研究評価部会(第32回) 議事録

1.日時

平成20年11月21日 13時30分~15時30分

2.場所

文部科学省 3F 2特別会議室

3.出席者

委員

笹月部会長、相原委員、青木委員、有本委員、大隅委員、大泊委員、小川委員、小林委員、諏訪委員、田島委員、中西委員、西島委員、野田委員、平澤委員、広瀬委員、持田委員

文部科学省

(科学技術・学術政策局)
柿田計画官、沼田計画官補佐

4.議事録

【笹月部会長】  それでは、定刻となりましたので、第32回科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会研究評価部会を開催いたします。

 本日は、議事次第にありますように、「評価システムの改革について」、さらに「文部科学省における研究及び開発に関する評価指針の見直しについて」、この2つのご審議をお願いしたいと思います。2つ目の「文部科学省における評価指針の見直しについて」が、しっかり決定しなければいけないことでありまして、前回も話題になりましたが、そのためにも、評価システムをしっかり考え、その改革についても総論的、各論的に議論すべきだろう、あるいは共通の認識を持つべきだろうというご意見もございましたので、最初に、その評価システムの改革についてのご審議をお願いしたいと思っております。

 それでは、事務局より、配付資料の確認をお願いいたします。

 

【沼田計画官補佐】  それでは、お手元にございます配付資料の確認をさせていただきます。

 議事次第のとおりでございまして、配付資料1-1が、評価システムの改革について-検討の項目-(案)。資料1-2が、評価システムの改革の課題に関する主な意見。資料1-3が、研究評価部会、前回と前々回における主な意見でございます。資料2-1が、文部科学省における研究及び開発に関する評価指針の見直し案。資料2-2が、見直し案の目次。資料2-3が、評価指針の見直しにおける検討の視点に関する意見。資料2-4が、「国の研究開発評価に関する大綱的指針」、こちらは、10月31日に総合科学技術会議本会議に諮られた後、内閣総理大臣決定されたものでございます。机上資料といたしまして、「文部科学省における研究及び開発に関する評価指針」の現行版を配付してございます。

 以上でございます。欠落等不備がございましたら、事務局までお申し出ください。

 

【笹月部会長】  どうもありがとうございます。

 それでは早速、議題1「評価システムの改革について」に入りたいと思います。前回の評価部会におきまして、この問題に関しまして、さまざまなご意見をいただいております。また、会議の後に、事務局あてにご意見をご提出いただいておりますが、これらのご意見も踏まえながら、評価システムの総論的といいますか、そもそも論を含めてご議論をお願いいたしたいと思っております。

 それでは、議題1に関する資料の説明を、事務局からお願いいたします。

 

【柿田計画官】  それではご説明いたします。資料1-2に、委員の皆様からお寄せいただきました、「評価システムの改革における課題等に関する意見」として取りまとめております。それから、前回あるいは前々回の部会における意見ということで、資料1-3を配らせていただいておりますが、これらをまとめまして、資料1-1「評価システムの改革について-検討の項目-(案)」として取りまとめさせていただきました。

 これは冒頭、部会長からもお話がございましたが、10月末に、内閣総理大臣決定という形で、国の研究開発評価に関する大綱的指針が取りまとめられました。それを受けて、文科省を含め各省が、速やかにそれぞれの役所の評価の指針を改訂するということが求められておりまして、その作業を進めさせていただいているわけでございますが、それは議題2になりますが、それはそれとして、そもそも今後、これからに向かって、評価システムにさまざまな課題があるということで、一度きちんと論点を整理する必要性を、前回の部会でご意見をいただきました。それをまとめた資料になります。まず、これについてご説明いたします。

 1番目でございますが、研究開発の性格に応じた多様な評価方法の検討ということでございます。研究開発と一口に言いましても、例えば基礎研究の中でも、自由発想に基づくものとか応用を目指すもの等々、いろいろな種類がございます。それから政策課題対応型の研究とか、より経済的な価値につながるようなイノベーション指向型の研究開発とか、さまざまな研究開発がございます。それらに適した評価の視点というものを考えていく必要があるだろうという検討項目でございます。

 2番目が、研究開発に適した評価の観点等の検討ということで、現行の文部科学省の評価指針におきまして、評価の観点として、「必要性」、「有効性」、「効率性」が掲げられておりますが、これらについても、よりふさわしいものに改める必要があるのではないかという点でございます。

 3番目は、世界水準の視点での評価のあり方の検討ということで、今回、大綱的指針に、「評価の国際的な水準の向上」ということで、評価の質を高めるということが新たに入ったわけでございますが、実際に評価をするに当たって、どのように実施していくのかという面において、しっかり検討する必要があるということでございます。

 4番目は、研究活動を支える組織、次世代の人材を育成する組織の役割を重視する評価の視点の検討ということで、第3期の基本計画では、モノから人へ、あるいは機関における個人の重視ということが掲げられているわけでございますが、個人といいましても、主任研究員クラスの、いわゆる競争的資金を中心となって使う人たちに光が当たって、そのもとでの若手、あるいはポストドクターといった方々が十分育つ環境になっていないというのが現状と考えられるということで、やはりそこは、しっかりそういった人たちも含めて、個人を支える機関の役割を重視するような評価の視点であるとか、あるいは個人の重視として、次世代の人材を育成を重視するという評価の視点といったものが大事であるという検討事項でございます。

 5番目は、研究開発評価に係わる専門人材の育成の検討でございます。各機関において評価をやっていただくわけですけれども、それらに当たる専門性を有する人材の育成は、引き続き重要であります。また、そういった人たちのキャリアパスをしっかり作っていくということが、あわせて重要になるということでございます。それからもう一つは、専門的な見地からきっちりと評価について研究し、あるいは評価というものを遂行していく人材の育成ということも、あわせて必要であるというご意見でございます。

 6番目は、研究開発の施策レベルでの評価のあり方の検討ということで、国の政策があって、その目的・目標の実現に向けて、それぞれの研究開発活動があるわけですけれども、一番大事なのは、政策目標の実現に向けて、成果として、アウトカムがどう出たのかというものを評価するに当たっては、施策レベルできちっと評価するような枠組みを整えることが必要であるという検討項目でございます。

 7番目は、効果的・効率的な評価手法の検討ということで、評価の作業負担の回避という問題は以前からあるわけでございますけれども、評価者、被評価者の双方にとって、より望ましいといいましょうか、効果的で効率的な評価といったことを追求していくということも大事な検討項目であるということでございます。

 8番目は、PD、PO制度改革の検討ということで、特にこれは競争的資金制度の中における課題でもあるわけでございますが、PD、POの権限、責任の明確化等々、PD、PO制度の改革についてもきっちりと検討していく必要があるということでございます。

 これらの検討事項につきましては、今回、文部科学省の評価指針の改定とあわせて、検討項目として明確化していただいて、具体的には、第4期科学技術基本計画の検討が文部科学省でも来年夏ごろから本格的に始まりますが、そこの議論につなげていくために、それまでの間に、しっかりと文部科学省がこれらの検討項目を受けとめて、検討していくということで考えております。

 以上でございます。

 

【笹月部会長】  どうもありがとうございました。資料1-2は、前回の会議後にいただいたご意見ということですね。それから資料1-3が、前回、前々回に、既にこの席上でいただいたご意見であります。

 それでは、資料1-1、検討の項目(案)ということで、これを柱としてご意見を伺いたいと思います。できればこういう項目に関して、例えば検討すべき項目としての追加とかそういうことも、あわせてご指摘いただければと思います。それぞれの項目について、詳細を1つ1つやっていますと幾ら時間があっても足りませんので、一応、ここに項目立てされているものについて、「・」でいろいろ書かれておりますが、これ以外にもこういうことがあるぞということ、あるいは、立てられた8項目以外にも重要なものがあるというような点で、ご意見を賜ればと思います。

 各論については、今後とも議論を進められると思いますので、そもそも論と総論的なことも含めて、まず、ご自由にご発言、ご意見を賜ればと思いますが、よろしくお願いいたします。

 どうぞ、有本委員。

 

【有本委員】  資料1-1で、私も事務局に事前にコメントしたのですけれども、第4期に向けて、長期的なしっかりした視座で、どういう項目があるかということを見据えておくということが非常に大事。第4期は2015年までなんです。これは非常に大事で、2001年に総合科学技術会議ができ、そのときに第2期の科学技術基本計画ができて、4プラス4分野も含めて、評価のいろいろな考え方についても基本的なところが出て、それがずっと底流になっているわけです。その部分について、どこを直すのか、どこを維持するのかということが、2015年までかかるんだということを踏まえた上で考えるべきだと思います。

 その上で、1.について、多様な評価方法の検討というのは当然であるんですけれども、特に第4期の科学技術基本計画で想定されるのは、固定化して、いろいろないい面もあったんですけれども、弊害が出始めた重点4分野の考え方について、分野融合をどんどんやるべきだというような議論が想定されると思います。そういう意味で、最後の価値を生み出すための分野融合なり、学際的なものを指向する研究開発の評価をどう取り組むのか、長期的にご検討いただいたらどうかなと思っております。

 それから、4.でございます。これは基本的には、第3期科学技術基本計画で、モノから人へ、それから組織の中の個人の重視という、一つの大きな柱が出たと思います。個人を重視しようということで、転換のいい視点だったと思うんですけれども、現状は人ばかり重視されて、それも一人一人の個人ばかりになって、それを支える組織、あるいはサポート要員を含めた組織というものが軽視されているのではないか。それぞれの研究者個人が現場で、いろいろなガイドラインが出て、ミスコンダクトの話とかミスユースとか、全部それが、途中の組織がしっかり受け止めないという悪い弊害も出ているのではかと思います。

 そういう観点から、現世代の活躍をしている個人の重視だけではなくて、次の世代を、どうやって自分レベル、あるいはそれよりも1段階上ぐらいの出藍の誉れとして育てるのかということは、私は研究者の一つの責務ではないかと思います。そこら辺を、評価の視点という観点でとらえてもらったらどうかという気がします。

 8番目は、以前、私はここで発言したことがあります。PD、POの制度は、競争的資金制度の改革のほうで主として取り上げられるんじゃないかというふうに想定いたしますけれども、評価の視点という意味でのPD、POの役割、あるいは権限というものが、諸外国、特にアメリカのいろいろなシステムを見ていますと、PD、POに大きな責任と権限があるわけでございます。どうも日本は中途半端で、いまだに審議会の一種の事務局みたいなことをやっておられる方が多いのではないかと思います。そこら辺について、3つほど、長期的な視点でご検討いただければというふうに思います。以上でございます。

 

【笹月部会長】  ありがとうございます。ほかの方もたくさんご意見があろうかと思いますけれども、今いただいた3つの項目については、非常に重要な点でありますので、まず検討したいと思います。どなたでも結構ですから、どのテーマからでも結構ですが、ご意見をいただけますか。

 1番は、自由な発想に基づく基礎研究は、わりに評価もやりやすいといいますか、あるいは難しいのかもしれませんけれども、わりとこれまでやってきた。ところが、応用を目指す、あるいは特に今、先生がおっしゃった、学際・分野融合、新しいものを開発ということが啓発、誘導されるような評価をどうするのかというのは、非常に重要なテーマだと思います。

 それから4.の、ヒーローが出てきたとしても、それがすべて責任を負わされている。それを支える機関としての組織がしっかりしていない。あるいは機関だけではなくて、日本という国全体から見ても、サイエンスあるいはサイエンティストを支える土壌というものが脆弱かもしれないというようなこともあろうかと思います。

 それからPO、PDは、アメリカでも、機関によってPO、PDの役割が少しずつ違うようですけれども、一番大事なのは、私が思うPO、PDは、特にPDがそうかもしれませんが、企画立案、それから最初の採択にかかわったかどうかということが非常に重要であって、それがないものですから、独立した一つのポジションといいますか、職務としてのアイデンティティー、あるいは権威というものがないのではないかという気がしております。

 ちょっと大ざっぱに繰り返しましたが、どうぞご意見を。

 

【西島委員】  確認ですけれども、有本さんがおっしゃった、1番の、応用を目指す基礎研究というのは、具体的にどの辺までを応用というふうに考えるんでしょうね。例えば極端に、最近、振れ過ぎているのは、応用というと、それがすぐ出口の産業化というふうに結びついてしまって、そういう研究は非常に、逆に言うと基礎研究が緩い状態で見切り発進してしまって、産業界から見ると、もう少し産業のことを考えないで、しっかり基礎をやってほしかったという声が出てきているということを、私も感じるし、聞くんですけれども、自由発想に基づく基礎研究は、まあわかりやすいんですけれども、応用を目指すというのは、どこまでの応用というのを考えているでしょうか。

 

【有本委員】  第3期の科学技術基本計画、私も少し関与したものですから、あのときの議論で、基礎研究を2つに分ける。それで科研費、あるいは学術振興会での活動のような、自由発想基礎研究と、それから、応用を目指す基礎研究というもの。例えばJSTのERATO、CREST、こういうものは応用を目指す基礎研究というふうに、あのときに指定したと思います。

 そういう意味で、西島先生が今おっしゃったようなことで、決して出口に近いものではないということであると思います。しかし、これはもう少し本格的に第4期のときには詰めて、きちっとイノベーションの長いパスの中で、ポジショニングをはっきりしないと、現在は非常にあいまいになっている。様々な競争的資金制度については、かなりあいまいなところがあって、科研費のようなピアレビューでやっているのもあると思いますし、それから応用を目指す形で、ピアレビューと、社会市場を見た上でのアカウンタビリティーといいましょうか、投資に見合う価値として将来に向かっての、そういうある視点を持った評価をされているのもあると思います。

 その辺を、第4期では基本的な議論をしていただいたほうがいいのではないかと思います。

 

【笹月部会長】  どうぞ。

 

【平澤委員】  今のご議論は結局、ERATOとかCRESTというのは一つの制度ですが、それをいかにプログラム化してあるかということにかかわるわけですね。JSPSについても全く同じことがあるわけです。それで、自由発想に基づく研究というのは、私は非常に弊害を生んでいると思うんですね。趣味的な研究を許してしまう。そうじゃなくて、挑戦しなきゃいけないんですよ。評価基準として、いかに挑戦しているかということをとらないといけないんだけれども、そうなっていない。それから、新しい領域を生み出すような研究というのは非常に重要なんだけれども、従来の枠組みを全体として守るような仕組みになっているわけですね。

 こういうのはすべて、制度をちゃんとプログラム化していないからなんですね。だから、プログラム化するというのが第4期の非常に大きな課題だというふうに前回も申し上げたんですけれども、同じ課題は6にありますし、それから世界水準の評価ということを考えるときには、プログラム化されている状況での評価ということが世界では常識なわけですので、そのことを抜きにしては語れないだろうというふうに思います。これが1点です。

 それからPD、POについては、私は、せっかくああいう制度を導入したんですから、有効に活用できるようにすべきだと。予算を取ってあるわけですから。今は残念ながら、ファンディング機関のお客様ぐらいの感じになっているわけですね。それをもっと実質的に力を発揮していただけるような仕組みに改革していくということが必要だと思います。

 これも長い議論が必要になるかと思うんですけれども、外から来た方が1年いただけで、評価について責任を持てるようには到底なり得ないし、いろいろなことを説明するだけでおしまいになってしまうわけですね。そうではなく、PD、POとして定着できるような仕組みを考えていかなくてはいけないだろうというふうに思います。

 

【有本委員】  JSTとしても、非常に大事なことです。外から来てもらっているPD、POの方以外に、きちんとJSTのプロパーの中からPOを早く輩出していこうということで研修のプログラムを組んで、平澤先生にも非常にご支援をいただいています。NSFでも、ローテーションでかわる方とパーマネントで15年、20年いる方とが、うまくミキシングしながらやっておられるというところが非常に大事ではないかというふうに思っています。

 

【笹月部会長】  今、JSTあるいはCRESTの話題になりましたが、CRESTの領域の統括というのは、公募要領を書くところから既にスタートして、その公募要領に従って応募してきた人たちを選択するというところにもかかっていますし、当然、サイトビジットし、すべてに一貫してかかっているので、あの制度はほんとうにワークしているのではないかと思うんです。

 しかしながら、私自身がPOをしているWPIプログラムを例にして申し上げれば、PD、POは採択を行ったグループに参加していないため、なぜこの拠点が選ばれたのか、そのときにどうディスカスして、これをスタートさせたのかというようなところは、PD、POには責任のとりようがないという意味で、PD、POは一歩引かざるを得ないと思うんですね。ですから、そういうところをきちんとやらなきゃいけないのではないかとと思うんです。

 

【大泊委員】  有本委員と西島委員の発言に関して、明快な事例があるものですから、ちょっとだけご紹介しておきますと、我々の分野で、応用を目指す研究というのはトランジスタの実現だったんですよ。これは要するに、真空管にかわる固体の増幅器をつくるという明快な目的があったんですが、実は1940年にその提案がされたものの、なかなか実現しなかったんですね。

 当時、ベル研究所が大変偉かったのは、その問題意識を持った連中が基礎研究まで一緒にやった。これが要するに固体物理とか電子工学という学術を生んだわけです。それで現在のIT社会が来ているわけです。ですから、そのときの目的の共有、つまり固体の増幅器をつくろうという、それは非常に大きな、産と学が共有し得る目的だったんですね。

 ですから、そういうものがありさえすれば、これは応用を目指す研究と位置づけられる。当然その中には基礎研究もあるわけですから。今の時代には、それが何かというのはなかなか見えにくくて苦悶していますけれども、1つは安全技術かなと私は思っています。

 

【笹月部会長】  ありがとうございます。ほかにどなたか、いかがですか。どうぞ。

 

【大隅委員】  私自身も科学技術振興調整費のプログラムオフィサーを2年ほどさせていただいた経験がありますので、そこについてお話ししたいんですけれども、私の場合には、大学に所属した形で、非常勤という扱いのプログラムオフィサーをしていたんですが、そのとき思いましたことは、最終的に評価に加わることができないという立場でやっていましたので、お世話係なんですね。

 要するにファンディングの事務系の方よりは少し専門性がわかるという能力、スキルを使われていて、例えば少し評価に近いところとしては、審査員を選ぶという権利がありましたので、どういう方向を決めるのかというところに大きな影響があったと思うんですけれども、結果として、例えば選んだ審査員が思ったような働きをしなかったというようなこともあったりし、2年だけの経験では、私自身も足りなかったというふうに思うことはありましたけれども、非常勤でやっていくということには、あまりにも本業との負担というような面で難しいものがありまして、残念ながらそれだけのことにとどまったんです。

 ですから、常勤の方がキャリアパスとしての位置づけを、POという立場を経験するということが活かされるような方向の制度に持っていっていただくことが望ましいのではないかというふうに思います。

 

【笹月部会長】  採択に関してはかかわっているんですか、かかわっていないんですか。

 

【大隅委員】  採択の審査に関して、私がやっていましたときの振興調整費のプログラムオフィサーはかかわっていないです。

 

【笹月部会長】  もう一つ、有本先生おっしゃった、研究者の責務としての人材の育成ということなんですが、私の思うところは、いわゆる大学院教育が一番日本の弱点だと思うんですね。自分の与えた大学院生のテーマ、大学院生はそれさえしっかりやっていればよろしい、ほかの優秀な学者が学外からセミナーに来ても、そんなものを聞くよりも、おまえのテーマをしっかり実験をしろというようなことで、自分が世界のトップランナーだから、まさにその背中を見て育てばよろしい、自分の与えたテーマをやっていればよろしいというのが、これまでの古い教授のやり方だったと思うのです。もちろん例外的にそれでうまくいった例もいろいろ見聞いたしますけれども、ほんとうに日本全体としてのサイエンスの底上げをするためには、やはりきちんとした大学院カリキュラムというものの設定が緊急のことだと私は思っております。有本先生が研究者としての責務とおっしゃったのは、いわゆる大学院教育以外ではどんなことを意味されたのかお聞きしたい。

 

【有本委員】  研究ばかりの評価に光が当たって、次の世代を生む教育というところが重要視されていない公的なリソースの配分もなかったというところもあって、カルチャーとしても消え去りつつあるのではないかということは心配です。

 

【笹月部会長】  全くおっしゃるとおりだと思います。例えば学部教育についてさえも、講義とか学生実習は雑用をやらされていると、極端なことを言えば、そういう感じさえ、そういう発言さえする人もいるわけで、私が常に言っているのは、そういう人は大学にいてはいけない。大学のファーストプライオリティーは言うまでもなく教育です。教育のために、まずエネルギーを割くべきであるということを常に言っているんですが、その辺、有本委員がおっしゃったカルチャーというのが、やっぱり残ってきているような気は、依然としてしております。

 

【中西委員】  資料1-1を読ませていただいて、議論してきたことが非常によくまとまっていると思いました。ただ、一番のポイントというのは、評価には多様性が必要だということです。先ほど西島先生からも、応用基礎と純粋な基礎研究を、どうするのかなどのご意見がありましたが、それぞれに研究のスタイルは違います。ですから、個人でするもの、大勢でするもの、それから、基礎であってもかなりプログラム化されたものなど、いろいろありますので、それらに応じた評価方法をきちんと確立するという、多様性を持つということが一番大切だと思います。

 先ほどPO、PDの話が出ましたけれども、大型の競争的資金の審査をさせていただいた経験ですと、これらの方々は事務的にも非常に優秀な方たちなのですが、評価基準を一律化し始めているところがあります。共通の評価項目について1つ1つ、A、B、C、Dをつけて、みなの評価結果を集め、主に平均点でいろいろ議論をします。ですが、評価項目にはもっと多様性を持って用意するような仕組みがないといけないと思います。今、ハウツー物といいますか、例えば成果の公表という評価項目では、シンポジウムをどのくらい開催しているとか、若手を集めたシンポジウムをどのくらい開いているなど、評価基準がパターン化し始めたような傾向が数多くみられ、審査をしていて物足りなさを感じているところです。

 

【笹月部会長】  それは、2番の評価の観点というところに、もっと多様性を持たせよう、価値をもう少し持たせようということですか。

 

【中西委員】  はい。

 

【大隅委員】  今、中西委員のご意見に大変賛成で、より具体的なことで申しますと、例えば海外の研究費についての書面の評価をさせていただくことなどが何度かありまして、そこで見ていますと、評価項目がものすごく数が多いんですね。20も30も、いろいろな観点で、これはどうですか、あれはどうですかという、いっぱい項目がありました。そこに、例えば1から5段階だったり、点数を入れた上で、自由記載の部分が必ずあるといったスタイルのものが複数ありました。もちろん場合によってはもうちょっと大ざっぱな形で、自由記載のほうがかなり多い。ただ、その場合も、ボリュームというのがものすごく多くて、「数行書いて、はい、おしまい、提出」というようなことではない。こちらの評価者としての資質というか、クオリティーを問われているんだなということがわかるような形での評価シートといったものが送られてきて、それに対して、しなければいけないということでしたので、負担はもちろん大きいと思います。

 

【笹月部会長】  ありがとうございます。どうぞ。

 

【平澤委員】  今のことに関連してなんですけれども、私は、あるプログラム・制度のもとで展開される通常型のプロジェクトの評価というときに、まだ日本の場合に、水準に達していないことが、重要なポイントが幾つかあると思うんですね。今ご指摘になった、評価フォーマットが論理性に耐えるような形に、まだできていないということがありますね。それから、成果をとらえるとらえ方というのが、アウトプットとかアウトカム、インパクトとかというけれども、例えばアウトカム概念一つとっても、きちんと理解しながらアウトプットとの関係を勘案して評価しているという評価者というのは非常に少ないだろうと思うんですね。

 アウトプット、アウトカムだけではなくて、我々、インテンデッドか、アンインテンデッドかと言いますけれども、主体的に得られたことだけを実績に取り上げるのか、副次的にわかったことまで含めて言うのかというようなこととか、さらに言えば、アディショナリティーの話というのがあるわけなんですけれども、実績、パフォーマンスを把握するということ自体に関しても、概念的にきちんと整理されていないというのが実情だと思うんですね。

 こういうことは、大綱的指針のようなものを見直すときに、ここまではかっちり次回までにきちんとできるようにしておこうといったような、ある種の評価体制自体の改善の目標を掲げながら見直していくというようなやり方も、1つあり得るのかなというふうに思いました。

 それからもう一つ、先ほどからの議論に加えて、例えば実に多様な研究開発の実態を、しかしながら、ある程度カテゴライズし、プログラム化して、我々は扱わなきゃいけないわけですけれども、プログラム化するプロセスが本当は非常に重要なわけですね。

 例えばNSFの場合だと、リスクが大きい研究のリスクのゆえんというのを分析して、そのリスクを事前に少なくするような評価の方法というのはないかという研究とか、それから、学際的な領域というのが一般的には非常に有効だということは言われるわけだけれども、どういう組み合わせの学際的研究がより大きな成果を生み出しているかという分析とか、こういうことをNSFの部内でやっているわけですよ。そういう研究をするということ自体、NSFは小レベルであるけれども、ファンディング機関ということを考えれば、ファンディング機関の中で、その種のことをやる人たちが出てこないと、いつまでたっても素人の議論だけで終わってしまうだろうと思うんですね。

 アメリカの場合も、そういう人は決して一般的ではなくて、名前を挙げれば、Rocoという有名な人がいるんですが、彼らは、政策研究をやっている者から見ても、スーパービューロクラットだという言い方をしているんですね。例外的に、非常にそういうことに興味を持って、いろいろ研究している。こういう人が育つように、いろいろな機関の中で考えていかないと、質は高まっていかないだろうと思います。

 

【有本委員】  ここで幾らジェネラルな議論をして、いいキーワードが出ても、それがざーっと並んで、こういう形に一般化されて、指針として出て、それがほとんど消化されずに、階層構造の中で、誰もリスクをとっていない。非常に一般化されたもので、あらゆることをやらないといかんというところなので、今度はぜひ、そこら辺の階層構造の中での、どこで何をやっておくべきなんだというところもしっかり出してもらうといいのではないかと。

 

【笹月部会長】  ありがとうございます。その例としての学際とか、あるいは分野融合というときに、先ほどの大学院の教育が狭いということに端を発するんですけれども、全く個人のレベルで分野融合していない人が、全然別の分野の人が集まったって、分野の融合は不可能だと思うんですね。ですから、個人のレベルで、大学院教育において幅広い教育を受けて、それぞれに見識を持っているということが大事で、これもやっぱり教育にいってしまうんですけれども、その点も、ぜひこういうところで、どこでも述べるべきことですけれども、研究の側から、あるいは評価の側からも述べるべきことだと思っております。

 中西委員、どうぞ。

 

【中西委員】  競争的資金につきましては、いろいろ課題はありますが、評価の面では、事前評価、中間評価など、いろいろ行われていますので、これからどういうふうに改善していこうということは議論できます。しかし、笹月先生がおっしゃった教育も含めると、運営費交付金に基づく、大学などで自由に行われているところの研究・教育の評価をどうするかというのは一番難しいところです。しかも、運営費交付金が、自分の自由な発想に基づく研究、つまり基礎研究を大きく支えている重要な基盤でもあります。ですから、非常に難しいのですが、その評価をどうするかということをもっと議論していかないと、基礎研究がうまく進まないのではないかと思います。

 

【笹月部会長】  さっきもちょっと話題になりましたけれども、自由な発想に基づく基礎研究というと、ほんとうに趣味でやればいいみたいな誤解を常に与えて、インパクトがないんですね。ですから、例えば生命科学、ライフサイエンスの分野で言えば、私は、生命とは何か、あるいは人間とは何かを目指した自由な発想に基づく挑戦的な研究というふうに言わなきゃだめだと思うんですね。単に自由な発想に基づく研究ではなく、生命とは何か、人間とは何かの解明を目指す自由な発想に基づく挑戦的研究、それだったら許しましょうということになると思うんです。

 

【大隅委員】  中西先生のおっしゃったことに対して、もしかすると私の誤解があるのかもしれないんですが、運営費交付金の部分でなされる、自由発想でも何でもいいんですが、そういった部分というのは、今どんどん少なくなってきていますね。実際のところ、例えばそれをだれが評価するかということに関して、これは競争的資金のように配っているものではないですから、むしろそれぞれの研究機関の中で、個人の業績の評価ということでおやりになっていただくのがよろしいのではないかというふうに思うんです。

 その上で、例えば競争的資金として、国が何らかのファンディングエージェンシーなどを使って配っているものに対しては、どういった方針で評価をしましょうかという、どれも誰かがやらなければいけなくなってくると、ますます評価しなければいけないことが増えてしまうような危惧がありまして、もしかするとちょっと誤解があったのかもしれないんですが。

 

【中西委員】  私が申し上げたかったことは、基礎研究が非常に大切なので、どういうふうに盛り上げていけばいいかという点も評価が含んでいるということです。運営費交付金は非常に大切なので、その評価がきちんとされるようになると、もっと増やさなくてはならないという結果がより明白になるのではないかということもあり、加えさせていただきました。

 

【笹月部会長】  時間も限られておりますし、次に行かなければと思いますが、いま一つ、十分に議論していないのは、3.の世界水準の視点での評価のあり方、ここを少しご意見をいただけませんか。

 

【西島委員】  こちらのほうにも書いてあるんですけれども、世界水準の審査というときに、海外の研究者を、もう必要十分という問題もあるし、入れなくてもできると思うんですけれども、入れたほうがベターなのか、入れることに伴う弊害というか、現場の負担が増えるとか、その辺を先に議論したほうがいいのかなと思います。つまり、海外の研究者を呼ぶような体制に、こっちがまだできていないんだったら、いきなり世界水準のために、とりあえず海外の審査員を入れておこうかというのはやめたほうがいいかなと思いますね。多分そうではないと思うんです。

 

【笹月部会長】  いきなりいろいろなものに外国人をというのはとても無理な話で、大きなプロジェクトについて、試行錯誤的に外国人を登用するということも必要だと思いますね。実際に、WPIとかグローバルCOEとか、いろいろな形で外国人が登場していますね。そのときに、ただ、拠点のチーフが自分の友人を推薦して、それが評価のメンバーになっているとなると、これは全然、客観的な評価ではない、お友達の評価ですので、もちろんそういうところは当然避けるべきだろうと思いますし。

 

【西島委員】  ただ一方、世界的なベンチマークというと、どうしても弊害と言われている、論文のインパクトファクターとかを並べるということなんですけれども、先ほど中西先生が、多様性とおっしゃったんですけれども、産業界から見ると、例えば東大、京大とお付き合いすることが多いんですけれども、実際に会社に入ってくる学生さんを見ると、いろいろな大学から来るんですね。

 そうすると、そういう人間が、『Science』とか『nature』に絡んでいなくても、十分戦力になるし、十分教育を積んでいて、意外と、『Science』と『nature』に出していないところから来た学生さんのほうがしっかりやっているので、インパクトファクターにとらわれるのもいかがなものかという。世界的なベンチマークというのは、多様性で、それこそ大きな試験を通って、最先端をもって国家的な技術をやるところは当然そういうふうになるけれども、人材育成ということとか、地方の企業とつながりを持っているところは当然そういう中での世界水準じゃないと。日本の場合どうしても、先ほど有本さんが言ったように、一番最初になると、一番高いところで、おりてくると、多分、教育はなおざりになるのではなくて、なおざりにせざるを得ないような評価基準になってしまうのではないかなというのを産業界は思うんです。

 

【笹月部会長】  論文で評価するということは、前に何度も言ったと思いますけれども、NIHの評価をしている人たちと議論すると、彼らはパブリケーションリストをほとんど問題にしない。要するに、どこまでこのプロジェクトを推進するための現実的な準備ができているのか、そこを一番評価すると言っています。日本もそういう意味では、そういうまさに多様な視点を取り入れるという意味では、そういうことこそ国際的、国際水準ということになるのではないかと思いますので、この多様性をどのように持たせるかということについても、ご意見をいただくか、あるいは、後でメールででもご意見をいただければと思います。

 

【平澤委員】  今の3.の点ですけれども、研究レベルが世界水準というような意味と、それから評価のやり方が、ある程度磨かれて世界水準という、その2つの側面があるだろうと思うんですけれども、後者について、実は最近、G8の研究開発評価のワーキンググループ会合、これは毎年やられているんですが、私は、過去5年間続けて出ているわけですが、そこでの議論は、海外のファンディング機関等に在籍して、日常的な評価をやっている彼らが持っている評価スキルとか、今、改善しようとしている課題と我がほうの状況との間には、こんなに開きがあるわけですよ。

 今回、中国のNSFCの方がゲストで参加されたんだけれども、彼の認識というのは、我がほうよりさらにおくれている。こういう状況の中で、研究者から見ると、評価のシステムが至っていないがゆえに、本当の部分が評価されていないんだということもあるのではないかなというふうに思うんですね。一方では、それぞれの国は基盤的な制度・体系があるわけで、その枠組みの中でしか、当面は改善できないというようなこともありますね。

 ですから、必ずしもまねしたことを全部やれるということではないわけですけれども、常に評価制度それ自体を見直していくことを、何らかの形でこういう委員会が持っていないとまずいのではないかと思います。

 

【笹月部会長】  そういう意味では、事務局で、例えば世界水準の視点という前に、世界水準の審査体制、評価体制を、各先進国の評価体制の状況の実態調査というものをしていただければ非常に参考になると思いますし、その上で、どういう評価基準を彼らが持っているのかという、組織とソフトの両面についての調査をお願いしたいと思います。

 

【諏訪委員】  この件に関しましては、私も平澤先生と同意見であるのと同時に、ちょっとご意見させていただいたんですけれども、世界水準という言葉よりも、世界標準という言葉を使われたほうがいいかなというふうに思うんですね。要するに、いい評価をするのではなくて、少なくとも世界の中で、これだけは最低だよねというところまでは押さえて、あとは国ごとの違いとかそういうのがございますから、それを反映させるという形ではないかなというふうに思います。

 

【笹月部会長】  ありがとうございます。どうぞ。

 

【田島委員】  非常に具体的なことですけれども、世界水準あるいは世界標準の視点について。こういう話というのは日本でよくされるわけなんですけれども、私、実は今年の秋から1年間、ドイツのLMU、ミュンヘン大学に客員教授として行っております。ドイツでは2年ぐらい前から、エクセレンス・イニシアチブというプログラム、あるいはクラスター・オブ・エクセレンスという、非常に質のいい研究所なり大学を強化するイニシアチブが走っています。そして、まさに先ほど中西先生その他の先生方がおっしゃっていたように、大学のリーダーシップをとる人たちが、非常に多様な視点から、学内でのプロジェクト推進のための予算配分の審査をするわけですね。そして、それらの予算を使って海外からもどんどん、まさに多様な人材を集めているわけなんです。

 それと、ちょっと議論の中心からずれるかもしれないんですけれども、日本で国際協力とか云々かんぬんといった場合に、非常に貧弱な部分というのが、普通の生活ができるようなことを、まず最初に確認していないということなんですね。具体的なことを申しますと、エクセレンス・イニシアチブで、私、9月の半ばに行きましたが、飛行場まで運転手さんと秘書の方が迎えに来て、向こうが用意してくれたアパートに行きましたら、あらゆるものがそろっているわけなんです。ワイヤレスのLANも引いてありまして、ピンが置いてあって、コンピューターを立ち上げてピンを入れたら、即、日本との交信ができるようになったわけなんですね。

 ところが、私、広島大学に所属しておりますけれども、海外からの短期の二、三カ月の客員教授とかそういう方々を、こちらに来てから即、暮らしやすいようにというふうなことを提案しますが、その辺のことをほとんど念頭におかないで、世界水準、世界標準という議論になっているわけですね。まず、研究者がこちらに来て、あるいは向こうに行って、即、研究が快適にできるような状態、それを必ずこういうプログラムとともに確認するということが必要ではないかと思うんですね。

 ほんとうに具体的な私の生身の経験に基づく感想ですけれども、9月にミュンヘンに行きまして、非常に快適な状態で研究活動をしているわけなんですね。研究とか仕事というところだけで世界標準、世界水準を議論されていても、実際に人間は生活しているわけですから、その辺のところが日本はなかなか議論されないのではないかと思います。

 

【笹月部会長】  どうもありがとうございました。

 それでは、時間も参りましたので、まだたくさんご意見はあろうかと思いますが、最終的な結論がここで出るというものでもありませんので、項目だけとして、ぜひこういうことも将来にわたって検討すべきであるということがありましたら、ぜひ事務局へお届けいただくといたしまして、今日いただいたご意見をもとに、資料1-1の修正版というものをつくり、それをまた次期の研究評価部会で継続して議論いただくもとにしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 続きまして、議題2「文部科学省における研究及び開発に関する評価指針の見直しについて」に入りたいと思います。これは、「国の研究開発評価に関する大綱的指針」というものが10月31日に内閣総理大臣決定されたことを受けて、「文部科学省における研究及び開発に関する評価指針」の見直しが必要であるということで、ご審議いただくものであります。

 これにつきましても、まず事務局からご説明いただいて、委員の先生方のご意見を賜りたいと思いますので、事務局から、よろしくお願いします。

 

【沼田計画官補佐】  まず、目次のほうから先にご説明をさせていただきます。資料2-2をご覧いただければと思います。

 こちらは、見直し案、現行の評価指針、大綱的指針に分かれておりまして、現行の評価指針では、第1章で基本的な考え方を示し、第2章で、共通事項ということで、対象別の施策、課題、機関、個人の各評価に共通する事項、評価者の選任であるとか評価の時期、評価方法等が書かれ、第3章で、対象別の留意事項という構成になっておりました。

 それを今回、見直しに当たりまして、大綱的指針の構成にあわせて、第1章で、基本的な考え方ということで共通的な事柄をまとめまして、第2章からは、それぞれの施策、課題、機関、個人という対象ごとに項目を整理して取りまとめてはどうかということで、今回、案をつくらせていただいております。

 それでは、具体的な内容についてご説明をさせていただきます。資料2-1をご覧いただければと思います。まず初めに、資料でございますが、赤字につきましては、今回新たに修正を加えた部分、それから2ページ以降、青字が書いておりますけれども、そこについては、これまでも書かれておりましたけれども、位置を変えて整理し直したという部分となっております。

 まず、1ページ目でございますけれども、「はじめに」でございます。こちらについては、評価の位置づけでありますとか、これまでの取り組みの経緯、それと、一番下の赤字の部分でございますけれども、今回の見直しの経緯と我が省における見直しの観点ということで整理をさせていただいております。 

 観点でございますけれども、大綱的指針につきましては、前回もご説明をさせていただきましたとおり、丸1として、次につなげていく評価、丸2として、機能的で効率的な評価、丸3として、国際的な視点からの評価ということで、新たな観点で改正を行っておりますので、今回、文科省の指針の見直しについても、この3点に、文科省として重要と考えられる観点、具体的には丸1、丸2、丸6でございますけれども、この観点を加えて、見直しをしてはどうかということで整理をさせていただきました。

 次に、2ページをご覧いただければと思います。中ほどでございますが、青字の部分、評価の位置づけでございますけれども、こちらについては前回と変更はございませんが、、評価指針の位置づけとしては、この評価指針に基づいて、文部科学省の内部部局については、きちんとした枠組みをつくって評価を行う。それと、「また」以降でございますけれども、大学等及び文科省所管の独立行政法人、研究開発法人等については、本指針を参考に、自らがその特性や研究開発の性格に応じて評価システムを構築して、それぞれ適切な方法により進めることが期待されるという位置づけになってございます。

 次に、3ページでございますけれども、「基本的な考え方」ということで、意義、指針の適用範囲、次の4ページでございますけれども、「評価システムの構築」、「関係者の役割等」と書かれておりますけれども、こちらについては特に変更はございません。5ページの「評価における過重な負担の回避」でございますけれども、ここの部分では、評価結果が適切に活用されないことにより、評価が無駄になったり、形式化したり、現場に徒労感を生み出すおそれがあるということもあって、赤字の部分でございますけれども、評価主体は、誰がどのような目的で評価を実施するのか、また、どのように活用して、どのような効果を生じるのかといった役割とか責任などをあらかじめ明確にして、関係者に周知してはどうか。それによって評価結果が適切に活用されるようにするということを入れ込ませていただいております。

 次に、7ページの「評価人材の養成・確保」でございます。こちらについては、大綱的指針の赤字の部分の下から3行目、評価者となることへのインセンティブを高めてはどうかということで、具体的には、大学や研究開発法人の研究者を任用する場合に、研究評価者として参加したことを履歴の一つとして認定をするということが新たに入れ込まれておりますので、評価指針についても、インセンティブについて検討が必要ということで、研究機関等が研究者を任用する場合には履歴の一つとして考慮するとか、また、競争的資金の配分機関等においては、研究開発課題の申請において、申請者が評価者として参加した実績について、申請書に記載するということを明記してはどうかということを入れ込んでおります。

 次に、7ページの一番下、「評価の世界的水準の向上」でございます。大綱的指針に、新たに国際的水準の向上ということで、具体的には、評価者として海外の専門家を参加させる。評価項目として国際的なベンチマーク等を積極的に取り入れるということが書かれております。評価指針についても、評価者として海外の専門家、また豊富な海外経験を有する研究者等を参加させる。また、その世界的なベンチマーク等を積極的に取り入れるということで、新たに加えさせていただいております。

 次の8ページから15ページまでは、これまで共通事項として書かれていたところでございまして、こちらについては、これから説明させていただきます対象別の評価のほうに位置を変えて整理し直した部分でございます。

 15ページをご覧いただければと思います。こちらから対象別の評価となっております。まず初めに、「研究開発施策の評価」については、冒頭に「評価の目的」、その下の「評価とマネジメント」ということで、施策については、企画をして、実施をして、評価をして、その評価した結果については、改善や見直し等に適切に反映するという循環過程を構築するといった、評価とマネジメントということを明確に入れ込ませていただいております。次に、「評価者の選任」でございますが、こちらについては、大綱的指針において、「外部の専門家等を評価者とする外部評価により実施する」ということが新たに入れ込まれております。

 これまでの評価指針については、「外部評価を積極的に活用する」となっておりましたけれども、こちらについては、「原則として外部の専門家等を評価者とする外部評価により実施する」ということにさせていただいております。

 次のページをご覧いただければと思います。下の段でございますけれども、「評価の実施時期」でございます。こちらは、大綱的指針で大きく変わったポイントが2つございます。1つ目が、上から4行目の「終了時の評価は」というところからでございますけれども、「終了時の評価は、その成果等を次の研究開発施策につなげるために必要な場合には、開発終了前に実施し、その結果を次の研究開発施策の企画立案に活用する」ということになっております。2つ目は、その2つ下の「さらに」というところから、「研究開発施策が終了した後、速やかに、一定の時間を経過してから、追跡評価を実施する」ということで、すべての施策について追跡評価を実施するということになってございます。

 これを受けまして、評価指針では、事後評価につきましては、ただいまの大綱的指針のとおり、「次につなげていくために、必要な場合は施策終了前に実施する」ということを入れ込ませていただいておりますとともに、追跡評価につきましては、すべてということではなくて、「施策の特性に応じて、国費投入額が大きい、重点的に推進する分野における施策、さらに、成果が得られるまでに時間がかかる施策など、主要な研究施策の中から対象を選定して実施する」ということで、入れさせていただいております。

 次に、「評価の方法」でございます。大綱的指針の「(1)評価手法」というところで、「研究施策の成果に係る評価については、目標の達成度合いを成否の判定の基本とする。また、あわせて実施したプロセスの妥当性や副次的成果、さらに理解増進や研究基盤の向上など、次につなげる成果の幅広い視野からとらえる」ということが新しく入れ込まれております。これを踏まえまして、評価指針についても、19ページの「評価の実施」、「特に」から、中間・事後評価においては、あらかじめ設定した目標に対する達成度を評価することを基本とするが、あわせて、実施したプロセスの妥当性や副次的成果と、大綱的指針と同様に付け加えさせていただいております。

 以上が、施策の評価で主に変更した部分でございます。

 次に、21ページから、「研究開発課題の評価」でございます。研究開発課題につきましては、冒頭にも書いておりますとおり、「競争的資金による研究開発課題」、また、国が定めた明確な目的や目標に沿って重点的に推進される「重点的資金による研究開発課題」、それと、機関等に運営費交付金等として配分された資金により実施される「基盤的資金による研究開発課題」ということで、3つの区分に分けまして、それぞれについて取りまとめているところでございます。

 22ページをお願いいたします。こちらから、「競争的資金における研究開発課題」でございます。こちらも冒頭に「評価の目的」、「評価とマネジメント」ということで、きちんと循環過程を構築するということを入れ込んでおります。

 次に、「評価者の選任」でございますが、こちらも大綱的指針では、「外部の専門家等を評価者とする外部評価により実施する」となっております。こちらについては、既に競争的資金については外部評価が実施されておりますので、「外部の専門家等を評価者とする外部評価により実施する」ということにさせていただいております。

 次に、24ページ、「評価の時期」でございます。大綱的指針では、変わったポイントが3つほどございます。まず1つ目が、4行目からの、「終了時の評価は、その後の発展が見込まれる優れた研究開発成果を切れ目なく次につなげていくために、課題が終了する前の適切な時期に実施する」ということで、すべての課題について、終了前の適切な時期に実施するということとなってございます。

 2つ目のポイントですが、中ほどに、「このほか」とございます。こちらは中間評価でございますけれども、「研究開発課題の実施期間が長期にわたる場合は、3年程度を目安に中間評価を実施する。ただし、実施期間が5年程度で、終了前に終了時の評価が予定される研究開発課題については、計画等の重要な変更の必要がない場合には、毎年度の実績報告などにより適切に進行管理を行い、中間評価の実施は必ずしも要しない」と入れ込まれてございます。

 3つ目のポイントが、その下の「さらに」からでございます。こちらは追跡評価でございますけれども、国費投入額が大きい、重点的に推進する分野などの主要な研究開発課題から対象を選定して実施するということが入れ込まれております。

 これを受けまして、評価指針でございますけれども、まず、終了時の評価で、終了する前の、前倒しで評価をするということは、これまでの評価指針にも書き込まれております。「優れた成果が期待され、かつ研究開発の発展が見込まれる研究開発課題については、前倒しをして評価を実施して、その評価結果を次の申請時の事前評価に活用する。」こちらについては変更はございません。

 次は、中間評価でございますけれども、こちらについては大綱的指針とほぼ同様でございますが、「中間評価を実施する」、その下、「ただし」というところから、「研究開発課題の実施期間が5年程度で終了する前に事後評価の実施が予定される研究開発課題については、研究開発課題の性格、内容、規模等に応じてということを新たに盛り込みまして、研究開発計画の重要な変更の必要がない場合には、評価実施主体が、毎年度の実績報告などにより適切に進行管理を行い、中間評価の実施は必ずしも要しない」ということで入れ込んではどうかと考えております。

 追跡評価については、大綱的指針と同様に、対象となる課題を選定して実施するということで入れ込ませていただいております。

 次に、「評価の方法」でございます。26ページをご覧いただければと思います。「評価基準の設定」の赤字の部分でございます。こちらは新たに、「評価基準について、当初計画で予期しなかった成果が生じた場合には、当初の評価基準にとらわれることなく、新たな視点で評価基準を設定するなど柔軟に対応する」ということを入れ込ませていただいたのと、評価の実施については、先ほどの施策と同様、「プロセスの妥当性や副次的成果、幅広い視点からとらえる」ということを入れ込ませていただいております。

 次に27ページ、「自己点検・評価の活用」でございます。右側の大綱的指針で、被評価者の主体的な取り組みを促進して、また、評価の効率的な実施を推進するため、評価について、「被評価者が自ら計画段階において、具体的かつ明確な目標と達成状況の判断指標を明示する。また、開始後には自己点検を行い、評価者はその内容の確認等を行うことにより評価を実施する」ということが入れ込まれております。

 これを踏まえまして、評価指針についても、入れ込ませていただいておりますが、明確な目標と達成状況の判断指標の明示は同様でございますけれども、被評価者が自己点検・評価を行ったものについては、評価者はその内容を評価に活用するということで、こちらは評価の客観性を考慮した形で、少し表現を変えてございます。

 次に、29ページ、「重点的資金における研究開発課題」でございます。まず、こちらについても、冒頭に「評価の目標」と、「評価とマネジメント」ということで、整理させていただいております。

 次の30ページ、「評価者の選任」でございますけれども、こちらも、評価指針では、大綱的指針にあわせて、「外部の専門家等を評価者とする外部評価により実施する」に変更しております。 次に、31ページの「評価の実施時期」でございます。こちらも、大綱的指針では、先ほどの競争的資金とほぼ一緒でございます。ポイントは、終了時前の評価を実施するということ、中間評価については、適切な進行管理を行って、5年程度のものについては必ずしも要しないということ、追跡評価ということになっております。こちらを踏まえて、評価指針についても、事後評価については、研究開発課題につなげていくために必要な場合については終了前に実施する。中間評価については、研究開発課題の性格、内容、規模等に応じて、研究実施主体が適切な進行管理を行えば、中間評価の実施は必ずしも要しない。追跡評価についても、対象を選定して実施するということで入れ込んでいるところでございます。

 「評価の実施」でございますけれども、こちらも施策や競争的資金による課題と同様に、「プロセスとか副次的成果というところを配慮する」ということを入れ込んでございます。

 次に、32ページ、「自己点検の活用」でございます。これも競争的資金による課題でご説明をしたとおり、大綱的指針では、「被評価者が、きちんと目標と判断指標、また、開始後には自己点検を行って、評価者はその内容を確認することにより評価を実施する」ということになっておりますので、評価指針では、自己点検・評価を行って、評価者はその内容を評価に活用するということを入れ込んでいるところでございます。以上が重点的資金における研究開発課題でございます。

 次に、35ページでございます。「基盤的資金による研究開発課題」でございまして、機関が運営費交付金等により実施するものということで、大学等における機関の長が、機関の設置目的等に照らして、評価時期も含めて、適切かつ効率的な評価の体制や方法を整備して、責任を持って実施することとなっております。

 ただし、真ん中から少し下の「また」以下のところで、研究開発法人等について、中期計画に沿って重点的に推進されるプロジェクトの評価については、先ほどの重点的資金による研究開発課題の評価を準用することとなっております。これは現行から変わっているところはございません。

 次に、36ページから「研究開発機関等の評価」でございます。こちらも、冒頭には、「評価の目的」と「評価のマネジメント」ということで整理してございます。機関の評価について、「評価者の選任」については、大綱的指針では、これまでの他の評価と同様に、外部評価により実施するということになっておりますけれども、評価指針については、「原則として外部評価により実施する」こととしております。

 下のほうでございますけれども、「評価の実施時期」でございます。こちらは変わっておりませんけれども、「中期計画や中期目標の期間の年限に沿って、6年から3年程度の期間を目安として定期的に評価を実施する」ということになってございます。

 次に、39ページからが「研究者等の業績評価」でございます。こちらについてはも、冒頭に位置づけを書かせていただいたところですけれども、あまり大きな変更はございません。

 次に、40ページの下からでございますけれども、これまでも書かれておりました「機関や研究開発の特性に応じた配慮事項」でございます。独法評価との関係でありますとか、大学等における学術研究の評価における配慮事項ということで、こちらについては、大きな変更をせず、このままこういう形で残させていただいてはどうかということで、案をつくらせていただいております。

 以上でございます。

 

【笹月部会長】  どうもありがとうございました。かなり膨大な資料で、ディテールにわたりますが、基本的には、大綱的指針をもとに検討し、このようなものを作成したということでございます。

 それでは、順次ご意見をお聞かせいただきたいと思いますが、「はじめに」、「第1章 基本的考え方」、ページ1のところから、何かございますでしょうか。

 

【大泊委員】  第1章で、今ご説明にあった7ページの右側に、評価者となることのインセンティブを高める工夫という言葉がございますけれども、例えば具体的に、どれほどの貢献をすると報奨等に手が届くとか、そんな話も入ってくるんでしょうか。つまり報奨に関してはいろいろな議論があって、特に官尊民卑とかいろいろあって、評価の基準がはっきりしませんね。そういうことに手が届くとかということになるとインセンティブが高まると思いますし、もちろん評価者に対する報酬を払うとかということもあるでしょうし、どの程度具体的にお考えになっているのか。

 

【柿田計画官】  ここのところは大綱的指針を受けているわけでございますけれども、まず、任用ですけれども、まさに職員を採用するという過程で、もちろん人物の評価をして、各機関が職員を採用するということになるんでしょうけれども、そこにはもちろん研究者としての研究の能力ということが重視されてきていると思いますけれども、それに加えて、評価者としてどれだけ参加、あるいは貢献してきたかということもしっかり見られるというようなことが、研究機関における採用のシステムの中に入っているということによって、研究者としての評価に対するインセンティブというものが起こってくるのではないかということが意図されているように受けとめております。

 

【大泊委員】  実際には各機関がそういうことを評価の対象に加えているかどうかが問題で、ほとんど日本では入っていないと思いますね。よく外国人から送られてくるCVなんかを見ますと、どういう社会的貢献をしたということがきちんと書いてあるんですけれども、日本の場合には、それを書いてもほとんど意味がない。

 

【笹月部会長】  これからは、そういう意味では、啓発が進み、それから履歴書にきちんと書かれていれば、だんだんそういうことについても、まさに評価されることになっていくのではないかと思いますが、同じ7ページの、これは何度も出てきて今さらの感もありますけれども、「1.8 評価の世界的水準の向上」という、この台詞そのものがいま一つ気にかかりますね。評価水準を向上させるという意味なのか、日本が国際的な水準を決めて、それを向上させることにしようとするのか、この日本語そのものがちょっと気にかかりました。

 どうぞ。

 

【平澤委員】  あまり重要な話ではないんですが、5ページの1.5ですが、評価における過重な負担の回避の中の、最初の「〇」に書いてあることというのは、ちょっと誤解があるのではないかなというふうに思うんですが、まず第1には、制度がきちんとしていれば、その制度のもとで展開するプロジェクトの評価というのは楽にできるということがあった上で、評価した結果を利用すれば、そのプログラムの評価も楽にできるようになるという形に修正されるといいと思います。

 

【笹月部会長】  ありがとうございます。どうぞ。

 

【中西委員】  6ページの左側の青いところの下から5行目あたりに、「職員」と書いてあります。先ほども議論がございましたように、評価の専門職の養成ということが必要なわけですが、職員となると、専門職なのか、一般職なのかというのが読みづらいのですが、これはどう解釈されるのでしょうか。

 

【沼田計画官補佐】  ここでは、両方を含めてという形に。

 

【中西委員】  専門家を育てるのはわかるのですが、サポートの人というのは、一般事務職など広く仕事を補助される方でしょうから、別のところで育てるようにも受け取られるので少し読みづらいところがあります。

 

【笹月部会長】  中西先生、何か変更が必要ですか。

 

【中西委員】  専門職員や評価専門職員について、海外研修、留学などを通して育てるというふうにできればと思います。

 

【笹月部会長】  単なる職員ではなくてね。わかりました。よろしいですね。

 

【小林委員】  今の問題は結構微妙なところで、評価専門職がきちんとしている段階であれば、それでいいわけですけれども、いない段階で、どうするのかという現実問題があるわけですね。今現在、そうなわけですね。そうすると、そういうふうに限定してしまうと、具体的に言うと、今、何もしなくていいという話になっちゃう可能性がありますね。ですから、過渡的なことも考えておかないとまずいんじゃないかという気がします。

 

【笹月部会長】  育てるという意味で、職員等を対象とした研修という話になるわけですね。わかりました。

 それでは次に、もちろん何かあれば戻っていただいて結構ですが、第2章、対象別事項の研究開発施策の評価、15ページからのところで、何かございますか。

 

【平澤委員】  施策の評価をこのように重視する形で構成されたということ自体、非常にいいことだと思うんですが、具体的な評価の方法等について記載されている内容というのは、課題の評価とほとんど変わらない形になっていまして、施策向けに、それをつくりかえる必要があるだろうというふうに思います。これはちょっと時間をかけて、次回までにつくり直すことが必要だろう。非常に大きな点だというふうに思います。

 

【笹月部会長】  どうですか、これは。おっしゃるように、「評価とマネジメント」のところにも書いてありますが、文部科学省内部部局及び法人等は研究開発施策を企画立案し、実施し、評価するとともに云々ということで、非常にこれは大きなことなんですね。ですから、ほんとうに適切に反映するという循環過程を構築する、これが今日、最初に議論した大事なところなので、ほんとうに意味ある評価の組織、評価の仕方、評価の観点というものが、きちんとこれがつくられるというのは、確かにおっしゃるように非常に重要な問題。

 

【柿田計画官】  資料1-1のところでご議論いただいた中に入っていた部分と関連すると思うんですが、特に6番になりますけれども、まさに政策に対して、どうアウトカムを評価するかという、施策レベルでの評価のあり方をしっかりするという項目がございます。それから、2番目の評価の観点というところもございますけれども、この辺についてはきっちりと見直すという意味での課題の提案になっております。

 ですので、そこのところはきっちりと次回の、具体的には大綱的指針がしっかりとそこを定められる必要はもちろんあるんですけれども、それの前提となりますのは、科学技術基本計画になるわけでございますので、しっかりとそこに向けて、今の大きな課題を検討していく必要があるというふうに思っています。

 

【笹月部会長】  だれがどこでこういう大型プロジェクトを決めたのか、そして、そのプロジェクトそのものの立案に関する評価がどのようになされているのかというのは、科学者自身が常に疑問に思い、勝手に議論しているところなので、この辺が、やはり組織としても、ソフトとしても明確になるということが大事だと思いますので、ぜひ、今回間に合わないのは残念ですけれども、検討すべき重要な課題ですかね。

 

【平澤委員】  今回だけでこれを終了するわけではないのではないでしょうか。

 

【笹月部会長】  ですけれども、時間的にいつまでにということがありますね。

 

【沼田計画官補佐】  平澤先生からご意見等をいただき、こちらのほうでご相談させていただいて、直せる部分については直すという形でいかがでしょうか。

 

【笹月部会長】  時間が許す限り、できれば盛り込めればという。

 

【平澤委員】  そうですね。次回、リバイズ版を議論できればというふうに願っています。

 それから、今の点に関連するわけですが、例えば16ページで、2.1.4、評価の実施時期というのがありますが、修正された書き出し、主語は評価実施主体で、これが事前評価も行うという形になっていて、今まで我々は、事前評価がちゃんとしていないからまずいんだということをずっと言っていたわけですが、こういう形で実効的に実施されるようになるとすれば、画期的なことだろうと思いますので、これは評価部局だけではなく、全省的にこういう指針をつくって、頑張っていこうという姿勢を示していただきたいというふうに思います。

 それから、18ページのところで、これは先ほどの論点の中にも出てまいりましたけれども、評価項目の抽出というのが2.1.5.4にあります。「必要性」、「有効性」、「効率性」というのを、その定義づけを論理的にどう整理すればこういう事例になるのかというのが、いろいろ考えてもよくわからないので、ここのところをもう少し整理したほうがいいと思います。

 具体的に今、申し上げてもいいんですけれども、時間の関係もありますので、もう少し詰めて、論理的に整理されるのがいいと思います。

 

【笹月部会長】  ありがとうございます。今のご指摘の点も検討して、ぜひ議論したいと思います。

 

【大隅委員】  今の平澤委員のお話に関連してなんですけれども、要するに施策の評価ということをどうするかというときに、具体的な例で申しますと、例えばあるCRESTの領域が立ちました。それに対して、具体的に3つプロジェクトが立ったんだけれども、応募者が、あるところは6課題しか応募がなかった。別のところでは、例えば5課題の募集に対して60課題とかそういう応募があった。私は、必ずしも応募が多いところだけを施策としてやるべきであるというふうに言っているつもりではないんですが、要するに多様な観点の評価というのが必要だと思うんですけれども、ぜひそういったことが改善されるような観点で、書き込みを考えていただけたらいいのかなと思うんです。

 

【平澤委員】  今のお話は、制度自体、継続して運用している途中の段階で見直していく、そのメカニズムをきちんと入れ込めというふうに理解すればよろしいんでしょうかね。これは非常に重要なポイントだというふうに思いますね。

 

【笹月部会長】  要するに、例えば文部科学省内部部局による政策課題の評価というところは、もう一回時間をかけて、準備もして、ここでディテールをやっている時間はありませんので、これについては、全体としてもう一度やるということにさせていただきたいと思います。

 あと、21ページからの対象別事項、それから、ページ36からの機関の評価、研究者の評価というところまでを、時間が迫ってまいりましたので、ここについてご意見をいただき、あるいは大きな修正が必要であれば、それをご指摘いただいて、また次回のテーマにしたいと思いますので、21ページからのところでご意見をいただければ。どうぞ。

 

【西島委員】  前回も議論があって、どなたかがおっしゃったと思うんだけれども、24ページの、基本的には中間評価は重要で、早い段階で修正するということに対しては皆さん賛成だと思うんですね。しかし、中間評価が必要ないものについてはしなくていいよというのが、その必要がない場合というのは、どの時点で、つまり5年の前なんでしょうか。5年の前に、この5年間については中間評価は必要ではないということは、合意がとれているということでしょうかね。それとも、中間評価をやるべき時期に、これはこのままいって、むしろ事後評価を前倒しでやって、先へ進めるとか、そういう判断でしょうか。ケース・バイ・ケースだと思うんですけれども、どういうことを想定していますか。

 

【沼田計画官補佐】  基本的には、プロジェクトが始まる前にということだと思います。

 

【西島委員】  そこで合意がとれているということですね。

 

【沼田計画官補佐】  そうです。

 

【西島委員】  ただし、その合意が破られて、早い段階で、これはどうも誤った方向へ行っているから、成果も出ていないし、あるいは世界の情勢からいって、どこかで標準化がなされているので、今さら標準化を目指してもしようがないというときには、それは中間評価を実施できるという柔軟性を持っているということですね。

 

【沼田計画官補佐】  そういうことです。

 

【中西委員】  32ページの左の上のほうの、赤字の部分の上から4行目に、自己点検や評価の活用とありますが、目標の達成状況や今後の発展見込み等の間に、問題点ということを入れていただけると良いのではないでしょうか。評価というのは往々にして、いいことばかり書きがちですが、必ず何か問題点はあると思います。改良点でも良いのですが入れていただければと思います。

 それから、公平な評価をするために利害関係者を除くことでは、16ページに、「予め利害関係となる範囲を明確に定める」とありますが、その具体的なことはどこかに書かれているのでしょうか。どこかにきちんと書かれているのでしたら、それで結構です。ただ、直接的でなくても、間接的な利益誘導者など、いろいろあろうかと思われますので。

 

【笹月部会長】  これに書き込む必要があるかどうかというのは、どうなんですか。

 

【沼田計画官補佐】  基本的に、各制度の趣旨とか性格によって違うと思いますので、そこの制度のもとにきちんと定めてもらうということになっております。

 

【中西委員】  わかりました。

 

【笹月部会長】  そのほか、ございますか。機関の評価、研究者の評価、それから次に、第3章の機関や研究開発の特性に応じた配慮事項、40ページのところまで。

 35ページ、2.2.3、基盤的資金による研究開発課題、これがさっき中西委員が質問された、運営費交付金による自由な研究で、それは大学が決めることなので、公的な評価にさらされずにスタートする。だから、その評価をどうするのかということで、それはここに書き込まれているわけですが、各大学とも、こういうところをどのように評価体制を構築し、どのような基準で評価するのかというのは、おそらくなかなか整備されていないのが現状ではないかと思うんですが、これもきちんと周知徹底するということが非常に大事だと思いますね。

 

【平澤委員】  ここでは大学と独立行政法人を一括して章立てされているわけですが、評価の仕組みからいうと、その両者はかなり違う枠組みの中でやっているので、章を分けることまで考えなくてもいいかもしれないけれども、それぞれの置かれている制度的な枠組みを考慮した上で、書き分けるということが必要ではないかというふうに思いますが、概括的な言い方で恐縮です。

 大学の場合には、特に今、中西委員がご発言されたようなところは、教育研究評議会の中で自己評価をし、それを外部の機関でオーソライズする、あるいは相互比較をするとかそういう形で内容が決まっていくわけですね。経営的側面というのは、経営協議会で評価した上で報告していくという。独立行政法人の場合には、それぞれの法人ごとの評価委員会があって、そこで逐一評価をしていく体制になっているという。

 

【笹月部会長】  そうなんですけれども、個々人の研究課題についてまで踏み込んでは、そういう評価委員会ではできていないのではないでしょうか。だから、それをどうするかというのが1つ課題になると思うんですね。ですから、先ほど私が申した、各大学がそういうものまで設置して、組織をつくり、ソフトもつくってやっているのかどうか、あるいはやるべしということを周知徹底すべきじゃないかというのは、そういう個々人の研究課題について踏み込んだ評価という意味で申したのでありまして、丸めて研究及び教育についての評価というのは、もちろん大学においても、あるいは独立行政法人においても行われているわけでしょうから。

 

【平澤委員】  独立行政法人の場合は、研究機関の運営の方式と直接関係する評価方式がとられているわけですけれども、大学の場合には比較的、研究の実態に合わせて事後評価を積み上げるようなシステムが多いのではないかというように思っているんですね。そういう意味で、評価の原理的な立場が違うと思うわけですが、それで、それに見合ったような指針というのが。

 

【笹月部会長】  先生がおっしゃるのは、両者を明確に分けたほうがいいのではないかと。そうですね。ありがとうございます。

 この点も検討していただけますか。

 それでは、駆け足になりましたが、今回、幾つか大事なご意見を賜りましたので、それをまた事務局で整理していただいて、次回、12月11日の部会で、今日の各先生方からいただいたご意見をもとに事務局でまとめていただいて、修正案を提示していただいて、そこで議論するということにしたいと思いますが、それでよろしゅうございますか。

 

【諏訪委員】  前回、私はこの指針をつくるのに参加したので、その経験から申し上げますと、作業する立場からいうと、この場で文言を全部細かく見ることは無理なんですね。でも、後で見たら、これは大変なことだったじゃないということはあり得ると思うんです。でも、これを事前に読んできてというのでは難しい。前回の改定では、皆さんにファイルを配っていただいて、各個人がこの上に思いついたことを書き込んで、何でこんなことを思ったのというふうにコメントまで入れることができたんですね。やる側としては、それがすごく楽でしたので、それであれば細かい文言も見られるかなと思うんですが。

 

【沼田計画官補佐】  今回もぜひそういう形で。

 

【笹月部会長】  ありがとうございました。

 それでは一応、本日はここまでにして、今日は時間が足りなかったものですから、十分ご意見をお聞きできませんでしたので、次回までにこれをお読みいただいて、なるべく早い時期に事務局へ、もし問題点があればご連絡いただければ、それをもとに、次回の検討課題として、事務局で案をつくったり、考慮していただきますので、ぜひ委員の先生方、よろしくお願いいたします。

 11月28日、来週末までにご意見をいただければ、それをもとにということにしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、事務局から何か連絡事項ございましたら、よろしくお願いします。

 

【沼田計画官補佐】  今回の議事録でございますけれども、部会運営規則の第5条第1項にのっとりまして、議事録を作成した後、各委員に確認をいただいた後、ホームページに公表させていただきます。

 また、次回の部会につきましては、先ほど部会長からもございましたけれども、12月11日、木曜日、時間は13時30分から、場所は、ここ3F2特別会議室において開催いたします。後日、正式な開催案内の送付と出欠の確認をさせていただきますので、よろしくお願いします。

 また、本日の資料につきましては、机の上に置いていっていただければ、後日郵送させていただきます。

 以上でございます。

 

【笹月部会長】  委員の方から、特別ご発言ございますか。

 なければ、今日の会議はこれで閉じさせていただきます。どうもありがとうございました。

 

―― 了 ――

 

 

 

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