防災分野の研究開発に関する委員会(第35回) 議事要旨

1.日時

平成18年5月12日(金曜日) 15時~17時

2.場所

経済産業省 別館 817号会議室

3.出席者

委員

 岡田(恒)主査、上田委員、片山委員、壁谷澤委員、鎌田委員、亀田委員、佐藤委員、島崎委員、田所委員、古谷委員、村上委員、渡辺委員

4.議事要旨

(1)防災に関する研究開発の推進方策について

【事務局】
 本日の委員会は、委員19名(欠員2名による)中、12名の出席で定足数を満たしているので合わせて報告する。

【委員】
 本日の議題は一つ、「防災に関する研究開発の推進方策」について検討することである。
 事務局から配付資料の確認をお願いする。

【事務局】
 ‐資料を確認‐

【委員】
 推進方策に関して、事務局から説明をお願いする。
 まず全体の概要を説明して、その後各章ごとにお願いする。

【事務局】
 ‐「防災に関する研究開発の推進方策」の策定作業方針について、参考資料3に基づき説明‐
 ‐「防災に関する研究開発の推進方策」(案)について、資料35‐2‐1に基づき説明‐

【委員】
 「はじめに」の冒頭部分、平成5年のあたりはアーカイブしているが構わないか。

【事務局】
 前期の内容を踏まえ、割愛させていただいた。

【委員】
 2ページ(はじめに)で新たに加わったのはどこか。

【事務局】
 科学技術基本計画の内容や、分野別推進戦略との関係について、丁寧に言及するようにした。

【委員】
 科学技術基本計画に関して、基本理念3の「健康と安全を守る」と大目標6の「安全が誇りとなる国」が我々に関係するところだ、という説明が不十分ではないか。推進4分野に入っているということも読み取れない。少し書き加えて欲しい。
 では第1章の説明をお願いする。

【事務局】
 ‐第1章について説明‐
 この分野は、課題解決型の要素が強い、積極的に国が推進していく必要がある、本分野における研究開発は一定の進捗を見せている、災害時要援護者の救援策に対しても一考を迫られている、という点が現状として挙げられる。
 推進方策の基本的な考え方は前回と同様であるが、6の「総合的・組織的な国際展開」については、第2章の重点研究開発領域の方で新たに項目を設けて述べることとした。

【委員】
 4ページ(防災分野における研究開発の現状)の第2段落に「地理的・地質的・気候的に自然災害が多発する地域に位置する我が国」とあるが、ここには人口の違いなど、日本の社会的条件も影響している。
 それから、海外の災害に目を向ける、とあるが、日本人も災害に遭ったから目を向ける、という書きぶりでは視野が狭い。国際貢献として、こうすることがひいては日本の国際的位置そのものにプラスになるという視点で研究開発の分野で貢献する、という表現にすべき。それから、国外に学ぶ、という視点も重要だ。
 6ページ(幅広い分野間の連携による総合科学技術として推進)について、表現的なことであるが、強調すべきなのは地震と豪雨による「複合的要因」によって多くの斜面災害が発生した、ということではないか。
 8ページ(地震災害への重点化とその他の災害への取組)について、スマトラ島沖地震では22万人の犠牲者を出したから「未曾有の」災害というのは違う。1976年の唐山地震の当時の中国政府の発表では24万人、実際は40万人といわれている。このあたりも検討していただきたい。

【委員】
 2ページ(はじめに)についてだが、これまでにやったことの効果のレビューの観点を入れる必要があるのではないか。それから4ページ(防災分野における研究開発の現状)について、海外の災害を参照する以上は、海外の災害に脆弱性の観点から目を向け、ビューポイントをはっきりさせる必要がある。5ページの「防災力の向上」については、「防災力」の意味によってアプローチの仕方が変わる可能性があるので、「防災力」の意味を定義し、明確な論理を準備した上で書いているのかどうか。例えば、河田委員の論文では、平均寿命の関数と書いておられ、私もそれに同意する。8ページの「国際的な防災協力という観点からも、地震災害の防止・軽減には国を挙げて優先的に取り組む」とあるが、これが分かるようではっきりしない。ネパールのカトマンズの町を歩くと、レンガ建ての建物に、今にも崩れそうなクラックがたくさん入っていて、それでも人が住んでいる。ちょっとした揺れで、建物が全壊し、人が死ぬという事態が生じている。そうした途上国の現状を見ると、上の表現は理解しにくい。

【委員】
 2ページ(はじめに)の真ん中あたりに、「安全安心で質の高い生活」ということが書かれているが、下の重要な研究開発課題1~10を見ると、自然災害だと思う。しかし、4ページ(防災分野における研究開発の現状)で突然、ニューヨーク貿易センタービルのテロ事件のことが出てきて、それ以降はまた記載されず自然災害中心の話になっている。防災分野では、このテロについてどう取り上げようとしているのか、スタンスがわからない。

【事務局】
 基本的には専ら自然災害を対象としているので、削る方向で考える。

【委員】
 ニューヨークのテロ事件は、災害の発生原因としては自然科学とは全く違うが、いざ起こったときの緊急対応については非常にたくさんの共通点がある。これは日本よりもむしろアメリカが強調していた。総論では確かにスタンスが違うように思えるが、災害発生後の緊急対応に限定すれば、さほど不自然ではない。削除してしまう手もあるが、どういう位置づけが一番いいか考えた上で判断いただきたい。

【事務局】
 今の話は、3ページ(はじめに)の削除した中に入っている。

【委員】
 これは、前に推進方策を策定したときにはタイムリーな話題であった。また、防災分野から調査団を出している。その結果が、今委員がおっしゃったことのようになっている。今の時点でみると、ちょっと不自然さがある。しかし当時はよく引用されていた。今回の推進方策の策定にあたっては、全く無視するわけにもいかない。

【事務局】
 当方でも、以前は自然災害のみを想定していたが、人為的なものも重要であると認識が変わってきた。安全・安心科学技術委員会など、別のところでも議論しているが、共通する部分はある。担当課との話では、自然災害の分野は専ら任せると言われており、その他の分野は向こうで書くことになる。重複する部分は当然あるので、方向性があまり違わないように、必要な部分はこちらでも書く、ということにしたい。

【委員】
 6ページの冒頭の部分で、研究開発の活動は「実証データを収集する」、「データベース化する」、「災害のメカニズムを明らかにする」、「災害を予測する」、「防災力を向上させる」とある。教科書ベースはこれでいいが、実際に研究でできる、政府を相手にしてできる、国全体でできる、という地域ばかりとは限らない。地域の実情を考慮すべきである。

【委員】
 ご承知のように、これは研究のアンケートをとって、それをどういう視点で分類しようかということで作ったのがこの5つである。実際の防災をどう進めるかということも念頭に置きながら研究開発を進めるということであって、防災力の定義を狭めるものではない。「研究開発の活動は」という主語で始めているし、4行目にあるように、研究開発を挙げたのだ、と。実際の防災戦略においてこのとおりにやれというわけではない。そうすると、ちょっと書き方を変えないといけない。

【事務局】
 おっしゃるように、まず研究の成果があって、成果をどう実態に生かすかということは別で、ここでは研究開発について書いたものである。

【委員】
 6ページ(社会の防災力の向上への貢献)の冒頭に関して、発展途上国では日本と同じ技術レベルではできないということがあるかも知れないが、最近の発展途上国の技術力の進歩はすごい。中国では、十年前にはなかったようなレーダー網が、今では百数十台展開しており、ラオス・カンボジア等にも日本よりいいものがある。ただそれを上手に使う方法は進んでいないということだ。将来を見越して、研究開発を進めた上で日本の各国への貢献を考えれば、こういう表現も悪くはない。地球観測の中では、新しい技術で観測を充実させようという方向にあるので、防災分野においても、従来の科学技術の現状を踏まえたケアと同時に、また将来見越した研究開発ということで検討してもよいのではないか。

【委員】
 最初に出た日本の社会的条件の話だが、サポートすると、前回の記述を踏襲しているところには、大都市という言葉が何回か出てくる。前回の推進方策では大都市というのを重点課題として書いていたので、大大特(大都市大震災軽減化特別プロジェクト)なども出てきた。その後、新潟その他の中山間部の話が出てきたから、大都市だけで前書きを書くのは現状にそぐわない。4ページ(防災分野における研究開発の現状)の後段では、今回中山間部の話が加えられたため、第2段落のあたりに大都市に関する記述がないと逆にバランスが悪くなったと感じる。自然環境が悪いということと、情報・インフラが集中している大都市を抱えていることで、災害が発生すると日本だけでなく世界的に影響を及ぼす、ということを書くという話だと思う。

【委員】
 防災対策に関しても、持続可能な、環境と調和する、そういう観点を入れる必要がある。建物を耐震補強するのが大切だというが、耐震補強したら終わりではなくて、ずっと使っていくものなので、どういうものを建て、どう使って、どう長持ちさせて、5年後、30年後かもしれない地震に備えていく、そういうニュアンスがない。

【委員】
 4ページ(防災分野における研究開発の現状)の「知的資産や産業のシーズにはなりにくい」という書き方だが、これは知的資産と産業の両方にかかるのか。知的な資産ではあると思うが。

【委員】
 防災科学技術が知的資産にならないというわけではなくて、産業界が中心になってお金が回るかどうか、民間では投資されないのではないか、ということではないか。

【委員】
 知的資産というのは特許のことを指しているのでは。
 ノウハウやビジネスチャンスなど、はっきりと分かる表現にする必要がある。

【委員】
 知的資産であるにもかかわらず産業のシーズになりにくい、ということか。

【事務局】
 書き方は修正する。

【委員】
 6ページ(幅広い分野間の連携による総合科学技術として推進)について、先ほども意見が出たが、2004年の新潟県中越地震に関して、斜面災害の要因を地震と豪雨としているが、これに加え、地殻の変動が大きいところで大きな土砂災害が発生した。最近では、ネパールの活断層の上が隆起している、変動が大きいところに災害が集中していることが分かってきているから、それも考慮する必要がある。地殻変動が大きいところは災害も大きい。またそういう地域はこれからどのように変化していくかという問題もある。

【委員】
 6ページのタイトルは「幅広い分野間の連携による」とあるから、書き方を工夫してほしい。

【委員】
 4ページ(防災分野における研究開発の現状)にあるように、地域の防災力の向上を目指すことは大切だが、危機管理については第2段落で重点的に書かれている。例えば水災害では、ハリケーンカトリーナで危機管理が重要な問題として挙がったと思うが、同時に、治水構造物の規格を超えるような外力を持つ巨大ハザードが、都市部で発生したことにより大規模な被害に結びついた。水災害についても、計画外力を超えるような巨大ハザードに対する事前のリスクマネジメントも必要だと考えている。2004年に新潟や福井でも災害が起きているが、これらも計画外力を超える力によって破堤したことによる災害である。治水構造物が破堤するというのは非常に低頻度であるが、そうした計画外力を超えるケースで、事前に被害を軽減するようなことも特に大都市に関しては大切である。

【委員】
 水災害に限らず、他の災害でも同様である。想定を超えた場合にどうするかということか。
 カトリーナの例は他の災害と並べて入れておいてもよいのではないか。
 第2章について説明をお願いする。

【事務局】
 ‐第2章について説明‐
 この章については、前回7つの項目であったが、[1]のとおり9つの重点研究開発領域に再編している。内容については、分野別推進戦略や基本計画特 別委員会に提出した資料を踏まえて加筆・修正している。
 特に、以下の事項については、文部科学省における今後5年間の重点的課題として位置付けている。

  • 社会の脆弱性把握、経済的影響評価、社会科学分野の取組との融合
  • 耐震性評価のための実大破壊実験及び破壊シミュレーション技術開発
  • 地殻構造調査、地震観測、GPS連続観測等、観測技術開発と観測網整備

 これらは、それぞれ分野別推進戦略の中の戦略重点科学技術である、社会科学融合減災技術、効果早期発現減災技術、高機能高精度地震観測技術に対応するものである。
 [2]については、「重要な研究開発課題」と名称を変え、ここでは概略のみを記載し、詳細は別紙にまとめてある。これは、包括的・網羅的に記載されており、前回のものから変えていないため、この場で委員の方々に意見をお聞きしたい。また、別紙に関して、第2期の推進方策と分野別推進戦略との関係を分析し、資料35‐2‐2のとおりまとめている。

【委員】
 ハザードの話があったが、リスクをもっと考えないといけない。リスクベースでなくハザードベースにしてしまうと、想定リミットを超えたときに大変なことになる。リスクベースで、想定をどんどん変えてかないと追いつかない。ハザードに対しても、今までの想定が果たしてそれでよかったかを考えないといけない。戦後、ものが無いときと違って、豊かになった現在は安全・安心ということが非常に重視されている。我々の想定が違っていたのかもしれないし、気象災害などのウエイトが下がった影響で重視されているのかもしれない。基本的にはリスクベースで発想し、例えばハザードマップだけでなくリスクマップにより想定していかなければならない。

【事務局】
 そういう意味では、[2]の重要な研究開発課題の方がハザードベースで書かれており、ここに書けなかった分が[1]の重点研究開発領域の方に書かれている。

【委員】
 この内容だとリスクマネジメントの具体的分析ができていない。

【委員】
 リスクベースで考えるという意見に賛成である。前回の推進方策では、リスクマネジメントを総合的に考えようという発想自体が新しかった。非常に総論的な話で終わっている。その後、想定外の外力により、様々なことが現実に起こっているわけで、このことをもっと現実的なものとして書き上げなければいけない。
 今は、現実的な問題がいろいろ出てきているが、当時はリスクマネジメントの項目を入れるべきだと主張して、やっとこのような形になっている。

【委員】
 まさにそのとおりだと思う。斜面災害の場合は、地すべり地に人が住んでいていつもリスクを背負っている。したがって、そのようなことをしっかり考えないといけない。実際には研究者が少ないために、現実的にはかなりの対策を実施しているが、リスクが目立たない。新潟県中越地震がその例である。

【委員】
 11ページから12ページ(防災対策の戦略の構築(リスクマネジメント等))の記述や、リスクマネジメントに関する主要研究開発課題について、各委員の知恵を拝借しながら、もう少し具体的に書く必要がある。

【委員】
 11ページ(防災対策の戦略の構築(リスクマネジメント等))に、自助・共助を基本とした減災対策、とあるが、公助も忘れてはいけない。

【事務局】
 自助・共助については、戦略の言葉をそのまま入れたためこうなっている。公助については追加する。

【委員】
 16ページ(国際的な枠組みの下での防災科学技術研究)についてだが、地球観測サミットについて書くなら、国連防災世界会議についても書くべきだ。17ページの「我が国の高い防災科学技術を国際的に有効に展開する」というのは、いろんな意味にとれそうで、リモートセンシングなどの既にあるハイテク技術を展開するとも解釈できる。それだけではおそらく途上国の問題は解決しない。むしろ、我が国の高い防災科学技術の研究開発能力を活用して、国際的に本当に有効な技術を見出していく努力が必要だ。相手の地域特性を踏まえた研究開発ができるような、そういう努力が必要だというニュアンスを盛り込んでもらいたい。
 また、主要研究開発課題の枠の中で、前回も指摘したが「世界各地」という言葉を外さないほうがいいのであれば、もう一つ付け加えるべきなのは、いろんな技術が開発されて、それが本当に現地で活用される素地をどうやって作るかということ。三つ目の「防災貢献ニーズの形成技術」、これはいいと思うが、ニーズを拾うだけではだめで、後のフォローが必要である。世界各地で役立つ防災科学技術に関する情報伝達技術の開発とか情報基盤技術の開発とか、そういう趣旨のものがなければ、本当の国際貢献にはならない。

【委員】
 主要研究開発課題、このすべてにかかってくる基本的な考え方として、最適技術という言葉があるが、最適技術というのは社会によって異なる。そこをはっきりさせたうえで、その概念をどこかに盛り込んでおかなければいけない。

【事務局】
 そういう意味では、17ページ(国際的な枠組みの下での防災科学技術研究)において、「それぞれの国や地域で適用できる有効な防災科学技術」というところで、今のお話のようなニュアンスを出している。

【委員】
 ここでひっかかるのは、いきなり開発ではなくて、相手国の現状をしっかり認識して、そこに適した技術開発をするという、もう一段階を入れることである。

【委員】
 12ページ(ハザードマップ(災害発生危険度予測地図)の高度化)についてだが、現在、高度化に関してはどういう状況という認識なのか。あまりやられてないのではないか。全体のタイトルが高度化になっているが、高度化というだけでは弱い。地震と洪水を総合したハザードマップというのはあるのか。ないなら開発にしたほうがよい。
 それから、14ページ(復旧・復興過程の最適化)の最後に、「被災者の生活再建、住宅再建」とあるが、これは今までなかったのか。

【事務局】
 前回の推進方策にはなく、平成17年1月の報告書で加えたものである。

【委員】
 5番目の重点研究開発領域で、災害時要援護者の被害軽減という表現があるが、人の面から被害軽減と書くのは違和感があるので、災害時要援護者の救援策の充実とか、そういう表現にした方がよい。
 それから、8番目も「災害情報」とだけ書いているが、災害情報の有効利用とか、分かりやすい名称に変えた方がよい。また、例えば11ページの「防災対策の戦略の構築(リスクマネジメント等)」にあるような、タイトルの後に括弧書きするのはやめた方がよい。

【委員】
 そういう意味では、11ページのタイトルは「リスクマネジメント」としてもいいかもしれない。前回の方策では最初の原案はそうだったが、いかにも唐突というので、今のような形になっている。もう時代が変わったので、「リスクマネジメントを考慮した防災対策の構築」とか、そういう表現を考えてはどうか。

【委員】
 リスクマネジメントに関する主要研究開発課題に関して、例えば、極限的な災害に対するリスクマネジメントの構築とか、よく使う言葉では低頻度巨大災害や、あるいは文字どおり想定外の巨大災害とか、最後の表現は基準がどこかにあっての想定外だから適切ではないが、どきっとする言葉で始めたほうがよい。
 逆に、一番上の「リスクマネジメントの体系化と適用方策の構築」は、主要研究課題から外してもいいと思う。言ってみれば当たり前のことである。リスクマネジメントを研究のまな板に載せるのであれば、出るとすれば本文の中である。主要研究開発課題として掲げることは、この当時としては新しかったが、今の時点ではそぐわないので検討してほしい。タイトルを変えるなら、なおさら削除してもよい。

【委員】
 17ページ(国際的な枠組みの下での防災科学技術研究)の主要研究開発課題で、「世界の各地域における防災貢献ニーズの形成技術の開発」とあるが、防災ニーズは人口の増加に比例して大きくなる。また、この防災ニーズの考え方には落とし穴があって、まず誰のニーズかということが非常に大事である。また、ニーズに応える協力・貢献をしたとしても、後の維持管理ができない。したがって、維持管理能力にあったニーズしか取り上げることができない。防災貢献ニーズの形成技術とはいったいどういうことなのか。何よりも途上国はなぜ災害で大きな被害を受け、多くの人が死ぬのかというと、防災技術・行政で救っていけないからである。そういう背景を考えると、防災ニーズをどういう観点でとらえるか。形成技術が何かということがそもそも分からない。何か貢献を強化しなければいけないということは分かるが、ニーズの形成という言い方をすると、落とし穴にはまる可能性がある。

【委員】
 表現は工夫が必要だが、私は他に並んでいるものよりは趣旨はいいかなと思う。今おっしゃったことを地域特性に応じて一つ一つ明確にすることがこの趣旨だと思うので、今委員がおっしゃったことを考えずにいることが問題なのであって、そこをきちんと整理できる研究テーマであれば、むしろ今のご意見に合致するものになるのではないか。もちろん逆のやり方をすれば逆効果になるわけだが、それは個々に提起されるプロジェクトの質の問題である。

【委員】
 第3章について説明をお願いする。

【事務局】
 ‐第3章について説明‐
 基本的には前回と同じである。
 国際協力推進について、第2章と重複する部分は削除している。
 人材の育成・確保については、国外のカウンターパートについても触れている。

【委員】
 第2章の話に戻るが、14ページ(復旧・復興過程の最適化)に関して、都市形態とか企業再建とか、そういう経済的なことを入れないと、生活再建ということはあり得ない。
 神戸市も非常に苦しんだという事実があり、今でも苦しんでいる。建物は直ったが、生活は変わらないという。社会科学技術という中に含まれていたのかなとは想像するが。

【委員】
 その点はこれまであまり議論してなかった。都市の再生という話をどこかに入れなかったかなという気がするが。事務局の方で全体を確認し、もし入っていなければ入れられそうなところを検討し、次回の委員会で考えることにする。どこまで手を広げるかということでもあるが。

【事務局】
 11ページ(防災対策の戦略の構築(リスクマネジメント等))については、リスクマネジメントの概念を広げるということまで考える必要があるか。

【委員】
 テロの話もそうだが、リスクマネジメントには共通の分野がある。我々は自然災害を考えていたわけだが、よそのも勉強するし、我々の作ったものはよそにも使えるはずだから。

【事務局】
 前回と同じというよりは、少し概念を広げるということか。

【委員】
 もう少し広げてもいいかもしれない。

【委員】
 リスクマネジメントは、Mitigation(被害抑止)、Response(応急対応)、Preparedness(被害軽減)など、いろいろなフェーズがある。ニューヨークの例は、むしろResponseの面で多くの共通点がある。だから、自然災害全体の中ではある程度限定された形で入ってくる。そのあたりをはっきり整理しておけば、混乱することはない。

【委員】
 リスクマネジメントの重要性も認識されてきた。状況が変わり、理解も深まっている。
 今日の結果を踏まえて、事務局に整理してもらいたい。

(2)その他

 次回の委員会は6月5日から7日のいずれかの日に行う予定とした。

お問合せ先

研究開発局地震・防災研究課防災科学技術推進室

(研究開発局地震・防災研究課防災科学技術推進室)