研究評価部会(第7回) 議事要旨

1.日時

平成14年3月13日(水曜日) 15時~17時

2.場所

経済産業省 別館 1020会議室

3.議題

  1. 研究開発評価の在り方について
  2. その他

4.出席者

委員

 野依部会長、田村部会長代理、浅井委員、大内委員、大谷委員、大橋委員、奥田委員、加藤委員、北澤委員、渋谷委員、田中委員、平澤委員、行武委員

文部科学省

 山元科学技術・学術政策局長、井上科学技術・学術政策局次長、川上計画官、佐伯評価推進室長、松川学術企画室長

5.議事要旨

(1)事務局より資料1‐1「文部科学省における研究及び開発に関する評価指針(草案)」に基づき説明を行った後、質疑が行われた結果、草案の取りまとめについては部会長一任となった。

<質疑については以下のとおり>

「はじめに」

【委員】
 今回新しく、学術分科会の意見がここに書かれているが、これを見ると、例えば競争的資金、大型プロジェクト等、前の部分で既に書いてあることと重複しているが、それで良いのか。統一した方がいいのではないか。初めて指針を読んだ場合、同じことが2回も出てくるとおかしいと思うのではないか。

【事務局】
 先程の説明では不足していたが、この学術の部分は、基本的に前回紹介した学術分科会の報告の中身を持ってきている。その過程で、重複する部分については、学術研究にはかなり性格の違うものがあり、学術の中でももう一度繰り返し記述した方が、学術に携わる方々が見たときにわかりやすいのではないかと判断した。同じことが、学術だからといって変わるわけではないが、競争的資金においてこういったことが重要である、あるいは大規模プロジェクトにおいてこういった視点が必要であるといったことをもう一度繰り返す方が、誤解がないというか、わかりやすくなるのではないかということで残してある。学術の部門で、ある程度まとまった記述となるように配慮して取りまとめた。

【委員】
 事務局が説明したが、これは文科省として大綱的指針を踏まえた指針であり、全体的なものをつくるのが仕事である。一方で、その中の学術に特化した部分は、科学技術とは相当違うところもあり、末松先生を主査として相当議論を重ねた結果、報告がまとめられている。相当の部分で共通するところは多いと思うが、どうしたらよいか。

【事務局】
 事務局側で、ここを入れるときに、最低限矛盾がないかというのはチェックしており、書いてあることが全く見当違いの方向を向いていることはない。例えば、大規模プロジェクトなども学術というのは特にこの部分なのだということを、イメージをする形で入れている。学術の最初の部分を持っていくと、例えば大規模プロジェクトにおいても社会・経済というのが相当薄くなる可能性があるが、ただ、大規模プロジェクトのところでもう一度この社会的・経済的な観点からの評価も必要だと書くことにより、そこの記述を少し戻すというか、学術の大規模プロジェクトを評価する際の視点がよりクリアになるのではないかと期待している。

【委員】
 第4章の学術研究部分の記述のもとになったものは何か。

【事務局】
 机上資料の「学術研究における評価の在り方について(報告)」という冊子である。

【委員】
 学術研究の重要性は、非常によくわかり、きちんと入れた方がいいのは確かだが、この指針は一般の方も読まれるわけであり、そうすると、文部省と科技庁が一緒になったにもかかわらず、ここは旧科技庁的で、こちらは旧文部省的だというような印象を与える書き方は好ましいことではない。何かもう少しいい知恵がないものかという感じがする。

【委員】
 必ずしもそうではなくて、今ここで議論しているのは文部科学省全体に関することである。総合的なものであって、さらに学術に配慮した細かいことを書き込んであるという構造である。

【委員】
 確かに学術が非常に大事なのはわかるが、項目立てが全く同じで出てきており、研究者の業績評価等も二重になっていいるので、できれば、まとめた方が指針としては非常に格好がついて体裁がいいのではないかと思う。

【委員】
 幾つかの考え方があると思う。一つは総論と各論ということで、各論の部分は、総論の中身を踏まえながら、より具体的に書いていくという理解である。そうすると、学術の部分は各論の一つであり、そこに再録されていてもいいという考え方になる。
 もう一つはそうではなくて、入れ込んでいこうという立場で考える。そうすると、学術研究の特性をもう少し考えた上で、対象別事項の中の特に基礎科学の研究というような項目を入れて、その部分の評価の仕方という話として、学術の部分をばらした形で入れていくというようなことがやり方としてあると思う。
 全体の指針としては、当然旧科学技術庁側にも、基礎科学の研究の部分もあったので、対象別事項のところには、そういう部分は出てきていい。そこで、3章の対象別事項のところを強化する形で、4章をできるだけ入れ込んでいき、独立行政法人通則法との整合性の部分と対比できるぐらいに学術研究の部分を減らしていくということが、もう一つの整理の仕方としてあり得る。
 ただ、学術の部分は別途検討された体制があるので、今回は現状の形で融合するに留めて、数年後に見直すときに、検討体制自体が一つになって議論されるようになった時点で、最終的な文部科学省としての体制ができてきたらいいという様に考えている。確かに私も4章は違和感があるなとは思っていたが、先程の3章の中に入れ込んでいくというような整理では、ズタズタにしてしまうことになり、教育との関連の特性をどうするかというような部分しか残らないようなことになってしまうので、それはこの際もう少し時間を置いて検討してみたらいいと思う。

【委員】
 現在のところ、こうせざるを得ないのではないかと思う。旧科学技術庁系の研究開発の評価ばかりにすると、文科省全体の指針としては妙なことになる。学術研究の部分が別途まとめられており、それを尊重した。

【委員】
 今一度、本指針の位置付けを説明して貰いたい。文部科学省側が、ある研究費を付けた場合、その研究に対する評価を目指している、という理解で良いか。

【事務局】
 文部科学省の所掌に係るというので一番大きいのは、文部科学省が所管する研究費ということになる。ただ、機関という観点、例えば文部科学省が所管する機関という観点もあり、そこも含めて文部科学省の所掌に係るというような言い方をしている。したがって、資金だとか、機関の監督だとか、監督という言い方がいいのかわからないが、そういった何らかの形で文部科学省の枠の下にある研究開発活動に関する評価の基本的な考え方である。

【委員】
 理解不足なのかもしれないが、研究機関あるいは研究者個人の評価まで、指針的に書かれている感じがし、そこに少し違和感を覚える。例えば17ページの4.1.1.4.3に「研究と教育の有機的関係」ということで、「研究者の業績評価については教育、研究、社会貢献といった大学等の諸機能全体の適切な発展を目指すことが必要であって、研究と教育の有機的な関係に配慮する」と書かれているが、何か一つの研究課題に研究班が作られて、その研究結果について評価するにはちょっと離れてきて、研究機関の在り方というような話になるのではないかという印象を受ける。
 それからもう一つ、4.2の独立行政法人通則法との関係ということで、中期計画の作成とか、「第三者評価が行われるが、このことによって、各独立行政法人研究機関が本指針を踏まえた評価を自ら行うことを排除するものではない」と言われると、独立行政法人は何重にも規制されることになる。一つは各省庁に外部独立評価委員会がある。独法の場合はその上に総合科学技術会議の持っている評価もある。さらに、各研究所は、何人かの外部の先生に基づいて、もう一つ評価されている。私の場合は厚生労働省だが、そういうことまで規制を受けてくると、最初の基本的な考えから離れていっているような印象を受ける。

【事務局】
 そこは、一番我々が悩んだことであり、最初の本指針の位置付けの「また」以下に書いてあるように、各研究機関が行う部分については、あくまで各研究機関の判断で行って貰うという考え方である。この指針は、その際の参考となり得るものであるが、どう扱うかは各研究機関の判断になる。
 大綱的指針が全体像を示し、それを受けた文科省でどの様に各機関に伝えていくかということを考えると、文科省本省が直接資金を出しているところだけを見るというわけにはいかない。大綱的指針で研究者の業績評価は指摘した上で、それをどうするかと。それを含めて各省庁が評価指針を作る必要があるので、文科省の考え方としては、文科省の所管に係る各機関が評価を行うに当たっての配慮としてはこういうものがあるだろうということで、この指針をまとめて、それを参考にしていただけたらというスタンスである。
 したがって、例えば大学における研究者の業績の評価は、あくまで各大学が行う。その際に大学における研究者の評価とはいっても、教育への配慮が大事ですという注意すべき点を、もう一度文部科学省として整理して示したというのがこの指針の位置付けである。したがって、それに基づいて文部科学省が自ら評価をするというものではない。

【委員】
 19ページの研究者の業績評価ということは、例えば大学なら大学の研究者が行ってきている研究・教育そのものの全体的な評価のようにここでは映る。したがって、そこまでこの指針は言う性格のものなのか、あるいは文部科学省が出す研究資金について何々研究班、何々研究班という、その研究について狭い意味での評価するものかというところが、わかりづらいのである。特に研究者の業績評価というと、日頃の研究や教育を含め、その研究者の全てを指示しているように見えるが、この指針はそこまでのものなのか。

【委員】
 恐らくこのように整理すればいいと思う。これ自身は総合科学技術会議が定めた、大綱的指針を受けて作られているものである。大綱的指針の位置付けは、研究開発に関わるものの横断的な指針を示したものであり、その中の項目として、研究機関も研究者もある。したがって、研究機関の評価の仕方とか、研究者の評価の仕方について、大綱的指針の中で項目として触れてある以上、それについてより具体的な立場で書く必要がある。
 それとは独立に、今後は行政組織の枠組みに合わせた、例えば独立行政法人通則法で定めるような評価の体系があるが、これは研究機関に限らないものを含んでおり、そこの整理は常に議論になるが、研究開発の特殊性に考慮して、その行政機関で縦割りになっている方の評価についても、研究開発の特性に配慮してやりなさいというように特に書かれており、その特性に配慮して行う内容については、今のような大綱的指針で定めていくという整理の仕方になっている。

【委員】
 大綱的指針を受けて本指針はどういうことをするという明示がない。この指針自体が大綱的指針というようなイメージを受けた。

【委員】
 おそらく、それは「はじめに」のところが該当する。

【委員】
 最初の方はわかるのだが、だんだん余計なことまで評価に入ってくるのかなという印象を受けた。

【委員】
 目次で全体の構成を見ていただくと、文科省としての基本的な考え方、共通事項、それから対象別事項と来ており、この中に全部含まれることになる。さらに、学術についてはその中に書ききれない特性があり、新たに分科会を作って、そこで検討したものを書いているという構造である。

【委員】
 それら二つを受けてのものということで、少しはっきりしないイメージが持たれる。

【委員】
 「はじめに」で今のところを充実して書けばいいのか。

【事務局】
 基本的には「はじめに」の大綱的指針を踏まえて行ったということを、前段からずっと来ていることを引いて「このような状況の下」と書いてある。ただ、場合によっては大綱的指針を踏まえたガイドラインであるということを、本指針の位置付けのところに書き加えるということも可能なので、そこは少し検討してみる。具体的には、1ページ。本指針はガイドラインであると書いているが、「内閣総理大臣決定された大綱的指針を踏まえて」などの表現をつければ、より明確になると思う。

【委員】
 前の方を見るとわかるが、最後の方になると、全てこの指針に従い、研究機関および研究者の全てが評価されるという印象を受ける。

【委員】
 全体の構成がどの様になっているのかが、「はじめに」のところで明らかになるような形で記述すればよいということか。

【委員】
 第4章は同じ章立てでいいのか。後半になると、すごく上で決められているような指針のようにも見えてくる。研究機関そのもの、研究者の日頃の研究・教育、医学部の場合だったら診療もあるが、そういう全ての評価的なイメージを持ってきた。

【委員】
 特性に応じた配慮事項なので、いいのではないか。

【委員】
 それはわかるが、この指針はやはり全てを網羅する指針だなというイメージを受けて、特色が薄れているように思った。前半はいいのだが、後半になると。

【委員】
 そのように解釈するのは、少し違うと思う。要するに、国の研究開発の評価をどうするかという大綱的指針があり、それを踏まえて文部科学省でどうするかということである。その時に第4章でいう大学は、そもそも教育機関なのであり、教育機関の中に研究的要素が入っているわけである。したがって、大学の評価を行う時には、研究機関だけではなくて、教育機関の意味があるということを忘れないようにする必要がある。

【委員】
 そういうことはもっと上の評価だと思う。そういうことは指針であり、これは各論的評価である。

【委員】
 それはよくわかるが、文部科学省の指針でそういうことが書いていないと、大学で実は研究評価の方はわかりやすいが、教育評価の方が余りはっきりした評価基準がないので、研究評価だけをやっていると、研究評価だけで評価されてしまうのではないかと大学の人達は危惧している。そのことに関して、国立の研究所とか独立法人とは違う立場でやる必要があるということを言わないと、大学の方々には理解されにくい。

【委員】
 そういう話は、大学自身の評価の在り方ではないのか。

【委員】
 だから、そういう点を個別の4章で、大学においてはこうした方がいいのではないかという章立てになっていると考えられるのではないか。

【委員】
 したがって、第4章は4.1が大学等における学術研究であり、4.2が独立行政法人通則法との整合ということになっている。

【委員】
 独立行政法人の場合は整合がついているので意味がわかるが、独立行政法人はまたこれで何重にも束縛を受けるのかなという被害妄想的発想も出ないこともない。整合ということであればわかるが。

【事務局】
 3章までの部分と4章とは違うものとして読んで貰いたい。1章から3章までで評価の体系が組み上がっている。1章が基本的なもの、2章が共通事項、3章は4つのカテゴリーに分けたものの具体的な記述である。4章というのは、1章から3章を行うに当たって、4.1では大学の学術研究において特に踏まえておかなければいけない事項を、4.2では独立行政法人について踏まえておかなければいけない事項を書いてある。
 したがって、全体の体系は3章までで終わっており、今の議論の中で気にされた業績評価については、15ページの3.4の考え方が全体を律するものである。業績評価は、内閣総理大臣決定になっている大綱的指針の中で、実施をしなければならなくなっている。ただし、その評価のやり方は、大綱的指針にもこの資料の15ページにも書いてあるが、機関の長がルールを整備して責任を持って実施する性格のものである。したがって、縛りが非常にきついようなものではなくて、むしろ各機関の自主性に任せて行うものであるという位置付けになっている。この様な性格のものとしては、業績評価と機関評価とがある。
 大綱的指針の体系の中でも、施策と課題の評価は、比較的行政側が中心に行うものであり、そういうものはルール等も細かく書いてあるのに対して、機関や業績の評価は機関が主体になるものであるため、全体的なデザインは機関側が中心になるような構成になっており、実施するに当たっては、留意すべきようなことが3章の中に書かれていると考えて貰いたい。
 4章というのは、3章を踏まえた留意事項であるので、3章での組織や実施機関の長がルールを整備するという前提の下での学術としての配慮事項という、限定されたものとしての記述なので、そこを併せて読んで、厳しい縛りをかけているとか、とやかく言っているものではないことを理解して貰いたい。

【委員】
 そうではなく、この指針の特色が薄れていると言ったのである。もっと上のレベルでここの総理大臣決定とか、あるいはこの学術研究の評価の在り方とか、大学の在り方とかというもっと大きい枠の中でこれを特色付けるのであれば、今回検討している評価指針の特色が非常に薄れてくるように思えるのである。したがって、19ページの研究者の業績評価であれば、厳密に言えば本当はもっと丁寧に書かれていないといけない話である。詳しいことを言えとは言わないが、第4章はもっと上で言う話であり、この特色を薄めていくような感じになってきているという印象を受けた。
 配慮事項というタイトルを見るとわからなくもないし、また独法通則法との整合ということで意味はわからなくもない。タイトルはわかるが、内容的に見ると、これはもっと上でいう話だという印象を受けた。今の説明を聞いてだんだんわかってきたという感じなので、その当たりを少し触れて貰いたい。

【委員】
 第4章の16ページに「研究開発や機関の特性に応じた配慮事項」とタイトルがあるが、この次に、第4章ではこういうことが書いてあるというような形で、「はじめに」に書いてあるようなことを入れたら良いのではないか。

【事務局】
 4章の柱書きもしくは主として4.1の中に特徴的なことであるかとも思うので、誤解を受けないように、4.1の最初の5行の書きぶりをもう少し検討する。

【委員】
 特殊法人の整合性の問題も加えたものも必要なので、4.1と4.2を含まなければいけない。

【事務局】
 含むとすれば、4章の柱書きになるので、そこの書きぶりを工夫する。

【委員】
 座長のおっしゃるようなことでいいと思う。3章に柱書きがあるように、これは各論に当たる部分なのだとして、独法の通則法との関係も通常はわかりにくい話であり、大学の機関評価についても特別また定めてあるわけなので、それとの関係等が全体として整理できるよう十分配慮し、その特色が浮かび上がるような形で4章にもその種の柱書きを入れればいいのではないか。

【委員】
 4章が出て来る形が、唐突だと感じられているわけなので、4章が何かということを説明して貰えればと思う。

【委員】
 そうすれば、二重に出てきても格好がつく。

【委員】
 重複があってもこうなのだという様なことも、説明があればわかると思う。
 
 「第1章」

【委員】
 2ページに、研究開発制度の評価という言葉が出てくるが、研究開発制度というのは何か。

【事務局】
 ここでの研究開発制度は、プログラムのような概念になる。例えば、科学研究費補助金といった制度、課題などを束ねたものを考えている。

【委員】
 そうだとは思うが、制度と書かれると、「日本にそういう制度があったのかな」と思うので、もう少し表現を変えた方がわかりやすいと思う。

【事務局】
 「研究開発に係る制度」の様に、固有名詞等の誤解を招かないような表現を工夫してみる。

【委員】
 今のことに関連して、例えば経済産業省と同じ事項を表す言葉が違っていたりするので、「ここでは科学研究補助金制度のようなプログラムに相当するものを想定してそのように呼ぶ」といったような形で、定義に相当するようなものを注で示した方がいい。経済産業省では、施策と一緒にしたような形で考えている。

【事務局】
 全体の構成の概念整理として、10ページの3.1に研究開発施策の構成が書いてある。政策目標を達成するために策定した研究開発戦略等と、政策目標を具体化するための研究開発制度等とを合わせて施策としており、2ページの研究開発制度は、施策評価の一部の研究政策目標を具体化するための研究開発制度を抜き出して書いてある。そこのところの概念がうまく整理されていないので、定義をするなどして、ここの体系が明確になるように工夫をしたい。戦略というのは、もう少し大きなもので、ライフサイエンスだったらライフサイエンスの中でどういう課題に重点的に置くかというような戦略である。それを具体的に実施するものとして、例えば科研費等の競争的資金という具体的な制度を行っていく。その全体をひっくるめて施策と提示をしている。その辺りの概念を明確にする。

「第2章」

【委員】
 評価者の責任と自覚のところで気になる点がある。評価者がなぜ責任と自覚を持たなければいけないかというと、論点としては、その影響が大きいからということであり、確かにそのとおりだが、それに加えてもう1つ、評価者がどのぐらい本当に公正に判断できているかということが、こういう制度の信頼性の根幹だと思う。昨年、『ネイチャー』のカバーストーリーに、ピア・レビュー等で、たちの悪い評価者がいて、論文を盗用したりして結構問題になっているという記事が出ていた。評価というのは、評価する人間の観点が非常に大きな重要性を持ち、そこに信頼性がないと、制度が成り立たないと思う。したがって、影響の重要性と同時に、評価者自身が制度の信頼を保つ根幹になるということも織り込む必要がある。

【事務局】
 今の点は、4ページの2つ目のパラグラフに関連することである。そこでは、「自らの評価結果が後の評価者によって評価される」、また「最終的には国民によって評価される」と記述しており、国民に信頼を受けているということがこの評価システムの維持につながるということを述べようとしている。

【委員】
 評価される側から見て、制度の信頼性は非常に重要である。

【委員】
 そのとおりである。ここがしっかりしていないので、評価が嫌がられる。

【委員】
 2.3.3.3の評価項目の抽出だが、例えば機関評価等では、もう少し別の項目があると思う。共通事項のトーンとして、課題評価が念頭にあるような印象を受けるが、機関評価も入るので、そういった観点でもう一度見ていただきたい。

【事務局】
 確かに、機関の運営に関する評価の観点が読みにくいので、その記述を加えてみる。研究開発の実施面については、課題評価と業績評価の集積なので、これの積み重ねになっていくと思う。運営面での評価の項目を付け加えることによってそこを浮かび上がらせるように工夫してみる。

【委員】
 2.5項の評価における負担の回避のところで2、3点程。まず1行目の「評価に伴う作業負担が過重となり、本来の研究開発活動に支障が生じないよう」に何となく違和感がある。これは、評価というのは片手間にやっておけばいいのではないかというイメージがあり、前から気になっていたところである。ここの表現を少し変えて貰いたい。先程の評価者の責務等と連動しないような気がする。
 次に、「可能な限り簡略化した評価を行うなど」とあり、確かにこうすると負担の回避になり、これでもって効果的あるいは効率的な実施はできると思うが、一方で3.2.2.1に「少数意見も尊重し、斬新な発想や創造性を見過ごさない」とある。前から議論になっているが、ルーチン化された評価に乗らないようないい発想のもの、基盤研究、独創性のあるもの等は何らかの方法ですくい上げる必要がある。これはどこにも出てこないものなので、単なる負担の回避だけでこのようにルーチン化して逃げてしまっていいのかという気がする。何らかの方法で、工夫してこの中に入れておいた方がいいと思う。

【委員】
 今の意見と評価を定着させる方法とに関連するが、ここに書かれていないところで、簡便にやれるような評価がある一方で、かなり時間等をかけなければまずいこともある。我々の場合、プロジェクトの評価委員をお願いするときは、例えば、きちんと予算を手当てして、謝金を西欧並みにする必要があるといった議論をしている。日本の場合にはとかくボランティアみたいになってしまうが、それでは難しい面もあるので、評価委員等に対する予算的手当てをするとか予算的裏づけなどもとって、きちんとした評価をできるようにする。そのようなことも書いておく必要がある。

【事務局】
 今の指摘については、3ページの評価システムの構築の中で、文部科学省および研究開発を行う機関の役割として、「評価に必要な予算、人材等の資源を確保して、評価体制を整備する」と記述してあり、システムの中で行っていくということは入れている。
 先程の議論で、評価が片手間云々というのは、確かに全体を見るとそういう雰囲気になるので、2.5の表現を少し工夫してみる。例えば「本来の」があると、評価が従属的という感が非常に強くなるので、「本来の」を削除するとか。また、可能な限り簡略した評価は、評価の目的を損なわない範囲で行うといったことを明確にする。

【委員】
 9ページのエフォートというのは何なのか。

【事務局】
 エフォートは、年間全仕事時間の内、当該研究開発に従事する時間のことであり、主として競争的資金の審査で使われる概念である。当該課題の提案者が、その課題に自らの研究時間をどの程度の割合を割いて行うのか。また、他にどういう研究課題を抱えているのかなどを示す指標である。

【委員】
 これはクオリティーが入っていない指標である。これは研究者を労働者に追いやるものである。達人はパッとでき、下手は幾らやってもだめなのである。こういう指標は余りよくないと思う。評価の問題もそうで、見るべき人が見たらパッとわかるが、下手な評価者がやれば、1週間つぶしたり2週間つぶしたりして、何の正当な評価もできないのである。
 また、これは100%を超えていたらどうなるのか。1週間に40時間働く人と、我々みたいに90時間働いている人との違いはどうするのか。

【事務局】
 エフォートが導入された経緯、またエフォートは何に使うのかという点だが、今の話の様に、達人はそれこそ短い時間でできる。できない人は幾らかかってもできないが、審査においてこれだけの仕事をどのぐらいの時間でできるかということを評価するという趣旨ではない。マルチファンディングを進めていくと、いろいろなところから1人の研究者が資金を得ていくという事態が起こり、そうなった場合に1人の人が抱え切れる以上のものを抱えてしまい、そのことにより研究費が死に金になってしまわないように、事務的に判断をする指標である。
 研究者が例えば週に40ではなくて90時間働くのであれば、当然90時間分の幾つということで、判断すべきものであり、そのような性格のものであるということを補足する。

【委員】
 今ので趣旨はよくわかるのだが、現実問題として、ある所にものすごく資金が集中しているという事態が起こっているのだと思う。つまり、文科省だけからではなくて、産業界からも含め、いろいろなところから、お金が行くことが起こっているので、こういう概念を導入したのだろうが、研究者から見るとこれはものすごく反発を食らうシステムである。例えば実際にいろいろなところで兼任等をしている場合、いろいろやって足し算すると100何十%になる。これはどうしてくれるというようなことがきっと起こってくると思う。したがって、こういう概念を導入するのはいいが、その扱い方はものすごく慎重にしないといけないと思う。

【委員】
 私も研究者であり、今のような意見はわかるのだが、きちんと行っている研究者には不要かもしれないが、チェック機能という存在としては必要だと思う。

【委員】
 2.4評価結果の取り扱いのところで、評価結果を資源配分等に反映させるという立場から書かれているが、研究の進め方や内容について出た指摘を、評価された側がどういうふうにするか、すなわち、評価がどのように使われたかという検証、フォローアップかもしれないが、評価を研究に活かすという取り扱い方が大事であるという記述を入れた方がいい。
 例えば、私どもでは機関評価の結果に対しては、アクションプログラムを作って、指摘事項に対してどう対応するかというのを全部やる。また、その対応策がどのぐらい実行されたか、フォローアップを行う。これも大げさにやると、研究者とか支援組織にものすごく負担がかかり、研究の障害になるかもしれないが、適切に行えば、自分達の行っている研究を反省して、方向をきちんと定めることにつながる。

【事務局】
 その点については全くそのとおりだと思っており、2.4.1の反映プロセスの中で記述している。この最後の一文に「その上で」と書いて、文部科学省および研究開発を行う機関等と代表させてあるが、「これらの検討結果や反映状況も含め公表する」というのは、どういう検討をしてどう反映してきたかということを見て、対応するというイメージである。

【行武委員】
 もう少し何か加えて貰えないか

「第3章」

【委員】
 「評価者名の公表における配慮」のところで、特定されないように配慮すると書いたり、また公表しなければいけないと書いてあるところもあるが、実際のところどうするのか。

【事務局】
 基本的なルールは公表するということである。ただ、課題評価の場合、制度によっては1対1対応になることが必ずしも望ましくない、すなわち、ある人がある課題を評価したということが余り早いタイミングでわかると、被評価者側に場合によってはいろいろな軋轢を生じることがある。工作といったら言葉は悪いが、いろいろな利害関係を生むこともあり、そこはその制度や評価の実態に合わせて、特に課題の場合はそのような可能性等に配慮が必要ということで入れている。

【委員】
 3.2.1.6その他で、「国費の負担度合い等を勘案し」というのは、具体的にどういうことを意味しているのか。

【事務局】
 こちらでイメージしているのは、民間への委託や共同研究のときに国が9割を出す研究と1割を出す研究では、自ずとその評価に対する国の関与にも差があっていいという考え方である。

【委員】
 それは、1割だったら少し甘くしてもいいという意味なのか。その様に解釈されてしまう怖れがある。

【事務局】
 例えば、国側が9割であれば、その研究は本来国側のニーズに応えるのが9割だろうといった観点も含めて、単に手を抜くといった意味ではなく、その方法の観点の設定とか様々なところでそういう配慮が働くという意味である。

【委員】
 度合いというのは割合だけではなくて額も入っているということか。

【委員】
 3.2.2.1の斬新な発想、独創性というところで、以前にも述べたが、研究計画・評価分科会で研究者の思い入れをどこかで評価してほしいとか、どこかで残すべきだというような発言があった。それは画一的な評価方法から避けるものを何とかというような想いからだと思うし、そういった思い入れや、あるいは研究の長期戦略やシナリオが継承されていくべきだということだと思うが、そういうことをどのように評価するかについて、どこかに表現しておく必要がある。

【事務局】
 入れ込んだつもりだが、6ページの評価に当たり留意すべき事項の中で「さらに、被評価者が達成度を意識する余り当初の目標を低く設定することがないよう、意義のある課題に挑む姿勢を」と記述しているので、そこをもう少し充実するなど考えてみる。

【委員】
 3.4の下から4行目に、「さらに、研究者に加え、研究支援者についても・・・」とあるが、研究支援者まで評価の対象になるのか。

【事務局】
 大綱的指針の中に、「研究開発を推進するためには、研究支援者の協力は不可欠である」として、研究支援者の「貢献度等を適切に評価することが必要である」という記述があるので、それに基づき支援者に関する配慮も入れている。

【委員】
 プラスに評価するのはいいが、評価となるとネガティブにも評価せざるを得ない。支援者は支援者として別の評価システムがあり、そこに研究開発に貢献したということでプラスアルファの評価がなされるということではないのか。ここでの支援者の評価とはどういう意味なのか。

【事務局】
 大綱的指針の中では、プラスの意味での評価を書いているので、そこの記述を加えてそのニュアンスが出るように修文を行う。

【委員】
 実際には、研究所の技官の人達とか、研究所の中にはかなり大きな機械工作室等を持っていることがある。そのような研究所では、実際に、この研究所の機械工作室はきちんと機能しているかというような評価を行っている。それも研究支援者になる。したがって、いわゆる実際の研究の補助研究員としてサポートするという人だけではなく、両方含んでいるのではないか。

【委員】
 貢献度を適切に評価し、プラスに評価するのは、大変いいことだとは思うが。

【委員】
 これは、3.3研究開発機関の評価の中で言われているのですよね。3.3がそうあって、3.4でポンと離れてしまうから、別なことにとられてしまう。今のは3.3の研究機関の中で記述しているとよくわかる。3.4はちょっと別なので、これは一般的なことになってしまう。

【委員】
 かなりスペシフィックな指針であるべきはずが、だんだん広がってしまっている印象をここでも受ける。

【委員】
 競争的資金のポスドク等もみんな入ってしまうのか。

【事務局】
 研究者であれ研究支援者であれ、雇用形態の中においては、個人に対する何らかの評価はあると思う。大綱的指針に始まる国の研究開発評価の仕組みというのは、その様な評価において、研究開発という側面から見た場合の観点や、やり方といったものを具体化して、統一化するために作っている。その際、研究に携わる者として、研究者とそれを支援する人がいる。研究者についてはいろいろなことが述べられてきているが、支援者については余り述べられていない。
 そのときに注意が必要なのは、研究支援者を研究者と同じ観点で評価すると、研究支援者は劣るという評価になるのは当たり前なので、そこはそうではなく、研究支援者は研究支援者の役割があるから、その専門的な能力だとか、研究開発の推進に関する貢献度だとかといった別の観点をきちんと提示して、その観点から評価をすべきだということを大綱的指針は打ち出していると思う。
 実際はもっと具体化したいが、研究支援者の関わり方には非常にいろいろな幅があり、ケース・バイ・ケースだろうということで、総論的な表現に留めている。

【委員】
 研究者等の業績評価となっているから、極端なことを言えば、業績に関与し得ない立場の支援者もいれば、直接的に関与される方もいると思う。

【委員】
 例えば、事務的な補助をやってくれる補佐員なども研究支援者であり、この場合も、評価しなければいけないのか。

【委員】
 特殊技能等を持って、きちんと勤務していることを評価して、それにプラスアルファをするというのは、特別昇給のときなどにはどこでもされると思う。ここに書いて、研究支援者が「あれ、私たち評価されるの?」という怖れがないか。大綱的指針ではどうなっているのか。

【事務局】
 もう少し補足すると、まずその組織において、研究支援者というか、いわゆる研究者ではない人達も何らかの形で評価をされる立場にあると思う。ただ、研究という活動に関わっているのであれば、その研究について評価の視点に加える必要があるために、書き込んでいると理解していただきたい。したがって、実際に研究には全然関わっていないのであれば、当然研究の観点からの評価はないことになる。
 また、研究者の業績は目に見える形で出るが、研究支援者の方は、縁の下の力持ち的な形の目立たないものであり、それが業績として評価されないから、それで不利になるのだということではないと思う。ここでいう業績とは、学問的・研究としての業績というよりも、各人が持っている職分としての成果というように、もっと広くとるべきではないか。

【委員】
 それがきちんとわかるようにして貰いたい。つまり、技官の人等が疑心暗鬼にならないように配慮して貰いたい。

【事務局】
 方向性としては、大綱的指針にあるように、支援者の協力が不可欠であることから、貢献したものをプラスに評価するという趣旨であるので、そこを明確にしたい。
 
「第4章」

【委員】
 先程からの議論のように、この章の位置付けをはっきりさせる必要がある。

【委員】
 本日欠席の福山委員から、質問を預ってきている。大綱的指針の17ページの6行目で、「優れた成果については継続して配分される等切れ目なく研究開発が継続できるよう、適切に評価を実施することが必要である」と、競争的資金に対して大綱的指針が、たがをはめているように感じる。文科省案だと、12ページ3.2.2競争的資金による研究開発課題の3.2.2.2「優れた研究開発の継続への配慮」として、それを配慮せよと書いてある。優れた研究は継続できるように評価を行い、それを事前評価に活用しろと書いてある。ところが、18ページの「4.1.2.1.2競争的資金による研究」では、「科研費の場合には、事前評価に重点を置き一層の充実を図る」となっている。一層の充実を図るのは何でも同じなので、これは無視して考えると、事前評価に重点を置くとなる。そうすると、科研費だけは、継続とかいったことは今後も考慮しないととれるが、どうなのか。

【事務局】
 そこは、第3章までの総論が優先しており、その中には当然科研費も含まれる。また、異なる競争資金制度での継続も考慮しているので、科研費で行われたものが、例えば目的指向型のものに引き継がれる場合もある。また、「等」が付いているのは、競争的資金で芽が育ったものが、政策目的に沿った重点的プロジェクトとして取り上げられるということも含めてイメージしている。

【委員】
 それはわかるが、今後いい研究については継続するということが重点的に図られるのであれば、科研費のところにも記述されるのが当然なのに、科研費のところから抜けているのは何故なのか。

【事務局】
 先程の説明では言葉足らずだったかもしれないが、1章から3章までが基本的考え方、総論、そして各論ということで完結したものである。4章は3章までを適用するに当たり、学術研究なら学術研究について配慮すべき事項を上乗せしているというように読んで貰いたい。4章の冒頭で、その辺りを整理した記述がないので、ここは記述を追加する。
 したがって、4章の競争的資金による研究で書いてあることは、3章の競争的資金の評価に関する記述の上で、学術研究で付け加えて配慮が必要な事項であるという趣旨である。継続できることは重要であり、その評価をきちんと行うことは科研費にも当然求められ、それを行った上で全体的なバランスでいけば、事前評価の方を重視するということが、上乗せで留意事項としてあるというふうに思う。

【委員】
 今の答えは、科研費は今後事後評価を行う、と答弁されたのかを確認したい。科研費というのは、これまで事後評価がないという制度でもあった。

【委員】
 そのようなことはない。大きいものはきちんと行っている。

【委員】
 大きいものはですね。科研費は事後評価を行うか行わないかということについて、4.1.2.1.2では事前評価だけは重点的にやると書いてあるが、その他のところでは、事後評価もやって後に生かせと書いてある。この部分だけが事前評価に重点を置きと書かれているが、これは実は重大な問題であり、この部会がそこを盛り込んで案を出すわけなので、学術分科会の方でどのように議論されたのかを聞かせていただきたい。

【事務局】
 学術分科会でまとめたものも、大綱的指針を前提としている。課題評価については、一般原則として事前・中間・事後の評価を行う。ただし、具体的な評価方法は、研究開発の性格や規模に応じて適切に考える。これが大綱的指針の考え方だと理解している。
 科研費については非常に大型のものもあれば、額が小さいものもある。現状では、比較的額が大きいものは中間評価や事後評価も厳しく行われており、今後ともそういう方向で行っていけばいいのだが、科研費を全体として見た場合、特に他の競争的資金と比較して、かなり幅広い分野をカバーするというところが特徴であるので、その様な性格を考えると、事前評価を改善していくことが最も重要であると思う。特に、基盤的な研究を支援するための種目では、事前評価が大事だという考え方でまとめられている。

【委員】
 その時に、事前も事後も本当は両方行わなければいけないのだが、ものすごく負担がある。また、研究者は研究を長く行っていくので、事後というのは、次の事前と同じになる。次の研究費をとる際に、全てではないが必ずその評価を受けており、全く同じことを二度する必要はないだろう。

【委員】
 ここの書き方によって本質的なことが違ってくる部分が一つある。それは、今後の施策を考える際に、事後評価が非常によかったプロジェクトを生かすことによって新たな研究費が出てくる場合があるはずであるが、事後評価が明記されていないと、それが作れない。つまり、例えば科研費の特別推進とか、何でもいいのだが、その中で「非常にこの分野は重要だが、今年で終わってしまう。これは何とかしなければ。」というものが出てきて、よい評価で社会的ニーズも強かった場合に、大綱的指針でもそれを生かせと言っているし、この指針の3章までは言ってくれているが、個別論になった途端にその部分の表現がなくなってしまうと、科研費でよかったものはどうするのかということになる。そのようなことを考えると、ここで事前評価しか出てこないのは、片手落ちになると思う。

【委員】
 大きなものについては、5年継続のものを4年が終わった段階で評価して、早く次につなげることを確実にするという、具体的なものはある。このように、大型のものは具体的なプランができている。しかし、連続的だが非常に額が小さいものについては、事後評価は、その次の事前評価と同じでいいのではないか。

【委員】
 その定義ではここの定義と違ってくる。そうすると、ここの分類では科研費というのは全部小型に分類されてしまう。4.1.2.1.2は、科研費全体を言っており、科研費の中の大型は、その後ろの大型研究プロジェクトには入らないのである。

【事務局】
 3章までと4章との関係を、もう一回振り返っていただきたい。例えば、評価者に対する責務の問題だとか、非常に基本的なことを第1章から書いており、これは科研費の審査等においても守る必要のある内容である。1章から3章までは、科研費も含んだ全体の話であるということをまず徹底して貰いたい。したがって、心配なされている研究を継続させるということは、科研費の問題だけではなくて、日本の研究開発全体の問題である。したがって、基本計画の中でも大綱的指針の中でも非常に大きく取り上げられ、ここは大きな問題点として3章までにきちんと書いて、科研費も含めてぜひやっていくようお願いしたい。
 4章というのは、その中で学術研究において個別の問題として特に触れておく必要がある内容に限定されているものと理解していただきたい。科研費の部分というのは、どちらかというと事前評価を重視しているという性格があり、4.1.2.1.2に、「事前評価に重きを置き」という言葉になって現れている。

【委員】
 その様な趣旨だとすると、科研費のところは、後ろの方が先で、「研究種目の性格や研究費の規模に応じて、例えば事前評価に重きを置くなどの効果的・効率的な評価方法を行う」、ということではないか。

【事務局】
 それでいいと思う。もしその方がよければ、そのようにする。

【委員】
 これは表現の問題かもしれないが、19ページの注の上の3行の所について。「大学は教育機能も極めて重要な要素である。」というのはそのとおりだが、この指針としては、大学における研究を適切に評価して研究を進めていこうという、コンセプトで作られているので、問題は、「教員の研究指向に拍車がかかり」という文言は不要だと思う。これには、研究指向は悪いのだというニュアンスがうかがえる。「研究面での業績のみが重視されることによって、大学等における教育面での機能の低下をもたらさないように留意する。」これで十分だと思う。

【事務局】
 そのように修文する。

【委員】
 先程からの最終的な詰めの問題だが、第4章というのは、3章、2章、あるいは大綱が優先するという答えであったが、どこに明示的に書いてあるのか。

【事務局】
 先程の議論から、第4章の柱書きとして、大学等の特性に配慮する必要があるので、第1章から第3章までの記述に加えてこういったものを出すということで、第3章プラス第4章の配慮事項だということを明示したいと思っている。

【委員】
 つまり、第3章までの記述の方が第4章に優先するととっていいのか。

【事務局】
 例えば第3章までの記述で、基礎から応用まで幅広く書いてある場合に、これが優先するという言い方は難しいと思う。ただ、第1章から第3章までに例えば基礎から応用までの全体に非常に幅広いスペクトラムで評価項目があった場合に、学術においては特に基礎に係る部分を適用するというようなことが読める場合は、合わせて読んで幅広い部分の基礎部分を適用するという解釈になる。したがって、優先ということではないが、その2つを合わせて反しない限りは、1章から3章のことが採用される。

【委員】
 今後例えば文科省の助成課等が、例えば特別推進等の非常にいいものについて継続する努力をしなかったときに、例えば私たちが、そういうことを努力しないのですかと言うときに、この文章だけだとあたかもこの4.1は例外事項を作っているというようにも読めなくもないのである。つまり、科研費についてだけはやらなくてもいいとも読めてしまう。文章だけがすべてなので、ここで理解して下さいと言われても、文章に書いていないと、これは例外規定であると決めたのだともとれるわけである。3章までにすべて書いてあるから、4章はそれに入っていないところについて特別書きたいことだけを書いたのだと説明されたのだが、これは例外なのかどうなのか。この4章は、ここに書かれたら科研費については事後評価も特にやらなくてもいいし、あるいは継続するなどの努力は除外されているともとれる。そこのところだけ、何とかならないか。

【委員】
 今のところに関係してくるが、大綱的指針の7ページ2章の1に評価対象ということが明記してある。評価対象は、施策と課題と機関と研究者だと書いてある。この4つが評価対象だと明記したことは非常に大きな進歩であり、これをシンプルに文科省の草案でも継承しているのは、非常にすっきりしていると思う。評価対象のことを規定した大綱的指針の最初の2行に、「評価対象を明確かつ具体的に設定し、その内容を被評価者に事前に周知する。」と書かれているが、これが主語不明の文章であり、これに主語と主体を与えて貰いたい。研究開発施策、課題、機関等、その研究評価対象の人達が、この評価対象の内容を具体的に設定して、その内容を被評価者に事前に周知するという、この辺りのメカニズムが不明確なのではないかと思う。施策や課題を持っているところや研究機関等が、主語になるのではないかとは思うが、ここに記載しておくべきである。
 文科省の草案の場合は、第1章の1.3の評価の対象とその基本的な考え方のところになるが、本指針は研究開発施策と課題と研究開発を行う機関等、研究者等の業績、この4つを評価の対象とすると言っている。機関の場合は明確であり、研究開発する機関がおのずと独立行政法人とか大学という単位において、評価の対象として自発的に評価の内容等を決めて、内部の被評価者に事前に周知することになると思う。ここの主語がよくわからないので、その主語をはっきりさせておく。施策の場合、課題の場合、研究開発機関の場合は自明だが、研究者の場合は誰なのか。そのようなことがここに書かれていると、大綱的指針の実施に非常に具体的になると思う。そこの部分が不明確だから、施策とか課題に関わる所になると、今のような問題が起こるのではないかと考えている。

【事務局】
 それは3章の各論のところで、例えば施策の評価であれば文部科学省が行うということを明記してあり、評価方法に、例えば研究開発の施策の所管部局が施策の評価を行うと書いてあり、その点については、3章の中で明示している。

<今後の進め方>

【事務局】
 本日の議論を踏まえて、修文を行うとともに、分科会に対してこの指針(案)を提示する。そこで出た意見をさらに加えて、最終的な意見募集版を作る予定である。その案文の作成については、別途行政文書としての体裁を整える作業が残っている。
 本日の意見の収斂・反映、及び分科会での意見の反映、さらに行政文書としての体裁を整えることの3点を、部会長と事務局との作業とさせていただきたい。意見募集にかける前に、取りまとめたものを皆様に送って、確認をいただく時間をとりたいと思っている。

<今後の予定>

  • 3月18日 研究計画・評価分科会にて指針(草案)の報告。
  • 3月下旬~4月下旬(1カ月程度) ホームページ等を使った意見募集。
  • 意見募集の結果を踏まえ、次回の部会で議論を行い、部会として最終的な指針(案)として取りまとめ。
  • 取りまとめた指針(案)は、研究計画・評価分科会や科学技術・学術審議会に上げる。その過程で学術分科会にもフィードバックを行う。

(了)

お問合せ先

科学技術・学術政策局計画官付評価推進室

(科学技術・学術政策局計画官付評価推進室)