研究評価部会(第1回) 議事要旨

1.日時

平成13年7月18日(水曜日) 14時~15時33分

2.場所

経済産業省 別館 944会議室

3.議題

  1. 部会長及び部会長代理の選任について
  2. 研究評価部会運営規則について
  3. 研究評価部会の審議内容の公開の手続きについて
  4. 研究評価部会の概要について
  5. 科学技術振興調整費による実施課題等の中間及び事後評価の進め方について
  6. 大型放射光施設(SPring‐8)プロジェクトの中間評価について
  7. 下部組織の設置について
  8. 科学技術政策基礎調査の報告について(「我が国における技術発展の方向性に関する調査」第7回技術予測調査)
  9. 大綱的指針の改定について

4.出席者

委員

 野依部会長、田村部会長代理、大内委員、大谷委員、大橋委員、奥田委員、小幡委員、加藤委員、渋谷委員、田中委員、長谷見委員、平澤委員、福山委員、山本委員、行武委員

文部科学省

科学技術・学術政策局
 山元局長、井上次長、磯田政策課長、川上計画官、宮下評価推進室長、植田科学技術振興調整費室長
研究振興局
 勝野大型放射光施設利用推進室長
科学技術政策研究所
 桑原科学技術動向研究センター長 

5.議事要旨

(1)互選により野依委員が部会長に、部会長の指名により田村委員が部会長代理に選任された。

(2)「科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会研究評価部会運営規則(案)」が承認された。

(3)「科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会研究評価部会の公開の手続きについて(案)」が承認された。

(4)野依部会長、山元局長の挨拶に引き続き、事務局から研究評価部会の概要について説明があった。

【野依部会長の挨拶】
 部会長に就任させていただいたわけですが、研究評価については、第2期科学技術基本計画において重要性が指摘されており、本部会の果たす役割は大変重要であると思っております。私は現役真っ盛りの研究者ですので、研究評価については、いろいろな思いが交錯しておりますが、基本的に評価結果は、研究活動の中身に活かされなければいけないと思っております。
 研究者の方から見ると、ともすれば評価は、自分の研究を理解してくれない人達による非難あるいは批判という風に考えられており、研究者が受け身になっていることは大変残念です。辞書を引くと、「評価」とは「真・善・美、さらに物の価値を定めるとともに、物の価値を高める」ということであり、我が国の評価においては、この観点が若干欠けていると思っており、それが少し残念です。
 いずれにしても評価はきちんとやる必要があります。本部会の任務ですが、科学技術振興調整費により実施した課題等についての中間・事後評価、研究評価のあり方の検討、SPring-8等の研究開発プロジェクトの評価等について、幅広い議論を行っていただくことになっております。委員の先生方からは今後の審議の方向性について、忌憚のないご意見を伺いたいと思っています。
 部会長に就任させていただき、大変責任の重さを痛感しているわけですが、委員の先生方のご協力を得つつ、部会の意義ある、そして円滑な運営に努めてまいりたいと思います。よろしくお願いしたいと思います。

【山元局長の挨拶】
 山元でございます。先週、前任の大熊局長を継いだわけでございます。微力ながら精一杯事務局として努力させていただきたいと思います。今後評価部会の委員としていろいろとご審議、ご検討いただくわけですが、よろしくお願いいたします。研究評価のポイントのところは部会長からお話がございましたが、私の方からは研究評価を取り巻く最近の動きをご紹介させていただきたいと思います。
 平成9年8月に国の研究開発の評価に関する大綱的指針が内閣総理大臣決定されまして、これを受けて、関係機関において、外部評価という形で課題評価や機関評価を行うことがスタートしたわけです。それまでも評価は行われていたわけですが、大きく評価がなされ始めたわけです。その中で、評価結果の公開が次の評価への活かし方になりますので、旧科技庁において評価白書という形で取りまとめさせていただきました。
 それから最近の動きといたしまして、自民党の科学技術創造立国調査会の中でも研究評価に関する小委員会が開かれ、評価の議論がなされております。
 当然のことながら、科学技術基本計画の中にも評価に関して記述がなされ、大綱的指針の改定について、総合科学技術会議でまさに今審議中と聞いております。この秋には、総合科学技術会議から大綱的指針の改定の答申が示されてくると思います。
 評価の議論というのは、各委員の方々の思いが出てくる活発な委員会になるのではないかと予想しているところです。よろしくお願いいたしたいと思います。

(5)科学技術振興調整費による実施課題等の中間及び事後評価の進め方について、事務局より説明があった。

 資料5-1(「科学技術振興調整費による実施課題等の中間及び事後評価の進め方について(案)」)および資料5-2(「平成13年度科学技術振興調整費による実施課題等の中間及び事後評価の実施について(案)」)が承認された。

(6)大型放射光施設(SPring-8)プロジェクトの中間評価について、事務局より説明があった。

(7)下部組織の設置について、資料7のとおり科学技術振興調整費とSPring-8のワーキンググループの設置が承認された。

(8)平成11年度~平成12年度科学技術振興調整費により行われた科学技術政策基礎調査(第7回技術予測調査-我が国における技術発展の方向性に関する調査-)の報告が、科学技術政策研究所桑原科学技術動向研究センター長より行われた。

<質疑>

【委員】
 これは30年ぐらいやってこられて、その時々、どういう結果になりましたか。当たっていたのですか。

【事務局】
 時間がなかったので省略いたしましたが、白い表紙の資料の17ページに71年、76年、81年の調査の3つグラフが載っております。2000年の時点で、当時予測した技術の内容が達成されているかどうか評価をしました。結果は大体60数%から70%ができている。逆に3分の1ぐらいは2000年に至るも実現していないという比率であり、分野による差がかなりあります。
 右上の第3回のデータからわかりますが、例えばライフサイエンス、保健・医療、生命系はいわゆる打率のいい分野であり、情報、通信等の分野は中間的な分野であり、エネルギー・資源、材料、交通・運輸等の分野につきましてはなかなか予見が難しかったというように分野に依存性があるという傾向が出ております。

(9)大綱的指針の改定について、資料9-1から9-3に基づき事務局より説明。

<質疑>

【委員】
 改定により、評価の方法をもう少し効率化するとか充実するということですが、評価の精神が変わるとか、方向が変わるとかということでしょうか。資料9-2で明らかに前回と変わった点というのはどれですか。

【事務局】
 現行の大綱的指針においても、公正さや透明性の確保、あるいは資源配分の反映という言葉は書かれており、これらについてはより徹底していく。現在まで行ってきていることも、さらに充実させていくということであり、方向性が大きく変わるということではありません。より良い評価を行っていくために、いろいろな工夫をしていこうということが基本になり、そのために、評価のやり方であるとか、これまで行ってきたことの反省とかいったものを踏まえて、研究者の方が参考となるような指針に変えていこうと検討を進めていると理解しております。

【委員】
 研究者の業績評価は大きな変更というか、付け加えられたことですね。

【事務局】
 現行の大綱的指針では課題評価と機関評価が中心になっており、研究者評価については特に指針的なものは書かれておりません。研究者の業績評価について、どう表現されるかは、まだ詳しい内容がはっきりしておりませんが、各機関において行うよう、項目を付け加える方向で、大体まとまってきている状況です。まとまると、各機関でこれを指針としてやっていただくことになろうかと考えております。

【委員】
 ぜひ研究者をエンカレッジする方向でやっていただければと思う。君はあまりやっていないじゃないかと非難、批判に終始しないように、お願いしたいと思っております。

【委員】
 今日はかなり一般論のようですから、一言だけ。評価結果を資源の配分に反映させることは当然だと思いますが、今後の研究開発に役立てるという点を強調してもいいのではないかと思います。特に中間評価では、その結果を、その後に反映させるチャンスがいくらでもあると思います。
 評価する側はいろいろ聞いて評価しますが、その結果に対して、評価される側が意見を申し述べる仕組みがあってもいいのではないかという気がします。評価する側は非常にきちんと行っていますが、神ならぬ身ですから、どこか間違いがあるかもしれません。だから最終的な評価になる前に、意見交換をやる機会があればいいと思います。
 例えば、論文を出すと、レフェリーが何人かついて、非常に厳しい評価を受けるわけです。その時に、レフェリーだけの意見だけではダメでも、書いた本人とレフェリーとの間でやり取りが行われ、それを通じて最終的に論文が受理されるかどうかが決まります。このようなシステムが必要ではないかと思います。

【委員】
 おっしゃるとおりですね。本当に独創的なものは評価されませんから。よろしくお願いいたします。

【事務局】
 今の点ですが、総合科学技術会議の議論の中でもそのような意見が出ております。ただ、評価結果がまとまる前の段階で意見を言うのか、結果が出てからになるのか、あまり詰まってはおりません。しかし、評価する側とされる側の間で意見交換みたいなものをすることは、課題等の性格によっては必要ではないかというような意見は出ております。

【委員】
 評価ということですから、いろいろな意味で研究費のシステム自身の評価ということになってくると思います。研究費という限りコストパフォーマンスが当然議論になってまいります。その際、量的拡大ではなく、質というものを大事にしなければいけないと思います。
 今朝の朝日新聞に引用頻度のことが出ており、日本の基礎学術は分野によっては比較的よくやっているという論調だったと思っております。「引用頻度」=「質」というのは抵抗がありますが、100万米ドル(約1億2000万)かけて、どのぐらいの引用頻度が得られているか考えてみると、日本のコストパフォーマンスは非常に悪く、アメリカ、イギリスに比べて、3倍から3.5倍高くついていると言われています。
 これは私ども研究者が甘受しなければいけないことかもしれませんが、ここで申し上げたいのは、日本の研究コストが著しく高いということです。アメリカで100万米ドル使うとしたら、日本は同じ金額を使っても、5000万円ぐらいの使いでしかない。
 研究費の数え方は、施設、人、物、いろいろありますが、少なくとも物に関して、日本は2倍以上していると思います。2倍以上になると、研究者の努力でコストパフォーマンスを同じにするのは不可能です。研究者の努力で改善できるのは、恐らく20%位だろうと思います。始めから研究費が2倍かかっているのでは、追いつけ、追い越せと言われても不可能です。
 一つ考えなければいけないことは、我々の研究費はどこに流れているのだということです。科研費にしても1500億を超え、他の競争的資金も入れれば3000億ありますが、みんな欧米に行き、特にアメリカに全部流れている。大型の機器は当たり前ですが、中型の機器もアメリカ製ですし、もっと小さな化学試薬であるとか、DNAチップ、全部アメリカです。
 こういうことで、日本の研究コストは大変高くついている。だから研究者の立場からすると、数字は比べられないと思うのです。まさに日本の基礎研究は空洞化している。みんな外国に物が依存しており、これでは競争にならないわけです。基礎学術をやっている者からすれば、研究費が高くて競争にならないということです。

【委員】
 私は研究者ではないのですが、現行の大綱的指針以降の他省庁での評価に、2、3加わった経験から申します。特に政策目的型プロジェクトなどの場合、第三者評価ということで行われておりますが、集まってみたら第三者ばかりで、このプロジェクトが、あの段階でどのような目的で採択になったのか、誰もわからないというような評価部会が結構あります。
 当時の担当者も、決めた方もいないので、多分こうだっただろうということで、事後評価だけをして、大きなプロジェクトの評価が空洞化しているような感じが非常にいたしました。
 特に大きなプロジェクトの場合は、当事者を含めた評価がきちんと行われず、当事者の意図なく、第三者が評価しているというのは非常に具合が悪いので、どういう意図で、どうしてこのようになったかということが、きちんと次の第三者評価の時にわかるようにしていただけるとありがたいです。それが当然だと思います。

【事務局】
 科学技術振興調整費につきましては、各種制度がありますので、制度によって、全部狙いや目的が違います。単なる研究の評価というよりは、制度、狙いに合った形で成果運営がなされているかと、制度毎の中身をよく見ていただきたいし、そういうことで説明ができるかと思います。
 最近は、きちんと評価ができるように、テーマをスタートさせる時に、各課題毎に目標その他、できるだけ数値化して、評価のための参考になるような狙い等を明らかにしているはずです。
 それから先程の部会長のお話は、おそらく今の基盤部会の議題でも当然にやっていただける課題かと思います。そういうことで、研究評価のあり方の議論イコール制度に対する注文、その他政策に対する注文、いろいろとあるかと思いますので、そのあたりは全部出していただけたらと思っております。

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科学技術・学術政策局計画官付

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