防災分野の研究開発に関する委員会(第40回) 議事要旨

1.日時

平成19年3月15日(木曜日) 13時30分~15時40分

2.場所

科学技術政策研究所 会議室

3.議題

  1. 主査代理の指名について
  2. 防災分野の研究開発に関する委員会の議事運営等について
  3. 「首都直下地震防災・減災特別プロジェクト」企画提案書の審査について
  4. 測地学分科会の審議状況について
  5. その他

4.出席者

委員

 土岐主査、天野委員、荒卷委員、碓井委員、大牟田委員、壁谷澤委員、国崎委員、黒岩委員、寶委員、田島委員、長棟委員、中尾委員、林委員

文部科学省

 藤田研究開発局長、板谷大臣官房審議官、土橋地震・防災研究課長、阿部防災科学技術推進室長 他

5.議事要旨

【事務局】
 それではただいまから、防災分野の研究開発に関する委員会を開会する。
 本日の委員会は、人事に係る案件である議題(1)については、非公開とさせていただく。
 当委員会は、平成19年1月末で第3期が終了したが、平成19年2月6日に開催された研究計画・評価分科会において、当委員会を引き続き設置することとされた。委員の改選を経て、本日が第4期の初回、通算で第40回目の開催となる。
 本日は、研究計画・評価分科会運営規則に基づき、研究計画・評価分科会長の指名を受けた第4期の委員21名中、13名に出席いただいている。
 それでは、第4期防災分野の研究開発に関する委員会の発足に当たり、研究開発局長の藤田よりご挨拶申し上げる。

【藤田局長】
 本年1月より研究開発局長に就任いたしました藤田でございます。
 皆様には、第4期の科学技術・学術審議会「防災分野の研究開発に関する委員会」の委員へのご就任をいただき、またお忙しい中、第4期の初めての会合にご出席いただき、感謝申し上げます。
 防災を取り巻く現状としては、近年、大規模な自然災害が頻発しており、昨年に限ってみても、九州南部や長野県に甚大な被害をもたらしたいわゆる平成18年7月豪雨、宮崎県延岡市及び北海道佐呂間町の竜巻等が発生しております。
 加えて、地震に関しては、我々が事務局をしている地震調査研究推進本部の長期評価において、首都直下及び南海トラフでの高い地震発生確率が示され、中央防災会議の報告によるとこれらの地震による多数の死者・甚大な経済的被害が予測されているところであり、我々といたしましても防災分野の研究開発を通じて防災・減災対策を積極的に推進していくことが重要であると認識しております。
 平成18年3月に閣議決定された「第3期科学技術基本計画」における基本理念の一つとして、「安全・安心で質の高い生活のできる社会の実現を目指す」ことが掲げられておりますし、安倍総理の下でイノベーション25として、2025年までにどういう技術革新を図っていくか、ということが検討されておりますが、このたびとりまとめられた中間報告の中でも、「地震発生後の15秒緊急対応により犠牲者が激減」が挙げられる等、地震・防災分野における技術革新の必要性が盛り込まれており、イノベーションへの期待が大きいと言えます。
 こうした政府全体の方針、国内外の状況を適切に踏まえながら、この委員会では委員の皆様から忌憚なくご意見をいただき、防災分野の研究開発の着実な推進を図ってまいりたいと考えておりますので、今後とも委員の先生方の貴重なご支援・ご協力を賜りますようお願いいたしまして、甚だ簡単ではありますが、第4期の初会合に際しても私のご挨拶とさせていただきます。

【事務局】
 ありがとうございました。
 お手元に委員としてご参画いただく皆様の辞令等を、本来であれば直接お渡しすべきところ、時間の関係上机上に置かせていただいている。ご了承願いたい。
 続いて、配付資料の確認をする。
 ‐配付資料確認‐

【事務局】
 続いて、第4期の防災分野の研究開発に関する委員会にご就任いただいた方々をご紹介させていただく。
 鹿島建設株式会社土木管理本部土木技術部担当部長の天野玲子委員、
 横浜市安全管理局危機管理室長の荒卷照和委員、
 奈良大学文学部地理学科教授の碓井照子委員、
 毎日放送ラジオ局報道部副部長の大牟田智佐子委員、
 東京大学地震研究所教授の壁谷澤寿海委員、
 危機管理アドバイザーの国崎信江委員、
 東日本電信電話株式会社ネットワーク事業推進本部サービス運営部長の黒岩邦夫委員、
 京都大学防災研究所副所長の寶馨委員、
 広島大学大学院理学研究科教授の田島文子委員、
 兵庫県企画管理部防災企画局長の長棟健二委員、
 人間文化研究機構総合地球環境学研究所研究部教授の中尾正義委員、
 京都大学防災研究所巨大災害研究センター長の林春男委員、
 立命館大学理工学部教授の土岐憲三委員
 にご就任いただいている。
 また、本日はご欠席されているが、
 名古屋大学地球水循環研究センター長の上田博委員、
 独立行政法人防災科学技術研究所理事長の岡田義光委員、
 東京電機大学工学部特別専任教授の片山恒雄委員、
 慶応義塾大学商学部助教授の吉川肇子委員、
 富士常葉大学環境防災学部教授の重川希志依委員、
 東洋大学社会学部社会心理学科教授の田中淳委員、
 名古屋大学大学院環境学研究科の福和伸夫委員、
 東京大学地震研究所教授の山岡耕春委員
 にもご就任いただいている。
 併せて、文部科学省からの出席者を紹介する。
 藤田研究開発局長、
 板谷大臣官房審議官、
 土橋地震・防災研究課長、
 阿部防災科学技術推進室長、
 奥地震・防災研究課課長補佐
 永田地震・防災研究課地震火山専門官
 滝地震・防災研究課防災研究地域連携推進官
 その他、関係者が出席している。

【事務局】
 続いて、次第に記載の議事に移る。
 ‐資料1‐2(防災分野の研究開発に関する委員会主査及び主査代理の選任について)に基づき説明‐
 委員会の議事進行は、委員会の主査が行うこととされており、研究計画・評価分科会長から土岐委員を委員会主査として指名いただいているので、以後の議事は土岐主査にお願いする。

議題(1) 主査代理の指名について ※非公開

 研究計画・評価分科会運営規則に基づき、土岐主査から岡田委員と片山委員を主査代理として指名した。

議題(2) 防災分野の研究開発に関する委員会の議事運営等について

【土岐主査】
 続いて、議題(2)に入る。議題(2)については公開する。
 まず、科学技術・学術審議会の概要について、事務局より説明をお願いする。

【事務局】
 ‐資料2‐1(科学技術・学術審議会の概要)に基づき説明‐
 特にご質問がなければ、資料2‐2の説明に移る。
 ‐資料2‐2(防災分野の研究開発に関する委員会運営規則(一部改正案))に基づき説明‐

【中尾委員】
 公開と公表の違いは何か。

【事務局】
 このような会議については公開という表現を使っている。議事概要のような書類については、公開ではなく公表という文言を使わせていただいている。
 他にご質問がなければ、資料2‐3の説明に移る。
 ‐資料2‐3(防災分野の研究開発に関する委員会の公開の手続について)に基づき説明‐

【土岐主査】
 特にご質問がなければ、次へ移っていただきたい。
 事務的なことなので、構わないと思う。資料2‐4から2‐6については、続けて説明をお願いする。

【事務局】
 ‐資料2‐4(防災分野の研究開発の概要)、2‐5(文部科学省における科学技術関係予算編成の主な流れ)、2‐6(防災分野の研究開発に関する委員会(第4期)における体制と審議予定)に基づき説明‐

【土岐主査】
 さて、ただ今ご説明いただいた資料2‐4から2‐6について、ご意見等をいただきたいと思う。順番はどれからでも構わないので、ご発言をお願いする。

【寶委員】
 第43回は8月21日という理解でよいか。

【板谷審議官】
 これは18年度の日程である。翌年度に向けての予算編成の基本的なところなので、今回説明させていただいている資料2‐4は、昨夏皆様に議論いただいて整理したものである。この議論を資料2‐5のスケジュールで行わせていただいた。この来年度バージョンをこれからお願いすることになる。

【土岐主査】
 ご説明をお聞きになってお分かりかと思うが、この会議は文部科学省の科学技術分野では重要度の高い、責任の重いものであるので、委員の皆様にはあらかじめ予定を把握し、この会議に優先的にご出席願いたい。
 よろしいか。それでは、議題(3)の説明をお願いする。

議題(3) 「首都直下地震防災・減災特別プロジェクト」企画提案書の審査について

【事務局】
 先ほど審議官からも申し上げたが、来年度の予算編成にあたっては、この委員会において具体的な審議をいただくとともに、要求前には事前評価をいただいている。委員の皆様には、平成20年度の概算要求にあたってご協力願いたい。
 これからご説明する首都直下地震防災・減災特別プロジェクトは、19年度の要求にあたりこの委員会で事前評価いただいたものである。このプロジェクトは公募選定型であり、その選定にあたってはこの委員会の下の作業部会で行い、その結果をこの委員会に報告したいと考えているので、事前にその内容についてご説明する。
 ‐資料3‐1(「首都直下地震防災・減災特別プロジェクト」実施機関の公募について)、3‐2(「首都直下地震防災・減災特別プロジェクト」応募状況)に基づき説明‐

【土岐主査】
 ありがとうございました。
 それでは、ただ今ご説明いただいた内容について、ご意見をいただきたい。これが本日のメインの議題であるので、どうぞご議論をお願いする。
 まず私から質問するが、資料3‐1の7ページに、プロジェクト1が8億円、2が1億5千万円、3が1億円とあるが、これは動かせないのか。全体の14億5千万円は動かせないと思うが。

【事務局】
 14.5億円としているが、14.5億円の中に、継続事業として東南海・南海地震の調査研究というものが入っており、それが3.5億円程度になる。それ以外の部分で、ここの金額を柔軟に対応していきたいと考えている。この8億、1.5億、1億というのは目安なので、金額はプロジェクトの内容によって考えていきたい。

【土橋課長】
 大幅には変えられない。事業の性格から、1がある程度大きな金額が必要。3はソフト的な事業であり、技術開発・研究開発的なものではないので、3が3億や4億というのは難しいが、振れ幅が1千万円から2千万円程度なら可能である。

【土岐主査】
 他に質問はあるか。

【中尾委員】
 公募要領の7ページに、1者又は複数の者を採択する、とある。説明では1者に絞りたいように聞こえたがそうなのか。

【事務局】
 代表機関は1機関ということで公募している。その下にいくつか再委託機関という形で複数の機関がぶら下がる分には構わない。そういう公募の仕方をしている。

【中尾委員】
 特にプロジェクト3は5機関から応募があって、以前の審議では、コンソーシアムの中であっちにもこっちにも入っている機関があったらどうか、という議論があったが、そういうダブりは現在はないのか。

【土橋課長】
 基本的に、同じプログラムに色々な形で応募すること自体がだめだと思う。科学技術振興調整費でも、違う人のプロジェクトの下に、もちろんエフォートは出すが、複数ぶら下がるというのは信義則違反だと考える。

【中尾委員】 3ではいくつか個別研究テーマがあって、そのうちのひとつは、ある余人をもって代えがたいということであった場合、代表者としてはそこには入ってもらいたいと声をかけることも考えられる。ないなら構わないが。

【事務局】
 基本的に大きいダブりというものはない。

【中尾委員】
 それでは、この応募のあった機関の中から一つを選定することになるのか。

【土橋課長】
 2つの機関の提案を統合した方がいい、という意見が審査の過程で出れば、統合できるものは統合するが、普通は研究代表者がばらばらにやってしまうケースが多い。ばらばらと予算を配ってしまうと、何をやったのか分からなくなってしまう。今回のプロジェクトは、科研費などとは違い、プロジェクトマネジメントをしながら成果を出していただくという趣旨なので、バラマキにならないように配慮したい。そう考えると、研究代表者、あるいはその下の方がきちんとプロジェクトをまとめるというやり方が適当であると考える。

【碓井委員】
 感想であるが、プロジェクト1と2に関して、応募件数がそれぞれ1件であるということに非常に違和感を覚える。プロジェクト3の5件というのは妥当だと思うが。普通どの国でも、これだけの大きなプロジェクトであれば、複数の応募があっていいのではないかというのが率直な感想である。

【土橋課長】
 一般論としてお聞きいただければと思うが、日本の地震学の研究者は地震学会で大体2千人、大学では旧7帝大のうち、大阪大学を除いて主に6大学と東工大である。これだけのプロジェクトができるところといえば、ある程度の規模でやろうと考えると、東大地震研であるとか東北大。地震調査研究推進本部の事務局をやっていて思うのは、多くの地震学者を擁しているのは東大と東北大と京大がメインである。九州大にもいるが、それは東北大から行かれたとか。基本的に地震関係の研究者の数があまり多くない。観測系、理論系いろいろあるが、特に観測系は十分多くないというのが現状であり、いわゆる科学技術基本計画の重点推進4分野であるライフサイエンス、情報通信、環境、ナノテクノロジー・材料に比べるとあまりにコミュニティが小さい。
 防災はもっと広く、いろいろな分野の先生方がいらっしゃるが、地震学はそうではなく、いわゆる理学部の固体地球物理の先生がメインであるので、それを考えるとそれほど多くの応募はないものと考えている。それから、首都直下地震ということで首都圏をメインにやっていることもあり、全国規模であればまた別かもしれないが、地震学の分野は競争環境に乏しいことは否めない。

【天野委員】
 10.5億円を8億、1.5億、1億と配分されているが、どういった内訳を考えているのか。

【土橋課長】
 首都圏のプレート構造調査は、地震計を400箇所に置くことにしている。非常に大きな、面的な事業であり、お金がかかる。首都直下地震はプレート内部とプレートの境界で起きるケース、計5つの可能性があり、どのような形で首都直下の地震像をとらえたらよいか、ということがひとつの主眼になっている。3つのプロジェクトに等分に経費が用意されているというよりは、1をしっかりやって、2 3にうまくつなげて全体をまとめるという思想であり、経費的にも1にお金がかかることから、要求の段階からこのような配分で事業を考えている。

【土岐主査】
 今の碓井委員と天野委員のご質問を私なりに解釈すると、研究者が少ない、首都圏でしかできないところに、なぜ8億ものお金が行くのか、ということ。今の説明では、地震計というハードウェアに相当なお金が必要となっている。だから、研究者が研究のために使っているお金というのはさほどないはず。ハードを手に入れなければならないから。その部分に例えば6億使ってしまえば、2億しかない。そういう説明をしないと、少数の人間で8億かと、普通はそう考えてしまう。そのあたりの説明がほしい。

【事務局】
 地震計を400箇所に設置するとか、人工地震・制御地震、つまり測線上に発破をかけるといったことであるので、8億円とあるがほとんどがハードである。6億は超えている。

【板谷審議官】
 基本的に主査のおっしゃるとおり。公募要領を見ると、確かに最初のプロジェクトのみ突出しているという印象を受けられるかも知れないが、内容的にはそれぞれのテーマを見ていただくと、1はハードの部分が大きいということであり、先ほど主査が解釈していただいたとおりである。

【田島委員】
 予算の中身として、ほとんどがハードに使われるということは分かった。1つの課題に応募が一件、それが東大地震研であり、地震研が400台の地震計を買う。これは向こう5年間か。

【事務局】
 5年間である。

【田島委員】
 KiK‐NET(基盤強震観測網)やK‐NET(強震観測網)、それからHi‐net(高感度地震観測網)、これらの日本の地震観測網のインフラはすごいと思う。ところが、日本の地震学の弱点はそれらのデータを活用していないということである。もちろん新しい観測機器を400台使うことは必要かもしれない。どのような申請書になっているかを検討する機会があればいいと思うが。別の会議でも言ったが、日本ではハードを買うときにはお金がおりる。地震計を設置し、データを取り始めると、本来ならばそのデータを使って研究をしないといけない。しかし大学の研究者が地震計の設置やメンテナンスに時間を取られて、研究する暇がない、というようなエクスキューズをする。
 そうした地震計の設置やメンテナンスは専門職がやればいい。地震計のインストールはエンジニアがやるべきことで、大学の研究者は取ってきたデータを使って研究をすること。しかし実際にはハードウェアのインストールを大学の研究者が行っている。ここが日本の地震学が行き詰まっている点だと思う。
 日本では、地震計を買うという一人あたりの予算が海外より多い。ところが手が足りず、研究の業績を出さない。それでは本末転倒である。ハードウェアのインストールにはテクニシャンを、つまり防災科学技術研究所等にそうした人材を配置すべきである。大学と、そうしたミッションを持つ研究所の役割はやはり異なる。地震学者は、既存の観測網からのデータだけでももっといろいろなことができるはず。

【板谷審議官】
 今の話は研究者に対する研究補助員が減っているという、この分野に限らない全体の話であると思う。そういった考え方をしっかり整理した上で分担や、メインの研究者とサブによるサポート体制になっているはずである。そうした体制がきちんと整備されているかについても、作業部会において見ていただければと考えている。
 委員の皆様の疑問は、1の金額が大きいことと応募が1件であること、そして次に金額の大きい2についても応募が1件であることかと思っている。検討段階からいろんな方を巻き込んだ一つの体制になっているはずだと考えているが、作業部会でも審査いただきたい。

【土岐主査】
 私も防災科学技術研究所の評価の部会長をしたことがあり、事情は分かっているつもりだが、KiK‐NETやK‐NETは決して地震学の研究のためだけに作っているものではない。理学や工学の方の防災の研究に役立っている。いかにこれらの分野の進歩に貢献したかは私もよく知っている。
 今回の申請は、私は中身を知る立場にないが、東大地震研の研究者が、地震計の設置だけ、データの取得だけに関心があるとは到底考えられない。本来の研究をしたいと考えているはずである。そこは心配しなくてもいいのではないか。審査作業部会で議論いただいて、その結果をこの委員会に報告してもらう際に議論すればいい。

【田島委員】
 それで構わない。具体的な検討の時には確認させていただきたい。

【寶委員】
 2年目以降の予算はこういう比率で推移するのか、分からないのか、申請書に応じて変わっていくものなのか、そのあたりの見通しは。

【事務局】
 概算要求時点では、38億円で要求しており、約40億を毎年要求していく予定にしていた。14.5億円でだいぶ金額が減ったが、当初の目的を達成するためには、2年度以降はもう少し増やしていかなければならないので、増要求はしていきたいと考えている。

【土橋課長】
 若干発射台が低いため、昨年要求した金額で目的を達成することは難しい。800点を400点にするとしても、ぎりぎりのところできちんと成果が出るように、それだけの予算は獲得していきたいと考えている。

【長棟委員】
 サブプロジェクトの3は5件の応募がある。これを評価していく段階で、評価方法の資料を見ると数値化するとある。トップのところが採択されるとして、2番目、3番目と評価のいいところが出てきた時に、サブプロジェクト1や2の点数より、3のプロジェクトの2番手、3番手の方が点数がいい、ということがあっても、この3のプロジェクトの採択は1件なのか。

【土橋課長】
 そのとおりである。事務局では各プロジェクトは独立して評価するものと考えている。

【土岐主査】
 プロジェクト1と2は、このプロジェクトを担当するに適当かという資格審査、3は選抜という形になる。それを一緒にして点数で比べるのは難しい。

【土橋課長】
 審査に関しては、足りないところは専門の先生方の意見で補完していただくということもある。特に1と2はそれぞれ1件しか提案がないということを考えれば、この体制でいいか、計画でいいかということを議論いただいて、加えてポジティブな建設的な意見を、審査票にコメントを付していただくこともできるし、事業計画を出す段階で意見を出すこともできる。また、このプロジェクトにはこれまでと違い、統括プロジェクトディレクターを置くこととしている。今までは研究推進委員会等で議論するのみであったが、これからはプロジェクトディレクターにきちんとマネジメントしていただくことを考えている。

【中尾委員】
 確認したい。最大1者だが、最低も1者なのか。1と2は既に合格しているということか。

【土橋課長】
 採択なしということもあり得る。内容が悪いところを採択するわけにはいかない。こちらのリクエストに沿って、体制・内容がある程度の水準に達していないと、そもそも成果が上がらない。

【中尾委員】
 もしそういうケースなら、注文をつけて変更させるのか。

【土橋課長】
 注文というのは、例えば60点を80点にしてほしいという意味で、不可を可にするということではない。58点を70点に、というくらいならケースバイケースかも知れないが。30点や40点のものを採択して成果が上がらなかったら問題である。
 再公募という選択肢もある。時間をとって公募していいものを出していただく。

【土岐主査】
 林委員の名前が応募者に含まれているが、構わないのか。

【事務局】
 審査作業部会の委員からは外している。

【土岐主査】
 それでは、資料3‐1、3‐2について他に質問はあるか。

【天野委員】
 2年目から5年目も同じ予算配分なのか。

【土橋課長】
 そうではない。ある程度の総額を想定して要求するが、38億で要求して半分以下になってしまうと、作業を後ろ倒ししないといけない。来年多く予算を獲得できれば、全体で8割から9割のことができるかもしれない。しかし、後年度負担まで認めてもらったわけではない。国庫債務負担行為、例えば南極観測船の「しらせ」を造ることであるとか、ああいうものは材料の調達等があるので、後年度の負担をきちんと決めている。その場合は後年度においてもほぼ要求どおりの金額が付く。しかし、本プロジェクトでは、効率化や見直し等をしながら要求していくことになる。

【天野委員】
 8億で初年度で経費分をほとんどまかなえたとすると、実際の研究にかかるのは2億程度だと思う。その場合、次年度以降は、その2億程度のお金で回していくことになるのか。

【土橋課長】
 これは毎年地震計を設置・展開していくものである。

【天野委員】
 初年度の6.5億というのは、地震計400箇所分ではないのか。
 もしそうなら、先ほど田島委員がおっしゃったようなことが起こるのではないかと危惧したが。

【土橋課長】
 そうではない。

【荒卷委員】
 横浜市でも150箇所の地震計を持っており、この金額でよくできるなと思っていた。
 地震計については、既にある程度整備されているが、他にどのような箇所に設置する予定なのか。

【事務局】
 首都圏周辺の高感度地震計はだいだい20キロメートル間隔で設置されている。20キロ間隔では、いわゆるアスペリティ、地震を起こしやすい場所を特定するには精度が不十分である。このアスペリティをつかまえるために、5キロメートル間隔としている。どこに設置するかについては、小学校や中学校、公共施設にご協力いただくこととしている。

【碓井委員】
 維持費はどう考えているのか。

【事務局】
 5ヵ年計画であるので、提出された詳細な計画書を見ないと分からないが、維持費についても計画書に盛り込まれており、そこも審査対象になるはずである。5ヵ年のプロジェクト終了後は、この地震計は全て撤去するので、維持費等は発生しない。

【土橋課長】
 定常観測ではなく、機動観測である。

【田島委員】
 5年間のメンテナンス経費は。人件費を含めて。

【土橋課長】
 それは入っている。大学の研究者の人件費は交付金で出ているので、それ以外のアシスタント経費等はこの委託費の中に含まれる。

【碓井委員】
 5年間で成果が上がらなかったらどうするか。

【田島委員】
 クリティカルなところである。地震計の整備に時間がかかって、成果が上がらないということはよくある。

【土橋課長】
 それは審査の時によく見ていただくのと、今回プロジェクトディレクターを置いているので、きちんとマネジメントする。
 5年が1年延びたから全然だめ、というつもりはないが、できるだけ5年で成果を上げたい。年限を設けないと、どんどん先延ばしになるので。

【土岐主査】
 5年間のプロジェクトで5年目に地震計を置くなどということはしない。ハードの整備は早い年次で済ます。我々はまだ中身を見ていないから、ここでは大枠の議論に止めることとしたい。

【田島委員】
 今のHi‐netは20キロ間隔であるが、首都圏ならSK‐net(首都圏強震動総合ネットワーク)ならもっと稠密である。どういう地震計かということも見たい。SK‐netには横浜市も含め、地方公共団体で管理されているものもあり、データは東大地震研で集約されているが、批判で言っているわけではなく、具体的にどのようなところを改善しなければならないか。SK‐netのデータには改善すべき点も多い。

【土岐主査】
 今のご意見は非常に技術的であり、審査作業部会で議論いただきたい内容である。

【碓井委員】
 大枠は了解した。ただ問題なのは、1のプロジェクトと2、3の連携が明確でないことである。人材の育成や、自治体との連携であるとか、そういった点とリンクさせて審査を行うべきである。

【国崎委員】
 プロジェクト1が最終的にどこにつながっていくのか、ということを知りたい。

【事務局】
 このプロジェクトの前に、大都市大震災軽減化特別プロジェクトという5ヵ年プロジェクトを実施し、4つの主要なプロジェクトで構成されていたが、それぞれの連携が上手くいかなかったという反省があった。今回のプロジェクトは3つから構成されているが、それぞれのプロジェクトが別々に成果を上げてばらばらになってしまっては成り立たないので、先ほど課長が言ったように統括プロジェクトディレクターを置いて、相互の連関を見ながら、全体を調整してプロジェクトを推進する、そういう体制をきちんと構築したいと考えている。

【土岐主査】
 いずれ今回のプロジェクトも、終わった段階で評価を受ける。その時に3つのプロジェクトがばらばらであったとしたら、厳しい評価を受けることになる。我々も事務局にも責任が伴うので、ご心配の点はよく分かる。
 ご質問がなければ、作業部会の設置について説明をお願いする。

【事務局】
 ‐資料3‐3(「首都直下地震防災・減災特別プロジェクト審査作業部会」(仮称)の設置について)に基づき説明‐

【土岐主査】
 ありがとうございました。
 こういう作業部会を設けて、先ほどのプロジェクト1、2、3の審査を行い、どれを採択するかを判断いただくことになる。

【黒岩委員】
 この作業部会は、このメンバーで議論をして、例えば3では5件の応募のうちこれを推薦します、という意見を出す役割か。決定はこの委員会で行うのか。

【事務局】
 役割はそのとおり。決定は最終的に文部科学省が行う。この作業部会の審査結果と、その結果の報告を受けた委員会の意見を受けて、文部科学省が最終的に決定する。

【中尾委員】
 資料3‐3の5.には、応募期間の研究代表者は作業部会の審査に加わることができない、とあるが、分担者は構わないのか。

【事務局】
 分担者もこの委員名簿には入れていない。

【中尾委員】
 結果的にそうだが、条文として入れておく必要はないのか。

【土橋課長】
 利益相反については大体ルールができているが、大学の場合は難しい点があり、大学全てを利益相反の対象にすると審査ができなくなってしまう。ただ若干簡略に書きすぎているところはあるかもしれない。

【土岐主査】
 この作業部会は今回だけに該当するものなので、より一般化して分担者までいれなければならないとは思わないが、だめだろうか。

【中尾委員】
 チェックしてあればいいだろう。

【土岐主査】
 チェックは嫌というほどしてあるはず。非常にセンシティブになっているところである。
 この5人の委員にお願いしてよいか。本日は片山委員、田中委員はご欠席だが、ご了解はいただいている。
 それでは、資料3‐1から3‐3を通して、意見があればお願いする。なければ、議題(4)について、報告をお願いする。

議題(4) 測地学分科会の審議状況について

【事務局】
 測地学分科会は、冒頭に説明のあった研究計画・評価分科会同様、科学技術・学術審議会の下にある分科会である。資料2‐1の2ページに、測地学分科会の役割が記載されており、現在は地震と火山について主に審議している。先の1月15日に、この測地学分科会において地震と火山に関するレビュー報告書がとりまとめられたので、報告させていただく。本委員会の審議の参考としていただきたい。委員会との関係では、参考資料1の防災に関する研究開発の推進方策について、の20ページにおいて、他の計画等との連携とあり、測地学分科会との連携の必要性について言及されている。
 ‐4‐1(地震予知のための新たな観測研究計画(第2次)の実施状況等のレビューについて)、4‐2(第7次火山噴火予知計画の実施計画等のレビューについて)に基づき説明‐

【土岐主査】
 何か質問等はあるか。特になければ、議題(4)は以上とする。

議題(5) その他

【土岐主査】
 その他、事務局から何かあればお願いする。

【阿部室長】
 冒頭、局長の藤田からも申し上げたが、イノベーション25という大きな政策の動きがある。昨年9月に発足した安倍内閣の所信表明演説に盛り込まれた公約の一つであり、長期戦略指針を策定しているところである。
 イノベーションは単なる技術革新ではなく、ビジネスプランやサービス等の仕組みに関しても新しい考え方を取り入れ、新たな価値を生み出して、社会的に大きな変化を起こすという、非常に広い概念で考えられている。以下、ご説明する。
 ‐参考資料5(イノベーション25について)に基づき説明‐

【土岐主査】
 防災分野の研究開発とも関連して、国全体としての背景がどのようなものか、という点をご理解いただければと思う。20年近くあるとすると、もう少し上の目標でもいいような気がするが。
 さて、全体を通じてお伺いすることがあれば、お願いする。

【寶委員】
 参考資料4(平成19年度予算案の概要(地震・防災分野))に関してだが、19年度予算案の概要について、風水害や雪氷災害も守備範囲だと思うが、例えば風水害分野の予算はあるのか。

【事務局】
 地震調査研究推進本部のもとでやっている地震研究があり、一方で防災科学技術はもう少し広く、防災分野は地震災害、土砂災害、風水害等含めたものである。この中には当然入っている。資料中は主要項目ということで地震・津波を取り上げているが、防災科学技術研究所でもそういう研究を実施している。

【土岐主査】
 他に事務局から連絡事項があればお願いする。

【事務局】
 議題(2)に関連し2点だけ補足させていただく。まず、当委員会の議事概要については、これまで次回の委員会に諮った上で公表していたが、今後はすみやかに公表したいという趣旨から、作成次第委員の皆様に確認をお願いし、問題がなければ公表することとしたい。
 それから、議事概要中の委員氏名については、これまで伏せていたが、今後は各委員のお名前を記載したものを公表したいと考えている。
 いずれも、科学技術・学術審議会及び研究計画・評価分科会の方針に添って変更することとしたものである。

【土橋課長】
 従来よりも、国民の皆様に対して透明性を高める、ニーズにすみやかに応える、という趣旨である。

【土岐主査】
 それでは、これで第40回の防災分野の研究開発に関する委員会を閉会する。
 ありがとうございました。

お問合せ先

研究開発局地震・防災研究課防災科学技術推進室

(研究開発局地震・防災研究課防災科学技術推進室)