防災分野の研究開発に関する委員会(第34回) 議事要旨

1.日時

平成18年4月10日(月曜日) 13時~15時

2.場所

経済産業省 別館 1028号会議室

3.出席者

委員

 岡田(恒)委員、上田委員、岡田(義)委員、片山委員、壁谷澤委員、亀田委員、栗田委員、佐藤委員、田所委員、中尾委員、永島委員、林委員、古谷委員、渡辺委員

4.議事要旨

(1)地震・津波観測監視システム構築に向けた作業部会(仮称)の設置について

  • 資料34‐1‐1に基づき事務局から説明を行った。

【事務局】
 この作業部会で、我々が具体的に、地震・津波観測監視システムについてどういうコンセプトで実施するのかについてまずお話したい。その方向性について審議・検討いただいた後、最終的にそれをどういう形で、どういう組織で進めるかという判断を、この作業部会に諮ることを考えている。

【委員】
 第三者性をもった部会と考えてよいか。

【事務局】
 そのとおりである。
 これは委託事業なので、できるだけ速やかにスタートさせたい。できるだけ作業部会にお願いする形で、短期間に開催して、方針等をご判断いただきたいと考えている。
 なお、その結果については、後ほどこの委員会に報告することとしている。

【委員】
 よろしいか。それでは、異議もないようなのでこの作業部会を設置することとする。

(2)耐震工学分野における重点的研究開発に向けた作業部会(仮称)の設置について

  • 資料34‐1‐2に基づき事務局から説明を行い、委員会の了承を得た。

(3)第3期科学技術基本計画の概要および防災に関する研究開発の推進方策について

  • 資料34‐2‐1~資料34‐2‐5および参考資料2‐5に基づき、事務局から説明を行った。

【委員】
 締切が6月なので、それを視野に入れてということになる。第2期の推進方策は今後10年を見通した当面5年程度の方策ということで、現在も入ってはいるが、昨年1月に第3期科学技術基本計画の策定に向けて、ということで参考資料3の報告書が出されている。基本的には中身は平成15年度と変わっていないが、神戸で行われた国連防災世界会議で採択された宣言を入れるなど、多少彩りを添えてはある。第2期の推進方策とこの報告書の二つをもとに第3期の方策を作成したいというのが事務局の提案である。
 平成15年3月くらいのもの(参考資料2)を作成するのか。それとも平成17年1月の報告書くらいのもの(参考資料3)を作成するのか。

【事務局】
 第2期の推進方策を改訂するということであれば、平成15年3月のものがベースになろうかと思うが、他分野の状況を聞きながら考えていきたい。

【委員】
 事務局の案ではあと2回くらい委員会を開くということで、第35回・第36回にも議論の機会があるが、できるだけ今日議論をいただきたい。
 参考資料3を見て直感的に思うのは、3ページからの重要研究開発課題について、どこが進んでいて、どこが遅いのかという、ここ数年間の評価が必要ではないか。

【事務局】
 現状認識として、ここ数年について、ここは進捗したとか、力を入れるべきであるとかいうご意見をいただければ、新たなものに入れていくということになる。

【委員】
 リスクマネジメント、ハザードマップ、破壊過程の解明、既存構造物の耐震性、災害時要援護者、復旧・復興過程、先端技術の活用、災害情報の共有・利活用、国際的な枠組み、全部で9課題あるが、前回の推進方策(参考資料2)から加えられているのはどれか。

【事務局】
 新たに加わったのは災害時要援護者の被害軽減に係る研究と、国際的な枠組みの下での防災科学技術研究の2つである。

【委員】
 参考資料2と3を見比べて、物足りないと感じているのは、国際的な場でどういう風に日本が役割を果たしていくのかということである。開発領域の中には見えてこなくて、最後の推進するに当たっての重要事項という第3章のところに国際協力の推進という項目が入っている。やはりスマトラ沖地震の影響が大きいからだと思うが、参考資料3の中には入っている。このあたりの姿勢をはっきりと示すべきではないか。
 もちろん国内にも防災課題が山のようにあるわけだが、日本全体というか、世界の中での日本の位置付けが見えるようにしていく必要がある。

【委員】
 資料34‐2‐5にある背景に関してだが、水災害関連で言うと、2004年には各地で災害が発生した。なかでも、8月に発生したハリケーンカトリーナによる被害は堤防の破堤によるものであるが、都市部で発生したことにより非常に大きな災害となった事例である。
 これは実は他人事ではなくて、日本における大都市圏でも、一旦破堤すると非常に大きな被害につながる。水災害の発生は非常に低頻度だけれども、都市部で起こると大規模な被害が発生するようなものについては、未然に防止するための計画が日本にはない状態である。これについても、背景のところでぜひ扱っていただきたい。それはまた防災対策の戦略の構築の背景としても関係がある。

【委員】
 資料34‐2‐5に、水災害については記載があるのか。

【事務局】
 現行の推進方策(参考資料2)では、の15ページ以降にテーマごとに掲げている。
 分類ごとにそれぞれ研究課題があるという構成になっている。

【委員】
 水災害の問題を考えるときに、1.の実証データの収集の段階なのか、2.のデータベース化の段階なのか、3.災害のメカニズムを明らかにする段階なのか、4.災害を予測する段階なのか、5.防災力を向上させる段階なのか、どの段階にあるのか。

【委員】
 最後の防災力を向上させる段階、既存の成果も活用しながら未然にそういう災害に対応できるようにする、リスクマネジメントの段階にあると考える。

【委員】
 海外のことも含めてであるが、直接的な技術そのものを反映させるところまで明記した方がよい。台湾もそうだが、日本についても、造山帯の中の地震との関連の地殻変動も含めて、その分野がどうも遅れているように思える。これをもっと評価しないと、ことに地震の直接の要因についてはそういうことが大きい。

【委員】
 参考資料の2を見る限りは、我々が思いつくほとんどすべては網羅されている。それぞれの災害で、どの項目が重要か、多少重みをつけていかないといけない。今はどれも重要研究開発課題となっているが、このなかである程度の重み付けということが最終的には必要になってくるような気がする。

【事務局】
 そういう意味では、今回総合科学技術会議で作成された分野別推進戦略(参考資料5)では、資料34‐2‐2の最後にあるように、高機能高精度地震観測技術、災害監視衛星利用技術、また防災に特に関係するところでは効果早期発現減災技術、その他国土保全総合管理技術、社会科学融合減災技術、こういうものに重点を置いているので、総合科学技術会議の方でなんらかの重み付けをしていこうという意図があるものと考えており、国全体としてもそういう流れがあるものと理解している。

【委員】
 平成15年3月の推進方策(参考資料2)では、12ページ以降は分野の重点を考えているが、出たばかりの分野別推進戦略(参考資料5)というのは、これは前のものとは大分変わっているか。
 今話に出た内容は、分野別推進戦略のどのあたりに記載されているのか。

【委員】
 参考資料5の286ページ(戦略重点科学技術の選定理由と技術の範囲)に記載がある。このあたりを参考にしながらやらないといけない。

【委員】
 資料34‐2‐4で、分野別推進戦略との整合性に留意しながらと書いてあるが、この留意というのは例えばスタイルだけなのか、内容的に留意すべきものもあるのか。

【事務局】
 分野別推進戦略の考え方は、総合科学技術会議に設けられた社会基盤PTで、まず重要な研究開発課題をピックアップしている。重要な研究開発課題というのは282ページからで、基本的な考え方は、現在やっている研究開発は全て重要ではないかということで、行っているものは概ね入っている。その中で、戦略重点科学技術というものが286ページからで、重要研究開発課題の中でも特に重要なものに予算を5年間で集中投資して、その部分を広げていく。具体的には18年度予算で10パーセントから15パーセントくらいのところをピックアップしているが、それをぐっと広げていく。そして5年後にはここにあるようなイメージを実現するというものである。

【委員】
 さきほど議論のあったスマトラ沖地震の関係、国際の観点等、そういう新しい類のものは入っているのか。

【事務局】
 イメージとしては、各省庁からこういうものが重要ではないかというものを提示してもらい、それを最終的に総合科学技術会議が選ぶ形で、286ページ以降に各省庁の施策が入っているが、それほど具体的に国際的な観点というのは記載されていなかったのではないか。
 そういう意味では、当方として重要なものを参考資料3として昨年1月に提出している。総合科学技術会議の方ではそういう情報収集をした上で今回基本計画を作っているが、当方から出したものも入っているし、他省庁からのものも入っている。

【委員】
 参考資料5は出たばかりの資料だから、それを踏まえつつ前の資料を調整しようということか。参考資料2とか3とかと、これが完全にオーバーラップしているのか、重なっている部分がどこなのかという説明があると考えやすい。

【委員】
 参考資料3というのは分野別推進戦略(参考資料5)の下敷きになっているのか。一部として使われているのか。

【事務局】
 科学技術基本計画(参考資料4)を作成するに当たって、基本計画特別委員会というものがあるが、参考資料3はそちらに提出した資料ということになる。
 それを受けて分野別推進戦略ができたということになる。
 資料34‐2‐2において基本計画と分野別推進戦略の関係が書いてあるが、まず総合科学技術会議の方では科学技術に関する基本政策の諮問・答申という手続を行っている。この中で参考資料3が提出され、議論されている。その後に分野別推進戦略を作成しているため、当然情報としてはこういうものも踏まえられているはずであるが、何分総合科学技術会議と文部科学省はまた違う場であるので、どの程度参考にされてどれが入ったということまでは言い切れない部分がある。
 どこが入っているのかという話については、一対一対応という分析はしていないため、紐解きながらやるが、当方として特に関連性のある分野と考えているのは、分野別推進戦略の中でも287ページの効果早期発現減災技術というところである。他の部分も全体的に関連性はあるが、ここが防災という意味では非常に大きいところであると考えている。

【委員】
 ここは分析する必要がある。感覚的に大体入っているのか、どうしてこれを入れてくれないのだというものがあるのか、それを勘案しながらどこを攻めるかということか。

【委員】
 各省庁から大切と思われるものがたくさん出されて、それをいくつかずつまとめてきたわけだが、結果としてはどこかには入っていると感じている。

【委員】
 参考資料2の33ページに国際協力の推進という項目がある。そこに指摘されているのが、防災担当者の育成・確保が往々にして困難である、関連する人文科学・社会科学による地域研究の成果を基に取り組みを進める、それから防災力の向上のために払われた努力の効果について科学的な視点から評価を加える必要がある、ということである。これはいずれも非常に重要な指摘で、まさに防災国際協力のポイントをついたところだと思う。
 その視点から参考資料3の6ページ、国際的な枠組みの下での防災科学技術研究のところの主要研究開発課題を見ると、実はイケイケドンドン型で、こういう形でやっていって、うまくいかなった場合の責任はどうするのか。そういうケースもたくさんある。とはいえ、命を救う観点からやるべきことはやらなくてはいけない。そこで、我々がこれからやろうとすることを判断する上からも、過去の努力に関して、科学的な視点から評価加えるということが非常に重要である。その仕組みが参考資料3に入っているのかどうか、入っているとしたらどこに入っているのか。

【事務局】
 参考資料2の33ページにある、例えば防災担当者の育成・確保が往々にして困難である、防災力の向上のために払われた努力の効果について科学的な視点から評価を加える必要がある、こういったことが平成15年3月の推進方策に述べられているのに対して、参考資料3の中では主要研究開発課題の中で見る限りそれと思われるものが入っていないということか。

【委員】
 そのとおりである。

【事務局】
 参考資料2がまさに現時点で生きている方策であって、参考資料3は内容について少し見直しをしたものであるが、基本計画を作成するときに特に留意してほしい事項ということで、全部を見直したものではない。参考資料2に書いてあることは重要だと認識しているし、今回検討する方策においても推進すべき重要な課題であると考えている。

【委員】
 国際協力というと、人命救助等のやらなければいけないことを事実やっているわけだが、実態で見るとほとんどがただ乗りであり、成果が消えて無くなってしまう、元の木阿弥になってしまうというのが現実である。そういうところでいろんなイニシアチブをとっても、所詮はぬかに釘状態になってしまう。それを念頭において、これから大金をかけてスマトラの地震対策、あるいは災害に対して何かをしようとしているわけであるが、これからただ乗り、失敗、ぬかに釘状態を避けるために、しっかりレビューする。そしてそれぞれの土地柄・人柄に合ったプロジェクトを作っていく。そうしないと判断できないと思う。そのためにはそういう研究レポートが出されなければならない。

【委員】
 私も主要研究開発課題という書き方が気になっていて、世界各地で適用できる標準的な防災科学技術というのは、本当に存在するのか、という問題がやはりあると思う。もちろんリモートセンシングで広域的にということはこれに近いものがあるかもしれないが、それで済むのであればそう書いて、もっとこれを総合的に見るということであれば、世界各地で適用できるという中に地域特性を的確に考慮するということが中身として含まれているはずであって、それなしではやはり世界地域で適用できるということにはならないと思う。

【委員】
 分野別推進戦略(参考資料5)の287ページのところに、新しいテクノロジーとして効果早期発現減災技術というのがあるが、よく読むと安い費用で最新の技術を開発するとある。
 もちろん安い費用で技術を開発するというのは大切だが、耐震化が進んでいないのが金がかかるからだということは言い訳である。ほとんどの行政の方は、お金がないから、安いのをやってくれれば、と言うが、新しい安い技術というのは、大分出てきているけれど、性能を落としているものが多い。今まで我々がやってきた技術の中で、値段が10分の1になるようなそんなすばらしい技術はできるはずがないと思っている。こういうことをまともに取り上げて、やりましょうと言って責任を持てるか。性能が変わらなくて、抜群に安い防災技術は、少なくとも私が関係している範囲でそんなに出てくるとは思えないが、いかがか。

【事務局】
 今の点は、おそらく国土交通省から、簡易で安価な耐震・復旧等技術というのが提案されており、それと文部科学省からはE‐ディフェンスが重要である旨の提案をし、その結果、この言葉が総合科学技術会議の方でまとめられたと理解している。したがって、この効果早期発現減災技術というのは、我々文部科学省からこのようなネーミングにした方がいいというよりは、総合科学技術会議が各省庁の提案をまとめてこういうネーミングにしたもので、また、具体的な内容についても、特にこの戦略重点科学技術の方は、総合科学技術会議でまとめたということになる。

【委員】
 今ご説明いただいたとおり、この漢字ばかりの題は実際に委員会から出すときにはなかった。結局総合科学技術会議の中で議論をしている段階で、いろんな省庁から出ているものをまとめていく段階でこういうものになった。

【委員】
 対策に膨大な費用がかかるというのは、高いからではない。今までお金をつぎ込んでこなかったからでもある。

【委員】
 ここに入っているのは、もともと数多くあるもののうち、5つか6つか7つくらいのものが効果早期発現減災技術として、一緒になっているかもしれない。
 一番興味があるのは、いろんな省庁が既に平成18年度の予算化をしているものがあるが、それを見ると各省庁の本気さというものがよく分かって、言葉だけでは出てくるけれども、まだ予算化ゼロのものとか、本当にこんな予算でやる気があるのだろうかというものも、この中には入ってしまっている。

【委員】
 確かにいろんなものをくっつけたのだろうが、例えば未解明の長周期振動への対応を安い費用でどうやってやるのか想像がつかない。

【事務局】
 先ほども説明したとおり、国全体のテーマなので、文部科学省として何をやるかというのは当然こちらの委員会の方で精査すべき内容であり、ここに書いてあることを全部やるというつもりではない。

【委員】
 第2期の推進方策(参考資料2)と平成17年1月の報告書は、構造的にも整合していて、こっちからのメッセージであると思う。今度は基本計画や推進戦略というメッセージがやってきて、向こうは言ってみれば親だから、ここらへんが戦略だと言われたら、今度我々がやるべきことは、これを具体化する戦術計画みたいなものを出すことである。今あるものを見直すということは現実的だが、姿勢の問題を考えていくと、これは作って2、3年くらいでもう一回レビューをしてもいいものかもしれない。そういうとまた2年遅れて、メッセージが来ると。
 こちらから出していくインプットを精査するには、やはりこれを作るのに1年くらい時間がかかっているから、調査もいればレビューもいるし、時間もかかる。それはそれとして、作りつづける努力というか、決意は必要かもしれない。そうするとちょうど2年位前に、ある程度まとめられて、頭出しをして、もう1回磨り込んで、というタイミングは悪くはないな、という気がしないでもない。
 今回は向こうから球が返ってきたから、それにあわせてこれを仕立て直すという作業をするように、もう2年位したら、またこれをこの委員会が本当に主体となって、もう一度レビューのようなことを含めて、1年くらいの時間をとって、やるかやらないかというその姿勢を決めるということが必要かもしれない。このあと2ヶ月の間に何かをするというのはかなり厳しいから、できることとやるべきことを考えていくと、そこの戦略をこの委員会として、あるいは文部科学省として明示するということも必要ではないか。その間でのキャッチボールで、状況もどんどん変わるし動くべきだとは思うが、言いなりになっていることもないから、少なくともこちらの分野ではこちらの方が理解度は高いのだという認識に立たないといけないし、しかるべきタイミングできちんとインプットをまとめて持っていくということが望ましいのではないか。
 そういう意味では、客観的に文言がどういう風に反映されているかを精査しなければならないが、形としては追い込まれて、差し込まれて何かをやるのではなくて、一応こっちが持っている筋の中から、状況を見つつ、要援護者の問題だとかスマトラの問題を受けての新しい国際的な調査対象等を追加して、この委員会から出していくべきだというのがプラスだと考える。そういう意味では今回はもう一度戦術計画としてこれを見直し、だけどこの委員会の戦略計画として、そういう位置付けもこれはあるはずだから、それはまたしかるべきときに1年くらいかけてやるのだと、その2つを関連付けて議論していく必要があるように思う。

【事務局】
 そういう意味で参考資料2と3はそれに近いが、これを文部科学省の方針として作ったのに対し、こちらの参考資料3は先ほどの意見のように総合科学技術会議の方にはインプットする、情報提供するというものを作っていく必要がある。だんだん総合科学技術会議における、もしくは科学技術基本計画の作り方について、第3期に入って見えてきてはいるので、次回もそういう機会があると思うので、確かに検討すべきものではある。

【委員】
 全く別の分野の本を読んでいたのだが、アメリカでは大統領府で、こういう方向で、という資料を出すと、今度は議会で、やはり同じテーマで大きな資料を出してきて、これがぶつかると。まああそこはひっくり返る可能性もあるわけだから、そういう必ずしも同じテーマについては一本のドキュメントだけがすべてを支配するのではなくて、いろんな形のドキュメントがぶつかり合いながら磨くという戦術を採っているように思う。ぜひそういう方向性を顕示できたらいいと思う。

【委員】
 これは研究のテーマを挙げる方向だから、こんなことできるのかね、というようなことをとにかく書いた者勝ちということかもしれない。しかし、やはり今不足しているというか、もちろん現場への応用という話も不足しているが、研究ということだけに限っても、検証というか反省というか、要するに防災技術というのは実際に災害が起きないと分からないとうか、今までそういうものをベースにじわじわやってきたということがあるので、実際の防災の場面で役立ったという話は置いておくにしても、技術がある程度開発されて、それがきちんと検証されているかというところがある。
 今までこういう戦略でやってきて、それがうまくいったとか応用されたとか、そういうことをちゃんと踏まえて、またそれでもう一度うまくいくかどうか分からないが、過去に対する反省というか、これまでやってきたことをもうちょっと見直した方がいいのではないか。いろいろ新しいアイデアを思いつくというのも良いが、結局いろいろ言っても全然進んでいないという分野も実はあるので、そういうことも少しレビューした方がいいのではないか。

【委員】
 結局は性能評価である。高性能な防災技術・科学技術を開発することは必要だし、性能評価についてもそうである。今の技術でも、10社が持つ新しい技術を1社だけに独占させれば値段は10分の1になる。出来栄えはそこそこだから。どこかの会社が値段が10分の1になるように技術だけを開発するというのは不可能で。性能がよければ、10倍性能が良いものを出してくれれば独占できる。値段は10分の1になるし。そういう方への研究の誘導をしてほしい。今ここに書いているようなことだと、世の中どうなるかというと、何か安いのばかりが出てくる。そういう方向への誘導となっていないか、常々心配している。

【委員】
 参考資料5を見ていて、282ページから284ページ(重要な研究開発課題)にかけて課題が絞り込まれている。この委員会はどこを所掌すればいいのか、という整理が必要かなと。防災はまあいい。しかしテロ対策・治安対策はやらないとか、でも都市再生・生活環境くらいはできるとか。それからストックマネジメントもできるとか、他との並びを見ながらだと国土の管理・保全もいけるぞとか、交通・輸送システムは多分別だぞとか、ユニバーサルデザインはいこうと思えばいけるぞ、とかいうのがあると思う。そのへんの思考回路状況をもう少しクリアにすると、戦術も立てやすくなるのではないかと。防災だけをやるということになると、これだけ?ということになってしまうので、そのへんを事務局から教えていただきたい。

【事務局】
 そういう意味では、まずテロ対策だが、研究計画・評価分科会の組織図が(資料34‐2‐3)にあるとおり、人為的なものについては下から二番目の安全・安心科学技術委員会で検討することになっているので、当委員会では自然災害的な部分について検討するということになる。その他についても省庁ごとの分担があり、基本的な部分であれば書くことは可能だが、逆に非常に実現性に近い対策的なものになると、当方ではあまり書く必要はないと考えている。防災に関する科学技術は非常に分野横断的に連携が求められており、確かに現在の推進方策でもいろいろと触れられている部分があるので、そういう部分も参考にしながら書くことになる。
 確かに、先ほどの分野別推進戦略にどう反映されたのかということや、範囲をどこまで絞るかというのをもう少し精査した上で、次回事務局案を作成して説明することにしたい。

【委員】
 参考資料5の279ページ(状況認識)のところで、上から三行目に、こういうものが社会基盤分野に入るという一覧がある。ここに防衛技術というのがあるが、実はお金に換算するとこの防衛技術というのがかなりの割合を占めている。これも言われるまで気が付かない。それから例えば284ページに航空機の話がざっと書いてあるが、これも議論の途中である委員から、ほんとにこれやるのにこんな金額で大丈夫かという意見が出たことがあり、本気で我が国主導で航空機・エンジンの全機インテグレーション技術を開発するというようなことをやるつもりか、というような議論も出た。だからこの中には色んなものが入っている。

【委員】
 安全・安心科学技術委員会の方では食の安全や犯罪などが主なターゲットで、もちろん安全・安心ということで自然災害も重要であるが、冒頭で防災の方は他で十分に議論されている、という前提である。防災分野の研究開発に関する委員会があるからだと思うが。

【事務局】
 省庁内では、安全・安心のうち、自然災害の部分は当委員会に委ねるということで仕分けしている。

【委員】
 守備範囲を明らかにというのは、今回はあまり重要ではないと思うが、次にこっちの委員会主体でまた計画を作るときには、やはり少し侵略目に出て行くというか、ここにある縦割りにそのまま準拠していたら結局はしりつぼみになっていくと思う。防災は昔からやっているという意識はある。しかしそれをそのまま遵守していけばよいという性質のものでもないし、今回全体に減災技術というタイトルがかぶっているように、どこかで曲がり角に来ていることも事実なので、そういう意味ではあまり決めたテリトリーの中で自らを押し込める必要はない。安全・安心というのは関係あるかもしれないし、ユニバーサルデザインというのも関係してくるかもしれないし、国土の保全についても非常に密接に関わってくるので、スコープとしては持っておくべき。
 それから文部科学省というのは研究者の人材を育成する立場にもあるから、個別のフィールドにそういう人たちを送り込んでいく、そういう機能も担うものだと考えると、あまり垣根を高くして自分の中を守るというのではなくて、野戦型でやっていった方が良いのではないか。

【委員】
 参考資料2は向こう10年ということで平成25年までもたそうとしている。
 平成20年くらいをめどに書き直すことにするか。

【事務局】
 科学技術基本計画は5年で1期なので、また同じようなサイクルはある。
 またそのタイミングで、先ほどのような議論をすることになろうかと思う。

【委員】
 さらに一歩手前で、重点推進4分野と推進4分野というのが実はまだ変わっていない。推進4分野という名前になって今度は取り上げられたが。これが適切かというところからまず始めないといけない。
 おそらく重点推進4分野というのは前と変わらない。エネルギー・ものづくり・社会基盤・フロンティアという4つを準重点推進4分野に入れようというのが今回のものである。これが準でいいのか、今の重点推進4分野のライフサイエンス・情報通信などと入れ替えた方がいいのかということが、本当は大きく議論されるべきところであるが、今回は多分、前からやっていた4分野はそのままで、前の4分野ありきでスタートしたと思うが。

【事務局】
 そこは総合科学技術会議が決めるというイメージである。今回、防災分野で良くなったのは、戦略重点科学技術というところで、前は推進4分野というのは、ライフサイエンス・情報通信等が重点4分野で、その他という位置付けだったのですが、今回はそれぞれの分野に重要なところがある。それが戦略重点科学技術になる。ただそれは、重点推進4分野の場合はその割合が大きい。一方でその他4分野の方は割合が小さい。そういうイメージなので、以前よりはそれぞれの分野での重要性という意味では大きく取り上げられている。防災にとってはよい方向ではないか。

【委員】
 特に重点を置き優先的に資源を配分すべきというのが重点推進4分野で、国の存立にとって基礎的であり国として取り組むことが不可欠な研究開発課題、これが推進4分野。この違いの付け方の説明は、読んでも分からない。

【事務局】
 読み解くときには前の4つに重点投資ということになるが、第2期では、どうも勝ち組・負け組みたいになりがちで、重点推進4分野のみにシフトしようという話だった。そうするとやはりそうでない今回の推進4分野についてひたすら全体が縮むというような感じで、これはよくないだろうということで、その中でも重要なものはちゃんとあるのだから、それを拾い上げて着実にやろうということになった。そういった面で防災については着実にやるべき重要な課題がこれだけある、いうことは委員からのご意見もいただきながら当然PRしていかなければならない。全体でどれが重要かということに関しては、やはり総合科学技術会議の方に各分野から説明がある世界なので、そこでいろいろな判断がある、というふうには考えている。

【委員】
 例えば、食というか、食べ物の研究というのは、この8つに入れるとすればどこに入るのか。
 やはり、例えばナノテクノロジーとエネルギーと、どっちが大切かという議論をやってもらわないと。

【事務局】
 総合科学技術会議で検討している部分と、内部で検討している部分があるので、議論はされていると思うが。

【委員】
 私も本当に防災分野はいらないのか、という意見を言ったことはあるが、やはり4分野は外せないということだった。

【事務局】
 防災に関して日本はよくやっているという認識はあるようで、これから大きく伸ばすかどうかという点でいくと、着実にやればそれなりの成果があるという判断がなされているという認識は持っている。

【委員】
 さて、このくらいの議論で、事務局で整理をお願いする。
 次回の日程を決めることになるが、それまでに事務局の案を作成し、委員にはあらかじめ見ていただくことにしてはどうか。

【事務局】
 次回はスケジュールがかなりタイトなので、5月の前半で考えている。
 分野別推進戦略との整合性を踏まえ、こういうことを加えたらどうかということを当方で整理した上で、次回に案らしきものを提出して議論する、そういう形で進めたい。

(4)その他

  • 次回(第35回)は平成18年5月12日(金曜日)に開催することに決定した。

お問合せ先

研究開発局地震・防災研究課防災科学技術推進室

(研究開発局地震・防災研究課防災科学技術推進室)