大学は今後どのようになっていくかが決まるようになったのだと思われる。
 その際にマーケット的に、つまり入ってくるお金の競争と学生を集めるという二つの競争において、法人化大学はこれから基本的に闘っていくという感じになるであろう。
 さらに、その中にいるプレーヤーとしての研究者は競争的研究資金、民間企業からの資金の導入等、個々に自分のアクティビティーが評価されて研究資金を得ていく。それに加え、さらに大学に対して個々人の研究者を評価しなさいということをこの委員会は強制しようとしているのであろうかという疑問である。
 つまり、ある大学は、これから研究者はいろいろ評価されるので、うちの大学は一切評価しない、そのかわり評価するためにかかる費用と人件費は全部研究費にするという大学が現れてもおかしくないというスタンスでこの委員会をやっているのかどうか、今、疑問になってきた。この点は確認できているのか。

委員
 できていないと思われる。その辺は全く議論なしに走り始めているであろう。
 委員がほかの選択肢もあるのかと言われたことについては、真剣に議論するべきであろう。つまりここの評価は何の評価か、大学の評価なのか、大学の評価はどこか別にやる組織もあるはずである。研究開発という現場の業務についてやるのか、さまざまな次元があり、やはりこれは少しずつきちんと議論していかないといけないと思われる。つまり、評価の評価をやるのかということである。
 その評価に関しても、組織としての研究教育機関としての大学を評価するのか、もっと中身を一つひとつ見ていこうとするのか、その辺りは少なくとも次元が違う話だということを意識して我々はこれから議論をしていく必要があるのではないか。

委員
 大学が法人化し、産業界から見た場合、随分変わった大学がある。また全然変わっていないところもある。どちらがいいかといった場合、やはり世の中の要請があり、国全体で変わろうと取り組んでいるときに、このアンケートにもあるように全然返事もしないとか、変わっていないというのはいかがなものかと思われる。
 特に法人化した場合、一つの組織体になっており、会社であれば人・モノ・金・情報を社長がどう扱うかということと同じである。大学もそういった評価とか産学連携とかインターンシップ等いろいろあると思われるが、学生をどう教育するか、研究はどうあるべきかは各大学に個性があって、しかるべきだと思われる。ただ、考えていない大学があるのではないかということが問題であろう。
 この事例集の中には、私どもも連携している大学があるがそのアンケートの答えにはその大学の個性がよくでている。学長が専任者を置きリーダーシップをとらせるという強い意思を持つ大学は変わろうとするし、世の中の要請に答えようと努力されている。さらに個人まで評価するのかどうかというところまで議論されている。こういったことで進歩があるのではないか。何もしていないところが問題だと思われる。

委員
 この40%は短期大学なども全部含めての数字ですね。それとも、4年制だけを考えたものか。

事務局
 4年制だけである。

委員
 この調査に何カ所か一緒に同行した。独立行政法人が3カ所ぐらい、大学も1~2カ所を訪問した。
 名古屋大学の件であるが、19ページに記載しているマネジメント情報システムについて比較的詳細な話を伺った。今年の2月か3月であると思われるが、マネジメント情報システム構築に中心的な役割を果たされた先生が、その後、私立の大学に移られたということを聞いている。
 その方が中心的に構築されその後どうなってしまったか、またその時点の話では、いろいろな専攻とか部局がそれをどういうふうに使って、中期目標を立てて、評価をしながら大学の改善を行っているか等、そういう話は伺わなかった。主にマネジメント情報システムに関すお話を聞いたので、キーパーソンが移られてから効率的に運営されて、いろいろな部局がそれを本当に使って改善を行っているのかということも、現時点でもう1度再確認して評価するべきであると思われる。

委員
 このアンケート調査で、評価等を含め相当レベルの高いものが事例集に載ったと解釈してよいのか。それともこれは平均的なものか、また真ん中より下なのか。個人的な意見ではかなり意識を持っている学長、副学長からの出てきたものと思われるので、ある意味では非常に優等生的な大学からの回答かなと理解している。
 企業でもこういうことを積極的にやるところもあり、それは社長、トップの判断で決まる。だめな企業は何もしないところがある。企業でいえば社長も役員も任期は2年しかなく、業績が悪ければ、会社は2年後にほうり出される。大学も法人化したわけであり任期が5年、10年というのはうらやましい限りである。
 そういう意味でいうと、少しずつ競争原理が働いている企業に近い方向に動いているという気がした。その場合の評価は、やはり厳しい競争に勝ち抜いている企業の評価体制が非常に参考になるのではないかと思われる。企業では個人評価と給与、処遇に反映することや、個人が研究者の場合は研究能力に応じた研究配分をするのも厳しくやっている。
 今までの大学の場合であれば、言い方が変であるが、お金が国から来て、その国のお金を使える。ある意味、非常にゆったりした気持でお金が使える。
 もう一つ、大学の場合、学生が来て教えてあげるという感覚であったが、今回は違い、お客さんをどう呼びその人にいい教育をしてお金をいただく。それが収入源になるため、変わってくるはずである。その中で、英会話学校の先生ではないが、先生が悪ければお客さんは来なくなる。従って、お客様となる学生が教授を評価するとか、先生を評価することも当然入ってくる流れだと思われる。そういう面で評価を進める場合、研究能力の評価、教育の評価、いろいろな能力の評価をする必要があるが、その場合の評価としては競争を勝ち抜いている民間企業の評価を多少取り入れるのも良いのではないかと思われる。

委員
 貴重なご意見をありがとうございました。
 そういうふうに考えるのか、先ほど委員の発言のように、特に中の評価に金を使うことはせず、リソースは研究費に全部回すということで、その結果、競争的資金が全体としてどれだけ入ってくるか等という発想もあり得るのかもしれない。

委員
 今日の評価委員の中には産業界の人が少ないので、産業界から一言言うと、今のご意見はそういう一面もあると思われる。
 研究開発評価アンケート集計結果の9ページ、現在認識されている評価に関する問題点として、非常に総論的ではあるが、代表的な意見として「評価結果に対して敏感になった結果、長期的な研究、重要であるが成果が出にくい研究を敬遠する傾向が見られる」とある。法人化に伴い大学が産学連携に向いてきたことは良いことであるが、その評価は連携相手の産業によると思われる。
 大学の研究には、すぐ製品に結びつくので、できるだけ役に立つ研究をやってほしいという産業分野がある。一方、製薬企業の分野のように、生命科学にかかわりながら、創薬システムを本当に理解し、臨床も含めて理解が必要な分野もある。とにかく薬という単語さえ使えば製薬企業に貢献していると勘違いしている生命科学分野の研究が出てくる。
 生命科学に関る大学の先生にはむしろ長期的な研究、あるいは利益を追っている製薬企業では取り組めないような重要な基礎的な研究をずっと続けてもらいたい。そこでの評価システムは随分違ってくるのではないであろうか。
 さらに、法人化前は、大学の先生にはぜひとも産業界と同じような厳しい評価をと言ったが、今はそれが少し動き過ぎて、大学の先生が成果を出しやすいほうに行くこと、またこの委員会の討議がそういうことに拍車をかけることについては少し懸念しなければいけないのではないかと、あえて産業界から言わせていただきたい。

委員
 私は大学にずっといて、ある程度評価関係も学内でやらせていただいたので、発言させていただく。
 多分、各大学とも、特に国立大学の場合は、法人化してまだ右往左往している状況だろうと思われる。例えば事例集などもそうであるが、こういうところに評価、ヒアリングをやるというと慌てて組織して、かなり優等生的な答えを用意しようという意識も場合によっては出てくる。
 もう一つ、アンケート結果の場合も、まだ体制ができていないうちにいろいろなアンケートが来ると、とにかくおまえのところでつくってくれということで慌ててつくるというのが、集められた第1回目ではないかという感じがする。
 こういうものはもう少し追跡調査なりを何回か行わないと、おそらく本当のものは見えてこないと思われる。現状がどうなっているかをざっと調べてみようという感じの結果でしかないのだろうと思われる。
 従って、大変貴重な意見がいろいろ出ており、この評価委員会でそれをどうとらえるかということもあるが、全体的なまとめについてはもう少し慎重に中身を分析し追跡調査をした結果、この評価部会としてどうとらえるかという議論をしていかないといけないのではないかと感じている。その辺を、ぜひこれだけに終わらせないでいただきたい。

委員
 巨大な戦艦と小さな水雷艇のようなものが、同じ時間内に同じように舵が切れるわけでもないので、そこのところは十分お考えいただきたい。しかし、着実に、ここでまさに問題を議論しながら1歩1歩進めていくべきだと思われる。

委員
 この部会が評価をするのは振興調整費だけである。あとはいろいろなところで評価されることに対してアシストするというか、いい提案をすることだと思われる。
 最近、法人化になったばかりのところは、多分、マネジメントレベルをどうするかを一心不乱に考えていらっしゃると思われる。そちらは少し長い目で見ながら、この会合ではいい評価のあり方を提案するということをしていければいいのではないか。

委員
 そのとおりである。この議題は「文部科学省における研究及び開発に関する評価指針」のフォローアップ活動であり、評価指針なるものが一応できている。それが現場に適用されたときにどういう問題を起こしているのか、研究及び開発に関する評価指針といっても、研究開発する機関の評価と研究開発のプロジェクトならプロジェクトそのものの評価と、また全然違う性質を持っているわけである。
 何度も申し上げるが、いろいろな次元を分けながら議論していくということである。そのためにもこういう事例なり、あるいはアンケートをこれから重ねて続けていくことは大変有益であり、また必要であると考えている。
 すぐ近い時点で完成版をつくり、公表し、これを何かのご参考にというのはまだ少し早いのではないかという実感は、今日の議論など伺いながら感じた。また、これは次回以降に議論したい。

委員
 今、我々が従っている評価指針、評価大綱は、国立大学時代につくられたものである。その時点で国立大学法人をどこまで意識していたかというと、そこをあまり意識せずにつくったために、文部科学省が責任を持つべき国立大学の中における評価はどうあるべきかを考えていた面が非常に強いのではないかと感じられる。
 法人化された国立大学は渡しきりの運営費交付金を渡され、あとは学長が自分の采配でやりなさいと文部科学省は言った。従って、やり方について細かく言うことは避けなければならない状況になったわけである。
 その意味で、大学としては評価されるわけである。運営費交付金などを幾ら渡すかというのはその評価委員会で決まるわけで、評価委員会に出す評価資料を大学はきちんとつくらざるを得ない状況だと思われる。
 ところが、大学の中のやり方について、予算を傾斜配分しろとか、そちらのほうがいいとか悪いとかいうことは、文部科学省の審議会の委員として我々はそういう立場にはない。リコメンデーションとか、そういったことをこういう報告書で書く場合においても、あくまでスタンスとしては情報としてどういうぐあいに評価が始まっているのかを皆さんにお伝えする。その中で個人的にこれはおもしろいとか言われてもいいのだと思うが、この評価部会が何となくこういうやり方がいいなど、言うのは法人化大学の精神に反している面があると感じている。

委員
 そのとおりだと思う。ある方針であることをやりその結果がどうであるのかというのは、やはり両方から聞いてみる必要があるのだろうと思われる。先ほど一つ例を挙げたが、35万円でやれと言われた人がどういう結果になっているのか、傾斜配分はそれ自体がいいのだと簡単に決めつけてしまわず、それのメリット、デメリットはきっちり押さえていかなければならない。そうしないと、全国の大学が同じことをやったらかえって気味が悪い話になるだろうと思っている。これもすべてはこれからの議論の問題だろうと思っている。
 もしなければ、一応この議題はこれで閉めさせていただく。

事務局
 どうもありがとうございました。
 冒頭申し上げたように、今日のご意見、また調査結果をもとに、委員から意見があったように、今後の方向としての何らかの考え方については個々の大学のということではなく、こういうものから出てくるものとして政策ベースで議論をさせていただきたい。

 引き続き、資料3、「平成17年度概算要求前の事前評価について」、資料4「平成15年度独立行政法人業績評価結果について」について事務局より説明を行った。

(終了)

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(科学技術・学術政策局計画官付)