資料43−2

防災科学技術を取り巻く現状について(政府方針等抜粋)

○長期戦略指針「イノベーション25」

(イノベーション25戦略会議 平成19年6月閣議決定)

 堅牢かつ自己修復機能を持った材料技術等で多くの建造物は長寿命化・高容積化されており、災害に強く住みやすい住宅づくり・街づくりが進んでいる。地震、津波・高潮、土砂崩れ・洪水、台風等の自然災害が起きる場合にも、高度な予測技術と災害情報ネットワークの高度化により被害は劇的に減少する。

 第4章に掲げた社会の姿を目に見える形で実現していくため、国が主体的に進めていく先駆的なプロジェクトの例として、以下のようなプロジェクトを早急に実施する。

 限られた資源の中で政策課題に適確に対応するためには、個別分野ごとに最先端の科学技術等に関する研究開発を選択的かつ集中的に実施することが必要である。 −中略− 2006年3月に総合科学技術会議が策定した「分野別推進戦略」を基本とし、「戦略重点科学技術」を中心として5つの社会実現に向けた研究開発ロードマップを策定した。
 −中略− なお、分野別の戦略的な研究開発を推進するに際し、特に以下の事項について所要の措置を講じていくことが必要である。

<社会基盤>

○経済財政改革の基本方針2007

(経済財政諮問会議 平成19年6月閣議決定)

【改革のポイント】

【具体的手段】

○第3期科学技術基本計画

(総合科学技術会議 平成18年3月閣議決定)

 第2期基本計画期間中において、国民が最も身近に科学技術への不安を感じるとともに期待が強いのは、健康と安全の問題である。この間、 −中略− 地震・津波・台風等による大規模自然災害や列車事故等の大規模自己の発生 −中略− など、健康と安全を守る科学技術への期待は高まっている。

 −前略− 分野別推進戦略の策定に当たっては、基本計画期間中に予算を重点配分する研究開発課題を更に一定の考え方に基づいて絞り込む必要がある。そこで総合科学技術会議は、以下のような視点から、各分野内において基本計画期間中に重点投資する対象を「戦略重点科学技術」として選定し、最終的に分野別推進戦略に位置付ける。

 本章2.(3)1に該当する科学技術は、近年世界的に安全と安心を脅かしている国際テロ、大量破壊兵器の拡散、地震・台風等による大規模自然災害・事故 −中略− などの社会的な重要課題に対して迅速・的確に解決策を提供するものである。その研究開発の実施に当たっては、国が明確な目標の下で、専門化・細分化されてきている知を、人文・社会科学も含めて横断的に統合しつつ進めることが必要であり、総合科学技術会議は、このような社会的な技術について、分野横断的な課題解決のための研究開発への取組に配慮する。

○分野別推進戦略(社会基盤分野)

(総合科学技術会議 平成18年3月)

<防災>

 防災に対する社会ニーズは強く、総じて研究開発の重要性、政府の関与の必要性が高いとされている。地震調査研究、耐震建造物の構築技術、降雨の短時間予測等は、我が国が研究開発において世界最高水準にあり、これらのことから今後も、地震、津波、火山、風水害、雪害等に対する減災に重点を置いた防災に向けて、次の研究開発課題が重要である。

 さらに、防災における衛星等による観測・監視、警報・情報伝達技術は公共性が高く、国が主導して推進すべきであるので、次の重要な研究開発課題を選定する。

 また、災害に強い社会の形成には、自助・共助の取組が重要であるが、国が取り組むべき研究開発課題として重要度の高いものを選定する。加えて、その他の災害に対する減災技術等で重要度の高い研究開発課題を選定する。

 社会基盤分野の戦略重点科学技術は、以下の2つの戦略理念に沿った技術をそれぞれ2つ選定する。

(戦略理念1)

 地理的・地質的・気候的に自然災害が多発する我が国において、国民の安全を確保するためには、「減災対策」として、特に人的・物的被害をもたらす要因そのものを抑える対策と災害発生後の迅速な救命・救助に重点をおく必要がある。これらの減災対策技術に集中投資して、災害による死者数、経済被害等を大幅に削減し、世界一安全な国・日本の実現を目指す。

(戦略重点科学技術)

○高機能高精度地震観測技術
(選定理由)
 首都直下地震、東南海・南海地震や宮城県沖地震、活断層型地震等、様々な携帯の地震発生が予想されており、減災のためには、地殻活動の観測の高度化等による地震発生メカニズムの理解促進が不可欠であり、既存の観測機器の高度化も含めて重点化して推進する。

(技術の範囲) 地殻構造調査や地震観測・データ処理において新たな手法・機器を活用して従来より高機能高精度が可能となる技術であり、自然地震観測による地殻構造調査、海底を含む稠密な地震観測、GPS連続観測等の観測技術開発と整備に係わるもの。

○災害監視衛星利用技術
(選定理由)
 大規模自然災害に対し広域性、同報性、対災害性を有する衛星による自律的な災害監視や危機管理情報の利用は、減災対策において非常に有効な手段のひとつであることから、これを促進する必要があり、重点化して推進する。

(技術の範囲) 衛星による災害監視・情報利用技術および準天頂高精度測位実験技術。

○効果早期発現減災技術
(選定理由)
 自然災害・事故の減災対策はこれまでも進められてきたが、耐震化対策が必ずしも十分進んでいないなどの理由のひとつに、対策に膨大な費用がかかることが挙げられる。したがって、新たな手法や技術によって従来より少ない費用で効果的に減災対策を実現することが早急に求められており、特に重点的に進める必要がある。

(技術の範囲) 従来とは異なる新たな手法・技術を活用し、少ない費用で減災対策を実現できる技術において、耐震性・脆弱点を経済的に評価、補修・補強、応急復旧、強化復興できる低コスト化技術、特に未解明の長周期地震動への対応やロボットによる施工システムを含む。さらに、シミュレーション技術を活用して被害拡大を抑制するとともに、少ない費用で減災の効果を発現させるもの、および耐震性評価のための実大破壊実験と破壊シミュレーション技術開発。

○社会科学融合減災技術
(選定理由)
 自助・共助を基本とした減災対策において、開発した減災技術が有効に活用されるためには、社会科学分野の取組との融合が不可欠である。これまでもその重要性は指摘されながらも十分な取組が不足しており、戦略重点化して積極的な推進が必要である。

(技術の範囲) 地域の自助・共助力を含む総合的な防災力の向上のために、相互依存性を勘案して各種災害に対する社会の脆弱性把握や、社会経済等への影響を評価するとともに、危険度を周知する技術。災害時の行政、企業、交通輸送等の事業の継続能力確保する技術。