研究評価部会(第31回) 議事録

1.日時

平成20年10月22日 13時~15時

2.場所

文部科学省 3F2 特別会議室

3.出席者

委員

笹月部会長、平野部会長代理、相原委員、有本委員、岩田委員、大泊委員、小川委員、後藤委員、諏訪委員、東嶋委員、中西委員、西島委員、野田委員、花木委員、番場委員、平澤委員、持田委員

文部科学省

(科学技術・学術政策局)
中原次長、戸渡政策課長、柿田計画官、沼田計画官補佐

4.議事録

【笹月部会長】   それでは、第31回科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会研究評価部会を開催いたします。

 お忙しいところお集まりいただきまして、大変ありがとうございます。

 本日は議事次第にありますように、評価システムの改革についてご審議いただきます。

 それでは、まず事務局より配付資料についての確認、説明をお願いいたします。

【沼田計画官補佐】  それでは、配付資料の確認をさせていただきます。

 配付資料につきましては議事次第の配付資料の一覧のとおりでございまして、まず、資料1でございますけれども、「『文部科学省における研究及び開発に関する評価指針』の見直しにおける検討の視点」、資料2が前回の研究評価部会(第30回)における主な意見、資料3が大綱的指針の改定案と現行の文科省評価指針の対照表でございます。資料4が「国の研究開発評価に関する大綱的指針」の改定案でございます。参考資料につきましては、前回の評価部会のときにお配りをした資料でございまして、参考資料1といたしまして、「国の研究開発評価に関する大綱的指針の改定について」、参考資料2が「研究開発評価に関する現状等について」、机上配付資料といたしまして「文部科学省における研究及び開発に関する評価指針」をお配りしております。

 以上でございます。落丁、不備がございましたら事務局までお申しつけください。

【笹月部会長】  どうもありがとうございました。

 それでは、早速、議題1「評価システムの改革について」に入りたいと思います。

 この件に関しましては既に前回説明がありましたように、「国の研究開発評価に関する大綱的指針」の改定というものを踏まえまして、「文部科学省における研究及び開発に関する評価指針」の見直しに関するものであります。

 本日は、この見直しの論点についてご審議をいただきたいと思います。

 まず、事務局から資料を一括して説明していただきまして、その後、各論点についてご意見をいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

【沼田計画官補佐】  それでは、資料1をご覧いただければと思います。

 こちらは「文部科学省の評価指針の見直しにおける検討の視点」ということで、本日はこちらの資料に基づきましてご審議をいただければと思います。まず、資料の構成につきましては、現在の評価指針に基づきまして、1.が基本的な考え方、2.が評価に共通する事項、3.がそれぞれの対象別事項という形で整理をさせていただいております。

 ページをおめくりいただければと思います。1つ目の論点でございますけれども、こちらは、「評価システムの改革の方向性について」ということで、まず、1ページには大綱的指針の改定案と、それと比較をして文部科学省の評価指針の現行のものをお示ししております。それに対して、右側は今回の見直しの視点という形でお示ししております。本日は時間の関係もございますので、この見直しの視点と、次の論点1から事務局案というものを示しておりますので、それについてご説明をさせていただきたいと思っております。

 まず、1つ目、「評価システムの改革の方向性について」でございます。2ページでございます。まず一番初めの視点といたしまして、評価指針の位置づけでございますけれども、前回の評価部会におきましても、マイクロマネジメントまでに介入することは現場の過剰な負担になるというご指摘もありますので、今回の位置づけとして、評価指針をガイドラインとしつつ、各機関におけるこれまでの評価活動の実績等を踏まえ、より自律性を高め、効果的・効率的に評価を行うということを冒頭にきちんと明確に示してはどうかと考えております。

 次でございます。「大綱的指針の改定を受けて見直しが必要な事項」ということで、こちらは1ページの大綱的指針の改定案の青い部分に対応します。今回の大綱的指針では、見直しの方向性ということで丸1から丸3の3つの方向性を示しております。丸1が次の段階の研究開発に切れ目なく連続してつなげ、研究開発成果を国民・社会への還元を迅速する。丸2が過重な評価作業負担を回避する機能的で効率的な評価を実施する。丸3が研究開発の国際水準の向上を目指して国際的な視点から評価を実施するという方向性で今回改定がされているわけでございますけれども、この方向性については文部科学省の評価指針についても反映をしていきたいと考えております。

 ただし、丸1のところでございますけれども、「研究開発成果を国民・社会への還元を迅速化する」と「迅速化」という形で示しておりましたが、基礎研究の成果については次に展開される研究の基礎となることが求められるというところもありますので、こちらの表現については配慮してはどうかと考えております。

 次に、「その他見直しが必要な事項」ということで、これは「大綱的指針の改定を受けて見直しが必要な事項」以外にも見直しが必要と文部科学省で考えている事項でございますけれども、1つ目が、現在の評価が今行われている研究の成果を問い、研究者に短期的な成果を求める傾向が強くなっている現状を踏まえて、優れた研究を見出し、発展させるとともに、人材育成などの波及効果を生み出す研究開発活動を促すための評価を推進することが必要ではないかと。それと、2つ目、3つ目は、前回の評価指針の改定のときに方向性を示したものでございますけれども、研究者を励まし、優れた研究開発を積極的に見出すという前向きな評価が必要ではないかということと、評価の実効性を上げるため、必要な資源の確保や研究支援体制の整備が必要ではないかというところを引き続き踏まえた改正が必要ではないかということで、これらの視点を踏まえて見直しを行ってはどうかという考え方を示してございます。

 次に3ページ、4ページでございます。「評価の意義について」でございますが、こちらは3ページの左側の大綱的指針の改正案では、見直しの方向性を踏まえて、青字のところが、若干修正されておりますけれども、文部科学省の評価指針の意義のところにつきましては重要なところはもう既に盛り込まれているということもありまして、現状のとおりということで考えております。

 ただし、4ページの見直しが必要な事項でございますけれども、やらされている評価、評価のための評価という現状、認識がありますので、こちらについては、評価は、創造的で優れた研究開発活動を支えるための重要なツールであるいうことの意義づけを明確にしてはどうかということで、事務局案では、冒頭の下線の引いてある部分を付け加えてはどうかと考えております。

 次が5ページ、6ページでございます。共通事項の論点2でございますけれども、「評価における過重な負担の回避について」でございます。

 こちらについて、大綱的指針の青い部分が新たに加わったところと、5ページの現行の評価指針については、かなりここの部分については前回の改定の時にきめ細かく作業の合理化でありますとか作業のめり張りについて書かれておりますので、ここのポイントについて青字で示させていただいております。

 6ページでございますけれども、「大綱的指針の改定を受けて見直しが必要な事項」ということで、こちらはまず1つ目が、評価結果が目的に沿って活用され、評価が有効に機能するよう、その具体化の方策と各主体の役割・責任をあらかじめ明確にしておくべきではないかということで、5ページの大綱的指針の青字の部分と同様にお示ししてはどうかと考えております。

 それと、2つ目の丸でございますけれども、こちらは大綱的指針の「効果的・効率的な評価の実施」部分には書かれておりませんけれども、17ページをおめくりいただければと思います。

 「研究開発課題の評価について」というところでございますけれども、今回の改正におけるシステム改革の方向性の丸1、先ほどの「次につなげるための評価」に対応して、「終了時の評価は、その後の発展が見込まれる優れた研究開発成果を切れ目なく次につなげていくために、研究開発課題が終了する前の適切な時期に実施する」という冒頭の青字のところが示されております。それを踏まえて、中ほどの青字のところでございますけれども、「実施期間が5年程度で終了前に終了時の評価が予定されている研究開発課題については、計画等の重要な変更の必要がない場合には、毎年度の実績報告により適切に進行管理を行い、中間評価の実施は必ずしも要しない」と書かれております。

 6ページにお戻りいただければと思います。こちらについて、中間評価の実施が必ずしも必要ないということについては、効率化という観点から取り入れるべきではないかと、今回こういう形で入れさせていただいております。

 次に、「その他見直しが必要な事項」でございますけれども、こちらについてはこの後の論点で出てまいりますけれども、研究体制の強化でありますとか、研究者の意欲や挑戦も積極的に評価する仕組み、また、評価結果の活用をきちんと明確に示していくべきではないかということで、具体的なものについては後ほどの論点の中で説明させていただきますが、こういう形で「過重な負担の回避」については見直しが必要ではないかと考えてございます。

 次が「評価体制の強化」ということで、9ページ、10ページをご覧いただければと思います。

 まず、「大綱的指針の改定を受けて見直しが必要な事項」ということで、評価者のところでございますけれども、こちらは特定の研究者に負担が集中しないように、海外の研究者や若手研究者を評価者として積極的に参加させることにより、評価人材の裾野を拡大していくべきではないかと。また、評価者となるインセンティブを高めることにより、優れた人材を確保することが必要ではないかという改定が大綱的指針で行われておりますので、こちらについては同様に、1つ目の丸でございますけれども、若手研究者や海外の研究者などを評価者として積極的に参加させることなどにより、評価者の確保の対象について裾野の拡大を図るでありますとか、次の丸でございますけれども、「大学等、研究開発法人等の研究開発機関は、研究者の任用において、研究開発評価に評価者として参加したことを履歴の一つとして認定するなど、評価者となることのインセンティブを高めることにより優れた人材の参加を確保する取り組みが重要である」と。

 また、こちらは大綱的指針には盛り込まれておりませんけれども、「文部科学省内部部局等は、大学等、研究開発法人等の研究開発機関に対して、所属の研究者が国の実施する研究開発の評価に評価者として参加していることについて、機関評価の観点に加えることを考慮」してはどうかということを盛り込んでおります。

 次に、9ページにお戻りいただければと思いますが、「その他見直しが必要な事項」として、1つ目がプログラムオフィサーでございます。こちらについては、前回の研究評価部会の中でもいろいろご意見をいただいたところでございますけれども、競争的資金制度改革の中で議論をすべきものであると考えておりまして、評価だけでその議論をするのはなかなか難しいということで、今後、第4期科学技術基本計画策定の議論の中で検討を進めていくということにしてはどうかと考えております。こちらについては右側の10ページの一番下でございますけれども、「文部科学省内部部局及び競争的資金の配分機関は、各制度の趣旨や目的等に応じて、POを最大限に活用した効率的かつ的確に評価を行うための方法等を検討し、評価システムの高度化に努める」というような形でお示しをしてはどうかと考えております。

 9ページの一番下の評価事務職員等でございます。こちらについては、「評価事務職員等について、持続的に養成・確保してくための有効な対応策及び、キャリアパスの形成について明示すべきではないか」と書かせていただいております。こちらも10ページの中ほどに「評価事務職員等」とございますけれども、まず1つ目の丸については下線部でございますけれども、「職員等の海外研修、海外留学等への派遣、研究開発評価専門研究者等の国際会議等への派遣」、また、「評価機関のネットワークの構築」などの具体策について盛り込んではどうかということと、その下の丸でございますけれども、「研究開発機関等においては、評価事務職員等について、持続的に養成・確保していくための有効な対応策やキャリアパスの確立に努める」。また、大学等、研究開発法人等の研究機関については「評価事務や研究費管理など、研究者を支える事務体制の強化に努める。」また、「評価実施主体はその特性に応じ、実効性のある評価を行えるような体制を整えるために要する経費を確保することが必要である」ということを盛り込んではどうかと考えております。

 次が11ページでございます。こちらは「評価水準の向上について」ということで、大綱的指針では見直しの方向性の丸3に挙げておりましたけれども、世界水準、国際水準の評価という形で改定が行われておりますので、現行の評価指針でもこちらの観点についてはいろいろ明記をしておりますけれども、世界水準を意識した評価を推進することが必要ではないかということで、大綱的指針に書かれているような内容を文科省の評価指針にも盛り込んではどうかと考えております。

 次が対象別の事項ということで、論点5の「研究開発施策の評価について」でございます。こちらは15ページ、16ページをご覧いただければと思います。

 まず、15ページの一番初め「大綱的指針改定に向けて見直しが必要な事項」でございますけれども、こちらは大綱的指針では、評価は外部の専門家等による外部評価により実施すると示されております。現行の文科省評価指針では、必要に応じて外部有識者等からの意見聴取や外部機関による分析等を加味するという記述をしておりますけれども、関連する政策評価法では自ら評価するということになっていることと、また、事前評価につきましては概算要求前の時間的な制限もありますので、こちらについては原則とした上でということで実施をしてはどうかと考えております。16ページの一番上でございますけれども、「研究開発を取り巻く諸情勢に関する幅広い視野を評価に取り入れるために、原則として、外部の専門家等を評価者とする外部評価により実施する」と書かせていただいております。

 次が15ページの2つ目、評価時期でございます。こちらは大綱的指針では、「研究開発施策が終了した後に、一定の時期を経過してから、追跡評価を実施する」と示されております。大綱的指針ではすべて実施することとなっておりますが、文科省評価指針では、「すべてを対象とせずに、国費投入額が大きい、重点的に推進する分野、成果が得られるまでに時間がかかるなどの主要な研究開発施策を選定することとしてはどうか」ということで、16ページの評価時期については、「研究開発施策が終了した後に一定の時間が経過してから、追跡評価を行い、成果の活用状況や波及効果等を把握するとともに、過去の評価の妥当性を検証し、関連する施策の見直しや改善、より良い施策の形成等に適切に反映する。追跡評価について国費投入額が大きい、重点的に推進する分野、成果が得られるまでに時間がかかるなどの主要な研究開発施策から対象を選定して実施する」という形で案を示させていただいております。

 次に、15ページの3つ目の評価方法でございますが、こちらは「研究開発施策の成果に係る評価については、目標の達成等を評価することを基本とするが、実施したプロセスの妥当性や副次的成果等、理解増進や研究基盤の向上など、次につながる成果を考慮すべきではないか」ということと、次の丸でございますけれども、「個々の課題からなる制度・制度プログラムの評価については、個々の課題等の評価結果を活用するなどして効率的に実施をしてはどうか」ということで、16ページには同様な文章をお示しさせていただいております。

 次に、15ページの最後の「評価結果の活用」でございますけれども、こちらは、「評価実施主体は、評価の実施、活用に関する責任主体を明確にする必要があるではないか」ということで、こちらも16ページの「評価結果の活用」というところで、「評価を実施する主体は、どのような目的で評価を実施し、また、評価結果は誰がどのように活用するのか等に関して、その役割と責任などをあらかじめ明確にし、それを関係者に周知した上で評価を実施する」という形で示させていただいております。

 以上が研究開発施策の評価でございまして、次が研究開発課題の評価でございます。ページは19ページ、20ページでございます。

 まず、一番初めでございますが、「大綱的指針の改定を受けて見直しが必要な事項」ということで、まず、評価時期でございます。

 こちらは大綱的指針では、先ほどもご説明したとおり、「次につなげるための評価」ということで、「終了時の評価は、課題が終了する前の適切な時期に実施する。この場合、当該評価結果を次の段階の研究開発課題の開始の評価に活用する」とされております。基礎研究などには継続をしないものもありますもので、こちらについては原則とした上で実施をすることとしてはどうかと考えております。右のほうにはそのような形で「原則として」という形で表記をさせていただいております。

 次に、19ページの2つ目でございますけれども、「自己点検の活用」ということで、こちらは被評価者が積極的にその評価に関与することで効率化を図るという観点で、大綱的指針では、「被評価者が、計画段階において具体的かつ明確な目標とその達成状況の判定指標等を明示し、研究開発の開始後には目標の達成状況等の自己点検を行い、評価者はその内容の確認等を行うことにより評価を実施する」とされておりますけれども、こちらは、被評価者の負担でありますとか評価の客観性を損なう可能性があることから、自己点検については「参考情報として活用する」という形にしてはどうかと考えております。

 20ページの自己点検の活用についてもそのように、「内容を参考情報として活用し、評価を実施する」という形で書かせていただいております。

 次が19ページの「評価方法」でございます。先ほどの研究開発施策の評価のところにも書かせていただいておりますけれども、こちらは、「成果に係る評価については、目標の達成度等を評価することを基本とするが、実施したプロセスの妥当性や副次的成果等、理解増進や研究基盤の向上など、次につながる成果を考慮すべきではないか」ということで、課題の評価についても同様に見直しをしてはどうかと考えております。

 次に、19ページ、「その他見直しが必要な事項」というところの一番初めの評価者でございますけれども、こちらは、「評価者が評価の目的等を十分に認識した上で評価に当たるよう、評価実施主体は、選任した評価者に対し、評価の目的や方法等の周知を徹底すべきではないか」ということで、20ページの上から3つ目、「評価実施主体は、評価の種類によって、評価の目的や方法等が異なることから、選任した評価者に対し、評価の目的や方法等を周知し、理解を徹底させる」という形でお示ししております。

 次が「評価の継続性」でございます。こちらは前回の評価部会でもいろいろご意見をいただきましたけれども、「事前、中間、事後評価にわたって、一貫して責任のある評価を実施すべきではないか」ということで、こちらは20ページの中ほどに書かせていただいておりますが、「評価実施主体は、過去に評価を行った者を一部評価者に含めることなどにより、中間評価、事後評価において、事前評価における採択理由などの情報を確実に共有し、責任ある評価を実施する」という形で明記をさせていただいてはどうかと考えております。

 次に、「評価の観点」でございますが、「評価により、研究の持続発展性を見出し、伸ばしていくため、現在の評価の観点である「必要性」、「有効性」、「効率性」に、「発展可能性」を加えてはどうか」ということで、20ページ、下から2番目でございますけれども、例として、評価項目の発展可能性ということで、科学的・技術的意義でありますとか、人材の養成、知的基盤の整備への寄与、これらについて評価の観点として加えてはどうかと考えてございます。

 次に19ページの一番下でございますが、「評価結果の活用」ということで、「評価結果の内容等をできる限り詳細に被評価者に伝えることは研究計画の充実や改善等に寄与するため、積極的に推進すべきではないか」ということで、こちらについても20ページに同様な形でお示ししております。

 次が「研究開発機関の評価」でございまして、21ページ、22ページでございます。

 22ページの一番初めでございますけれども、「大綱的指針の改定を受けて見直しが必要な事項」ということで、評価者については、大綱的指針では、「評価は、外部の専門家等を評価者とする外部評価により実施をする」と外部評価を原則化しておりますけれども、大学等については学校教育法に基づいて自ら点検・評価を行うことが定められていることに配慮し、原則とした上で外部評価を実施するという形でどうかというふうに考えております。

 次でございます、「その他見直しが必要な事項」でございますけれども、機関の目標設定が曖昧で、機関の個性があらわれていないために、評価が類似したものになっているという指摘もございまして、「機関が、機関のミッションや特性に応じた明確な目標を設定することが必要なのではないか」ということで、22ページ下の事務局案でございますけれども、「機関は、自己分析に基づき、機関の目的や特性に応じた明確な目標を設定する」ということをつけ加えてはどうかと考えてございます。

 次が「研究者等の業績評価」でございます。こちらは24ページをご覧いただければと思いますが、「大綱的指針の改定を受けて見直しが必要な事項」ということで、「評価結果については、インセンティブとなる個人の処遇や研究費の配分等に反映させるべきではないか」ということで、下の事務局案では、「研究開発機関においては、インセンティブとなるよう評価結果を個人の処遇や研究費の配分等に反映させる」でありますとか、「その他見直しが必要な事項」ということで、「評価の実施自体を目的化しないためにも、その目的を明確に設定する必要があるではないか」ということで、事務局案では、「研究者等の業績評価の実施に際しては、組織としての目的や特性に応じて、その目的を明確に設定する」という形で書かせていただいております。

 資料1の説明につきましては、以上でございます。

 資料2につきましては、前回いろいろいただいたご意見をまとめたものでございまして、資料3につきましては、大綱的指針の改定案と現行の文科省評価指針を比較し、どういう改定が行われたか、大綱的指針の青色の部分は新たに加わったものをお示ししております。

 資料4でございますけれども、こちらは大綱的指針の改定案ですけれども、大綱的指針の改定のスケジュールにつきましては、10月17日に総合科学技術会議評価専門調査会が開かれまして、改定案のこの形で了解をとられております。これにつきましては、今月末の総合科学技術会議の本会議に諮られて最終的な決定という形になる予定でございます。

 説明については以上でございます。

【笹月部会長】  どうもありがとうございました。

 評価システムの改革の方向性をはじめ、見直しが必要な事項についての事務局案というものをご説明いただきました。

 ただ今から、このそれぞれの論点につきまして順次ご意見を賜りたいと思います。それぞれについて1項目ずつやっていますとおそらく時間が足りないと思いますので、見直しが必要な事項というところで指摘されたこと、それに対する事務局案というのをまずご覧いただき、お考えいただき、それから、ここには記載されていないけれども、こういうことも必要ではないかということがございましたら、ぜひお聞かせいただければと思います。

 まず、「評価システムの改革の方向性について」というところで何かございますでしょうか。最初の「基本的な考え方」というところでありますが、1ページに大綱的指針の改定案というものがありまして、2ページに「評価システムの改革の方向性について」というところでございますが、この点でご意見はございますか。

【平野部会長代理】  よろしいでしょうか。

 これまでの意見をよく入れてまとめてくださっていると思っております。

 1つ言い回しで質問したいのです。2ページ目の「見直しが必要な事項」、それから、1ページ目の改定案に含まれておりますが、「研究開発の国際化に伴い、世界的に高い水準の評価を推進することが必要」であるとの部分です。当然であると思いますけれども、これは評価をいうのか研究そのものの国際的な高い水準を見るのか、どちらでしょうか。当然研究成果の高い国際性ということではないかとは推測するのですが、いかがでしょうか。

【笹月部会長】  これは1ページの青色のところで丸3にありますように、研究開発の国際水準の向上を目指すと。

【平野部会長代理】  わかりました。

【笹月部会長】  それに、「新たな社会的な知の創造などに資する成果の創出を促進するよう」、今度は、「国際的な視点から評価を実施する」ということで、もちろん研究の国際的な高い水準を目指す、またそれに資するような評価を国際的にやりましょうということです。

【平野部会長代理】  というふうに私も理解するのですが。

 なぜそういう質問をするかといいますと、もう既に国立大学の暫定評価では達成度のみでなくて水準評価が入っておるわけです。これは、論文について「SS、Sを設定せい」という非常に難解な段階にもう立ち入っておりまして、各大学、大変混乱があると聞いておりますが、こういうことがこの中に含まれておるという理解でしょうか、という意味では私質問したのです。

【笹月部会長】  わかりました。その点、いかがでしょうか、事務局から。

【沼田計画官補佐】  こちらについては、具体的な中身については11ページ、12ページで。

【笹月部会長】  実際にどうするかという具体的なところですね。そこでまた議論をしましょう。

【平野部会長代理】  結構です。ありがとうございます。

【笹月部会長】  各論として出てまいりますので。

 どうぞ。

【大泊委員】  ここで言っておられる評価というのは、中間とか事後の既に採択が終わった後の話が中心ですね。つまり、「切れ目なく」という表現等は、全部スタートした後の話ですよね。

【沼田計画官補佐】  そうですね。

【大泊委員】  私が今問題だと思っているのは、どういう基準で選ばれたのかという、そのことのほうが余程大きな問題だと思っているのですけれども、それについてはあまりお考えになっていない。

【笹月部会長】  この「評価の時期」というところにまた出てきますが、事前、それから、中間、事後と。ですから、そこで事前のところが、もちろんおっしゃるように、私もいつもそれを言うのですけれども、事前のプランニングのところで、「こういう目的でファンディングが行われる。そうすると、それに応募する人はその目的に沿った応募をしなければいけない。そこでの評価が一番大事だろう」というのは皆さん同じお考えだと思いますので、またそこで議論を。

【大泊委員】  わかりました。

【西島委員】  よろしいですか。多分先生がおっしゃったのは、評価というよりは採択する採択基準なるものが重要であって、評価という意味合いとは少し違いますよね。

【大泊委員】  違いますよね。

【西島委員】  私が思うには、ここで言っているのは評価だと思います。ですから、事前評価とか中間、事後評価であって、評価ということなので、採択基準とは少し違う。採択基準は、ここでは多分論じるのは難しいと私は思いますが。

【大泊委員】  そうですか。

【笹月部会長】  それにもまたちょっと議論があるところだと思うのですけれども。もし採択基準に準じて採択するかどうかを決める、それがまた逆に言えば事前評価であって、そうでなければ、では事前評価は一体何だということになりますので、事前評価という言葉を使っていますけれど、事前評価に関しては採択の基準に準じた採択をするかどうかという評価だと思うのですけれどね。

【西島委員】  そこを含んでいるということで。

【笹月部会長】  はい。

 どうぞ。

【中西委員】  よろしいですか。

 全体に係わることですが、2ページの上のほうに、「自律性を高め、効果的・効率的な評価を行う」と書いてあるところですが、評価というものにはたくさんの評価基準があるということが本質だと思います。研究にも研究者にも研究機関にも多様性があり、その主体に応じて柔軟に評価基準を変えなければいけないと思います。しかし評価といいますととかく監視面が出がちです。そのために評価のしやすさを求める傾向もあるのですが、評価の本質を犠牲にしないということが一番大切だと思います。評価が効率的だということを追い求め過ぎると、とかく画一化されてしまうところが懸念されるのでひとこと言わせていただきました。

【笹月部会長】  ありがとうございます。

 どうぞ。

【平澤委員】  この案自体は、いわゆる見直しの方向性について、それを踏まえて地道に論点整理ができていると思うのですけれども、そもそも今実施されている評価体制自体の実態を見た上で、我々としては改定すべき内容を議論すべきではないかなと思うのですね。

【笹月部会長】  そうですね。

【平澤委員】  それで、どうもこの評価専門調査会での大綱的指針の見直しそれ自体に対しても、事前に地道な調査が行われていろいろな問題点を把握した上で行っているとは思えない、そういう事実はないわけですね。ですから、何となく筆先の体制の見直しにとどまっていると思うわけですけれども。

 それで、ここでこれから議論するのをこの枠の中に限定して議論するのか、それとも、本来問題があるところをもう少し取り上げて議論するのかということを最初にお伺いしておきたいと。

【笹月部会長】  それは最初に私も申しましたけれども、ここで指摘されている見直しが必要な事項ということがまず羅列してあって、それに対する事務局案というのが羅列してありますけれども、ここにリストアップされていない項目についても、例えば重要なものが抜けているとか、そういうふうな議論をしていただきたいと私は最初に申したのですけれど。

 どうぞ。

【平澤委員】  そうすると、先ほどお話があったように、私も採択評価のところが非常に大きな問題を抱えている。そのシステムを直さないと、中間、事後をいじったってそんなに大きな効果は上げられないというのが実態だと思うのですね。

 ただ、評価の制度の議論、これは大綱的指針の一番最初のときからそうなのですけれども、最初の採択のところは触れないで、全く触れないわけではないけれども、軽くしか触れないで、それは今までの実施していた実態を踏まえた上で、中間と事後を新たに加えるという形で大綱的指針ができたわけですね。これは第1期の一番最初の段階です。

 それ以降、ですから、中間、事後、それにあと追跡を加えるとか、それから、課題だけではなくてその上の制度を加えるとかといふうにして広がってきているわけなのですけれども、だから、議論として残されているのはやはり採択の部分であると。

 特にもう少し言えば、どのような制度を設計するかというところが非常に大きな問題を抱えていて、ここをいじらないと今の基礎研究の体制というのは変わっていかないだろうと思うのですね。

 そういうことを含めて議論していいのかどうかという意味です。

【笹月部会長】  ありがとうございます。

 どうぞ。

【有本委員】  前回、事務局からお話があったように、第4期の科学技術基本計画の審議がもうすぐ科学技術・学術審議会の中でも始まります。そこでは今平澤先生がおっしゃいましたように、いろいろ緻密にいろいろな基礎データ、あるいは、現場のいろいろなデータも集められて分析もされると思うのです。どうも私タイミングがずれているなと思うのは、総合科学技術会議がなぜこの時期に改定案を出したのか。それを受けて各省が改定せざるを得ないということでやらざるを得ない。その上で、次の第4期基本計画に向けて徹底的に今のような基本論も含めて検討する。そういう2段構えにしておかないとどうも納得いかないという感じがするのです。

【柿田計画官】  参考資料1がございますけれども、これは前回の部会でも配付させていただいた資料でございます。その3ページのところに、「日本の研究開発評価指針の変遷」という図がございますが、そこに第1期科学技術基本計画を受けて、平成9年に初めて大綱的指針ができて、そして、第2期の基本計画がその後でき、そして、またその基本計画の内容とか、あるいは、評価の実施などを踏まえながら、平成13年に大綱的指針の新しいものができた。そしてまた、平成17年にはさらにその大綱的指針の改定がなされて、第3期の基本計画にまたそれが反映されていくというような歴史的な経緯がございます。

 そういうことで、必ずしも基本計画の策定と大綱的指針の改定が交互にきているという感じでもないのですが、ただ、改定のタイミングを見てみますと、大体三、四年たった時点で改定されてきており、また、今回平成20年ですので、やはり3年間以上たったということで、第3期の基本計画の期間中ではございますけれども、大綱的指針の改定がなされたというように我々は考えております。

 もちろん今回の改定では、文科省の評価指針の改定はどういう必要性といいましょうか意義があるのかということでございますが、まずは、内閣府でこのような三、四年に1度という形で大綱的指針が見直されている以上は、各府省はそれに準じてそれぞれの評価指針を直さなければいけないという、まず要請といいましょうか必要性がございます。

 ですので、今回の評価指針の見直しにおいては、まず一義的には今回の大綱的指針の改定を受けて必要な改定を加えるというところが最低限といいましょうか、必ずやらなければいけないことであります。

 それと、先ほどPD・POの問題でありますとか、その他にもいろいろ根本にかかわるような問題がございます。それについては、まさに次の第4期に向けての議論がこれから始まるタイミングになりますので、議論としては大きく2つに分けなければいけないと思っておりまして、1つは、大綱的指針を受けて必ず改定しなければいけないこと、それを中心に文科省の評価指針を改めたいと思っております。2つ目として、他方で、第4期に向けての議論の中で根本的に評価にかかわる部分についても議論をする必要があると思っておりますし、その2つを分けて認識していく必要があるかなと思っております。

 当然、第4期の基本計画が策定された暁には、またそれを踏まえて内閣府のほうで新しい大綱的指針ができることになりますので、それを受けて、また新しい文科省の評価指針をつくっていくということになると考えております。

 他方で、冒頭の資料1でご説明もしておりますけれども、今回の、折角と言ったら何ですけれども、今回の評価指針の改定でございますので、もちろん大綱的指針の改定を受けて見直す事項というのは対応させなければいけないのですが、それ以外にも、やはりこれまでの評価の実績等を踏まえて、ここは直すべきであろうというような項目についてはそれぞれのページに、「その他見直しが必要な事項」ということで、ここは必ずしも大綱的指針に連動してということではなくて、文科省のこれまでの評価の実績を踏まえて必要な事項というものを盛り込んでおりますので、そういう意味では、大綱的指針の改定、プラス、若干もう少しスコープを広げながら今回のタイミングで盛り込めるものについては盛り込んで改定していきたいと、そういうことでございます。

【笹月部会長】  ありがとうございました。

 事務局側からの説明はよくわかりますといいますか、納得できる説明だったと思いますが、しかし、今、委員の先生方が等しく感じておられるのは、やはり、そもそも日本における評価のあり方ということに常日ごろいろいろなご意見、あるいは、ご不満なりを持っておられるので、そういうことを抜本的にまず議論したいということなのだろうと思うのですね。ここに項目が出てきて、それに対して事務局案が出てきてこれでどうですかと言われると、何か小さなところに入ってしまって、ほんとうに日ごろ感じていることがなかなか反映できないということだろうと思います。

 ただ、今ご説明を伺いましたように、大綱的指針があって、それに従って各省が評価のあり方の見直しという、その宿題は出しましょうということで、今日お示しいただいた資料についてはご意見を伺って、それから、今日時間があれば、そのそもそもという、先ほど平澤先生もおっしゃったように、私も事前評価が非常に重要だと思うのですね。

 しかしながら、もう一つ前に、それも平澤委員がおっしゃったように、特にトップダウンのような、あるいは、大型の研究ジャンルをつくるときには、そもそもどうやってそういうものを策定するのかというそのプランニングのところが非常に重要で、それを誰がどういうふうにしてやるのかというところまで本来は評価されるべきであろうということを研究者の方々、あるいは、その他の方々が皆さん等しく思っておられると思いますので、そういうことも含めたそもそも論をぜひこの委員会で議論できる時間をつくりたいと思っておりますが、今日はとりあえず宿題を果たすというところ、それから、事務局から説明もありましたように、その他追加すべき事項というところで、日ごろお考えのところをつけ加えていただければと思います。

 時間も限られていますので、てきぱきと進めたいと思いますので、ご協力をよろしくお願いいたします。

 どうぞ。

【諏訪委員】  すみません。今そもそも論は後にという話もあったのですが、これは標準的な評価指針をつくろうとした場合に、やはり世界の評価指針と比べてどうなのだという疑問が出てくると思うのですね。

 今、日本としての評価というふうにおっしゃってはいるのですけれども、もう随分、世界的な評価というのは調査・研究されていらっしゃるので、もうある程度これは正しいということがわかっているものがあると思うのですね。

 それと比べて議論すべきところはどこか、新たに改定すべきところはどこかという論点が必要だと思うのですけれども、その辺はいかがでしょうか。

【笹月部会長】  そのそもそも評価のあり方についてということから洗い直してきちんとやりましょうと、それはそれでまた正論だと思いますが、今我々がこの委員会として託されたことは、それを最初にやろうとすると、また資料も必要になりますし、調査も必要になろうと思いますので、何かこの件に関して、もし特段のご意見、サジェスチョンがおありの方は。どうぞ。

【平澤委員】  私も全く同じことを考えていたのですが、部会長がおっしゃるようにそれなりの準備が必要になるわけですね。本来はそういうことをやった上でこういう議論の場が設定されるべきだと思いますが。

 それで、この案に沿って申しますと、先ほどご質問がありましたように、世界的視点とか世界的水準とかという、これは第3期の大綱的指針にそういう言葉が入ったときに私自身非常に違和感があったわけです。全然レベルが達していないのにそういうことを言ってしまっていいのかなというような意味でですけれども。

 それで、世界的水準の意味ですけれども、私は制度として世界的水準になっているかということが最も重要な観点だと思っています。これについて、具体的にいろいろお話ししたいところもあるわけですけれども、要するに、だから、12ページに、単に評価のありようが世界的水準とか、研究が世界的水準になるようにとか、国際的な問題が扱えるようにとかという、そういう話だけではなくて、項目として見直すべきこととしては、制度自体が世界的水準になっているかということを入れるべきだと。

【笹月部会長】  制度ですか。

【平野部会長代理】  制度と考えます。

【平澤委員】  制度自体が。先ほど来言っているように、事前の部分、これはプログラム設計が非常に重要なわけですけれども、それが伝統的なものにとどまっていて、新しい科学技術の進展に合うようなものになっていないというのが一番基本的な問題だと思っているわけです。諸外国ではそこのところを非常に今展開しているわけなので、それに遅れをとっていいのかという、こういう問題です。

【笹月部会長】  どうぞ。

【有本委員】  プラクティカルな提案なのですけれども、これはこれで総合科学技術会議を受けて一斉に各省が議論をして、もうタイミングとしてまとめると思うのです。これはこれで怠ると、社会とか国会に対して危険な状況になると思うのです。

 だから、これはこれで議論をして、この総合科学技術会議の枠組みの中で改良すべきところは我々が提案する。一方で大事なのは、ここで今のような総論のところについては、きちんと附帯事項という形でまとめていただいて、それはそれで出しておく。そして、第4期基本計画に向けて本格的な討論をする。

 今の話は科学者のコミュニティの文化にまで係わるわけですから、第4期基本計画で大変重要なところです。そういうものはきちんとまとめて問題提起の形にしてまとめる。そういう2つにすればいいのではないかという提案です。

【笹月部会長】  時間的な問題で、いつまでですか、最終的に、どれぐらいのゆとりがあるのか。私もいわゆるそもそも論、そういうことはやはりぜひ一度必要だと思いますし、それから、宿題といいますか、今日ここで示されているものについての、きちんとしたここでの議論と、これも両方必要だろうと思います。一気に今日済ますということはとても無理な話ですので、時間を設定していただくと。

 そうすると、本来、まずそもそも論をやりましょうよということになろうかと思うのですけれども、そもそも論をやるためにはやはり、いろいろな資料も、外国の状況とかこれまでの問題とか、そういうものも必要であろうと思いますので、今日はここに示された資料をもとに議論をいただいて、それから、何度も繰り返しましたけれども、ここには出てこない項目についても、ぜひ先生方から、これについても考えて提言すべきだというところをご示唆いただくというぐらいのことに本日はしたいと思いますが、よろしゅうございますか。

 それでは、そういうことで、よろしくお願いいたします。

 ですから、いわゆる総論的なところは、総合科学技術会議への宿題の答案の中にそのそもそも論を議論した後、総論的なところをそこに書き込むということで、各論については今日ここに示されたもの、プラス、委員の先生方からご提案があることについてを今日時間のある限り議論をするということにしたいと思います。

 それでは、この方向性について、これらは総論的なところも含まれますので、論点1「評価の意義について」というところからスタートさせていただければと思います。

【有本委員】  よろしいですか。

【笹月部会長】  どうぞ。

【有本委員】  4ページの事務局案の最初の1行目ですけれども、「評価は、それ自体が目的ではなく」という表現です。少なくとも公的資金を受けて研究をする者は評価を受ける義務があるのではないかと思うのです。こういう書き方をすると何かそこが抜けているような気がするものですから、ご検討いただければと思います。

【笹月部会長】  ありがとうございました。

 そのほか、何かございますか。

 この事務局案の丸1から丸5を拝見すると、それぞれ「もっともです、はい。」みたいなことになろうかと思いますから、これにとらわれずに、意義についてというところで、もしこういう観点も議論し、あるいは、述べるべきであるということがあればぜひお聞かせいただければと思います。

 またいつでも論点1に戻っていただくとして、論点2「評価における過重な負担の回避について」というところはいかがでしょうか。どうぞ。

【小川委員】  確認させていただきたいのですが、「中間評価の実施は必ずしも要しない」ということは、どちらかといえば、中間評価はなくしていくというようなことを意図して書いておられるのでしょうか。

【柿田計画官】  17ページに大綱的指針の改定案があります。先ほどの冒頭の説明にもあったところでございますが、まず、趣旨としては、研究開発がその後の発展が見込まれる優れた成果、それを切れ目なく次につなげていくために、終了前に評価をやって、その評価を次のフェーズの研究開発の事前評価に使いましょうという趣旨であります。

 ですので、そういうものについては、5年程度の研究開発であれば具体的にはその終了前ということになりますと、5年目あるいは4年目にやるということもあるかと思います。

 そうしますと、従来ですと5年間の研究開発でありますと大体3年目ぐらいに中間評価をやりますけれども、3年目に中間評価をやって、また4年目か5年目ぐらいに終了前の評価をやるということで、評価ばかりやるということになります。そうではなくて、適切に毎年度の進行管理をきちっとやっていけば、今まで3年目にやっていた中間評価はもうなくしていいだろうということです。

 ですので、次につながるもの、研究課題というのでしょうか、次のものにつなげていく、そういうものについては今言ったようなものでいいだろうと。ただし……。

【小川委員】  ものに、課題によるというふうに。

【柿田計画官】  そういうことです。

【小川委員】  例えば、少し気にしましたのは、今、情報・知財系人材養成評価作業部会の主査をして、ちょうど日曜日にやってきたところですけれど、先ほどから意見が出ていますように、事前での評価で、特に人材養成ですので、目的はこれぐらいの人数、このぐらいのレベルの人を何人養成するということを書いてあるのですが、結果的にそれがもし事前評価だけで中間評価をせず、事後評価をすると、正直なことを言って、7件中Cが6件とか、そういうレベルになってしまうのですね。

 ですから、やはり中間評価でいろいろな情勢を見ながら、セキュリティなどでいろいろ技術も進んでいますので、できればやはり中間評価で計画のアジャストをして、それからもう一度やっていくということをしないと、特に人材養成の作業部会の場合は難しいと思いました。

【柿田計画官】  はい。

【笹月部会長】  ありがとうございます。

【小川委員】  適切な進行管理というこの基準がやはりあいまいな感じなので、こういう課題に関しては要る、要らないというようなことも明確であればいいかとは思います。そこまでできるかどうかはわかりませんが。

【笹月部会長】  私はやはりおっしゃるように、事前評価、中間評価、事後評価、いずれもほんとうに大事だと思うのですね。中間評価で、例えば2年目ぐらいに行って、所期の目的から随分かけ離れているならば強い指導も必要でしょうし、あるいは、場合によっては打ち切りということも必要でしょうし、そういう意味での中間評価の重要性というのは、これはまた皆さん等しく理解しておられることだと思うのですね。

 ですから、何か忽然と中間評価はあまりいいでしょうみたいなことに私はならないと思うのですね。ですから、5年のプロジェクトであれば3年目ぐらいに中間評価、あるいは、2年目でも私はいいと思うのですけど。

【小川委員】  そうですね。

【笹月部会長】  2年目ぐらいに中間評価、それから、4年の終了前に次へつなげるための評価みたいなことがあれば、それはそれでいいのだろうと思うので、これが強調されるのは、私はあまりよくないと思います。

【西島委員】  いいですか。多分これはニュアンスとしてはこういう意味合いもあると思うのですね。つまり、事前評価をし、中間評価をしてかなりいいと思って、その後が事後評価になってしまうと、事後評価のときにはもうそのプロジェクトは終わっているというときに、本来ならばこれを速やかに進めるというタイミングを逃したのではないかということを避ける意味で、そうすると、5年の前にやってしまうと、中間評価をやってすぐ1年後に事後評価をやるという。そうすると、毎年の評価みたいになって、評価疲れというのがあるので、ケース・バイ・ケースですけれども、例えばコンスタントにものづくりするような形で順調にいくようなものについてはこういうようなことを設けてもいいという、そのぐらいのニュアンスではないかと思います。原則は多分、生命科学とか重要なポイントだけれども、明らかにものづくりで進んでいくのがわかっているときに、評価を中間でやる、毎年やる、それで、当然その次のプロジェクトについては事後評価の前にやるというようなことをステップでやると大変だという、そういう意味で原則論として多分書かれているなと、そういう意味合いではないですか。

【笹月部会長】  そうだと思います。

【小川委員】  それは理解しています。

【笹月部会長】  それは皆さんそう理解していただいて。

【小川委員】  あまり増やしても仕方ないというのはそうです。

【番場委員】  よろしいでしょうか。私も小川先生と同様に、今月の初めに評価作業部会をやってきました。私のところの部会はすべて3年の研究でした。その中で1つ、国の政策目標を明らかにして公募して、採択されたものが、事後になってそのプレゼンターからというか実際に研究をやられている人から、その国の政策の目的というのは国際的なスタンダード、それが事後評価の場所ではデファクトになっているのですよね。最初からそれは採択されるときにコメントでいろいろな業界のメンバーも入れてくださいよと。ところが、それがだめになって、途中からどうもデファクトでいこうと。

 そこには研究運営委員会等も機能しているのですが、そういうプロジェクト外の有識者が入っている研究運営委員会のメンバーがその政策課題あるいは目的なりを理解していたのかどうかというのも一つ疑問があるのですよね。

 その例から思うのは、採択されたのはいいと。ただし、最初の目的、目標に対して方向が違ったときに、この7ページの下のほう、作業の合理化、「計画等の重要な変更の必要が無い場合には」、これはどなたが無いと判断するのでしょうか。それを1つ教えていただきたい。それと、「毎年度の実績報告などにより適切に進行管理を行い」、これは適切に行われているというのは誰が判断するのでしょうか。ここがないと、毎年度の実績報告を出すということが目的になってしまうおそれがありますので。

【笹月部会長】  ありがとうございました。

 これは現実にはどうですか、事務局。今、実績報告、年度ごとの例えば5年もの、3年ものでも結構ですけれども、年度ごとに実績報告書というのを出して、これはどのように利用され、その効果は何かというと。

【相原委員】  私が自分で知っている限りは、JSTのものはほとんどPO・PDがあり、JSTでは基本的にはPOの方々がプログレスをモニターされています。ただ、科研費の場合は、PO・PDは、僕もJSPSのPOをやっていましたけれども、そのモニターするという機能はないので、科研費の場合はおそらくこういうきちんと中間評価みたいなのをやらないとよくないかと思うのですけれども。JSTに関しては、先生方もご存じのように、必ずPOが見ていますので年度ごとにもチェックが入りますし、ですから、それを頭に入れると、こちらは何となくわかるかなと。JSTのものは5年でその次というのもあるような形でいく研究費が多いですから、そこを頭に入れると、ここに書いてあることが何となくわかるかなと思います。

 ただ、科研費は違います。5年で特別推進研究などは終わって成果を出していなければだめということになります。そこ2つを分けると少しわかりやすいかなと私は思いますが。

【笹月部会長】  わかりました。そうすると、この中間評価の意義、それから、もう一つは年度ごとの実績報告書の意義、活用の方法、これについて一つ宿題として考えたいと思います。

 先へ進ませていただきますが、論点3「評価体制の強化」というところで。どうぞ。

【花木委員】  よろしいでしょうか。ここの部分は、そもそも評価自身を創造的で優れた研究開発活動を支えるためのものとすると、それはみんな賛成で、そして、そのためにはいい評価をしなければいけないというところもみんな総論賛成です。どうやって評価をする人にその意欲を持たせるかが問題です。そのために、この評価部会で大分何回も議論してきまして、その一つは、評価をしている人のキャリアパスをつくる必要があるということで議論があったわけですが、今の日本の大学あるいは社会の仕組みを見ると、そうすぐに、5年やそこらでその評価をやる何十人もの人のキャリアパスをつくるというのは現実的に難しい。

 そして、ここにある提案はこの2つ目に書いてあるとおり、大学等の研究者の任用のときにそういった評価をした実績を評価してもらうということで、これは具体的な一歩として私はいいと思うのです。もう一つのやり方は、キャリアパスもさることながら、研究活動をすることにおいて評価をしたということをプラスに見てもいいのではないかと思うのです。

 もっと具体的に言うと、研究提案をするときに、過去に行った研究、文献リストというのを書きますけれども、例えば科研費のフォームをイメージしていただければいいのですが、そこに過去に参加した評価というものを書くというようなことであれば、この評価をしていることを積極的に取り入れることができると思うのですね。

 なぜそういう言い方をするかというと、実際に人事のときの任用の書類に書いても、おそらく現場では、それはそれとして、もっと別の要素がかなり働くと思うのですけれども、そうやって研究提案のところに書かせて明示的にすることによって、一人一人提案するときに、これはもっと評価に参加しておくとプラスになるという意識が出てくる。

 だけど、その評価をたくさんするためには、一回呼ばれたときの評価で適切な意見を言わないと、信用ができてこないので、続けて参加できないですよね。それはやはり見ている人は見ているので、きちっとした評価をやる人にはまたお声がかかると思うのです。

 そういう意味で、研究提案に評価の経歴を書いていくというのも一つアイデアとしてあるのではないかなと思います。

【笹月部会長】  ありがとうございます。

 最近、私が目にするアメリカ人のCV(履歴書)には必ずその項目がありますね。CVそのものにNIHのどういうプロジェクトのレフェリーを何年から何年までやったというのが。日本もそういう項目として記載するという案だと思います。

【平澤委員】  よろしいでしょうか。

 評価者のところで、海外の研究者、これは積極的に参加させるということはいいと思うのですけれども、若手研究者について同じようなトーンでいいのかというのは、私はかなり疑問です。

【笹月部会長】  そうですね。

【平澤委員】  PD・POのときにも若手を積極的にということだったのですけれども、これは結局機能しなかったですね。それから、レビュワーとして若手を入れるということもこの間やってきたわけですけれども、そう大した意見は出てこないというのが実態だったと思うのですね。

 むしろ年寄りでというふうには言いませんけれども、見識のある人でまだ評価者に加わっていない人たちがたくさんいるのではないかと。そういう人を積極的に開拓していくということのほうが重要ではないかと思います。

【笹月部会長】  いわゆる若手の定義といいますか、どの集団を称して若手と呼んでいるかということにもよると思うのですけれども。

 ただ、いわゆるシニアだけでは結構わからない点もまた出てきますので、若手のグループという、どれぐらいを若手と称するかですけれども、文字どおり「若い人たち」では無理だし、それから、逆に研究をしっかりそういう人たちにはやってほしいと思いますので、若手をどれぐらいとするかということもちょっと考えて、それから議論すべきことだと思います。

 それから、外国人ということについても、国際化ということですぐ「外国人のレフェリーに」というのも言葉としては出てくるのですけれど、ほんとうにこれまた意味があるのかどうか。これまでの数少ない例、数少ない経験から見ると、どうもあまり、特に大型のもので申請者が指定した外国人評価者というのはみな友達なので、いい評価しか書いてこない、全部Aをつけて、というようなことで、外国人を入れた意味は何もなかったというのを私は幾つか経験しておりますので、頼まれるほうもまたなかなか大変だろうと思いますから、これも言葉で言うのはやさしいけれども、具体的な案を提案して、ではそれがほんとうにフィージブルかどうかというようなことも検討してから書くべきだろうと思います。

【平澤委員】  よろしいでしょうか。私は海外の研究者を入れるべきだと申したのですが、スーパーCOEでは2年目からは入れたのですね。議論するのも英語でするようなそういうシステムにしたわけですが、これはかなり効果がありまして、お友達ではない人を我々は選んだわけですけれど。やはり内部だけで、つまり同じ国の人たちだけでシステム改革を議論しても出てくるアイデアは知れている。

【笹月部会長】  そうですね。

【平澤委員】  だから、これも先ほどの議論でもそうですが、中間評価云々の議論でもそうですが、要するに課題により積極的にとかいうのであればいいと思います。

【笹月部会長】  そうですね。もちろん例えばWPIでの外国人の果たした役割というのは確かに評価すべきですので、どれぐらい大型のものから外国人に参加してもらうのかとか、いろんな細かな詰めが必要だろうということだと思いますけれども。

【諏訪委員】  よろしいですか。この評価者のところですけれど、若手研究者や海外の研究者と、研究者だけになっているのですけれど、「など」と書いてあるところが結構重要かなと思いました。

 というのは、機関を評価するとか、あるいは、連携施策群を評価するということをしなければいけない場合が時々出てくるのですけれども、特に今回私のやったのも連携施策群の評価ですけれど、研究者では判断できないことがあって、むしろ経営の経験がある人とか、あるいは、企業の人たちから意見を聞いたほうがいいよねというのは結構ありますので、研究者だけではなくて、何て言えばいいのでしょうね。

【笹月部会長】  有識者。

【諏訪委員】  例えば企業、有識者というのを明示したほうがいいのではないかと思いました。

【笹月部会長】  ありがとうございます。

 論点4にとりあえず進ませていただきます。「評価水準の向上について」、これはこの見直しが必要な事項として、世界水準を意識した評価を推進することが必要ではないかと。これは先ほど来、平野先生、平澤先生がおっしゃった評価の世界水準ということで、では、世界水準とは一体何ぞやということになると。さっき諏訪委員がおっしゃった国際的調整が必要ではないかというようなことにもなろうかと思いますが。

 世界水準を目指してというのなら、その世界水準はどんなものでしょうかと。NIHの評価のやり方というのは皆さんもよくご存知かと思いますが、その他の国、あるいは、その他のファンディング・エージェンシーによるファンディング、この辺も少し検討を、詳細な詰めを必要とするだろうと思います。

 論点5「評価開発施策の評価について」。1つは、評価というのは外部の専門家による評価ということが出てくるけれども、みずから評価することになっていると。事前評価については……。

 どうぞ。

【野田委員】  ちょっと言葉で教えてほしいのですが、理解増進はわかるのですけれど、研究基盤の向上など、これはどういうことを指している。

【笹月部会長】  すみません、何ページですか。

【野田委員】  14ページ。

【平野部会長代理】  14ページの左側です。

【野田委員】  14ページで、案としてどうかという話はわかるのですけれど、「理解増進や研究基盤の向上」と非常に幅広い感じがして、どういうことを指しているのか。

【柿田計画官】  これはちょっと広い言葉になっておりますが、研究基盤、もう少し狭めて言いますと、知的基盤というような言い方もする場合もあり、現行の評価指針では知的基盤という言葉を使っておりますけれども、いろいろ研究をやることによって、例えばライフサイエンス系でのいろいろな生体材料といいましょうか、そういった新しいものがどんどん整備されていくとか種類が増えていくとか、そういったものも含めて、研究の成果そのものというよりも、研究をさらに進めていくためのいろいろな基盤、インフラ的なもの、その整備が進んだという幅広い視点のところまで含めて強化してはどうかという、そういう趣旨でございます。

【西島委員】  よろしいでしょうか。

【笹月部会長】  はい。

【西島委員】  追跡評価というのは参考になりますし重要だと思うのですけれども、この中で、国費が多いとか大きい重点化というのも大切だと思うのですけれども、「このテーマは追跡評価を行います」というのは、採択時にもう決まっていて、当人は追跡評価を意識して研究するというふうにとらえていいのでしょうか。

 つまり、追跡評価するかどうかについてはどの時点で通るかということで、明らかに国費が大きい重点というのはわかりますけれども、そうでないものにつきましては、追跡評価をするということが、逆に言うといい意味での刺激になるのか、その辺がちょっとわからなかったので。追跡評価をするときに負担もありますし、その辺のところをちょっと先にあらかじめ追跡評価するものはどの時点で公開とか告示するかと。

【笹月部会長】  事前、中間、事後、それから、追跡評価とするならば、私の理解するところでは、追跡評価といういのは一番最初に議論された大型のプロジェクトのようなもの、特にトップダウンのようなもの、そういうものを設定したこと自体の評価ということが一つ重要だと思うのですね。5年の期間内でこういう成果が上がった、それは事後評価でしょうけれども、さらにそのことが……。

【西島委員】  その波及効果ですね。

【笹月部会長】  どんなところに波及して、そして、最初にプランしたものがほんとうの意味で具現化されている、実現化されているという意味でのプランニングの評価ということにはこの追跡評価というのは非常に大事だと。

【西島委員】  早い段階で告示も、もちろん。

【笹月部会長】  そうですね。

【西島委員】  そうですね。わかりました。私もそのほうがいいと思います。

【大泊委員】  16ページの「評価者」のところにあります「幅広い視野を評価に取り入れる」という話と、「外部の専門家」、この専門家というのは一般に専門知識は深いけれども幅は広くないと私は理解していて、論理的に矛盾ではないかと思うのですけれど、これは専門外の人という。特に最近は融合領域その他が随分強く言われていますので、その前のほうの文章は、これはとても大事だと思います。ただ、後半の「外部の専門家」というのは一体何かなということがよくわからない。

【笹月部会長】  それは異なった分野のそれぞれの専門家と、一人で評価するわけではありませんので、複数の人間が評価者となるわけですから。

【大泊委員】  異分野のというのが入るわけですね。

【笹月部会長】  どうぞ。

【平澤委員】  この評価者のところで、これは施策の評価を対象にしているわけなので、政策評価法への配慮だと先ほどご説明があったのですが、確かに政策評価法の場合には自己評価でということになっているわけですが、政策評価法を2年前に見直したときには、できるだけ外部の意見を取り入れてというのが付け加わっているのですよね。ですから、弱める必要はないと私は思っています。

 特に施策、つまりこれは大きな政策等ということになるわけなので、それが自己評価だけだったらばとてもまともな議論にならないし、ですから、外部の方を頼んでいろんな意見をそこで戦わせていただくということがぜひ必要であろうと思っています。

 それから、もう一点、評価方法のところですけれども、個々の個別課題等の、つまり制度のもとに実施した個別のプロジェクトの評価結果を活用するなどして、となっているのですけれども、ここのところは確かにその結果を利用しないと何も施策の評価には至らないわけですが、データ収集が最も重要なポイントになるだろうと思うのですね。

 それで、単に個々の報告書だけというのではやはりまずいので、この施策の評価をするに当たって、特に追跡的な評価をするに当たって必要となるデータというのはどういうセットが必要かということをよく考えた上で、その最小限のものを報告してもらえるような評価フォーマットをつくって、個々のプロジェクトから随時データを収集しておくということが必要だと思うのですね。

 これは詳しい報告ではなく、実施した後も毎年あるいは2年に1回、はがき1枚程度で答えられる程度のものを追跡しますよという、公的資金をもらって研究している人は等しくそういう義務を負うのだという、そういう実施体制にしないとうまく施策の追跡評価というのはできないわけで、ぜひそこのところはかっちりしておいていただきたいと思います。

【笹月部会長】  ありがとうございます。

 それでは、次へ進むとして、論点6「研究開発課題の評価について」ということですが。どうぞ。

【岩田委員】  ちょっといいですか。研究課題の継続性を考慮するというのは非常にいいことだと思うのですけれども、これは下手に運用すると、先行して大きな研究プロジェクトを持っておられるところがずっと持続して研究が行えると。一方、入れない人はずっとワーキングプアのような状態になって、研究者の二極化が進むのではないかなという心配があるのですね。

【笹月部会長】  そうですね。ですから、おっしゃることはよくわかりますし、常にそういうことが具体的な評価の場でも議論されるテーマですので、いわゆる指定席みたいなことにならないようにということだと思うのですが。

 ですから、ほんとうはそのそれぞれの成果が上がったときに、今度はそれが次のカテゴリーの研究費にアプライできるような、そういう同じところが常にサポートされるのではなくて、そこまで行ったなら今度次ですよと、基盤研究でほんとうに十分成果があったら、次はそれを応用するところの別のプロジェクトに応募するような、そういうことができていれば、今のような問題も解決できるのだろうと思いますが。

 これも、しかし、やはりほんとうに優れたサイエンスであるかどうかという、ほんとうに基本的なところで評価してもらえれば、ほんとうは解決する問題だとは思いますけれども。

【有本委員】  今日の検討資料には書いてないのですけれども、ここで言っておいたほうがいいと思いますので。現行の評価指針の9ページに、例のインパクトファクターですね。常にこの問題は議論されていると思うのです。9ページの評価の実施のところ、多分文章としてはこれしかないと思うのですが、評価実施主体は、その評価の客観性を確保する観点からいろんなデータ、定量的データは有用であるが、一方ではこういうものの利用は慎重に行うと。特にインパクトファクターというものについては十分な注意を払うことは不可欠であると書いてあるわけです、3年前から。

 それにもかかわらず、現場の運用では、その前段の客観性だけで運用されているという。後段の慎重にやってくれという部分がこれだけ大事なわけです。どうやったらこれを少しでも改善できるのか。評価指針としては言葉としてはこれ以上の書きようはないのではないかと思いながらも、指摘しておきます。

 例えば、花木先生がさっきおっしゃったように、科研費の申請のフォーマットを少しでも変えるとか、科研費だけでなくて、ほかのプロポーザルの申請書でもみんなそうだと思うのです。どうもここのところが徹底してないものですから心配なのです。

【笹月部会長】  一つの試みとして、例の新学術領域ではアノニマスになるだけではなくてパブリケーションリストも載せない、すなわち、「インパクトファクターはもちろんわかりません」ということで、それが一つの最初のトライアルで、これがどういうふうになるのか非常に私も興味を持ってながめているのですが。

 これも私は何度もこういうチャンスに言うのですけれども、日本人はやっぱりすぐに引っ張られるのですね、インパクトファクターに。あるいは、『ネイチャー』とか『セル』とかそういうものがあれば、みんなAをつける。例えば5人が評価すると、みんな点数が一致するというのは、そういうところを見ているからであって、何度も申したのですが、NIHの評価する人たちに話を聞きますと、「自分たちはそういうものを全く見ない」と。何が一番大事かというと、やはり「目的を達するための準備状況がどこまで準備されているかということが一番の評価の指標になります。もちろん、その研究者にどれぐらいの能力があるかはパブリケーションリストが一つの指標にはなるけれども、それは重きを置きません」というのですね。

 ですから、そういう評価者自身のトレーニングといいますか、その専門領域に関する見識だけではなくて、評価ということに関する見識というものがやはり問われる。ほんとうに国際水準の評価とかを言うとすれば、そういう外国が今何を大事な評価の指標としているかというのはやはり調査、あるいは、こういうところで資料として出てきて、みんなで議論する価値はあるのではないかと思います。

 どうぞ。

【岩田委員】  インパクトファクターの件ですけれども、それはバイオ、メディカル系に特有な話のような気がするのですね。ほかの分野ではそれほど気にされていないような印象を受けるのですけれど、その辺はどうですか。

【笹月部会長】  それはそうでしょうね。特に文系ではそういう話を聞いたことありませんね。

【岩田委員】  化学も物理もさほど気にしてないですね。

【花木委員】  でも、工学分野などでは、大学によって、特に留学生は、すごく自分の論文のインパクトファクターを気にしますね。インパクトファクターの点数と発表した論文の数の掛け算が何点ないと就職できないとか。そうするとどうしても、我々指導する側も「そこの雑誌に出せ」ということになるので、せめて日本の大学はそうであってほしくないと思うのですが、大学によってはそういう考えをとっておられるところがあるのではないかと、そう私は思います。

【平野部会長代理】  あんまりくどいことを言ってはいかんのですが、実は大学評価・学位授与機構から、暫定評価の一番初めのころは、やはりこれを言ってきているのですよね。こういうようなことをベースに、SS、Sの明確な水準は言ってないのですが、やはり暗にそういうようなことを頭の中に描いた言い方がまかり通ってきておるというのは、これはやはり今議論があったとおりでありますね。この評価部会としてはもう一度、今日ではないですが、やはりきちっと日本のスタンスはどうするのかというのは議論すべきだろうと、そう思っています。

【笹月部会長】  ありがとうございました。

【後藤委員】  情報の分野では確かにあまりインパクトファクターという話はなくて、私自身が評価を受けるときには書かされた覚えがありますが、自分で評価する側に回ったときは特に重要視されていませんでした。

 この論点6の中にあって先ほども議題になった中間評価の件です。今回私も作業部会を一通り経験しました。我々評価委員と実際に研究する方との間であまり議論する時間がなく、評価のときはそういう議論にならなかったのですが、先ほどから話題になっている、途中で中身を変えるというか軌道修正するような場合に、それが適切であれば所期の目的云々というところでも評価は高くていいということになっています。それで、実際に研究している方が、「では、方針を少し変えよう」と。これはやむを得ない事情で先ほど言われた世の中の標準化の推進であるとか、情報の分野では世の中の市販の製品の出方によって実はかなり影響を受けてくる研究テーマもございまして、そういう場合に、変更の仕方は相当にプロジェクトによってやり方が違うのですね。

 POの方に聞いてみましても、POの方が比較的に課題にべったりついていておやりになっているところもあるし、それがまばらなところもある。先ほど言及された運営委員会とか推進委員会のようなところで相談することもある。しかし、最終的なオーソリゼーションというのがこの中間評価の場であるということになると、つまりA、B、Cという評価が相当影響があって変更がオーソライズされるということになると思います。その場合には、先ほどから話題になっている5年間のうちの3年目に評価する今の制度でというのはちょっと変更の判断時期としては遅いかなという感じがあります。この辺については、課題を担当されている研究者の方には最初に十分納得していただいてスタートしていると思うのですが、変更しようと思ったときには誰にどのように相談をしてオーソライズすればいいのかというあたりが、ここの文章の書きようはいいのですけれど、実際の運用としてはもう少しクリアなほうがやりやすいかなと思いました。

 これは、この箇所というよりは各論の話題になってしまって恐縮です。

【笹月部会長】  そうですね。ありがとうございます。

【平澤委員】  評価の観点のところですが、発展可能性を入れるということはいいと思うのですけれども、その前の必要性、有効性、効率性という言葉ですが、これは私は一貫して科学技術にふさわしくないから変えようということを言っているのですが、もともとこういう言葉が出てきたのは、政策評価法と独法通則法の実施の中で出てきたわけですね。それで、それを大綱的指針の中にそのまま取り込んだという経緯があるわけです。

 その取り込むときに内容が違うのだから同じ言葉にしないで、もっとふさわしい言葉にしようということを主張したのですが、その後ずっと変わっていないのですよ。これは基本的な問題にかかわる話なので。

【笹月部会長】  そうですね。

【平澤委員】  後々ゆっくり科学技術にふさわしい評価の項目というのを設計し直すということを考えたいと思います。

【笹月部会長】  申請された課題、あるいは、採択された課題、それから、その中身ということに鑑みますと、必要性とか有効性とか効率性とか、何か実態を伴わないですよね、先生がおっしゃるように。これは大事な点だと思いますので。

 論点7「研究開発機関の評価」というところはいかがでしょうか。

 これは、大学等は学校教育法に基づき、自ら点検及び評価を行うことになっていることから、外部評価というのは原則とした上で実施することとしてはどうかと、それは結構だと思います。

 それから、その他の見直しが必要な事項のところでちょっと気になったのは、それぞれの研究機関が、機関のミッションや特性に応じた明確な目標を設定することが必要ではないかというのですが、文科省の機関として、例えば大学のことを考えると、それぞれの大学が著しくミッションが異なるということはおそらくないでしょうから、むしろ他の省庁の研究、国立研究機関、あるいは、その他の研究機関においてはミッションが明確になっているでしょうから、それは明確にして、そのことを意識した上できちんと評価すべきだと、そういうことだと思います。

 論点8「研究者等の業績評価」。

【相原委員】  すみません、これ、一言よろしいですか。

 これは「インセンティブとなるような評価結果を個人の処遇や」というところですけれども、研究費の、これはWPIのところで大学内で議論しましたけれども、トップとしては認めることはできても、大学全体では認めないということで我々の大学での結論になっていて、なかなかここの議論をここで大きく話を発展しようとは思いませんけれど、非常に難しいかなと。

【笹月部会長】  そうですね。

【相原委員】  この処遇というのは何なのだということがあって、研究者は研究費をもらって自由に研究していればそれでいいのではないかという議論も非常に強く出ているので、この辺、先生方にちょっとご意見があったらお聞きしたいと思います。

【笹月部会長】  そうですね。言われてみると何か違和感を感じるというところは確かにあるかもしれませんね。

 はい。

【平澤委員】  私は全く同じような感触ですが、逆に言うと、処遇に反映させられるようなきちんととした評価をやろうとすると、これは非常に大変なことになるのですね。

【笹月部会長】  そうですね。

【平澤委員】  それをやっていなくて反映させるというふうにしてしまうこと自体、これはやはりちょっとまずいと思いますね。

【笹月部会長】  そうですね。

【平澤委員】  独立行政法人で、法人化された後こういう制度を取り入れていろいろ試行錯誤をしたのですけれども、非常に特殊なところを除いて、反映のさせ方というのは非常にマイルドになっていて、それも、被評価者の側からクレームがつかない程度のものにはなってきているというのが今の実態ですので、大学の中でこういうのを実施するということを進めること自体、体制が整っていないのでほとんど無理だろうと思います。

【笹月部会長】  そうですね。将来の方向としての一石を投じる一項目ぐらいの感じではないかと思いますね。今すぐこれが具現化できるかどうか、あるいは、その必要性があるかどうか。

【柿田計画官】  今のところですが、まさにご議論になると思っているところですが、現行の文科省の評価指針の22ページに、「その処遇等に反映するなど、機関の長の定めるルールの下で適切に活用する」と。この最後の「機関の長の定めるルールの下で適切に活用する」という言葉で全体をやわらげております。

 ですので、今日お示ししたこの資料の24ページは、そういうところがなくて、非常にダイレクトな文章になっておりますので、ここは今後文章に落とす過程で現行の評価指針をよく見ながら考えさせていただきたいと思います。

【笹月部会長】  わかりました。どうぞ。

【有本委員】  中央教育審議会の大学分科会で第2期の中期目標期間の議論が始まっています。そこでこういうことはきちっと議論はする。科学技術・学術審議会でこういうことを書こうとしているわけですから、大学側の運営としてどうなんだというところが議論の俎上に乗せておいてもらったほうがいいのではないかと思います。

【笹月部会長】  そうですね。ありがとうございます。

 それでは、今後の進め方として、今日いろいろご意見がありましたように、やはり委員の方々、自分が申請する立場、あるいは、今度は評価する立場、いろんな立場から見てこの評価のあり方ということについていろいろご意見がおありと思いますので、そういうことを、全体を議論しながら、そして、今日の議論を最終的にまとめ上げるという、そういう回を設定していただければと思います。

 今日、項目が出されて、それぞれについてほんとうに議論をしたら、時間が幾らあっても足りないぐらいのことでしょう。なので、一応委員の先生方はこれをお持ち帰りいただいて、存分に検討していただいて、そして、足りない項目、あるいは、日ごろ考えておられる、もっと抜本的なテーマについてもリストアップしていただいて、事務局へそれを前もって集めていただいて、そして、それをもとに評価部会をもう一度開くということでいかがでしょうか。

 それでは、事務局から何かございますでしょうか。

【沼田計画官補佐】  事務局から3点ご連絡をさせていただきます。

 今回の議事録につきましては、部会運営規則第5条第1項に則り、議事録案を作成した後、各委員にご確認をしていただいて、ホームページに公表させていただきたいと思います。

 次回の開催につきましては、11月21日金曜日、1時半から、場所はここ、3F2特別会議室で開催いたします。後日開催の案内を送付させていただきます。

 本日の配付資料につきましては、机の上に置いておいていただければ後日郵送させていただきます。

 以上でございます。

【笹月部会長】  それでは、本日はこれで終了とさせていただきます。どうもありがとうございました。

―― 了 ――

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科学技術・学術政策局計画官付

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